JP2605786B2 - 電磁継電器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は電磁継電器、特に、ベースと電磁石部との組
み立て構造に関する。

（従来技術） 従来、この種の電磁継電器としては、例えば、実開昭
60−168239号がある。

また、他の電磁継電器としては、例えば、第11図およ
び第12図に示すように、箱形ベース１の凹所1aの中央部
に電磁石部３を収納，固定し、かつ、その両側部に接点
ブロック2,2を収納，固定することにより、電磁石部３
の上方に接点機構部6,6を設けたものがある。

なお、４は電磁石部３の励磁，消磁に基づいて回動す
ることにより、可動接触片2a,2aを駆動して接点を開閉
する可動鉄片、５は前記可動鉄片４を回動自在にヒンジ
支持するヒンジばねである。

（発明が解決しようとする課題） しかしながら、前者の電磁継電器では、ベース（絶縁
枠6,7）が２分割されていて、電磁石部を挟むようにし
て組立てられる構造のため、部品点数が多くなるととも
に、組立に手間がかかるという問題点があった。

また、後者の電磁継電器では、ベース１の凹所1a内に
電磁石部３および接点ブロック2,2を収納，固定する場
合に、ベース１内に余分なスペースがないため、電磁石
部３の位置決め突起3a,3aを接点ブロック2,2の対向する
内側面に設けた嵌合凹部（図示せず）に嵌合することに
より、電磁石部３を接点ブロック2,2で挟持し、これを
ベース１の上方で位置決めした後、凹所1a内に一度に圧
入しなければならなかった。

このため、接点ブロック２の端子のうち、１本の端子
でも位置がずれていると、ベース１内に電磁石部３およ
び接点ブロック2,2を収納できず、組み立てに手間がか
かった。

特に、機械で自動的に組み立てる場合には、端子の位
置がずれていても、組み立て機械は無理に圧入するた
め、端子が凹所1a内で折れ曲がり、不良品が生じやすい
という問題点があった。

本発明は、前記問題点を解決するため、部品点数が少
なく、組み立てが容易な電磁継電器を提供することを目
的とする。

（課題を解決するための手段） 本発明は、前記目的を達成するため、箱形ベースに収
納，固定した電磁石部の上方に接点機構部を配置し、ベ
ースの側壁に前記接点機構部の各端子を設けてなる電磁
継電器において、前記箱形ベースを、側方に開口部を有
する断面略Ｕ字形状とするとともに、その対向する内側
面にガイド溝を軸心方向にそれぞれ形成し、前記ベース
の開口部から前記電磁石部を挿入し、前記電磁石部を構
成するヨークの両側縁部を前記ガイド溝に圧入して収
納，固定した構成としてある。

（作用） したがって、本発明によれば、断面略Ｕ字形状を有す
る箱形ベースの側方に設けた開口部から電磁石部を挿入
し、この電磁石部のヨークを箱形ベースのガイド溝に圧
入することにより、電磁石部が箱体ベース内に収納，固
定されることになる。

（実施例） 以下、本発明にかかる一実施例を第１図ないし第10図
の添付図面に従って説明する。

本実施例にかかる電磁継電器は、大略、箱形ベース1
0、接点機構部20,20、電磁石部30、可動鉄片40、ヒンジ
ばね50およびケース60から構成されている。

箱形ベース10は、断面略Ｕ字形状を有するもので、対
向する側壁11,12に上下方向に貫通する端子孔13a,13b,1
3cをそれぞれ有し、上方開口部14の両側縁部14a,14b
と、対向する内側面に突設したリブ部15a,15bとで、側
方開口部16に連通するガイド溝16a,16b形成するととも
に、突き当たり面17に貫通孔17aを設けてある（第６
図）。この貫通孔17aは後述する鉄芯35の端部35bよりも
大きな直径を有している。

なお、リブ部15a,15bの側方開口部16に面する端部の
一部を切り欠き、縁部14a,14bよりも短くして段差を設
けることにより、縁部14a,14bの端部下面16cが露出して
いる（第８図）。これは、後述する電磁石部30の位置決
めを容易にするためである。

さらに、箱形ベース10は対向する側壁11,12の外側面
のうち、側方開口部16の近傍に位置する部分に、後述す
るヒンジばね50を係合する突起18a,18bをそれぞれ突設
してある。

接点機構点20,20は前記箱形ベース10の端子孔13a,13
b,13cに、常閉固定接点端子21、可動接点端子22および
常閉固定接点端子23をそれぞれ圧入することにより、前
記ベース10の上面両側縁部に並設されている。

特に、可動接点端子22はその上方部に可動接触片24の
一端部を溶着したものであり、前記可動接触片24は、そ
の自由端部の表裏面に、常閉固定接点端子21の常閉固定
接点21aおよび常開固定接点端子23の常開固定接点23aに
交互に接離する可動接点22a,22bをそれぞれ設ける（第
３図）。

なお、接点機構部20を構成する端子のうち、常閉固定
接点端子21を予めインサート成形で箱形ベース10に設け
ておいてもよく、また、常閉固定接点端子21、可動接点
端子22および常開固定接点端子23を樹脂で一体に成形し
て接点ブロックを構成し、これをベース10に圧入，固定
してもよい。

電磁石部30は、第８図に示すように、両端部に鍔部3
1,32を有するスプール33にコイル34を巻回するととも
に、スプール33の中心孔33aに断面略Ｔ字形状の鉄芯35
を挿入し、突出する一端部を磁極部35aとする一方、突
出する他端部35bを、断面略Ｌ字形状に屈曲してなるヨ
ーク36の垂直部にカシメ固定したものである。

前記スプール33は鍔部31の両側縁部に、コイル端子37
a,37bをインサート成形した台座部38a,38bを延在してい
る。

また、ヨーク36の水平部の両側縁部には突き出し加工
で突部36a,36aを設けてある。

したがって、ベース10の側方開口部16に面する縁部14
a,14bの端部下面16cに、ヨーク36の外側面角部を斜め下
方から当接させて位置決めした後、ガイド溝16a,16bに
ヨーク36の両側縁部を挿入し、ヨーク36の突部36a,36a
をガイド溝16a,16bに圧接させて圧入すると、ヨーク36
にカシメた鉄芯35の他端部35bが貫通孔17aに嵌合し、ベ
ース10の突き当たり面17にヨーク36の垂直部が密接す
る。このため、デッドスペースが生じないという利点が
ある。

また、本実施例によれば、電磁石部30を位置決めする
際に、リブ部15a,15bの端部の一部を切り欠いて縁部14
a,14bと段差を設けてあるので、ヨーク36の外側面角部
を縁部14a,14bの端部下面16cに当接させて正確に位置決
めでき、組み立てが容易になるとともに、コイル34がベ
ース10の側方開口部16の縁部にひっかかることがなく、
断線しにくいという利点がある。

さらに、ヨーク36の突部36a,36aを介してベース10の
ガイド溝16a,16bに電磁石部30を圧入して固定するの
で、電磁石部30をベース10にガタツキがなく、強固に装
着できるという利点がある。

なお、ベース10から電磁石部30を取り外す場合には、
貫通孔17aから鉄芯35を押し出すだけで取り外すことが
できるので、スプール33の台座部38a,38b等を引っ張る
必要がなく、スループ33等が破損しにくいという利点が
ある。

可動鉄片40は打ち抜いた金属板を断面略Ｌ字形状に屈
曲してなるもので、その水平先端部に設けた軸部41にカ
ード42をストップリング43で抜け止めし、回動自在に支
持している（第９図）。そして、前記カード24は、その
上面に、可動接触片24,24の下面中央部に当接可能な突
起44a,44bを突設している。

したがって、可動鉄片40のカード42を可動接触片24,2
4とベース10の縁部14a,14bとの間に挿入すると、可動鉄
片40が縁部14a,14b間に位置決めされ、その内側面角部
がヨーク36の先端角部に当接してヒンジ支持されるとと
もに、可動鉄片40の垂直部が鉄芯35の磁極部35aに接離
可能となる。

ヒンジばね50は前記可動鉄片40の垂直部と略同一の平
面形状を有し、両側部上方に対向する一対の腕部51,52
を切り起こしてあるとともに、両側部下方に対向する一
対の舌片53,54を切り起こしてある（第10図）。さら
に、ヒンジばね50は、その中央部を打ち抜いて屈曲して
なる一対の爪部55,55を有している。

したがって、前記腕部51,52に設けた係合孔51a,52aを
ベース10の突起18a,18bにそれぞれ係合することによ
り、爪部55,55が可動鉄片40の外側面角部に圧接し、可
動鉄片40を回動自在にヒンジ支持するとともに、舌片5
3,54が可動鉄片40の両側端面を位置規制し、幅方向のガ
タツキを防止してベース10との摩擦による摩耗粉の発生
を防止する。

さらに、ヒンジばね50の舌片53,54が鍔部31の外側面
に当接し、ヒンジばね50と可動鉄片40の垂直部背面との
間に隙間が生じる。このため、可動鉄片40の外側面角部
を押圧する爪部55,55の反力に基づき、ヒンジばね50に
曲げモーメントが生じても、この曲げモーケントは舌片
53,54にかかって可動鉄片40の動作に影響を与えないの
で、可動鉄片40の動作不良が生じないという利点があ
る。

ケース60はベース10に嵌合可能な略箱体形状を有する
もので、ベース10に嵌合した後、シール剤61を注入，固
化してシールしてある。

次に、本実施例にかかる電磁継電器の動作について説
明する。

無励磁の場合には、可動接触片24,24のばね力によ
り、カード42が押し下げられ、可動鉄片40の垂直部が鉄
芯35の磁極部35aから開離している一方、可動接点22bが
常閉固定接点21aを閉成している。

そして、コイル34を励磁すると、鉄芯35の磁極部35a
に可動鉄芯40の垂直部が吸引され、可動接触片24,24の
ばね力に抗して可動鉄片40がヨーク36の先端角部を支点
として回動し、ガード42の突起44a,44bが可動接触片24,
24を押し上げ、可動接点22bが常閉固定接点21aから開離
した後、可動接点22aが常開固定接点23aを閉成する。

ついで、コイル34の励磁を解くと、可動接触片24,24
のばね力により、可動鉄片40が回動して元の状態に復帰
する。

本実施例によれば、カード42の突起44a,44bが可動接
触片24,24の下面をほぼ点接触状態で押し上げるので、
可動接触片24,24がねじれた状態で取り付けられていた
り、カード42が傾いた状態で当接しても、可動接触片2
4,24の側端部がカード42に片当たりせず、摩耗粉が発生
しない。

また、カード42は可動鉄片40に回動自在に支持されて
いるので、可動接触片24,24の位置決め精度にバラツキ
があっても、カード42が可動接触片24,24に同時に当接
し、接点の開閉動作にバラツキが生じないという利点が
ある。なお、前述の実施例では、電磁石部の上方に２組
の接点機構部を設ける場合について説明したが、必ずし
もこれに限らず、１組の接点機構部を設ける場合でもよ
いことは勿論である。

（発明の効果） 以上の説明から明らかなように、本発明によれば、断
面略Ｕ字形状を有する箱形ベースの側方開口部から電磁
石部だけを位置決めして圧入，固定するので、従来例よ
りも電磁石部の位置決め，圧入に手間がかからない。ま
た、部品点数も少なくすることができる。

また、接点機構部は電磁石部と別々にベースに組み立
てることができるので、従来例よりも位置決め調整が容
易になり、不良品が生じにくくなる。

さらに、寸法精度が高く、かつ、剛性が大きいヨーク
を、樹脂成形品である箱形ベースに圧入，固定すること
により、ヨークを中心として箱形ベース，接点機構部が
位置決めされることになる。この結果、ヨークと接点機
構部との位置決め精度が高くなり、動作特性が均一な電
磁継電器が得られる。

そして、箱形ベースの寸法精度にバラツキがあった場
合に、電磁石部のヨークを箱形ベースのガイド溝に圧入
しても、前記箱形ベースが断面略Ｕ字形状であるので、
箱形ベースの側壁が外方に弾性変形しやすい。このた
め、箱形ベースの開口縁部が破断しにくく、圧入作業が
容易になるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第10図は本発明にかかる電磁継電器の一実
施例を示し、第１図は分解斜視図、第２図は平面断面
図、第３図は側面断面図、第４図は正面断面図、第５図
はベースの平面図、第６図は第５図のVI−VI線断面図、
第７図は第５図のVII−VII線断面図、第８図はベースお
よび電磁石部の組立説明図、第９図は可動鉄片の分解斜
視図、第10図はヒンジばねの斜視図、第11図および第12
図は従来例にかかる電磁継電器の分解斜視図および斜視
図である。 10……箱形ベース、16……側方開口部、16a,16b……ガ
イド溝、20……接点機構部、30……電磁石部、36……ヨ
ーク。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】箱形ベースに収納，固定した電磁石部の上
   方に接点機構部を配置し、ベースの側壁に前記接点機構
   部の各端子を設けてなる電磁継電器において、 前記箱形ベースを、側方に開口部を有する断面略Ｕ字形
   状とするとともに、その対向する内側面にガイド溝を軸
   心方向にそれぞれ形成し、前記ベースの開口部から前記
   電磁石部を挿入し、前記電磁石部を構成するヨークの両
   側縁部を前記ガイド溝に圧入して収納，固定したことを
   特徴とする電磁継電器。