JP3637475B2 - ハロゲン化銀写真感光材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は写真分野において有用なハロゲン化銀写真感光材料(以下、単に感光材料ともいう)に関する。更に詳しくは、高感度で広いラチチュードを有し、かつ処理安定性に優れたハロゲン化銀写真感光材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンパクトカメラ及び自動焦点1眼レフ更にはレンズ付フィルム等の普及により、高感度でかつ画質の優れたハロゲン化銀写真感光材料の開発が強く要望されている。そのために、写真用のハロゲン化銀乳剤(以下、単に乳剤ともいう)に対する性能改良の要求はますます厳しく、高感度で優れた性能を有することが要求されている。
【0003】
かかる要求に対して、例えば、米国特許第4,434,226号、同4,439,520号、同4,433,048号,同4,414,306号,同4,459,353号に平板状ハロゲン化銀粒子(以下、単に[平板粒子]ともいう)を使用した技術が開示されており、増感色素による色増感効率の向上を含む感度の向上、感度/粒状性の改良、平板粒子の特異的な光学的性質によるシャープネスの向上、カバーリングパワーの向上などの利点が知られている。しかしながら、近年の高水準の要求に応じるには不十分であり、より一層の性能向上が望まれている。
【0004】
一方、感度の異なるハロゲン化銀乳剤を混合することにより、ハロゲン化銀写真感光材料の露光ラチチュードを広くすることが出来ることは同業者間では良く知られている。この場合、混合される個々のハロゲン化銀乳剤は、その乳剤の写真性及び期待する効果により広範囲に変化させることが出来る。また、高感度と低感度を有するハロゲン化銀乳剤はハロゲン化銀乳剤の粒径を選択することにより得られることも良く知られている。特開昭59−45974号においては、混合する乳剤に用いる増感剤量を規定することにより、広いラチチュードを得る方法が開示されている。
【0005】
しかしながら同一の感光層に異なる粒径のハロゲン化銀を混合すると、それぞれのハロゲン化銀粒子の現像性の違いや溶解物理現像の程度の違いなどが影響し、現像処理変動が大きくなる、又は階調の直線性が維持できないといった問題を生じていた。これらを改良する手段として、米国特許第4,301,242号、特開平6−258743号、同6−308657号等にロジウムを含有する乳剤を用いる方法、特開平4−40446号、同4−93941号等に平均粒径の異なる少なくとも2種類以上の単分散ハロゲン化銀乳剤を同一感光層に含有する方法が開示されているが、何れも改良効果が不十分であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、上記問題点を鑑み、高感度で広いラチチュードを有し、かつ処理安定性に優れたハロゲン化銀写真感光材料を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は以下の構成により達成される。
【0008】
1.支持体上に、少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀写真感光材料において、該ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀乳剤が、平均アスペクト比が1.5以上、球換算平均粒径0.2μm以上、球換算平均粒径の変動係数が30%以下の平板状ハロゲン化銀粒子からなるハロゲン化銀乳剤であって、少なくとも球換算平均粒径が異なる2種類以上の該平板状ハロゲン化銀粒子を含有し、かつ該平板状ハロゲン化銀粒子の双晶面間距離が実質的に一定であることを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
【0009】
2.支持体上に、少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀写真感光材料において、該ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀乳剤が、平均アスペクト比が1.5以上、球換算平均粒径0.2μm以上、球換算平均粒径の変動係数が30%以下の平板状ハロゲン化銀粒子からなるハロゲン化銀乳剤であって、少なくとも球換算平均粒径が異なる2種類以上の該平板状ハロゲン化銀粒子を含有し、かつ該平板状ハロゲン化銀粒子の双晶面間距離と厚さの比が実質的に一定であることを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
【0011】
3.支持体上に、少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀写真感光材料において、該ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀乳剤が、平均アスペクト比が1.5以上、球換算平均粒径0.2μm以上、球換算平均粒径の変動係数が30%以下の平板状ハロゲン化銀粒子からなるハロゲン化銀乳剤であって、少なくとも球換算平均粒径が異なる2種類以上の該平板状ハロゲン化銀粒子を含有し、かつ該ハロゲン化銀乳剤の1平板状ハロゲン化銀粒子当たりの転位線の平均本数と平均沃化銀含有率が実質的に一定であることを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
【0012】
以下、本発明について更に詳細に述べる。
【0013】
本発明のハロゲン化銀乳剤に含まれるハロゲン化銀粒子は平板粒子である。平板粒子とは、結晶学的には双晶に分類される。
【0014】
双晶とは、一つの粒子内に一つ以上の双晶面を有するハロゲン化銀結晶であるが、双晶の形態の分類はクラインとモイザーによる報文フォトグラフィッシェ コレスポンデンツ(Photographishe Korrespondenz)第99巻、p100,同第100巻,p57に詳しく述べられている。
【0015】
本発明の平板粒子は、主平面に平行な双晶面を2枚有する。双晶面は透過型電子顕微鏡により観察することができる。具体的な方法は次の通りである。まず、含有される平板粒子が、支持体上にほぼ主平面が平行に配向するようにハロゲン化銀写真乳剤を塗布し、試料を作成する。これをダイヤモンド・カッターを用いて切削し、厚さ0.1μm程度の薄切片を得る。この切片を透過型電子顕微鏡で観察することにより双晶面の存在を確認することができる。
【0016】
本発明の平板粒子における2枚の双晶面間距離は、上記の透過型電子顕微鏡を用いた切片の観察において、主平面に対しほぼ垂直に切断された断面を示す平板粒子を任意に1000個以上選び、主平面に平行な偶数枚の双晶面の内、最も距離の短い2枚の双晶面間距離をそれぞれの粒子について求め、加算平均することにより得られる。
【0017】
本発明において、双晶面間距離は、核形成時の過飽和状態に影響を及ぼす因子、例えばゼラチン濃度、ゼラチン種、温度、沃素イオン濃度、pBr、pH、イオン供給速度、撹拌回転数等の諸因子の組み合わせにおいて適切に選択することにより制御することができる。一般に核形成を高過飽和状態で行なうほど、双晶面間距離を狭くすることができる。
【0018】
過飽和因子に関しての詳細は、例えば特開昭63−92924号、或いは特開平1−213637号等の記述を参考にすることができる。
【0019】
本発明において、双晶面間距離の平均は0.01μm〜0.05μmが好ましく、更に好ましくは0.013μm〜0.025μmである。
【0020】
本発明では、混合する平板粒子の双晶面間距離が実質的に一定である。双晶面間距離が実質的に一定であるとは、混合した平板粒子に観察される双晶面間距離の最も短いものと最も長いものの比が1.3以下であることをいう。
【0021】
本発明の平板粒子の厚さは、前述の透過型電子顕微鏡を用いた切片の観察により、同様にしてそれぞれの粒子について厚さを求め、加算平均することにより得られる。平板粒子の厚さは0.05μm〜1.5μmが好ましく、更に好ましくは0.07μm〜0.50μmである。
【0022】
本発明では、混合する平板粒子の双晶面間距離と厚さの比が実質的に一定である。双晶面間距離と厚さの比が実質的に一定であるとは、混合した平板粒子の観察から算出された双晶面間距離と厚さの比(厚さ/双晶面間距離)の最も小さいものと最も大きいものの比が1.3以下であることをいう。
【0023】
本発明の平板粒子は、平均アスペクト比(個々のハロゲン化銀粒子の粒径/粒子厚さの平均値)が1.5以上のものを言うが、好ましくは平均アスペクト比が3以上であり、更に好ましくは平均アスペクト比が5以上である。
【0024】
本発明では、混合する平板粒子の平均アスペクト比が実質的に一定である。平均アスペクト比が実質的に一定であるとは、混合した平板粒子の観察から算出された平均アスペクト比の最も小さいものと最も大きいものの比が1.3以下であることをいう。
【0025】
本発明の平板粒子の粒径は、該ハロゲン化銀粒子の球換算粒径(該ハロゲン化銀粒子と同じ体積を有する球の直径)で示される。
【0026】
本発明の平板粒子は球換算平均粒径が0.2μm以上であり、好ましくは0.3μm〜3.0μmである。
【0027】
本発明の平板粒子は、球換算平均粒径が0.2μm以上である平板粒子を2種類以上混合してなる。混合する平板粒子の粒径差としては、球換算平均粒径で0.07μm以上離れている事が好ましく、0.15μm以上離れている事が更に好ましい。
【0028】
粒径は、例えば該粒子を電子顕微鏡で1万倍から7万倍に拡大して撮影し、そのプリント上の粒子径及び粒子厚さを実測することによって得ることができる(測定粒子個数は無差別に1000個以上あることとする)。
【0029】
ここに、球換算平均粒径rは、球換算粒径riを有する粒子の頻度niとri3との積ni×ri3が最大となるときの粒径riと定義する(有効数字3桁、最小桁数字は4捨5入する)。
【0030】
本発明の平板粒子の球換算平均粒径の変動係数は、
(標準偏差/球換算平均粒径)×100=球換算平均粒径の変動係数[%]、によって分布の広さを定義したとき30%以下であり、好ましくは20%以下のものである。ここに球換算平均粒径及び標準偏差は、上記定義した粒径riから求めるものとする。
【0031】
本発明の平板粒子の平均沃化銀含有率は1mol%以上であることが好ましく、より好ましくは1〜10mol%であり、更に好ましくは2〜7mol%である。
【0032】
本発明の平板粒子は上記のように沃臭化銀を主として含有する乳剤であるが、本発明の効果を損なわない範囲で他の組成のハロゲン化銀、例えば塩化銀を含有させることができる。
【0033】
ハロゲン化銀粒子における沃化銀の分布状態は、各種の物理的測定法によって検知することができ、例えば日本写真学会・1981年度年次大会講演要旨集に記載されているような、低温でのルミネッセンスの測定やEPMA法、X線回折法によって調べることができる。
【0034】
本発明において、個々のハロゲン化銀粒子の沃化銀含有率及び平均沃化銀含有率は、EPMA法(Electron Probe Micro Analyzer法)を用いることにより求めることが可能である。この方法は、乳剤粒子を互いに接触しないように良く分散したサンプルを作成し、電子ビームを照射する電子線励起によるX線分析より極微小な部分の元素分析が行える。この方法により、各粒子から放射される銀及び沃度の特性X線強度を求めることにより、個々の粒子のハロゲン組成が決定できる。少なくとも50個の粒子についてEPMA法により沃化銀含有率を求めれば、それらの平均から平均沃化銀含有率が求められる。
【0035】
本発明の平板粒子は、粒子間の沃化銀含有率がより均一になっていることが好ましい。EPMA法により粒子間の沃化銀含有率の分布を測定した時に、相対標準偏差が30%以下、更に20%以下であることが好ましい。
【0036】
本発明では、混合する平板粒子の平均沃化銀含有率が実質的に一定である。平均沃化銀含有率が一定であるとは、混合した平板粒子に観察される平均沃化銀含有率の最も小さいものと最も大きいものの比が1.3以下であることをいう。
【0037】
本発明の平板粒子の表面の沃化銀含有率は1mol%以上である事が好ましく、2〜20mol%である事が更に好まししい。
【0038】
本発明の平板粒子の表面とは、ハロゲン化銀粒子の最表面を含む粒子の最外層であって、粒子の最表面から50Åまでの深さをいう。本発明の平板粒子の表面のハロゲン組成はXPS法(X−ray Photoelectron Spectroscopy法:X線光電子分光法)によって次のように求められる。
【0039】
即ち、試料を1×10E−8torr以下の超高真空中で−110℃以下まで冷却し、プローブ用X線としてMgKαをX線源電圧15kV、X線源電流40mAで照射し、Ag 3d5/2、Br 3d、I 3d3/2の電子について測定する。測定されたピークの積分強度を感度因子(Sensitivity Factor)で補正し、これらの強度比からハロゲン化銀表面のハライド組成を求める。
【0040】
ハロゲン化銀粒子が有する転位線は、例えばJ.F.Hamilton、Photo.Sci.Eng.11(1967)57や、T.Shiozawa,J.Soc.Phot.Sci.Japan35(1972)213に記載の、低温での透過型電子顕微鏡を用いた直接的な方法により観察できる。即ち、乳剤から粒子に転位が発生するほどの圧力をかけないように注意して取り出したハロゲン化銀粒子を、電子顕微鏡用のメッシュに乗せ、電子線による損傷(プリントアウトなど)を防ぐように試料を冷却した状態で透過法により観察を行う。この時、粒子の厚みが厚いほど電子線が透過しにくくなるので、高圧型の電子顕微鏡を用いた法がより鮮明に観察することができる。このような方法によって得られた粒子写真から、個々の粒子における転位線の位置及び数を求めることができる。
【0041】
1粒子中に存在する転位線の本数の測定は次のようにして行う。入射電子に対して傾斜角度を変えた一連の粒子写真を各粒子について撮影し、転位線の存在を確認できる平板粒子を無作為に500個以上抽出し転位線の本数を数える。この時、30〜40本程度までの転位線本数は数えることが可能であるが、転位線が密集して存在したり、又は転位線が互いに交わっているときなど、1粒子当たりの転位線の本数を数える事ができない場合は転位線が50本以上存在すると数える。
【0042】
本発明の平板粒子は主平面の中心領域と外周領域の両方に転位線を有する事ができるが、外周領域に転位線を有する事が好ましい。
【0043】
ここでいう平板粒子の主平面の中心領域とは、平板粒子の主平面と等しい面積をもつ円の半径の90%の半径を有し、中心を共有したときの円形部分にある平板粒子の厚さを有する領域の事である。一方、平板粒子の外周領域とは、前記中心領域の外側の環状領域に相当する面積を有する、平板粒子の周辺に存在し、かつ平板粒子の厚さを有する領域をいう。
【0044】
一方、本発明の平板粒子の外周領域に存在する転位線は、粒子の中心から辺に向かって放射状に伸びた線として観察されるが、しばしば蛇行している。
【0045】
本発明の平板粒子は、個数比率の30%以上が外周領域に転位線を有し、かつ外周領域の転位線の本数が1平板状ハロゲン化銀粒子当たり10本以上を有するものであるが、50%以上(個数比率)の平板粒子が外周領域に転位線を有し、かつ外周領域の転位線の本数が1粒子当たり20本以上を有する事が好ましい。
【0046】
ハロゲン化銀粒子への転位線の導入法としては、例えば、沃化カリウムのような沃素イオンを含む水溶液と水溶性銀塩溶液をダブルジェットで添加する方法、もしくは沃化銀を含む微粒子乳剤を添加する方法、沃素イオンを含む溶液のみを添加する方法、特開平6−11781号に記載されているような沃素イオン放出剤を用いる方法等の、公知の方法を使用して所望の位置で転位線の起源となる転位を形成することができる。これらの方法の中では、沃化銀を含む微粒子乳剤を添加する方法や沃素イオン放出剤を用いる方法が特に好ましい。
【0047】
沃素イオン放出剤を用いる場合は、p−ヨードアセトアミドベンゼンスルホン酸ナトリウム、2−ヨードエタノール、2−ヨードアセトアミドなどを好ましく用いる事ができる。
【0048】
本発明では、混合する平板粒子の1平板粒子当たりの転位線の平均本数が実質的に一定である。1平板粒子当たりの転位線の平均本数が実質的に一定であるとは、混合した平板粒子に観察される1粒子当たりの転位線の平均本数の最も少ないものと最も多いものの比が1.3以下であることをいう。
【0049】
本発明の平板粒子に形成される転位線の長さは30nm以上であることが好ましく、より好ましくは50nm〜150nmである。
【0050】
本発明の平板粒子の転位線の長さの変動係数は30%以下であることが好ましく、より好ましくは25%以下、更に好ましくは20%以下である。
【0051】
本発明の平板粒子の転位線存在領域の沃化銀含有率は、前記EPMA法によって測定する事ができる。即ち、平板粒子の主平面の中心より、辺に向かって垂直な線分を引き、この線分上に線分の長さの5〜15%間隔で測定点をとり、各測定点の主平面に垂直な方向の平均沃化銀含有率を測定する。このとき測定スポットは40nm以下に絞る事が必要である。また、試料の損傷を考慮して、測定温度は、−100℃以下に冷却する事が必要である。各測定点における積算時間は30秒以上とる事とする。
【0052】
本発明の平板粒子は、以上のようにして求めた沃化銀含有率のうち、転位線存在領域の最高沃化銀含有率が15mol%以下であり、好ましくは10mol%以下、更に好ましくは5mol%以下である。
【0053】
本発明の平板粒子は、潜像が主として表面に形成される粒子或いは主として粒子内部に形成される粒子何れであっても良い。
【0054】
本発明の平板粒子は、分散媒の存在下に即ち、分散媒を含む溶液中で製造される。ここで、分散媒を含む水溶液とは、ゼラチンその他の親水性コロイドを構成し得る物質(バインダーとなり得る物質など)により保護コロイドが水溶液中に形成されているものをいい、好ましくはコロイド状の保護ゼラチンを含有する水溶液である。
【0055】
本発明を実施する際、上記保護コロイドとしてゼラチンを用いる場合は、ゼラチンは石灰処理されたものでも、酸を使用して処理されたものでもどちらでもよい。ゼラチンの製法の詳細はアーサー・グアイス著、ザ・マクロモレキュラー・ケミストリー・オブ・ゼラチン(アカデミック・プレス、1964年発行)に記載がある。
【0056】
保護コロイドとして用いることができるゼラチン以外の親水性コロイドとしては、例えばゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子とのグラフトポリマー、アルブミン、カゼイン等の蛋白質;ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロース硫酸エステル類等の如きセルロース誘導体、アルギン酸ソーダ、澱粉誘導体などの糖誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール部分アセタール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピラゾール等の単一或いは共重合体の如き多種の合成親水性高分子物質がある。
【0057】
ゼラチンの場合は、パギー法においてゼリー強度200以上のものを用いることが好ましい。
【0058】
本発明の平板粒子は、粒子を形成する過程及び/又は成長させる過程で、カドミウム塩、亜鉛塩、鉛塩、タリウム塩、鉄塩、ロジウム塩、イリジウム塩、インジウム塩(錯塩を含む)から選ばれる少なくとも1種を用いて金属イオンを添加し、粒子内部及び/又は粒子表面にこれらの金属元素を含有させることができる。
【0059】
本発明の平板粒子の形成手段としては、当該分野でよく知られている種々の方法を用いることができる。即ち、シングル・ジェット法,コントロールド・ダブルジェット法、コントロールド・トリプルジェット法等を任意に組み合わせて使用することができるが、高度な単分散粒子を得るためには、ハロゲン化銀粒子の生成される液相中のpAgをハロゲン化銀粒子の成長速度に合わせてコントロールすることが重要である。pAg値としては7.0〜12の領域を使用し、好ましくは7.5〜11の領域を使用することができる。
【0060】
添加速度の決定にあたっては、特開昭54−48521号、特開昭58−49938号に記載の技術を参考にできる。
【0061】
本発明の平板粒子の調製工程は、核形成工程、熟成工程(核の熟成工程)とそれに続く成長工程に大別される。また、予め造り置いた核乳剤(或いは種乳剤)を別途成長させることも可能である。該成長工程は、第1成長工程、第2成長工程、というようにいくつかの段階を含む場合もある。本発明の平板粒子の成長過程とは、核(或いは種)形成後から粒子成長終了までの全ての成長工程を意味し、成長開始時とは成長工程の開始時点を言う。
【0062】
本発明の平板粒子の製造時に、アンモニア、チオエーテル、チオ尿素等の公知のハロゲン化銀溶剤を存在させることもできるし、ハロゲン化銀溶剤を使用しなくても良い。
【0063】
本発明の平板粒子において、外周領域に選択的に転位線を形成させるためには、前記成長工程において、外周領域に転位線を導入するための沃素イオン源(例えば、沃化銀微粒子、沃素イオン放出剤)を基盤粒子に添加した後の粒子成長におけるpAgを高める事が重要であるが、pAgを高くしすぎると、粒子成長と同時にいわゆるオストワルド熟成が進行し、平板粒子の単分散性が劣化してしまう。従って、成長工程において平板粒子の外周領域を形成させるときのpAgは、8〜12が好ましく、9.5〜11が更に好ましい。また、沃素イオン源として沃素イオン放出剤を使用する場合は、その添加量を増加させる事によっても外周領域に有効に転位線を形成させる事ができる。沃素イオン放出剤の添加量としては、ハロゲン化銀1モル当たり0.5モル以上が好ましく、2〜5モルが更に好ましい。
【0064】
本発明の平板粒子は、ハロゲン化銀粒子の成長終了後に、不要な可溶性塩類を除去したものであってもよいし、或いは含有させたままのものでも良い。
【0065】
また、特開昭60−138538号記載の方法のように、ハロゲン化銀成長の任意の点で脱塩を行なう事も可能である。該塩類を除去する場合には、リサーチ・ディスクロージャー(Research Disclosure、以下RDと略す)17643号II項に記載の方法に基づいて行なうことができる。更に詳しくは、沈澱形成後、或いは物理熟成後の乳剤から可溶性塩を除去するためには、ゼラチンをゲル化させて行なうヌーデル水洗法を用いても良く、また無機塩類、アニオン性界面活性剤、アニオン性ポリマー(例えばポリスチレンスルホン酸)、或いはゼラチン誘導体(例えばアシル化ゼラチン、カルバモイル化ゼラチンなど)を利用した沈澱法(フロキュレーション)を用いても良い。具体的な例としては、特開平5−72658号公報に記載の方法を好ましく使用することができる。
【0066】
本発明の乳剤は、球換算平均粒径の異なる2種類以上の平板粒子の混合物からなるが、その混合比率は任意の範囲を選ぶことができる。例えば、2種類の平板粒子を混合する場合は、銀に換算して90:10〜10:90の比率で混合する事が好ましく、80:20〜20:80の比率で混合する事が更に好ましい。
【0067】
本発明の平板粒子は、常法により化学増感することができる。即ち、硫黄増感、セレン増感、金その他の貴金属化合物を用いる貴金属増感法などを単独で又は組み合わせて用いることができる。
【0068】
本発明の平板粒子は、写真業界において増感色素として知られている色素を用いて所望の波長域に光学的に増感できる。増感色素は、単独で用いてもよいが2種類以上を組み合わせて用いても良い。増感色素と共にそれ自身分光増感作用をもたない色素、或いは可視光を実質的に吸収しない化合物であって、増感色素の増感作用を強める強色増感剤を乳剤中に含有させても良い。
【0069】
本発明の平板粒子には、カブリ防止剤、安定剤などを加えることができる。バインダーとしては、ゼラチンを用いるのが有利である。乳剤層、その他の親水性コロイド層は、硬膜することができ、また、可塑剤、水不溶性又は可溶性合成ポリマーの分散物(ラテックス)を含有させることができる。
【0070】
カラー写真感光材料の乳剤層にはカプラーが用いられる。更に色補正の効果を有している競合カプラー及び現像主薬の酸化体とのカップリングによって現像促進剤、現像剤、ハロゲン化銀溶剤、調色剤、硬膜剤、カブリ剤、カブリ防止剤、化学増感剤、分光増感剤及び減感剤のような写真的に有用なフラグメントを放出する化合物を用いることができる。
【0071】
感光材料には、フィルター層、ハレーション防止層、イラジュエーション防止層等の補助層を設けることができる。これらの層中及び/又は乳剤層中には現像処理中に感光材料から流出するか、もしくは漂白される染料が含有されても良い。
【0072】
感光材料には、マット剤、滑剤、画像安定剤、ホルマリンスカベンジャー、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、界面活性剤、現像促進剤や現像遅延剤を添加できる。
【0073】
支持体としては、ポリエチレン等をラミネートした紙、ポリエチレンテレフタレートフィルム、バライタ紙、三酢酸セルロース等を用いることができる。
【0074】
【実施例】
以下に、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施態様に限定されるものではない。
【0075】
実施例−1
《乳剤EM−1の調製》
[核形成工程]
反応容器内の下記反応母液(Gr−1)を30℃に保ち、特開昭62−160128号公報記載の混合攪拌装置を用いて攪拌回転数400回転/分で攪拌しながら、1Nの硫酸を用いてpHを1.96に調整した。その後ダブルジェット法を用いて下記の(S−1)液と下記の(H−1)液を一定の流量で1分間で添加し核形成を行った。
【0076】
(Gr−1)
アルカリ処理不活性ゼラチン(平均分子量10万) 40.50g
臭化カリウム 12.40g
蒸留水で16.2Lに仕上げる。
【0077】
(S−1)
硝酸銀 862.5g
蒸留水で4.06Lに仕上げる。
【0078】
(H−1)
臭化カリウム 604.5g
蒸留水で4.06Lに仕上げる。
【0079】
[熟成工程]
上記核形成工程終了後に下記の(G−1)液を加え、30分間を要して60℃に昇温した。この間、反応容器内の乳剤の銀電位(飽和銀−塩化銀電極を比較電極として銀イオン選択電極で測定)を2Nの臭化カリウム溶液を用いて6mVに制御した。続いて、アンモニア水溶液を加えてpHを9.3に調整し、更に7分間保持した後、酢酸水溶液を用いてpHを6.1に調整した。この間の銀電位を2Nの臭化カリウム溶液を用いて6mVに制御した。
【0080】
(G−1)
アルカリ処理不活性ゼラチン(平均分子量10万) 173.9g
HO(CH2CH2O)m(CH(CH3)CH2O)19.8(CH2CH2O)nH
(m+n=9.77)の10重量%メタノール溶液 5.80ml
蒸留水で4.22Lに仕上げる。
【0081】
[成長工程]
熟成工程終了後、続いてダブルジェット法を用いて前記(S−1)液と(H−1)液を流量を加速しながら(終了時と開始時の添加流量の比が約12倍)37分間で添加した。添加終了後に下記の(G−2)液を加え、攪拌回転数を550回転/分に調整した後、引き続いて下記の(S−2)液と(H−2)液を流量を加速しながら(終了時と開始時の添加流量の比が約2倍)40分間で添加した。この間乳剤の銀電位を2Nの臭化カリウム溶液を用いて6mVに制御した。上記添加終了後に、反応容器内の乳剤温度を15分間を要して40℃に降温した。その後、前記の(Z−1)液、次いで下記の(SS)液を添加し、水酸化カリウム水溶液を用いてpHを9.3に調整し、4分間熟成しながら沃素イオンを放出させた。その後、酢酸水溶液を用いてpHを5.0に調整し、次いで3Nの臭化カリウム溶液を用いて反応容器内の銀電位を−39mVに調整した後、下記の(S−2)液と(H−3)液を流量を加速しながら(終了時と開始時の添加流量の比が約1.2倍)25分間で添加した。
【0082】
(S−2)
硝酸銀 2.10kg
蒸留水で3.53Lに仕上げる。
【0083】
(H−2)
臭化カリウム 859.5g
沃化カリウム 24.45g
蒸留水で2.11Lに仕上げる。
【0084】
(H−3)
臭化カリウム 587.0g
沃化カリウム 8.19g
蒸留水で1.42Lに仕上げる。
【0085】
(G−2)
オセインゼラチン 284.9g
HO(CH2CH2O)m(CH(CH3)CH2O)19.8(CH2CH2O)nH
(m+n=9.77)の10重量%メタノール溶液 7.75ml
蒸留水で1.93Lに仕上げる。
【0086】
(Z−1)
p−ヨードアセトアミドベンゼンスルホン酸ナトリウム 83.4g
蒸留水で1.00Lに仕上げる。
【0087】
(SS)
亜硫酸ナトリウム 29.0g
蒸留水で0.30Lに仕上げる。
【0088】
上記粒子成長終了後に、特開平5−72658号に記載の方法に従い脱塩処理を施し、その後ゼラチンを加え十分に分散した後、40℃に降温してpHを5.80、pAgを8.06に調整した。かくして得られた乳剤をEM−1とする。
【0089】
得られた乳剤粒子の電子顕微鏡写真から、球換算平均粒径0.90μm、平均アスペクト比7.2の平板粒子であることが確認された。
【0090】
《乳剤EM−2の調製》
(種乳剤の調製)
特公昭58−58288号、同58−58289号に示される混合撹拌機を用いて、35℃に調整した下記(溶液A1)に硝酸銀水溶液(1.161モル)と、臭化カリウムと沃化カリウムの混合水溶液(沃化カリウム2モル%)を、銀電位(飽和銀−塩化銀電極を比較電極として銀イオン選択電極で測定)を0mVに保ちながら同時混合法により2分要して添加し、核形成を行った。続いて、60分の時間を要して溶液を60℃に上昇させ、炭酸ナトリウム水溶液でpHを5.0に調整した後、硝酸銀水溶液(5.902モル)と、臭化カリウムと沃化カリウムの混合水溶液(沃化カリウム2モル%)を、銀電位9mVに保ちながら同時混合法により、42分要して添加した。添加終了後、40℃に降温しながら、通常のフロキュレーション法を用いて直ちに脱塩、水洗を行い種乳剤を得た。
【0091】
(溶液A1)
オセインゼラチン 24.2g
臭化カリウム 10.8g
HO(CH2CH2O)m(CH(CH3)CH2O)19.8(CH2CH2O)nH
(m+n=9.77)の10重量%メタノール溶液 6.78ml
10%硝酸 114g
水 9657ml
(沃化銀微粒子乳剤SMCの調製)
0.06モルの沃化カリウムを含む6.0重量%のゼラチン水溶液5リットルを激しく撹拌しながら、7.06モルの硝酸銀水溶液と7.06モルの沃化カリウム水溶液、各々2リットルを10分を要して添加した。この間、pHは硝酸を用いて2.0に、温度は40℃に制御した。粒子調製後に、炭酸ナトリウム水溶液を用いてpHを5.0に調整した。得られた沃化銀微粒子の平均粒径は0.05μmであった。この乳剤をSMCとする。
【0092】
[熟成工程]
0.141モル相当の種乳剤に下記の(G−3)液を加え、75℃に昇温した。pAgを8.9、pHを5.0に調整した後、激しく撹拌した。
【0093】
(G−3)
アルカリ処理不活性不活性ゼラチン(平均分子量10万) 31.5g
HO(CH2CH2O)m(CH(CH3)CH2O)19.8(CH2CH2O)nH
(m+n=9.77)の10重量%メタノール溶液 0.50ml
蒸留水で0.70Lに仕上げる。
【0094】
[成長工程]
熟成工程終了後、2.31モルの硝酸銀水溶液と0.023モルのSMC及び臭化カリウム水溶液を、pAg8.7,pH5.0に保ちながら添加した。
【0095】
続いて溶液を60℃に降温し、pAgを9.8に調整した。次に0.071モルのSMCを添加し、2分間熟成を行った。
【0096】
0.959モルの硝酸銀水溶液と0.03モルのSMC及び臭化カリウム水溶液を、pAg8.7、pH5.0に保ちながら添加した。
【0097】
尚、粒子形成sを通して、各溶液は新核の生成や粒子間のオストワルド熟成が進まないように最適な速度で添加した。添加終了後に40℃で通常のフロキュレーション法を用いて水洗処理を施した後、ゼラチンを加えて再分散し、pAg8.1,pHを5.8に調整した。かくして得られた乳剤をEM−2とする。
【0098】
得られた乳剤粒子は電子顕微鏡写真から、球換算平均粒径0.70μm、平均アスペクト比7.2であった。
【0099】
《乳剤EM−3〜EM−10の調製》
乳剤EM−2の種乳剤調製時の臭化カリウムと沃化カリウムの添加量及び銀電位の調整、成長工程におけるSMC、臭化カリウムの添加量、銀電位及びpHを調整しその他は乳剤EM−2と同様の製造方法により乳剤EM−3〜EM−10を調整した。
【0100】
乳剤EM−1〜EM−10の組成、構造等の解析結果を表1にまとめた。
【0101】
【表1】
【0102】
実施例−2(感光材料試料の作成)
乳剤EM−1〜EM−10に、増感色素SD−7,SD−8及びSD−9を用いて金−硫黄増感を最適に施し、これらの乳剤を用いてトリアセチルセルロースフィルム支持体上に下記に示すような組成の各層を順次支持体側から形成して、多層カラー写真感光材料を作成した。
【0103】
以下の全ての記載において、ハロゲン化銀写真感光材料中の添加量は、特に記載のない限り1m2当たりのグラム数を示す。また、ハロゲン化銀及びコロイド銀は、銀に換算して示し、増感色素は、ハロゲン化銀1モル当たりのモル数で示した。
【0104】
(支持体の作製)
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル100部、エチレングリコール60部にエステル交換触媒として酢酸カルシウム水和物0.1部を添加し、常法に従ってエステル交換反応を行った。得られた生成物に、三酸化アンチモン0.05部、燐酸トリメチルエステル0.03部を添加した。次いで徐々に昇温、減圧にし、290℃、0.05mmHgの条件で重合を行い、固有粘度0.60のポリエチレン−2,6−ナフタレートを得た。
【0105】
これを、150℃で8時間真空乾燥した後、300℃でTダイから層状に溶融押出し、50℃の冷却ドラム上に静電印加しながら密着させ、冷却固化させ、未延伸シートを得た。この未延伸シートをロール式縦延伸機を用いて、135℃で縦方向に3.3倍延伸した。
【0106】
得られた1軸延伸フィルムをテンター式横延伸機を用いて、第1延伸ゾーン145℃で総横延伸倍率の50%延伸し、更に第2延伸ゾーン155℃で総横延伸倍率3.3倍となるように延伸した。次いで、100℃で2秒間熱処理し、更に第1熱固定ゾーン200℃で5秒間熱固定し、第2熱固定ゾーン240℃で15秒間熱固定した。次いで、横方向に5%弛緩処理しながら室温まで30秒かけて徐冷して、厚さ85μmのポリエチレンナフタレートフィルムを得た。
【0107】
これをステンレス製のコアに巻き付け、110℃で48時間熱処理(アニール処理)して支持体を作製した。
【0108】
(下引層の塗設)
この支持体の両面に12W/m2/minのコロナ放電処理を施し、一方の面に下記下引塗布液B−1を乾燥膜厚0.4μmになるように塗布し、その上に12W/m2/minのコロナ放電処理を施し、下記下引塗布液B−2を乾燥膜厚0.06μmになるように塗布した。
【0109】
12W/m2/minのコロナ放電処理を施した他方の面には、下記下引塗布液B−3を乾燥膜厚0.2μmになるように塗布し、その上に12W/m2/minのコロナ放電処理を施し、下記下引塗布液B−4を乾燥膜厚0.2μmになるように塗布した。
【0110】
各層はそれぞれ塗布後90℃で10秒間乾燥し、4層塗布後、引き続いて110℃で2分間熱処理を行った後、50℃で30秒間冷却処理を行った。
【0111】
*ジカルボン酸成分としてテレフタル酸ジメチル60モル%、イソフタル酸ジメチル30モル%、5−スルホイソフタル酸ジメチルのナトリウム塩10モル%、グリコール成分としてエチレングリコール50モル%、ジエチレングリコール50モル%を常法により共重合した。この共重合体を95℃の熱水中で3時間撹拌し、15重量%の水分散液Aとした。
【0112】
組成物(A)をサンドミルを用いて40時間分散後、平均孔径10μmのフィルターで濾過し、磁性塗料を得た。
【0113】
組成物(B)
硬膜剤(日本ポリウレタン社製:C−L,固形分75%) 20部
シクロヘキサノン 45部
組成物(B)をディスパーを用いて空気を巻き込まないように混合した。
【0114】
上記組成物(B)を磁性塗料に連続的に添加して磁性塗布液を得た。
【0115】
得られた磁性塗布液1を、前記した下引層と帯電防止層が塗設されたPEN支持体上に乾燥膜厚0.8μmになるように塗布・乾燥した。
【0116】
(写真乳剤の塗設)
前記磁気記録媒体の磁気記録層側とは反対側に、前記下引塗布液B−1及びB−2を同一条件で塗設した下引層を設けてある上に、以下に示す組成の写真構成層を設けて、試料101〜109を得た。
【0117】
第1層(ハレーション防止層)
黒色コロイド銀 0.16
紫外線吸収剤 UV−1 0.3
カラードマゼンタカプラー CM−1 0.044
高沸点溶媒 OIL−1 0.044
ゼラチン 1.33
第2層(中間層)
汚染防止剤 AS−1 0.16
高沸点溶媒 OIL−1 0.20
ゼラチン 1.40
第3層(低感度赤感色性層)
沃臭化銀a 0.12
沃臭化銀b 0.50
増感色素 SD−1 3.0×10-5
増感色素 SD−4 1.5×10-4
増感色素 SD−3 3.0×10-4
増感色素 SD−6 3.0×10-6
シアンカプラー C−1 0.51
カラードシアンカプラー CC−1 0.047
高沸点溶媒 OIL−2 0.45
汚染防止剤 AS−2 0.005
ゼラチン 1.40
第4層(中感度赤感色性層)
沃臭化銀c 0.64
増感色素 SD−1 3.0×10-5
増感色素 SD−2 1.5×10-4
増感色素 SD−3 3.0×10-4
シアンカプラー C−2 0.22
カラードシアンカプラー CC−1 0.028
DIR化合物 DI−1 0.002
高沸点溶媒 OIL−2 0.21
汚染防止剤 AS−3 0.006
ゼラチン 0.87
第5層(高感度赤感色性層)
沃臭化銀c 0.13
沃臭化銀d 1.14
増感色素 SD−1 3.0×10-5
増感色素 SD−2 1.5×10-4
増感色素 SD−3 3.0×10-4
シアンカプラー C−2 0.085
シアンカプラー C−3 0.084
カラードシアンカプラー CC−1 0.029
DIR化合物 DI−1 0.027
高沸点溶媒 OIL−2 0.23
汚染防止剤 AS−3 0.013
ゼラチン 1.23
第6層(中間層)
高沸点溶媒 OIL−1 0.29
汚染防止剤 AS−1 0.23
ゼラチン 1.00
第7層(低感度緑感色性層)
沃臭化銀a 0.245
沃臭化銀b 0.105
増感色素 SD−6 5.0×10-4
増感色素 SD−5 5.0×10-4
マゼンタカプラー M−1 0.21
カラードマゼンタカプラー CM−2 0.039
高沸点溶媒 OIL−1 0.25
汚染防止剤 AS−2 0.003
汚染防止剤 AS−4 0.063
ゼラチン 0.98
第8層(中感度緑感色性層)
沃臭化銀e 0.87
増感色素 SD−7 3.0×10-4
増感色素 SD−8 6.0×10-5
増感色素 SD−9 4.0×10-5
マゼンタカプラー M−1 0.17
カラードマゼンタカプラー CM−2 0.048
カラードマゼンタカプラー CM−3 0.059
DIR化合物 DI−2 0.012
高沸点溶媒 OIL−1 0.29
汚染防止剤 AS−4 0.05
汚染防止剤 AS−2 0.005
ゼラチン 1.43
第9層(高感度緑感色性層)
表2に示すハロゲン化銀乳剤を添加する。
【0118】
マゼンタカプラー M−1 0.09
カラードマゼンタカプラー CM−3 0.020
DIR化合物 DI−3 0.005
高沸点溶媒 OIL−1 0.11
汚染防止剤 AS−4 0.026
汚染防止剤 AS−5 0.014
汚染防止剤 AS−6 0.006
ゼラチン 0.78
第10層(イエローフィルター層)
黄色コロイド銀 0.05
高沸点溶媒 OIL−1 0.18
汚染防止剤 AS−7 0.16
ゼラチン 1.00
第11層(低感度青感色性層)
沃臭化銀f 0.29
沃臭化銀g 0.19
増感色素 SD−10 8.0×10-4
増感色素 SD−11 3.1×10-4
イエローカプラー Y−1 0.91
DIR化合物 DI−4 0.022
高沸点溶媒 OIL−1 0.37
汚染防止剤 AS−2 0.002
ゼラチン 1.29
第12層(高感度青感色性層)
沃臭化銀g 0.13
沃臭化銀h 1.00
増感色素 SD−10 4.4×10-4
増感色素 SD−11 1.5×10-4
イエローカプラー Y−1 0.48
DIR化合物 DI−4 0.019
高沸点溶媒 OIL−1 0.21
汚染防止剤 AS−2 0.004
ゼラチン 1.55
第13層(第1保護層)
沃臭化銀i 0.30
紫外線吸収剤 UV−1 0.055
紫外線吸収剤 UV−2 0.110
高沸点溶媒 OIL−2 0.63
ゼラチン 1.32
第14層(第2保護層)
ポリマー PM−1 0.15
ポリマー PM−2 0.04
滑り剤 WAX−1 0.02
染料D−1 0.001
ゼラチン 0.55
尚、上記組成物の他に、塗布助剤SU−1,SU−2,SU−3、分散助剤SU−4、粘度調整剤V−1、安定剤ST−1,ST−2、カブリ防止剤AF−1(ポリビニルピロリドン,重量平均分子量:10,000),AF−2(ポリビニルピロリドン,重量平均分子量:1,100,000)、抑制剤AF−3,AF−4,AF−5、硬膜剤H−1,H−2,H−3,H−4及び防腐剤Ase−1を添加した。
【0119】
上記試料に用いた化合物の構造を以下に示す。
【0120】
SU−1:C8F17SO2N(C3H7)CH2COOK
SU−2:C8F17SO2NH(CH2)3N+(CH3)3Br-
SU−3:スルホ琥珀酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム
SU−4:トリ−i−プロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム
ST−1:4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン
ST−2:アデニン
AF−3:1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール
AF−4:1−(4−カルボキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾール
AF−5:1−(3−アセトアミドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール
H−1:〔(CH2=CHSO2CH2)3CCH2SO2CH2CH2〕2NCH2CH2SO3K
H−2:2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン・ナトリウム
H−3:CH2=CHSO2CH2CH(OH)CH2SO2CH=CH2
H−4:(CH2=CHSO2CH2CONHCH2)2
OIL−1:トリクレジルホスフェート
OIL−2:ジ(2−エチルヘキシル)フタレート
AS−1:2,5−ビス(1,1−ジメチル−4−ヘキシルオキシカノボニルブチル)ハイドロキノン
AS−2:没食子酸ドデシル
AS−3:没食子酸ドコシル
AS−4:2−オクチルオキシ−5−t−オクチル−N,N−ジブチルアニリン
AS−5:2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン
AS−6:2,5−ジ−t−オクチル−1,4−キノン
【0121】
【化1】
【0122】
【化2】
【0123】
【化3】
【0124】
【化4】
【0125】
【化5】
【0126】
【化6】
【0127】
【化7】
【0128】
上記沃臭化銀の特徴を表2に示す。
【0129】
【表2】
【0130】
多層カラー写真感光材料試料101〜109の作成にあたって、乳剤EM−1〜EM−10を表3に示す組み合わせで混合した(各々の試料において、乳剤の添加量は銀に換算して1.19g/m2とし、乳剤の混合比率は銀に換算して50:50とした)。
【0131】
【表3】
【0132】
得られた各試料について、以下の方法にて感度の測定と現像処理に対する安定性を評価した。
【0133】
相対感度は、白色光によるセンシトメトリー用ウエッジ露光(1/200秒)後に以下に示すカラー現像処理を行い、緑感層のDmin(最小濃度)+0.15の濃度を与える露光量の逆数の相対値として求め、試料102の感度を100とする値で示した(100に対して、値が大きい程、高感度である事を示す)。
【0134】
現像処理安定性は、以下に示す現像処理工程の発色現像工程を温度+1℃及び時間+30秒の活性現像を行い、基準現像における前記感度の変動を相対値として求め、試料102の感度変動を100とする値で示した(100に対して、値が小さい程、安定であることを示す)。
【0135】
その結果は表4に示す。
【0136】
(現像処理)
写真構成層に対して画像露光を与え、下記現像処理を行った。
【0137】
*補充量は感光材料1m2当たりの値である。
【0138】
発色現像液、漂白液、定着液、安定液及びその補充液は、以下のものを使用した。
【0139】
水を加えて1リットルとし、水酸化カリウム又は20%硫酸を用いて発色現像液はpH10.06に、補充液はpH10.18に調整する。
【0140】
水を加えて1リットルとし、アンモニア水又は氷酢酸を用いて漂白液はpH4.4に、補充液はpH4.0に調整する。
【0141】
アンモニア水又は氷酢酸を用いて定着液はpH6.2に、補充液はpH6.5に調整後、水を加えて1リットルとする。
【0142】
水を加えて1リットルとした後、アンモニア水又は50%硫酸を用いてpH8.5に調整する。
【0143】
【表4】
【0144】
表4に示す結果から明らかなように、本発明の乳剤を含む試料は高感度であり、処理変動性に優れていることがわかる。
【0145】
【発明の効果】
実施例で実証した如く、本発明によるハロゲン化銀写真感光材料は、高感度で広いラチチュードを有し、かつ処理安定性に優れた効果を有する。
Claims (3)
- 支持体上に、少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀写真感光材料において、該ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀乳剤が、平均アスペクト比が1.5以上、球換算平均粒径0.2μm以上、球換算平均粒径の変動係数が30%以下の平板状ハロゲン化銀粒子からなるハロゲン化銀乳剤であって、少なくとも球換算平均粒径が異なる2種類以上の該平板状ハロゲン化銀粒子を含有し、かつ該平板状ハロゲン化銀粒子の双晶面間距離が実質的に一定であることを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
- 支持体上に、少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀写真感光材料において、該ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀乳剤が、平均アスペクト比が1.5以上、球換算平均粒径0.2μm以上、球換算平均粒径の変動係数が30%以下の平板状ハロゲン化銀粒子からなるハロゲン化銀乳剤であって、少なくとも球換算平均粒径が異なる2種類以上の該平板状ハロゲン化銀粒子を含有し、かつ該平板状ハロゲン化銀粒子の双晶面間距離と厚さの比が実質的に一定であることを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
- 支持体上に、少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀写真感光材料において、該ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀乳剤が、平均アスペクト比が1.5以上、球換算平均粒径0.2μm以上、球換算平均粒径の変動係数が30%以下の平板状ハロゲン化銀粒子からなるハロゲン化銀乳剤であって、少なくとも球換算平均粒径が異なる2種類以上の該平板状ハロゲン化銀粒子を含有し、かつ該ハロゲン化銀乳剤の1平板状ハロゲン化銀粒子当たりの転位線の平均本数と平均沃化銀含有率が実質的に一定であることを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
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