JP2572326B2 - 塩基性 カルシウム アルミニウム ヒドロキシ ホスファイト、その製造方法及び用途 - Google Patents

塩基性 カルシウム アルミニウム ヒドロキシ ホスファイト、その製造方法及び用途

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は塩基性の、カルシウム アルミニウム ヒド
ロキシ ホスファイト、その製造方法、およびハロゲン
含有重合体特にポリ塩化ビニルのための安定剤としての
その用途に関する。
ハロゲン含有熱可塑性樹脂組成物またはそれから製造
された造形品は熱または光の作用により分解または崩壊
する。それ故、これら樹脂には安定剤が添加されなけれ
ばならない。このためには、特に、異形品類や板類や管
類のような過酷な物品のためには、鉛やバリウムやカド
ミウムのような毒性の重金属の無機および/または有機
化合物が慣用されている。二塩基性亜燐酸鉛は、たとえ
ば、良好な耐熱性および良好な耐光および耐候性を要求
されている硬質PVC物品の安定化に特に重要な位置を得
た。熱や日光や紫外線によるPVCの分解を防ぐ安定剤と
しての塩基性亜燐酸鉛の用途はたとえば東独特許第6109
5号明細書に記載されている。中国特許第8510622号明細
書は塩基性の硫酸鉛と亜燐酸鉛の混合物による高充填剤
割当てをもった硬質および可塑化PVC製品の安定化を記
載している。更に塩基性亜燐酸鉛がPVC高抵抗フォーム
混合物のために使用されることは米国特許第4,797,426
号に記載されている。
塩基性亜燐酸鉛は他の重金属含有安定剤と同じ様に有
毒と定められているので、代替安定剤を見出す努力がな
されている。ハロゲン含有熱可塑性樹脂のための安定剤
としては無機および有機化合物の多数の組み合わせが知
られている。ヒドロタルサイトは日本特許公告第121386
5号公報および日本特許公開第80445/80号公報に安定剤
として示唆されている。この物質は耐熱性および透明性
に関してはCa/Zn金属石鹸の混合物より優れている。し
かしながら、ヒドロタルサイトの使用により樹脂が加工
中に変色するという問題は解決されていない。日本特許
公開第80444/82号公報によれば、ヒドロタルサイトと1,
3−ジケトン化合物の組み合わせを使用することが示唆
されている。さらに、ヒドロタルサイトはPVCに通例の
加工温度において水および二酸化炭素を放出するという
欠点を有している。この欠点を非常に微細な酸化マグネ
シウムの添加によって解消することが欧州特許出願第02
56872号に示唆されている。
本発明は既知安定剤の上記欠点を有すること無く特に
ハロゲン含有重合体用の安定剤として適合し且つ特に無
毒として定格される有効な新規化合物およびその製造方
法を発明するという目的に基づいている。
仏国特許公開第2593386号明細書はハロゲン含有樹脂
を安定化させるために亜燐酸カルシウムのようなアルカ
リ土金属またはアルカリ金属の亜燐酸塩を使用すること
を記載している。
この目的は本発明によれば、一般式 CaxAl2(OH)2(x+2)HPO3・mH2O (式中、xは2〜8であり、そしてmは0〜12である) の、カルシウム アルミニウム ヒドロキシ ホスファ
イトを入手可能にすることによって達成される。
上記式中、xは好ましくは3〜6を意味し、そしてm
は好ましくは2〜4を意味する。
X線回折による検査は本発明の化合物がその結晶構造
に関してヒドロタルサイト型に属さないことを示した。
驚くべきことに、本発明による、カルシウム アルミ
ニウム ヒドロキシ ホスファイトはハロゲン含有熱可
塑性樹脂およびそれから製造された造形品に対して、塩
基性亜燐酸鉛に匹敵するだけの耐熱性付与をもたらすこ
とが明らかになった。本発明の化合物はたとえば硬質PV
C造形品の製造における変色を防止し、本発明の化合物
によって安定化された造形品の色維持性および耐候安定
性は毒性重金属化合物によって安定化された製品のそれ
に等しい。
本発明の主題はまた、本発明の、カルシウム アルミ
ニウム ヒドロキシ ホスファイトを製造する方法であ
り、それは水酸化カルシウムおよび/または酸化カルシ
ウムと水酸化アルミニウムと水酸化ナトリウムの混合物
または水酸化カルシウムおよび/または酸化カルシウム
とアルミン酸ナトリウムの混合物を亜燐酸と、水性媒体
中での所望化合物の生成に対応する量で、反応させ、そ
して反応生成物を本質的に既知の手法で分離し回収する
ことを特徴とする。
上記反応によって直接得られた反応生成物は既知の方
法に従って、好ましくは濾過によって、水性反応媒体か
ら分離することができる。分離された反応生成物の加工
もまた本質的に既知の手法で、たとえば濾過ケークを水
で洗浄し、そして洗浄済み残留物をたとえば60〜130℃
の温度で、好ましくは90〜120℃の温度で乾燥すること
によって、行われる。
微細な活性水酸化アルミニウムと水酸化ナトリウムの
組み合わせおよびアルミン酸ナトリウムの両方が反応に
使用されることができる。カルシウムは微細な酸化カル
シウムまたは水酸化カルシウムまたはそれらの混合物の
形態で使用されることができる。亜燐酸は様々な濃縮形
態で使用できる。
反応温度は好ましくは約50〜100℃、より好ましくは
約60〜85℃である。触媒または促進剤は必ずしも必要な
い。結晶化の水は本発明の化合物では熱処理にって全体
的または部分的に除去されることができる。
安定剤として使用された場合、本発明の乾燥した、カ
ルシウム アルミニウム ヒドロキシ ホスファイトは
160〜200℃の加工温度、たとえば硬質PVCに通例であ
る、では水を全く放出しないので、造形品に乱れた気泡
生成が起こらない。
本発明の化合物は、それらの、ハロゲン含有熱可塑性
樹脂の中への分散性を改良するために、表面活性剤によ
って既知の仕方で被覆されることができる。
本発明によれば、ハロゲン含有熱可塑性樹脂は本発明
の、カルシウム アルミニウム ヒドロキシ ホスファ
イトによって安定化されることができる。このために
は、既知の仕方で製造されるポリ塩化ビニル、その単独
重合体および共重合体およびそれらと他の重合体との混
合物、例えばABS(アクリロニトリル/ブタジエン/ス
チレン)、CPVC(ポスト塩素化PVC)、アクリレートな
どのような、が特に適している。
樹脂の中には、本発明の化合物の他に、勿論、更に添
加剤を組み入れることができる。かかる添加剤の例は有
機錫化合物、有機ホスファイト、エポキシ化合物、アミ
ノ化合物、多価アルコール、C8〜C22脂肪酸と金属例え
ばCa、Zn、MgまたはAlとの金属石鹸、酸化防止剤、紫外
吸収剤、カルボニル化合物、静電防止剤、潤滑剤、可塑
剤、ワックス、顔料および充填剤である。
次に実施例によって本発明を説明する。
A)塩基性の、カルシウム アルミニウム ヒドロキシ
ホスファイトの製造 実施例1 222gの水酸化カルシウム(3モル)と80gの水酸化ナ
トリウム(2モル)と156gの活性水酸化アルミニウム
(2モル)の水性懸濁物(5.2リットル)を60℃に加熱
した。次いで、撹拌下で、70%水溶液の形態の234.3gの
亜燐酸(2モル)を一様供給速度で30分かけて添加し、
その間、その温度を維持した。そのすぐ後に懸濁物を85
℃に加熱し、そして撹拌しながらこの温度に3時間保っ
た。反応時間終了の10分前に、5gのステアリン酸ナトリ
ウムを被覆用に添加した。このようにして得た懸濁物を
濾過し、1.5リットルの水で洗浄し、そして濾過ケーク
を乾燥キャビネット内で115℃で3時間乾燥した。
この仕方で製造された生成物の分析値を下記に示す。
モル比 実測値 計算値 Ca 3.1 3 Al 1.9 2 P 1.2 1 実施例2 296gの水酸化カルシウム(4モル)と164gのアルミン
酸ナトリウム(2モル)の水性懸濁物(6.4リットル)
を50℃に加熱した。次いで、撹拌下で、70%水溶液の形
態の234.3gの亜燐酸(2モル)を一様供給速度で30分か
けて添加し、その間、その温度を維持した。そのすぐ後
に懸濁物を85℃に加熱し、そして撹拌しながらこの温度
に3時間保った。反応時間終了の10分前に、6gのステア
リン酸ナトリウムを被覆用に添加した。このようにして
得た懸濁物を濾過し、1.5リットルの水で洗浄し、そし
て濾過ケークを乾燥キャビネット内で115℃で3時間乾
燥した。
この仕方で製造された生成物の分析値を下記に示す。
モル比 実測値 計算値 Ca 4.05 4.0 Al 1.85 2.0 P 1.15 1.0 実施例3 444gの水酸化カルシウム(6モル)と164gのアルミン
酸ナトリウム(2モル)の水性懸濁物(7.2リットル)
を50℃に加熱した。次いで、撹拌下で、70%水溶液の形
態の234.3gの亜燐酸(2モル)を一様供給速度で30分か
けて添加し、その間、その温度を維持した。
そのすぐ後に懸濁物を85℃に加熱し、そして撹拌しな
がらこの温度に4時間保った。反応時間終了の10分前
に、8gのステアリン酸ナトリウムを被覆用に添加した。
このようにして得た懸濁物を濾過し、1.8リットルの水
で洗浄し、そして濾過ケークを乾燥キャビネット内で11
5℃で3時間乾燥した。
この仕方で製造された生成物の分析値を下記に示す。
モル比 実測値 計算値 Ca 6.1 6 Al 1.8 2 P 1.2 1 B)本発明の化合物の、安定剤としての用途 本発明の化合物を添加してあるPVC造形物体の耐熱
性、紫外線抵抗性および初期色を下記実施例で評価し
た。
PVC組成物を実験室ロールミルで180℃で5分間均質化
および可塑化した。約1mmの厚さであり、そしてこのよ
うにして製造したバンドから、辺長15mmの四角いサンプ
ルシートを切断した。これらサンプルシートを180℃の
乾燥炉で焼戻した。10分間隔で、同シートをそれぞれ引
っ張って検査カード上に適用した。このプロセスをサン
プルシートが黒色に変色するまでの頻度で繰り返した。
紫外線抵抗性の評価のための辺長に四角片を切断し
た。数個のこれら片を、磨いたクロムめっき鋼板の上に
留め、2mmの厚さの金属フレームで囲い、そしてやはり
磨いたクロムめっき鋼板で覆った。こうして、加熱プレ
スの中に、正確に規定した厚さのサンプル物体を、平滑
な表面をもって、製造した。これらサンプルをDIN53388
に従ってキセノテスト装置で暴露した。
サンプルが明瞭にその初期色を変えるまで要した時間
を測定した。この時間が長いほど、紫外線抵抗性は高
い。
初期色は上記のプレスされた造形物体について直接評
価した。
実施例4 A〜Hの上記組成物は指示されている方法に従って製
造され試験された。結果は第I表および第II表にまとめ
てある。
実施例5 I〜Mの上記組成物は指示されている方法に従って製
造され試験された。結果は第III表および第IV表にまと
めてある。
第IV表:初期色の評価結果 組成物 視覚判定 I 良い J 十分 K 良い L 非常に良い M 非常に良い 実施例6 N〜Rの上記組成物は指示されている方法に従って製
造され試験され、そして熱安定度を評価された。結果は
第Vにまとめてある。
フロントページの続き (72)発明者 キュルツインガー,アルフレート ドイツ連邦共和国 デー―8000、ミュン ヘン 71、ヴイルヘルム―ブッシュ―シ ュトラーセ 15 (72)発明者 プエルツェル,アルベルト・ヴェー ドイツ連邦共和国 デー―8000 ミュン ヘン 21、アグリコラシュトラーセ 69 (72)発明者 ローゼンタール,ミカエル ドイツ連邦共和国 デー―8000 ミュン ヘン 40、ツェントナーシュトラーセ 20

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 CaxAl2(OH)2(x+2)HPO3・mH2O (式中、xは2〜8であり、そしてmは0〜12である)
    の、塩基性の、カルシウム アルミニウム ヒドロキシ
    ホスファイト。
  2. 【請求項2】xが3〜6である、請求項1のホスファイ
    ト。
  3. 【請求項3】mが2〜4である、請求項1および/また
    は2のホスファイト。
  4. 【請求項4】請求項1〜3の、塩基性の、カルシウム
    アルミニウム ヒドロキシ ホスファイトを製造する方
    法であって、水酸化カルシウムおよび/または酸化カル
    シウムと水酸化アルミニウムと水酸化ナトリウムの混合
    物または水酸化カルシウムおよび/または酸化カルシウ
    ムとアルミン酸ナトリウムの混合物を亜燐酸と、水性媒
    体中での所望化合物の生成に対応する量で、反応させ、
    そして反応生成物を本質的に既知の手法で分離し回収す
    ることを特徴とする前記方法。
  5. 【請求項5】反応が約50〜100℃の温度で行われる、請
    求項4の方法。
  6. 【請求項6】請求項1〜3の何れか一項に記載の塩基性
    カルシウム アルミニウム ヒドロキシ ホスファイト
    からなるハロゲン含有重合体特にポリ塩化ビニル用安定
    剤。
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