JP2587288C - - Google Patents

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JP2587288C
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Fujifilm Holdings Corp
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Fuji Photo Film Co Ltd
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は写真の分野において有用なハロゲン化銀写真感光材料およびその製造
方法に関する。さらに詳しくは高感度で粒状性の細かいハロゲン化銀写真感光材
料およびその製造方法に関する。 〔従来技術〕 写真用のハロゲン化銀乳剤に求められる基本性能は高感度でかぶりが低くかつ
粒状が細かいことである。 乳剤の感度を高めるためには、(1)一つの粒子に吸収される光子数を増加させ
ること、(2)光吸収により発生した光電子が銀クラスター(潜像)に変換する効
率を高めること、及び(3)できた潜像を有効に利用するために現像活性を高める
必要がある。大サイズ化は一つの粒子の吸収光子数を増加させるが、画質を低下
させる。現像活性を高めることも感度を高めるのに有効な手段であるが、カラー
現像のようなパラレル型の現像の場合には一般に粒状悪化を伴なう。粒状悪化を
伴なわずに感度増加させるには光電子を潜像に変換する効率を高めることつまり
量子感度を高めることが一番好ましい。量子感度を高めるためには再結合、潜像
分散などの非効率過程をできるだけ除去する必要がある。現像活性のない小さな
銀核をハロゲン化銀の内部あるいは表面に作る還元増感の方法が再結合を防止す
るのに有 効であることが知られている。 また、ジェイムズ(James)らは、金・硫黄増感した乳剤の塗布膜を真空脱気さ
せたのち、水素ガスの雰囲気下で熱処理するという一種の還元増感を行なうと、
通常の還元増感と比較して低いかぶりレベルで感度増加できることを見い出した
。この増感法は水素増感として良く知られており実験室規模では高感化手段とし
て有効である。さらに天体写真の分野では水素増感が実際に用いられている。 還元増感の試みは古くから検討されている。Carroll(キャロル)は米国特許第2
,487,850号において錫化合物が、Lowe(ロウエ)らは同2,512,925号においてポ
リアミン化合物が、Fallens(ファーレンス)らは英国特許第789,823号において2
酸化チオ尿素系の化合物が還元増感剤として有用であることを開示した。さらに
Collier(コリアー)は Photographic Science and Engineering 23巻 113ぺージ(
1979)において色々な還元増感方法によって作られた銀核の性質を比較している
。彼女はジメチルアミンボラン、塩化第一錫、ヒドラジン、高いpH熟成、低pAg
熟成の方法を採用した。還元増感の方法はさらに米国特許第2,518,698号、同3,2
01,254号、同3,411,917号、同3,779,777号、同3,930,867号にも開示されている
。還元増感剤の選択だけでなく還元剤の使用方法に関して特公昭57-33572号、同
58-1410号、特開昭57-179835号などに開示されている。さらに還元増感した乳剤
の保存性を改良する技術に関しても特開昭57-82831号、同60-178445号に開示さ
れている。このように多くの検討がなされてきたにもかかわらず感光材料を真空
下で水素ガス処理する水素増感と比較して感度上昇幅が不十分であった。このこ
とはJournal of Imaging Science 29 巻 233ページ(1985)にMoisar(モイザー)
らによって報告されている。 還元増感の従来技術では最近の高感度・高画質の写真感光材料を求める要求に
対しては不十分であった。また水素増感という手段も水素増感後、感光材料を空
気中に放置すると増感効果を失ってしまうという欠点を有している。従って、特
別の装置を用いることができない写真感光材料の場合には、この増感法を利用す
ることは困難である。 高感度のハロゲン化銀写真感光材料に用いられる感光性ハロゲン化銀粒子は、
粒子表面を金−硫黄増感されるのが一般的であり、また、還元増感と金増感を併
用すると顕著なかぶり形成がひきおこされるため、粒子内部の還元増感に重点を おいた検討も数多く行われてきた。 一方、従来の写真用ハロゲン化銀粒子の調製方法は、一般的には反応容器中の
コロイド水溶液において、銀塩水溶液とハロゲン塩水溶液とを反応させることに
より製造される。反応容器中にゼラチンのような保護コロイド及びハロゲン塩水
溶液を入れ、攪拌しながら、これに銀塩水溶液をある時間添加するシングルジェ
ット法や、反応容器中にゼラチン水溶液を入れ、ハロゲン塩水溶液と銀塩水溶液
とをそれぞれある時間添加するダブルジェット法が知られている。両者を比較す
ると、ダブルジェット法の方が粒子径分布の狭いハロゲン化銀粒子が得られ、さ
らに粒子の成長に伴って、そのハライド組成を自由に変えることができる。 また、ハロゲン化銀粒子の成長速度は、反応溶液中の銀イオン(ハロゲンイオ
ン)濃度、ハロゲン化銀溶剤の濃度、粒子間距離、粒子サイズなどにより大きく
変化することが知られている。特に反応容器に添加される銀塩水溶液とハロゲン
塩水溶液によってつくり出される銀イオンあるいはハロゲンイオン濃度の不均一
は、各々の濃度により成長速度が異なり、結果として出き上るハロゲン化銀乳剤
に不均一に生ぜしめる。この為には、反応容器中の銀イオンあるいはハロゲンイ
オン濃度を均一にすべく、コロイド水溶液中に供給する銀塩水溶液とハロゲン塩
水溶液とを迅速に均一混合して反応させることが必要である。しかしながら従来
のハロゲン塩水溶液と銀塩水溶液とを反応容器中のコロイド水溶液の表面に添加
する方法では、各々の反応液の添加位置近傍において、ハロゲンイオン及び銀イ
オンの濃度の高い部分が生じ、均一なハロゲン化銀粒子を製造することは困難で
あった。この局部的な濃度のかたよりを改良する方法として、米国特許第341565
0号、英国特許第1323464号、米国特許第3692283号に開示された技術等が知られ
ている。これらの方法は、コロイド水溶液により満たされた反応容器に中太状円
筒の壁にスリットを有する中空の回転する混合器(内部はコロイド水溶液で満さ
れており、より好ましくは混合器がディスクによって上下2室に分割されている
。)を、その回転軸が鉛直となるように設け、その上下の開放端からハロゲン塩
水溶液と銀塩水溶液とを供給管を通じて高速回転している混合器内に供給し急速
に混合して反応せしめ(上下の分離ディスクがある場合は、上下2室に供給され
たハロゲン塩水溶液と銀塩水溶液は各々各室に満たされたコロイド水溶液によっ
て希釈され、混合器の出口スリット付近で急速に混合して反応せしめ)、混合器
の回 転により生ずる遠心力で生成したハロゲン化銀粒子を反応容器中のコロイド水溶
液に排出せしめ成長させる方法である。 一方、特公昭55-10545号に、局部的な濃度のかたよりを改良して不均一な成長
を防ごうとする技術が開示されている。この方法は、コロイド水溶液が満たされ
ている反応器中に、その内部にコロイド水溶液満された混合器のその開放された
下端部から、ハロゲン塩水溶液と銀塩水溶液とを供給管を通じて、別々に供給し
、該反応液を、混合器に設けられた下部攪拌翼(タービン羽根)によって両反応
液を急激に攪拌混合せしめハロゲン化銀を成長させ、ただちに前記攪拌翼の上方
に設けられた上部攪拌翼により成長したハロゲン化銀粒子を、上方の混合器の開
口部から反応容器中のコロイド水溶液に排出せしめる技術である。 特開昭57-92523号には、同様にこの濃度の不均一を改良しようとする製造法が
開示されている。この方法では、コロイド水溶液が満たされている反応容器内に
その内部にコロイド水溶液が満たされた混合器に、その開放された下端部からハ
ロゲン塩水溶液と銀塩水溶液とを別々に供給し、該両反応液を前記コロイド水溶
液により希釈し該反応液を、混合器に設けられた下部攪拌翼によって両反応液を
急激に攪拌混合せしめ、ただちに該混合器上方の開放部から成長したハロゲン化
銀粒子を反応容器中のコロイド水溶液に排出せしめる製造法ないし装置において
前記コロイド水溶液で希釈された両反応液を前記攪拌翼の各翼間の間隙を通すこ
となく前記混合器の内側壁と前記攪拌翼の翼片先端側外方に形成された間隙部に
通し、該間隙部において該両反応液を急激に剪断混合して反応、ハロゲン化銀粒
子を生成せしめる製造法及び装置が開示されている。 しかしながら、これまで述べてきた製造法及び装置では、確かに反応容器中の
銀イオン及びハロゲンの局部的な濃度の不均一は完全に解消することはできるが
、混合器内においては依然としてこの濃度の不均一は存在し、特に銀塩水溶液及
びハロゲン塩水溶液を供給するノズルの近傍及び攪拌翼の下部及び攪拌部分にお
いてかなり大きな濃度分布が存在する。さらに保護コロイドと共に混合器に供給
されたハロゲン化銀粒子は、このような不均一な濃度分布をもった場所を通過し
、特に大切なことは、ハロゲン化銀粒子は、これらの部分において急速に成長す
る。つまりこれらの製造法及び装置においては、濃度分布は混合器内に存在し、
粒子成長はその混合器内で急速に起る為、濃度分布のない状態でハロゲン化銀を
均一 に成長せしめるという目的は達し得ていない。 さらにより完全な混合によるこれらの銀イオン、ハロゲンイオンの濃度の不均
一分布を解消すべく、反応容器と混合器をそれぞれ独立せしめ、混合器に銀塩水
溶液とハロゲン塩水溶液を供給し急速混合してハロゲン化銀粒子を成長せしめる
試みがなされてきた。例えば特開昭53-37414号及び特公昭48-21045号には、反応
容器の底からポンプにより反応容器内の保護コロイド水溶液(ハロゲン化銀粒子
を含む)を循環し、この循環系の途中に混合器を設け、この混合器に銀塩水溶液
及びハロゲン水溶液を供給し、該混合器で急速に該両水溶液を混合しハロゲン化
銀粒子を成長せしめる製造法及び装置が開示されている。また米国特許第389793
5 号には、反応容器の底からポンプにより反応容器内の保護コロイド水溶液(ハ
ロゲン化銀粒子を含む)を循環し、この循環系の途中にハロゲン塩水溶液及び銀
塩水溶液をポンプにより注入する方法が開示されている。特開昭53-47397号には
、反応容器からポンプにより反応容器内の保護コロイド水溶液(ハロゲン化銀乳
剤を含む)を循環させ、その循環系にまずハロゲン化アルカリ金属塩水溶液を注
入しそれが均一になるまで拡散させ、しかる後にこの系に銀塩水溶液を注入し混
合して、ハロゲン化銀粒子を形成することを特徴とする製造法及び装置が開示さ
れている。 〔発明が解決しようとする課題〕 これ等の方法では確かに、循環系に流す反応容器内の水溶液の流量と混合器の
攪拌効率を独立に変化させることができ、より濃度分布が均一な条件で粒子成長
を行うことができるであろうが、結局、保護コロイド水溶液と共に反応容器から
送られてきたハロゲン化銀結晶は銀塩水溶液、ハロゲン塩水溶液の注入口で急速
成長を起す。従って前に述べたと同様に混合部あるいは注入口付近の濃度分布を
無くすることは原理的に不可能であり、つまり濃度分布のない状態でハロゲン化
銀を均一に成長せしめる目的は達し得ない。 以上に述べたように、従来の写真用ハロゲン化銀粒子の調製方法においては、
粒子成長がおきる領域での銀イオン濃度の不均一さは不可避であった。このよう
な銀イオン濃度の不均一さは、それ自身が反応容器中の還元的雰囲気の不均一さ
となるばかりでなく、還元剤を併用した場合にはそれらによる銀核形成反応の不
均一さの原因となる。なぜならば、銀核形成反応は一般にnAg++ne-→Agn と表 わすことができるが、粒子成長のおきる領域内に銀イオン濃度の不均一さが存在
するということはとりもなおさず、前記の銀核形成反応を表わす式の左辺が粒子
成長のおきる領域内で場所により異なることを意味しているからである。 本発明の目的は高感度で粒状のよい乳剤、そして高感度でかぶりの少ない乳剤
の製造法を提供することである。また、第2の目的は高感度で粒状のよい写真感
光材料そして高感度でかぶりの少ない写真感光材料を提供することである。 〔課題を解決するための手段〕 本発明の目的は鋭意検討の結果、下記により達成できることがわかった。 (1) 支持体上に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀写真
感光材料において、該ハロゲン化銀乳剤層に含有される感光性ハロゲン化銀粒子
が、該粒子の核形成及び/又は結晶成長を起させる反応容器中に、予め調製した
粒径0.2 μm以下の微細なサイズのハロゲン化銀粒子を、還元増感しうる条件下
において添加し、該微細なサイズのハロゲン化銀粒子を一旦全て溶解して消失さ
せた後、該反応容器中で核形成及び/又は結晶成長させることにより得られた感
光性ハロゲン化銀粒子であることを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。 (2) 微細なサイズのハロゲン化銀粒子が、感光性ハロゲン化銀粒子の核形成及び
/又は結晶成長を起させる反応容器の外に設けられた混合器において水溶性銀塩
の水溶液及び水溶性ハライドの水溶液を混合して形成され、かつ形成後ただちに
該反応容器中に供給することにより該感光性ハロゲン化銀粒子の核形成及び/又
は結晶成長に供されることを特徴とする上記(1)記載のハロゲン化銀写真感光材
料。 (3) 還元増感しうる条件下にさらに酸化剤および/または抑制剤をも存在させる
ことを特徴とする上記(1)又は(2)記載のハロゲン化銀写真感光材料。 (4) ヨウ化銀含量が3モル%以上40モル%以下のヨウ臭化銀であることを特徴
とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料。 (5) ハロゲン組成が塩臭化銀、塩ヨウ化銀または塩ヨウ臭化銀であることを特徴
とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料。 (6) 支持体上に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀写真
感光材料の製造方法において、該ハロゲン化銀乳剤層に含有される感光性ハロゲ
ン化銀粒子を、該粒子の核形成及び/又は結晶成長を起させる反応容器中に、予
め調製した粒径0.2 μm以下の微細なサイズのハロゲン化銀粒子を、還元増感し うる条件下において添加し、一旦溶解して消失させた後、該反応容器中で核形成
及び/又は結晶成長させることにより得ることを特徴とするハロゲン化銀写真感
光材料の製造方法。 (7) 微細なサイズのハロゲン化銀粒子が、感光性ハロゲン化銀粒子の核形成及び
/又は結晶成長を起させる反応容器の外に設けられた混合器において水溶性銀塩
の水溶液及び水溶性ハライドの水溶液を混合して形成され、かつ形成後ただちに
該反応容器中に供給することにより該感光性ハロゲン化銀粒子の核形成及び/又
は結晶成長に供されることを特徴とする上記(6)記載のハロゲン化銀写真感光材
料の製造方法。 (8) 還元増感しうる条件下にさらに酸化剤及び/又は抑制剤をも存在させること
を特徴とする上記(6)又は(7)記載のハロゲン化銀写真感光材料の製造方法。 (9) ヨウ化銀含量が3モル%以上40モル%以下のヨウ臭化銀であることを特徴
とする上記(6)〜(8)のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料の製造方法。 (10)ハロゲン組成が塩臭化銀、塩ヨウ化銀、塩ヨウ臭化銀であることを特徴とす
る上記(6)〜(8)のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料の製造方法。 以下本発明を詳細に説明する。 ハロゲン化銀乳剤の製造工程は粒子形成・脱塩・化学増感・塗布などの工程に
大別される。粒子形成は核形成・熟成・成長などに分れる。これらの工程は一律
に行なわれるものでなく工程の順番が逆になったり、工程が繰り返し行なわれた
りする。本発明においては、以上のうち粒子形成の一部または全部が「還元増感
しうる条件下」または「還元増感しうる条件下にさらに酸化剤および/または抑
制剤を存在させた条件下」に行われる(以下「還元増感する」と略記する)。粒
子形成は「核形成」と「成長」に大別されるが、「成長」はさらに結晶成長が起
きる反応容器に外部から結晶成長に供されるハロゲン化銀粒子が供給される狭義
の「成長」と、外部からのハロゲン化銀粒子の供給なしに進行する「熟成」に分
けることができる。本発明においては、還元増感しうる条件下で微細なサイズの
ハロゲン化銀粒子を添加して粒子成長させるのがよい。金増感を併用する化学増
感を行なう場合には、好ましくないかぶりを生じないように化学増感に先立って
還元増感を行なうのが好ましく、さらに好ましくは、還元増感は粒子内部に施こ
し金増感を行う表面には金増感との併用でかぶりを生じるような還元銀核を減少 させることが好ましい。 本発明の還元増感とはハロゲン化銀乳剤に公知の還元剤を添加する方法、銀熟
成と呼ばれるpAg1〜7の低pAg の雰囲気で成長させるあるいは熟成させる方法、
高pH熟成と呼ばれるpH8〜11の高pHの雰囲気で成長させるあるいは熟成させる方
法のいずれかを選ぶことができる。また2つ以上の方法を併用することもできる
。 還元増感剤を添加する方法は還元増感のレベルを微妙に調節できる点で好まし
い方法である。 還元増感剤として第一錫塩、アミンおよびポリアミン類、ヒドラジン誘導体、
ホルムアミジンスルフィン酸、アスコルビン酸誘導体、ハイドロキノン誘導体、
シラン化合物、ボラン化合物などが公知である。本発明にはこれら公知の化合物
から選んで用いることができ、また2種以上の化合物を併用することもできる。
還元増感剤として塩化第一錫、二酸化チオ尿素、ジメチルアミンボランが好まし
い化合物である。還元増感剤の添加量は乳剤製造条件に依存するので添加量を選
ぶ必要があるが、ハロゲン化銀1モル当り10-7〜10-3モルの範囲が適当である。
アスコルビン酸誘導体も還元増感剤として好ましい化合物であるが、この場合の
添加量はハロゲン化銀1モル当り5×10-5〜1×10-1モルの範囲が適当である。 還元増感剤は水あるいはアルコール類、グリコール類、ケトン類、エステル類
、アミド類などの溶媒に溶かし粒子形成中に添加される。あらかじめ粒子形成が
起きる反応容器に添加しておいてもよいし、粒子形成の適当な時期に添加しても
よい。また、粒子形成に伴なって還元増感剤の溶液を何回かに分けて添加しても
、連続して長時間添加してもよい。銀熟成を行うためにpAg を調整する可溶性銀
塩溶液や可溶性ハロゲン塩溶液、あるいは高pH熟成を行うためにpHを調整する酸
やアルカリの溶液の添加も前述の還元増感剤の溶液と同様に添加される。 本発明の還元増感においては、還元増感のレベルを調節する目的で還元剤と共
に酸化剤および/または抑制剤を共存させることができる。本発明で還元増感に
酸化剤および/または抑制剤を共存させるのは主に二つの目的により行われる。
第一の目的は、粒子形成の過程のうち、必要な時点で還元増感を実施するために
添加した還元剤を、還元増感が不必要になった時点で酸化剤および/または抑制
剤の添加により失活させ不必要な還元増感核を生ぜしめないということである。
第一の目的による酸化剤および/または抑制剤の使用により感光性ハロゲン化銀 粒子の中の還元増感核の分布を制御することが可能となる。酸化剤および/また
は抑制剤を用いる第二の目的は、低pAg や高pHの還元的雰囲気や還元剤により還
元増感を行うに際し、還元増感の程度(還元銀核のサイズや数により左右される
と考えられる)を調節し、最適な性能の実現に資することにある。 以上の目的に用いられる酸化剤としては、無機および有機化合物のどちらであ
ってもよい。適当な例は、ヨード、ヘキサシアノ鉄(III)塩、ブロモサクシン
イミド、キノン誘導体、過沃素酸塩、過硫酸塩、ペンタシアノニトロシル鉄酸塩
、N(m−ニトロベンジル)キノリニウムクロライド等がある。また、下記一般
式〔I〕〜〔III〕の化合物も本発明の酸化剤として好ましい。 〔I〕 R−SO2S−M 〔II〕 R−SO2S−R1 〔III〕 RSO2S−Lm−SO2S−R2 〔式中、R、R1、R2は同じでも異なってもよく、それぞれ脂肪族基、芳香族基又
はヘテロ環基を表わし、Mは陽イオンを表わす。Lは二価の連結基を表わし、m
は0又は1である。〕 一般式〔I〕、〔II〕又は〔III〕で表される化合物の具体例を以下にあげる
が、これらに限定されるわけではない。 さらに前述の目的のために使われる抑制剤としては無機及び有機化合物のどち
らであってもよく、たとえば、pAg の調整の為に用いる可溶性ハロゲン塩、又は
pHの調整のために用いる酸やアルカリ、及び当業界で云わゆる安定化剤として用
いられる有機化合物でハロゲン化銀粒子表面へ吸着しうる化合物(たとえばメル
カプト化合物、複素環化合物)が好ましく用いられる。 但し、ハロゲン化銀粒子表面へ吸着しうる化合物を用いる場合は、これらの化
合物によるハロゲン化銀粒子成長の抑制力の小さいものが好ましい。 以上述べた酸化剤および/または抑制剤を用いる方法を2つ以上組みあわせる
ことも好ましく行われる。 酸化剤や抑制剤の量やpAg、pHの選択は共存する還元剤の種類および量により
異なる。還元剤や酸化剤の酸化−還元電位や酸化剤を用いる目的に応じて選ばれ
るが、例えば還元増感の程度を調節する場合には、一般式〔I〕、〔II〕又は〔
III〕であらわされる化合物はハロゲン化銀1モル当り10-7から10-1モル添加す
るのが好ましい。さらに10-6から10-2、特には10-5から10-3モル/モルAgの添加
量が好ましい。 上述した酸化剤や抑制剤、pAg またはpHを調整するための化合物を写真乳剤の
製造工程中に添加せしめるには、写真乳剤に添加剤を加える場合に通常用いられ
る方法を適用できる。たとえば、水溶性の化合物は適当な濃度の水溶液とし、水
に不溶または難溶性の化合物は水と混和しうる適当な有機溶媒、たとえばアルコ
ール類、グリコール類、ケトノ類、エステル類、アミド類などのうちで、写真特
性に悪い影響を与えない溶媒に溶解し、溶液として、添加することができる。添
加する時期は、ハロゲン化銀乳剤の粒子形成中のどの段階で添加してもよい。酸
化剤および/または抑制剤を用いる第一の目的である不必要な還元増感の防止に
おいては、粒子形成中の還元増感が不必要になった時点で添加してやればよい。
酸化剤および/または抑制剤を用いる第二の目的である還元増感の程度の調節に
おいては、還元剤の添加や還元的雰囲気(pAg,pH)の設定の前に酸化剤および/
または抑制剤を添加することが好ましいが、同時あるいは、逆の順序になっても
よい。重要なことは還元増感が実質的に酸化剤および/または抑制剤の共存下で
進行するようにすることである。あらかじめ反応容器に添加してもよいし、粒子
形成の適当な時期に添加してもよい。粒子形成に伴なって酸化剤および/または 抑制剤の溶液を何回かに分けて添加しても連続して長時間添加してもよい。 還元増感の程度の調節のために用いられる酸化剤としては前記一般式〔I〕〜
〔III〕の化合物が好ましく、さらに好ましくは一般式〔I〕の化合物である。
可溶性ハロゲン塩の添加によるpAg の調整、酸の添加によるpHの調整も第二の目
的のために好ましく用いられる。また粒子成長に悪影響が出ないようにできるな
らば、粒子成長の起きる反応容器の温度を下げる等の手段を用いてもよい。 次に本発明のハロゲン化銀粒子の製造法について述べる。 該粒子の核形成及び/又は結晶成長を起させる反応容器中に予め調製した微細
なサイズのハロゲン化銀粒子を添加することにより該反応容器中でハロゲン化銀
粒子の核形成及び/又は結晶成長を行なう。 即ち、本発明において重要なことは、反応容器には反応容器内の乳剤のpAg 調
節用を除いては、核形成及び/ 又は粒子成長の為には、銀塩水溶液及びハロゲン
塩水溶液の添加は全く行なわず、さらに反応容器内の保護コロイド水溶液(ハロ
ゲン化銀粒子を含む)の混合器への循環も全く行なわないことである。 本発明においては、予め調製した微細なサイズのハロゲン化銀粒子を該反応容
器中に添加することにより、該反応容器において粒子の核を形成し、さらに結晶
成長させることができる。また、その反応容器中において従来公知の方法により
粒子の核を形成させておき、上記微細なハロゲン化銀微粒子を添加することによ
り結晶の成長を行なうこともできる。 微細なサイズのハロゲン化銀粒子を添加するより具体的な方法としては、以下
のものがある。 (1) 反応容器外の混合器からハロゲン化銀微粒子を供給する方法 核形成及び/又は結晶成長を起させる反応容器の外に設けられた混合器におい
て、水溶性銀塩の水溶液及び水溶性ハライドの水溶液を混合して形成された微粒
子をただちに該反応容器中に供給することにより、ハロゲン化銀コア粒子の核形
成及び/又は結晶成長を行う(以下A法と呼ぶ)。 かかる粒子形成法のシステムを第1図を例にして以下に示す。 第1図では、まず反応容器1は保護コロイド水溶液2を含有している。保護コ
ロイド水溶液は、回転シャフトにとりつけられたプロペラ3によって攪拌混合さ
れる。反応容器外の混合器7に銀塩水溶液、ハロゲン塩水溶液、及び保護コロイ ド水溶液を各々添加系、4,5及び6にて導入する。(この際、保護コロイド水
溶液は、ハロゲン塩水溶液及び/または銀塩水溶液にまぜて添加してもよい。)
混合器内でこれらの溶液を急速かつ強力に混合して、ただちに系8によって反応
容器1に導入する。第2図に混合器7の詳細を図示する。この混合器7はその中
に反応室10が設けられ、その反応室10の中に回転シャフト11にとりつけられた攪
拌翼9が設けられている。銀塩水溶液、ハロゲン塩水溶液及び保護コロイド水溶
液は三つの導入口(4、5、もう一つの導入口は図面から省略した。)から反応
室10に添加される。回転シャフトを高速で回転する(1000r.p.m 以上、好ましく
は2000r.p.m 以上、より好ましくは3000r.p.m 以上)ことにより、急速かつ強力
に混合し生成した極く微細な粒子を含む溶液は、ただちに外部への排出口8から
排出される。かくして混合器で反応して生成した極く微細な粒子は反応容器に導
入された後、その粒子サイズが微細である為、容易に溶解し再び銀イオンとハロ
ゲンイオンとなり、均一な粒子成長を起せしめる。この極く微細な粒子のハライ
ド組成は目的とするハロゲン化銀粒子のハライド組成と同一にしておく。反応容
器内に導入された極微粒子は、反応容器内の攪拌によって、反応容器内にばらま
かれ、かつ個々の微細粒子から、目的のハライド組成のハロゲンイオンと銀イオ
ンが放出される。ここで混合器で発生した粒子は極く微細であり、その粒子数は
非常に多く、そのような非常に多数の粒子から、各々銀イオン及びハロゲンイオ
ン(混晶成長の場合、目的のハロゲンイオン組成になっている。)が放出され、
かつそれが反応容器中の保護コロイド全体に亘って起る為、全く均一な核形成及
び/又は粒子成長を起すことができる。大切なことは銀イオン及びハロゲンイオ
ンは、水溶液としては、pAg 調節用以外は決して反応容器に添加しないこと及び
反応容器内の保護コロイド溶液を混合器に循環しないことである。ここにおいて
従来の方法とは全く異なり、この方法がハロゲン化銀粒子の均一成長において驚
くべき効果を挙げることができる。 混合器で形成された微粒子は、その溶解度が粒子サイズが微細である故非常に
高く、反応容器に添加されると溶解し、再び銀イオン及びハロゲンイオンとなり
、核を形成するか、あるいは反応容器に既にある粒子に沈積し粒子成長を起すが
その際、微粒子はその溶解度が高い故に混合器内で微粒子同志でいわゆるオスト
ワルド熟成を起してその粒子サイズが増大してしまう。微粒子のサイズが大きく
な ってしまうと、それだけ溶解度が低下し、反応容器中での溶解が遅くなり、粒子
成長の速度が著しく低下し、ある場合には最早溶解することなく、逆にそれ自身
が核となって成長を起してしまう。 本発明においては以下の三つの技術によってこの問題を解決した。 混合器で微粒子を形成した後、ただちにそれを反応容器に添加する。 本発明においては反応容器のごく近くに混合器を設けかつ混合器内の添加液の
滞留時間を短かくすることにより、従って生成した微粒子をただちに反応容器に
添加することによりこのオストワルド熟成が起らないようにした。具体的には混
合器に添加された液の滞留時間tは下記であらわされる。 本発明の製造法においてはtは10分以下、好ましくは5分以下、より好ましく
は1分以下、さらに好ましくは20秒以下である。かくして混合器で得られた微粒
子はその粒子サイズが増大することなく、ただちに反応容器に添加される。 混合器で強力かつ効率のよい攪拌を行なう。 ジェームス(T.H.James)ザ セオリー オブ ザ フォトグラフィック プロ
セスp.p.93には、「オストワルド熟成と並んでもう一つの形態は凝集(coalescen
ce)である。コアレッセンス熟成ではその前には遠く離れていた結晶が直接、接
触、ゆ着してより大きな結晶が生成するので粒子サイズが突然変化する。オスト
ワルド熟成とコアレッセンス熟成の両方とも沈積の終了後のみでなく、沈積中に
も起る。」ここに述べられているコアレッセンス熟成は特に粒子サイズが非常に
小さいときに起り易く、特に攪拌が不充分である場合起り易い。極端な場合は、
粗大な塊状の粒子を作ることすらある。本発明においては第2図に示すように密
閉型の混合器を用いている為、反応室の攪拌翼を高い回転数で回転させることが
でき従来のような開放型の反応容器ではできなかった(開放型では、高回転で攪
拌翼を回転させると遠心力で液がふりとばされ、発泡の問題もからんで、実用で きない)強力かつ効率のよい攪拌混合を行うことができ上記のコアレッセンス熟
成を防止でき、結果として非常に粒子サイズの小さい微粒子を得ることができる
。本発明においては攪拌翼の回転数は1000r.p.m 以上、好ましくは2000r.p.m 以
上、より好ましくは3000r.p.m 以上である。 保護コロイド水溶液の混合器への注入 前述のコアレッセンス熟成はハロゲン化銀微粒子の保護コロイドによって顕著
に防ぐことができる。本発明においては保護コロイド水溶液の混合器への添加は
下記の方法による。 (a) 保護コロイド水溶液を単独で混合器に注入する。 保護コロイドの濃度は0.2重量%以上、好ましくは0.5重量%がよく、流量は、
硝酸銀溶液とハロゲン塩水溶液の流量の和の少なくとも20%、好ましくは少なく
とも50%、より好ましくは100%以上である。 (b) ハロゲン塩水溶液に保護コロイドを含有せしめる。 保護コロイドの濃度は、0.2 重量%以上、好ましくは0.5 重量%以上である。 (c) 硝酸銀水溶液に保護コロイドを含有せしめる。 保護コロイドの濃度は0.2 重量%以上、好ましくは0.5 重量%以上である。ゼ
ラチンを用いる場合、銀イオンとゼラチンでゼラチン銀を作り、光分解及び熱分
解して銀コロイドを生成する為、硝酸銀溶液と保護コロイド溶液は使用直前に混
合する方がよい。 また、上記のa〜cの方法は、各々単独で用いてもよいしそれぞれ組み合せて
もよく、また、同時に三つを用いてもよい。 2) 予め調製したハロゲン化銀微粒子乳剤を添加する方法 本発明においては、あらかじめ調製した微細なサイズの粒子を有する微粒子ハ
ロゲン化銀乳剤を反応容器に添加して核形成及び/又は粒子成長を行う方法も用
いることができる(以下、「B法という」)。この際あらかじめ調製された乳剤
の粒子サイズが小さい方が良いことは前記と同様である。本方法においても、核
形成及び/又は粒子成長が起る反応容器には、反応容器内の乳剤のpAg 調節用以
外は反応容器に水溶性銀塩の水溶液及び水溶性ハライドの水溶液を全く添加しな
い。この予め調製された乳剤は反応容器に添加するに先立ち、予め水洗及び/又
は固化しておいてもよい。 本発明には保護コロイドとしてゼラチンが好ましく用いられる。 本発明に用いられるハロゲン化銀粒子に対して保護コロイド作用を有するゼラチ
ン以外の高分子化合物として下記のものが用いられる。 (a) ポリアクリルアマイドポリマー アクリルアマイドのホモポリマー、ポリアクリルアマイドとイミド化したポリ
アクリルアマイドの共重合物、アクリルアマイドとメタアクリルアマイドの共重
合物。 (b) アミノポリマー (c) チオエーテル基を有するポリマー 米国特許3615624号、同3860428号、同3706564号に示されるチオエーテル基を
有するポリマー。 (d) ポリビニルアルコール (e) アクリル酸ポリマー アクリル酸ホモポリマー、アミノ基を有するアクリル酸エステルポリマー、ハロ
ゲン化アクリル酸エステルポリマー。 (f) ヒドロキシキノリンを有するポリマー (g) セルローズ、でんぷん (h) アセタール (i) ポリビニルピロリドン (j) ポリスチレン また本発明に低分子量ゼラチンが用いられる。ゼラチンの平均分子量は30000
以下が良く、さらに好ましくは10000以下である。 これまで示してきた合成保護コロイド、天然物保護コロイド及び低分子量ゼラ
チンを用いれば、微粒子ハロゲン化銀粒子形成を通常のゼラチンを用いた場合に
比べて低温で行なうことができ、より小さい粒子サイズのハロゲン化銀を供給す
ることができる。用いられる保護コロイドの濃度については、A法においては混
合器に添加される保護コロイドの濃度は 0.2重量%以上、好ましくは1重量%以
上より好ましくは2重量%以上である。硝酸銀水溶液及び/又はハロゲン塩水溶
液に保護コロイドを含有せしめる場合はその濃度は 0.2重量%以上、好ましくは
1重量%以上、より好ましくは2重量%以上である。 またB法において、あらかじめ微粒子乳剤を調製する際の反応容器の保護コロ
イド水溶液の濃度は 0.2重量%以上、好ましくは1重量%以上、より好ましくは
2重量%以上である。 A法における混合器の温度は40℃以下好ましくは35℃以下、反応容器の温度は
50℃以上、好ましくは60℃以上、さらに好ましくは70℃以上である。B法におい
てはあらかじめ調製する微粒子乳剤の粒子形成温度は40℃以下、好ましくは35℃
以下であり、微粒子乳剤を添加する反応容器の温度は50℃以上、好ましくは60℃
以上さらに好ましく70℃以上である。 本発明によって用いられる微細なサイズのハロゲン化銀の粒子サイズは、粒子
をメッシュにのせそのまま透過型電顕によって確認でき、倍率は2万倍から4万
倍がよい。本発明の微粒子のサイズは0.2μm以下、好ましくは0.1μm以下、より
好ましくは0.05μm以下である。 前述したようにA法は微粒子形成後、ただちに反応容器に添加する 強力
な攪拌を行う 混合器に保護コロイド水溶液を注入する等の工夫により、B法
に比べてより小さいサイズの微粒子を供給できる。 本方法においては、ハロゲン化銀溶剤を反応容器に添加して使用すれば、さら
に高い微粒子の溶解速度及びさらに高い反応容器内の粒子の成長速度を得ること
ができる。 ハロゲン化銀溶剤としては、水溶性臭化物、水溶性塩化物、チオシアン酸塩、
アンモニア、チオエーテル、チオ尿素類などを挙げることができる。 例えばチオシアン酸塩(米国特許第2,222,264号、同2,448,534号、同3,320,069
号など)、アンモニア、チオエーテル化合物(例えば米国特許3,271,157号、同3,
574,628号、同3,704,130号、同4,297,439号、同4,276,347号など)、チオン化合
物(例えば特開昭53-144319号、同53-82408号、同55-77737号など)、アミン化合
物(例えば特開昭54-100717号など)、チオ尿素誘導体(例えば特開昭55-2982号
など)、イミダゾール類(例えば特開昭54-100717号など)、置換メルカプトテト
ラゾール(例えば特開昭57-202531号など)などを挙げることができる。 本発明によって得られる乳剤のハライド組成は、ヨウ臭化銀塩臭化銀、塩ヨウ
臭化銀、塩ヨウ化銀のいづれでもよく、本発明によれば、ハライドの微視的な分
布が均一な、すなわち「完全に均一」なハロゲン化銀混晶粒子が得られる。 「完全に均一」なハロゲン化銀乳剤粒子の一例として、ここでヨウ臭化銀相を
もつ平板状ヨウ臭化銀粒子について説明する。 ここに言う「完全に均一なヨウ化銀分布」とは、これまで取り扱われてきたヨ
ウ化銀分布とは全く異なり、より微視的な分布を言う。従来ヨウ臭化銀粒子にお
けるヨウ化銀分布を測定する手段として、分析電子顕微鏡(Analytical Electron
Micro-scopy)がよく用いられる。例えばキング(M.A.King)、ロレット(M.H.Lorr
etto)、マターナハン(T.J.Maternaghan)及びベリー(F.J.Berry)による「分析電
子顕微鏡(analytical electron microscopy)によるヨード分布の研究(ザ イ
ンベスティゲーション オブ アイオダイドディストリビューション バイアナ
リティカル エレクトロン マイクロスコピー)」プローグレス イン ベイシ
ック プリンシブルズ オブ イメージング システムズ、インターナショナル
コングレス オブフォトグラフィック サイエンス ケルン(Koln)、1986にお
いて、ヨウ臭化銀平板状粒子におけるヨウ化銀の含有量のトポグラフィーの結果
が記載されている。この研究において用いた電子線照射用プローブのサイズは50
Åであるが、実際には電子の弾性散乱によって電子線が広がってしまい、サンプ
ルの表面に照射される電子線のスポットの径は約 300Å位になってしまう。従っ
てこの方法ではそれよりこまかなヨウ化銀分布を測定することはできない。特開
昭58-113927にも同じ手法を用いてヨウ化銀分布が測定されているが、用いた電
子線スポットのサイズは0.2μであった。 従ってこれらの測定法によっては、より微視的な(100Åオーダーかそれ以下
の場所的変化)ヨウ化銀分布を明らかにすることは不可能である。この微視的な
ヨウ化銀の分布は、たとえば、ハミルトン(J.F.Hamilton) フォトグラフィック
サイエンス アンド エンジニアリング11巻、1967 p.p57や塩沢猛公、日本写
真学会35巻、4号 1972 p.p213 に記載の低温での透過型電子顕微鏡を用いた直
接的な方法により観察することができる。すなわち、乳剤粒子がプリントアウト
しないよう安全光下で取り出したハロゲン化銀粒子を電子顕微鏡観察用のメッシ
ュにのせ、電子線による損傷(プリントアウト等)を防ぐように液体窒素あるい
は液体ヘリウムで試料を冷却した状態で透過法により観察を行う。 ここで電子顕微鏡の加速電圧は、高い程、鮮明な透過像が得られるが、粒子厚
さ0.25μmでは200 Kvolt、それ以上の粒子厚さに対しては、1000Kvolt が良い。 加速電圧が高い程、照射電子線による粒子の損傷が大きくなるので液体窒素より
液体ヘリウムで試料を冷却した方が望ましい。 撮影倍率は試料となる粒子サイズによって、適宜変更し得るが、2万倍から4
万倍である。 このようにしてヨウ臭化銀平板状粒子の透過型電子顕微鏡写真を撮影するとヨ
ウ臭化銀相の部分に非常にこまかな年輪状の縞模様が観察される。この一例を第
3図に示す。ここで示した平板状粒子は、臭化銀平板粒子をコアとし、さらにヨ
ウ化銀10モル%のヨウ臭化銀のシェルをコアの外側に形成したものであり、その
構造はこの透過型電子顕微鏡写真で明確に知ることができる。すなわち、コア部
は臭化銀であり、当然均一であるから、均一なフラットな像が得られるのみであ
るが、一方ヨウ臭化銀相には、非常にこまかな年輪状の縞模様が明確に確認でき
る。この縞模様の間隔は非常にこまかく 100Åのオーダーからそれ以下であり、
非常に微視的な不均一性を示していることが解る。この非常にこまかな縞模様が
ヨウ化銀分布の不均一性を示すことは種々の方法で明らかにできるが、より直接
的にはこの平板状粒子をヨードイオンがハロゲン化銀結晶内を移動できる条件で
アニール(annealing)してやると(例えば250 ℃、3時間)、この縞模様が全く
消失してしまうことから、明らかに結論できる。 ここに述べてきた平板状ヨウ臭化銀乳剤粒子のヨウ化銀分布の不均一性を示す
年輪状の縞模様は先に引用した、特開昭58- 113927号に添付されている透過型電
子顕微鏡写真にも明確に観察されるしまた同様に先に引用したキング等の研究に
おける透過型電顕写真にもはっきりと示されている。これ等の事実から、これま
で、均一なヨウ化銀分布得るべく一定のヨウ化銀含量で調製されたヨウ臭化銀粒
子は、その製造の意図とは全く反して、非常に微視的なヨウ化銀の不均一分布を
持っておりこれまで、それを均一化する技術も開示されておらず、またその製造
法も開示されてはいない。本発明はこの微視的なヨウ化銀分布を完全に均一にす
る乳剤とその製造法を開示するものである。 これまで述べてきたように本発明
の「完全に均一なヨウ化銀分布」をもつハロゲン化銀粒子は、冷却型透過型電子
顕微鏡を用いて、粒子の透過像を観察することにより、従来のハロゲン化銀粒子
と明確に区別することができる。すなわち本発明のヨウ化銀を含むハロゲン化銀
粒子には、ヨウ化銀の微視的な不均一に起因する微視的な線が、線に直交する方 向で0.2μm間隔に多くとも2本、好ましくは1本存在し、より好ましくは存在し
ない。このヨウ化銀の微視的不均一を示す、年輪状の縞模様を構成する線は、粒
子成長の方向に直交する形で発生し、結果的的にこれらの線は粒子の中心から同
心円状に分布する。例えば図3に示した平板状粒子の場合、ヨウ化銀の不均一を
示す、年輪状の縞模様を構成する線は、平板粒子の成長方向に直交する為、結果
として粒子のエッヂに平行であり、かつ、それらに直交する方向は粒子の中心に
向く方向を持っており、粒子の中心のまわりに同心円状に分布する。 勿論、粒子成長中に急激にヨウ化銀含量を変化せしめれば、その境界線は上記
の観察法で、上に述べたと同様の線として観察されるが、このようなヨウ化銀含
量の変化は単一の線を構成するのみで、ヨウ化銀の微視的不均一に由来する複数
の線から構成されるものとは明確に区別できる。さらにこのようなヨウ化銀含量
の変化に由来する線は、この線の両側のヨウ化銀含量を先に述べた分析電子顕微
鏡で測定すれば明らかに確認することができる。このようなヨウ化銀含量の変化
による線は本発明で言う、ヨウ化銀の微視的不均一に由来する線とは全く異なり
、「巨視的なヨウ化銀分布」を示すものである。 また、粒子の成長中にヨウ化銀含量を実質的に連続的に変化させた場合は、ヨ
ウ化銀含量の急激な変化がない為、上記の巨視的なヨウ化銀含量の変化を示す線
は観察されず、従ってもし、そこに 0.1μm間隔に少くとも3本以上の線が存在
すれば、それは微視的なヨウ化銀含量の不均一があるということになる。 かくして本発明における、「ヨウ化銀分布が完全に均一なハロゲン化銀粒子」
は、冷却型透過型電子顕微鏡を用いて得た粒子の透過像において、線と直交する
方向で 0.2μm間隔に微視的なヨウ化銀分布を示す線を多くとも2本を有する粒
子であり、好ましくは1本より好ましくはそのような線が存在しないハロゲン化
銀粒子である。さらに、そのような粒子が全粒子の少なくとも60%、さらには少
なくとも80%、特に少なくとも90%を占めることが好ましい。 これまで均一なヨウ化銀を含むハロゲン化銀粒子と呼ばれてきた従来のハロゲ
ン化銀粒子は単に粒子成長の際、硝酸銀と一定の組成(一定のヨウ化物含量)の
ハロゲン塩混合物をダブルジェット法で反応容器に添加したにすぎず、そのよう
な粒子においては巨視的なヨウ化銀分布は確かに一定であるが、微視的なヨウ化
銀分布は均一ではない。本発明においては、そのような粒子を「一定のハロゲン 組成」をもつ粒子と呼び「完全に均一」な本発明に示す粒子とは明確に区別する
。 さらに本発明の方法は、純臭化銀、純塩化銀の製造においても、非常に有効で
ある。従来の製造方法によれば、反応容器内の銀イオン及びハロゲンイオンの局
所的な分布の存在が不可避であり、反応容器内のハロゲン化銀粒子は、そのよう
な局所的な不均一部分を通過することで他の均一部分とは異なった環境におかれ
ることとなり、それによって成長の不均一性を生ずることは勿論、例えば、銀イ
オンの高濃度部分では還元銀あるいはカブリ銀が生成されてしまう。従って臭化
銀、塩化銀においては、確かにハライドの不均一分布はあり得ないが前に述べた
別の不均一性を生じてしまう。この問題点は、本発明の方法によれば、完全に解
決できる。 従って、本発明に用いられる写真感光材料の写真乳剤層には、臭化銀、沃臭化
銀、沃塩臭化銀、塩臭化銀および塩化銀のいずれのハロゲン化銀を用いてもよい
。好ましいハロゲン化銀は3モル%以上40モル%以下の沃化銀を含むヨウ臭化銀
、塩臭化銀、塩ヨウ化銀、塩ヨウ臭化銀である。ヨウ化銀含量が3モル%以下の
ヨウ臭化銀では、本発明の方法による「完全均一」な混晶の特徴が小さい。また
、塩臭化銀、塩ヨウ化銀、塩ヨウ臭化銀 などの塩化銀を含む混晶は塩化銀の溶
解度が高く不均一になりやすいため本発明の方法による「完全均一」な混晶の特
徴が出やすい。 本発明に用いるハロゲン化銀粒子は双晶面を含まない正常晶でも、日本写真学
会編、「写真工業の基礎 銀塩写真編」(コロナ社)163頁に解説されているよう
な例、たとえば双晶面を一つ含む一重双晶、平行な双晶面を2つ以上含む平行多
重双晶、非平行な双晶面を2つ以上含む非平行多重双晶などから目的に応じて選
んで用いることができる。正常晶の場合には(100)面からなる立方体、(111)面か
らなる八面体、特公昭55-42737号、特開昭60-222842号に開示されている(110)面
からなる八面体粒子を用いることができる。さらにJournal of Imaging Science
30巻 247ページ 1986年に報告されているような(211)を代表とする(h11)面粒
子、(331)を代表とする(hh1)面粒子、(210)面を代表する(hk0)面粒子と(321)面
を代表とする(hk1)面粒子も、調製法に工夫を要するが目的に応じて選んで用い
ることができる。(100)面と(111)面がが一つの粒子に共存する14面体粒子、(100
)面と(110)面が共存する粒子あるいは(111)面と(110)面が共存する粒子など、2
つの 面あるいは多数の面が共存する粒子も目的に応じて選んで用いることができる。 得られるハロゲン化銀の粒径は、0.1 ミクロン以下の微粒子でも投影面積直径
が10ミクロンに至る迄の大サイズ粒子でもよく、狭い分布を有する単分散乳剤で
も、あるいは広い分布を有する多分散乳剤でもよい。 粒子数あるいは重量で平均粒子サイズの±30%以内に全粒子の80%以上が入る
ような粒子サイズ分布の狭い、いわゆる単分散ハロゲン化銀乳剤を本発明に使用
することができる。また感光材料が目標とする階調を満足させるために、実質的
に同一の感色性を有する乳剤層において粒子サイズの異なる2種以上の単分散ハ
ロゲン化銀乳剤を同一層に混合または別層に重層塗布することができる。さらに
2種類以上の多分散ハロゲン化銀乳剤あるいは単分散乳剤と多分散乳剤との組合
わせを混合あるいは重層して使用することもできる。 本発明の写真乳剤は、前述した方法により調製されたものであるが、部分的に
は従来の公知の方法によって調製されてもよい。 すなわち、本発明の感光性ハロゲン化銀粒子の調製において、粒子全体が本発
明の方法によって調製されてもよいし、本発明の方法の適用を粒子の調製の一部
とし、残りは従来の公知の方法としてもよい。例えば粒子の内部と表層が異なる
ハロゲン組成を有するコアーシェル型の粒子のコアあるいはシェルのみを本発明
の方法により調製し、残りを公知の方法により調製してもよいし、同一ハロゲン
組成の内部と表層の調製に前述のような本発明の方法と公知の方法を組みあわせ
て用いてもよい。同様に接合構造を有する粒子(エピタキシャル粒子)の調製に
おいて、ホストの調製とゲストの調製を本発明の方法と公知の方法を別々に適用
してもよい。 また、本発明の写真感光材料の写真乳剤層の中には、本発明の製造方法によら
ない写真乳剤を含んでいてもよい。これらについては、グラフキデ著「写真の物
理と化学」、ポールモンテル社刊(P.Glafkides,Chimie et Physique Photogra
phique Paul Montel,1967)、ダフィン著「写真乳剤化学」、フォーカルプレス
社刊(G.F.Duffin,Photographic Emulsion Chemistry(Focal Press,1966)、
ゼリクマンら著「写真乳剤の製造と塗布」、フォーカルプレス社刊(V.L.Zelikm
an et al,Making and Coating Photographic Emulsion,Focal Press,1964)な
どに記載された方法を用いて調製することができる。すなわち酸性法、中性法、 アンモニア法等のいずれでもよく、また可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応さ
せる形式としては片側混合法、同時混合法、それらの組合わせなどのいずれを用
いてもよい。粒子を銀イオン過剰の下において形成させる方法(いわゆる逆混合
法)を用いることもできる。同時混合法の一つの形式としてハロゲン化銀の生成
する液相中のpAg を一定に保つ方法、すなわちいわゆるコントロールド・ダブル
ジェット法を用いることもできる。この方法によると、結晶形が規則的で粒子サ
イズが均一に近いハロゲン化銀乳剤が得られる。 前記のレギュラー粒子からなるハロゲン化銀乳剤は、粒子形成中のpAg とpHを
制御することにより得られる。詳しくは、例えばフォトグラフィク・サイエンス
・アンド・エンジニアリング(Photographic Science and Engineering)第6巻、
159〜165 頁(1962);ジャーナル・オブ・フォトグラフィク・サイエンス(Journa
l of Photographic Science),12巻,242〜251頁(1964)、米国特許第3,655,394号
および英国特許第1,413,748号に記載されている。 また、アスペクト比が3以上であるような平板状粒子も本発明に使用できる。
平板状粒子は、クリーブ著「写真の理論と実際」(Cleve,Photography Theory a
nd Practice(1930)),131頁;ガトフ著、フォトグラフィク・サイエンス・アンド
・エンジニアリング(Gutoff,Photographic Science and Engineering),第14巻
、248 〜257頁(1970年);米国特許第4,434,226号、同4,414,310号、同4,433,0
48号、同4,439,520号および英国特許第2,112,157号などに記載の方法により簡単
に調製することができる。平板状粒子を用いた場合、被覆力が上がること、増感
色素による色増感効率が上がることなどの利点があり、先に引用した米国特許第
4,434,226号に詳しく述べられている。本発明の乳剤として、平板状粒子は好ま
しい。特にアスペクト比3から8の粒子が全投影面積の50%以上を占めるような
平板状粒子は好ましい。 結晶構造は一様なものでも、内部と外部とが異質なハロゲン組成からなる物で
もよく、層状構造をなしていてもよい。これらの乳剤粒子は、英国特許第1,027,
146号、米国特許第3,505,068号、同4,444,877号および特願昭58-248469号等に開
示されている。また、エピタキシャル接合によって組成の異なるハロゲン化銀が
接合されていてもよく、また例えばロダン銀、酸化鉛などのハロゲン化銀以外の
化合物と接合されていてもよい。 本発明のハロゲン化銀乳剤はその粒子中に、ハロゲン組成に関して分布あるい
は構造を有することが好ましい。その典型的なものは特公昭43-13162号、特開昭
61-215540号、特開昭60- 222845号、特開昭61-75337号などに開示されているよ
うな粒子の内部と表層が異なるハロゲン組成を有するコアーシェル型あるいは二
重構造型の粒子である。このような粒子においてはコア部の形状とシェルの付い
た全体の形状が同一のこともあれば異なることもある。具体的にはコア部が立方
体の形状をしていて、シェル付き粒子の形状が立方体のこともあれば八面体のこ
ともある。逆にコア部が八面体で、シェル付き粒子が立方体あるいは八面体の形
状をしていることもある。またコア部は明確なレギュラー粒子であるのにシェル
付き粒子はやゝ形状がくずれていたり、不定形状であることもある。また単なる
二重構造でなく、特開昭60-222844号に開示されているような三重構造にしたり
それ以上の多層構造にすることや、コアーシェルの二重構造の粒子の表面に異な
る組成を有するハロゲン化銀を薄くつけたりすることができる。 粒子の内部に構造を持たせるには上述のような包み込む構造だけでなく、いわ
ゆる接合構造を有する粒子をつくることができる。これらの例は特開昭59-13354
0号、特開昭58-108526号、EP199290A2、特公昭58-24772号、特開昭59-16254号な
どに開示されている。接合する結晶はホストとなる結晶と異なる組成をもってホ
スト結晶のエッジやコーナー部、あるいは面部に接合して生成させることができ
る。このような接合結晶はホスト結晶がハロゲン組成に関して均一であってもあ
るいはコアーシェル型の構造を有するものであっても形成させることができる。
接合構造の場合にはハロゲン化銀同志の組み合せは当然可能であるが、ロダン銀
、炭酸銀などの岩塩構造でない銀塩化合物をハロゲン化銀と組み合せ接合構造を
とることができる。またPbO のような非銀塩化合物も接合構造が可能であれば用
いてもよい。 これらの構造を有する沃臭化銀粒子の場合、たとえばコアーシェル型の粒子に
おいてコア部が沃化銀含有量が高く、シェル部が沃化銀含有量が低くても、また
逆にコア部の沃化銀含有量が低く、シェル部が高い粒子であってもよい。同様に
接合構造を有する粒子についてもホスト結晶の沃化銀含有率が高く、接合結晶の
沃化銀含有率が相対的に低い粒子であっても、その逆の粒子であってもよい。 また、これらの構造を有する粒子のハロゲン組成の異なる境界部分は、明確な 境界であっても、組成差により混晶を形成して不明確な境界であってもよく、ま
た積極的に連続的な構造変化をつけたものでも良い。 本発明に用いるハロゲン化銀乳剤はEP-0096727B1、EP-0064412B1などに開示さ
れているような粒子に丸みをもたらす処理、あるいはDE-2306447C2、特開昭60-2
21320号に開示されているような表面の改質を行ってもよい。 本発明に用いるハロゲン化銀乳剤は表面潜像型が好ましいが、特開昭59-13354
2号に開示されているように現像液あるいは現像の条件を選ぶことにより内部潜
像型の乳剤も用いることができる。またうすいシェルをかぶらせる浅内部潜像型
乳剤も目的に応じて用いることができる。 本発明において還元増感の他に硫黄増感、金増感に代表される化学増感を施こ
すことが極めて重要である。化学増感を施こす場所は乳剤粒子の組成・構造・形
状によって、またその乳剤が用いられる使用用途とによって異なる。粒子の内部
に化学増感核をうめ込む場合、粒子表面から浅い位置にうめ込む場合、あるいは
表面に化学増感核を作る場合がある。本発明の効果はどの場合にも有効であるが
、特に好ましいのは表面近傍に化学増感核を作った場合である。つまり内部潜像
型よりは表面潜像型乳剤でより有効である。 化学的増感は、ジェームス(T.H.James)著、ザ・フォトグラフィック・プロセ
ス、第4版、マクミラン社刊、1977年、(T.H.James,The Theory of the Photo
graphic Process,4 th ed,Macmillan,1977)67〜76頁に記載されるように活性ゼ
ラチンを用いて行うことができるし、またリサーチ・ディスクロージャー 120巻
、1974年4月、12008;リサーチ・ディスクロージャー 34巻、1975年6月、1345
2、米国特許第2,642,361号、同3,297,446号、同3,772,031号、同3,857,711号、
同3,901,714号、同4,266,018号および同3,904,415号並び に英国特許第1,315,7
55号に記載されるようにpAg5〜10、pH5〜8および温度30〜80℃において硫黄、
セレン、テルル、金、白金、パラジウム、イリジウムまたはこれら増感剤の複数
の組合せを用いて行うことができる。化学増感は最適には、金化合物とチオシア
ネート化合物の存在下に、また米国特許第3,857,711号、同4,266,018号および同
4,054,457 号に記載される硫黄含有化合物もしくはハイポ、チオ尿素系化合物、
ロダニン系化合物などの硫黄含有化合物の存在下に行う。化学増感助剤の存在下
に化学増感することもできる。用いられる化学増感助剤には、アザインデン、ア
ザピ リダジン、アザピリミジンのごとき、化学増感の過程でカブリを抑制し且つ感度
を増大するものとして知られた化合物が用いられる。化学増感助剤改質剤の例は
、米国特許第2,131,038号、同3,411,914号、同3,554,757号、特開昭58-126526号
および前述ダフィン著「写真乳剤化学」138〜143頁に記載されている。 金塩を用いる化学増感を行う場合には、該領域の粒子形成に先だって、前記酸
化剤および/または抑制剤の添加により、還元銀核と金塩の反応によるかぶりの
生成が防止されていることが好ましい。例えば粒子表面の化学増感において金塩
を用いる場合には粒子表面から少なくとも 0.001μmの領域の粒子形成が抑制剤
の存在下で行われることが好ましい。 本発明に用いられる写真乳剤には、感光材料の製造工程、保存中あるいは写真
処理中のカブリを防止し、あるいは写真性能を安定化させる目的で、種々の化合
物を含有させることができる。すなわちアゾール類、例えばベンゾチアゾリウム
塩、ニトロイミダゾール類、ニトロベンズイミダゾール類、クロロベンズイミダ
ゾール類、ブロモベンズイミダゾール類、メルカプトチアゾール類、メルカプト
ベンゾチアゾール類、メルカプトベンズイミダゾール類、メルカプトチアジアゾ
ール類、アミノトリアゾール類、ベンゾトリアゾール類、ニトロベンゾトリアゾ
ール類、メルカプトテトラゾール類(特に1−フェニル−5−メルカプトテトラ
ゾール)など;メルカプトピリミジン類;メルカプトトリアジン類;たとえばオ
キサドリンチオンのようなチオケト化合物;アザインデン類、たとえばトリアザ
インデン類、テトラアザインデン類(特に4−ヒドロキシ置換(1,3,3a,7)テトラ
アザインデン類)、ペンタアザインデン類などのようなカブリ防止剤または安定
剤として知られた、多くの化合物を加えることができる。たとえば米国特許第3,
954,474号、同3,982,947号、特公昭52-28,660号に記載されたものを用いること
ができる。 本発明に用いられる写真乳剤は、メチン色素類その他によって分光増感されて
もよい。用いられる色素には、シアニン色素、メロシアニン色素、複合シアニン
色素、複合メロシアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、ヘミシアニン色素、
スチリル色素およびヘミオキソノール色素が包含される。特に有用な色素は、シ
アニン色素、メロシアニン色素、および複合メロシアニン色素に属する色素であ
る。これらの色素類には、塩基性異節環核としてシアニン色素類に通常利用され る核のいずれも適用できる。すなわち、ピロリン核、オキサゾリン核、チオゾリ
ン核、ピロール核、オキサゾール核、チアゾール核、セレナゾール核、イミダゾ
ール核、テトラゾール核、ピリジン核など;これらの核に脂環式炭化水素環が融
合した核;及びこれらの核に芳香族炭化水素環が融合した核、即ち、インドレニ
ン核、ベンズインドレニン核、インドール核、ベンズオキサドール核、ナフトオ
キサゾール核、ベンゾチアゾール核、ナフトチアゾール核、ベンゾセレナゾール
核、ベンズイミダゾール核、キノリン核などが適用できる。これらの核は炭素原
子上に置換されていてもよい。 メロシアニン色素または複合メロシアニン色素にはケトメチレン構造を有する
核として、ピラゾリン−5−オン核、チオヒダントイン核、2−チオオキサゾリ
ジン−2,4-ジオン核、チアゾリジン−2,4-ジオン核、ローダニン核、チオバルビ
ツール酸核などの5〜6員異節環核を適用することができる。 これらの増感色素は単独に用いてもよいが、それらの組合せを用いてもよく、
増感色素の組合せは特に、強色増感の目的でしばしば用いられる。その代表例は
米国特許第2,688,545号、同2,977,229号、同3,397,060号、同3,522,052号、同3,
527,641 号、同3,617,293号、同3,628,964号、同3,616,480号、同3,672,898号、
同3,679,428号、同3,703,377号、同3,769,301号、同3,814,609号、同3,837,862
号、同4,026,707号、英国特許第1,344,281号、同1,507,803号、特公昭43-4936号
、同53-12,375号、特開昭52-110,618号、同52-109,925号に記載されている。 増感色素とともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは可視光を実
質的に吸収しない物質であって、強色増感を示す物質を乳剤中に含んでもよい。 色素を乳剤中に添加する時期は、これまで有用であると知られている乳剤調製
の如何なる段階であってもよい。もっとも普通には化学増感の完了後塗布前まで
の時期に行なわれるが、米国特許第3,628,969号、および同4,225,666号に記載さ
れているように化学増感剤と同時期に添加し分光増感を化学増感と同時に行なう
ことも、特開昭58-113,928号に記載されているように化学増感に先立って行なう
ことも出来、またハロゲン化銀粒子沈澱生成の完了前に添加し分光増感を開始す
ることも出来る。更にまた米国特許第4,225,666号に教示されているようにこれ
らの前記化合物を分けて添加すること、即ちこれらの化合物の一部を化学増感に
先立って添加し、残部を化学増感の後で添加することも可能であり、米国特許第 4,183,756号に教示されている方法を始めとしてハロゲン化銀粒子形成中のどの
時期であってもよい。 添加量は、ハロゲン化銀1モル当り、4×10-6〜8×10-3モルで用いることが
できるが、より好ましいハロゲン化銀粒子サイズ0.2〜1.2μmの場合は約5×10-
5〜2×10-3モルがより有効である。 本技術に関する感光材料には、前述の種
々の添加剤が用いられるが、それ以外にも目的に応じて種々の添加剤を用いるこ
とができる。 これらの添加剤は、より詳しくはリサーチ・ディスクロージャーItem 17643(
1978年12月)および同Item18716(1979、11月)に記載されており、その該当個所
を後掲の表にまとめて示した。 〔実施例〕 以下に実施例を挙げて本発明をさらに説明する。 実施例1 ヨウ臭化銀平板状粒子 ヨウ臭化銀微粒子乳剤 I−A 0.026Mの臭化カリウムを含有する2.0重量%のゼラチン溶液2.6lに、それを
攪拌しながらダブルジェット法で1.2Mの硝酸銀溶液と、1.11Mの臭化カリウム
と0.09Mのヨウ化カリウムを含むハロゲン塩水溶液を各1200mlを15分間かけて添
加した。こ の間ゼラチン溶液は35℃に保たれた。この後乳剤を、常法のフロキ
ュレーション法で洗浄しゼラチン30gを加え、溶解した後、pH 6.5、pAg 8.6 に
調整した。得られたヨウ臭化銀微粒子(ヨウ化銀含量 7.5%)は平均粒子サイズ
は0.07μmであった。 平板状臭化銀コア乳剤 I−B 0.09Mの臭化カリウムを含有する 0.8重量%のゼラチン溶液2lにそれを攪拌
しながらダブルジェット法で 2.0Mの硝酸銀溶液と同じく、2.0Mの臭化カリウ
ム溶液とを30cc添加する。この間反応容器中のゼラチン溶液は30℃に保たれた。
添加後75℃に昇温し、ゼラチンを40g添加した。その後 1.0Mの硝酸銀溶液を添
加してpBr を2.55にし、この後60分間で150gの硝酸銀が加速された流量(終了時
の流量が開始時の10倍)で添加され、同時にダブルジェット臭化カリウムがpBr
が2.55になるように添加された。 この後、乳剤を35℃に冷却し常法のフロキュレーション法で水洗し、ゼラチン
を60g添加し40℃において、溶解した後pH 6.5、pAg 8.6 に調整した。この平
板状臭化銀粒子は、平均円相当径が 1.4μmで粒子厚さは 0.2μmであり、円相当
径の変動係数は15%である単分散平板状粒子であった。 平板状ヨウ臭化銀乳剤 I−C〈比較乳剤〉 硝酸銀で50gに相当する臭化銀を含む乳剤I−Bを、水 1.1lに添加して溶解
し、温度を75℃、pBr を1.5 に保った。その後、3,6-ジチアオクタン−1,8-ジオ
ールを1g添加しただちに50分間で100gの硝酸銀とヨウ化カリウムを 7.5M%含
む臭化カリウム溶液を硝酸銀と等モル、一定流量で添加した。その後常法のフロ
キュレーション法にて水洗し、pH6.5、pAg 8.6 に調整した。得られたヨウ臭化
銀平板粒子は、中心部が臭化銀で、外側環状部分がヨウ化銀 7.5M%を含むヨウ 臭化銀であり、平均円相当粒子径は 2.3μm粒子厚さ0.30μmであった。 平板状ヨウ臭化銀乳剤 I−D〈比較乳剤〉 下記以外は、乳剤I−Cと同様に調製した。硝酸銀水溶液とハロゲン塩水溶液
を反応容器に添加するかわりに、微粒子乳剤I−Aを硝酸銀に換算して100gにな
るよう一定流量で50分間で反応容器に添加した。得られた平板状粒子は、平均円
相当径が2.4μm粒子厚さは0.31μmであった。 平板状ヨウ臭化銀乳剤 I−E,F,G,H 〈比較乳剤〉 平板状ヨウ臭化銀乳剤I−Cの調製において、硝酸銀溶液とヨウ化カリウム及
び臭化カリウムの混合溶液の添加開始後2分経過後に、表1に示す還元増感剤を
添加した以外は乳剤I−Cと同様にして乳剤I−E,F,G,H を調製した。粒子サイ
ズについてはI−Cと同等であった。 平板状ヨウ臭化銀乳剤 I−I,J,K 〈本発明〉 平板状ヨウ臭化銀乳剤I−Dの調製において、微粒子乳剤I−Aの添加開始後
2分経過後に表1に示す還元増感剤を添加した以外は乳剤I−Dと同様にして乳
剤I−I,J,K を調製した。粒子サイズについてはI−Dと同等であった。 平板状ヨウ臭化銀乳剤I−L,M,N,O 〈比較乳剤〉 平板状ヨウ臭化銀乳剤I−E,F,G,H の調製において、硝酸銀溶液とヨウ化カリ
ウム、臭化カリウム混合溶液の添加開始直前に、表1に示す酸化剤を添加した以
外は乳剤I−E,F,G,H と同様にして乳剤I−L,M,N,O を調製した。粒子サイズに
ついてはI−Cと同等であった。 平板状ヨウ臭化銀乳剤 I−P,Q,R 〈本発明〉 平板状ヨウ臭化銀乳剤I−I,J,K の調製において、微粒子乳剤I−Aの添加開
始直前に、表1に示す酸化剤を添加した以外は乳剤I−I,J,K と同様にして乳剤
I−P,Q,R を調製した。粒子サイズについてはI〜Dと同等であった。 以上により調製した乳剤I−C〜I−Rを分光増感色素5−クロロ−5'−フェ
ニル−3,3'−(3−スルホプロピル)−9−エチルオキサカルボシアニン(240mg
/AgX1モル)を加え、ついでチオ硫酸ナトリウム(8×10-6モル/Ag×1モル)
を加えて60℃で最適に化学増感した。化学増感終了後、各乳剤100g(Ag 0.08モ
ル含む)を40℃で溶解し下記〜をかくはんしながら順次添加し調液した。 表面保護層塗布液を以下に従って40℃にて〜をかくはんしながら順次添加
し調液した。 以上のようにして得られた乳剤塗布液と表面保護層用塗布液と共に、同時押し 出し法によりポリエチレンテレフタレートフィム支持体上にそれぞれ塗布時の体
積比率が 103:45になるように塗布した。塗布銀量は3.1g/m2である。これらの
サンプルをセンシトメーターを用いてイエローフィルターと光学模を介して、露
光(1/100 秒)して、自動現像機用RD−III現像液(富士写真フィルム(株)製)
で35℃で30秒間現像したあと、常法により定着、水洗、乾燥し、写真感度を測定
した。写真感度は、カブリ値+0.5 の光学濃度を得るに必要な露光量の逆数の相
対値で表わし、試料101のを100 とした。 表1に示されるように、還元増感剤を添加することにより感度は上昇するが、
還元増感剤存在下の粒子成長を硝酸銀水溶液とハロゲン塩水溶液の添加により行
なった乳剤の試料103-106 では顕著にかぶりが上昇しているのに対し、本発明の
方法で粒子成長を行った乳剤の試料107-109 ではかぶり上昇幅は小さくしかも還
元増感による感度上昇巾が大きく、本発明の目的である高感度でかぶりの少ない
乳剤の提供が達成されていることが示されている。 還元増感時に酸化剤として一般式〔I〕の化合物を共存させることにより、感
度に悪影響を与えることなくかぶりを減少させることができているが、還元増感
中の粒子成長を硝酸銀水溶液とハロゲン塩水溶液の添加により行った乳剤の試料
110-113 ではほぼ同等のかぶりの本発明の試料107-109 に比べて著しく低感であ
る。これに対して本発明の方法により酸化剤共存下の還元増感を行った試料114-
116 では還元増感なしの試料102 とほぼ同等のかぶりで著しく高感である。 実施例2 実施例1と同様にして乳剤I−C,D,H,K,O,R を調製し、各々にベンゼンチオス
ルフォン酸ナトリウム(2×10-4モル/モルAg)、チオ硫酸ナトリウム(1×10
-5モル/モルAg)、塩化金酸(2×10-5モル/モルAg)とチオシアン酸カリウム
(3.2× 10-4モル/モルAg)とを加え60℃で最適に化学増感した。化学増感終了
後、実施例1と同様にして塗布試料201-206を作成し、露光時のイエローフィル
ターを除いたほかは実施例1と同様にして表2の結果を得た。感度は試料201の
を100として相対値で示した。ここに用いたベンゼンチオスルフオン酸ナトリウ
ムは一般式〔I〕に含まれる化合物であるが、乳剤I−C,D のかぶり・感度には
ほとんど影響を与えないが、乳剤I−H,K,O,R については感度をほとんど変えず
にかぶり値を減少させた。しかしながら、ここに用いた量より増加させてもかぶ
り値はあまり変わらなかった。 表2に示されるように、金増感を併用した場合も、本発明の試料204,206 は著
しく高感でかつかぶりが低い。還元増感中の粒子成長を硝酸銀水溶液とハロゲン
塩水溶液の添加により行なった乳剤の試料203,205 はかぶり上昇巾がより顕著と
なり、還元増感による感度上昇巾も小さい。 実施例3 ヨウ臭化銀八面体粒子 乳剤3−A 〈比較乳剤〉 0.06Mの臭化カリウムを含有する 3.0重量%のゼラチン溶液1.2 lに、それを
攪拌しながら、3,6-ジチアオクタン−1,8-ジオール5%水溶液20mlを加え75℃に
保った反応容器に 0.3M硝酸銀溶液50ccと 0.063Mのヨウ化カリウム及び0.19M
の臭化カリウムを含むハロゲン塩水溶液50ccとをダブルジェット法により、3分
間かけて添加した。これにより、投影面積円相当径0.2μmのヨウ化銀含量25モル
%のヨウ臭化銀粒子を得ることにより核形成を行った。続いて同様に75℃におい
て、3,6-ジチアオクタン−1,8-ジオールを60ml追加し、1.5 M硝酸銀 800mlと0.
375Mヨウ化カリウムと1.13M臭化カリウムを含むハロゲン塩溶液800mlを100分
間かけてダブルジェット法により同時に添加し、第1被覆層を形成した。ここま
での反応容器内のpHは、6.5 に保った。得られた乳剤粒子は、平均投影面積円相
当径0.95μmの八面体ヨウ臭化銀乳剤であった(ヨウ化含有率25モル%)。 続いて過酸化水素0.06モルを加えたあと、この乳剤をコアー乳剤として1.5M
硝酸銀水溶液と 1.5M臭化カリウム水溶液とを同時に等モルづつ添加して臭化銀
のシェル(第2被覆層)を形成した。 臭化銀第2被覆層は、モル比で第1被覆
層/第2被覆層比1:1とした。シェル形成時のpHは5.8に保った。得られた乳
剤粒子は平均円相当径は1.2μmの内部にヨウ化銀25モル%を含むコア/シェル単
分散八面体粒子であった。 乳剤3−B 〈比較乳剤〉 乳剤3−Aと同様に各形成を行った後、3,6-ジチアオクタン−1,8-ジオールを 加え反応容器のそばに設けられた強力かつ攪拌効率の良い混合器に 1.5M硝酸銀
800mlと 0.375Mヨウ化カリウムと1.13M臭化カリウムを含むハロゲン塩溶液800
ml及び2重量%のゼラチン水溶液 500mlを 100分間かけてトリプルジェット法で
添加した。その際混合器の温度は30℃に保たれた。混合器で生成した極微粒子は
、ただちに連続的に75℃に保たれた反応容器に導入され第1被覆層を形成した。
ここまでの反応容器内のpHは6.5に保った。その後過酸化水素を加えたあとさら
に1.5Mの硝酸銀溶液と1.5M臭化カリウム溶液と2重量%のゼラチン溶液を混合
器に添加し、臭化銀シェル(第2被覆層)を形成することにより第1被覆層/第
2被覆層比1:1の粒子を得た。第2被覆層形成時のpHは5.8 に保った。得られ
た粒子は円相当径1.2μmの八面体単分散コア/シェル乳剤粒子であった。 乳剤3−C,D 〈比較乳剤〉 乳剤3−Aのコア形成時、シェル形成時のpHを表3のように変えたほかは乳剤
3−Aと同様にして乳剤3−C,Dを調製した。粒子サイズはほぼ同等であった
。 乳剤3−E,F 〈本発明〉 乳剤3−Bのコア形成時、シェル形成時のpHを表3のように変えたほかは乳剤
3−Bと同様にして乳剤3−E,Fを調製した。粒子サイズはほぼ同等であった
。 以上により得られた乳剤を56℃にて、ベンゼンチオスルフォン酸ナトリウム(
2×10-4モル/モルAg)、チオ硫酸ナトリウム(1.2×10-5モル/モルAg)、塩化
金酸(1.6×10-5モル/モルAg)とチオシアン酸カリウム(2.5×10-4モル/モルAg)
を加え、最適に化学増感した。その後、下記に示す化合物を加えて、下塗層を有
するトリアセチルセルロースフィルム支持体上に保護層と共に同時押し出し法で
塗布した。 (1) 乳剤層 ・乳剤 表3に示す乳剤 ・トリクレジルフォスフェート ・増感色素 5−クロロ−5'−フェニル−9− エチル−3,3'−(3・スルホプロ ピル)オキサカルボシアニンナト リウム ・安 定 剤 4−ヒドロキシ−6−メチル−1, 3,3a,7−テトラザインデン ・カブリ防止剤 1−(m−スルホフェニル) −5−メルカプトテトラゾール ・塗布助剤 ドデシルベンゼンスルホン酸ナト リウム (2) 保 護 層 ・2,4-ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリア ジンナトリウム塩 ・ゼラチン これらの試料にイエローフィルターを介して1/100 秒のセンシトメトリー用露
光を与え、次のカラー現像処理を行った。 処理済の試料を緑色フィルターで濃度測定した。得られた写真性能の結果を表
3に示した。感度はかぶり+0.5の濃度を与える露光量の逆数とした。相対感度
は試料301を100とした。ここで用いた現像処理は下記の条件で38℃で行った。 1.カラー現像 ……… 2分45秒 2.漂 白 ……… 6分30秒 3.水 洗 ……… 3分15秒 4.定 着 ……… 6分30秒 5.水 洗 ……… 3分15秒 6.安 定 ……… 3分15秒 各工程に用いた処理液組成は下記のものである。 カラー現像液 ニトリロ三酢酸ナトリウム 1.0g 亜硫酸ナトリウム 4.0g 炭酸ナトリウム 30.0g 臭化カリ 1.4g ヒドロキシルアミン硫酸塩 2.4g 4−(N−エチル−N−βヒドロキシエチルアミノ) −2−メチル−アニリン硫酸塩 4.5g 水を加えて 1 l 漂 白 液 臭化アンモニウム 160.0g アンモニア水(28%) 25.0ml エチレンジアミン−四酢酸ナトリウム塩 130 g 氷 酢 酸 14 ml 水を加えて 1 l 定 着 液 テトラポリリン酸ナトリウム 2.0g 亜硫酸ナトリウム 4.0g チオ硫酸アンモニウム(70%) 175.0ml 重亜硫酸ナトリウム 4.6g 水を加えて 1 l 安 定 液 ホルマリン 8.0ml 水を加えて 1 l 表3に示されるように、本発明の試料305,306 はかぶりが低くかつ高感である
。さらに比較例の試料301,303,304 に比べて階調が硬いという好ましい結果も示
し た。 実施例4 本明細書実施例2に用いた乳剤、および実施例3に用いた乳剤を、特願昭63-7
853号の実施例5の第5層、および第16層の乳剤におきかえたところ、本発明の
乳剤を用いた試料において高感でかぶりが低い写真感光材料が得られることが、
確かめられた。 実施例5 塩臭化銀微粒子乳剤 5−A 0.01Mの臭化カリウムと0.05Mの塩化ナトリウムを含有する2.3重量%のゼラ
チン溶液1.3lにそれぞれを攪拌しながらダブルジェット法で1.2Mの硝酸銀水溶
液と0.72Mの臭化カリウムと1.0Mの塩化ナトリウムを含むハロゲン塩水溶液を
各々600mlを25分かけて添加した。この間反応容器内のゼラチン溶液は35℃に保
たれた。この後乳剤を、常法のフロキュレーション法で洗浄し、ゼラチン30gを
加え、溶解した後pHを6.5に調節した。得られた塩臭化銀微粒子(塩化銀含量40
%)は平均粒子サイズは0.09μmであった。 塩臭化銀八面体粒子乳剤 5−B 〈比較乳剤〉 0.065Mの臭化カリウムと0.3Mの塩化ナトリウムを含有するる3.0重量%のゼ
ラチン溶液1.2lにそれを攪拌しながら、0.1% 3,4−ジメチル−4−チアゾリン
−2−チオンのメタノール溶液を80ml加え75℃に保った反応容器に0.3M硝酸銀
溶液を50ccと0.18Mの臭化カリウムと0.8Mの塩化ナトリウムを含むハロゲン塩
水溶液50ccをダブルジェット法により3分間かけて添加した。 これにより0.3 μmの塩化銀含量40モル%の塩臭化銀粒子を得ることにより核
形成を行った。続いて同様に75℃において100分間で150gの硝酸銀を含む水溶液8
00ccと63gの臭化カリウムと43gの塩化ナトリウムを含む水溶液800ccをダブルジ
ェットで同時に添加した。この後、乳剤を35℃に冷却し常法のフロキュレーショ
ン法により水洗し、ゼラチン70gを加えてpH 6.2、pAg 7.8に調整した。なお、
粒子形成中の反応容器内のpHは4.5になるように調整した。この粒子は1.5μmの
塩化銀含量40モル%の塩臭化銀八面体粒子であった。 塩臭化銀八面体粒子乳剤 5−C 〈比較乳剤〉 乳剤5−Bと同様に核形成を行い0.3μmの塩臭化銀核粒子を得た後、続いて75 ℃において溶解した微粒子乳剤5−A(塩化銀含量40モル%)をポンプで反応容
器に添加した。添加速度は硝酸銀量に換算して150gになるように微粒子乳剤を10
0分間かけて添加した。その際塩化ナトリウム20gをあらかじめ微粒子乳剤に溶
解した。この後、乳剤を乳剤5−Bと同様に水洗し40℃でpH6.5、pAg 7.8 に調
整した。粒子形成中の反応容器内のpHは4.5になるように調整した。 得られた粒子は1.5 μmの塩化銀含量が40モル%の塩臭化銀八面体粒子であっ
た。 塩臭化銀八面体粒子乳剤 5−D,E 〈比較乳剤〉 塩臭化銀八面体粒子乳剤5−Bの調製において、粒子形成中の反応容器内のpH
を表5のように変更したほかは乳剤5−Bと同様にして乳剤5−D,Eを調製し
た。但し、核形成時の硝酸銀水溶液とハロゲン塩水溶液の添加速度を調節して粒
子サイズと同じになるようにした。 塩臭化銀八面体粒子乳剤 5−F,G 〈本発明〉 塩臭化銀八面体粒子乳剤5−Cの調製において、粒子形成中の反応容器内のpH
が表5に示した値に一定に保たれるように変更したほかは乳剤5−Cと同様にし
て乳剤5−F,Gを調製した。粒子サイズは、微粒子乳剤の添加速度を調節する
ことにより、同じにうなるようにした。 乳剤5−B〜Gを52℃で下記に示す青感性増感色素(a)150mg/モルAgを加えた
あとチオ硫酸ナトリウム(1.2×10-5モル/モルAg)を加えて最適後熟したあと、
下記イエローカプラー、色像安定剤、 (a) 青感性増感色素 (b) イエローカプラー (c) 色像安定剤 更に 安定剤;4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン カブリ防止剤;1−〔3−(3−メチルウレイド)フェニル〕−5−メルカ プトテトラゾール 硬膜剤;2,4-ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム 塗布助剤;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム を順次加えて、ポリエチレンで両面ラミネートした紙支持体上に、ゼラチン保護
層と共に塗布した。 試料を光楔下で露光し、下記の工程に従って現像処理を行
ない表5の結果を得た。 但し、相対感度は、カブリ値+0.5の値の濃度を与えるのに必要な露光量の逆
数の相対値で表わし、試料501の現像時間3分30秒のそれを100とした。 (発色現像液) 33℃現像 2′30″と3′30″ 水 800 cc ジエチレントリアミン五酢酸 1.0 g 亜硫酸ナトリウム 0.2 g N,N−ジエチルヒドロキシルアミン 4.2 g 臭化カリウム 0.01g 塩化ナトリウム 1.5 g トリエタノールアミン 8.0 g 炭酸カリウム 30 g N−エチル−N−(β−メタンスルホンミドエチル) −3−メチル−4−アミノアニリン硫酸塩 4.5 g 4.4,4'−ジアミノスチルベン系 2.0 g 蛍光増白剤(住友化学(株)Whitex4) 水を加えて 1000 cc KOHにて pH 10.25 (漂白定着液処方) 35℃ 45秒 チオ硫酸アンモニウム(54wt%) 150 ml Na2SO3 15 g NH4 〔Fe(III)(EDTA)〕 55 g EDTA・2Na 4 g 氷酢酸 8.61g 水を加えて全量で 1000 ml (pH 5.4) (リンス液処方) 35℃ 90秒 EDTA・2Na・2H2O 0.4 g 水を加えて全量で 1000 ml (pH 7.0) 表5より明らかなように、本発明の試料505,50 6は比較試料に比べ高感であ
り、かつ現像時間による写真性能の変動が小さいため迅速処理に適している。粒
子成長を硝酸銀水溶液とハロゲン塩水溶液の添加により行った比較試料501,503,
504は現像時間による写真性能の変動が大きく、かつ試料503、504では著しいか
ぶりを発生してしまった。 本発明のこのような高感でかぶりが低く、かつ現像時間による写真性能の変動
が小さいという特長は、高塩化銀立方体粒子(塩化銀99モル%、臭化銀1モル%
(コーナーに偏在))においてもほぼ保たれていた。 〔発明の効果〕 本発明の方法により得られる写真感光材料は、高感度でかぶりが少なく、また
高感度で粒状がよい。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明の方法に用いることのできる乳剤反応器を模式的に表わしたも
のである。 第2図は本発明に用いることのできる混合器の詳細図である。 第3図は沃臭化銀相のヨウド分布が完全に均一ではない従来型の平板状ハロゲ
ン化銀粒子の結晶構造を示す透過型電子顕微鏡写真であり、その倍率は、37,000
倍である。 1:反応容器 2:保護コロイド水溶液 3:プロペラ 4:ハロゲン塩水溶液添加系 5:銀塩水溶液添加系 6:保護コロイド添加系 7:混合器 8:反応容器への導入系 9:攪拌翼 10:反応室 11:回転シャフト

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1)支持体上に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀写真
    感光材料において、該ハロゲン化銀乳剤層に含有される感光性ハロゲン化銀粒子
    が、該粒子の核形成及び/又は結晶成長を起させる反応容器中に、予め調製した
    粒径0.2 μm以下の微細なサイズのハロゲン化銀粒子を、還元増感しうる条件下
    において添加し、該微細なサイズのハロゲン化銀粒子を一旦全て溶解して消失さ
    せた後、該反応容器中で核形成及び/又は結晶成長させることにより得られた感
    光性ハロゲン化銀粒子であることを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。 2)微細なサイズのハロゲン化銀粒子が、感光性ハロゲン化銀粒子の核形成及び
    /又は結晶成長を起させる反応容器の外に設けられた混合器において水溶性銀塩
    の水溶液及び水溶性ハライドの水溶液を混合して形成され、かつ形成後ただちに
    該反応容器中に供給することにより該感光性ハロゲン化銀粒子の核形成及び/又
    は結晶成長に供されることを特徴とする請求項1記載のハロゲン化銀写真感光材
    料。 3)還元増感しうる条件下にさらに酸化剤および/または抑制剤をも存在させる
    ことを特徴とする請求項1又は2記載のハロゲン化銀写真感光材料。 4)ヨウ化銀含量が3モル%以上40モル%以下のヨウ臭化銀であることを特徴
    とする請求項1〜3のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料。 5)ハロゲン組成が塩臭化銀、塩ヨウ化銀または塩ヨウ臭化銀であることを特徴
    とする請求項1〜3のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料。 6)支持体上に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀写真
    感光材料の製造方法において、該ハロゲン化銀乳剤層に含有される感光性ハロゲ
    ン化銀粒子を、該粒子の核形成及び/又は結晶成長を起させる反応容器中に、予
    め調製した粒径0.2 μm以下の微細なサイズのハロゲン化銀粒子を、還元増感し
    うる条件下において添加し、一旦溶解して消失させた後、該反応容器中で核形成
    及び/又は結晶成長させることにより得ることを特徴とするハロゲン化銀写真感
    光材料の製造方法。 7)微細なサイズのハロゲン化銀粒子が、感光性ハロゲン化銀粒子の核形成及び
    /又は結晶成長を起させる反応容器の外に設けられた混合器において水溶性銀塩
    の水溶液及び水溶性ハライドの水溶液を混合して形成され、かつ形成後ただちに
    該反応容器中に供給することにより該感光性ハロゲン化銀粒子の核形成及び/又
    は結晶成長に供されることを特徴とする請求項6記載のハロゲン化銀写真感光材
    料の製造方法。 8)還元増感しうる条件下にさらに酸化剤及び/又は抑制剤をも存在させること
    を特徴とする請求項6又は7記載のハロゲン化銀写真感光材料の製造方法。 9)ヨウ化銀含量が3モル%以上40モル%以下のヨウ臭化銀であることを特徴
    とする請求項6〜8のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料の製造方法。 10)ハロゲン組成が塩臭化銀、塩ヨウ化銀、塩ヨウ臭化銀であることを特徴とす
    る請求項6〜8のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料の製造方法。

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