JPH0689003A - ハロゲン化銀写真感光材料 - Google Patents

ハロゲン化銀写真感光材料

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JPH0689003A
JPH0689003A JP17456993A JP17456993A JPH0689003A JP H0689003 A JPH0689003 A JP H0689003A JP 17456993 A JP17456993 A JP 17456993A JP 17456993 A JP17456993 A JP 17456993A JP H0689003 A JPH0689003 A JP H0689003A
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silver halide
silver
grain
emulsion
distance
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JP17456993A
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English (en)
Inventor
Sadayasu Ishikawa
貞康 石川
Yoshitami Kasai
惠民 笠井
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Original Assignee
Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高感度、低カブリで、かつ粒状性が優れ、し
かも圧力減感のないハロゲン化銀写真感光材料の提供。 【構成】 下記の(1)、(2)を満たすハロゲン化銀粒子を
含むハロゲン化銀写真感光材料による。 (1)種晶から結晶成長した粒子で、添加銀量の30%が供
給されるまでに形成される個々の粒子のハロゲン化銀相
が、個々の粒子の粒子間距離が0.1〜2.0μmの範囲内で
形成されたハロゲン化銀粒子。 (2)粒子の中心から外表面までの距離Lに対し、中心か
ら0.67L未満の距離L1に沃化銀含有率が最高となる点
を有し、また前記Lに対し0.58Lより外側の距離L2
沃化銀含有率が最低となる点を有し、かつ前記L1から
2に至るまで沃化銀含有率が実質的に単調減少し、か
つ(L2−L1)/L≧0.20であるハロゲン化銀粒子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、写真分野において有用
なハロゲン化銀乳剤及び該乳剤を用いたハロゲン化銀写
真感光材料に関し、更に詳しくは高感度でカブリ、粒状
性が改良され、かつ圧力耐性の優れたハロゲン化銀写真
感光材料に関するものである。
【0002】
【発明の背景】近年、ハロゲン化銀写真感光材料に対す
る性能上の要請はますます厳しく、高感度、低カブリ、
高画質化などの写真性能に対して一層高水準の要求がな
されてきている。
【0003】このように高感度化、高画質化の流れに関
連して、ハロゲン化銀写真感光材料の圧力耐性の向上に
対する要請も益々高まってきているのが現状である。
【0004】一般にハロゲン化銀写真感光材料(以下、
単に感光材料と言う)には、様々な圧力が加えられる。
例えば感光材料の製造、裁断、加工をはじめとしパトロ
ーネ或はカメラ等への装填の際に、折り曲げたり擦れた
りする種々の機械的応力が加わる。
【0005】このように、感光材料に圧力が加わると、
圧力カブリ(圧力増感とも言う)或は感度の減少(圧力減
感)を生じることが知られており、このように圧力によ
って写真性能が変動劣化のない感光材料が強く望まれて
いる。
【0006】従来より、圧力耐性の改良方法として多く
の提案がなされているが、ポリマーや可塑剤などの添加
剤によって、ハロゲン化銀粒子に加わる外的圧力を緩和
する方法よりも、ハロゲン化銀粒子自体の圧力耐性を向
上させる技術の方が、実用上好ましく、かつ効果も大き
いという見方が有力である。
【0007】これらの要請に対して、コアに沃化銀含有
率の高い沃臭化銀相を有するコア/シェル型ハロゲン化
銀粒子から成る乳剤が、近年盛んに研究されてきた。例
えば粒子内部に10モル%以上の高沃化銀相を有したコア
/シェル型沃臭化銀粒子を用いることにより、カラーネ
ガフィルムの耐圧性を改良した例えば特開昭59-99433
号、同60-35726号及び同60-147727号などが開示されて
いる。
【0008】このようなコア/シェル構造を有したハロ
ゲン化銀粒子の製造に際しては、高沃度コアの形成に
は、沃化銀自体の溶解度が低いために成長時のハロゲン
化銀の溶解度を高めてハロゲン化銀の成長速度を増加さ
せるてやる必要がある。
【0009】そのための具体的な手段としては例えば、
混合時の温度を上昇させる。ハロゲン化銀溶剤を添加す
る。pH及びpAgを上昇させるなどの方法が知られてい
る。しかしながら、該コア/シェル型乳剤は、高沃度コ
ア形成に必要な沃化物を反応系内に供給する乳剤製造工
程にて、ハロゲン化銀粒子同志の凝集が起こり易く、さ
らに粒子成長後の乳剤はカブリ易く、かつ粒状性が劣化
してしまう問題点を有していた。
【0010】又、ハロゲン化銀の粒子構成を明確なコア
/シェル型でなく、粒子内部の沃度含有率を連続的に変
化させることにより、高感度で、かつ圧力カブリを低減
した技術が特開平2-943号に開示されている。しかしな
がら該技術は、確かに圧力カブリに関しての改良効果は
認められたが、圧力減感耐性については著しく劣化する
と言う欠点を有していた。
【0011】このように高感度、高解像力を有し、しか
も圧力増減感耐性を改良した感光材料の開発は容易でな
く、新たな技術が強く望まれていた。
【0012】
【発明の目的】従って本発明の目的は、高感度、低カブ
リで、かつ粒状性が優れ、しかも圧力増減感耐性を改良
したハロゲン化銀写真乳剤、及びその乳剤を用いたハロ
ゲン化銀写真感光材料を提供することである。その他の
目的は以下の明細から明らかとなる。
【0013】
【発明の構成】本発明者等は鋭意研究の結果、本発明の
上記の目的は以下により達成されることを見い出し、本
発明を成すに至った。
【0014】即ち、(a)支持体上に少なくとも1層の
ハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀写真感光材料
にて、該乳剤層の少なくとも1層中に、下記の(1)及び
(2)の条件を満たすハロゲン化銀粒子を含有するハロゲ
ン化銀写真感光材料。
【0015】(1)種晶から結晶成長を経て形成されたハ
ロゲン化銀粒子であり、かつ添加銀量の30%が供給され
るまでに形成される個々のハロゲン化銀粒子のハロゲン
化銀相が、反応溶液中に存在する個々のハロゲン化銀粒
子の粒子間距離において、0.1〜2.0μmの範囲内で形成
されたものであり、(2)ハロゲン化銀粒子の中心から外
表面までの距離Lに対して、中心から0.67L未満の距離
1に沃化銀含有率が最高となる点を有し、また前記L
に対し0.58Lより外側の距離L2に沃化銀含有率が最低
となる点を有し、かつ前記L1からL2に至るまで沃化銀
含有率が実質的に単調減少し、かつ(L2−L1)/L≧0.
20であるハロゲン化銀粒子。
【0016】(b)支持体上に少なくとも1層のハロゲ
ン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀写真感光材料におい
て、該乳剤層の少なくとも1層中に、下記の(1)及び(2)
の条件を満たすハロゲン化銀粒子を含有するハロゲン化
銀乳剤を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感
光材料。
【0017】(1)種晶から結晶成長を経て形成されたハ
ロゲン化銀粒子であり、かつ添加銀量の30%が供給され
るまでに形成される個々のハロゲン化銀粒子のハロゲン
化銀相が、反応溶液中に存在する個々のハロゲン化銀粒
子の粒子間距離において、0.1〜2.0μmの範囲内で形成
されたものであり、(2)ハロゲン化銀粒子の中心から外
表面までの距離Lに対して、中心から0.67L未満の距離
1に沃化銀含有率が最高となる点を有し、また前記L
に対し0.58Lより外側の距離L2に沃化銀含有率が最低
となる点を有し、かつ前記L1からL2に至るまで沃化銀
含有率が実質的に単調減少し、かつ(L2−L1)/L≧0.
20であるハロゲン化銀粒子。
【0018】(c)上記(a)項において、該ハロゲン
化銀乳剤に含有されるハロゲン化銀粒子が、偶数枚の平
行な双晶面を有するハロゲン化銀粒子であって、該粒子
の平均アスペクト比が1.0以上5.0未満であり、かつ該粒
子の平均厚さ(T)と該偶数枚の平行な双晶面のうち、最
も距離が短い2枚の双晶面間の平均距離(I)との比が5
以上であることを特徴とするハロゲン化銀写真感光材
料。
【0019】(d)上記(b)項において、該ハロゲン
化銀乳剤に含有されるハロゲン化銀粒子が、偶数枚の平
行な双晶面を有するハロゲン化銀粒子であって、該粒子
の平均アスペクト比が1.0以上5.0未満であり、かつ該粒
子の平均厚さ(T)と該偶数枚の平行な双晶面のうち、最
も距離が短い2枚の双晶面間の平均距離(I)との比が5
以上であることを特徴とするハロゲン化銀写真感光材
料。
【0020】以下、本発明について、詳細に述べる。
【0021】本発明に係る乳剤は、種晶からハロゲン化
銀粒子の成長を行なうものであり、供給する反応要素と
しては銀塩水溶液、ハライド塩水溶液及びハロゲン化銀
微粒子の中から任意の2種以上の反応要素を組み合わせ
て使用することができる。
【0022】本発明に係る乳剤は、種晶からハロゲン化
銀粒子の成長を行なう際に、反応要素の添加によって種
晶の表面に新たなハロゲン化銀相が形成される際に、反
応要素として添加銀量の30%が供給されるまでに形成さ
れるハロゲン化銀相が、反応溶液中の個々のハロゲン化
銀粒子の粒子間距離において、0.1〜2.0μmの範囲内で
形成されているものである。
【0023】ここで、個々のハロゲン化銀粒子の粒子間
距離とは、反応溶液中の全ハロゲン化銀粒子をそれぞれ
等間隔に分散させたときに、隣り合ったハロゲン化銀粒
子同志の中心部からの距離のことである。個々のハロゲ
ン化銀粒子の粒子間距離は、好ましくは0.1〜1.5μmの
範囲内で形成されているものである。
【0024】本発明の効果として、(1)種晶からの成長
において添加銀量のうちの30%が供給されるまでに、上
述のような粒子間距離の範囲内で成長が行われることに
よって所望の高沃度コアが形成されること。又、(2)調
製時におけるハロゲン化銀粒子の凝集がなくなり、結果
としてカブリ及び粒状性を改良することができる。
【0025】ここでいうハロゲン化銀粒子の凝集とは、
ハロゲン化銀粒子の成長過程にて2個以上のハロゲン化
銀粒子が合体し、実質的に1個のハロゲン化銀粒子とし
て成長してしまい粗大粒子となる現象、或は個々のハロ
ゲン化銀粒子の形状、および大きさを維持した状態で合
体し、粒子群として1つの塊りを形成する現象の両方を
指している。
【0026】本発明者等は、ハロゲン化銀粒子の凝集性
を観察する方法として走査型電子顕微鏡(日本電子
〔株〕製)を用いハロゲン化銀粒子1000個中に存在する
凝集粒子数を数え、凝集率として(凝集したハロゲン化
銀の数×100/1000)(%)を求めたところ、ハロゲン化銀
粒子の凝集率が高い乳剤ほど、カブリが多く、かつ粒状
性が劣化することが判った。
【0027】本発明に係るハロゲン化銀乳剤は、凝集率
において10%以下が好ましく更に好ましくは5%以下で
ある。なお、本発明で言う添加銀量とは、種晶から所望
の粒径のハロゲン化銀粒子を成長させる際に必要な銀量
を添加銀量と言う。
【0028】本発明に係るハロゲン化銀乳剤は分散媒の
存在下、即ち分散媒を含む溶液中で調製される。ここで
分散媒を含む水溶液とは、ゼラチンその他の親水性コロ
イドを構成し得る物質(バインダーとなり得る物質など)
により保護コロイドが水溶液中に形成されているものを
指し、好ましくはコロイド状の保護ゼラチンを含有する
水溶液が挙げられる。
【0029】本発明を実施する際、上記の保護コロイド
としてゼラチンを用いる場合のゼラチンは、石灰処理さ
れたもの又は酸処理されたもののいずれを用いてもよ
い。
【0030】ゼラチンの製法の詳細はアーサー・グアイ
ス著、ザ・マクロモレキュラー・ケミストリー・オブ・
ゼラチン (アカデミック・プレス 1964年)に記載があ
る。
【0031】保護コロイドとして用いることができるゼ
ラチン以外の親水性コロイドとしては、例えばゼラチン
誘導体、ゼラチンと他の高分子とのグラフトポリマー、
アルブミン、カゼイン等の蛋白質類、ヒドロキシエチル
セルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロース
硫酸エステル類等のセルロース誘導体、アルギン酸ソー
ダ、澱粉誘導体等の糖誘導体、ポリビニルアルコール、
ポリビニルアルコール部分アセタール、ポリ-N-ビニル
ピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリ
アクリルアミド、ポリビニルイミダゾール、ポリビニル
ピラゾール等の単一あるいは共重合体の如き多種の親水
性合成高分子物質が挙げられる。
【0032】ゼラチンの場合は、パギー法においてゼリ
ー強度200以上のものを用いることが好ましい。
【0033】本発明においてハロゲン化銀粒子の中心と
は、日本写真学会講演要旨集46頁〜48頁に掲載の井上等
の要旨集に示す方法と同様に、ハロゲン化銀微結晶をメ
タクリル樹脂中に分散して固化し、ミクロトームにて超
薄切片とし、断面積が最大となったもの及至それより90
%以上の断面積を有する切片試料に着目し、断面に対し
て最小となる外接円を描いたときの円の中心を言う。
【0034】本発明において、中心から外表面までの距
離Lは前記円の中心から外に向けて直線を引いたとき粒
子の外周と交わる点と円の中心との距離と定義する。
【0035】又、沃化銀含有率が最高となる点及び最低
となる点の検出方法と、中心からの距離L1及びL2の測
定は、前記円の中心から外周に引いた直線上をXMA法
により沃化銀含有率及び位置を測定することにより求め
ることができる。
【0036】なお、前記外接円の中心からいずれの方向
に向けて引いた直線上に定義されるL、L1及びL2に対
しても、本発明の関係式が成り立つときは本発明のハロ
ゲン化銀粒子であるものとする。本発明におけるハロゲ
ン化銀粒子内部構造の測定方法において、最高沃化銀含
有率の特定点又は最低沃化銀含有率の特定点がそれぞれ
複数存在する場合には、最高沃化銀含有率の特定点につ
いては中心より遠い点を最低沃化銀含有率の特定点につ
いては中心に近い点を選択するものとする。
【0037】又、本発明に係るハロゲン化銀粒子におい
て、沃化銀含有率が最高となる点の沃化銀含有率(Ima
x)と、沃化銀含有率が最低となる点の沃化銀含有率(Im
in)の差(Imax−Imin)は、5〜40モル%であることが好
ましく、15〜35モル%であることが更に好ましい。
【0038】本発明に係るハロゲン化銀粒子は、平均沃
化銀含有率が1〜20モル%である沃臭化銀から成ること
が好ましく、特に好ましくは3〜15モル%である。
【0039】なお、本発明の効果を損なわない範囲で塩
化銀を含有させることができる。
【0040】本発明に係るハロゲン化銀粒子において、
沃化銀含有率が実質的に単調減少するハロゲン化銀粒子
内部構造とは、沃化銀含有率が最高となる特定点L1
ら、沃化銀含有率が最低となる特定点L2に向って、(1)
直線的に、或は(2)極大、極小を有しない曲線を辿って
減少する構造である。
【0041】本発明の効果を有効に引き出すためには前
記(1)の形態が好ましい。本発明に係るハロゲン化銀粒
子においては、前記特定点L1より内側に向かっては沃
化銀含有率は単調に減少してもよいし、又、均一含有率
であってもよい。
【0042】なお、沃化銀含有率が最高となる特定点L
1は、中心から0.67L未満であるが、0.62L以下である
ことが好ましい。又、沃化銀含有率が最低となる特定点
2から粒子最表面までは、沃化銀最低含有率から最高
含有率までの任意の沃化銀含有率の分布をとり得る。
【0043】又、前記沃化銀含有率が最低となる特定点
2は、粒子中心から0.58L以上であるが0.80L以上が
好ましい。
【0044】本発明において個々のハロゲン化銀粒子の
沃化銀含有率及び平均沃化銀含有率は、EPMA法(Electro
n Probe Micro Analyzer法) を用いることにより求める
ことが可能となる。
【0045】この方法は、乳剤粒子を互いに接触しない
ように良く分散したサンプルを作成し、電子ビームを照
射する電子線励起によるX線分析より極微小な部分の元
素分析が行なえる。この方法により各粒子から放射され
る銀及び沃度の特性X線強度を求めることにより個々の
粒子のハロゲン組成が決定できる。少なくとも50個の粒
子についてEPMA法により沃化銀含有率を求めれば、それ
らの平均から平均沃化銀含有率が求められる。
【0046】本発明の乳剤は、粒子間の沃度含有量がよ
り均一になっていることが好ましい。
【0047】EPMA法により粒子間の沃度含有量の分布を
測定したときに相対標準偏差が35%以下が好ましく、特
に20%以下であることが好ましい。
【0048】又、ハロゲン化銀乳剤の表面層の沃化銀含
有率は、X線光電子分光法によって測定することができ
る。X線光電子分光法では、その測定に先立って乳剤を
以下のように前処理する。まず、乳剤約1mlに0.01wt%
のプロナーゼ水溶液10mlを加え、40℃で1時間撹拌して
ゼラチン分解を行なう。次に遠心分離して乳剤粒子を沈
降させ上澄み液を除去したあと、プロナーゼ水溶液10ml
を加え上記の条件で再度ゼラチン分解を行なう。この試
料を再び遠心分離し、上澄み液を除去した後、蒸留水10
mlを加えて乳剤粒子を蒸留水中に再分散させ遠心分離
し、上澄み液を除去する。この水洗操作を3回繰り返し
たあと、乳剤粒子をエタノール中に再分散させる。(こ
こまでの作業は暗室で行なう)。薄暗い明室中でこれを
鏡面研摩したシリコンウェハ上に薄く塗布して測定試料
とする。シリコンウェハ上に塗布された試料は24時間以
内にX線光電子分光法にて測定する。
【0049】X線光電子分光法による測定には、装置と
してPHI社製ESCA/SAM560型を使用する。試料は60度傾斜
ホルダに固定し、試料予備排気室においてターボ分子ポ
ンプを用い10分間真空排気を行なったあと、測定室に導
入する。試料導入後1分以内に励起用X線(Mg-Kα線)
の照射を開始し、ただちに測定を開始する。
【0050】測定はX線源電圧15kV、X線源電流40mA、
パスエネルギー50eVの条件で行なう。
【0051】表面ハライド組成を求めるためにAg 3d、
Br 3d、 I 3d3/2電子を検出する。Ag 3d電子の検
出には結合エネルギー381eVから361eVの範囲をスキャン
ステップ0.2eV、各ステップ100msecずつ1 回測定し、B
r 3d電子の検出には総合エネルギー79eVから59eVの範囲
をスキャンステップ0.2eV、各ステップ100msecずつ5回
測定し、I 3d3/2電子の検出には総合エネルギー644eV
から624eVの範囲をスキャンステップ0.2eV、各ステップ
100msecずつ40回測定する。データは前記操作を2回繰
返し積算したものとする。
【0052】組成比の算出には各ピークの積分強度を用
いる。Ag 3dピークの積分強度は、Ag 3d3/2ピークが
極大値を示す総合エネルギーに4eV加えたエネルギー値
の強度とAg 3d5/2ピークが最大値を示す結合エネルギ
ーに4eV加えたエネルギー値の強度を結ぶ直線をベース
ラインとしcps・eVを単位として求め、Br 3dピークの積
分強度はBr 3d5/2ピークが最大値を示す総合エネルギ
ーに4eV加えたエネルギー値の強度と、Br 3d5/2ピー
クが最大値を示す総合エネルギーから3eV減じたエネル
ギー値の強度を結ぶ直線をベースラインとしcps・eVを単
位として求め、I 3d3/2ピークの積分強度はI 3d3/2
ピークが最大値を示す総合エネルギーに4eV加えたエネ
ルギー値の強度とI 3d3/2ピークが最大値を示す総合
エネルギーから4eV減じたエネルギー値の強度を結ぶ直
線をベースラインとしcps・eVを単位として求める。
【0053】各ピークの積分強度から組成比を算出する
場合には、相対感度係数法が用いられAg 3d、Br 3d、
I 3d3/2の相対度系数としてそれぞれ5.10、0.81、4.5
92を使用することにより組成比は原子パーセントを単位
として与えられる。
【0054】またIモルパーセントはIの原子パーセン
ト値をBrの原子パーセント値とIの原子パーセント値
の和で除することにより求められる。
【0055】本発明のハロゲン化銀乳剤は、偶数枚の平
行な双晶面を有する。双晶面とは、(111)面の両側で
全ての格子点のイオンが鏡像関係にある場合に、この
(111)面のことをいう。
【0056】ここで粒子厚さは、互いに平行な外表面間
の距離であり、粒子厚さの測定は、参照用のラテックス
とともに粒子の斜め方向から金属を蒸着し、そのシャド
ーの長さを電子顕微鏡写真上で測定し、ラテックスのシ
ャドーの長さを参照にして計算することにより容易にで
きる。本発明でいう粒子の平均厚さ(T)は、この様に
して求めた各粒子の厚さを数平均したものである。次に
本発明の双晶面間の平均距離(I)の測定方法について
述べる。双晶面間距離とは、粒子内に2枚の双晶面を有
する粒子に於ては、その2枚の双晶面の距離であり、4
枚以上の双晶面を有する粒子に於ては、双晶面間の距離
の内、最も短い距離をいう。
【0057】具体的には、平均状粒子からなる乳剤を支
持体上に塗布することにより、平版状粒子が支持体に対
してほぼ平行に配列した試料を作製し、これをダイヤモ
ンドナイフで切削することにより厚さ約0.1μmの切片を
作製する。この切片を透過型電子顕微鏡で観察すること
により、双晶面を検知することができる。電子線が双晶
面を通り抜ける際、電子線に位相のずれが生ずる為、そ
の存在が認められるこになる。本発明でいう、偶数枚の
平行な双晶面のうち、最も距離が短い2枚の双晶面間の
平均距離(I)は、この様にして求めた各粒子の双晶面
間距離を数平均したものである。
【0058】ここで、アスペクト比とは、平版状粒子の
サイズ(粒子の平行な外表面の投影面積と等しい面積を
もつ円の直径とする)を、粒子の厚さで割ったものであ
る。また、平均アスペクト比とは、各粒子のアスペクト
比を数平均したものである。本発明の乳剤の平均アスペ
クト比は、1.0以上、5.0未満であり、好ましくは、1.3
以上,4.0未満のものである。
【0059】粒子の平均厚さ(T)は、0.05〜4.5μm,
更に0.2〜1.0μmであることが好ましい。
【0060】双晶面間の平均距離(I)は、0.01〜0.1
μm,更に0.013〜0.05μmが好ましい。
【0061】本発明に於ては、粒子の平均厚さは(T)
と双晶面間の平均距離(I)との比(T/I)の値が5
以上の粒子が全粒子数の50%以上、更に好ましくは10%
であり、特に好ましいのは、T/Iの値が10以上の粒子
が全粒子数の50%以上、更に70%以上である。
【0062】本発明のハロゲン化銀乳剤の製造にあたっ
ては、結晶成長時のpAgのコントロールが極めて重要で
ある。結晶成長時のpAgとしては6〜12が好ましい。
【0063】ハロゲン化銀生成時のpAgは一定でもよ
く、また階段状に変化させても連続的に変化させてもよ
いが、変化させる場合にはハロゲン化銀粒子の生成する
につれてpAgを上昇させることが好ましい。
【0064】本発明のハロゲン化銀乳剤の製造にあたっ
ては、製造時の攪拌条件が極めて重要である。攪拌装置
としては特開昭62-160128号に示される銀塩水溶液とハ
ロゲン化物水溶液をダブルジェットで供給する攪拌装置
を用い、攪拌回転数としては200〜1000回転/分にする
ことが好ましい。
【0065】本発明に係るハロゲン化銀乳剤の形状とし
ては、立方体、8面体、14面体などの正常晶でもよく、
平板乳剤などの双晶でもよい。
【0066】本発明に係るハロゲン化銀乳剤は、粒子サ
イズ分布の広い多分散乳剤、粒子サイズ分布の狭い単分
散乳剤など任意であってもよく、それぞれが単独の乳剤
であっても、これらの乳剤を数種類混合したものであっ
てもよい。本発明の乳剤を用いて感光材料を作成する際
には単分散乳剤であることが好ましい。
【0067】ここで単分散のハロゲン化銀乳剤として
は、平均粒径rを中心に±20%の粒径範囲内に含まれる
ハロゲン化銀重量が、全ハロゲン化銀粒子重量の60%以
上であるものが好ましく、より好ましくは70%以上、さ
らに好ましくは80%以上である。
【0068】ここに平均粒径rは、粒径riを有する粒
子の頻度niとri3との積ni×ri3 が最大となるときの粒
径ri と定義する(有効数字3桁、最小桁数字は4捨5
入する)。
【0069】ここでいう粒径とは、球状のハロゲン化銀
粒子の場合はその直径、球状以外の形状の粒子の場合
は、その投影像を同面積の円像に換算したときの直径で
ある。粒径は例えば該粒子を電子顕微鏡で1万倍から5
万倍に拡大して撮影し、そのプリント上の粒子直径また
は投影時の面積を実測することによって得ることができ
る(測定粒子個数は無差別に1000個以上あることとす
る)。
【0070】本発明の特に好ましい高度の単分散乳剤
は、標準偏差/平均粒径×100=分布の広さ[%]によっ
て分布の広さを定義したとき20%以下のものであり、さ
らに好ましくは15%以下のものである。
【0071】ここに平均粒径および標準偏差は、上記定
義した粒径riから求めるものとする。単分散乳剤を得
る方法としては、種粒子を含むゼラチン溶液中に水溶性
銀塩溶液と水溶性ハライド溶液及びハロゲン化銀微粒子
の中から任意に選ばれた2種以上の反応要素を、pAgお
よびpHの制御下に添加することによって得ることがで
きる。添加速度の決定に当たっては、特開昭54-48521
号、同58-49938号を参考にできる。
【0072】さらに高度な単分散乳剤を得る方法とし
て、特開昭60-122935号に開示されたテトラザインデン
存在下の成長方法が適用できる。
【0073】本発明のハロゲン化銀乳剤の調製時に、ア
ンモニア、チオエーテル、チオ尿素等の公知のハロゲン
化銀溶剤を存在させることもできるし、又、ハロゲン化
銀溶剤を使用しなくてもよい。
【0074】ハロゲン化銀粒子は、粒子を形成する過程
および/または 成長させる過程で、カドミウム塩、亜
鉛塩、鉛塩、タリウム塩、イリジウム塩(錯塩を含む)か
ら選ばれる少なくとも1種を用いて金属イオンを添加
し、粒子内部および/または粒子表面にこれらの金属元
素を含有させることができ、又、適当な還元雰囲気にお
くことにより粒子内部および/または粒子表面に還元増
感核を付与できる。
【0075】ハロゲン化銀粒子は、潜像が主として表面
に形成される粒子、或は、主として粒子内部に形成され
る粒子のいずれであってもよく、ハロゲン化銀のサイズ
としては0.05〜5.0μm、好ましくは0.1〜3.0μmのもの
である。
【0076】本発明のハロゲン化銀乳剤は、ハロゲン化
銀粒子の成長終了後に不要な可溶性塩類を除去したもの
であってもよいし、含有させたままのものでもよい。
【0077】又、特開昭60-138538号記載の方法のよう
に、ハロゲン化銀成長の任意の点で脱塩を行なうことも
可能である。塩類を除去する場合には、リサーチ・ディ
スクロージャー(Research Disclosure ) 17643.II項に
記載の方法に基づいて行なうことができる。詳しくは沈
澱形成後、あるいは物理熟成後の乳剤から可溶性塩を除
去するためには、ゼラチンをゲル化させて行なうヌーデ
ル水洗法を用いてもよく、また無機塩類、アニオン性界
面活性剤、アニオン性ポリマー(例えばポリスチレンス
ルホン酸)、あるいはゼラチン誘導体(例えばアシル化ゼ
ラチン、カルバモイル化ゼラチンなど)を利用した沈澱
法(フロキュレーション)を用いてもよい。
【0078】本発明のハロゲン化銀乳剤は、常法により
化学増感することができる。即ち、硫黄増感、セレン増
感、還元増感、金その他の貴金属化合物を用いる貴金属
増感法などを、単独または組み合わせて用いることがで
きる。
【0079】本発明のハロゲン化銀乳剤は、写真業界に
おいて増感色素として知られている色素を用いて所望の
波長域に光学的に増感できる。増感色素は、単独で用い
てもよいが2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
又、増感色素と共にそれ自身分光増感作用をもたない色
素、あるいは可視光を実質的に吸収しない化合物であっ
て増感色素の増感作用を強める強色増感剤を用いてもよ
い。
【0080】本発明のハロゲン化銀乳剤には、カブリ防
止剤、安定剤などを加えることができる。乳剤のバイン
ダーとしてはゼラチンを用いるのが有利である。乳剤層
その他の親水性コロイド層は、硬膜することができ、ま
た可塑剤、水不溶性または可溶性合成ポリマーの分散物
(ラテックス)などをを含有させることができる。
【0081】カラー感光材料の乳剤層には、カプラーが
用いられる。さらに色補正の効果を有している競合カプ
ラー及び現像主薬の酸化体とのカップリングによって現
像促進剤、現像剤、ハロゲン化銀溶剤、調色剤、硬膜
剤、カブリ剤、カブリ防止剤、化学増感剤、分光増感剤
および減感剤のような写真的に有用なフラグメントを放
出する化合物を用いることができる。
【0082】感光材料には、フィルター層、ハレーショ
ン防止層及びイラジュエーション防止層等の補助層を設
けることができる。これらの層中および/又は乳剤層中
には現像処理中に感光材料から流出するか、もしくは漂
白される染料が含有されていてもよい。
【0083】感光材料にはマット剤、滑剤、画像安定
剤、ホルマリンスカベンジャー、紫外線吸収剤、蛍光増
白剤、界面活性剤、現像促進剤や現像遅延剤を添加でき
る。
【0084】支持体としては、ポリエチレン等をラミネ
ートした紙、ポリエチレンテレフタレートフィルム、バ
ライタ紙、三酢酸セルロース等を用いることができる。
【0085】
【実施例】次に、本発明を実施例によって更に具体的に
説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0086】実施例1 (双晶種乳剤T-Iの調製)以下に示す方法で、2枚の平
行な双晶面を有した種乳剤T-1を調製した。
【0087】 A オセインゼラチン 80.0 g 臭化カリウム 47.4 g ポリイソプロピレン- ポリエチレンオキシ -ジこはく酸エステルナトリウム塩10%メタノール溶液 0.48 ml 水で 8000.0 ml B 硝酸銀 1200.0 g 水で 1600.0 ml C オセインゼラチン 32.2 g 臭化カリウム 790.0 g 沃化カリウム 70.34 g 水で 1600.0 ml D アンモニア水 470.0 ml 40℃で激しく攪拌したA液に、B液とC液をダブルジ
ェット法により7.7 分間で添加し核の生成を行なった。
この間、pBrは1.60に保った。
【0088】その後、30分間かけて温度を20℃に下げ
た。さらにD液を1 分間で添加し、引き続き5 分間の熟
成を行なった。熟成時のKBr濃度は0.03mol/l、アン
モニア濃度は0.66mol/l であった。
【0089】熟成終了後、pHを6.0に調整し、常法に従
って脱塩を行なった。この種乳剤粒子を電子顕微鏡観察
したところ互いに平行な2枚の双晶面を有する6角平板
状粒子であった。
【0090】この種乳剤粒子の平均粒径は0.217μm、2
枚平行双晶面比率は全粒子中の個数比で75%であった。
【0091】(本発明乳剤EM-1の調製)以下に示す7
種類の溶液を用いて本発明の八面体双晶単分散乳剤EM
-1を調製した。 (溶液A) オセインゼラチン 61.0 g 蒸留水 1963.0 ml ポリイソプロピレン- ポリエチレンオキシ -ジこはく酸エステルナトリウム塩10%メタノール溶液 2.5 ml 種乳剤(T-1) 0.345 モル 28重量%アンモニア水溶液 308.0 ml 56重量%酢酸水溶液 358.0 ml 蒸留水で3500.0mlにする。
【0092】(溶液B) 3.5Nアンモニア性硝酸銀水溶液(但し、硝酸アンモニウ
ムによってpHを9.0 に調整した) (溶液C)3.5N臭化カリウム水溶液 (溶液D)3重量%のゼラチンと沃化銀微粒子乳剤(平均粒
径0.05μm)を1.40モル(沃化銀微粒子乳剤の調製法は下
記) (沃化銀微粒子乳剤の調製法)0.06モルの沃化カリウムを
含む6.0重量%のゼラチン溶液5000mlに、7.06モルの硝
酸銀と、7.06モルの沃化カリウムを含む水溶液の各々20
00mlを、10 分間かけて添加した。微粒子形成中のpHは
硝酸を用いて2.0に調整し、温度は40 ℃に制御した。
粒子形成後に炭酸ナトリウム水溶液を用いてpHを6.0に
調整した。
【0093】(溶液E)溶液Dで用いた沃化銀微粒子乳剤
と同様にして調製した2モル%の 沃化銀を含有す
る沃臭化銀粒子(平均粒径0.04μm)から成る微粒子乳剤
を3.68モル (但し、微粒子形成中の温度は30℃に制御) (溶液F)臭化カリウム1.75N水溶液 (溶液G)56重量%酢酸水溶液 上記の溶液Aを反応容器内で激しく攪拌しながら70℃に
保ち、そこに溶液B、C及びDを同時混合法によって12
8分の時間を要して添加した後、引き続いて溶液Eを7
分を要して単独に定速添加し、種結晶を0.806μmまで成
長させた。
【0094】ここで、溶液B及びCの添加速度は、臨界
成長速度に見合ったように時間に対して関数様に変化さ
せ、成長している種結晶以外の小粒子の発生及びオスト
ワルド熟成により多分散化しないように適切な添加速度
で添加した。
【0095】溶液D即ち沃化銀微粒子乳剤の供給は、ア
ンモニア性硝酸銀水溶液との速度比(モル比)を下記の表
1に示すように粒径(添加時間)に対して変化させること
によって本発明の連続的な沃化銀組成を有した沃臭化銀
乳剤EM-1を作成した。
【0096】又、溶液F、Gを用いることによって結晶
成長中のpAg、pHを表1に示すように制御した。な
お、pAgとpHの測定は常法に従い硫化銀電極及びガラ
ス電極を用いて行なった。
【0097】粒子形成後に特願平3-41314号に記載の方
法に従い脱塩処理を施し、その後ゼラチンを加えて再分
散し、40℃にてpHを5.80、pAgを8.06に調整した。
【0098】得られた乳剤粒子の走査型電子顕微鏡写真
から平均粒径0.806μm、分布の広さが12.0%の平版状乳
剤であることが確認された。
【0099】
【表1】
【0100】さらに、溶液Aの蒸留水を増やして溶液A
の仕上がり量を50000.0mlとし、それ以外の条件はEM-
1と同様の調整方法により本発明の乳剤EM-2を調製
した。
【0101】さらに、EM-1の製造方法において溶液
D、即ち沃化銀微粒子乳剤の供給を、アンモニア性硝酸
銀水溶液(溶液B)との速度比を変化させ、それ以外はE
M-1と同様の調製方法により本発明の乳剤EM-3を調
製した。
【0102】(比較用乳剤EM-4の調製)EM-1の調製
方法において、溶液D即ち沃化銀微粒子乳剤の供給をア
ンモニア性硝酸銀水溶液(溶液B)との速度比(モル比)
を、下記の表2に示すように粒径(添加時間)に対して変
化させ、それ以外はEM-1と同様の方法により比較用
乳剤EM-4を調製した。
【0103】
【表2】
【0104】さらに、溶液Aの蒸留水を増やして溶液A
の仕上がり量を20000.0mlとし、それ以外の条件はEM-
1と同様の調製方法により比較用乳剤EM-5を調製し
た。
【0105】さらに、EM-1の製造方法において、溶
液D即ち沃化銀微粒子乳剤の供給をアンモニア性硝酸銀
水溶液(溶液B)との速度比を変化させ、かつpAg値を
11.0一定値で行うこと以外はEM-1と同様の製造方法
により比較用乳剤EM-6を調製した。
【0106】さらに、溶液Aの蒸留水を増やして溶液A
の仕上がり量を20000.0mlとし、かつpAg値を11.0一定
値で行うこと以外はEM-4と同様の製造方法により、
比較用乳剤EM-7を作成した。
【0107】このようにして作成したEM-1〜EM-7
を走査型電子顕微鏡(日本電子〔株〕製)を用いて撮影し
ハロゲン化銀粒子1000個中の凝集率を求めた。
【0108】EM-1からEM-7の調製条件及び得られ
た結果を表3にまとめた。
【0109】
【表3】
【0110】表3から明らかなように、本発明の乳剤E
M-1〜EM-3は、凝集率が著しく改良されている。
又、比較乳剤の中ではEM-4とEM-6は、沃度組成は
連続変化を有していないが、凝集率は本発明乳剤並みに
低い。これは粒子間距離を本発明の範囲内に設定したこ
との効果である。
【0111】一方、EM-5とEM-7は、粒子間距離が
広いために凝集率が著しく劣化していることが分かる。
【0112】実施例2(試料の作成) 乳剤EM-1〜EM-7に、金、硫黄増感を最適に施し、
これらの乳剤を用いてトリアセチルセルロースフィルム
支持体上に下記に示すような組成の各層を順次支持体側
から形成して多層カラー写真感光材料を作成した。
【0113】以下の全ての記載においてハロゲン化銀写
真感光材料中の添加量は特に記載のない限り1m2当たり
のグラム数を示す。又、ハロゲン化銀及びコロイド銀は
銀に換算して示し、増感色素はハロゲン化銀1モル当た
りのモル数で示した。
【0114】多層カラー写真感光材料試料-1(本発明の
乳剤EM-1を使用)の構成は以下の通りである。
【0115】 第1層:ハレーション防止層 黒色コロイド銀 0.16 紫外線吸収剤 (UV−1) 0.30 ゼラチン 1.70 第2層:中間層(1L−1) ゼラチン 0.80 第3層;低感度赤感性層(R−L) 沃臭化銀乳剤(平均粒径0.30μm) 0.40 増感色素(S−1) 1.2×10-4 増感色素(S−2) 0.2×10-4 増感色素(S−3) 2.0×10-4 増感色素(S−4) 1.2×10-4 シアンカプラー(C−1) 0.33 カラードシアンカプラー(CC−1) 0.05 高沸点溶媒 (Oil−1) 0.30 ゼラチン 0.55 第4層;中感度赤感性層(R−M) 沃臭化銀乳剤(平均粒径0.4μm) 0.48 増感色素(S−1) 1.5×10-4 増感色素(S−2) 0.2×10-4 増感色素(S−3) 2.5×10-4 増感色素(S−4) 1.5×10-4 シアンカプラー(C−1) 0.30 カラードシアンカプラー(CC−1) 0.05 高沸点溶媒 (Oil−1) 0.40 ゼラチン 0.60 第5層;高感度赤感性層(R−H) 沃臭化銀乳剤(平均粒径0.55μm) 0.66 増感色素(S−1) 1.0×10-4 増感色素(S−2) 0.2×10-4 増感色素(S−3) 1.7×10-4 増感色素(S−4) 1.0×10-4 シアンカプラー(C−2) 0.10 カラードシアンカプラー(CC−1) 0.01 DIR化合物(D−1) 0.02 高沸点溶媒 (Oil−1) 0.15 ゼラチン 0.53 第6層;中間層(1L−2) ゼラチン 0.80 第7層;低感度緑感性層(G−L) 沃臭化銀乳剤(平均粒径0.40μm) 0.60 沃臭化銀乳剤(平均粒径0.30μm) 0.40 増感色素(S−1) 0.6×10-4 増感色素(S−5) 5.1×10-4 マゼンタカプラー(M−1) 0.55 カラードマゼンタカプラー(CM−1) 0.17 DIR化合物(D−2) 0.03 高沸点溶媒 (Oil−2) 0.70 ゼラチン 1.56 第8層;高感度緑感性層(G−H) 沃臭化銀乳剤(本発明乳剤EM−1) 0.60 増感色素(S−6) 1.5×10-4 増感色素(S−7) 1.5×10-4 増感色素(S−8) 1.5×10-4 マゼンタカプラー(M−1) 0.06 マゼンタカプラー(M−2) 0.02 カラードマゼンタカプラー(CM−2) 0.02 DIR化合物 (D−3) 0.002 高沸点溶媒 (Oil−2) 0.15 ゼラチン 0.45 第9層;イエローフィルター層(YC) 黄色コロイド銀 0.12 HS−1 0.20 HS−2 0.14 高沸点溶媒(Oil−2) 0.18 ゼラチン 0.80 第10層;低感度青感性層(B−L) 沃臭化銀乳剤(平均粒径0.4μm) 0.18 沃臭化銀乳剤(平均粒径0.3μm) 0.35 増感色素(S−9) 5.1×10-4 増感色素(S−10) 2.0×10-4 イエローカプラー(Y−1) 0.58 イエローカプラー(Y−2) 0.30 高沸点溶媒 (Oil−2) 0.15 ゼラチン 1.20 第11層;高感度青感性層(B−H) 沃臭化銀乳剤(平均粒径0.65μm) 0.45 増感色素(S−9) 2.8×10-4 増感色素(S−10) 1.0×10-4 イエローカプラー(Y−1) 0.10 高沸点溶媒 (Oil−2) 0.04 ゼラチン 0.50 第12層;第1保護層(Pro−1) 沃臭化銀乳剤(平均粒径0.07μm) 0.30 紫外線吸収剤(UV−1) 0.07 紫外線吸収剤(UV−2) 0.10 高沸点溶媒 (Oil−2) 0.07 高沸点溶媒 (Oil−3) 0.07 HS−1 0.25 ゼラチン 0.80 第13層;第2保護層(Pro−2) アルカリ可溶性マット剤 (平均粒径2μm) 0.13 ポリメチルメタクリレート(平均粒径3μm) 0.02 ゼラチン 0.50 尚、上記の組成物の他に、塗布助剤Su−1、分散助剤
Su−2、硬膜剤H−1、H−2、染料AI−1、AI
−2を適宜添加した。
【0116】上記試料に用いた化合物の構造を以下に示
す。
【0117】
【化1】
【0118】
【化2】
【0119】
【化3】
【0120】
【化4】
【0121】
【化5】
【0122】
【化6】
【0123】
【化7】
【0124】
【化8】
【0125】乳剤EM-2〜EM-7についても表4に示
す通り、試料-1の乳剤EM-1に代えて、これらの各乳
剤を用いることにより同様に多重カラー写真感光材料試
料-2〜7を作成した。
【0126】
【表4】
【0127】 処理工程 1.発色現像 3分15秒 38.0±0.1℃ 2.漂 白 6分30秒 38.0±3.0℃ 3.水 洗 3分15秒 24〜41℃ 4.定 着 6分30秒 38.0±3.0℃ 5.水 洗 3分15秒 24〜41℃ 6.安 定 3分15秒 38.0±3.0℃ 7.乾 燥 50℃以下 各処理工程において使用した処理液組成は下記の通りで
ある。
【0128】 〈発色現像液〉 4-アミノ-3-メチル-N-エチル-N-(β-ヒドロキシエチル) アニリン・硫酸塩 4.75g 無水亜硫酸ナトリウム 4.25g ヒドロキシルアミン・1/2硫酸塩 2.0 g 無水炭酸カリウム 37.5g 臭化ナトリウム 1.3 g ニトリロ三酢酸・三ナトリウム塩(一水塩) 2.5 g 水酸化カリウム 1.0 g 水を加えて1リットルとし、pH=10.1に調整する。
【0129】 〈漂白液〉 エチレンジアミン四酢酸鉄アンモニウム塩 100.0g エチレンジアミン四酢酸二アンモニウム塩 10.0g 臭化アンモニウム 150.0g 氷酢酸 10.0g 水を加えて1リットルとし、アンモニア水を用いてpH=
6.0に調整する。
【0130】 〈定着液〉 チオ硫酸アンモニウム 175.0g 無水亜硫酸ナトリウム 8.5g メタ亜硫酸ナトリウム 2.3g 水を加えて1リットルとし、酢酸を用いてpH=6.0に調
整する。
【0131】 〈安定液〉 ホルマリン(37%水溶液) 1.5cc. コニダックス(コニカ〔株〕製) 7.5cc. 水を加えて1リットルとする。
【0132】得られた各試料について緑色光(G)を用い
て相対カブリ、粒状性及び圧力減感の評価を試料作成直
後に行なった。その結果を表5に示す。
【0133】
【表5】
【0134】表中の相対カブリは最小濃度(Dmin)の相
対値であり、試料-1のDmin値を100とする値で示し
た。(100に対して値が大きいほど劣化していることを示
す)。
【0135】粒状性はDmin+0.5の濃度を開口走査面積
250μm2のマイクロデンシトメータで走査したときに生
じる濃度値の変動の標準偏差(RMS値)の相対値で示し
た。RMS値は、小さいほど粒状性がよく効果があるこ
とを示す。試料-1のRMS値を100とする値で示した。
(100に対して値が大きいほど劣化していることを示
す)。
【0136】圧力減感は23℃、55%(相対湿度)の条件下
で、引掻強度試験機(新東科学製)を用い、先端の曲率半
径が0.025μmの針に5gの荷重をかけて定速で走査した
後、露光、現像処理を行ない、Dmin+0.4の濃度におい
て荷重がかけられた部分の濃度変化(ΔDp)を求め、試料
-1のΔDpを100とする値で示した。(100に対して値が大
きいほど劣化していることを示す)。
【0137】表5から明らかなように、本発明に係る乳
剤EM-1〜EM-3を含む本発明の試料-1〜試料-3
は、カブリが低く粒状性が改良され、かつ圧力耐性が改
良されている。これらの中でも本発明のベストの組み合
わせを満たす乳剤EM-1を用いた試料-1が特に優れて
いる。これに対し比較の乳剤EM-4は沃度組成が連続
的な構造を有していないため、圧力減感が著しく劣化し
ている。EM-5は、成長時の粒子間距離が本発明の条
件から大きくはずれているためカブリ、粒状性が著しく
劣化している。EM-6は、沃度組成は連続的な変化は
しているが、本発明の最高沃度含有率点(L1)及び最低
沃度含有率点(L2)から、はずれているために圧力減感
が劣化している。EM-7は沃度組成連続的変化、及び
成長時の粒子間距離のいずれも本発明条件から大きくは
ずれておりカブリ、粒状性及び圧力減感のいずれも著し
く劣化していることが分かる。
【0138】
【発明の効果】本発明によれば、カブリの発生が少な
く、かつ粒状性が優れ、圧力減感性の少ないハロゲン化
銀写真感光材料を得ることができた。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に少なくとも1層のハロゲン化
    銀乳剤層を有するハロゲン化銀写真感光材料において、
    該乳剤層の少なくとも1層中に、下記の(1)及び(2)の条
    件を満たすハロゲン化銀粒子を含有することを特徴とす
    るハロゲン化銀写真感光材料。 (1)種晶から結晶成長を経て形成されたハロゲン化銀粒
    子であり、かつ添加銀量の30%が供給されるまでに形成
    される個々のハロゲン化銀粒子のハロゲン化銀相が、反
    応溶液中に存在する個々のハロゲン化銀粒子の粒子間距
    離において、0.1〜2.0μmの範囲内で形成されたもので
    あり、 (2)ハロゲン化銀粒子の中心から外表面までの距離Lに
    対して、中心から0.67L未満の距離L1に沃化銀含有率
    が最高となる点を有し、また前記Lに対し0.58Lより外
    側の距離L2に沃化銀含有率が最低となる点を有し、か
    つ前記L1からL2に至るまで沃化銀含有率が実質的に単
    調減少し、かつ(L2−L1)/L≧0.20であるハロゲン化
    銀粒子。
  2. 【請求項2】 支持体上に少なくとも1層のハロゲン化
    銀乳剤層を有するハロゲン化銀写真感光材料において、
    該乳剤層の少なくとも1層中に、下記の(1)及び(2)の条
    件を満たすハロゲン化銀粒子を含有するハロゲン化銀乳
    剤を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材
    料。 (1)種晶から結晶成長を経て形成されたハロゲン化銀粒
    子であり、かつ添加銀量の30%が供給されるまでに形成
    される個々のハロゲン化銀粒子のハロゲン化銀相が、反
    応溶液中に存在する個々のハロゲン化銀粒子の粒子間距
    離において、0.1〜2.0μmの範囲内で形成されたもので
    あり、 (2)ハロゲン化銀粒子の中心から外表面までの距離Lに
    対して、中心から0.67L未満の距離L1に沃化銀含有率
    が最高となる点を有し、また前記Lに対し0.58Lより外
    側の距離L2に沃化銀含有率が最低となる点を有し、か
    つ前記L1からL2に至るまで沃化銀含有率が実質的に単
    調減少し、かつ(L2−L1)/L≧0.20であるハロゲン化
    銀粒子。
  3. 【請求項3】 請求項1において、該ハロゲン化銀乳剤
    に含有されるハロゲン化銀粒子が、偶数枚の平行な双晶
    面を有するハロゲン化銀粒子であって、該粒子の平均ア
    スペクト比が1.0以上5.0未満であり、かつ該粒子の平均
    厚さ(T)と該偶数枚の平行な双晶面のうち、最も距離が
    短い2枚の双晶面間の平均距離(I)との比が5以上であ
    ることを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
  4. 【請求項4】 請求項2において、該ハロゲン化銀乳剤
    に含有されるハロゲン化銀粒子が、偶数枚の平行な双晶
    面を有するハロゲン化銀粒子であって、該粒子の平均ア
    スペクト比が1.0以上5.0未満であり、かつ該粒子の平均
    厚さ(T)と該偶数枚の平行な双晶面のうち、最も距離が
    短い2枚の双晶面間の平均距離(I)との比が5以上であ
    ることを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
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