JP2021065239A - 半発酵茶葉、着香の半発酵茶葉、半発酵茶葉又は着香の半発酵茶葉を含む混合茶葉、半発酵茶葉、着香の半発酵茶葉又は混合茶葉からの抽出物、抽出物を含む飲食物 - Google Patents
半発酵茶葉、着香の半発酵茶葉、半発酵茶葉又は着香の半発酵茶葉を含む混合茶葉、半発酵茶葉、着香の半発酵茶葉又は混合茶葉からの抽出物、抽出物を含む飲食物 Download PDFInfo
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Abstract
Description
具体的には、抽出が早く、水の色が明るく、濃度が高く、苦渋みの少ない新しい半発酵茶或いは高発酵度に分類される非全発酵茶、その生産方法及び該半発酵茶を使用した茶飲料、茶成分の含有食品或いは飼料添加物等に関する。
本発明のさらなる目的は、ブレンド用のお茶を提供することにある。本発明の方法で製造した半発酵茶を着香茶に加工し、一定比率の緑茶或いは着香緑茶とブレンドすることにより、半発酵茶の色調と重厚感を保ちながら、豊かで調和のとれた香りと、より爽やかな味で、半発酵茶と緑茶の長所を合わせ持つ、新規な茶飲料を提供する。
また、この加工方法でできた半発酵茶は苦渋み成分と茶ポリフェノールが減少でき、一方、茶色素の中にあるテアルビジンとテアフラビンの量が相対的に多くなり、一種の新しい半発酵茶を得られ、本発明を実現した。
(1)茶青を萎凋する工程と、前記萎凋した後、表面及び裏面を含む茶青全体の組織又は全体の組織細胞に、破砕、揉捻、深度揺青又はその任意の組み合わせで傷をつける工程と、 前記随所に傷をつけた茶青を発酵させる工程と、
前記発酵工程において茶青が目標発酵度に達したとき、該茶青を殺青する工程と、
前記殺青した茶青を乾燥する工程とを含む、半発酵茶の製造方法。
(2)前記萎凋した後、前記茶青を破砕し、該破砕した茶青の破片の面積が2cm2以下となるようにする、前項(1)記載の半発酵茶の製造方法。
(3)前記萎凋した後、前記茶青の細胞の破損率が60%以上になるように揉捻する、前項(1)記載の半発酵茶の製造方法。
(4)前記萎凋した後、前記茶青を揉捻又は揺青することにより、該茶青の細胞の破損率を20%〜30%とし、
前記揉捻又は揺青した茶青の第1回目の発酵をし、
前記第1回目の発酵をした茶青を、2cm2以下の面積となるように破砕し、
前記破砕した茶青の第2回目の発酵をし、
前記茶青が目標発酵度に達したとき、前記第2回目の発酵をした茶青を殺青する、前項(1)記載の半発酵茶の製造方法。
(5)前記茶青の面積を、1cm2以下とする、前項(2)又は(4)に記載の半発酵茶の製造方法。
(6)前記乾燥した茶葉の重量に対して、
茶ポリフェノールの含有量が19重量%以下であり、
カテキンの総量が8重量%以下であり、
ECG及びEGCG含有量が5重量%以下であり、
テアブラウン、テアフラビン及びテアルビジンの総量が11重量%以上である、前項(1)〜(5)の何れかに記載の半発酵茶の製造方法。
(7)さらに、カテキンの転化率が50%以上90%以下である前項(1)〜(6)の何れかに記載の半発酵茶の製造方法。
(8)前記目標発酵度が、50%以上95%以下である、前項(1)〜(6)の何れかに記載の半発酵茶の製造方法。
(9)乾燥茶葉の重量に対して、
茶ポリフェノールの含有量が19重量%以下であり、
カテキンの総量が8重量%以下であり、
ECG及びEGCG含有量が5重量%以下であり、
テアブラウン、テアフラビン及びテアルビジンの総量が11重量%以上である、全発酵茶である紅茶を除く半発酵茶。
(10)
前記テアフラビン、前記テアルビジンの和と前記テアブラウンとの比が0.75以上である、前項(9)に記載の全発酵茶である紅茶を除く半発酵茶。
以下、本発明の半発酵茶と該半発酵茶の製造方法を詳しく説明する。
本明細書中の"茶"とは、茶葉と茶葉を破砕した砕茶をいう。特段説明のある場合以外、"茶葉"というのは基本的に本来茶の葉の状態を変えていない茶樹の葉のことをいう。
本発明の中で所謂発酵とは、茶青の中の茶ポリフェノール等の物質が酸素に晒された場合、細胞の中に存在する酸化酵素の働きで酸化し、半発酵茶に特有な香りおよび味わいを生成する過程をいう。
すなわち、伝統の烏龍茶より高いが、伝統の紅茶より低い非全発酵茶をも含む。
本発明の半発酵茶は、ポリフェノールの含有量が原料茶青や発酵度合いや加工方法の違いなどによって異なる。しかし、乾燥した茶葉の重量比ですべて19%以下、好ましくは18%以下、更に好ましくは17%以下である。通常、ポリフェノールの含有量は9%を下らない。より好ましくは12%以上である。発酵前と比べると茶ポリフェノールの転化率が20%以上で、更にその最高は50%以上に達することもある。茶ポリフェノールの含有量を19%以下に抑えるため、本発明の半発酵茶は飲み口が著しくよくなる。
本発明の半発酵茶はカテキンの含有総量が低くなるため、茶葉の苦渋みも低下する。
茶青―萎凋―茶青の組織或は細胞を破壊工程―発酵―殺青―乾燥、或は
茶青―萎凋―茶青の組織或は細胞を破壊工程―発酵―高温乾燥
萎凋とは、摘み取った茶生葉を日に晒し、或は他の方法で生茶葉の水分をある程度少なくし、茶葉の内部(茎も)にある水分と活性物質等が再分布し、発酵条件を整える工程である。萎凋をしなければ、基本的に発酵もできないため、半発酵茶の特有な香りと味わい
は実現できない。
例えば日干しを採用して、水分を部分的に失わせてから室内で冷ましながら水分を再配分する萎凋方式があり、また生茶葉に熱風を送り、部分的に水分を失わせる萎凋の方法もある。
破壊の部位は茶葉の縁に限定されないため、発酵も茶葉の縁の部分に限らない。
そのため、本発明の半発酵茶は茶葉の縁以外の茶葉表面のほかの部分も赤くなる。
したがって、明らかに他の部分の紅変の面積が縁部分だけの紅変面積より大きいため、茶葉の発酵の程度が大幅に高まる。
揉捻とは、茶葉が加工工程において、茶葉に力を加えて揉んだり、擦ったりして、茶葉の組織構造と細胞を破損させ、元の物理形状を保つことができなくなる加工方法を意味する。
烏龍茶の伝統加工方法では、揉捻の加工工程が殺青の後で行われる。その目的は茶葉を一定の形状にする為、また茶葉の細胞を更に破壊し、茶葉の内容物を溶け出しやすくするためである。
例えば揉捻の方法を取る場合、本発明の特徴として、揉捻工程は殺青工程の前に行う。
揉捻工程を殺青工程の前にすることによって、茶生葉の表面組織を壊し、茶液を出させて、茶青の中に存在する活性酸化酵素を利用して速やかに発酵が進む。
具体的に、例えば30−32回転/分の揉捻機で揉捻する場合、3〜60分間揉捻する。原料投入状況と加圧状況によって、揉捻時間を加減する。
破砕は、機械或いは人手で茶葉を小さな面積の破片にする工程である。破砕した茶葉は破片となり、酸素に接する面積が大きくなり、酸化は速くなる。
破砕方法に特別な制限はないが、注意すべきなのは、破砕した破片の面積が大きすぎると、発酵において完全な茶葉と大別なく、破砕の目的は達成できないことである。ただし、あまり細か過ぎて茶葉が完全に細かい屑となれば、酸化速度が速すぎて発酵をコントロールし難くなるため、勧められない。本発明者の研究によると、破片の面積の大きさは2cm2以下、より好ましくは1cm2以下である。
茶葉は、破砕を通じて大小がおおよそ揃った破片となり、下記に述べる発酵工程を経て、本発明の半発酵茶を得ることができる。
烏龍茶の加工の揺青は"作青"ともいわれ、烏龍茶製法の伝統的な工程である。つまり人手か機械を利用して、篩いの中で或は円筒状の籠の中で、茶葉を旋回、回転させ、或は互いにぶつかりあわせ、擦れあいさせる。これによって葉の縁の組織細胞を傷つけ、発酵を行う方法である。通常、揺青工程は揺するだけではなく、一定時間或は一定の回数揺すってから茶葉を広げておく攤青工程を含む。揺すった後広げておく作業は数回繰り返される。本発明の中ではこのように連続して揺すった後、広げておく作業を揺青という。この作業は、何回繰り返し行われても揺青と呼ばれる。
"深度揺青"を行う方法として、例えば揺青の機械を改良し、円筒状の籠の中にへら、ローラー、筋などを付けて、同時に揺青機の回転速度を上げる、或は毎回の回転数を増やすなどして、茶葉を籠の中で回転衝撃、押圧させる。そして切断、攪拌、押し潰などによって、茶葉の表面全体の組織細胞を損傷させる。
上記述べられた方法以外に、本発明方法では全体茶葉組織に傷をつける方法に制限を設けない。例えば揺青に類似する方法で、機械で茶葉を攪拌し葉の全体に傷付ける目的を果たすこともある。茶葉全体の組織に傷つける目的を達成するため、上記の揉捻や破砕或は揺青の方法を任意に組み合わせることができる。
半発酵茶と全発酵茶を製造するため、発酵は、いずれにとっても必須な段階である。
茶葉を破壊すると、茶葉の内部が破壊されその部分が空気に触れ始め、酸化が始まる。
その後、特定の発酵度になるため、通常、茶葉を堆積して、特定の発酵度まで自然酸化が施される。
このように調整した工程とその工程でできた半発酵茶も本発明の主旨を超えないもので、本発明の範囲内とする。
本発明の半発酵茶或は本発明の方法で製造した発酵度合いの異なる茶葉とブレンドすることができ、これにより更に複雑で美妙な味を得ることができる。
本発明の半発酵茶或は本発明の方法で製造した半発酵茶は、極めて相性がよく、天然の新鮮な花と香り付けして或は花の精油を含ませて各種の花の香りを有する花香茶に加工することができる。またこれらの茶葉に或は茶葉の抽出物に各種の果物或は果物の抽出物を加えて、果物の香りや味をする果香茶にも加工できる。
殊に本発明者が繰り返し実験した結果、発酵度合いが中以上或はもっと高い中、高発酵度(例えばカテキンの転化率が50%以上のもの)の半発酵茶或はその花香茶に一定比率の緑茶類或は花緑茶(花の香りを付着させた緑茶)を加えると、半発酵茶の色調と重厚感を保ちながら茶湯の香りが、円やかかつ豊かで調和がとれ味が更に爽やかになり、緑茶の受けがたい青臭い匂いを消すこともできることが判った。
最も、一定の割合の花香茶を添加した場合、茶湯の中にお茶の香りと花の香りが一体となって溶け合い、互いに相まって実に素晴らしい。他方、緑茶類或は花緑茶の中に一定割合の発酵した茶葉を加えた場合、茶湯の味に深みがあり、苦渋みが減少する。特に緑茶に香り付けされた烏龍茶を添加した場合、茶湯の香りが清らかかつ爽やかになり飲み心地が良くなる。
本発明はこれらの混合茶或はこの種の茶飲料も含む。
例えば、半発酵茶の特徴を強調する場合、半発酵茶或は天然の花の香りを吸着している半発酵茶と緑茶の混合比率は9:1〜6:4でよいが、その反対に緑茶或は天然の花の香りを吸着した緑茶の特徴を強調する場合、その比率は逆になる。しかし5:5の比例の製品もなかなか面白い風味がある。強調に値するのは上述した2種類の原料茶の少なくとも一種類が天然の花の香りを吸着しているものなら、製品の香りが強くなることである。
なお、以下の実施例において、本発明の半発酵茶を単に発酵茶という。
以下の実施例の中には、特別な説明がない限り、すべての設備や対照品は市販品で、そのメーカーやロットや生産日などを表記しない。
茶青―萎凋(日干し―熱冷まし―陰干し)―破砕―静止(発酵)―殺青―乾燥具体的な操作は以下の通りである。
福雲6号の茶青を400キログラム摘み取り、生葉を日に当てて干し(日干し、即ち日光萎凋)、一部の水分を失わせる。その後、風通しの良い室内に移し、日干しした茶青の温度を迅速に室内の温度まで下げて(涼青)、その後、続いて室内に茶青を広げておく。
茶青の目方が16%減った後、萎凋した茶葉を揉み切る機械に投入し破砕した。破砕後の破砕葉を目開きが10x10mmの篩いを通し、それを室内に厚さが3−4cmに広げて静止し発酵する(静止)。その時、室内温度を24〜26度に保ち、茶青の温度が28度を超えないように注意してコントロールする。発酵が予定の時間(表1を参照)まで進むと発酵した茶葉を回転鍋に投入し炒め、鍋の温度を200〜220度までにコントロールし、3分間廻しながら炒め続け、酵素の活性を失わせ、発酵を中止する(殺青)。殺青後の破砕茶葉を熱風乾燥機で熱風の温度が120度で200分間乾燥する(乾燥)。
できた各号のお茶の茎を取り除き、篩い分けて12メッシュパス20メッシュオンの砕茶を各800g採取する。
実施例1の採りたての茶青を直ちに蒸気で殺青を施し、その後通常の方法で乾燥し、不発酵茶を製造した。この茶葉を破砕機で破砕し、茎を取り除き、篩い分けて12メッシュパス20メッシュオンのお茶を800g採取した。サンプル番号:0−07P
実施例1と比較例1のサンプルを後述の方法でその成分を測定する。結果は表2の通り。カテキンの総量とは6種類のカテキン(EGC、DL−C、EC、GCG、EGCG、ECG)含有量の合計である。
カテキンの測定はISO14502基準で高速液体クロマトグラフ法(HPLC)にてEGC、DL−C、EC、GCG、EGCGとECGなどを測定した。
総カテキンとは、測定したEGC、DL−C、EC、GCG、EGCGとECG値の和のことである。
ポリフェノールはGB/T8313によって測定した。
カテキン転化率とは実施例1の各サンプルの含有している総カテキンと比較例1のサンプルが含有しているカテキンと比較して、カテキン減少の比率をいう。
2,Roberts E.A.H., Cart wright R.A and Oldschool M. The phenolic substances of ma nufactured tea (II). J Sci Food Agric, 1958, 9: 212-216
茶青―陰干し―揉捻―静止―殺青―乾燥
具体的な操作は次の通りである。
陰干しと揉捻以外、他の操作は実施例1と同じ。陰干し萎凋は茶青の目方が22%減量してから、それを揉捻機に入れて、15分間揉捻し、茶葉の細胞の破損率を60%以上にした(揉捻)。またサンプル番号11−07P、12−07Pと13−07Pは170度まで加熱した乾燥機で15分間殺青を行ってから、温度を140度に下げ、1時間30分掛けて乾燥した。
各サンプルの発酵時間を表3に示す。
測定例1と同じ方法でできたサンプルを測定した。その結果を表4に示す。対照品は比較例1のサンプルを再度採用した。
茶青―陰干し−揉捻―静止(発酵)−破砕―静止(再発酵)−殺青―乾燥
具体的な操作は下記の通り:
実施例1と同じ茶青200キロを実施例2と同じ方法で陰干しを施し、その重量が26%減になるまで萎凋を続けた。萎凋した茶葉を揉捻機で11分間軽く揉捻し、破壊された茶葉の細胞が20%〜30%に達し、その後揉捻した茶葉を20分間発酵させた。そして、揉み切る機械に茶葉を投入し破砕を行った。破砕した茶葉を目開き10x10mmの篩いを通し、破砕した茶葉を室内に広げて、再度発酵した。ロット分けと発酵時間の詳細は表3の通り。
その他殺青、乾燥、サンプリングは実施例1と同様である。
実施例3使用の採りたての茶青を直ちに回転式の鍋で炒め、殺青した。その後、通常の方法で乾燥し、不発酵茶に加工した。この茶葉を破砕機で破砕し、茎を取り除き、篩い分けし、12メッシュパス20メッシュオンのお茶を800グラム採取した。サンプル番号:1−07P
測定例1の方法と同じく、実施例3と比較例2で得られたサンプルを測定した。その結果は表6で示した通りである。比較品は比較例2のサンプルを採用した。
茶ポリフェノールの転化率はカテキンの転化率と同じ方法で計算した。
茶青―日干し―熱さまし―陰干し―揺青−静止(発酵)−破砕―静止(再発酵)−殺青―乾燥
毛蟹という品種の茶青を100キロ摘採して、30分間日干しし、一部の水分を失わせた。その後、茶青を風通しの良い室内に移し、広げて置き、日干しした茶青の温度を速やかに室内温度までに冷まし、2時間静止していた後、その茶葉を揺青機に投入し、2回揺青した。一回目は15分間揺青し、2回目は20分間揺青した。一回目と二回目の揺青の間に90分の間隔を入れた。二回目の揺青が終わってから茶葉を機械から取り出し、室内に5〜6cmに茶青を広げて静止し12時間30分間発酵をさせた。その後この発酵茶葉を揉み切り機に投入し、2分間揉みながら切断した。この破砕葉を目開き10x10mm
の篩いで篩い分け、布のシートに3〜4cmの厚みに広げておき、静止させながら再発酵をした。この時室内の温度が18〜25度で、茶葉の温度が28度を超えないようにコントロールした。その他、殺青、乾燥、サンプリングは実施例1と同じである。
なお、15−07Pの殺青と乾燥は電子レンジ/遠赤外線によって以下のように行った。500gの発酵した茶葉を家庭用のオープン付きのレンジに入れ、焼きのスイッチにして、強火で4分間加熱した。レンジのマイクロ波と遠赤外線が同時に茶青に作用し、殺青をしてから、レンジのパワーを中、低火力に調整し、茶葉を完全に乾燥まで間隔を置いて加熱した。
発酵時間とロット分けは表7の通りである。
輸出用の商品番号S103の精製烏龍茶を用いた。このお茶は福建省南方地方の製法で作られた普通の烏龍茶で、発酵度合いが普通のものである。このお茶を破砕機で破砕し、茎取りして、篩いに掛け、12メッシュパス20メッシュオンのお茶を800g採取した。サンプル番号:S103
輸出用の商品番号S104の精製烏龍茶を用いた。このお茶は福建省南地方の製法で作られた普通の烏龍茶で、発酵度合いが普通のものである。このお茶を破砕機で破砕し、茎取りしてから、篩いに掛け、12メッシュパス20メッシュオンのお茶を800g採取した。サンプル番号:S104
輸出用の精製烏龍茶商品番号Y303を用いた。このお茶は水仙品種で精製したもので、福建省北地方の製法で造られた発酵度の比較的に高い烏龍茶である。このお茶を破砕機で破砕し、茎取りして、篩いに掛け、12メッシュパス20メッシュオンのお茶を800g取った。サンプル番号:Y303
日本三井農林株式会社の製品で、"日東紅茶"、"渋み少ない紅茶、マイルドブレンド"、原産国インド、スリランカを用いた。店で購入した該紅茶を破砕機で破砕し、12メッシュパス20メッシュオンのお茶を300g採取した。サンプル番号:H―03
日本三井農林株式会社の製品で、"日東紅茶"、"こく味のある紅茶、アッサムブレンド"、原産国インド、スリランカを用いた。店で購入した該紅茶を破砕機で破砕し、篩い分けし、12メッシュパス20メッシュオンのお茶サンプルを300g採取した。サンプル番号:H−04
日本で買った"Brooke Bond"(登録商標)ダージリン紅茶、原産国インドを用いた。該紅茶を破砕機で破砕し、篩いに掛け、12メッシュパス20メッシュオンのお茶を300g採取した。サンプル番号:H―01
日本で買った"Brooke Bond"(登録商標)セイロン紅茶、原産国インドとスリランカを用いた。該紅茶を破砕機で破砕し、篩いに掛け、12メッシュパス20メッシュオンのお茶サンプルを300g採取した。サンプル番号:H―02
前述の測定方法で比較例3〜9のサンプルの中のEGCG、ECG、総カテキン値、茶ポリフェノール、テアルビジン、テアフラビン、テアブラウンの含有量のそれぞれを測定し、その結果を表9に示す。
[官能評価]
上記実施例のサンプルと比較例のサンプルをそれぞれ、茎取りした後に破砕し篩いに掛け、12メッシュパス20メッシュオンの砕茶を取って用意した。これらのサンプルの中から各3gのお茶を100度の200mlの熱湯に3分間淹れ、ろ過して茶殻を取り除き、各号の茶湯を得た。
烏龍茶評価経験のある4名の審査員が上記の実施例と比較例の茶湯の官能評価を実施した。評価方法としては茶湯の色調、味、香りの三項目に単独的な評価を実施してから、総合的な評価を行った。
項目別の評価に点数を付け、その最高得点は5点とした。4人の審査員の平均得点がその項目の得点となる。
全体評価は総合評価と言い、5点が満点。4人の審査員の平均点が同項目の得点となるが、平均点は小数以下一桁とした。
実施例と比較例(伝統烏龍茶或は伝統紅茶)との比較評価については、採点の原則としては伝統烏龍茶と伝統紅茶が10点としたうえ、伝統烏龍茶或は伝統紅茶よりよければ10点の上に点数をプラスし、その反対ならマイナス点数を付ける。プラスの最高点数は5点で、マイナスの最低点数はー5点で、4人の同一サンプルに対する評価の平均点は同サンプルの"総合得点"となる。総合得点は小数以下一桁とした。
各茶葉サンプルの得点状況は表10〜表15で示している通りである。
実施例3の中の各号茶葉を同じ重量で混合し、12メッシュパス20メッシュオンの粉茶20kgを取った。その中の10kgを通常の方法でジャスミンの花と香り付けし、ジャスミンの香りを吸着させた発酵茶(以下花発酵茶と略称)を作った。以下表16〜表23の中に使用する発酵茶と花発酵茶及び下記飲料用のA,B,C,D,Eの中で、他の茶葉と混合するときに使う発酵茶と花発酵茶の何れもこの2種類の茶葉である。
破砕機を使い、商品番号GT707の福建省産釜炒り緑茶22kgを破砕し、篩いに掛けて、12メッシュパス20メッシュオンのお茶を20kg得た。その中の10kgを通常の方法でジャスミンの花で香り付けし、ジャスミンの香りを吸着させた緑茶(以下花緑茶と略称)である。以下の表16〜表23の中に使用する緑茶と花緑茶及び下記飲料用のA,B,C,D,Eの中で、他のお茶と混合するときに使う緑茶と花緑茶の何れもこの2種類の茶葉製品である。
次の表16〜表23の比率で混合し、豊富な経験のある審査員6名にこれらのサンプルを評価し、点数を付けて貰った。その総合得点は表16〜表23の通りである。
評価の基準は標準比較サンプル、ブレンドしていない発酵茶或は花発酵茶と緑茶或は花緑茶を10点とする。標準比較サンプルより良ければ点数をプラスし、10+で表示し、標準比較サンプルより劣るなら減点となり、10―で表し、プラスの最高点数が+5点で、減点の最低点が−5点とする。
総合得点とは6人の総合評価得点を足して、その和を6で割って得られた総合的な評価の得点をいう。
上記の実施例と比較例の中からまた緑茶或は花緑茶の中に一定量の発酵茶或は花発酵茶を加えると、一に緑茶のアミノ酸が多く、旨みがあり、清らかで爽やかな香りがある特徴を持つばかりでなく、同時に苦渋みが少なく、深みがある発酵茶の特徴も備え持つことが可能である。両者の長所と短所を補い合い、製品の色調、香り、味とも完璧に近づき、単一の緑茶よりかなりよくなることが分かった。
本発明の発酵茶或は花発酵茶と緑茶或は花緑茶と下記の比率により、通常の方法で茶飲料を生産した。
茶葉原料の比率構成は下記の通り:
A,原料配合:発酵茶100%
B,原料構成:発酵茶80%、緑茶20%。
C,原料構成:発酵茶80%、花緑茶20%。
D,原料構成:花発酵茶80%、緑茶20%。
E,原料構成:花発酵茶80%、花緑茶20%。
一定量の茶葉を量り、熱湯を加えて抽出、茶殻の除去、濾過、冷却、茶抽出液の混合、調合(水を加えて濃度調整とpH調整調味剤や甘味料及び抗酸化剤例えビタミンCを加える)、加熱殺菌或は無菌濾過、無菌充填、冷却、製品。
茶葉の使用量は大体8g/1000ml。
比較として、市場からW会社産の500ml入りペットボトルの烏龍茶飲料/緑茶飲料/ジャスミン茶飲料を購入した。それぞれW−O飲料/W−G飲料/W−H飲料と称する。また市場でY会社が生産した500ml入りペットボトルの烏龍茶飲料/緑茶飲料/ジャスミン茶飲料を購入し、それぞれY−O飲料/Y−G飲料/Y−H飲料とした。
本発明の発酵茶の製造方法では、茶葉の葉身、葉脈、即ち茶葉全体の組織細胞に傷をつける方法を採用するため、葉の破損面積が大きく、葉身の組織細胞の損傷が充分であり、酵素による酸化が著しく速くなり、発酵工程に必要な時間は大いに短縮した。適宜な温度条件では、5〜30分間の時間だけで、伝統的な烏龍茶の発酵度合いまで発酵できる。本発明の加工方法では、発酵時間をコントロールすれば任意発酵度の発酵茶を製造することができる。また殺青により、茶葉の青臭い匂いを消すことができ、香りと味をよくすることができた。
本発明の発酵茶と緑茶との組み合わせによってできた混合茶或はその茶飲料は発酵茶と緑茶の長所を合わせ持つことができた。
具体的には、抽出が早く、水の色が明るく、濃度が高く、苦渋みの少ない新しい半発酵茶或いは高発酵度に分類される非全発酵茶、その生産方法及び該半発酵茶を使用した茶飲料、茶成分の含有食品或いは飼料添加物等に関する。
本発明のさらなる目的は、ブレンド用のお茶を提供することにある。本発明の方法で製造した半発酵茶を着香茶に加工し、一定比率の緑茶或いは着香緑茶とブレンドすることにより、半発酵茶の色調と重厚感を保ちながら、豊かで調和のとれた香りと、より爽やかな味で、半発酵茶と緑茶の長所を合わせ持つ、新規な茶飲料を提供する。
また、この加工方法でできた半発酵茶は苦渋み成分と茶ポリフェノールが減少でき、一方、茶色素の中にあるテアルビジンとテアフラビンの量が相対的に多くなり、一種の新しい半発酵茶を得られ、本発明を実現した。
[1] 紅茶を除く、乾燥した半発酵茶において、下記四つの特性を有することを特徴とする半発酵茶葉。
(1) 茎が取り除かれた前記茶葉に含有されるポリフェノールの重量が当該茶葉の乾燥重量の19重量%以下である特性;
(2) 茎が取り除かれた前記茶葉に含有されるEGCGとECGの合計重量が当該茶葉の乾燥重量の5重量%以下である特性;
(3) 茎が取り除かれた前記茶葉に含有される総カテキンの重量が当該茶葉の乾燥重量の8重量%以下である特性;
(4) 茎が取り除かれた前記茶葉に含有されるテアブラウンの重量が当該茶葉の乾燥重量の5.7重量%以上である特性。
[2] 紅茶を除く、乾燥した半発酵茶において、下記四つの特性を有することを特徴とする半発酵茶葉。
(1) 茎が取り除かれた前記茶葉に含有されるポリフェノールの重量が当該茶葉の乾燥重量の18重量%以下である特性;
(2) 茎が取り除かれた前記茶葉に含有されるEGCGとECGの合計重量が当該茶葉の乾燥重量の5重量%以下である特性;
(3) 茎が取り除かれた前記茶葉に含有される総カテキンの重量が当該茶葉の乾燥重量の7重量%以下である特性;
(4) 茎が取り除かれた前記茶葉に含有されるテアルビジンの重量が当該茶葉の乾燥重量の4.5重量%以上である特性。
[3] 紅茶を除く、乾燥した半発酵茶において、下記四つの特性を有することを特徴とする半発酵茶葉。
(1) 茎が取り除かれた前記茶葉に含有されるポリフェノールの重量が当該茶葉の乾燥重量の18重量%以下である特性;
(2) 茎が取り除かれた前記茶葉に含有されるEGCGとECGの合計重量が当該茶葉の乾燥重量の5重量%以下である特性;
(3) 茎が取り除かれた前記茶葉に含有される総カテキンの重量が当該茶葉の乾燥重量の7重量%以下である特性;
(4) 茎が取り除かれた前記茶葉のカテキン転化率が15%〜95%である特性。
[4] 紅茶を除く、乾燥した半発酵茶において、下記三つの特性を有することを特徴とする半発酵茶葉。
(1) 茎が取り除かれた前記茶葉に含有されるポリフェノールの重量が当該茶葉の乾燥重量の18重量%以下である特性;
(2) 茎が取り除かれた前記茶葉に含有されるEGCGとECGの合計重量が当該茶葉の乾燥重量の2重量%以下である特性;
(3) 茎が取り除かれた前記茶葉に含有される総カテキンの重量が当該茶葉の乾燥重量の7重量%以下である特性;
[5] 紅茶を除く、乾燥した半発酵茶において、茎が取り除かれた茶葉に含有されるテアフラビンとテアルビジン及びテアブラウンの合計重量が当該茶葉の乾燥重量の11〜23.1重量%であることを特徴とする半発酵茶葉。
[6][1]〜[5]のいずれかに記載の半発酵茶葉に天然の花の香又は花の精油を吸着させた着香の半発酵茶葉。
[7][1]〜[6]のいずれかに記載の半発酵茶葉を含む混合茶葉。
[8][1]〜[6]のいずれかに記載の半発酵茶葉又は[7]記載の混合茶葉からの抽出物。
[9][8]記載の抽出物を含む飲食物。
以下、本発明の半発酵茶葉、着香の半発酵茶葉、半発酵茶葉又は着香の半発酵茶葉を含む混合茶葉、半発酵茶葉、着香の半発酵茶葉又は混合茶葉からの抽出物、抽出物を含む飲食物を詳しく説明する。
本明細書においては、「茶」とは“茶葉”を指し、“茶葉”の語の概念には、本発明に係る半発酵茶のいずれの製造工程における茶の葉も、茶の葉が破砕された砕茶も含まれ、また、製造完成後の茶の葉も砕茶も含まれる。
本発明の中で所謂発酵とは、茶青の中の茶ポリフェノール等の物質が酸素に晒された場合、細胞の中に存在する酸化酵素の働きで酸化し、半発酵茶に特有な香りおよび味わいを生成する過程をいう。
本発明の半発酵茶の特徴としては、従来の半発酵茶と比べると、渋み成分のEGCGとECGの数値が少なくなり、苦渋み成分のカテキン総量も少なくなり、またポリフェノールの数値も少なくなる。一方、従来の半発酵茶より、テアフラビンとテアルビジン及びテアブラウンの総量が著しく多くなる。
本発明の半発酵茶は、ポリフェノールの含有量が原料茶青や発酵度合いや加工方法の違いなどによって異なる。しかし、乾燥した茶葉の乾燥重量比ですべて19%以下、好ましくは18%以下、更に好ましくは17%以下である。通常、ポリフェノールの含有量は9%を下らない。より好ましくは12%以上である。発酵前と比べると茶ポリフェノールの転化率が20%以上で、更にその最高は50%以上に達することもある。茶ポリフェノールの含有量を19%以下に抑えるため、本発明の半発酵茶は飲み口が著しくよくなる。
業界の技術者が実際の状況に応じてカテキンの量を決めてもよい。例えば春茶の場合、適度にカテキンのあった方が却って味がよくなる。
本発明の半発酵茶はカテキンの含有総量が低くなるため、茶葉の苦渋みも低下する。
茶青―萎凋―茶青の組織或は細胞を破壊工程―発酵―殺青―乾燥、或は
茶青―萎凋―茶青の組織或は細胞を破壊工程―発酵―高温乾燥
萎凋とは、摘み取った茶生葉を日に晒し、或は他の方法で生茶葉の水分をある程度少なくし、茶葉の内部(茎も)にある水分と活性物質等が再分布し、発酵条件を整える工程である。萎凋をしなければ、基本的に発酵もできないため、半発酵茶の特有な香りと味わいは実現できない。
例えば日干しを採用して、水分を部分的に失わせてから室内で冷ましながら水分を再配分する萎凋方式があり、また生茶葉に熱風を送り、部分的に水分を失わせる萎凋の方法もある。
破壊の部位は茶葉の縁に限定されないため、発酵も茶葉の縁の部分に限らない。そのため、本発明の半発酵茶は茶葉の縁以外の茶葉表面のほかの部分も赤くなる。したがって、明らかに他の部分の紅変の面積が縁部分だけの紅変面積より大きいため、茶葉の発酵の程度が大幅に高まる。
揉捻とは、茶葉が加工工程において、茶葉に力を加えて揉んだり、擦ったりして、茶葉の組織構造と細胞を破損させ、元の物理形状を保つことができなくなる加工方法を意味する。
烏龍茶の伝統加工方法では、揉捻の加工工程が殺青の後で行われる。その目的は茶葉を一定の形状にする為、また茶葉の細胞を更に破壊し、茶葉の内容物を溶け出しやすくするためである。
例えば揉捻の方法を取る場合、本発明の特徴として、揉捻工程は殺青工程の前に行う。
揉捻工程を殺青工程の前にすることによって、茶生葉の表面組織を壊し、茶液を出させて、茶青の中に存在する活性酸化酵素を利用して速やかに発酵が進む。
具体的に、例えば30−32回転/分の揉捻機で揉捻する場合、3〜60分間揉捻する。原料投入状況と加圧状況によって、揉捻時間を加減する。
破砕は、機械或いは人手で茶葉を小さな面積の破片にする工程である。破砕した茶葉は破片となり、酸素に接する面積が大きくなり、酸化は速くなる。
破砕方法に特別な制限はないが、注意すべきなのは、破砕した破片の面積が大きすぎると、発酵において完全な茶葉と大別なく、破砕の目的は達成できないことである。ただし、あまり細か過ぎて茶葉が完全に細かい屑となれば、酸化速度が速すぎて発酵をコントロールし難くなるため、勧められない。本発明者の研究によると、破片の面積の大きさは2cm2以下、より好ましくは1cm2以下である。
茶葉は、破砕を通じて大小がおおよそ揃った破片となり、下記に述べる発酵工程を経て、本発明の半発酵茶を得ることができる。
烏龍茶の加工の揺青は"作青"ともいわれ、烏龍茶製法の伝統的な工程である。つまり人手か機械を利用して、篩いの中で或は円筒状の籠の中で、茶葉を旋回、回転させ、或は互いにぶつかりあわせ、擦れあいさせる。これによって葉の縁の組織細胞を傷つけ、発酵を行う方法である。通常、揺青工程は揺するだけではなく、一定時間或は一定の回数揺すってから茶葉を広げておく攤青工程を含む。揺すった後広げておく作業は数回繰り返される。本発明の中ではこのように連続して揺すった後、広げておく作業を揺青という。この作業は、何回繰り返し行われても揺青と呼ばれる。
"深度揺青"を行う方法として、例えば揺青の機械を改良し、円筒状の籠の中にへら、ローラー、筋などを付けて、同時に揺青機の回転速度を上げる、或は毎回の回転数を増やすなどして、茶葉を籠の中で回転、衝撃、押圧させる。そして切断、攪拌、押し潰しなどによって、茶葉の表面全体の組織細胞を損傷させる。
上記述べられた方法以外に、本発明方法では全体茶葉組織に傷をつける方法に制限を設けない。例えば揺青に類似する方法で、機械で茶葉を攪拌し葉の全体に傷付ける目的を果たすこともある。茶葉全体の組織に傷つける目的を達成するため、上記の揉捻や破砕或は揺青の方法を任意に組み合わせることができる。
半発酵茶と全発酵茶を製造するため、発酵は、いずれにとっても必須な段階である。
茶葉を破壊すると、茶葉の内部が破壊されその部分が空気に触れ始め、酸化が始まる。
その後、特定の発酵度になるため、通常、茶葉を堆積して、特定の発酵度まで自然酸化が施される。
このように調整した工程とその工程でできた半発酵茶も本発明の主旨を超えないもので、本発明の範囲内とする。
本発明の半発酵茶或は本発明の方法で製造した発酵度合いの異なる茶葉とブレンドすることができ、これにより更に複雑で美妙な味を得ることができる。
本発明の半発酵茶或は本発明の方法で製造した半発酵茶は、極めて相性がよく、天然の新鮮な花と香り付けして或は花の精油を含ませて各種の花の香りを有する花香茶に加工することができる。またこれらの茶葉に或は茶葉の抽出物に各種の果物或は果物の抽出物を加えて、果物の香りや味をする果香茶にも加工できる。
殊に本発明者が繰り返し実験した結果、発酵度合いが中以上或はもっと高い中、高発酵度(例えばカテキンの転化率が50%以上のもの)の半発酵茶或はその花香茶に一定比率の緑茶類或は花緑茶(花の香りを付着させた緑茶)を加えると、半発酵茶の色調と重厚感を保ちながら茶湯の香りが、円やかかつ豊かで調和がとれ味が更に爽やかになり、緑茶の受けがたい青臭い匂いを消すこともできることが判った。
最も、一定の割合の花香茶を添加した場合、茶湯の中にお茶の香りと花の香りが一体となって溶け合い、互いに相まって実に素晴らしい。他方、緑茶類或は花緑茶の中に一定割合の発酵した茶葉を加えた場合、茶湯の味に深みがあり、苦渋みが減少する。特に緑茶に香り付けされた烏龍茶を添加した場合、茶湯の香りが清らかかつ爽やかになり飲み心地が良くなる。
本発明はこれらの混合茶或はこの種の茶飲料も含む。
例えば、半発酵茶の特徴を強調する場合、半発酵茶或は天然の花の香りを吸着している半発酵茶と緑茶の混合比率は9:1〜6:4でよいが、その反対に緑茶或は天然の花の香りを吸着した緑茶の特徴を強調する場合、その比率は逆になる。しかし5:5の比例の製品もなかなか面白い風味がある。強調に値するのは上述した2種類の原料茶の少なくとも一種類が天然の花の香りを吸着しているものなら、製品の香りが強くなることである。
なお、以下の実施例において、本発明の半発酵茶を単に発酵茶という。
以下の実施例の中には、特別な説明がない限り、すべての設備や対照品は市販品で、そのメーカーやロットや生産日などを表記しない。
茶青―萎凋(日干し―熱冷まし―陰干し)―破砕―静止(発酵)―殺青―乾燥
具体的な操作は以下の通りである。
福雲6号の茶青を400キログラム摘み取り、生葉を日に当てて干し(日干し、即ち日光萎凋)、一部の水分を失わせる。その後、風通しの良い室内に移し、日干しした茶青の温度を迅速に室内の温度まで下げて(涼青)、その後、続いて室内に茶青を広げておく。
茶青の目方が16%減った後、萎凋した茶葉を揉み切る機械に投入し破砕した。破砕後の破砕葉を目開きが10x10mmの篩いを通し、それを室内に厚さが3−4cmに広げて静止し発酵する(静止)。その時、室内温度を24〜26度に保ち、茶青の温度が28度を超えないように注意してコントロールする。発酵が予定の時間(表1を参照)まで進むと発酵した茶葉を回転鍋に投入し炒め、鍋の温度を200〜220度までにコントロールし、3分間廻しながら炒め続け、酵素の活性を失わせ、発酵を中止する(殺青)。殺青後の破砕茶葉を熱風乾燥機で熱風の温度が120度で200分間乾燥する(乾燥)。
できた各号のお茶の茎を取り除き、篩い分けて12メッシュパス20メッシュオンの砕茶を各800g採取する。
実施例1の採りたての茶青を直ちに蒸気で殺青を施し、その後通常の方法で乾燥し、不発酵茶を製造した。この茶葉を破砕機で破砕し、茎を取り除き、篩い分けて12メッシュパス20メッシュオンのお茶を800g採取した。サンプル番号:0−07P
実施例1と比較例1のサンプルを後述の方法でその成分を測定する。結果は表2の通り。カテキンの総量とは6種類のカテキン(EGC、DL−C、EC、GCG、EGCG、ECG)含有量の合計である。
カテキンの測定はISO14502基準で高速液体クロマトグラフ法(HPLC)にてEGC、DL−C、EC、GCG、EGCGとECGなどを測定した。
総カテキンとは、測定したEGC、DL−C、EC、GCG、EGCGとECG値の和のことである。
ポリフェノールはGB/T8313によって測定した。
カテキン転化率とは実施例1の各サンプルの含有している総カテキンと比較例1のサンプルが含有しているカテキンと比較して、カテキン減少の比率をいう。
2,Roberts E.A.H., Cart wright R.A and Oldschool M. The phenolic substances of manufactured tea (II). J Sci Food Agric, 1958, 9: 212-216
茶青―陰干し―揉捻―静止―殺青―乾燥
具体的な操作は次の通りである。
陰干しと揉捻以外、他の操作は実施例1と同じ。陰干し萎凋は茶青の目方が22%減量してから、それを揉捻機に入れて、15分間揉捻し、茶葉の細胞の破損率を60%以上にした(揉捻)。またサンプル番号11−07P、12−07Pと13−07Pは170度まで加熱した乾燥機で15分間殺青を行ってから、温度を140度に下げ、1時間30分掛けて乾燥した。
各サンプルの発酵時間を表3に示す。
測定例1と同じ方法でできたサンプルを測定した。その結果を表4に示す。対照品は比較例1のサンプルを再度採用した。
茶青―陰干し−揉捻―静止(発酵)−破砕―静止(再発酵)−殺青―乾燥
具体的な操作は下記の通り:
実施例1と同じ茶青200キロを実施例2と同じ方法で陰干しを施し、その重量が26%減になるまで萎凋を続けた。萎凋した茶葉を揉捻機で11分間軽く揉捻し、破壊された茶葉の細胞が20%〜30%に達し、その後揉捻した茶葉を20分間発酵させた。そして、揉み切る機械に茶葉を投入し破砕を行った。破砕した茶葉を目開き10x10mmの篩いを通し、破砕した茶葉を室内に広げて、再度発酵した。ロット分けと発酵時間の詳細は表5の通り。
その他殺青、乾燥、サンプリングは実施例1と同様である。
実施例3使用の採りたての茶青を直ちに回転式の鍋で炒め、殺青した。その後、通常の方法で乾燥し、不発酵茶に加工した。この茶葉を破砕機で破砕し、茎を取り除き、篩い分けし、12メッシュパス20メッシュオンのお茶を800グラム採取した。サンプル番号:1−07P
測定例1の方法と同じく、実施例3と比較例2で得られたサンプルを測定した。その結果は表6で示した通りである。比較品は比較例2のサンプルを採用した。
茶ポリフェノールの転化率はカテキンの転化率と同じ方法で計算した。
茶青―日干し―熱さまし―陰干し―揺青−静止(発酵)−破砕―静止(再発酵)−殺青―乾燥
毛蟹という品種の茶青を100キロ摘採して、30分間日干しし、一部の水分を失わせた。その後、茶青を風通しの良い室内に移し、広げて置き、日干しした茶青の温度を速やかに室内温度までに冷まし、2時間静止していた後、その茶葉を揺青機に投入し、2回揺青した。一回目は15分間揺青し、2回目は20分間揺青した。一回目と二回目の揺青の間に90分の間隔を入れた。二回目の揺青が終わってから茶葉を機械から取り出し、室内に5〜6cmに茶青を広げて静止し12時間30分間発酵をさせた。その後この発酵茶葉を揉み切り機に投入し、2分間揉みながら切断した。この破砕葉を目開き10x10mmの篩いで篩い分け、布のシートに3〜4cmの厚みに広げておき、静止させながら再発酵をした。この時室内の温度が18〜25度で、茶葉の温度が28度を超えないようにコントロールした。その他、殺青、乾燥、サンプリングは実施例1と同じである。
なお、15−07Pの殺青と乾燥は電子レンジ/遠赤外線によって以下のように行った。500gの発酵した茶葉を家庭用のオープン付きのレンジに入れ、焼きのスイッチにして、強火で4分間加熱した。レンジのマイクロ波と遠赤外線が同時に茶青に作用し、殺青をしてから、レンジのパワーを中、低火力に調整し、茶葉を完全に乾燥まで間隔を置いて加熱した。
発酵時間とロット分けは表7の通りである。
輸出用の商品番号S103の精製烏龍茶を用いた。このお茶は福建省南方地方の製法で作られた普通の烏龍茶で、発酵度合いが普通のものである。このお茶を破砕機で破砕し、茎取りして、篩いに掛け、12メッシュパス20メッシュオンのお茶を800g採取した。サンプル番号:S103
輸出用の商品番号S104の精製烏龍茶を用いた。このお茶は福建省南地方の製法で作られた普通の烏龍茶で、発酵度合いが普通のものである。このお茶を破砕機で破砕し、茎取りしてから、篩いに掛け、12メッシュパス20メッシュオンのお茶を800g採取した。サンプル番号:S104
輸出用の精製烏龍茶商品番号Y303を用いた。このお茶は水仙品種で精製したもので、福建省北地方の製法で造られた発酵度の比較的に高い烏龍茶である。このお茶を破砕機で破砕し、茎取りして、篩いに掛け、12メッシュパス20メッシュオンのお茶を800g取った。サンプル番号:Y303
日本三井農林株式会社の製品で、"日東紅茶"、"渋み少ない紅茶、マイルドブレンド"、原産国インド、スリランカを用いた。店で購入した該紅茶を破砕機で破砕し、12メッシュパス20メッシュオンのお茶を300g採取した。サンプル番号:H―03
日本三井農林株式会社の製品で、"日東紅茶"、"こく味のある紅茶、アッサムブレンド"、原産国インド、スリランカを用いた。店で購入した該紅茶を破砕機で破砕し、篩い分けし、12メッシュパス20メッシュオンのお茶サンプルを300g採取した。サンプル番号:H−04
日本で買った"Brooke Bond"(登録商標)ダージリン紅茶、原産国インドを用いた。該紅茶を破砕機で破砕し、篩いに掛け、12メッシュパス20メッシュオンのお茶を300g採取した。サンプル番号:H―01
日本で買った"Brooke Bond"(登録商標)セイロン紅茶、原産国インドとスリランカを用いた。該紅茶を破砕機で破砕し、篩いに掛け、12メッシュパス20メッシュオンのお茶サンプルを300g採取した。サンプル番号:H―02
前述の測定方法で比較例3〜9のサンプルの中のEGCG、ECG、総カテキン値、茶ポリフェノール、テアルビジン、テアフラビン、テアブラウンの含有量のそれぞれを測定し、その結果を表9に示す。
[官能評価]
上記実施例のサンプルと比較例のサンプルをそれぞれ、茎取りした後に破砕し篩いに掛け、12メッシュパス20メッシュオンの砕茶を取って用意した。これらのサンプルの中から各3gのお茶を100度の200mlの熱湯に3分間淹れ、ろ過して茶殻を取り除き、各号の茶湯を得た。
烏龍茶評価経験のある4名の審査員が上記の実施例と比較例の茶湯の官能評価を実施した。評価方法としては茶湯の色調、味、香りの三項目に単独的な評価を実施してから、総合的な評価を行った。
項目別の評価に点数を付け、その最高得点は5点とした。4人の審査員の平均得点がその項目の得点となる。
全体評価は総合評価と言い、5点が満点。4人の審査員の平均点が同項目の得点となるが、平均点は小数以下一桁とした。
実施例と比較例(伝統烏龍茶或は伝統紅茶)との比較評価については、採点の原則としては伝統烏龍茶と伝統紅茶が10点としたうえ、伝統烏龍茶或は伝統紅茶よりよければ10点の上に点数をプラスし、その反対ならマイナス点数を付ける。プラスの最高点数は5点で、マイナスの最低点数はー5点で、4人の同一サンプルに対する評価の平均点は同サンプルの"総合得点"となる。総合得点は小数以下一桁とした。
各茶葉サンプルの得点状況は表10〜表15で示している通りである。
実施例3の中の各号茶葉を同じ重量で混合し、12メッシュパス20メッシュオンの粉茶20kgを取った。その中の10kgを通常の方法でジャスミンの花と香り付けし、ジャスミンの香りを吸着させた発酵茶(以下花発酵茶と略称)を作った。以下表16〜表23の中に使用する発酵茶と花発酵茶及び下記飲料用のA,B,C,D,Eの中で、他の茶葉と混合するときに使う発酵茶と花発酵茶の何れもこの2種類の茶葉である。
破砕機を使い、商品番号GT707の福建省産釜炒り緑茶22kgを破砕し、篩いに掛けて、12メッシュパス20メッシュオンのお茶を20kg得た。その中の10kgを通常の方法でジャスミンの花で香り付けし、ジャスミンの香りを吸着させた緑茶(以下花緑茶と略称)である。以下の表16〜表23の中に使用する緑茶と花緑茶及び下記飲料用のA,B,C,D,Eの中で、他のお茶と混合するときに使う緑茶と花緑茶の何れもこの2種類の茶葉製品である。
次の表16〜表23の比率で混合し、豊富な経験のある審査員6名にこれらのサンプルを評価し、点数を付けて貰った。その総合得点は表16〜表23の通りである。
評価の基準は標準比較サンプル、ブレンドしていない発酵茶或は花発酵茶と緑茶或は花緑茶を10点とする。標準比較サンプルより良ければ点数をプラスし、10+で表示し、標準比較サンプルより劣るなら減点となり、10―で表し、プラスの最高点数が+5点で、減点の最低点が−5点とする。
総合得点とは6人の総合評価得点を足して、その和を6で割って得られた総合的な評価の得点をいう。
上記の実施例と比較例の中からまた緑茶或は花緑茶の中に一定量の発酵茶或は花発酵茶を加えると、一に緑茶のアミノ酸が多く、旨みがあり、清らかで爽やかな香りがある特徴を持つばかりでなく、同時に苦渋みが少なく、深みがある発酵茶の特徴も備え持つことが可能である。両者の長所と短所を補い合い、製品の色調、香り、味とも完璧に近づき、単一の緑茶よりかなりよくなることが分かった。
本発明の発酵茶或は花発酵茶と緑茶或は花緑茶と下記の比率により、通常の方法で茶飲料を生産した。
茶葉原料の比率構成は下記の通り:
A,原料配合:発酵茶100%
B,原料構成:発酵茶80%、緑茶20%。
C,原料構成:発酵茶80%、花緑茶20%。
D,原料構成:花発酵茶80%、緑茶20%。
E,原料構成:花発酵茶80%、花緑茶20%。
一定量の茶葉を量り、熱湯を加えて抽出、茶殻の除去、濾過、冷却、茶抽出液の混合、調合(水を加えて濃度調整とpH調整調味剤や甘味料及び抗酸化剤例えビタミンCを加える)、加熱殺菌或は無菌濾過、無菌充填、冷却、製品。
茶葉の使用量は大体8g/1000ml。
比較として、市場からW会社産の500ml入りペットボトルの烏龍茶飲料/緑茶飲料/ジャスミン茶飲料を購入した。それぞれW−O飲料/W−G飲料/W−H飲料と称する。また市場でY会社が生産した500ml入りペットボトルの烏龍茶飲料/緑茶飲料/ジャスミン茶飲料を購入し、それぞれY−O飲料/Y−G飲料/Y−H飲料とした。
本発明の発酵茶の製造方法では、茶葉の葉身、葉脈、即ち茶葉全体の組織細胞に傷をつける方法を採用するため、葉の破損面積が大きく、葉身の組織細胞の損傷が充分であり、酵素による酸化が著しく速くなり、発酵工程に必要な時間は大いに短縮した。適宜な温度条件では、5〜30分間の時間だけで、伝統的な烏龍茶の発酵度合いまで発酵できる。本発明の加工方法では、発酵時間をコントロールすれば任意発酵度の発酵茶を製造することができる。また殺青により、茶葉の青臭い匂いを消すことができ、香りと味をよくすることができた。
本発明の発酵茶と緑茶との組み合わせによってできた混合茶或はその茶飲料は発酵茶と緑茶の長所を合わせ持つことができた。
Claims (8)
- 紅茶を除く、乾燥した半発酵茶において、下記四つの特性を有することを特徴とする半発酵茶葉。
(1) 茎が取り除かれた前記茶葉に含有されるポリフェノールの重量が当該茶葉の乾燥重量の19重量%以下である特性;
(2) 茎が取り除かれた前記茶葉に含有されるEGCGとECGの合計重量が当該茶葉の乾燥重量の5重量%以下である特性;
(3) 茎が取り除かれた前記茶葉に含有される総カテキンの重量が当該茶葉の乾 燥重量の8重量%以下である特性;
(4) 茎が取り除かれた前記茶葉に含有されるテアブラウンの重量が当該茶葉の乾燥重量の5.7重量%以上である特性。 - 紅茶を除く、乾燥した半発酵茶において、下記四つの特性を有することを特徴とする半発酵茶葉。
(1) 茎が取り除かれた前記茶葉に含有されるポリフェノールの重量が当該茶葉の乾燥重量の18重量%以下である特性;
(2) 茎が取り除かれた前記茶葉に含有されるEGCGとECGの合計重量が当該茶葉の乾燥重量の5重量%以下である特性;
(3) 茎が取り除かれた前記茶葉に含有される総カテキンの重量が当該茶葉の乾燥重量の7重量%以下である特性;
(4) 茎が取り除かれた前記茶葉に含有されるテアルビジンの重量が当該茶葉の乾燥重量の4.5重量%以上である特性。 - 紅茶を除く、乾燥した半発酵茶において、下記四つの特性を有することを特徴とする半発酵茶葉。
(1) 茎が取り除かれた前記茶葉に含有されるポリフェノールの重量が当該茶葉の乾燥重量の18重量%以下である特性;
(2) 茎が取り除かれた前記茶葉に含有されるEGCGとECGの合計重量が当該茶葉の乾燥重量の5重量%以下である特性;
(3) 茎が取り除かれた前記茶葉に含有される総カテキンの重量が当該茶葉の乾燥重量の7重量%以下である特性;
(4) 茎が取り除かれた前記茶葉のカテキン転化率が15%〜95%である特性。 - 紅茶を除く、乾燥した半発酵茶において、下記三つの特性を有することを特徴とする半発酵茶葉。
(1) 茎が取り除かれた前記茶葉に含有されるポリフェノールの重量が当該茶葉の乾燥重量の18重量%以下である特性;
(2) 茎が取り除かれた前記茶葉に含有されるEGCGとECGの合計重量が当該茶葉の乾燥重量の2重量%以下である特性;
(3) 茎が取り除かれた前記茶葉に含有される総カテキンの重量が当該茶葉の乾燥重量の7重量%以下である特性; - 請求項1〜4のいずれか一項に記載の半発酵茶葉に天然の花の香又は花の精油を吸着させた着香の半発酵茶葉。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の半発酵茶葉を含む混合茶葉。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の半発酵茶葉又は請求項6記載の混合茶葉からの抽出物。
- 請求項7記載の抽出物を含む飲食物。
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