JP6935924B2 - 高濃度の懸濁物質を含む排水、汚泥の処理システム - Google Patents

高濃度の懸濁物質を含む排水、汚泥の処理システム Download PDF

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Description

本発明は、高濃度の懸濁物質(以下、「SS」と言うことがある。)を含む排水、汚泥の処理システムに関する。
さらに詳しくは、有機物または無機物からなる高濃度SSを含む排水や汚泥を、凝集剤で凝集可能な濃度に水で希釈し、凝集剤で凝集処理した後、生成したスラッジを脱水して減容化すると共に、処理水を希釈水として再利用できる処理システムに関する。
下水、し尿、生活排水、産業排水等の排水、建築現場等で発生する汚泥あるいは地盤改良工事汚泥、浄化槽汚泥、下水処理場汚泥等の汚泥には、有機物や無機物からなる高濃度のSSが含まれている。固形分濃度が高い高濃度SS汚泥の処理方法としては、汚泥を脱水して減容化し、乾燥後、廃棄する方法が一般的であり、脱水した水についても別途水処理が必要である。
高濃度SSを含む排水や汚泥の処理に凝集剤を用い、処理水を凝集工程に返送し再利用する方法も開示されている(例えば、特許文献1〜2参照)。
特許文献1には、有機性排水(原水)を処理槽内で活性汚泥処理し、活性汚泥混合液を限外ろ過膜にて、濃縮汚泥とろ過処理水に固液分離し、ろ過処理水を凝集槽に導入して無機系凝集剤(塩化第二鉄)を添加してpH調整後、形成した凝集フロックを、濃縮汚泥とろ過処理水に分離する方法が開示されている。濃縮汚泥は凝集層に返送され、ろ過処理水は外部に取り出される。限外ろ過膜を使用する関係で、凝集槽内のSS濃度は2,000mg/L以下に調整されている。
特許文献2には、地盤改良工事現場から発生するセメントやベントナイト系汚泥(比重1.35〜1.50)を、連続練りミキサーを用いて、汚泥比重が1.15〜1.35の範囲になるよう水で希釈し、凝集剤を添加してフィルタープレス等で脱水処理した後、脱水により分離された水を希釈水として連続練りミキサーに投入する方法が開示されている。凝集剤としては、1次凝集用の塩化カルシウム等の無機凝集剤を添加し、その後アニオン系高分子凝集剤を添加して生成フロックを大きく凝集させている。
しかしながら、汚泥を水で希釈するのは、汚泥の搬送を可能にするためであり、凝集剤による凝集効率を高めることが目的ではない。比重調整に連続練りミキサーが必要で、フィルタープレスによる脱水が必要であるため、装置も大掛かりである。
特開平2−095497号公報(特許請求の範囲、実施例、第1図等) 特開平6−063600号公報(特許請求の範囲、段落[0012]、[0024]〜[0028]、[0032]〜[0035]等)
本発明は、前記の課題に鑑みてなされたものであり、高濃度の懸濁物質を含む排水、汚泥の処理を効率よく行え、凝集剤による凝集処理後は、簡易脱水により生成スラッジを減容化することが可能な、処理システムを提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明者等は鋭意研究を重ねた結果、先ず高濃度の懸濁物質を含む排水または汚泥を水で希釈した後、pH調整が要らない無機系粉末凝集剤を添加して凝集処理することにより、簡易脱水によるスラッジの減容化及び処理水の再利用が可能となり、少ない凝集剤使用量で良好な処理結果が得られることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の処理システムは、
高濃度の懸濁物質を含む排水または汚泥を、水で10倍(容量)以下に希釈し、希釈液中の懸濁物質の濃度を5,000mg/L〜50,000mg/Lの範囲に調整する希釈工程と、
該希釈液に含まれる有害物質を除去するための前処理剤及び凝集助剤を添加する前処理工程と、
該希釈液に無機系粉末凝集剤(ただし、酸性凝集助剤を含まない。)を添加し、懸濁物質を凝集処理する凝集工程と、
凝集工程で生成したスラッジを簡易脱水する脱水工程と、
を含むことを特徴とする。
本発明に係る処理システムにおいては、排水または汚泥を希釈することにより、高濃度のSS成分を含む排水等を凝集剤で凝集可能な濃度に調整し、又、水のpH調整の要らない無機系粉末凝集剤を添加することにより、SS成分を効率的に凝集し、凝集したスラッジの含水率を各段に低下させることができる。スラッジの脱水効率の向上と大幅な減容化が可能となる。
また、本発明に係る処理システムは、前記排水または汚泥における懸濁物質濃度が10質量%以上であるときに、より好適に適用でき効果も高い。
無機系粉末凝集剤は、上記の希釈液に対して0.05〜0.5質量%であることが好ましく、添加量が少なすぎる場合は凝集効果が不十分となり、一方、添加量が多すぎても凝集効果の向上は見られず、却って処理コストが高くなるおそれがある。
また、本発明に係る処理システムにおいては、前記希釈工程と前記凝集工程との間に、希釈液に含まれる有害物質を除去する前処理剤及び凝集助剤を添加する前処理工程を有することにより、SS成分を効率的に凝集処理することができる。その後の脱水処理によりスラッジをより一層減容化することができる。
前処理剤としては、油を含有する希釈液に対しては、油分吸着剤、COD成分吸着剤、COD成分分解剤等が挙げられ、重金属類を含有する希釈液に対しては、重金属固定剤等が挙げられる。また、凝集助剤としては、硫酸第一鉄、硫酸バンド、塩化第二鉄等が有効である。カルシウム系もしくはナトリウム系のアルカリ剤はpH調整剤として有用である。
さらに、脱水工程で生成した処理水に対しても上記の前処理剤を添加し、当該処理水から有害物質を除去する除去工程、及び、脱水工程で生成した処理水から有害物質を除去した水を希釈工程に返送する返送工程を有することができる。有害物質を除去した処理水を希釈工程で再利用することにより、水資源の有効利用ならびに排水処理設備の増設が不要となる。
また、本発明に係る処理システムにおいては、活性二酸化珪素及びアルミナを主成分とする無機系粉末凝集剤が好ましく用いられる。このような無機系粉末凝集剤は、その凝集性能が排水のpHの影響を受けにくいため、より好適に適用でき効果も高い。
以上説明した通り、本発明の処理システムによれば、高濃度のSS成分を含む排水または汚泥を効率的に処理し、処理水中のSS濃度を所定の目標値以下にすることが可能となり、希釈水として再利用することができる。また、生成したスラッジの含水率が格段に低下し減容化できるため、スラッジ処理費用を大幅に削減することができる。
本発明の処理システムの一実施形態を示す概略工程図である。
以下、本発明を、図を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の処理システムの一実施形態を示す概略工程図である。図1に示す処理システムは、高濃度のSS成分を含む排水または汚泥(以下、これらを纏めて「排水等」と称することがある。)を、水で希釈するための希釈槽(前処理槽を兼ねることもある)11と、無機系粉末凝集剤を添加混合し、凝集したスラッジを沈澱させるための凝集沈澱槽12と、スラッジと水を分離するための固液分離槽13と、分離水を前処理剤で処理するための水処理槽14と、を備えている。
本発明の処理システムは、スラッジの減容化率が高いため、排水等におけるSS濃度が10質量%以上である場合に好適なシステムである。排水等のSS濃度の上限は特に限定されるものではないが、40質量%以下であると円滑な処理システムとなる。
[希釈工程]
先ず、希釈槽11に、排水(原水)または汚泥と、希釈用の水を入れ、排水または汚泥を水で10倍(容量)以下に希釈する(希釈工程)。希釈倍率が10倍(容量)を超える場合は、排水等の処理量が低下することで排水等の処理効率が悪化し経済面で不利になる。また、排水等のSS濃度を考慮すると、10倍を超える量の水を添加する必要性に乏しい。排水等の希釈倍率としては、1.2倍(容量)以上が好ましく、より好ましくは1.5倍(容量)以上、さらに好ましくは2〜7倍(容量)、特に好ましくは3〜7倍(容量)である。
排水等のSS濃度は、排水等の種類によって異なるため、排水等を水で希釈した希釈液中のSS濃度が、5,000mg/L〜50,000mg/Lの範囲に調整するのが良い。SS濃度を前記範囲の調整することにより、無機系粉末凝集剤(ただし、酸性凝集助剤を含まない。)を最適添加量に設定することができ、処理効率の向上を図ることができる。より好ましい希釈液中のSS濃度は、6,000mg/L〜30,000mg/Lであり、さらに好ましいSS濃度は、7,000mg/L〜20,000mg/Lである。
排水等としては、主に、工場、発電所、下水処理場等から排出される油分や界面活性剤、染色排水、皮革製造排水、塗料排水等の有機物を含有する排水、有機汚泥、無機汚泥のいずれでも良い。油分としては、例えば、原油、重油、重油貯蔵タンクに堆積したスラッジ等の原油由来成分や、動植物油、絶縁油、潤滑油、離型油、切削油、鉱油等が挙げられる。
有機汚泥としては、例えば、下水処理、し尿処理、産業廃水処理において発生する有機汚泥、具体的には、嫌気性消化汚泥、好気性消化汚泥、浄化槽汚泥、硝化液等を挙げることができる。無機汚泥としては、例えば、浄水処理、建設工事廃水処理、産業廃水処理において発生する無機汚泥、具体的には、金属粉、コンクリートは吊りで発生したコンクリートスラッジ、コンクリート屑を含有する無機汚泥を挙げることができる。
排水及び有機汚泥は、通常、pH6〜8である。無機汚泥は、通常、pH10以上である。
希釈水は、上水、地下水、工業用水、河川水、井戸水、及び本処理システムで得られる処理水を用いることができる。処理水とそれ以外の水を併用することもでき、その比率は特に限定されないが、コストの観点より、処理水を希釈水全体の100%程度使用することが好ましい。処理水を希釈水として用いる場合は、pH4〜12、SS濃度が100mg/L未満のもの用いる。
[前処理工程]
本発明の処理システムにおいては、前記の希釈工程と後記の凝集工程との間に、1種または2種以上の、有害物質を除去するための前処理剤及び凝集助剤を添加する前処理工程を有することができる。
前処理剤及び凝集助剤は、それぞれ、1種または2種以上を添加することができる。2種以上の前処理剤を添加し、さらに凝集助剤を添加する方法が望ましい。前処理剤の添加により、性質が異なる油分と有害物質を、それぞれ凝集スラッジに取り込むことができるため、油分や有害物質を除去するための設備を別途設ける必要がないという利点がある。また、凝集助剤の添加により、後で添加する無機系粉末凝集剤の凝集作用をより一層高めることができ、スラッジの含水率を格段に低下させることができる。
前処理剤は、銅、鉄、鉛、カドミウム、六価クロム、水銀、ヒ素、フッ素、ホウ素、油分、COD成分等の有害物質を含む排水等に対して添加する。前処理剤としては、カルシウムもしくはナトリウム系のアルカリ化剤、重金属固定剤、油分吸着剤、COD成分分解剤、COD成分吸着剤が挙げられる。
前記アルカリ化剤としては、例えば、消石灰、生石灰、石灰、苛性ソーダ、ソーダ灰等が挙げられるが、スラッジ量低減の点より、苛性ソーダが好ましい。アルカリ化剤は、重金属固定剤、油分吸着剤、COD成分分解剤、COD成分吸着剤、及び凝集助剤の効果を高めるためのpH調整剤として用いられる。
前記重金属固定剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等のキレート剤等が挙げられる。作業性の観点より、液体キレート剤が好ましい。重金属固定剤を添加することにより、固定化された重金属を凝集剤スラッジの中に取り込むことができるため、水中の重金属含有量を削減することができる。
含油排水等に対しては、前処理剤として、油分吸着剤、COD成分吸着剤、COD成分分解剤等を添加するのが良い。油分吸着剤としては、例えば、天然セルロース粉、天然ゼオライト粉等が挙げられる。COD成分吸着剤としては、例えば、粉末活性炭等の炭素材が挙げられる。COD成分分解剤としては、例えば、二酸化マンガンとオゾンの組合せ、二酸化マンガンと硫酸カリウム等の水溶性無機塩の組合せ等が挙げられる。
凝集助剤としては、酸性剤を添加する。酸性剤としては、一般的な鉄系凝集助剤またはアルミニウム系凝集助剤等の酸性凝集助剤の他、硫酸や塩酸、硝酸等の無機酸が挙げられるが、排水等に含まれる懸濁物質を凝集できる点より、酸性凝集助剤が好ましい。酸性凝集助剤としては、例えば、ポリ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム(通称:硫酸バンド、LAS)、ポリ硫酸第二鉄(通称:ポリ鉄)、ポリシリカ鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第二鉄等の溶液や、これらを主成分とする溶液、あるいはこれらの混合液等を用いることができる。これらの酸性凝集助剤のなかでも、マンガン化合物(マンガンと重金属固定剤の反応物)を沈降させる効果が高い点より、塩化第二鉄、硫酸第二鉄等の3価の鉄系凝集助剤が好ましい。
前処理剤及び凝集助剤は、通常、希釈槽11内の希釈液に添加混合する。
前処理剤及び凝集助剤を希釈槽11において添加混合する場合、凝集助剤を添加混合した希釈液のpHは、3.0〜5.5(酸性)の範囲にある。前処理剤として粉末活性炭を添加する場合、希釈液のpH調整は必須ではないが、pH5.0〜6.5の範囲にあることが好ましい。
したがって、凝集助剤及びCOD成分分解剤あるいは重金属固定剤を希釈液に添加混合した後、アルカリ化剤を添加混合してpHを5.0〜6.5の範囲に調整すると共に重金属を固定化し、最後に粉末活性炭を添加するのが効率的である。希釈液中に残存しているCOD成分等を粉末活性炭に吸着させるための所要時間は特に限定されないが、通常5分間以上撹拌することが好ましい。
そして、希釈液に粉末活性炭を添加し、所定の時間、撹拌することによって、希釈液中の残存COD成分が、粉末活性炭に吸着する。粉末活性炭の種類は特に限定されない。粉末活性炭としては、平均粒径が200μm以下の粉末活性炭が好ましく、より好ましくは平均粒径が1〜150μm、さらに好ましくは平均粒径が1〜100μmのものが良い。平均粒径が1μm未満では、飛散等し易く取扱いが困難になると共に微粒子化のコストが高くなる傾向があり、150μmを超えると、比表面積が小さくなり、一定の吸着能力を維持するために多量の粉末活性炭を要する傾向がある。粉末活性炭の平均粒径の測定方法としては、レーザー回析散乱法等の公知の方法を用いることができる。
前処理剤や凝集助剤は、一般的な使用濃度で用いればよく、通常、希釈液に対し0.1〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%、さらに好ましくは1〜3質量%添加する。0.1質量%以上であれば、能力不足となることがなく、10質量%以下であれば処理コストが著しく増加することがない。
[凝集工程]
希釈槽11で希釈した希釈液に、所望の添加剤を添加混合した後、中和剤としてアルカリ化剤を用いてpH6.0〜8.0に調整する。pHをこの範囲に調整することにより、後に添加する無機系粉末凝集剤による凝集が円滑に行われるようになる。pH調整後の希釈液を凝集沈殿槽12に移送する。
凝集沈殿槽12において、無機系粉末凝集剤を添加混合することにより、SS成分を凝集処理する(凝集工程)。なお、この無機系粉末凝集剤は、後記の酸性凝集助剤を含まないものである。かかる無機系粉末凝集剤としては、公知の物を用いることができるが、中でも、活性二酸化珪素とアルミナを主成分とする無機系粉末凝集剤が好ましい。当該凝集剤は、広いpH領域において優れた凝集性能を発揮するため、希釈液のpH調整が非常に容易であると言う利点を有している。
無機系粉末凝集剤の添加量は、排水等に含まれるSS成分の種類及び量によって異なるが、希釈液に対し0.05〜0.5質量%添加することが好ましく、より好ましくは0.05〜0.4質量%、さらに好ましくは0.05〜0.3質量%である。前記添加量が、0.05質量%以上であれば、希釈液中のSS成分を凝集することができ、また、0.5質量%以下であれば、残存する無機系粉末凝集剤を処理するための設備を別途設ける必要がない。
無機系粉末凝集剤と一般的な高分子系凝集剤を併用しても良い。高分子系凝集剤としては、例えば、アクリルアマイド(共)重合体等のポリアクリルアマイド系凝集剤、ポリスチレンスルホン酸等のスチレン系凝集剤、ポリアクリル酸等のアクリル系凝集剤等から選ばれる、ノニオン系、カチオン系、アニオン系、両性系のものを用いることができる。その他、キトサン系の高分子凝集剤やアルギン酸系の高分子凝集剤を用いることもできる。それらの中でも、性能やコスト等の点から、ポリアクリルアマイド系高分子凝集剤が好ましい。高分子系凝集剤の添加量は、一般的な使用濃度であって良く、希釈液に対し、0.01〜1.0質量%、より好ましくは0.02〜0.5質量%である。
凝集沈殿槽12では、経時とともに、スラッジと上澄み水が生成する。粉末活性炭に吸着された油やCOD成分は、粉末活性炭とともに凝集沈殿処理されてスラッジとなり、固定化された重金属は、スラッジとともに処理されることとなる。一方、凝集沈澱槽12の上層には、油分やCOD成分が除去された上澄み水が形成される。
[脱水工程]
上澄み水及び沈降したスラッジを凝集沈澱槽12の槽外へ排出し、固液分離装置13として、織布または不織布を用いたフィルター、フレコン等の簡易脱水装置を用いて、重力下で脱水する(脱水工程)。スラッジの含水率は、乾燥機の選定、乾燥時間の削減等を容易にするためには、できるだけ小さい方が一般的に好ましく、本発明によれば60質量%以下まで低減することができる。無機系粉末凝集剤を用いて凝集させた生成スラッジは脱水性が極めて良いため、ベルトプレスやスクリュープレス等の凝集スラッジを加圧しながら脱水する加圧脱水を使用しなくても、自然ろ過で、しかも短時間で脱水することができる。また、繊維状物等の脱水補助剤の添加も不要である。
[返送工程及び除去工程]
脱水工程で生成した処理水は水質検査に供される。水質検査では水のpH、SS、CODを計測し、所定の基準値をクリアーしているか否かを検査する。処理水が所定のpH基準値(4〜12)、SS基準値(100mg/L未満)であることを確認した後、処理水として希釈工程に返送する。処理水のpHが4〜12の範囲であれば、必要に応じてpH調整することで支障なく用いることが可能であり、SS濃度が100mg/L未満であれば、スラッジ形成能に悪影響を及ぼすことがない。
処理水のSS濃度が所定の基準値を超える場合は、再度、処理水に前処理剤を添加し、当該処理水から有害物質を除去する除去工程を設ける。当該前処理剤としては、上記の前処理剤と同様のものを用いることができる。過剰の処理水は、従来公知の処理装置を使用して処理し、処理水として放流することができる。例えば、上澄み水を砂濾過塔、活性炭吸着塔に順次通過させる方法等が挙げられる。
本発明に係る処理システムにおいては、希釈液の望ましいpHは、前処理工程ではpH5.0〜6.5、凝集工程ではpH6.0〜8.0の範囲である。前処理工程での希釈液のpHを前記範囲に調整することにより、希釈液中のCOD成分が正荷電を帯びることで活性炭に吸着し易くなるものと推定される。その後、希釈液のpHを中性に調整することにより電荷が中和され、液中の浮遊物や溶解物はフロックを形成して速やかに凝集沈澱するようになるものと推定される。さらに、無機系粉末凝集剤を添加することにより、大きなフロックが形成されるため、優れた沈降、分離効果を得ることができる。
以上の処理工程を実施することにより、高濃度のSSを含む排水等を、既設排水処理設備で処理可能なまでに処理することができる。
本発明の処理システムは、バッチ処理及び連続処理に適用できる。また、希釈槽11は前処理槽を兼ねることができ、希釈槽11と凝集沈澱槽12の間に、前処理槽を設けることもできる。希釈槽11と凝集沈殿槽12を1つの処理槽で構成することもできる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はそれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図1に示す処理装置を用い、高濃度有機物含有排水として、SS濃度50,000mg/Lの硝化液を処理した。
硝化液を希釈槽11に導入すると共に、該硝化液に対し、5倍容量の上水を添加して希釈液(液温40℃)を得た。
得られた希釈液に対し、0.1質量%(1kg/m)の二酸化マンガンと、0.1質量%(1kg/m)の硫酸カリウム粉末を添加混合し、撹拌した後、希釈液に対し、0.1質量%(1L/m)の塩化第二鉄水溶液を添加し、約20分間混合した。このときの希釈液のpHは3.5であった。
さらに、希釈液に対し、2質量%(20kg/m)の粉末活性炭((株)ノアテック製、商品名:「NAC−01」)を添加した後、撹拌機にて約10分間撹拌して粉末活性炭を希釈液中に分散させた。この希釈液に苛性ソーダを添加して希釈液のpHを6.2に調整した。
pH調整後、希釈液を凝集沈殿槽12に移送し、希釈液に対し、0.05質量%(500g/m)の無機系粉末凝集剤((株)ノアテック製、商品名:「スーパーナミットTN315NY−T3」、平均粒径150μm)を添加撹拌し、粉末活性炭を凝集させた後、撹拌を停止し、約0.5時間静置した後、粉末活性炭と無機系粉末凝集剤を沈降させスラッジを生成させた。
水処理槽14内に、フレコン(固液分離装置13に相当)を吊るし、該フレコンに凝集処理したスラッジを順次入れながら、水を自然落下させることにより、処理水を水処理槽14内に貯水した。
重金属固定化剤として、キレート剤(商品名;ATM−01)を用い、処理水中の重金属を処理することにより、銅含有量を排水基準値以下(3mg/L未満)に減少させることができた。
処理対象である高濃度有機物含有排水、処理方法、スラッジ及び処理水の性状を表1に示した。
表1より、処理水中のSS濃度は100mg/L未満であり、処理水は希釈用水として使用できるものであった。処理水のCOD除去率は95%であり、排出基準値(160mg/L)をクリアーしていた。
凝集剤として用いた「スーパーナミットTN315NY−T3」の主要成分は以下の通りである。
SiO 約70%
Al 約15%
O 約5%
NaO 約2%
SO 約1%
CaO 約1%
C 約2%
(水の性状分析方法)
pH:JIS K0102 12.1 ガラス電極法
SS:JIS K0102 14.1 懸濁物質
COD:JIS K0102 17 100℃における過マンガン酸カリウムによる酸素消費量
(脱水スラッジの含水率)
アルミパンの上に脱水スラッジを秤量し、105℃の熱風乾燥機で16時間乾燥した後、乾燥後の質量を測定し、乾燥による減少量と乾燥前の質量の差から含水率を求めた。
(実施例2)
実施例1において、上水の代わりに実施例1で得られた処理水を用いた以外は、実施例1と同様の方法で排水処理を実施した。その結果、希釈工程、凝集工程及び脱水工程を支障なく行うことができた。スラッジ及び処理水の性状を表1に示した。希釈水として処理水を使用したが、スラッジ含水率、処理水の性状において、実施例1と同等以上の結果が得られた。
(実施例3)
実施例2において、処理水による希釈倍率を2倍に変更し、凝集助剤としてポリ硫酸アルミニウムを用いた以外は、実施例2と同様の方法で排水処理を実施した。スラッジ及び処理水の性状を表1に示した。希釈倍率を小さくしたことによりスラッジの含水率がやや高くなり、CODが高くなる傾向が見られた。
(実施例4)
実施例2において、処理水による希釈倍率を3倍に変更し、凝集助剤として硫酸アルミニウム(LAS)を用いた以外は、実施例2と同様の方法で排水処理を実施した。スラッジ及び処理水の性状を表1に示した。スラッジの含水率がやや高く、CODがやや高くなる傾向が見られた。
(実施例5)
高濃度有機物含有排水として、SS濃度100,000mg/Lの硝化液を、実施例1で得られた処理水を用いて5倍に希釈した以外は、実施例1と同様の方法で排水処理を実施した。その結果、希釈工程、凝集工程及び脱水工程を支障なく行うことができた。スラッジ及び処理水の性状を表1に示した。スラッジ含水率、処理水の性状において、実施例2より処理水のSS濃度、COD濃度がやや高くなったが、スラッジの含水率が低く良好な結果が得られた。
(比較例1)
実施例1において、上水による希釈倍率を変更した以外は、実施例1と同様の方法で排水処理を実施した。スラッジ及び処理水の性状を表1に示した。処理水の水質は良好であったが、乾燥後のスラッジ容量が少ないため、処理効率が著しく低下した。
(比較例2)
実施例1において、上水による希釈倍率を変更し、無機系粉末凝集剤を添加しなかった以外は、実施例1と同様の方法で排水処理を実施した。スラッジ及び処理水の性状を表1に示した。生成したスラッジの含水率が高く、処理水はCODが高いため希釈水として利用するには不適であった。
(実施例6)
図1に示す処理装置を用い、コンクリート二次製品工場で発生する汚泥を希釈槽11に導入し、汚泥に対し、5倍容量の上水を添加して希釈液を得た。
希釈液を凝集沈殿槽12に移送し、希釈液に対し、0.05質量%(500g/m)の無機系粉末凝集剤((株)ノアテック製、商品名:「スーパーナミットTN315NY−T3」、平均粒径150μm)を添加撹拌し、汚泥を凝集させた後、撹拌を停止し、約0.5時間静置した後、無機系粉末凝集剤を沈降させスラッジを生成した。
水処理槽14内に、フレコン(固液分離装置13に相当)を吊るし、該フレコンに凝集処理したスラッジを順次入れながら、水を自然落下させることにより、処理水を水処理槽14内に貯水した。得られたスラッジ及び処理水の性状を表1に示した。
表1より、処理水中のSS濃度は100mg/L未満であり、処理水は希釈用水として使用できるものであった。処理水のCOD除去率は100%であり、排出基準値(160mg/L)をクリアーしていた。
(実施例7)
実施例6において、上水の代わりに実施例6で得られた処理水を用い、希釈倍率を変更した以外は、実施例6と同様の方法で汚泥処理を実施した。その結果、希釈工程、凝集工程及び脱水工程を支障なく行うことができた。スラッジ及び処理水の性状を表1に示した。希釈水として処理水を使用したが、スラッジ含水率、処理水の性状において、実施例6と同等以上の結果が得られた。
(比較例3)
実施例7において、希釈倍率を変更し、無機系粉末凝集剤の替わりに、0.1質量%(1L/m)のLASを添加した以外は、実施例7と同様の方法で汚泥処理を実施した。スラッジ及び処理水の性状を表1に示した。スラッジ含水率が高く、処理効果が著しく悪化した。
Figure 0006935924
本発明の排水、汚泥の処理システムは、コンクリート二次製品工場等から排出される高濃度SSを含む汚泥や、生物処理等の高濃度SSを含む排水を、従来よりも低コストで処理することができる。
10 希釈槽
12 凝集沈澱槽
13 固液分離装置
14 水処理槽

Claims (7)

  1. 高濃度の懸濁物質を含む排水または汚泥を、水で10倍(容量)以下に希釈し、希釈液中の懸濁物質の濃度を5,000mg/L〜50,000mg/Lの範囲に調整する希釈工程と、
    該希釈液に含まれる有害物質を除去するための前処理剤及び凝集助剤を添加する前処理工程と、
    該希釈液に無機系粉末凝集剤(ただし、酸性凝集助剤を含まない。)を添加し、懸濁物質を凝集処理する凝集工程と、
    凝集工程で生成したスラッジを簡易脱水する脱水工程と、
    を含むことを特徴とする処理システム。
  2. さらに、脱水工程で生成した処理水に前処理剤を添加し、当該処理水から有害物質を除去する除去工程、及び、
    脱水工程で生成した処理水から有害物質を除去した水を希釈工程に返送する返送工程
    を有する、請求項記載の処理システム。
  3. 前記排水または汚泥における懸濁物質の濃度が10質量%以上である、請求項1または2記載の処理システム。
  4. 無機系粉末凝集剤の添加量が、排水または汚泥の水希釈液に対して、0.05〜0.5質量%である、請求項1〜いずれか記載の処理システム。
  5. 前処理剤が、カルシウムもしくはナトリウム系のアルカリ化剤、重金属固定剤、油分吸着剤、COD成分吸着剤、またはCOD成分分解剤である、請求項いずれか記載の処理システム。
  6. 凝集助剤が、鉄系及びアルミニウム系化合物から選ばれる酸性凝集助剤である、請求項いずれか記載の処理システム。
  7. 無機系粉末凝集剤が、活性二酸化珪素とアルミナを主成分とする無機系粉末凝集剤である、請求項1〜いずれか記載の処理システム。
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