JP4806426B2 - 重金属イオンを、無機懸濁粒子と同時に無害化処理する方法及び無害化処理装置 - Google Patents

重金属イオンを、無機懸濁粒子と同時に無害化処理する方法及び無害化処理装置 Download PDF

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Description

本発明は無機懸濁粒子を含有する排水中に含まれる重金属イオンを、無機懸濁粒子と同時に無害化処理する方法及び無害化処理装置に関するものである。
工業排水中には、無機懸濁粒子及び重金属イオンが同時に含まれるが、このうちの無機懸濁粒子について、本発明者は、正または負に荷電した無機懸濁粒子を含有する排水を、多量の脱水汚泥を発生させることなく安価に凝集処理することができ、しかも排水の性状が変化した場合にも、常に安定したフロックを形成し、処理水質を安定させることができる排水の処理方法を開発し、出願済みである(特許文献1、特許文献2)。一方、排水中の重金属イオンについては特許文献1、特許文献2のいずれの方法によっても無害化処理をすることはできないため、重金属イオンについての所定の排水基準値を満足するためには、無機懸濁物質の凝集処理に先立って、ポリ塩化アルミニウム(PAC)等の無機凝集剤を用いた凝集により重金属イオンの不溶化処置を行う必要がある。
PAC等の無機凝集剤を用いて凝集を行うためには、無機凝集剤を加えて攪拌後に中和槽に送液し、NaOHを添加してPACの反応に適したpH6.3前後の中性領域に調整し、凝集槽においてフロックを生成させ、ここで生成したフロックは凝集沈殿槽で沈降分離され、沈降物は脱水され脱水ケーキとして処分される(特許文献3)。
したがって、環境問題の観点から埋め立て制限されている重金属のイオンを上記手法によって凝集処理する場合には、多量に発生する脱水ケーキの処理の問題があった。また、pH調整のために、劇薬であるNaOHを多量に使用しなければならない問題があった。
特開2006−75818号公報 特開2006−263572号公報 特開2002−66568号公報
本発明の目的は上記した従来の問題を解決して、無機懸濁粒子を含有する排水中に含まれる重金属イオンについて、無機懸濁粒子と同時に、しかも効率よく凝集除去により無害化することができ、また重金属イオンの無害化の工程で、劇薬であるNaOHの使用量を減少させ、また脱水汚泥の発生量を減少させる方法及び装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた請求項1の発明は、無機懸濁粒子及び重金属イオンを含む排水をフィルターでろ過して生じた濃縮水に、カチオン系の第一の高分子凝集剤を添加し、次にアニオン系またはノニオン系の第2の高分子凝集剤を添加してフロックを形成させ、シックナーにより、汚泥と上澄水に分離する方法であって、濃縮水をSS(無機懸濁物質)制御槽に導いてSSを1500〜4000ppmに制御した上で、第一の高分子凝集剤を添加することを特徴とするものである。ここで無機懸濁物質は、カーボン、金属酸化物、金属炭化物、金属窒化物等から構成される粒子をいう。なお、SSを制御するためには、シックナーから返送された汚泥をSS制御槽に導いて混合することが好ましい。
また、上記課題を解決するためになされた請求項3の発明は、無機懸濁粒子及び重金属イオンを含む排水をフィルターでろ過して生じた濃縮水に、カチオン系の第一の高分子凝集剤を添加し、次にアニオン系またはノニオン系の第2の高分子凝集剤を添加してフロックを形成させ、シックナーにより汚泥と上澄水とに分離する方法において、濃縮水をSS制御槽に導き、60〜200メッシュ(200〜74μm)の汚泥と混合してSSを1600〜5000ppmに制御したうえ、第一の高分子凝集剤を添加することを特徴とするものである。
さらに上記の課題を解決するためになされた請求項4の発明は、無機懸濁粒子及び重金属イオンを含む排水をフィルターでろ過して生じた濃縮水に、カチオン系の第一の高分子凝集剤を添加し、次にアニオン系またはノニオン系の第2の高分子凝集剤を添加してフロック形成させ、シックナーにより汚泥と上澄水とに分離する方法において、濃縮水をSS制御槽に導き、60〜200メッシュ(200〜74μm)に調整されたアルミナ質粒子を0.1〜1.0%混和してSSを1700〜6000ppmに制御したうえ、第一の高分子凝集剤を添加することを特徴とするものである。更にシックナーから返送された上記成分の汚泥をSS制御槽に導き混合することが好ましい。また、請求項1〜5の発明においては、SSの濃度を制御するために、必要により加水手段を用いることが出来る。
請求項1〜5の発明においては、カチオン系の第一の高分子凝集剤が、ジメチルアミノエチルメタクリエート(DMA)またはDMAの4級塩とアクリルアミドとの共重合物であることが好ましく、第2の高分子凝集剤が、アニオン系単独、アニオン系とノニオン系との混合、アニオン系及びノニオン系、ノニオン系の何れかであることが好ましい。
また請求項9の無機懸濁粒子を含む排水処理装置の発明は、無機懸濁粒子及び重金属イオンを含む排水をろ過するドラムフィルターと、ドラムフィルターから排出される濃縮水のSSを制御するSS制御槽と、該SS制御槽内へ加水を行う加水手段と、SSが制御された濃縮水にカチオン系の第一の高分子凝集剤を添加・攪拌する第一攪拌槽と、さらにアニオン系またはノニオン系の第2の高分子凝集剤を添加・攪拌する第2攪拌槽と、フロックを沈降分離するシックナーと、その上澄水の砂ろ過装置とからなる重金属イオンを無機懸濁粒子と同時に無害化処理する装置であって、該SS制御槽は、濃縮水のSS濃度を計測するSS濃度計測手段と、該SS濃度計測手段の計測結果に基づき、加水手段から水を加えて、あるいはシックナーからの汚泥を混合し、SS濃度を1500〜4000ppmに制御するSS制御手段を備えることを特徴とするものである。
なお、シックナーから排出された汚泥を粒径により分別する手段や、分別された汚泥をSS制御槽に返送する手段、更に、SS制御槽に、アルミナ質粒子を供給する手段を設けることが好ましい。
請求項1〜請求項6の発明は、いずれも、無機懸濁粒子及び重金属イオンを含む排水にカチオン系の第1の高分子凝集剤を添加し、次にアニオン系またはノニオン系の第2の高分子凝集剤を添加してフロックを形成させて、シックナーにより汚泥と上澄水とに分離することを特徴とするものである。前記フロック形成過程は、まず水中で、正の荷電を有する第1の高分子凝集剤を添加して無機懸濁粒子及び重金属イオンの表面電荷を正とした上で、アニオン系またはノニオン系の高分子凝集剤を添加して電荷が中性となる状態を形成することで、フロックを形成させたものである。
請求項1の発明では、濃縮水をSS制御槽に導いて必要に応じて加水を行い、あるいはシックナーからの汚泥を混合し、SSを1500〜4000ppmに制御した上で、高分子凝集剤を添加することにより、安定したフロック形成が可能となると共に、フロックへの重金属イオンの吸着吸蔵作用が大きくなり、排水からの重金属イオン排除効果が高まるという効果も、同時に得られる。
請求項3の発明では、粒径が制御された汚泥を返送汚泥としてSS制御槽に投入し、SSを1600〜5000ppm、好ましくは2000〜4000ppmに制御することにより、大きな密度あるフロックを形成することができる。このようなフロックは、重金属イオンの吸蔵吸着効果が大きく、したがって金属イオン除去効果が高いうえ、短時間で固液分離が可能で処理水の清澄性が向上するという効果が得られる。
請求項4の発明では、アルミナ質粒子を0.1〜1.0%混合してSSを1700〜6000ppm、好ましくは3000〜5000ppmに制御することにより、アルミナ質粒子が核形成剤として作用し、密度の大きなフロックが形成されて、更に重金属イオンの除去および固液分離が容易となるという効果が得られる。
なお、SS濃度に比例して、重金属イオンの排除量も増加するという効果も得られる。また、固液分離後の排水は、ほとんど重金属イオンを含まないため、残留する懸濁物質の有無にかかわらず、浄化処理できるという利点がある。
(請求項1の発明の実施形態)
図1は請求項1の発明の実施形態を示すブロック図であり、無機懸濁粒子及び重金属イオンを含む排水は先ずドラムフィルター1でろ過される。排水は、行政庁所定のpH基準を満たす中性領域(pH5.8〜8.6)にあることが必要であるが、このpH領域でイオン化している重金属のイオンが本発明の処理対象となる。具体的には、Cu,Fe,Cr,Pb,Cd,Hg,Co,Ni等の重金属のイオンが対象となる。
ドラムフィルター1は好ましくは60メッシュのもので、重金属イオンと、無機懸濁粒子のうち60メッシュアンダーのものはドラムフィルター1を通過し、ろ過水とともに砂ろ過装置7に送られて捕捉される。それ以上のサイズの無機懸濁粒子は濃縮水に含有されて、濃縮水に溶解している重金属イオンとともに、SS制御槽2に導かれる。
このSS制御槽2は、濃縮水のSS濃度を計測して必要に応じて、加水手段9から水を加えて、あるいはシックナーからの汚泥を混合し、SS濃度を1500〜4000ppmに制御する。SS濃度をこの範囲に制御することによって、次工程において安定したフロック形成が可能となる。
重金属イオン共存下では、SS濃度が低いと十分なフロック形成と重金属イオンの吸着吸蔵ができず、濃度が高いと凝集しきれないSSが残留して好ましくないことから、最適範囲に制御することが必要となる。なお、無機懸濁粒子のみを含む排水を処理対象とした特許文献2に係る発明では、十分なフロック形成を行い、かつ、凝集しきれないSSが残留することのない濃度範囲として、SS濃度を500〜1000ppmに制御する必要があったが、無機懸濁粒子に重金属イオンが共存する排水を処理対象とした本発明では、SS濃度の制御範囲を1500〜4000ppmとすることが必要である。
重金属イオンの存在下において、安定したフロックを形成するためには、SS濃度を特許文献2に係る発明よりも高くすることが必要となった理由としては、重金属イオンと高分子凝集剤と無機懸濁粒子との相互作用により、ゼータ電位が変化することが考えられる。すなわち、これらの相互作用により、重金属イオンをフロック内に取り込むための化学的結合力や化学的中和力が不足するため、重金属イオン排除を行うためには、SS濃度を1500ppm以上に制御することが必要となると考えられる。一方、SS濃度が4000ppmよりも濃い場合には、凝集しきれないSSが残留してしまい、この場合にも、効果的に重金属イオンを排除できない。
なお、固液分離能はSS濃度に比例するため、前記理由でSS濃度の上限が向上する本発明においては、固液分離能の著しい向上が図られることとなる。すなわち、本発明では、重金属イオン排除効果を得るために、SS濃度を向上させ、このSS濃度の向上により、固液分離能の著しい向上が図られるため、重金属イオン排除効果と、迅速な固液分離効果とを同時に達成することができる。
SS濃度が調整された濃縮水は第1攪拌槽3においてカチオン系の第1の高分子凝集剤が添加され、次に第2攪拌槽4においてアニオン系またはノニオン系の第2の高分子凝集剤を添加される。カチオン系高分子凝集剤としては、その全部または一部が、ジメチルアミノエチルメタクリエート(DMA)またはDMAの4級塩とアクリルアミドとの共重合物であることが好ましい。高分子凝集剤は粘性が高いという特性を有するため、過剰量の添加は固液分離能の低下につながり、好ましくない。具体的には、高分子凝集剤の添加量は排水の固形分(DS)あたり10〜100ppmに制御することが好ましい。
第1の高分子凝集剤は負に荷電した無機懸濁粒子に電気的に吸着してフロックを形成するとともに、全体を正に荷電させる役割を持つ。実験の結果によれば分子量が250万〜450万のDMA,好ましくは300〜400万の分子量が好適であった。またDMAの4級塩とアクリルアミドとの共重合物は、分子量が700万〜750万のものがフロック形成に最適であった。
フロック形成に最適な分子量が存在する理由は、分子量が大きすぎると、高分子自身が絡まって球状となりやすく、懸濁粒子との相互作用が弱くなってフロック形成がしにくくなり、分子量が小さすぎると懸濁粒子と高分子との接触度合が減少し、大きなフロックの形成が起こりにくくなるためである。また上述のように高分子凝集剤が別の成分との共重合体の場合、懸濁粒子と高分子の相互作用が影響を受けるため、最適な分子量がシフトするためである。
このようにして第1の高分子凝集剤を添加し攪拌したうえで、第2の高分子凝集剤を添加する。この第2の高分子凝集剤は、第1の高分子凝集剤により正に荷電した状態から電荷が中性となる状態とするためのものであり、アニオン系高分子凝集剤単独、あるいはアニオン系高分子凝集剤とノニオン系高分子凝集剤とを混合したものが用いられる。混合の場合には、ノニオン系高分子凝集剤が全体の90%を超えないようにする。ノニオン系高分子凝集剤がそれ以上になると、電荷を中性に戻す効果が不十分になるためである。第2の高分子凝集剤の添加量は、排水の固形分(DS)あたり10〜100ppm程度で十分である。
ここでアニオン系高分子凝集剤及びノニオン系高分子凝集剤としては、特にポリアクリル酸ソーダとポリアクリルアミドとの共重合物、あるいはポリアクリルアミドを用いることが好ましい。
第2の高分子凝集剤を添加し攪拌することにより電荷が中性になると、凝集作用が高まってフロックが巨大化するとともに高密度化し、沈降槽5において速やかに沈降する。この操作は安定的に行わせることができ、フロック生成は短時間で進行し、生成したフロックはろ過性が良好でシックナー6により汚泥(フロック)と上澄水とに容易に固液分離を行うことができる。これにより排水中に含まれる無機懸濁粒子及び重金属イオンの大部分は汚泥として除去されるので、フロックを分離した上澄水は砂ろ過装置7を通過し、監視槽8でSSのチェックを行った上で放流される。
本発明によれば、無機凝集剤を使用しないため、フロックを脱水した脱水ケーキの発生量は僅かであり、処理コストを抑制することができる。またSS濃度を1500〜4000ppmに制御したうえ高分子凝集剤を添加するので、安定したフロック形成が可能となる。
また、SS成分は繰り返し使用しても、フロック形成効果の低下は少ないため、繰り返し使用が可能であり、汚泥処理のコストの観点からも有益である。
(請求項3の発明の実施形態)
図2は請求項3の発明の実施形態を示すブロック図であり、そのフローは基本的に請求項1の発明と同様である。しかし図2のフローにはシックナー6により分離された汚泥(フロック)の一部を分別する分別手段10と、分別された汚泥をSS制御槽2に返送する返送手段11とが設けられている。シックナー6の汚泥は60〜200メッシュの粒度に分別されたうえ、返送される。必要により加水手段によりSS濃度の制御を行う。
請求項3の発明においては、ドラムフィルター1からの濃縮水はSS制御槽2において返送汚泥と混合され、SSを2000〜5000ppmに制御される。SS濃度が1600ppmより薄いと重金属イオン排除効果が少なく、5000ppmよりも濃いと凝集しきれないSSが残留して十分な重金属イオン排除効果が得られない。
なお、処理対象である排水に、返送汚泥を混合した場合、重金属イオン共存下では、返送汚泥の存在と無機懸濁粒子と重金属イオンと高分子凝集剤との相互作用により、ゼータ電位が変化することが考えられる。すなわち、これらの相互作用により、重金属イオンをフロック内に取り込むための化学的結合力や化学的中和力が不足するため、重金属イオン排除を行うためには、SS濃度を1600ppm以上に制御することが必要となると考えられる。一方、SS濃度が5000ppmよりも濃い場合には、凝集しきれないSSが残留してしまい、この場合にも、効果的に重金属イオンを排除できない。
なお、固液分離能はSS濃度に比例するため、前記理由でSS濃度の上限が向上する本発明においては、固液分離能の著しい向上が図られることとなる。すなわち、本発明では、重金属イオン排除効果を得るために、請求項1に係る発明よりも、更にSS濃度を向上させることが必要となり、このSS濃度の向上により、固液分離能の更に著しい向上が図られるため、重金属イオン排除効果と、より迅速な固液分離効果とを同時に達成することができる。
(請求項4の発明の実施形態)
図3は請求項4の発明の実施形態を示すブロック図であり、そのフローは基本的に請求項1の発明と同様である。図3のフローにはSS制御槽2への粒子添加手段12が設けられており、例えば碍子製造工場から排出されるセルベンのような60〜200メッシュに調整されたアルミナ質粒子を濃縮水に0.1〜1.0%添加混合し、SSを1700〜6000ppmに制御する。また必要により加水手段や返送汚泥のプロセスを追加してもよい。なお、SS濃度が1700ppmより薄いと顕著な重金属イオンの排除効果がなく、6000ppmよりも濃いと凝集しきれないSSが残留して十分な重金属イオン排除効果が得られない。SSが3000〜5000ppmの範囲であれば重金属のイオン排除効果は、より効果が大きい。
この請求項4の発明によれば、添加されたアルミナ質粒子が核形成剤として作用し、密度の大きなフロックが形成されて固液分離が容易となる。なおセルベンとはムライト、コランダム、シリカの複合体の焼成物であり、比重は2.95である。ムライトやコランダムを用いることもできる。その他粒子添加手段として、ジルコニアは高価であるうえ比重が5.68と重くフロック形成に難がある。また生成過程で水和物を作製するのでフロック形成に好ましくない。一般的に、添加されるアルミナ質粒子の比重が大きいほど、固液分離が容易になる。また、使用する粒径を60〜200メッシュに調整することで安定的なフロック形成が可能となり、固液分離が短時間で容易となる。60メッシュより小さいか、200メッシュより大きいとフロック形成に難があり、固液分離が困難になる。
なお、処理対象である排水に、アルミナ質粒子を混合した場合、重金属イオン共存下では、アルミナ質粒子と無機懸濁粒子と重金属イオンと高分子凝集剤との相互作用により、ゼータ電位が変化することが考えられる。すなわち、これらの相互作用により、重金属イオンをフロック内に取り込むための化学的結合力や化学的中和力が不足するため、重金属イオン排除を行うためには、SS濃度を1700ppm以上に制御することが必要となると考えられる。一方、SS濃度が6000ppmよりも濃い場合には、凝集しきれないSSが残留してしまい、この場合にも、効果的に重金属イオンを排除できない。
なお、固液分離能はSS濃度に比例するため、前記理由でSS濃度の上限が向上する本発明においては、固液分離能の著しい向上が図られることとなる。すなわち、本発明では、重金属イオン排除効果を得るために、請求項1に係る発明や請求項3に係る発明よりも、更にSS濃度を向上させることが必要となり、このSS濃度の向上により、固液分離能の更に著しい向上が図られるため、重金属イオン排除効果と、より迅速な固液分離効果とを同時に達成することができる。
以上に説明した請求項1,3,4の発明は単独で実施しても、組み合わせて実施しても差し支えない。以下に各発明の実施例を示す。
(請求項1の発明の実施例)
無機懸濁粒子として1〜10ppmの金属炭化物(炭化珪素)及び、8ppm
又は350ppmの銅イオンを含有する排水をドラムフィルターでろ過し、無機懸濁粒子の濃度を3〜30ppmに濃縮した。この濃縮水をSS制御槽において金属炭化物(炭化珪素)の返送汚泥を加えて、SS制御したうえ、第1の高分子凝集剤としてジメチルアミノエチルメタクリレート(DMA)を50ppm添加し、第2の高分子凝集剤としてポリアクリルアミドを50ppm添加してフロックを形成し、シックナーで固液分離した。なお分離された汚泥の一部は粒度を分別することなく、SS制御槽に返送した。前記のSS制御を請求項1の範囲(1500〜4000ppm)の前後で行い、監視槽における銅濃度及び凝集せずに残留したSS濃度を測定し、総合的な判断結果を表1に示した。
下記の判定は、監視槽のCu濃度が0.5ppm未満を◎、0.5ppm〜1ppm未満を○、1ppm以上を△とし、かつ、残留したSS濃度が6ppm未満を◎、6〜10ppm未満を○、10ppm以上を△として、評価した。
Figure 0004806426
(請求項3の発明の実施例)
無機懸濁粒子として1〜10ppmの金属炭化物(炭化珪素)及び、8ppm
又は350ppmの銅イオンを含有する排水をドラムフィルターでろ過し、無機懸濁粒子の濃度を3〜30ppmに濃縮した。この濃縮水をSS制御槽において金属炭化物(炭化珪素)の返送汚泥を加え、SS制御したうえ、第1の高分子凝集剤としてジメチルアミノエチルメタクリレート(DMA)を50ppm添加し、第2の高分子凝集剤としてポリアクリルアミドを50ppm添加してフロックを形成し、シックナーで固液分離した。なお分離された汚泥の一部は粒度を60〜200メッシュに分別し、SS制御槽に返送した。前記のSS制御を請求項3の範囲(1600〜5000ppm)の前後で行い、監視槽における銅濃度及び凝集せずに残留したSS濃度を測定し、総合的な判断結果を表2に示した。前記の請求項1の発明の実施例の表1と、本発明の表2を比較すると、請求項3の発明では、請求項1の発明より、更に高い重金属イオン排除効果と、固液分離能の向上効果が得られることが分かる。
下記の判定は、前記表1と同様の基準で評価した。
Figure 0004806426
(請求項4の発明の実施例)
無機懸濁粒子として1〜10ppmの金属炭化物(炭化珪素)及び、8ppm
又は350ppmの銅イオンを含有する排水をドラムフィルターでろ過し、無機懸濁粒子の濃度を3〜30ppmに濃縮した。この濃縮水をSS制御槽において金属炭化物(炭化珪素)の返送汚泥を加え、SS制御したうえ、60〜200メッシュに分別された碍子のセルベンを0.5%添加したのち、第1の高分子凝集剤としてジメチルアミノエチルメタクリレート(DMA)を50ppm添加し、第2の高分子凝集剤としてポリアクリルアミドを50ppm添加してフロックを形成し、シックナーで固液分離した。なお分離された汚泥の一部は粒度を分別することなく、SS制御槽に返送した。監視槽における銅濃度の測定結果を表3に示した。前記のSS制御を請求項4の範囲(1700〜6000ppm)の前後で行い、監視槽における銅濃度及び凝集せずに残留したSS濃度を測定し、総合的な判断結果を表2に示した。前記の請求項1および3の発明の実施例の表1および2と、本発明の表3を比較すると、請求項4の発明では、請求項1および3の発明より、更に高い重金属イオン排除効果と、固液分離能の向上効果が得られることが分かる。
下記の判定は、前記表1と同様の基準で評価した。
Figure 0004806426
なお、返送汚泥の成分としては、金属炭化物以外のカーボン、炭化物、窒化物、酸化物でも同じ効果が見られた。
請求項1の発明の実施形態を示すブロック図である。 請求項3の発明の実施形態を示すブロック図である。 請求項4の発明の実施形態を示すブロック図である。
符号の説明
1 ドラムフィルター
2 SS制御槽
3 第1攪拌槽
4 第2攪拌槽
5 沈降槽
6 シックナー
7 砂ろ過装置
8 監視槽
9 加水手段
10 分別手段
11 返送手段
12 粒子添加手段

Claims (11)

  1. 無機懸濁粒子及び重金属イオンを含む排水をフィルターでろ過して生じた濃縮水に、カチオン系の第一の高分子凝集剤を添加し、次にアニオン系またはノニオン系の第2の高分子凝集剤を添加してフロックを形成させ、シックナーにより、汚泥と上澄水に分離する方法であって、濃縮水をSS制御槽に導いてSSを1500〜4000ppmに制御した上、第一の高分子凝集剤を添加することを特徴とする
    重金属イオンを無機懸濁粒子と同時に無害化処理する方法。
  2. SSの濃度をシックナーから返送された汚泥と混合することにより制御することを特徴とする請求項1に記載の重金属イオンを無機懸濁粒子と同時に無害化処理する方法。
  3. 無機懸濁粒子及び重金属イオンを含む排水をフィルターでろ過して生じた濃縮水に、カチオン系の第一の高分子凝集剤を添加し、次にアニオン系またはノニオン系の第2の高分子凝集剤を添加してフロックを形成させ、シックナーにより汚泥と上澄水とに分離する方法であって、濃縮水をSS制御槽に導き、60〜200メッシュ(200〜74μm)の汚泥と混合してSSを1600〜5000ppmに制御したうえ、第一の高分子凝集剤を添加することを特徴とする
    重金属イオンを無機懸濁粒子と同時に無害化処理する方法。
  4. 無機懸濁粒子及び重金属イオンを含む排水をフィルターでろ過して生じた濃縮水に、カチオン系の第一の高分子凝集剤を添加し、次にアニオン系またはノニオン系の第2の高分子凝集剤を添加してフロック形成させ、シックナーにより汚泥と上澄水とに分離する方法であって、濃縮水をSS制御槽に導き60〜200メッシュ(200〜74μm)に調整されたアルミナ質粒子を0.1〜1.0%混和してSSを1700〜6000ppmに制御したうえ、第一の高分子凝集剤を添加することを特徴とする
    重金属イオンを無機懸濁粒子と同時に無害化処理する方法。
  5. シックナーから返送された汚泥を更に混合することを特徴とする請求項4に記載の重金属イオンを無機懸濁粒子と同時に無害化処理する方法。
  6. SSの濃度を制御する手段として加水を含むことを特徴とする請求項1〜5の何れか記載の重金属イオンを無機懸濁粒子と同時に無害化処理する方法。
  7. カチオン系の第一の高分子凝集剤が、ジメチルアミノエチルメタクリエート(DMA)またはDMAの4級塩とアクリルアミドとの共重合物であることを特徴とする請求項1〜6の何れか記載の重金属イオンを無機懸濁粒子と同時に無害化処理する方法。
  8. 第2の高分子凝集剤が、アニオン系単独、アニオン系とノニオン系との混合、アニオン系及びノニオン系、ノニオン系の何れかであることを特徴とする請求項1〜6の何れか記載の重金属イオンを無機懸濁粒子と同時に無害化処理する方法。
  9. 無機懸濁粒子及び重金属イオンを含む排水をろ過するドラムフィルターと、ドラムフィルターから排出される濃縮水のSSを制御するSS制御槽と、該SS制御槽内へ加水を行う加水手段と、SSが制御された濃縮水にカチオン系の第一の高分子凝集剤を添加・攪拌する第一攪拌槽と、さらにアニオン系またはノニオン系の第2の高分子凝集剤を添加・攪拌する第2攪拌槽と、フロックを沈降分離するシックナーと、その上澄水の砂ろ過装置とからなる重金属イオンを無機懸濁粒子と同時に無害化処理する装置であって、
    該SS制御槽は、濃縮水のSS濃度を計測するSS濃度計測手段と、該SS濃度計測手段の計測結果に基づき、加水手段から水を加えて、あるいはシックナーからの汚泥を混合し、SS濃度を1500〜4000ppmに制御するSS制御手段を備えることを特徴とする重金属イオンを無機懸濁粒子と同時に無害化処理する装置。
  10. シックナーから排出された汚泥を粒径により分別する手段と、分別された汚泥をSS制御槽に返送する手段とを備えたことを特徴とする請求項9記載の重金属イオンを無機懸濁粒子と同時に無害化処理する装置。
  11. SS制御槽に、アルミナ質粒子を供給する手段を設けたことを特徴とする請求項9または10記載の重金属イオンを無機懸濁粒子と同時に無害化処理する装置。
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