JP6232606B1 - 排水処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】油や界面活性剤などのCOD成分を含有する排水の処理を効率よく行え、処理水のCODを十分低下させることが可能な排水処理方法を提供する。【解決手段】COD成分を含有する排水に、二酸化マンガンと水溶性無機塩を添加して酸性下でCOD成分を分解する前処理を行った後、粉末活性炭を添加して残存COD成分の吸着処理を行い、アルカリ剤を添加して中和し、pH中性領域において、高分子系凝集剤または無機系凝集剤を添加してCOD成分などを吸着した粉末活性炭を凝集処理することを特徴とする排水処理方法である。【選択図】図1
Description
本発明は、COD成分を含有する排水の処理方法に関する。さらに詳しくは、高濃度の有機物を含有する排水を効果的に処理し、COD濃度を低下させることができる排水処理方法に関する。
工場や発電所などから排出される有機物(油、界面活性剤など)を含有する排水は、COD(化学的酸素要求量)が高く、このようなCOD濃度が高い排水の処理としては、一般に、活性炭吸着法、活性汚泥法、オゾンや過酸化水素を添加する方法などが知られている。
しかしながら、活性炭吸着法では、活性炭の吸着能力が短期間に低下し、新しい活性炭との交換頻度が高くなることに伴い、処理コストが増大する。活性汚泥法では、排水中に含まれる有機物によって微生物の活性が弱められるため、前処理設備として凝集分離槽やスラッジ処理設備などを設置しなければならず、活性炭吸着法と同様に処理コストが増大する。オゾン添加法では、オゾン濃度のコントロールが難しく、残存オゾン処理も必要となる。過酸化水素を添加する方法では、添加量を多くしないと処理効率が低下する。
COD濃度が高い排水の処理方法として、特許文献1には、排水に粉末活性炭を添加・吸着処理した後、活性二酸化珪素及びアルミナを主成分とする無機系粉末凝集剤を添加することにより、油分とCOD成分を同時に処理する方法が提案されている。実施例には、油分386mg/L、COD839mg/Lの排水処理例が開示されている。この方法は、凝集沈殿槽内において、排水に粉末活性炭を3質量%添加して処理した後、無機系粉末凝集剤を3000ppm(対排水)添加するため、活性炭の凝集性、凝集した活性炭の沈降性が高く、回収した上澄み水を処理水として系外に排出できる利点がある。
しかしながら、特許文献1記載の方法では、油分などを吸着した活性炭を凝集させてフロックを形成することで、排水のCODを低下させることはできるが、COD濃度が高い排水に適用した場合、活性炭使用量が増えることで処理コストが増大するという課題があった。
しかしながら、特許文献1記載の方法では、油分などを吸着した活性炭を凝集させてフロックを形成することで、排水のCODを低下させることはできるが、COD濃度が高い排水に適用した場合、活性炭使用量が増えることで処理コストが増大するという課題があった。
特許文献2には、ゴミ埋立地浸出水などの難分解性CODを含有する排水に、酸性状態で酸化力を発揮する酸化剤(過マンガン酸塩、過酸化水素など)を添加混合した後、二酸化マンガンの存在下でCODを酸化し、この酸化された酸化液を曝気槽にて曝気して溶存マンガンを不溶化し、曝気槽から排出される曝気液に、中和剤と無機系凝集剤(塩化第二鉄、硫酸第二鉄など)を添加してpH5.8〜8.6(望ましくは7.0〜8.6)に調整した槽内でマンガン化合物を共沈させることにより、処理水と汚泥に分離する方法が提案されている。
しかしながら、特許文献2記載の方法では、無機系凝集剤を添加した槽内のpHをアルカリ側に調整しているので、無機系凝集剤のpH調整機能を利用していない。
しかしながら、特許文献2記載の方法では、無機系凝集剤を添加した槽内のpHをアルカリ側に調整しているので、無機系凝集剤のpH調整機能を利用していない。
本発明は、前記の課題に鑑みてなされたものであり、油や界面活性剤などのCOD成分を含有する排水の処理を効率よく行え、COD濃度が高い排水に対しても処理水のCODを十分低下させることが可能な、排水処理方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明者等は鋭意研究を重ねた結果、COD成分を含有する排水を前処理した後、活性炭及び凝集剤で処理することにより、少ない活性炭使用量で良好な処理結果が得られることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の排水処理方法は、
COD成分を含有する排水に、二酸化マンガンと水溶性無機塩(ただし、酸性凝集助剤を含まない。)と酸性凝集助剤を添加して酸性下でCOD成分を分解する前処理を行った後、
粉末活性炭を添加して残存COD成分の吸着処理を行い、
アルカリ剤を添加して中和し、pH中性領域において、高分子系凝集剤または無機系凝集剤を添加して前記粉末活性炭を凝集処理することを特徴とする。
COD成分を含有する排水に、二酸化マンガンと水溶性無機塩(ただし、酸性凝集助剤を含まない。)と酸性凝集助剤を添加して酸性下でCOD成分を分解する前処理を行った後、
粉末活性炭を添加して残存COD成分の吸着処理を行い、
アルカリ剤を添加して中和し、pH中性領域において、高分子系凝集剤または無機系凝集剤を添加して前記粉末活性炭を凝集処理することを特徴とする。
本発明に係る排水処理方法においては、活性炭吸着処理を行う前に、排水に二酸化マンガンと水溶性無機塩を、必要により酸性凝集助剤等の酸性剤を添加し酸性下で前処理することにより、排水中の油分や界面活性剤などのCOD成分を効率的に除去することができ、その後の活性炭吸着処理が容易になる。
また、本発明に係る排水処理方法においては、排水のCOD濃度が500mg/L以上であるときに、より好適に適用でき効果も高い。
また、本発明に係る排水処理方法においては、二酸化マンガンと水溶性無機塩の排水に対する好ましい合計添加量は、0.05〜5.0質量%の範囲である。添加量が少なすぎる場合は前処理効果が不十分となり、一方、添加量が多すぎても前処理効果の向上は見られず、却って処理コストが高くなるおそれがある。
また、本発明に係る排水処理方法においては、酸性剤が、鉄系凝集助剤またはアルミニウム系凝集助剤であることが好ましいが、硫酸、塩酸、硝酸などの無機酸等も使用可能である。酸性下での二酸化マンガンと水溶性無機塩の添加により排水中のCODの一部が分解され、濃度が低下した排水中のCOD成分を吸着処理することになるので、少量の粉末活性炭の添加で、高濃度の有機物を含有する排水のCOD濃度を低下させることができる。二酸化マンガンと水溶性無機塩を添加する前または添加した後の排水のpHは3.0〜5.5が好ましく、前処理時における排水の温度は35℃以上であることが好ましい。この理由は明らかではないが、排水温度を上げることにより、COD成分の分解を促進する効果があるものと推察される。
また、本発明に係る排水処理方法においては、活性二酸化珪素及びアルミナを主成分とする無機系粉末凝集剤が好ましく用いられる。このような無機系粉末凝集剤は、その凝集性能が排水のpHの影響を受けにくいため、より好適に適用でき効果も高い。
以上説明した通り、本発明の排水処理方法によれば、高濃度のCOD成分を含有する排水を効率的に処理し、処理水のCODを所定の目標値以下にすることが可能となり、その後の上澄み水やスラッジを既設の排水処理設備で処理することができる。
以下、本発明を図を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の排水処理方法の一実施形態を示す概略工程図である。図1に示す排水処理方法は、二酸化マンガンと水溶性無機塩を添加する1次前処理槽10と、酸性剤を添加混合する2次前処理槽20と、活性炭による吸着処理を行うCOD吸着槽30と、pH調整槽40と、凝集剤による凝集処理を行う凝集処理槽50と、を備えている。
先ず、1次前処理槽10に排水(通常pH6〜8)を収容する。次いで、収容した排水に、二酸化マンガンと水溶性無機塩を添加し、撹拌する。二酸化マンガンと水溶性無機塩の添加順序は任意であり、特に限定されない。
排水としては、主に、工場、発電所などから排出される油分、界面活性剤、染色排水、皮革製造排水、塗料排水などの有機物を含有する排水が用いられる。油分としては、例えば、原油、重油、重油貯蔵タンクに堆積したスラッジ等の原油由来成分や、動植物油、絶縁油、潤滑油、離型油、切削油、鉱油、塗料、タンニンなどが挙げられる。本発明の排水処理方法における排水のCOD濃度は、特に限定されるものではないが、排水のCOD濃度が500mg/L以上であるときに、より好適に適用できる。
本発明において、二酸化マンガンは、COD成分を酸化分解し、CODを低減させる効果がある。二酸化マンガンは、排水の水質によって異なるが、排水に対し、0.025〜2.5質量%添加することが好ましく、より好ましくは0.025〜2.0質量%、さらに好ましくは0.025〜1.0質量%である。前記添加量が0.025質量%以上であれば、排水中の有機物を酸化分解することができ、また、2.5質量%以下であれば、残存マンガンを処理するための設備を別途設ける必要がない。
本発明において、水溶性無機塩は、排水中の有機物(油、界面活性剤など)に対する二酸化マンガンの酸化分解を補助する作用があるものと推察される。添加量は排水の水質によって異なるが、二酸化マンガンと同様、排水に対し、0.025〜2.5質量%添加することが好ましく、より好ましくは0.025〜2.0質量%、さらに好ましくは0.025〜1.0質量%である。前記添加量が0.025質量%以上であれば、排水中のCOD成分に対する二酸化マンガンの酸化分解を分解補助することができ、また、2.5質量%以下であれば、その後の処理に悪影響を及ぼす恐れがない。
水溶性無機塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩などの排水に対する溶解度が高い化合物が好ましく、例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウムなどが挙げられる。
排水に添加する二酸化マンガンと水溶性無機塩の割合は、質量比で、8:2〜2:8の範囲が好ましく、より好ましくは6:4〜4:6の範囲である。質量比は、排水中の有機物の種類や量によって、選択することができる。
凝集前処理時においては、排水の温度に特に制限はないが、1次前処理槽10に収容した排水の温度が高い方が、排水のCOD濃度をより低下させることができる。排水の温度は、加熱処理を導入することによる処理コストの増加を考慮すると、35〜60℃程度が好ましい。凝集前処理時には、前記温度の排水をそのまま用いても良いし、排水を加温して用いても良い。
排水温度は、含有する界面活性剤の親水親油バランス(hydrophile-lipophile balance:HLB)を考慮して決定すると良い。例えば、ゴム工場から排出される排水中には離型剤が混入しており、該離型剤としては、エチレンオキサイド(EO)とプロピレンオキサイド(PO)の付加体などの非イオン界面活性剤が使用されることがある。非イオン界面活性剤は固有の曇り点(cloud point)を有し、曇り点以下の温度では水によく溶けるが、曇り点以上の温度では難溶性になることが知られている。水の温度が上がると水和度が減少し、親水基と疎水基のバランスが疎水性に傾く。したがって、1次前処理槽10で水溶性無機塩を添加することにより、曇り点が降下し、排水中のCOD成分がより分解しやすくなるものと推定される。
二酸化マンガンと水溶性無機塩を添加した1次前処理槽10に収容した排水は、後流の2次前処理槽20に移送され、該2次前処理槽において、酸性剤が添加混合される。酸性剤としては、一般的な鉄系凝集助剤またはアルミニウム系凝集助剤などの酸性凝集助剤の他、硫酸や塩酸、硝酸などの無機酸が挙げられるが、中でも、排水中の懸濁物質を凝集できる点より、酸性凝集助剤が好ましく用いられる。酸性凝集助剤としては、例えば、ポリ硫酸アルミニウム(PAC)、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム(通称:硫酸バン土)、ポリ硫酸第二鉄(通称:ポリ鉄)、ポリシリカ鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第二鉄などの溶液や、これらを主成分とする溶液、あるいはこれらの混合液などを用いることができる。これらの酸性凝集助剤のなかでも、マンガン化合物を沈降させる効果が高い点より、塩化第二鉄、硫酸第二鉄などの3価の鉄系凝集助剤が好ましい。酸性凝集助剤は、一般的な使用濃度で用いればよく、通常、排水に対し0.05〜0.5質量%添加する。
2次前処理槽20に収容した排水のpHは、3.0〜5.5(酸性)の範囲にあることが好ましい。従って、排水のpHが前記範囲内にある場合、酸性剤の添加は不要である。
2次前処理槽20の前処理水は、COD吸着槽30に移送され、該COD吸着槽30において、粉末活性炭が添加される。このCOD吸着槽30に収容した前処理水に対するpH調整は必須ではないが、pH5.0〜6.5の範囲にあることが好ましい。
酸性の前処理水に粉末活性炭を添加し、所定の時間、撹拌することによって、前処理水中の残存COD成分が粉末活性炭に吸着する。粉末活性炭の種類は特に限定されない。粉末活性炭としては、平均粒径が200μm以下の粉末活性炭が好ましく、より好ましくは平均粒径が1〜150μm、さらに好ましくは平均粒径が1〜100μmのものが良い。平均粒径が1μm未満では、飛散等し易く取扱いが困難になると共に微粒子化のコストが高くなる傾向があり、150μmを超えると、比表面積が小さくなり、一定の吸着能力を維持するために多量の粉末活性炭を要する傾向がある。粉末活性炭の平均粒径の測定方法としては、レーザー回析散乱法などの公知の方法を用いることができる。
粉末活性炭の添加量は、活性炭の種類や処理対象排水によっても異なるが、排水(処理水)に対して、0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%、特に好ましくは1〜3質量%である。0.1質量%以上であれば、粉末活性炭の吸着能力が不足することがなく、10質量%以下であれば処理コストが著しく増加することがない。
前処理後の排水中に残存しているCOD成分を粉末活性炭に吸着させるための所要時間は特に限定されないが、通常5分間以上撹拌することが好ましい。
前処理後の排水中に残存しているCOD成分を粉末活性炭に吸着させるための所要時間は特に限定されないが、通常5分間以上撹拌することが好ましい。
次いで、粉末活性炭を添加した処理水をpH調整槽40に移送し、移送した前処理水を、中和剤としてアルカリ剤を用い、pH6.0〜8.0に調整する。pHをこの範囲に調整することにより、後流で添加する無機系凝集剤または高分子凝集剤による凝集が円滑に行われるようになる。アルカリ剤としては、消石灰、生石灰、石灰、苛性ソーダ、ソーダ灰などが挙げられるが、スラッジ量の低減の点より、苛性ソーダが好ましい。
次いで、粉末活性炭の入った中性の前処理水を凝集処理槽50に移送し、当該凝集処理槽50中の排水(処理水)に凝集剤を添加する。凝集剤を添加することにより、粉末活性炭に吸着された油やCOD成分が、粉末活性炭とともに凝集沈殿処理され、スラッジとなり、排水中の油分及びCOD成分は、スラッジに含まれて処理されることとなる。一方、凝集処理槽50の上層には、油分やCOD成分が除去された上澄み水が形成される。
凝集剤は、一般的な使用濃度で用いればよく、処理水に対し、0.01〜1.0質量%添加することが好ましく、より好ましくは0.02〜0.5質量%である。
凝集剤は、一般的な高分子系凝集剤や無機系凝集剤を用いることができる。高分子系凝集剤としては、例えば、アクリルアマイド(共)重合体などのポリアクリルアマイド系凝集剤、ポリスチレンスルホン酸などのスチレン系凝集剤、ポリアクリル酸などのアクリル系凝集剤などから選ばれる、ノニオン系、カチオン系、アニオン系、両性系のものを用いることができる。その他、キトサン系の高分子凝集剤や、アルギン酸系の高分子凝集剤を用いることもできる。それらの中でも、性能やコストなどの点から、ポリアクリルアマイド系高分子凝集剤が好ましい。
無機系凝集剤としては、活性二酸化珪素とアルミナを主成分とする無機系粉末凝集剤が好ましい。当該凝集剤は、広いpH領域において優れた凝集性能を発揮するため、処理水のpH調整が容易である利点を有している。
沈降したスラッジを凝集処理槽50の槽外へ排出した後、濾過及び/または脱水処理が行われて、脱水ケーキが得られる。脱水装置としては、従来公知の脱水装置を使用することができ、例えば、織布又は不織布を用いたフィルター、遠心分離機、ロータリープレスフィルター、バグフィルター、フィルタープレス、ベルトプレス等が挙げられる。スラッジは脱水性が極めて良いため、容易に回収することが可能である。脱水装置も簡単な構成のものでよいため、濾過システムや脱水システムの簡素化を図ることができる。
一方、上澄み水は、従来公知の処理装置を使用して処理し、処理水として放流することができる。例えば、上澄み水を砂濾過塔、活性炭吸着塔に順次通過させる方法などが挙げられる。
上澄み水は、水質検査に供される。水質検査では水のpH、SS、CODを計測し、所定の基準値をクリアーしているか否かを検査する。処理水が所定のpH基準値(例えば6〜8)、SS基準値(例えば25mg/L以下)、COD基準値(例えば160mg/L以下)であることを目安とし、処理水として放流することができる。処理水が所定の基準値(特にCOD基準値)をクリアーしていない場合は、再度、前処理、活性炭吸着、中和・凝集処理を行うのが良い。これにより、処理水のCODを確実に所定の基準値以下にすることができる。
本発明に係る排水処理方法においては、活性炭吸着工程(COD吸着槽30)における前処理水の好ましいpHは5.0〜6.5の範囲であり、凝集処理工程(凝集処理槽50)における処理水の好ましいpHは6.0〜8.0の範囲である。活性炭吸着工程の前処理水のpHを前記範囲に調整することにより、排水中のCOD成分等が正荷電を帯びることで活性炭に吸着し易くなると推定される。その後中和剤を用いて処理水のpHを中性に調整することにより電荷が中和され、排水中の浮遊物や溶解物はフロックを形成して速やかに凝集沈澱するようになる。さらに、無機系または高分子系凝集剤を添加することにより、大きなフロックが形成されるため、優れた沈降、分離効果を得ることができる。
以上の処理工程を実施することにより、高濃度のCOD含有排水を、既設排水処理設備で処理可能なまでに処理することができる。
本発明の排水処理方法は、バッチ処理に適用してもよいし、連続処理に適用してもよい。また、1次前処理槽10と2次前処理槽20の処理順序を入れ替え、2次前処理槽20を1次前処理槽、1次前処理槽10を2次前処理槽として構成することもでる。さらに、1次前処理槽10と2次前処理槽20を1つの処理槽で構成することもできる。このように1つの処理槽で前処理を行う場合、二酸化マンガン、水溶性無機塩、酸性剤の添加順序は任意であり、特に限定されない。
またさらに、COD吸着槽30とpH調整槽40と凝集処理槽50を1つの処理槽で構成することもでき、1次前処理槽10から凝集処理槽50までを1つの処理槽で構成することもできる。1次前処理槽10から凝集処理槽50までを1つの処理槽で構成した場合も、二酸化マンガン、水溶性無機塩、酸性剤の添加順序は特に限定されるものではなく、酸性下でCOD成分を分解するための前処理が行われればよい。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はそれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図1に示すような排水処理装置で、鉱油とゴム離型剤(非イオン系界面活性剤)を含む排水を処理した。排水性状は、pH:7.9、SS:36mg/L、COD:3500mg/Lのものを用いた。
図1に示すような排水処理装置で、鉱油とゴム離型剤(非イオン系界面活性剤)を含む排水を処理した。排水性状は、pH:7.9、SS:36mg/L、COD:3500mg/Lのものを用いた。
液温40℃の上記排水を1次前処理槽10に導入し、排水に対し、0.1質量%(1kg/m3)の二酸化マンガンと、0.1質量%(1kg/m3)の硫酸カリウム粉末を添加混合した後、この排水を2次前処理槽20に移送し、排水に対し、0.1質量%(1L/m3)の塩化第二鉄水溶液を添加し約20分間混合した。このときの水(処理水)のpHは3.5であった。
上記の処理水をCOD吸着槽30に導入し、排水に対し、2質量%(20kg/m3)の粉末活性炭((株)ノアテック製、商品名:「NAC−TJ」)を添加した後、撹拌機にて約10分間撹拌して粉末活性炭を処理水中に分散させた。この処理水をpH調整槽40に移送し、苛性ソーダを添加して処理水のpHを6.2に調整した。
中和した処理水を凝集処理槽50に導入した後、処理水に対し、0.05質量%(500g/m3)の無機系粉末凝集剤((株)ノアテック製、商品名:「スーパーナミットTN315NY−T3」、平均粒径150μm)を添加撹拌して粉末活性炭を凝集させた後、撹拌を停止して粉末活性炭と無機系粉末凝集剤を沈降させた。
上記の処理水をCOD吸着槽30に導入し、排水に対し、2質量%(20kg/m3)の粉末活性炭((株)ノアテック製、商品名:「NAC−TJ」)を添加した後、撹拌機にて約10分間撹拌して粉末活性炭を処理水中に分散させた。この処理水をpH調整槽40に移送し、苛性ソーダを添加して処理水のpHを6.2に調整した。
中和した処理水を凝集処理槽50に導入した後、処理水に対し、0.05質量%(500g/m3)の無機系粉末凝集剤((株)ノアテック製、商品名:「スーパーナミットTN315NY−T3」、平均粒径150μm)を添加撹拌して粉末活性炭を凝集させた後、撹拌を停止して粉末活性炭と無機系粉末凝集剤を沈降させた。
上層に透明な上澄み水が得られたことを確認した後、凝集処理槽50の上澄み水を採取し水質分析した。その結果、処理水の水質は、pH6.5、SS10mg/L以下、COD70mg/Lであった。
水処理後の処理水のCOD除去率は98%であり、排出基準値(160mg/L)をクリアーしていた。このため、そのまま処理水として系外に排出することができた。
ここで、凝集剤として用いた「スーパーナミットTN315NY−T3」の主要成分は以下の通りである。
SiO2 約70%
Al2O3 約15%
K2O 約5%
Na2O 約2%
SO3 約1%
CaO 約1%
C 約2%
SiO2 約70%
Al2O3 約15%
K2O 約5%
Na2O 約2%
SO3 約1%
CaO 約1%
C 約2%
(測定方法)
pH:JIS K0102 12.1 ガラス電極法
SS:JIS K0102 14.1 懸濁物質
COD:JIS K0102 17 100℃における過マンガン酸カリウムによる酸素消費量
pH:JIS K0102 12.1 ガラス電極法
SS:JIS K0102 14.1 懸濁物質
COD:JIS K0102 17 100℃における過マンガン酸カリウムによる酸素消費量
(実施例2)
実施例1において、液温25℃の排水を使用した以外は、実施例1と同様の方法で排水を処理した。その結果、処理水の水質は、pH6.5、SS10mg/L以下、COD147mg/Lであった。
実施例1において、液温25℃の排水を使用した以外は、実施例1と同様の方法で排水を処理した。その結果、処理水の水質は、pH6.5、SS10mg/L以下、COD147mg/Lであった。
(比較例1)
実施例1において、硫酸カリウムを添加しなかった以外は、実施例1と同様の方法で排水を処理した。その結果、処理水の水質は、pH6.5、SS10mg/L以下、COD185mg/Lであり、処理効果が著しく悪化した。
実施例1において、硫酸カリウムを添加しなかった以外は、実施例1と同様の方法で排水を処理した。その結果、処理水の水質は、pH6.5、SS10mg/L以下、COD185mg/Lであり、処理効果が著しく悪化した。
(比較例2)
実施例1において、二酸化マンガンを添加しなかった以外は、実施例1と同様の方法で排水を処理した。その結果、処理水の水質は、pH6.5、SS10mg/L以下、COD320mg/Lであり、処理効果が著しく悪化した。
実施例1において、二酸化マンガンを添加しなかった以外は、実施例1と同様の方法で排水を処理した。その結果、処理水の水質は、pH6.5、SS10mg/L以下、COD320mg/Lであり、処理効果が著しく悪化した。
(実施例3)
実施例1において、塩化第2鉄水溶液を添加する代わりに、希塩酸を添加して排水のpHを3.5に調整した以外は、実施例1と同様の方法で排水を処理した。その結果、処理水の水質は、pH6.7、SS10mg/L以下、COD75mg/Lであった。
実施例1において、塩化第2鉄水溶液を添加する代わりに、希塩酸を添加して排水のpHを3.5に調整した以外は、実施例1と同様の方法で排水を処理した。その結果、処理水の水質は、pH6.7、SS10mg/L以下、COD75mg/Lであった。
本発明によれば、従来よりも低コストで高濃度COD排水を処理することができる。
10 1次前処理槽
20 2次前処理槽
30 COD吸着槽
40 pH調整槽
50 凝集処理槽
20 2次前処理槽
30 COD吸着槽
40 pH調整槽
50 凝集処理槽
Claims (7)
- COD成分を含有する排水に、二酸化マンガンと水溶性無機塩(ただし、酸性凝集助剤を含まない。)と酸性凝集助剤を添加して酸性下でCOD成分を分解する前処理を行った後、
粉末活性炭を添加して残存COD成分の吸着処理を行い、
アルカリ剤を添加して中和し、pH中性領域において、高分子系凝集剤または無機系凝集剤を添加して前記粉末活性炭を凝集処理することを特徴とする排水処理方法。
- 排水のCOD濃度が500mg/L以上である、請求項1記載の排水処理方法。
- 水溶性無機塩が硫酸カリウムである、請求項1または2記載の排水処理方法。
- 二酸化マンガンと水溶性無機塩を添加する前または添加した後のpHが3.0〜5.5である、請求項1〜3いずれか記載の排水処理方法。
- 前処理時に、酸性剤として、鉄系凝集助剤またはアルミニウム系凝集助剤から選ばれる酸性凝集助剤を添加する、請求項1〜4いずれか記載の排水処理方法。
- 前処理時における排水の温度が35℃以上である、請求項1〜5いずれか記載の排水処理方法。
- 無機系凝集剤が、活性二酸化珪素とアルミナを主成分とする無機系粉末凝集剤である、請求項1〜6いずれか記載の排水処理方法。
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---|---|---|---|
JP2017088372A JP6232606B1 (ja) | 2017-04-27 | 2017-04-27 | 排水処理方法 |
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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