JP2958051B2 - フレキシブルプリント回路用基板及びその製造方法 - Google Patents

フレキシブルプリント回路用基板及びその製造方法

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JP2958051B2 JP13711090A JP13711090A JP2958051B2 JP 2958051 B2 JP2958051 B2 JP 2958051B2 JP 13711090 A JP13711090 A JP 13711090A JP 13711090 A JP13711090 A JP 13711090A JP 2958051 B2 JP2958051 B2 JP 2958051B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、2種類の特定なポリアミック酸混合溶液を
特定の条件で金属箔上に直接流延塗布し、加熱イミド化
することにより、耐熱性、耐寒性、電気特性、機械特
性、耐薬品性に優れたカールのないフレキシブルプリン
ト回路用基板の製造方法に係るものである。
本発明で得られたフレキシブルプリント回路用基板は
各種の電気、電子機器用配線基板のみならずフラットモ
ータ、テープキャリヤー、フロッピーディスクヘッド、
高周波アンテナ、電磁シールド板などにも利用される。
(従来技術) 従来、フレキシブルプリント回路用基板はポリイミド
フィルムと金属箔とを、低温硬化可能な接着剤で貼合わ
せて製造したものを回路加工していた。高温硬化の接着
剤であると、熱圧着時の熱履歴により、常温に戻したと
きに、基板のカール、ネジレ、反りなどが発生し、その
後のパターニング等の作業が不可能な為である。
ところが低温硬化の接着剤を使用しても、接着剤はも
ともと耐熱性に劣るため、回路加工した回路板として耐
熱性の良いポリイミドフィルム本来の耐熱性を発揮させ
ることが出来なかった。
そこで接着材を使用しないでフレキシブルプリント回
路用基板を製造し、回路加工する方法が検討された。例
えば米国特許3,179,634号に示されている様なピロメリ
ット酸等のテトラカルボン酸と4,4′−ジアミノジフェ
ニルエーテル等の芳香族第一級アミンとの重合により得
られるポリアミック酸溶液を銅箔に直接塗布し、次いで
加熱する事により溶媒の除去及びポリアミック酸を閉環
させて、ポリイミド銅張板を製造する方法である。
ところがこの方法では、上記反応が脱水縮合反応であ
る為に体積収縮が発生するが、そのため得られた回路基
板は、カールや、シワ、チヂレ等が発生し、場合によっ
ては金属箔と樹脂との間に剥離が生じてしまうといった
問題や、金属箔エッチング後のフィルムが大きくカール
してしまうといった欠点があり、この方法でフレキシブ
ルプリント回路用基板を製造する上で大きな問題となっ
ていた。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は、これまでにかかる欠点を克服すべく鋭意検
討した結果、2種類の特定なポリアミック酸混合溶液を
特定の条件で金属箔上に塗布し、硬化させる方法で製造
したフレキシブルプリント回路用基板が、カールやシワ
がなく、接着性および強度が優れ、しかも耐熱性が非常
に良好であるとの知見を得、本発明を完成するに至った
ものである。
(課題を解決するための手段) 本発明は金属箔層(L)、3,3′,4,4′−ビフェニル
テトラカルボン酸二無水物とパラフェニレンジアミンと
を反応させて得られたポリアミック酸溶液(A)、ピロ
メリット酸二無水物と4,4′−ジアミノジフェニルエー
テルを反応させて得られたポリアミック酸溶液(B)と
が、モル比が(A)と(B)の合計に対し(A)が75モ
ル%を越える割合の組成物を硬化させた第一のポリイミ
ド層(M)、モル比が(A)と(B)の合計に対し
(A)が75モル%以下の割合の組成物を硬化させた第二
のポリイミド層(N)がL,M,Nの順に構成されたフレキ
シブルプリント回路用基板であり、金属箔上に3,3′,4,
4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とパラフェ
ニレンジアミンとを反応させて得られたポリアミック酸
溶液(A)と、ピロメリット酸二無水物と4,4′−ジア
ミノジフェニルエーテルを反応させて得られたポリアミ
ック酸溶液(B)とを、モル比が(A)と(B)の合計
に対し(A)が75モル%を越える割合で混合して得られ
たポリアミック酸混合物のワニス(C)を流延塗布し、
加熱乾燥後、この(C)層の上にモル比が(A)と
(B)の合計に対し(A)が75モル%以下の割合で混合
して得られたポリアミック酸混合物のワニス(D)を直
接あるいは加熱乾燥後に流延塗布し、加熱硬化させフレ
キシブルプリント回路用基板を得るものである。また、
M層とN層との厚みの比M/Nが1〜10であり、樹脂層全
体の組成がモル比がA/B=90/10〜60/40を充し、金属箔
エッチング除去後の樹脂層の線膨張係数が金属箔の線膨
張係数±20%以内であるフレキシブルプリント回路用基
板に係るものである。
(作用) 本発明は2種類のポリアミック酸溶液を連続的に、あ
るいは1層目を塗布し120℃以下で乾燥させた後に2層
目を流延塗布し、80℃〜350℃まで連続的に、または段
階的に0.5時間以上かけて昇温または保持加熱を行い、
加熱イミド化することにより、フレキシブルプリント回
路用基板を得るが、ポリアミック酸溶液を金属箔に流延
塗布してフレキシブルプリント回路用基板を得る方法
は、ロータリーコーター、ナイフコーター、ドクターブ
レード、フローコーター等の公知の塗布手段で50〜1000
μの均一な厚さに流延塗布する方法がとられる。
また1層目を塗布後乾燥をする場合、120℃以下で乾
燥を行うが、120℃を超えて乾燥を行うとイミド化反応
が進行してしまい、2層目との間で剥離を生じる場合が
ある。
さらに2層目塗布後の加熱によるポリアミック酸溶液
の溶媒除去は、ポリイミド皮膜が形成される以前に、始
めから強い加熱を行うと、粗面となったりひきつったり
するので、加熱は低温から徐々に高くする様にした方が
好ましい。例えば、100℃から350℃まで0.5時間以上か
けて連続的に加熱する。0.5時間未満であると膜厚にも
よるが、脱溶媒が不十分であったり、イミドの閉環が不
十分で特性が発揮されないことがある。また例えば、10
0℃で30分、ついで150℃で30分、200℃で30分、250℃で
30分、300℃で30分、350℃で30分という具合いに段階的
に昇温してもよい。加熱雰囲気も空気中でさしつかえな
い場合もあるが金属箔として銅箔など酸化され易い金属
箔を様いる場合は減圧下ないしは不活性ガスを流しなが
ら非酸化性状態下に行う方が好ましい。この様にして形
成されたポリイミド皮膜層は一般的に10〜200μであ
る。
金属箔の近傍の樹脂層では、樹脂冷却時に応力が発生
するが、2層構造をとるために、このとき発生する応力
と同等の応力を樹脂表面(N層)で発生させることがで
き、金属箔エッチング後のカールを防ぐことができる。
すなわちM層はN層と比較して線膨張係数が大きいため
樹脂冷却時にN層に比較して大きく収縮するので、樹脂
表面に収縮しようとする応力を発生することができる。
このときM/Nは1〜10が好ましく、M/Nが1より小さいと
樹脂層全体の線膨張係数が基材より大きくなり基板全体
が銅箔面を外側にカールしてしまう。一方M/Nが10より
大きいと充分な応力が発生しないため金属箔の近傍で発
生する応力とバランスをとることができずエッチング後
のフィルムがカールしてしまう。
また、樹脂層は全体として、モル比がA/B=90/10〜60
/40となることが好ましく、本範囲を逸脱すると金属箔
エッチング除去後の樹脂層全体の線膨張係数が金属箔と
して標準的に使用する銅箔の線膨張係数±20%以内には
いらないため基板全体がカールしてしまう。
本発明で用いる耐熱性樹脂は、フィルム形成能があ
り、金属箔との密着性があり、トータルでの線膨張係数
が金属箔と同程度であればよいが、つぎに示すようなポ
リイミドが最も目的にかなっている。
すなわち、テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン
成分とを反応させるに当たり、3,3′,4,4′−ビフェニ
ルテトラカルボン酸二無水物とパラフェニレンジアミン
とを反応させて得られたポリアミック酸溶液(A)と、
ピロメリット酸二無水物と4,4′−ジアミノジフェニル
エーテルを反応させて得られたポリアミック酸溶液
(B)とを、モル比が(A)と(B)の合計に対し
(A)が75モル%を越える割合で混合して得られたポリ
アミック酸混合物のワニス(C)およびモル比が(A)
と(B)の合計に対し(A)が75モル%以下の割合で混
合して得られたポリアミック酸混合物のワニス(D)を
加熱硬化させて得られるポリイミドである。
本発明に言うテトラカルボン酸二無水物とは、3,3′,
4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と、ピロ
メリット酸二無水物であるが、この他の酸、例えば2,3,
3′,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,
3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水
物、3,3′,4,4′−P−テルフェニルテトラカルボン酸
二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無
水物、3,3′,4,4′−ジフェニルスルホンテトラカルボ
ン酸二無水物、3,3′,4,4′−P−テルフェニルテトラ
カルボン酸二無水物、4,4′−ヘキサフルオロイソプロ
ピリデンビス(フタル酸無水物)等も併用することが出
来る。
本発明に言うジアミンとは、パラフェニレンジアミン
と4,4−ジアミノジフェニルエーテルであるがこの他の
アミン例えば4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′
−ジメチルベンジジン、4,4′−ジアミノ−P−テルフ
ェニル、4,4′−ジアミノ−P−クォーターフェニル、
2,8−ジアミノジフェニレンオキサイドなども併用する
ことができる。
テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分との反
応は酸成分/アミン成分(モル比)0.90〜1.00で行うの
が好ましく、0.90より低いと重合度が上がらず硬化後の
皮膜特性が悪い。1.00より大きいと、硬化時にガスを発
生し、平滑な皮膜を得ることが出来ない。
反応は通常、テトラカルボン酸二無水物またはジアミ
ン類と反応しない有機極性溶媒中で行われる。この有機
極性溶媒は、反応系に対して不活性であり、かつ生成物
に対して溶媒であること以外に、反応成分の少なくとも
一方、好ましくは両者に対して良溶媒でなければならな
い。この種の溶媒として代表的なものは、N,N−ジメチ
ルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチ
ルスルホン、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−
ピロリドン等があり、これらの溶媒は単独または組み合
わせて使用される。この他にも溶媒として組み合わせて
用いられるものとしてベンゼン、ジオキサン、キシレ
ン、トルエン、シクロヘキサン等の非極性溶媒が、原料
の分散媒、反応調節剤あるいは生成物からの揮散調節
剤、皮膜平滑剤等として使用される。
反応は一般的に無水の条件下で行うことが好ましい。
これはテトラカルボン酸二無水物が水により開環し、不
活性化し、反応を停止させる恐れがあるためである。こ
のため仕込原料中の水分も溶媒中の水分も除去する必要
がある。しかし一方、反応の進行を調節し、樹脂重合度
をコントロールするためにあえて水を添加することも行
われる。また反応は不活性ガス雰囲気中で行われること
が好ましい。これはジアミン類の酸化を防止するためで
ある。不活性ガスとしては一般的に乾燥窒素ガスが使用
される。
本発明で用いるポリイミド樹脂の合成反応は以下の様
な方法で行われる。即ち、3,3′,4,4′−ビフェニルテ
トラカルボン酸二無水物とパラフェニレンジアミンとを
反応させて得られたポリアミック酸溶液(A)と、ピロ
メリット酸二無水物と4,4′−ジアミノジフェニルエー
テルを反応させて得られたポリアミック酸溶液(B)と
を、モル比が(A)と(B)の合計に対し(A)が75モ
ル%を越える割合で混合攪拌してポリアミック酸混合物
のワニス(C)をまたモル比が(A)と(B)の合計に
対し(A)が75モル%以下の割合で混合攪拌することに
よってポリアミック酸混合物のワニス(D)を得る方法
である。
A、Bを合成し、また、これらを混合してC、Dを得
る反応温度は0〜100℃であることが望ましい。0℃以
下だと反応の速度が遅く、100℃以上であると生成した
ポリアミック酸の閉環反応および解重合反応が開始する
ためである。通常、反応は20℃前後で行われる。
本発明により製造されたポリアミック酸生成物は、使
用するに当たって各種のシランカップリング剤、ボラン
カップリング剤、チタネート系カップリング剤、、アル
ミニウム系カップリング剤その他キレート系の接着性・
密着性向上剤や各種溶剤、フローエージェントを加えて
もよく、またゴムや低分子エポキシ等の可とう性賦与剤
や粘度調整剤、あるいはポリアミドイミド、ポリエーテ
ルイミド、ポリエステルイミド等をブレンドしてもよく
タルク、マイカ、石英粉末等の充填剤、カーボンブラッ
ク、フタロシアニンブルー等の着色剤、テトラブロモフ
ェニルメタン等の難燃剤、三酸化アンチモン等の難燃助
剤の少量を加えてもよい。
本発明で使用される金属箔は、一般には銅箔が用いら
れるが、他の金属箔を用いることもできる例えば、アル
ミ箔、ニッケル箔、ステンレス箔、タングステン箔など
も用いることが出来る。
このようにして得られた回路用基板は金属箔とフィル
ムは充分な接着強度を持ち、接着剤層を持たないため電
気的にも安定したフレキシブルプリント回路用基板とな
る。
(実施例) 実施例1 温度計、攪拌装置、環流コンデンサーおよび乾燥窒素
ガス吹き込み口を備えた4つ口セパラブルフラスコに精
製した無水のパラフェニレンジアミン108gをとり、これ
に無水のN−メチル−2−ピロリドン90重量%とトルエ
ン10重量%の混合溶剤を、全仕込原料中の固形分割合が
20重量%になるだけの量を加えて溶解した。乾燥窒素ガ
スは反応の準備段階より生成物取り出しまでの全行程に
わたり流しておいた。ついで精製した無水の3,3′,4,
4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物294gを攪拌
しながら少量ずつ添加するが発熱反応であるため、外部
水槽に約15℃の冷水を循環させてこれを冷却した。添加
後、内部温度を20℃に設定し、5時間攪拌し反応を終了
してポリアミック酸溶液(Aとする)を得た。次に上記
と同様の装置及び方法で無水の4,4′−ジアミノジフェ
ニルエーテル200gと精製した無水のピロメリット酸二無
水物218gを反応させてポリアミック酸(Bとする)を得
た。次にAおよびBを、モル比がA/B=90/10になるよう
に混合攪拌したCを得た。またモル比がA/B=40/60にな
るように混合攪拌してDを得た。
圧延銅箔上にこのポリアミック酸溶液AおよびB連続
的に乾燥後のフィルム厚みがそれぞれ20および5μにな
るように流延塗布した後、乾燥器にいれ100℃から200℃
まで連続的に1時間かけて昇温した後、乾燥器にいれ20
0℃から380℃まで連続的に1時間かけて昇温した。
この様にして製造されたフレキシブルプリント回路用
基板は接着強度(JIS C6481)が1.1Kg/cmで寸法変化率
(JIS C6481)が0.02%でまったくカールがなく、銅箔
をエッチングした後のフィルムもまったくカールがな
く、引っ張り強度(JIS K6760)は31Kg/mm2、伸び(JIS
K6760)は41%と優れた物であり、このフィルムの線膨
張係数は16ppm、用いた銅箔の線膨張係数は17ppmであ
り、その差は5.9%、また樹脂層全体の組成比はモル比
がA/B=80/20で特許請求範囲の第三項記載の条件を充し
ている。
実施例2 実施例1と同様な装置及び方法で、パラフェニレンジ
アミンと3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二
無水物からなるポリアミック酸溶液(Aとする)と、4,
4′−ジアミノジフェニルエーテルとピロメリット酸二
無水物からなるポリアミック酸溶液(Bとする)を合成
した。次にAおよびBを、モル比がA/B=80/20になるよ
うに混合攪拌したCを得た。またモル比がA/B=60/40に
なるように混合攪拌してDを得た。
実施例1と同様な金属箔上にこのポリアミック酸溶液
Cを乾燥後のフィルム厚みが15μになるように流延塗布
し、100℃で30分乾燥させた後、乾燥したCの上に乾燥
後のフィルム厚みが10μになるようにDに流延塗布し、
乾燥器に入れ、100℃で30分間、150℃で30分間、200℃
で30分間、それぞれ加熱した後、乾燥器にいれ200℃で3
0分間、250℃で30分間、300℃で30分間、380℃で20分間
加熱した。
この様にして製造されたフレキシブルプリント回路用
基板は接着強度が1.2Kg/cmで寸法変化率が0.07%でまっ
たくカールがなく、銅箔をエッチングした後のフィルム
もまったくカールがなく、引き張り強度は30Kg/mm2、伸
びは40%と優れた物であった。尚このフィルムの線膨張
係数は19ppm、用いた銅箔の線膨張係数は17ppmであり、
その差は11.8%、また樹脂層全体の組成比はモル比がA/
B=72/28で特許請求範囲の第三項記載の条件を充してい
る。
比較例1 実施例1と同様な装置及び方法で、パラフェニレンジ
アミンと3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二
無水物からなるポリアミック酸溶液(Aとする)と、4,
4′−ジアミノジフェニルエーテルとピロメリット酸二
無水物からなるポリアミック酸溶液(Bとする)を合成
した。次にAおよびBを、モル比がA/B=60/40になるよ
うに混合攪拌したCを得た。
実施例1と同様な金属箔上にこのポリアミック酸溶液
Cを乾燥後のフィルム厚みが25μになるように流延塗布
し、乾燥器に入れ、100℃で30分間、150℃で30分間、20
0℃で30分間、それぞれ加熱した後、乾燥器にいれ200℃
で30分間、250℃で30分間、300℃で30分間、380℃で20
分間加熱した。
この様にして製造されたフレキシブルプリント回路用
基板は接着強度が1.2Kg/cmで寸法変化率が0.2%で銅箔
を外側にカールし、銅箔をエッチングした後のフィルム
もエッチング面を内側にカールしており、回路用基板と
しては不適当であった。引っ張り強度は30Kg/mm2、伸び
は40%であるが、このフィルムの樹脂層全体の組成比は
モル比がA/B=60/40だが、線膨張係数は28ppm、用いた
銅箔の線膨張係数は17ppmであり、その差は64.7%で特
許請求範囲の第三項記載の条件を充していない。
比較例2 実施例1と同様な装置及び方法で、パラフェニレンジ
アミンと3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二
無水物からなるポリアミック酸溶液(Aとする)と、4,
4′−ジアミノジフェニルエーテルとピロメリット酸二
無水物からなるポリアミック酸溶液(Bとする)を合成
した。次にAおよびBを、モル比がA/B=50/50になるよ
うに混合攪拌したCを得た。またモル比がA/B=20/80に
なるように混合攪拌してDを得た。
実施例1と同様な金属箔上にこのポリアミック酸溶液
Cを乾燥後のフィルム厚みが15μになるように流延塗布
し、100℃で30分乾燥させた後、乾燥したCの上に乾燥
後のフィルム厚みが10μになるようにDを流延塗布し、
乾燥器に入れ、100℃で30分間、150℃で30分間、200℃
で30分間、それぞれ加熱した後、乾燥器にいれ200℃で3
0分間、250℃で30分間、300℃で30分間、380℃で20分間
加熱した。
この様にして製造されたフレキシブルプリント回路用
基板は接着強度が1.2Kg/cmで寸法変化率が0.30%でまっ
たくカールがひどく、銅箔をエッチングした後のフィル
ムはほとんどカールがないが回路用基板としては不適当
であった。このフィルムの線膨張係数は32ppm、用いた
銅箔の線膨張係数は17ppmであり、その差は88.2%、ま
た樹脂層全体の組成比はモル比がA/B=38/62で特許請求
範囲の第三項記載の条件を充していない。
比較例3 実施例1と同様な装置及び方法で、パラフェニレンジ
アミンと3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二
無水物からなるポリアミック酸溶液(Aとする)と、4,
4′−ジアミノジフェニルエーテルとピロメリット酸二
無水物からなるポリアミック酸溶液(Bとする)を合成
した。次にAおよびBを、モル比がA/B=70/30になるよ
うに混合攪拌したCを得た。またモル比がA/B=90/10に
なるように混合攪拌してDを得た。
圧延銅箔上にこのポリアミック酸溶液AおよびB連続
的に乾燥後のフィルム厚みがそれぞれ20および5μにな
るように流延塗布した後、乾燥器にいれ100℃から200℃
まで連続的に1時間かけて昇温した後、乾燥器にいれ20
0℃から380℃まで連続的に1時間かけて昇温した。
この様にして製造されたフレキシブルプリント回路用
基板は接着強度が0.5Kg/cmで寸法変化率が0.1%でほと
んどカールしておらず、銅箔をエッチングした後のフィ
ルムは線膨張係数が15ppmであり、その差は11.8%、ま
た樹脂層全体の組成比はモル比がA/B=74/26と特許請求
範囲の第三項記載の条件は充していたが、第一及び第二
項の条件を充しておらず、樹脂表層において線膨張係数
の小さな樹脂を用いたために金属箔近傍で発生する応力
とバランスをとることができないためエッチング面を内
側にはげしくカールしており、回路用基板としては不適
当であった。
(発明の効果) 本発明の様にフィルム全体として、基材である金属箔
とほぼ同程度の線膨張係数を持たせることにより、金属
箔との膨張係数の差によって生じるカールを防ぎなが
ら、しかも特定の2種類の異なるポリアミック酸ワニス
を用い、銅箔との接着面近傍で生じる応力とフィルム表
面に於て発生させる応力とをバランスをとることができ
るため、金属箔エッチング後のカールやシワおよび寸法
変化を著しく軽減することが出来る。
従来困難であった全くカールの生じない接着層のない
フレキシブルプリント回路用基板を製造することが可能
になり、こうして得られたフレキシブルプリント回路用
基板は、接着層がないために耐熱性に優れ、カールがな
いために加工性も良く、またフィルムとしての特性も優
れた基板であった。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属箔層(L)、3,3′,4,4′−ビフェニ
    ルテトラカルボン酸二無水物とパラフェニレンジアミン
    とを反応させて得られたポリアミック酸溶液(A)、ピ
    ロメリット酸二無水物と4,4′−ジアミノジフェニルエ
    ーテルとを反応させて得られたポリアミック酸溶液
    (B)とが、モル比が(A)と(B)の合計に対し
    (A)が75モル%を越える割合の組成物を硬化させた第
    一のポリイミド層(M)、モル比が(A)と(B)の合
    計に対し(A)が75モル%以下の割合の組成物を硬化さ
    せた第二のポリイミド層(N)がL,M,Nの順に構成され
    たフレキシブルプリント回路用基板。
  2. 【請求項2】金属箔上に3,3′,4,4′−ビフェニルテト
    ラカルボン酸二無水物とパラフェニレンジアミンとを反
    応させて得られたポリアミック酸溶液(A)、ピロメリ
    ット酸二無水物と4,4′−ジアミノジフェニルエーテル
    とを反応させて得られたポリアミック酸溶液(B)と
    を、モル比が(A)と(B)の合計に対し(A)が75モ
    ル%を越える割合で混合して得られたポリアミック酸混
    合物のワニス(C)を流延塗布し、加熱乾燥後、この
    (C)層上にモル比が(A)と(B)の合計に対し
    (A)が75モル%以下の割合で混合して得られたポリア
    ミック酸混合物のワニス(D)を直接あるいは加熱乾燥
    後に流延塗布し、加熱硬化させることを特徴とするフレ
    キシブルプリント回路用基板の製造方法。
  3. 【請求項3】樹脂層全体が、モル比がA/B=90/10〜60/4
    0を充たし、しかも金属箔エッチング除去後の樹脂層全
    体の線膨張係数が金属箔の線膨張係数±20%以内である
    ことを特徴とする請求項1記載のフレキシブルプリント
    回路用基板。
  4. 【請求項4】M層とN層の厚さの比M/Nが1〜10である
    ことを特徴とする請求項1記載のフレキシブルプリント
    回路用基板。
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