JP2815668B2 - カバーコート付フレキシブルプリント回路板の製造方法 - Google Patents

カバーコート付フレキシブルプリント回路板の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (発明の技術分野) 本発明は、耐熱性樹脂をベースとするフレキシブルプ
リント回路用基板の回路を形成した面上にこれと同じ耐
熱性樹脂をカバーコートとして流延塗布し加熱硬化させ
てなる、耐熱性、耐折性、耐寒性、高周波電気特性、機
械特性、耐摩耗性、耐薬品性、耐放射線性等に優れた、
カバーコート付フレキシブルプリント回路板の製造方法
に係るものである。
(従来の技術) 従来、フレキシブルプリント回路板では、湿気、汚
れ、損傷から導体面を保護する目的で、回路表面に、フ
ィルムを融着、接着するフィルムカバーレイ法、また
は、液状コーティング剤を塗布、硬化せしめて被覆する
インクカバーコート法による保護を行って使用されてい
る。
特に耐熱性が必要とされるフレキシブルプリント回路
用基板には、金属箔上にポリアミック酸溶液を直接流延
塗布し、加熱硬化させて得られる接着剤層のないフレキ
シブルプリント回路用基板が使用されている。
しかしながら、ベースとなるフレキシブルプリント回
路用基板は、接着剤層がなく耐熱性が非常に優れている
にもかかわらず、フィルムカバーレイ法やインクカバー
コート法の次のような問題点のために、基板としての耐
熱性や屈曲性、耐折性が良くなかった。
即ち、フィルムカバーレイ法では、カバーレイ用のポ
リイミドフィルムの耐熱性は優れているのにもかかわら
ず、カバーレイ用の接着剤層の耐熱性が劣るため、耐熱
性は基板用のベースフィルムやポリイミドフィルムの耐
熱性よりも著しく劣っていた。
また、インクカバーコート法に使用されているインク
は、通常の熱硬化性樹脂や紫外線硬化型の樹脂であり、
ベースのフレキシブルプリント回路用基板の樹脂とは組
成が異なるため、上述のフレキシブルプリント回路用基
板に対する接着性が著しく悪く、また、屈曲性や耐折性
および耐熱性も著しく悪かった。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は、これまでにかかる欠点を克服すべく鋭意検
討した結果、ベースフィルムと同じ組成のポリアミック
酸に、ポリイミド粉末を可とう性付与剤として添加した
ポリアミック酸を用いて製造したカバーコート付フレキ
シブルプリント回路板が、耐熱性が非常に良好で、カー
ルやシワがなく、しかも耐折性や屈曲性が優れていると
の知見を得、本発明を完成するに至ったものである。
(課題を解決するための手段) 本発明は、耐熱性樹脂をベースとするフレキシブルプ
リント回路用基板の回路面上に耐熱性樹脂をカバーコー
トとして流延塗布し加熱硬化させるにあたり、ベースの
耐熱性樹脂と同じ組成の耐熱性樹脂にポリイミド粉末を
可とう性付与剤として添加した耐熱性樹脂を使用するこ
とを特徴とするカバーコート付フレキシブルプリント回
路板の製造方法である。
(作用) 本発明で用いる耐熱性樹脂は、フィルム形成能があ
り、金属箔との密着性があればよいが、つぎに示すよう
なポリイミドが最も目的にかなっている。
すなわち、テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン
成分とを、酸成分/アミン成分(モル比)を0.90〜1.00
として反応させるに当たり、3,3′,4,4′−ビフェニル
テトラカルボン酸二無水物とパラフェニレンジアミンと
を反応させて得られたポリアミック酸溶液(A)と、ピ
ロメリット酸二無水物と4,4′−ジアミノジフェニルエ
ーテルを反応させて得られたポリアミック酸溶液(B)
とを、モル比がA/B=55/45〜75/25の割合で混合撹拌し
て得られるポリアミック酸混合溶液(C)を加熱硬化さ
せて得られるポリイミドである。
本発明で使用されるベース用フレキシブルプリント回
路用基板は、上記のポリアミック酸溶液(C)を金属箔
上に直接流延塗布し、加熱硬化させたものが用いられ
る。このベース用フレキシブルプリント回路用基板の作
製は通常の2層構造のフレキシブルプリント回路用基板
の作製方法、例えば、特開昭62−200795号公報に示すよ
うな方法で行う。
本発明で可とう性付与剤として用いるポリイミド粉末
は、一般に、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン
酸二無水物とジフェニルメタンジイソシアネートを反応
させて得られたポリイミド粉末、または、3,3′,4,4′
−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物とジフェニ
ルメタンジイソシアネートを反応させて得られるポリイ
ミド粉末が用いられる。
本発明で、カバーコートとして用いるポリアミック酸
溶液は、上記のポリアミック酸溶液(C)に上記のポリ
イミド粉末を固形分重量比が、1から40%となるように
添加混合したポリアミック酸溶液が用いられる 本発明に言うテトラカルボン酸二無水物とは、3,3′,
4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と、ピロ
メリット酸二無水物であるが、この他の酸、例えば2,3,
3′,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,
3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水
物、3,3′,4,4′−P−テルフェニルテトラカルボン酸
二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無
水物、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸
二無水物、3,3′,4,4′−P−テルフェニルテトラカル
ボン酸二無水物、4,4′−ヘキサフルオロイソプロピリ
デンビス(フタル酸無水物)等も併用することが出来
る。
本発明に言うジアミンとは、パラフェニレンジアミン
と4,4′−ジアミノジフェニルエーテルであるがこの他
のアミン例えば4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,
3′−ジメチルベンジジン、4,4′−ジアミノ−P−テル
フェニル、4,4′−ジアミノ−P−クォーターフェニ
ル、2,8−ジアミノジフェニレンオキサイドなども併用
することができる。
テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分との反
応は酸成分/アミン成分(モル比)0.90〜1.00で行うの
が好ましく、0.90より低いと重合度が上がらず硬化後の
皮膜特性が悪い。1.00より大きいと、硬化時にガスを発
生し、平滑な皮膜を得ることが出来ない。
ポリアミック酸溶液を得る反応は通常、テトラカルボ
ン酸二無水物またはジアミン類と反応しない有機極性溶
媒中で行われる。この有機極性溶媒は、反応系に対して
不活性であり、かつ生成物に対して溶媒であること以外
に、反応成分の少なくとも一方、好ましくは両者に対し
て良溶媒でなければならない。この種の溶媒として代表
的なものは、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチ
ルアセトアミド、ジメチルスルホン、メチルスルホキシ
ド、N−メチル−2−ピロリドン等があり、これらの溶
媒は単独または組み合わせて使用される。この他にも溶
媒として組み合わせて用いられるものとしてベンゼン、
ジオキサン、キシレン、トルエン、シクロヘキサン等の
非極性溶媒が、原料の分散媒、反応調節剤あるいは生成
物からの揮散調節剤、皮膜平滑剤等として使用される。
反応は一般的に無水の条件下で行うことが好ましい。
これはテトラカルボン酸二無水物が水により開環し、不
活性化し、反応を停止させる恐れがあるためである。こ
のため仕込原料中の水分も溶媒中の水分も除去する必要
がある。しかし一方、反応の進行を調節し、樹脂重合度
をコントロールするためにあえて水を添加することも行
われる。また反応は不活性ガス雰囲気中で行われること
が好ましい。これはジアミン類の酸化を防止するためで
ある。不活性ガスとしては一般的に乾燥窒素ガスが使用
される。
本発明で用いるポリイミド樹脂の合成反応は以下の様
な方法で行われる。即ち、3,3′,4,4′−ビフェニルテ
トラカルボ酸二無水物とパラフェニレンジアミンとを反
応させて得られたポリアミック酸(Aとする)とピロメ
リット酸二無水物と4,4′−ジアミノジフェニルエーテ
ルとを反応させて得られたポリアミック酸(Bとする)
とをモル比がA/B=55/45〜75/25の割合で混合撹拌する
ことによってポリアミック酸(Cとする)を得る方法で
ある。
Aの比率が上述の割合よりも少ないときには、得られ
るカバーコート付フレキシブルプリント回路板にカール
が発生し、逆に多いときには剛直になりすぎ、柔軟性が
なくなる。
A、Bを合成し、また、これらを混合してCを得る反
応温度は0〜100℃であることが望ましい。0℃以下だ
と反応の速度が遅く、100℃以上であると生成したポリ
アミック酸の閉環反応および解重合反応が開始するため
である。通常、反応は20℃前後で行われる。
本発明により製造されたポリアミック酸生成物をフレ
キシブルプリント回路用基板の作製に使用するに当たっ
て、各種のシランカップリング剤、ボランカップリング
剤、チタネート系カップリング剤、、アルミニウム系カ
ップリング剤その他キレート系の接着性・密着性向上剤
や各種溶剤、フローエージェントを加えてもよく、また
これらに加えて通常の酸硬化剤、アミン硬化剤やイミダ
ゾール、3級アミン等の硬化促進剤の少量を加えてもよ
く、またゴムや低分子エポキシ等の可とう性賦与剤や粘
度調整剤、あるいはポリアミドイミド、ポリエーテルイ
ミド、ポリエステルイミド等をブレンドしてもよくタル
ク、マイカ、石英粉末等の充填剤、カーボンブラック、
フタロシアニンブルー等の着色剤、テトラブロモフェニ
ルメタン等の難燃剤、三酸化アンチモン等の難燃助剤の
少量を加えてもよい。
本発明で可とう性付与剤として用いるポリイミド粉末
の合成反応は、以下の様な方法で行われる。すなわち、
3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、
または、3,3′,4,4′−ベゾフェノンテトラカルボン酸
二無水物とジフェニルメタンジイソシアネートを、溶媒
中で100℃から150℃の温度で反応させる方法である。温
度が上記よりも低い反応の進行が遅く、高いと生成する
粒子の粒径が大きくなりすぎ、可とう性付与の目的に適
さなくなる。このようにして得られたポリイミド粉末を
可とう性付与剤として前期のポリアミック酸溶液に固形
分重量比で1から40%加え、通常の方法で混合撹拌す
る。
可とう性付与剤として加えるポリイミド粉末が1%よ
り少ないと、可とう性が不十分であり、40%よりも多い
と印刷時に気泡を巻き込み平滑なカバーが得られない。
本発明のカバーコート付フレキシブルプリント回路板
の製造方法は、まず、上記のベース用フレキシブルプリ
ント回路用基板の銅箔面を通常の方法によりエッチング
し回路を形成する。次いで、この回路面に上記の可とう
性付与剤入りのポリアミック酸溶液をカバーコートとし
て流延塗布し、続いて加熱硬化させてカバーコート付フ
レキシブルプリント回路板を得る。
本発明で使用される金属箔は、一般に銅箔が用いられ
るが、アルミ箔、ニッケル箔、チタン箔、ステンレス
箔、タングステン箔なども用いることが出来る。金属箔
は3〜200μの厚さのものが使用され、表面は租面化処
理を施されているものが好ましい。
ポリアミック酸溶液を金属箔上に流延塗布してベース
用フレキシブルプリント回路用基板を得る方法は、ロー
タリーコーター、ナイフコーター、ドクターブレード、
フローコーター等の公知の塗布手段で50〜1000μの均一
な厚さに流延塗布する方法がとられる。次に加熱により
ポリアミック酸の溶媒を除去し、かつイミド環の形成を
行うが、ポリイミド皮膜が形成される以前に、始めから
強い加熱を行うと、粗面となったりひきつったりするの
で、加熱は低温から徐々に高くする様にした方が好まし
い。例えば、100℃から350℃まで0.5時間以上かけて連
続的に加熱する。0.5時間未満であると膜厚にもよる
が、脱溶媒が不十分であったり、イミドの閉環が不十分
で特性が十分に発揮されないことがある。また例えば、
100℃で30分、ついで150℃で30分、200℃で30分、250℃
で30分、300℃で30分、350℃で20分という具合いに段階
的に昇温してもよい。加熱雰囲気も空気中でさしつかえ
ない場合もあるが減圧下ないしは不活性ガスを流しなが
ら非酸化性状態下に行う方が好ましい場合が多い。この
様にして形成されたポリイミド皮膜層は一般的に10〜20
0μである。
このようにして得られたフレキシブルプリント回路用
基板の銅箔面を通常のエッチング方法により、例えば塩
化第二鉄溶液を用いてエッチングし、回路を形成する。
次に、この回路を形成したフレキシブルプリント回路
板の、回路形成面上に、上記のポリイミド粉末を可とう
性付与剤として含有するポリアミック酸溶液をカバーコ
ートとして流延塗布する。
ポリアミック酸溶液をカバーコートとして回路形成面
に塗布する方法は、スクリーン印刷法、ロータリーコー
ター、ナイフコーター、ドクターブレード、フローコー
ター等の公知の塗布手段で20〜500μの均一な厚さに流
延塗布する方法がとられる。
次に、上記のベース用フレキシブルプリント回路用基
板の作製と同様の方法で、加熱によりポリアミック酸の
溶媒を除去し、かつイミド環の形成を行う。この様にし
て形成されたポリイミド皮膜層は一般的に4〜100μで
ある。
(実施例1) 温度計、撹拌装置、還流コンデンサーおよび乾燥窒素
ガス吹き込み口を備えた4つ口セパラブルフラスコに精
製した無水のパラフェニレンジアミン108gをとり、これ
に無水のN−メチル−2−ピロリドン90重量%とトルエ
ン10重量%の混合溶剤を、全仕込原料中の固形分割合が
20重量%になるだけの量を加えて溶解した。乾燥窒素ガ
スは反応の準備段階より生成物取り出しまでの全行程に
わたり流しておいた。ついで精製した無水の3,3′,4,
4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物294gを撹は
んしながら少量づつ添加するが発熱反応であるため、外
部水槽に約15℃の冷水を循環させてこれを冷却した。添
加後、内部温度を20℃に設定し、5時間撹拌し反応終了
してポリアミック酸溶液(Aとする)を得た。次に上記
と同様の装置及び方法で無水の4,4′−ジアミノジフェ
ニルエーテル200gと精製した無水のピロメリット酸二無
水物218gを反応させてポリアミック酸(Bとする)を得
た。次にAおよびBを、モル比がA/B=60/40になるよう
に混合撹拌しポリアミック酸溶液(C)を得た。得られ
た生成物は、黄色透明の極めて粘調なポリアミック酸溶
液であり、N−メチル−2−ピロリドン中0.5重量%溶
液の固有粘度は0.81(30℃)であった。
次に上記と同様の装置を用いてジフェニルメタンジイ
ソシアネート250gと3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテト
ラカルボン酸二無水物291gを140℃で5時間反応させポ
リイミド粉末を得た。このポリイミド粉末を、上記のポ
リアミック酸溶液(C)中に20重量%添加し、混合撹拌
し、カバーコート用ポリアミック酸溶液(D)を得た。
上記のポリアミック酸溶液(C)を銅箔上に流延塗布
した後乾燥器にいれ100℃から350℃まで連続的に2時間
かけて昇温した。
この様にして製造されたフレキシブルプリント回路用
基板上の銅箔をエッチングして回路を形成し、この回路
面に、上記の方法で調製したポリアミック酸溶液(D)
をカバーコートとして流延塗布した後乾燥器に入れ100
℃から350℃まで連続的に2時間かけて昇温した。
この様にして製造されたカバーコート付フレキシブル
プリント回路板は、カバーコートの印刷性がよく、にじ
みがなく、カバーの密着性も優れており、400度以上の
耐熱性をもち、しかも耐折性(MIT法、0.1R、0.5kgf)
が1万回以上の非常に優れたフレキシブルプリント回路
板であった。
(実施例2) 実施例1と同様な装置及び方法で、パラフェニルレン
ジアミンと3,3′,4,4′−ビフェニルテトカルボン酸二
無水物からなるポリアミック酸溶液(Aとする)と、4,
4′−ジアミノジフェニルエーテルとピロメリット酸二
無水物からなるポリアミック酸溶液(Bとする)を合成
した。AとBをモル比が70/30になるように混合撹拌し
ポリアミック酸溶液(C)を得た。生成物の固有粘度は
0.90であった。つぎにビフェニルテトラカルボン酸二無
水物とジフェニルメタンジイソシアネートを反応させ
て、ポリイミド粉末を得、これを上記ポリアミック酸溶
液(C)に15重量%添加し、カバーコート用ポリアック
酸溶液(D)を得た。
上記のポリアミック酸溶液(C)を銅箔上に流延塗布
した後乾燥器に入れ、100℃で30分間、150℃で30分間、
200℃で30分間、250℃で20分間、300℃で10分間それぞ
れ加熱した後、300℃から350℃まで連続的に1時間かけ
て昇温し、アニールした。
この様にして製造されたフレキシブルプリント回路用
基板上の銅箔をエッチングして回路を形成し、この回路
面に、上記の方法で調製したポリアミック酸溶液(D)
をカバーコートとして流延塗布した後乾燥器に入れ100
℃から350℃まで連続的に2時間かけて昇温した。
この様にして製造されたカバーコート付フレキシブル
プリント回路板は、カバーコートの印刷性が良く、カー
ルやシワもなく、強度も優れており、しかも400度以上
の耐熱性をもち、耐折回数も8000回以上の、非常に優れ
たフレキシブルプリント回路板であった。
(比較例1) 実施例1と同様な装置及び方法で、パラフェニレンジ
アミンと3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二
無水物からなるポリアミック酸溶液(Aとする)と、4,
4′−ジアミノジフェニルエーテルとピロメリット酸二
無水物からなるポリアミック酸溶液(Bとする)を合成
した。つぎに、AとBをモル比が60/40になるように混
合撹拌した。
実施例1と同様の方法でフレキシブルプリント回路用
基板を作製し、銅箔面をエッチングして回路を形成し
た。この回路面に、カバーレイとして一般に用いられる
カプトンフィルムをエポキシ系の接着剤を用いて張り合
わせた。得られたフィルムカバーレイ付フレキシブルプ
リント回路板は、カラーレイの接着性が悪く、耐折回数
も1000回以下と劣っていた。また、350℃まで加熱した
ところ、接着剤層が黒化および炭化し耐熱性も劣ってい
た。
(比較例2) 実施例1と同様な装置及び方法で、パラフェニレンジ
アミンと3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二
無水物からなるポリアミック酸溶液(Aとする)と、4,
4′−ジアミノジフェニルエーテルとピロメリット酸二
無水物からなるポリアミック酸溶液(Bとする)を合成
した。つぎに、AとBをモル比が60/40になるように混
合撹拌した。
実施例1と同様な方法でフレキシブル回路用基板を作
成し、銅箔面をエッチングして回路を形成した。この回
路面に、一般に用いられるメラミン、アルキッド系樹脂
を主成分とするインクによって被覆した。しかし、得ら
れたカバーコート付フレキシブルプリント回路板は、耐
折回数は500回以下と著しく悪く、さらに、350℃まで加
熱するとカバーコート部分が炭化および黒化し、耐熱性
が劣っていた。
(比較例3) 実施例1と同様な装置及び方法で、パラフェニレンジ
アミンと3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二
無水物からなるポリアミック酸溶液(Aとする)と、4,
4′−ジアミノジフェニルエーテルとピロメリット酸二
無水物からなるポリアミック酸溶液(Bとする)を合成
した。つぎに、AとBをモル比が60/40になるように混
合撹拌した。
実施例1と同様な方法でフレキシブル回路用基板を作
成し、銅箔面をエッチングして回路を形成した。この回
路面に、上記の方法で調製したポリアミック酸溶液をカ
バーコートとして流延塗布した後100℃の乾燥器に入れ3
50℃まで連続的に2時間かけて昇温した。
この様にして製造されたカバーコート付フレキシブル
プリント回路板は、耐折回数は5000回程度であったが、
カバーコートの印刷性が悪く、にじみや糸ひきがみられ
た。
(比較例4) 実施例1と同様な装置及び方法で、パラフェニレンジ
アミンと3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二
無水物からなるポリアミック酸溶液(Aとする)と、4,
4′−ジアミノジフェニルエーテルとピロメリット酸二
無水物からなるポリアミック酸溶液(Bとする)を合成
した。つぎに、AとBをモル比が80/20になるように混
合撹拌した。
実施例1と同様な方法でフレキシブル回路用基板を作
成し、銅箔面をエッチングして回路を形成した。この回
路面に、上記の方法で調製したポリアミック酸溶液をカ
バーコートとして流延塗布した後100℃の乾燥器に入れ3
50℃まで連続的に2時間かけて昇温した。
この様にして製造されたカバーコート付フレキシブル
プリント回路板は、カバーコートの印刷性が悪く、にじ
みや糸ひきがみられ、また、剛直で柔軟性がなく、耐折
性も600回程度と悪かった。
(発明の効果) 本発明の方法により、従来不可能であった、接着層の
ないフレキシブルプリント回路用基板をベースとするカ
バーレイ付フレキシブルプリント回路板を製造すること
が可能になり、こうして得られたフレキシブルプリント
回路板は、接着層がないために耐熱性に優れ、カールが
ないために加工性も良く、また密着性や耐折性、屈曲性
にも優れた基板であった。
本発明で得られるカバーコート付フレキシブルプリン
ト回路板は各種の電気、電子機器用配線基板のみならず
フラットモータ、テープキャリヤー、フロッピーディス
クヘッド、高周波アンテナ、電磁シールド板などにも利
用される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H05K 3/28

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリイミドをベースとするフレキシブルプ
    リント回路用基板の回路面上にベースのポリイミドと同
    じ組成の耐熱性樹脂に、ポリイミド粉末を可とう性付与
    剤として1〜40重量%加えた耐熱性樹脂をカバーコート
    として流延塗布し加熱硬化させることを特徴とするカバ
    ーコート付フレキシブルプリント回路板の製造方法。
  2. 【請求項2】ポリイミドが、3,3′,4,4′−ビフェニル
    テトラカルボン酸二無水物とパラフェニレンジアミンと
    を酸成分/アミン成分(モル比)を0.90〜1.00で反応さ
    せて得られたポリアミック酸溶液(A)と、ピロメリッ
    ト酸二無水物と4,4′−ジアミノジフェニルエーテルを
    酸成分/アミン成分(モル比)を0.90〜1.00で反応させ
    て得られたポリアミック酸溶液(B)とを、モル比がA/
    B=55/45〜75/25の割合で混合撹拌して得られるポリア
    ミック酸混合溶液を加熱硬化させて得られるポリイミド
    である、特許請求項第1項記載のカバーコート付フレキ
    シブルプリント回路板の製造方法。
  3. 【請求項3】可とう性付与剤として加えるポリイミド粉
    末が、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無
    水物とジフェニルメタンジイソシアネートを反応させて
    得られたポリイミド粉末、または、3,3′,4,4′−ベン
    ゾフェノンテトラカルボン酸二無水物とジフェニルメタ
    ンジイソシアネートを反応させて得られたポリイミド粉
    末である、特許請求項第1項記載のカバーコート付フレ
    キシブルプリント回路板の製造方法。
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