JP3552406B2 - 電磁継電器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電磁継電器、特に、カードの組み付け構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電磁継電器としては、例えば、図12ないし図14に示すように、ベース1の上面中央部に突設した係合受け部2の一方側に、可動鉄片3を回動可能に支持した電磁石ブロック4を立設し、その反対側に可動接触片5および固定接触片6を立設したものがある。
そして、図12に示すように、前記係合受け部2に設けた貫通孔2aの両側開口部に、カード7に設けた一対の内向する爪部7a,7b(図14)を上方からそれぞれ係合することにより、回動可能に支持していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の電磁継電器では、前記係合受け部2にカード7を上方から組み付けようとすると、電磁石ブロック4側に傾斜する可動接触片5を治具(図示せず)で固定接触片6側に押圧し、両者間の距離を広げた後、カード7を可動接触片5の上端部から基部に挿入して組み付けねばならない。このため、カード7の組み付けに手間がかかるだけでなく、可動接触片5が塑性変形しやすく、組立精度,動作特性にバラツキが生じるという問題点があった。
【0004】
本発明は、前記問題点に鑑み、組立が容易で動作特性にバラツキが生じない電磁継電器を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる電磁継電器は、前記目的を達成するため、ベースの上面に立設した電磁石ブロックの励磁,消磁に基づいて回動する可動鉄片でカードを回動し、このカードで可動接触片を回動して接点を開閉する電磁継電器において、前記ベースの上面のうち、前記可動鉄片と前記可動接触片との間に一対の係合受け部を突設し、前記係合受け部に係合孔を同一軸心上にそれぞれ設けるとともに、少なくとも一方の係合受け部の斜め上方に前記係合孔に連通する切り欠き部を設ける一方、前記カードの下端部に連結部を介して回動軸 を延在し、前記カードの回動軸を前記係合孔の軸心に沿ってスライド移動し、前記係合受け部の切り欠き部に前記カードの連結部を挿通することにより、一対の前記係合受け部の係合孔に前記回動軸の両端部をそれぞれ係合して前記カードを回動可能に支持した構成としたものである。
【0006】
また、前記カードの回動軸の少なくとも片側先端部を、前記ベースに嵌合したケースの内側面に当接させて抜け止めしてもよい。
さらに、前記カードに、前記係合受け部の内向面に当接する突起を設けてもよい。
【0007】
また、前記ベースの上面に突設した1個の係合受け部の貫通孔に、カードの下端部から略L字形状に延在し、かつ、先端に弾性爪部を形成した係合部を挿入して抜け止めしてもよい。
さらに、前記電磁石ブロックを形成するスプールの上方鍔部に、前記カードを回動可能に吊り下げてもよい。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、本発明にかかる実施形態を図1ないし図11の添付図面に従って説明する。
第1実施形態にかかる電磁継電器は、図1ないし図7に示すように、ベース10に立設した電磁石ブロック20の励磁,消磁に基づいて回動する可動鉄片30で絶縁機能を有するカード40を回動し、このカード40で前記ベース10に設けた接点機構50を駆動するものである。
【0009】
ベース10は、その上面中央部に絶縁壁11を突設したものである。そして、この絶縁壁11の上端面の両側縁部から支持体12,12が上方に延在し、この支持体12には係合孔13が設けられている。また、前記絶縁壁11の基部には後述するカード40を回動可能に支持する一対の係合受け部14,15が形成されている。前記係合受け部14,15は、同一軸心上に係合孔14a,15aをそれぞれ設けてある。さらに、前記係合受け部14には後述するカード40の連結部47を側方から挿通するため、前記係合孔14aに連通する切り欠き部14bを設けてある。
【0010】
さらに、前記ベース10には、その側面に設けた圧入溝16,17に可動接触片51および固定接触片52の端子部51a,52aを側方からそれぞれ圧入することにより、接点機構50が形成され、可動接点53が固定接点54に接離可能に対向している。なお、55は、固定接触片52の引き出し端子である。
【0011】
電磁石ブロック20は、両端に鍔部21,22を有するスプール23にコイル24を巻回し、その引き出し線を鍔部21に圧入したコイル端子25のからげ部25aにからげてハンダ付けしたものである。そして、前記スプール23の中心孔に断面略T字形状の鉄芯26を挿通し(図2)、突出する上端部を磁極部26aとする一方、突出する下端部26bを、略L字形状のヨーク27の水平部にカシメ固定してある。
【0012】
さらに、前記ヨーク27の上端面の片側縁部に、前記スプール23の鍔部21に組み付けたヒンジばね31を介し、可動鉄片30が回動可能に支持されている。
【0013】
そして、前記電磁石ブロック20を前記ベース10の上方から前記絶縁壁11の支持体12に沿って押し下げ、前記ヨーク27の両側面の上端部に設けた突起27aを支持体12の係合孔13に係合することにより、ベース10に電磁石ブロック20が抜け止めされる。なお、説明の便宜上、図2においてコイル24およびヒンジばね31は図示されていない。
【0014】
カード40は、図3および図4に示すように、その片面に第1,第2押圧突部41,42を側方に突設する一方、その反対面に第3押圧突部43を形成してあるとともに、その下端部に連結部47を介して回動軸44を延在してある。前記連結部47は、前記係合受け部14の切り欠き部14bに挿通可能な厚さ寸法であり、前記回動軸44の両端部は係合受け部14,15の係合孔14a,15aにそれぞれ係合可能である。
また、同一の高さに位置する前記カード40の第1押圧突部41および第3押圧突部43の先端面は、図4に示すように、円弧45の一部を形成している。
さらに、前記回動軸44近傍に位置する連結部47の側面には、回動の際に生じる摩擦力を小さくするため、突起46が設けられている。
【0015】
そして、図6に示す前記カード40を若干傾けたままの状態で、前記回動軸44を係合孔14a,15aの軸心に沿ってスライド移動させ、連結部47を係合受け部14の切り欠き部14bに挿通し、前記回動軸44の両端を係合受け部14,15の係合孔14a,15aにそれぞれ挿入して係合することにより、カード40がベース10に回動自在に支持される(図5)。
ただし、前記カード40の突起46が係合受け部15の内向面に当接するので、摩擦力は小さい。
なお、説明の便宜上、図5および図6において、電磁石部20,可動鉄片30および接点機構50は省略されている。
【0016】
さらに、前記ベース10に図示しない箱形ケース20を上方から嵌合することにより、回動軸44の両端部がケース20の内側面に当接して抜け止めされ、組立作業が完了する。
本実施形態によれば、カード40の回動軸44の全長がベース10の巾寸法とほぼ同一である。このため、カード40は巾方向にガタツキを生ずることなく、回動できるという利点がある。
【0017】
次に、前述の構成からなる電磁継電器の動作について説明する。
すなわち、電磁石ブロック20が無励磁である場合、可動接触片51のばね力でカード40が可動鉄片30の垂直下端部を押圧し、その可動鉄片30の水平先端部が鉄芯26の磁極部26aから開離しているとともに、可動接点53が固定接点54から開離している。
【0018】
そして、前記電磁石ブロック20のコイル24に電圧を印加して励磁すると、鉄芯26の磁極部26aが可動鉄片30の水平先端部を吸引する。このため、可動接触片51のばね力に抗し、可動鉄片30がヨーク27の上端面の片側縁部を支点に回動し、可動鉄片30の垂直下端部がカード40の第3押圧突部43を押圧する。この結果、カード40が回動軸44を中心に回動し、第1押圧突部41が可動接触片51の背面の中間部を押圧する。このため、可動接触片51が回動し、可動接点53が固定接点54に接触した後、第2押圧突部42が可動接触片51の背面を押圧してチャタリング現象を防止し、ついで、可動鉄片30の水平先端部が鉄芯26の磁極部26aに吸着する。
【0019】
前記電磁石ブロック20の励磁を解くと、可動接触片51のばね力により、可動接点53が固定接点54から開離するとともに、カード40が前述と逆方向に回動し、可動鉄片30も逆方向に回動して元の状態に復帰する。
【0020】
本実施形態によれば、可動接触片51の背面のうち、可動接点53の近傍に第2押圧突部42が当接するので、動作時,復帰時のチャタリング現象を防止できるという利点がある。
【0021】
第2実施形態にかかる電磁継電器は、図8ないし図10に示すように、前述第1実施形態は一対の係合受け部14,15にカード40を係合する場合であるのに対し、ベース10の中央部に設けた1個の係合受け部18にカード40を回動可能に支持する場合である。
【0022】
前記カード40は、図10に示すように、カード本体40aの下端部に略L字形状の係合部47が形成されている。この係合部47は、その先端部が弾性爪部47aとなっている。
【0023】
したがって、図9に示すように、ベース10に立設した電磁石ブロック20に回動可能に支持された可動鉄片30と、接点機構50の可動接触片51との間に、カード40を側方から挿入し、係合受け部18の貫通孔18aに係合部47の弾性爪部47aを弾性変形させながら圧入することにより、抜け止めされる。他は前述の第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0024】
本実施形態によれば、ベース10に1個の係合受け部18を突設するだけでよく、成形,組立作業が容易になるという利点がある。
【0025】
第3実施形態にかかる電磁継電器は、図11に示すように、前述の実施形態がベース10に設けた係合受け部14,15あるいは18にカード40を回動可能に支持する場合であるのに対し、ベース10に立設した電磁石ブロック2を形成するスプール23の鍔部21に、カード40を回動可能に吊り下げたものである。
なお、同一部品には同一番号を付して説明を省略する。ただし、コイル,ヒンジばねは、説明の便宜上、省略されている。
【0026】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の請求項1にかかる電磁継電器によれば、可動鉄片と可動接触片との間にカードをスライド移動させて挿入するので、挿入すべき距離が従来例よりも短くなり、組立作業が容易になる。特に、可動鉄片と可動接触片との対向距離が短くとも、両者の間にカードを容易に挿入でき、装置の大型化を防止できる。
また、カードをスライド移動させて可動接触片を押し広げながら挿入するので、従来例のように治具で可動接触片を必要以上に押し広げる必要がない。このため、生産工数が減少するだけでなく、可動接触片が塑性変形することがなく、組立精度,動作特性にバラツキが生じない。
さらに、可動接触片,固定接触片の組立方向をカードの組立方向と同一にすれば、部品の組立方向が揃い、作業効率が向上する。
そして、ベースに突設した一対の係合受け部にカードの両端部を回動可能に支持するので、カードにガタツキが生じず、動作特性のバラツキを防止できる。
請求項2によれば、カードの回動軸の先端部が、ベースに組み付けたケースの内側面に当接するので、特別な構造,操作を必要とせずにカードの抜け落ちを防止でき、便利である。
請求項3によれば、係合受け部の内向面にカードの突起が当接するので、カードが係合部に点接触することになる。このため、摩擦が小さく、円滑な動作特性を有する電磁継電器が得られるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる電磁継電器を示す斜視図である。
【図2】図1で示した電磁継電器の背面図である。
【図3】図1のカードを図示し、図(a)は一方側から視た斜視図であり、図(b)は他方側から視た斜視図である。
【図4】図1のカードを図示し、図(a)は平面図、図(b)は正面図、図(c)は右側面図である。
【図5】図1で示した電磁継電器の要部斜視図である。
【図6】図5の分解斜視図である。
【図7】図1で示したベースの斜視図である。
【図8】本発明の第2実施形態にかかる電磁継電器を示す側面図である。
【図9】図8で示した電磁継電磁の分解斜視図である。
【図10】図8で示したカードの斜視図である。
【図11】本発明の第3実施形態にかかる電磁継電器を示す側面図である。
【図12】従来例にかかる電磁継電器の分解斜視図である。
【図13】図12で示した電磁継電器の側面図である。
【図14】図12のカードを示す斜視図である。
【符号の説明】
10…ベース、11…絶縁壁、12…支持体、13…係合孔、14,15…係合受け部、14a,15a…係合孔、14b…切り欠き部、16,17…圧入溝、20…電磁石ブロック、21,22…鍔部、23…スプール、26…鉄芯、27…ヨーク、30…可動鉄片、40…カード、44…回動軸、47…連結部、50…接点機構、51…可動接触片、52…固定接触片。
Claims (3)
- ベースの上面に立設した電磁石ブロックの励磁,消磁に基づいて回動する可動鉄片でカードを回動し、このカードで可動接触片を回動して接点を開閉する電磁継電器において、
前記ベースの上面のうち、前記可動鉄片と前記可動接触片との間に一対の係合受け部を突設し、前記係合受け部に係合孔を同一軸心上にそれぞれ設けるとともに、少なくとも一方の係合受け部の斜め上方に前記係合孔に連通する切り欠き部を設ける一方、前記カードの下端部に連結部を介して回動軸を延在し、前記カードの回動軸を前記係合孔の軸心に沿ってスライド移動し、前記係合受け部の切り欠き部に前記カードの連結部を挿通することにより、一対の前記係合受け部の係合孔に前記回動軸の両端部をそれぞれ係合して前記カードを回動可能に支持したことを特徴とする電磁継電器。 - 前記カードの回動軸の少なくとも片側先端部を、前記ベースに嵌合したケースの内側面に当接させて抜け止めしたことを特徴とする請求項1に記載の電磁継電器。
- 前記カードに、前記係合受け部の内向面に当接する突起を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の電磁継電器。
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