JP2857627B2 - 感度及び耐圧性に優れるハロゲン化銀写真感光材料 - Google Patents

感度及び耐圧性に優れるハロゲン化銀写真感光材料

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JP2857627B2 JP34473289A JP34473289A JP2857627B2 JP 2857627 B2 JP2857627 B2 JP 2857627B2 JP 34473289 A JP34473289 A JP 34473289A JP 34473289 A JP34473289 A JP 34473289A JP 2857627 B2 JP2857627 B2 JP 2857627B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はハロゲン化銀写真感光材料に関し、特に感度
及び耐圧性に優れるハロゲン化銀写真感光材料に関す
る。
〔従来の技術〕
従来よりハロゲン化銀写真感光材料は、高感度である
ことが望まれるとともに、各種のプレッシャーに対する
耐性が良好な耐圧性に優れるものであることが要請さえ
ている。耐圧性を改良する手段として、使用する乳剤に
可塑剤を添加して、ハロゲン化銀粒子を分散させるバイ
ンダー(特にゼラチン)の物性を変える技術が知られて
いる。しかしこれはハロゲン化銀粒子自体の改良ではな
く、根本的な性能改良をもたらさず、かつ効果も不十分
である。一方、感度と耐圧性とを同時に改良すべく、コ
ア/シェル型粒子、即ちコアと該コアの少なくとも一部
を被覆するシェルとから成る2層構造の感光性ハロゲン
化銀粒子や、更に多層になった多層構造の感光性ハロゲ
ン化銀粒子を含有する乳剤を用いる技術が知られてい
る。しかしこの技術も、感度及び耐圧性の或る程度の改
良効果は認められるものの、十分なものとは言えない。
〔発明の目的〕
本発明は上記問題点を解決して、高感度化と耐圧性の
向上とをともに十分に達成できた満足すべき性能のハロ
ゲン化銀写真感光材料を提供せんとするものである。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者らは種々検討の結果、上記本発明の目的は、
下記ハロゲン化銀粒子を有するハロゲン化銀写真感光材
料によって達成されることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、2層以
上の実質的に均質な層から成る層状構造を有するハロゲ
ン化銀粒子であって、該粒子の最外部層は10モル%以下
の沃化銀を含むハロゲン化銀から成り、該最外部層より
内側に15モル%以上の沃化銀を含有するハロゲン化銀か
ら成る高沃度層を有し、該最外部層と高沃度層その間に
は実質的に連続的に沃化銀含有率が変化する中間層(以
下このような中間層を適宜「本発明に係る中間層」と称
することもある)を少なくとも1層有し、該中間層の沃
化銀含有率の最高値は前記高沃度層の沃化銀含有率より
も小さいものであり、及び/またはその沃化銀含有率の
最低値が前記最外部層より大きいものであるハロゲン化
銀粒子(以下適宜「本発明のハロゲン化銀粒子」などと
も称する)を有するものであり、この構成により上記目
的を達成したものである。
本発明の感光材料は、上記本発明のハロゲン化銀粒子
を含有するハロゲン化銀乳剤(以下適宜「本発明の乳
剤」と称することもある)を調製し、これを用いて構成
することができる。
以下本発明について更に詳述する。
本発明のハロゲン化銀粒子は、2層以上の実質的に均
質な層から成るが、ここで層とは、内側部分が存在して
これを被覆する層状をなす場合のほか、中心部分をなし
てコアとなっているものを含む概念である。よってコア
とこれを被覆する1層のシェルとから成る場合、これを
2層構造と称する。また、層が内側部分を被覆している
場合、これは必ずしも全体を被覆していなくても、少な
くとも内側部分の一部を被覆する構造になっていればよ
い。また「実質的に均質」とは、その層がハロゲン化銀
組成としてばらつきのない均一組成であることが好まし
いが、必ずしもそのように厳密に均質でなくても、層内
で均質とみなし得る程度に、ハロゲン化銀組成が層内で
同一であればよく、一般には沃化銀含有率で±5モル%
程度のばらつきがあっても、均質層としての機能を果た
し得る。
更に本発明のハロゲン化銀粒子は、その最外部層が沃
化銀含有率10%以下であるが、これは好ましくは8モル
%以下、より好ましくは6モル%以下であることがよ
い。
更に本発明のハロゲン化銀粒子は、上記最外部層より
も内側に15モル%以上の沃化銀含有率の高沃度層を有す
るが、この高沃度層は、なるべく粒子内部に存在するこ
とが好ましい。より好ましくは、この高沃度層は粒子の
最内部か、その近傍にあるのがよい。本発明において、
該高沃度層の沃化銀含有率は好ましくは20モル%以上で
あり、より好ましくは25モル%以上である。
上記最外部層、及び高沃度層は、いずれも実質的に均
質な層として構成されることができる。
更に本発明のハロゲン化銀粒子は、上記最外部層と高
沃度層との間には実質的に連続的に沃化銀含有率が変化
する中間層を少なくとも1層有する。ここで「実質的に
連続的に…変化」とは、均質ではなく、結晶成長上連続
とみなせる程度にハロゲン化銀組成が層内で変化してい
ることをいう。「連続に変化」とは、沃化銀含有率が、
粒径または銀量に対して単調減少、単調増加、或いは1
つまたは複数の極大値、極小値を有する曲線を辿って減
少または増加する構造をとるような変化をいう。粒子に
2つ以上の中間層が存在する場合には、それらの構造が
異なっていてもよい。
本発明のハロゲン化銀粒子の1つの中間層内における
沃化銀含有率の最高値の最低値の差は、5モル%以上が
好ましく、10モル%以上がより好ましい。
第1図は、本発明のハロゲン化銀粒子の一例につい
て、その構造を、横軸に粒径方向(中心を0とする)、
縦軸に沃化銀含有率をとって模式的に表したものである
が、第1図の例で言えば、第1図に符号(3)で示す沃
化銀含有率変化をする中間層について、その層内での沃
化銀含有率の差が5モル%以上、より好ましくは10モ
ル%以上であることが好ましいのである。
また、1つの中間層の厚さ、例えば第1図の例示では
図示の大きさは、粒径の5%以上であることが好まし
い。
更に本発明のハロゲン化銀粒子は、(I)中間層の沃
化銀含有率の最高値は高沃度層の沃化銀含有率よりも小
さいか、もしくは(II)その沃化銀含有率の最低値が前
記最外部層の沃化銀含有率より大きいか、または(II
I)上記(I)(II)の条件がともに満たされるもので
ある。上記(I)の場合、上記の差、即ち高沃度層の沃
化銀含有率から中間層の沃化銀含有率の最高値を引いた
値は、5モル%以上であることが好ましく、7モル%以
上であることがより好ましい。また上記(II)の場合、
上記の差、即ち中間層の沃化銀含有率の最低値から最外
部層の沃化銀含有率を引いた値は、3モル%以上である
ことが好ましく、5モル%以上であることがより好まし
い。(III)の場合も同様である。
第1図の例示は、上記(I)の場合の例であり、かつ
これはその高沃度層(2)が粒子の中心部にコアとして
存在し、また中間層(3)は、最外部層(1)に向かっ
てほぼリニアに沃化銀含有率が減少している。上記
(I)の如く、このハロゲン化銀粒子は、中間層の沃化
銀含有率の最高値は高沃度層の沃化銀含有率よりも小さ
いものであり、よって両層間には沃化銀含有量の差(ギ
ャップ)が必ず存在することになるが、第1図の例示で
は中間層(3)の最高沃化銀含有部分は最も内側になっ
ていて、上記差は図ので示すものとなる。
その他本発明のハロゲン化銀粒子の取り得る沃化銀含
有率分布について同様に図示すると、次のようなものを
例示できる。
第2図に示すのは、種粒子を用いた場合で、かつ種粒
子部分(4)は沃化銀含有率がゼロの場合である。勿論
種粒子部分が沃化銀を含有していてもよく、その場合、
種粒子部分よりも沃化銀含有率の小さい層を介して、高
沃度層を形成するのでもよい。
第3図に示すのは、前記本発明に係る中間層(符号
(3)で示す部分)のほかに、均質な沃化銀含有率組成
の層(5)を有している例である。また図示しないが、
第3図において、その層(5)と最外部層(1)との間
に、層(5)及び/または(1)と沃化銀含有率のギャ
ップを有するとともに連続的に沃化銀含有率が変化する
本発明に係る中間層を有する粒子構造であってもよい。
第4図に示すのは上記(II)の場合であり、中間層
(3)の沃化銀含有率の最低値が最外部層(1)の沃化
銀含有率よりも大きい例である。その差をで示す。
第5図に示すのは上記(III)の場合であり、中間層
(3)の沃化銀含有率の最高値が高沃度層(2)の沃化
銀含有率よりも小さく、かつ、中間層(3)の沃化銀含
有率の最低値が最外部層(1)の沃化銀含有率よりも大
きい例である。
ハロゲン化銀粒子の粒子構造を知るのは、例えば次の
ような手段を用いることができ、これによって当該粒子
が本発明のハロゲン化銀粒子であるか否かを知ることが
できる。
ハロゲン化銀粒子の中心は、次のようにして特定でき
る。即ち、日本写真学会講演要旨集p.46〜48掲載の井上
等の要旨集に示す方法と同様にハロゲン化銀微結晶をメ
タクリル樹脂中に分散して固化し、ミクロトームにて超
薄切片とし、断面積が最大となったもの乃至それより90
%以上の断面積を有する切片試料に着目し、その断面に
対して最小となる外接円を描いたときの円の中心を粒子
中心と定めることができる。
またハロゲン化銀粒子の沃化銀含有率構造は、次のよ
うに測定することができる。即ち前記円の中心から外周
に引いた直線上をX線マイクロアナライザーを用いて沃
化銀含有率及び位置を測定することにより、中間層の沃
化銀含有率の最高値及び最低値の検出を含めて、沃化銀
含有率構造を知ることができる。
個々のハロゲン化銀粒子の沃化銀含有率、及び平均沃
化銀含有率は、X線マイクロアナライザーを用いること
により求めることができる。
この方法は、乳剤中の粒子が互いに接触しないように
良く分散したサンプルを作製し、電子ビームを照射する
電子線励起によるX線分析により極微小な部分の元素分
析を行う技術である。
この方法により、各粒子から放射される銀及び沃素の
特性X線強度を求めることにより、個々の粒子のハロゲ
ン組成が決定できる。
少なくとも50個の粒子について上記方法により沃化銀
含有率を求めれば、それらの平均から平均沃化銀含有率
を求めることができる。
本発明の粒子を含有する本発明の乳剤は、含有する粒
子間の沃度含有率量がより均一になっていることが好ま
しい。上記方法により粒子間の沃度含量の分布を測定し
た時に、相対標準偏差が50%以下、更に35%以下、特に
20%以下であることが好ましい。
ここで、個々の粒子の沃化銀含有率の相対標準偏差
は、上記測定における少なくとも50個の乳剤粒子の沃化
銀含有率を測定した際の沃化銀含有率の標準偏差を平均
沃化銀含有率で除した値に100を乗じて得られる値であ
る。
またハロゲン化銀粒子の最外部層(必要に応じてその
外側に更に形成される最表層)の沃化銀含有率は、X線
光電子分光法によって測定することができる。
X線光電子光法では、その測定に先立って、乳剤を以
下のように前処理する。まず、乳剤約1mlに0.01wt%プ
ロナーゼ水溶液10mlを加え、40℃で1時間撹拌してゼラ
チン分解を行う。次に遠心分離して乳剤粒子を沈降さ
せ、上澄み液を除去した後、プロナーゼ水溶液10mlを加
え、上記の条件で再度ゼラチン分解を行う。この試料を
再び遠心分離し、上澄み液を除去した後、蒸留水10mlを
加えて乳剤粒子を蒸留水中に再分散させ、遠心分離し、
上澄み液を除去する。この水洗操作を3回繰り返した
後、乳剤粒子をエタノール中に再分散させる(ここまで
の作業は暗室で行う)。薄暗い明室中でこれを鏡面研磨
したシリコンウエハ上に薄く塗布して測定試料とする。
シリコンウエハ上に塗布した試料は、24時間以内にX線
光電子分光法にて測定する。
X線光電子分光法による測定には、例えば装置とし
て、PHI社製ESCA/SAM560型を使用することができ、これ
により、次のようにして測定することができる。試料は
60度傾斜ホルダに固定し、試料予備排気室においてター
ボ分子ポンプを用い10分間真空排気を行った後、測定室
に導入する。試料導入後1分以内に、励起用X線(Mg−
Kα線)の照射を開始し、直ちに測定を開始する。
測定は、X線源電圧15kV、X線源電流40mA、パスエネ
ルギー50eVの条件で行う。
表面ハライド組成を求めるためにAg3d,Br3d,I3d3/2電
子を検出する。Ag3d電子の検出には、結合エネルギー38
1eVから361eVの範囲をスキャンステップ0.2eV、各ステ
ップ100msecずつ1回測定し、Br3d電子の検出には結合
エネルギー79eVから59eVの範囲をスキャンステップ0.2e
V、各ステップ100msecずつ5回測定し、I3d3/2電子の検
出には結合エネルギー644eVから624eVの範囲をスキャン
ステップ0.2eV、各ステップ100msecずつ40回測定する。
データは前記操作を2回繰り返し積算したものとする。
組成比の算出には各ピークの積分強度を用いる。Ag3d
ピークの積分強度は、Ag3d3/2ピークが極大値を示す結
合エネルギーに4eV加えたエネルギー値の強度と、Ag3d5
/2ピークが極大値を示す結合エネルギーから4eV減じた
エネルギー値の強度とを結ぶ直線をベースラインとし
て、cps・eVを単位として求め、Br3dピークの積分強度
は、Br3d5/2ピークが極大値を示す結合エネルギーに4eV
加えたエネルギー値の強度と、Br3d5/2ピークが極大値
を示す結合エネルギーから3eV減じたエネルギー値の強
度とを結ぶ直線をベースラインとして、cps・eVを単位
として求め、I3d3/2ピークの積分強度は、I3d3/2ピーク
が極大値を示す結合エネルギーに4eV加えたエネルギー
値の強度と、I3d3/2ピークが極大値を示す結合エネルギ
ーから4eV減じたエネルギー値の強度とを結ぶ直線をベ
ースラインとして、cps・eVを単位として求める。
各ピークの積分強度から組成比を算出する場合には、
相対感度係数法が用いられ、Ag3d,Br3d、I3d3/2の相対
感度係数として、それぞれ、5.10,0.81,4.592を使用す
ることにより、組成比は原子パーセントを単位として与
えられる。またIモルパーセントはIの原子パーセント
値をBrの原子パーセント値とIの原子パーセント値の和
で除することにより求められる。
本発明の乳剤に含有されるハロゲン化銀粒子は沃化銀
を含有するが、粒子成長過程において、沃素イオンは沃
化カリウム溶液のようなイオン溶液として添加されても
よく、また、成長中のハロゲン化銀粒子よりも溶解度積
の小さい粒子として添加されてもよいが、溶解度積の小
さいハロゲン化銀粒子(以下に詳述)として添加する方
がより好ましい。即ち、本発明の乳剤はこれに含有され
るハロゲン化銀粒子(以下AgX粒子(1)と記す)の溶
解度積と同等、もしくはそれより小さい溶解度積のAgX
粒子(2)が、AgX粒子(1)の成長過程の少なくとも
一時期において存在し、該AgX粒子(2)の存在下にAgX
粒子(1)の成長が行われることが好ましい一態様であ
る。ここで、AgX粒子(2)は、AgX粒子(1)の粒子成
長要素(ハロゲンイオン液や、銀イオン液等)の供給終
了までに存在させ、AgX粒子(1)を成長させるように
用いることができる。
なお、本明細書中溶解度積とは、通常の化学的意味に
おけるものである。
一般にAgX粒子(2)の平均粒径はAgX粒子(1)の平
均粒径より小さいが、場合によっては、大きいこともあ
る。かつ、このAgX粒子(2)は、一般に実質的に感光
性は有さない程度のものである。このAgX粒子(2)の
平均粒径は、0.001〜0.7μmであることが好ましく、0.
01〜0.3μmが更に好ましく、特に0.1〜0.01μmが好ま
しい。
以下本発明の乳剤を形成する際に、AgX粒子(2)を
用いる方法を採用する場合について述べる。AgX粒子
(2)の存在せしめる態様を、AgX粒子(1)の粒子成
長工程についての説明とともに詳述すると、次のとおり
である。
AgX(1)を成長させる第1の方法は、ハロゲン化銀
種粒子を用い、該種粒子を粒子成長要素である水溶性銀
塩溶液及び水溶性ハロゲン溶液を用いて成長させてAgX
粒子(1)を得る方法である。また、第2の方法は、種
粒子を用いることなく、上記二つの溶液(本明細書中、
これを粒子成長要素と称する)によりハロゲン化銀核を
形成した後、粒子成長させてAgX粒子(1)を得る方法
である。AgX粒子(1)の粒径の再現性という点では、
第1の方法が有利である。
AgX粒子(2)は、AgX粒子(1)の成長過程の少なく
とも一時期において、即ち遅くともAgX粒子(1)の成
長が終了するまでに、AgX粒子(1)の調製の場となる
懸濁系(以下、母液と称す)中に存在せしめるこそが必
要である。
ハロゲン化銀種粒子を用いる場合には、AgX粒子
(2)は該種粒子より前に母液中に存在せしめてもよい
し、種粒子を含む母液中に粒子成長要素に先立って添加
してもよいし、粒子成長要素を添加している途中に添加
してもよいし、上述の添加時期の内、2以上の時期に分
けて添加してもよい。
種粒子を用いず、ハロゲン化銀核形成後粒子成長を行
う場合には、核形成後にAgX粒子(2)を添加ることが
好ましく、これは粒子成長要素の添加前であっても、添
加の途中でもよく、2以上の時期に分けてもよい。
また、AgX粒子(2)及び粒子成長要素の添加法とし
ては、一括して添加してもよいし、連続的に、または断
続的に添加してもよい。
AgX粒子(2)及び粒子成長要素は、粒子成長に適合
した速度でpH、pAg、温度等をコントロールした条件下
で、ダブルジェット方式の如き多ジェット方式により母
液に添加することが好ましい。
特にpAgは、粒子成長中に一定でない領域を持つこと
が好ましい。
AgX粒子(2)及びハロゲン化銀種粒子は、母液中で
調製してもよいし、母液外で調製した後、母液に添加し
てもよい。
AgX粒子(2)の調製に用いる水溶性銀塩溶液として
は、アンモニア性銀塩溶液が好ましい。
AgX粒子(2)のハロゲン組成としては、AgX粒子
(1)が沃臭化銀の場合には、沃化銀であるか、または
成長中のAgX粒子(1)である沃臭化銀粒子よりも沃素
含有率の高い沃臭化銀が好ましい。特に沃化銀であるこ
とが特が好ましい。
成長して生成するAgX粒子(1)は沃化銀成分含有の
例えば沃臭化銀であり、この場合粒子成長に用いられる
沃素が全てAgX粒子(2)として供給されることが好ま
しいが、本発明の効果を損なわない範囲で一部をハロゲ
ン水溶液として供給してもよい。
AgX粒子(2)は単分散性が良好であることが好まし
い。
ハロゲン化銀種粒子の組成としては、塩化銀、臭化
銀、塩臭化銀、塩沃化銀、沃臭化銀、塩沃臭化銀など種
々のものを所望に応じ、任意に用いることができる。
前記AgX粒子(1)の調製工程において、母液の温度
は10〜70℃が好ましく、より好ましくは20〜60℃、pAg
は6〜11が好ましく、より好ましくは7.5〜10.5、pHは
5〜11が好ましく、より好ましくは6〜10である。
本発明の乳剤は、本発明のハロゲン化銀粒子のみを含
有して成ることが最も好ましいが、それ以外のハロゲン
化銀粒子を含有していてもよい。その場合本発明のハロ
ゲン化銀粒子は、乳剤粒子中の50重量%以上であること
が好ましく、更に好ましくは70重量%以上であることが
よい。
本発明の感光材料は、本発明の乳剤を用いて形成され
る。感光材料が2層以上乳剤層を有する場合、全乳剤層
が本発明の乳剤から成ることが好ましく、該乳剤も本発
明のハロゲン化銀粒子のみから成るものが好ましい。但
し、本発明の乳剤以外の乳剤を併用してもよい。即ち本
発明の乳剤以外の乳剤から成る乳剤層を有していてもよ
い。また、本発明の乳剤と他の乳剤を混含した乳剤を用
いてもよく、この場合好ましくは本発明の乳剤が20重量
%以上を占めるのが望ましく、40重量%以上を占めるの
が更に望ましい。
本発明の乳剤、及び必要に応じて併用するそれ以外の
乳剤は、単分散のハロゲン化銀乳剤であることが好まし
い。
ここで、単分散のハロゲン化銀乳剤としては、平均粒
径を中心に±20%の粒径範囲内に含まれるハロゲン化
銀重量が、全ハロゲン化銀粒子重量の60%以上であるも
のが好ましく、より好ましくは70%以上、更に好ましく
は80%以上である。
ここに、平均粒径は、粒径riを有する粒子の頻度を
niとri3との積ni×ri3が最大となるときの粒径riと定義
する(有効数字3桁、最小桁数字は4捨5入)。
ここに粒径riとは、球状のハロゲン化銀粒子の場合
は、その直径、また球状以外の形状の粒子の場合は、そ
の投影像を同面積の円像に換算した時の直径である。
粒径は、例えば該粒子を電子顕微鏡で1万倍から5万
倍に拡大して投影し、そのプリント上の粒子直径または
投影時の面積を実測することによって得ることができる
(測定粒子個数は無差別に1,000個以上あることとす
る。)。
本発明に用いるのに特に好ましい高度の単分散乳剤
は、 によって分布の広さを定義したとき、これが20%以下の
ものであり、更に好ましくは15%以下のものである。
ここに平均粒径及び標準偏差は上記定義riから求める
ものとする。
本発明の乳剤、または感光材料を構成する場合に必要
に応じて併用するそれ以外の乳剤について、その調製時
(種乳剤の調製時も含む)に、ハロゲン化銀粒子に対し
て吸着性を有するゼラチン以外の物質を添加してもよ
い。このような吸着物質は例えば増感色素、カブリ防止
剤また安定化剤として当業界で用いられる化合物、また
は重金属イオンが有用である。上記吸着性物質は特開昭
62−7040号に具体例が記載されている。
該吸着性物質の中で、カブリ防止剤、安定化剤の少な
くとも1種を種乳剤の調製時に添加せしめることが、乳
剤のカブリを減少せしめ、かつ経時安定性を向上せしめ
る点で好ましい。
該カブリ防止剤、安定化剤の中でヘテロ環メルカプト
化合物及び/またはアザインデン化合物が特に好まし
い。より好ましいヘテロ環メルカプト化合物、アザイン
デン化合物の具体例は、特開昭63−41848号に詳細に記
載されておりこれを使用できる。
上記ヘテロ環メルカプト化合物、アザインデン化合物
の添加量は限定的ではないが、ハロゲン化銀1モル当た
り好ましくは1×10-5〜3×10-2さらに好ましくは5×
10-5〜3×10-3モルである。この量はハロゲン化銀粒子
の製造条件、ハロゲン化銀粒子の平均粒径および上記化
合物の種類により適宜選択されるものである。
所定の粒子条件を備え終わった仕上がり乳剤について
は、ハロゲン化銀粒子形成後、公知の方法により脱塩を
行うことができる。脱塩の方法としては特開昭63−2439
36号、特開平1−185549号記載の種粒子としての粒子の
脱塩で用いる凝集ゼラチン剤等を用いてもかまわない
し、またゼラチンをゲル化させて行うヌーデル水洗法を
用いてもよく、また多価アニオンよりなる無機塩類例え
ば硫酸ナトリウム、アニオン性界面活性剤、アニオン性
ポリマー(例えばポリスチレンスルホン酸)を利用した
凝析法を用いてもよい。
一般に、上記のようにして脱塩されたハロゲン化銀粒
子はゼラチン中に再分散されて、乳剤が調製される。
本発明に用いる乳剤は、常法により化学増感すること
ができる。即ち、銀イオンと反応できる硫黄を含む化合
物や、活性ゼラチンを用いる硫黄増感法、セレン化合物
を用いるセレン増感法、還元性物質を用いて還元増感
法、金その他の貴金属化合物を用いる貴金属増感法など
を単独または組合わせて用いることができる。
化学増感剤として例えばカルコゲン増感剤を用いるこ
とができ、なかでも硫黄増感剤、セレン増感剤が好まし
い。
硫黄増感剤としては例えばチオ硫酸塩,アリルチオカ
ルバジド,チオ尿素,アリルイソチオシアネート,シス
チン,p−トルエンチオスルホン酸塩,ローダニンが挙げ
られる。その他、米国特許第1,574,944号、同2,410,689
号、同2,278,947号、同2,728,668号、同3,501,313号、
同3,656,955号、西独出願公開(OLS)1,422,869号、特
開昭56−24937号、同55−45016号等に記載されている硫
黄増感剤も用いることができる。
硫黄増感剤の添加量はpH、温度ハロゲン化銀粒子の大
きさなどの種々の条件によって相当の範囲にわたって変
化するが、目安としてはハロゲン化銀1モル当り10-7
ルから10-1モル程度が好ましい。
セレン増感剤としては、アリルイソセレノシアネート
の如き脂肪族イソセレノシアネート類、セレノ尿素類、
セレノケトン類、セレノアミド類、セレノカルボン酸塩
類及びエステル類、セレノホスフェート類、ジエチルセ
レナイド、ジエチルジレナイド等のセレナイド類を用い
ることができ、それらの具体例は米国特許第1,574,944
号、同1,602,592号、同1,623,499号に記載されている。
更に還元増感を併用することもできる。還元剤として
は、塩化第一錫、二酸化チオ尿素、ヒドラジン、ポリア
ジン等が挙げられる。
また金以外の貴金属化合物、例えばパラジウム化合物
等を併用することもできる。
本発明の乳剤における沃化銀成分含有粒子例えば沃臭
化銀粒子は、金化合物を含有することが好ましい。本発
明に好ましく用いられる金化合物としては、金の酸化数
が+1価でも+3価でもよく、多種の金化合物が用いら
れる。代表的な例としては塩化金酸塩、カリウムクロロ
オーレート,オーリックトリクロライド,カリウムオー
リックチオシアネート,カリウムヨードオーレート,テ
トラシアノオーリックアジド,アンモニウムオーロチオ
シアネート,ピリジルトリクロロゴールド,金サルファ
イド,金セレナイド等が挙げられる。
金化合物は粒子を増感させる用い方をしてもよいし、
実質的に増感には寄与しないような用い方をしてもよ
い。
金化合物の添加量は種々の条件で異なるが、目安とし
てはハロゲン化銀1モル当り10-8モルから10-1であり、
好ましくは10-7から10-2モルである。またこれらの化合
物の添加時期はハロゲン化銀の粒子形成時、物理熟成
時、化学熟成時及び化学熟成終了後の何れの工程でもよ
い。
乳剤は、増感色素を用いて、所望の波長域に分光増感
できる。増感色素は単独で用いてもよいが、2種以上を
組合わせてもよい。
増感色素とともにそれ自身分光増感作用を持たない色
素、あるいは可視光を実質的に吸収しない化合物であっ
て、増感色素の増感作用を強める強色増感剤を乳剤中に
含有させてもよい。
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、任意の感光材
料として具体化でき、黒白ハロゲン化銀写真感光材料
(例えばXレイ、リス型感材、黒白撮影用ネガフィルム
など)やカラー写真感光材料(例えばカラーネガフィル
ム、カラー反転フィルム、カラーペーパなど)に用いる
ことができる。
更に拡散転写用感光材料(例えばカラー拡散転写要
素、銀塩拡散転写要素)、熱現像感光材料(黒白、カラ
ー)などにも適用することができる。
多色カラー写真感光材料の場合には、減色法色再現を
行うために、通常は写真用カプラーとして、イエロー、
マゼンタ及びシアンの各カプラーを含有する青感性、緑
感性及び赤感性の各ハロゲン化銀乳剤層ならびに必要に
応じて非感光性層を支持体上に適宜の層数及び層順で積
層した構造を有しているが、該層数及び層順は重点性
能、使用目的によって適宜変更してもよい。
写真感光材料には、カブリ防止剤、硬膜剤、可塑剤、
ラテックス、界面活性剤、色カブり防止剤、マット剤、
滑剤、帯電防止剤等の添加剤を任意に用いることができ
る。
また写真感光材料は、種々の白黒現像処理、或いは発
色現像処理を行うことにより画像を形成することができ
る。
発色現像処理に使用される発色現像主薬には、種々の
カラー写真プロセスにおいて広範囲に使用されているア
ミノフェノール系及びp−フェニレンジアミン系誘導体
を用いることができる。
該写真感光材料の処理に適用される発色現像液には、
第1級芳香族アミン系発色現像主薬に加えて、既知の現
像液成分化合物を添加することができる。また公害負荷
に問題のあるベンジルアルコールを含有しない系におい
ても処理可能である。
発色現像液のpH値は、通常は7以上、最も一般的には
約10〜13である。
発色現像温度は通常15℃以上であり、一般的には20℃
〜50℃の範囲である。迅速現像のためには30℃以上で行
うことが好ましい。また、従来の処理では3分〜4分で
あるが、迅速処理を目的とした乳剤を組めば発色現像時
間は一般的には20秒〜60秒、更に30〜50秒の範囲とする
ことも可能である。
写真感光材料を発色現像処理する場合は、一般に発色
現像後、漂白処理、定着処理が施される。漂白処理は定
着処理と同時に行ってもよい。
定着処理の後は、通常は水洗処理が行われる。また水
洗処理の代替として、安定化処理を行ってもよいし、両
者を併用してもよい。
〔実施例〕
以下本発明の実施例について、比較例とともに説明す
る。但し当然のことではあるが、本発明は以下に述べる
実施例により限定されるものではない。実施例、比較例
の具体的説明に先立ち、各例で用いる種乳剤及びAgI核
乳剤について説明する。
種乳剤の調製 沃化銀35.0モル%を含む沃臭化銀乳剤をダブルジェッ
ト法により、温度40℃、pH8.0、pAg8.0の条件で調製
し、水洗処理を施して過剰な塩類を除去した。
得られた乳剤の粒子の平均粒径(粒子の平均投影面積
に相当する円の直径)は0.27μm、粒径変動係数は14.3
%であった。
この乳剤を硝酸銀に換算して1200gに相当する銀を含
む乳剤とし、種乳剤〔I〕とした。
また沃化銀2.0モル%を含む沃臭化銀乳剤を、温度40
℃、pH8.0、pAg9.0の条件で調製し、水洗処理を施して
過剰な塩類を除去した。
得られた乳剤の粒子の平均粒径は0.27μm、粒径変動
係数は12.5%であった。
この乳剤を硝酸銀に換算して1200gに相当する銀を含
む乳剤とし、種乳剤〔II〕とした。
種乳剤〔I〕,〔II〕とも、完成量は4160gであっ
た。
AgI核乳剤の調製 純沃化銀乳剤をダブルジェット法により、温度40℃、
pH5.8、pAg14.0の条件で調製した。
得られた乳剤の粒子の平均粒径は0.05μmであった。
この乳剤を硝酸銀に換算して400gに相当する銀を含む
乳剤とし、AgI核乳剤とした。完成量は4060gであった。
以下、各例を述べる。
比較例−1(比較乳剤EM−1の調製) 比較乳剤として、以下に示す4種の溶液と種乳剤
〔I〕を用いて、コア/シェル構造のハロゲン化銀粒子
から成る比較乳剤EM−1を調製した。
A−1液 オセインゼラチン 51.9g DF(下記化合物〔I〕の10%メタノール溶液)30.0cc 28%アンモニア水 1056.0cc H2Oで10.2にする。
B−1液 オセインゼラチン 40.0g KBr 1666.1g H2Oで4.0にする。
C−1液 AgI核乳剤 1033.0g D−1液 AgNO3 1629.4g 28%アンモニア水 当量 H2Oで2740.0ccにする。
まず温度60℃に保ったA−1液に0.407モル相当の前
記種乳剤〔I〕を添加し、撹拌した。
次に、3.5N−KBr水溶液と56%酢酸を用いて、pAgを7.
8、pHを7.0に調整し、続いてD−1液とB−1液をハロ
ゲン化銀粒子の表面積の増加に比例して、131分間で添
加した。
その際、D−1液及びB−1液の添加開始と同時に、
C−1液を、成長しているハロゲン化銀粒子の粒径の0.
27μm〜0.40μmまでは35モル%、0.40μm〜0.80μm
までは3モル%の沃化銀含有率となるように流量を制御
しながら添加し、処方上、35モル%/3モル%の沃化銀含
有率層を有するコア/シェル粒子を形成した。
ハロゲン化銀粒子成長中のpAgは、3.5N−KBr水溶液を
用いて、コア形成時は7.8に、シェル形成時は10.1に調
整した。
また同様にしてpHは、56%酢酸を用いて、コア形成時
は7.0にシェル形成時は6.0に調整した。
添加終了後、過剰な塩類を除去するために水洗処理を
施し、40℃においてpH5.80、pAg8.06の乳剤を得た。
これを乳剤EM−1とする。
比較例−2(比較乳剤EM−2の調製) 比較例−1に示す4種の溶液と、種乳剤〔I〕を用い
て、本発明に属するものではないが、沃度含有率が連続
的に変化する中間層を有するハロゲン化銀粒子から成る
乳剤EM−2を調製した。
調製法は、比較例−1と略々同等としたが、C−1液
の添加を、成長粒子の粒径0.27μm〜0.35μmまでは35
モル%、0.44μm〜0.80μmまでは3モル%の沃化銀含
有率となるように、また、0.35μm〜0.44μmまでは沃
化銀含有率が35モル%から3モル%に連続的に変化する
ように制御し、処方上(35モル%)/(35モル%→3モ
ル%)/(3モル%)の沃化銀含有層から構成される粒
子を形成した。
ハロゲン化銀粒子成長中のpAg,pHは、比較例−1と同
様にして、コア及び中間層形成時には各々7.8,7.0に、
シェル形成時には各々10.1,6.0に調整した。
添加終了後に比較例−1を同様に水洗処理を施し、40
℃においてpH5.80、pAg8.06の乳剤を得た。
これを乳剤EM−2とする。
実施例−1(本発明の乳剤EM−3の調製) 比較例−1に示す4種の溶液と種乳剤〔I〕を用い
て、本発明に係る中間層を有するハロゲン化銀粒子を調
製した。
調製法は比較例−2と略々同等としたが、C−1液の
添加を0.27μm〜0.35までは35モル%、0.47μm〜0.80
μmまでは3モル%の沃化銀含有率となるように、また
0.35μm〜0.47μmまでは沃化銀含有率が25モル%から
3モル%に連続的に変化するように制御し、処方上(35
モル%)/(25モル%→3モル%)/(3モル%)の沃
化銀含有層から構成される粒子を形成した。
ハロゲン化銀粒子成長中のpAg,pHは比較例−2と同様
にして、コア及び中間層形成時には各々7.8,7.0に、シ
ェル形成時には各々10.1,6.0に調整した。
添加終了後に比較例と同様に水洗処理を施し、40℃に
おいてpH5.80、pAg8.06の乳剤を得た。
これを乳剤EM−3とする。
実施例−2(本発明の乳剤EM−4の調製) 比較例−1に示す4種の溶液と種乳剤〔I〕を用い
て、本発明に係る中間層を有するハロゲン化銀粒子を調
製した。
調製法は実施例−1と略々同等としたが、C−1液の
添加を0.27μm〜0.35μmまでは35モル%、0.50μm〜
0.80μmまでは3モル%の沃化銀含有率となるように、
また0.35μm〜0.50μmまでは沃化銀含有率が20モル%
から3モル%に連続的に変化するように制御し、処方上
(35モル%)/(20モル%→3モル%)/(3モル%)
の沃化銀含有層から構成される粒子を形成した。
これを乳剤EM−4とする。
上述した比較例−1,2、及び実施例−1,2に示す乳剤EM
−1〜4の各々のハロゲン化銀粒子20個について、各々
前記超薄切片法と、X線マイクロアナライザーを用い
て、粒子中心部から粒子表面にかけて組成分析した。そ
の結果を表−1に示す。表−1に示した値は、各乳剤に
おいて測定したハロゲン化銀粒子20個の値の平均値であ
る。
また表−1に、前記X線光電子分光法による各乳剤の
粒子最表面の沃化銀含有率と、X線マイクロアナライザ
ーによる各乳剤の平均沃化銀含有率も併せて示す。
比較例−3(比較乳剤EM−5の調製) 以下に示す4種の溶液と種乳剤〔II〕を用いて、多層
構造のハロゲン化銀粒子から成る乳剤を調製した。
A−2液 オセインゼラチン 51.9g DF 30.0cc 28%アンモニア水 1056.0cc H2Oで10.2にする。
B−2液 オセインゼラチン 40.0g KBr 1666.1g H2Oで4.0にする。
C−2液 AgI核乳剤 1112.0cc D−2液 AgNO3 1621.0g 28%アンモニア水 当量 H2Oで2726.0ccにする。
まず温度60℃に保ったA−2液に0.407モル相当の前
記種乳剤〔II〕を添加し、撹拌した。
次に比較例−1と同様にして、pAg,pHを各々7.8,7.0
に調整し、その後、D−2液とB−2液をハロゲン化銀
粒子の表面積の増加に比例して、172分間で添加した。
その際D−2液及びB−2液の添加開始と同時に、C−
2液を、成長しているハロゲン化銀粒子の粒径の0.27μ
m〜0.35μmまでは35モル%、0.35μm〜0.45μmまで
は25モル%、0.45μm〜0.52μmまでは15モル%、0.52
μm〜0.60μmまでは5モル%の沃化銀含有率となるよ
うに流量を制御しながら添加し、処方上、2モル%/35
モル%/25モル%/15モル%/5モル%/0モル%の沃化銀含
有層を有する多層構造粒子を形成した。
ハロゲン化銀粒子成長中のpAgは、3.5N−KBr水溶液を
用いて、35モル%及び25モル%沃化銀含有層形成時は7.
8に、15モル%、5モル%及び0モル%沃化銀含有層形
成時には10.1に調整した。
また同様にしてpHは、56%酢酸を用いて、35モル%及
び25モル%沃化銀含有層形成時は7.0に、15モル%、5
モル%及び0モル%沃化銀含有層形成時には10.1に調整
した。
添加終了後に過剰な塩類は除去するために水洗処理を
施し、40℃においてpH5.80、pAg8.06の乳剤を得た。
かくして得られたハロゲン化銀粒子は、平均粒径0.8
μm、粒径変動係数13.6%の沃臭化銀多層構造粒子であ
った。
これを乳剤EM−5とする。
実施例−3(本発明の乳剤EM−6の調製) 比較例−2に示す4種の溶液と、種乳剤〔II〕を用い
て、本発明に係る中間層を有するハロゲン化銀粒子を調
製した。
調製法は比較例−2と略々同等としたが、C−2液の
添加を、成長しているハロゲン化銀粒子粒径の0.27μm
〜0.35μmまでは35モル%、0.35μm〜0.35μmまでは
25モル%の沃化銀含有率となるように、また0.45μm〜
0.6μmまでは沃化銀含有率が15モル%から0モル%に
連続的に変化するように制御し、処方上(2モル%)/
(35モル%)/(25モル%)/(15モル%→0モル%)
/(0モル%)の沃化銀含有層から構成される、本発明
に係る中間層を有する多層構造粒子を形成した。
添加終了後に、比較例−2と同様に水洗処理を施し、
40℃においてpH5.80、pAg8.06の乳剤を得た。
かくして得られたハロゲン化銀粒子は平均粒径0.8μ
m、粒径変動係数13.1%の、中間層を有する沃臭化銀多
層構造粒子であった。
これを乳剤EM−6とする。
実施例−4(感光材料試料の作成) 比較例−1〜3、実施例−1〜3に示された乳剤EM−
1〜EM−6をチオ硫酸ナトリウム、塩化金酸及びチオシ
アン酸アンモニウムの存在下で化学熟成し、後述の増感
色素を加え、安定剤として4−ヒドロキシ−6−メチル
−1,3,3a,7−テトラザインデンを加えた。これらの乳剤
を用い、トリアセチルセルロースフィルム支持体上に下
記に示すような組成の各層を順次支持体側か形成して、
多層カラー写真感光材料の試料を作成した。
以下の全ての実施例において、ハロゲン化銀写真感光
材料中の添加量は特に記載のない限り1m2当たりのもの
を示す。また、ハロゲン化銀とコロイド銀は銀に換算し
て示した。
即ち、トリアセチルセルロースフィルム支持体上に、
下記に示す組成の各層を順次支持体側から形成して、多
層カラー写真感光材料試料1を作成した。
試料1 第1層:ハレーション防止層(HC−1) 黒色コロイド銀を含むゼラチン層。
第2層:中間層(IL) 2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノンの乳化分散物
を含むゼラチン層。
第3層:低感度赤感性ハロゲン化銀乳剤層 平均粒径(r)0.42μm、AgIを6モル%含むAgBrIか
らなる単分散乳剤であるEM−L ……銀塗布量1.8g/m2 増感色素I…… 銀1モルに対して5.0×10-4モル 増感色素II…… 銀1モルに対して0.8×10-4モル シアンカプラー(C−1)…… 銀1モルに対して0.085モル カラードシアンカプラー(CC−1)… 銀1モルに対して0.005モル DIR化合物(D−1)…… 銀1モルに対して0.0015モル DIR化合物(D−2)…… 銀1モルに対して0.002モル 第4層:高感度赤感性ハロゲン化銀乳剤層 EM−1 ……銀塗布量1.3g/m2 増感色素I…… 銀1モルに対して2.5×10-4モル 増感色素II…… 銀1モルに対し0.8×10-4モル シアカプラー(C−2)…… 銀1モルに対して0.007モル カラードシンアンカプラー(CC−1)… 銀1モルに対して0.0015モル DIR化合物(D−2)…… 銀1モルに対して0.001モル 第5層:中間層(IL) 第2層と同じ、ゼラチン層 第6層:低感度緑感性ハロゲン化銀乳剤層 EM−L ……塗布銀量1.5g/m2 増感色素III…… 銀1モルに対して2.0×10-4モル 増感色素IV…… 銀1モルに対して1.0×10-4モル マゼンタカプラー(M−1)…… 銀1モルに対して0.090モル カラードマゼンタカプラー(CM−1)… 銀1モルに対して0.004モル DIR化合物(D−1)…… 銀1モルに対して0.0010モル DIR化合物(D−3)…… 銀1モルに対して0.0030モル 第7層:高感度緑感性ハロゲン化銀乳剤層 EM−1…… 塗布銀量1.4g/m2 増感色素III…… 銀1モルに対して1.2×10-4モル 増感色素IV…… 銀1モルに対して0.8×10-4モル マゼンタカプラー(M−1)…… 銀1モルに対して0.015モル カラードマゼンタカプラー(CM−1)… 銀1モルに対して0.002モル DIR化合物(D−3)…… 銀1モルに対して0.0010モル 第8層:イエローフィルター層(YC−1) 黄色コロイド銀と2,5−ジ−t−オクチルハイ
ドロキノンの乳化分散物とを含むゼラチン層 第9層:低感度青感性ハロゲン化銀乳剤層 平均粒径(r)0.38μm、AgIを6.0モル%含む
AgBrIからなる単分散乳剤であるEM−L′ ……銀塗布量0.9g/m2 増感色素V…… 銀1モルに対して1.3×10-4モル イエローカプラー(Y−1)…… 銀1モルに対して0.29モル 第10層:高感度青感性ハロゲン化銀乳剤層 EM−1 ……銀塗布量0.5g/m2 増感色素V…… 銀1モルに対して1.0×10-4モル イエローカプラー(Y−1)…… 銀1モルに対して0.08モル DIR化合物(D−2)…… 銀1モルに対して0.0030モル 第11層:第1保護層(Pro−1) 沃臭化銀(AgIを7モル%含む、平均粒径0.07μmの
微小粒径のもの) ……銀塗布量0.5g/m2 紫外線吸収剤UV−1,UV−2を含むゼラチン層 第12層:第2保護層(Pro−2) ポリメチルメタクリレート粒子(直径1.5μm)及び
ホルマリンスカベンジャ(HS−1)を含むゼラチン層 尚各層には上記組成物の他にゼラチン硬化剤(H−
1)及び(H−2)や界面活性剤を添加した。
試料1の各層に含まれる化合物は下記の通りである。
増感色素I:アンヒドロ−5,5′−ジクロル−9−エチル
−3,3′−ジ−(3−スルホプロピル)チアカルボシア
ニンヒドロキシド 増感色素II:アンヒドロ−9−エチル−3,3′−ジ−(3
−スルホプロピル)−4,5,4′,5′−ジベンゾチアカル
ボシアニンヒドロキシド 増感色素III:アンヒドロ−5,5′−ジィフェニル−9−
エチル−3,3′−ジ(3−スルホプロピル)オキサカル
ボシアニンヒドロキシド 増感色素IV:アンヒドロ−9−エチル3,3′−ジ−(3−
スルホプロピル)−5,6,5′,6′−ジベンゾオキサカル
ボシアニンヒドロキシド 増感色素V:アンヒドロ−3,3′−ジ−(3−スルホプロ
ピル)−4,5−ベンゾ−5′−メトキシチアシアニンア
ンヒドロキシド 次に上記試料1における第4層、第7層及び第10層の
ハロゲン化銀乳剤EM−1のかわりに、表−2,3,4に示す
ように乳剤EM−2〜EM−6を用いて、試料2〜6を作成
した。
このようにして作成した各試料1〜6を2部用意し、
1部は白色光を用いてウェッジ露光したのち、下記現像
処理を行い、もう1部はスクラッチ・メーターによる引
掻き傷を負わせたのちに、露光せずに下記現像処理を行
った。
処理工程(38℃) 発色現像 3分15秒 漂白 6分30秒 水洗 3分15秒 定着 6分30秒 水洗 3分15秒 安定化 1分30秒 乾燥 各処理工程において使用した処理液組成は下記の通り
である。
〈発色現像液} 4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−ヒ
ドロキシエチル)−アニリン・硫酸塩 4.75g 無水亜硫酸ナトリウム 4.25g ヒドロキシルアミン・1/2硫酸塩 2.0 g 無水炭酸カリウム 37.5 g 臭化ナトリウム 1.3 g ニロリロトリ酢酸・3ナトリウム塩(1水塩) 2.5 g 水酸化カリウム 1.0 g 水を加えて1とする。
〈漂白液〉 エチレンジアミン四酢酸鉄アンモニウム塩 100 g エチレンジアミン四酢酸2アンモニウム塩 10.0g 臭化アンモニウム 150.0g 氷酢酸 10.0ml 水を加えて1とし、アンモニア水を用いてpH=6.0
に調整する。
〈定着液〉 チオ硫酸アンモニウム 175.0g 無水亜硫酸ナトリウム 8.5g メタ亜硫酸ナトリウム 2.3g 水を加えて1とし、酢酸を用いてpH=6.0に調整す
る。
〈安定液〉 ホルマリン(37%水溶液) 1.5ml コニダックス(コニカ(株)) 7.5ml 水を加えて1とする。
得られた各試料についてそれぞれ、青色光(B)、緑
色光(G)、赤色光(R)を用いて、相対感度(S)及
び圧力かぶり(ΔD)を測定した。その結果を表−2〜
表−4に示す。
なお、相対感度(S)はかぶり濃度+0.1を与える露
光量の逆数の相対値であり、試料1のB,G,R感度をそれ
ぞれ100とする値で示した。
圧力かぶり値(ΔD)は、マイクロデンシトメータに
より引掻き傷を横切って走査したときに得られる濃度値
の変動の相対値で示した。
この値は小さい程効果があることを示す。
表−2,3,4に示す結果より、本発明に係る中間層を有
するハロゲン化銀粒子を含む本発明の試料3,4,6は、中
間層を有さないハロゲン化銀粒子から成る試料1,5と比
較し、圧力かぶり特性にすぐれ、また本発明には属さな
い中間層を有するハロゲン化銀粒子を含む試料2と比較
し高感度であることが分かる。
〔発明の効果〕
上述した如く、本発明のハロゲン化銀写真感光材料
は、高感度化と耐圧性の向上とをともに十分に達成でき
るという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
第1図乃至第5図は、各々本発明のハロゲン化銀粒子の
粒子構造の例を示すものである。 (1)……最外部層の沃化銀分布、(2)……高沃度層
の沃化銀分布、(3)……中間層の沃化銀分布。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−285534(JP,A) 特開 平1−105234(JP,A) 特開 昭61−250643(JP,A) 特開 昭61−245151(JP,A) 特開 昭61−250645(JP,A) 特開 昭61−286845(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G03C 1/035

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2層以上の実質的に均質な層から成る層状
    構造を有するハロゲン化銀粒子であって、該粒子の最外
    部層は10モル%以下の沃化銀を含むハロゲン化銀から成
    り、該最外部層より内側に15モル%以上の沃化銀を含有
    するハロゲン化銀から成る高沃度層を有し、該最外部層
    と高沃度層との間には実質的に連続的に沃化銀含有率が
    変化する中間層を少なくとも1層有し、該中間層は、そ
    の沃化銀含有率の最高値が前記高沃度層の沃化銀含有率
    よりも小さいものであり、及び/またはその沃化銀含有
    率の最低値が前記最外部層の沃化銀含有率より大きいも
    のであるハロゲン化銀粒子を有することを特徴とするハ
    ロゲン化銀写真感光材料。
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