JP2548201B2 - ヒトインタ−フェロンの製造方法及び高純度ヒトインタ−フェロン - Google Patents

ヒトインタ−フェロンの製造方法及び高純度ヒトインタ−フェロン

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Description

【発明の詳細な説明】 インターフエロンは生体により生成された重要な抗ウ
イルス性及び制癌性蛋白質である。この種特異性のため
に、インターフエロンの臨床的使用はヒトインターフエ
ロンを必要とする。組織培養細胞からまたは新鮮な白血
細胞から生成されうるインターフエロンは量が限られて
いるため大規模な臨床的使用には充分ではない。ヒトイ
ンターフエロンのための遺伝子情報を細菌性微生物へ導
入することは、もしこれが入手可能ならば、恐らく、イ
ンターフエロン活性を有するポリペプチドの大量生産を
可能にするであろう。このような技術がヒト成長ホルモ
ン及びインシュリンの場合に開発されていることが知ら
れている。
インターフエロンの2種のタイプ、すなわち、白血球
(IFN−α)及び繊維芽細胞タイプ(IFN−β)が異なる
メツセンジヤーRNAにより遺伝暗号化されるようである
(Cavallier,et al,1977,Proc Natl Acad Sci USA74,44
15−19)。純粋な形態をしたこれらmRNAの単離は未だ達
成されていない。これは恐らく宿主細胞が適当な外因性
因子、例えばウイルス性感染またはポリ(rI:rC)のよ
うな特定の実験用ポリヌクレオチドにインターフエロン
mRNAを暴露した結果としてのみ、そしてわずか微少量で
しかインターフエロンmRNAを合成できないようであるの
で、なお一層困難に思われる。従つて、もし、インター
フエロンを生成するため予め誘導された宿主細胞のmRNA
抽出物を用い、全成分、特に天然のアミノ酸を含む細胞
不含系においてこれを試験管内で転換されるようにする
ことが既に提案されたならばインターフエロン活性を有
する蛋白質製剤が得られたであろうが、インターフエロ
ンmRNAは実際、転換されるmRNAの非常にわずかな割合で
しかなく、従つてインターフエロン活性を有する最終蛋
白質製剤は他の蛋白質によつてより不純にされていた。
従つて、適当な媒介物質中へのそれの挿入後クロン化
されやすい二本鎖DNAへの直接形質転換のための出発物
質として従来技術によるmRNA製剤を用いることは実際克
服しえない検索上の困難さを伴うであろう。
本発明の主要な目的は上記の困難さ、特にインターフ
エロンに転換可能なmRNA、特にヒトに由来するもの及び
対応するDNAを単離する方を提供することの困難さを大
幅に克服することである。
本発明の更に一つの目的はヒト細胞におけるインター
フエロンのためのヌクレオチド配列遺伝暗号を含有する
遺伝性物質(DNA)の単離方法を提供することである。
本発明の更にもう一つの目的はメツセンジヤーRNAがD
NAに転換され、かつ適当な媒介物質中でこのDNAをクロ
ン化することからなるこのタイプの方法を提供すること
である。好ましい媒介物質はプラスミドであり、そして
好ましいプラスミドはpBR322タイプのプラスミドであ
る。
更に、本発明の一つの目的はインターフエロンを生成
するため誘導されたときのヒト細胞において発現された
異なる遺伝子配列を検出する方法を提供することであ
る。好ましい実施態様は先ず誘導された細胞RNAからのD
NAで、次いで誘導されなかつた細胞RNAから誘導された
同一のDNAで細菌性クロンの分画交雑を達成することか
らなる。
なお更に本発明の一つの目的はクロン化されたインタ
ーフエロンDNAを適当な媒介物質キヤリヤーに導入する
ことからなるインターフエロンポリペプチドを生成する
細菌性菌株を処理する方法を提供することである。クロ
ン化されたインターフエロンDNAは上述したように有利
に生成される。好ましい媒介物質は大腸菌(E.coli)ま
たは他の適当な微生物である。他のタイプの好ましい媒
介物質キヤリヤーは成熟核細胞である。
他のそして更に別の本発明の目的は後で明らかになる
であろう。
本発明の好ましい観点はインターフエロンの誘導物質
に暴露したときインターフエロンを生成する細胞を培養
し、これをこのような誘導物質に暴露し、メツセンジヤ
ーRNAを該誘導された細胞から抽出し、インターフエロ
ンメツセンジヤーRNAを精製し、メツセンジヤーRNAをDN
Aに転換し、次いで適当な媒介物質中でこのDNAをクロン
化することからなる、ヒト細胞、好ましくは繊維芽細胞
中のインターフエロンのためのヌクレオチド配列遺伝暗
号を含有する遺伝性物質(DNA)を単離する方法からな
る。好ましい実施態様によれば、細胞はヒト二倍体包皮
細胞である。好ましい実施態様によれば、誘導物質は二
本鎖RNAである。
その生成が宿主細胞において外因性因子により誘導さ
れやすいインターフエロンmRNAのまたは他の蛋白質もし
くはポリペプチドのmRNA(誘導可能なmRNA)の増殖法で
ある本発明方法は、 a) 宿主細胞培養をこのような外因性因子に暴露する
ことにより、該誘導可能なmRNAの合成を該宿主細胞にお
いて誘導し、 b) 該誘導された細胞培養中に形成された誘導可能な
mRNAを含有するmRNAをそこから同一宿主細胞の誘導され
なかつた対照培養のmRNAと共に抽出し、 c) 対応するmRNAを型として、誘導された培養及び誘
導されなかつた対照培養両者のmRNAのcDNAプローブ(誘
導されたcDNA及び誘導されなかつたcDNA)を合成し、 d) 誘導された培養から抽出されたmRNAから誘導され
た二本鎖cDNAを合成し、該cDNAを適当な媒介物質に挿入
し、適当な微生物を、得られた修飾された媒介物質で感
染(トランスフエクト)させ、該微生物を、該修飾され
た媒介物質の微生物コロニー(初期コロニー)の選択的
発育を持たらすために適した条件下で培養し、 e) 該初期コロニーの重複コロニーを形成し、 f) 該初期及び重複コロニー両者のDNAの現場遊離を
起こし、 g) 一方では初期コロニーの、そして他方では重複コ
ロニーのDNAを、各々上述した誘導されたcDNAプローブ
及び誘導されなかつたcDNAプローブと(または逆に)交
雑させ、 h) 誘導されたcDNAプローブと交雑するが誘導されな
かつたcDNAプローブとは交雑しないクロンのDNAを回収
し、これにより、該誘導可能な蛋白質またはポリペプチ
ド、特にインターフエロンに翻訳されることが可能なmR
NAと交雑可能なDNAを得ること からなる。
本発明方法は好ましくはヒトに由来するインターフエ
ロンの高度に精製されたmRNAの製造に利用される。
上で定義した工程のあるものは上記したと全く同じ順
番で行なう必要はない。このことは特にcDNAプローブの
合成に関する工程c)に適用される。実際、後者の工程
c)は本発明方法自体の工程である必要さえない。他の
細胞源からの類似のプローブを代りに用いてもよい。
本発明の更に別の有利な実施態様において、上で定義
した工程c)及びd)は細胞から抽出されうるmRNAのみ
の画分について、それらが「誘導された」のか「誘導さ
れなかつた」に関係なく行なわれる。この点に関し、mR
NAは、オリゴマーT−セルロースへの結合により全RNA
からのmRNAの分離を可能にするポリ−A部分を含むとい
う事実を利用できる。その後溶離されたmRNAフラクショ
ンは有利にその後蔗糖勾配遠心分離により分画でき、次
いで異なるバンドは別個に適当な細胞不含系、例えば網
状赤血球細胞溶解質へ翻訳され、次いで転換生成物各々
は抗インターフエロン血清により免疫沈澱される能力に
ついて試験される。このような免疫沈澱試験でその翻訳
生成物が陽性反応を与えたmRNAのバンドは次いで2種の
上で定義した工程c)及びd)を行なうため保持され
る。この方法の更に別の観点はインターフエロンのため
の2種の異なるmRNA遺伝暗号が、ヒト繊維芽細胞が上記
a)におけるように誘導される場合これらの細胞から単
離されうることである。最小のmRNAは11sで沈降し、か
つ細胞不含系中で転換により分子量20,000の蛋白質を生
じ、この蛋白質はこれらの細胞から精製されうるインタ
ーフエロンの1種に対して製造された抗体により選択的
に沈澱される。この蛋白質はヒトインターフエロン(IF
N)−βである。最大のmRNAは14sで沈降し、かつ分子
量23,000の蛋白質を生じ、この蛋白質は繊維芽細胞イン
ターフエロンの精製度のより低い製剤に対する抗体によ
り沈澱される。この蛋白質はヒトインターフエロン−β
と命名される。両蛋白質のためのmRNAの画分は上記の
工程d)に使用された。これは実質的に純粋な形態で自
由にIFN−βまたはIFN−βを製造することを可能に
する。交雑(上で定義した工程c,d,e,f,g及びh)は従
つて2種のインターフエロンcDNAIFNβまたはβ
一方を含有する大腸菌の単一コロニーを正しく同定でき
るようにする。特に、「誘導された」cDNAプローブとの
み交雑するが、「誘導されなかつた」cDNAプローブとは
交雑しないこれらコロニーは、a)「誘導されなかつ
た」cDNAプローブと交雑可能ではない該DNAは「誘導さ
れなかつた」細胞により通常生成されたmRNAのいずれに
も適宜対応せず、かつb)使用される2種のプローブ間
の唯一の差異は「誘導された」cDNAプローブは他方とは
これがインターフエロンmRNAの1種から誘導されたcDNA
を含有するという事実によつてのみ異なつている限り、
インターフエロンmRNAに対応するcDNAを有する修飾され
た媒介物質を組込んだものからなることしかできないこ
が認められよう。これらcDNAの形成はそれ自体公知の任
意の方法で、特に逆転換酸素の存在下における転換によ
つて達成できることはこの分野の当業者にとつて明らか
であろう。pBR322プラスミドのような高生産性細菌性媒
介物質を用いるのが有利である。インターフエロンcDNA
により修飾された媒介物質の微生物における後の発現を
達成するために、「3種の転換期の各々におけるクロン
化された遺伝子の融合を可能にするバクテリオフアージ
ランダ及びプラスミド媒介物質(Bacteriophage Lambda
and Plasmid Vectors Allowing Fusion of Cloned Gen
es in each of the three translational phases)」,N
ucleic Acid Res.,1978−5、(12),4479−94において
Patrick Charney et alにより定義されたような一組の
媒介物質を使用することができる。
本発明の更に別の重要な工程によれば、上記の修飾さ
れた媒介物質は、その転換期がいずれであるかにかかわ
らず、「誘導された」細胞により製造されたRNA混合物
からインターフエロンmRNAを抽出するために使用でき、
この方法はこれらのRNを、支持体上に既に不動化された
インターフエロンcDNAにより修飾されたこのような媒介
物質に、交雑を起こすのに適した条件下で接触させ、次
いで固定されたmRNAを不動化されたDNA媒介物質から溶
離させることを含む。このような方法により、ヒトイン
ターフエロン(IFNβまたはIFNβ)のmRNAは高度に
精製された形態で得られる。
翻訳生成物が、適当な試験官内系においていずれの場
合も、インターフエロン活性を有しかつヒトインターフ
エロンへの該抗体により沈澱されうる単一ポリペプチド
化合物から本質的になるという事実により高水準の精製
が認められうる。
従つて、本発明はまた以上IFN−βの場合は900〜1,
000以下のヌクレオチド及びIFN−βの場合は1,250〜
1,350のヌクレオチドを含む該精製されたmRNAにも関す
る。同一の方法によりこれはまた該RNAの転換により得
ることができる対応するcDNAにも関する。本発明はまた
2種の異なるインターフエロンmRNA及び従つてやはり異
なる生物学的重要性を有するであろう蛋白質部分の存在
にも関する。本願に包含される交雑工程の各々の前に、
可能な二本鎖核酸の変性を、それが適切な場合には行な
つてもよく、これにより、(細胞中のインターフエロン
を誘導しうる)二本鎖核酸は、精製mRNAをその転写によ
り試験管内でインターフエロン活性を有する実質的に純
粋な蛋白質の製造に用いるとき、この精製mRNAに何ら残
存しないことが確実にされる。
以下、本発明を適切な図面及び表に照らしてこの好ま
しい実施態様のより詳細な記載により説明するが、これ
は本発明を限定するものではない。
a) ヒト二倍体繊維芽細胞からの2種のインターフエ
ロンmRNAの精製 (the weizmann Institute of Scienceにて単離され
た) ヒト繊維芽細胞系統FS11の単層培養からRNAを抽出し
た。生後8日目の正常な固体から取つた包皮体外移植組
織から育てたこれら二倍体細胞は、15の個々の単離物の
うちこれらが高力価のインターフエロンを生成する能力
があるため選択した。あるいは、ヒトSV80細胞のクロン
の培養を用いた。10%の胎児牛血清を含有するEagleの
最小培地中の培養を、2.2のガラスローラービンまた
は22×22cmのプラスチツクトレイ中で5%CO2及び95%
空気中37℃で保持した。合流させて3日後、培養をポリ
(rI):(rC)100μg/ml及び(宿主による蛋白質の合
成を遮断する)シクロヘキシミド50μg/mlに3.5時間暴
露することによりインターフエロンを生成するよう誘導
した。(細胞性RNAの合成を遮断する)アクチノマイシ
ンD1μg/mlを添加し、1時間後細胞を、緩衝化したNoni
det P−40洗剤で溶解し、細胞形質のRNAをkirby(196
5)のようにフエノール/クレゾール混合物で抽出し
た。mRNAを、これらがオリゴーdT−セルロースへの結合
によりPoly Aを含有しているという事実を活用すること
により全RNAから単離した。mRNA画分は次いで庶糖勾配
遠心分離により分画した。インターフエロンmRNAを含有
する画分はRaj N.K.B.及びPitha P.M.(Proc.Natl.Aca
d.Sci.USA 74,1483−1487,1977)に従つて、Xenopus la
evis卵母細胞に顕微注射し次いで24〜40時間後卵母細胞
培養培地中に放出されたインターフエロンの抗ウイルス
活性を測定することにより同定した。抗ウイルス活性
は、FS11細胞を卵母細胞培地の希釈液に暴露し、該細胞
を小水疱性口内炎ウイルスに感染させ、次いでこのウイ
ルスにより持たらされた細胞発病効果の抑制を観察する
ことにより測定した。インターフエロンの力価は最終有
効希釈に従い既知溶液と比較することにより計算した。
インターフエロンmRNAを含有する画分もまた、網状赤血
球細胞溶解質中で転換し、次いでWeissenbach et alの
方法(Eur.J.Bio−chemistry 98,1−8,1979)により生
成物の免疫沈澱を行なうことにより同定した。
第1b図は卵母細胞に注射することにより検出されたイ
ンターフエロンmRNA活性の2本のピークを示している。
第1b図は転換生成物及び抗インターフエロン血清間で得
られた免疫沈澱線を表わしたものであり、2本の矢印は
分子量23,000(23k)及び20,000(20k)の2種のポリペ
プチドを示す。この23k及び20kの免疫沈澱ポリペプチド
のための庶糖勾配画分遺伝暗号を第1a図に示したが、こ
れらがインターフエロンmRNA活性の2本のピークに対応
することがはつきり分る。インターフエロン活性はまた
ヒト細胞における(2′−5′)オリゴーイソアデニレ
ート合成酵素の誘導を測定することにより網状赤血球細
胞溶解質の翻訳生成物においても検出した。両方法によ
り最大のインターフエロンmRNAピークは23kポリペプチ
ドのために遺伝暗号をつくり、一方最小インターフエロ
ンmRNAピークは23kポリペプチドのために遺伝暗号をつ
くることが分つた。両インターフエロンmRNA共にこのよ
うな方法で単離し、大腸菌(E.coli)におけるクロン化
に用いた。
b)インターフエロンβ2cDNAの大腸菌におけるクロン
化 誘導された細胞からの精製されたmRNAは分子量23,000
のポリペプチドについてmRNAの約1.3%を含有すると計
算され、これを鳥類の骨髄芽球症ウイルス、逆転換酵素
及びオリゴーdTをプライマーとしてcDNAを合成するため
の型として用いた。RNAをアルカリ処理により除去した
後、DNAの第二鎖は逆転換酵素またはDNAポリメラーゼI
を用いて合成できる。一本鎖DNAは核酸分解酵素S1を用
いて加水分解することにより除き、DNAの3′末端を、D
GTPを基質として用いてヌクレオチド末端転移酵素によ
り延伸した(「尾をつけた(tailed)」)。次いで、プ
ラスミドDNAを上記したdsで尾をつけたヒトcDNAと交雑
させ、大腸菌(E.coly)DP50に感染(トランスフエク
ト)させるために用いた。感染させた細菌性コロニー
は、Luria肉汁、ジアミノピメル酸、チミジン及びテト
ラサイクリンを含有する寒天板上で平板培養することに
より同定した。更に、コロニーを同様な、正し唯一の抗
生物質としてアンピシリンを含有する寒天板上で試験し
た。アンピシリン感性とテトラサイクリン耐性のあるこ
の細菌性コロニーは上記のようなテトラサイクリン10μ
g/mlを含有する寒天板上に置いたニトロセルロースフイ
ルター上で生育させた。得られた形質転換された2000を
越すコロニーは、上で示したように寒天板上にある別の
ニトロセルロースフイルター上で各々転換させたが、重
複コロニーの各々は最初のコロニーの一つに(特に共通
の番号付けにより)関係していた。コロニーが直径3〜
5mmに達した後、フイルター(最初の培養及び重複物)
を、重ねた瀘紙の頂上に移し、先ず0.5N NaOH、次いで
0.15M NaCl及び0.1N NaOHで含浸させることによりそれ
らの各々のDNAの現場遊離を起こした。瀘紙を中和し、
そして乾燥させた。インターフエロンDNA配列を含有す
る細菌性コロニーを検出するために、瀘紙を2種の異な
る[32P]cDNAプローブと交雑させた。一方のcDNAプロ
ーブは誘導された細胞(第1図の矢印23k)からの庶糖
勾配画分からのmRNAの逆転換酵素により製造した。第二
のプローブは誘導されなかつた細胞製剤の同様な画分か
ら同一の方法で製造した。両cDNA製剤は4種の高放射能
性[32P]−デオキシヌクレオシドトリホスフエートを
基質として、そして断片化された子牛の胸線DNAをプラ
イマーとして用いて合成した。cDNAプローブにおけるmR
NA配列のランダム表現がかくして達成された。交雑は0.
9M NaCl−0.09Mクエン酸Na緩衝液pH7.0中で62〜64℃で1
8時間行ない、最初のコロニーは誘導された細胞のcDNA
プローブと、そして重複コロニーは誘導されなかつた細
胞のcDNAプローブと各々(または逆に)交雑させた。大
量洗浄後、フイルターをX線フイルムに暴露し、誘導さ
れたcDNAには交雑可能であるが、誘導されなかつたcDNA
には交雑可能ではない細菌性コロニーを同定した。この
方法により、検索した全部で2,000を越す形質転換され
たコロニーから20種の異なる細菌性コロニーを単離し
た。これら20種の細菌性コロニーは全て、細胞がポリ
(rI:rC)によりインターフエロンを生成するため誘導
されてしまつた後でのみ発現されるヒトmRNA配列が挿入
されたプラスミドの多重コピーを含有している。
この技術を例示した実施例を第2図に示したが、この
ものはインターフエロン生成のためポリ(rI):(rC)
により誘導された(i)または誘導されなかつた(n.
i)細胞からの、第1図のmRNA画分23kに対して製造され
た[32P]−cDNAでそのDNAが交雑された、それらのニト
ロセルロースフィルター上の15対のアルカリ処理したコ
ロニー対(最初のもの及び重複のもの)に関するもので
ある。矢印は2種のコロニー、特に誘導された配列を含
有する5と13の番号をつけたコロニーを示している。コ
ロニー番号13はE.coli DP50/A341と命名された。
c) ヒト繊維芽細胞からのインターフエロンmRNAの単
離 インターフエロンmRNAの単離(及びクロンA341のプラ
スミドDNA中のインターフエロンcDNA配列の存在の立
証)は下記のように達成された。この細胞性クロンの50
0mlの培養を用いて50μgのプラスミドDNAを製造した。
このDNAを(その前に変性させた後)、Aldwine et alの
方法(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1977,74,5350)に従つ
てジアゾベンジルオキシメチルセルロース粉末に共有結
合させた。並行して、(ヒトDNA配列を含有しない)プ
ラスミドpBR322DNAを同様にセルロースに結合させた。
インターフエロンを生成するため誘導されたヒト繊維芽
細胞からのPoly−A含有mRNAを50%ホルムアミド中52℃
でこの2種のDNAセルロース製剤に交雑させ、次いで70
℃でホルムアミド濃度を100%まで上げることにより溶
離した。溶離後回収されたRNAを網状赤血球細胞不含系
中で翻訳し(第3図)、これによりA341DNA−セルロー
ス上に選択されたmRNAの本質的な翻訳生成物は実質的に
分子量23,000のポリペプチドであることが分つた。対照
的に、pBR322DNA−セルロースから何らヒトインターフ
エロンmRNAは回収されなかつた。A341DNA−セルロース
への交雑の前のヒトmRNAの転換生成物と比較して、クロ
ン化されたA341DNAは混合物中のmRNAのごくわずかにし
か対応しないことが確認できた。A341DNA−セルロース
上に選択されたmRNAの生成物を抗ヒト繊維芽細胞インタ
ーフエロン血清により免疫沈澱させた。
同記と同様な方法により、但し、プラスミドA341DNA
をニトロセルロースフイターに結合させ、RNAをそれに
交雑させ、H2Oの中で1分間沸騰させることにより溶離
させて、インターフエロンmRNAもまた単離できた。
生物学的に強力なヒトインターフエロンのために遺伝
暗号をつくるこの精製mRNAの活性を、Xenopus laevis卵
母細胞に注射し、次いで卵母細胞培養培地に暴露された
ヒト細胞におけるウイルス増殖の抑制を測定することに
より示した(第1表)。また、精製されたβ2mRNAのイ
ンターフエロン活性も卵母細胞翻訳生成物によりヒト細
胞における(2′−5′)オリゴーイソアデニレート合
成酵素の誘導により示した(第1表)。
下記の第1表はこのmRNAがXenopus laevis卵母細胞に
おける翻訳後、ヒト細胞におけるウイルスの生育を抑制
する生物学的に活性なインターフエロンを生じることを
立証したものである。
A341プラスミドDNAの制限酵素地図はこれがPst部位中
に約900のヌクレオチドのヒトDNA挿入物を含有している
ことを示した。A341DNAはまたEco R1核酸分解酵素によ
り消化されたヒトゲノムの3断片に交雑した。これらの
断片はアガロースゲルの電気泳動により分離される。ヒ
ト繊維芽細胞からのmRNAのアガロースゲル電気泳動描写
図への交雑は更にA341DNAがインターフエロン誘導物質
ポリ(rI:rC)へ暴露された細胞においてのみ発見され
たRNA配列に対応していることを示した(第4図)。ポ
リ(rI:rC)へ細胞を1時間暴露しただけでA341DNAに交
雑する1,250〜1,350のヌクレオチド長のRNAの蓄積が起
こり、このものはIFN−β2mRNAを表わす。
上のデータは細菌性クロンE.coli DP50/A341はそのpB
R322プラスミドのPst部位中にヒトインターフエロンmRN
Aに対応するヒトcDNA配列の約900のヌクレオチドの挿入
物を含有することを立証した。いくつかの同様に製造し
たクロンが得られた。第4b図はIFN−βのためのクロ
ンは最大の1,250〜1,350のヌクレオチド長のmRNAに交雑
し、一方IFN−βのためのクロンは最小の900〜1,00の
ヌクレオチド長mRNAに交雑したことを示している。
この方法はヒト細胞からの異なるタイプ(α,β,
γ)のインターフエロンDNAのクロンを得るために使用
できる。
図面の説明 第1図:インターフエロンを生成するため誘導された
ヒト細胞からのPoly A+の庶糖勾配(a)。沈降は右か
ら左である。10個のXenopus laevis卵母細胞に各画分当
り0.4μgのRNAを注射し、40時間後、これら卵母細胞周
囲の培地をFS11細胞上でインターフエロンについて分析
した(左の目盛)。各RNA画分(0.24μg)もまた網状
赤血球細胞溶解質中で転換し、35−Sメチオニンで標識
した生成物を抗インターフエロン血清で沈澱させた。ポ
リアクリルアミドゲル電気泳動で分析した生成物を
(b)のレーンiに示す。(b)中のレーンnは誘導さ
れなかつた細胞からの分画されなかつたmRNAの免疫沈澱
された生成物を表わす。(b)の右端は分子量の印であ
る(上から下まで、68,46,30,18及び14ダルトン×1
0-3)。23k及び20k蛋白質(矢印)の位置及び強度を記
録し、これを(右の目盛により)グラフとして示した。
2種のインターフエロンmRNAの重い方が23k蛋白質にお
いて転換され、一方小さな方のインターフエロンmRNAは
20k蛋白質において転換される。
第2図:インターフエロンDNAを含有する系質転換さ
れた細菌性クロンの検出。ニトロセルロースフイルター
上の15のアルカリ処理したコロニーを、インターフエロ
ン生成のためポリ(rI):(rC)により誘導された
(i)または誘導されなかつた(n.i)細胞からの23kmR
NA画分(第1図参照)に対して製造した[32P]cDNAと
交雑させた。矢印は誘導された配列を含有する2種のコ
ロニーを示す。コロニー番号13はE.coli DP50/A341であ
る。
第3図:クロンE.coli DP50/A341がインターフエロン
DNAを含有することの立証。インターフエロン生成のた
めに誘導されたヒト繊維芽細胞からのPoly A+mRNAを、
セルロースに共有結合されたA341プラスミドからのDNA
に交雑させ、転換した。転換生成物のゲル電気泳動はイ
ンターフエロン(IF)ポリペプチドのために遺伝暗号を
つくるmRNAが全mRNAの混合物から独自に選択されること
を示す。pBRDNAはこのmRNAを選択することができない。
IFポリペプチドの位置は抗インターフエロンによる免疫
沈澱(ipt)の後で示される。
第4図: a) 細菌性クロンA341のプラスミドDNAはインターフ
エロン生成のために誘導された(i)細胞中に見出され
るが誘導されなかつた(n)細胞中には見出されない14
S(1,300のヌクレオチド長の)mRNA交雑する。プラスミ
ドpBR DNAは交雑しないが、クロン化されなかつた全cDN
A(tot)は誘導されなかつた細胞中においても見出され
る多くのmRNAと交雑する。RNAのアガロースゲル電気泳
動及びそれに続く3種の32P−DNAへの交雑を示した。
b) インターフエロンDNAの異なるクロンからのプラ
スミドDNAをmRNA電気泳動描写図への同様な交雑実験に
て用いた。IFN−β2DNAを含有するクロンは1,300のヌク
レオチド長のmRNAに交雑し、一方IFN−βを有するク
ロンはより小さな900のヌクレオチド長のインターフエ
ロンmRNAに交雑する。
【図面の簡単な説明】
第1図のaは庶糖勾配上のmRNAの分画、及びXenopus la
evis卵母細胞中にヒトインターフエロン活性を生成しか
つ網状赤血球細胞溶解質中に特異的に免疫沈澱させた蛋
白質を生成するために誘導された細胞に由来するこれら
mRNA画分の転換、すなわちIFN−β及びIFN−βのた
めにmRNAを分離する方法を示しており、第1図のbは、
粒子構造を示す図面であり、ポリアクリルアミド電気泳
動分析を示す。 第2図は粒子構造を示す写真であり、「誘導された」及
び「誘導されなかつた」細胞からの2種の上記のプロー
ブ各々による同一の細菌性コロニーのDNAの分画交雑方
法の結果を示しており、 第3図は粒子構造を示す写真であり、網状赤血球溶解質
における転換により立証されたように細菌性クロンA341
からの不動化されたDNAへの交雑によるインターフエロ
ンIFN−βの精製を示しており、 第4図は粒子構造を示す写真であり、細菌性クロンA341
からのDNAがインターフエロン合成の誘導後にのみヒト
細菌中に現われる1,250〜1,350長のmRNAに対応すること
を立証するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−63996(JP,A) Knight,Jr.E.:Pro c.Natl.Acad.Sci.US A.73.520(1976) Eur.J.B:ochem.Vol 98.P1−8(July16.1979)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ヒト繊維芽細胞を外因性因子に暴露するこ
    とにより誘導されるmRNAであって蔗糖勾配遠心により14
    Sで沈降し約1,300のヌクレオチドを有しインターフェロ
    ン活性を有するポリペプチドへ翻訳可能なmRNAの翻訳に
    より得ることができる、分子量約23,000のポリペプチド
    であり、ヒト繊維芽細胞インターフェロンβ1を実質的
    に含有しないヒト繊維芽細胞インターフェロンβ2の製
    造方法であって、 a)繊維芽培養細胞を外因性因子に暴露することによ
    り、mRNAの合成を該細胞において誘導し: b)該誘導された培養細胞中に形成されたmRNAを、同一
    宿主細胞の誘導されなかった対照培養細胞のmRNAと共に
    抽出し: b′)誘導された培養細胞から抽出されたmRNAを、蔗糖
    勾配遠心により11Sで沈降するmRNAと14Sで進行するmRNA
    とに分離し、 c)誘導された培養細胞から抽出された14SmRNAから誘
    導される二本鎖cDNを合成し、該cDNAを適当なベクター
    に挿入し、適当な微生物を、得られた修飾されたベクタ
    ーで感染(トランスフェクト)させ、該微生物を、該修
    飾されたベクターの微生物コロニー(初期コロニー)の
    選択的発育を持たらすために適した条件下で培養し: d)該初期コロニーの重複コロニーを形成し: e)該初期及び重複コロニー両者のDNAの現場(in sit
    u)遊離を起こし: f)対応するmRNAを鋳型として、誘導された培養細胞の
    14Sで沈降するmRNA及び誘導されなかった対照培養細胞
    のmRNAのcDNAプローブ(誘導されたcDNA及び誘導されな
    かったcDNA)を合成し: g)一方では初期コロニーの、そして他方では重複コロ
    ニーのDNAを、各々上述した誘導されたcDNAプローブ及
    び誘導されなかったcDNAプローブと交雑させ: h)誘導されたcDNAプローブと交雑するが「誘導されな
    かった」cDNAプローブとは交雑しないDNAを回収し: i)工程b)又b′)において既に抽出されたmRNAを、
    支持体上に不動化された工程h)で得られる個々のDNA
    と、交雑を起こすのに適当な条件下で接触させ、次いで
    固定されたmRNAを不動化されたDNAから溶離して、ヒト
    繊維芽細胞インターフェロンβ2に翻訳可能なmRNAを単
    離し;次いで j)かくして単離されたmRNAを網状赤血球細胞溶解質あ
    るいはXenopus laevis卵母細胞中でin vitroで翻訳して
    ヒト繊維芽細胞インターフェロンβ2を得ること: からなる上記製造方法。
  2. 【請求項2】ヒト繊維芽細胞を外因性因子に暴露するこ
    とにより誘導されるmRNAであって蔗糖勾配遠心により14
    Sで沈降し約1,300のヌクレオチドを有しインターフェロ
    ン活性を有するポリペプチドへ翻訳可能なmRNAの翻訳に
    より得ることができる、分子量約23,000のポリペプチド
    であり、ヒト繊維芽細胞インターフェロンβ1を実質的
    に含有しないヒト繊維芽細胞インターフェロンβ2。
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