JP2640271B2 - 直接ポジ写真感光材料 - Google Patents

直接ポジ写真感光材料

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はハロゲン化銀写真感光材料に関し、さらに詳
しくは直接ポジ写真感光材料に関する。
〔従来の技術〕
反転処理工程又はネガフィルムを必要とせずに、直接
ポジ像を得る写真法はよく知られている。
従来知られている直接ポジハロゲン化銀写真感光材料
を用いてポジ画像を作成するために用いられる方法は、
特殊なものを除き、実用的有用さを考慮すると、主とし
て2つのタイプに分けることができる。
1つのタイプは、あらかじめカブラされたハロゲン化
銀乳剤を用い、ソーラリゼーションあるいはハーシェル
効果等を利用して露光部のカブリ核(潜像)を破壊する
ことによって現像後直接ポジ画像を得るものである。
もう1つのタイプは、かぶらされていない内部潜像型
ハロゲン化銀剤を用い、画像露光後かぶり処理を施した
後かまたはかぶり処理を施しながら表面現像を行い直接
ポジ画像を得るものである。
また上記の内部潜像型ハロゲン化銀写真乳剤とは、ハ
ロゲン化銀粒子の主として内部に感光核を有し、露光に
よって粒子内部に主として潜像が形成されるようなタイ
プのハロゲン化銀写真乳剤をいう。
上記の如く、選択的にカブリ核を生成させる手段とし
ては、一般に「光かぶり法」と呼ばれる感光層の全面に
第二の露光を与える方法(例えば英国特許1,151,363
号)と「化学的かぶり法」と呼ばれる造核剤(nucleati
ng agent)を用いる方法とが知られている。この後者の
方法については、例えば「リサーチ・ディスクロージャ
ー」(Research Disclosure)誌第151巻No.5162(1976
年11月発行)の76〜78頁に記載されている。
この後者のタイプの方法は、前者のタイプの方法に比
較して、一般的に感度が高く、高感度を要求される用途
に適している この技術分野においては種々の技術がこれまでに知ら
れている。例えば、米国特許第2,592,250号、同第2,46
6,957号、同第2,497,875号、同第2,588,982号、同第3,3
17,322号、同第3,761,266号、同第3,761,276号、同第3,
796,577号および英国特許第1,151,363号、同第1,150,53
3号(同1,011,062号)各明細書等に記載されているもの
がその主なものである。
これら公知の方法を用いると直接ポジ型としては比較
的高感度の写真感光材料を作ることができる。
また、直接ポジ像の形成機構の詳細については例え
ば、T.H.ジェームス著「ザ・セオリ・オブ・ザ・フォト
グラフィック・プロセス」(The Theory of the Photog
raphic Process)第4版第7章182頁〜193頁や米国特許
第3,761,276号等に記載されている。
つまり、最初の像様露光によってハロゲン化銀内部に
生じた、いわゆる内部潜像に基因する表面減感作用によ
り、未露光部のハロゲン化銀粒子の表面のみに選択的に
カブリ核を生成させ、次いで通常の、いわゆる表面現像
処理を施す事によって未露光部に写真像(直接ポジ像)
が形成されると考えられる。
〔発明が解決しようとする課題〕
このような光かぶり法又は化学的かぶり法を用いての
直接ポジ画像形成においては、通常のネガ型の場合に比
べて現像速度が遅く処理時間が長くかかるため、従来は
現像液のpH及び/又は液温を高くして処理時間を短かく
する方法がとられてきていた。しかし、一般にpHが高い
と得られる直接ポジ画像の最小画像濃度が増大するとい
う問題を有する。また高pH条件下では空気酸化による現
像主薬の劣化が起こりやすく、その結果現像活性が著し
く低下する問題がある。
pHを高くする以外に直接ポジ画像形成の現像速度を上
げる手段としては他に、ハイドロキノン誘導体を用いる
もの(米国特許3227552号)カルボン酸基やスルホン酸
基をもったメルカプト化合物を用いたもの(特開昭60−
170843号)等が知られているが、これらの化合物を使用
した効果は小さく、直接ポジ画像の最小濃度を増大させ
ることなく有効にその最小濃度を上げることのできる技
術は見出されていない。特に低pHの現像液で処理しても
充分な最大画像濃度が得られる技術が望まれている。
一方、塩化銀は他の写真的に有用なハロゲン化銀に比
べて可溶性が大きい。そのため、塩化銀を含むハロゲン
化銀を用いて、直接ポジ写真感光材料を形成すること
は、迅速処理には極めて有利である。しかし、この場合
にも、最小画像濃度が増大しやすいという欠点を有す
る。この欠点を改良するために、粒子の晶癖を制御する
技術が特願昭62−280467号に記載されているが、未だ充
分とは言えない。
ネガ型のハロゲン化銀乳剤においては、塩化銀を含む
ハロゲン化銀粒子のカブリが出やすいという欠点を解決
する方法について、いくつか提案されている。例えば特
開昭48−51627号、特公昭49−46932号などに記載されて
いるように、増感色素をハロゲン化銀乳剤に添加後、水
可溶性臭素イオンが沃素イオンを添加する方法;特開昭
58−108533号、特開昭60−222845号などに記載されてい
るように、塩化銀含有率の高いハロゲン化銀粒子におい
ては臭素イオンと銀イオンを同時に添加してその粒子の
表面に60モル%以上の臭化銀の層を設ける方法;また同
様にその粒子の表面に10モル%〜50モル%の臭化銀の層
を全面または一部設ける方法;特公昭50−36978号、特
公昭58−24772号、米国特許第4471050やOLS−3229999号
などに記載されているような塩化銀含有率の高いハロゲ
ン化銀に臭素イオンの添加によりまた臭素イオンと銀イ
オンとの同時添加によりハロゲン交換してコアーとシェ
ルの2重構造粒子または接合構造粒子などの多相構造の
粒子をつくる方法が知られている。
これらの特許において記載されている内容は、ひとつ
ひとつの塩臭化銀粒子において臭化銀の含有量を場所に
よって変化せしめ、(特に粒子の内側か外側か、あるい
は粒子表面上の位置)それによってより良い写真特性を
得ようとするものである。
しかし、これらの方法を、直接ポジ写真感光材料に応
用しても未だ満足すべき結果は得られていない。
したがって、本発明の第1の目的は、低い最小画像濃
度と高い最大画像濃度とを有する直接ポジ画像を与える
直接ポジ写真感光材料を提供することにある。
本発明の第2の目的は、低い最小画像濃度と高い最大
画像濃度とをあわせ有する直接ポジ画像を迅速処理によ
っても与えることのできる直接ポジ写真感光材料を提供
することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の上記目的は、予めかぶらされていない内部潜
像型ハロゲン化銀粒子を含有する少なくとも1の写真乳
剤層を有する直接ポジ写真感光材料において、該内部潜
像型ハロゲン化銀粒子が5モル%以上90モル%以下の塩
化銀を含み、該粒子中の塩化銀を含む少なくとも一部の
領域において塩化銀分布が完全に均一であることを特徴
とする直接ポジ写真感光材料により達成される。
本発明に用いる予めかぶらされていない内部潜像型ハ
ロゲン化銀粒子について説明する。
まず、ここにいう「完全に均一な塩化銀分布」につい
て説明する。
ここに言う「完全に均一な塩化銀分布」とは、これま
で取り扱われてきた塩化銀分布とは全く異なり、より微
視的な分布をいう。塩臭化銀粒子における塩化銀分布
(あるいは臭化銀分布)を測定する手段として、分析電
子顕微鏡(Analytical Electron Microscopy)がよく用
いられる。
例えば、キング(M.A.King)、ロレット(M.H.Lorret
to)、マターナハン(T.J.Maternaghan)及びベリー
(F.J.Berry)「分析電子顕微鏡によるヨウド分布の研
究(ザ インベティゲーション オブ アイオダイド
ディストリビューション バイ アナリティカル エレ
クトロン マイクロスコピー)」ブローグレス イン
ベイシック プリンシプルズ オブ イメージング シ
ステムズ,インターナショナル コングレス オブ フ
ォトグラフィック サイエンス ケルン(Kln)、19
86はヨウ臭化銀平板粒子におけるヨウ化銀の分布を測定
した。その際用いた電子線照射用プローブのサイズは50
Åであるが、実際には電子の弾性散乱によって電子線が
広がってしまいサンプルの表面に照射される電子線スポ
ットの径は約300Å以上になってしまうと記載されてい
る。従ってこの方法ではそれよりこまかな塩化銀分布を
測定することはできない。特開昭58−113927にも同じ手
法を用いてヨウ臭化銀粒子におけるヨウ化銀分布が測定
されているが、用いた電子線スポットは0.2μであっ
た。
従ってこれらの測定法によっては、より微視的な(30
0Åオーダーかそれ以下の場所的変化)塩化銀分布を明
らかにすることは不可能である。この微視的な塩化銀の
分布は、たとえば、ハミルトン(J.F.Hamilton)、フォ
トグラフィック サイエンス アンド・エンジニアリン
グ 11巻、1967、p.p.57や塩沢猛公、日本写真学会 35
巻 4号 1972 p.p.213に記載の低温での透過型電子
顕微鏡を用いた直接的な方法により観察することができ
る。すなわち、乳剤粒子がプリントアウトしないよう安
全光下で取り出したハロゲン化銀粒子を電子顕微鏡観察
用のメッシュにのせ、電子線による損傷(プリントアウ
ト等)を防ぐように液体チッ素あるいは液体ヘリウムで
試料を冷却した状態で透過法により観察を行う。
ここで電子顕微鏡の加速電圧は高い程、鮮明な透過像
が得られるが、粒子厚さ0.25μmまでは200kvolt、それ
以上の粒子厚さに対しては、1000kvoltが良い。加速電
圧が高い程、照射電子線による粒子の損傷が大きくなる
ので液体チツ素より液体ヘリウムで試料を冷却した方が
望ましい。
撮影倍率は、試料となる粒子サイズによつて、適宜変
更し得るが、2万倍から4万倍である。
このようにして、塩臭化銀平板状粒子の透過型電子顕
微鏡写真を撮影すると塩臭化銀相の部分に非常にこまか
な年輪状の縞模様が観察される。
この様子は特願昭63−194861号に記載されている。
この縞模様の間隔は非常にこまかく100Åのオーダー
からそれ以下であり非常に微視的な不均一性を示してい
ることが解る。この非常にこまかな縞模様が塩化銀分布
の不均一性を示すことは種々の方法で明らかにできる
が、より直接的には、この平板状粒子を塩素イオンがハ
ロゲン化銀結晶内を移動できる条件でアニール(anneal
ing)してやると(例えば250℃、3時間)、この縞模様
が全く消失してしまうことから、明らかに結論できる。
平板状ヨウ臭化銀におけるヨウ化銀分布の不均一性を
示す年輪状縞模様は先に引用した、特開昭58−113927号
公報に開示されている透過型電子顕微鏡写真にも明確に
観察されるし、また同様に先に引用したキング等の研究
における透過型電顕写真にもはつきり示されている。ま
た特願昭63−7852号には、ヨウ化銀含量10モル%の平板
状ヨウ臭化銀粒子のヨウ化銀分布の不均一性を示す透過
型電子顕微鏡写真が掲載されている。
塩化銀を含有する平板状ハロゲン化銀粒子、例えば塩
臭化銀平板粒子における塩化銀の微視的な不均一分布を
示すこれまで述べてきた年輪状縞模様が観察された例は
ない。これ等の事実から、これまで実質上、均一なハロ
ゲン分布を得るべく調製された塩臭化銀粒子は、その製
造の意図のは全く反して、非常に微視的には塩化銀の不
均一分布の持つており、これまで、それを均一化する技
術も開示されておらず、またその製造法も開示されては
いない。
これまで述べてきたように本発明の「完全に均一な塩
化銀分布」をもつハロゲン化銀粒子は、冷却型透過型電
子顕微鏡を用いて、粒子の透過像を観察することによ
り、従来のハロゲン化銀粒子と明確に区別することがで
きる。すなわち本発明の塩化銀を含むハロゲン化銀粒子
には、塩化銀の微視的な不均一に起因する微視的な線が
0.2μm間隔に多くとも2本、好ましくは1本、より好
ましくは存在しない。この塩化銀の微視的な不均一を示
す、年輪状の縞模様を構成する線は、粒子成長の方向に
直交する形で発生し、結果的にこれらの線は粒子の中心
から同心円状に分布する。例えば平板状粒子の場合、年
輪状の縞模様を構成する線は、平板粒子の成長方向に直
交する為、結果として粒子のエツジに平行であり、か
つ、それらに直交する方向は粒子の中心を向いており、
粒子の中心に対し同心円状に分布する。
勿論、粒子成長中に急激に塩化銀含量を変化せしめれ
ば、その境界線は上記の観察法で、上に述べたと同様の
線として観察されるが、このような塩化銀含量の変化単
一の線を構成するのみで、塩化銀の微視的不均一に由来
する複数の線から構成されるものとは明確に区別でき
る。さらにこのような、塩化銀含量の変化に由来する線
は、この線の両側に塩化銀含量を先に述べた分析電子顕
微鏡で測定すれば明らかに確認することができる。この
ような塩化銀含量の変化による線は本発明で言う、塩化
銀の微視的不均一に由来する線とは全く異なり「巨視的
な塩化銀分布」を示すものである。また、粒子の成長中
に塩化銀含量を実質的に連続的に変化させた場合は、塩
化銀含量の急激な変化がない為、上記の巨視的な塩化銀
含量の変化を示す線は観察されず、従つてもしそこに0.
2μm間隔に少なくとも3本以上の線が存在すれば、そ
れは微視的なヨウ化銀含量の不均一があるということに
なる。
かくして本発明の塩化銀分布が完全に均一なハロゲン
化銀粒子は冷却型透過型電子顕微鏡を用いて得た粒子の
透過像において、線と直交する方向で0.2μm間隔に微
視的な塩化銀分布を示す線を多くとも2本を有する粒子
であり、好ましくは1本、より好ましくはそのような線
が存在しないハロゲン化銀粒子であり、かつそのような
粒子が全粒子の少くとも40%、好ましくは少くとも60
%、より好ましくは少くとも80%を占めるハロゲン化銀
粒子である。
この冷却型透過型電子顕微鏡を用いて、微視的なハロ
ゲンの不均一性を確認する方法は、主として平板状ハロ
ゲン化銀粒子に対して適用される。一方、非平板状ハロ
ゲン化銀粒子に対しては、次に述べるようなX線回折を
利用する方法によつて微視的なハロゲン分布の不均一性
を確認することができる。
X線回折計(デイフラクトメーター)を用いてハロゲ
ン組成を決定するのは当該業者には周知のことである。
この原理を簡単に述べると以下の通りである。X線回折
においてBragg角を測定することで次のBraggの式により
格子定数aが決 2dhklsinθhkl=λ λ:X線の波長 θhkl:(hkl)面からのBragg角 dhkl:(hkl)面の面間隔 a:格子定数 定できる。ところで、T.H.ジエームス(James)著の
「ザ・セオリー・オブ・ザ・フオトグラフイツク・プロ
セス」(The Theory of the Photographic Process)第
4版マクミラン社、ニユーヨーク(Macmillan Co.Ltd.N
ew York)の第一章に沃臭化銀、塩臭化銀、沃塩化銀に
ついてハロゲン組成に対する格子定数aの関係が示され
ている。このように格子定数(ハロゲン組成)が異なる
と、回折ピーク位置が異なる。従つて、ハロゲン組成分
布の均一性のすぐれた格子定数のばらつきの少ないハロ
ゲン化銀粒子は回折プロフアイルの半値幅は狭くなる。
この回折プロフアイルの測定において、線源は強度の大
きく単色性のよいKα線がKβより好んで用いられる。
なお、Kα線は二重線なのでRachingerの方法を用いて
単一のプロフアイルを得て半値幅を求めることが可能で
ある。
試料には、乳剤よりゼラチンを除去した粉末粒子を用
いるかあるいは、ジヤーナルオブフオトグラフイツクサ
イエンス(Journal of Photographic Science)の1976
年度24巻1ページのG.C.フアーネル(G.C.Farnell),R.
L.ジエンキンス(R.J.Jenkins)およびL.R.ソルマン
(L.R.Solman)による方法に従つて、50%グリセリン溶
液に20分間浸漬して乾膜中にゼラチンにより粒子表面に
かかつていた圧力を除去した、塗布された乳剤膜が使用
できる。回折プロフアイルの角度を正確に求めるには回
折角既知のSi粉末あるいはNaCl粉末をサンプルに混合さ
せる方法が用いられる。さらに回折角および回折プロフ
アイルの線幅を精度よく測定するには高指数面からの回
折角の大きい回折プロフアイルを用いることがよいこと
が知られている。従つて本特許においては銅ターゲツト
のKα線で(420)面の回折プロフアイルを回折角(Bra
ggの角の2倍)71゜から77゜の領域において測定した。
X線回折測定は、粉末よりも塗布された乳剤膜の方が
測定精度が良い。
ところで、本特許記述の試料の形態のように外的な応
力による歪みがない系の回折プロフアイルの半値幅は、
ハロゲン組成分布のみで決定されるのではなく、それ以
外に回折計の光学系による半値幅と試料の結晶子(クリ
スタリツト)の大きさによる半値幅も含んでいる。従つ
てハロゲン組成分布に起因する半値幅を得るには、前二
者による半値幅の寄与を差し引く必要がある。回折計の
光学系による半値幅は歪みのかかつていない(格子定数
のばらつきのない)25μm以上の粒度の単結晶の回折プ
ロフアイルの半値幅として得ることができる。このよう
な試料としては25〜44μm(500メツシユ オン 350メ
ツシユ アンダー)のα−石英を800℃でアニールした
ものを使用することが理学電機株式会社によるX線回折
の手引改訂再版二章八節に記述されている。Si粒子やSi
単結晶ウエフアー等でも用いることが可能である。光学
系による半値幅は回折角依存性があるので、数点の回折
プロフアイルについて半値幅を求める必要がある。必要
に応じて外挿・内挿を行い、測定している系の回折角に
ついての光学系による半値幅が得られる。そして、結晶
子の大きさによる半値幅は次式で記述される。
β:結晶子の大きさによる半値幅(゜) K:定数(一般に0.9) D:結晶子の大きさ(Å) λ:X線の波長(Å) θ:Bragg角 測定された回折プロフアイルの半値幅からこのように
して求めた光学系による半値幅と結晶子の大きさによる
半値幅を差し引くと、ハロゲン組成分布による半値幅が
得られる。今測定したい混晶粒子の光学系による半値幅
と結晶子の大きさによる半値幅は、この着目している粒
子と同一の結晶子の大きさを有するハロゲン組成分布均
一(格子定数一定)のハロゲン化銀粒子の回折プロフア
イルの半値幅と等価である。一般に、外的な応力による
歪みが存在しない場合、格子欠陥のない粒子ではこの粒
子の大きさ(辺長、等体積球相当径等)は結晶子の大き
さと一致する。このことはデイフラクトメーターではな
く写真法ではあるが回折線幅より求めたAgBrの結晶子の
大きさと粒子の大きさが一致することがブリテイツシユ
・ジヤーナル・オブ・アプライド・フイジツクス(Brit
ish Journal of Applied Physics)の1965年16巻323ペ
ージでF.W.ウイレツツ(F.W.Willets)によつて報告さ
れている。この報告は写真法で半値幅ではなくプロフア
イルの標準偏差を用いてシエラー定数として1.44を選ん
でいる。我々の測定系では、デイフラクトメーターを用
いており、Si単結晶を用いて光学系による半値幅を差し
引いた半値幅より求めた結晶子の大きさと粒子の大きさ
がバランスト ダブル ジエツトで調製されたAgBr粒子
において良好に一致することを見出している。
すなわち、混晶乳剤粒子の光学系による半値幅と結晶
子の大きさによる半値幅は、混晶乳剤粒子と同一粒子サ
イズのAgBr粒子、AgCl粒子、AgI粒子の回折プロフアイ
ルの半値幅として得ることができる。
混晶乳剤粒子のハロゲン組成分布のみによる半値幅
は、測定された回折プロフアイル半値幅より着目してい
る粒子と同一粒子サイズのAgBr粒子、AgCl粒子、AgI粒
子の回折プロフアイルの半値幅を差し引くことによつて
得られる。
本発明による微視的なハロゲン組成が均一であるハロ
ゲン化銀乳剤粒子の前記の方法によるX線回折のプロフ
アイルの好ましい半値幅を塩臭化銀について第1図に示
した。第1図において、各ハロゲン組成の粒子の均一性
は各粒子のX線回折の半値幅から、同一粒子サイズの純
塩化銀あるいは純臭化銀の半値幅を差しひいた値で示さ
れる。本発明の粒子は、曲線Aで示される半値幅以下、
好ましくは曲線Bで示される半値幅より小さい半値幅を
有するものである。
これまで均一な塩化銀を含むハロゲン化銀粒子と呼ば
れてきたハロゲン化銀粒子は単に粒子成長の際、硝酸銀
と一定の組成の(一定のヨー化物含量)ハロゲン塩混合
物をダブルジエツト法で反応容器に添加したにすぎず、
そのような粒子においては巨視的な塩化銀分布は確かに
一定であるが、微視的な塩化銀分布は均一ではない。本
発明においては、そのような粒子を「一定のハロゲン組
成」をもつ平板状粒子と呼び、「完全に均一」な本発明
に示す平板状粒子とは明確に区別する。
本発明において完全に均一な塩化銀分布をもつハロゲ
ン化銀粒子の組成としては、塩臭化銀、ヨウ塩化銀、ヨ
ウ塩臭化銀いずれであつてもよいが、塩臭化銀、ヨウ塩
臭化銀であることが好ましい。塩化銀を含む相の粒子内
の位置は、粒子の中心部であつてもよいし、粒子全体に
亘つてもよいし、外側部分に存在してもよい。また塩化
銀の存在する相は1つでもよいし、複数であつてもよ
い。一般に塩化銀を含む相は、粒子成長の機構から層状
構造を作る場合が多いが、特定の部分であつてもよい。
例えば、粒子のエツヂとコーナーの性質の差を利用して
エツヂのみ、あるいはコーナー部のみに塩化銀相を形成
することができる。またさらにそこから外側にシエルを
形成すれば、粒子内部に環状構造を有しない特定のポイ
ントに塩化銀を有するハロゲン化銀粒子を作ることもで
きる。
具体的には、核形成後、以下に示すような構成により
粒子成長を行なわせる例をあげることができる。
さらに、ヨウ塩臭化銀の場合は、上記のヨウ化銀を含
有せしめればよく、ヨウ化銀の含有層は、第一被覆層、
第二被覆層、第三被覆層のいずれでもよい。
本発明において1つの粒子中に占める均一AgBrClの割
合は、5〜99モル%であり、好ましくは20〜99モル%、
より好ましくは50〜99モル%である。
本発明の乳剤粒子に含まれる塩臭化銀相に含まれる塩
化銀含量は5モル%以上90モル%以下であり、好ましく
は10〜90モル%であり、さらに好ましくは20〜80モル%
である。前にも述べたように塩臭化銀乳剤は、最低画像
濃度が増大しやすく、それは特に塩化銀の含有量が多く
なる程顕著であつた。従つて塩化銀含量が5%未満であ
れば、塩化銀の微視的な不均一が存在しても実質的には
その分布の幅はわずかであり、そんなに不都合を生じな
い。しかし塩化銀含有量が5モル%以上になると従来の
塩化銀が微視的な不均一分布をしている粒子では最低濃
度が増大しやすくなる。従つて、これでは塩臭化銀の特
徴である迅速処理性を生かすことができない。しかし本
発明の「完全に均一」な塩化銀分布をもつハロゲン化銀
粒子であれば塩化銀を含むメリツトを全て生かすことが
でき、これまで到達し得なかつた、現像速度及び定着速
度が大きくかつ最低濃度の小さい良好な塩臭化銀粒子
(あるいは塩ヨウ臭化銀)を得ることができる。
次に完全に均一な塩化銀分布をもつ粒子の製造方法に
ついて述べる。
本発明のハロゲン化銀粒子の製造方法は、核形成と粒
子成長とからなる。
1 核形成 本発明のハロゲン化銀の核となるハロゲン化銀粒子
は、P.Glafkides著Chemie et Phisique Photographique
(Paul Montel社刊、1967年)、G.F.Duffin著Photograp
hic Emulsion Chemistry(The Focal Press刊、1966
年)、V.L.Zelikman et al著Making and Coating Photo
graphic Emulsion(The Focal Press刊、1964年)など
に記載された方法を用いて調製することができる。すな
わち、酸性法、中性法、アンモニア法等のいずれでもよ
く、また可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応させる形
式としては片側混合法、同時混合法、それらの組合せな
どのいずれを用いてもよい。
粒子を銀イオン過剰の下において形成させる方法(い
わゆる逆混合法)を用いることもできる。同時混合法の
一つの形式としてハロゲン化銀の生成される液相中pAg
を一定に保つ方法、すなわちいわゆるコントロール・ダ
ブルジェット法を用いることもできる。この方法による
と、結晶形が規則的な粒子サイズが均一に近いハロゲン
化銀乳剤がえられる。
別々に形成した2種以上のハロゲン化銀乳剤を混合し
て用いてもよい。
ハロゲン化銀粒子の核を調製するに際しては、一定の
ハロゲン組成となっていることが好ましくダブル・ジェ
ット法もしくはコントロール・ダブルジェット法を用い
るのが好ましい。
核を調製するときのpAgとしては、反応温度、ハロゲ
ン化銀溶剤の種類によって変化するが、好ましくは5〜
10である。またハロゲン化銀溶剤を用いると粒子形成時
間を短時間に行いうるので好ましい。例えば、アンモニ
ア、チオエーテルなど一般によく知られたハロゲン化銀
溶剤を用いることができる。
核の形状としては、板状、球状、双晶系であってもま
た、八面体、立方体、14面体もしくは混合系などを用い
ることができる。
また、核は、多分散でも単分散でもよいが、単分散で
ある方が一層好ましい。ここで、「単分散」とは前述し
たのと同義である。
また、粒子サイズを均一にするには、英国特許1,535,
016号、特公昭48−36890、同52−16364等に記載されて
いるように、硝酸銀やハロゲン化アルカリ水溶液の添加
速度を粒子成長速度に応じて変化させる方法や、米国特
許4,242,445号、特開昭55−158124号等に記載されてい
るように水溶液濃度を変化させる方法を用いて臨界過飽
和度を越えない範囲において早く成長させることが好ま
しい。これらの方法は、再核発生を起こさず、各ハロゲ
ン化銀粒子が均一に被覆されていくため、後述する被覆
層を導入する場合にも好ましく用いられる。
上述で述べた核形成法は、分散媒を含む水溶液を有す
る反応容器に銀塩水溶液をハロゲン塩水溶液を分散媒を
よく撹拌しながら添加して行うものであるが、後に成長
について述べるように銀塩水溶液及びハロゲン塩水溶液
を反応容器に添加することなくハロゲン化銀の微細なサ
イズの粒子を添加することにより、あるいはひき続き熟
成することにより、核形成を行うこともできる。添加す
る微細なハロゲン化銀のサイズは0.1μm以下が好まし
くより好ましくは0.06μm以下であり、さらに好ましく
は0.03μm以下である。微細なハロゲン化銀粒子の製造
法は成長の項で詳述する。微細なハロゲン化銀粒子は、
その溶解度が、粒子サイズが微細である故、非常に高
く、反応容器に添加されると溶解し、再び銀イオンとハ
ロゲンイオンとなり、反応容器中に導入された微粒子の
ごく一部の微粒子に沈積し、核粒子を形成する。本核形
成法においては必要に応じてハロゲン化銀溶剤を使用す
ることができるが、それについては後述する。核形成温
度は、50℃以上が好ましくより好ましくは60℃以上であ
る。微粒子ハロゲン化銀は一時に加えてもよいし、連続
的に添加することもできる。連続的に添加する場合は、
一定流量で添加してもよいし、流量を時間と共に増加さ
せることもできる。
ハロゲン化銀粒子の核の形成または物理熟成の過程に
おいて、カドミウム塩、亜鉛塩、鉛塩、タリウム塩、イ
リジウム塩またはその錯塩、ロジウム塩またはその錯
塩、鉄塩または鉄錯塩などを共存させてもよい。
2 成長 核形成終了後、その核を成長させるべく水溶性の銀塩
とハロゲン化アルカリの水溶液が新しく核発生がないよ
う反応容器に添加される。従来の方法では、効率の良い
撹拌のもとで銀塩とハロゲン塩の水溶液が反応器中に添
加される。この時、単一のハロゲン組成(例えば、臭化
銀、塩化銀)のハロゲン化銀を成長させる場合はそのハ
ロゲン化銀相は全く均一であり、透過型電子顕微鏡を用
いて観察しても何等、微視的な不均一性は認められな
い。もともと単一ハライドの組成であれば、不均一成長
(転位は別として)は、原理的に起ることはなく、従っ
て、純臭化銀、純塩化銀の成長においては、その調製条
件によらず、本発明で言う不均一性は有り得ない。しか
しながら、複数のハライドの組成のハロゲン化銀(いわ
ゆる混晶)の成長においては、ハライド組成における不
均一成長が重大な問題となってくる。ヨウ化銀の不均一
分布が透過型電子顕微鏡によって明確に確認できること
は既に述べた。
一方、ハロゲン化銀の均一な成長を得るべくこれまで
種々の検討がなされてきた。ハロゲン化銀粒子の成長速
度は、反応溶液中の銀イオン濃度、ハロゲン塩濃度、平
衡溶解度により多大な影響を受けることが知られてい
る。従って、反応溶液中の濃度(銀イオン濃度、ハライ
ドイオン濃度)が不均一であれば、各々の濃度により成
長速度が異なり不均一な成長が起ると考えられる。この
局部的な濃度のかたよりを改良する方法として、米国特
許3415650号、英国特許1323464号、米国特許3692283号
に開示された技術等が知られている。これらの方法は、
コロイド水溶液により満された反応容器に中太状円筒の
壁にスリットを有する中空の回転する混合器(内部はコ
ロイド水溶液で満されており、より好ましくは混合器が
ディスクによって上下2室に分割されている。)を、そ
の回転軸が鉛直となるように設け、その上下の開放端か
らハロゲン塩水溶液と銀塩水溶液とを供給管を通じて、
高速回転している混合器内に供給し、急速に混合して反
応せしめ(上下の分離ディスクがある場合は、上下2室
に供給されたハロゲン塩水溶液と銀塩水溶液は各々各室
に満されたコロイド水溶液によって稀釈され、混合器の
出口スリット付近で急速に混合して反応せしめ)、混合
器の回転により生ずる遠心力で生成したハロゲン化銀粒
子を反応容器中のコロイド水溶液に排出せしめ成長させ
る方法である。しかしながら、本方法によっても塩化銀
分布の不均一は全く解消できず、塩化銀の不均一分布を
示す、年輪状の縞模様が冷却型透過型電顕で明確に観察
された。
一方、特公昭55−10545号に、局部的な濃度のかたよ
りを改良して不均一な成長を防ごうとする技術が開示さ
れている。この方法は、コロイド水溶液が満されている
反応容器中で、その内部にコロイド水溶液満された混合
器にその下端部からハロゲン塩水溶液と銀塩水溶液とを
供給管を通じて、別々に供給し、該反応液を混合器に設
けられた下部撹拌翼(タービン羽根)によって両反応液
を急激に撹拌混合せしめ、ハロゲン化銀を成長させ、た
だちに前記撹拌翼の上方に設けられた上部撹拌翼により
成長したハロゲン化銀粒子を上方の混合器の開口部から
反応容器中のコロイド水溶液に排出せしめる技術であ
る。しかしながら本方法によっても塩化銀分布の不均一
は全く解決できず、塩化銀の不均一分布を示す年輪状の
縞模様が明確に確認された。
かくして、これまで開示されてきた技術によっては、
塩化銀分布の完全均一は具現し得ないことは明らかであ
る。発明者は鋭意研究の結果、塩化物を含むハロゲン化
銀粒子の成長においては、粒子の形成してゆく銀イオン
及びハライドイオン(塩素イオン及び臭素イオン、ヨウ
ドイオン)は、水溶液で反応容器に全く添加されず、目
的のハライド組成を持った微細なハロゲン化銀微粒子の
形で供給し、粒子を成長させることにより年輪状の縞模
様が全く消失し、完全に均一な塩化銀の分布が得られる
ことを見い出した。これは従来の方法では、達成不可能
であり、驚くべき技術である。より具体的方法として
は、 あらかじめ調製した塩化銀を含む微粒子乳剤の添加
方法 あらかじめ、目的とする粒子の塩化銀含量と同じ塩化
銀含量の微細なハロゲン化銀粒子(塩臭化銀、塩ヨウ臭
化銀、ヨウ塩化銀)を有する乳剤を調製しておき、水溶
性銀塩の水溶液及び水溶性ハライド水溶液を反応容器に
全く供給することなく、この微粒子乳剤のみを供給して
粒子を成長せしめる。
反応容器外の混合器からハロゲン化銀微粒子を供給
する方法 効率的な微粒子供給法として、第2図に示すように反
応容器外に強力かつ効率の良い混合器を設けその混合器
に水溶性銀塩の水溶液と水溶性ハライドの水溶液と保護
コロイド水溶液を供給し、急速に混合し、極めて微細な
ハロゲン化銀粒子を発生せしめ即座に、それを反応容器
に供給する。その際と同様、水溶性銀塩の水溶液及び
水溶性ハロゲン塩の水溶液の反応容器への供給は全く行
なわない。
米国特許2146938号には、吸着物を吸着していない粗
粒子と、同様に吸着物を吸着していない微粒子を混合あ
るいは、微粒子乳剤をゆっくり粗粒子乳剤に加えること
で、粗粒子乳剤の成長を行う方法が開示されている。し
かしながらここではヨウ臭化銀をとり扱っているのみで
ある。
米国特許第3317322号及び同3206313号には、平均粒子
径が少くとも0.8μmの化学増感が施されたコアーとな
るハロゲン化銀粒子乳剤に平均粒子径が0.4μm以下の
化学増感していないハロゲン化銀粒子乳剤を混合し、熟
成することによりシェルを形成し、高い内部感度を有し
たハロゲン化銀乳剤を調製する方法が開示されている。
本特許は、臭化銀及び低ヨウ化銀含量のヨウ臭化銀に関
するものであり、塩化銀を含有する粒子に関する本特許
とは全く異なるものである。特開昭58−111936号におい
て「銀及びハライド塩を水溶液として導入するのにかえ
て銀及びハライド塩を分散媒に懸濁せる微細なハロゲン
化銀粒子の形態で当初にまたは成長段階で導入すること
ができる。粒子サイズは反応器中に導入された時に存在
し得るより大きな粒子核上へ容易にオストワルド熟成す
る程度である。臭化銀、塩化銀及び/または混合ハロゲ
ン化銀粒子を導入することができる。」と記載されてい
る。しかしながら、これらは、ハロゲン化銀の成長に関
する一般的な記述であり、本特許で言う完全に均一なハ
ロゲン化銀粒子の調製に必要な特定の製造方法及び特定
の実施例の教示を有するものではない。
次に各方法について詳細に説明する。
法について この方法においては、あらかじめ反応容器に核あるい
はコアーとなる粒子を存在せしめ、その後、あらかじめ
調製した微細なサイズの粒子を有する乳剤を添加してい
わゆるオストワルド熟成により、微粒子が溶解し、それ
が核またはコアーに沈積することにより、粒子成長を行
なわしめる。微粒子乳剤のハライド組成は目的とする粒
子の塩化銀含量と同一の塩化銀を含有し、それは塩臭化
銀、塩ヨウ臭化銀、ヨウ塩化銀である。粒子サイズは平
均直径が0.1μm以下が好ましく、より好ましくは0.06
μm以下である。本発明においては、この微粒子の溶解
速度が重要であり、その速度を早くする為、ハロゲン化
銀溶剤の使用が好ましい。ハロゲン化銀溶剤としては、
水溶性臭化物、水溶性塩化物、チオシアン酸塩、アンモ
ニア、チオエーテル、チオ尿素類などを挙げることがで
きる。
例えばチオシアン酸塩(米国特許第2,222,264号、同
第2,448,534号、同第3,320,069号など)、アンモニア、
チオエーテル化合物(例えば米国特許第3,271,157号、
同第3,574,628号、同第3,704,130号、同第4,297,439
号、同第4,276,347号など)、チオン化合物(例えば特
開昭53−144319号、同53−82408号、同55−77737号な
ど)、アミン化合物(例えば特開昭54−100717号など)
チオ尿素誘導体(例えば特開昭55−2982号)イミダゾー
ル類(例えば特開昭54−100717号)、置換メルカプトテ
トラゾール(例えば特開昭57−202531号)などを挙げる
ことができる。
ハロゲン化銀粒子を成長せしめる温度は、50℃以上で
あるが、好ましくは60℃以上より好ましくは70℃以上で
ある。また結晶成長における微粒子乳剤は、一時に添加
しても、分割しても添加してもよいが、好ましくは一定
流量で供給する方がよく、より好ましくは添加速度を増
加させる方がよい。この場合添加速度をどのように増加
させるかは共存するコロイドの濃度、ハロゲン化銀結晶
の溶解度、ハロゲン化銀微粒子のサイズ反応容器の撹拌
の程度、各時点での存在する結晶のサイズ及び濃度、反
応容器中の水溶液の水素イオン濃度(pH)、銀イオン濃
度(pAg)等と目的とする結晶粒子のサイズ及びその分
布との関係から決定されるが、簡単には、日常的な実験
方法により決定することができる。
について 本発明で開示する結晶成長法は、これまで述べてきた
ように、ハロゲン化銀結晶成長に必要な銀イオンとハラ
イドイオン(塩素イオンを含む)とを従来のようにその
水溶液を添加して供給するのでなく、微細なハロゲン化
銀結晶を添加し、その溶解度が高いことを利用してオス
トワルド熟成を起せしめ、ハロゲン化銀粒子の成長を行
うものである。その際系の律速段階は、ハロゲン化銀粒
子の成長速度でなくいかに微粒子が早く溶解し反応容器
中に銀イオンとハライドイオンを供給するかになる。
のように、あらかじめ微細な粒子の乳剤を調製する場合
には、できるだけサイズの小さい粒子が望まれるが、一
方ハロゲン化銀粒子はサイズが小さい程溶解度が増加
し、非常に不安定になってしまい、すぐにそれ自身でオ
ストワルド熟成が起り、粒子サイズの増大を来す。
ジュームス(T.H.James)、ザ セオリー オブ ザ
フォトグラフィック プロセス、第4版には微細な粒
子としてリップマン乳剤(Lippmann Emulsion)が引用
され、その平均サイズ0.05μmであると記載されてい
る。粒子サイズ0.05μm以下の微粒子を得ることは、可
能であるが、たとえ得られても不安定で容易にオストワ
ルド熟成によって粒子サイズが増加してしまう。吸着物
を吸着させると上記オストワルド熟成は、ある程度防が
れるが、その分溶解速度も減少し本発明の意図に反する
ことになる。
本発明においては、以下の三つの技術によってこの問
題を解決した。
イ 第2図に示す装置より混合器で微粒子を形成した
後、ただちにそれを反応容器に添加する。あらかじめ微
粒子を形成し微粒子乳剤を得た後それを再溶解し、溶解
した微粒子乳剤を核となるハロゲン化銀粒子を保持し、
かつハロゲン化銀溶剤の存在する反応容器に添加し、粒
子成長を起せしめることはで述べた。しかしいったん
生成した極めて微細な粒子は、粒子形成過程、水洗過
程、再分散過程、及び再溶解過程においてオストワルド
熟成を起してしまい、その粒子サイズが増大してしま
う。本方法においては、反応容器のごく近くに混合器を
設けかつ混合器内の添加液の滞留時間を短かくすること
により、従って生成した微粒子をただちに反応容器に添
加することによりこのオストワルド熟成が起らないよう
にした。具体的には混合器に添加された液の滞留時間t
は下記であらわされる。
V:混合器の反応室の体積(ml) a:硝酸銀溶液の添加量(ml/min) b:ハロゲン塩溶液の添加量(ml/min) c:保護コロイド溶液の添加量(ml/min) 本発明の製造方法においてはtは10分以下、好ましく
は5分以下、より好ましくは1分以下、さらに好ましく
は20秒以下である。かくして混合器で得られた微粒子
は、その粒子サイズが増大することなく、ただちに反応
容器に添加される。
ロ 混合器で強力かつ効率のよい撹拌を行なう。
ジェームス(T.H.James)、ザ セオリー オブザ
フォトグラフィック プロセスp.p.93には、「オストワ
ルド熟成と並んでもう一つの形態は凝集(coalescenc
e)である。コアレッセンス熟成ではその前には遠く離
れていた結晶が直接、接触、ゆ着してより大きな結晶が
生成するので、粒子サイズが突然変化する。オストワル
ド熟成ととコアレッセンス熟成の両方とも沈積の終了後
のみでなく、沈積中にも起る。」ここで述べられている
コアレッセンス熟成は、特に粒子サイズが非常に小さい
ときに起り易く、特に撹拌が不充分である場合起り易
い。極端な場合は、粗大な塊状の粒子を作ることすらあ
る。本発明においては、第2図に示すように密閉型の混
合器を用いている為、反応室の撹拌翼を高い回転数で回
転させることができ従来のような開放型の反応容器で
は、できなかった(開放型では、高回転で撹拌翼を回転
させると遠心力で液がふりとばされ、発泡の問題もから
んで、実用できない。)強力かつ効率のよい撹拌混合を
行うことができ、上記のコアレッセンス熟成を防止で
き、結果として非常に粒子サイズの小さい微粒子を得る
ことができる。本発明においては攪拌翼の回転数は1000
r.p.m以上、好ましくは2000r.p.m以上、より好ましくは
3000r.p.m以上である。
ハ 保護コロイド水溶液の混合器への注入 前述のコアレッセンス熟成は、ハロゲン化銀微粒子の
保護コロイドによって、顕著に防ぐことができる。本発
明においては保護コロイド水溶液の混合器への添加は下
記の方法による。
保護コロイド水溶液を単独で混合器に注入する。
保護コロイドの濃度は1重量%以上、好ましくは2重
量%以上がよく、流量は硝酸銀溶液とハロゲン塩水溶液
の流量の和の少くとも20%好ましくは少くとも50%、よ
り好ましくは100%以上である。
ハロゲン塩水溶液に保護コロイドを含有せしめる。
保護コロイドの濃度は1重量%以上、好ましくは2重
量%以上である。
硝酸銀水溶液に保護コロイドを含有せしめる。
保護コロイドの濃度は、1重量%以上、好ましくは2
重量%以上である。保護コロイドとしてゼラチンを用い
る場合、銀イオンとゼラチンでゼラチン銀を作り、光分
解及び熱分解して銀コロイドを生成する為、硝酸銀溶液
と保護コロイド溶液は使用直前に混合する方がよい。
また、上記の〜の方法は各々単独で用いてもよい
しそれぞれ組み合せてもよく、また同時に三つを用いて
もよい。本発明に用いられる保護コロイドとしては、通
常ゼラチンを用いるが、それ以外の親水性コロイドを用
いることができ、具体的にはリサーチ・ディスクロージ
ャー誌第176巻、No.17643(1978年12月)のIX項に記載
されている。
かくしてイ〜ハの技術によって得られる微粒子の粒子
サイズは、粒子をメッシュにのせ、そのまま透過型電顕
によって、倍率は2万倍から4万倍で確認できる。本発
明の微粒子のサイズは、0.06μm以下、好ましくは0.03
μm以下、より好ましくは0.01μm以下である。
このようにして極く微細なサイズの粒子を反応容器に
供給することが可能になり、微粒子のより高い溶解速
度、従って反応容器のハロゲン化銀粒子のより高い成長
速度を得ることがきる。本方法によりハロゲン化銀溶剤
の使用は最早必須でなくなるがより高い成長速度を得る
為、あるいは他の目的で必要に応じてハロゲン化銀溶剤
を使用してもよい。ハロゲン化銀溶剤については法で
述べた通りである。本方法によれば、反応容器への銀イ
オン及びハライドイオンの供給速度は自由に制御するこ
とができる。一定の供給速度でもよいが好ましくは添加
速度を増大させる方がよい。その方法は特公昭48−3689
0号、同52−16364号に記載されている。その他は法で
述べた通りである。さらに本方法によれば成長中のハロ
ゲン組成は自由に制御することができ、例えば粒子の成
長中、一定の塩化銀含量を保ったり連続的に、塩化銀含
量増加させたり、減少せしめたり、ある時点で塩化銀含
量を変更することが可能となる。
混合器における反応の温度は60℃以下がよいが好まし
くは50℃以下、より好ましくは40℃以下が好ましい。35
℃以下の反応温度においては、通常のゼラチンでは凝固
しやすくなる為、低分子量のゼラチン(平均分子量3000
0以下)を使用することが好ましい。
本発明で用いられる低分子量ゼラチンは、通常、次の
ようにして作ることができる。通常用いられる平均分子
量10万のゼラチンを水に溶かし、ゼラチン分解酵素を加
えて、ゼラチン分子を酵素分解する。この方法について
は、R.J.Cox.Photographic Gelation II,Academic Pres
s,London,1976年、P.233〜251、P.335〜346の記載を参
考にすることができる。この場合、酵素が分解する結合
位置に決っている為、比較的分子量分布の狭い低分子量
ゼラチンが得られ、好ましい。この場合、酵素分解時間
を長くする程、より低分子量化する。その他、低pH(pH
1〜3)もしくは高pH(pH10〜12)雰囲気下で加熱し、
加水分解する方法もある。
次に、上記本発明のハロゲン化銀粒子の構造について
説明する。
本発明に用いる予めかぶらされてない内部潜像型ハロ
ゲン化銀乳剤はハロゲン化銀粒子の表面が予めかぶらさ
れてなく、しかも潜像を主として粒子内部に形成するハ
ロゲン化銀を含有する乳剤であるが、更に具体的には、
ハロゲン化銀乳剤を透明支持体上に銀にして0.5〜3g/m2
塗布し、これに0.01ないし10秒の固定された時間で露光
を与え下記現像液A(内部型現像液)中で、18℃で5分
間現像したとき通常の写真濃度測定方法によって測られ
る最大濃度が、上記と同量塗布して同様にして露光した
ハロゲン化銀乳剤を下記現像液B(表面型現像液)中で
20℃で6分間現像した場合に得られる最大濃度の、少な
くとも5倍大きい濃度を有するもとが好ましく、より好
ましくは少なくとも10倍大きい濃度を有するものであ
る。
表面現像液B メトール 2.5g l−アスコルビン酸 10 g NaBO2・4H2O 35 g KBr 1 g 水を加えて 1 内部現像液A メトール 2 g 亜硫酸ソーダ(無水) 90 g ハイドロキノン 8 g 炭酸ソーダ(一水塩) 52.5 g KBr 5 g KI 0.5 g 水を加えて 1 内潜型乳剤の具体例としては例えば、英国特許第1,01
1,062号、米国特許第2,592,250号、同第2,456,943号等
の明細書に記載されているコンバージョン型ハロゲン化
銀乳剤やコア/シェル型ハロゲン化銀乳剤を挙げる事が
でき、該コア/シェル型ハロゲン化銀乳剤としては、特
開昭47−32813号、同47−32814号、同52−134721号、同
53−60222号、同53−66218号、同53−66727号、同57−1
36641号、同58−70221号、同59−208540号、同59−2161
36号、同60−107641号、同60−247237号、同61−2148
号、同61−3137号、特公昭56−18939号、58−1412号、
同58−1415号、同58−6935号、同58−108528号、特願昭
61−36424号、米国特許3,206,313号、同第3,317,322
号、同第3,761,266号、同第3,761,276号、同第3,850,63
7号、同第3,923,513号、同第4,035,185号、同第4,395,4
78号、同第4,431,730号、同第4,504,570号ヨーロッパ特
許第0017148号、リサーチ・ディスクロージャー誌RD163
45号(1977年11月)、同No.18155号(1979年5月)、同
No.23510号(1983年11月)等に記載の乳剤が上げられ
る。
本発明においてはコアシエル型乳剤を使用することが
とくに好ましい。コアとシエルのハロゲン組成は同一で
あつてもよく、また異なつていてもよい。
本発明の乳剤粒子のトータルの塩化銀含量は5モル%
以上であるがより効果があるのは10モル%以上90モル%
以下である。さらに好ましくは20モル%以上80モル%以
下である。
本発明に使用されるハロゲン化銀は、沃化銀を含まな
いか、含んでも10モル%以下であることが好ましい。
ハロゲン化銀粒子の平均粒子サイズ(粒子と同体積の
球の直径で表わす)は、1.5μ如何で0.2μ以上が好まし
いが、特に好ましいのは1.2μ以下0.4μ以上である。粒
子サイズ分布は狭くても広くてもいずれでもよいが、粒
状性や先鋭度等の改良のために粒子数あるいは重量で平
均粒子サイズの±40%以内(より好ましくは±30%以
内、最も好ましくは±20%以内)に全粒子の90%以上、
特に95%以上が入るような粒子サイズ分布の狭い、いわ
ゆる「単分散」ハロゲン化銀乳剤を本発明に使用するの
が好ましい。また感光材料が目標とる階調を満足させる
ために、実質的に同一の感色性を有する乳剤層において
粒子サイズの異なる2種以上の単分散ハロゲン化銀乳剤
もしくは同一サイズで感度の異なる複数の粒子を同一層
に混合または別層に重層塗布することができる。さらに
2種類以上の多分散ハロゲン化銀乳剤あるいは単分散乳
剤と多分散乳剤との組合わせを混合あるいは重層して使
用することもできる。
本発明のハロゲン化銀粒子の形は、八面体+四面体の
ような規則的(regular)な結晶形を有するものでもよ
く、また球状などのような変則的(irregular)な結晶
形をもつものでもよい。
また平板状粒子でもよく、特に長さ/厚みの比が5以
上特に8以上の平板状粒子の全投影面積の50%以上を占
める乳剤を用いてもよい。また、これらの結晶形の複合
形をもつもの、またそれらの混合からなる乳剤であって
もよい。
本発明に使用するハロゲン化銀乳剤は、粒子内部また
は表面に硫黄もしくはセレン増感、還元増感、貴金属増
感などの単独もしくは併用により化学増感することがで
きる。
とくにコアシェル粒子の場合、コアに上記化学増感法
を一種以上用いてもよい。また、Ir、Pd、Rh等の金属を
ドープしてよい。シェルは化学増感しなくてもよいが行
なう方が好ましい。
詳しい具体例は、例えばリサーチ・ディスクロージャ
ー誌No.17643−II(1978年12月発行)P23などに記載の
特許にある。
本発明に用いる写真乳剤は、慣用の方法で写真用増感
色素によって分光増感される。特に有用な色素は、シア
ニン色素、メロシアニン色素および複合メロシアニン色
素に属する色素であり、これらの色素は単独又は組合せ
て使用できる。また上記の色素と強色増感剤を併用して
もよい。詳しい具体例は、例えばリサーチ・ディスクロ
ージャー誌No.17643−IV(1978年12月発行)P23〜24な
どに記載の特許にある。
本技術において塩化銀の分布を「完全に均一」にする
ことにより従来の不均一な粒子に対して、低い最低濃度
を得ることができる。本技術において、その塩化銀の微
視的な均一性が、重要である理由は、光によって発生し
た電子が不均一なそれに比べてより動き易くより効率よ
く、粒子の内部(コア部)に潜像の集中が起こるためと
考えられる。
本発明に用いられる写真乳剤には、感光材料の製造工
程、保存中あるいは写真処理中のかぶりを防止し、ある
いは写真性能を安定化させる目的で、ベンゼンチオスル
ホン酸類、ベンゼンスルフィン酸類、チオカルボニル化
合物等を含有させることができる。
かぶり防止剤または安定剤のさらに詳しい具体例およ
びその試用法については、例えば米国特許第3,954,474
号、同第3,982,947号、特公昭52−28660号、リサーチ・
ディスクロージャー(RD)誌17643(1978年12月)VI A
〜VI MおよびE.J.バー(Birr)著「ハロゲン化銀写真乳
剤の安定化」(Stabilization of Photographic Silver
Halide Emulsions)フォーカル・プレス(Focal Pres
s)、1974年刊などに記載されている。
本発明において直接ポジカラー画像を形成するには種
々のカラーカプラーを使用することができる。カラーカ
プラーは、芳香族第一級アミン系発色現像薬の酸化体と
カップリング反応して実質的に非拡散性の色素を生成ま
たは放出する化合物であって、それ自身実質的に非拡散
性の化合物であることが好ましい。有用なカラーカプラ
ーの典型例には、ナフトールもしくはフェノール系化合
物、ピラゾロンもしくはピラゾロアゾール系化合物およ
び開鎖もしくは複素環のケトメチレン化合物がある。本
発明で使用しうるこれらのシアン、マゼンタおよびイエ
ローカプラーの具体例は「リサーチ・ディスクロージャ
ー」誌No.17643「1978年12月発行)P25.VII−D項、同N
o.18717(1979年11月発行)および特開昭62−215272号
に記載の化合物およびそれらに引用された特許に記載さ
れている。
生成する色素が有する短波長域の不要吸収を補正する
ためのカラードカプラー、発色色素が適度の拡散性を有
するカプラー、無呈色カプラー、カップリング反応に伴
って現像抑制剤を放出するDIRカプラーやポリマー化さ
れたカプラーも又使用できる。
本発明の感光材料の乳剤層や中間層に用いることので
きる結合剤または保護コロイドとしては、ゼラチンを用
いるのが有利であるが、それ以外の親水性コロイドも用
いることができる。
本発明の感光材料には、色カブリ防止剤もしくは混色
防止剤が使用できる。
これらの代表例は特開昭62−215272号600〜63頁に記
載されている。
本発明の感光材料には、種々の退色防止剤を用いるこ
とができる。
これらの退色防止剤の代表例は特開昭62−215272号40
0〜440頁に記載されている。
本発明の感光材料には、イラジエーションやハレーシ
ョンを防止する染剤、紫外線吸収剤、可逆剤、螢光増白
剤、マット剤、空気カブリ防止剤、塗布助剤、硬膜剤、
帯電防止剤やスベリ性改良剤等を添加する事ができる。
これらの添加剤の代表例は、リサーチ・ディスクロージ
ャー誌No.17643VIII〜XIII項(1978年12月発行)p25〜2
7、および同18716(1979年11月発行)p647〜651に記載
されている。
本発明に係る感光材料は、ハロゲン化銀乳剤層の他
に、保護層、中間層、フィルター層、ハレーション防止
剤、バック層、白色反射層などの補助層を適宜設けるこ
とが好ましい。
本発明の写真感光材料において写真乳剤層その他の層
はリサーチ・ディスクロージャー誌No.17643 VX11項(1
978年12月発行)P28に記載のものやヨーロッパ特許0,18
2,253号や特開昭61−97655号に記載の支持体に塗布され
る。またリサーチ・ディスクロージャー誌No.17643VX項
P28〜29に記載の塗布方法を利用することができる。
本発明の種々のカラー感光材料に適用することができ
る。
例えば、スライド用もしくはテレビ用のカラー反転フ
ィルム、カラー反転ペーパー、インスタントカラーフィ
ルムなどを代表例として挙げることができる。またフル
カラー複写機やCRTの画像を保存するためのカラーハー
ドコピーなどにも適用することができる。本発明はま
た、「リサーチ・ディスクロージャー」誌No.17123(19
78年7月発行)などに記載の三色カプラー混合を利用し
た白黒感光材料にも適用できる。
更に本発明は黒白写真感光材料にも適用できる。
本発明を応用できる黒白(B/W)写真感光材料として
は、特開昭59−208540、特開昭60−260039に記載されて
いるB/W直接ポジ用写真感光材料(例えばXレイ用感
材、デュープ感材、マイクロ感材、写植用感材、印刷感
材)などがある。
本発明の直接ポジ写真感光材料は、像様露光後下記に
示すごとくかぶり処理がなされる。
おけるかぶり処理は、前記の如くいわゆる「光かぶり
法」と呼ばれる感光層の全面に露光を与える方法及び
「化学的かぶり法」と呼ばれる造核剤の存在下にて現像
処理する方法のうちのどちらを用いてもよい。造核剤お
よびかぶり光の存在下で現像処理してもよい。また、造
核剤を含有する感光材料をかぶり露光してもよい。
本発明においては造核剤によりかぶり処理することが
とくに好ましい。
本発明の「光かぶり法」における全面露光すなわちか
ぶり露光は、像様露光後、現像処理および/または現像
処理中に行われる。像様露光した感光材料を現像液中、
あるいは現像液の前浴中に浸漬し、あるいはこれらの液
より取り出して乾燥しないうちに露光を行うが、現像液
中で露光するのが最も好ましい。
かぶり露光の光源としては、感光材料の感光波長内の
光源を使用すればよく、一般に蛍光灯、タングステンラ
ンプ、キセノンランプ、太陽光等、いずれも使用しう
る。これらの具体的な方法は、例えば英国特許1,151,36
3号、特公昭45−12710号、同45−12709号、同58−6936
号、特開昭48−9727号、同56−137350号、同57−129438
号、同58−62652号、同58−60739号、米国特許4,440,85
1号、同58−120248号、等に記載されている。
本発明に使用される造核剤としては、内潜型ハロゲン
化銀を造核する目的で開発された化合物すべてが適用で
きる。造核剤は2種類以上組合せて使用してもよい。更
に詳しく説明すると、造核剤としては、例えば「リサー
チ・ディスクロージャー」(Research Disclosure)
誌、No.22534(1983年1月発行)50〜54頁、同誌、No.1
5162(1976年11月発行)76〜77頁、及び同誌、No.23510
(1983年11月発行)346〜352頁に記載されている物があ
り、これらは四級複素環化合物(以下〔N−1〕とい
う)、ヒドラジン系化合物(以下〔N−II〕という)及
びその他の化合物の三つに大別される。
上記〔N−1〕の具体例を以下にあげる。
(N−I−1) 5−エトキシ−2−メチル−1−プロ
パルギルキノリニウム ブロミド (N−I−2) 2,4−ジメチル−1−プロパルギルキ
ノリウム プロミド (N−I−3) 2−メチル−1−{3−〔2−(4−
メチルフェニル)ヒドラゾノ〕ブチル}キノリニウム
ヨージド (N−I−4) 3,4−ジメチル−ジヒドロピロリド
〔2,1−b〕ベンゾチアゾリウム ブロミド (N−I−5) 6−エトキシチオカルボニルアミノ−
2−メチル−1−プロパルギルキノリニウム トリフル
オロメタンスルホナート (N−I−6) 2−メチル−6−(2−フェニルチオ
ウレイド)−1−プロパルギルキノリニウム ブロミド (N−I−7) 6−(5−ベンゾトリアゾールカルボ
キサミド)−2−メチル−1−プロパルギルキノリニウ
ム トリフルオロメタンスルホナート (N−I−8) 6−〔3−(2−メルカプトエチル)
ウレイド〕−2−メチル−1−プロパルギルキノリニウ
ム トリフルオロメタンスルホナート (N−I−9) 6−{3−〔3−(5−メルカプト−
1,3,4−チアジアゾール−2−イルチオ)プロピル〕ウ
レイド}−2−メチル−1−プロパルギルキノリニウム
トリフルオロメタンスルホナート (N−I−10) 6−(5−メルカプトテトラゾール−
1−イル)−2−メチル−1−プロパルギルキノリニウ
ムヨージド (N−II)の具体例を下記に示す。
(N−II−1) 1−ホルミル−2−{4−〔3−(2
−メトキシフェニル)ウレイド〕フェニル}ヒドラジン (N−II−2) 1−ホルミル−2−{4−〔3−{3
−〔3−(2,4−ジ−tert−ペンチルフェノキシ)プロ
ピル〕ウレイド}フェニルスルホニルアミノ〕フェニ
ル}ヒドラジン (N−II−3) 1−ホルミル−2−{4、〔3−(5
−メルカプトテトラゾール−1−イル)ベンズアミド〕
フェニル}ヒドラジン (N−II−4) 1−ホルミル−2−〔4−{3−〔3
−(5−メルカプトテトラゾール−1−イル)フェニ
ル〕ウレイド}フェニル〕ヒドラジン (N−II−5) 1−ホルミル−2−〔4−{3−〔N
−(5−メルカプト−4−メチル−1,2,4−トリアゾー
ル−3−イル)カルバモイル)プロパンアミド}フェニ
ル〕ヒドラジン (N−II−6) 1−ホルミル−2−{4−〔3−{N
−〔4−(3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール−4
−イル)フェニル〕カルバモイル}プロパンアミド〕フ
ェニル}ヒドラジン (N−II−7) 1−ホルミル−2−〔4−{3−〔N
−(5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール−2−イ
ル)カルバモイル〕プロパンアミド}フェニル〕−ヒド
ラジン (N−II−8) 2−〔4−ベンゾトリアゾール−5−
カルボキサミド)フェニル〕−1−ホルミルヒドラジン (N−II−9) 2−〔4−{3−(N−(ベンゾトリ
アゾール−5−カルボキサミド)カルバモイル〕プロパ
ンアミド}フェニル〕−1−ホルミルヒドラジン (N−II−10) 1−ホルミル−2−{4−〔1−〔N
−フェニルカルバモイル)チオセミカルバミド〕フェニ
ル〕ヒドラジン その他のヒドラジン系造核剤としては、例えば特開昭
57−86829号、米国特許第4,560,638号、同第4,478,928
号、さらには同2,563,785号及び同2,588,982号に記載さ
れている。
本発明においては前記造核剤の作用をさらに促進する
ため、下記の造核促進剤を使用することができる。
造核促進剤としては、任意にアルカリ金属原子又はア
ンモニウム基で置換されていてもよいメルカプト基を少
なくとも1つ有する、テトラザインデン類、トリアザイ
ンデン類及びペンタザインデン類及び特開昭62−106656
号に記載の化合物を添加することができる。
本発明の感光材料の現像処理に用いられる発色現像液
は、好ましくは芳香族第一級アミン系発色現像主薬を主
成分とするアルカリ性水溶液である。この発色現像主剤
としては、アミノフェノール系化合物も有用であるが、
p−フェニレンジアミン系化合物が好ましく使用され、
この代表例としては3−メチル−4−アミノ−N−N、
ジエチルアニリン、3−メチル−4−アミノ−N−エチ
ル−N−β−ヒドロキシエチルアニリン、3−メチル−
4−アミノ−N−エチル−N−β−メタンスルホンアミ
ドエチルアニリン、3−メチル−4−アミノ−N−エチ
ル−N−β−メトキシエチルアニリン及びこれらの硫酸
塩、塩酸塩もしくはp−トルエンスルホン酸塩が挙げら
れる。これらの化合物は目的に応じ2種以上併用するこ
ともできる。
これらの発色現像液のpHは9〜12であり、好ましくは
9.5〜11.5である。
発色現像後の写真乳剤層は通常漂白処理される。漂白
処理は定着処理と同時に行なわれてもよいし(漂白定着
処理)、個別に行なわれてもよい。更に処理の迅速化を
図るため、漂白処理後漂白定着処理する処理方法でもよ
い。さらに二槽の連続した漂白定着浴で処理すること、
漂白定着処理の前に定着処理すること、又は漂白定着処
理後漂白処理することも目的に応じ任意に実施できる。
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料は、脱銀処
理後、水洗及び/又は安定工程を経るのが一般的であ
る。水洗工程での水洗水量は、感光材料の特性(例えば
カプラー等使用素材による)、用途、更には水洗水温、
水洗タンクの数(段数)、向流、順流等の補充方式、そ
の他種々の条件によって広範囲に設定し得る。このう
ち、多段向流方式における水洗タンク数と水量の関係
は、Journal of the Society of Motion Picture and T
elevision Engineers第64巻、P.248〜253(1955年5月
号)に記載の方法で、求めることができる。
本発明のハロゲン化銀カラー感光材料には処理の簡略
化及び迅速化の目的で発色現像主薬を内蔵しても良い。
内蔵するためには、発色現像主薬の各種プレカーサーを
用いるのが好ましい。
一方、本発明の黒白感光材料を現像するには、知られ
ている種々の現像主薬を用いることができる。すなわち
ポリヒドロキシベンゼン類、たとえばハイドロキノン、
2−クロロハイドロキノン、2−メチルハイドロキノ
ン、カテコール、ピロガロールなど;アミノフェノール
類、たとえばp−アミノフェノール、N−メチル−p−
アミノフェノール、2,4−ジアミノフェノールなど;3−
ピラゾリドン類、例えば1−フェニル−3−ピラゾリド
ン類、1−フェニル−4,4′−ジメチル−3−ピラゾリ
ドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチ
ル−3−ピラゾリドン、5,5−ジメチル−1−フェニル
−3−ピラゾリドン等;アスコルビン酸類などの、単独
又は組合せを用いることができる。又、特開昭58−5592
8号に記載されている現像液も使用できる。
黒白感光材料についての現像剤、保恒剤、緩衝剤およ
び現像方法の詳しい具体例およびその使用法については
「リサーチ・ディスクロージャー」誌No.17643(1978年
12月発行)X IX〜X XI項などに記載されている。
(実施例) 以下に実施例により本発明をさらに説明する。
〔実施例1〕 乳剤1調製 0.065Mの臭化カリウムと0.3Mの塩化ナトリウムを含有
する3.0重量%のゼラチン溶液1.2にそれを撹拌しなが
ら、3,4−ジメチル−4−チアゾリン−2−チオンのメ
タノール溶液を80ml加え75℃に保った反応容器に0.3M硝
酸銀溶液を50ccと0.18Mの臭化カリウムと0.8Mの塩化ナ
トリウムを含むハロゲン塩水溶液50ccをダブルジェット
法により3分間かけて添加した。
これにより0.3μmの塩化銀含量40モル%の塩臭化銀
粒子を得ることにより核形成を行った。続いて同様に75
℃において3分間で3.5gの硝酸銀を含む水溶液20ccと1.
5gの臭化カリウムと1.0gの塩化ナトリウムを含む水溶液
20ccをダブルジェットで同時に添加した。この粒子は0.
4μの単分散粒子であった。この乳剤に銀1モル当り6mg
のチオ硫酸ナトリウムと7mgの塩化金酸(4水塩)を加
え75℃で80分間加熱することによりコア化学増感処理を
行った。
こうして得たコアにさらに、75℃で、26.4gの硝酸銀
を含む水溶液140ccと11.0gの臭化カリウムと7.6gの塩化
ナトリウムを含む水溶液140ccをダブルジェット法によ
り同時に添加し、最終的に平均粒径が0.7μmの塩化銀
含量40モル%の塩臭化銀八面体粒子を得た。この乳剤に
銀1モル当り1.5mgのチオ硫酸ナトリウムと1.5mgの塩化
金酸(4水塩)を加え60℃で60分間加熱してシェルの化
学増感処理を行い、内部潜像型ハロゲン化乳剤1を得
た。
乳剤2調製 塩臭化銀微粒子乳剤2−A 0.01Mの臭化カリウムと0.05Mの塩化ナトリウムを含有
する2.3重量%のゼラチン水溶液1.3にそれを撹拌しな
がらダブルジェット法で1.2Mの硝酸銀水溶液と0.7Mの臭
化カリウムと1.0Mの塩化ナトリウムを含むハロゲン塩水
溶液を各々600mlを25分かけて添加した。この間反応容
器内のゼラチン溶液は35℃に保たれた。この後乳剤を、
常法のフロキュレーション法で洗浄し、ゼラチン30gを
加え、溶解した後pHを6.5に調節した。得られた塩臭化
銀微粒子(塩化銀含量40%)は平均粒子サイズは0.09μ
mであった。
乳剤1と同様に核形成を行い0.3μmの塩臭化銀核粒
子を得た後、続いて75℃において溶解した微粒子乳剤3
−A(塩化銀含量40モル%)をポンプで反応容器に添加
した。添加速度は硝酸銀量に換算して3.5gになるように
微粒子乳剤を3分間かけて添加した。その際塩化ナトリ
ウム20gをあらかじめ微粒子乳剤に溶解した。この粒子
は粒子サイズ0.4μmの単分散粒子であった。この乳剤
に銀1モル当り6mgのチオ硫酸ナトリウムと7mgの塩化金
酸(4水塩)を加え75℃で80分間加熱することによりコ
ア化学増感処理を行つた。
こうして得たコアに、さらに、溶解した微粒子乳剤2
−Aをポンプで反応容器に添加した。添加速度は硝酸銀
量に換算して26.4gになるように、微粒子乳剤を25分間
かけて添加した。
こうして、最終的に平均粒径が0.7μmの塩化銀含量4
0モル%の塩臭化銀八面体粒子を得た。この乳剤に銀1
モル当り1.5mgのチオ硫酸ナトリウムと1.5mgの塩化金酸
(4水塩)を加え60℃で60分間加熱してシエルの化学増
感処理を行い、内部潜像型ハロゲン化銀乳剤2を得た。
乳剤3調製 乳剤1と同様に核形成を行い0.3μmの塩臭化銀核粒
子を得た後、この種晶の成長を第2図に示す装置を用い
て行なつた。反応容器のそばに設けられた強力かつ効率
のよい混合器に、3分間で3.5gの硝酸銀を含む水溶液20
ccと1.5gの臭化カリウムと1.0gの塩化ナトリウムを含む
水溶液20ccと10重量%の低分子量ゼラチン(平均分子量
2万)水溶液20ccをトリプルジエツト法により添加し
た。混合器で撹拌され反応して生成した極微粒子(平均
サイズ0.02μm)は、混合器からただちに反応容器に連
続的に導入された。この間混合器の温度は25℃に保た
れ、反応容器の温度は75℃に保たれた。
この粒子は0.4μmの単分散粒子であつた。この乳剤
に銀1モル当り6mgのチオ硫酸ナトリウムと7mgの塩化金
酸(4水塩)を加え75℃で80分間加熱することによりコ
ア化学増感処理を行つた。
こうして得たコアにさらに次のようにしてシエルを形
成した。前記と同様の反応容器のそばに設けられた強力
かつ効率のよい混合器に25分間で26.4gの硝酸銀を含む
水溶液140ccと11.0gの臭化カリウムと7.6gの塩化ナトリ
ウムを含む水溶液140ccと10重量%の低分子量ゼラチン
(平均分子量2万)水溶液140ccをトリプルジエツト法
により添加した。混合器で撹拌され反応して生成した極
微粒子(平均サイズ0.02μm)は混合器からただちに連
続的に反応容器に導入された。この間、混合器の温度は
25℃、反応容器温度は75℃であつた。
こうして、最終的に平均粒径が0.7μmの塩化銀含量4
0モル%の塩臭化銀八面体粒子を得た。この乳剤に銀1
モル当り1.5mgのチオ硫酸ナトリウムと1.5mgの塩化金酸
(4水塩)を加え60℃で60分間加熱してシエルの化学増
感を行い、内部潜像型ハロゲン化銀乳剤3を得た。
乳剤1を用いて次の写真感光材料を作成した。支持体
はポリエチレンで両面ラミネートした紙支持体(厚さ10
0μm)であり塗布側には、チタンホワイトを白色顔料
として含んでいる。
(感光層組成) 以下に成分とg/m2単位で示した塗布量を示す。なおハ
ロゲン化銀については銀換算の塗布量を示す。
第1層(高感度赤感層) 赤色増感色素(ExS−1、2、3)で分光増感された 乳剤1 0.14 ゼラチン 1.00 シアンカプラー(ExC−1) 0.15 シアンカプラー(ExC−2) 0.15 退色防止剤(Cpd−2、3、4、13等量) 0.15 カプラー分散媒(Cpd−5) 0.03 第2層(保護層) ポリビニルアルコールのアクリル変性共重合体(変性度
17%) 0.02 ポリメチルメタクリレート粒子(平均粒子サイズ2.4μ
m)、酸化珪素(平均粒子サイズ5μm)等量 0.05 ゼラチン 1.50 ゼラチン硬化剤(H−1) 0.17 第1層は、造核剤としてExZK−1をハロゲン化銀塗布
量に対し10-3重量%、造核促進剤としてCpd−24を10-2
重量%用いた。更に、各層には乳化分散助剤としてアル
カノールXC(Dupont社)及びアルキルベンゼンスルホン
酸ナトリウムを、塗布助剤としてコハク酸エステル及び
Magefac F−120(大日本インキ社製)を用いた。第1層
には安定剤として(Cpd−19、20、21)を用いた。この
試料を試料番号101とした。
乳剤1のかわりに、乳剤2、3を用いたこと以外は資
料101と同様に作成したものを試料102、103とした。
上記の試料に赤フイルターを通し、ウエツジ露光(1/
10秒 20CMS)を与えた後、下記の処理を行つた。
水洗水の補充方式は、水洗浴(2)を補充し、水洗浴
(2)のオーバーフロー液を水洗浴(1)に導く、いわ
ゆる向流補充方式とした。このとき感光材料による漂白
定着浴から水洗浴(1)への漂白定着液の持ち込み量は
35ml/m2であり、漂白定着液の持ち込み量に対する水洗
水補充量の倍率は9.1倍であつた。
各処理液の組成は、以下の通りであつた。
水洗水 母液、補充液とも水道水をH型強酸性カチオン交換樹
脂(ロームアンドハース社製アンバーライトIR−120B)
と、OH型アニオン交換樹脂(同アンバーライトIR−40
0)を充填した混床式カラムに通水してカルシウム及び
マグネシウムイオン濃度を3mg/以下に処理し、続いて
二塩化イソシアヌール酸ナトリウム20mg/と硫酸ナト
リウム1.5g/を添加した。この液のpHは6.5〜7.5の範
囲にあつた。
得られた直接ポジ画像のシアン発色濃度を測定し、そ
の結果を第1表に示した。
本発明の試料102、103では最大画像濃度(Dmax)が高
く、最小画像濃度(Dmin)が小さく好ましい結果が得ら
れる。
実施例2 乳剤1を用いて次の写真感光材料を作成した。
支持体はポリエチレンで両面ラミネートした紙支持体
(厚さ100μm)であり、塗布側には、チタンホワイト
を白色顔料として含んでいる。
(感光層組成) 以下に成分とg/m2単位で示した塗布量を示す。なおハ
ロゲン化銀については銀換算の塗布量を示す。
第1層(高感度赤感層) 赤色増感色素(ExS−1、2、3)で分光増感された 乳剤1 0.14 ゼラチン 1.00 シアンカプラー(ExC−1) 0.15 シアンカプラー(ExC−2) 0.15 退色防止剤(Cpd−2、3、4、13等量) 0.15 カプラー分散媒(Cpd−5) 0.03 カプラー溶媒(Solv−7、2、3等量) 0.10 第2層(保護層) ポリビニルアルコールのアクリル変性共重合体(変性体
17%) 0.02 ポリメチルメタクリレート粒子(平均粒子サイズ2.4ミ
クロン)、酸化珪素(平均粒子サイズ5ミクロン)等量
0.05 ゼラチン 1.50 ゼラチン硬化剤(H−1) 0.17, 各層には乳化分散助剤としてアルカノールXC(Dupont
社)及びアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムを、塗
布助剤としてコハク酸エステル及びMagefac F−120(大
日本インキ社製)を用いた。第1層には、安定剤として
(Cpd−19、20、21)を用いた。この試料を試料番号201
とした。
試料201において、乳剤1のかわりに、乳剤2、3を
用いたものを、それぞれ試料202、203とした。
これらの試料に赤フィルターを通し、ウェッジ露光
(1/10秒 20CMS)を与えた後、実施例1と同様の処理
を行った。その際感材膜上で0.5ルックス(色温度5400
K)の光を発色現像開始後15秒より15秒間あてつづけ
た。
得られた直接ポジ画像のシアン発色濃度を測定しその
結果を第2表に示した。
本発明の化合物を用いた試料では、Dmaxが大きくDmin
が小さく好ましい結果が得られることがわかった。
実施例3 前記乳剤1を用いて次の写真感光材料を作成した。
ポリエチレンで両面ラミネートした紙支持体(厚さ10
0ミクロン)の表側に、次の第一層から第十四層を、裏
側に第十五層から第十六層を重層塗布したカラー写真感
光材料を作成した。ポリエチレンの第一層塗布側にはチ
タンホワイトを白色顔料として、また微量の群青を青味
染料として含む。
(感光層組成) 以下に成分とg/m2単位で示した塗布量を示す。なおハ
ロゲン化銀については銀換算の塗布量を示す。第3、
4、6、11、12に用いた乳剤は乳剤1の製法に準じて作
られた。ただし、第14層の乳剤は表面化学増感しないリ
ップマン乳剤を用いた。
第1層(アンチハレーション層) 黒色コロイド銀 0.10 ゼラチン 1.30 第2層(中間層) ゼラチン 0.70 第3層(低感度赤感層) 赤色増感色素(ExS−1、2、3)で分光増感された塩
臭化銀(平均粒子サイズ0.3μm、八面体) 0.06 赤色増感色素(ExS−1、2、3)で分光増感された塩
臭化銀(平均粒子サイズ0.45μm、八面体) 0.10 ゼラチン 1.00 シアンカプラー(ExC−1) 0.11 シアンカプラー(ExC−2) 0.10 退色防止剤(Cpd−2、3、4、13等量) 0.12 カプラー分散媒(Cpd−5) 0.03 カプラー溶媒(Solv−7、2、3等量) 0.06 第4層(高感度赤感層) 赤色増感色素(ExS−1、2、3)で分光増感された塩
臭化銀(平均粒子サイズ0.60μm、八面体) 0.14 ゼラチン 1.00 シアンカプラー(ExC−1) 0.15 シアンカプラー(ExC−2) 0.15 退色防止剤(Cpd−2、3、4、13等量) 0.15 カプラー分散媒(Cpd−5) 0.03 カプラー溶媒(Solv−7、2、3等量) 0.10 第5層(中間層) ゼラチン 1.00 混色防止剤(Cpd−7) 0.08 混色防止剤溶媒(Solv−4、5等量) 0.16 ポリマーラテックス(Cpd−8) 0.10 第6層(低感度緑感層) 緑色増感色素(ExS−3)で分光増感された塩臭化銀
(平均粒子サイズ0.25μm、八面体) 0.04 緑色増感色素(ExS−3、4)で分光増感された塩臭化
銀(平均粒子サイズ0.45μm、八面体) 0.06 ゼラチン 0.80 マゼンタカプラー(ExM−1、2等量) 0.11 退色防止剤(Cpd−9) 0.10 ステイン防止剤(Cpd−10、22等量) 0.014 ステイン防止剤(Cpd−23) 0.001 ステイン防止剤(Cpd−12) 0.01 カプラー分散媒(Cpd−5) 0.05 カプラー溶媒(Solv−4、6等量) 0.15 第7層(高感度緑感層) 緑色増感色素(ExS−3、4)で分光増感された乳剤1
(平均粒子サイズ0.7μm、八面体) 0.10 ゼラチン 0.80 マゼンタカプラー(ExM−1、2) 0.10 退色防止剤(Cpd−9) 0.10 ステイン防止剤(Cpd−10、22等量) 0.013 ステイン防止剤(Cpd−23) 0.001 ステイン防止剤(Cpd−12) 0.01 カプラー分散媒(Cpd−5) 0.05 カプラー溶媒(Solv−4、6等量) 0.15 第8層(中間層) 第5層と同じ 第9層(イエローフィルター層) イエローコロイド銀 0.20 ゼラチン 1.00 混色防止剤(Cpd−7) 0.06 混色防止剤溶媒(Solv−4、5等量) 0.15 ポリマーラテックス(Cpd−8) 0.10 第10層(中間層) 第5層と同じ 第11層(低感度青感層) 青色増感色素(ExS−5、6)で分光増感された塩臭化
銀(平均粒子サイズ0.45μm、八面体) 0.07 青色増感色素(ExS−5、6)で分光増感された塩臭化
銀(平均粒子サイズ0.60μm、八面体) 0.10 ゼラチン 0.50 イエローカプラー(ExY−1) 0.22 ステイン防止剤(Cpd−11) 0.00 退色防止剤(Cpd−6) 0.10 カプラー分散媒(Cpd−5) 0.05 カプラー溶媒(Solv−2) 0.05 第12層(高感度青感層) 青色増感色素(ExS−5、6)で分光増感された臭化銀
(平均粒子サイズ1.2μm、粒子サイズ分布21%、八面
体) 0.25, ゼラチン 1.00 イエローカプラー(ExY−1) 0.41 ステイン防止剤(Cpd−11) 0.00 退色防止剤(Cpd−6) 0.10 カプラー分散媒(Cpd−5) 0.05 カプラー溶媒(Solv−2) 0.10 第13層(紫外線吸収層) ゼラチン 0.15 紫外線吸収剤(Cpd−1、3、13等量) 1.00 混色防止剤(Cpd−6、14等量) 0.06 分散媒(Cpd−5) 0.05 紫外線吸収剤溶媒(Solv−1、2等量) 0.15 イラジエーション防止染料(Cpd−15、16等級) 0.02 イラジエーション防止染料(Cpd−17、18等量) 0.02 第14層(保護層) 微粒子塩臭化銀(塩化銀97モル%、平均サイズ0.2μ
m) 0.05 ポリビニルアルコールのアクリル変性共重合体(変性度
17%) 0.02 ポリメチルメタクリレート粒子(平均粒子サイズ2.4ミ
クロン)、酸化珪素(平均粒子サイズ5μm)等量0.05 ゼラチン 1.50 ゼラチン硬化剤(H−1) 0.17 第15層(裏層) ゼラチン 2.50 第16層(裏面保護層) ポリメチルメタクリレート粒子(平均粒子サイズ2.4ミ
クロン)、酸化珪素(平均粒子サイズ5ミクロン)等量
0.05 ゼラチン 2.00 ゼラチン硬化剤(H−1) 0.11 各感光層には、造核剤としてExZK−1をハロゲン化銀
塗布量に対し10-3重量%、造核促進剤としてCpd−24を1
0-2重量%用いた。更に、各層には乳化分散助剤として
アルカノールXC(Dupont社)及びアルキルベンゼンスル
ホン酸ナトリウム、塗布助剤としてコハク酸エステル及
びMagefac F120(大日本インキ社製)を用いた。ハロゲ
ン化銀及びコロイド銀含有層には、安定剤として(Cpd
−19、20、21)を用いた。この試料を試料番号301とし
た。実施例に用いた化合物の構造式を示す。
Cpd−8 ポリエチルアクリレート Solv−1 ジ(2−エチルヘキシル)フタレート Solv−2 トリノニルホスフエート Solv−3 ジ(3−メチルヘキシル)フタレート Solv−4 トリクレジルホスフエート Solv−5 ジブチルフタレート Solv−6 トリオクチルホスフエート Solv−7 ジ(2−エチルヘキシル)セバケート H−1 1,2−ビス(ビニルスルホニルアセトアミド)
エタン EXZK−1 7−〔3−(5−メルカプトテトラゾール−
1−イル)ベンズアミド〕−10−プロパルギル−1,2,3,
4−テトラヒドロアクリジニウムペルクロラート 第7層の乳剤1のかわりに、乳剤2、3を用いたもの
を、それぞれ試料302、303とした。これらの試料にウエ
ツジ露光(1/10秒 300CMS)を与えた後、実施例1と同
様の処理を行なつた。
得られた直接ポジ画像のマゼンタ発色濃度を測定し、
その結果を第3表に示した。
第3表に示されるごとく、本発明の試料ではDmaxが高
く、かつDminの低い結果の得られることがわかる。
〔本発明の効果〕
本発明の直接ポジ写真感光材料を使用して画像形成を
行うことにより、高い最大画像濃度と低い最小画像濃度
とをあわせ有する、実用にきわめて適した直接ポジ画像
が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は塩臭化銀乳剤粒子のX線回折プロフアイルの好
ましい半値巾を示す。横軸は塩臭化銀粒子中の塩素のモ
ル%を、縦軸は半値巾(△2θ゜)を示す。 第2図は、本発明の実施例で使用した乳剤仕込装置(混
合器及び反応容器)を示す。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】予めかぶらされていない内部潜像型ハロゲ
    ン化銀粒子を含有する少なくとも1の乳剤層を有する直
    接ポジ写真感光材料において、該内部潜像型ハロゲン化
    銀粒子が5モル%以上90モル%以下の塩化銀を含み、該
    粒子中の塩化銀を含む少なくとも一部の領域において塩
    化銀分布が完全に均一であることを特徴とする直接ポジ
    写真感光材料。
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