JP2007144405A - ホウ素含有廃水の処理方法および処理剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡便な処理でホウ素含有量10ppm以下の排出基準をクリアでき、発生汚泥量を抑制できるホウ素含有廃水の処理方法を提供する。
【解決手段】リン酸塩析出を利用した新規なホウ素除去方法であり、ホウ素含有廃水に、リン酸またはリン酸塩と、可溶性カルシウム塩、水酸化カルシウムおよび酸化カルシウムから選ばれる少なくとも1種のカルシウム化合物とを添加し、pH8以上の条件で反応させた後、固液分離する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ホウ素を含有する廃水を処理し、ホウ素濃度を低下させる方法に係り、特にリン酸塩析出を利用した新規なホウ素含有廃水処理方法に関する。
ホウ砂、ホウ酸、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アンモニウムなどのホウ素化合物は、医薬品、防腐剤、化粧品、熱処理剤、写真、顔料、乾燥剤、ガラス、メッキなど多種の分野で用いられており、これらの製造工程やホウ素化合物を用いた製品の製造工程から排出される廃水中にはホウ素化合物が含まれている。また、原子力発電所から発生する放射性廃液や地熱発電水、石炭火力発電所の排煙脱硫廃水、ごみ焼却洗煙廃水等にもホウ素化合物が含まれている。
ホウ素は大量に摂取すると中枢および末梢神経障害、消化器異常などの毒性が認められていることから、10ppm以下の排出基準が設定されており、低コストで効率よく廃水中のホウ素を除去する技術が求められている。
一般的なホウ素除去方法として、ホウ素選択吸着樹脂を用いたイオン交換法、キレート剤やアルミニウム塩を用いた凝集沈殿法、溶媒抽出法などがある。例えば、特許文献1には、ホウ素含有廃水に、アルミニウム化合物とカルシウム化合物とをpHを調整しながら段階的に添加しホウ素を除去する方法が、特許文献2には、ホウ素含有排水をアルカリ土類金属イオンとアルカリ金属珪酸塩の共存下で処理する方法が記載されている。しかし、いずれの方法も運転費用などのコスト面の問題に加え、イオン交換法ではイオン交換樹脂の再生時に溶出させたホウ素を処理する問題があり、また凝集沈殿法では発生汚泥量の問題がある。
特開2002−346574号公報 特開2002−79267号公報
そこで本発明は、簡便かつ高性能なホウ素含有廃水の処理方法を提供することを目的とする。特に簡便な処理で10ppm以下の排出基準をクリアでき、発生汚泥量を抑制できるホウ素含有廃水の処理方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、難溶性塩の析出反応を用いたホウ素含有廃水の処理方法について鋭意検討した結果、リン酸またはリン酸系塩を用いることにより、極めて効率よく廃水中のホウ素を除去できることを見出し本発明に至ったものである。
すなわち本発明のホウ素含有廃水の処理方法は、リン酸塩析出法という新規なホウ素除去の手法を提供するものであり、具体的には、ホウ素含有廃水中に、リン酸及び/またはリン酸塩と、前記リン酸及び/またはリン酸塩と反応して難溶性塩を生成するアルカリ土類金属イオンとを共存させて、難溶性リン酸塩を生成せしめ、固液分離することを特徴とする。
本発明のホウ素含有廃水の処理方法において、アルカリ土類金属イオンは、例えばマグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオンであり、好適にはカルシウムイオンである。アルカリ土類金属イオンは、例えばアルカリ土類金属の可溶性の塩あるいは水酸化物をホウ素含有廃水に添加することにより生成することができる。
本発明のホウ素含有廃水の処理方法は、処理すべき廃水中でリン酸イオンとアルカリ土類金属イオンとが反応して難溶性のリン酸塩が生成できるものであれば特に限定されるものではないが、例えば以下に挙げるような実施形態をとり得る。
ホウ素含有廃水に、リン酸及び/またはリン酸塩と、アルカリ土類金属の可溶性塩、アルカリ土類金属の水酸化物および酸化物から選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属化合物とを添加し、撹拌した後、固液分離する。
ホウ素含有廃水に、リン酸及び/またはリン酸塩と、アルカリ土類金属の可溶性塩と、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物とを添加し、撹拌した後、固液分離する。
ホウ素含有廃水に、リン酸及び/またはリン酸塩と、アルカリ土類金属の可溶性塩、アルカリ土類金属の水酸化物および酸化物から選ばれる少なくとも1種の化合物と、アルカリ金属の水酸化物とを添加し、撹拌した後、固液分離する。
リン酸及び/またはリン酸塩と、アルカリ土類金属の可溶性塩、アルカリ土類金属の水酸化物および酸化物から選ばれる少なくとも1種の化合物とを水溶液中で反応させることにより生成した沈殿物を、ホウ素含有廃水に添加し、撹拌した後、固液分離する。
本発明の処理方法で対象とする廃水は、各種製造工場から排出される廃水、発電所の廃水、ゴミ焼却場の洗煙廃水など、ホウ素を含む廃水であれば特に限定されない。ホウ素濃度も特に限定されないが、ホウ素濃度が100ppm(廃水1L中のホウ素の重量含有量、以下同じ)以下であれば、1回の処理で10ppm以下の排出基準を満たすことが可能である。
リン酸塩としては、第一リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、第三リン酸ナトリウムなどのリン酸のアルカリ金属塩が挙げられる。特に第一リン酸ナトリウム(NaH2PO4)および第二リン酸ナトリウム(Na2HPO4)が好ましい。このようなリン酸塩は、塩化カルシウム等の可溶性のアルカリ土類金属化合物と反応して難溶性のリン酸塩を生成する。可溶性アルカリ土類金属化合物との反応によって生成する難溶性のリン酸は、アパタイト系のリン酸カルシウムに比べ、結晶度が低くホウ素を取り込みやすいと考えられる。
可溶性アルカリ土類金属塩としては、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化マグネシウム等が挙げられ、いずれの場合も同様の効果が得られる。ただし処理後の排水の環境への影響の点で塩化カルシウムが好適である。
本発明のホウ素含有廃水の処理方法において、リン酸イオンと反応して難溶性化合物を生成する化合物は上述した可溶性アルカリ土類金属塩のみでもよいが、好適にはアルカリ土類金属の水酸化物および/または酸化物を併用する。若しくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物を併用する。
アルカリ土類金属の水酸化物および酸化物は、反応系のpH調整剤としても機能するとともにリン酸塩と反応し、リン酸塩を生成する。一般にアルカリ土類金属の酸化物は水に添加することにより水と反応し水酸化物を生成するので、水酸化物に代えて或いは加えて酸化物を用いることも可能である。酸化物は、結果として水酸化物として作用するので、以下、両者をまとめて水酸化物という。
本発明の処理方法では、リン酸またはリン酸塩と反応して難溶性のリン酸塩を析出できればよく、アルカリ土類金属塩および水酸化物の少なくとも1種を用いることができるが、アルカリ土類金属塩を用いる場合には、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物を共存させることが好ましい。いずれか一方が欠けた場合にも、ある程度のホウ素除去効果は得られるが、その場合には比較的大量の(例えば、Ca/Bのモル比で300以上)アルカリ土類金属を必要とし、しかもたかだか50%程度のホウ素除去率しか達成できない。一方、アルカリ土類金属塩および水酸化物を共に用いた場合には、90%を超える高いホウ素除去率を達成することができる。
リン酸およびリン酸塩の添加量(併用する場合はその合計量)は、処理対象である廃水中のホウ素濃度によっても異なるが、ホウ素に対するモル比(P/B)で2以上、好ましくは5以上、より好ましくは10以上とする。廃液のホウ素濃度が高い場合、例えば100ppm以上の場合には、ホウ素に対するモル比(P/B)2以上で50%以上、5以上で90%近いホウ素除去率が達成できる。一方、ホウ素濃度が10ppm程度と低い場合には、モル比(P/B)5以上とすることが好ましい。これはホウ素と処理剤(例えばリン酸カルシウム)との接触確率が除去率に影響するためと考えられる。
またアルカリ土類金属化合物(塩および水酸化物)の添加量は、両者を合計したアルカリ土類金属(M)の添加量としてホウ素(B)に対するモル比(M/B)10以上、好ましくは20以上、より好ましくは50以上とする。アルカリ土類金属の添加量も、廃水中のホウ素濃度に依存し、ホウ素濃度が高いほどモル比は少なくてよいが、モル比50以上とすることにより、ホウ素濃度が低い(10ppm)廃液でも100%に近いホウ素除去率を達成できる。アルカリ土類金属の塩と水酸化物との比率は特に限定されないが、リン酸塩およびこれらアルカリ土類金属化合物を添加したときの被処理排水のpHが8.0以上、好ましくはpH10.0以上となるように塩と水酸化物との比率を調整する。
またリン酸イオンとアルカリ土類金属イオンとの比率は、アルカリ土類金属(M)とリン(P)とのモル比(M/P)で好ましくは1〜6、より好ましくは2〜5、さらに好ましくは2.5〜4とする。
本発明の処理方法において、上述したリン酸及び/又はリン酸塩、可溶性アルカリ土類金属化合物(例えば可溶性カルシウム塩、水酸化カルシウム)および必要に応じて添加されるアルカリ金属の水酸化物の添加の順序は特に限定されず、これらを同時に廃水に投入してもよいし、任意の順序で投入してもよい。さらに予めリン酸塩および可溶性アルカリ土類金属化合物を反応させることにより得られた沈殿生成物を廃水に投入してもよい。すなわち、リン酸塩、可溶性アルカリ土類金属の塩および水酸化物を所定の温度に調整した水中に投入し、沈殿を生成させ、その沈殿物を乾燥させたものを処理剤として用いる。
反応の条件は特に限定されないが、処理時の廃水温度が高いほど除去率は高くなる。処理時の廃水温度は15℃以上、好ましくは20℃以上、より好ましくは50℃以上である。比較的高い温度で処理するために必ずしも処理対象廃水を加熱する必要はなく、例えば発電所の廃水、ゴミ焼却場の洗煙廃水などは、通常、かなり高い温度のものが排出されるので、排出後直ちに本発明の処理を行うことにより、高温での処理が可能となる。これにより加熱処理を不要とし、処理コストを抑制できる。また処理時のpHは、8.0以上、好ましくは10.0以上である。
処理時間(撹拌時間)については、20分以上撹拌することが好ましいが、約30分経過後はホウ素除去率はほぼ一定となるので、30分程度で十分である。
本発明のホウ素含有廃水処理方法は、廃水に上述したリン酸塩、可溶性アルカリ土類金属化合物を順次、或いは一度に投入し、所定時間撹拌するか、これら化合物から製造した処理剤を投入し所定時間撹拌した後、固液分離することにより達成される。
処理剤として用いる場合には、まず、リン酸塩、アルカリ土類金属の可溶性塩および必要に応じて水酸化物を所定の温度に調整した蒸留水中に投入し、撹拌し、沈殿を生成させる。沈殿物を収集し、乾燥し、処理剤とする。処理剤を合成するときの温度は、室温程度が好ましい。室温程度の温度で合成した処理剤を用いることにより、高いホウ素除去率が達成できる。これは室温程度の温度で合成した場合には、生成する沈殿物は非晶質性が高く、ホウ素との反応性(取り込み)が良好になるためと考えられる。処理剤を製造する場合のリン酸塩、アルカリ土類金属の可溶性塩および水酸化物の割合は、これらを個々に廃水に投入する場合と同様であり、リンとアルカリ土類金属のモル比が、好ましくは1〜6、より好ましくは2〜5、さらに好ましくは2.5〜4とする。また処理剤の添加量は、処理剤に含まれるリン量およびアルカリ土類金属の量が、上述したホウ素とのモル比を満たす範囲であればよく、処理対象の廃水に応じて適宜調整する。
固液分離は、沈降分離を採用することができる。その場合、必要に応じて硫酸バンドや高分子系凝集剤などの公知の凝集剤を用いてもよい。また沈降分離のほか、濾布を用いたフィルタープレスや、機械的に脱水するスクリュープレスや遠心力を利用した脱水方式などを採用することもできる。
以下、本発明の実施例を説明する。
<実施例1>
原子吸光分析用ホウ素標準液を希釈し、ホウ素濃度約100ppm、約50ppm、約10ppmの模擬廃液を作製した。この模擬廃液200cm3(室温25℃)に、塩化カルシウム、水酸化カルシウム、および第一リン酸ナトリウムを、表1に示す割合で添加し、10分間撹拌して反応させた。反応後、濾過し固液分離し、濾液中のホウ素濃度をICPで測定した。結果を表1に示す。
表1に示す結果からわかるように、ホウ素濃度によらず、80%以上の高いホウ素除去率が達成できた。ただし高いホウ素除去率を達成するためには、ホウ素濃度が低い廃水ほど、リン酸塩の使用量を多くする必要があった。
<実施例2>
実施例1と同様の模擬廃液(約10ppm)を使用し、この模擬廃液200cm3(室温25℃)に、塩化カルシウム、水酸化カルシウム、および第一リン酸ナトリウムを表1に示す割合で添加し、10分間撹拌して反応させた。反応後、濾過し固液分離し、濾液中のホウ素濃度をICPで測定した。結果を表1に示す。
表1に示す結果からわかるように、ホウ素濃度が低い廃水においても、カルシウム化合物の添加量をホウ素とのモル比で100以上とすることにより、90%以上の高いホウ素除去率が達成できた。
<実施例3>
実施例1と同様の模擬廃液(約10ppm)を使用し、この模擬廃液200cm3(室温25℃)に、塩化カルシウム、水酸化カルシウム、および第一リン酸ナトリウムを、Ca/B=20、P/B=7の割合で添加し、反応温度の異なる条件(10℃、30℃、50℃、70℃)でそれぞれ反応させた。反応後、濾過し固液分離し、濾液中のホウ素濃度をICPで測定した。結果を表1に示す。
表1に示す結果からわかるように、ホウ素濃度が低い廃水で且つリン酸塩の添加量がP/B=7の場合でも、反応温度を上げることによりホウ素除去率を高めることができ、反応温度を70℃とすることにより80%近くの除去率が達成できた。
<実施例4>
実施例1と同様の模擬廃液(約10ppm)を使用し、この模擬廃液200cm3(室温25℃)に、塩化カルシウム、水酸化カルシウム、および第一リン酸ナトリウムを、Ca/B=20、P/B=7の割合で添加し、反応時間を10分、30分、60分に変えて反応させた。反応後、濾過し固液分離し、濾液中のホウ素濃度をICPで測定した。結果を表1に示す。
表1に示す結果からわかるように、反応時間が長いほうがホウ素除去率は高く、反応時間30分で60%以上の除去率となった。ただし30分経過後はほぼ一定となった。したがって処理時間は30分程度で十分である。
<実施例5>
実施例1と同様の模擬廃液(約20ppm、200cm3、室温25℃)を使用し、カルシウム塩の種類のみを異ならせて、表1に示す反応条件(反応時間10分)で反応させた。表1に示す結果からわかるように、可溶性カルシウム塩として、硝酸カルシウムを用いた場合にも、塩化カルシウムを用いた場合と同様の結果が得られた。
<実施例6>
温泉の廃水(ホウ素含有量23.0ppm、pH=6.9)200cm3を使用し、塩化カルシウム、水酸化カルシウム、および第一リン酸ナトリウムを、Ca/B=22.6、P/B=7の割合で添加し、反応温度25℃で30分反応させた。反応後、濾過し固液分離し、濾液中のホウ素濃度をICPで測定した。結果を表1に示す。表1に示す結果からもわかるように、実廃水に適用した場合にも高い除去率でホウ素を除去することができた。
Figure 2007144405
<実施例7>
蒸留水(25℃)200Lに、塩化カルシウム4.5g、水酸化カルシウム4.75g、および第一リン酸ナトリウム5gを投入し、30分間撹拌して反応させた。生成した沈殿物を回収し、105℃で乾燥し約13gの白色の粉末を得た。これをホウ素含有廃液の処理剤Aとした。
実施例1と同様の模擬廃液(約10ppm)を使用し、この模擬廃液200cm3(室温25℃)に、上記処理剤1gを添加し、反応時間10分、30分で、それぞれ反応させた。反応後、濾過し固液分離し、濾液中のホウ素濃度をICPで測定した。結果を表2に示す。
表2に示す結果からわかるように、予めカルシウム塩とリン酸塩とを反応させた生成物を処理剤として用いた場合にも、廃水処理時に反応させた場合と同様に高いホウ素除去率が達成できた。また処理剤とした場合には、反応時間が短くても高い除去率であった。
<実施例8>
蒸留水(100℃)200Lに、塩化カルシウム4.5g、水酸化カルシウム4.75g、および第一リン酸ナトリウム5gを投入し、30分間撹拌して反応させた。生成した沈殿物を回収し、105℃で乾燥し約13gの白色の粉末を得た。これをホウ素含有廃液の処理剤Bとした。
上記処理剤を用いて実施例6と同様に模擬廃液を処理し、処理後の濾液中のホウ素濃度をICPで測定した。結果を表2に示す。
表2に示す結果からわかるように、処理剤の合成温度が高い場合には、ホウ素除去率が低かった。これは処理剤を高温で合成した場合には生成物の結晶度が高く、ホウ素を取り込みにくくなるためと考えられる。
<比較例1>
難溶性のアパタイト(市販の水酸アパタイト(HAP)0.35gおよび水酸化カルシウム0.2gを用いて、実施例6と同様に模擬廃液を処理し、処理後の濾液中のホウ素濃度をICPで測定した。結果を表2に示す。
<比較例2>
リン酸カルシウム(α―TCP))0.35gおよび水酸化カルシウム0.2gを用いて、実施例6と同様に模擬廃液を処理し、処理後の濾液中のホウ素濃度をICPで測定した。結果を表2に示す。
表2に示す結果からわかるように、結晶度の高いアパタイトを用いた場合には、殆どホウ素を除去することができなかった。
Figure 2007144405
<実施例9>
ホウ素標準液(和光純薬工業社製:ホウ素濃度1000ppm)を蒸留水で50倍に希釈し、ホウ素濃度20ppmの模擬廃液を作製した。この模擬廃液200cm3(室温20℃)に、水酸化ナトリウム、第一リン酸ナトリウム(リン酸二水素ナトリウム)および塩化カルシウムを、表3に示す割合で添加し、30分間撹拌して反応させた。反応後、濾過し固液分離し、濾液中のホウ素濃度をICPで測定した。結果を表3に示す。
Figure 2007144405
表に示す結果からもわかるように、水酸化カルシウムの代わりに水酸化ナトリウムを用いた場合にも、高いホウ素除去率を達成できた。特に、カルシウムとリンとの比率(Ca/P)を2以上とすることにより高い除去率が得られ、Ca/P2.5以上ではほぼ90%の除去率が得られた。
<実施例10>
実施例9と同じ模擬廃液を用意し、この模擬廃液200cm3(室温20℃)に、塩化カルシウム、水酸化ナトリウム、および第二リン酸ナトリウム(リン酸水素二ナトリウム)を、表4に示す割合で添加し、30分間撹拌して反応させた。反応後、濾過し固液分離し、濾液中のホウ素濃度をICPで測定した。結果を表4に示す。
Figure 2007144405
表に示す結果からもわかるように、第一リン酸塩の代わりに第二リン酸を用いた場合にも高いホウ素除去率を達成できた。本実施例においても、カルシウムとリンとの比率(Ca/P)を2以上とすることにより高いホウ素を除去することができ、特にCa/Pが2.5以上のときに高い除去率が得られることが示された。
<実施例11>
実施例9と同じ模擬廃液を用意し、この模擬廃液200cm3(室温20℃)に、塩化カルシウム、水酸化ナトリウム、およびリン酸を、表5に示す割合で添加し、30分間撹拌して反応させた。反応後、濾過し固液分離し、濾液中のホウ素濃度をICPで測定した。結果を表5に示す。
Figure 2007144405
表に示す結果からもわかるように、リン酸塩の代わりにリン酸を用いた場合にも、高いホウ素除去率を達成でき、特にCa/Pが2.5以上のときに高い除去率が得られた。ただしこの場合、カルシウムとリンとの比率(Ca/P)が2未満ではホウ素を除去することができなかった。
<実施例12>
実施例9と同じ模擬廃液を用意し、この模擬廃液200cm3(室温20℃)に、水酸化カルシウム(奥多摩工業社製:超特選消石灰)およびリン酸を、表6に示す割合で添加し、30分間撹拌して反応させた。反応後、濾過し固液分離し、濾液中のホウ素濃度をICPで測定した。結果を表6に示す。
Figure 2007144405
表に示す結果からもわかるように、リン酸と水酸化カルシウムを用いた場合にも、高いホウ素除去率を達成でき、特にCa/Pが2より多く、5より少ない範囲で高い除去率が得られた。
本発明によれば、リン酸塩析出を利用した新規なホウ素含有廃水の処理方法が提供される。この処理方法は、比較的少ない発生汚泥量で簡便に、廃水中のホウ素を極めて低濃度(0.01ppm程度)まで除去することが可能である。

Claims (7)

  1. ホウ素含有廃水中に、リン酸及び/またはリン酸塩と、前記リン酸及び/またはリン酸塩と反応して難溶性リン酸塩を生成するアルカリ土類金属イオンとを共存させて、難溶性リン酸塩を生成せしめ、固液分離することを特徴とするホウ素含有廃水処理方法。
  2. 前記アルカリ土類金属イオンが、カルシウムイオンである請求項1記載のホウ素含有廃水処理方法。
  3. 前記リン酸塩が、第一リン酸または第二リン酸のアルカリ金属塩であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のホウ素含有廃水処理方法。
  4. リン酸及び/またはリン酸塩と、アルカリ土類金属イオン(M)との割合が、元素比(M/P)で2以上であることを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項に記載のホウ素含有廃水処理方法。
  5. 処理時の廃水温度が20℃以上であることを特徴とする請求項1ないし4いずれか1項に記載のホウ素含有廃水処理方法。
  6. 処理時のpHが8.0以上であることを特徴とする請求項1ないし5いずれか1項に記載のホウ素含有廃水処理方法。
  7. リン酸及び/またはリン酸塩、可溶性アルカリ土類金属塩、およびアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物を水溶液中で反応させることにより生成した沈殿物からなるホウ素含有廃水の処理剤。
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