JPH11190886A - ハロゲン化銀乳剤及びそれを用いるハロゲン化銀カラー写真感光材料 - Google Patents

ハロゲン化銀乳剤及びそれを用いるハロゲン化銀カラー写真感光材料

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JPH11190886A
JPH11190886A JP29212898A JP29212898A JPH11190886A JP H11190886 A JPH11190886 A JP H11190886A JP 29212898 A JP29212898 A JP 29212898A JP 29212898 A JP29212898 A JP 29212898A JP H11190886 A JPH11190886 A JP H11190886A
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silver
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dislocation lines
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JP29212898A
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Hiromoto I
宏元 井
理英子 ▲れん▼
Rieko Ren
Sadayasu Ishikawa
貞康 石川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 感度粒状比に優れ、かつ圧力特性と高照度不
軌特性が改良されたハロゲン化銀乳剤及びそれを用いる
感光材料を提供する。 【解決手段】 含有されるハロゲン化銀粒子の粒径の変
動係数が20%以下で、且つその投影面積の50%以上
がアスペクト比2以上の平板状ハロゲン化銀粒子であ
り、該平板粒子が粒子外周領域に1粒子あたり10本以
上の転位線を有し、該転位線の長さの変動係数が20%
以下であるハロゲン化銀乳剤、前記外周領域の転位線が
1粒子あたり30本以上であること、及び支持体上に前
記ハロゲン化銀乳剤を含有するハロゲン化銀乳剤層を有
するハロゲン化銀カラー写真感光材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はハロゲン化銀写真乳
剤に関し、更には感度と粒状性に優れ、圧力耐性並びに
高照度不軌特性に優れた多層カラーネガ型ハロゲン化銀
写真感光材料を与えるものである。
【0002】
【従来の技術】近年、コンパクトカメラ及び自動焦点1
眼レフカメラ、更にはレンズ付きフィルム等の普及によ
り、高感度で且つ画質の優れたハロゲン化銀写真感光材
料(以下「感光材料」とも言う。)の開発が強く望まれ
ている。そのために、写真用のハロゲン化銀乳剤に対す
る性能改良の要求はますます厳しく、高感度、優れた粒
状性及び優れたシャープネス等の写真性能に対して、よ
り高水準の要求がなされている。
【0003】かかる要求に対して、例えば、米国特許第
4,434,226号、同4,439,520号、同
4,414,310号、同4,433,048号、同
4,414,306号、同4,459,353号等に平
板状ハロゲン化銀粒子(以下、単に「平板粒子」とも言
う。)を使用した技術が開示されており、増感色素によ
る色増感効率の向上を含む感度の向上、感度/粒状性の
改良、平板粒子の特異的な光学的性質によるシャープネ
スの向上、カバーリングパワーの向上等の利点が知られ
ている。しかしながら、近年の高水準の要求に応えるに
は不十分であり、より一層の性能向上が望まれている。
【0004】こうした高感度化、高画質化の流れに関連
して、ハロゲン化銀写真感光材料における圧力特性の向
上に対する要請も従来以上に高まってきている。以前か
ら様々な手段により圧力特性を改良することが検討され
てきたが、可塑剤を添加する等の添加剤を用いる技術よ
りも、ハロゲン化銀粒子自体の耐応力性を向上させる技
術の方が実用上好ましく、又、効果も大きいという見方
が有力である。これらの要望に対して、沃化銀含有率の
高い沃臭化銀層を有するコア/シェル型のハロゲン化銀
粒子からなる乳剤が盛んに研究されてきた。特に、粒子
内部に10モル%以上の高沃化銀相を有するコア/シェ
ル型粒子含有の沃臭化銀乳剤は、例えばカラーネガフィ
ルム用の乳剤として大変注目されてきた。
【0005】ハロゲン化銀乳剤の感度を高める方法とし
て、平板状ハロゲン化銀粒子に転移線を導入する技術が
米国特許第4,956,269号に開示されている。一
般に、ハロゲン化銀粒子に圧力を加えると、カブリを生
じたり減感したりすることが知られているが、転位線を
導入した粒子は、圧力が加わることにより著しく減感す
るという問題を有していた。特開平3−189642号
公報には、アスペクト比が2以上でフリンジ部に10本
以上の転位線を有する平板状ハロゲン化銀粒子によって
占められ、且つ該平板状ハロゲン化銀粒子のサイズ分布
が単分散であるハロゲン化銀乳剤が開示されている。し
かし、該技術では、転位線を導入することによって生ず
る被圧による著しい減感を改良することはできていな
い。
【0006】コア/シェル型粒子で圧力特性を改良した
技術としては、例えば特開昭59−99433号、同6
0−35726号、同60−147727号に開示の技
術が知られている。又、特開昭63−220238号及
び特開平1−201649号には、ハロゲン化銀粒子に
転位を導入することにより、高感度で粒状性、圧力特
性、露光照度依存性等の改良をする技術が開示されてい
る。又、特開平6−235988号には、中間殻に高沃
度層を有する多重構造型の単分散平板粒子により、圧力
耐性を向上した技術が開示されている。また特開平8−
62754号には転位線を導入する際の添加銀量での位
置を規定し、特開平8−95181号では転位線長さの
平均と粒子径の比を規定し、更なる高感度化を達成する
技術が開示されている。
【0007】特開平3−15040号には、粒子表面上
にイリジウムイオンが存在しないイリジウムイオン含有
乳剤とその製造法が開示されている。又、例えば特開平
6−175251号にはハロゲン化銀粒子製造工程中に
イリジウム化合物を添加した面内エピタキシー型粒子に
より、1/100秒露光での感度、及び相反則不軌特性
を両立させた技術が開示されている。又、例えば特開平
7−104406号にはイリジウム化合物の共存下にハ
ロゲン化銀微粒子を添加し、相反則不軌特性を改良した
技術が開示されている。
【0008】しかしながら、これらの技術においては、
高感度で粒状性に優れ、かつ圧力特性と高照度不軌特性
が改良されたハロゲン化銀乳剤として近年の高水準の要
求に耐えうるものとして未だ満足できるものではなかっ
た。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の事情に
鑑みてなされたものであり、その目的は、感度粒状比に
優れ、かつ圧力特性と高照度不軌特性が改良されたハロ
ゲン化銀乳剤及びそれを用いる感光材料を提供すること
にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、含
有されるハロゲン化銀粒子の粒径の変動係数が20%以
下で、且つその投影面積の50%以上がアスペクト比2
以上の平板状ハロゲン化銀粒子であり、該平板粒子が粒
子外周領域に1粒子あたり10本以上の転位線を有し、
該転位線の長さの変動係数が20%以下であるハロゲン
化銀乳剤、含有されるハロゲン化銀粒子の全投影面積の
50%以上がアスペクト比2以上の平板状ハロゲン化銀
粒子であり、該平板粒子の粒径の変動係数が20%以下
で、且つ該平板粒子は粒子外周領域に1粒子あたり10
本以上の転位線を有し、該転位線の長さの変動係数が2
0%以下であるハロゲン化銀乳剤、前記外周領域の転位
線が1粒子あたり30本以上であること、及び支持体上
に前記ハロゲン化銀乳剤を含有するハロゲン化銀乳剤層
を有するハロゲン化銀カラー写真感光材料、によって達
成される。
【0011】以下、各発明毎に、詳細に述べる。
【0012】本発明のハロゲン化銀乳剤に含まれるハロ
ゲン化銀粒子は平板粒子である。平板粒子とは、結晶学
的には双晶に分類される。
【0013】双晶とは、一つの粒子内に一つ以上の双晶
面を有するハロゲン化銀結晶であるが、双晶の形態の分
類はクラインとモイザーによる報文フォトグラフィッシ
ェコレスポンデンツ(Photographishe
Korrespondenz)第99巻、p100,同
第100巻,p57に詳しく述べられている。
【0014】本発明における平板粒子は、主平面に平行
な双晶面を2枚以上有するのが好ましい。双晶面は透過
型電子顕微鏡により観察することができる。具体的な方
法は次の通りである。まず、含有される平板粒子が、支
持体上にほぼ主平面が平行に配向するようにハロゲン化
銀乳剤を塗布し、試料を作成する。これをダイヤモンド
・カッターを用いて切削し、厚さ0.1μm程度の薄切
片を得る。この切片を透過型電子顕微鏡で観察すること
により双晶面の存在を確認することができる。
【0015】前記2枚の双晶面間の距離の平均は、上記
の透過型電子顕微鏡を用いた切片の観察において、主平
面に対しほぼ垂直に切断された断面を示す平板粒子を任
意に1000個以上選び、主平面に平行な偶数枚の双晶
面の内、最も距離の短い2枚の双晶面間距離をそれぞれ
の粒子について求め、加算平均することにより得られ
る。
【0016】本発明において、双晶面間距離の平均は
0.01μm〜0.05μmが好ましく、更に好ましく
は0.013μm〜0.025μmである。
【0017】本発明において、双晶面間距離は、核形成
時の過飽和状態に影響を及ぼす因子、例えばゼラチン濃
度、ゼラチン種、温度、沃素イオン濃度、pBr、p
H、イオン供給速度、撹拌回転数等の諸因子の組み合わ
せにおいて適切に選択することにより制御することがで
きる。一般に核形成を高過飽和状態で行なうほど、双晶
面間距離を短くすることができる。
【0018】過飽和因子に関しての詳細は、例えば特開
昭63−92924号、或いは特開平1−213637
号等の記述を参考にすることができる。
【0019】本発明の平板粒子の厚さの平均は、前述の
透過型電子顕微鏡を用いた切片の観察により、同様にし
てそれぞれの粒子について厚さを求め、加算平均するこ
とにより得られる。平板粒子の厚さの平均は0.05μ
m〜1.5μmが好ましく、更に好ましくは0.07μ
m〜0.50μmである。
【0020】本発明における平板粒子の粒径は、該ハロ
ゲン化銀粒子の投影面積の円相当直径(該ハロゲン化銀
粒子と同じ投影面積を有する円の直径)で示され、0.
1〜5.0μmが好ましく、更に好ましくは0.2〜
2.5μmである。
【0021】本発明の平板粒子は、全投影面積の50%
以上がアスペクト比(粒径/粒子厚さ)が2以上のもの
を言うが、好ましくは全投影面積の50%以上がアスペ
クト比5以上であり、更に好ましくは全投影面積の60
%以上がアスペクト比7以上であり、特に好ましくは全
投影面積の70%以上がアスペクト比9以上である。
【0022】粒径は、例えば該粒子を電子顕微鏡で1万
倍から7万倍に拡大して撮影し、そのプリント上の粒子
径又は投影時の面積を実測することによって得ることが
できる(測定粒子個数は無差別に1000個以上あるこ
ととする)。
【0023】ここに、平均粒径rは、粒径riを有する
粒子の頻度niとri 3との積ni×ri 3が最大となるとき
の粒径riと定義する(有効数字3桁、最小桁数字は4
捨5入する)。
【0024】本発明のハロゲン化銀乳剤のハロゲン化銀
粒子は単分散である。ここでの単分散性は、 (標準偏差/平均粒径)×100[%] によって分布の広さを定義したとき(粒径の変動係数)
20%以下であり、好ましくは16%以下である。ここ
に平均粒径及び標準偏差は、上記で定義した粒径ri
ら求めるものとする。
【0025】本発明における平板粒子は核となるコアと
該コアを被覆するシェルとから構成されていても、コア
/シェルが形成されていなくてもよく、シェルは1層或
いはそれ以上の層によって形成されていてもよい。
【0026】本発明の平板粒子が上記コア/シェル型粒
子からなる場合、コアとシェルのハロゲン組成は任意に
選ぶことができるが、コアの占める割合は、粒子全体の
銀量の1〜60%とするのが好ましく、4〜40%が更
に好ましい。またコアとシェルの沃化銀含有率が異なる
場合、コア部とシェル部との沃化銀含有率の差は、シャ
ープな境界を有するものがよく、コアとシェルの間に中
間層を少なくとも1層、介在させたものも好ましく用い
られる。
【0027】本発明のハロゲン化銀乳剤が上記中間層を
有するコア/シェル型平板粒子を含有してなる場合、中
間層の好ましい体積は粒子全体の銀量の0.1〜20
%、更に好ましくは0.5〜10%である。中間層とシ
ェルの沃化銀含有率差は、中間層の沃化銀含有率がシェ
ルの沃化銀含有率に対して2モル%以上高いことが好ま
しい。
【0028】本発明における平板粒子の平均沃化銀含有
率は10モル%以下が好ましく、7モル%以下がより好
ましく、更に好ましくは4モル%以下である。
【0029】本発明のハロゲン化銀乳剤は上記のように
沃臭化銀を主として含有させるのが好ましく、本発明の
効果を損なわない範囲で他の組成のハロゲン化銀、例え
ば塩化銀を含有させることができる。
【0030】上記コア/シェル型ハロゲン化銀粒子にお
ける沃化銀の分布状態は、各種の物理的測定法によって
検知することができ、例えば日本写真学会・1981年
度年次大会講演要旨集に記載されているような、低温で
のルミネッセンスの測定やX線回折法によって調べるこ
とができる。
【0031】本発明の平板粒子の形成手段としては、当
該分野でよく知られている種々の方法を用いることがで
きる。即ち、シングル・ジェット法、コントロールド・
ダブルジェット法、コントロールド・トリプルジェット
法等を任意に組み合わせて使用することができるが、高
度な単分散粒子を得るためには、ハロゲン化銀粒子の生
成される液相中のpAgをハロゲン化銀粒子の成長速度
に合わせてコントロールすることが重要である。pAg
値としては7.0〜11.5の領域を使用し、好ましく
は7.5〜11.0、更に好ましくは8.0〜10.5
の領域を使用する。
【0032】添加速度の決定にあたっては、特開昭54
−48521号、同58−49938号に記載の技術を
参考にできる。
【0033】本発明の平板粒子の製造時に、アンモニ
ア、チオエーテル、チオ尿素等の公知のハロゲン化銀溶
剤を存在させることもできるし、ハロゲン化銀溶剤を使
用しなくても良い。
【0034】本発明の平板粒子は、潜像が主として表面
に形成される粒子或いは主として粒子内部に形成される
粒子のいずれであっても良い。
【0035】本発明の平板粒子は、分散媒の存在下、即
ち、分散媒を含む水溶液中で製造される。ここで、分散
媒を含む水溶液とは、ゼラチンその他の親水性コロイド
を構成し得る物質(バインダーとなり得る物質等)によ
り保護コロイドが水溶液中に形成されているものをい
い、好ましくはコロイド状の保護ゼラチンを含有する水
溶液である。
【0036】上記保護コロイドとしてゼラチンを用いる
場合は、ゼラチンは石灰処理されたものでも、酸を使用
して処理されたものでもどちらでもよい。ゼラチンの製
法の詳細はアーサー・グアイス著、ザ・マクロモレキュ
ラー・ケミストリー・オブ・ゼラチン(アカデミック・
プレス、1964年発行)に記載がある。
【0037】保護コロイドとして用いることができるゼ
ラチン以外の親水性コロイドとしては、例えばゼラチン
誘導体、ゼラチンと他の高分子とのグラフトポリマー、
アルブミン、カゼイン等の蛋白質;ヒドロキシエチルセ
ルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロース硫
酸エステル類等の如きセルロース誘導体;アルギン酸ソ
ーダ、澱粉誘導体などの糖誘導体;ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルアルコール部分アセタール、ポリ−N−
ビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル
酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルイミダゾール、ポ
リビニルピラゾール等の単一或いは共重合体の如き多種
の合成親水性高分子物質がある。
【0038】ゼラチンの場合は、パギー法におけるゼリ
ー強度200以上のものを用いることが好ましい。
【0039】本発明における平板粒子は、粒子を形成す
る過程及び/又は成長させる過程で、カドミウム塩、亜
鉛塩、鉛塩、タリウム塩、鉄塩、ロジウム塩、イリジウ
ム塩、インジウム塩(錯塩を含む)から選ばれる少なく
とも1種を用いて金属イオンを添加し、粒子内部及び/
又は粒子表面にこれらの金属元素を含有させることがで
きる。
【0040】本発明における平板粒子は、粒子の成長終
了後に不要な可溶性塩類を除去したものであってもよい
し、或いは含有させたままのものでも良い。又、特開昭
60−138538号に記載の方法の様に、ハロゲン化
銀粒子の成長の任意の点で脱塩を行なう事も可能であ
る。該塩類を除去する場合には、リサーチ・ディスクロ
ージャー(Research Disclosure、
以下RDと略す。)17643号II項に記載の方法に基
づいて行なうことができる。更に詳しくは、沈澱形成
後、或いは物理熟成後の乳剤から可溶性塩を除去するた
めには、ゼラチンをゲル化させて行なうヌーデル水洗法
を用いても良く、また無機塩類、アニオン性界面活性
剤、アニオン性ポリマー(例えばポリスチレンスルホン
酸)、或いはゼラチン誘導体(アシル化ゼラチン、カル
バモイル化ゼラチン等)を利用した沈澱法(フロキュレ
ーション)を用いても良い。
【0041】本発明において、個々のハロゲン化銀粒子
の沃化銀含有率及び平均沃化銀含有率は、EPMA法
(Electron Probe Micro Ana
lyzer法)を用いることにより求めることが可能で
ある。この方法は、乳剤粒子を互いに接触しない様に良
く分散したサンプルを作成し、電子ビームを照射する電
子線励起によるX線分析より極微小な部分の元素分析が
行える。この方法により、各粒子から放射される銀及び
沃度の特性X線強度を求めることにより、個々の粒子の
ハロゲン組成が決定できる。少なくとも50個の粒子に
ついてEPMA法により沃化銀含有率を求めれば、それ
らの平均から平均沃化銀含有率が求められる。
【0042】本発明における平板粒子は、沃化銀含有率
が粒子間でより均一になっていることが好ましい。EP
MA法により粒子間の沃化銀含有率の分布を測定した時
に、相対標準偏差が30%以下、更に20%以下である
ことが好ましい。
【0043】本発明の平板粒子の表面のハライド組成
は、XPS法(X−ray Photoelectro
n Spectroscopy法:X線光電子分光法)
によって次の様に求められる。ここで表面とは、ハロゲ
ン化銀粒子の最表面を含む粒子の最外層であって、粒子
の最表面から50Åまでの深さをいう。
【0044】XPS法は従来から、ハロゲン化銀粒子表
面の沃化銀含有率を求める方法として特開平2−241
88号等に開示されている。しかし、室温で測定を行っ
た場合、X線照射に伴う試料が破壊されるため、最表層
の正確な沃化銀含有率は求められなかった。本発明者ら
は試料を破壊の起きない温度まで冷却する事により、表
層の沃化銀含有率を正確に求めることに成功した。その
結果、特にコア/シェル粒子の様な表面と内部の組成が
異なる粒子や、最表面に高沃度層や低沃度層が局在して
いる粒子では、室温での測定値はX線照射によるハロゲ
ン化銀の分解とハライド(特に沃度)の拡散のために真
の組成とは大きく異なることが明らかになった。
【0045】ここで用いられるXPS法とは具体的には
次の通りである。
【0046】乳剤に蛋白質分解酵素(プロナーゼ)0.
05重量%水溶液を加え、45℃で30分間攪拌してゼ
ラチンを分解した。これを遠心分離して乳剤粒子を沈降
させ、上澄み液を除去する。次に蒸留水を加えて乳剤粒
子を蒸留水中に分散させ、遠心分離し、上澄み液を除去
する。乳剤粒子を水中に再分散させ、鏡面研磨したシリ
コンウエハー上に薄く塗布して測定試料とする。この様
にして作成した試料を用いて、XPSによる表面沃度測
定を行った。X線照射による試料の破壊を防ぐため、試
料はXPS測定用チャンバー内で−110〜−120℃
に冷却した。プローブ用X線としてMgKαをX線源電
圧15kV、X線源電流40mAで照射し、Ag 3d
5/2、Br 3d、I 3d3/2電子について測定
した。測定されたピークの積分強度を感度因子(Sen
sitivity Factor)で補正し、これらの
強度比から表面のハライド組成を求めた。
【0047】ハロゲン化銀粒子の転位は、例えば、J.
F.Hamilton、Phot.Sci.Eng.、
vol11、57(1967)や、T.Shiozaw
a、J.Soc.Photo.Sci.Japan、v
ol35、213(1972)に記載の、低温での透過
型電子顕微鏡を用いた直接的な方法により観察すること
ができる。即ち、乳剤から粒子に転位が発生する程の圧
力を掛けないよう注意して取り出したハロゲン化銀粒子
を電子顕微鏡観察用のメッシュに載せ、電子線による損
傷(プリントアウト等)を防ぐ様に試料を冷却した状態
で透過法により観察を行う。この時、粒子の厚みが厚い
ほど、電子線が透過し難くなるので、高圧型(0.25
μmの厚さの粒子に対し200kV以上)の電子顕微鏡
を用いた方がより鮮明に観察することができる。
【0048】この様な方法により得られた粒子の写真よ
り、主平面に対して垂直な方向から見た場合の各粒子に
ついての転位の位置及び数を求めることができる。
【0049】本発明の平板粒子は平板粒子の外周領域に
転位線を有する。ここで言う平板粒子の外周領域とは、
主平面に対して垂直方向から見たとき、平板粒子の中心
領域の外側の環状領域に相当する面積を有すし、かつ平
板粒子の厚さを有する管状部分領域をいう。また平板粒
子の主平面の中心領域とは、平板粒子の主平面と等しい
面積をもつ円の半径の80%の半径を有し、中心(主平
面の重心と同じ)を共有したときの円形部分にある平板
粒子の厚さを有する円柱状部分領域のことである。
【0050】該外周領域の転位線の長さは5nm以上1
00nm以下が好ましい。より好ましくは20nm以上
60nm以下である。転位線長さの分布とは前記転位線
長さの変動係数のことで20%以下であり、好ましくは
15%以下である。
【0051】又、粒子1個あたりに存在する転位線の本
数も単分散であるのが好ましい。1粒子中に存在する転
位線の本数の測定は次の様にして行う。入射電子に対し
て傾斜角度を変えた一連の粒子写真を各粒子について撮
影し、転位線の存在を確認する。この時、転位線の本数
を数えられるものについてはその本数を数える。転位線
が密集して存在したり、又は転位線が互いに交わってい
る時等、1粒子あたりの転位線の本数を数える事ができ
ない場合は多数の転位線が存在すると数える。
【0052】本発明の粒子は転位線が1粒子あたり10
本以上存在する粒子が投影面積の50%以上存在する。
好ましくは20本以上の粒子が60%以上を、更に好ま
しくは30本以上の粒子が70%以上存在する。
【0053】本発明における転位線の長さ、長さの分布
の適切なコントロールは、全添加銀量に対する転位線導
入位置、pH、pAg、温度、導入方法、導入後のシェ
ル成長環境等を最適に組み合わせることによって達成で
きる。
【0054】全添加銀量に対する転位線導入時期は全銀
量の90重量%を添加する以前、好ましくは80重量%
以前、更に好ましくは70重量%以前である。
【0055】pHは任意に選ぶことができるが好ましく
は5.0〜6.5である。
【0056】pAgは任意に選ぶことができるが、外周
領域に選択的に転位線を形成させるためには、成長工程
において、外周領域に転位線を導入するための沃素イオ
ン源(例えば、沃化銀微粒子、沃素イオン放出剤)を基
盤粒子に添加した後の粒子成長におけるpAgを高める
事が重要である。しかしながら、pAgを高くしすぎる
と、粒子成長と同時にいわゆるオストワルド熟成が進行
し、平板粒子の単分散性が劣化してしまう。従って、成
長工程において平板粒子の外周領域を形成させるときの
pAgは、8〜12が好ましく、9.5〜11が更に好
ましい。又、沃素イオン源として沃素イオン放出剤を使
用する場合は、その添加量を増加させることによっても
外周領域に有効に転位線を形成させる事ができる。沃素
イオン放出剤の添加量としては、ハロゲン化銀1モル当
たり0.5モル以上が好ましく、1〜3モルが更に好ま
しい。
【0057】転位線を形成する温度は60℃以下、好ま
しくは50℃以下で最も好ましいのは40℃以下であ
る。
【0058】本発明の平板粒子への転位線の導入法とし
ては、例えば沃化カリウムの様な沃素イオンを含む水溶
液と水溶性銀塩溶液をダブルジェットで添加する方法、
沃素イオンを含む溶液のみを添加する方法、沃化銀を含
む微粒子乳剤を添加する方法、又は特開平6−1178
1号に記載されている様な沃素イオン放出剤を用いる方
法等の、公知の方法を利用して所望の位置で転位線の起
源となる転位を形成することができる。これらの方法の
中では、沃化銀を含む微粒子乳剤を添加する方法、沃素
イオン放出剤を添加する方法が好ましい。
【0059】沃素イオン放出剤を用いる場合は、p−ヨ
ードアセトアミドベンゼンスルホン酸ナトリウム、2−
ヨードエタノール、2−ヨードアセトアミド等を好まし
く用いることができる。
【0060】沃化銀を含む微粒子乳剤を添加して転位線
を導入する方法においては、特に微粒子乳剤の消失速度
に見合ったシェル成長条件を適切に選択することが大切
である。即ち、微粒子乳剤で転位線を導入後、シェル添
加初期には微粒子乳剤の消失速度に合わせた添加速度を
選択し、微粒子乳剤が消失した後には粒子の成長速度に
見合った添加速度を選択する。肝要なのは微粒子乳剤の
消失と粒子の成長のために不連続に添加速度を変化させ
ることにある。
【0061】微粒子乳剤を消失させるための第一シェル
形成時の銀とハライドの添加流速はハロゲン化銀1モル
当たり毎分0.2〜1.0モルが好ましく、更に好まし
くは0.4〜0.8モルである。
【0062】微粒子乳剤が消失した後に粒子を成長させ
る第二シェル形成の銀とハライドの添加速度はハロゲン
化銀1モル当たり毎分0.8〜1.6モルが好ましく、
更に好ましくは1.1〜1.4モルである。
【0063】本発明の平板粒子は、常法により化学増感
することができる。即ち、硫黄増感、セレン増感、金そ
の他の貴金属化合物を用いる貴金属増感法等を単独で又
は組み合わせて用いることができる。
【0064】本発明の平板粒子は、写真業界において増
感色素として知られている色素を用いて所望の波長域に
光学的に増感できる。増感色素は、単独で用いてもよい
が2種類以上を組み合わせて用いても良い。増感色素と
共にそれ自身分光増感作用をもたない色素、あるいは可
視光を実質的に吸収しない化合物であって、増感色素の
増感作用を強める強色増感剤を乳剤中に含有させても良
い。
【0065】本発明のハロゲン化銀乳剤には、カブリ防
止剤、安定剤等を加えることができる。
【0066】本発明の感光材料の乳剤層、その他の親水
性コロイド層は、硬膜することができ、又、可塑剤、水
不溶性又は可溶性合成ポリマーの分散物(ラテックス)
を含有させることができる。
【0067】本発明の感光材料の乳剤層にはカプラーが
用いられる。更に色補正の効果を有している競合カプラ
ー及び現像主薬の酸化体とのカップリングによって現像
促進剤、現像剤、ハロゲン化銀溶剤、調色剤、硬膜剤、
カブリ剤、カブリ防止剤、化学増感剤、分光増感剤及び
減感剤の様な写真的に有用なフラグメントを放出する化
合物を用いることができる。
【0068】本発明の感光材料には、フィルター層、ハ
レーション防止層、イラジュエーション防止層等の補助
層を設けることができる。これらの層中及び/又は乳剤
層中には現像処理中に感光材料から流出するか、もしく
は漂白される染料が含有されても良い。
【0069】本発明の感光材料には、マット剤、滑剤、
画像安定剤、ホルマリンスカベンジャー、紫外線吸収
剤、蛍光増白剤、界面活性剤、現像促進剤や現像遅延剤
を添加できる。
【0070】支持体としては、ポリエチレン等をラミネ
ートした紙、ポリエチレンテレフタレートフィルム、バ
ライタ紙、三酢酸セルロース等を用いることができる。
【0071】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0072】実施例1 〈本発明乳剤EM−1の調製〉 《核形成工程》反応容器内の下記反応母液(Gr−1)
を30℃に保ち、特開昭62−160128号に記載の
混合攪拌装置を用いて攪拌回転数400回転/分で攪拌
しながら、1Nの硫酸を用いてpHを1.96に調整し
た。その後ダブルジェット法を用いて(S−1)液と
(H−1)液を一定の流量で1分間で添加し核形成を行
った。
【0073】 (Gr−1) アルカリ処理不活性ゼラチン(平均分子量10万) 40.50g 臭化カリウム 12.40g 蒸留水で16.2リットルに仕上げる (S−1) 硝酸銀 862.5g 蒸留水で4.06リットルに仕上げる (H−1) 臭化カリウム 604.5g 蒸留水で4.06リットルに仕上げる。
【0074】《熟成工程》上記核形成工程終了後に(G
−1)液を加え、30分間を要して60℃に昇温した。
この間、反応容器内の乳剤の銀電位(飽和銀−塩化銀電
極を比較電極として銀イオン選択電極で測定)を2Nの
臭化カリウム溶液を用いて6mVに制御した。続いて、
アンモニア水溶液を加えてpHを9.3に調整し、更に
7分間保持した後、酢酸水溶液を用いてpHを6.1に
調整した。この間の銀電位を2Nの臭化カリウム溶液を
用いて6mVに制御した。
【0075】 (G−1) アルカリ処理不活性ゼラチン(平均分子量10万) 173.9g
【0076】
【化1】
【0077】蒸留水で4.22リットルに仕上げる。
【0078】《粒子成長工程》熟成工程終了後、続いて
ダブルジェット法を用いて前記(S−1)液と(H−
1)液を流量を加速しながら(終了時と開始時の添加流
量の比が約12倍)37分間で添加した。添加終了後に
(G−2)液を加え、攪拌回転数を550回転/分に調
整した後、引き続いて(S−2)液と(H−2)液を流
量を加速しながら(終了時と開始時の添加流量の比が約
2倍)40分間で添加した。この間乳剤の銀電位を2N
の臭化カリウム溶液を用いて6mVに制御した。上記添
加終了後に、反応容器内の乳剤温度を15分間を要して
40℃に降温した。その後、3Nの臭化カリウム溶液を
用いて反応容器内の銀電位を−39mVに調整し、続い
て(F−1)液を407.5g加えた後、(S−2)液
と(H−3)液を流量を加速しながら(添加流量の比を
表1に示すように微粒子乳剤の消失に合わせた第一シェ
ル部とシェル成長させるための第二シェル部に分け、不
連続に流量を変化させた)25分間で添加した。
【0079】 (S−2) 硝酸銀 2.10kg 蒸留水で3.53リットルに仕上げる (H−2) 臭化カリウム 859.5g 沃化カリウム 24.45g 蒸留水で2.11リットルに仕上げる (H−3) 臭化カリウム 587.0g 沃化カリウム 8.19g 蒸留水で1.42リットルに仕上げる (G−2) オセインゼラチン 284.9g
【0080】
【化2】
【0081】 蒸留水で1.93リットルに仕上げる (F−1) 3重量%のゼラチンと、沃化銀粒子(平均粒径0.05μm)からなる微粒子 乳剤(*) 407.5g *調製法は次の通り:0.06モルの沃化カリウムを含
む6.0重量%のゼラチン溶液5000mlに、7.0
6モルの硝酸銀と、7.06モルの沃化カリウムを含む
水溶液、それぞれ2000mlを、10分間掛けて添加
した。微粒子形成中のpHは硝酸を用いて2.0に、温
度は40℃に制御した。粒子形成後に、炭酸ナトリウム
水溶液を用いてpHを6.0に調整した。仕上がり重量
は12.53kgであった。
【0082】上記粒子成長終了後に、特開平5−726
58号に記載の方法に従い脱塩処理を施し、その後ゼラ
チンを加え分散し、40℃にてpHを5.80、pAg
を8.06に調整した。かくして得られた乳剤をEM−
1とする。
【0083】得られた乳剤粒子の電子顕微鏡写真から、
全投影面積の50%が平均粒径1.50μm、平均アス
ペクト比7.4、粒径分布15.0%の平板粒子である
ことが確認された。
【0084】〈本発明乳剤EM−2の調製〉核形成工程
及び熟成工程はEM−1と同様にして粒子形成を行った
後、成長工程を次のように変更して本発明乳剤EM−2
を調製した。
【0085】《成長工程》熟成工程終了後、続いてダブ
ルジェット法を用いて前記(S−1)液と(H−1)液
を流量を加速しながら(終了時と開始時の添加流量の比
が約12倍)37分間で添加した。添加終了後に(G−
2)液を加え、攪拌回転数を550回転/分に調整した
後、引き続いて(S−2)液と(H−2)液を流量を加
速しながら(終了時と開始時の添加流量の比が約2倍)
40分間で添加した。この間乳剤の銀電位を2Nの臭化
カリウム溶液を用いて6mVに制御した。上記添加終了
後に、反応容器内の乳剤温度を15分間を要して40℃
に降温した。その後、(Z−1)液、次いで(SS)液
を添加し、水酸化カリウム水溶液を用いてpHを9.3
に調整し、4分間熟成しながら沃素イオンを放出させ
た。その後、酢酸水溶液を用いてpHを5.0に調整
し、次いで3Nの臭化カリウム溶液を用いて反応容器内
の銀電位を−39mVに調整した後、(S−2)液と
(H−3)液を流量を加速しながら(終了時と開始時の
添加流量の比を表1に示すように連続的に変化させた)
25分間で添加した。
【0086】 (S−2) 硝酸銀 2.10kg 蒸留水で3.53リットルに仕上げる (H−2) 臭化カリウム 859.5g 沃化カリウム 24.45g 蒸留水で2.11リットルに仕上げる (H−3) 臭化カリウム 587.0g 沃化カリウム 8.19g 蒸留水で1.42リットルに仕上げる (G−2) オセインゼラチン 284.9g
【0087】
【化3】
【0088】 蒸留水で1.93リットルに仕上げる (Z−1) p−ヨードアセトアミドベンゼンスルホン酸ナトリウム 83.4g 蒸留水で1.00リットルに仕上げる (SS) 亜硫酸ナトリウム 29.0g 蒸留水で0.30リットルに仕上げる。
【0089】上記粒子成長終了後に、特開平5−726
58号に記載の方法に従い脱塩処理を施し、その後ゼラ
チンを加え分散し、40℃にてpHを5.80、pAg
を8.06に調整した。かくして得られた乳剤をEM−
2とする。
【0090】得られた乳剤粒子の電子顕微鏡写真から、
全投影面積の50%が平均粒径1.51μm、平均アス
ペクト比7.2、粒径分布14.5%の平板粒子である
ことが確認された。
【0091】〈本発明乳剤EM−3の調製〉EM−1の
成長工程における(S−2)のホスト形成部分の添加で
銀量を変化させてEM−3を調整した。
【0092】得られた乳剤粒子の電子顕微鏡写真から、
全投影面積の50%が平均粒径1.50μm、平均アス
ペクト比6.5、粒径分布20%の平板粒子であること
が確認された。
【0093】〈比較乳剤EM−4の調製〉EM−1の成
長工程の(S−2)液と(H−3)液の添加を終了時と
開始時の添加流量の比を表1に示す様に連続的に変化さ
せて行った以外は同様にしてEM−4を作製した。
【0094】得られた乳剤粒子の電子顕微鏡写真から、
全投影面積の50%が平均粒径1.50μm、平均アス
ペクト比7.3、粒径分布25.0%の平板粒子である
ことが確認された。
【0095】〈比較例乳剤EM−5調製〉EM−3の成
長工程の(S−2)液と(H−3)液の添加を終了時と
開始時の添加流量の比を表1に示す様に連続的に変化さ
せて行った以外は同様にしてEM−5を作製した。
【0096】得られた乳剤粒子の電子顕微鏡写真から、
全投影面積の50%が平均粒径1.49μm、平均アス
ペクト比6.4、粒径分布32%の平板粒子であること
が確認された。
【0097】〈本発明乳剤EM−6の調製〉EM−1の
核形成過程において(Gr−1)、(S−1)、(H−
1)の液量を調整して、全投影面積の50%が平均粒径
0.66μm、平均アスペクト比3.2、粒径分布18
%の平板粒子であるEM−6を作製した。
【0098】各乳剤の特性について表1にまとめる。
【0099】
【表1】
【0100】実施例2 〈感光材料試料の作製〉乳剤EM−1〜EM−6に、金
−硫黄増感を最適に施し、これらの乳剤を用いてトリア
セチルセルロースフィルム支持体上に下記に示す組成の
各層を順次支持体側から形成して、多層カラー写真感光
材料を作製した。
【0101】以下の全ての記載において、感光材料中の
添加量は、特に記載のない限り1m2当たりのグラム数
を示す。又、ハロゲン化銀及びコロイド銀は、銀に換算
して示し、増感色素は、ハロゲン化銀1モル当たりのモ
ル数で示した。
【0102】多層カラー写真感光材料試料101(本発
明の乳剤EM−1を使用)の構成は以下の通りである。
【0103】 第1層:ハレーション防止層 黒色コロイド銀 0.16 紫外線吸収剤(UV−1) 0.20 高沸点溶媒(OIL−1) 0.16 ゼラチン 1.60 第2層:中間層 化合物(SC−1) 0.14 高沸点溶媒(OIL−2) 0.17 ゼラチン 0.80 第3層:低感度赤感性層 沃臭化銀乳剤A 0.15 沃臭化銀乳剤B 0.35 増感色素(SD−1) 2.0×10-4 増感色素(SD−2) 1.4×10-4 増感色素(SD−3) 1.4×10−5 増感色素(SD−4) 0.7×10−4 シアンカプラー(C−1) 0.53 カラードシアンカプラー(CC−1) 0.04 DIR化合物(D−1) 0.025 高沸点溶媒(OIL−3) 0.48 ゼラチン 1.09 第4層:中感度赤感性層 沃臭化銀乳剤B 0.30 沃臭化銀乳剤C 0.34 増感色素(SD−1) 1.7×10-4 増感色素(SD−2) 0.86×10-4 増感色素(SD−3) 1.15×10-5 増感色素(SD−4) 0.86×10-4 シアンカプラー(C−1) 0.33 カラードシアンカプラー(CC−1) 0.013 DIR化合物(D−1) 0.02 高沸点溶媒(OIL−1) 0.16 ゼラチン 0.79 第5層:高感度赤感性層 沃臭化銀乳剤D 0.95 増感色素(SD−1) 1.0×10-4 増感色素(SD−2) 1.0×10-4 増感色素(SD−3) 1.2×10-5 シアンカプラー(C−2) 0.14 カラードシアンカプラー(CC−1) 0.016 高沸点溶媒(OIL−1) 0.16 ゼラチン 0.79 第6層:中間層 化合物(SC−1) 0.09 高沸点溶媒(OIL−2) 0.11 ゼラチン 0.80 第7層:低感度緑感性層 沃臭化銀乳剤A 0.12 沃臭化銀乳剤B 0.38 増感色素(SD−4) 4.6×10-5 増感色素(SD−5) 4.1×10-4 マゼンタカプラー(M−1) 0.14 マゼンタカプラー(M−2) 0.14 カラードマゼンタカプラー(CM−1) 0.06 高沸点溶媒(OIL−4) 0.34 ゼラチン 0.70 第8層:中間層 ゼラチン 0.41 第9層:中感度緑感性層 沃臭化銀乳剤B 0.30 沃臭化銀乳剤C 0.34 増感色素(SD−6) 1.2×10-4 増感色素(SD−7) 1.2×10-4 増感色素(SD−8) 1.2×10-4 マゼンタカプラー(M−1) 0.04 マゼンタカプラー(M−2) 0.04 カラードマゼンタカプラー(CM−1) 0.017 DIR化合物(D−2) 0.025 DIR化合物(D−3) 0.002 高沸点溶媒(OIL−4) 0.12 ゼラチン 0.50 第10層:高感度緑感性層 乳剤EM−1 0.95 増感色素(SD−6) 7.1×10-5 増感色素(SD−7) 7.1×10-5 増感色素(SD−8) 7.1×10-5 マゼンタカプラー(M−1) 0.09 カラードマゼンタカプラー(CM−1) 0.011 高沸点溶媒(OIL−4) 0.11 ゼラチン 0.79 第11層:イエローフィルター層 黄色コロイド銀 0.08 化合物(SC−1) 0.15 高沸点溶媒(OIL−2) 0.19 ゼラチン 1.10 第12層:低感度青感性層 沃臭化銀乳剤A 0.12 沃臭化銀乳剤B 0.24 沃臭化銀乳剤C 0.12 増感色素(SD−9) 6.3×10-5 増感色素(SD−10) 1.0×10-5 イエローカプラー(Y−1) 0.50 イエローカプラー(Y−2) 0.50 DIR化合物(D−4) 0.04 DIR化合物(D−5) 0.02 高沸点溶媒(OIL−2) 0.42 ゼラチン 1.40 第13層:高感度青感性層 沃臭化銀乳剤C 0.15 沃臭化銀乳剤E 0.80 増感色素(SD−9) 8.0×10-5 増感色素(SD−11) 3.1×10−5 イエローカプラー(Y−1) 0.12 高沸点溶媒(OIL−2) 0.05 ゼラチン 0.79 第14層:第1保護層 沃臭化銀乳剤(平均粒径0.08μm、沃化銀含有率1.0モル%) 0.40 紫外線吸収剤(UV−1) 0.065 高沸点溶媒(OIL−1) 0.07 高沸点溶媒(OIL−3) 0.07 ゼラチン 0.65 第15層:第2保護層 アルカリ可溶性マット剤(平均粒径2μm) 0.15 ポリメチルメタクリレート(平均粒径3μm) 0.04 滑り剤(WAX−1) 0.04 ゼラチン 0.55 尚上記組成物の他に、塗布助剤Su−1、分散助剤Su
−2、粘度調整剤、硬膜剤H−1、H−2、安定剤ST
−1、かぶり防止剤AF−1、平均分子量10,000
及び平均分子量1,100,000の2種のAF−2、
及び防腐剤DI−1を添加した。
【0104】上記試料に用いた乳剤は、下記のとおりで
ある。尚平均粒径は、立方体に換算した粒径で示した。
また、各乳剤は、金・硫黄増感を最適に施した。
【0105】
【表2】
【0106】乳剤F〜Mはそれぞれ備考欄の金属を1×
10−5モル/1モルAg含有し、粒子形成中に沃素ま
たはPTTS(パラトルエンチオスルホン酸)を添加し
ている。
【0107】試料はマルチスライドホッパー型コーター
にて、一回目は第1層から第8層までを、2回目はその
上に第9層から第15層までをそれぞれ同時に塗設し
た。試料101の銀換算塗布量は6.25g/m2、乾
燥膜厚は18μmであった。
【0108】
【化4】
【0109】
【化5】
【0110】
【化6】
【0111】
【化7】
【0112】
【化8】
【0113】
【化9】
【0114】
【化10】
【0115】
【化11】
【0116】
【化12】
【0117】
【化13】
【0118】
【化14】
【0119】EM−1に代えてEM−2〜EM−5を用
いた以外は試料101と同様にして多層カラー写真感光
材料試料102〜105を作製した。また試料102に
おいて、更に第7層(低感度緑感性層)の沃臭化銀乳剤
A及び沃臭化銀乳剤Bに代えてEM−6を用いた試料1
06を作製した。
【0120】得られた各試料について、緑色光(G)を
用いてセンシトメトリー用ウエッジ露光(1/20
0″)を施し、下記発色現像処理を行って、相対感度、
粒状性、圧力特性及び高照度不軌特性の評価を行なっ
た。
【0121】発色現像処理工程を以下に示す。
【0122】 処理工程 1.発色現像 3分15秒 38.0±0.1℃ 2.漂 白 6分30秒 38.0±3.0℃ 3.水 洗 3分15秒 24〜41℃ 4.定 着 6分30秒 38.0±3.0℃ 5.水 洗 3分15秒 24〜41℃ 6.安 定 3分15秒 38.0±3.0℃ 7.乾 燥 50℃以下 各処理工程において使用した処理液組成は下記の通りで
ある。
【0123】 〈発色現像液〉 4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル) アニリン・硫酸塩 4.75g 無水亜硫酸ナトリウム 4.25g ヒドロキシルアミン・1/2硫酸塩 2.0g 無水炭酸カリウム 37.5g 臭化ナトリウム 1.3g ニトリロ三酢酸・三ナトリウム塩(一水塩) 2.5g 水酸化カリウム 1.0g 水を加えて1リットルとし、pH=10.1に調整する。
【0124】 〈漂白液〉 エチレンジアミン四酢酸鉄アンモニウム塩 100.0g エチレンジアミン四酢酸二アンモニウム塩 10.0g 臭化アンモニウム 150.0g 氷酢酸 10.0g 水を加えて1リットルとし、アンモニア水を用いてpH=6.0に調整する。
【0125】 〈定着液〉 チオ硫酸アンモニウム 175.0g 無水亜硫酸ナトリウム 8.5g メタ亜硫酸ナトリウム 2.3g 水を加えて1リットルとし、酢酸を用いてpH=6.0に調整する。
【0126】 〈安定液〉 ホルマリン(37%水溶液) 1.5cc コニダックス(コニカ(株)製) 7.5cc 水を加えて1リットルとする。
【0127】結果を表3に示す。
【0128】
【表3】
【0129】ここに、相対感度は、露光後1分以内に発
色現像処理を開始し、Dmin(最小濃度)+0.15の
濃度を与える露光量の逆数として求め、試料101の感
度を100とする値で示した(100に対して、値が大
きい程、高感度であることを示す。)。
【0130】粒状性は、Dmin+0.5の濃度を開口走
査面積250μm2のマイクロデンシトメータで走査し
た時に生じる濃度値の変動の標準偏差(RMS値)の相
対値で示した。RMS値は小さい程粒状性が良く、効果
があることを示す。試料101のRMS値を100とす
る値で示した(100に対して値が小さい程改良してい
ることを示す。)。
【0131】圧力特性は、23℃/55%(相対湿度)
の条件下で、引掻強度試験器(新東科学製)を用い、先
端の曲率半径が0.025mmの針に5gの荷重をかけ
て一定速度で走査した後、露光、現像処理を行い、D
min、及びDmin+0.4の濃度において、それぞれ荷重
がかけられた部分の濃度変化ΔD1(Dmin)、及びΔD
2(Dmin+0.4)を求め、試料101のΔD1、及び
ΔD2をそれぞれ100とする値で示した(それぞれ1
00に対して値が小さい程改良していることを示
す。)。
【0132】高照度不軌特性の評価は前記センシトメト
リー評価における露光条件を1/10,000秒・3.
2CMSに変える以外は同様に評価を行い、それぞれ1
/200秒露光の感度を100として相対感度で示し
た。試料101の値を100とする値で示した(100
に対して値が大きい程改良していることを示す。)。
【0133】表3に示す結果から明らかな様に、本発明
の乳剤を含む本発明の試料101から103は、高感度
で粒状性、圧力特性及び高照度不軌特性が改良されてい
る。これらの中でも、本発明のベストの組み合わせを満
たす乳剤EM−6を用いた試料106が特に優れてい
る。
【0134】
【発明の効果】本発明によれば、高感度で、粒状性に優
れ、圧力カブリ/減感、及びに高照度不軌特性を改良し
たハロゲン化銀写真乳剤、及びハロゲン化銀カラー写真
感光材料を得ることができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 含有されるハロゲン化銀粒子の粒径の変
    動係数が20%以下で、且つその投影面積の50%以上
    がアスペクト比2以上の平板状ハロゲン化銀粒子であ
    り、該平板粒子が粒子外周領域に1粒子あたり10本以
    上の転位線を有し、該転位線の長さの変動係数が20%
    以下であることを特徴とするハロゲン化銀乳剤。
  2. 【請求項2】 前記外周領域の転位線が1粒子あたり3
    0本以上であることを特徴とする請求項1に記載のハロ
    ゲン化銀乳剤。
  3. 【請求項3】 前記転位線の長さが5〜100nmであ
    ることを特徴とする請求項1又は2に記載のハロゲン化
    銀乳剤。
  4. 【請求項4】 含有されるハロゲン化銀粒子の全投影面
    積の50%以上がアスペクト比2以上の平板状ハロゲン
    化銀粒子であり、該平板粒子の粒径の変動係数が20%
    以下で、且つ該平板粒子は粒子外周領域に1粒子あたり
    10本以上の転位線を有し、該転位線の長さの変動係数
    が20%以下であることを特徴とするハロゲン化銀乳
    剤。
  5. 【請求項5】 支持体上に請求項1乃至4に記載のハロ
    ゲン化銀乳剤を含有するハロゲン化銀乳剤層を有するこ
    とを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。
JP29212898A 1997-10-15 1998-10-14 ハロゲン化銀乳剤及びそれを用いるハロゲン化銀カラー写真感光材料 Pending JPH11190886A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6952314B2 (en) 2002-07-30 2005-10-04 Canon Denshi Kabushiki Kaisha Method of manufacturing ND filter, and aperture device and camera having ND filter

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