JP2900274B2 - 高感度で保存性に優れたハロゲン化銀写真感光材料 - Google Patents

高感度で保存性に優れたハロゲン化銀写真感光材料

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はハロゲン化銀写真感光材料に関し、特に、高
感度で保存性に優れたハロゲン化銀写真感光材料に関す
るものである。
〔発明の背景〕
近年写真用ハロゲン化銀感光材料に対する性能上の要
請は、ますます厳しさを増してきている。
特に最近にあっては、コンパクトズームカメラや、一
般に使い捨てカメラと称されるカメラ付フィルムの普及
に伴い、高感度化は写真感光材料の必須要件となってい
る。
ハロゲン化銀乳剤における高感度化のための従来技術
としては、特開昭60-14331号公報に開示される明確な二
重構造粒子や、特開昭61-245151号公報に開示される多
重構造粒子に代表される内部高沃度コア/シェル型のハ
ロゲン化銀粒子がある。この技術は、高沃度相(沃度含
有率の高い相を言う。本明細書中において同じ)を粒子
内部に位置させ、それを低沃度相(該高沃度相よりも沃
化銀含有率の低い相を言う。本明細書中において同じ)
で被覆することによって、青色光に対する光吸収効率の
向上と、現像活性との両立を意図したものである。
しかし、前記技術は、ハロゲン化銀の固有吸収帯に含
まれる可視光、即ち青色光の吸収効率を高めることには
有効であっても、固有吸収帯に含まれない可視光、即ち
赤色光や緑色光に対してはその効果を期待できない。
一般に、カラー写真感光材料では、ハロゲン化銀粒子
が吸収しない可視域の光(赤色光や緑色光)に対しても
感度をもたせるために、ハロゲン化銀に分光増感剤とい
われる色素を吸着させている。
分光増感色素は、本来ハロゲン化銀が吸収しない特定
の波長帯域(分光帯域)の光を吸収し、生成された光電
子をハロゲン化銀粒子に供与する役割を担っている。
しかし、分光増感色素とハロゲン化銀粒子との吸着力
が弱い場合には、一度ハロゲン化銀粒子に吸着した色素
が保存時に脱離し、(この傾向は特に、高温・高湿条件
下では顕著である)感度が低下してしまう場合がある。
従って、分光増感色素とハロゲン化銀粒子との吸着力を
高めることは、保存性を改良させるだけでなく、増感色
素の実効吸着量を増加させることでもあり、実効感度の
向上につながる。
先に挙げた特開昭61-245151号公報記載の技術では、
コア/シェル構造に基づく感度向上に加え、コア/シェ
ル構造を多重化することにより色素吸着性を向上させ、
保存性を改良している。
しかし、写真感光材料に望まれる諸性能は近年ますま
す高度なものとなっており、この技術では対処しきれな
くなってきている。
特願昭63-330858、特願平1-259310、また特願平1-281
446や、本出願人による特願平2-2336号(平成2年2月
1日)に記載の技術では、粒子構造(コア/シェル構
造)に更に検討を加え、また粒子の成長条件、方法に新
しい技術を取り入れることで高い感度と優れた粒状性を
得ている。
本発明者らはこれらの技術を更に検討したところ、実
効感度として十分に高い感度は得られているものの、化
学増感直後ほど、より高い感度を有していること、また
高温・高湿下での保存後に感度の低下が大きいことが明
らかになった。
即ち、潜在的にはより高い感度を有しているが、高温
・高湿下での保存時に増感色素の脱離が起こり、感度を
損失していることが予想された。従って、上記の内部高
沃度型の粒子のような優れた写真性能を有するハロゲン
化銀粒子を更に高感度化し、加えて保存性を改良する技
術が待望されていた。
一般に増感色素とハロゲン化銀粒子との吸着力は、粒
子表面の沃化銀含有率が高いほど強くなる。従って、ハ
ロゲン化銀粒子表面の沃化銀含有率を高めることによ
り、保存性の改良と、光吸収効率の向上による高感度化
が期待できる。
更に、ハロゲン化銀粒子に増感色素を吸着させた場合
に起こる固有吸収帯での感度低下、即ち青色光に対する
減感も、粒子表面の沃化銀含有率を高めることによって
改善できる。
従来技術において粒子表面の沃化銀含有率を高める方
法としては、前述の内部高沃度型コア/シェル粒子では
シェルの沃化銀含有率を高める技術があり、或いは特開
平1-284848号公報に開示される内部低沃度型のコア/シ
ェル粒子などがある。
しかし、コア/シェル粒子において、シェルの沃化銀
含有率を高めると、化学増感によって形成される化学増
感核が分散し著しく減感するという問題がある。更に、
現像性も大きく阻害される。
特開昭63-106745号公報には、低沃度シェルを5モル
%以上の沃化銀を含有する厚さ50Å程度の層で被覆する
技術が開示されている。しかしこの方法においても、粒
子表面の高沃度層が10格子以上の厚さを有しているため
に、初期現像性の低下や、化学増感核の分散という問題
に対する解決には至っていない。
一方周知のように、感光過程を支配する2つの大きな
因子は、光電子と格子間銀イオンである。
一般に、格子間銀イオンの伝導度〔=(格子間銀イオ
ン濃度)×(電荷)×(易動度)〕は、沃化銀含有率が
高いほど大きくなる。従って沃化銀含有率を高めること
によって、潜像形成効率が向上することが期待される。
内部高沃度型のコア/シェル粒子においては、コア/
シェル構造を有することによって電子と正孔の分離が促
進され、潜像形成効率が向上するという説がある。しか
し、ハロゲン化銀乳剤における有効な潜像形成は粒子表
面で行われることを考えると、格子間銀イオンの伝導度
が大きい(格子間銀イオン濃度が高い、あるいは易動度
が大きい)高沃度相が粒子内部に存在する構造は潜像形
成効率上、必然的に不利を負う。かつこの不利を改良す
るためにシェルの沃化銀含有率を高めることは、前述の
如く、他の困難を伴う。
〔発明の目的〕
上述したように、従来の技術では、ハロゲン化銀の更
なる高感度化の要求に、満足のいく対応がとりきれてい
ない。このような背景のもとで本発明の目的は、高い感
度を有し、しかも保存性に優れたハロゲン化銀写真感光
材料を提供することにある。
〔問題点を解決するための手段及び作用〕
本発明者らは幾多の検討を重ねた結果、上記本発明の
目的は、下記ハロゲン化銀粒子を有するハロゲン化銀写
真感光材料によって達成されることを見い出し、本発明
に至った。
本発明者らは幾多の検討を重ねた結果、上記本発明の
目的は、支持体上にハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲ
ン化銀写真感光材料において、該ハロゲン化銀乳剤層に
含有されるハロゲン化銀粒子が、厚さが1〜5原子層の
表層を有し、該表層の沃化銀含有率が、該表層に隣接す
る内部の相の沃化銀含有率よりも高いことを特徴とする
ハロゲン化銀写真感光材料によって達成されることを見
い出し、本発明に至った。
上記した、ハロゲン化銀粒子の表層が、該表層に隣接
する内部の相より沃化銀含有率が高いハロゲン化銀粒子
を、以下本発明のハロゲン化銀粒子と称する場合もあ
る。また、本発明のハロゲン化銀粒子を含有するハロゲ
ン化銀乳剤を本発明のハロゲン化銀乳剤、あるいは単に
本発明の乳剤と称する場合もある。
上記構成により本発明の目的が達成されたのである
が、その作用は必ずしも明らかではない。推定ではある
が、これはハロゲン化銀粒子の表面極近傍のみを高沃度
化することで、初期現像性を含む現像活性を損なうこと
なく、また、化学増感時の増感核の分散を起こすことな
く、色素吸着性を改良できるため、加えて粒子表面の格
子間銀イオンの濃度あるいは易動度を高めて潜像形成効
率を向上できるためと思われる。
以下、本発明について、更に詳述する。
本発明でいう表層とは、ハロゲン化銀粒子の最表面を
含む粒子の最外層であって、粒子の最表面を形成する原
子の層を第1原子層とし、その内側に位置する原子層を
粒子内部に向って第2原子層、第3原子層、…とした場
合に、第5原子層までの部分(従って立方晶臭化銀粒子
の場合には表面から14.4Åまでの部分)である。また本
発明において好ましくは、第4原子層、より好ましくは
第3原子層までの部分をいう。
これより厚くなるに従い、化学増感核の分散による減
感と、初期現像性の低下が顕著となる。
本発明においては、表層は該表層に隣接する内部相よ
り沃化銀含有率が高くなければならない。
該表層の沃化銀含有率は、5モル%以上が好ましく、
10モル%以上がより好ましく、更に好ましくは15モル%
以上である。
ここで表層に隣接する内部相とは、該表相を除外した
場合に粒子の最外部を形成する相をいう。より具体的に
は、内部相とは、表層部を除いた粒子の最外相から深さ
方向に100Åまでの部分の、好ましくは60Åまでの、特
に好ましくは40Åまでの部分をいう。
該内部相の沃化銀含有率は、現像性上、5モル%未満
であることが好ましい。
ハロゲン化銀粒子表面の沃化銀含有率を測定する方法
としては、XPS法(X-ray Photoelectron Spectroscopy:
X線光電子分光法)が知られている。
XPS法の原理については、相原淳一らの「電子の分
光」(共立ライブラリー16,共立出版発行、昭和53年)
を参考にできる。
また、特開昭63-44751号公報に写真用ハロゲン化銀粒
子における一般的な測定方法の詳しい記載がある。
しかし、ハロゲン化銀粒子表面の組成分析として一般
的に行われているXPS法による測定では、測定プローブ
である光電子の試料からの脱出深さ(escape depth)が
約40〜50Å(約14原子層〜20原子層)と大きいため、特
開昭63-106745号公報に開示される沃化銀含有率の高い
最外層が50Å程度の厚さ(約20原子層までの厚さ)を有
する場合には該層の沃化銀含有率を検出することは可能
であっても、本発明でいう表層のように粒子表面から10
Å程度の厚さしか有さない領域の沃化銀含有率を検出す
ることは困難である。
日本写真学会誌48巻1号(昭60)P.3〜P.12の西城の
総説にあるように、過去に行われた現実のハロゲン化銀
乳剤系での粒子表面の組成分析としては、不活性ガスイ
オンで粒子をスパッタリングしながらXPS法で深さ方向
の元素分析(Depth Analysis)を行った例がある。
しかし、西城が述べているように、このようなDepth
Analysisは分解能を20〜30Å程度より小さくすることは
困難である上、数10Åの誤差を含んでしまう。
従って、本発明のハロゲン化粒子のように、表面から
10Å程度内の深さ領域で、内部の相とは異なる組成を有
する場合の粒子表面を含む定量的かつ汎用的な組成分析
は、今後の分析手法の進展を待たなければならないが、
ハロゲン化銀粒子が6面体状、8面体状、平板状の場合
には、現在一般的に行われているXPS法の応用である角
度分解XPS法で分析できる。この角度分解XPS法について
は、例えばC.S. Fadly:Progerss in Solid State Che
m.,11(1976)pp.265-343を参考にできる。角度分解XPS
法では試料の平滑性が要求されるが、ハロゲン化銀粒子
が上記の6面体状、8面体状、平板状の場合には、高分
子38巻4月号(1989年)pp.281に記載される方法等によ
って、ハロゲン化銀粒子を二次元的に配列させ試料基盤
に対して平行な試料面を形成し、角度分解XPS法の測定
を行なうことができる。また、極表面分析法として知ら
れるオージェ電子分光法(AES)も有用である。
本発明のハロゲン化銀粒子は、上記のような一般的な
XPS法で測定した場合の沃化銀含有率(即ち表層と内部
相の一部とを合せて検出される沃化銀含有率)が5モル
%未満であることが好ましい。5モル%以上では、初期
現象性の低下、化学増感核の分散によると思われる減感
及びカブリの上昇、粒状性の劣化の傾向が認められた。
本発明のハロゲン化銀粒子においては、表層が薄くな
るに従って、XPS法で測定される粒子表面の沃化銀含有
率と、表層に隣接する内部層の沃化銀含有率との差が小
さくなり、表層が極端に薄い場合には、その差を検出で
きないこともある。
そのような場合、ハロゲン化銀粒子表面に沃化銀含有
率の高い層が形成されているか否かは、ハロゲン化銀乳
剤粒子の格子間銀イオンの伝導度(以下単に「イオン伝
導度」という)を測定することによって確認できること
を、本発明者らは見い出した。
乳剤系でのイオン伝導度の簡便な測定方法としては誘
電損失法が知られている。
これは乾燥させたハロゲン化銀乳剤に交流電場を加
え、周波数を変化させることによって誘電損失曲線を測
定し、界面分極の時定数を求めることにより、イオン伝
導度を算出するという方法である。
この場合、誘電損失(吸収)曲線のピーク周波数がイ
オン伝導度に比例することから、いくつかの乳剤粒子の
イオン伝導度を相対比較する場合には、ハロゲン組成や
晶癖が乳剤粒子間で大きく異ならない限り、ピーク周波
数の値をイオン伝導度の値とみなして相対比較すること
ができる。
ハロゲン化銀粒子におけるイオン伝導度〔=(格子間
銀イオン濃度)×(電荷)×(易動度)〕は、塩化銀、
臭化銀、沃化銀の順に大きくなる。
混晶粒子の場合にも、沃臭化銀粒子では沃化銀含有比
率が大きくなるほどイオン伝導度は増加する(日本写真
学会誌42巻2号(昭54)P.112〜P.121参照)。
また、8面体や14面体正常晶粒子や平板粒子の様に、
外晶癖に(111)面を比較的大きな割合で有する粒子に
おいては、誘電損失曲線に2つのピークが現われること
が知られている。
この2つのピークの起源には諸説があるが、一般的な
解釈は、低周波側のピークは粒子内部(あるいは亜表
面)の、高周波側のピークは粒子表面のイオン伝導度に
対応するというものである(日本写真学会講演要旨集P.
33〜P.35参照)。従って、ハロゲン化銀粒子の、特に
(111)面を外晶癖に有する粒子の表層を本発明のよう
に高沃度化した場合、粒子表層の沃化銀含有率の増加に
伴い、粒子表面のイオン伝導度が増加し、高周波側のピ
ークが、更に高周波側へシフトすることが予測される。
実際に、本発明者らが実施例で調製した本発明に係る
ハロゲン化銀乳剤粒子について測定したところ、高周波
側のピークは、粒子表層を高沃度化する処理を施すこと
によって更に高周波側へシフトし、粒子表面に沃化銀含
有率の高い層が形成されていることが確かめられた。
本発明において表層を高沃度化する方法に特には制限
は無く、例えば、粒子形成時に表層のみを高沃度化する
ようにハロゲン化物水溶液あるいは沃化銀微粒子を添加
してもよいし、粒子形成後に沃化物水溶液、あるいは沃
化銀微粒子や沃化銀含有率の高いハロゲン化銀粒子を添
加してもよいが、以下の理由により沃化銀微粒子や沃化
銀含有率の高いハロゲン化銀粒子を用いた方が好まし
い。
即ち、沃化物水溶液を添加する場合、沃化銀と臭化銀
または塩化銀の溶解度差によりハロゲン化銀粒子表面で
ハロゲンイオン交換(コンバージョン)が起こり、粒子
表層は高沃度化される。
しかし、乳剤溶液内で沃素イオン濃度が均一化するよ
り速くコンバージョン反応が進行するために、粒子表層
や粒子間での高沃度層が不均一となる。
またこの反応は、粒子内部方向へも進み易いために、
厚さの制御も難しく、例えば本発明のハロゲン化銀粒子
を得るような表層のみの高沃度化は難しい。
一方、沃化銀微粒子や沃化銀含有率の高いハロゲン化
銀粒子を添加する場合には、該ハロゲン化銀微粒子の溶
解、粒子表面での再結晶化を経て、粒子表層が高沃度化
される。
この反応においては、添加するハロゲン化銀微粒子の
溶解律速となるために、乳剤溶液内で均一に再結晶化が
起こり、各粒子をより均質に高沃度化できる。
また、コンバージョン反応のように急速な反応ではな
いため、粒子表層より均質に高沃度化でき、更に厚さの
制御も沃化物水溶液を添加する場合に比較し容易であ
る。加えて、晶癖コントロール剤を併用することによっ
て、高沃度層の形成位置も制御可能である。
粒子形成後に、沃化物水溶液あるいは沃化銀微粒子や
沃化銀含有率の高いハロゲン化銀微粒子を添加する場合
には、粒子形成後のいかなる段階で添加することも可能
である。
即ち、ハロゲン化銀乳剤調製工程(従って粒子形成後
の脱塩・水洗前・中・後)、またはハロゲン化銀乳剤の
増感工程(従って化学増感前・中・後)、あるいは塗布
乳剤調製工程のいかなる段階をも選択し得る。
粒子形成後の脱塩・水洗以後、化学増感前の過程で行
う場合には沃化物水溶液を用いるより、沃化銀微粒子や
沃化銀含有率の高いハロゲン化銀微粒子を用いた方が、
乳剤のpAg変化が小さく好ましい。
上記過程で沃化物水溶液を用いた場合には、pAgが大
きく変化し、化学増感に大きく影響を及ぼすことがあ
る。
粒子表層を高沃度化する処理は1度で行ってもよいし
2度以上の複数回に分けて行ってもよい。
本発明においては、本発明でいう表層が粒子の全表面
を覆っている必要は無く、少なくとも表面の一部が該表
層で被覆されていれば本発明の効果を発揮し得るが、粒
子表面の10%以上が該表層で被覆されていることが好ま
しい。更には20%以上が該表層で被覆されている場合に
本発明の効果は顕著であり、特に好ましくは30%以上が
被覆されている場合である。また表層の特定部位だけを
高沃度化するために晶癖コントロール剤を併用すること
も可能である。
本発明においては、粒子の表層が該表層に内隣接する
相より沃化銀含有率が高いことを除いて、粒子構造に特
に制限を与えるものではないが、粒子内部に高沃化銀含
有率相を有するものが特に好ましい。
高沃化銀含有率相の沃化銀含有率は、15〜45モル%が
好ましく、より好ましくは20〜42モル%、特に好ましく
は25〜40モル%である。
粒子内部に高沃化銀含有率相を有する構成とした場合
のハロゲン化銀粒子は、高沃化銀含有率相をそれより沃
化銀含有率が低い低沃化銀含有率相、または臭化銀、或
いは塩臭化銀相で被覆したものである。
この場合、上記低沃化銀含有率相は、次の意味での粒
子最外相を形成するように、構成することができる。
即ち、最外相(本発明でいう表層を除いた場合に、粒
子の最外部に位置する相)を形成する場合の高沃化銀含
有率相より沃度含有率の低い上記沃化銀含有率相の平均
沃化銀含有率は、5モル%未満であることが好ましく、
特に好ましくは0〜4モル%である。また最外相と高沃
化銀含有率相の間に他の沃化銀含有相(中間相)が存在
してもよい。
中間相の沃化銀含有率は8〜22モル%が好ましく、特
に好ましくは10〜20モル%である。
最外相と中間相、中間相と内部の高沃化銀含有率相の
間の沃化銀含有率は、それぞれ6モル%以上の差がある
ことが好ましく、特に好ましくは、そのいずれかに10モ
ル%以上の差があることである。
上記態様において、内部の高沃化銀含有率相の中心
部、内部の高沃化銀含有率相の中間相の間、中間相と最
外相との間に更に別のハロゲン化銀相が存在してもよ
い。
また、最外相の体積は粒子全体の3〜70モル%がよ
く、5〜50モル%が更に好ましい。高沃化銀含有率相の
体積は、粒子全体の10〜80%とするのが望ましく、15〜
50%、更には15〜45%が望ましい。中間相の体積は、粒
子全体の5〜70%、更には10〜65%がよい。
これらの相は、均一組成の単一相であってもよいし、
均一組成の複数相から成る、ステップ状に組成の変化す
る相群であってもよいし、あるいは任意相の中において
連続的に組成の変化するような連続相であってもよい
し、これらの組み合わせでもよい。
本発明のハロゲン化銀乳剤の別の態様として、粒子内
に局在した沃化銀が実質的に均一な相を形成するのでな
く、沃化銀含有率が粒子中心から外側部に向かって連続
的に変化する態様が挙げられる。この場合、本出願人に
よる特願平1-344732号(平成元年12月28日)に示される
沃化銀組成構造を有することが好ましい。
またこの場合においても粒子最外相の沃化銀含有率は
5モル%未満であることが好ましく、特に好ましくは0
〜4モル%の沃臭化銀である。
本発明のハロゲン化銀乳剤は平均沃化銀含有率が4〜
20モル%である沃臭化銀から成ることが好ましく、特に
好ましくは、該平均沃化銀含有率が5〜15モル%である
場合である。
本発明のハロゲン化銀乳剤は、沃化銀を含有するもの
であるが、その他のハロゲン化銀成分を任意に有してよ
く、例えば沃臭化銀乳剤とする場合も、本発明の効果を
損わない範囲で塩化銀を含有してもよい。
本発明のハロゲン化銀乳剤は以下の〜の少なくと
も1つの条件を満たすことが好ましい。
蛍光X線分析法によって求めた平均沃化銀含有率
(J1)とXPS法で求めた粒子表面の沃化銀含有率(J2
を比べたときJ1>J2なる関係を満足するものであるこ
と。
ここでXPS法について説明すると、次のとおりであ
る。
XPS法による測定に先立って、乳剤を以下のように前
処理する。まず、乳剤にプロナーゼ溶液を加え、40℃で
1時間攪拌してゼラチン分解を行う。次に遠心分離して
乳剤粒子を沈降させ、上澄み液を除去した後、プロナー
ゼ水溶液を加え、上記の条件で再度ゼラチン分解を行
う。この試料を再び遠心分離し、上澄み液を除去した
後、蒸留水を加えて乳剤粒子を蒸留水中に再分散させ、
遠心分離し、上澄み液を除去する。この水洗操作を3回
繰返した後、乳剤粒子をエタノール中に再分散させる。
これを鏡面研磨したシリコンウェハ上に薄く塗布して測
定試料とする。
XPS法による測定には、例えば装置としてPHI社製ESCA
/SAM560型を使用し、励起用X線にMg-Kα線、X線源電
圧15KV、X線源電流40mA、パスエネルギー50eVの条件で
行う。
表面ハライド組成を求めるためにAg3d,Br3d,I3d3/2電
子を検出する。組成比の算出は各ピークの積分強度を用
いて、相対感度係数法により行う。Ag3d,Br3d,I3d3/2相
対感度係数としてそれぞれ5.10,0.81,4.592を使用する
ことにより、組成比は原子パーセントを単位として与え
られる。
蛍光X線分析法によって求めた平均沃化銀含有率
(J1)とXMA法を用いハロゲン化銀粒子の粒径方向に対
して中心部より80%以上離れたハロゲン化銀結晶上で測
定した沃化銀含有率の測定値の平均値(J3)を比べたと
き、J1>J3なる関係を満足するものであること。
XMA法(X-ray Micro Analysis)について説明する
と、次のとおりである。エネルギー分散型X線分析装置
を電子顕微鏡に装填した電子顕微鏡観察用グリッドにハ
ロゲン化銀粒子を分散し、液体窒素冷却にて1粒子がCR
T視野に入るように倍率を設定し、一定時間AgLα,ILα
線の強度を積算する。ILα/AgLαの強度比をあらかじめ
作成しておいて検量線を用いて沃化銀含有率を算出する
ことができる。
CuKα線を線源とした(420)X線回折シグナルの最高
ピーク高さ×0.13において、回折角度の1.5度以上に亘
ってシグナルが連続して存在すること。より好ましく
は、シグナルの最高ピーク高さ×0.15において、回折角
度の1.5度以上に亘ってシグナルが連続して存在するも
のである。更にシグナルの存在する回折角度が1.8度以
上に亘ることが好ましく、特に2.0度以上に亘って存在
することが好ましい。
シグナルが存在するとは、最高ピーク高さ×0.13ある
いは×0.15において、その高さ以上のシグナル強度であ
ることを言う。
CuKα線を線源とした上記(420)X線回折シグナルが
二つもしくは三つのピークを有するものであること。特
に好ましくは三つのピークを有するものである。
ハロゲン化銀の結晶の構造を調べる方法として知られ
ているX線回折法について述べると、次のとおりであ
る。
X線の線源として色々の特性X線を用いることができ
る。中でもCuをターゲットとしたCuKα線は最も広く用
いられているものである。
沃臭化銀は岩塩構造を有し、CuKα線での(420)回折
線は、2θ71〜74度に観測されるシグナル強度が比較的
強く高角度であるため、分解能もよく結晶構造を調べる
上で最適である。
写真乳剤のX線回折の測定に当っては、ゼラチンを除
去し、シリコンなどの標準試料を混ぜ、粉末法によって
測定することが必要である。
測定方法に関しては、基礎分析化学講座24「X線分
析」(共立出版)などを参考に行うことができる。
本発明の乳剤は粒子間の沃化銀含有率がより均一にな
っていることが好ましい。XMA法によって個々のハロゲ
ン化銀粒子の平均沃化銀含有率を測定したとき、測定値
の相対標準偏差が20%以下であることが好ましい。更に
好ましくは15%以下、特に好ましくは12%以下のもので
ある。
ここに相対標準偏差とは、例えば少なくとも100個の
乳剤の沃化銀含有率を測定した際の沃化銀含有率の標準
偏差をそのときの平均沃化銀含有率で除した値×100で
ある。
本発明のハロゲン化銀粒子は、その晶癖には特に限定
はない。
本発明のハロゲン化銀粒子は、立方体、8面体、12面
体、14面体、24面体のような正常晶でもよく、平板状の
ような及び他形状の双晶、更にじゃがいも状等の不定形
粒子であってもよい。
またこれらの混合物であってもよい。
平板状の双晶である場合、粒子の投影面積同等円換算
直径と粒子厚みの比が1〜20のものが投影面積の60%以
上であることが好ましく、更に1.2以上8.0未満が好まし
く、特に1.5以上、5.0未満好ましい。
本発明のハロゲン化銀乳剤は、単分散性のハロゲン化
銀乳剤であることが好ましい。
本発明において、単分散性ハロゲン化銀乳剤とは、平
均粒径を中心に±20%の粒径範囲内に含まれるハロゲ
ン化銀重量が全ハロゲン化銀重量の70%以上であるもの
を言い、好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上
である。
ここに平均粒径は、粒径diを有する粒子の頻度ni
di 3との積ni×di 3が最大になるときの粒径diと定義す
る。(有効数字3桁、最小桁数字は4捨5入する) ここで言う粒径とは、粒子の投影像を同面積の円像に
換算したときの直径である。
粒径は、例えば該粒子を電子顕微鏡で1万倍〜5万倍
に拡大して投影し、そのプリント上の粒子直径または投
影時の面積を実測することによって得ることができる。
(測定粒子個数は無差別に1000個以上であることとす
る。) 本発明の特に好ましい高度の単分散乳剤は によって定義した分布の広さが20%以下のものであ
り、更に好ましくは15%以下のものである。
ここに粒径測定方法は前述の測定方法に従うものと
し、平均粒径は算術平均とする。
本発明のハロゲン化銀乳剤の平均粒径は0.1μm〜10.
0μmであることが好ましく、更に好ましくは0.2μm〜
5.0μm、特に好ましくは0.3μm〜3.0μmである。
単分散性の正常晶乳剤は、例えば、特開昭59-177535
号、同60-138538号、同59-52238号、同60-143331号、同
60-35726号、同60-258536号及び同61-14636号公報等に
開示された方法を参考にすることによって製造すること
ができる。
単分散性の双晶乳剤は、例えば、特開昭61-14636号公
報に開示された球型種乳剤を成長させる方法を参考にす
ることによって得ることができる。
本発明のハロゲン化銀粒子は、各種の手段で調製する
ことができるが、好ましくは、例えば以下のような方法
(〔I〕あるいは〔II〕)により調製すると、本発明の
効果を顕著に示すものを得ることができる。
方法〔I〕 本発明のハロゲン化銀粒子は、沃臭化銀(または塩沃
臭化銀)のように少なくとも沃素を含有するが、この場
合粒子成長において、沃素イオンは沃化カリウム溶液の
ようなイオン溶液として添加されてもよく、また、成長
中のハロゲン化銀粒子よりも溶解度積の小さい粒子とし
て添加されてもよいが、溶解度積の小さいハロゲン化銀
粒子(以下に詳述)として添加する方がより好ましい。
本発明のハロゲン化銀粒子は、該粒子の成長過程の少
なくとも一期間において、該本発明のハロゲン化銀粒子
(粒子成長過程についての以下の説明においては、便宜
上、「AgX粒子(1)」と称する)よりも溶解度積が同
等以下のハロゲン化銀微粒子(同じく「AgX粒子
(2)」と称する)の存在下にハロゲン化銀粒子の粒子
成長が行われることが好ましい一態様である。
溶解度積が同等以下とは、AgX粒子(2)の溶解度積
がAgX粒子(1)の溶解度積と同じであるか、それより
小さいことをいう。また本明細書中溶解度積とは、通常
の化学的意味におけるものである。
このような態様を採用する場合、AgX粒子(1)の溶
解度積と同等、もしくはそれより小さい溶解度積のAgX
粒子(2)が、AgX粒子(1)の成長過程の少なくとも
一時期において存在し、該AgX粒子(2)の存在下にAgX
粒子(1)の成長が行われる。ここで、AgX粒子(2)
は、AgX粒子(1)の粒子成長要素(ハロゲンイオン液
や、銀イオン液等)の供給終了までに存在させて、AgX
粒子(1)を成長させるように用いることができる。
このAgX粒子(2)の平均粒径は、一般に、AgX粒子
(1)の平均粒径より小さいが、場合によっては大きい
こともある。かつ、このAgX粒子(2)は、一般に実質
的に感光性は有さない程度のものである。このAgX粒子
(2)の平均粒径は、0.001〜0.7μmであることが好ま
しく、0.01〜0.3μmが更に好ましく、特に0.1〜0.01μ
mが好ましい。
AgX粒子(2)は、遅くともAgX粒子(1)の成長が終
了するまでに、AgX粒子(1)の調製の場となる懸濁系
(以下、母液と称す)中に存在せしめることが好まし
い。
ハロゲン化銀種粒子を用いる場合には、AgX粒子
(2)は該種粒子より前に母液中に存在せしめてもよい
し、種粒子を含む母液中に粒子成長組成物に先立って添
加してもよいし、粒子成長要素を添加している途中に添
加してもよいし、上述の添加時期の内、2以上の時期に
分けて添加してもよい。
種粒子を用いず、ハロゲン化銀核形成後粒子成長を行
う場合には、核形成後にAgX粒子(2)を添加すること
が好ましく、粒子成長要素の添加前であっても、添加の
途中でもよく、2以上の時期に分けてもよい。
また、AgX粒子(2)及び粒子成長要素の添加法とし
ては、一括して添加してもよいし、連続的に、または断
続的に添加してもよい。
AgX粒子(2)及び粒子成長要素は、粒子成長に適合
した速度でpH、pAg、温度等をコントロールした条件下
で、ダブルジェット方式の如き多ジェット方式により母
液に添加することが好ましい。
AgX粒子(2)及びハロゲン化銀種粒子は、母液中で
調製してもよいし、母液外で調製した後、母液に添加し
てもよい。
AgX粒子(2)の調製に用いる水溶性銀塩溶液として
は、アンモニア性銀塩溶液が好ましい。
AgX粒子(2)のハロゲン組成としては、例えばAgX粒
子(1)が沃臭化銀である場合には、沃化銀または成長
中の沃臭化銀粒子よりも沃素含有率の高い沃臭化銀が好
ましく、例えばAgX粒子(1)が塩臭化銀である場合に
は、臭化銀または成長中の塩臭化銀よりも臭素含有率の
高い塩臭化銀が好ましい。AgX粒子(1)が沃臭化銀の
場合、AgX粒子(2)は沃化銀であることが特に好まし
い。
AgX粒子(1)が沃臭化銀または塩沃臭化銀である場
合には、粒子成長に用いられる沃素が全てAgX粒子
(2)として供給されることが好ましいが、本発明の効
果を損なわない範囲で一部をハロゲン水溶液として供給
してもよい。
方法〔II〕 本発明のハロゲン化銀粒子を得るために、水溶性銀塩
溶液とが水溶性ハロゲン化物溶液を保護コロイドの存在
下に供給して行うハロゲン化銀写真乳剤の製造方法を採
用する場合である。以下(イ)〜(ハ)のように行う。
(イ)沃化銀含有率0〜5モル%のハロゲン化銀沈澱生
成の初期から1/2以上の期間、母液のpBrを2.0〜−0.7に
保つ核粒子生成工程を設け、 (ロ)該核粒子生成工程に続いて、母液にハロゲン化銀
溶剤をハロゲン化銀1モル当たり10-5〜2.0モル含有し
実質的に単分散性球形双晶であるハロゲン化銀種粒子を
形成する種粒子形成工程を設け、 (ハ)次いで、水溶性銀塩溶液と水溶性ハロゲン化物溶
液及び/またはハロゲン化銀微粒子を加えて種粒子を肥
大させる成育工程を設ける方法が好ましく用いられる。
ここに母液とは、完成した写真乳剤に到るまでのハロ
ゲン化銀乳剤の調合の場に供される液(ハロゲン化銀乳
剤も含有される)である。
前記核粒子生成工程において形成されるハロゲン化銀
粒子は、0〜5モル%の沃化銀を含有する沃臭化銀から
成る双晶粒子である。
双晶とは一つの粒子内に一つ以上の双晶面を有するハ
ロゲン化銀結晶を意味するが、双晶の形態の分類はクラ
インとモイザーによる報文「Photographishe Korrespon
denz 99巻99頁、同100巻,57頁に詳しく述べられてい
る。双晶の二つ以上の双晶面は互いに平行であっても平
行でなくてもよい。また、結晶の外壁は{111}面から
成るもの、{100}面から成るもの、あるいは両方の面
から成るものであってもよい。
本発明の乳剤、または感光材料を構成する場合に必要
に応じて併用するそれ以外の乳剤について、その調製時
(種乳剤の調製時も含む)に、ハロゲン化銀粒子に対し
て吸着性を有するゼラチン以外の物質を添加してもよ
い。このような吸着物質は例えば増感色素、カブリ防止
剤または安定化剤として当業界で用いられる化合物、ま
たは重金属イオンが有用である。上記吸着性物質は特開
昭62-7040号に具体例が記載されている。
該吸着性物質の中で、カブリ防止剤、安定化剤の少な
くとも1種の種乳剤の調製時に添加せしめることが、乳
剤のカブリを減少せしめ、かつ経時安定性を向上せしめ
る点で好ましい。
該カブリ防止剤、安定化剤の中でヘテロ環メルカプト
化合物及び/またはアザインデン化合物が特に好まし
い。より好ましいヘテロ環メルカプト化合物、アザイン
デン化合物の具体例は、特開昭63-41848号に詳細に記載
されておりこれを使用できる。
上記ヘテロ環メルカプト化合物、アザインデン化合物
の添加量は限定的ではないが、ハロゲン化銀1モル当た
り好ましくは1×10-5〜3×10-2更に好ましくは5×10
-5〜3×10-3モルである。この量はハロゲン化銀粒子の
製造条件、ハロゲン化銀粒子の平均粒径及び上記化合物
の種類により適宜選択されるものである。
所定の粒子条件を備え終わった仕上がり乳剤について
は、ハロゲン化銀粒子形成後、公知の方法により脱塩を
行うことができる。脱塩の方法としては特開昭63-24393
6号、特開平1-185549号記載の種粒子としての粒子の脱
塩で用いる凝集ゼラチン剤等を用いてもかまわないし、
またゼラチンをゲル化させて行うヌーデル水洗法を用い
てもよく、また多価アニオンよりなる無機塩類例えば硫
酸ナトリウム、アニオン性界面活性剤、アニオン性ポリ
マー(例えばポリスチレンスルホン酸)を利用した凝析
法を用いてもよい。
一般に、上記のようにして脱塩されたハロゲン化銀粒
子はゼラチン中に再分散されて、乳剤が調製される。
本発明の感光材料は、ハロゲン化銀粒子として本発明
のハロゲン化銀粒子の外に、それ以外のハロゲン化銀粒
子を併用してもよい。
併用するハロゲン化銀粒子は、いかなる粒子サイズ分
布を持つものを用いても構わない。粒子サイズ分布の広
い乳剤(多分散性乳剤と称する)を用いてもよいし、粒
子サイズ分布の狭い単分散性乳剤であってもよい。
本発明の感光材料は、それを構成するハロゲン化銀乳
剤層の少なくともいずれか1層に本発明のハロゲン化銀
粒子を含有して形成されるが、同じ層に本発明のハロゲ
ン化銀粒子以外のハロゲン化銀粒子が含有されていても
よい。
この場合好ましくは本発明のハロゲン化銀粒子を含有
する乳剤が20重量%以上を占めるのが望ましく、40重量
%以上を占めるのが更に望ましい。
また本発明の感光材料が2以上のハロゲン化銀乳剤層
を有する場合、本発明のハロゲン化銀粒子以外のハロゲ
ン化銀粒子のみから成る乳剤層が存在していてもよい。
この場合、本発明の乳剤が、感光材料を構成する全て
の感光性層に使用されるハロゲン化銀乳剤の10重量%以
上を占めるのが好ましく、20重量%以上を占めるのが更
に好ましい。
本発明のハロゲン化銀粒子は、リサーチ・ディスクロ
ージャー(Research Disclosure)、以下RDと略す場合
もある)の下記に示す巻及び頁に記載の分光増感剤を用
いて分光増感されることができ、あるいは他の増感剤を
併用して分光増感できる。
No.17643(P.23〜24) No.18716(P.648〜649) No.308119(P.996,IV-A−A,B,C,D;H,I,J項) 本発明において得られる効果は、本発明のハロゲン化
銀粒子を分光増感することによって顕著となる。特に、
トリメチン及び/またはモノメチンのシアニン色素を単
独で、あるいは他の分光増感剤と併用して用いる場合
に、本発明の効果はより顕著となる。また本発明の感光
材料中に、必要に応じて用いられる本発明のハロゲン化
銀粒子以外の他のハロゲン化銀粒子は、適宜所望の波長
域に光学的に増感することができる。その場合の光学増
感方法には特に制限はなく、例えばゼロメチン色素、モ
ノメチン色素、ジメチン色素、トリメチン色素等のシア
ニン色素あるいはメロシアニン色素等のシアニン色素あ
るいはメロシアニン色素等の光学増感剤を単独あるいは
併用して光学的に増感することができる。増感色素の組
み合わせは特に強色増感の目的でしばしば用いられる。
増感色素とともに、その自身分光増感作用をもたない色
素あるいは可視光を実質的に吸収しない物質であって、
強色増感を示す物質を乳剤中に含んでもよい。これらの
技術については米国特許第2,688,545号、同2,912,329
号、同3,397,060号、同3,615,635号、同3,628,964号、
英国特許第1,195,302号、同1,242,588号、同1,293,862
号、西独特許(OLS)2,030,326号、同2,121,780号、特
公昭43-14030号、RD176巻17643(1978年12月発行)第23
頁IVのJ項等にも記載されている。その選択は増感すべ
き波長域、感度等、感光材料の目的、用途に応じて任意
に定めることが可能である。
本発明においては通常用いられる各種化学増感処理を
施すことができる。化学増感処理に用いるカルコゲン増
感剤には硫黄増感剤、セレン増感剤、テルル増感剤があ
るが、写真用として用いるには硫黄増感剤、セレン増感
剤が好ましい。硫黄増感剤としては公知のものを用いる
ことができる。例えば、チオ硫酸塩、アリルチオカルバ
ミド、チオ尿素、アリルイソチオシアネート、シスチ
ン、p−トルエンチオスルホン酸塩、ローダニンなどが
挙げられる。その他、米国特許1,574,944号、同2,410,6
89号、同2,278,947号、同2,728,668号、同3,501,313
号、同3,656,955号、西独出願公開(OLS)1,422,869
号、特開昭56-24937号、同55-45016号等に記載されてい
る硫黄増感剤も用いることができる。硫黄増感剤の添加
量は、乳剤の感度を効果的に増大させるに十分な利用で
よい。この適量はpH、温度、ハロゲン化銀粒子の大きさ
など種々の条件の下で相当の範囲にわたって変動する
が、目安としては、ハロゲン化銀1モル当たり約10-7
ル〜約10-1モル程度が好ましい。
セレン増感剤としては、アリルイソセレノシアネート
の如き脂肪族イソセレノシアネート類、セレノ尿素類、
セレノケトン類、セレノアミド類、セレノカルボン酸類
及びエステル類、セレノホスフェート類、ジエチルセレ
ナイド、ジエチルジセレナイド等のセレナイド類などを
用いることができ、それらの具体例は、米国特許1,574,
944号、同1,602,592号、同1,623,499号に記載されてい
る。
添加量は硫黄増感剤と同様に広い範囲にわたって変化
するが、目安としては、ハロゲン化銀1モル当たり約10
-7モルから10-1モル程度が好ましい。
本発明において、金増感剤としては金の価数が+1価
でも+3価てもよく多種の金化合物が用いられる。代表
的な例としては塩化金酸類、カリウムクロロオーレー
ト、オーリックトリクロライド、カリウムオーリックチ
オシアネート、カリウムヨードオーレート、テトラシア
ノオーリックアシド、アンモニウムオーロチオシアネー
ト、ピリジルトリクロロゴールドなどが挙げられる。
金増感剤の添加量は種々の条件により異なるが目安と
してはハロゲン化銀1モル当たり約10-7モルから10-1
ルまでの範囲が好ましい。
金増感剤の添加時期は硫黄増感剤あるいはセレン増感
剤と同時でも、硫黄あるいはセレン増感工程の途中ある
いは終了後でもよい。
本発明における硫黄増感またはセレン増感、及び金増
感を施す乳剤のpAgは5.0〜10.0、pHは5.0〜9.0の範囲が
好ましい。
本発明における化学増感法には他の貴金属、例えば白
金、パラジウム、イリジウム、ロジウムのような金属塩
あるいはそれらの錯塩による増感法も併用できる。
更に金−ゼラチナートより金イオンを離脱させ、かつ
ハロゲン化銀粒子への金イオン吸着を促進する化合物と
しては、Rh、Pd、Ir、Pt等の錯体が効果的である。
具体的化合物としては、(NH4)2[PtCl4]、(NH4)2[PdCl
4]、K3[IrBr6]、(NH4)3[RhCl6]12H2O等が挙げられる
が、特に好ましいのはテトラクロロパラジウム(II)酸
アンモニウム(NH4)2[PdCl4]である。添加量は金増感剤
に対し化学量論比(モル比)で10〜100倍の範囲が好ま
しい。
添加時期は、化学増感処理の開始時、進行中、終了後
の何れの工程でもよいが、好ましくは化学増感処理進行
中であり、特に好ましくは金増感剤の添加と同時あるい
はその前後である。
本発明においては更に還元増感を併用することも可能
である。還元剤としては特に制限はないが、公知の塩化
第一錫、二酸化チオ尿素、ヒドラジン誘導体、ポリアミ
ン等が挙げられる。
還元増感を行う時期はハロゲン化銀粒子の成長中に行
うが、カルコゲン増感、金増感及び貴金属増感の終了後
に行うことが好ましい。
更に化学増感処理においては含窒素複素環特に好まし
くはアザインデン環を有する化合物を共存させてもよ
い。
含窒素複素環化合物の添加量は乳剤粒子の大きさ、組
成及び化学増感条件などに応じて広い範囲にわたって変
化するが、好ましくは、ハロゲン化銀粒子表面に単分子
層から10分子層を形成する程度の量を添加されるのがよ
い。この添加量は増感時のpH及び/または温度変化によ
る吸着平衡状態のコントロールによって加減することも
可能である。また、前記化合物を二種類以上あわせた全
体の量が上記の範囲となるようにして乳剤に添加しても
よい。
該化合物の乳剤への添加方法は写真乳剤に有害な作用
を及ぼさない適当な溶媒(例えば水あるいはアルカリ水
溶液)に溶解して、溶液として添加することができる。
添加時期は化学増感のために硫黄増感剤あるいはセレン
増感剤を添加する前または同時が好ましい。金増感剤の
添加は硫黄またはセレン増感の途中あるいは終了時でも
よい。
更にこのハロゲン化銀粒子は増感色素を用いて、所望
の波長域に光学的に増感できる。
本発明の実施に際して、感光材料には種々の添加剤を
用いることができる。例えば、使用できる公知の写真用
添加剤は、RDに例示されている。下表に関連する記載箇
所を示す。
本発明には種々のカプラーを使用することができ、そ
の具体例は、上記リサーチ・ディスクロージャーに例示
されている。下表に関連する記載箇所を示す。
本発明に使用する添加剤は、RD308119X IVに記載され
ている分散法などにより、添加することができる。
本発明においては、前述RD17643 28ページ,RD18716 6
47〜8ページ及びRD308119のX VIIに記載されている支
持体を使用することができる。
本発明の感光材料には、前述のRD308119VII-K項に記
載されているフィルター層や中間層等の補助層を設ける
ことができる。
本発明の感光材料は前述のRD308119VII-K項に記載さ
れている順層、逆層、ユニット構成等の様々な層構成を
とることができる。
本発明は、一般用もしくは映画用のカラーネガフィル
ム、スライド用もしくはテレビ用のカラー反転フィル
ム、カラーペーパー、カラーポジフィルム、カラー反転
ペーパーに代表される、種々のカラー感光材料に適用す
ることができる。
本発明の感光材料は、RD17643 28〜29ページ、RD1871
6 615ページ及びRD308119X IXに記載された通常の方法
によって、現像処理することができる。
〔実施例〕
以下本発明の実施例について、比較例とともに説明す
る。但し当然のことではあるが、本発明は以下に述べる
実施例により限定されるものではない。実施例、比較例
の具体的説明に先立ち、各例で用いる種乳剤及び沃化銀
微粒子乳剤について説明する。
(種乳剤の調製) 沃化銀2.0モル%を含む沃臭化銀乳剤をコントロール
ド・ダブルジェット法により、40℃,pH8.0,pAg9.0の条
件で調製し、水洗処理を施して過剰な塩類を除去した。
得られた粒子の平均粒径は0.335μm、粒径分布は12.
5%であった。
この乳剤を種乳剤とした。
(沃化銀微粒子乳剤の調製) 反応容器にゼラチン5重量%を含む水溶液を加え、40
℃で攪拌しながら3.5N硝酸銀水溶液及び3.5N沃化カリウ
ム水溶液各々1モルを30分を所要して、定速で添加し
た。
添加中のpAgは、常法のpAg制御手段で13.5に保った。
得られた沃化銀微粒子は平均粒径0.06μmのβ‐AgI
とγ‐AgIの混合物であった。
この乳剤を硝酸銀に換算して400gに相当する銀を含む
乳剤とし、沃化銀微粒子乳剤とした。
完成量は4178gであった。
比較例−1(比較乳剤Em-Aの調製) 特開昭61-245151号公報に記載の方法に基づいて、以
下に示す6種の水溶液と、種乳剤を用いて、比較用のハ
ロゲン化銀乳剤を調製した。
温度50℃の状態で激しく攪拌された上記組成の水溶液
(a−1)に、0.407モル相当の前記種乳剤を加え、pH
及びpAgを、酢酸とKBr水溶液を用いて調整した。
しかる後に、pH及びpAgをコントロールしながら、ま
ず上記水溶液(a−2)と(a−3)を、続いて水溶液
(a−4)と(a−5)を、更に水溶液(a−2)と
(a−3)を、そして最後に水溶液(a−2)と(a−
6)を、それぞれダブルジェット法によって添加した。
次いで上記得られた溶液のpHを6.0、pAgを10.1に合わ
せて、常法による脱塩水洗を行い、しかる後に40℃に
て、pH5.80に調整した。かくして平均粒径0.99μmで、
平均沃化銀含有率が8.0モル%、粒径分布14.5%の単分
散沃臭化銀乳剤を得た。この乳剤をEm-Aとする。
なお、Em-Aの処方上の粒子構造と各相の体積比を表−
1に示す。
また、成長中のpH、pAgの条件は、成長時に使用され
る銀量の割合に対し、表−2に示した通りである。
但し表−2で、Ag(%)とは、種粒子を成長させるの
に要する銀量に対する、成長途中までに使用された銀量
比である。また→はpHやpAgを一定に保つこと、 は連続的に低下させることである。
実施例−1(本発明の乳剤Em-B、Em-Cの調製) 比較例−1に示されるEm-Aと同様の方法でハロゲン化
銀粒子を成長させ、脱塩水洗前に表−3に示すように沃
化銀微粒子乳剤を添加して、20分間熟成させ、粒子の表
層を高沃度化した。
その後、脱塩・水洗等を比較例−1と同様に施した。
このようにして得られた乳剤をEm-B、Em-Cとする。
粒子が純臭化銀シェルを有する粒子において、沃化銀
微粒子の添加量により、粒子の第1原子層/第1〜第2
原子層/第1〜第3原子層が高沃度化した場合の、添加
量による表層の沃化銀含有率は表−4のように計算され
る。
比較例−2(比較乳剤Em-Dの調製) 本出願人による特願平2-23336号(平成2年2月1
日)に記載の方法に基づいて、以下に示す3種の水溶液
と沃化銀微粒子を含有する乳剤溶液、及び種乳剤を用い
て、比較用のハロゲン化銀乳剤を調製した。
温度60℃の状態で、激しく攪拌された上記組成の水溶
液(b−1)に、0.407モル相当の種乳剤を加え、pH及
びpAgを酢酸とKBr水溶液を用いて調整した。
しかる後に、pH及びpAgを表−5に示すようにコント
ロールしながら、水溶液(b−2),(b−3)及び沃
化銀微粒子を含有する乳剤溶液(b−4)を、各々表−
6,表−7及び表−8に示すようにな流量でトリプルジェ
ット法により添加した。
添加終了後、フェニルカルバミルゼラチン水溶液を添
加し、混合溶液のpHを調整することにより粒子を沈降・
凝集させ、脱塩水洗を行った。しかる後に、40℃にてpH
5.80に調整した。
かくして平均粒径0.99μm、平均沃化銀含有率8.0モ
ル%、粒径分布11.2%の単分散沃臭化銀乳剤を得た。こ
の乳剤をEm-Dとする。
なお、Em-Dの処方上の粒子構造と各相の体積比を表−
9に示す。
X線回折から求めた結果によると比較例−2の条件で
は、35モル%の沃化銀含有相を形成する初期に、銀イオ
ンとのモル添加速度比が100%となるようにある過剰量
を添加することによって35モル%という高沃度相が得ら
れた。
実施例−2(本発明の乳剤Em-E〜Iの調製) 比較例−2に示されるEm-Dと同様の方法でハロゲン化
銀粒子を成長させ、脱塩水洗前に表−10に示すように沃
化銀微粒子を添加して、20分間熟成させ粒子の表層を高
沃度化した。
その後、脱塩・水洗等を比較例−1と同様に施した。
このようにして得られた乳剤をEm-E〜Em-Iとする。
Em-E,F,G,H,Iは脱塩・水洗前に沃化銀微粒子を添加し
た。
比較例−3(比較乳剤Em-Jの調製) 比較例−2に示されるEm-Dの調製方法と略々同等であ
るが、第6相(処方上の厚さは約78Å)の沃化銀含有率
が10モル%となるように沃化銀微粒子を含有する乳剤を
調製し添加した。
かくして得られた乳剤をEm-Jとする。
比較例−4(比較乳剤Em-Kの調製) 比較例−2に示されるEm-Dと同様の方法でハロゲン化
銀粒子を成長させ、特開昭63-106745の実施例と同様に
硝酸銀の添加が完了した時点で、ハロゲン置換反応によ
って粒子表面から50Å程度の部分の沃化銀含有率が10モ
ル%となるように沃化カリウム水溶液を添加した。
その後、Em-Dと同様に調製し、乳剤Em-Kを得た。
比較例−5(比較乳剤Em-Lの調製) 以下に示す4種の水溶液と種乳剤を用いて、比較用の
ハロゲン化銀乳剤を調製した。
温度40℃の状態で激しく攪拌された上記組成の水溶液
(C−1)に、0.407モル相当の前記種乳剤を加え、pH
及びpAgを、酢酸とKBr水溶液を用いて調整した。
しかる後に、pH,pAgをコントロールしながら水溶液
(C−2)と(C−3)とをダブルジェット法によって
添加した。混合中のpH,pAg及び水溶液(C−2)と(C
−3)の添加速度は表−11に示すように制御した。
添加終了後、常法による脱塩・水洗を行い、しかる後
に40℃にてpH5.80に調整した。
かくして平均粒径0.99μmで平均沃化銀含有率が2.0
モル%、均一組成、粒径分布10.1%の単分散沃臭化銀乳
剤を得た。
この乳剤をEm-Lとする。
実施例−3(本発明の乳剤Em-M,Em-Nの調製) 比較例−5に示されるEm-Lと同様の方法でハロゲン化
銀粒子を成長させ、脱塩水洗前に表−12に示すように沃
化銀微粒子乳剤を添加して、20分間熟成させ、粒子の表
層を高沃度化した。
その後脱塩水洗等を比較例−5と同様に施した。
このようにして得られた乳剤をEm-M、Em-Nとする。
以上のようにして得られた乳剤Em-A〜Em-NのX線回折
法によって調べたコア部の沃化銀含有率と、XMA法によ
り測定した各乳剤中の個々のハロゲン化銀含有率の相対
標準偏差、及びXPS法で測定した各乳剤の粒子表面の沃
化銀含有率を表−13に示す。
またEm-D〜Em-Iについてはイオン伝導度の測定も行
い、これによりXPS測定による粒子表面の沃化銀含有率
ではEm-Dとほとんど差が検出されないEm-E、Em-Fにおい
ても粒子表層が高沃度化されていることが確認された。
イオン伝導度測定において得られた誘電損失曲線の高周
波側のピークの周波数も表−13に併せて示す。
実施例−4(感光材料試料の作成) 比較例−1〜5、実施例−1〜3に示された乳剤Em-A
〜Em-Nに、金・硫黄増感及び分光増感を最適に施し、こ
れらの乳剤を用いてトリアセチルセルロースフィルム支
持体上に、下記に示すような組成の各層を順次支持体側
から形成して、多層カラー写真感光材料の試料を作成し
た。
以下の全ての実施例において、ハロゲン化銀写真感光
材料中の添加量は特に記載のない限り1m2当たりのグラ
ム数を示す。また、ハロゲン化銀及びコロイド銀は、銀
に換算して示した。
多層カラー写真感光材料試料−1の構成は以下の通り
である。
試料−1(比較) 第1層;ハレーション防止層(HC-1) 黒色コロイド銀 0.2 UV吸収剤(UV-1) 0.23 高沸点溶媒(Oil-1) 0.18 ゼラチン 1.4 第2層;第1中間層(IL-1) ゼラチン 1.3 第3層;低感度赤感性乳剤層(RL) 沃臭化銀乳剤(Em-1) 1.0 増感色素(SD-1) 1.8×10-5(モル/銀1モル) 増感色素(SD-2) 2.8×10-4(モル/銀1モル) 増感色素(SD-3) 3.0×10-4(モル/銀1モル) シアンカプラー(C−1) 0.70 カラードシアンカプラー(CC-1) 0.066 DIR化合物(D−1) 0.03 DIR化合物(D−3) 0.01 高沸点溶媒(Oil-1) 0.64 ゼラチン 1.2 第4層;中感度赤感性乳剤層(RM) 沃臭化銀乳剤(Em-2) 0.8 増感色素(SD-1) 2.1×10-5(モル/銀1モル) 増感色素(SD-2) 1.9×10-4(モル/銀1モル) 増感色素(SD-3) 1.9×10-4(モル/銀1モル) シアンカプラー(C−1) 0.28 カラードシアンカプラー(CC-1) 0.027 DIR化合物(D−1) 0.01 高沸点溶媒(Oil-1) 0.26 ゼラチン 0.6 第5層;高感度赤感性乳剤層(RH) 沃臭化銀乳剤(Em-A) 1.70 増感色素(SD-1) 1.9×10-5(モル/銀1モル) 増感色素(SD-2) 1.7×10-4(モル/銀1モル) 増感色素(SD-3) 1.7×10-4(モル/銀1モル) シアンカプラー(C−1) 0.05 シアンカプラー(C−2) 0.10 カラードシアンカプラー(CC-1) 0.02 DIR化合物(D−1) 0.025 高沸点溶媒(Oil-1) 0.17 ゼラチン 1.2 第6層;第2中間層(IL-2) ゼラチン 0.8 第7層;低感度緑感性乳剤層(GL) 沃臭化銀乳剤(Em-1) 1.1 増感色素(SD-4) 6.8×10-5(モル/銀1モル) 増感色素(SD-5) 6.2×10-4(モル/銀1モル) マゼンタカプラー(M−1) 0.54 マゼンタカプラー(M−2) 0.19 カラードマゼンタカプラー(CM-1) 0.06 DIR化合物(D−2) 0.017 DIR化合物(D−3) 0.01 高沸点溶媒(Oil-2) 0.81 ゼラチン 1.8 第8層;中感度緑感性乳剤層(GM) 沃臭化銀乳剤(Em-2) 0.7 増感色素(SD-6) 1.9×10-4(モル/銀1モル) 増感色素(SD-7) 1.2×10-4(モル/銀1モル) 増感色素(SD-8) 1.5×10-5(モル/銀1モル) マゼンタカプラー(M−1) 0.07 マゼンタカプラー(M−2) 0.03 カラードマゼンタカプラー(CM-1) 0.04 DIR化合物(D−2) 0.018 高沸点溶媒(Oil-2) 0.30 ゼラチン 0.8 第9層;高感度緑感性乳剤層(GH) 沃臭化銀乳剤(Em-A) 1.7 増感色素(SD-4) 2.1×10-5(モル/銀1モル) 増感色素(SD-6) 1.2×10-4(モル/銀1モル) 増感色素(SD-7) 1.0×10-4(モル/銀1モル) 増感色素(SD-8) 3.4×10-6(モル/銀1モル) マゼンタカプラー(M−1) 0.09 マゼンタカプラー(M−3) 0.04 カラードマゼンタカプラー(CM-1) 0.04 高沸点溶媒(Oil-2) 0.31 ゼラチン 1.2 第10層;イエローフィルター層(YC) 黄色コロイド銀 0.05 色汚染防止剤(SC-1) 0.1 高沸点溶媒(Oil-2) 0.13 ゼラチン 0.7 ホルマリンスカベンジャー(HS-1) 0.09 ホルマリンスカベンジャー(HS-2) 0.07 第11層;低感度青感性乳剤層(BL) 沃臭化銀乳剤(Em-1) 0.5 沃臭化銀乳剤(Em-2) 0.5 増感色素(SD-9) 5.2×10-4(モル/銀1モル) 増感色素(SD-10) 1.9×10-5(モル/銀1モル) イエローカプラー(Y−1) 0.65 イエローカプラー(Y−2) 0.24 DIR化合物(D−1) 0.03 高沸点溶媒(Oil-2) 0.18 ゼラチン 1.3 ホルマリンスカベンジャー(HS-1) 0.08 第12層;高感度青感性乳剤層(BH) 沃臭化銀乳剤(Em-A) 1.0 増感色素(SD-9) 1.8×10-4(モル/銀1モル) 増感色素(SD-10) 7.9×10-5(モル/銀1モル) イエローカプラー(Y−1) 0.15 イエローカプラー(Y−2) 0.05 高沸点溶媒(Oil-2) 0.074 ゼラチン 1.30 ホルマリンスカベンジャー(HS-1) 0.05 ホルマリンスカベンジャー(HS-2) 0.12 第13層;第1保護層(Pro-1) 微粒子沃臭化銀乳剤(平均粒径0.08μmAgI 1モル%) 0.4 紫外線吸収剤(UV-1) 0.07 紫外線吸収剤(UV-2) 0.10 高沸点溶媒(Oil-1) 0.07 高沸点溶媒(Oil-3) 0.07 ホルマリンスカベンジャー(HS-1) 0.13 ホルマリンスカベンジャー(HS-2) 0.37 ゼラチン 1.3 第14層;第2保護層(Pro-2) アルカリ可溶性マット剤(平均粒径2μm) 0.13 ポリメチルメタクリレート(平均粒径3μm) 0.02 滑り剤(WAX-1) 0.04 ゼラチン 0.6 なお上記組成物の他に、塗布助剤Su-1、分散助剤Su-
2、粘度調製剤、硬膜剤H−1,H−2、安定剤ST-1、かぶ
り防止剤AF-1、▲▼:10,000及び▲▼:1,100,00
0の2種のAF-2を添加した。
上記試料に用いた乳剤Em-1,Em-2は、表−14に示すと
おりである。
各乳剤は、金−硫黄増感を最適に施した。
次に上記試料−1における第5層、第9層、第12層の
沃臭化銀乳剤Em-Aのかわりに、表−15,16,17に示すよう
に、乳剤Em-B〜Em-Nを用いて、試料−2〜試料−14を作
成した。
このようにして作成した各試料に対して白色光を用い
てウェッジ露光したのち、下記現像処理を行った。
1.カラー現像…………3分15秒 38.0±0.1℃ 2.漂 白………………6分30秒 38.0±3.0℃ 3.水 洗………………3分15秒 24〜41℃ 4.定 着………………6分30秒 38.0±3.0℃ 5.水 洗………………3分15秒 24〜41℃ 6.安 定………………3分15秒 38.0±3.0℃ 7.乾 燥………………50℃以下 各工程に用いる処理液組成を以下に示す。
<発色現像液> 4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−ヒド
ロキシエチル)アニリン・硫酸塩 4.75g 無水亜硫酸ナトリウム 4.25g ヒドロキシアミン・1/2硫酸塩 2.0 g 無水炭酸カリウム 37.5 g 臭化ナトリウム 1.3 g ニトリロ三酢酸・3ナトリウム塩(1水塩) 2.5 g 水酸化カリウム 1.0 g 水を加えて1とする(pH=10.1) <漂白液> エチレンジアミン四酢酸鉄(III)アンモニウム塩 100.0g エチレンジアミン四酢酸2アンモニウム塩 10.0g 臭化アンモニウム 150.0g 氷酢酸 10.0g 水を加えて1とし、アンモニア水を用いてpH6.0に
調整する。
<定着液> チオ硫酸アンモニウム 175.0g 無水亜硫酸ナトリウム 8.5g メタ亜硫酸ナトリウム 2.3g 水を加えて1とし、酢酸を用いてpH6.0に調整す
る。
<安定液> ホルマリン(37%水溶液) 1.5ml コニダックス(コニカ株式会社製)7.5ml 水を加えて1とする。
得られた各試料についてそれぞれ、赤色光(R),緑
色光(G),青色光(B)を用いて、相対かぶり、相対
感度及び相対RMS値の測定を、試料作成直後に行った。
その結果を表−15〜表−17を示す。
相対かぶりは、R,G,B各測定において最小濃度(Dmi
n)の相対値であり、試料−1のR,G,BでのDmin値をそれ
ぞれ100とする値で示した。
相対感度は、R,G,B各測定においてDmin+0.15の濃度
を与える露光量の逆数の相対値であり、試料−1のR,G,
B感度をそれぞれ100とする値で示した。
相対RMS値の測定位置は、相対感度の測定位置と同じ
くR,G,B各測定においてDmin+0.15となる濃度点であ
る。
相対RMS値は試料の被測定部の濃度を、イーストマン
コダック社製ラッテンフィルター(R,G,B各測定で、各
々W-26,W-99,W-47を使用)装着した開口走査面積1800μ
m2(スリット幅10μm、スリット長180μm)のマイク
ロデンシトメーターで走査し、濃度測定サンプリング数
1000以上の濃度値の変動の標準偏差を求め、試料−1の
R,G,Bの各RMS値を100とする値で示した。相対RMS値が小
さいほど粒状性が良いことを意味する。
また、各試料を、温度50℃、湿度80%RHという高温・
高湿条件下に5日間放置した後、同様に白色光でのウェ
ッジ露光を与え、現像処理を施し、R,G,B相対感度(作
成直後での試料−1の感度を100とする)を測定した結
果も併せて示す。
表−15〜17から明らかなように、本発明のハロゲン化
銀粒子、即ち内部相より沃化銀含有率の高い表層を有す
るハロゲン化銀粒子を含む本発明の感光材料試料−2,
3、試料−5〜9、試料−13,14は、各々対応する比較試
料に対して高感度であり、かつ保存性に優れ、加えてか
ぶり、粒状性は同等またはそれ以上であることがわか
る。
また、本発明の効果は、内部高沃度コア/シェル型乳
剤において顕著であり、更には粒子の内部構造を高度に
コントロールされたコア/シェル型乳剤においてより顕
著である。
〔発明の効果〕
上述の如く、本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、
かぶり、粒状性を劣化させることなく、高感度化と保存
性の向上とをともに十分に達成できるという効果を有す
る。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−106745(JP,A) 特開 昭60−107641(JP,A) 特開 平2−213836(JP,A) 特開 平1−284848(JP,A) 特開 平2−123345(JP,A) 特開 平2−193137(JP,A) 特開 平2−272443(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G03C 1/035

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持体上にハロゲン化銀乳剤層を有するハ
    ロゲン化銀写真感光材料において、該ハロゲン化銀乳剤
    層に含有されるハロゲン化銀粒子が、厚さが1〜5原子
    層の表層を有し、該表層の沃化銀含有率が、該表層に隣
    接する内部の相の沃化銀含有率よりも高いことを特徴と
    するハロゲン化銀写真感光材料。
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