以下の説明および添付図面は、ニット構成要素およびニット構成要素の製造に関するさまざまな概念を開示している。ニット構成要素は、さまざまな製品に利用できるが、それらのニット構成要素のうちの1つ以上を組み込む履物製品が、実施例として以下に開示されている。ニット構成要素は、履物に加えて、他の種類の衣料品(たとえば、シャツ、パンツ、ソックス、ジャケット、下着)、運動用具(たとえば、ゴルフバッグ、野球用およびフットボール用グローブ、サッカーボール規制構造体)、入れ物(たとえば、リュックサック、バッグ)ならびに家具の装飾用品(たとえば、椅子、カウチ、車両用座席)に用いてもよい。また、ニット構成要素は、ベッドカバーリング(たとえば、シーツ、毛布)、テーブルカバーリング、タオル、旗、テント、帆およびパラシュートに用いてもよい。ニット構成要素は、自動車および航空宇宙用途、フィルタ材料、医療用繊維製品(たとえば、包帯、綿棒、インプラント)、土木工事用繊維シート、作物保護用の農業用繊維シート、および熱や放射から保護または絶縁する工業用衣料品を含む産業用の技術的布地として用いてもよい。したがって、本願明細書に開示されているニット構成要素および他の概念は、個人用および産業用の目的の両方のためのさまざまな製品に組み込むことができる。
図1〜図22は、レンチキュラーニット構造を含むニット構成要素を組み込んだアッパーを有する履物製品および関連する製造方法の例示的な実施形態を示す。アッパーは、アッパーおよび履物製品に色変化特性を与える1つ以上のレンチキュラーニット構造を含むニット構成要素を組み込む。本願明細書に記載されているいずれかのニット構成要素の個々の形状構成は、組合せて用いてもよく、または、履物製品に対して異なる構成で別々に設けてもよい。さらに、いずれかの形状構成は、選択が自由であり、また、ニット構成要素のいずれか1つの特定の実施形態に含めなくてもよい。
一貫性を保つために、および便宜上、図示されている実施形態に対応して、この詳細な説明の全体で、方向を表す形容詞が用いられている。「長手方向」という用語は、この詳細な説明およびクレームを通して用いられる場合、製品の長さまたは主軸が延びている方向を指す。場合により、長手方向は、製品の足先領域からかかと領域へ延びていてもよい。また、「横方向」という用語は、この詳細な説明およびクレームを通して用いられる場合、製品の幅または短軸が延びている方向を指す。換言すれば、横方向は、製品の内側側部と外側側部との間に延びていてもよい。さらに、「垂直な」という用語は、この詳細な説明およびクレームを通して用いられる場合、横方向と長手方向とに概して直角な方向を指す。たとえば、製品が、地面の上に平らに置かれている場合、垂直方向は、地面から上方に延びていてもよい。方向を表すそれらの形容詞を、アッパー、ニット構成要素およびそれらの部分、および/またはソール構造を含む、製品の個別の構成要素に適用してもよいことは理解されるであろう。
図1〜図6は、単純に製品100とも呼ぶ、履物製品100の例示的な実施形態を示す。いくつかの実施形態において、製品100は、ソール構造110およびアッパー120を含んでもよい。製品100は、ランニングに適している一般的構造を有するように図示されているが、製品100に関連する概念は、たとえば、サッカーシューズ、ベースボールシューズ、バスケットボールシューズ、サイクリングシューズ、フットボールシューズ、テニスシューズ、トレーニングシューズ、ウォーキングシューズおよびハイキングブーツを含む、他のさまざまな種類の運動用の履物にも適用してもよい。また、その概念は、ドレスシューズ、ローファー、サンダルおよび作業用ブーツを含む、一般的には非運動用と考えられている種類の履物にも適用してもよい。したがって、製品100に関して開示されている概念は、幅広い種類の履物に適用してもよい。
参照のため、製品100は、図1、図2および図3に大略的に図示されているように、3つの大略的領域、すなわち、足先領域10と、中足領域12と、かかと領域14とに分けることができる。足先領域10は、つま先と、中足骨と指骨とを接続している関節とに対応する製品100の部分を大略的に含んでいる。中足領域12は、足のアーチ区域に対応する製品100の部分を大略的に含んでいる。かかと領域14は、踵骨を含む足の後部に大略的に対応している。また、製品100は、足先領域10、中足領域12およびかかと領域14の各々を通って延び、および製品100の両側部に対応している外側側部16および内側側部18も含んでいる。より具体的には、外側側部16は、足の外側区域(すなわち、他方の足から遠ざかる方を向く面)に対応し、また、内側側部18は、足の内側区域(すなわち、他方の足の方を向く面)に対応している。足先領域10、中足領域12およびかかと領域14、ならびに外側側部16および内側側部18は、製品100の正確な区域を画定することを意図していない。むしろ、足先領域10、中足領域12およびかかと領域14、ならびに外側側部16および内側側部18は、以下の説明で役に立つように、製品100の大略的区域を表すことが意図されている。製品100に加えて、足先領域10、中足領域12およびかかと領域14、ならびに外側側部16および内側側部18もまた、ソール構造110、アッパー120およびそれらの個々の要素に適用してもよい。
図1〜図15に示す製品100の実施形態を説明するための例示的な座標系が図4に示されており、長手方向2は、製品100の足先領域10とかかと領域14との間で製品100に沿って延び、横方向4は、外側側部16と内側側部18との間で製品100に沿って延び、垂直方向6は、製品100のソール構造110と上部との間で製品100に沿って延びている。
例示的な実施形態において、ソール構造110は、アッパー120に固定され、製品100が着用された場合、足と地面との間に拡がっている。いくつかの実施形態では、ソール構造110は、ミッドソール、アウトソールおよび/または中敷きまたはインソールを含む1つ以上の構成要素を含んでもよい。例示的な実施形態において、ソール構造110は、アッパー120の下面に固定されるアウトソール、および/または、ソール構造110をアッパー120に固定するために構成されたベース部を含んでもよい。1つの実施形態において、アウトソールは、トラクションを付与するようにテクスチャード加工されている耐摩耗性ゴム材料から形成してもよい。このソール構造110のための構成は、アッパー120とともに用いてもよいソール構造の実施例を示しているが、ソール構造110のための他のさまざまな従来のまたは従来にない構造も用いてもよい。したがって、他の実施形態では、ソール構造110の形状構成、または、アッパー120とともに用いられる何らかのソール構造は変えてもよい。
たとえば、他の実施形態では、ソール構造110は、ミッドソールおよび/または中敷きを含んでもよい。ミッドソールは、アッパーの下面に固定することができ、および場合によっては、ウォーキング、ランニングまたは他の歩行活動中に、足と地面との間で圧縮された場合に、地面反力を減衰させる(すなわち、クッション性をもたらす)圧縮可能なポリマー発泡体要素(たとえば、ポリウレタンまたはエチルビニルアセテート発泡体)から形成してもよい。他の場合においては、ミッドソールは、力をさらに弱め、安定性を高め、または、足の動きに影響を与える、プレート、モデレータ、流体充填チャンバ、ラスティング要素またはモーションコントロール部材を組み込んでもよい。さらに他の場合においては、ミッドソールは、主に、アッパー内に設けられ、および製品の快適性を高めるために、足の下面に拡がるように配置されている流体充填チャンバから形成されていてもよい。
いくつかの実施形態では、アッパー120は、足を受け入れて、ソール構造110に対して固定するために、製品100内に空洞を画定している。その空洞は、足を収容し、および足の外側側部に沿って、足の内側側部に沿って、足の上で、かかとの周りで、および足の下に延びるように形作られている。アッパー120は、外側面121と、反対側の内側面122とを含んでいる。外側面は、外側におよび製品100から離れるように向いており、それに対して、内側面は、内側に向き、および、足を受け入れるための製品100内の空洞の大部分または比較的大きな部分を画定している。さらに、内側面は、足、または、足を覆うソックスに接してもよい。また、アッパー120は、少なくともかかと領域14内に配設され、およびスロート開口部140を形成するカラー142も含んでもよい。空洞へのアクセスは、スロート開口部140によってもたらされる。より具体的には、足は、カラー142によって形成されたスロート開口部140を介してアッパー120内に挿入することができ、また、足は、カラー142によって形成されたスロート開口部140を介してアッパー120から引き抜くことができる。いくつかの実施形態では、甲周り区域150は、かかと領域14のカラー142およびスロート開口部140から、中足領域112における足の甲周りに対応する区域を越えて、足先領域10に隣接する区域まで延びている。
いくつかの実施形態において、アッパー120は、甲周り区域150を通って、アッパー120の外側側部16と内側側部18との間に設けられたスロート部を含んでもよい。例示的な実施形態において、スロート部は、甲周り区域150を通って外側側部および内側側部に沿って、アッパー120の部分に一体的に取り付けてもよく、および一体ニット構造で形成してもよい。したがって、図面に示されているように、アッパー120は、外側側部16と内側側部18との間で、甲周り区域150を越えて実質的に連続して延びていてもよい。他の実施形態では、スロート部は、該スロート部が、甲周り区域150の両側部の外側部と内側部との間の開口部内で移動可能であるように、甲周り区域150を通って外側側部および内側側部に沿って分離し、それによって、ベロを形成してもよい。
いくつかの実施形態において、締めひも152は、アッパー120内の複数の締めひも受け入れ部材154を通って延び、および、着用者が、足のプロポーションに適応するようにアッパー120の寸法を変更することを可能にする。いくつかの実施形態において、締めひも152は、甲周り区域150の両側に沿って配置されている締めひも受け入れ部材154を通って延びていてもよい。より具体的には、締めひも152は、着用者が、アッパー120を足の周りに締め付けることを可能にし、また、締めひも152は、着用者が、空洞からの(すなわち、スロート開口部140を介した)足の出し入れを容易にするために、アッパー120を弛めることを可能にする。さらに、甲周り区域150におけるアッパー120のスロート部は、製品100の快適性を高めるために、締めひも152の下に延びている。締めひも152は、図1では製品100とともに図示されているが、残りの図面では、締めひも152は、明確にするために省略されている。追加的な構造において、アッパー120は、(a)安定性を高める、かかと領域14内のヒールカウンター、(b)耐摩耗性材料で形成されている、足先領域10におけるつま先ガード、および(c)ロゴ、商標、および注意書きや材料情報を記載した札等の追加的な要素を含んでもよい。
従来の多くの履物アッパーは、たとえば、縫製または接着によって接合される多数の材料要素(たとえば、布地、ポリマー発泡体、ポリマーシート、革、合成皮革)から形成されている。対照的に、いくつかの実施形態では、アッパー120の大部分は、ニット構成要素130から形成されており、それについては、以下でより詳細に説明する。ニット構成要素130は、たとえば、平編みプロセスによって製造してもよく、および足先領域10、中足領域12およびかかと領域14の各々を通って、外側側部16と内側側部18との両方に沿って、足先領域10の上に、およびかかと領域14の周りに延びている。例示的な実施形態において、ニット構成要素130は、外側面121と、内側面122の大部分または比較的大きな部分とを含むアッパー120の実質的にすべてを構成し、それによって、アッパー120内の空洞の部分を画定している。いくつかの実施形態では、ニット構成要素130は、足の下にも延びていてよい。しかし、他の実施形態では、ソール構造110との取付けのために足の下に延びているアッパー120の取付部を形成するために、ストローベル式中敷きまたは材料の薄いソール状部材がニット構成要素130に固定されている。
さらに、この実施形態では、縫い目160が、ニット構成要素130の縁部を接合するために、カラー142から下方向にソール構造110に向かって、外側側部16に沿って実質的に垂直方向に延びている。他の実施形態では、縫い目160は、実質的に同様の方法で、内側側部18に配置してもよい。さらに他の実施形態では、代わりに、縫い目160は、製品100の後方において、カラー142から下方向にソール構造110に向かって、かかと領域14を通って垂直方向に延びていてもよい。
縫い目がニット構成要素130に存在していてもよいが、ニット構成要素130の大部分は、実質的に縫い目のない構造を有している。さらに、ニット構成要素130は、一体ニット構造で形成されていてもよい。本願明細書で使用する場合、一体ニット構造(たとえば、ニット構成要素130)は、編みプロセスによってワンピース要素として形成されている場合、「一体ニット構造」で形成されているものと定義される。すなわち、編みプロセスは、大幅な追加的製造工程またはプロセスを要することなく、ニット構成要素130のさまざまな形状構成および構造を実質的に形成する。一体ニット構造は、それらの構造もしくは要素が共通の少なくとも1つのコースを含む(すなわち、共通のヤーンを共有する)ように接合されているヤーン、ストランドまたは他のニット材料から成る1つ以上のコースを含む、および/または各構造もしくは要素の間が実質的に連続しているコースを含む構造もしくは要素を有するニット構成要素を形成するのに用いることができる。この構成を用いて、一体ニット構造のワンピース要素が提供されている。
ニット構成要素130の部分は、後の編みプロセスに従って、互いに接合することができる(たとえば、ニット構成要素130の端部が接合される)が、ニット構成要素130は、ワンピースニット要素として形成されているため、依然として一体ニット構造で形成された状態のままである。さらに、ニット構成要素130は、編みプロセスの後に他の要素(たとえば、締めひも、ロゴ、商標、および注意書きや材料情報を記載した札、他の構造要素)が付与された場合も、依然として一体ニット構造で形成された状態のままである。
異なる実施形態では、一体ニット構造で形成されたニット構成要素130を製造するために、縦編みまたは(平編みプロセスまたは丸編みプロセスを含むがこれらに限定されない)横編みプロセス、または、ニット構成要素を形成するのに適している他の何らかの編みプロセスを含む任意の適当な編みプロセスを用いてもよい。ニット構成要素のさまざまな構成および一体ニット構造を用いてニット構成要素130を形成するための方法の実施例は、Duaの特許文献1、Duaらの特許文献2、Duaらの特許文献3およびHuffaらの特許文献4のうちの1つ以上に開示されており、これらの開示は、参照によってそれら全体が本願明細書に組み込まれる。例示的な実施形態において、平編みプロセスは、より詳細に説明するように、ニット構成要素130を形成するのに用いてもよい。
さまざまな実施形態において、履物製品には、色変化特性を備えたニット構成要素を組み込んだアッパーを設けてもよい。一般に、色変化特性は、その要素を見る角度によって異なる色に見える要素の特徴を指す。例示的な実施形態において、色変化特性は、レンチキュラー印刷技術と同様のまたはそれによって動機付けられた視覚効果を用いる履物製品に与えてもよい。レンチキュラー印刷は、異なる見る角度から見た場合に可視画像またはパターンのシフトを引き起こすためのレンズの利用を含む。レンチキュラー印刷のこの技術は、広告およびその他の目的のためのシンプルなアニメーションおよび視覚効果を作り出すのに利用することができる。
いくつかの実施形態において、ニット構成要素には、レンチキュラーニット構造の利用による色変化特性を設けてもよい。レンチキュラーニット構造は、レンチキュラーニット構造が異なる見る角度から見られた場合に、見る人に対して、少なくとも2つの異なる色を呈するように構成される。たとえば、第1の見る角度から見た場合、レンチキュラーニット構造は、そのニット構成要素を第1の色に見えるようにする可能性があるが、第1の見る角度とは異なる第2の見る角度から見た場合には、レンチキュラーニット構造は、そのニット構成要素を、第1の色とは異なる第2の色に見えるようにする。この構成では、レンチキュラーニット構造は、ニット構成要素および/または見る人が、履物製品に対して移動する際に、そのニット構成要素の色の見え方を変更してもよい。ニット構成要素および/または見る人のこのような動きに付随する見る角度の変化は、見る人に対して、レンチキュラーニット構造に異なる色を提示させ、それによって、ニット構成要素および履物製品に色変化特性を生じさせる。
例示的な実施形態においては、ニット構成要素130の少なくとも一部に、1つ以上のレンチキュラーニット構造132を組み込むことによって、色変化特性を与えてもよい。この実施形態では、レンチキュラーニット構造132は、チューブ状リブ構造の形態であってもよい。場合によっては、チューブ状リブ構造は、ニット構成要素130の表面から離れるように延び、およびチューブを形成するように閉じられている、同一の広がりを有して重なっているニット層によってニット構成要素130内に形成された中空チューブを画定している、非平面構造とすることができる。他の場合においては、チューブ状リブ構造は、以下で、より詳細に説明するように、チューブ内に設けられる追加的な構成要素を含んでもよい。
いくつかの実施形態において、ニット構成要素130の少なくとも一部は、レンチキュラーニット構造132の間に延びている区域、すなわち、ニット構成要素の外側面121において、レンチキュラーニット構造132を形成する隣接するチューブ状リブ構造の間に配設された区域、を含んでもよい。例示的な実施形態において、ニット構成要素130のベース部136は、レンチキュラーニット構造132の間に配設されている。場合によっては、ベース部136は、柔軟に、弾性的におよび弾力的にすることができ、およびニット構成要素130の伸張を補助することができる。
特定の種類のヤーンが、ニット構成要素130のある区域に付与するであろう特性は、さまざまなフィラメントおよびファイバをヤーン内に形成する材料に部分的に依存する。たとえば、綿は、柔らかい手触り、自然な美しさおよび生分解性をもたらす。エラステインおよび伸縮性ポリエステルは、それぞれ、かなりの伸縮性および復元性を備え、伸縮性ポリエステルはさらに、リサイクル性も備えている。レーヨンは光沢に優れ、吸湿性を備えている。また、ウールは、断熱性および生分解性に加えて、高い吸湿性も備えている。ナイロンは、比較的高い強度を有する、耐久性がある耐摩耗性材料である。ポリエステルは、比較的高い耐久性も備えている疎水性材料である。材料に加えて、ニット構成要素130のために選択されたヤーンの他の側面が、アッパー120の特性に影響を与える可能性がある。たとえば、ニット構成要素130を形成しているヤーンは、それぞれ異なる材料で形成されている別々のフィラメントを含んでいてもよい。さらに、ヤーンは、フィラメントが鞘芯構造を有しているか、または、2つの半体が異なる材料で形成されている複合ヤーン等の2つ以上の異なる材料でそれぞれ形成されているフィラメントを含んでいてもよい。異なる撚度および捲縮の程度、ならびに異なるデニールもまた、アッパー120の特性に影響を与える可能性がある。したがって、ヤーンを形成している材料およびヤーンの他の側面はともに、アッパー120の別々の区域にさまざまな特性を付与するように選択することができる。
ニット構成要素130のいくつかの構成では、ヤーンを形成している材料は非融着性または融着性であってもよい。たとえば、非融着性ヤーンは実質的に熱硬化性ポリエステル材料から形成してもよく、融着性ヤーンは少なくとも部分的に熱可塑性ポリエステル材料から形成してもよい。融着性ヤーンを加熱して、非融着性ヤーンに融着すると、このプロセスはニット構成要素130の構造を剛化または硬化する効果を有する。また、非融着性ヤーンの部分を融着性ヤーンを用いて接合することは、ニット構成要素130内の非融着性ヤーンの相対位置を固定またはロックする効果を有し、それにより耐伸張性および剛性を付与してもよい。すなわち、非融着性ヤーンの部分は、融着性ヤーンで融着すると、互いに対して滑らなくなり、それによってニット構造の相対的な移動によるニット構成要素130の歪みまたは恒久的な伸張を防止してもよい。ニット構成要素130の部分に融着性ヤーンを用いる別の特徴は、ニット構成要素130の一部が傷んできたかまたは非融着性ヤーンの1本が切れた場合に、解けるのを制限することに関わる。したがって、ニット構成要素130の区域は、ニット構造内に融着性ヤーンおよび非融着性ヤーンの両方を用いて構成してもよい。
例示的な実施形態において、レンチキュラーニット構造132は、レンチキュラーニット構造132を編むのに用いられる2種類以上のヤーンを組み込むことによって、色変化特性をニット構成要素130に与えてもよい。たとえば、レンチキュラーニット構造132が、チューブ状リブ構造の形態になっている実施形態では、レンチキュラーニット構造132の異なる部分は、チューブ状リブ構造の各側部に沿って、異なる種類のヤーンを含んでいてもよい。1つの実施形態において、チューブ状リブ構造の一方の側部に配設されたレンチキュラーニット構造132の第1の部分133は、第1のヤーンを用いて編むことができ、また、チューブ状リブ構造の反対側に配設されたレンチキュラーニット構造132の第2の部分134は、第1のヤーンとは異なる第2のヤーンを用いて編むことができる。場合によっては、ヤーンの種類は、ニット構成要素130に色変化特性を与えるために、色の点で異なっていてもよい。他の場合においては、ヤーンの種類は、ニット構成要素130に色変化特性を与えるために、質感またはデニールの点で異なっていてもよい。
図1を参照すると、この実施形態では、ニット構成要素130は、足先領域10と、中足領域12と、かかと領域14の一部とを通って、外側側部16と内側側部18との間のほぼ横方向に沿って延びているチューブ状リブ構造の形態の複数のレンチキュラーニット構造132を含んでいる。レンチキュラーニット構造132の各々は、製品100の前方において、足先領域10に向かって面しているチューブ状リブ構造の一方の側に配置された第1の部分133と、製品100の背部または後部において、かかと領域14に向かって面しているチューブ状リブ構造の反対側に配置された第2の部分134とを含んでいる。この構成の場合、レンチキュラーニット構造132によって生じるニット構成要素130の色変化特性は、製品100が異なる見る角度から見られる際に変わる可能性がある。
さらに、例示的な実施形態において、ニット構成要素130の少なくとも一部は、異なる方向性を有するレンチキュラーニット構造132を含んでいてもよい。たとえば、外側側部16および内側側部18のかかと領域14近傍に配設されたニット構成要素130の区域において、レンチキュラーニット構造132は、ほぼ横方向に沿って向けられている状態から、ほぼ長手方向に沿って向けられている状態に移行する。内側側部18は、図2に示す内側側部の見え方に関する具体的な参照によって見ることができ、また、外側側部16は、図3に示す外側側部の見え方に関する具体的な参照によって見ることができる。この異なる方向性の結果として、これらの区域におけるレンチキュラーニット構造132は、製品100の底部において、垂直方向の下方向にソール構造110に向かって面しているチューブ状リブ構造の一方の側に配置された第1の部分133と、製品100の上部において、垂直方向の上方向にカラー142に向かって面しているチューブ状リブ構造の反対側に配置された第2の部分134とを含んでいてもよい。この構成の場合、レンチキュラーニット構造132によって生じるニット構成要素130の色変化特性は、製品100が異なる見る角度から見られる際に変わる可能性がある。
さらに、ほぼ長手方向に沿って配置されたレンチキュラーニット構造132の異なる方向性のため、色変化特性が見られる見る角度は、ほぼ横方向に沿って配置されたレンチキュラーニット構造132の見る角度と異なっていてもよい。この構成の場合、ニット構成要素130および製品100の異なる区域は、さまざまな見る角度にわたって色変化特性を有する可能性があり、その結果、製品100および/または見る人が、互いに対して動く際に、ニット構成要素130の異なる区域は、別々に、または、動作中の異なる時間に色を変えるように見える。
図5および図6は、製品100が、2つの異なる見る角度から見られた場合に、レンチキュラーニット構造132によって生じるニット構成要素130の色変化特性の2つの典型的な見え方を示す。この実施形態では、ニット構成要素130は、第1のヤーンを用いて形成された第1の部分133と、第2のヤーンを用いて形成された第2の部分134とを有するレンチキュラーニット構造132を含んでいる。上述したように、さまざまな実施形態において、第1のヤーンおよび第2のヤーンは、異なる視覚効果をもたらす異なる種類であってもよい。たとえば、この実施形態では、第1のヤーンは、第1の色と関連付けてもよく、また、第2のヤーンは、第1の色とは異なる第2の色と関連付けてもよい。しかし、他の実施形態では、第1のヤーンおよび第2のヤーンは、視覚的色変化効果を引き起こす可能性がある異なる特性を有する種類から成っていてもよい。
次に、図5を参照すると、この実施形態では、製品100は、見る人によって、第1の見る角度500から見られている。第1の見る角度500は、製品100のほぼ前方に配置され、および少なくとも部分的に製品100の長手方向に沿って向けられている。第1の見る角度500から、製品100は、第1の色を有するように見えているニット構成要素130を提示している。例示的な実施形態において、第1の色は、レンチキュラーニット構造132の第1の部分133を編むのに用いられる第1のヤーンと同じ色である。すなわち、第1の見る角度500から、各レンチキュラーニット構造132の第1の部分133は、見る人に向かって面するように整列されている。この方向性の場合、レンチキュラーニット構造132の第1の部分133を形成するのに用いられる第1のヤーンは、第1の見る角度500から見えるが、レンチキュラーニット構造132の第2の部分134を形成するのに用いられる第2のヤーンは、反対側に配置され、および第1の見る角度500からは見られないようになっている。この場合、レンチキュラーニット構造132の第1の部分133を形成している第1のヤーンの特性(すなわち、種類、色、質感、デニール等)は、主に、第1の見る角度500からは第1の色に見えるようにさせる、ニット構成要素130に関する視覚効果の要因になっている。
次に、図6を参照すると、この実施形態では、製品100は、見る人によって、第2の見る角度600から見られている。第2の見る角度600は、図5に示す第1の見る角度500とは異なっており、少なくとも部分的に製品100の長手方向に沿って向けられ、ほぼ製品100の背後に配置されている。第2の見る角度600から、製品100は、見る人に対し、第1の見る角度500から見えている第1の色とは異なる第2の色を有するように見えているニット構成要素130を提示している。例示的な実施形態において、第2の色は、レンチキュラーニット構造132の第2の部分134を編むのに用いられる第2のヤーンと同じである。すなわち、第2の見る角度600からは、各レンチキュラーニット構造132の第2の部分134は、見る人に向かって面するように整列されている。この方向性の場合、レンチキュラーニット構造132の第2の部分134を形成するのに用いられる第2のヤーンは、第2の見る角度600から見られるが、第1の見る角度500から見られていたレンチキュラーニット構造132の第1の部分133を形成するのに用いられる第1のヤーンは、ここでは、反対側に配置され、および、第2の見る角度600からは見られないようになっている。この場合、レンチキュラーニット構造132の第2の部分134を形成している第2のヤーンの特性(すなわち、種類、色、質感、デニール等)は、主に、第2の見る角度600からは第2の色に見えるようにさせる、ニット構成要素130に関する視覚効果の要因になっている。この構成の場合、ニット構成要素130の色変化特性は、レンチキュラーニット構造132によってもたらされてもよい。
したがって、いくつかの実施形態において、ニット構成要素130のベース部136は、第1の見る角度500および第2の見る角度600のそれぞれから見える可能性がある。ベース部136は、レンチキュラーニット構造132の第1の部分133または第2の部分134を形成している第1のヤーンまたは第2のヤーンのいずれかと実質的に同様のヤーン種別(ヤーンの色を含む)を用いて形成してもよい。この構成の場合、ベース部136を形成するのに用いられるヤーンの種類は、第1の見る角度500または第2の見る角度600からの第1の色または第2の色から成る視覚効果をニット構成要素130に与えるのをさらに補助する可能性がある。しかし、他の実施形態では、ベース部136は、レンチキュラーニット構造132の第1の部分133または第2の部分134を形成している第1のヤーンまたは第2のヤーンのいずれかから、異なるヤーンの色を含む異なるヤーン種別を用いて形成してもよい。この構成の場合、ベース部136は、第1の色または第2の色のいずれかからの対照的な視覚効果をもたらす可能性がある。
さらに他の実施形態では、レンチキュラーニット構造132は、第1の見る角度500または第2の見る角度600のいずれかからベース部136が最初は部分的にまたは全体的に見えないように、密に配置されていてもよい。しかし、ニット構成要素130が伸張した場合、ベース部136は、隣接するレンチキュラーニット構造132の間から見られる可能性がある。したがって、これらの実施形態では、ベース部136は、レンチキュラーニット構造132の第1の部分133または第2の部分134を形成している第1のヤーンまたは第2のヤーンのヤーン種別または色のいずれかから高度に対照的である、ヤーンの色を含むヤーン種別を用いて形成してもよい。たとえば、1つの実施形態において、ベース部136は、反射特性または逆反射特性を有するヤーンを用いて形成してもよい。
ニット構成要素130は、何らかの適当な機械、実施態様および技術を用いる、上述した構成を用いて製造することができる。たとえば、いくつかの実施形態において、ニット構成要素130は、編み機、たとえば、図7に示す編み機700を用いて自動的に製造することができる。編み機700は、何らかの適当なタイプ、たとえば、横編み機で構成することができる。しかし、異なる実施形態では、編み機700は、本開示の範囲から逸脱することなく、別のタイプで構成できることは正しく認識されるであろう。
図7の実施形態に図示されているように、編み機700は、複数の前針703を有する前針床701と、複数の後針704を有する後針床702とを含むことができる。前針703は、共通平面内に配列することができ、また、後針704は、前針703の平面と交差する異なる共通平面内に配列することができる。前針床701および後針床702は、互いに対して角度を付けてもよい。いくつかの実施形態において、前針床701および後針床702は、それらがVベッドを形成するように角度を付けてもよい。編み機700は、前針床701および後針床702の上を移動するように構成されている1つ以上のフィーダーをさらに含むことができる。図7では、第1の種類のフィーダー720および第2の種類のフィーダー722が示されている。編み機700は、針床を横切って移動し、およびフィーダーを針床に対して動かすのを補助するキャリッジ730をさらに含んでいる。この実施形態では、編み機700は、複数の第1の種類のフィーダー720と、少なくとも1つの第2の種類のフィーダー722とを備えて図示されている。第1の種類のフィーダー720が移動する際、フィーダー720は、ニット構成要素130を含むニット構成要素を形成するためにヤーンを用いる編み、タッキングまたはフローティングのうちの1つ以上のために、前針703および/または後針704にヤーンを送給することができる。第2の種類のフィーダー722が移動する際、第2の種類のフィーダー722は、編み、タッキングまたはフローティングのうちの1つ以上のために、前針703および/または後針704にヤーンを送給することができる。いくつかの実施形態において、第2の種類のフィーダー722は、ヤーンを挿入するように追加的に構成してもよいコンビネーションフィーダーであってもよい。例示的な実施形態において、第2の種類のフィーダー722は、ニット構成要素130に挿入される伸張性要素724を送給してもよい。
前方レール710および後方レール711を含む一組のレールは、前針床701と後針床702との交差部の上におよびその交差部に平行に延びていてもよい。レールは、フィーダーのための取付箇所を提供してもよい。前方レール710および後方レール711は、それぞれ、前方側面712および後方側面714を含む2つの側面を有していてもよい。前方側面712および後方側面714の各々は、1つ以上のフィーダーを収容することができる。図示されているように、後方レール711は、両側に2つのフィーダー720を含み、また、前方レール710は、フィーダー722を含んでいる。2つのレールが描かれているが、編み機700のさらなる構成は、より多くのフィーダーのための取付箇所を備えるための追加的なレールを含んでもよい。
フィーダーは、前方レール710および後方レール711に沿って移動し、それによって、ヤーンを針に供給することができる。図7に図示されているように、ヤーンは、編みのためのヤーンをヤーンガイド728を介してフィーダーに送る1つ以上のスプールによって、フィーダーに供給される。図示されていないが、実質的に同様の方法で、ヤーンをフィーダーに供給するために、追加的なスプールを用いてもよい。編み機700のための従来のフィーダーおよびコンビネーションフィーダーを含む適当な編み機、ならびにその機械を用いてニット構成要素を形成する関連の編み方は、Huffaの特許文献5に記載されており、その開示は、参照によって、その全体が本願明細書に組み込まれる。
図8は、レンチキュラーニット構造132を有するニット構成要素130を含むニット構成要素を、レンチキュラーニット構造を含むように編む例示的なプロセス800を示す。1つの実施形態において、プロセス800は、完成したニット構成要素を形成するために繰り返してもよい1つ以上のステップを含んでもよい。それらのステップの順序は例示的なものであり、他の実施形態では、ニット構成要素を編むために、図8には図示されていない追加的なまたは異なるステップを含めてもよい。第1のステップ802において、ニット構成要素130のベース部136は、第1のヤーンを用いて編んでもよい。次に、ステップ804において、レンチキュラーニット構造132を形成しているチューブ状リブ構造の第1の部分133は、第2のヤーンを用いて編んでもよい。ステップ806において、レンチキュラーニット構造132を形成しているチューブ状リブ構造の第2の部分134は、第3のヤーンを用いて編んでもよい。上述したように、例示的な実施形態において、ステップ804で用いられる第2のヤーン、および、ステップ806で用いられる第3のヤーンは、レンチキュラーニット構造132によって生じる色変化特性をニット構成要素130に与えるための異なる特性(色、質感、デニール、または、他の品質を含むがこれらに限定されない)を有するヤーンを含む、異なる種類のヤーンであってもよい。
いくつかの実施形態では、ステップ802において、ベース部136を形成するのに用いられる第1のヤーンは、第2のヤーンおよび第3のヤーンの一方または両方と異なっていてもよい。他の実施形態では、ステップ802で用いられる第1のヤーンは、第2のヤーンおよび第3のヤーンのいずれかと同様であってもよい。
いくつかの実施形態において、伸張性要素724は、ニット構成要素130の一体ニット構造の間に、1つ以上のチューブ状リブ構造に組み込んでもよく、挿入してもよく、またはそのチューブ状リブ構造内に延びていてもよい。言い換えると、伸張性要素724は、ニット構成要素130の編みプロセス800の間に組み込むことができる。図8に図示されているように、プロセス800は、レンチキュラーニット構造132を形成している1つ以上のチューブ状リブ構造内に伸張性要素を挿入するための任意のステップ808を含んでもよい。いくつかの実施形態において、伸張性要素724は、レンチキュラーニット構造132のチューブ状リブ構造内にトンネルを形成している非固定区域内にあってもよい。異なる実施形態では、1つ以上の伸張性要素724をニット構成要素130に組み込むことができる。たとえば、図1に示す実施形態では、伸張性要素724は、甲周り区域150を介して締めひも152を収容するためのループを形成する締めひも収容部材154を形成するのに用いてもよい。また、伸張性要素724は、ランニング、ジャンピングまたは他の動きの最中に、変形に耐えること、伸張すること、または別の形で着用者の足に対する支持を与えることにより、ニット構成要素130に支持を与えてもよい。
この構成の場合、プロセス800は、製品100のアッパー120に組み込まれるニット構成要素130の一部またはかなりの部分にわたって配置される複数のベース部136および複数のレンチキュラーニット構造132を形成するのに用いてもよい。一般的に、ニット構成要素130のベース部136は、ニット構成要素130のさまざまな要素および/または構成要素の間の部分に接続してもよい。ベース部136は、ニット構成要素130の残りの部分とともに一体ニット構造で形成され、およびさまざまな部分をワンピースニット要素としてまとめて接続するように機能する可能性がある。ニット構成要素130は、任意の適当な数のベース部136を含むことができる。異なる実施形態では、ベース部136は、1つのニット層から成るニット構成要素130の区域とすることができる。いくつかの実施形態において、ベース部136は、ニット構成要素の1つの部分と、ニット構成要素130の別の部分との間に延びていてもよい。1つの実施形態において、ベース部136は、隣接するレンチキュラーニット構造132を形成する1つのチューブ状リブ構造と別のチューブ状リブ構造との間に延びることができる。異なる実施形態では、ベース部136は、1つのチューブ状リブ構造とニット構成要素130の別の部分との間に延びていてもよい。別の実施形態では、ベース部136は、1つのチューブ状リブ構造と、ニット構成要素130の縁部との間に延びていてもよい。ベース部136の適切な構成は、2014年9月30日に出願された同時係属のおよび共同所有の米国特許出願第62/057264号(代理人整理番号51−3901)に記載されている織物状区域の形態であってもよく、その開示は、参照によって、その全体が本願明細書に組み込まれる。
上述したように、いくつかの実施形態において、レンチキュラーニット構造132は、同一の広がりを有し、および重なっている2つ以上のニット層で構成されたニット構成要素130から成る区域であるチューブ状リブ構造として形成してもよい。ニット層は、ニット材料、たとえば、糸、ヤーンまたはストランドによって形成されているニット構成要素130の部分であってもよく、また、2つ以上のニット層は、チューブ状リブ構造として識別されるチューブまたはトンネルをニット構成要素130内に形成するように、一体ニット構造で形成してもよい。チューブ状リブ構造を形成しているニット層の側部または縁部は、他の層に取り付けてもよいが、中央区域は、各ニット層を形成しているニット材料から成る2つの層の間に中空部を形成するように、大略的には固定されていない。いくつかの実施形態において、チューブ状リブ構造の中央区域は、別の要素(たとえば、伸張性要素)が間に配置され、およびチューブ状リブ構造を形成している2つのニット層の間の中空部を通ってもよいように構成してもよい。レンチキュラーニット構造132を形成するのに用いてもよい、インレイ伸張要素を有するかまたは有していない適当なチューブ状リブ構造は、上記の参照によって本願明細書に組み込まれる、2014年9月30日に出願された同時係属および共同所有の米国特許出願第62/057264号明細書(代理人整理番号51−3901)に記載されている。
図9〜図11は、編み機700を用いて、ニット構成要素130の部分を形成する編みプロセス800の一連の典型的な図を示す。ここには図示されていない追加的なステップまたはプロセスを、製品100のアッパー120を含む履物製品用アッパーに組み込まれることになる完成したニット構成要素を形成するのに用いてもよい。また、ニット構成要素130のさまざまな部分のニット構造をより良好に図示するために、ニット構成要素130の比較的小さな区画のみが図示されている可能性がある。さらに、編み機700およびニット構成要素130のさまざまな要素のスケールまたはプロポーションは、編みプロセスをより良好に図示するために強調されている可能性がある。
ニット構成要素130は、前針床701と後針床702との間に形成されるが、図9〜図11においては、例示のため、ニット構成要素130は、(a)編みプロセスの説明中により良く見えるように、および(b)ニット構成要素130の部分の互いに対する位置と針床とを示すために、前針床701および後針床702に隣接して示されていることを理解すべきである。図9〜図11には、明確にするために、前針および後針は図示されていない。また、1つのレールと、限られた数のフィーダーとが図示されているが、追加的なレール、フィーダーおよびスプールを用いてもよい。したがって、編み機700の大略的構造は、編みプロセスを説明するために単純化されている。
図9を参照すると、編み機700の一部が図示されている。この実施形態では、編み機700は、第1のフィーダー900と、第2のフィーダー902と、第3のフィーダー904とを含んでもよい。他の実施形態では、追加的なまたはより少ないフィーダーを用いてもよく、およびそれらのフィーダーは、前方レール710および/または後方レール711の前側または後側に配設してもよい。この実施形態では、スプール(図示せず)からの第1のヤーン901は、第1のフィーダー900を通り、また、第1のヤーン901の端部は、第1のフィーダー900の端部において、給糸先端部から外側に延びている。どのような種類のヤーン(たとえば、フィラメント、糸、ロープ、帯、ケーブル、鎖またはストランド)も第1のフィーダー900を通ってもよい。第2のヤーン903は、同様に、第2のフィーダー902を通って、第2のフィーダー902の端部において、給糸先端部から外側に延びている。例示的な実施形態においては、第3のヤーン905も、同様に、第3のフィーダー904を通って、第3のフィーダー904の端部において、給糸先端部から外側に延びている。いくつかの実施形態において、第1のヤーン901、第2のヤーン903および第3のヤーン905は、以下でさらに説明するように、ニット構成要素130のさまざまな部分を形成するのに用いてもよい。
例示的な実施形態において、第1のヤーン901、第2のヤーン903および第3のヤーン905の各々は、レンチキュラーニット構造132によって生じる色変化特性をニット構成要素130に与えるための異なる特性(色、質感、デニールまたはその他の品質を含むがこれらに限定されない)に関連する異なるヤーン種別を用いてもよい。図9において、第1のフィーダー900は、第1のヤーン901を用いて、ニット構成要素130のベース部136を編んでもよい。編み機700の針床701,702を横切っている第1のフィーダー900の各パスは、第1のヤーン901で形成された、互いに絡み合ったループから成るコースを形成する。第1のフィーダー900の多数のパスは、所望の数のコースを有するベース部136を編むのに用いてもよい。次に、プロセス800のステップ804に従って、図10は、第2のヤーン903を用いて、レンチキュラーニット構造132の一方の側を形成しているチューブ状リブ構造の第1の部分133を形成する第2のフィーダー902を示す。第2のフィーダー902は、同様に、第2のヤーン903を用いて第1の部分133を形成するための所望の数のコースを編むように、多数のパスを形成してもよい。
第2のヤーン903の所望の数のコースが、第2のフィーダー902によって編まれた後、編みプロセス800は、第2の部分134を編むためのステップ806に進んでもよい。図11に図示されているように、第3のフィーダー904は、レンチキュラーニット構造132の反対側を形成しているチューブ状リブ構造の第2の部分134を形成する1つ以上のコースを形成するように第3のヤーン905を編むのに用いられる。その結果、伸張性要素を挿入する任意のステップ808を、チューブ状リブ構造内に伸張性要素724を配置するように実行することができる。
図9〜図11は、前針床701および/または後針床702のいずれかに関連する針のいずれか1つの特定のセットに関して実行されるニッティングの順序付けに対する特定の考慮を含まない例示的な編みプロセス800を説明するのに用いられている。図12および図13は、各部分を形成するのに用いてもよい特定の針床に関連する、ベース部136、第1の部分133および第2の部分134を含む、ニット構成要素130の各部分を編むことに関する順序付けに関する例示的なニッティングまたはルーピングの略図を示す。しかし、図12および図13は、プロセス800を実施する1つの例示的な構成を示していることに留意すべきである。色変化特性を製品に与えるための他のレンチキュラーニット構造を形成するために、本願明細書に記載されている発明の原理に従って、他の構成も容易に得ることができる。
図12に示す第1のニッティングの略図1200の1つの実施形態において、ベース部136は、後針床702を用いて第1のヤーン901から形成することができ、続いて、後針床702と前針床701との組合せを用いて、レンチキュラーニット構造132の第1の部分133が第2のヤーン903から形成され、およびレンチキュラーニット構造132の第2の部分134が第3のヤーン905から形成され、また、別のベース部136は、後針床702を用いて、第1のヤーン901から形成することができる。以下の説明は、図12、図13に模式的に図示されている編みプロセスについて記載しており、この説明で参照される前針床701および後針床702が、図7に模式的に図示されていることは理解されるであろう。
再び図12を参照すると、第1のヤーン901を用いたベース部136の最後のコース1202の形成の後、後針床702と前針床701との間に延びる連結コース1204を形成してもよい。次に、1つ以上のコースを前針床701上で編んでもよい。たとえば、レンチキュラーニット構造132の第1の部分133を形成するコースは、前針床701上で第2のヤーン903を用いるコース1206と同様の方法で形成することができる。次いで、第1の部分133の最後のコース1208が、第2のヤーン903を用いて前針床701上で編まれた後、レンチキュラーニット構造132の第2の部分134を形成する追加的なコースを、前針床701上で第3のヤーン905を用いるコース1210と同様の方法で形成することができる。第2の部分134を形成する所望の数のコースが前針床701上で編まれた後、第3のヤーン905は、後針床702によってコース1212を編むのに用いてもよい。たとえば、コース1212は、チューブ状リブ構造を閉じて中空トンネルを形成するレンチキュラーニット構造132の第2の部分134の最後のコースを形成してもよい。コース1212がレンチキュラーニット構造132を完成させた後に、前針床701および後針床702上の直前のコースに対して編み合わされている、後針床702と前針床701との間に延びている別の連結コース1214を形成してもよい。後針床702と前針床701との間に延びている連結コース1214において、ニットステッチを用いることにより、レンチキュラーニット構造132の第2の部分134を形成する第3のヤーン905は、ステップ1216において、ニット構成要素130を後針床702に移送して、ニット構成要素130が完成するまで、上述したプロセスを繰り返すことにより、後針床702を用いて第1のヤーン901によって別のベース部136を形成する追加的なコースと関連付けられるように作成することができる。
さまざまな実施形態において、レンチキュラーニット構造132を形成するチューブ状リブ構造の形状および/またはサイズを変えるために、異なる数のコースを、前針床701および後針床702の一方または両方の上で編んでもよい。場合によっては、後針床702および/または前針床701上で編まれるコースの数を増減させることにより、チューブ状リブ構造のサイズを、それに応じて拡大または縮小させてもよい。他の場合においては、後針床702または前針床701の一方の上で編まれるコースの数を互いに対して増加させることにより、チューブ状リブ構造の形状を変更してもよい。たとえば、後針床702上で編まれるコースの数を増加させることにより、ニット構成要素130の外側面121の湾曲と同じになるように、ニット構成要素130の内側面122の湾曲に丸みを付けるために、チューブ状リブ構造の形状を変えてもよい。さらに、第2のヤーン903および/または第3のヤーン905の各々によって編まれるコースの数を増減させることにより、第1の部分133および/または第2の部分134の範囲または量を同様に変更してもよい。
たとえば、第1の部分133を形成するために第2のヤーン903によって編まれるコースの数を増やすことにより、および/または第2の部分134を形成するために第3のヤーン905によって編まれるコースの数を減らすことにより、この構成を用いたレンチキュラーニット構造によってニット構成要素130に与えられる色変化特性は、第1の部分133からの視覚効果または色に関連している見る角度の数を増やすために、および/または第2の部分134からの視覚効果または色に関連している見る角度の数を減らすために変更してもよい。すなわち、第2の部分よりも大きな第1の部分を有するレンチキュラーニット構造は、結果として生じる、レンチキュラーニット構造を形成するより大きな範囲の第2のヤーンを前提として、第1の部分によって生じる視覚効果に関連する見る角度を、第2の部分よりも多く有するであろう。
図12に関連して記載されている例示的なニッティングの略図1200において、レンチキュラーニット構造132は、中空のチューブ状リブ構造として形成される。他の実施形態では、伸張性要素を、チューブ状リブ構造を形成する1つ以上のレンチキュラーニット構造132の固定されていない中央区域内に挿入してもよい。図13は、インレイ伸張要素724を含むレンチキュラーニット構造132を形成するための例示的なニッティングの略図1300を示す。図13に図示されているように、そのプロセスは、図12に示す中空のチューブ状リブ構造としてレンチキュラーニット構造132を形成するためのニッティングの略図1200に示すプロセスと実質的に同様である。
しかし、図13のプロセスでは、後針床702上でコース1212を形成した後、伸張性要素724が、インレイステップ1302において、レンチキュラーニット構造132を形成するチューブ状リブ構造の部分内に挿入される。伸張性要素724は、上記の参照によって本願明細書に組み込まれる、Huffaの特許文献5に記載されているコンビネーションフィーダーおよび関連する挿入の方法を用いて、ステップ1302において挿入してもよい。
ステップ1302において、伸張性要素724がレンチキュラーニット構造132に挿入された後、ニッティングの略図1300に示すプロセスは、ニッティングの略図1200と実質的に同様の方法で進行する。すなわち、前針床701および後針床702上の直前のコースに対して編み合わされている、後針床702と前針床701との間に延びている別の連結コース1214を形成してもよい。後針床702と前針床701との間に延びている連結コース1214において、ニットステッチを用いることにより、レンチキュラーニット構造132の第2の部分134を形成する第3のヤーン905は、ステップ1216において、ニット構成要素130を後針床702に移送して、ニット構成要素130が完成するまで、上述したプロセスを繰り返すことにより、後針床702を用いて第1のヤーン901によって別のベース部136を形成する追加的なコースと関連付けられるように作成することができる。この構成の場合、インレイ伸張要素724を含むレンチキュラーニット構造132には、レンチキュラーニット構造132の長さに沿って延びているチューブ状リブ構造内の中空の固定されていない区域内に収容されている伸張性要素724が形成されている。
他の実施形態では、ニット構成要素130の形成は、同様であってもよいが、使用する針床の切り替えを伴う。たとえば、図12および図13に示す編みプロセスは、両側の針床を用いて実行してもよく、その結果、ベース部136は、前針床701を用いて形成することができ、および図12および図13に示す残りのステップは、図示されているのとは反対側の針床を用いて、同一の順序で実行することができる。編み機700のさまざまな針床を用いて、ベース部136と、第1の部分133および第2の部分134を含むレンチキュラーニット構造132とを形成する他の方法は、上記の説明に基づいて、当業者には明らかであろう。
図14および図15は、レンチキュラーニット構造132を組み込んだニット構成要素130の断面の典型的な図を示す。図14は、中空の固定されていない区域1410を有するレンチキュラーニット構造132を組み込んだニット構成要素130の一部の典型的な図1400を示す。この実施形態に示されているように、各レンチキュラーニット構造132は、第2のヤーン903を用いて形成された第1の部分133と、第3のヤーン905を用いて形成された第2の部分134とを含む。例示的な実施形態において、第2のヤーン903によって形成された第1の部分133の少なくとも1つのコースは、第3のヤーン905によって形成された第2の部分134の少なくとも1つのコースと編み合わされる。この構成の場合、第1の部分133および第2の部分134は、一体ニット構造で形成される。ニット構成要素130のベース部136が、各レンチキュラーニット構造132の間に離間して配され、各レンチキュラーニット構造132を分離している。ベース部136は、上述したように、第1のヤーン901から形成され、および、第1の部分133と第2の部分134とをレンチキュラーニット構造132のそれぞれの側部に有する一体ニット構造で形成されている。
チューブ状リブ構造の一方の側に第2のヤーン903によって形成された第1の部分133と、チューブ状リブ構造の反対側に第3のヤーン905によって形成された第2の部分134とを含むレンチキュラーニット構造132の構成は、色変化特性をニット構成要素130に与える。上述したように、さまざまな実施形態において、第2のヤーン903および第3のヤーン905は、異なる視覚効果をもたらす異なる種類であってもよい。たとえば、この実施形態では、第2のヤーン903は、第1の色と関連付けてもよく、また、第3のヤーン905は、第1の色とは異なる第2の色と関連付けてもよい。しかし、他の実施形態では、第2のヤーン903および第3のヤーン905は、視覚的色変化効果を引き起こす可能性のある異なる特性を有するタイプから成っていてもよい。
レンチキュラーニット構造132によってもたらされるニット構成要素130の色変化特性について、典型的な図1400を参照して説明する。この実施形態では、ニット構成要素130が、第1の見る角度1402から見られた場合、第2のヤーン903によって形成された第1の部分133は、大部分が、および実質的に、見る人に向かって提示されている。したがって、第1の見る角度1402からは、レンチキュラーニット構造132の第1の部分133は、ニット構成要素130のほぼ全体の視覚効果を見る人に与える可能性がある。この場合、第1の部分133を形成している第2のヤーン903に関連する特性は、視覚効果、たとえば、第2のヤーン903の色を示す。
対照的に、ニット構成要素130が、第1の見る角度1402とは異なる第2の見る角度1404から見られた場合、見る人には、異なる視覚効果が提示される。この実施形態では、ニット構成要素130が第2の見る角度1404から見られた場合、第3のヤーン905によって形成された第2の部分134は、大部分が、および実質的に、見る人に向かって提示されている。したがって、第2の見る角度1404からは、レンチキュラーニット構造132の第2の部分134は、ニット構成要素130のほぼ全体の外観を見る人に与える可能性がある。この場合、第2の部分134を形成している第3のヤーン905に関連する特性は、視覚効果、たとえば、第2のヤーン903の色とは異なる第3のヤーン905の色を示す。前述したように、他の実施形態では、第2のヤーン903と第3のヤーン905との間でもたらされる異なる視覚効果は、異なる視覚効果を生じさせるその他の特性(ヤーン種別、デニール、質感、または、他の特性を含むがこれらに限定されない)を含んでもよい。
ニット構成要素130上のレンチキュラーニット構造132のこの構成の場合、アッパー120および/または製品100の色変化特性は、見る角度が変化する際に、たとえば、見る角度が、第1の見る角度1402と第2の見る角度1404との間で変化する場合に、見る人が、アッパー120および/または製品100の視覚効果の変化を観察するように設けてもよい。さらに、上述したように、いくつかの実施形態において、ベース部136は、レンチキュラーニット構造132の第1の部分133および/または第2の部分134と協働して、または対比させて、ニット構成要素130にもたらされる視覚効果をさらに補助するように、第2のヤーン903および第3のヤーン905のいずれかまたは両方と同様または異なる第1のヤーン901を用いて形成してもよい。
次に、図15を参照すると、伸張性要素724を含む固定されていない区域1410を備えたレンチキュラーニット構造132を組み込んだニット構成要素130の一部の典型的な図1500が図示されている。この実施形態では、各レンチキュラーニット構造132は、レンチキュラーニット構造132を形成しているチューブ状リブ構造の内部の固定されていない区域1410を通って延びているインレイ伸張要素724を含む。図15に図示されているように、各レンチキュラーニット構造132は、付随する伸張性要素724を含んでいる。しかし、他の実施形態では、伸張性要素724は、ニット構成要素130の特定の区域または領域に配設された、選択されたレンチキュラーニット構造132内のみに設けてもよい。たとえば、図1に図示されているように、伸張性要素724は、締めひも152を収容するようにループを形成する締めひも収容部材154を設けるために、甲周り区域150に沿って配設されたレンチキュラーニット構造132内に含めてもよい。さらに他の実施形態では、伸張性要素724は、省いてもよい。
ニット構成要素130の前述の実施形態は、色変化特性をアッパー120および製品100に与えるように、異なるヤーンを用いて形成された2つの部分を有するレンチキュラーニット構造132を示していた。他の実施形態では、レンチキュラーニット構造の第1の部分および第2の部分を形成している両方のヤーンとは異なる別の種類のヤーンを用いて形成された追加的な部分を含むレンチキュラーニット構造を形成してもよい。図16〜図22は、異なるヤーンを用いて形成された3つの部分を有するレンチキュラーニット構造を含む履物製品1600の例示的な実施形態を示す。
図16〜図22に示す製品1600の例示的な実施形態を説明するための例示的な座標系が図19に図示されており、そこでは、長手方向2が、製品1600の足先領域10とかかと領域14との間で、製品1600に沿って延び、横手方向4が、外側側部16と内側側部18との間で、製品1600に沿って延び、垂直方向6が、ソール構造110と製品1600の上部との間で、製品1600に沿って延びている。
いくつかの実施形態において、製品1600は、上述した、アッパー120に付随する構成要素と実質的に同様の構成要素を含むアッパー1620を含む。たとえば、アッパー1620は、カラー142によって囲まれたスロート開口部140を含んでもよく、および上述したように、縫い目160に沿って接合してもよい。同様に、アッパー1620は、それぞれ製品1600の外側および内側に関連する外側面121および内側面122を含んでもよい。アッパー1620は、履物製品1600を完成させるために、ソール構造110に接合するか、または固定してもよい。
例示的な実施形態において、アッパー1620は、上述したレンチキュラーニット構造132と実質的に同様の方法で、およびそのレンチキュラーニット構造132と実質的に同様に、2つの異なるヤーンから形成された2つの部分を有する第1のレンチキュラーニット構造1632を含むニット構成要素1630を含んでいる。例示的な実施形態において、ニット構成要素1630は、3つの異なるヤーンから形成された3つの部分を有する第2のレンチキュラーニット構造1638を備えた少なくとも1つの区域1602をさらに含む。さらに、この実施形態では、ニット構成要素1630は、1つ以上の第1のレンチキュラーニット構造1632および/または第2のレンチキュラーニット構造1638の間に設けられているベース部1636を含む。1つの実施形態において、ベース部1636は、上述したベース部136と実質的に同様の方法で、およびそのベース部136と実質的に同様に形成してもよい。
図16を参照すると、この実施形態では、ニット構成要素1630は、1つ以上の第2のレンチキュラーニット構造1638を有する区域1602を含み、一方、ニット構成要素1630の残りの部分は、第1のレンチキュラーニット構造1632を含んでいる。この実施形態は、第2のレンチキュラーニット構造1638を有する単一の区域1602を例示しているが、ニット構成要素1630の他の区域または部分に配設された追加的または異なる区域を設けてもよいことを理解すべきである。さらに、いくつかの実施形態において、区域1602は、目印、ロゴ、パターン、または、ニット構成要素1630の残りの部分とは異なる他の視覚効果として機能するように選択してもよい。
例示的な実施形態において、第1のレンチキュラーニット構造1632は、第1のレンチキュラーニット構造1632を編むのに用いられる2種類以上のヤーンを組み込むことによって、色変化特性をニット構成要素1630に与えてもよい。たとえば、レンチキュラーニット構造1632が、チューブ状リブ構造の形態である実施形態では、第1のレンチキュラーニット構造1632の異なる部分が、チューブ状リブ構造の各側部に沿って、異なる種類のヤーンを含んでいてもよい。1つの実施形態において、チューブ状リブ構造の一方の側に設けられた第1のレンチキュラーニット構造1632の第1の部分1633は、第1のヤーンを用いて編んでもよく、また、チューブ状リブ構造の反対側に設けられた第1のレンチキュラーニット構造1632の第2の部分1634は、第1のヤーンとは異なる第2のヤーンを用いて編んでもよい。場合によっては、ヤーンの種類は、色変化特性をニット構成要素1630に与えるために、色の点で異なっていてもよい。他の場合においては、ヤーンの種類は、色変化特性をニット構成要素1630に与えるために、質感またはデニールの点で異なっていてもよい。
いくつかの実施形態において、ニット構成要素1630は、第2のレンチキュラーニット構造1638を有する区域1602をさらに含む。第2のレンチキュラーニット構造1638は、第1のレンチキュラーニット構造1632の場合と同様に、レンチキュラーニット構造1638を編むのに用いられる2種類以上のヤーンを組み込むことによって、色変化特性をニット構成要素1630に同様に与えてもよい。たとえば、第2のレンチキュラーニット構造1638がチューブ状リブ構造の形態である実施形態では、第1のヤーンを用いて編まれたチューブ状リブ構造の一方の側に設けられた第2のレンチキュラーニット構造1638の第1の部分1633と、第1のヤーンとは異なる第2のヤーンを用いて編まれてもよいチューブ状リブ構造の反対側に設けられた第2のレンチキュラーニット構造1638の第2の部分1634とを含む、チューブ状リブ構造の各側部に沿って、異なる種類のヤーンを同様に含んでもよい。この実施形態では、第2のチューブ状リブ構造1638は、第1の部分1633および第2の部分1634の各々に対して用いられる第1のヤーンおよび第2のヤーンの両方と異なる第3のヤーンを用いて、チューブ状リブ構造の上部に設けられた上方部1637をさらに含んでいる。この構成の場合、第2のレンチキュラーニット構造1638は、第2のレンチキュラーニット構造1638および第1のレンチキュラーニット構造1632の側部に沿って設けられた第1の部分1633および/または第2の部分1634によって提示される視覚効果とは異なる、上方部1637によってもたらされる第3の視覚効果をニット構成要素1630に与えてもよい。
1つの実施形態において、第2のレンチキュラーニット構造1638を有する区域1602は、ほぼ足先領域10および/または中足領域12の一部に配設してもよく、および製品1600の外側側部16に向かってずれていてもよい。この構成の場合、区域1602は、製品1600およびアッパー1620が、外側側部16の少なくとも一部を含む見る角度から見られた場合に、見る人に対して第3の視覚効果を提示する可能性があるが、区域1602は、製品1600およびアッパー1620が、主に内側側部18に沿っている見る角度から見られた場合には、見る人に対して第3の視覚効果を提示しなくてもよい。たとえば、図17に示す内側側部の図に示すように、区域1602は、内側側部18からは見られない。しかし、図18に示す外側側部の図に示すように、区域1602は、外側側部16からは見られる。同様に、図19に示す上からまたは正面から製品1600およびアッパー1620を見た場合、見る人には、区域1602も見える。この構成の場合、第2のレンチキュラーニット構造1638を含む区域1602は、ニット構成要素1630のさまざまな部分に選択的に設けてもよい。しかし、異なる実施形態では、アッパー1620のそれらの部分に異なる色変化特性を要望通りに生じさせるように、アッパー1620の異なる部分に、区域1602または追加的な区域を配設してもよい。
上述したように、第1のレンチキュラーニット構造1632は、上述した、および図12および図13のニッティングの略図1200および1300を参照して具体的に示したレンチキュラーニット構造132と実質的に同様の方法で形成してもよい。第2のレンチキュラーニット構造1638を編むための編みプロセスは、第1のレンチキュラーニット構造1632および/またはレンチキュラーニット構造132と同様の多くのステップを含んでもよい。しかし、対照的に、ニット構成要素1630に第3の視覚効果を与えるように、第2のレンチキュラーニット構造1638の上方部1637を形成するために、第3のヤーンを用いてもよい。図21および図22は、各部分を形成するのに用いられる可能性のある特定の針床に関連する、ベース部1636、第1の部分1633、第2の部分1634および上方部1637を含むニット構成要素1630の各部分を編む順序に関する例示的なニッティングまたはルーピングの略図を示す。しかし、図20および図21は、ニット構成要素1630を形成するための編みプロセスを実施する1つの例示的な構成を示すことに留意すべきである。色変化特性を製品に与えるように他のレンチキュラーニット構造を形成するために、本願明細書に記載されている発明の原理に従って、他の構成を容易に得ることができる。
図20に示す第3のニッティングの略図2000の1つの実施形態において、ベース部1636は、後針床702を用いて、第1のヤーン901から形成することができ、続いて、後針床702と前針床701との組合せを用いて、第2のレンチキュラーニット構造1638の第1の部分1633が第2のヤーン903から形成され、および第2のレンチキュラーニット構造1638の第2の部分1634が第3のヤーン905から形成され、また、別のベース部1636を、後針床702を用いて、第1のヤーン901から形成することができる。以下の説明は、図20、図21に模式的に図示されている編みプロセスについて記載しており、この説明において言及されている前針床701および後針床702が図7に模式的に図示されていることは理解されるであろう。
再び図20を参照すると、ベース部1636の最後のコース2002を第1のヤーン901を用いて形成した後、後針床702と前針床701との間に延びる連結コース2004を形成してもよい。次に、1つ以上のコースを前針床701上で編んでもよい。たとえば、第2のレンチキュラーニット構造1638の第1の部分1633を形成するコースは、前針床701上で第2のヤーン903を用いるコース2006と同様の方法で形成することができる。次いで、第1の部分1633の最後のコース2008が、第2のヤーン903を用いて前針床701上で編まれた後、第2のレンチキュラーニット構造1638の上方部1637を形成するコースを、第4のヤーン907を用いるコース2010と同様の方法で形成することができる。
上方部1637を形成する所望の数のコースが、第4のヤーン907を用いて編まれた後、第2のレンチキュラーニット構造1638の第2の部分1634を形成する追加的なコースを、前針床701上で第3のヤーン905を用いるコース2012と同様の方法で形成することができる。第2の部分1634を形成する所望の数のコースが前針床701上で編まれた後、後針床702によってコース2014を編むのに、第3のヤーン905を用いてもよい。たとえば、コース2014は、チューブ状リブ構造を閉じて、中空のトンネルを形成する第2のレンチキュラーニット構造1638の第2の部分1634の最後のコースを形成してもよい。コース2014が、第2のレンチキュラーニット構造1638を完成させた後、前針床701および後針床702の上の直前のコースに対して編み合わされている、後針床702と前針床701との間に延びている別の連結コース2016を形成してもよい。後針床702と前針床701との間に延びている連結コース2016においてニットステッチを用いることにより、第2のレンチキュラーニット構造1638の第2の部分1634を形成する第3のヤーン905は、ステップ2018において、ニット構成要素1630を後針床702に移送して、ニット構成要素1630が完成するまで、上述したプロセスを繰り返すことにより、後針床702を用いて第1のヤーン901によって別のベース部1636を形成する追加的なコースと関連付けられるように作成することができる。
さまざまな実施形態において、レンチキュラーニット構造132に関して上述したように、第2のレンチキュラーニット構造1638を形成するチューブ状リブ構造の形状および/またはサイズを変えるために、異なる数のコースを、前針床701および後針床702の一方または両方の上で編んでもよい。
図20に関連して記載されている例示的なニッティングの略図2000において、第2のレンチキュラーニット構造1638は、中空のチューブ状リブ構造として形成されている。他の実施形態では、伸張性要素を、第1のレンチキュラーニット構造1632および/またはレンチキュラーニット構造132と同様の方法で、チューブ状リブ構造を形成する1つ以上の第2のレンチキュラーニット構造1638の固定されていない中央区域内に挿入してもよい。図21は、インレイ伸張要素724を含む第2のレンチキュラーニット構造1638を形成するための例示的なニッティングの略図2100を示す。図21に図示されているように、そのプロセスは、図20に示す中空のチューブ状リブ構造として第2のレンチキュラーニット構造1638を形成するためのニッティングの略図2000に示すプロセスと実質的に同様である。
しかし、図21のプロセスでは、後針床702上でコース2014を形成した後、挿入ステップ2102において、第2のレンチキュラーニット構造1638を形成するチューブ状リブ構造の一部に伸張性要素724が挿入される。伸張性要素724は、ステップ2102において、上記の参照によって本願明細書に組み込まれる、Huffaの特許文献5に記載されているコンビネーションフィーダーおよび付随する挿入の方法を用いて挿入してもよい。
ステップ2102において、伸張性要素724が、第2のレンチキュラーニット構造1638内に挿入された後、ニッティングの略図2100に示すプロセスは、ニッティングの略図2000と実質的に同様の方法で進行する。すなわち、前針床701および後針床702上の直前のコースに対して編み合わされている、後針床702と前針床701との間に延びている別の連結コース2016を形成してもよい。後針床702と前針床701との間に延びている連結コース2016においてニットステッチを用いることにより、第2のレンチキュラーニット構造1638の第2の部分1634を形成する第3のヤーン905は、ステップ2018において、ニット構成要素1630を後針床702に移送して、ニット構成要素1630が完成するまで、上述したプロセスを繰り返すことにより、後針床702を用いて第1のヤーン901によって別のベース部1636を形成する追加的なコースと関連付けられるように作成することができる。この構成の場合、インレイ伸張要素724を含む第2のレンチキュラーニット構造1638には、第2のレンチキュラーニット構造1638の長さに沿って延びているチューブ状リブ構造内の中空の固定されていない区域内に収容される伸張性要素724が設けられている。
図22は、第2のレンチキュラーニット構造1638を組み込んだニット構成要素1630の一部の断面の典型的な図2200を示す。たとえば、図2200は、区域1602に関連するニット構成要素の一部であってもよい。この実施形態では、ニット構成要素1630の部分は、中空の固定されていない区域2210を有する第2のレンチキュラーニット構造1638を含んでいる。インレイ伸張要素724を含む第2のレンチキュラーニット構造1638は、中空の固定されていない区域2210とともに配設されているインレイ伸張要素724と実質的に同様の構造を有していてもよいことを理解すべきである。この実施形態に図示されているように、各第2のレンチキュラーニット構造1638は、第2のヤーン903を用いて形成された第1の部分1633と、第3のヤーン905を用いて形成された第2の部分1634とを含む。さらに、第1のレンチキュラーニット構造1632とは対照的に、第2のレンチキュラーニット構造1638は、第4のヤーン907を用いて形成された上方部1637をさらに含んでいる。
例示的な実施形態において、上方部1637は、第2のレンチキュラーニット構造1638を形成しているチューブ状リブ構造の上部に配設されている。いくつかの実施形態において、第4のヤーン907を用いて形成された上方部1637は、第1の部分1633と第2の部分1634との間に設けてもよい。すなわち、第2のヤーン903によって形成された第1の部分1633の少なくとも1つのコースは、第4のヤーン907によって形成された上方部1637の少なくとも1つのコースと編み合わされ、また、第3のヤーン905によって形成された第2の部分1634の少なくとも1つのコースも、第4のヤーン907によって形成された上方部1637の少なくとも1つのコースと編み合わされている。この構成の場合、第1の部分1633、上方部1637および第2の部分1634の各々は、一体ニット構造で形成されている。ニット構成要素1630のベース部1636が、各第2のレンチキュラーニット構造1638の間に離間して配され、各レンチキュラーニット構造を分離している。ベース部1636は、上述したように、第1のヤーン901から形成され、および、第1の部分1633と第2の部分1634とを第2のレンチキュラーニット構造1638のそれぞれの側部に有する一体ニット構造で形成されている。
チューブ状リブ構造の一方の側に第2のヤーン903によって形成された第1の部分1633と、チューブ状リブ構造の反対側に第3のヤーン905によって形成された第2の部分1634とを含む第2のレンチキュラーニット構造1638の構成は、色変化特性をニット構成要素1630に与える。さらに、チューブ状リブ構造の上部に、第4のヤーン907によって形成された第2のレンチキュラーニット構造1638の上方部1637は、追加的な視覚効果をニット構成要素1630に与えてもよい。上述したように、さまざまな実施形態において、第2のヤーン903および第3のヤーン905は、異なる視覚効果をもたらす異なる種類であってもよい。たとえば、この実施形態では、第2のヤーン903は、第1の色と関連付けてもよく、また、第3のヤーン905は、第1の色とは異なる第2の色と関連付けてもよい。しかし、他の実施形態では、第2のヤーン903および第3のヤーン905は、視覚的色変化効果を引き起こす可能性のある異なる特性を有するタイプから成っていてもよい。さらに、第4のヤーン907は、第2のヤーン903および第3のヤーン905のいずれかまたは両方と異なるタイプであってもよい。
第2のレンチキュラーニット構造1638によってもたらされるニット構成要素1630の色変化特性について、典型的な図2200を参照して説明する。この実施形態では、ニット構成要素1630が、第1の見る角度2202から見られた場合、第2のヤーン903によって形成された第1の部分1633は、大部分が、および実質的に、見る人に向かって提示されている。したがって、第1の見る角度2202からは、第2のレンチキュラーニット構造1638の第1の部分1633は、ニット構成要素1630のほぼ全体の視覚効果を見る人に与える可能性がある。この場合、第1の部分1633を形成している第2のヤーン903に関連する特性は、視覚効果、たとえば、第2のヤーン903の色を示す。
対照的に、ニット構成要素1630が、第1の見る角度2202とは異なる第2の見る角度2204から見られた場合、見る人には、異なる視覚効果が提示される。この実施形態では、ニット構成要素1630が第2の見る角度2204から見られた場合、第3のヤーン905によって形成された第2の部分1634は、大部分が、および実質的に、見る人に向かって提示されている。したがって、第2の見る角度2204からは、第2のレンチキュラーニット構造1638の第2の部分1634は、ニット構成要素1630のほぼ全体の外観を見る人に与える可能性がある。この場合、第2の部分1634を形成している第3のヤーン905に関連する特性は、視覚効果、たとえば、第2のヤーン903の色とは異なる第3のヤーン905の色を示す。前述したように、他の実施形態では、第2のヤーン903と第3のヤーン905との間でもたらされる異なる視覚効果は、異なる視覚効果を生じさせるその他の特性(ヤーン種別、デニール、質感、または、他の特性を含むがこれらに限定されない)を含んでもよい。
ニット構成要素1630上の第2のレンチキュラーニット構造1638、ならびに第1のレンチキュラーニット構造1632を形成している同様の構成要素から成るこの構成の場合、アッパー1620および/または製品1600の色変化特性は、見る角度が変化する際に、たとえば、見る角度が、第1の見る角度2202と第2の見る角度2204との間で変化する場合に、見る人が、アッパー1620および/または製品1600の視覚効果の変化を観察するように与えてもよい。上述した、典型的な図1400に示す第1のレンチキュラーニット構造1632およびレンチキュラーニット構造132とは対照的に、第2のレンチキュラーニット構造1638は、第4のヤーン907を用いて形成された上方部1637によってもたらされる第3の視覚効果を与えるように構成されている。
図22に図示されているように、第2のレンチキュラーニット構造1638の上方部1637によって生じる第3の視覚効果は、ほぼ垂直方向から第2のレンチキュラーニット構造1638の上部を見ている第3の見る角度2206からニット構成要素1630を見ている場合に見える可能性がある。しかし、第2のレンチキュラーニット構造1638の上部に上方部1637が配設されているため、上方部1637は、第1の見る角度2202および第2の見る角度2204のいずれかまたは両方からニット構成要素1630を見ている場合にも見える。すなわち、第4のヤーン907を用いて形成された上方部1637によってもたらされる第3の視覚効果は、複数の見る角度にわたって、実質的に一定のままである可能性がある。たとえば、上方部1637によって生じる同じ視覚効果が、第1の見る角度2202、第2の見る角度2204および第3の見る角度2206から見られる。この構成の場合、第2のレンチキュラーニット構造1638は、ニット構成要素1630の区域1602内に、複数の見る角度にわたって実質的に変わらない視覚効果をもたらす可能性がある。
さらに、いくつかの実施形態において、ベース部1636は、第2のレンチキュラーニット構造1638の第1の部分1633、上方部1637および/または第2の部分1634と協働してまたは対比させて、ニット構成要素1630にもたらされる視覚効果をさらに補助するように、第2のヤーン903、第3のヤーン905および/または第4のヤーン907のうちの1つ以上と同様または異なる第1のヤーン901を用いて形成してもよい。
1つの態様においては、アッパーと、そのアッパーに取り付けられたソール構造とを含む履物製品が提供される。アッパーは、一体ニット構造で形成されたニット構成要素を含むことができる。
ニット構成要素は、レンチキュラーニット構造の両側に設けられた第1の部分と第2の部分とを含む少なくとも1つのレンチキュラーニット構造を備えることができる。
ニット構成要素は、少なくとも1つのレンチキュラーニット構造に隣接して配置されたベース部を備えることができる。
少なくとも1つのレンチキュラーニット構造は、アッパーの外側面のベース部から離れるように延びることができる。
少なくとも1つのレンチキュラーニット構造の第1の部分は、アッパーが第1の見る角度から見られた場合の第1の視覚効果と関連付けることができ、また、少なくとも1つのレンチキュラーニット構造の第2の部分は、アッパーが、第1の見る角度とは異なる第2の見る角度から見られた場合の第2の視覚効果と関連付けることができる。
少なくとも1つのレンチキュラーニット構造の第1の部分は、第1のヤーンを用いて形成することができ、また、少なくとも1つのレンチキュラーニット構造の第2の部分は、第2のヤーンを用いて形成することができる。第1のヤーンと第2のヤーンとは、異なる特性を有することができる。
第1のヤーンおよび第2のヤーンは、異なるヤーン種別、異なる色、異なる質感および異なるデニールのうちの1つ以上とすることができる。
第1のヤーンは、アッパーが第1の見る角度から見られた場合の第1の視覚効果を実質的に生じさせることができ、また、第2のヤーンは、アッパーが第2の見る角度から見られた場合の第2の視覚効果を実質的に生じさせることができる。
ニット構成要素は、複数のレンチキュラーニット構造を備えることができる。
複数のレンチキュラーニット構造は、第1のレンチキュラーニット構造および第2のレンチキュラーニット構造を備えることができる。第1のレンチキュラーニット構造は、第1のヤーンを用いて形成された第1の部分と、第2のヤーンを用いて形成された第2の部分とを有してもよい。第2のレンチキュラーニット構造は、第1のヤーンを用いて形成された第1の部分と、第2のヤーンを用いて形成された第2の部分とを有してもよい。さらに、第1の部分と第2の部分との間に上方部があってもよい。上方部は、第3のヤーンを用いて形成することができる。
1つ以上の第2のレンチキュラーニット構造を、ニット構成要素上の第1の区域内に配設することができる。ニット構成要素の残りの部分は、複数の第1のレンチキュラーニット構造を含むことができる。
第1のヤーン、第2のヤーンおよび第3のヤーンは、異なる色にすることができる。
上方部は、第1の見る角度および第2の見る角度の両方から見える第3の視覚効果を生じさせることができる。
1つの態様においては、製品に組み込むためのニット構成要素が設けられる。
ニット構成要素は、複数のレンチキュラーニット構造を備えることができる。レンチキュラーニット構造の各々は、第1のヤーンを用いてレンチキュラーニット構造の一方の側に形成された第1の部分と、第2のヤーンを用いてレンチキュラーニット構造の反対側に設けられた第2の部分とを含むことができる。
第1のヤーンと第2のヤーンとは、異ならせることができる。
ベース部は、隣接するレンチキュラーニット構造の間に配置することができる。
第1の部分、第2の部分およびベース部は、ニット構成要素とともに一体ニット構造で形成することができる。
レンチキュラーニット構造の第1の部分は、ニット構成要素が第1の見る角度から見られた場合の第1の視覚効果と関連付けることができ、また、少なくとも1つのレンチキュラーニット構造の第2の部分は、ニット構成要素が、第1の見る角度とは異なる第2の見る角度から見られた場合の第2の視覚効果と関連付けることができる。
ベース部は、第1のヤーンとも第2のヤーンとも異なるヤーンを用いて形成することができる。
ベース部は、(a)第1の部分を形成している第1のヤーンから成る少なくとも1つのコースと、(b)第2の部分を形成している第2のヤーンから成る少なくとも1つのコースとに接続されている少なくとも1つのコースを含むことができる。
複数のレンチキュラーニット構造の各々は、チューブ状リブ構造から成る重なっているニット層の間に設けられた、中空の固定されていない区域を含むチューブ状リブ構造から成る構造を有することができる。
複数のレンチキュラーニット構造のうちの少なくとも1つは、中空の固定されていない区域内に設けられた伸張性要素を含むことができる。
複数のレンチキュラーニット構造は、第1のレンチキュラーニット構造および第2のレンチキュラーニット構造を備えている。第1のレンチキュラーニット構造は、第1のヤーンを用いて形成された第1の部分と、第2のヤーンを用いて形成された第2の部分とを有することができる。第2のレンチキュラーニット構造は、第1のヤーンを用いて形成された第1の部分と、第2のヤーンを用いて形成された第2の部分とを有することができる。第1の部分と第2の部分との間には、上方部を設けることができる。上方部は、第3のヤーンを用いて形成することができる。
上方部は、第1の見る角度および第2の見る角度の両方から見られる第3の視覚効果を生じさせることができる。
1つの態様においては、製品に組み込むためのニット構成要素を製造する方法が提供される。
その方法は、ニット構成要素のベース部を編むことと、第1のヤーンを用いて、レンチキュラーニット構造の第1の部分を編むことと、第2のヤーンを用いて、レンチキュラーニット構造の第2の部分を編むこととを含むことができる。第2のヤーンは、第1のヤーンと異ならせることができる。
レンチキュラーニット構造は、第1の部分と第2の部分とがレンチキュラーニット構造の両側に設けられ、および、レンチキュラーニット構造が、ベース部から垂直方向に離れるように延びるように形成することができる。
レンチキュラーニット構造の第1の部分は、ニット構成要素が第1の見る角度から見られた場合の第1の視覚効果と関連付けることができ、また、少なくとも1つのレンチキュラーニット構造の第2の部分は、ニット構成要素が、第1の見る角度とは異なる第2の見る角度から見られた場合の第2の視覚効果と関連付けることができる。
ベース部、第1の部分および第2の部分は、編みプロセス中に、一体ニット構造で形成することができる。
上記方法は、第1の部分と第2の部分との間に設けられるレンチキュラーニット構造の上方部を編むことをさらに含むことができる。上方部は、第3のヤーンを用いて編むことができる。
上方部は、第1の見る角度および第2の見る角度の両方から見られる第3の視覚効果を生じさせることができる。
上記方法は、レンチキュラーニット構造内に伸張性要素を挿入することをさらに含んでもよい。
上記の態様は、一般的に、アッパーに用いられる材料要素の数を減らすのに役に立つため、アッパーの製造効率およびリサイクル性を向上させながら、廃棄物を減らすことができる。
さまざまな実施形態について説明してきたが、その説明は、限定的であるというよりも、例示的であることが意図されており、また、当業者には、本実施形態の範囲内にある、より多くの実施形態および実施態様が可能であることは明らかであろう。したがって、本実施形態は、添付クレームおよびそれらの等価物の観点を除いて限定すべきではない。また、さまざまな変更および変形を、添付クレームの範囲内で行うことができる。前述のクレームを参照する場合の「いずれかの」という用語は、クレームにおいて用いる場合、(i)いずれか一項、または、(ii)参照される2つ以上のクレームのいずれかの組合せを意味することが意図されている。
これとは別に、別の態様では、少なくとも1つのレンチキュラー構造を備えている製品が提供される。
製品は、少なくとも1つのヤーンを備え、および第1の部分と第2の部分とを含む、少なくとも1つのレンチキュラー構造に隣接して設けられたベース部を備えることができる。
少なくとも1つのレンチキュラー構造は、製品の外側面において、ベース部から離れるように延びることができる。
少なくとも1つのレンチキュラー構造の第1の部分は、製品が第1の見る角度から見られた場合の第1の視覚効果と関連付けることができ、また、少なくとも1つのレンチキュラー構造の第2の部分は、製品が、第1の見る角度とは異なる第2の見る角度から見られた場合の第2の視覚効果と関連付けることができる。
製品は、アッパーと、アッパーに取り付けられたソール構造とを含むことができ、アッパーは、少なくとも1つのレンチキュラー構造を備えている。
レンチキュラー構造は、ニット構造を備えることができる。
アッパーは、一体ニット構造で形成することができる。
少なくとも1つのレンチキュラー構造の第1の部分は、第1のヤーンを用いて形成することができ、また、少なくとも1つのレンチキュラー構造の第2の部分は、第2のヤーンを用いて形成することができ、第1のヤーンと第2のヤーンとは、異なる特性を有している。
別の態様では、少なくとも1つのレンチキュラーニット構造を備える製品が提供される。
製品は、少なくとも1つのヤーンを備え、および第1の部分と第2の部分とを含む、少なくとも1つのレンチキュラーニット構造に隣接して設けられたベース部を備えることができる。
少なくとも1つのレンチキュラーニット構造は、製品の外側面において、ベース部から離れるように延びることができる。
少なくとも1つのレンチキュラーニット構造の第1の部分は、製品が第1の見る角度から見られた場合の第1の視覚効果と関連付けることができ、また、少なくとも1つのレンチキュラーニット構造の第2の部分は、製品が、第1の見る角度とは異なる第2の見る角度から見られた場合の第2の視覚効果と関連付けることができる。
製品は、アッパーと、アッパーに取り付けられたソール構造とを含むことができ、アッパーは、少なくとも1つのレンチキュラーニット構造を備えている。
アッパーは、一体ニット構造で形成することができる。
少なくとも1つのレンチキュラーニット構造の第1の部分は、第1のヤーンを用いて形成することができ、また、少なくとも1つのレンチキュラーニット構造の第2の部分は、第2のヤーンを用いて形成することができ、第1のヤーンと第2のヤーンとは、異なる特性を有している。
第1のヤーンおよび第2のヤーンは、異なるヤーン種別、異なる色、異なる質感および異なるデニールのうちの1つ以上とすることができる。