JP2852923B1 - 流体塗布装置及び流体塗布方法 - Google Patents

流体塗布装置及び流体塗布方法

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JP2852923B1
JP2852923B1 JP17929198A JP17929198A JP2852923B1 JP 2852923 B1 JP2852923 B1 JP 2852923B1 JP 17929198 A JP17929198 A JP 17929198A JP 17929198 A JP17929198 A JP 17929198A JP 2852923 B1 JP2852923 B1 JP 2852923B1
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Abstract

【要約】 【目的】 スロット型の流体塗布装置(スロット式粘液
噴出塗布装置)において、塗布ヘッドと塗布対象物の干
渉を防止する。 【構成】 2個の測定ヘッド81a,81bによって塗
布対象物11の板厚及び表面の勾配を計測する。塗布ヘ
ッド55を塗布アーム54に揺動自在に取り付け、塗布
アーム54を昇降自在とする。塗布ヘッド55の下降時
に塗布ヘッド55を支持し位置決めするための2個のリ
ニアアクチュエータ61a,61bを塗布ヘッド55の
両側部下方に設置する。測定ヘッド81a,81bの出
力に応じた突出長だけリニアアアクチュエータ61a,
61bのストッパーロッド65a,65bを突出させ、
塗布ヘッド55が塗布対象物11の表面と平行に、かつ
適当な間隔をおいて対向するよう、ストッパーロッド6
5a,65bによって塗布ヘッド55を位置決めする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は流体塗布装置及び流体塗
布方法に関する。具体的にいうと、本発明は、塗布対象
物の表面に均一な膜厚で流体を塗布するための流体塗布
方法と、そのスロット型の流体塗布装置に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶ディスプレイ(LCD)や半導体光
学素子、半導体素子、半導体集積回路、プリント配線基
板等の製造工程においては、フォトレジストや絶縁材
料、はんだレジスト等の各種塗布液を塗布対象物(例え
ば、ガラス基板や半導体ウエハ等)の表面に塗布し、数
ミクロン程度の非常に薄い塗膜を形成する必要がある。
例えば、液晶ディスプレイの製造工程においては、ガラ
ス基板の表面に、乾燥時の厚みが約1〜3ミクロンの均
一なフォトレジストをコーティングする必要がある。
【0003】このような場合、極めて均一な膜厚の塗膜
を形成する必要があり、しかも、高精度に膜厚を制御す
る必要があるため、従来においては、塗布装置としてス
ピンコ−タが一般に用いられている。
【0004】スピンコ−タを用いたスピンコート法は、
塗布対象物を一定の回転数で回転させながら基層の上に
塗布液を滴下し、遠心力によって塗布液を薄く延ばし、
塗布液の粘度や回転数等によって決まる膜厚の塗膜を塗
布対象物の表面に形成する方法である。
【0005】しかしながら、このようなスピンコート法
によれば、塗布対象物の一部にのみ選択的に塗布液を塗
布することができず、塗布対象物の全面に塗布すること
しかできなかった。また、塗布対象物の上に滴下した塗
布液のうち塗布対象物の表面に塗布されるのは数%に過
ぎず、残りの90数%の余剰の塗布液は塗布対象物から
排出される。しかも、この排出された塗布液は空気に触
れるため、回収して再利用することができず、塗布液の
浪費が激しいという問題があった。さらに、排出された
余剰の塗布液の清掃処理を要求されていた。また、スピ
ンコ−ト法によって塗布した場合、塗布対象物の表面ば
かりでなく、塗布対象物の端面(外周面)にも塗布液が
付着するため、乾燥後、塗布対象物の端面に付着した塗
膜が剥離し、剥離した塗膜が塗布対象物の表面に付着
し、後工程においてトラブルを発生させることがあり、
製品の歩留りを低下させる原因となっていた。また、そ
の歩留り低下を避けるためには、塗布対象物の端面や裏
面をクリーニングしなければならず、そのための付加工
程を必要としていた。
【0006】このようなスピンコート法の欠点を解決す
る方法として、本発明の出願人はスロット型の流体塗布
装置(スロット式粘液噴出塗布装置)に着目し、その開
発と改良を進めている。図6に示すものは、本発明の出
願人が開発したスロット型の流体塗布装置の塗布ヘッド
201の構造を示す分解斜視図である。この塗布ヘッド
201は、内壁面に空洞状の流体リザーバ202を凹設
された第1の分割ヘッド203と平らな内壁面の第2の
分割ヘッド204との間にシム205を挟み込むことに
より、シム205の切欠状凹部206によって第1及び
第2の分割ヘッド203,204間にスロット207を
形成し、第1及び第2の分割ヘッド203,204同志
をボルト208によって締結させたものである。そし
て、第1の分割ヘッド203上面の塗布液注入口210
から流体リザーバ202内に塗布液を注入すると、図7
に示すように、塗布液12は流体リザーバ202内の全
幅にわたって均一に拡散し、さらに流体リザーバ202
と連通しているスロット207に流れてスロット207
のギャップにより一定の膜厚に整えられ、スロット20
7下端の開口部から塗布対象物11の表面に塗布され
る。
【0007】このようなスロット型の流体塗布装置によ
れば、過剰な塗布液を供給することなく、塗布ヘッドか
ら塗布対象物上の必要な領域へのみ塗布液を供給するこ
とができ、塗布液の歩留りを向上させて塗布液を節約す
ることができる。また、このため塗布対象物の側面に付
着した塗膜が剥離して塗布対象物の塗布面に付着したり
することも防止できる。さらに、塗布液を外気にさらす
ことなく塗布対象物へ塗布することができるクローズド
方式の流体塗布装置を製作することができる。また、塗
布ヘッドの清掃も簡単にできるといった利点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記のような流体塗布
装置にあっては、塗布動作時には塗布ヘッド201を塗
布対象物11と適当な間隔δ(例えば、50〜70ミク
ロン)をおいて対向させる必要がある。この場合、例え
ば液晶ディスプレイ用のガラス基板11aであれば、ガ
ラス基板11aの種類によって0.8mm〜1.5mm程
度と板厚Tが異なっているので、ガラス基板11aの種
類に応じて塗布ヘッド201を予め適当な高さに調整す
る。しかしながら、ガラス基板11aの板厚Tは、同種
のガラス基板11aであっても、±100ミクロン程度
のばらつきを有している。この板厚のばらつきは、塗布
ヘッド201と塗布対象物11との間隔δよりも大きい
ため、ガラス基板11aの板厚のばらつきが大きい場合
には、塗布ヘッド201がガラス基板11aに干渉し、
ガラス基板11aに傷を付けたり、欠けさせたりする恐
れがあった。
【0009】また、ガラス基板11aは表裏両面で完全
な平行度を得ることは困難であり、表裏両面の平行度が
完全でないために、板厚の厚い側と板厚の薄い側とでは
一般に30ミクロン程度の誤差が存在する。このため、
ガラス基板11aの表面に勾配がある場合には、塗布ヘ
ッド201とガラス基板11aの表面との間の間隔が不
均一となり、塗布された塗布液12の膜厚も不均一とな
っていた。さらには、ガラス基板11aの板厚が大きい
側では、ガラス基板11aと塗布ヘッド201との間隔
が小さくなり、図8に示すように塗布ヘッド201がガ
ラス基板11aと干渉してガラス基板11aに傷付けた
り、塗膜の一部が塗布ヘッド201によって掻き取られ
て塗膜の膜厚が不均一になったりしていた。
【0010】本発明は、叙上の従来例の欠点に鑑みてな
されたものであって、その目的とするところは、スロッ
ト型の流体塗布装置において、塗布ヘッドと塗布対象物
との距離を正確に位置調整できるようにすることにあ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の流体塗布装置
は、流体を注入するための流体注入口と、該流体注入口
から注入された流体を幅方向に拡散させるための空洞部
と、該空洞部内の流体を一定の厚みにして流出させるた
めのスロットとを塗布ヘッドに形成された流体塗布装置
において、塗布対象物の表面高さを検出する検出器を設
け、上記検出器によって検出された塗布対象物の表面高
さに応じて塗布動作時における塗布ヘッドの高さを調整
するようにしたことを特徴としている。
【0012】請求項2に記載の実施態様は、請求項1に
記載した流体塗布装置において、塗布対象物の表面高さ
を検出する検出器を塗布方向と略直交する方向に位置を
ずらせて少なくとも2個以上設け、上記検出器によって
検出された塗布対象物の表面高さに応じて塗布動作時に
おける塗布ヘッドの両側部の高さをそれぞれ調整するよ
うにしたことを特徴としている。
【0013】また、請求項3に記載の実施態様は、請求
項1に記載した流体塗布装置において、塗布対象物の表
面高さを検出する検出器を塗布方向と略直交する方向に
位置をずらせて少なくとも2個以上設け、上記検出器に
よって検出された塗布対象物の表面高さの平均値に応じ
て塗布動作時における塗布ヘッドの高さを調整するよう
にしたことを特徴としている。
【0014】請求項4に記載の流体塗布方法は、流体を
注入するための流体注入口と、該流体注入口から注入さ
れた流体を幅方向に拡散させるための空洞部と、該空洞
部内の流体を一定の厚みにして流出させるためのスロッ
トとを形成された塗布ヘッドにより、塗布対象物に流体
を塗布する方法であって、塗布対象物の表面高さを検出
する検出手段を設け、上記検出手段によって検出された
塗布対象物の表面高さに応じて塗布動作時における塗布
ヘッドの高さを調整するようにしたことを特徴としてい
る。
【0015】
【作用】本発明の流体塗布装置もしくは流体塗布方法に
あっては、塗布対象物の表面高さを検出するための検出
器を設けたので、塗布ヘッドによって塗布対象物の表面
に塗布液を塗布する前に対象物の表面高さを検出し、個
々の塗布対象物の表面高さに合わせて塗布ヘッドの高さ
を調整することができる。従って、塗布対象物の板厚や
板厚のばらつき等に合わせて塗布ヘッドの位置を調整で
き、塗布ヘッドと塗布対象物とが干渉したり、塗布ヘッ
ドと塗布対象物との間の隙間が大きくなり過ぎたりする
のを防止できる。
【0016】また、塗布対象物の表面高さを検出する検
出器を塗布方向と略直交する方向に位置をずらせて少な
くとも2個以上設けているので、これらの検出器によっ
て塗布対象物の複数箇所の表面高さを検出することによ
り、塗布対象物の表面の勾配(板厚の傾き)を求めるこ
とができ、塗布ヘッドと塗布対象物の表面とが平行とな
るように塗布ヘッドの高さ及び傾きを調整することがで
きる。従って、塗布対象物の表面に、流体を均一な膜厚
に塗布することができる。さらに、塗布ヘッドが塗布対
象物の板厚の厚い箇所と干渉したり、塗膜を掻き取った
りすることを防止できる。
【0017】あるいは、2個以上の検出器を設けている
場合には、各検出器で検出した塗布対象物の表面高さの
平均値を求め、この平均値によって塗布ヘッドの高さを
調整することもできる。従って、この場合には、表面が
水平で厚みのばらつきのない塗装品を得ることができ
る。
【0018】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)図1は本発明の一実施形態による流
体塗布装置Aの外観を示す斜視図である。この流体塗布
装置Aは、扉3を有するキャビネット部2と装置本体1
とからなり、キャビネット部2内には塗布液を溜めたタ
ンクやコントローラが収納されており、装置本体1はキ
ャビネット部2の上に設置されている。装置本体1は、
主として、塗布対象物を水平に送る送り機構部21と、
送り機構部21によって送られる塗布対象物の表面に塗
布液をコーティングする塗布機構部51と、塗布対象物
の板厚を塗布直前に計測する測定ヘッド81a,81b
とから構成されている。また、装置本体1の前面には表
示パネルやダイアル、メータ、各種スイッチ等を集中さ
せた操作部4が設けられている。装置本体1の上方は開
閉可能なカバー5によって覆うことができ、塵やほこり
が塗布対象物に付着するのを防止している。
【0019】送り機構部21は、ガラス基板のような塗
布対象物をテーブル24の上面に吸着して一定速度で水
平に搬送するものであって、ベース22の上面には1対
の平行なガイドレール23が設けられ、テーブル24の
下面に設けられた4つのスライダー25がガイドレール
23によってスライド自在に支持されている。このテー
ブル24は、ベース22に取り付けられたサーボモータ
等の駆動源29によってボールねじ機構(図示せず)を
駆動すると、ガイドレール23に沿って一定速度で滑ら
かに走行する。また、このテーブル24は、エアテーブ
ルとなっており、表面の真空吸引孔31から塗布対象物
の下面を吸着して固定し、テーブル24と共に塗布対象
物を定速送りする。また、テーブル24のピン突出し孔
35からは着脱ピン及びアライメントピン(案内ピン)
〔いずれも図示せず〕を突出させることができ、着脱ピ
ンによって塗布対象物をテーブル24から強制的に剥離
することができる。
【0020】塗布機構部51は図1に示すように、塗布
対象物の搬送経路を跨ぐようにして送り機構部21の上
方に設けられている。図2はこの塗布機構部51を側面
から詳細に示す図である。この塗布機構部51において
は、昇降ホルダー52によって上下スライド自在に保持
された1対の昇降ロッド53の上端間に塗布アーム54
が横架されており、塗布アーム54の前面もしくは背面
に塗布ヘッド55が取り付けられている。塗布ヘッド5
5は、塗布アーム54に固定されておらず、上下に揺動
自在に取り付けられており、塗布ヘッド55に負荷が掛
かると塗布ヘッド55は塗布アーム54に対して傾くこ
とができるようになっている。昇降ホルダー52はベー
ス22から側方へ張り出した棚部56に固定されてお
り、昇降ロッド53の真下にはエアシリンダ57が設置
され、エアシリンダ57の出力軸58の上端面が昇降ロ
ッド53の下端面と対向している。60は昇降ロッド5
3を覆うベローズである。従って、エアシリンダ57の
出力軸58を上方へ突出させ、昇降ロッド53の下端面
を押し上げると、塗布アーム54と共に塗布ヘッド55
が上昇する。また、エアシリンダ57の出力軸58を下
方へ後退させると、塗布ヘッド55は自重によって出力
軸58と共に下降する。
【0021】また、塗布ヘッド55の両端部の下方に
は、それぞれ数値制御形のリニアアクチュエータ61
a,61bが設置されている。このリニアアクチュエー
タ61a,61bは、ジョイント62を介してサーボモ
ータ、パルスモータ等のモータ63と接続されており、
モータ63によって底面の入力軸64を回転させると、
上面のストッパーロッド65a,65bが上方へ突出す
る。しかも、このリニアアクチュエータ61a,61b
は内部にねじ機構を有していて、入力軸64の回転数に
比例した距離だけストッパーロッド65a,65bが突
出する。しかして、リニアアクチュエータ61a,61
bのストッパーロッド65a,65bが突出すると、エ
アシリンダ57の出力軸58を後退させて塗布ヘッド5
5を下降させたとき、塗布ヘッド55の両側部下面がス
トッパーロッド65a,65bの上端に当接した瞬間、
昇降ロッド53の下端面がエアシリンダ57の出力軸5
8から離れ、その位置で塗布ヘッド55がリニアアクチ
ュエータ61a,61bにより支持され、位置決めされ
る。
【0022】塗布対象物の板厚を検出するための測定ヘ
ッド81a,81bは、塗布アーム54と平行に配設さ
れた測定アーム82の2箇所に設けられている。測定ヘ
ッド81a,81bとしては、エアーマイクロメータの
ような非接触式で非電気的な測定手段が好ましいが、リ
ニアスケールでもよく、引火性でない塗布液を用いる場
合などには電気的なセンサを用いてもよく、また、塗布
対象物によっては光学式センサや接触式のセンサ等を用
いても差し支えない。
【0023】上記リニアアクチュエータ61a,61b
のストッパーロッド65a,65bの突出距離は、測定
ヘッド81a,81bの出力によって制御される。すな
わち、2個の測定ヘッド81a,81bが塗布対象物の
2箇所の板厚を計測すると、塗布ヘッド55と塗布対象
物とのギャップが最適距離(例えば、数10ミクロン〜
数100ミクロン)となるように、かつ、塗布ヘッド5
5と塗布対象物の表面とが平行となるように塗布ヘッド
55を支持させるよう、演算回路83によって各ストッ
パーロッド65a,65bの突出長が演算され、リニア
アクチュエータ制御回路84によってストッパーロッド
65a,65bが各演算量だけ突出させられる。
【0024】なお、91は塗布ヘッド55の乾燥を防止
するための乾燥防止器である。
【0025】図3に上記塗布ヘッド55の断面図を示
す。この塗布ヘッド55は、2つの分割ヘッド101,
102と1枚のシム103とから構成されており、これ
らの内面側からの正面図を図4に示す。一方の分割ヘッ
ド101の内壁面には、図4に示すように、左右にわた
って空洞状をした流体リザーバ104が設けられてい
る。リザ−バ104は、分割ヘッド101の内壁面から
内方へ向けて水平に凹設されており、分割ヘッド101
の上面から流体リザーバ104の中央部に向けて塗布液
注入口105が穿設されており、また、分割ヘッド10
1の上面から流体リザーバ104の両端部に向けて塗布
液排出口106が穿設されている。他方の分割ヘッド1
02は、内壁面の上端縁から位置決め用の突部107が
突設されており、この突部107を対向する分割ヘッド
101の上面に当設させることにより、塗布ヘッド55
の組立時に両分割ヘッド101,102同志を位置合わ
せできるようにしている。また、この分割ヘッド102
の内壁面は、通孔108を除いて平らに形成されてい
る。また、両分割ヘッド101,102の下面の内壁面
側の縁には左右全幅にわたって断面三角形状のテーパ部
109を突出させてあり、下面全体にポリテトラフルオ
ロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂110をコ−テ
ィングしてある。シム103は、金属製の薄板であっ
て、両側端に脚片111を有していて脚片111間に切
欠状凹部112を形成されている。
【0026】内壁面間にシム103を挟み込むようにし
て両分割ヘッド101,102を組み合わせ、分割ヘッ
ド102及びシム103の通孔108,113に挿通さ
せたボルト114を分割ヘッド101のねじ孔115に
螺合させ、ボルト114を強く締め付けることによって
図3のような塗布ヘッド55が構成されている。こうし
て組み立てられた塗布ヘッド55においては、シム10
3の切欠状凹部112によって分割ヘッド101,10
2の内壁面間に塗布液整形用のスロット116が形成さ
れ、スロット116の下端は塗布ヘッド55下面でノズ
ル口117として開口し、流体リザーバ104の開口は
スロット116の上端部に臨み、スロット116内部と
連通している。
【0027】しかして、塗布液注入口105から流体リ
ザーバ104内に塗布液を供給すると、塗布液は流体リ
ザーバ104内に充満して流体リザーバ104内の全幅
に広がる。さらに、塗布液は供給圧によって流体リザー
バ104からスロット116内へ流れ出し、スロット1
16で均一な膜厚に整えられて下端のノズル口117か
ら均一な膜厚の塗布液として流出し、塗布対象物の表面
に成膜される。ここで、塗布液12の流量と塗布対象物
11の送り速度との間には一定の関係があり、塗布対象
物11の送り速度は塗布液12の流量(吐出速度)より
も大きくなっている。このため、ノズル口117から吐
出された均一な膜厚の塗布液12は塗布対象物11の表
面へ塗布される際に薄く引き延され、スロット116で
付与された膜厚よりもさらに薄い膜厚の塗膜が塗布対象
物11の表面に形成される。
【0028】一方、流体リザーバ104内の塗布液の一
部は、塗布液排出口106から排出され、回収されてお
り、これによって流体リザーバ104内の両端部の液圧
を下げて塗膜の膜厚を幅方向にわたって均一化してい
る。
【0029】図5(a)(b)(c) (d)は上記流体
塗布装置Aによる塗布動作を示す説明図である。まず、
ローディング装置(図示せず)によって塗布対象物11
がテーブル24上に供給されると、塗布対象物11はテ
ーブル24に吸着され、テーブル24の上面に固定され
る。図5(a)に示すように、テーブル24に固定され
た塗布対象物11が送り機構部21によって測定ヘッド
81a,81bの下方へ送られてくると、測定ヘッド8
1a,81bによって塗布対象物11の左右両側部の板
厚がそれぞれ計測される。この板厚の計測点は任意に増
やすことができる。例えば、塗布対象物11の前端部に
おける左右2点の板厚を計測してもよく、塗布対象物1
1の前端部及び後端部における左右の計4点の板厚を計
測してもよく、あるいは、さらに計測点を増加させるこ
とも容易である。板厚が計測されると、塗布ヘッド55
の下降位置が決められ、塗布ヘッド55を当該位置に停
止させるための各ストッパーロッド65a,65bの突
出長が演算され、図5(b)に示すように、各リニアア
クチュエータ61a,61bのストッパーロッド65
a,65bが演算量だけ突出する。例えば、塗布対象物
11の板厚が一方で若干薄く、他方で若干厚い場合に
は、板厚の薄い側に配置されているリニアアクチュエー
タ61aのストッパーロッド65aの突出長は短く、板
厚の厚い側に配置されているリニアアクチュエータ61
bのストッパーロッド65bの突出長は長くなる。
【0030】ついで、エアシリンダ57の出力軸58が
後退して塗布ヘッド55が下降すると、下降した塗布ヘ
ッド55の下面がストッパーロッド65a,65bに当
接する。両ストッパーロッド65a,65bの突出長が
異なっている場合には、塗布ヘッド55は図5(c)に
示すように傾いた状態で支持され、塗布ヘッド55のノ
ズル口117が塗布対象物11の表面と微小距離を隔て
て対向する位置で位置決めされる。このときエアシリン
ダ57の出力軸58は昇降ロッド53から離間する。塗
布対象物11の塗布開始点がノズル口117に達する
と、塗布ヘッド55から塗布液12が供給され、塗布対
象物11の表面にコーティングされる。塗布液12は塗
布対象物11の全面に塗布することもできるが、塗布対
象物11の一部に部分的に塗布することもでき、また、
連続的に塗布できるだけでなく、断続的に塗布すること
もできる。こうして、塗布終了すると、図5(d)に示
すように、再び塗布ヘッド55が上昇すると共にストッ
パーロッド65a,65bが引っ込み、テーブル24上
の塗布対象物11は着脱ピンによってテーブル24から
剥離され、アンローディング装置(図示せず)によって
搬出される。
【0031】なお、測定ヘッドによる塗布対象物の表面
高さの測定は、塗布対象物の端部(塗布開始側の端部)
において行い、その測定結果に応じて塗布ヘッドの高さ
及び勾配の調整をし、そのままの状態で塗布対象物全域
の塗布を行うのが効率的である。しかし、一度塗布対象
物の表面全域を測定ヘッドで走査して走査方向において
複数箇所の測定を行い、塗布対象物の表面高さの二次元
的な分布(あるいは、塗布対象物の表面の勾配の変化)
をメモリに記憶させた後、塗布対象物上の塗布ヘッドの
高さや勾配を走査位置毎に算出した値に基づきリアルタ
イムに塗布ヘッドの高さ及び勾配を制御しながら走査
し、塗布対象物の端部のみならず塗布対象物の表面全域
にわたって塗布ヘッドが塗布対象物の表面に対して常に
同じギャップを保ち、しかも平行な状態を作り出すこと
ができる。
【0032】(他の実施形態)本発明の1つの実施形態
を説明したが、上記実施形態と異なる種々の実施形態も
考えることができる。例えば、上記実施形態では、両測
定ヘッド81a,81bの測定値に合わせて塗布ヘッド
55の左右両側の高さをそれぞれ調整したが、塗布ヘッ
ド55を水平な状態で塗布アーム54に取り付けてお
き、左右両測定ヘッド81a,81bの測定値を読み込
み、その平均値に合わせてストッパーロッド65a,6
5bにより塗布ヘッド55の高さを調整するようにして
もよい。
【0033】また、測定ヘッドの設置位置及び個数も上
記実施形態にように、塗布対象物の両側部に対応する箇
所に限るものでなく、任意の位置及び個数を選択するこ
とが可能である。特に、測定ヘッドを1個だけとし、1
箇所だけで塗布対象物の表面高さを検出するようにして
もよい。
【0034】また、上記のような実施形態においても、
塗布ヘッドを傾かせるための構成は、上記のように塗布
ヘッドを塗布アームに揺動自在に取り付ける方法に限ら
ず、例えば塗布ヘッドを塗布アームに固定し、昇降ロッ
ドを支持している昇降ホルダーを揺動させる方法なども
可能である。
【0035】さらに、上記実施形態では、水平に搬送さ
れている塗布対象物の上面に塗布液を塗布する構造とし
ているが、塗布対象物の下面側や側面側に塗布ヘッドを
配置し、塗布対象物の下面や側面に塗布液を塗布するよ
うにしてもよい。また、塗布対象物の両面にそれぞれ塗
布ヘッドを配置し、塗布対象物の例えば上面及び下面に
同時に塗布液を塗布するようにしても差し支えない。ま
た塗布対象物の種類も特に限定されるものでなく、特に
表面が平滑なものに限らず、銅パターン配線を形成され
たプリント配線基板などの塗布対象物であっても本発明
の流体塗布装置を用いることができる。塗布する流体の
種類も液体に限るものでなく、スラリー、粉体、液体エ
マルジョンなど流動性を有するものであれば差し支えな
い。
【0036】また、上記実施形態においては、塗布ヘッ
ド及び測定ヘッドに対して塗布対象物が移動し、測定ヘ
ッドによって塗布対象物の表面が走査され、塗布対象物
の表面に流体が塗布されるようになっていたが、塗布対
象物を静止させておき、測定ヘッド及び塗布ヘッドが塗
布対象物に対して移動し、塗布対象物の表面高さを計測
すると共に測定対象物の表面に流体を塗布するようにし
てもよい。このためには、測定ヘッド、塗布ヘッド、塗
布ヘッドの高さ調整を行う駆動機構等の全体を一体とし
てガイドレールに沿って移動させるようにすればよい。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、流体を塗布しようとす
る塗布対象物の表面高さに合わせて塗布ヘッドの高さを
調整することができるので、塗布対象物の板厚や板厚の
ばらつき等に合わせて塗布ヘッドの位置を調整でき、塗
布ヘッドと塗布対象物とが干渉したり、塗布ヘッドと塗
布対象物との間に隙間があき過ぎたりするのを防止でき
る。
【0038】さらに、複数個の検出器によって塗布対象
物の複数箇所の表面高さを検出することにより塗布対象
物の表面の勾配を求めることができるので、塗布ヘッド
と塗布対象物の表面とが平行となるように塗布ヘッドの
高さ及び傾きを調整することができ、塗布ヘッドが塗布
対象物の板厚の厚い箇所と干渉したり、塗膜を掻き取っ
たりすることを防止できる。
【0039】従って、本発明の流体塗布装置及び流体塗
布方法によれば、塗布ヘッドと塗布対象物の表面とを平
行に揃え、しかも、両者の間隔を一定値に制御すること
ができ、塗布対象物の表面に均一な膜厚の流体塗膜を形
成することができる。しかも、塗布対象物に傷を付けた
り、塗布対象物を塗布ヘッドでこすってホコリを発生さ
せたりすることもなく、塗布時のトラブルを低減させる
ことができる。
【0040】あるいは、2個以上の検出器を設けている
場合には、各検出器で検出した塗布対象物の表面高さの
平均値を求め、この平均値によって塗布ヘッドの高さを
調整することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による流体塗布装置を示す
外観斜視図である。
【図2】同上の流体塗布装置における塗布機構部及び測
定ヘッドを示す側面図である。
【図3】同上の塗布機構部における塗布ヘッドの断面図
である。
【図4】同上の塗布ヘッドの各構成部品を示す正面図で
ある。
【図5】(a)(b)(c)(d)は同上の流体塗布装
置の動作説明図である。
【図6】従来の流体塗布装置における塗布ヘッドを示す
分解斜視図である。
【図7】従来の流体塗布装置による塗布動作を示す概略
断面図である。
【図8】従来の流体塗布装置の問題点を説明するための
概略図である。
【符号の説明】
55 塗布ヘッド 61a,61b リニアアクチュエータ 65a,65b ストッパーロッド 81a,81b 測定ヘッド(検出器) 105 塗布液注入口(流体注入口) 104 流体リザーバ(空洞部) 116 スロット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B05C 5/02 B05D 1/26 G03F 7/16 H01L 21/30

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流体を注入するための流体注入口と、該
    流体注入口から注入された流体を幅方向に拡散させるた
    めの空洞部と、該空洞部内の流体を一定の厚みにして流
    出させるためのスロットとを塗布ヘッドに形成された流
    体塗布装置において、 塗布対象物の表面高さを検出する検出器を設け、上記検
    出器によって検出された塗布対象物の表面高さに応じて
    塗布動作時における塗布ヘッドの高さを調整するように
    した流体塗布装置。
  2. 【請求項2】 塗布対象物の表面高さを検出する検出器
    を塗布方向と略直交する方向に位置をずらせて少なくと
    も2個以上設け、上記検出器によって検出された塗布対
    象物の表面高さに応じて塗布動作時における塗布ヘッド
    の両側部の高さをそれぞれ調整するようにした、請求項
    1に記載の流体塗布装置。
  3. 【請求項3】 塗布対象物の表面高さを検出する検出器
    を塗布方向と略直交する方向に位置をずらせて少なくと
    も2個以上設け、上記検出器によって検出された塗布対
    象物の表面高さの平均値に応じて塗布動作時における塗
    布ヘッドの高さを調整するようにした、請求項1に記載
    の流体塗布装置。
  4. 【請求項4】 流体を注入するための流体注入口と、該
    流体注入口から注入された流体を幅方向に拡散させるた
    めの空洞部と、該空洞部内の流体を一定の厚みにして流
    出させるためのスロットとを形成された塗布ヘッドによ
    り、塗布対象物に流体を塗布する方法であって、 塗布対象物の表面高さを検出する検出手段を設け、上記
    検出手段によって検出された塗布対象物の表面高さに応
    じて塗布動作時における塗布ヘッドの高さを調整するよ
    うにした流体塗布方法。
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