JP2683625B2 - ハロゲン化銀写真感光材料 - Google Patents

ハロゲン化銀写真感光材料

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、感度及び粒状性に優れ、なおかつ階調のコ
ントロールが容易で、処理安定性においても優れたハロ
ゲン化銀乳剤を用いたハロゲン化銀写真感光材料に関す
るものである。
〔発明の背景〕
近年のハロゲン化銀写真感光材料の進歩には目を見張
るものがあり、高感度化、高画質化の流れはとどまると
ころを知らない。その一方で、消費者の写真感光材料に
対するニーズも多様化の傾向にあり、これに対処する意
味で、階調コントロールが容易なハロゲン化銀乳剤の重
要性がクローズアップされてきた。また、最近では現像
処理条件、例えば現像液の温度、現像時間等の変動に対
して安定な写真性能を与えることも、ますます強く望ま
れてきている。
高感度にして高画質である写真感光材料を得る方法と
しては、例えば特開昭58−113934号公報に開示されてい
るような平均アスペクト比が8以上の平板状ハロゲン化
銀乳剤を用いる方法、あるいは、特開昭60−143331号公
報に開示されているような粒子内部に高い沃化銀含有率
をもたせたコア/シェル型乳剤を用いる方法等が知られ
ている。
しかし、これらの乳剤は、主に処理特性において欠点
を有するものであった。すなわち、高アスペクト比を有
する平板状粒子は、その形状的性質から、粒子トータル
の平均沃化銀含有率にかかわらず現像活性度が高すぎ、
所望の階調を得ることが非常に困難であり、また、粒状
性においても難があった。一方、特開昭60−143331号公
報に開示されているようなコア/シェル型乳剤は、確か
に粒状性において優れているが、該明細書中の発明の効
果として記載されている「高い現像活性」は得られず、
むしろ、高い平均沃化銀含有率が原因と思われる現像活
性の低下を招き、やはり階調のコントロールは困難であ
った。平均沃化銀含有率を下げて現像活性を高めようと
すると、今度は感度が低下した。
以上のように従来技術においては、高感度でかつ優れ
た粒状性を維持したまま、適度な現像活性を与え、一定
の現像処理時間内での階調のコントロールを容易ならし
める乳剤を得ることは不可能であった。
〔発明の目的〕
従って、本発明の目的の第1は、感度及び粒状性にす
ぐれ、かつ、適度な現像活性を有するハロゲン化銀乳剤
を用いたハロゲン化銀写真感光材料を提供することであ
り、第2は、処理安定性のすぐれたハロゲン化銀写真感
光材料を提供することである。
〔発明の構成〕
本発明の目的は、以下の写真感光材料によって初めて
達成された。とりわけ第2の目的が達成されたことは予
期し得ぬことであった。即ち本発明の上記目的は、支持
体上に少なくとも1層の感光性ハロゲン化銀乳剤層と少
なくとも1層の親水性コロイド層とを有するハロゲン化
銀写真感光材料において、該乳剤層の少なくとも1層
が、平均アスペクト比が5:1以上であり、かつ平均厚さ
が0.01μm〜0.08μmである平板状ハロゲン化銀粒子
と、正常晶であり、かつ、コア/シェル型のハロゲン化
銀粒子を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感
光材料によって、達成された。
以下本発明について詳細に述べる。
本発明の感光材料のハロゲン化銀乳剤の少なくとも1
層は、平均アスペクト比が5:1以上の平板状ハロゲン化
銀粒子を含有する。
本発明で用いることができる平板状ハロゲン化銀粒子
含有の乳剤の平均粒径は、好ましくは0.2μm以上であ
り、より好ましくは0.5μm以上である。
本発明で用いる平板状ハロゲン化銀粒子は、粒子直径
/厚さ(アスペクト比)の平均値(平均アスペクト比)
が5以上であり、好ましくは6以上60以下、より好まし
くは7以上50以下、特に好ましくは8以上20以下であ
る。
本発明で用いる平板状ハロゲン化銀粒子の平均厚さ
は、0.01乃至0.08μmである。
本発明においてハロゲン化銀粒子の直径は、ハロゲン
化銀粒子の電子顕微鏡写真の観察から、粒子の投影面積
に等しい面積を有する円の直径として定義される。
本発明において、ハロゲン化銀粒子の厚さは、平板状
ハロゲン化銀粒子を構成する2つの平行な面の距離のう
ち最小のものと定義される。
平板状ハロゲン化銀粒子の厚さは、ハロゲン化銀粒子
の影の付いた電子顕微鏡写真またはハロゲン化銀乳剤を
支持体上に塗布し、乾燥したサンプル断層の電子顕微鏡
写真から求めることができる。平均アスペクト比を求め
るためには、最低100サンプルの測定を行う。
本発明において、平板状ハロゲン化銀粒子は、該粒子
を含有する平板状ハロゲン化乳剤の形で用いることがで
きるが、該乳剤において、アスペクト比が5以上である
ハロゲン化銀粒子が平板状ハロゲン化銀粒子に占める個
数は50%以上であることが好ましく、より好ましくは60
%以上、特に好ましくは70%以上である。
平板状ハロゲン化銀乳剤は単分散性であるものが好ま
しく用いられ、ここに単分散のハロゲン化銀乳剤とは、
平均粒径を中心に±20%の粒径範囲に含まれるハロゲ
ン化銀粒子が50重量%以上のものをいう。
本発明で用いる平板状ハロゲン化銀乳剤は、沃臭化銀
もしくは臭化銀乳剤が好ましいが、本発明の効果を損な
わない範囲で他のハロゲン化銀成分例えば塩化銀を含有
しても構わない。また本発明で用いる平板状ハロゲン化
銀粒子は、ハロゲン組成が粒子内で均一であっても、沃
化銀が局在したものでもよいが、中心部に局在したもの
が好ましく用いられる。
本発明で用いる平板状ハロゲン化銀乳剤は、沃化銀含
有率が20モル%以下であることが好ましく、より好まし
くは10モル%以下であり、特に好ましくは4モル%以下
である。
平板状ハロゲン化銀乳剤の製造方法は、特開昭58−11
3926号、同58−113927号、同58−113934号、同62−1855
号、ヨーロッパ特許219,849号、同219,850号公報等を参
考にすることもできる。
また単分散性の平板状ハロゲン化銀乳剤の製造方法と
して、特開昭61−6643号公報を参考にすることができ
る。
尚、アスペクト比をもつ平板状の沃臭化銀乳剤の製造
方法としては、pBrが2以上に保たれたゼラチン液に硝
酸銀水溶液または硝酸銀水溶液とハロゲン溶液を同時に
添加して種晶を発生させ、次にダブルジェット法により
成長させることによって得ることができる。
平板状ハロゲン化銀粒子の大きさは、粒子形成時の温
度、銀塩及びハロゲン化銀溶液の添加スピードによって
コントロールできる。
平板状ハロゲン化銀の平均沃化銀含有率は、添加する
ハロゲン化物溶液の組成すなわち臭化物と沃化物の比を
変えることによりコントロールすることができる。
また平板状ハロゲン化銀粒子の製造時に、必要に応じ
てアンモニア、チオエーテル、チオ尿素等のハロゲン化
銀溶液を用いることができる。
本発明の感光材料において、平均アスペクト比が5:1
以上の平板状ハロゲン化銀粒子と同一乳剤層に含まれる
もう一種の粒子は、正常晶であり、かつ、コア/シェル
型のハロゲン化銀粒子である。
前記正常晶粒子としては、立方体、8面体、14面体、
あるいは球状の粒子が好ましく用いられる。このうち球
状を除く正常晶粒子において(1.0.0)面と(1.1.1)面
の面比率は、任意のものが使用できる。
ハロゲン化銀乳剤中の粒子の面比率は、以下に述べる
X線回折法により測定することができる。
ターゲットとしてCuを用い、CuのKa線を線源として、
管電圧30KV,管電流10mAで、ハロゲン化銀の(1.0.0)
面,(1.1.0)面、さらに(1.1.1)面の回折パターンを
測定した場合、回折角度(2θ)が29〜33度の範囲に
(1.0.0)面に対する回折ピーク(A)が現われ、回折
角度(2θ)が43〜47度の範囲に、(1.1.0)面に対応
する回折ピーク(B)が現われる。
さらに、回折角度(2θ)が53〜57度の範囲に(1.1.
1)面に対応する回折ピーク(C)が現われる。それぞ
れの回折ピーク強度をもとにして、任意の面比率は、以
下の計算式によって求めることができる。
(例)(1.0.0)面比率(%)の計算 1 :臭化銀の(1.0.0)面の出現確率 0.55:臭化銀の(1.0.0)面の出現確率 0.16:臭化銀の(1.0.0)面の出現確率 (1.1.0)面比率、さらに(1.1.1)面比率について
も、同様にして求めることができる。
前記正常晶乳剤において、(1.1.1)面比率で、20%
以上のものが好ましく、さらに好ましくは70%以上のも
のが用いられる。
また、球状であるハロゲン化銀粒子は特開昭57−1827
30号、同59−179344号、同59−178447号公報等に開示さ
れているように、ハロゲン化銀粒子の形成が終了したの
ちハロゲン化銀溶剤の存在下熟成することによって得る
ことができる。
本発明において球状であるとは、ハロゲン化銀粒子の
外形を形作る多角形のうち最大の面積を有する面に着目
したとき、該多角形の最長の辺を仮定したときの長さl
に対し1/6l〜1/2lに相当する曲率半径の丸みを球型化前
の多角形の陵部分に有していることと定義される。
粒子の丸みは電子顕微鏡によるハロゲン化銀粒子の観
察から求めることができる。
コア/シェル型粒子は、該粒子を含有するコア/シェ
ル型ハロゲン化銀乳剤の形で用いることができるが、該
乳剤は、沃化銀含有率の異なる2層以上の層から構成さ
れている粒子構造のハロゲン化銀粒子から成るものであ
り、沃化銀の含有率が最高である層(コアと称する)が
最表面層(シェルと称する)以外である沃臭化銀が好ま
しい。
最高の沃化銀含有率を有する内部層(コア)の沃化銀
含有率は6モル%以上のものが好ましく、より好ましく
は8モル%以上、特に好ましくは10モル%以上である。
最表面層の沃化銀含有率は6モル%未満が好ましく、よ
り好ましくは0〜4.0モル%である。
コア/シェル型ハロゲン化銀粒子のシェル部が占める
体積は10〜80%が好ましく、より好ましくは15〜70%、
である。
またコア部の占める体積は粒子全体の10〜80%とする
のが好ましく、20〜50%が更に好ましい。
本発明において、コア/シェル型粒子が沃臭化銀であ
る場合、ハロゲン化銀粒子の沃化銀含有率の高いコア部
と含有率の低いシェル部との含有率差は、シャープな境
界を有するものでもよく、また境界の必ずしも明白でな
い連続して変化するものであってもよいが、シャープな
境界を有するものがより好ましい。またコア部とシェル
部の中間の沃化銀含有率を有する中間層をコアとシェル
の間にもつものも好ましく用いられる。
前記中間層を有するコア/シェル型ハロゲン化銀粒子
からなる場合、中間層の体積は粒子全体の5〜60%、更
には20〜55%がよい。
シェルと中間層、中間層とコアの沃化銀含有率差はそ
れぞれ3モル%以上あることが好ましく、シェルとコア
の沃化銀含有率差は6モル%以上あることが好ましい。
本発明において用いることができるコア/シェル型ハ
ロゲン化銀乳剤の平均沃化銀含有率は4〜20モル%が好
ましく、より好ましくは5〜15モル%である。また本発
明の効果をそこなわない範囲で塩化銀を含有してもよ
い。
本発明で用いるコア/シェル型乳剤は、特開昭59−17
7535、同60−138538号、同59−52238号、同60−143331
号、同60−35726号及び同60−258536号公報等に開示さ
れた公知の方法によって製造することができる。特開昭
60−138538号公報実施例記載の方法のように、コア/シ
ェル型ハロゲン化銀乳剤を種粒子から出発して成長させ
ることが好ましく、この場合、粒子中心部にはコアとは
異なるハロゲン組成領域をもつことがありうる。このよ
うな場合種粒子のハロゲン組成は臭化銀、沃臭化銀、塩
沃臭化銀、塩臭化銀、塩化銀等の任意の組成のものを持
ちうるが、沃化銀含有率が10モル%以下の沃臭化銀また
は臭化銀が好ましい。
また種粒子の全ハロゲン化銀に占める体積は50%以下
が好ましく、10%以下が特に好ましい。
また、上記コア/シェル型粒子形成時にコアあるいは
中間層の形成直前、直後等の位置において、主として沃
化物を用いたハロゲン置換を行う方法も好ましく用いら
れる。
上記コア/シェル型ハロゲン化銀粒子における沃化銀
の分布状態は、各種の物理的測定法によって検知するこ
とができ、例えば日本写真学会・昭和56年度次大会講演
要旨集に記載されているような、低温でのルミネッセン
スの測定やX線回折法によって調べることができる。
前記コア/シェル型ハロゲン化銀粒子の成長時にアン
モニア、チオエーテル、チオ尿素等の公知のハロゲン化
銀溶剤を存在させることができる。
前記コア/シェル型ハロゲン化銀粒子は、粒子を形成
する過程及び/または成長させる過程で、カドミウム
塩、亜鉛塩、鉛塩、タリウム塩、イリジウム塩(錯塩を
含む)、ロジウム塩(錯塩を含む)及び鉄塩(錯塩を含
む)から選ばれる少なくとも1種を用いて金属イオンを
添加し、粒子内部に及び/または粒子表面にこれらの金
属元素を含有させることができ、また適当な還元的雰囲
気におくことにより、粒子内部及び/または粒子表面に
還元増感核を付与できる。
前記コア/シェル型ハロゲン化銀乳剤は、ハロゲン化
銀粒子の成長の終了後に不要な可溶性塩類を除去しても
よいし、あるいは含有させたままでもよい。該塩類を除
去する場合には、リサーチ・ディスクロジャー(Reseac
h Disclosure以下RDと略す)17643号II項に記載の方法
に基づいて行うことができる。
前記コア/シェル型ハロゲン化銀粒子は、潜像が主と
して表面に形成されるような粒子であってもよく、また
主として粒子内部に形成されるような粒子でもよい。
前記コア/シェル型ハロゲン化銀粒子のサイズとして
は0.05〜30μm、好ましくは0.1〜20μmのものを用い
うる。
前記コア/シェル型ハロゲン化銀乳剤は、いかなる粒
子サイズ分布をもつものを用いても構わない。粒子サイ
ズ分布の広い乳剤(多分散乳剤と称する)を用いてもよ
し、粒子サイズ分布の狭い乳剤を単独または数種類混合
してもよい。また、多分散乳剤と単分散乳剤とを混合し
て用いてもよい。
本発明のコア/シェル型ハロゲン化銀乳剤は単分散で
あることが好ましい。
ここに単分散のハロゲン化銀乳剤とは、平均粒径を
中心に±20%の粒径範囲内に含まれるハロゲン化銀重量
が、全ハロゲン化銀粒子重量の60%以上であるものを言
い、好ましくは70%以上、更に好ましくは80%以上のも
のである。
前述の平板状粒子及びコア/シェル型粒子において、
平均粒径は、粒径riを有する粒子の頻度niとri3との
積ni×ri3が最大となるときの粒径riと定義する。(有
効数字3桁、最小数字は4捨5入する。) ここで言う粒径とは、球状のハロゲン化銀粒子の場合
は、その直径、また球状以外の形状の粒子の場合は、そ
の投影像を同面積の円像に換算した時の直径である。
粒径は例えば該粒子を電子顕微鏡で1万倍から5万倍
に拡大して投影し、そのプリント上の粒子直径は投影時
の面積を実測することによって得ることができる。(測
定粒子個数は無差別に1000個以上ある事とする。) 本発明に用いることができる特に好ましい高度の単分
散乳剤は によって分布の広さを定義したとき20%以下のものであ
り、更に好ましくは15%以下のものである。
ここに平均粒径及び標準偏差は前記定義のriから求め
るものとする。
単分散乳剤を得る方法としては、種粒子を含むゼラチ
ン溶液中に、水溶性銀塩溶液と水溶性ハライド溶液を、
pAg及びpHの制御下ダブルジェット法によって加えるこ
とによって得ることができる。
添加速度の決定に当たっては、特開昭54−48521号、
同58−49938号公報を参考にできる。
さらに高度な単分散乳剤を得る方法として、特開昭60
−122935号公報に開示されたテトラザインデン存在下の
成長方法が適用できる。
本発明の感光材料において、乳剤層の少なくとも1つ
に含有させる平均アスペクト比5:1以上の平板状ハロゲ
ン化銀粒子、及び正常晶であり、かつ、コア/シェル型
ハロゲン化銀粒子の混合比としては、銀重量比で75:25
〜25:75が好ましく、特に65:35〜35:65が好ましい。
また、上記粒子群を含有するハロゲン化銀乳剤層は、
本発明の効果をそこなわない範囲で、他のハロゲン化銀
粒子を含有していてもよい。
本発明の感光材料に用いるハロゲン化銀乳剤として
は、上記平板状ハロゲン化銀粒子とコア/シェル型ハロ
ゲン化銀粒子含有の乳剤層に用いるもの以外について
は、通常のハロゲン化銀乳剤の任意のものを用いること
ができる。
本発明においては、ハロゲン化銀粒子の少なくとも一
部に、減感剤を含有したものを用いることができる。
広い露光ラチチュードを得るために、平均粒径の異な
るハロゲン化銀粒子を混合使用することもできるが、粒
径の小さい低感度ハロゲン化銀粒子のかわりに、減感剤
を含有するハロゲン化銀粒子を用いれば、ハロゲン化銀
粒子の感度を変えることなく、平均粒径差を小さくする
ことができ、更に平均粒径が等しく、かつ感度の異なる
ハロゲン化銀粒子の混合使用も可能となる。
即ち、減感剤を含有するハロゲン化銀粒子を用いるこ
とにより、粒子全体の変動係数を小さくしても、広い露
光ラチチュードを得ることができる。
同一環境に曝されるこれら変動係数の小さいハロゲン
化銀粒子は、経時変化及び現像処理の変動に対する写真
性能が安定化されるので、好ましい。
更に生産技術の面から見ると、感度の異なるハロゲン
化銀粒子の混合系を同バッチで化学増感することも可能
となる。
減感剤としては、金属イオンの他、かぶり防止剤、安
定剤、減感色素等、種々のものが使用できる。
その中でも、金属イオンドーピング技術が好ましい。
ドーピングに用いる金属イオンとしては、Cu,Cd,Zn,P
b,Fe,Tl,Rh,Bi,Ir,Au,Os,Pd等の金属イオンが挙げら
れ、これらの金属イオンは例えばハロゲノ錯塩等として
用いることができ、また、2種以上併用して用いること
もできる。またドーピング中のハロゲン化銀懸濁系のpH
は、5以下であることが好ましい。
また、これら金属イオンのドーピング量は金属イオン
の種類、ハロゲン化銀粒子の粒径、金属イオンのドーピ
ング位置、目的とする感度等により種々異なるが、ハロ
ゲン化銀1モルに対して10-17〜10-2モルが好ましく、
特に10-15〜10-4モルが好ましい。
また、金属イオンがRhイオンの場合はハロゲン化銀1
モルに対して10-14〜10-2モルが好ましく、特に、10-11
〜10-4モルが好ましい。
更に金属イオンの種類、ドーピング位置及びドーピン
グ量を選ぶことにより、ハロゲン化銀粒子に対して、種
々の異なる感度資質を与えることができる。
ドーピング量が10-2モル/AgXモル以下では粒子の生長
に大きな影響を与えることが少ないので、同一の粒子生
長条件ひいては同バッチでの生長としても、粒径分布の
小さいハロゲン化銀粒子でを調製することができる。
ドーピング条件を異にしたハロゲン化銀粒子を実用に
供する条件に整えた後、これらを所定量比で混合し同一
バッチに調え化学増感をかけることも可能である。各ハ
ロゲン化銀粒子はその資質に基づいて増感効果を受容
し、感度差、混在比によって広いラチチュードを有する
乳剤が得られる。
該乳剤は、常法により化学増感することができ、増感
色素を用いて、所望の波長域に光学的に増感できる。
ハロゲン化銀乳剤には、カブリ防止剤、安定剤等を加
えることができる。該乳剤のバインダーとしては、ゼラ
チンを用いるのが有利である。
乳剤層、その他の親水性コロイド層は、硬膜すること
ができ、また、可塑剤、水不溶性又は難溶性合成ポリマ
ーの分散物(ラテックス)を含有させることができる。
本発明をカラー写真用感光材料(カラーネガフィル
ム、カラーリバーサルフィルム等)に用いる場合、その
乳剤層には、カプラーを用いることができる。
更に色補正の効果を有しているカラードカプラー、競
合カプラー及び現像主薬の酸化体とのカップリングによ
って現像促進剤、現像剤、ハロゲン化銀溶剤、調色剤、
硬膜剤、カブリ剤、カブリ防止剤、化学増感剤、分光増
感剤、及び増感剤のような写真的に有用なフラグメント
を放出する化合物を用いることができる。
感光材料には、フィルター層、ハレーション防止層、
イラジエーション防止層等の補助層を設けることができ
る。これらの層中及び/又は乳剤層中には現像処理中に
感光材料から流出するかもしや漂白される染料が含有さ
せられてもよい。
感光材料には、ホルマリンスカベンジャー、螢光増白
剤、マット剤、滑剤、画像安定剤、界面活性剤、色カブ
リ防止剤、現像促進剤、現像遅延剤や漂白促進剤を添加
できる。
支持体としては、ポリエチレン等をラミネートした
紙、ポリエチレンテレフタレートフィルム、バライタ
紙、三酢酸セルロース等任意のものを用いることができ
る。
本発明の感光材料を用いて色素画像を得るには露光
後、通常知られているカラー写真処理を行うことができ
る。
〔実施例〕
次に、本発明を実施例によって更に具体的に説明する
が、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例−1 高アスペクト比平板状粒子乳剤(Em−1,Em−2)の調製 高アスペクト比を有する平板状粒子乳剤として、特開
昭62−18555号公報及びヨーロッパ特許219,849号公報を
参考に、平均沃化銀含有率の異なる平板状沃臭化銀乳剤
Em−1及びEm−2を調製した。
実施例−2 正常晶乳剤(Em−3,Em−4,Em−5)の調製 比較乳剤として、ヨード分布が均一な全沃化銀含有率
が8モル%、平均粒径0.65μmの単分散(分布の広さ14
%)8面体沃臭化銀乳剤Em−3を調製した。また、特開
昭60−143331号公報に開示されている方法に準じて、42
モル%の沃化銀を含むコアを調製し、次いで臭化銀から
成るシェルを成長させ、全体で14モル%の沃化銀を含む
平均粒径0.65μmの単分散(分布の広さ13%)8面体沃
臭化銀乳剤Em−4を調製した。同様に、特開昭60−1433
31号公報に開示されている方法に準じて、30モル%の沃
化銀を含むコアを調製し、次いで臭化銀から成るシェル
を成長させ、全体で4モル%の沃化銀を含む平均粒径0.
65μmの単分散(分布の広さ14%)8面体沃臭化銀乳剤
Em−5を調製した。
実施例−3 実施例−1,2に示された乳剤Em−1〜Em−5を、チオ
硫酸ナトリウム、塩化金酸及びチオシアン酸アンモニウ
ムの存在下で化学熟成し、分割して後述の増感色素S−
1〜S−3及びS−6〜S−8を加え、安定剤として4
−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデ
ンを加えた。これらの乳剤を用いトリアセチルセルロー
スフィルム支持体上に下記に示すような組成の各層を順
次支持体側から形成して、多層カラー写真要素試料−1
を作成した。ハロゲン化銀写真感光材料中の添加量は特
に記載のない限り1m2当たりの重量(g)を示す。また
ハロゲン化銀とコロイド銀は銀に換算して示した。
試料No.1の層構成 第1層;ハレーション防止層(HC−1) 黒色コロイド銀 0.20 UV吸収剤(UV−1) 0.20 高沸点溶媒(Oil−1 0.20 ゼラチン 1.5 第2層;中間層(IL−1) UV吸収剤(UV−1) 0.01 高沸点溶媒(Oil−1) 0.01 ゼラチン 1.5 第3層;低感度赤感性乳剤層(RL) 沃臭化銀乳剤(下記乳剤A) 0.9 沃臭化銀乳剤(下記乳剤B) 0.6 増感色素(S−1) 2.5×10-4(モル/銀1モル) 増感色素(S−2) 2.5×10-4(モル/銀1モル) 増感色素(S−3)) 0.5×10-4(モル/銀1モル) シアンカプラー(C−1) 1.0 シアンカプラー(C−2) 0.05 カラードシアンカプラー(CC−1) 0.05 DIR化合物(D−1) 0.002 高沸点溶媒(Oil−1) 0.5 ゼラチン 1.5 第4層;高感度赤感性乳剤層(RH) 沃臭化銀乳剤(Em−1) 2.0 増感色素(S−1) 2.0×10-4(モル/銀1モル) 増感色素(S−2) 2.0×10-4(モル/銀1モル) 増感色素(S−3) 0.1×10-4(モル/銀1モル) シアンカプラー(C−2) 0.015 シアンカプラー(C−3) 0.25 カラードシアンカプラー(CC−1) 0.015 DIR化合物(D−2) 0.05 高沸点溶媒(Oil−1) 0.3 ゼラチン 1.5 第5層:中間層(IL−2) ゼラチン 0.5 第6層:低感度緑感性乳剤層(GL) 沃臭化銀乳剤(下記乳剤A) 1.0 増感色素(S−4) 5×104(モル/銀1モル) 増感色素(S−5) 1×104(モル/銀1モル) マゼンタカプラー(M−1) 0.5 カラードマゼンタカプラー(CM−1) 0.01 DIR化合物(D−3) 0.02 DSR化合物(D−4) 0.020 高沸点溶媒(Oil−2) 0.4 ゼラチン 1.0 第7層:中間層(IL−3) ゼラチン 0.8 第8層:高感度緑感性乳剤層(GL) 沃臭化銀乳剤(Em−1) 1.3 増感色素(S−6) 1.5×10-4(モル/銀1モル) 増感色素(S−7) 2.5×10-4(モル/銀1モル) 増感色素(S−8) 0.5×10-4(モル/銀1モル) マゼンタカプラー(M−2) 0.05 マゼンタカプラー(M−3) 0.15 カラードマゼンタカプラー(CM−2) 0.05 DIR化合物(D−3) 0.01 高沸点溶媒(Oil−3) 0.5 ゼラチン 1.0 第9層;イエローフィルター層(YC) 黄色コロイド銀 0.1 色汚染防止剤(SC−1) 0.1 高沸点溶媒(Oil−3) 0.1 ゼラチン 0.8 第10層;低感度青感性乳剤層(BL) 沃臭化銀乳剤(下記乳剤A) 0.25 沃臭化銀乳剤(下記乳剤B) 0.25 増感色素(S−10) 7×10-4(モル/銀1モル) イエローカプラー(Y−1) 0.5 イエローカプラー(Y−2) 0.1 DIR化合物(D−2) 0.01 高沸点溶媒(Oil−3) 0.3 ゼラチン 1.0 第11層;高感度青感性乳剤層(BH) 沃臭化銀乳剤(下記乳剤C) 0.4 沃臭化銀乳剤(下記乳剤A) 0.3 増感色素(S−9) 1×10-4(モル/銀1モル) 増感色素(S−10) 3×10-4(モル/銀1モル) イエローカプラー(Y−1) 0.30 イエローカプラー(Y−2) 0.05 高沸点溶媒(Oil−3) 0.1 ゼラチン 1.1 第12層;第1保護層(PRO−1) 微粒子沃臭化銀乳剤(平均粒径0.08μmAgI2モル%)0.4
UV吸収剤(UV−1) 0.10 UV吸収剤(UV−2) 0.05 高沸点溶媒(Oil−1) 0.1 高沸点溶媒(Oil−4) 0.1 ホルマリンスカベンジャー(HS−1) 0.5 ホルマリンスカベンジャー(HS−2) 0.2 ゼラチン 1.0 第13層;第2保護層(PRO−2) 界面活性剤(SU−1) 0.005 アルカリで可溶性のマット剤(平均粒径3μm) 0.10 ゼラチン 0.6 乳剤A:平均粒径0.38μm,平均沃化銀8.0モル%,単分散
性の表面低沃化銀含有型乳剤 乳剤B:平均粒径0.27μm,平均沃化銀含有率2.0モル%,
単分散性で均一組成の乳剤 Em−1:実施例−1で調製した乳剤Em−1 乳剤C:平均粒径0.80μm、平均沃化銀含有率9.0モル
%,単分散性の表面低沃化銀含有型乳剤 尚各層には上記組成の他に、塗布助剤Su−2、安定剤
Stb−1、カブリ防止剤AF−1を添加した。
H−2 〔(CH2=CHSO2CH23CCH2SO2(CH22N(CH22SO3K 次に試料−1における第4層及び第8層のハロゲン化
銀乳剤Em−1にかえて、表−2に示すような乳剤構成
で、試料−2〜試料−9を作成した。
このようにして作製した各試料No.1〜9を白色光を用
いてウエッジ露光したのち、下記現像処理を行った。
この際、発色現像の時間を30秒短縮した処理及び30秒
延長した処理も行った。
処理工程(38℃) 発色現像 基準 3分15秒 漂 白 6分30秒 水 洗 3分15秒 定 着 6分30秒 水 洗 3分15秒 安定化 1分30秒 乾 燥 各処理工程おいて使用した処理液組成は下記の通りで
ある。
<発色現像液> 4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−ヒド
ロキシエチル)アニリン・硫酸塩 4.75g 無水亜硫酸ナトリウム 4.25g ヒドロキシアミン・1/2硫酸塩 2.0 g 無水炭酸カリウム 37.5 g 臭化ナトリウム 1.3 g ニトリロ三酢酸・3ナトリウム塩(1水塩) 2.5 g 水酸化カリウム 1.0 g 水を加えて1とする。
<漂白液> エチレンジアミン四酢酸鉄アンモニウム塩 100.0g エチレンジアミン四酢酸2アンモニウム塩 10.0g 臭化アンモニウム 150.0g 氷酢酸 10 ml 水を加えて1とし、アンモニウム水を用いてpH=6.
0に調整する。
<定着液> チオ硫酸アンモニウム 175.0g 無水亜硫酸ナトリウム 8.5g メタ亜硫酸ナトリウム 2.3g 水を加えて1とし、酢酸を用いてpH=6.0に調整す
る。
<安定液> ホルマリン(37%水溶液) 1.5ml コニダックス(コニカ株式会社製) 7.5ml 水を加えて1とする。
得られた各試料について緑色光、及び赤色光を用いて
カブリ、相対感度、ガンマ及び粒状度を測定した。その
ときの緑感性層の結果を表−3に示す。
なお、相対感度は、カブリ濃度+0.3を与える露光量
の逆数の相対値であり、試料No.1の基準現像時間(3分
15秒)のときの感度を100とする値で示した。
また粒状度(RMS値)は、最小濃度+0.3の濃度を開口
走査面積250μm2のマイクロデンシトメータで走査した
ときに生じる濃度値の変動の標準偏差の相対値で示し
た。RMS値は小さい程粒状度が良く、効果があることを
示す。
表−3の結果から明らかなように、比較試料No.1〜4
は処理時間の変動に対して写真性能の変動が大きく、ま
た比較試料No.5は処理時間依存性は比較的小さいものの
感度、粒状性において劣化している。これに対し、本発
明であるNo.6〜9は、感度、粒状性ともすぐれ、かつ処
理安定性が向上していることがわかる。同様な傾向は赤
感性層においても確かめられた。
また、試料6における乳剤Em−1と乳剤Em−4の混合
比率を40:60にした試料、試料8における乳剤Em−2と
乳剤Em−4の混合比率を50:50にした試料についても実
施したところ、同様に本発明の効果が認められた。
更に試料7における乳剤Em−5の代わりに分布の広さ
が18%の単分散乳剤、25%の多分散乳剤と分布の広さの
み異なる乳剤を用いた場合においても、本発明の効果が
認められた。
〔発明の効果〕
上述の如く本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、感
度、粒状性劣化を招くことなく、処理安定性を優れたも
のとすることができる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−209445(JP,A) 特開 平2−33(JP,A) 特開 平2−73245(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持体上に少なくとも1層の感光性ハロゲ
    ン化銀乳剤層と少なくとも1層の親水性コロイド層とを
    有するハロゲン化銀写真感光材料において、該乳剤層の
    少なくとも1層が、平均アスペクト比が5:1以上であ
    り、かつ平均厚さが0.01μm〜0.08μmである平板状ハ
    ロゲン化銀粒子と、正常晶であり、かつ、コア/シェル
    型のハロゲン化銀粒子とを含有することを特徴とするハ
    ロゲン化銀写真感光材料。
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