JP2587287B2 - ハロゲン化銀写真感光材料及びその製造方法 - Google Patents

ハロゲン化銀写真感光材料及びその製造方法

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JP2587287B2 JP1033541A JP3354189A JP2587287B2 JP 2587287 B2 JP2587287 B2 JP 2587287B2 JP 1033541 A JP1033541 A JP 1033541A JP 3354189 A JP3354189 A JP 3354189A JP 2587287 B2 JP2587287 B2 JP 2587287B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は写真の分野において有用であるハロゲン化銀
写真材料及びその製造方法に関する。さらに詳しくは各
々のハロゲン化銀混晶の内部の微視的なハライド分布が
完全に均一であり、及び/又はハロゲン化銀結晶の内部
が粒子形成時に生ずる還元銀をもたないハロゲン化銀粒
子を含有するハロゲン化銀乳剤を用いた写真感光材料及
びその製造方法に関する。
〔従来技術〕
近年、ハロゲン化銀写真感光材料に対する性能向上の
要請はますます厳しくなってきており、特に粒状性、鮮
鋭度の劣化を最小限におさえた高感度化及び現像速度の
上昇が望まれている。これらの要請を満たすべくハロゲ
ン化銀粒子の内部と表面層のハライド組成を変えた謂る
コアシェル型乳剤の開発が行なわれてきた。ヨウ臭化銀
乳剤においては粒子内部(コア)をヨウ化銀含有の高い
ヨウ臭化銀とし、表面(シェル)をそれよりヨウ化銀含
量の少ないヨウ臭化銀あるいは純臭化銀とすることが開
示されている。これらについては、特開昭57-15432号、
特開昭60-14331号、特開昭60-138538号、特開昭60-1477
27号、特開昭61-245151号、特開昭61-14363号にその技
術が開示されている。また粒子表面を塩化銀、塩臭化銀
にするコアシェル乳剤については、特開昭58-9137号、
特開昭58-9573号、特開昭59-48755号、特開昭61-215540
号、特開昭62-69261号にその技術が開示されている。ま
た粒子表面をその内部より高いヨウ化銀含量にしたコア
シェル乳剤については特開昭56-78831号、特開昭62-198
43号にその技術が開示されている。
これらのコアシェル乳剤において、光吸収の増加及び
コアとシェルの層状構造の形成による潜像形成効率の上
昇、現像速度の向上などが達成されるものであるが、一
方これらの粒子には下記のような粒子内のハライドの微
視的な不均一分布が存在しており、露光によって発生し
た電子の動きを妨げ、潜像形成効率の低下をもたらして
いることが判明し、これを改善することが必要であっ
た。
一般的にハロゲン化銀粒子は、反応容器の中のコロイ
ド水溶液において、銀塩水溶液とハロゲン塩水溶液とを
反応させることにより製造される。反応容器中にゼラチ
ンのような保護コロイド及びハロゲン塩水溶液を入れ、
攪拌しながら、これに銀塩水溶液をある時間添加するシ
ングルジェット法や、反応容器中にゼラチン水溶液を入
れ、ハロゲン銀水溶液と銀塩水溶液とをそれぞれある時
間添加するダブルジェット法が知られている。両者を比
較すると、ダブルジェット法の方が粒子径分布の狭いハ
ロゲン化銀粒子が得られ、さらに粒子の成長に伴って、
そのハライド組成を自由に変えることができる。
また、ハロゲン化銀粒子の成長速度は、反応容器中の
銀イオン(ハロゲンイオン)濃度、ハロゲン化銀溶剤の
濃度、粒子間距離、粒子サイズなどにより大きく変化す
ることが知られている。特に反応容器に添加される銀塩
水溶液とハロゲン塩水溶液によってつくり出される銀イ
オンあるいはハロゲンイオン濃度の不均一は、各々の濃
度により成長速度が異なり、結果として出き上るハロゲ
ン化銀乳剤に不均一に生ぜしめる。この為には、反応容
器中の銀イオンあるいはハロゲンイオン濃度を均一にす
べく、コロイド水溶液中に供給する銀塩水溶液とハロゲ
ン塩水溶液とを迅速に均一混合して反応させることが必
要である。従来のハロゲン塩水溶液と銀塩水溶液とを反
応容器中のコロイド水溶液の表面に添加する方法では、
各々の反応液の添加位置近傍において、ハロゲンイオン
及び銀イオンの濃度の高い部分が生じ、均一なハロゲン
化銀粒子を製造することは困難であった。この局部的な
濃度のかたよりを改良する方法として、米国特許第3415
650号、英国特許第1323464号、米国特許第3692283号に
開示された技術等が知られている。これらの方法は、コ
ロイド水溶液により満たされた反応容器に中太状円筒の
壁にスリットを有する中空の回転する混合器(内部はコ
ロイド水溶液で満たされており、より好ましくは混合器
がディスクによって上下2室に分割されている)を、そ
の回転軸が鉛直となるように設け、その上下の開放端か
らハロゲン塩水溶液と銀塩水溶液とを供給管を通じて高
速回転している混合器内に供給し急速に混合して反応せ
しめ(上下の分離ディスクがある場合は、上下2室に供
給されたハロゲン塩水溶液と銀塩水溶液は各々各室に満
たされたコロイド水溶液によって稀釈され、混合器の出
口スリット付近で急速に混合して反応せしめ)、混合器
の回転により生ずる遠心力で生成したハロゲン化銀粒子
を反応容器中のコロイド水溶液に排出せしめ成長させる
方法である。
一方、特公昭55-10545号に、局部的な濃度のかたより
を改良して不均一な成長を防ごうとする技術が開示され
ている。この方法は、コロイド水溶液が満たされている
反応器中に、その内部にコロイド水溶液が満たされた混
合器のその開放された下端部から、ハロゲン塩水溶液と
銀塩水溶液とを供給管を通じて、別々に供給し、該反応
液を、混合器に設けられた下部攪拌翼(タービン羽根)
によって両反応液を急激に攪拌混合せしめハロゲン化銀
を成長させ、ただちに前記攪拌翼の上方に設けられた上
部攪拌翼により成長したハロゲン化銀粒子を、上方の混
合器の開口部から反応容器中のコロイド水溶液に排出せ
しめる技術である。
特開昭57-92523号には、同様にこの濃度の不均一を改
良しようとする製造法が開示されている。この方法で
は、コロイド水溶液が満たされている反応容器内にその
内部にコロイド水溶液が満たされた混合器に、その開放
された下端部からハロゲン塩水溶液と銀塩水溶液とを別
々に供給し、該両反応液を前記コロイド水溶液により稀
釈し該反応液を、混合器に設けられた下部攪拌翼によっ
て両反応液を急激に攪拌混合せしめ、ただちに該混合器
上方の開放部から成長したハロゲン化銀粒子を反応容器
中のコロイド水溶液に排出せしめる製造法ないし装置に
おいて前記コロイド水溶液で稀釈された両反応液を前記
攪拌翼の各翼間の間隙を通すことなく前記混合器の内側
壁と前記攪拌翼の翼片先端側外方に形成された間隙部に
通し、該間隙部において該両反応液を急激に剪断混合し
て反応、ハロゲン化銀粒子を生成せしめる製造法及び装
置が開示されている。
しかしながら、これまで述べてきた製造法及び装置で
は、確かに反応容器中の銀イオン及びハロゲンの局部的
な濃度の不均一は完全に解消することはできるが、混合
器内においては依然としてこの濃度の不均一は存在し、
特に銀塩水溶液及びハロゲン塩水溶液を供給するノズル
の近傍及び攪拌翼の下部及び攪拌部分においてかなり大
きな濃度分布が存在する。さらに保護コロイドと共に混
合器に供給されたハロゲン化銀粒子は、このような不均
一な濃度分布をもった場所を通過し、特に大切なこと
は、ハロゲン化銀粒子は、これらの部分において急速に
成長する。つまりこれらの製造法及び装置においては、
濃度分布は混合器内に存在し、粒子成長はその混合器内
で急速に起る為、濃度分布のない状態でハロゲン化銀を
均一に成長せしめるという目的は達し得ていない。
さらにより完全な混合によるこれらの銀イオン、ハロ
ゲンイオンの濃度の不均一分布を解消すべく、反応容器
と混合器をそれぞれ独立せしめ、混合器に銀塩水溶液と
ハロゲン塩水溶液を供給し急速混合してハロゲン化銀粒
子を成長せしめる試みがなされてきた。例えば特開昭53
-37414号及び特公昭48-21045号には、反応容器の底から
ポンプにより反応容器内の保護コロイド水溶液(ハロゲ
ン化銀粒子を含む)を循環し、この循環系の途中に混合
器を設け、この混合器に銀塩水溶液及びハロゲン水溶液
を供給し、該混合器で急速に該両水溶液を混合しハロゲ
ン化銀粒子を成長せしめる製造法及び装置が開示されて
いる。また米国特許第3897935号には、反応容器の底か
らポンプにより反応容器内の保護コロイド水溶液(ハロ
ゲン化銀粒子を含む)を循環し、この循環系の途中にハ
ロゲン塩水溶液及び銀塩水溶液をポンプにより注入する
方法が開示されている。特開昭53-47397号には、反応容
器からポンプにより反応容器内の保護コロイド水溶液
(ハロゲン化銀乳剤を含む)を循環させ、その循環系に
まずハロゲン化アルカリ金属塩水溶液を注入しそれが均
一になるまで拡散させしかる後に、この系に銀塩水溶液
を注入し混合して、ハロゲン化銀粒子を形成することを
特徴とする製造法及び装置が開示されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
これ等の方法では確かに、循環系に流す反応容器内の
水溶液の流量と混合器の攪拌効率を独立に変化させるこ
とができ、より濃度分布が均一な条件で粒子成長を行う
ことができるであろうが、結局、保護コロイド水溶液と
共に反応容器から送られてきたハロゲン化銀結晶は銀塩
水溶液、ハロゲン塩水溶液と注入口で急速成長を起す。
従って前に述べたと同様に混合部あるいは注入口付近の
濃度分布を無くすることは原理的に不可能であり、つま
り濃度分布のない状態でハロゲン化銀を均一に成長せし
める目的は達し得ない。
本発明の目的は、粒子表面(シェル)と粒子内部(コ
ア)が異なったハライド組成を有する謂るコアシェル乳
剤粒子において、粒子内部(コア)の微視的なハライド
分布を完全に均一にし、及び/又は粒子内の還元銀を均
一にすることにより、カブリが低く、感度が高く、かつ
粒状性、シャープネス、カバーリングパワーが改良さ
れ、また優れた保存性、圧力性を有するハロゲン化銀写
真感光材料及び該感光材料の製造方法を提供することに
ある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の目的は下記によって達成された。即ち (1) 支持体上に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤
層を有するハロゲン化銀写真感光材料において、該ハロ
ゲン化銀乳剤層に含有される感光性ハロゲン化銀粒子
が、該粒子の内部が少なくとも2種のハロゲン化銀を含
有する少なくとも1つの相から成り、そのハライド分布
が完全に均一であり、かつ該粒子の表面が該表面に隣接
する粒子の内部とハライド組成が異なるハロゲン化銀
(但し、表面の塩化銀含有率が内部の塩化銀含有率より
も高い場合を除く)であることを特徴とするハロゲン化
銀写真感光材料。
(2) 支持体上に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤
層を有するハロゲン化銀写真感光材料において、該ハロ
ゲン化銀乳剤層に含有される感光性ハロゲン化銀粒子
が、該粒子の核形成及び/又は結晶成長を起させる反応
容器中に、予め調製した粒径0.1μm以下の微細なサイ
ズのハロゲン化銀を添加し、一旦溶解して消失させた後
該反応容器中で核形成及び/又は結晶成長させたハロゲ
ン化銀粒子の外側にそれとはハライド組成の異なるハロ
ゲン化銀(但し、表面の塩化銀含有率が内部の塩化銀含
有率よりも高い場合を除く)を有する粒子であることを
特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
(3) 支持体上に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤
層を有するハロゲン化銀写真感光材料の製造方法におい
て、該ハロゲン化銀乳剤層に含有される感光性ハロゲン
化銀粒子を、感光性ハロゲン化銀粒子の核形成及び/又
は結晶成長を起させる反応容器の外に設けられた混合器
において粒径0.1μm以下の微細なサイズのハロゲン化
銀を水溶性銀塩と水溶液と水溶性ハライドの水溶液を混
合して形成し、かつ形成後ただちに該反応容器中に供給
し、一旦溶解して消失させた後感光性ハロゲン化銀粒子
を核形成及び/又は結晶成長させ、さらにその外側にそ
れとはハライド組成の異なるハロゲン化銀(但し、表面
の塩化銀含有率が内部の塩化銀含有率よりも高い場合を
除く)を形成することにより、得ることを特徴とするハ
ロゲン化銀写真感光材料の製造方法。
本発明のハロゲン化銀粒子は云わゆるコア/シェル構
造を有し、そのコア部が完全に均一なハライド分布を有
することが特徴である。
シェル部は、シェル部に隣接するコア部とハロゲン組
成が異なっておればよく、シェル部のハライド分布は完
全に均一である必要はない。また、そのハライド組成は
単一組成でもいわゆる混晶であってもよい。
本発明でいう「ハライド分布が完全に均一」なハロゲ
ン化銀乳剤粒子の一例として、ここでヨウ臭化銀相をも
つ平板状ヨウ臭化銀粒子について説明する。
ここに言う「完全に均一なヨウ化銀分布」とは、これ
まで取り扱われてきたヨウ化銀分布とは全く異なり、よ
り微視的な分布を言う。従来、ヨウ臭化銀粒子における
ヨウ化銀分布を測定する手段として、分析電子顕微鏡
(Analytical Electron Microscopy)がよく用いられ
る。例えばキング(M.A.King)、ローレット(M.H.Lorr
etto)、マターナハン(T.J.Maternaghan)及びベリー
(F.J.Berry)による「分析電子顕微鏡(analytical el
ectron microscopy)によるヨード分布の研究(ザ イ
ンベスティゲーション オブ アイオダイドディストリ
ビューションバイ アナリティカル エレクトロン マ
イクロスコピー)」プローグレス イン ベイシック
プリンシプルズ オブ イメージング システムズ、
インターナショナル コングレスオブフォトグラフィッ
ク サイエンス ケルン(Koln)、1986において、ヨウ
臭化銀平板状粒子におけるヨウ化銀の含有量のトポグラ
フィーの結果が記載されている。この研究において用い
た電子線照射用プローブのサイズは50Åであるが、実際
には電子の弾性散乱によって電子線が広がってしまい、
サンプルの表面に照射される電子線のスポットの径は約
300Å位になってしまう。従ってこの方法ではそれより
こまかなヨウ化銀分布を測定することはできない。特開
昭58-113927号にも同じ手法を用いてヨウ化銀分布が測
定されているが、用いた電子線スポットのサイズは0.2
μであった。
従ってこれらの測定法によっては、より微視的な(10
0Åオーダーかそれ以下の場所的変化)ヨウ化銀分布を
明らかにすることは不可能である。この微視的なヨウ化
銀の分布は、たとえば、ハミルトン(J.F.Hamilton)、
フォトグラフィック サイエンス アンド エンジニア
リング 11巻、1967P.p57や塩沢猛公、日本写真学会 3
5巻、4号1972 P.P213に記載の低温での透過型電子顕微
鏡を用いた直接的な方法により観察することができる。
すなわち、乳剤粒子がプリントアウトしないよう安全光
下で取り出したハロゲン化銀粒子を電子顕微鏡観察用の
メッシュにのせ、電子線による損傷(プリントアウト
等)を防ぐように液体窒素あるいは液体ヘリウムで試料
を冷却した状態で透過法により観察を行う。
ここで電子顕微鏡の加速電圧は、高い程、鮮明な透過
像が得られるが、粒子厚さ0.25μmまでは200Kvolt、そ
れ以上の粒子厚さに対しては、1000Kvoltが良い。加速
電圧が高い程、照射電子線による粒子の損傷が大きくな
るので液体窒素より液体ヘリウムで試料を冷却した方が
望ましい。
撮影倍率は試料となる粒子サイズによって、適宜変更
し得るが、2万倍から4万倍である。
このようにしてヨウ臭化銀平板状粒子の透過型電子顕
微鏡写真を撮影するとヨウ臭化銀相の部分に非常にこま
かな年輪状の縞模様が観察される。この一例を第5図に
示す。ここで示した平板状粒子は、臭化銀平板粒子をコ
アとし、さらにヨウ化銀10モル%のヨウ臭化銀のシェル
をコアの外側に形成したものであり、その構造はこの透
過型電子顕微鏡写真で明確に知ることができる。すなわ
ち、コア部は臭化銀であり、当然均一であるから、均一
なフラットな像が得られるのみであるが、一方、ヨウ臭
化銀相には、非常にこまかな年輪状の縞模様が明確に確
認できる。この縞模様の間隔は非常にこまかく100Åの
オーダーからそれ以下であり非常に微視的な不均一性を
示していることが解る。この非常にこまかな縞模様がヨ
ウ化銀分布の不均一性を示すことは種々の方法で明らか
にできるが、より直接的にはこの平板状粒子をヨードイ
オンがハロゲン化銀結晶内を移動できる条件でアニール
(annealing)してやると(例えば250℃、3時間)、こ
の縞模様が全く消失してしまうことから、明らかに結論
できる。
ここに述べてきた平板状ヨウ臭化銀乳剤粒子のヨウ化
銀分布の不均一性を示す年輪状の縞模様は先に引用し
た、特開昭58-113927号に添付されている透過型電子顕
微鏡写真にも明確に観察されるしまた同様に先に引用し
たキング等の研究における透過型電子顕微鏡写真にもは
っきりと示されている。これ等の事実から、これまで、
均一なヨウ化銀分布を得るべく一定のヨウ化銀含量で調
製されたヨウ臭化銀粒子は、その製造の意図とは全く反
して、非常に微視的なヨウ化銀の不均一分布を持ってお
り、これまでそれを均一化する技術の開示されておら
ず、またその製造法も開示されてはいない。本発明はこ
の微視的なヨウ化銀分布が完全に均一なコア部をもつコ
ア/シェル乳剤とその製造法を開示するものである。
これまで述べてきたように「完全に均一なハライド分
布」をもつハロゲン化銀粒子は、冷却型透過型電子顕微
鏡を用いて、粒子の透過像を観察することにより、従来
のハロゲン化銀粒子と明確に区別することができる。す
なわち本発明のハロゲン化銀粒子の内部には、例えば上
記ヨウ臭化銀の例で言えば、ヨウ化銀の微視的な不均一
に起因する微視的な線が、線に直交する方向で0.2μm
間隔に多くとも2本、好ましくは1本存在し、より好ま
しくは存在しない。このヨウ化銀の微視的不均一を示
す、年輪状の縞模様を構成する線は、粒子成長の方向に
直交する形で発生し、結果的にこれらの線は粒子の中心
から同心円状に分布する。例えば第5図に示した平板状
粒子の場合、ヨウ化銀の不均一を示す、年輪状の縞模様
を構成する線は、平板粒子の成長方向に直交する為、結
果として粒子のエッヂに平行であり、かつ、それらに直
交する方向は粒子の中心に向く方向を持っており、粒子
の中心のまわりに同心円状に分布する。
勿論、粒子成長中に急激にヨウ化銀含量を変化せしめ
れば、その境界線は上記の観察法で、上に述べたと同様
の線として観察されるが、このようなヨウ化銀含量の変
化は単一の線を構成するのみで、ヨウ化銀の微視的不均
一に由来する複数の線から構成されるものとは明確に区
別できる。さらにこのようなヨウ化銀含量の変化に由来
する線は、この線の両側のヨウ化銀含量を先に述べた分
析電子顕微鏡で測定すれば明らかに確認することができ
る。このようなヨウ化銀含量の変化による線は本発明で
言う、ヨウ化銀の微視的不均一に由来する線とは全く異
なり、「巨視的なヨウ化銀分布」を示すものである。
また、粒子の成長中にヨウ化銀含量を実質的に連続的
に変化させた場合は、ヨウ化銀含量の急激な変化がない
為、上記の巨視的なヨウ化銀含量の変化を示す線は観察
されず、従ってもし、そこに0.1μm間隔に少なくとも
3本以上の線が存在すれば、それは微視的なヨウ化銀含
量の不均一があるということになる。
かくして本発明の、「ハライド分布が完全に均一なハ
ロゲン化銀コア粒子」は、少なくとも2種のハロゲン化
銀を含有する混晶であり、冷却型透過型電子顕微鏡を用
いて得た粒子の透過像において、線と直交する方向で0.
2μm間隔に微視的なハライド分布を示す線を多くとも
2本有するコア粒子であり、好ましくは1本有する、よ
り好ましくはそのような線が存在しないハロゲン化銀コ
ア粒子である。さらにそのような均一な内部を有する粒
子が全粒子の少なくとも60%、好ましくは少なくとも80
%、より好ましくは少なくとも90%を占めることが望ま
しい。
これまで、例えば均一なヨウ化銀を含むハロゲン化銀
粒子と呼ばれてきた従来のハロゲン化銀粒子は、単に粒
子成長の際、硝酸銀と一定の組成(一定のヨウ化物含
量)のハロゲン塩混合物をダブルジェット法で反応容器
に添加したにすぎず、そのような粒子においては巨視的
なヨウ化銀分布は確かに一定であるが、微視的なヨウ化
銀分布は均一ではない。本発明においては、そのような
粒子を「一定のハロゲン組成」をもつ粒子と呼び「完全
に均一」な本発明に示す粒子とは明確に区別する。上記
ではヨウ臭化銀ハロゲン化銀コア粒子を例にとって説明
してあるが、微視的なハライド組成の問題は塩臭化銀、
塩ヨウ臭化銀、塩ヨウ化銀等のハロゲン化銀混晶につい
て全てに通ずるものである。
ハロゲン化銀混晶の微視的なハライド分布の均一性は
さらにX線回折を利用して測定することができる。
X線回折計(ディフラクトメーター)を用いてハロゲ
ン組成を決定するのは当該業者には周知のことである。
この原理を簡単に述べると以下の通りである。X線回折
においてBragg角を測定することで次のBraggの式より格
子定数aが決定できる。
ところで、T.H.ジェームス(James)著の「ザ・セオリ
ー・オブ・ザ・フォトグラフィック・プロセス」(The
Theory of the Photographic Process)第4版 マクミ
ラン社、ニューヨーク(Macmillan Co Ltd.New York)
の第一章に沃臭化銀、塩臭化銀、沃塩化銀についてハロ
ゲン組成に対する格子定数aの関係が示されている。こ
のように格子定数(ハロゲン組成)が異なると、回折ピ
ーク位置が異なる。従って、ハロゲン組成分布の均一性
のすぐれたハロゲン化銀粒子は、格子定数のばらつきが
少なく、回折プロファイルの半値幅は狭くなる。この回
折プロファイルの測定において、線源は強度の大きく単
色性のよいKα線がKβ線より好んで用いられる。な
お、Kα線は二重線なのでRachingerの方法を用いて単
一のプロファイルを得て半値幅を求めることが可能であ
る。
試料には、乳剤よりゼラチンを除去した粉末粒子を用
いるかあるいは、ジャーナル オブ フォトグラフィッ
ク サイエンス(Journal of Photographic Science)
の1976年度24巻1ページのG.C.ファーネル(G.C.Farnel
l),R.J.ジェンキンス(R.J.Jenkins)およびL.R.ソル
マン(L.R.Solman)による方法に従って、50%グリセリ
ン溶液に20分間浸漬して乾膜中のゼラチンにより粒子表
面にかかっていた圧力を除去した、塗布された乳剤膜を
使用できる。回折プロファイルの角度を正確に求めるに
は回折角既知のSi粉末あるいはNaCl粉末をサンプルに混
合させる方法が用いられる。さらに回折角および回折プ
ロファイルの線幅を精度よく測定するには高指数面から
の回折角の大きい回折プロファイルを用いることがよい
ことが知られている。従って本特許においては銅ターゲ
ットのKα線で(420)面の回折プロファイルを回折角
(Braggの角の2倍)71°から77°の領域において測定
した。
なお、X線回折測定は、粉末よりも塗布された乳剤膜
の方が測定精度が良く、後述する実施例においても、塗
布された乳剤膜で測定した。
ところで、本特許記述の試料の形態のように外的な応
力による歪みがない系の回折プロファイルの半値幅は、
ハロゲン組成分布のみで決定されるのではなく、それ以
外に回折計の光学系による半値幅と試料の結晶子(クリ
スタリット)の大きさによる半値幅も含んでいる。従っ
てハロゲン組成分布に起因する半値幅を得るには、前二
者による半値幅の寄与を差し引く必要がある。回折計の
光学計による半値幅は歪みのかかっていない(格子定数
のばらつきのない)25μm以上の粒度の単結晶の回折プ
ロファイルの半値幅として得ることができる。このよう
な試料としては25〜44μm(500メッシュオン350メッシ
ュアンダー)のα−石英を800℃でアニールしたものを
使用することが理学電機株式会社によるX線回折の手引
改訂再版二章八節に記述されている。Si粒子やSi単結晶
ウェファー等でも用いることが可能である。光学計によ
る半値幅は回折角依存性があるので、数点の回折プロフ
ァイルについても半値幅を求める必要がある。必要に応
じて外挿内挿を行ない、測定している系の回折角につい
ての光学系による半値幅が得られる。一方、結晶子の大
きさによる半値幅は次式で記述される。
β:結晶子の大きさによる半値幅(°) K:定数(一般に0.9) D:結晶子の大きさ(Å) λ:X線の波長(Å) θ:Bragg角 測定された回折プロファイルの半値幅からこのように
して求めた光学系による半値幅と結晶子の大きさによる
半値幅を差し引くと、ハロゲン組成分布による半値幅が
得られる。今測定したい混晶粒子の光学系による半値幅
と結晶子の大きさによる半値幅は、この着目している粒
子と同一の結晶子の大きさを有するハロゲン組成分布均
一(格子定数一定)のハロゲン化銀粒子の回折プロファ
イルの半値幅と等価である。一般に、外的な応力による
歪みが存在しない場合、格子欠陥のない粒子ではこの粒
子の大きさ(辺長、等体積球相当径等)は結晶子の大き
さと一致する。このことはディフラクトメーターではな
く写真法であるが回折線幅より求めたAgBrの結晶子の大
きさと粒子の大きさが一致することがブリティッシュ
ジャーナル オブ アプライド フィジックス(Britis
h Journal of Applied Physics)の1965年16巻323ペー
ジでF.W.ウィレッツ(F.W.Willets)によって報告され
ている。この報告では写真法により、半値幅ではなくプ
ロファイルの標準偏差を用いてシェラー定数として1.44
を選んでいる。我々の測定系では、ディフラクトメータ
ーを用いているが、Si単結晶を用いて求めた光学系によ
る半値幅を差し引いた半値幅より求めた結晶子の大きさ
と粒子の大きさがバランスト ダブル ジェットで調製
されたAgBr粒子において良好に一致することを見出して
いる。
すなわち、混晶乳剤粒子の光学系による半値幅と結晶
子の大きさによる半値幅は、混晶乳剤粒子と同一粒子サ
イズのAgBr粒子、AgCl粒子、AgI粒子の回折プロファイ
ルの半値幅として得ることができる。
混晶乳剤粒子のハロゲン組成分布のみによる半値幅は
測定された回折プロファイルの半値幅より着目している
粒子と同一粒子サイズのAgBr粒子、AgCl粒子、AgI粒子
の回折プロファイルの半値幅を差し引くことによって得
られる。
本発明による微視的なハロゲン組成が均一であるハロ
ゲン化銀乳剤粒子の前記の方法によるX線回折のプロフ
ァイルの好ましい半値幅を、塩臭化銀については第1図
に、ヨウ臭化銀については第2図に示した。第1図及び
第2図において各ハロゲン組成の粒子の均一性は、各粒
子のX線回折の半値幅から、同一粒子サイズの純塩化銀
あるいは純臭化銀の半値幅を差し引いた値で示される。
本発明の粒子は、曲線Aで示される半値幅以下、好まし
くは曲線Bで示される半値幅より小さい半値幅を有する
ものである。コア部分及びシェル部分のハライド組成
は、X線回折法によって測定できる。
X線回折法をハロゲン化銀粒子に応用した例はH.ヒル
シュの文献ジャーナル・オブ・フォトグラフィック・サ
イエンス第10巻(1962)の129頁以降などに述べられて
いる。ハロゲン組成によって格子定数が決まるとブラッ
グの条件(2d sinθ=nλ)を満たした回折角度に回折
のピークが生ずる。
X線回折の測定法に関しては基礎分析化学講座24「X
線分析」(共立出版)や「X線回折の手引」(理学電機
株式会社)などに詳しく記載されている。標準的な測定
法はターゲットとしてCuを使い、CuのKβ線を線源とし
て(管電圧40KV、管電流60mA)ハロゲン化銀の(220)
面の回折曲線を求める方法である。測定機の分解能を高
めるために、スリット(発散スリット、受光スリットな
ど)の幅、装置の時定数、ゴニオメーターの走査速度、
記録速度を適切に選びシリコンなどの標準試料を用いて
測定精度を確認する必要がある。
CuのKβ線を用いてハロゲン化銀の(220)面の回折
強度対回折角度のカーブを得たときコア部とシェル部に
相当する回折ピークが明確に分離した状態で検出される
場合と互いに重なり合って明確な2つのピークに分離し
ない場合がある。
2つの回折成分から成り立っている回折曲線を分解す
る手法はよく知られており、たとえば実験物理学講座11
格子欠陥(共立出版)などに解説されている。
曲線カーブをガウス関数あるいはローレンツ関数など
の関数と仮定してDu Pont社製のカーブアナライザーな
どを用いて解析するのも有用である。
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子は上記のコア部
とシェル部に相当するピークの分離が明確であってもな
くてもよい。
互いに明確な層状構造を持たないハロゲン組成の異な
る2種の粒子が共存している乳剤の場合でも前記X線回
折では2本のピークが現われる。
このような乳剤では、本発明で得られるすぐれた写真
性能を示すことはできない。。
ハロゲン化銀乳剤が本発明に係る乳剤であるか又は前
記の如き明確な層状構造を持たない2種のハロゲン化銀
粒子の共存する乳剤であるかを判断する為には、X線回
折法の他に、EPMA法(Electron−Probe Micro Analyzer
法)を用いることにより可能となる。
この方法は乳剤粒子を互いに接触しないように良く分
散したサンプルを作成し電子ビームを照射する。電子線
励起によるX線分折により極微小な部分の元素分析が行
なえる。
この方法により、各粒子から放射される銀及びハロゲ
ンの特性X線強度を求めることにより、個々の粒子のハ
ロゲン組成が決定できる。
少なくとも50個の粒子についてEPMA法によりハロゲン
組成を確認すれば、その乳剤が本発明に係る乳剤である
か否かは判断できる。
本発明の乳剤は、粒子間のハロゲン組成分布、特に粒
子のコア部における粒子間ハロゲン組成分布がより均一
になっていることが好ましい。EPMA法による粒子間のハ
ロゲン組成の分布(例えばヨウ臭化銀におけるヨウ化銀
含量、あるいは塩臭化銀における臭化銀含量の分布)を
測定した時、そのハロゲン含量の相対標準偏差が50%以
下、さらに35%以下、特に20%以下であることが好まし
い。
コア部とシェル部に相当する回折ピークの重なりがは
なはだしい場合あるいは粒子に占めるシェル部の比率が
非常に小さく、シェル部に相当する回折ピークが弱くて
シェル部のハライド組成が決定できない場合には、粒子
表面のハライド組成を測定する。
粒子表面のハライド組成はXPS(X−ray Photoelectr
on Spectroscopy)表面分析法により測定される(測定
される深さは約50Å程度と言われている)。
ハロゲン化銀粒子表面付近のハロゲン含量の分析に使
用されるXPS法の原理に関しては、相原惇一らの「電子
の分光」(共立ライブラリー16、共立出版発行、昭和53
年)を参考にすることができる。
XPSの標準的な測定法は、励起X線としてMg−Kαを
使用し、適当な試料形態としたハロゲン化銀粒子から放
出されるハロゲンと銀(Ag)の光電子(通常はCl-2P、B
r-3d、I−3d5/2、Ag-3d5/2)の強度を観測する方法で
ある。
例えばヨウ素の含量を求めるには、ヨウ素の含量が既
知である数種類の標準試料を用いてヨウ素(I)と銀
(Ag)の光電子の強度比(強度(I)/強度(Ag))の
検量線を作成し、この検量線から求めることができる。
ハロゲン化銀乳剤ではハロゲン化銀粒子表面に吸着した
ゼラチンを蛋白質分解酵素などで分解、除去した後にXP
Sの測定を行なわなければならない。
本発明のハロゲン化銀粒子の態様は下記の通りであ
る。
コア部(二相以上のコアがある場合にはシェル部に
隣接するコア部をいう)とシェル部のハライド組成は、
同一のハライドで構成されている場合は、両者で5モル
%以上、好ましくは10モル%、より好ましくは20モル%
以上の差があることが望ましい。例えば塩化銀を含む塩
臭化銀の場合はその塩化銀含量がコア部とシェル部で上
記の差があるということである。またコア部とシェル部
でハライド種が異なる場合はその異なったハライドの含
量が3モル%以上、好ましくは6モル%以上、より好ま
しくは10モル%以上であることが望ましい。例えばシェ
ルがAgBrでコアがAgBrClであるときはコアの塩化銀含量
が上記に従うことを意味する。
コア部とシェル部のモル比は任意であるが、シェル
のモル比は好ましくは50モル%以下、より好ましくは30
モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下である。
コア部の微視的ハライド組成は完全に均一であるこ
と、シェル部の微視的ハライド組成は完全に均一であっ
てもよいし不均一であってもよい。
コア部は一つの相であってもよいし二相以上の多層
で構成されてもよい。
次の本発明のハロゲン化銀混晶の内部の微視的なハラ
イド組成が完全に均一であり及び/又はハロゲン化銀結
晶の内部が粒子形成時に生ずる還元銀をもたないハロゲ
ン化銀コア粒子の製造法について述べる。
該粒子の核形成及び/又は結晶成長を起させる反応容
器中に予め調製した微細なサイズのハロゲン化銀を添加
することにより該反応容器中でハロゲン化銀コア粒子の
核形成及び/又は結晶成長を行なう。
本発明においては、予め調製した微細なサイズのハロ
ゲン化銀を該反応容器中に添加することにより、該反応
容器において粒子の核を形成し、さらに結晶成長させる
ことができる。
また、予め反応容器中において従来公知の方法により
粒子の核を形成させておき、上記微細なハロゲン化銀を
添加することにより結晶の成長を行なうこともできる。
微細なハロゲン化銀を添加するより具体的な方法とし
ては、以下のものがある。
(1) 反応容器外の混合器からハロゲン化銀微粒子を
供給する方法 核形成及び/又は結晶成長を起させる反応容器の外に
設けられた混合器において、水溶性銀塩の水溶液及び水
溶性ハライドの水溶液を混合して形成された微粒子をた
だちに該反応容器中に供給することにより、ハロゲン化
銀コア粒子の核形成及び/又は結晶成長を行う(以下A
法と呼ぶ)。
かかる粒子形成法のシステムを第3図を例にして以下
に示す。
第3図では、まず反応容器1は保護コロイド水溶液2
を含有している。保護コロイド水溶液は、回転シャフト
にとりつけられたプロペラ3によって攪拌混合される。
反応容器外の混合器7に銀塩水溶液、ハロゲン塩水溶
液、及び保護コロイド水溶液を各々添加系、4、5及び
6にて導入する。(この際、保護コロイド水溶液は、ハ
ロゲン塩水溶液及び/又は銀塩水溶液にまぜて添加して
もよい。)混合器内でこれらの溶液を急速かつ強力に混
合して、ただちに系8によって反応容器1に導入する。
第4図に混合器7の詳細を図示する。この混合器7はそ
の中に反応室10が設けられ、その反応室10の中に回転シ
ャフト11にとりつけられた攪拌翼9が設けられている。
銀塩水溶液、ハロゲン塩水溶液及び保護コロイド水溶液
は三つの導入口(4、5、もう一つの導入口は図面から
省略した。)から反応室10に添加される。回転シャフト
を高速で回転する(1000r.p.m以上、好ましくは2000r.
p.m以上、より好ましくは3000r.p.m以上)ことにより、
急速かつ強力に混合し生成した極く微細な粒子を含む溶
液は、ただちに外部への排出口8から排出される。かく
して混合器で反応して生成した極く微細な粒子は反応容
器に導入された後、その粒子サイズが微細である為、容
易に溶解し再び銀イオンとハロゲンイオンとなり、均一
な核形成及び/又は粒子成長を起せしめる。この極く微
細な粒子のハライド組成は目的とするハロゲン化銀粒子
のハライド組成と同一にしておく。反応容器内に導入さ
れた極微粒子は、反応容器内の攪拌によって、反応容器
内にばらまかれ、かつ個々の微細粒子から、目的のハラ
イド組成のハロゲンイオンと銀イオンが放出される。こ
こで混合器で発生した粒子は極く微細であり、その粒子
数は非常に多く、そのような非常に多数の粒子から、各
々銀イオン及びハロゲンイオン(混晶成長の場合、目的
のハロゲンイオン組成になっている。)が放出され、か
つそれが反応容器中の保護コロイド全体に亘って起る
為、全く均一な粒子成長を起すことができる。大切なこ
とは銀イオン及びハロゲンイオンは、水溶液としては、
pAg調節用以外は決して反応容器に添加しないこと及び
反応容器内の保護コロイド溶液を混合器に循環しないこ
とである。ここにおいて従来の方法とは全く異なり、こ
の方法がハロゲン化銀粒子の均一成長において驚くべき
効果を挙げることができる。
混合器で形成された微粒子は、その溶解度が粒子サイ
ズが微細である故非常に高く、反応容器に添加されると
溶解し、再び銀イオン及びハロゲンイオンとなり、核を
形成するかあるいは反応容器に既にある粒子に沈積し粒
子成長を起すがその際、微粒子はその溶解度が高い故に
反応容器へ添加する前に微粒子同志でいわゆるオストワ
ルド熟成を起してその粒子サイズが増大してしまう。微
粒子のサイズが大きくなってしまうと、それだけ溶解度
が低下し、反応容器中での溶解が遅くなり、粒子成長の
速度が著しく低下し、ある場合には最早溶解することな
く、逆にそれ自身が核となって成長を起してしまう。
本発明においては以下三つの技術によってこの問題を
解決した。
混合器で微粒子を形成した後、ただちにそれを反応
容器に添加する。
本発明においては反応容器のごく近くに混合器を設け
かつ混合器内の添加液の滞留時間を短かくすることによ
り、従って生成した微粒子をただちに反応容器に添加す
ることによりこのオストワルド熟成が起らないようにし
た。具体的には混合器に添加された液の滞留時間tは下
記であらわされる。
本発明の製造法においてはtは10分以下、好ましくは
5分以下、より好ましくは1分以下、さらに好ましくは
20秒以下である。かくして混合器で得られた微粒子はそ
の粒子サイズが増大することなく、ただちに反応容器に
添加される。
混合器で強力かつ効率のよい攪拌を行なう。
ジェームス(T.H.James)ザ セオリー オブ ザ
フォトグラフィック プロセス p.p.93には、「オスト
ワルド熟成と並んでもう一つの形態は凝集(coalescenc
e)である。コアレッセンス熟成ではその前には遠く離
れていた結晶が直接、接触、ゆ着してより大きな結晶が
生成するので粒子サイズが突然変化する。オストワルド
熟成とコアレッセンス熟成の両方とも沈積の終了後のみ
でなく、沈積中にも起る。」ここに述べられているコア
レッセンス熟成は特に粒子サイズが非常に小さいときに
起り易く、特に攪拌が不充分である場合起り易い。極端
な場合は、粗大な塊状の粒子を作ることすらある。本発
明においては第4図に示すように密閉型の混合器を用い
ている為、反応室の攪拌翼を高い回転数で回転させるこ
とができ従来のような開放型の反応容器ではできなかっ
た(開放型では、高回転で回転翼を回転させると遠心力
で液がふりとばされ、発泡の問題もからんで、実用でき
ない。)強力かつ効率のよい攪拌混合を行うことができ
上記のコアレッセンス熟成を防止でき、結果として非常
に粒子サイズの小さい微粒子を得ることができる。本発
明においては攪拌翼の回転数は1000r.p.m以上、好まし
くは2000r.p.m以上、より好ましくは3000r.p.m以上であ
る。
保護コロイド水溶液の混合器への注入 前述のコアレッセンス熟成はハロゲン化銀微粒子の保
護コロイドによって顕著に防ぐことができる。本発明に
おいては保護コロイド水溶液の混合器への添加は下記の
方法による。
保護コロイド水溶液を単独で混合器に注入する。
保護コロイドの濃度は0.2重量%以上、好ましくは0.5
重量%がよく、流量は、硝酸銀溶液とハロゲン塩水溶液
の流量の和の少なくとも20%:好ましくは少なくとも50
%、より好ましくは100%以上である。
ハロゲン塩水溶液に保護コロイドを含有せしめる。
保護コロイドの濃度は、0.2重量%以上好ましくは0.5
重量%以上である。
硝酸銀水溶液に保護コロイドを含有せしめる。
保護コロイドの濃度は0.2重量%以上、好ましくは0.5
重量%以上である。ゼラチンを用いる場合、銀イオンと
ゼラチンでゼラチン銀を作り、光分解及び熱分解して銀
コロイドを生成する為、硝酸銀溶液と保護コロイド溶液
は使用直前に混合する方がよい。
また、上記の〜の方法は、各々単独で用いてもよ
いしそれぞれ組み合せてもよく、また、同時に三つを用
いてもよい。
(2) 予め調製したハロゲン化銀微粒子乳剤を添加す
る方法 本発明においてはあらかじめ調製した微細なサイズの
粒子を有する微粒子ハロゲン化銀乳剤を反応容器に添加
して核形成及び/又は粒子成長を行う方法を用いること
もできる(以下、「B法」という)。この際、あらかじ
め調製された乳剤の粒子サイズが小さい方が良いことは
前記と同様である。本方法においても、核形成及び/又
は粒子成長が起る反応容器には、反応容器内の乳剤のpA
g調節用以外は反応容器に水溶性銀塩の水溶液及び水溶
性ハライドの水溶液を全く添加しない。この予め調製さ
れた乳剤は反応容器に添加するに先立ち、予め水洗及び
/又は固化しておいてもよい。A法における混合器の温
度は40℃以下好ましくは35℃以下、反応容器の温度は、
50℃以上、好ましくは60℃以上、さらに好ましくは70℃
以上である。
B法においてはあらかじめ調製する微粒子乳剤の粒子
形成温度は40℃以下、好ましくは35℃以下であり、微粒
子乳剤を添加する反応容器の温度は50℃以上、好ましく
は60℃以上、さらに好ましくは70℃以上である。
本発明において用いられる微細なサイズのハロゲン化
銀の粒子サイズは粒子をメッシュにのせそのまま透過型
電子顕微鏡によって確認でき、倍率は2万倍から4万倍
がよい。本発明の微粒子のサイズは0.1μm以下、好ま
しくは0.06μm以下、より好ましくは0.03μm以下であ
る。
本発明によって得られるコア粒子乳剤のハライド組成
は、ヨウ臭化銀、塩臭化銀、塩ヨウ臭化銀、塩ヨウ化銀
のいずれでもよく、本発明によればハライドの微視的な
分布が均一な、すなわち「完全に均一」なハロゲン化銀
混晶粒子が得られる。
さらに本発明の方法は、純臭化銀、純塩化銀から成る
コア粒子の製造においても、非常に有効である。従来の
製造方法によれば、反応容器内の銀イオン及びハロゲン
イオンの局所的な分布の存在が不可避であり、反応容器
内のハロゲン化銀粒子は、そのような局所的な不均一部
分を通過することで他の均一部分とは異なった環境にお
かれることとなり、それによって成長の不均一性を生ず
ることは勿論、例えば、銀イオンの高濃度部分では還元
銀あるいはカブリ銀が生成されてしまう。従って臭化
銀、塩化銀においては、確かにハライドの不均一分布は
あり得ないが前に述べた別の不均一性を生じてしまう。
この問題点は、本発明の方法によれば、完全に解決でき
る。従って本発明の方法によって得られるコア粒子には
単一組成のハロゲン化銀も含まれる。また、かかる還元
銀はコア粒子間においても分布がないことが好ましい。
本方法においては、ハロゲン化銀溶剤を反応容器に添
加して使用すれば、さらに高い微粒子の溶解速度及びさ
らに高い反応容器内の粒子の成長速度を得ることができ
る。
ハロゲン化銀溶剤としては、水溶性臭化物、水溶性塩
化物、チオシアン酸塩、アンモニア、チオエーテル、チ
オ尿素類などを挙げることができる。
例えばチオシアン酸塩(米国特許第2,222,264号、同
2,448,534号,同3,320,069号など)、アンモニア、チオ
エーテル化合物(例えば米国特許第3,271,157号、同3,5
74,628号,同3,704,130号、同4,297,439号,同4,276,34
7号など)、チオン化合物(例えば特開昭53-144319号、
同53-82408号、同55-77737号など)、アミン化合物(例
えば特開昭54-100717号など)チオ尿素誘導体(例えば
特開昭55-2982号)、イミダゾール類(例えば特開昭54-
100717号)、置換メルカプトテトラゾール(例えば特開
昭57-202531号)などを挙げることができる。
得られた完全に均一なハロゲン化銀乳剤粒子に特に制
限はないが、0.3μm以上であることが好ましく、さら
に0.8μm以上、特に1.4μm以上であることが好まし
い。本発明によるハロゲン化銀粒子の形は六面体、八面
体、十二面体、十四面体、二十四面体、四十八面体のよ
うな規則的な結晶形(正常晶粒子)を有するものでもよ
くまた球状、じゃがいも状などの不規則な結晶形のもの
でもよく、さらに双晶面を1枚以上もつ種々の形体の粒
子、なかでも平行な双晶面を2枚あるいは3枚有する六
角形平板粒子及び三角形平板状双晶粒子であってもよ
い。
次の本発明のシェルの形成法について述べる。これま
で述べてきたコア形成にひき続きシェルを形成するが、
その製造法は前記のA法、B法が適用できる。詳細に
は、既に述べてきた通りである。また本発明のシェル形
成にはこれまで知られた粒子形成法を用いることができ
る。すなわち、コアハロゲン化銀粒子及び保護コロイド
を含む水溶液を有する反応容器に効率のよい攪拌のもと
に銀塩水溶剤及びハロゲン水溶剤を添加する。
具体的方法としては、P.Glafkides著 Chemie et Phi
siquePhotographique(Paul Montel 社刊、1967年)、
G.F.Duffin著 Photographic Emulsion Chemistry(The
Focal Prss 刊、1966年)、V.L.Zelikman et al著 M
aking and Coating Photographic Emulsion(The Focal
Prss 刊、1964年)などに記載された方法を用いて調
製することができる。すなわち、酸性法、中性法、アン
モニア法等のいずれでもよく、また可溶性銀塩と可溶性
ハロゲン塩を反応させる形式としては片側混合法、同時
混合法、それらの組合せなどのいずれを用いてもよい。
シェルを銀イオン過剰の下において形成させる方法
(いわゆる逆混合法)を用いることもできる。同時混合
法の一つの形式としてハロゲン化銀の生成される液相中
のpAgを一定に保つ方法、すなわちいわゆるコントロー
ルド・ダブルジェット法を用いることもできる。
本発明のコアシェル乳剤粒子の形成又は物理熟成の過
程において、カドミウム塩、亜鉛塩、鉛塩、タリウム
塩、イリジウム塩又はその錯塩、ロジウム塩又はその錯
塩、鉄塩又は鉄錯塩などを共存させてもよい。
また、英国特許第1,535,016号、特公昭48-36890号、
同52-16364号等に記載されているように、硝酸銀やハロ
ゲン化アルカリ水溶液の添加速度を粒子成長速度に応じ
て変化させる方法や、米国特許第4,242,445号、特開昭5
5-158124号等に記載されているように水溶液濃度を変化
させる方法を用いて臨界過飽和度を越えない範囲におい
て早く成長させることが好ましい。これらの方法は、再
核発生を起こさず、各コアハロゲン化銀粒子が均一に被
覆されていくため、好ましく用いられる。
本発明のコア−シェル型粒子においてはコア部の形状
とシェルの付いた全体の形状が同一のこともあれば異な
ることもある。具体的にはコア部が立方体の形状をして
いて、シェル付き粒子の形状が立方体のこともあれば八
面体のこともある。逆にコア部が八面体で、シェル付き
粒子が立方体あるいは八面体の形状をしていることもあ
る。またコア部は明確なレギュラー粒子であるのにシェ
ル付き粒子はやや形状がくずれていたり、不定形状であ
ることもある。また単なる二重構造でなく、特開昭60-2
22844号に開示されているような三重構造にしたりそれ
以上の多層構造にすることや、コア−シェルの二重構造
の粒子の表面に異なる組成を有するハロゲン化銀を薄く
つけたりすることができる。
粒子の内部に構造を持たせるには上述のような包み込
む構造だけでなく、いわゆる接合構造を有する粒子をつ
くることができる。これらの例は特開昭59-133540号、
特開昭58-108526号、欧州特許(EP)第199290A2号、特
公昭58-24772号、特開昭59-16254号などに開示されてい
る。接合する結晶はホストとなる結晶と異なる組成をも
ってホスト結晶のエッジやコーナー部、あるいは面部に
接合して生成させることができる。このような接合結晶
はホスト結晶がハロゲン組成に関して均一であってもあ
るいはコア−シェル型の構造を有するものであっても形
成させることができる。
接合構造の場合にはハロゲン化銀同志の組み合せは当
然可能であるが、ロダン銀、炭酸銀などの岩塩構造でな
い銀塩化合物をハロゲン化銀と組み合せ接合構造をとる
ことができる。またpb0のような非銀塩化合物も接合構
造が可能であれば用いてもよい。
これらの構造を有する沃臭化銀粒子の場合、たとえば
コア−シェル型の粒子においてコア部が沃化銀含有量が
高く、シェル部が沃化銀含有量が低くても、また逆にコ
ア部の沃化銀含有量が低く、シェル部が高い粒子であっ
てもよい。同様に接合構造を有する粒子についてもホス
ト結晶の沃化銀含有率が高く、接合結晶の沃化銀含有率
が相対的に低い粒子であっても、その逆の粒子であって
もよい。
また、これらの構造を有する粒子のハロゲン組成の異
なる境界部分は、明確な境界であっても、組成差により
混晶を形成して不明確な境界であってもよく、また積極
的に連続的な構造変化をつけたものでも良い。
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤はEP-0096727 B1、E
P-0064412 B1などに開示されているような粒子に丸みを
もたらす処理、あるいはDE-2306447 C2、特開昭60-2213
20号に開示されているような表面の改質を行ってもよ
い。
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤は表面潜像型が好ま
しいが、特開昭59-133542号に開示されているように現
像液あるいは現像の条件を選ぶことにより内部潜像型の
乳剤も用いることができる。またうすいシェルをかぶせ
る浅内部潜像型乳剤も目的に応じて用いることができ
る。
本発明において還元増感、硫黄増感、金増感に代表さ
れる化学増感を施こすことが極めて重要である。化学増
感を施こす場所は乳剤粒子の組成・構造・形状によっ
て、またその乳剤が用いられる使用用途によって異な
る。粒子の内部に化学増感核をうめ込む場合、粒子表面
から浅い位置にうめ込む場合、あるいは表面に化学増感
核を作る場合がある。本発明の効果などの場合にも有効
であるが、特に好ましいのは表面近傍に化学増感核を作
った場合である。つまり内部潜像型よりは表面潜像型乳
剤でより有効である。
本発明の乳剤は通常、分光増感される。
本発明に用いられる分光増感色素としては通常メチン
色素が用いられるが、これにはシアニン色素、メロシア
ニン色素、複合シアニン色素、複合メロシアニン色素、
ホロポーラーシアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリ
ル色素およびヘミオキソノール色素が包含される。これ
らの色素類には、塩基性異節環核としてシアニン色素類
に通常利用される核のいずれをも適用できる。すなわ
ち、ピロリン核、オキサゾリン核、チアゾリン核、ピロ
ール核、オキサゾール核、チアゾール核、セレナゾール
核、イミダゾール核、テトラゾール核、ピリジン核な
ど;これらの核に脂環式炭化水素環が融合した核;及び
これらの核に芳香族炭化水素環が融合した核、即ち、イ
ンドレニン核、ベンズインドレニン核、インドール核、
ベンズオキサドール核、ナフトオキサドール核、ベンゾ
チアゾール核、ナフトチアゾール核、ベンゾセレナゾー
ル核、ベンズイミダゾール核、キノリン核などが適用で
きる。これらの核は炭素原子上に置換されていてもよ
い。
メロシアニン色素または複合メロシアニン色素にはケ
トメチレン構造を有する核として、ピラゾリン−5−オ
ン核、チオヒダントイン核、2−チオオキサゾリジン−
2,4−ジオン核、チアゾリジン−2,4−ジオン核、ローダ
ニン核、チオバルビツール核などの5〜6員異節環核を
適用することができる。
ハロゲン化銀乳剤調製中に添加される増感色素の量
は、添加剤の種類やハロゲン化銀量などによって一義的
に述べることはできないが、従来の方法にて添加される
量とほぼ同等量用いることができる。
すなわち、好ましい増感色素の添加量はハロゲン化銀
1モルあたり0.001〜100mmolであり、さらに好ましくは
0.01〜10mmolである。
増感色素は化学熟成後、または化学熟成前に添加され
る。本発明のハロゲン化銀粒子に対しては最も好ましく
は増感色素は化学熟成中又は化学熟成以前(例えば粒子
形成時、物理熟成時)に添加される。
増感色素とともに、それ自身分光増感作用をもたない
色素あるいは可視光を実質的に吸収しない物質であっ
て、強色増感を示す物質を乳剤中に含んでもよい。例え
ば、含窒素異節環基で置換されたアミノスチル化合物
(たとえば米国特許第2,933,390号、同3,635,721号に記
載のもの)、芳香族有機酸ホルムアルデヒド縮合物(た
とえば米国特許第3,743,510号に記載のもの)、カドミ
ウム塩、アザインデン化合物などを含んでもよい。米国
特許第3,615,613号、同3,615,641号、同3,617,295号、
同3,635,721号に記載の組合せは特に有用である。
ハロゲン化銀乳剤は、通常は化学増感される。化学増
感のためには、例えばH.フリーゼル(H.Frieser)編、
ディー・グルンドラーゲル、デル・フォトグラフィシェ
ン・プロツエセ・ミット・ジルベルハロゲニデン(Die
Grundlagen der Photographishen Prozesse mit Silber
halogeniden)(アカデミッシュ フエルラグスゲゼル
シャクト1968)675〜734頁に記載の方法を用いることが
できる。
すなわち、活性ゼラチンや銀と反応し得る硫黄を含む
化合物(例えば、チオ硫酸塩、チオ尿素類、メルカプト
化合物類、ローダニン類)を用いる硫黄増感法;還元性
物質(例えば、第一すず塩、アミン類、ヒドラジン誘導
体、ホルムアミジンスルフィン酸、シラン化合物)を用
いる還元増感法;貴金属化合物(例えば、金錯塩のほ
か、Pt、Ir、Pbなどの周期律表VIII族の錯塩)を用いる
貴金属増感法などを単独または組合せて用いることがで
きる。
本発明に用いられる写真乳剤には、感光材料の製造工
程、保存中あるいは写真処理中のカブリを防止し、ある
いは写真性能を安定化させる目的で、種々の化合物を含
有させることができる。すなわち、アゾール類たとえば
ベンゾチアゾリウム塩、ニトロインダゾール類、トリア
ゾール類、ベンゾトリアゾール類、ベンズイミダゾール
類(特にニトロ−またはハロゲン置換体);ヘテロ環メ
ルカプト化合物類たとえばメルカプトチアゾール類、メ
ルカプトベンゾチアゾール類、メルカプトベンズイミダ
ゾール類、メルカプトチアジアゾール類、メルカプトテ
トラゾール類(特に1−フェニル−5−メルカプトテト
ラゾール)、メルカプトピリミジン類;カルボキシル基
やスルホン基などの水溶性基を有する上記のヘテロ環メ
ルカプト化合物類;チオケト化合物たとえばオキサゾリ
ンチオン;アザインデン類たとえばテトラアザインデン
類(特に4−ヒドロキシ置換(1,3,3a,7)テトラアザイ
ンデン類);ベンゼンチオスルホン酸類;ベンゼンスル
フィン酸;などのようなカブリ防止剤または安定剤とし
て知られた多くの化合物を加えることができる。
これらカブリ防止剤または安定剤の添加時期は通常、
化学増感を施した後に行なわれるが、より好ましくは化
学熟成の途中又は化学熟成の開始以前の時期の中から選
ぶことができる。すなわちハロゲン化銀乳剤粒子形成過
程において、銀塩溶液の添加中でも、添加後から化学熟
成開始までの間でも、化学熟成の途中(化学熟成時間
中、好ましくは開始から50%までの時間内に、より好ま
しくは20%までの時間内)でもよい。
本発明の乳剤は乳剤層が1層または2層以上を問わず
任意の層構成の写真感光材料に用いることができる。
本発明の乳剤を用いたハロゲン化銀多層カラー写真感
光材料は青色、緑色および赤色光を別々に記録するため
のバインダー及びハロゲン化銀粒子を含有する乳剤層を
重ね合わせた多層構造を有し、各乳剤層は少なくとも高
感度層及び低感度層の二層から成る。特に実用的な層構
成としては下記のものが挙げられる。
(1) BH/BL/GH/GL/RH/RL/S (2) BH/BM/BL/GH/GM/GL/RH/RM/RL/S の層構成や米国特許第4,184,876号に記載の (3) BH/BL/GH/RH/GL/RL/S RD-22534、特開昭59-177551号、同59-177552号などに
記載の (4) BH/GH/RH/BL/GL/RL/S の層構成である。
ここに、Bは青色感性層、Gは緑色感性層、Rは赤色
感性層を、またHは最高感度層、Mは中間度層、Lは低
感度層、Sは支持体を表わし、保護層、フィルター層、
中間層、ハレーション防止層、下引層等の非感光性層の
記録は省略してある。
このうち好ましい層構成は(1)、(2)又は(4)
である。
また、特開昭61-34541号に記載の (5) BH/BL/CL/GH/GL/RH/RL/S (6) BH/BL/GH/GL/CL/RH/RL/S などの層構成も好ましい。
ここで、CLは重層効果付与層で、他は前記の通りであ
る。
又、同一感色性の高感度層と低感度層が逆転して配置
していてもよい。
本発明のハロゲン化銀乳剤は前記の如くカラー感光材
料に適用することができるが、乳剤層が1層および多層
を問わずそれ以外の感光材料、たとえばX−レイ用感光
材料、黒白撮影用感光材料、製版用感光材料、印画紙等
にも適用することが出来る。
本発明のハロゲン化銀乳剤の種々の添加剤、たとえば
バインダー、化学増感剤、分光増感剤、安定剤、ゼラチ
ン硬化剤、界面活性剤、帯電防止剤、ポリマーラテック
ス、マット剤、カラーカプラー、紫外線吸収剤、退色防
止剤、染料及びこれらの乳剤を用いた感光材料の支持
体、塗布方法、露光方法、現像処理方法等については特
に制限はなく、たとえばリサーチ・ディスクロージャー
176巻、アイテム17643(RD-17643)、同187巻、アイテ
ム18716(RD-18716)及び同225巻、アイテム22534(RD-
22534)の記載を参考にすることができる。
これらリサーチ・ディスクロージャーの記載を以下の
一覧表に示した。
ゼラチン硬化剤としては例えば、活性ハロゲン化合物
(2,3−ジクロル−6−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジン
及びそのナトリウム塩など)および活性ビニル化合物
(1,3−ビスビニルスルホニル−2−プロパノール、1,2
−ビス(ビニルスルホニルアセトアミド)エタンあるい
はビニルスルホニル基を側鎖に有するビニル系ポリマー
など)は、ゼラチンなど親水性コロイドを早く硬化させ
安定な写真特性を与えるので好ましい。N−カルバモイ
ルピリジニウム塩類(1−モルホリノカルボニル−3−
ピリジニオ)メタンスルホナートなど)やハロアミジニ
ウム塩類(1−(1−クロロ−1−ピリジノメチレン)
ピロリジニウム2−ナフタレンスルホナートなど)も硬
化速度が早く優れている。
本発明のハロゲン化銀写真乳剤を用いたカラー写真感
光材料は、RD.No.17643の28〜29頁、および同No.18716
の651左欄〜右欄に記載された通常の方法によって現像
処理することができる。
本発明のハロゲン化銀写真乳剤を用いたカラー写真感
光材料は、現像、漂白定着もしくは定着処理の後に通常
水洗処理又は安定化処理を施す。
水洗工程は2槽以上の槽を向流水洗にし、節水するの
が一般的である。安定化処理としては水洗工程のかわり
に特開昭57-8543号記載のような多段向流安定化処理が
代表例として挙げられる。
〔実施例〕
以下に実施例を挙げて本発明をさらに説明する。
実施例−1 ヨウ臭化銀微粒子乳剤1−A 0.126Mの臭化カリウムを含有する2.0重量%のゼラチ
ン溶液2.6lに、それを攪拌しながら、ダブルジェット法
で1.2Mの硝酸銀溶液と、0.9Mの臭化カリウムと0.3Mのヨ
ウ化カリウムを含むハロゲン塩水溶液を各1200mlを15分
間かけて添加した。この間ゼラチン溶液は35℃に保たれ
た。この後乳剤を、常法のフロキユレーション法で洗浄
しゼラチン30gを加え、溶解した後pH6.5、pAg8.6に調整
した。得られたヨウ臭化銀微粒子(ヨウ化銀含量25%)
は平均粒子サイズは0.05μmであった。
ヨウ臭化銀八面体コア乳剤1−B〈本発明〉 0.05Mの臭化カリウムを含有する1.5重量%のゼラチン
溶液1.2lにそれを攪拌しながら0.5% 3,6−ジチアオク
タン−1,8−ジオールを60ml添加し75℃に保った反応容
器に、ヨウ臭化銀微粒子乳剤1−A 100g(硝酸銀で10g
に相当する銀を含む)に水を270ml添加して溶解した乳
剤を10分間で添加して、核形成を行った。得られたヨウ
臭化銀八面体核粒子は0.5μmであった。
ひき続き微粒子乳剤1−A 1000g(硝酸銀で100gに相
当する銀を含む)100分間かけて反応容器に連続的に添
加した。この後、乳剤を35℃に冷却し、常法のフロキユ
レーション法により水洗し、ゼラチン70gを加えてpH6.
2、pAg8.8に調整した。得られたコア乳剤粒子は平均投
影面積円相当径1.2μmの八面体ヨウ臭化銀乳剤であっ
た(ヨウ化含有率25モル%)。
ヨウ臭化銀八面体コア乳剤1−C〈本発明〉 0.05Mの臭化カリウムを含有する1.5重量%のゼラチン
溶液1.2lにそれを攪拌しながら0.5% 3,6−ジチアオク
タン−1,8−ジオールを20ml添加し、反応容器を75℃に
保った。反応容器のそばに設けられた混合器に0.59Mの
硝酸銀水溶液100ml及び0.44Mの臭化カリウムと0.148Mの
ヨウ化カリウムを含むハロゲン塩水溶液100ml及び2重
量%のゼラチン水溶液300mlを5分間かけてトリプルジ
ェット法で添加した。混合器の温度は20℃で攪拌翼の回
転数は6000r.p.mであった。得られた微粒子は直接法透
過型電子顕微鏡で2万倍の倍率で確認したところ0.01μ
mであった。混合器で生成した微粒子は連続的に75℃に
保たれた反応容器に導入された。得られたヨウ臭化銀八
面体核粒子(ヨウ化銀含有25モル%)は0.5μmであっ
た。ひき続き75℃において混合器に1M硝酸銀水溶液600m
lと0.75M臭化カリウムと0.25ヨウ化カリウムを含む溶液
600mlと2重量%ゼラチン800mlをトリプルジェットで混
合器に添加した。形成された微粒子は0.02μmのサイズ
で連続的に反応容器に添加された。このとき混合器20℃
に保された。乳剤1−Bと同様に水洗し同じpH,pAgに調
節した。得られたコア乳剤粒子は平均投影面積円相当径
が1.2μmの八面体ヨウ臭化銀乳剤であった(ヨウ化銀
含有率25モル%)。
ヨウ臭化銀八面体コア乳剤1−D〈比較乳剤〉 0.06Mの臭化カリウムを含有する3.0重量%のゼラチン
溶液1.2lに、それを攪拌しながら、0.5% 3,6−ジチア
オクタン−1,8−ジオール溶液50mlを添加し、75℃に保
った反応容器に0.3M硝酸銀溶液を50ccと0.063Mのヨウ化
カリウムと0.19Mの臭化カリウムを含むハロゲン塩水溶
液を50ccをダブルジェット法により、3分間かけて添加
した。これにより、投影面積円相当径0.5μmのヨウ化
銀含量25モル%のヨウ臭化銀粒子を得ることにより核形
成を行った。続いて同様に75℃において、1M硝酸銀水溶
液600mlと0.75M臭化カリウムと0.25Mヨウ化カリウムを
含む溶液600mlをダブルジェットで反応容器に添加し同
様に水洗し乳剤1−Bと同じpH,pAgに調節した。得られ
たコア乳剤粒子は平均投影面積円相当径が1.2μmの八
面体ヨウ臭化銀乳剤であった(ヨウ化銀含有率25モル
%)。乳剤1−B、1−C、1−Dの微視的なヨウド分
布を調べる為、前に述べたKα線を用いて(420)面の
X線回折を測定した。その際同一サイズの純臭化銀乳剤
のX線回折測定も行った。結果を表−1に示す。
表−1の(A−B)の値がヨウドの不均一分布を示し
ており本発明の乳剤粒子1−B、1−Cは比較乳剤1−
Dに比べ半値巾が小さく、1/2以下であることが解る。
実施例−2 実施例−1で得られたコア乳剤に60℃で、pAg9.0にお
いてダブルジェットで純AgBrのシェルを形成した。シェ
ル形成の内容を表−2に示す。
得られた乳剤2−A〜2−Fをチオ硫酸ソーダと塩化
金酸カリウム及びチオシアン酸カリウムで最適に化学増
感し、下記の化合物を加え下塗層を有するトリアセチル
セルロースフィルム支持体上に塗布した。
(1) 乳剤層 ・ 乳剤……第2表に示す乳剤 ・ カプラー ・ トリクレジルフォスフェート ・ 増感色素 5−クロロ−5′−フェニル−4−エチ
ル−3,3′−(3−スルホプロピル)オキサカルボシア
ニンナトリウム ・ 安定剤 4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−
テトラザインデン ・ 塗布助剤 ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム (2) 保護層 ・ 2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン
ナトリウム塩 ・ ゼラチン これらの試料にセンシトメトリー用露光を与え、次の
カラー現像処理を行った。
処理済の試料を緑色フィルターで濃度測定した。得ら
れた写真性能の結果を第3表に示した。
ここで用いた現像処理は下記の条件で38℃で行った。
1.カラー現像……2分45秒 2.漂 白……6分30秒 3.水 洗……3分15秒 4.定 着……6分30秒 5.水 洗……3分15秒 6.安 定……3分15秒 各工程に用いた処理液組成は下記のものである。
カラー現像液 ニトリロ三酢酸ナトリウム 1.0g 亜硫酸ナトリウム 4.0g 炭酸ナトリウム 30.0g 臭化カリ 1.4g ヒドロキシルアミン硫酸塩 2.4g 4−(N−エチル−N−βヒドロキシ エチルアミノ)−2−メチル− アニリン硫酸塩 4.5g 水を加えて 1 15 漂白液 臭化アンモニウム 160.0g アンモニア水(28%) 25.0ml エチレンジアミン−四酢酸 ナトリウム塩 130g 氷酢酸 14ml 水を加えて 1 定着液 テトラポリリン酸ナトリウム 2.0g 亜硫酸ナトリウム 4.0g チオ硫酸アンモニウム(70%) 175.0g 重亜硫酸ナトリウム 4.6g 水を加えて 1 安定液 ホルマリン 8.0ml 水を加えて 1 表−3の結果から解るように本発明の乳剤は比較乳剤
に比べ感度が高い。
実施例−3 塩臭化銀微粒子乳剤3−A 0.01Mの臭化カリウムと0.05Mの塩化ナトリウムを含有
する2.3重量%のゼラチン溶液1.3lにそれを攪拌しなが
らダブルジェット法で1.2Mの硝酸銀ミス溶液と0.72Mの
臭化カリウムと1.0Mの塩化ナトリウムを含むハロゲン塩
水溶液を各々600mlを25分かけて添加した。この間反応
容器内のゼラチン溶液は35℃に保たれた。この後乳剤
を、常法のフロキュレーション法で洗浄し、ゼラチン30
gを加え、溶解した後pHを6.5に調節した。得られた塩臭
化銀微粒子(塩化銀含量40%)は平均粒子サイズは0.09
μmであった。
塩臭化銀立方体粒子乳剤3−B(比較乳剤) 0.065Mの臭化カリウムと0.3Mの塩化ナトリウムを含有
する3.0重量%のゼラチン溶液1.2lにそれを攪拌しなが
ら、1%N−N′−ジメチルイミダゾリン−2−チオン
溶液を4.5ml加え75℃に保った反応容器に0.3M硝酸銀溶
液を50ccと0.18Mの臭化カリウムと0.8Mの塩化ナトリウ
ムを含むハロゲン塩水溶液50ccをダブルジェット法によ
り3分間かけて添加した。
これにより0.28μmの塩化銀含量40モル%の塩臭化銀
粒子を得ることにより核形成を行った。続いて同様に75
℃において100分間で150gの硝酸銀を含む水溶液800ccと
63gの臭化カリウムと43gの塩化ナトリウムを含む水溶液
800ccをダブルジェットで同時に添加した。この後、乳
剤を35℃に冷却し常法のフロキユレーション法により水
洗し、ゼラチン70gを加えてpH6.2、pAg7.8に調整した。
この粒子は1.1μmの塩化銀含量40モル%の塩臭化銀立
方体粒子であった。
塩臭化銀立方体粒子乳剤3−C(本発明) 0.065Mの臭化カリウムと0.3Mの塩化ナトリウムを含有
する0.5重量%のゼラチン水溶液1.0lにそれを攪拌しな
がら1%N−N′−ジメチルイミダゾリン−2−チオン
溶液を4.5ml添加し、75℃で微粒子乳剤3−Aをポンプ
で反応容器に添加した。添加速度は硝酸銀量に換算して
2.55gに相当する微粒子乳剤を10分間かけて添加した。
その後ひき続き75℃において微粒子乳剤3−Aをポン
プで反応容器に添加した。添加速度は硝酸銀量に換算し
て150gになるように微粒子乳剤を100分間かけて添加し
た。その際塩化ナトリウム20gをあらかじめ微粒子乳剤
に溶解した。この後、乳剤を乳剤1−Bと同様に水洗し
40℃でpH6.5、pAg7.8に調整した。得られた粒子は1.1μ
mの塩化銀含量が40モル%の塩臭化銀立方体粒子であっ
た。
塩臭化銀八面体粒子乳剤3−D〈本発明〉 乳剤3−Cと同様に核形成を行った後、この種晶の成
長を第1図に示すように、反応容器のそばに設けられた
強力かつ効率のよい混合器に、100分間で150gの硝酸銀
を含む水溶液800ccと63gの臭化カリウムと43gの塩化ナ
トリウムを含む水溶液800ccと10重量%の低分子量ゼラ
チン(平均分子量2万)水溶液800ccをトリプルジェッ
トで添加した。混合器で攪拌され反応して生成した極微
粒子(平均サイズ0.02μm)は、混合器からただちに反
応容器に連続的に導入された。この間混合器の温度は25
℃に保たれ、反応容器の温度は75℃に保たれた。
この後乳剤を乳剤1−Bと同様に水洗し40℃において
pH6.5、pAg7.8に調整した。この粒子は1.1μmの塩化銀
含量40モル%の塩臭化銀立方体粒子であった。
乳剤3−B、3−C、3−Dを3g銀/m2になるようフ
ィルムベース支持体に塗布し、ハライドの微視的分布を
調べる為、前に述べたKα線を用いて(420)面のX線
回折を測定した。その際同一サイズの純塩化銀及び純臭
化銀のX線回折も行った。結果を表−4に示す。
表−4の(A−B)の値がハライド(塩化銀、臭化
銀)の微視的不均一を示しており、本発明の乳剤粒子3
−C、3−Dは比較乳剤3−Bに比べ半値巾が非常に小
さくほぼ臭化銀(塩化銀)のそれに近い。
実施例−4 実施例−3で得られたコア−乳剤を60℃で反応容器に
保持し攪拌しながら1M硝酸銀水溶液と1M臭化カリウム水
溶液をダブルジェットで添加し臭化銀シェルを形成し
た。シェル形成の内容を表−5に示す。
得られた乳剤4−A〜4−Fをチオ硫酸ソーダと塩化
金酸カリウム及びチオシアン酸カリウムで最適に化学増
感し、実施例−2で述べたと同様に塗布サンプルを作製
した。実施例−2と同様のセンシトメトリーを行って得
られた結果を表−6に示す。
表−6の結果から解るように本発明の乳剤は比較乳剤
に比べ感度が高い。
〔発明の効果〕
かくして得られた本発明のハロゲン化銀乳剤を含有す
るハロゲン化銀写真感光材料は、該乳剤に含有されるハ
ロゲン化銀コア粒子が完全に均一なハライド分布を有
し、感度、階調、粒状、性、シャープネス、解像力、カ
バリングパワー、保存性、潜像安定性及び圧力性におい
て優れた特性をもつことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図及び第2図はハロゲン化銀粒子の均一性を表わす
X線回折であり、そのたて軸はX線回折プロファイルの
半値巾を表わし、横軸はハロゲン化銀粒子のハロゲン組
成を表わす。 第3図は本発明の方法を模式的に表わしたものである。 第4図は本発明における混合器の詳細図である。 第5図は沃臭化銀相のヨウド分布が完全に均一ではない
従来型の平板状ハロゲン化銀粒子の結晶構造を示す透過
型電子顕微鏡写真であり、その倍率は、37,000倍であ
る。 第6図は沃臭化銀相のヨウド分布が完全に均一である本
願発明の平板状ハロゲン化銀粒子の結晶構造を示す透過
型電子顕微鏡写真であり、その倍率は、37,000倍であ
る。 1:反応容器 2:保護コロイド水溶液 3:プロペラ 4:ハロゲン塩水溶液添加系 5:銀塩水溶液添加系 6:保護コロイド添加系 7:混合器 8:反応容器への導入系 9:攪拌翼 10:反応室

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持体上に少なくとも1層のハロゲン化銀
    乳剤層を有するハロゲン化銀写真感光材料において、該
    ハロゲン化銀乳剤層に含有される感光性ハロゲン化銀粒
    子が、該粒子の内部が少なくとも2種のハロゲン化銀を
    含有する少なくとも1つの相から成り、そのハライド分
    布が完全に均一であり、かつ該粒子の表面が該表面に隣
    接する粒子の内部とハライド組成が異なるハロゲン化銀
    (但し、表面の塩化銀含有率が内部の塩化銀含有率より
    も高い場合を除く)であることを特徴とするハロゲン化
    銀写真感光材料。
  2. 【請求項2】支持体上に少なくとも1層のハロゲン化銀
    乳剤層を有するハロゲン化銀写真感光材料において、該
    ハロゲン化銀乳剤層に含有される感光性ハロゲン化銀粒
    子が、該粒子の核形成及び/又は結晶成長を起こさせる
    反応容器中に、予め調製した粒径0.1μm以下の微細な
    サイズのハロゲン化銀を添加し、一旦溶解して消失させ
    た後該反応容器中で核形成及び/又は結晶成長させたハ
    ロゲン化銀粒子の外側に、それとはハライド組成の異な
    るハロゲン化銀(但し、表面の塩化銀含有率が内部の塩
    化銀含有率よりも高い場合を除く)を有する粒子である
    ことを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
  3. 【請求項3】支持体上に少なくとも1層のハロゲン化銀
    乳剤層を有するハロゲン化銀写真感光材料の製造方法に
    おいて、該ハロゲン化銀乳剤層に含有される感光性ハロ
    ゲン化銀粒子を、感光性ハロゲン化銀粒子の核形成及び
    /又は結晶成長を起こさせる反応容器の外に設けられた
    混合器において粒径0.1μm以下の微細なサイズのハロ
    ゲン化銀を水溶性銀塩の水溶液と水溶性ハライドの水溶
    液を混合して形成し、かつ形成後ただちに該反応容器中
    に供給し、一旦溶解して消失させた後感光性ハロゲン化
    銀粒子を核形成及び/又は結晶成長させ、さらにその外
    側にそれとはハライド組成の異なるハロゲン化銀(但
    し、表面の塩化銀含有率が内部の塩化銀含有率よりも高
    い場合を除く)を形成することにより、得ることを特徴
    とするハロゲン化銀写真感光材料の製造方法。
JP1033541A 1989-02-15 1989-02-15 ハロゲン化銀写真感光材料及びその製造方法 Expired - Fee Related JP2587287B2 (ja)

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