JP2004141056A - 酸化還元酵素及び細胞壁消化酵素を用いた発酵茶製品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】未発酵茶葉を原材料として用いて、原材料の形を損なうことなく、短時間で、且つ色調・香り・風味のより良い発酵茶を提供する。
【解決手段】未発酵茶葉、その茶葉粉末又は茶抽出液のいずれかに対して酸化還元酵素と細胞壁消化酵素を併用することにより、短時間で、色調・香り・風味が良く、さらに甘みが感じられる発酵茶葉又は発酵茶抽出物を製造する。
【選択図】なし
【解決手段】未発酵茶葉、その茶葉粉末又は茶抽出液のいずれかに対して酸化還元酵素と細胞壁消化酵素を併用することにより、短時間で、色調・香り・風味が良く、さらに甘みが感じられる発酵茶葉又は発酵茶抽出物を製造する。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、未発酵茶葉から良質な発酵茶を製茶する方法、緑茶葉、烏龍茶葉、及びそれらの茶葉粉末、又はそれらの茶抽出物から直ちに発酵茶抽出物を製造する方法、及び前記発酵茶又は発酵茶抽出物から得られる発酵茶調製品に関する。
【0002】
【従来の技術】
発酵茶、即ち紅茶や烏龍茶などにおける発酵は、通常醸造などで言われる発酵とは全く趣を異にし、茶葉中に含まれている酸化酵素(ポリフェノールオキシダーゼ、以下PPOと記す)が深く関与している(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
発酵過程において、茶葉中のカテキン類がPPOにより酸化され(例えば、非特許文献2参照。)、キノン体が形成され、続いて自動酸化によりテアフラビン類およびその重合体のテアルビジンが形成され(例えば、非特許文献3参照。)、これらの反応の過程で紅茶特有の色調・香・風味が生まれる(例えば、非特許文献4参照。)。
【0004】
PPOは、若い茶葉では上・下の表皮と維管束系に、硬い茶葉では下面の表皮と維管束系に分布している。一方、基質のカテキン類は柵状組織の液胞に分布しており、酵素と基質とは組織別にも分離されている。よって、この酸化反応は茶葉内で自発的に開始されるものではなく、後記の揉捻工程によって反応する。
【0005】
一般的な紅茶の製造方法(オーソドックス法)は、(a)萎凋(摘採した茶葉を日陰で干して水分を約40%減らすことでPPOの活性が増す、15〜20時間)、(b)揉捻(揉んで茶葉の細胞を壊し、PPOとカテキン類を反応しやすくする、1〜2時間)、(c)発酵(25〜26℃、湿度90%以上の条件下にて酸化反応を促進させる、1.5〜3時間)、(d)乾燥(約100℃の熱風で水分を約3%にする、約20分間)という工程から成る(例えば、非特許文献5参照。)。この後、製品として仕上げるため、茶葉の等級区分(Tea Grading)が行われる。区分は篩分機の篩い目(メッシュ)の大きさによって行われ、茶葉の大きさと形状を表わすものである。生産地毎に区分の仕方が若干異なるが、現在行われている大まかな区分があるのは、オーソドックス法と後記するCTC法の等級くらいである。等級区分の表示は、原則として茶葉のサイズの大きいものから小さいものへと順番に並べたものである。オーソドックス法の等級区分はホールリーフ(Whole Leaf)、ブロークン(Broken、略語:B)、ファニング(fanning、略号F)及びダスト(Dust、略語:D)からなる。
【0006】
一方1930年代に考案されたCrushing−Tearing−Curling(CTC)法は、軽萎凋(水分約20%減)した生葉を用いて、内向きに回転する突起や刃の着いたステンレス製ローラー(回転数はそれぞれ720r.p.m.、66r.p.m.)間の狭い隙間に茶葉を巻き込んで、つぶし(crushing)、引き裂き(tearing)、径1mmほどの粒状にまとめる(curling)もので、通常3台連結して処理し(約15分間)、最後に乾燥するという工程から成り(例えば、非特許文献5参照。)、オーソドックス法と比較して製造時間は大幅に短縮される。
【0007】
近年、ポットあるいはティーバッグなどの方法で紅茶を飲用する従来の様式以外に、紅茶浸出液を缶ドリンク、ペットボトルなどで消費する形態が大きく伸びたことにより、日本国内の紅茶需要は年々増加している。しかしながら国内では紅茶の生産はほとんど行われておらず、大半を輸入に依存しているのが実状である。
【0008】
一方、日本国内に見られる緑茶品種は日本の気候で栽培できるように紅茶品種を改良したものであるが、紅茶品種と比較してカテキン類及びPPO含有量が少なく(例えば、非特許文献6参照。)、紅茶製造時に発酵が進みにくい。さらには、日本の気候は温度が低く湿度が高いため、萎凋が進みにくく、紅茶製造には適さない。
【0009】
そのため、担子菌から生産して得られる酸化酵素を緑茶葉中の酸化酵素の補助、強化または代替として用いる紅茶製造方法(例えば、特許文献1参照。)や、アルテルナリア(Alternaria)属またはクラドスポリウム(Cladosporium)属から生産して得られるPPOを緑茶浸出液又は緑茶葉に加えて紅茶を製造する方法(例えば、特許文献2及び3参照。)等が提案されている。
【0010】
また、緑茶葉以外の茶類に対して酵素を利用した技術として、紅茶抽出液の色を濃くすることを目的に、インスタント緑茶、紅茶葉、紅茶粉末、茶抽出液等をラッカーゼ、PPO又はパーオキシダーゼ等の酸化酵素で処理する方法(例えば、特許文献4参照。)、緑茶葉や紅茶葉に対して細胞壁消化酵素を作用させることにより良質な高濃度抽出溶液を調製する方法(例えば、非特許文献7参照。)、タンナーゼと細胞壁消化酵素を用いて紅茶葉を湿潤させる工程を含み、紅茶の収率及び茶固形分溶解性を増加させる方法(例えば、特許文献5参照。)等が提案されている。
【0011】
【特許文献1】
特公昭44−1932号公報
【特許文献2】
特公昭48−16636号公報
【特許文献3】
特公昭49−4394号公報
【特許文献4】
欧州特許出願公開第760213号
【特許文献5】
特公平4−63662号公報
【非特許文献1】
木村進ほか,食品の変色の化学,光琳,光琳テクノブックス第18巻,1995,p.70−89
【非特許文献2】
大西正健,酵素化学[食品からのアプローチ],哲学出版,1988,p.44−63
【非特許文献3】
J.Agric. Food Chem.,47,1999,p.2571−2578
【非特許文献4】
J.Agric. Food Chem.,21,1973,p.576−585
【非特許文献5】
中林 敏郎ほか,緑茶・紅茶・烏龍茶の化学と機能,弘学出版,p.10−19
【非特許文献6】
茶業技術研究,63,1982,p.14−18
【非特許文献7】
日本食品工業学会誌,15(7),1999,p.306−309
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
CTC法の導入は紅茶の製造時間を大幅に短縮し、紅茶抽出液の色を濃くすることができたが、その一方で、ほとんど萎凋を行わないため、オーソドックス法で製造された紅茶と比較して香りが劣るという問題点があった。また、葉を細かく砕くため、茶葉のグレード(等級区分:茶葉の部位、大きさ、形によって決定される)のうち、ファニング(fanning、略号F、細かく砕いた茶葉)に分類されるため、ティーバッグ専用になってしまうという欠点があった。
【0013】
また、紅茶の製茶工程に酸化酵素を添加する技術により紅茶の発酵は促進されるが、緑茶品種を原料に使用するにあたっては、そのカテキン類含有量が少ないため、発酵度には限界があり、必ずしも香り及び風味の良い紅茶を製造することはできなかった。紅茶の抽出工程でPPOを添加することにより色を濃くすることは可能となったが、香りや風味に対する効果はみられなかった。また、細胞壁消化酵素で処理することによって抽出物中のタンニンやカフェインといった茶成分量は増加するが、色調・香り・風味といった品質は必ずしも改善されていない。
【0014】
そのため、未発酵茶葉を原材料として用いても、原材料の形を損なうことなく、短時間で発酵を促進させ、且つ、色調・香り・風味のより良い発酵茶を提供することが望まれている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らが鋭意検討した結果、未発酵茶葉、その茶葉粉末又は茶抽出液に対して、酸化還元酵素と細胞壁消化酵素を併用することにより、良質な発酵茶葉、発酵茶抽出物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0016】
すなわち、本発明は以下に関するものである。
(1)未発酵茶葉から、少なくとも揉捻工程、発酵工程、乾燥工程を経て発酵茶を製茶する方法において、前記揉捻工程の前、最中、又は後に未発酵茶葉を酸化還元酵素及び細胞壁消化酵素で処理することを特徴とする発酵茶の製造方法。
(2)緑茶葉、烏龍茶葉、緑茶葉粉末、烏龍茶葉粉末のいずれか一つまたは複数に対して、酸化還元酵素及び細胞壁消化酵素を混合した後、熱水で抽出することを特徴とする発酵茶抽出物の製造方法。
(3)緑茶葉、烏龍茶葉、緑茶葉粉末、烏龍茶葉粉末のいずれか一つまたは複数の抽出物を酸化還元酵素及び細胞壁消化酵素で処理することを特徴とする発酵茶抽出物の製造方法。
(4)酸化還元酵素がポリフェノールオキシダーゼである(1)〜(3)のいずれか一つに記載の製造方法。
(5)細胞壁消化酵素がセルラーゼ、ペクチナーゼ、ヘミセルラーゼのいずれか一つ又は複数である(1)〜(3)のいずれか一つに記載の製造方法。
(6)(1)〜(5)のいずれか一つに記載の方法により製造された発酵茶又は発酵茶抽出物を含有する発酵茶調製品。
(7)酸化還元酵素及び細胞壁消化酵素からなる発酵茶の香り及び風味改善剤。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明における未発酵茶葉として、緑茶用品種、紅茶用品種、烏龍茶(青茶)用品種、黒茶用品種のいずれも用いることができるが、好ましくは緑茶用品種又は紅茶用品種を用いることができる。また、生葉又は乾燥葉のいずれも用いることができる。緑茶葉粉末又は烏龍茶葉粉末とは、各々の茶葉を公知の方法で粉砕したものである。緑茶葉、烏龍茶葉、緑茶葉粉末、烏龍茶葉粉末のいずれか一つまたは複数の抽出物とは、各々の茶葉又は各々の茶葉粉末に対して冷水(0℃以上30℃未満)、温水(30℃以上60℃未満)、熱水(60℃以上)等の溶媒を用いて茶成分を抽出した抽出液、該抽出液の濃縮液、該抽出液又は該濃縮液を凍結乾燥や噴霧乾燥などの公知の手段で乾燥させた乾燥物を示す。
【0018】
本発明の酸化還元酵素としてはPPOを用いることができ、具体的にはカテコールオキシダーゼ(EC 1.10.3.1)、ラッカーゼ(EC 1.10.3.2)、モノフェノールモノオキシダーゼ(EC 1.14.18.1)などが挙げられる。本発明における酸化還元酵素の由来は特に限定されないが、食経験のある植物、好ましくは野菜や果物由来のものが望ましく、例えばリンゴ、ナシ、モモ、オウトウ、ウメ、スモモ、アンズ、ビワ等のバラ科植物をはじめ、カキ、ブドウ、バナナ、クリ、ゴボウ、ホウレンソウ、アーティチョーク、ベルベットビーン、ジャガイモ、サツマイモ、マングビーン、エンドウ、ダイズ、カカオ、タバコ、トマト、レタス等が利用できる。特に好ましくはバラ科植物のリンゴ由来のものが望ましい。本発明で用いることができる酸化還元酵素の具体的な例として、特開2001−161357号公報に記載の植物組織処理物(リンゴPPO、ゴボウPPO、レタスPPO、バナナ皮PPO)等が挙げられる。本発明で用いる酸化還元酵素の製造法は特に限定されないが、好ましくは特開2001−161357号公報に記載の方法が挙げられる。すなわち、破砕する植物細胞に抗酸化剤あるいは塩化物イオンを与える中性塩の溶液を加えて搾汁し、搾汁液を得る。この搾汁液をさらに遠心分離して得られる不溶物画分、または搾汁液をさらに篩で分別した篩別パルプ、さらには搾汁後に得られる残渣であるパルプのいずれかを、凍結乾燥などにより乾燥して、乾燥粉末として得られる。
【0019】
本発明の酸化還元酵素の活性は、日本食品科学工学会誌15巻5号199〜206頁(1968年)等に記載される方法に準じて測定できる。すなわち、0.05Mリン酸緩衝液(pH6.6)に溶解した(−)−エピカテキン溶液(1.7mg/ml)25mlを基質として、これに酸化還元酵素粉末0.1gを添加・混合して20℃、5分間反応させた後、反応液を2.5ml採取して10%(V/V)硫酸0.5mlを加え反応を停止し、420nmの吸光度を測定する。反応液の420nmの吸光度を5分間に1.00上昇させる活性を1単位(1U)として定義する。
【0020】
本発明における細胞壁消化酵素は植物組織崩壊酵素とも言われるものである。この細胞壁消化酵素として、好ましくはセルラーゼ、ペクチナーゼ、ヘミセルラーゼのいずれか一つ又は複数を用いることができる。また、細胞壁消化酵素を産生する菌体そのもの、その精製品又は製剤等、少なくとも一種の細胞壁消化酵素成分を含有するものを用いることもできる。本発明で用いる細胞壁消化酵素の具体的な例として、メイセラーゼ(明治製菓製)、アクレモニウムセルラーゼ(明治製菓製)、マセロチーム(ヤクルト本社製)、スミチーム(新日本化学工業製)、セルロシンME(阪急バイオインダストリー製)等が挙げられる。本発明の細胞壁消化酵素の活性は、セルラーゼ活性、ペクチナーゼ活性、ヘミセルラーゼ活性(キシラナーゼ活性又はマンナナーゼ活性)のいずれかで評価することができる。本発明において、セルラーゼ活性はCMCase活性で評価される。すなわち、0.05M酢酸緩衝液(pH4.5)に溶解したCarboxymethyl Cellulose Sodium溶液(終濃度1.0%)を基質として、これに酵素を作用させ、50℃、30分間反応させた後に生成する還元糖量をDNS(3,5−Dinitrosalicylic acid)法にて測定し、グルコースに換算し、酵素1mg当たり1分間に生成するグルコース量(μmol)を1単位(1U)と定義する。ペクチナーゼ活性は、ポリガラクツロン酸に酵素を作用させ、一定時間内に生成する還元糖量をガラクツロン酸に換算し、酵素1mg当たり1分間に生成するガラクツロン酸量(μmol)を1単位(1U)として定義する。ヘミセルラーゼ活性は、キシラナーゼ活性又はマンナナーゼ活性で評価する。キシラナーゼ活性はキシランに酵素を作用させ、一定時間内に生成する還元糖量をキシロースに換算し、酵素1mg当たり1分間に生成するキシロース量(μmol)を1単位(1U)と定義する。また、マンナナーゼ活性はコンニャクマンナンに酵素を作用させ、一定時間内に生成する還元糖量をマンノースに換算し、酵素1mg当たり1分間に生成するマンノース量(μmol)を、各々1単位(1U)と定義する。
【0021】
本発明で用いる酸化還元酵素及び細胞壁消化酵素の使用形態は特に限定されないが、好ましくは粉末、造粒物、水溶液等とすることができる。また、本発明では酸化還元酵素と細胞壁消化酵素の両者をあらかじめ混合して調製した酵素製剤や、前記の2種の酵素活性を含有する微生物等の培養液を用いることもできる。
【0022】
本発明では、未発酵茶葉を揉捻工程中に酸化還元酵素及び細胞壁消化酵素で処理し、発酵工程、乾燥工程を順次経ることにより、原材料の形を損なうことなく、香り及び風味がよい発酵茶を製茶する方法を提供する。揉捻工程では、揉んで茶葉の細胞を破壊する操作を1〜2時間行う。酸化還元酵素及び細胞壁消化酵素の添加量は、原料の未発酵茶葉や使用する酵素の活性値により適宜選択される。酵素の添加量として、好ましくは未発酵茶葉に対して酸化還元酵素0.01%(W/W)〜1.0%(W/W)(0.000964U/g〜0.0964U/g)、細胞壁消化酵素0.01%(W/W)〜0.3%(W/W)(0.88U/g〜26.4U/g)、さらに好ましくは酸化還元酵素0.01%(W/W)〜0.5%(W/W)(0.000964U/g〜0.0482U/g)、細胞壁消化酵素0.01%(W/W)〜0.2%(W/W)(0.88U/g〜17.6U/g)で処理される。酵素は揉捻工程の前、揉捻工程の最中、揉捻工程の後のいずれでも添加することができる。すなわち、揉捻工程中から発酵工程直前の間に添加することができる。発酵工程では、揉捻後の茶葉は25〜26℃、湿度90%以上の条件下で処理されるが、処理時間は1.5〜4時間が好ましく、長くなりすぎると茶葉の品質(嗜好性)が下がるため好ましくない。乾燥工程では、茶葉は水分が約3%となるまで約100℃の熱風で約20分間処理される。なお、揉捻工程の前に、萎凋工程(摘採した茶葉を日陰で干して水分を約40%減らす)を挿入することも可能である。
【0023】
また、本発明では緑茶葉、烏龍茶葉、緑茶葉粉末、烏龍茶葉粉末のいずれか一つ又は複数に対して酸化還元酵素及び細胞壁消化酵素を混合した後、熱水で抽出することにより短時間で香り及び風味がよい発酵茶抽出物を製造する方法を提供する。酸化還元酵素及び細胞壁消化酵素の添加量は、原料の緑茶葉、烏龍茶葉、緑茶葉粉末、烏龍茶葉粉末、又は使用する酵素の活性値により適宜選択されるが、好ましくは緑茶葉又は緑茶葉粉末に対して酸化還元酵素0.01%(W/W)〜1.0%(W/W)(0.000964U/g〜0.0964U/g)、細胞壁消化酵素0.01%(W/W)〜0.3%(W/W)(0.88U/g〜26.4U/g)、さらに好ましくは酸化還元酵素0.01%(W/W)〜0.5%(W/W)(0.000964U/g〜0.0482U/g)、細胞壁消化酵素0.01%(W/W)〜0.2%(W/W)(0.88U/g〜17.6U/g)が混合される。発酵茶抽出物は、該混合物に対して、任意の量の熱水を加えて抽出することにより得られるが、好ましくは緑茶葉又は緑茶葉粉末に対して50倍(V/W)〜200倍(V/W)の熱水(60℃以上)を加えて抽出する。抽出時間は適宜調節することが可能である。
【0024】
さらに、本発明では緑茶葉、烏龍茶葉、緑茶葉粉末、烏龍茶葉粉末のいずれか一つまたは複数の抽出物を酸化還元酵素及び細胞壁消化酵素で処理することにより、短時間で香り及び風味がよい発酵茶抽出物を製造する方法を提供する。酸化還元酵素及び細胞壁消化酵素の添加量は、原料の緑茶抽出物や烏龍茶抽出物、使用する酵素の活性値により適宜選択されるが、好ましくは緑茶抽出液に対して酸化還元酵素0.005%(W/V)〜0.5%(W/V)(0.000482U/g〜0.0482U/g)、細胞壁消化酵素0.005%(W/V)〜0.2%(W/V)(0.44U/g〜17.6U/g)、さらに好ましくは酸化還元酵素0.005%(W/V)〜0.1%(W/V)(0.000482U/g〜0.00964U/g)、細胞壁消化酵素0.005%(W/V)〜0.1%(W/V)(0.44U/g〜8.8U/g)で処理される。未発酵茶抽出物の酵素処理の温度、時間は適宜選択できるが、好ましくは50℃〜90℃、1分間〜10分間で行う。
【0025】
本発明により得られた発酵茶又は発酵茶抽出物を用いることにより、香り及び風味の良好な発酵茶調製品を得ることができる。発酵茶調製品として、例えば、発酵茶をさらに細断して袋詰めしたティーバッグ、発酵茶を粉砕して調製した発酵茶葉粉末、発酵茶抽出物に糖類等の添加物を混合して缶やペットボトル等に充填した発酵茶飲料、発酵茶抽出物を濃縮して乾燥させたインスタント茶粉末等を得ることができるが、本発明ではこれらの例に限定されるものではない。
【0026】
本発明では、細胞壁消化酵素及び酸化還元酵素との併用による相乗的な作用、すなわち細胞壁消化酵素により露出された茶葉中のカテキン類が、茶葉中の酸化酵素及び/又は添加した酸化還元酵素により酸化されることにより発酵が促進され、さらに乾燥工程を経ることにより色調・香り・風味の優れた発酵茶が短時間で得られる。
【0027】
また、細胞壁消化酵素および酸化還元酵素からなる組成物を発酵茶の香りや風味といった嗜好性の改良を目的とする改善剤として用いることができる。
【0028】
さらに、本発明では細胞壁消化酵素及び酸化還元酵素との併用することで発酵茶の甘みが増すことが確認され、従来の発酵茶よりも嗜好の上で優れた発酵茶が得られることが確認されている。
本発明の発酵茶製造方法を用いることにより、緑茶葉に限らず、オリーブ葉、熊笹葉等、あらゆる植物葉を原料として発酵茶が得られる可能性も考えられる。
【0029】
【実施例】
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1:未発酵茶葉(緑茶生茶)からの発酵茶の製茶
下記の工程に従って、発酵茶を製造した。
<萎凋工程>緑茶用品種である「やぶきた」の生茶葉を摘採し、一昼夜室温で静置した。
<揉捻工程>茶葉(萎凋後重量で200g)を1区分として、茶葉重量に対し、0.1%(W/W)リンゴPPO(酸化還元酵素活性9.64U/g)と0.1%(W/W)メイセラーゼ(明治製菓製Lot.CEP10710;CMCase活性8.8U/mg)を添加した後に、1.5時間の手揉みを行った。なお、リンゴPPOは、特開2001−161357号公報の実施例1に記載の方法に従って調製した、植物組織乾燥粉末である。
<発酵工程>揉捻後の各区分の茶葉を、密閉容器(底部に水を張り、25℃恒温槽中に設置)に入れ、2時間静置した。
<乾燥工程>発酵後の各区分の茶葉を、熱風乾燥機(100℃)中で20分間乾燥させた。
<グレード確認>得られた乾燥茶葉は、いずれもホールリーフであった。
【0030】
比較例1: 実施例1と同様の方法で、揉捻工程において2種類の酵素を添加せずに発酵茶(以下、酵素無添加発酵茶(1)という)を製造した。
【0031】
比較例2: 実施例1と同様の方法で、揉捻工程において細胞壁消化酵素を添加せず、0.1%リンゴPPOのみを添加して発酵茶(以下、0.1%リンゴPPO添加発酵茶(1)という)を製造した。
【0032】
比較例3: 実施例1と同様の方法で、揉捻工程において細胞壁消化酵素を添加せず、1.0%リンゴPPOのみを添加して発酵茶(以下、1.0%リンゴPPO添加発酵茶という)を製造した。
【0033】
比較例4: 実施例1と同様の方法で、揉捻工程において酸化還元酵素を添加せず、0.1%メイセラーゼのみを添加して発酵茶(以下、0.1%メイセラーゼ添加発酵茶(1)という)を製造した。
【0034】
比較例5: 実施例1と同様の方法で、揉捻工程において酸化還元酵素を添加せず、0.3%メイセラーゼのみを添加して発酵茶(以下、0.3%メイセラーゼ添加発酵茶という)を製造した。
【0035】
評価方法
実施例1及び比較例1〜5で得られた発酵茶を用いて、以下の評価を行った。
<茶溶液抽出> 茶審査法(茶業技術研究,41,1971,p.51−53)に準じて行った。すなわち、試料用発酵茶葉3gに熱湯200mlを注ぎ、3分間放置、ろ過後、得られたろ液(発酵茶抽出液)を評価用試料とした。
<官能評価> パネラー8人に2種の試料のうち、色調の濃い方、香りの良い方、風味の好ましい方を各々選んでもらう、2点嗜好法を用いた。
<吸光度測定> 酵素無添加発酵茶および実施例1の発酵茶抽出液の吸光度(380nm)を測定し、水色濃度を測定した(日本農芸化学会誌,61,1987,p.599−601)。
<酵素残存活性測定> 実施例1の乾燥工程終了時の茶葉重量は、約50gであった。発酵茶抽出液200ml中には、12mgのリンゴPPO(酸化還元酵素活性9.64U/g)及び12mgのメイセラーゼ(明治製菓製、Lot.CEP10710、細胞壁消化酵素活性:CMCase活性8.8U/mg)が含まれている。これら2種の酵素粉末12mgを、別々に熱風乾燥機(100℃)中で20分間処理し、下記の方法にて、各酵素(終濃度12mg/200ml)の残存活性を測定した。
酸化還元酵素活性測定法: (−)−エピカテキン(Sigma社製、カタログNo.E−1753)を0.05Mリン酸緩衝液(pH6.6)に溶解した溶液(1.7mg/ml)25mlを基質として、これに100℃で20分間処理したリンゴPPOを添加・混合して20℃、5分間反応させた後、2.5ml反応液を採取して10%硫酸0.5mlに加え反応を停止し、420nmの吸光度を測定した。
細胞壁消化酵素活性(セルラーゼ活性)測定法:Carboxymethyl Cellulose Sodium(東京化成社製、カタログNo.C0045)を0.05M酢酸緩衝液(pH4.5)に溶解した溶液(2.0%W/V)0.25mlを基質として、これに100℃で20分間処理したメイセラーゼを前記緩衝液で溶解した酵素液0.25mlを加えて50℃、30分間反応させた。反応液0.5ml中にDNS(3,5−Dinitrosalicylic acid)試薬1.5mlを添加し、沸騰水浴中で5分間インキュベーションした後、蒸留水4.0mlで希釈し、540nmの吸光度を測定した。なお、DNS試薬は、以下の方法で調製した。すなわち、4.5%水酸化ナトリウム溶液300mlに1%3,5−ジニトロサリチル酸溶液880ml及びロッセル塩225gを添加した溶液A、10%水酸化ナトリウム水溶液22mlに結晶フェノール10gを加え、さらに水を加えて溶解して100mlとした溶液Bを調製した。溶液B69mlに炭酸水素ナトリウム6.9gを加えて溶解させ、溶液Aを注いでロッセル塩が十分に溶解するまで撹拌混合し、2日間放置した後にろ過した。
【0036】
官能評価結果
官能評価結果を表1〜5に示した。
0.1%リンゴPPO添加発酵茶(1)(比較例2)は酵素無添加発酵茶(1)(比較例1)と比較して色調、香り、風味、甘みともに良い評価を得た(表1)。リンゴPPO添加量を1.0%に増やしても効果は上がらなかった(表2)。0.1%メイセラーゼ添加発酵茶(1)(比較例4)と0.3%メイセラーゼ添加発酵茶(比較例5)とを比較すると、前者の方が評価が高かった(表3)。0.1%リンゴPPO+0.1%メイセラーゼ添加発酵茶(実施例1)は、色調に関しては0.1%リンゴPPO添加発酵茶(1)(比較例2)とほぼ同等であり、香り、風味、甘みに関しては0.1%リンゴPPO添加発酵茶(1)よりもさらに改良されていた(表4)。0.1%リンゴPPO+0.1%メイセラーゼ添加発酵茶(実施例1)は、香り、風味、甘みの3項目において、0.1%メイセラーゼ添加発酵茶(1)(比較例4)よりもさらに改良されていた(表5)。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】
【表5】
【0042】
<吸光度測定結果>
測定結果を表6に示した。
【0043】
【表6】
【0044】
<酵素残存活性測定結果>
熱風乾燥機(100℃)中で20分間処理したリンゴPPO粉末(終濃度12mg/200ml)は、酵素活性を有さなかった(検出限界以下)。同様の処理を施したメイセラーゼ(終濃度12mg/200ml)も、酵素活性を有さなかった(検出限界以下)。
色調・香り・風味・甘みの評価結果を総合すると、実施例1が最も優れていると判断された。また、実施例1の発酵茶抽出液中には酵素活性が残っていないと示唆された。
【0045】
実施例2:未発酵茶葉(紅茶生葉)からの発酵茶の製茶
下記の工程に従って、発酵茶を製造した。
<萎凋工程>紅茶用品種である「いんど」の生茶葉を摘採し、一昼夜室温で静置した。
<揉捻工程>茶葉(萎凋後重量で200g)を1区分とし、茶葉重量に対し0.1%(W/W)リンゴPPO(酸化還元酵素活性9.64U/g)と0.1%(W/W)メイセラーゼ(明治製菓製、Lot.CEP10710、細胞壁消化酵素活性8.8U/mg)を添加した後に、1.5時間の手揉みを行った。なお、リンゴPPOは、特開2001−161357号公報の実施例1に記載の方法に従って調製した、植物組織乾燥粉末である。
<発酵工程>揉捻後の各区分の茶葉を、密閉容器(底部に水を張り、25℃恒温槽中に設置)に入れ、2時間静置した。
<乾燥工程>発酵後の各区分の茶葉を、熱風乾燥機(100℃)中で20分間乾燥させた。
<グレード確認>得られた乾燥茶葉はいずれもホールリーフであった。
【0046】
比較例6: 実施例2と同様の方法で、揉捻工程において2種類の酵素を添加せずに発酵茶(以下、酵素無添加発酵茶(2)という)を製造した。
【0047】
比較例7: 実施例2と同様の方法で、揉捻工程において細胞壁消化酵素を添加せず、0.1%リンゴPPOのみを添加して発酵茶(以下、0.1%リンゴPPO添加発酵茶(2)という)を製造した。
【0048】
比較例8: 実施例2と同様の方法で、0.1%メイセラーゼ添加発酵茶(以下、0.1%メイセラーゼ添加発酵茶(2)を製造した。
【0049】
比較例9: 実施例2と同様の方法で、発酵時間だけを4時間とした酵素無添加発酵茶(以下、酵素無添加・発酵4時間・発酵茶という)を製造した。
【0050】
比較例10: 実施例2と同様の方法で、発酵時間だけを6時間とした酵素無添加発酵茶(以下、酵素無添加・発酵6時間・発酵茶という)を製造した。
【0051】
評価方法
実施例2、及び比較例6〜10で得られた発酵茶葉を用いて、実施例1と同様の方法にて比較を行った。
【0052】
官能評価結果
官能評価結果を表7〜12に示した。
酵素無添加発酵茶(2)では、発酵時間を2時間から4時間に延ばすことにより、色調、香り、風味、甘みが改良された(表7)。ところが、発酵時間を6時間にすると、すべての評価項目において、2時間のときよりも効果が下がった(表8)。0.1%リンゴPPO+0.1%メイセラーゼ添加発酵茶は、すべての評価項目において、0.1%リンゴPPO添加発酵茶(2)よりも改良されていた(表9)。0.1%メイセラーゼ添加発酵茶(2)は色調及び甘みに関しては0.1%リンゴPPO+0.1%メイセラーゼ添加発酵茶と同等以上の評価を得たが、風味及び香りに関しては0.1%リンゴPPO+0.1%メイセラーゼ添加発酵茶よりも劣っていた(表10)。0.1%リンゴPPO+0.1%メイセラーゼ添加発酵茶は、香り、風味、甘みに関して、酵素無添加・発酵4時間・発酵茶と同等以上の評価を得た(表11)。
【0053】
【表7】
【0054】
【表8】
【0055】
【表9】
【0056】
【表10】
【0057】
【表11】
【0058】
<吸光度測定結果>
測定結果を表12に示した。
【表12】
【0059】
色調・香り・風味・甘みの評価結果を総合すると、実施例2が最も優れていると判断された。また、実施例2(発酵時間:2時間)は比較例9(発酵時間:4時間)と同等以上の香り、風味、甘みを有すると評価されることから、酸化還元酵素と細胞壁消化酵素とを未発酵茶葉に併用することにより、良質な発酵茶を得るために必要とする発酵時間が短縮されることが明らかとなった。
【0060】
実施例3:未発酵茶葉(緑茶の製茶葉)からの発酵茶抽出物の製造
市販の緑茶葉3gに対してリンゴPPO(明治製菓製、酸化還元酵素活性9.64U/g)3mgとメイセラーゼ(明治製菓製、細胞壁消化酵素活性8.8U/mg)3mgを添加し、熱湯200mlを注ぎ、3分間室温で放置し、市販のコーヒー用フィルターを用いてろ過した後、ろ液(発酵茶抽出物)を得た。なお、リンゴPPOは、特開2001−161357号公報の実施例1に記載の方法に従って調製した、植物組織乾燥粉末である。
【0061】
得られた発酵茶抽出物は、良好な味、香り、風味を有していた。
【0062】
【発明の効果】
本発明の細胞壁消化酵素及び酸化還元酵素との併用による相乗的な作用によって、未発酵茶葉を原料に用いて、茶葉グレードが高く、色調・香り・風味が良い発酵茶を、天候に左右されずに、短い製造時間で提供できる。また、同様に緑茶葉、烏龍茶葉、緑茶葉粉末、烏龍茶葉粉末、又はそれらの抽出液から短時間で色調・香り・風味が良い発酵茶抽出物を得ることができる。さらに、本発明の方法で得られる発酵茶や発酵茶抽出物を用いることにより良質な発酵茶製品を得ることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、未発酵茶葉から良質な発酵茶を製茶する方法、緑茶葉、烏龍茶葉、及びそれらの茶葉粉末、又はそれらの茶抽出物から直ちに発酵茶抽出物を製造する方法、及び前記発酵茶又は発酵茶抽出物から得られる発酵茶調製品に関する。
【0002】
【従来の技術】
発酵茶、即ち紅茶や烏龍茶などにおける発酵は、通常醸造などで言われる発酵とは全く趣を異にし、茶葉中に含まれている酸化酵素(ポリフェノールオキシダーゼ、以下PPOと記す)が深く関与している(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
発酵過程において、茶葉中のカテキン類がPPOにより酸化され(例えば、非特許文献2参照。)、キノン体が形成され、続いて自動酸化によりテアフラビン類およびその重合体のテアルビジンが形成され(例えば、非特許文献3参照。)、これらの反応の過程で紅茶特有の色調・香・風味が生まれる(例えば、非特許文献4参照。)。
【0004】
PPOは、若い茶葉では上・下の表皮と維管束系に、硬い茶葉では下面の表皮と維管束系に分布している。一方、基質のカテキン類は柵状組織の液胞に分布しており、酵素と基質とは組織別にも分離されている。よって、この酸化反応は茶葉内で自発的に開始されるものではなく、後記の揉捻工程によって反応する。
【0005】
一般的な紅茶の製造方法(オーソドックス法)は、(a)萎凋(摘採した茶葉を日陰で干して水分を約40%減らすことでPPOの活性が増す、15〜20時間)、(b)揉捻(揉んで茶葉の細胞を壊し、PPOとカテキン類を反応しやすくする、1〜2時間)、(c)発酵(25〜26℃、湿度90%以上の条件下にて酸化反応を促進させる、1.5〜3時間)、(d)乾燥(約100℃の熱風で水分を約3%にする、約20分間)という工程から成る(例えば、非特許文献5参照。)。この後、製品として仕上げるため、茶葉の等級区分(Tea Grading)が行われる。区分は篩分機の篩い目(メッシュ)の大きさによって行われ、茶葉の大きさと形状を表わすものである。生産地毎に区分の仕方が若干異なるが、現在行われている大まかな区分があるのは、オーソドックス法と後記するCTC法の等級くらいである。等級区分の表示は、原則として茶葉のサイズの大きいものから小さいものへと順番に並べたものである。オーソドックス法の等級区分はホールリーフ(Whole Leaf)、ブロークン(Broken、略語:B)、ファニング(fanning、略号F)及びダスト(Dust、略語:D)からなる。
【0006】
一方1930年代に考案されたCrushing−Tearing−Curling(CTC)法は、軽萎凋(水分約20%減)した生葉を用いて、内向きに回転する突起や刃の着いたステンレス製ローラー(回転数はそれぞれ720r.p.m.、66r.p.m.)間の狭い隙間に茶葉を巻き込んで、つぶし(crushing)、引き裂き(tearing)、径1mmほどの粒状にまとめる(curling)もので、通常3台連結して処理し(約15分間)、最後に乾燥するという工程から成り(例えば、非特許文献5参照。)、オーソドックス法と比較して製造時間は大幅に短縮される。
【0007】
近年、ポットあるいはティーバッグなどの方法で紅茶を飲用する従来の様式以外に、紅茶浸出液を缶ドリンク、ペットボトルなどで消費する形態が大きく伸びたことにより、日本国内の紅茶需要は年々増加している。しかしながら国内では紅茶の生産はほとんど行われておらず、大半を輸入に依存しているのが実状である。
【0008】
一方、日本国内に見られる緑茶品種は日本の気候で栽培できるように紅茶品種を改良したものであるが、紅茶品種と比較してカテキン類及びPPO含有量が少なく(例えば、非特許文献6参照。)、紅茶製造時に発酵が進みにくい。さらには、日本の気候は温度が低く湿度が高いため、萎凋が進みにくく、紅茶製造には適さない。
【0009】
そのため、担子菌から生産して得られる酸化酵素を緑茶葉中の酸化酵素の補助、強化または代替として用いる紅茶製造方法(例えば、特許文献1参照。)や、アルテルナリア(Alternaria)属またはクラドスポリウム(Cladosporium)属から生産して得られるPPOを緑茶浸出液又は緑茶葉に加えて紅茶を製造する方法(例えば、特許文献2及び3参照。)等が提案されている。
【0010】
また、緑茶葉以外の茶類に対して酵素を利用した技術として、紅茶抽出液の色を濃くすることを目的に、インスタント緑茶、紅茶葉、紅茶粉末、茶抽出液等をラッカーゼ、PPO又はパーオキシダーゼ等の酸化酵素で処理する方法(例えば、特許文献4参照。)、緑茶葉や紅茶葉に対して細胞壁消化酵素を作用させることにより良質な高濃度抽出溶液を調製する方法(例えば、非特許文献7参照。)、タンナーゼと細胞壁消化酵素を用いて紅茶葉を湿潤させる工程を含み、紅茶の収率及び茶固形分溶解性を増加させる方法(例えば、特許文献5参照。)等が提案されている。
【0011】
【特許文献1】
特公昭44−1932号公報
【特許文献2】
特公昭48−16636号公報
【特許文献3】
特公昭49−4394号公報
【特許文献4】
欧州特許出願公開第760213号
【特許文献5】
特公平4−63662号公報
【非特許文献1】
木村進ほか,食品の変色の化学,光琳,光琳テクノブックス第18巻,1995,p.70−89
【非特許文献2】
大西正健,酵素化学[食品からのアプローチ],哲学出版,1988,p.44−63
【非特許文献3】
J.Agric. Food Chem.,47,1999,p.2571−2578
【非特許文献4】
J.Agric. Food Chem.,21,1973,p.576−585
【非特許文献5】
中林 敏郎ほか,緑茶・紅茶・烏龍茶の化学と機能,弘学出版,p.10−19
【非特許文献6】
茶業技術研究,63,1982,p.14−18
【非特許文献7】
日本食品工業学会誌,15(7),1999,p.306−309
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
CTC法の導入は紅茶の製造時間を大幅に短縮し、紅茶抽出液の色を濃くすることができたが、その一方で、ほとんど萎凋を行わないため、オーソドックス法で製造された紅茶と比較して香りが劣るという問題点があった。また、葉を細かく砕くため、茶葉のグレード(等級区分:茶葉の部位、大きさ、形によって決定される)のうち、ファニング(fanning、略号F、細かく砕いた茶葉)に分類されるため、ティーバッグ専用になってしまうという欠点があった。
【0013】
また、紅茶の製茶工程に酸化酵素を添加する技術により紅茶の発酵は促進されるが、緑茶品種を原料に使用するにあたっては、そのカテキン類含有量が少ないため、発酵度には限界があり、必ずしも香り及び風味の良い紅茶を製造することはできなかった。紅茶の抽出工程でPPOを添加することにより色を濃くすることは可能となったが、香りや風味に対する効果はみられなかった。また、細胞壁消化酵素で処理することによって抽出物中のタンニンやカフェインといった茶成分量は増加するが、色調・香り・風味といった品質は必ずしも改善されていない。
【0014】
そのため、未発酵茶葉を原材料として用いても、原材料の形を損なうことなく、短時間で発酵を促進させ、且つ、色調・香り・風味のより良い発酵茶を提供することが望まれている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らが鋭意検討した結果、未発酵茶葉、その茶葉粉末又は茶抽出液に対して、酸化還元酵素と細胞壁消化酵素を併用することにより、良質な発酵茶葉、発酵茶抽出物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0016】
すなわち、本発明は以下に関するものである。
(1)未発酵茶葉から、少なくとも揉捻工程、発酵工程、乾燥工程を経て発酵茶を製茶する方法において、前記揉捻工程の前、最中、又は後に未発酵茶葉を酸化還元酵素及び細胞壁消化酵素で処理することを特徴とする発酵茶の製造方法。
(2)緑茶葉、烏龍茶葉、緑茶葉粉末、烏龍茶葉粉末のいずれか一つまたは複数に対して、酸化還元酵素及び細胞壁消化酵素を混合した後、熱水で抽出することを特徴とする発酵茶抽出物の製造方法。
(3)緑茶葉、烏龍茶葉、緑茶葉粉末、烏龍茶葉粉末のいずれか一つまたは複数の抽出物を酸化還元酵素及び細胞壁消化酵素で処理することを特徴とする発酵茶抽出物の製造方法。
(4)酸化還元酵素がポリフェノールオキシダーゼである(1)〜(3)のいずれか一つに記載の製造方法。
(5)細胞壁消化酵素がセルラーゼ、ペクチナーゼ、ヘミセルラーゼのいずれか一つ又は複数である(1)〜(3)のいずれか一つに記載の製造方法。
(6)(1)〜(5)のいずれか一つに記載の方法により製造された発酵茶又は発酵茶抽出物を含有する発酵茶調製品。
(7)酸化還元酵素及び細胞壁消化酵素からなる発酵茶の香り及び風味改善剤。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明における未発酵茶葉として、緑茶用品種、紅茶用品種、烏龍茶(青茶)用品種、黒茶用品種のいずれも用いることができるが、好ましくは緑茶用品種又は紅茶用品種を用いることができる。また、生葉又は乾燥葉のいずれも用いることができる。緑茶葉粉末又は烏龍茶葉粉末とは、各々の茶葉を公知の方法で粉砕したものである。緑茶葉、烏龍茶葉、緑茶葉粉末、烏龍茶葉粉末のいずれか一つまたは複数の抽出物とは、各々の茶葉又は各々の茶葉粉末に対して冷水(0℃以上30℃未満)、温水(30℃以上60℃未満)、熱水(60℃以上)等の溶媒を用いて茶成分を抽出した抽出液、該抽出液の濃縮液、該抽出液又は該濃縮液を凍結乾燥や噴霧乾燥などの公知の手段で乾燥させた乾燥物を示す。
【0018】
本発明の酸化還元酵素としてはPPOを用いることができ、具体的にはカテコールオキシダーゼ(EC 1.10.3.1)、ラッカーゼ(EC 1.10.3.2)、モノフェノールモノオキシダーゼ(EC 1.14.18.1)などが挙げられる。本発明における酸化還元酵素の由来は特に限定されないが、食経験のある植物、好ましくは野菜や果物由来のものが望ましく、例えばリンゴ、ナシ、モモ、オウトウ、ウメ、スモモ、アンズ、ビワ等のバラ科植物をはじめ、カキ、ブドウ、バナナ、クリ、ゴボウ、ホウレンソウ、アーティチョーク、ベルベットビーン、ジャガイモ、サツマイモ、マングビーン、エンドウ、ダイズ、カカオ、タバコ、トマト、レタス等が利用できる。特に好ましくはバラ科植物のリンゴ由来のものが望ましい。本発明で用いることができる酸化還元酵素の具体的な例として、特開2001−161357号公報に記載の植物組織処理物(リンゴPPO、ゴボウPPO、レタスPPO、バナナ皮PPO)等が挙げられる。本発明で用いる酸化還元酵素の製造法は特に限定されないが、好ましくは特開2001−161357号公報に記載の方法が挙げられる。すなわち、破砕する植物細胞に抗酸化剤あるいは塩化物イオンを与える中性塩の溶液を加えて搾汁し、搾汁液を得る。この搾汁液をさらに遠心分離して得られる不溶物画分、または搾汁液をさらに篩で分別した篩別パルプ、さらには搾汁後に得られる残渣であるパルプのいずれかを、凍結乾燥などにより乾燥して、乾燥粉末として得られる。
【0019】
本発明の酸化還元酵素の活性は、日本食品科学工学会誌15巻5号199〜206頁(1968年)等に記載される方法に準じて測定できる。すなわち、0.05Mリン酸緩衝液(pH6.6)に溶解した(−)−エピカテキン溶液(1.7mg/ml)25mlを基質として、これに酸化還元酵素粉末0.1gを添加・混合して20℃、5分間反応させた後、反応液を2.5ml採取して10%(V/V)硫酸0.5mlを加え反応を停止し、420nmの吸光度を測定する。反応液の420nmの吸光度を5分間に1.00上昇させる活性を1単位(1U)として定義する。
【0020】
本発明における細胞壁消化酵素は植物組織崩壊酵素とも言われるものである。この細胞壁消化酵素として、好ましくはセルラーゼ、ペクチナーゼ、ヘミセルラーゼのいずれか一つ又は複数を用いることができる。また、細胞壁消化酵素を産生する菌体そのもの、その精製品又は製剤等、少なくとも一種の細胞壁消化酵素成分を含有するものを用いることもできる。本発明で用いる細胞壁消化酵素の具体的な例として、メイセラーゼ(明治製菓製)、アクレモニウムセルラーゼ(明治製菓製)、マセロチーム(ヤクルト本社製)、スミチーム(新日本化学工業製)、セルロシンME(阪急バイオインダストリー製)等が挙げられる。本発明の細胞壁消化酵素の活性は、セルラーゼ活性、ペクチナーゼ活性、ヘミセルラーゼ活性(キシラナーゼ活性又はマンナナーゼ活性)のいずれかで評価することができる。本発明において、セルラーゼ活性はCMCase活性で評価される。すなわち、0.05M酢酸緩衝液(pH4.5)に溶解したCarboxymethyl Cellulose Sodium溶液(終濃度1.0%)を基質として、これに酵素を作用させ、50℃、30分間反応させた後に生成する還元糖量をDNS(3,5−Dinitrosalicylic acid)法にて測定し、グルコースに換算し、酵素1mg当たり1分間に生成するグルコース量(μmol)を1単位(1U)と定義する。ペクチナーゼ活性は、ポリガラクツロン酸に酵素を作用させ、一定時間内に生成する還元糖量をガラクツロン酸に換算し、酵素1mg当たり1分間に生成するガラクツロン酸量(μmol)を1単位(1U)として定義する。ヘミセルラーゼ活性は、キシラナーゼ活性又はマンナナーゼ活性で評価する。キシラナーゼ活性はキシランに酵素を作用させ、一定時間内に生成する還元糖量をキシロースに換算し、酵素1mg当たり1分間に生成するキシロース量(μmol)を1単位(1U)と定義する。また、マンナナーゼ活性はコンニャクマンナンに酵素を作用させ、一定時間内に生成する還元糖量をマンノースに換算し、酵素1mg当たり1分間に生成するマンノース量(μmol)を、各々1単位(1U)と定義する。
【0021】
本発明で用いる酸化還元酵素及び細胞壁消化酵素の使用形態は特に限定されないが、好ましくは粉末、造粒物、水溶液等とすることができる。また、本発明では酸化還元酵素と細胞壁消化酵素の両者をあらかじめ混合して調製した酵素製剤や、前記の2種の酵素活性を含有する微生物等の培養液を用いることもできる。
【0022】
本発明では、未発酵茶葉を揉捻工程中に酸化還元酵素及び細胞壁消化酵素で処理し、発酵工程、乾燥工程を順次経ることにより、原材料の形を損なうことなく、香り及び風味がよい発酵茶を製茶する方法を提供する。揉捻工程では、揉んで茶葉の細胞を破壊する操作を1〜2時間行う。酸化還元酵素及び細胞壁消化酵素の添加量は、原料の未発酵茶葉や使用する酵素の活性値により適宜選択される。酵素の添加量として、好ましくは未発酵茶葉に対して酸化還元酵素0.01%(W/W)〜1.0%(W/W)(0.000964U/g〜0.0964U/g)、細胞壁消化酵素0.01%(W/W)〜0.3%(W/W)(0.88U/g〜26.4U/g)、さらに好ましくは酸化還元酵素0.01%(W/W)〜0.5%(W/W)(0.000964U/g〜0.0482U/g)、細胞壁消化酵素0.01%(W/W)〜0.2%(W/W)(0.88U/g〜17.6U/g)で処理される。酵素は揉捻工程の前、揉捻工程の最中、揉捻工程の後のいずれでも添加することができる。すなわち、揉捻工程中から発酵工程直前の間に添加することができる。発酵工程では、揉捻後の茶葉は25〜26℃、湿度90%以上の条件下で処理されるが、処理時間は1.5〜4時間が好ましく、長くなりすぎると茶葉の品質(嗜好性)が下がるため好ましくない。乾燥工程では、茶葉は水分が約3%となるまで約100℃の熱風で約20分間処理される。なお、揉捻工程の前に、萎凋工程(摘採した茶葉を日陰で干して水分を約40%減らす)を挿入することも可能である。
【0023】
また、本発明では緑茶葉、烏龍茶葉、緑茶葉粉末、烏龍茶葉粉末のいずれか一つ又は複数に対して酸化還元酵素及び細胞壁消化酵素を混合した後、熱水で抽出することにより短時間で香り及び風味がよい発酵茶抽出物を製造する方法を提供する。酸化還元酵素及び細胞壁消化酵素の添加量は、原料の緑茶葉、烏龍茶葉、緑茶葉粉末、烏龍茶葉粉末、又は使用する酵素の活性値により適宜選択されるが、好ましくは緑茶葉又は緑茶葉粉末に対して酸化還元酵素0.01%(W/W)〜1.0%(W/W)(0.000964U/g〜0.0964U/g)、細胞壁消化酵素0.01%(W/W)〜0.3%(W/W)(0.88U/g〜26.4U/g)、さらに好ましくは酸化還元酵素0.01%(W/W)〜0.5%(W/W)(0.000964U/g〜0.0482U/g)、細胞壁消化酵素0.01%(W/W)〜0.2%(W/W)(0.88U/g〜17.6U/g)が混合される。発酵茶抽出物は、該混合物に対して、任意の量の熱水を加えて抽出することにより得られるが、好ましくは緑茶葉又は緑茶葉粉末に対して50倍(V/W)〜200倍(V/W)の熱水(60℃以上)を加えて抽出する。抽出時間は適宜調節することが可能である。
【0024】
さらに、本発明では緑茶葉、烏龍茶葉、緑茶葉粉末、烏龍茶葉粉末のいずれか一つまたは複数の抽出物を酸化還元酵素及び細胞壁消化酵素で処理することにより、短時間で香り及び風味がよい発酵茶抽出物を製造する方法を提供する。酸化還元酵素及び細胞壁消化酵素の添加量は、原料の緑茶抽出物や烏龍茶抽出物、使用する酵素の活性値により適宜選択されるが、好ましくは緑茶抽出液に対して酸化還元酵素0.005%(W/V)〜0.5%(W/V)(0.000482U/g〜0.0482U/g)、細胞壁消化酵素0.005%(W/V)〜0.2%(W/V)(0.44U/g〜17.6U/g)、さらに好ましくは酸化還元酵素0.005%(W/V)〜0.1%(W/V)(0.000482U/g〜0.00964U/g)、細胞壁消化酵素0.005%(W/V)〜0.1%(W/V)(0.44U/g〜8.8U/g)で処理される。未発酵茶抽出物の酵素処理の温度、時間は適宜選択できるが、好ましくは50℃〜90℃、1分間〜10分間で行う。
【0025】
本発明により得られた発酵茶又は発酵茶抽出物を用いることにより、香り及び風味の良好な発酵茶調製品を得ることができる。発酵茶調製品として、例えば、発酵茶をさらに細断して袋詰めしたティーバッグ、発酵茶を粉砕して調製した発酵茶葉粉末、発酵茶抽出物に糖類等の添加物を混合して缶やペットボトル等に充填した発酵茶飲料、発酵茶抽出物を濃縮して乾燥させたインスタント茶粉末等を得ることができるが、本発明ではこれらの例に限定されるものではない。
【0026】
本発明では、細胞壁消化酵素及び酸化還元酵素との併用による相乗的な作用、すなわち細胞壁消化酵素により露出された茶葉中のカテキン類が、茶葉中の酸化酵素及び/又は添加した酸化還元酵素により酸化されることにより発酵が促進され、さらに乾燥工程を経ることにより色調・香り・風味の優れた発酵茶が短時間で得られる。
【0027】
また、細胞壁消化酵素および酸化還元酵素からなる組成物を発酵茶の香りや風味といった嗜好性の改良を目的とする改善剤として用いることができる。
【0028】
さらに、本発明では細胞壁消化酵素及び酸化還元酵素との併用することで発酵茶の甘みが増すことが確認され、従来の発酵茶よりも嗜好の上で優れた発酵茶が得られることが確認されている。
本発明の発酵茶製造方法を用いることにより、緑茶葉に限らず、オリーブ葉、熊笹葉等、あらゆる植物葉を原料として発酵茶が得られる可能性も考えられる。
【0029】
【実施例】
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1:未発酵茶葉(緑茶生茶)からの発酵茶の製茶
下記の工程に従って、発酵茶を製造した。
<萎凋工程>緑茶用品種である「やぶきた」の生茶葉を摘採し、一昼夜室温で静置した。
<揉捻工程>茶葉(萎凋後重量で200g)を1区分として、茶葉重量に対し、0.1%(W/W)リンゴPPO(酸化還元酵素活性9.64U/g)と0.1%(W/W)メイセラーゼ(明治製菓製Lot.CEP10710;CMCase活性8.8U/mg)を添加した後に、1.5時間の手揉みを行った。なお、リンゴPPOは、特開2001−161357号公報の実施例1に記載の方法に従って調製した、植物組織乾燥粉末である。
<発酵工程>揉捻後の各区分の茶葉を、密閉容器(底部に水を張り、25℃恒温槽中に設置)に入れ、2時間静置した。
<乾燥工程>発酵後の各区分の茶葉を、熱風乾燥機(100℃)中で20分間乾燥させた。
<グレード確認>得られた乾燥茶葉は、いずれもホールリーフであった。
【0030】
比較例1: 実施例1と同様の方法で、揉捻工程において2種類の酵素を添加せずに発酵茶(以下、酵素無添加発酵茶(1)という)を製造した。
【0031】
比較例2: 実施例1と同様の方法で、揉捻工程において細胞壁消化酵素を添加せず、0.1%リンゴPPOのみを添加して発酵茶(以下、0.1%リンゴPPO添加発酵茶(1)という)を製造した。
【0032】
比較例3: 実施例1と同様の方法で、揉捻工程において細胞壁消化酵素を添加せず、1.0%リンゴPPOのみを添加して発酵茶(以下、1.0%リンゴPPO添加発酵茶という)を製造した。
【0033】
比較例4: 実施例1と同様の方法で、揉捻工程において酸化還元酵素を添加せず、0.1%メイセラーゼのみを添加して発酵茶(以下、0.1%メイセラーゼ添加発酵茶(1)という)を製造した。
【0034】
比較例5: 実施例1と同様の方法で、揉捻工程において酸化還元酵素を添加せず、0.3%メイセラーゼのみを添加して発酵茶(以下、0.3%メイセラーゼ添加発酵茶という)を製造した。
【0035】
評価方法
実施例1及び比較例1〜5で得られた発酵茶を用いて、以下の評価を行った。
<茶溶液抽出> 茶審査法(茶業技術研究,41,1971,p.51−53)に準じて行った。すなわち、試料用発酵茶葉3gに熱湯200mlを注ぎ、3分間放置、ろ過後、得られたろ液(発酵茶抽出液)を評価用試料とした。
<官能評価> パネラー8人に2種の試料のうち、色調の濃い方、香りの良い方、風味の好ましい方を各々選んでもらう、2点嗜好法を用いた。
<吸光度測定> 酵素無添加発酵茶および実施例1の発酵茶抽出液の吸光度(380nm)を測定し、水色濃度を測定した(日本農芸化学会誌,61,1987,p.599−601)。
<酵素残存活性測定> 実施例1の乾燥工程終了時の茶葉重量は、約50gであった。発酵茶抽出液200ml中には、12mgのリンゴPPO(酸化還元酵素活性9.64U/g)及び12mgのメイセラーゼ(明治製菓製、Lot.CEP10710、細胞壁消化酵素活性:CMCase活性8.8U/mg)が含まれている。これら2種の酵素粉末12mgを、別々に熱風乾燥機(100℃)中で20分間処理し、下記の方法にて、各酵素(終濃度12mg/200ml)の残存活性を測定した。
酸化還元酵素活性測定法: (−)−エピカテキン(Sigma社製、カタログNo.E−1753)を0.05Mリン酸緩衝液(pH6.6)に溶解した溶液(1.7mg/ml)25mlを基質として、これに100℃で20分間処理したリンゴPPOを添加・混合して20℃、5分間反応させた後、2.5ml反応液を採取して10%硫酸0.5mlに加え反応を停止し、420nmの吸光度を測定した。
細胞壁消化酵素活性(セルラーゼ活性)測定法:Carboxymethyl Cellulose Sodium(東京化成社製、カタログNo.C0045)を0.05M酢酸緩衝液(pH4.5)に溶解した溶液(2.0%W/V)0.25mlを基質として、これに100℃で20分間処理したメイセラーゼを前記緩衝液で溶解した酵素液0.25mlを加えて50℃、30分間反応させた。反応液0.5ml中にDNS(3,5−Dinitrosalicylic acid)試薬1.5mlを添加し、沸騰水浴中で5分間インキュベーションした後、蒸留水4.0mlで希釈し、540nmの吸光度を測定した。なお、DNS試薬は、以下の方法で調製した。すなわち、4.5%水酸化ナトリウム溶液300mlに1%3,5−ジニトロサリチル酸溶液880ml及びロッセル塩225gを添加した溶液A、10%水酸化ナトリウム水溶液22mlに結晶フェノール10gを加え、さらに水を加えて溶解して100mlとした溶液Bを調製した。溶液B69mlに炭酸水素ナトリウム6.9gを加えて溶解させ、溶液Aを注いでロッセル塩が十分に溶解するまで撹拌混合し、2日間放置した後にろ過した。
【0036】
官能評価結果
官能評価結果を表1〜5に示した。
0.1%リンゴPPO添加発酵茶(1)(比較例2)は酵素無添加発酵茶(1)(比較例1)と比較して色調、香り、風味、甘みともに良い評価を得た(表1)。リンゴPPO添加量を1.0%に増やしても効果は上がらなかった(表2)。0.1%メイセラーゼ添加発酵茶(1)(比較例4)と0.3%メイセラーゼ添加発酵茶(比較例5)とを比較すると、前者の方が評価が高かった(表3)。0.1%リンゴPPO+0.1%メイセラーゼ添加発酵茶(実施例1)は、色調に関しては0.1%リンゴPPO添加発酵茶(1)(比較例2)とほぼ同等であり、香り、風味、甘みに関しては0.1%リンゴPPO添加発酵茶(1)よりもさらに改良されていた(表4)。0.1%リンゴPPO+0.1%メイセラーゼ添加発酵茶(実施例1)は、香り、風味、甘みの3項目において、0.1%メイセラーゼ添加発酵茶(1)(比較例4)よりもさらに改良されていた(表5)。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】
【表5】
【0042】
<吸光度測定結果>
測定結果を表6に示した。
【0043】
【表6】
【0044】
<酵素残存活性測定結果>
熱風乾燥機(100℃)中で20分間処理したリンゴPPO粉末(終濃度12mg/200ml)は、酵素活性を有さなかった(検出限界以下)。同様の処理を施したメイセラーゼ(終濃度12mg/200ml)も、酵素活性を有さなかった(検出限界以下)。
色調・香り・風味・甘みの評価結果を総合すると、実施例1が最も優れていると判断された。また、実施例1の発酵茶抽出液中には酵素活性が残っていないと示唆された。
【0045】
実施例2:未発酵茶葉(紅茶生葉)からの発酵茶の製茶
下記の工程に従って、発酵茶を製造した。
<萎凋工程>紅茶用品種である「いんど」の生茶葉を摘採し、一昼夜室温で静置した。
<揉捻工程>茶葉(萎凋後重量で200g)を1区分とし、茶葉重量に対し0.1%(W/W)リンゴPPO(酸化還元酵素活性9.64U/g)と0.1%(W/W)メイセラーゼ(明治製菓製、Lot.CEP10710、細胞壁消化酵素活性8.8U/mg)を添加した後に、1.5時間の手揉みを行った。なお、リンゴPPOは、特開2001−161357号公報の実施例1に記載の方法に従って調製した、植物組織乾燥粉末である。
<発酵工程>揉捻後の各区分の茶葉を、密閉容器(底部に水を張り、25℃恒温槽中に設置)に入れ、2時間静置した。
<乾燥工程>発酵後の各区分の茶葉を、熱風乾燥機(100℃)中で20分間乾燥させた。
<グレード確認>得られた乾燥茶葉はいずれもホールリーフであった。
【0046】
比較例6: 実施例2と同様の方法で、揉捻工程において2種類の酵素を添加せずに発酵茶(以下、酵素無添加発酵茶(2)という)を製造した。
【0047】
比較例7: 実施例2と同様の方法で、揉捻工程において細胞壁消化酵素を添加せず、0.1%リンゴPPOのみを添加して発酵茶(以下、0.1%リンゴPPO添加発酵茶(2)という)を製造した。
【0048】
比較例8: 実施例2と同様の方法で、0.1%メイセラーゼ添加発酵茶(以下、0.1%メイセラーゼ添加発酵茶(2)を製造した。
【0049】
比較例9: 実施例2と同様の方法で、発酵時間だけを4時間とした酵素無添加発酵茶(以下、酵素無添加・発酵4時間・発酵茶という)を製造した。
【0050】
比較例10: 実施例2と同様の方法で、発酵時間だけを6時間とした酵素無添加発酵茶(以下、酵素無添加・発酵6時間・発酵茶という)を製造した。
【0051】
評価方法
実施例2、及び比較例6〜10で得られた発酵茶葉を用いて、実施例1と同様の方法にて比較を行った。
【0052】
官能評価結果
官能評価結果を表7〜12に示した。
酵素無添加発酵茶(2)では、発酵時間を2時間から4時間に延ばすことにより、色調、香り、風味、甘みが改良された(表7)。ところが、発酵時間を6時間にすると、すべての評価項目において、2時間のときよりも効果が下がった(表8)。0.1%リンゴPPO+0.1%メイセラーゼ添加発酵茶は、すべての評価項目において、0.1%リンゴPPO添加発酵茶(2)よりも改良されていた(表9)。0.1%メイセラーゼ添加発酵茶(2)は色調及び甘みに関しては0.1%リンゴPPO+0.1%メイセラーゼ添加発酵茶と同等以上の評価を得たが、風味及び香りに関しては0.1%リンゴPPO+0.1%メイセラーゼ添加発酵茶よりも劣っていた(表10)。0.1%リンゴPPO+0.1%メイセラーゼ添加発酵茶は、香り、風味、甘みに関して、酵素無添加・発酵4時間・発酵茶と同等以上の評価を得た(表11)。
【0053】
【表7】
【0054】
【表8】
【0055】
【表9】
【0056】
【表10】
【0057】
【表11】
【0058】
<吸光度測定結果>
測定結果を表12に示した。
【表12】
【0059】
色調・香り・風味・甘みの評価結果を総合すると、実施例2が最も優れていると判断された。また、実施例2(発酵時間:2時間)は比較例9(発酵時間:4時間)と同等以上の香り、風味、甘みを有すると評価されることから、酸化還元酵素と細胞壁消化酵素とを未発酵茶葉に併用することにより、良質な発酵茶を得るために必要とする発酵時間が短縮されることが明らかとなった。
【0060】
実施例3:未発酵茶葉(緑茶の製茶葉)からの発酵茶抽出物の製造
市販の緑茶葉3gに対してリンゴPPO(明治製菓製、酸化還元酵素活性9.64U/g)3mgとメイセラーゼ(明治製菓製、細胞壁消化酵素活性8.8U/mg)3mgを添加し、熱湯200mlを注ぎ、3分間室温で放置し、市販のコーヒー用フィルターを用いてろ過した後、ろ液(発酵茶抽出物)を得た。なお、リンゴPPOは、特開2001−161357号公報の実施例1に記載の方法に従って調製した、植物組織乾燥粉末である。
【0061】
得られた発酵茶抽出物は、良好な味、香り、風味を有していた。
【0062】
【発明の効果】
本発明の細胞壁消化酵素及び酸化還元酵素との併用による相乗的な作用によって、未発酵茶葉を原料に用いて、茶葉グレードが高く、色調・香り・風味が良い発酵茶を、天候に左右されずに、短い製造時間で提供できる。また、同様に緑茶葉、烏龍茶葉、緑茶葉粉末、烏龍茶葉粉末、又はそれらの抽出液から短時間で色調・香り・風味が良い発酵茶抽出物を得ることができる。さらに、本発明の方法で得られる発酵茶や発酵茶抽出物を用いることにより良質な発酵茶製品を得ることができる。
Claims (7)
- 未発酵茶葉から、少なくとも揉捻工程、発酵工程、乾燥工程を経て発酵茶を製茶する方法において、前記揉捻工程の前、最中、又は後に未発酵茶葉を酸化還元酵素及び細胞壁消化酵素で処理することを特徴とする発酵茶の製造方法。
- 緑茶葉、烏龍茶葉、緑茶葉粉末、烏龍茶葉粉末のいずれか一つまたは複数に対して、酸化還元酵素及び細胞壁消化酵素を混合した後、熱水で抽出することを特徴とする発酵茶抽出物の製造方法。
- 緑茶葉、烏龍茶葉、緑茶葉粉末、烏龍茶葉粉末のいずれか一つまたは複数の抽出物を酸化還元酵素及び細胞壁消化酵素で処理することを特徴とする発酵茶抽出物の製造方法。
- 酸化還元酵素がポリフェノールオキシダーゼである請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
- 細胞壁消化酵素がセルラーゼ、ペクチナーゼ、ヘミセルラーゼのいずれか一つ又は複数である請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法により製造された発酵茶又は発酵茶抽出物を含有する発酵茶調製品。
- 酸化還元酵素及び細胞壁消化酵素からなる発酵茶の香り及び風味改善剤。
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