JP2020062584A - 有害物質含有排水の処理方法 - Google Patents

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    • C02F1/28Treatment of water, waste water, or sewage by sorption

Abstract

【課題】ホウ素等の有害物質を含む排水に対し、少ない処理量で各有害物質が一律排水基準を満たすことが可能な処理方法を提供する。【解決手段】ホウ素等の有害物質を含む排水に、処理剤として消石灰及びリン酸を投入するステップ(1)、処理剤を排水中の有害物質と反応させるステップ(2)、及び 反応後に固液分離し、固相成分を除去するステップ(3)を含む。ステップ(2)では、細孔径10〜100nmに細孔容積のピークを有し、当該ピークにおける細孔容積が1cm3g以上の水酸化アパタイトを生成し、その際、当該水酸化アパタイトに有害物質を包含させ、吸着させる。【選択図】なし

Description

本発明は、ホウ素や重金属等の複数の有害物質を含む排水を処理し、排水中の有害物質を除去する方法に関する。
薬品や薬剤等の製造工場、発電所、ごみ焼却場などから排出される排水には、ホウ素、フッ素、亜鉛等の重金属などの有害物質が含まれるため、環境への排出に際しては、所定の排出基準(環境省:一律排水基準或いは暫定排水基準)を満たすように、これら有害物質を除去する必要がある。有害物質を除去する処理技術としては、有害物質と処理剤との化学反応を利用する方法、それと硫酸アルミニウム等の無機凝集剤や有機凝集剤とを併用する方法、処理剤として吸着能を持つ多孔質粒子を利用する方法が知られている。
また特許文献1には、ホウ素含有排水の処理方法として、リン酸またはリン酸塩とカルシウム化合物とアルカリ剤とを添加し、pH8以上の条件で反応させることで、効率よくホウ素を除去する方法が提案されている。この方法では、リン酸塩とカルシウム化合物とが反応して難溶性のリン酸塩が生成する過程で、生成する塩にホウ素を取り込むことで、1回の処理で、ホウ素に設定された10ppm以下の排出基準を満たすことができる。
特開2007−144405号公報
特許文献1に開示される処理技術は、ホウ素含有排水に特化した処理方法であるが、実際にはホウ素のみならずフッ素や亜鉛等の重金属も複合的に含まれている排水も多く、これら複合的な有害物質を同時に処理する処理技術が望まれる。またホウ素を含めた有害物質の処理率(処理剤の投入量に対する有害物質除去率の割合)をさらに高めることが望まれる。
本発明は、ホウ素等の有害物質を含む排水に対し、少ない処理量で各有害物質が一律排水基準を満たすことが可能な処理方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決すため、本発明者らは特許文献1の技術を基本としてさらに研究を進めた結果、カルシウム化合物と反応させる物質として、リン酸を用いることで、リン酸以外のリン酸塩を用いる場合とは細孔容積分布が全く異なる水酸化アパタイト(難溶性カルシウム塩)が生成し、それによってホウ素の取り込み量が大幅に増大し、処理率の大幅な向上を図ることが可能であること、またフッ素や重金属についても高い捕捉効果を有することを見出し、本発明に至ったものである。
さらに反応の終了を電気伝導度の変化率で制御することにより、適切なタイミングで攪拌を止めて反応を終了させることができることを見出した。
すなわち本発明の有害物質含有排水の処理方法は、ホウ素を含む排水を処理し、排水中に含まれる有害物質を除去する処理方法であって、前記排水に処理剤として消石灰及びリン酸を投入するステップ(1)、前記処理剤を排水中の前記有害物質と反応させるステップ(2)、及び、反応後に固液分離し、固相成分を除去するステップ(3)を含むことを特徴とする。
本発明の処理方法では、ステップ(2)において、消石灰とリン酸との反応によって水酸化アパタイトが生成する過程で、ホウ素が取り込まれ、特定の細孔径範囲における細孔容積が大きい水酸化アパタイトが生成する。またこの水酸化アパタイトにホウ素とそれ以外の有害物質が吸着される。これにより従来の沈殿法や吸着法による有害物質除去に比べ、効率よく排水中の有害物質を除去することができる。
実施例1及び比較例2の水酸化アパタイトの細孔容積分布を示す図。 反応中の電気伝導度の変化を示すグラフ。 処理装置の概要を示す図。 実施例1〜3の水酸化アパタイトの細孔容積分布を示す図。 比較例1〜3の水酸化アパタイトの細孔容積分布を示す図。 (a)、(b)は、それぞれ、実施例1及び比較例2で生成した水酸化アパタイトのXRD測定結果を示す図。 実施例1及び比較例2の水酸化アパタイトの粒度分布を示す図。 実施例5及び比較例4の細孔容積分布を示す図。
以下、本発明の処理方法の実施形態について説明する。
本発明の処理方法が対象とする排水は、ホウ素を含有する排水であり、さらにフッ素、及び、亜鉛、砒素、セレン、溶解性鉄、溶解性マンガン、銅、鉛、六価クロムの重金属イオン或いは錯体を含んでいてもよい。
本発明の有害物質の処理方法は、このような排水に対し処理剤を投入するステップ(1)、反応ステップ(2)、固液分離ステップ(3)からなり、さらに固液分離後の固相成分を再利用するステップを含んでもよい。
まず、ステップ(1)において排水中に投入する処理剤について説明する。本発明の処理方法では、処理剤は消石灰及びリン酸を含み、必要に応じてカルシウム化合物及びアルカリ剤が用いられる。
消石灰及び必要に応じて添加されるカルシウム化合物は、リン酸イオンと反応し、水酸化アパタイトを生成する材料である。消石灰としては、生石灰を消化して得られる消石灰スラリーや粉末状の消石灰を用いることができる。カルシウム化合物としては、塩化カルシウムや、炭酸カルシウム、酸化カルシウム(生石灰)を用いることができ、例えば、酸を含む廃液(廃酸)を処理する際に生成する炭酸カルシウムや塩化カルシウムを用いることができる。
なお排水中に、消石灰とカルシウム化合物の両方を投入する場合には、消石灰はカルシウム源としてのみならず、処理液のpH調整剤として機能する。アルカリ剤は、消石灰のみでは所望のpHに達成しない場合にpH調整剤の補助剤として添加される。アルカリ剤として具体的には水酸化ナトリウムや水酸化カリウムが用いられる。
リン酸は、オルトリン酸と呼ばれるリン酸のほか、二リン酸等の無水物も使用することができる。後述するが、水酸化アパタイトを生成する材料として、リン酸を用いることにより、リン酸塩を用いた場合とは性状の異なる水酸化アパタイトが生成され、ホウ素等有害物質の捕捉率(処理率)が大幅に向上する。
消石灰とリン酸との割合(カルシウム化合物を加える場合には、消石灰とカルシウム化合物を合計したカルシウム量とリン酸との割合)は、反応温度によっても異なるが、Ca/P(モル比)で1.8以上、好ましくは2以上である。反応温度が常温より高い条件(例えば50度)では、Ca/P比を1.8以上とすることで、ホウ素に代表される有害物質を一律基準以下まで低下させることができる。またCa/P比を2以上とすることで、常温であっても確実に一律基準以下とすることができる。なおCa/P比の上限は、特に限定されないが、反応後の汚泥量を低減するために4以下、好ましくは3以下とする。
排水中に含まれるホウ素に対するリン酸の量は、P/B(モル比)で3以上、好ましくは4以上とする。これにより排水中のホウ素濃度に関わりなく、一律基準以下とすることができる。P/B比の上限は、特に限定されないが、本発明の処理方法によれば、P/B比7以下で高い処理率を達成できる。
次にステップ(2)とその反応条件(処理条件)について説明する。
本発明の処理は、主に二つの処理メカニズムにより進行する。一つは、消石灰とリン酸による下記の反応によって水酸化アパタイトを生成する過程で、水酸化アパタイト中にホウ素等有害物質を取り込む(包含プロセス)。もう一つは、生成した水酸化アパタイト表面に有害物質を吸着させる(吸着プロセス)。
この最初の包含プロセスで生成される水酸化アパタイトは、リン酸に代えてリン酸塩を用いたときに生成する水酸化アパタイトとは細孔分布が全く異なり、リン酸塩を用いた場合の分布がブロードであるのに対し、シャープな分布を示し、所定の細孔径(ピーク)における細孔容積が約2倍である。図1に、ホウ素存在下でリン酸及びリン酸塩をそれぞれ用いて生成した水酸化アパタイトの細孔容積分布を示す。本発明のステップ(2)で生成する水酸化アパタイトの細孔径のピークは、反応条件(反応温度、攪拌速度、有害物質濃度)によっても異なるが10〜100nmの範囲にあり、ピーク細孔径の細孔容積が1.5cm/g以上である。このように限られた範囲の細孔容積が増大することで、ホウ素の取り込み量が増大するものと推定できる。
ステップ(2)では、包含プロセスが有害物質の吸着プロセスより優位に(例えば90%程度の割合で)進み、上述したホウ素の取り込みがほぼ完了した状態で、それを補う形で吸着プロセスが進行すると考えられる。吸着プロセスでは、成長過程や成長後の水酸化アパタイト粒子の表面に有害物質とそれらがカルシウム等と反応して生成した生成物が物理的に結合する。一般的に、吸着は粒子の比表面積と相関がある。上記水酸化アパタイトの比表面積(BET法)は、約150m/g以上と大きいので、吸着効果も高く、高い有害物質除去効果が得られる。なお、吸着プロセスを経た後にも、処理剤は有害物質を吸着する能力が残されており、後述する反応汚泥の再利用が可能になる。
ステップ(2)における反応は、排水の電気伝導度により処理を管理し、伝導度が安定した時点を終了時点とする。電気伝導度は、図2に示すように、材料の投入後、急上昇するが、反応が進むにつれて最大値を経た後、低下し所定の値に収束する。この曲線は、pH、温度や攪拌条件などの処理条件によっても異なるが、傾向は共通している。従って、電気伝導度を管理することで、ステップ(2)の処理の終了を的確に管理することができる。電気伝導度の値は、対象となる排水や投入する処理剤の濃度によって異なるが電気伝導度の変化率が数十%程度に達したときに終了する。
処理時の排水のpHは、材料投入時点で、好ましくは10.0以上、より好ましくは12.0以上とする。高pHで反応させることにより、上述した細孔分布を持つ水酸化アパタイトの生成を促進することができ、それにより処理能力を高めることができる。なお、本発明の処理方法では、処理剤として消石灰を用いているので、材料投入時のpHはアルカリサイドとなるが、さらに消石灰量を調整することで、pHを10.0以上とすることができる。なおpH調整剤として、消石灰の代わりに、或いは消石灰に加えて、NaOH等のアルカリ剤を加えてもよい。
処理温度は、特に限定されないが、常温より高いほうが、処理速度が高くなる。ただし30℃以上では処理速度はほとんど変化しないので、30℃以上であればよい。
処理は材料を攪拌しながら反応を進める。攪拌速度は、攪拌周速(スターラの回転数)が速いほど処理速度は短くなるが、処理率には影響がない。従って攪拌速度は、特に限定されないが、5000〜15000rpm程度とすることで、5分程度の攪拌時間で処理を行うことができる。
電気伝導度が安定したならば、反応を終了し、公知の手法で固液分離する。すなわち、ステップ(3)では、反応槽の反応液(汚泥を含む)を沈殿槽に移した後、汚泥回分式、横流式、或いは上向流式など汚泥分離法で汚泥と上澄み液とを分離する。上澄み液は、pH12程度のアルカリ性液であるので、酸中和用の薬剤としてもよいし、本発明の有害物質処理方法のpH調整剤として再利用してもよい。上澄み分離後の汚泥は、遠心分離、フィルタープレス、ベルトプレス、スクリュープレス、多重円盤型脱水機など公知の脱水機で脱水する。脱水後の汚泥は、最終的に廃棄されるが、水酸化アパタイトや未反応のリン酸やカルシウム化合物を多く含んでおり、前述したように、有害物質吸着性を有しているので、本発明の有害物質処理方法の処理剤として再利用することも可能である。なお汚泥の有害物質除去能は、処理対象である排水中の有害物質含有量にもよるが、未使用の処理剤の約70%と見込まれる。
図3に、処理済みの汚泥を採用する場合の装置構成の概念図を示す。図では、上澄み液と汚泥の両方を再利用している場合を示しているが、いずれか一方だけでもよい。汚泥を再利用する場合、汚泥のみを処理剤として投入してもよいし、新たな処理剤(消石灰+リン酸)と併用してもよい。処理後の汚泥を再利用することで、最終処分される汚泥の量を低減することができるとともに、新たに投入する処理剤の使用量も低減することができる。なお上澄みとなるアルカリ性液については、反応に投入されるpH調整剤の全部をそのアルカリ性液に置き換えることも可能である。
本発明の有害物質処理方法によれば、特定の水酸化アパタイトが生成する条件で処理を行うことにより、少ない処理剤の使用量で、処理率を大幅に向上することができる。またホウ素のみならず、重金属等他の有害物質が共存する排水についても、一度の処理でこれら有害物質を効率よく除去することができる。
以下、本発明の有害物質含有排水の処理方法の実施例を説明する。
<実施例1>
模擬排水として、ホウ素濃度100mg/Lの排水試料を用意した。この排水試料250mL(温度20℃)をホモジナイザー(プライミクス社製)に入れ、消石灰(奥多摩工業社製、超特選消石灰)2.49g、リン酸(関東化学社製、特級:85%)1.77gを添加し、回転数1500rpmで攪拌しながら反応を行い、電気伝導度が一定(約5.5ms)になったところで処理を終了した。反応系の処理温度は25℃、処理時間(攪拌時間)は約25分であった。なお処理剤におけるCa/P比は2.2、処理系におけるP/B比は6.6である。
処理後、吸引ろ過し、ろ液中のホウ素濃度をICP発光分光分析装置(堀場製作所、JY2000 ULTRACE)で測定したところ、5.58mg/L(処理率94.42%)であり、一律排出基準10mg/Lを満たしていた。
<実施例2>
反応系の処理温度を50℃とした以外は、実施例1と同様にして、実施例1と同じ模擬排水を処理した。処理後のろ液中のホウ素濃度はICP測定の結果、2.02mg/L(処理)であった。
<実施例3>
模擬排水として、ホウ素濃度30mg/Lの排水を使用し、処理剤(消石灰+リン酸)の使用量を実施例1の使用量の約1/3にし(P/B比=7.0)、それ以外は実施例1と同じ模擬排水を処理した。処理後のろ液中のホウ素濃度はICP測定の結果、4.54mg/Lであった。
<比較例1>
実施例1と同じ模擬排水を用い、処理剤として、リン酸の代わりにリン酸二水素ナトリウム(WAKO社製)4.9gを用いた以外は実施例1と同様の方法で処理したところ、処理後のろ液中のホウ素濃度はICP測定の結果、53.37mg/Lであった。なお、比較例1の処理剤におけるCa/P比は2.2、P/B比は33.9である。
<比較例2>
実施例1と同じ模擬排水を用い、処理剤として、Ca/P比及びP/B比がそれぞれ実施例1と同じ(Ca/P2.2、P/B比6.6)になるように、塩化カルシウム(WAKO社)2.47g、比較例1と同様のリン酸二水素ナトリウム1.84g、及びアルカリ(消石灰)1.25gを用いて、実施例1と同様の方法で処理を行った。処理後のろ液中のホウ素濃度はICP測定の結果、27.66mg/Lであった。
<比較例3>
実施例1と同じ模擬排水を用い、処理剤として、塩化カルシウム(WAKO社)2.47g、比較例1と同様のリン酸二水素ナトリウム1.84g、及びアルカリ(消石灰)1.25gを用い、P/B比を21.0にして、実施例1と同様の方法で処理を行った。処理後のろ液中のホウ素濃度はICP測定の結果、2.23mg/Lであった。
実施例1〜3及び比較例1〜3の処理後の汚泥から分離した水酸化アパタイトについて、その細孔分布、比表面積(m/g)をそれぞれBJH法、BET法で測定した。実施例1〜3の細孔分布を図4に、比較例1〜3の細孔分布を図5に示す。また、次式により処理率を算出するとともに、処理率当たりの処理剤添加量を算出した。結果を表1に示す。
処理率(%)=([模擬排水のホウ素濃度]−[ろ液中のホウ素濃度])
×100/[模擬排水のホウ素濃度]
Figure 2020062584
表1に示す結果からわかるように、実施例1〜3の処理方法では、少ない処理剤添加量で、高い処理率が得られることがわかる。一方、リン酸をリン酸塩に置き換えただけの比較例1では、処理率は実施例方法の1/2以下であった。また、リン酸塩を用いた場合には、P/B比を同じ条件にしても(比較例2)、処理率は73%未満であり、処理率を実施例と同レベルまで高めるには(比較例3)、実施例の3倍以上の処理剤を必要とした。
これらの結果から、消石灰とリン酸との組み合わせによって、リン酸塩を用いた場合には予想できない処理効果の向上が得られることがわかった。
また実施例1及び比較例2で生成した水酸化アパタイトのXRD測定結果を図6(a)、(b)に、粒度分布を図7に示す。図6(a)、(b)に示すように、リン酸を用いた場合にもリン酸塩を用いた場合にも、水酸化アパタイトのピークが観察され、水酸化アパタイトが生成していることが確認された。また図7に示すように、実施例1及び比較例2で生成している水酸化アパタイト粒子の粒度分布は、いずれもほぼ10μm〜100μmに分布している。しかし、細孔分布を見ると、両者は著しく異なり、図1に示したように、リン酸から生成した水酸化アパタイトはシャープな特性を示し、所定の狭い範囲における細孔容積が、リン酸塩から生成した水酸化アパタイトの2倍程度になっている。両者の有害物質処理能力の差は、このような細孔分布の違いによって生じたものと推定される。このような細孔分布の違いは、図4及び図5に示すように、実施例1〜3と比較例1〜3で同様であることが確認された。
<実施例4>
本発明の処理方法では汚泥自体が処理能力を維持していると考えられるため、汚泥を再利用した場合の処理率について検討した。
まず1回目の処理として、実施例1と同様に、ホウ素濃度100mg/Lの排水試料250mLに、消石灰2.49g及びリン酸1.50gを投入し、反応を行った。
ついで2回目の処理として、1回目と同様の排水250mLに、1回目の処理剤の約1/2の消石灰及びリン酸(消石灰1.13g、リン酸0.68g)に、1回目の処理後に上澄みを除去した後の汚泥全量(約3g)を加えたものを処理剤として投入し、反応を行った。
さらに3回目の処理として、1回目と同様の排水250mLに、消石灰1.83g、リン酸1.10gと、2回目の処理後に上澄みを除去した後の汚泥の半分量(1.78g)を加えたものを処理剤として投入し、反応を行った。
1回目〜3回目のいずれにおいても、反応温度は25℃とし、攪拌時間は約25分であった。
1回目〜3回目の処理後の処理後のろ液中のホウ素濃度をICP測定した結果と汚泥量を表2に示す。
Figure 2020062584
表2の結果からわかるように、処理後の汚泥を処理剤として繰り返し使用した場合にも、高い処理率で処理できることがわかった。また、このように汚泥を繰り返し使用することにより、汚泥発生量を大幅に減らすことができる。例えば、3回の処理の発生汚泥量は、合計10.79gであるが、本実施例のように1回目の汚泥を全量再利用し、2回目の汚泥量の半分を再利用した場合、最終的な汚泥量は、6.1gであり、約半分に減量することができた。
<実施例5>
模擬排水として、亜鉛濃度100mg/L、ホウ素濃度100mg/L、5%NH水10mLを含む排水(NH濃度:2000mg/L)を用意した。NH水は、亜鉛を錯体とするために加えたものである。この模擬排水250mLに、実施例1と同様の処理剤(消石灰:2.49g、リン酸:1.50g)を投入し、実施例1と同様に処理を行った。P/B比は6.6、Ca/P比は2.2、NH/P比は1.9である。
<比較例4>
実施例5と同じ模擬排水を用いて、消石灰1.58g、塩化カルシウム3.13g、及びリン酸二水素ナトリウム3.02gを処理剤として用いて、実施例1と同様に処理を行った。P/B比は8.4、Ca/P比は2.2、NH/P比は1.5である。
<比較例5>
処理剤の量を、消石灰2.09g、塩化カルシウム4.15g、及びリン酸二水素ナトリウム4.00gとした以外は比較例4と同様に処理を行った(P/B比:11.1、Ca/P比:3.3)。
実施例5及び比較例4の細孔分布をBJH法により計測した結果を図8に示す。図8に示すように、実施例5で生成した水酸化アパタイトは、実施例1等の水酸化アパタイトと同様に、細孔径10〜100nmの間の特定の細孔径においてシャープなピークが見られたが、比較例4の細孔分布は比較的なだらかであった。
また実施例5及び比較例4,5の処理後のろ液について、ホウ素、亜鉛(アンミン錯体)の濃度を分析した。また処理後の汚泥から分離した水酸化アパタイトについて、BET比表面積を測定した。これらの結果を、発生した汚泥量ともに表3に示す。
Figure 2020062584
表3に示す結果からもわかるように、リン酸と消石灰とを用いた実施例5では、ホウ素及び亜鉛ともに、高い処理率で処理を行うことができた。ホウ素と亜鉛が共存する排水では、リン酸塩を用いた比較例4、5では亜鉛の処理率が高いもののホウ素の処理率が低く、処理剤の使用量を増加してP/B比やCa/P比を大きくすれば処理率を高められることが示されたものの、発生する汚泥量も多かった。
以上の実施例から、本発明の排水処理方法によれば、リン酸塩を用いる場合に比べ、少ない処理剤使用量及び汚泥量で、ホウ素の処理率を飛躍的に向上できることが確認された。またホウ素以外の有害物質を含む排水においても、ホウ素処理率が低下することなく、ホウ素とそれ以外の有害物質に対し高い処理率を達成できることが確認された。
また本発明の排水処理方法によれば、処理後の汚泥自体がホウ素等有害物質に対し高い吸着能を有しているため、処理剤としての再利用が可能であり、さらに汚泥発生量を低減することができる。

Claims (6)

  1. ホウ素を含む排水を処理し、排水中に含まれる有害物質を除去する処理方法であって、
    前記排水に処理剤として消石灰及びリン酸を投入するステップ(1)、
    前記処理剤を排水中の前記有害物質と反応させるステップ(2)、及び
    反応後に固液分離し、固相成分を除去するステップ(3)を含む、有害物質含有排水の処理方法。
  2. 請求項1に記載の処理方法であって、
    前記ステップ(2)において、細孔径10〜100nmに細孔容積のピークを有し、当該ピークにおける細孔容積が1cmg以上の水酸化アパタイトを生成し、その際、当該水酸化アパタイトに有害物質を包含させるとともに、当該水酸化アパタイトに有害物質を吸着させることを特徴とする処理方法。
  3. 請求項1または2に記載の処理方法であって、
    前記ステップ(1)において、前記処理剤として、さらにカルシウム化合物を添加することを特徴とする有害物質含有排水の処理方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれか一項に記載の処理方法であって、
    前記排水は、ホウ素の他にフッ素及び重金属の少なくとも一方とを含むことを特徴とする処理方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれか一項に記載の処理方法であって、
    前記ステップ(2)は、前記排水の電気伝導度が所定の値あるいは電気伝導度の変化率が所定の値に達したときに反応を終了することを特徴とする処理方法。
  6. 請求項1ないし5のいずれか一項に記載の処理方法であって、
    前記ステップ(1)は、前記ステップ(3)において固液分離後の固相成分を、排水中に投入するステップ(1−1)をさらに含むことを特徴とする処理方法。
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