JP2926448B2 - ハロゲン化銀乳剤の製造方法及びハロゲン化銀写真感光材料 - Google Patents

ハロゲン化銀乳剤の製造方法及びハロゲン化銀写真感光材料

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JP2926448B2 JP21860891A JP21860891A JP2926448B2 JP 2926448 B2 JP2926448 B2 JP 2926448B2 JP 21860891 A JP21860891 A JP 21860891A JP 21860891 A JP21860891 A JP 21860891A JP 2926448 B2 JP2926448 B2 JP 2926448B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はハロゲン化銀乳剤の製造
方法及び感度、粒状性に優れたハロゲン化銀写真感光材
料に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、高感度にして優れた粒状性を有し
たハロゲン化銀写真感光材料に対する市場ニーズはます
ます高まってきており、それに呼応して、感光材料中に
使われるハロゲン化銀結晶の制御も、より微細化、複雑
化してきている。
【0003】従来、感度、粒状性、現像性等の点から特
開昭57-15432号、同60-143331号、同60-138538号あるい
は特開昭58-9137号、同58-9573号、同59-48755号に開示
されているようなハロゲン化銀粒子の内部と表面層のハ
ライド組成を変えた所謂コア/シェル型乳剤が広く用い
られてきた。
【0004】しかし、これらの乳剤は、その粒子形成過
程において以下に述べるような原理的な問題点を含むた
めに、乳剤性能(取分け感度、粒状性、かぶり)向上の
点で限界があることが判ってきた。即ち、従来の粒子形
成成長過程では、必要な銀イオン及びハロゲンイオン
を、銀塩水溶液及びハロゲン化物水溶液の形で混合器あ
るいは反応器内に供給する方法を用いているため、供給
するノズル付近及び撹拌翼付近での極度な濃度分布の拡
がりが生じてしまう。このような濃度の不均一な領域の
存在は、そこを通過するハロゲン化銀粒子の急速な成長
をもたらし、結果として個々の粒子間のハライド組成分
布及び/又は粒子内各層のハライド組成の微視的な不均
一性及び/又は還元銀の生成を招くことになる。
【0005】上記問題点を根本的に克服する方法として
既に知られているものの中にWO89/06830号或は特開平2-
166442号等に開示されているような、ハロゲン化銀微粒
子を添加し、熟成させることにより粒子成長を行う方法
がある。この方法では、銀イオン及びハロゲンイオンの
供給源を微粒子としていることが特徴で、反応器内に撹
拌によって分散された微粒子はその個々のサイズが非常
に小さいことによる迅速なイオン放出とその数が非常に
多いことによる反応器内のイオン濃度の均一性により、
先述したような問題点は原理的に全く生じない製造方法
と考えられる。
【0006】上記微粒子添加による粒子成長方法におい
て、微粒子自身の形成方法及びその後の微粒子の添加方
法には、現在大きく分けて以下の2通りの方法が知られ
ている。
【0007】即ち、粒子成長を行う反応器とは別の混
合器内で、銀塩水溶液及びハロゲン化物水溶液を反応さ
せて所望のハライド組成を有する微粒子ハロゲン化銀を
形成し、これを直ちに反応器内に添加させる方法。
【0008】粒子成長プロセスとは独立して所望のハ
ライド組成を有する微粒子ハロゲン化銀を予め調製し、
これを粒子成長時に添加する方法。
【0009】である。
【0010】上記,での所望のハライド組成とは目
的とするハロゲン化銀粒子内の層のハライド組成と同一
のものを意味しており、それが好ましいとされている。
【0011】しかし、筆者らがこれらの方法を追試した
ところ、ハロゲン化銀粒子内のハライド組成の微細な不
均一性の防止及び還元銀の生成の防止という点では確か
に効果が得られたが、この乳剤を用いたハロゲン化銀写
真感光材料の性能、取分け粒状性という点では、従来の
イオン供給方法によって作成された乳剤を用いた場合と
比較して僅かな効果しか得られなかった。
【0012】この原因は定かではないが、筆者は以下の
ように考えている。ハロゲン化銀微粒子を用いて粒子成
長を行う場合オストワルド熟成の時間を短くするために
一般的に高温(60℃以上) で行うことが多いが、成長時
間としてまだ十分短縮されていない(即ち微粒子の溶解
速度として十分大きくない)。
【0013】従って高温、長時間成長によるゼラチンの
分解→保護コロイド性の低下→粒子の凝集が生じている
と思われ、これが感光材料の粒状性の向上を妨げている
と考えられる。
【0014】
【発明の目的】したがって本発明の第1の目的は、ハロ
ゲン化銀微粒子を用いて粒子成長を行う際に粒子の凝集
が生じない程度に十分に成長時間が短縮化されたハロゲ
ン化銀乳剤の製造方法を提供することにある。
【0015】第2の目的は、本発明の製造方法により得
られる乳剤を用いて感度、粒状性の優れたハロゲン化銀
写真感光材料を提供することにある。
【0016】
【発明の構成】前記本発明の目的は; (1)少なくとも2種のハロゲン元素を含むハロゲン化
銀固溶体から成る層を、1層以上有するハロゲン化銀粒
子より成る乳剤の製造方法において、該層の少なくとも
1層が以下の(a),(b)の条件を共に満たして形成
されることを特徴とするハロゲン化銀乳剤の製造方法、
条件(a)2種以上のハロゲン化銀微粒子を添加し、共
存させて溶解、熟成する。
【0017】条件(b)(a)で用いるハロゲン化銀微
粒子のうち少なくとも1種が、実質的に一種類のハロゲ
ン元素のみを含む。
【0018】(2)また沃臭化銀固溶体については; 沃臭化銀固溶体から成る層を少なくとも1層有するハロ
ゲン化銀粒子より成る乳剤の製造方法において該層の
少なくとも1層が以下の条件を満たすことにより形成さ
れることを特徴とするハロゲン化銀乳剤の製造方法、条
件:実質的に臭化銀、実質的に沃化銀、沃臭化銀の3種
の微粒子のうち、2種以上の微粒子を添加し、共存させ
て、溶解、熟成する。
【0019】(3)並びに支持体上に少なくとも1層の
乳剤層を有するハロゲン化銀写真感光材料において前記
製造方法(1)及び(2)によって得られるハロゲン化
銀乳剤を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感
光材料によって達成される。
【0020】前記製造方法において、ハロゲン元素とは
Cl,Br,Iの3種類のことであり、従って少なくとも2
種のハロゲン元素を含むハロゲン固溶体とは、AgClBr,
AgBrI,AgClI, AgClBrIのいずれかであることを意味す
る。
【0021】また製造方法(1)において、(a)の条
件に述べるハロゲン化銀微粒子の種類としてはAgCl,Ag
Br,AgI,AgClBr,AgBrI,AgClI,AgClBrIの7種類があ
る。
【0022】また、同項(b)における実質的に一種類
のハロゲン元素を含むハロゲン化銀微粒子とはAgCl,Ag
Br,AgIのいずれかであって、かつそのハライド組成が
各々0〜10モル%の他のハロゲン元素を含有してもかま
わないことを意味している。
【0023】また、製造方法(2)にのべた条件におい
て、実質的に臭化銀とは、沃化銀含有率として0〜3%
のものを、また、実質的に沃化銀とは臭化銀含有率とし
て0〜10%のものを意味する。
【0024】以下に、本発明で用いるハロゲン化銀微粒
子の製造方法について述べる。
【0025】まず、微粒子の調製及び添加の方式につい
て述べる。
【0026】大きく分けて以下のA,B2通りの方法が
あり、どちらも好ましく用いられる。
【0027】A法:粒子成長を行う反応器とは別の複数
の混合器内で銀塩水溶液及びハロゲン化銀水溶液を反応
させて複数種の微粒子ハロゲン化銀を形成する傍ら、こ
れらを反応器内に添加し、同時に粒子成長を行う方法。
【0028】B法:粒子成長過程とは独立して複数種の
微粒子ハロゲン化銀を予め調製し、これらを粒子成長時
に必要量だけ添加速度制御をせずに添加する及び/又は
添加速度を時間に対する関数として制御しながら添加す
る方法。
【0029】次に各種微粒子の製造条件について述べ
る。
【0030】AgCl,AgBr,AgClBr,AgBrI,AgClI,AgCl
BrIの微粒子において、その形成温度は50℃以下が好ま
しく、40℃以下が更に好ましい。B法の調製・添加方式
を用いる場合調製後から粒子成長時に添加終るまでの微
粒子乳剤の保存温度としては20℃以下が好ましい。
【0031】上記微粒子の粒径としては0.1μm以下が好
ましく0.07μm以下が更に好ましく0.04μm以下が特に好
ましい。
【0032】AgIの微粒子において、その形成温度は60
℃以下が好ましく50℃以下が更に好ましい。またB法を
用いる場合微粒子乳剤の保存温度(調製後から粒子形成
時の添加終了まで)は40℃以下が好ましい。
【0033】AgI微粒子の粒径としては、0.2μm以下が
好ましく0.1μm以下が更に好ましい。
【0034】上記全ての微粒子において、その形成時に
用いるゼラチンの分子量に特に規定はないが平均分子量
にして7万以下の低分子量ゼラチンも好ましく用いられ
る。
【0035】また、ゼラチンの濃度としては 1.0wt%以
上であることが好ましい。また、微粒子形成時の撹拌翼
の回転数は、密閉型混合器を用いる場合1000r.p.m以上
が好ましく、開放型混合器を用いる場合700r.p.m以上が
好ましい。
【0036】次に上記各種類微粒子を用いて、反応器内
でのハロゲン化銀粒子の成長過程における製造条件につ
いて述べる。
【0037】微粒子を反応器内に添加する前に、予め反
応器内には種結晶が存在していても構わないし、存在し
ていなくても構わない。このとき種結晶の種類として
は、請求項(1)の微粒子の種類としてあげた先述7種
のうちいずれであってもよい。
【0038】反応器内の溶液温度としては、50℃以下が
好ましく、60℃以上が更に好ましい。
【0039】また、請求項(1)でいう2種以上のハロ
ゲン元素を含むハロゲン固溶体から成る層及び/又は請
求項(2)でいう沃臭化銀固溶体から成る層を各種微粒
子を用いて形成される場合、該層を構成するハロゲン化
銀全量のうちハロゲン化銀微粒子から供給する割合は、
必ずしも100%である必要はないが、本発明の目的であ
る感度・粒状性に効果を与える程度、例えば40%以上で
あることが好ましく、60%以上であることが更に好まし
く、80%以上であることが特に好ましい。
【0040】また、請求項(1)で述べているハロゲン
化銀粒子が単一種のハロゲン化銀から成る層を少くとも
1層以上含有している場合、該層の形成方法に特に制限
はなく、従来の方法(即ち、銀イオン及びハロゲン化物
イオンを銀塩水溶液及びハロゲン化銀水溶液の形で供給
する方法)を用いてもよくまた、単一種のハロゲン化銀
から成る微粒子を添加し、溶解、熟成する方法を用いて
もよく、またこれら2法の併用でも構わない。請求項
(2)においても同様のことがいえる。
【0041】反応器内のハロゲン化銀粒子に所望のハラ
イド組成を有する層を形成させる場合、[従来の技術]で
記述した法、法が微粒子形成の段階で既に所望のハ
ライド組成と同一かあるいはそれに近い組成を有した微
粒子を形成し、これを添加することにより目的を達成す
るのに対し、本発明の方法は複数種の微粒子を添加し、
溶解熟成させることにより、初めて所望のハライド組成
層を得るところに特徴がある。かかる方法(本発明の方
法)を採用することにより成長速度の著しい向上(取分
け沃臭化銀粒子における高沃化銀含有率層形成時の成長
速度の向上)が達成できたことは、微粒子溶解の機構の
差が関与しているものと考えられる。
【0042】即ち、従来の方法が種粒子(成長させたい
粒子)と微粒子の粒径差から生じる溶解度の差を利用し
た所謂オストワルド熟成機構のみに存在した成長である
のに対し、本発明の方法はオストワルド熟成だけではな
く組成差の均一化に伴うエントロピーの増大も成長の推
進力として働いていることが考えられる。
【0043】以下に沃臭化銀の場合を例にとり、説明す
る。
【0044】本発明の発明者の一人である松坂らが沃臭
化銀の種粒子(粒径0.093μm)にAgI微粒子を添加しか
つ銀イオン及び臭素イオンをダブルジェット法にして供
給する系において、添加する沃化銀微粒子の粒径(0.03
μmあるいは0.2μm)がAgI微粒子の消失速度に与える影
響を調べる実験を行ったところ上記AgIの粒径差による
消失速度の差は認められなかった。
【0045】これは沃化銀粒子の消失機構が種粒子との
粒径差(Gibbs-Thomson効果)によるものではないこと
を示している。そこで沃化銀の固溶体形成時のエントロ
ピー変化を考慮したギブスの自由エネルギーの変化ΔG
を考えると、 ΔG=ΔH−TΔS であり固溶体形成のエントロピー変化の項は、例えば0.
6モルの臭化銀粒子と0.4モルの沃化銀粒子(臭化銀粒子
と同一粒径)を混合して1モルの沃臭化銀粒子(沃化銀
含有率40モル%)を形成させる場合では ΔS=-R[(1-f)ln(1-f)+flnf];f=0.4 と表せ、40℃のときに、 TΔS=419(Cal/mol) となる。
【0046】一方純臭化銀の場合のオストワルド熟成の
ΔGは下記のように与えられる。粒径d(μm)の粒子
の溶解度は、 Sd=exp (67.6/d×10000)・S ΔG=RTln(sd1/sd2) だから仮りにd1=0.05μm,d2=0.5μmとすると、 ΔG=75.6(Cal/mol) で沃臭化銀形成のエントロピーの約1/6にすぎない。
【0047】つまり、上記の系においては、AgI微粒子
の消失機構が主に沃化銀と臭化銀が沃臭化銀となるとき
のエントロピーの増大にあることを示している。
【0048】同様のことが沃臭化銀種粒子に対し、沃化
銀及び臭化銀の微粒子を混ぜて成長させる場合でも起き
ていると考えられる。
【0049】本方法においては、ハロゲン化銀溶剤を反
応容器に添加して使用すれば、さらに高い微粒子の溶速
度を得ることができる。
【0050】ハロゲン化銀溶剤としては、水溶性臭化
物、水溶性塩化物、チオシアン酸塩、アンモニア、チオ
エーテル、チオ尿素類などを挙げることができる。
【0051】例えばチオシアン塩酸(米特許2,222,264
号、同2,448,534号、同3,320,069号など)、アンモニ
ア、チオエーテル化合物(例えば米国特許3,271,157
号、同3,574,628号、同3,704,130号、同4,297,439号、
同4,276,347号など)、チオン化合物(例えば特開昭53-
144319号、同53-82408号、同55-77737号など)、アミン
化合物(例えば特開昭54-100717号など)、チオ尿素誘
導体(例えば特開昭55-2982号)、イミダゾール類(例
えば特開昭54-100717号など)、置換メルカプトテトラ
ゾール(例えば特開昭57-202531号)などを挙げること
ができる。
【0052】次に本発明の製造方法によって得られるハ
ロゲン化銀乳剤を用いたハロゲン化銀写真感光材料につ
いて述べる 本発明の製造方法によって得られるハロゲン化銀乳剤を
含有する1つの乳剤層において、その乳剤層中の全ハロ
ゲン化銀粒子に対する本発明の製造方法によって得られ
るハロゲン化銀粒子の含有率は、感度、粒状性について
効果のある程度以上、例えば個数にして30%以上である
ことが好ましく、60%以上であることが更に好ましく、
80%以上であることが特に好ましい。
【0053】本発明の感光材料に用いられるハロゲン化
銀乳剤において、ハロゲン化銀の組成としては沃臭化
銀、沃塩化銀、沃塩臭化銀のいずれであってもよいが、
特に高感度の乳剤が得られるという点で、沃臭化銀が好
ましい。
【0054】本発明の感光材料に用いられるハロゲン化
銀乳剤において、粒子中の沃化銀の分布としては、粒子
中に均一に分布したものでもよいし、また所謂コア/シ
ェル型のハロゲン化銀粒子に見られるように沃化銀がコ
ア又はシェルの一方に偏在しているような層構成を有し
たものでもよい。コア/シェル型のハロゲン化銀乳剤と
しては、沃臭化銀から成るコアと、少なくとも1層の沃
臭化銀または臭化銀から成るシェルを有するコア/シェ
ル型乳剤であることが好ましい。
【0055】本発明の感光材料に用いられるハロゲン化
銀乳剤が前記コア/シェル型乳剤の場合、そのハロゲン
化銀粒子は核となるコアと該コアを被覆するシェルとか
ら構成される粒子であり、シェルは一層あるいはそれ以
上の層によって形成される。コアとシェルとの沃化銀含
有率はそれぞれ異なることが好ましい。
【0056】本発明において、上記コアの沃化銀含有率
は10モル%以上であるが、10〜40モル%以上のものが好
ましく、より好ましくは15〜40モル%、特に好ましくは
20〜40モル%である。
【0057】また、上シェルの中で最も外側にあるシェ
ル、つまり通常最表面層を形成するシェルの沃化銀含有
率は、5モル%以下であることが好ましく、更に4モル
%未満が好ましく、特に好ましくは0〜3.0モル%であ
る。
【0058】コア/シェル型乳剤において、コアの占め
る体積は粒子全体の2〜60%とするのが望ましく、5〜
50%が更に好ましい。
【0059】本発明において、ハロゲン化銀粒子のコア
とシェルとの沃化銀含有率が異なる場合、沃化銀含有率
の高いコア部と含有率の低いシェル部との含有率差は、
シャープな境界を有するものでもよいが、必ずしもシャ
ープな境界でなくても構わない。コアと最表面のシェル
の中間の沃化銀含有率を有するシェルを少なくとも一
層、コアと最表面のシェルの間に中間層として介在させ
たものも好ましく用いられる。
【0060】本発明の乳剤が上記中間層を有するコア/
シェル型ハロゲン化銀粒子を含有してなる場合、中間層
の好ましい体積は粒子全体の1〜70%、更に好ましくは
5〜50%である。
【0061】シェルと中間層、中間層とコアの沃化銀含
有率差はそれぞれの3モル%以上あることが好ましく、
最表面のシェルとコアの沃化銀含有率差は10モル%以上
あることが好ましい。
【0062】本発明の感光材料に用いられるハロゲン化
銀乳剤の平均沃化銀含有率は、2モル%以上であり、さ
らに好ましくは、4モル%〜10モル%である。
【0063】本発明に係るコア/シェル型乳剤を、特開
昭59-177535号、同60-138538号記載の方法のように、種
粒子から出発して成長させる場合、粒子中心部にコアと
は異なるハロゲン組成領域を持つことがあり得る。この
ような場合、種粒子のハロゲン組成は臭化銀、沃臭化
銀、塩沃臭化銀、塩臭化銀、塩化銀等の任意の組成のも
のを用いうるのが、沃化銀含有率が10モル%以下の沃臭
化銀または臭化銀が好ましい。
【0064】また種粒子の全ハロゲン化銀にしめる体積
は50%以下が好ましく20%以下が特に好ましい。
【0065】上記コア/シェル型ハロゲン化銀粒子にお
ける沃化銀の分布状態は、各種の物理的測定法によって
検知することができ、例えば日本写真学会・昭和56年度
年次大会講演要旨集に記載されているような、低温での
ルミネッセンスの測定やX線回折法によって調べること
ができる。
【0066】本発明の感光材料で用いられるハロゲン化
銀粒子は、立方体、14面体、8面体のような正常晶でも
よく、双晶から成っていてもよく、またこれらの混合物
であってもよい。
【0067】本発明の感光材料に用いられるハロゲン化
銀乳剤は、ハロゲン化銀粒子の成長、終了後に不要な可
溶性塩類を除去したものでもよいし、あるいは含有させ
たままのものでもよい。該塩類を除去する場合には、リ
サーチ・ディスクロージャー(Research Disclosure、以
下RDと略す)17643号II項に記載の方法に基づいて行うこ
とができる。更に詳しくは、沈澱形成後、あるいは物理
熟成後の乳剤から可溶性塩類を除去するためには、ゼラ
チンをゲル化させて行うヌーデル水洗法を用いてもよ
く、また無機塩類、アニオン性界面活性剤、アニオン性
ポリマー(たとえばポリスチレンスリホン酸)、あるい
はゼラチン誘導体(たとえばアシル化ゼラチン、カルバ
モイル化ゼラチンなど)を利用した沈降法(フロキュレ
ーション)を用いてもよい。
【0068】ハロゲン化銀粒子は、粒子を形成する過程
及び/または成長させる過程で、カドミウム塩、亜鉛
塩、鉛塩、タリウム塩、イリジウム塩(錯塩を含む)、
ロジウム塩(錯塩を含む)及び鉄塩(錯塩を含む)から
選ばれる少なくとも1種を用いて金属イオンを添加し、
粒子内部に及び/又は粒子表面にこれらの金属元素を含
有させることができる。また、適当な還元的雰囲気にお
くことにより、粒子内部及び/又は粒子表面に還元増感
核を付与できる。
【0069】本発明の感光材料に用いられるハロゲン化
銀乳剤において、ハロゲン化銀粒子のサイズとしては、
0.05〜5.0μm、好ましくは0.1〜3.0μmのものである。
【0070】本発明の感光材料に用いられるハロゲン化
銀乳剤は、粒子サイズ分布(以下、粒径分布という)の
広い多分散乳剤であってもよく、粒径分布の狭い単分散
乳剤であってもよいが、単分散乳剤であることが好まし
い。
【0071】本発明において、単分散性ハロゲン化銀乳
剤とは、平均粒径rmを中心に±20%粒径範囲内に含ま
れるハロゲン化銀粒子の重量が、全ハロゲン化銀粒子の
重量60%以上であるものを言い、好ましくは70%以上、
更に好ましくは80%以上である。
【0072】ここに、平均粒径rmは、粒径riを有する
粒子の頻度niとri3との積ni×ri3が最大となるときの粒
径riと定義する。(有効数字3桁、最小桁数字は4捨5
入する。)ここで言う粒径とは、球状のハロゲン化銀粒
子の場合は、その直径、また球状以外の形状の粒子の場
合は、その投影像を同面積の円像に換算した時の直径で
ある。
【0073】粒径は例えば該粒子を電子顕微鏡で1万倍
から5万倍に拡大して投影し、そのプリント上の粒子直
径又は投影時の面積を実測することによって得ることが
できる。(測定粒子個数は無差別に1000個以上ある事と
する。) 特に好ましい高度の単分散乳剤は 粒径標準偏差/平均粒径×100=粒径分布(%) により定義した粒径分布が正常晶の場合20%以下のもの
であり、更に好ましくは15%以下のものである。また、
双晶を有する粒子の場合、30%以下が好ましく、20%以
下のものが更に好ましい。
【0074】ここに平均粒径及び粒径標準偏差は前記定
義のriから求めるものとする。
【0075】単分散乳剤は種粒子を含むゼラチン溶液中
に、水溶性銀塩溶液と水溶性ハライド溶液を、pAg及びp
Hの制御下ダブルジェット法によって加えることによっ
て得ることができる。添加速度の決定に当っては、特開
昭54-48521号、同58-49938号を参考にできる。
【0076】更に高度な単分散乳剤を得る方法として
は、特開昭60-122935号に開示されたテトラザインデン
化合物存在下での粒子の成長方法が適用できる。
【0077】本発明の感光材料に用いられるハロゲン化
銀乳剤を構成する粒子は、常法により化学増感すること
ができ、増感色素を用いて、所望の波長域に光学的に増
感できる。
【0078】ハロゲン化銀乳剤には、かぶり防止剤、安
定剤等を加えることができる。該乳剤のバインダとして
は、ゼラチンを用いるのが有利である。
【0079】乳剤層、その他の親水性コロイド層は、硬
膜することができ、又、可塑剤、水不溶性又は難溶性合
成ポリマーの分散物(ラテックス)を含有させることが
できる。
【0080】本発明はカラーネガフィルム、カラーリバ
ーサルフィルム等のカラー感光材料やX線フィルム、印
刷感材、モノクロ感材等に好ましく用いられるが、とり
わけ感度、粒状性等の性能を高めるために、高沃化銀含
有層を有する沃臭化銀粒子を用いるカラー感光材料に好
ましく用いられる。
【0081】カラー写真用感光材料の乳剤層には、カプ
ラーが用いられる。
【0082】更に補正の効果を有しているカラードカプ
ラー、競合カプラー及び現像主薬の酸化体とのカップリ
ングによって現像促進剤、漂白促進剤、現像剤、ハロゲ
ン化銀溶剤、調色剤、硬膜剤、かぶり剤、かぶり防止
剤、化学増感剤、分光増感剤、及び減感剤のような写真
的に有用なフラグメントを放出する化合物を用いること
ができる。
【0083】本発明の感光材料には、フィルタ層、ハレ
ーション防止層、イラジェーション防止層等の補助層を
設けることができる。これらの層中及び/又は乳剤層中
には現像処理中に感光材料から流出するかもしくは漂白
される染料が含有させられてもよい。
【0084】本発明の感光材料には、ホルマリンスカベ
ンジャ、蛍光増白剤、マット剤、滑剤、画像安定剤、界
面活性剤、色かぶり防止剤、現像促進剤、現像遅延剤や
漂白促進剤を添加できる。
【0085】支持体としては、ポリエチレン等をラミネ
ートした紙、ポリエチレンテレフタレートフィルム、バ
ライタ紙、三酢酸セルロース等を用いることができる。
【0086】本発明の感光材料を用いて色素画像を得る
には露光後、通常知られているカラー写真処理を行うこ
とができる。
【0087】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらによって限定されるものではな
い。
【0088】〔実施例1;比較EM−1の調製〕下記(溶
液A)の平均粒径0.7μmで沃化銀含有率が2モル%の単
分散14面体粒子を種結晶とし、特開平2-166442号の実施
例1−Dに開示されている方法に準じて粒子成長を行っ
た。
【0089】即ち、以下に示す溶液Aをよく攪拌しなが
ら温度75℃、pAg7.8、pH7.0に保ち、その反応容器のそ
ばに設けた混合器から微粒子を連続的に供給することに
より粒子成長を行った。
【0090】混合器内に、ある時間内で188.3gの硝酸銀
を含む水溶液と、沃化カリウムを10モル%含む臭化カリ
ウム溶液を等モルと平均分子量1万のゼラチン3重量%
含む水溶液500mlを、加速された流量でトリプルジェッ
トで添加した。密閉型混合器の攪拌翼の回転数は3000r.
p.mで、混合器の温度は15℃に保持された。混合器内で
生成した沃臭化銀微粒子は電子顕微鏡で3万倍乃至6万
倍で確認したところその平均粒径は0.01μmであった。
この混合器で生成した微粒子は、連続的に反応容器に添
加されるわけだが、添加流量の時間に対する加速度は変
えず、初期添加流量を変化させて、臨界成長速度に相当
する臨界微粒子供給速度を求めた。但しここでいう臨界
状態とは反応容器のホスト粒子1000個に対し、添加され
る微粒子の平均粒径よりも電子顕微鏡で観察したときに
10倍以上大きく、かつホスト粒子よりも小さい粒子(成
長途中に新たに発生した核)が50個存在する状態を意味
し、これ以上存在するような条件で微粒子を供給するこ
とは単分散乳剤を得る点で好ましくないとした。この定
義に従い、最大の微粒子供給速度でパターン添加したと
ころ、添加開始から添加終了までに要した時間は80分間
であった。こうして得られた粒子は、平均粒径0.85μm
の単分散14面体粒子であった。この乳剤をEM−1とす
る。
【0091】 (溶液A) オセインゼラチン 57.5g ポリイソプロピレンポリエチレンオキシジ琥珀酸エステルナトリウム塩の 10%エタノール水溶液 7.1ml 種結晶(0.7μm14面体沃臭化銀、沃化銀含有率2モル%)硝酸銀にして 238.2g相当量 28%アンモニア水 207ml 56%酢酸水溶液 325ml 蒸留水 1666ml 〔実施例2;比較乳剤EM−2の調製〕沃臭化銀微粒子乳剤2−A 0.004Mの臭化カリウムを含有する5.0重量%のゼラチン
(平均分子量1万)溶液952mlに、それを攪拌しなが
ら、ダブルジェット法で2.0Mの硝酸銀水溶液と、1.8Mの
臭化カリウムと0.2Mの沃化カリウムを含むゼラチン塩水
溶液を各589mlずつ33分間かけて添加した。この間ゼラ
チン溶液は15℃に保たれた。得られた沃臭化銀微粒子
(沃化銀含有率10モル%)は平均粒径0.03μmであっ
た。この乳剤を2−Aとする。
【0092】沃臭化銀粒子乳剤EM−2 実施例1で用いた溶液Aに、微粒子乳剤2−A2005mlを
等加速流量パターンで添加した。この間、反応容器内の
温度は75℃,pAgは7.8、pHは7.0に保った。
【0093】そして、比較例1のときと同様に、最大の
添加流量パターンで微粒子を供給したところ、供給終了
までに要した時間は90分間であった。得られた粒子は平
均粒径0.85μmの単分散14面体粒子であった。この乳剤
をEM−2とする。
【0094】〔実施例3;本発明に関わる乳剤EM−3の
調製〕沃化銀微粒子乳剤3−A 0.026Mの沃化カリウムを含有する5.0重量%のゼラチン
(平均分子量1万)溶液1000mlに、それを攪拌しなが
ら、ダブルジェット法で3.5Mの硝酸銀水溶液と、3.5Mの
沃化カリウム水溶液を各301mlずつ35分間かけて添加し
た。この間ゼラチン溶液は15℃に保たれた。得られた沃
化銀微粒子は平均粒径0.02μmであった。この乳剤を3
−Aとする。
【0095】臭化銀微粒子乳剤3−B 6.4重量%の低分子量ゼラチン(平均分子量1万)溶液8
33mlにそれを攪拌しながらダブル・ジェット法で3.5Mの
硝酸銀水溶液と3.5Mの臭化カリウム水溶液を各337mlず
つ10分間かけて等速添加した。この間、ゼラチン溶液は
15℃に保たれた。得られた臭化銀微粒子は平均粒径0.02
μmであった。この乳剤を3−Bとする。
【0096】沃臭化銀粒子乳剤EM−3 実施例1で用いた溶液Aに、微粒子乳剤3−A;169ml
と3−B;1277mlを、モル比が1:9となるような等加
速流量パターンで添加した。この間、反応容器内の温度
は、75℃、pAgは7.8,pHは7.0に保った。このとき、微
粒子の添加時間は60分間であった。これより短い時間の
場合、単分散性が良好なものが得られなかった。
【0097】得られた粒子は、平均粒径0.85μmの単分
散14面体粒子であった。この乳剤をEM−3とする。
【0098】〔実施例4;比較乳剤EM−4の調製〕実施
例1において、混合器内で硝酸銀水溶液と反応させる沃
化カリウムと臭化カリウムを含む水溶液の、沃化カリウ
ムの含有量を30モル%とする以外は、全て同一の方法に
より、平均粒径0.85μmの単分散14面体粒子を得た。こ
のとき微粒子のサイズは0.01μmであり、また添加時間
は100分間で、これより短い場合、単分散性が良好なも
のが得られなかった。この乳剤をEM−4とする。
【0099】〔実施例5;比較乳剤EM−5の調製〕沃臭化銀微粒子乳剤5−A 実施例2における臭化カリウムと沃化カリウムのゼラチ
ン塩水溶液のモル数を、それぞれ1.4M,0.6Mとする以外
は、全て実施例2と同じ方法により平均粒径0.03μm,
平均沃化銀含有率30モル%の沃臭化銀微粒子を作製し
た。この乳剤を5−Aとする。
【0100】沃臭化銀粒子乳剤EM−5 実施例1で用いた溶液Aに、微粒子乳剤5−A;2005ml
を等加速流量パターンで添加した以外は、全て実施例2
のEM−2の作製法と同じにして平均粒径0.85μmの単分
散14面体粒子を得た。このとき、微粒子の添加時間は12
0分間で、これより短い場合単分散性が良好なものが得
られなかった。この乳剤をEM−5とする。
【0101】〔実施例6;本発明に関わる乳剤EM−6の
調製〕実施例1で用いた溶液Aに、微粒子乳剤3−A;
590mlと、3−B;922mlを、モル比が30:70となるよう
な等加速流量パターンで添加した。この間反応容器内の
温度は75℃、pAgは7.8,pHは7.0に保った。このとき微
粒子の添加時間は70分間であった。これより短い時間の
場合、単分散性が良好なものが得られなかった。得られ
た粒子は平均粒径0.85μmの単分散14面体粒子であっ
た。この乳剤をEM-6とする。
【0102】EM−1〜EM−6までの特徴及び成長時間の
データをまとめると、表1の通りになる。
【0103】
【表1】
【0104】表1から明らかなように、本発明の製造方
法は、他の製法に比し成長時間を大巾に短くすることが
可能である。また、この効果は、沃臭化銀粒子を形成す
るうえで特に高沃化銀含有率相を形成する場合に大き
い。
【0105】種結晶から30モル%の沃化銀含有率を有す
る沃臭化銀層を本発明の製法により形成させ、しかる後
に10モル%の沃化銀含有率を有する沃臭化銀層をやはり
本発明の製法により形成させた場合でも、当然のことな
がら、他の製法に比し、成長時間が短い(微粒子の溶解
速度が速い)ことが確認された。また、双晶面を有する
沃臭化銀の六角平板粒子を種結晶とし、これを本発明の
製造法により成長させた場合にも同様の効果が得られ
た。
【0106】〔実施例7;EM−7〜10の調製〕比較乳剤EM−7の調製 平均粒径0.7μmで沃化銀含有率が2モル%の単分散14面
体粒子を種粒子とし、188.3gの硝酸銀を含む水溶液と、
沃化カリウムと臭化カリウムのモル比が30:70のゼラチ
ン含有水溶液をダブルジェット法にて添加することによ
り、沃化銀含有率が30%の層を形成せしめた後、268.0g
の硝酸銀を含む水溶液と、臭化カリウムを1.58M含有す
るゼラチン水溶液とを同じくダブルジェット法にて添加
することにより純臭化銀のシェル層を形成させた。かか
る乳剤を常法により脱塩水洗し、再分散の後に40℃にし
てpAg8.1、pH5.80に調整した。かくして、平均粒径1.0
μmで平均沃化銀含有率8.8モル%の単分散8面体乳剤EM
−7を得た。
【0107】比較乳剤EM−8,EM−9及び本発明に関わ
る乳剤EM−10の調製 平均粒径0.7μmで沃化銀含有率が2モル%の単分散14面
体粒子を種粒子とし、0.85μmまでの成長方法は、それ
ぞれEM−4,EM−5,EM−6と全く同じ方法を用い、そ
れ以降の成長は3種乳剤全て、EM-7と同じく268.0gの硝
酸銀を含む水溶液と臭化カリウムを1.58M含有するゼラ
チン水溶液とをダブル・ジェット法にて添加することに
より純臭化銀のシェル層を形成させた。かかる3種の乳
剤をEM−7と同様に仕上げ、平均粒径1.0μmで平均沃化
銀含有率8.8モル%の単分散8面体乳剤EM−8,EM−
9,EM−10を得た。但し、0.85μmまでの成長方法がEM
−4と同じ方法を用いた乳剤がEM−8であり、同様にし
てEM−5の方法に相当する乳剤がEM−9,EM−6の方法
に相当する乳剤がEM−10である。
【0108】〔実施例8〕本実施例において、ハロゲン
化銀写真感光材料中の添加量は特に記載のない限り1m2
当りのグラム数を示す。また、ハロゲン化銀及びコロイ
ド銀は、銀に換算して示した。また増感色素は銀1モル
当りのモル数で示した。
【0109】トリアセチルセルロースフィルム支持体上
に、下記に示すような組成の各層を順次支持体側から形
成して、多層カラー写真感光材料試料-101を作製した。
【0110】試料-101(比較) 第1層;ハレーション防止層(HC−1) 黒色コロイド銀 0.18 UV吸収剤(UV−1) 0.23 高沸点溶媒 (Oil−1) 0.18 ゼラチン 1.42 第2層;中間層(IL−1) ゼラチン 1.27 第3層;低感度赤感性乳剤層(RL) 沃臭化銀乳剤(EM−A) 0.20 沃臭化銀乳剤(EM−B) 0.78 増感色素(SD−1) 1.8×10-5 増感色素(SD−2) 2.8×10-4 増感色素(SD−3) 1.9×10-4 増感色素(SD−4) 1.1×10-4 シアンカプラー(C−1) 0.70 カラードシアンカプラー(CC−1) 0.066 DIR化合物(D−1) 0.028 高沸点溶媒(Oil−1) 0.64 ゼラチン 1.18 第4層;中感度赤感性乳剤層(RM) 沃臭化銀乳剤(EM−C) 0.78 増感色素(SD−1) 2.1×10−5 増感色素(SD−2) 1.9×10-4 増感色素(SD−3) 9.6×10-5 増感色素(SD−4) 9.6×10-5 シアンカプラー(C−1) 0.28 カラードシアンカプラー(CC−1) 0.027 DIR化合物(D−1) 0.011 高沸点溶媒(Oil−1) 0.26 ゼラチン 0.58 第5層;高感度赤感性乳剤層(RH) 沃臭化銀乳剤(EM−D) 1.73 増感色素(SD−1) 1.9×10-5 増感色素(SD−2) 1.7×10-4 増感色素(SD−3) 1.7×10-4 シアンカプラー(C−2) 0.14 DIR化合物(D−1) 0.025 高沸点溶媒(Oil−1) 0.17 ゼラチン 1.24 第6層;中間層(IL−2) ゼラチン 0.80 第7層;低感度緑感性乳剤層(GL) 沃臭化銀乳剤(EM−A) 0.11 沃臭化銀乳剤(EM−B) 0.98 増感色素(SD−4) 6.8×10-5 増感色素(SD−5) 6.2×10-4 マゼンタカプラー(M−1) 0.54 マゼンタカプラー(M−2) 0.19 カラードマゼンタカプラー(CM−1) 0.06 DIR化合物(D−2) 0.017 高沸点溶媒(Oil−2) 0.81 セ゛ラチン 1.77 第8層;中感度緑感性乳剤層(GM) 沃臭化銀乳剤(EM−C) 0.66 増感色素(SD−4) 8.2×10-5 増感色素(SD−6) 1.9×10-4 増感色素(SD−7) 1.2×10-4 増感色素(SD−8) 1.5×10-5 マゼンタカプラー(M−1) 0.074 マゼンタカプラー(M−2) 0.034 カラードマゼンタカプラー(CM−1) 0.043 DIR化合物(D−2) 0.018 高沸点溶媒(Oil−2) 0.30 ゼラチン 0.76 第9層;高感度緑感性乳剤層(GH) 沃臭化銀乳剤(EM−E) 1.66 増感色素(SD−4) 2.1×10-5 増感色素(SD−6) 1.2×10-4 増感色素(SD−7) 1.0×10-4 増感色素(SD−8) 3.4×10-6 マゼンタカプラー(M−1) 0.094 マゼンタカプラー(M−3) 0.044 カラードマゼンタカプラー(CM−1) 0.038 高沸点溶媒(Oil−2) 0.31 ゼラチン 1.23 第10層;イェローフィルタ層(YC) 黄色コロイド銀 0.05 色汚染防止剤(SC−1) 0.1 高沸点溶媒(Oil−2) 0.125 ゼラチン 1.33 ホルマリンスカヘ゛ンシ゛ャ(HS−1) 0.088 ホルマリンスカベンジャ(HS−2) 0.066 第11層;低感度青感性乳剤層(BL) 沃臭化銀乳剤(EM−A) 0.12 沃臭化銀乳剤(EM−B) 0.24 沃臭化銀乳剤(EM−C) 0.12 増感色素(SD−9) 5.2×10-4 増感色素(SD−10) 1.9×10-5 イェローカプラー(Y−1) 0.65 イェローカプラー(Y−2) 0.24 高沸点溶媒(Oil−2) 0.18 ゼラチン 1.25 ホルマリンスカベンジャ(HS−1) 0.08 第12層;高感度青感性乳剤層(BH) 沃臭化銀乳剤(EM−C) 0.14 沃臭化銀乳剤(EM−7) 0.81 増感色素(SD−9) 1.8×10-4 増感色素(SD−10) 7.9×10-5 イェローカプラー(Y−1) 0.18 高沸点溶媒(Oil−2) 0.074 ゼラチン 1.30 ホルマリンスカベンジャ(HS−1) 0.05 ホルマリンスカベンジャ(HS−2) 0.12 第13層;第1保護層(Pro−1) 微粒子沃臭化銀乳剤 0.4 (平均粒径0.08μm AgI 1モル%) 紫外線吸収剤(UV−1) 0.065 紫外線吸収剤(UV−2) 0.10 高沸点溶媒(Oil−1) 0.07 高沸点溶媒(Oil−3) 0.07 ホルマリンスカベンジャ(HS−1) 0.13 ホルマリンスカベンジャ(HS−2) 0.37 ゼラチン 1.31 第14層;第2保護層(Pro−2) アルカリ可溶性マット剤 (平均粒径2μm) 0.13 ポリメチルメタクリレート (平均粒径3μm) 0.02 滑り剤(WAX−1) 0.04 ゼラチン 0.55 尚上記組成物の他に、塗布助剤Su−1、分散助剤Su−
2、粘度調製剤、硬膜剤H−1,H−2、安定剤ST−
1、かぶり防止剤AF−1、平均Mw:10,000及び平均Mw:
1,100,000の2種のAF−2を添加した。
【0111】上記試料に用いた乳剤は、下記のとおりで
ある。
【0112】各乳剤は、金−硫黄増感を最適に施した。
【0113】 〔乳剤No.〕〔平均沃化銀含有率(モル%)〕〔平均粒径(μm)〕〔晶癖〕 EM−A 2 0.3 八面体 EM−B 8 0.4 八面体 EM−C 8 0.7 八面体 EM−D 8 0.8 八面体 EM−E 8 1.0 双 晶 EM−7 8.8 1.0 八面体
【0114】
【化1】
【0115】
【化2】
【0116】
【化3】
【0117】
【化4】
【0118】
【化5】
【0119】
【化6】
【0120】
【化7】
【0121】
【化8】
【0122】
【化9】
【0123】試料−101におけるEM−7の代りにEM−8
〜EM−10を使用することにより、試料-102〜104を作成
した。
【0124】このようにして作成した各試料101〜104
を、白色光を用いてウエッジ露光したのち、下記現像処
理を行った。
【0125】処理工程〔I〕(38℃) 発色現像 3分15秒 漂 白 6分30秒 水 洗 3分15秒 定 着 6分30秒 水 洗 3分15秒 安定化 1分30秒 乾 燥 各処理工程において使用した処理液組成は下記の通りで
ある。
【0126】 (発色現像液) 4-アミノ-3-メチル-N-エチル-N-(β-ヒドロキシエチル)アニリン・硫酸塩 4.75g 無水亜硫酸ナトリウム 4.25g ヒドロキシルアミン・1/2硫酸塩 2.0g 無水炭酸カリウム 37.5g 臭化ナトリウム 1.3g ニトリロ酢酸・3ナトリウム塩(1水塩) 2.5g 水酸化カリウム 1.0g 水を加えて1lとする。
【0127】 (漂白液) エチレンジアミン四酢酸鉄アンモニウム塩 100g エチレンジアミン四酢酸2アンモニウム塩 10g 臭化アンモニウム 150g 氷酢酸 10ml 水を加えて1lとし、アンモニア水を用いてpH=6.0
に調整する。
【0128】 (定着液) チオ硫酸アンモニウム 175.0g 無水亜硫酸ナトリウム 8.5g メタ亜硫酸ナトリウム 2.3g 水を加えて1lとし、酢酸を用いてpH=6.0に調整す
る。
【0129】 (安定液) ホルマリン(37%水溶液) 1.5ml コニダックス(コニカ(株)製) 7.5ml 水を加えて1lとする。
【0130】得られた各試料について青色光(B)を用
いて、相対感度(S)、粒状度(RMS)を測定した。
【0131】その結果を表2に示す。
【0132】なお、相対感度(S)はかぶり濃度+0.1
を与える露光量の逆数の相対値であり、試料−101の青
(B)、感度を100とする値で示した。
【0133】RMS値は、最小濃度+0.3の濃度を開口走査
面積 250μm2のマイクロデンシトロータで走査したとき
に生じる濃度値の変動の標準偏差の相対値で示した。RM
S値は小さい程粒状度が良く、効果があることを示す。
【0134】
【表2】
【0135】表2より明らかなように、本発明の製造方
法によって得られる乳剤を含有する感光材料は高感度に
して非常に優れた粒状性を有するものである。
【0136】更に前記試料を下記ランニング処理にて評
価したところ表3に示すように同様の効果が認められ
た。
【0137】
【表3】
【0138】処理は安定化タンク槽の容量の3倍の補充
液が入るまでランニングを行った。
【0139】 〔処理工程〕 〔処理時間〕 〔処理温度〕 〔補充量〕 発色現像 3分15秒 38℃ 540ml 漂 白 45秒 38℃ 155ml 定 着 1分45秒 38℃ 500ml 安定化 90秒 38℃ 775ml 乾 燥 1分 40〜70℃ − (補充量は感光材料1m2当りの値である。) ただし、安定化処理は3槽カウンタカレントで行い、安
定化液の最終槽に補充され、その前槽にオーバフローが
流入する方式で行った。
【0140】更に、定着槽に続く安定化槽のオーバフロ
ーの一部(250ml/m2)を安定槽に流し込んだ。
【0141】使用した発色現像液の組成は次の通りであ
る。
【0142】 炭酸カリウム 30g 炭酸水素ナトリウム 2.7g 亜硫酸カリウム 2.8g 臭化ナトリウム 1.3g ヒドロキシルアミン硫酸塩 3.2g 塩化ナトリウム 0.6g 4-アミノ-3-メチル-N-エチル-N-(β-ヒドロキシルエチル)アニリン硫酸塩 4.6g ジエチレントリアミン五酢酸 3.0g 水酸化カリウム 1.3g 水を加えて1lとし、水酸化カリウム又は20%硫酸を
用いてpH=10.01に調整する。
【0143】使用した発色現像補充液の組成は次の通り
である。
【0144】 炭酸カリウム 40g 炭酸水素ナトリウム 3g 亜硫酸カリウム 7g 臭化ナトリウム 0.5g ヒドロキシルアミン硫酸塩 3.2g 4-アミノ-3-メチル-N-エチル-N-(β-ヒドロキシルエチル)アニリン硫酸塩 6.0g ジエチレントリアミン五酢酸 3.0g 水酸化カリウム 2g 水を加えて1lとし、水酸化カリウム又は20%硫酸を
用いてpH=10.12に調整する。
【0145】使用した漂白液の組成は、次の通りであ
る。
【0146】 1.3-ジアミノプロパン四酢酸第2鉄アンモニウム 0.35モル エチレンジアモンテトラ酢酸2ナトリウム 2g 臭化アンモニウム 150g 氷酢酸 40ml 硝酸アンモニウム 40g 水を加えて1lとし、アンモニア水又は氷酢酸を用いて
pH4.5に調整する。
【0147】使用した漂白補充用液の組成は、次の通り
である。
【0148】 1.3-ジアミノプロパン四酢酸第2鉄アンモニウム 0.40モル エチレンジアモンテトラ酢酸2ナトリウム 2g 臭化アンモニウム 170g 硝酸アンモニウム 50g 氷酢酸 61ml 水を加えて1lとし、アンモニア水又は氷酢酸を用いて
pH3.5にし、漂白タンク液のpHが保てるように適宜調整
する。
【0149】使用した定着液及び定着補充液の組成は次
の通りである。
【0150】 チオ硫酸アンモニウム 100g チオシアン酸アンモニウム 150g 無水重亜硫酸ナトリウム 20g メタ重亜硫酸ナトリウム 4.0g エチレンジアモンテトラ酢酸2ナトリウム 1.0g 水を加えて700mlとし、氷酢酸とアンモニア水を用いてp
H=6.5に調整する。
【0151】使用した安定化液及び安定化補充液の組成
は次の通りである。
【0152】 1,2-ベンツイソチアゾリン-3-オン 0.1g C8H17-(C6H4)O-(CH2CH2O)10H (50%溶液) 2.0ml ヘキサメチレンテトラミン 0.2g ヘキサヒドロ-1,3,5-トリフル(2-ヒドロキシエチル)-5-トリアジン 0.3g 水を加えて1lとし、水酸化カリウム及び50%硫酸を
用いてpH=7.0に調整した。
【0153】
【発明の効果】粒子調製が安定し、かつ短時間となって
生産性が向上し、かつ感度、粒状性の優れた感光材料が
提供できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G03C 1/015 G03C 1/035

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも2種のハロゲン元素を含むハ
    ロゲン化銀固溶体から成る層を、1層以上有するハロゲ
    ン化銀粒子より成る乳剤の製造方法において、該層の少
    なくとも1層が以下の(a),(b)の条件を共に満た
    して形成されることを特徴とするハロゲン化銀乳剤の製
    造方法。 条件(a)2種以上のハロゲン化銀微粒子を添加し、共
    存させて溶解、熟成する。 条件(b)(a)で用いるハロゲン化銀微粒子のうち少
    なくとも1種が、実質的に一種類のハロゲン元素のみを
    含む。
  2. 【請求項2】 沃臭化銀固溶体から成る層を少なくとも
    層有するハロゲン化銀粒子より成る乳剤の製造方法に
    おいて該層の少なくとも1層が以下の条件を満たすこ
    とにより形成されることを特徴とするハロゲン化銀乳剤
    の製造方法。条件:実質的に臭化銀、実質的に沃化銀、
    沃臭化銀の3種の微粒子のうち、2種以上の微粒子を添
    加し、共存させて、溶解、熟成する。
  3. 【請求項3】 支持体上に少なくとも1層の乳剤層を有
    するハロゲン化銀写真感光材料において該乳剤層のうち
    少なくとも1層が請求項1の製造方法によって得られる
    ハロゲン化銀乳剤を含有することを特徴とするハロゲン
    化銀写真感光材料。
  4. 【請求項4】 支持体上に少なくとも1層の乳剤層を有
    するハロゲン化銀写真感光材料において、該乳剤層のう
    ち少なくとも1層が請求項2の製造方法によって得られ
    るハロゲン化銀乳剤を含有することを特徴とするハロゲ
    ン化銀写真感光材料。
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