JP3680742B2 - ダイオキシン類を含む廃水の処理方法 - Google Patents

ダイオキシン類を含む廃水の処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はダイオキシン類を含む廃水の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
塩化ビニールなどの有機塩素化合物を含む廃棄物の焼却施設では、焼却条件によってダイオキシン類が発生する場合があり、特に300℃程度の低温で前記廃棄物を燃焼した際にダイオキシン類が発生し易いといわれている。したがって、この種の焼却施設で発生した焼却灰を埋立てると、埋立地の浸出水から人体に有害とされるレベルでダイオキシン類が検出されることがある。また、各種の産業廃水にダイオキシン類が含まれる場合がある。これらのダイオキシン類を含む廃水の処理にあたっては、処理水や処理に伴って発生する汚泥にダイオキシン類が含まれないようにする必要がある。
【0003】
前記廃水が有機物を多く含む場合には、通常、生物学的な処理(以下、単に生物処理という。)を実施するが、ダイオキシン類は生物学的に難分解性であり、処理水や処理に伴って発生する汚泥にダイオキシン類が残存する。このため、処理水を活性炭塔に通し、残存するダイオキシン類を吸着することが考えられる。しかしながら、共存する他の有機物によって活性炭が消費され、活性炭の使用量が膨らむ割りにはダイオキシン類を十分に除去することができない。また、ダイオキシン類が残存する余剰汚泥をそのまま埋立処分すると、ダイオキシン類が雨水により再度溶け出すので環境汚染の問題が一向に解決しない。この余剰汚泥を焼却処理すればダイオキシン類は分解するが、焼却コストが膨大となる。
【0004】
また、前記廃水が無機系の場合には、物理化学的な処理として活性炭吸着処理、オゾン酸化処理、紫外線酸化処理及びこれらの組み合せ処理が考えられるが、活性炭、オゾンなどの使用量が膨らみ運転費の増大を招くという問題点がある。特に前記廃水中にダイオキシン類以外の有機物が共存すると、活性炭やオゾンがこれらの有機物の吸着や酸化に選択的に消費されて、目的とするダイオキシン類の除去効果が得られないという問題点がある。紫外線酸化処理の場合には設備費が高騰するとともに、廃水中に濁質成分が多いときは紫外線が透過し難く、処理効果を期待できない。さらには、難分解性の有機物を含む廃水に鉄イオンの存在下で過酸化水素を添加し、有機物を強力な酸化反応で分解する、いわるるフェントン酸化処理(以下、単にフェントン処理という。)が知られている。このフェントン処理をダイオキシン類を含む廃水に対して適用することも考えられるが、鉄イオンや過酸化水素の添加量が多くなり、特に希薄なダイオキシン類を除去する目的には向かない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を改善し、廃水中に含まれるダイオキシン類を効率よく除去することができ、かつ薬品類の使用量が少ないダイオキシン類を含む廃水の処理方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明のダイオキシン類を含む廃水の処理方法は、溶存性のダイオキシン類とSS性のダイオキシン類とを含む廃水を凝集処理することによって前記溶存性のダイオキシン類をSS性のダイオキシン類に移行させるとともに、凝集処理後の前記廃水を処理水とSS濃度が10,000mg/L以上の汚泥とに固液分離し、分離した前記汚泥を鉄イオンの存在下に過酸化水素を添加することによって処理することを特徴とする。
【0007】
また、本発明のダイオキシン類を含む廃水の処理方法は、前記汚泥が膜分離手段によってSS濃度が30,000mg/L程度に濃縮されたものであることを特徴とする。
【0011】
【作用】
本発明は基本的には前記したフェントン処理を包含する方法である。但し、処理効率及び薬品類の使用量を低減するために、ダイオキシン類を含む廃水をまず凝集処理することによって溶存性のダイオキシン類をSS性のダイオキシン類に移行させるとともに、凝集処理後の前記廃水を処理水とSS濃度が10,000mg/L以上の汚泥とに固液分離し、分離した汚泥に対してフェントン処理を施す。すなわち、廃水中のダイオキシン類には溶存性のダイオキシン類と、水中の懸濁物質(SS)に付着して存在するSS性のダイオキシン類がある。凝集処理すると大部分のダイオキシン類がSS性のダイオキシン類に移行して汚泥の側に濃縮される。この理由としては、ダイオキシン類は疎水性であり水に溶けにくいため元々SS性のダイオキシン類の比率が多いこと、凝集反応により溶存性のダイオキシン類が凝集フロックに取り込まれてSS性のダイオキシン類に移行することなどが推定される。したがって、処理水中のダイオキシン類の濃度は希薄となり、ダイオキシン類を除去するための格別の後処理を必要としない。一方、SS濃度が10,000mg/L以上、好ましくは膜分離手段によってSS濃度が30,000mg/L程度に濃縮された汚泥中のSS性のダイオキシン類についてはフェントン処理によって効率よく酸化分解できる。このため、フェントン処理に必要な鉄イオンや過酸化水素などの薬品類の使用量を低減できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施の形態を示す系統図である。ダイオキシン類を含む廃水10は、必要に応じて前処理12を受けた後、凝集槽14に供給される。凝集槽14では凝集剤16とpH調整剤18が添加され、廃水10はここで凝集処理を受けた後、次段の固液分離手段20で処理水22と汚泥23に分離される。凝集処理すると大部分のダイオキシン類がSS性のダイオキシン類に移行して汚泥の側に濃縮される。固液分離手段20としては沈殿分離が一般的であるが、本発明においては膜分離が特に好ましい。沈殿処理の場合は沈降しきれない微細な懸濁粒子にSS性のダイオキシン類が付着しており、処理水22中のダイオキシン類の濃度を上げる原因となるが、膜分離の場合にはこれらのSS性のダイオキシン類を確実に汚泥の側に移行させることができる。また、沈殿処理の場合には汚泥の沈降性の関係から、汚泥濃度を10,000mg/L程度までにしか濃縮できない。一方、膜分離の場合には汚泥濃度を30,000mg/L程度までに容易に濃縮できるので、後段のフェントン処理の効率を向上させることができる。
上述の固液分離によって処理水22中のダイオキシン類の濃度は希薄となり、ダイオキシン類を除去するために格別の処理を必要としない。処理水22は必要に応じて砂濾過、消毒などの後処理24を施した後に、放流水26として放流する。
【0013】
固液分離手段20で分離された汚泥23はフェントン処理槽28に導き、フェントン処理する。フェントン処理槽28では過酸化水素30と鉄塩や鉄粉などの鉄系触媒32とpH調整剤として塩酸や硫酸などの鉱酸34が添加され、汚泥23はpHが2〜4とされる。このpHが4以下の条件では前記添加された鉄系触媒32が解離して鉄イオンとなり、例えば下記の化1に示す反応によって水酸基ラジカル・OHが発生する。
【化1】
Figure 0003680742
【0014】
この水酸基ラジカル・OHは強力な酸化力を有しており、前記汚泥23に含まれたダイオキシン類は速やかに酸化分解する。フェントン処理を効率よく行うための過酸化水素の好ましい添加量は汚泥の性状や濃度によって大きく左右されるが、汚泥に対して100〜9,000mg/Lの範囲とすることが望ましい。鉄系触媒32の添加量は鉄イオンとして過酸化水素添加量の0.1〜5倍とすることが望ましい。フェントン処理の効率は温度が高いほど向上するので、前記汚泥を50〜65℃程度に加温して処理することが好ましい。
なお、化1から明らかなように鉄イオンとしては2価の鉄イオンが有効である。したがって、フェントン処理槽28に添加する鉄系触媒32としては、硫酸第一鉄や塩化第一鉄など2価の鉄イオンを発生するものを用いることが好ましい。しかしながら、鉄系触媒32はこれに限らず、安価な鉄粉を用いても類似の効果を得ることができる。また、鉄粉に換えて鉄板や鉄塊をフェントン処理槽28内に投入して酸性条件下で溶解させるようにしてもよい。
【0015】
フェントン処理を終えた汚泥38は脱水処理などの後処理40を施した後に、排出汚泥42として系外に排出される。この排出汚泥42は前記フェントン処理によって含まれたダイオキシン類が酸化分解し、無害化しているので埋立て処分してもダイオキシン類が溶出することがなく、安全である。
【0016】
上述のとおり、本実施の形態によれば、ダイオキシン類を含む廃水を凝集処理することによって大部分のダイオキシン類を汚泥の側に移行させることができ、また、汚泥に濃縮されたダイオキシン類はフェントン処理によって効率よく酸化分解できるので、フェントン処理に必要な薬品の使用量も少なくて済む。
【0017】
図2は、ごみ焼却灰の埋立地から排出される浸出水を処理する場合に本発明を実施するための装置系統図である。前記したように塩化ビニール等の有機塩素化合物を含む廃棄物の焼却施設で発生した焼却灰を埋立てると、埋立地の浸出水からダイオキシン類が排出基準値(10pg−TEQ/L)を越えて検出されることがある。また、この浸出水には大概の場合、有機物が含まれる。したがって、この実施の形態ではダイオキシン類と有機物を含む原水50をまず曝気槽52に供給して活性汚泥処理し、有機物の大部分を生物学的に酸化分解する。曝気処理水54は沈殿槽56に送り、上澄水58と汚泥60とに分離する。汚泥60の大部分は返送汚泥61として曝気槽52に返送する。残余の余剰汚泥62には活性汚泥処理では分解が困難なダイオキシン類が含まれているので、そのまま埋立て処分をすることは好ましくない。このため、余剰汚泥62は後段のフェントン処理槽82に送り処理する。
【0018】
前記上澄水58にも活性汚泥処理では分解が困難なダイオキシンが含まれているので、まず凝集槽64に供給する。凝集槽64では凝集剤66とpH調整剤68が添加され、上澄水58はここで凝集処理を受けた後、次段の膜分離手段70で透過水72と汚泥74に分離される。溶存性のダイオキシン類を含めて大部分のダイオキシン類が汚泥74の側に濃縮されて移行する。このため、透過水72中のダイオキシン類の濃度は希薄となり、ダイオキシン類を除去するために格別の後処理を必要としない。pH調整槽76でpHを調整した後、必要に応じて後処理工程78を経た後に、放流水80として放流する。
【0019】
膜分離手段70で分離された汚泥74はフェントン処理槽82に導き、前記余剰汚泥62と共にフェントン処理を受ける。フェントン処理槽82では過酸化水素84と硫酸第一鉄86と硫酸88が添加され、フェントン処理槽82内はpHが4以下に維持される。この結果、前記化1に示した反応が進行して水酸基ラジカル・OHが発生し、汚泥74や余剰汚泥62に含まれたダイオキシン類は速やかに酸化分解する。
【0020】
フェントン処理を終えた汚泥90はpH調整槽92でpHを調整された後、脱水機94で脱水され、脱水ケーキ96として系外に排出される。脱離水98は前記フェントン処理を経ているのでダイオキシン類を含まず、そのまま放流可能であるが、懸濁物質が多い場合には前記後処理工程78に送ることが適当であり、又は、前記曝気槽52に戻してもよい。
【0021】
上述のとおり、本実施の形態によればダイオキシン類を含むごみ埋立地からの浸出水を手際よく処理することができ、放流水80、脱水ケーキ96に含ままれるダイオキシン類を十分に希薄にすることができる。また、大部分のダイオキシン類を汚泥の側に移行させることができ、この汚泥に濃縮されたダイオキシン類をフェントン処理によって効率よく酸化分解するので、フェントン処理に必要な薬品の使用量を低減できる。
【0022】
【実験例1】
埋立地から排出される浸出水を活性汚泥処理する施設からの処理水を採取し、試料とした。この試料を凝集処理し、処理前後のダイオキシン類の濃度を調べた。凝集処理は試料に硫酸を添加してpHを6.0とした後、塩化第一鉄を150mg/Lとなるように添加し、10分間攪拌した後、静置した。凝集処理前後の各試料を濾紙によって濾液と濾滓に分離し、濾液に含まれるダイオキシン類を溶存性のダイオキシン類、濾滓に含まれるダイオキシン類をSS性のダイオキシン類として、それぞれの濃度を測定した。
その結果、凝集処理前後ではダイオキシン類の総量は変化せず、凝集処理前の試料のダイオキシン類濃度に換算するとそれぞれ11pg−TEQ/Lであった。しかしながら、溶存性のダイオキシン類とSS性のダイオキシン類の比率は大きく変化しており、凝集処理前ではその比率が29:31であったものが、凝集処理後ではその比率が1:99となり、溶存性のダイオキシン類のほとんどがSS性のダイオキシン類に移行していることを確認した。
なお、本実験並びに以下に示す各実験例において、ダイオキシン類の濃度とは、ダイオキシン(PCDDs)、ジベンゾフラン(PCDFs)、ポリ塩化ビフェニル(PCBs)の各異性体の濃度に、各異性体対応した毒性等換算係数(TEF)を掛け、足し合わせた量をpg−TEQ/L又はng−TEQ/Lとして表示したものである。
【0023】
【実験例2】
埋立地から排出される浸出水を凝集沈殿処理する施設から沈殿汚泥を引き抜き、汚泥濃度(SS濃度)が10,000mg/Lとなるように調整して供試汚泥とした。この供試汚泥に対して各種の物理化学的な酸化分解処理を行い、処理効果を比較した。なお、供試汚泥中のダイオキシン類の濃度は23ng−TEQ/Lであった。
【0024】
第1の実験は本発明に係る実験であり、この供試汚泥に対して硫酸を添加して初期pHを3.5とし、過酸化水素を2,000mg/L、塩化第一鉄を鉄イオン(Fe2+)として4,000mg/Lづつ添加し、反応温度30℃、反応時間60分間の条件でフェントン処理した。その結果、汚泥中のダイオキシン類の濃度は4.4ng−TEQ/Lとなり、ダイオキシン類の除去率は81%であった。
【0025】
以下に示す第2、第3、第4の実験は本発明以外の比較実験であり、第2の実験では前記供試汚泥に対してオゾンガス吹込みによる酸化処理を行った。処理条件は濃度4g/Nm3のオゾンガスを供試汚泥との気液接触が良好となるように反応温度30℃で連続的に60分間吹込み、供試汚泥に対する総吹込み量を純オゾンに換算して100mg−O3/Lとした。その結果、汚泥中のダイオキシン類の濃度は23ng−TEQ/Lであった。また、オゾン濃度を20g/Nm3とし、純オゾンの総吹込み量を500mg−O3/Lとして同様の実験を行ったところ、汚泥中のダイオキシン類の濃度は22ng−TEQ/Lであった。この実験結果から、オゾンガス吹込みによる酸化処理では供試汚泥中のダイオキシン類の酸化分解はほとんど進行しないことが判明した。
この原因としては、汚泥中に多量に含まれる易分解性の有機物とオゾンとが選択的に反応し、ダイオキシン類のようなオゾンと反応しにくい物質の分解が進まないためであると考えられる。
【0026】
第3の実験では前記供試汚泥に対してオゾンガス吹込みと過酸化水素の添加を併用した促進酸化処理を試みた。処理条件は上記第2の実験におけるオゾン吹込みの直前に過酸化水素を100mg/L添加した以外は第2の実験と同一の条件で行った。その結果、オゾンガスの濃度が4g/Nm3、20g/Nm3のいずれの場合でも、処理後の汚泥中のダイオキシン類濃度は22ng−TEQ/Lであり、オゾンと過酸化水素の併用による促進酸化処理の効果はほとんど得ることができなかった。
この原因としては、オゾンと過酸化水素の併用による促進酸化処理では溶存オゾンと過酸化水素が反応して酸化力の強いOHラジカルが生成することが知られているが、この度の実験に用いた供試汚泥のように有機物が多い場合では、易分解性の有機物とオゾンが先に反応し、OHラジカルの生成が進まなかったためと考えられる。
【0027】
第4の実験では上記第2の実験又は第3の実験において、さらに紫外線照射を付加する促進酸化処理を試みた。しかしながら、予想されたとは言え汚泥中では紫外線が透過せず、紫外線照射を併用することによる処理効果の向上はほとんど得ることができなかった。
【0028】
【実験例3】
実験例2と同様の汚泥濃度(SS濃度)が10,000mg/Lでダイオキシン類の濃度が23ng−TEQ/Lの沈殿汚泥を本実験に用いた。この汚泥を純水で希釈してSS濃度がそれぞれ200mg/L、2,500mg/L、5,000mg/L、7,500mg/Lの供試汚泥を得た。また、上記SS濃度が10,000mg/Lの汚泥を膜濾過装置で濃縮してSS濃度がそれぞれ20,000mg/L、30,000mg/Lの供試汚泥を得た。
これらのSS濃度が異なる7種類の各供試汚泥(SS濃度が10,000mg/Lの汚泥を含む。)に、硫酸を添加して初期pHを3.5とし、また過酸化水素を0.2mg/SS−mg、塩化第一鉄を鉄イオン(Fe2+)として0.4mg/SS−mgの割合で添加し、反応温度30℃、反応時間60分間の条件でフェントン処理し、ダイオキシン類の除去率を調べた。すなわち、この実験では過酸化水素と塩化第一鉄を供試汚泥のSS量に対して同一の割合で添加し、フェントン処理に必要なこれらの薬品の総使用量を同一の条件に揃えたものであり、例えばSS濃度が10,000mg/Lの供試汚泥に対する過酸化水素と塩化第一鉄の添加量はそれぞれ2,000mg/L、4,000mg/Lとし、SS濃度が5,000mg/Lの供試汚泥に対する過酸化水素と塩化第一鉄の添加量はそれぞれ1,000mg/L、2,000mg/Lとした。
【0029】
その結果を図3に示す。図3から明らかなように、汚泥のSS濃度が200〜2,500mg/Lと低い範囲ではダイオキシン類の除去率は40%程度と低く、SS濃度が高くなるにつれてダイオキシン類の除去率も向上し、SS濃度が10,000mg/L以上ではダイオキシン類の除去率は80%を越える。この結果から明らかなように、汚泥のSS濃度を10,000mg/L以上に高めてからフェントン処理を行うと、過酸化水素や鉄系触媒などの薬品の総使用量が同一の場合にはダイオキシン類の除去率が向上し、効率的な処理が可能となる。また、処理効率を高めるために汚泥のSS濃度を30,000mg/L程度に高くするには通常の沈殿分離では困難であり、膜濾過によって濃縮することがきわめて有効であることも確認できた。
【0030】
【実験例4】
実験例3で調整したSS濃度が5,000mg/Lの供試汚泥について、過酸化水素の添加量を1,000mg/L、2,000mg/L、3,000mg/Lと変化させ、塩化第一鉄を鉄イオン(Fe2+)として過酸化水素の2倍量となるように添加した以外は、実験例3の場合と同一の条件でフェントン処理し、ダイオキシン類の除去率を調べた。
その結果、それぞれのダイオキシン類の除去率は50%、72%、79%であった。前掲の図3から明らかなように、実験例3におけるSS濃度が10,000mg/Lの供試汚泥の実験では過酸化水素と鉄イオン(Fe2+)の添加量がそれぞれ2,000mg/L、4,000mg/Lの時にダイオキシン類の除去率は80%である。したがって、SS濃度が5,000mg/Lの場合に、SS濃度が10,000mg/Lの場合と同等の処理性能を得るためには、過酸化水素と鉄イオン(Fe2+)の添加量をそれぞれ1.5倍の3,000mg/L、6,000mg/Lとする必要がある。SS濃度が5,000mg/Lの場合には全体処理量が2倍となるから、上記の結果は3倍の過酸化水素と鉄イオン(Fe2+)を使用することによって、SS濃度が10,000mg/Lの場合と同等の処理性能が得られることを意味する。この実験結果から、濃縮によってSS濃度を高めると、フェントン処理に必要な薬品使用量を大幅に低減できることが判る。
【0031】
【実験例5】
実験例3で調整したSS濃度が10,000mg/Lの供試汚泥について、反応温度を15℃、50℃、65℃と変化させた以外は、実験例3の場合と同一の条件でフェントン処理し、ダイオキシン類の除去率を調べた。
その結果、ダイオキシン類の除去率は反応温度が15℃の時は72%、反応温度が50℃の時は90%、反応温度が65℃の時は94%であり、反応温度を上げるに従ってダイオキシン類の除去率が向上することを確認した。
【0032】
【発明の効果】
本発明に係るダイオキシン類を含む廃水の処理方法によれば、廃水中に含まれるダイオキシン類を効率よく除去することができ、かつ、処理に必要な薬品類の使用量を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す系統図である。
【図2】ごみ焼却灰の埋立地から排出される浸出水を処理する場合に本発明を実施するための装置系統図である。
【図3】実験例3の実験結果を示すグラフである。
【符号の説明】
10……廃水
12……前処理
14……凝集槽
20……固液分離手段
22……処理水
23……汚泥
24……後処理
28……フェントン処理槽
30……過酸化水素
32……鉄系触媒
34……鉱酸
40……後処理

Claims (2)

  1. 溶存性のダイオキシン類とSS性のダイオキシン類とを含む廃水を凝集処理することによって前記溶存性のダイオキシン類をSS性のダイオキシン類に移行させるとともに、凝集処理後の前記廃水を処理水とSS濃度が10,000mg/L以上の汚泥とに固液分離し、分離した前記汚泥を鉄イオンの存在下に過酸化水素を添加することによって処理することを特徴とするダイオキシン類を含む廃水の処理方法。
  2. 前記汚泥が膜分離手段によってSS濃度が30,000mg/L程度に濃縮されたものであることを特徴とする請求項1に記載のダイオキシン類を含む廃水の処理方法。
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