JP2020031552A - ホタテ貝の食感低下抑制剤、活ホタテ貝の保持用水溶液、及び、食感低下が抑制されたホタテ貝の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の第二は、エノキタケ抽出物、酵母抽出物及び大麦抽出物からなる群より選ばれる少なくとも1種の抽出物を0.1〜800ppm(固形分)含有し、塩化ナトリウム濃度が2〜3.5重量%である、活ホタテ貝の保持用水溶液に関する。当該活ホタテ貝の保持用水溶液は、前記ホタテ貝の食感低下抑制剤を用いたものであってもよい。
本発明の第三は、温度が1〜25℃の範囲にある前記水溶液中に、酸素が供給された状態で10〜15000分間保持された活ホタテ貝に関する。
本発明の第四は、前記活ホタテ貝が冷蔵または冷凍された生ホタテ貝に関する。
本発明の第五は、前記生ホタテ貝が加熱調理されたホタテ貝に関する。
本発明の第六は、エノキタケ抽出物、酵母抽出物及び大麦抽出物からなる群より選ばれる少なくとも1種の抽出物を0.1〜800ppm(固形分)含有し、塩化ナトリウム濃度が2〜3.5重量%、温度が1〜25℃の範囲にある水溶液中に、酸素が供給された状態で活ホタテ貝を10〜15000分間保持することを特徴とする、食感低下が抑制されたホタテ貝の製造方法に関する。
市販のエノキタケ(子実体)100gに100℃に加熱した熱水200mlを加え、2時間保持した。その後固形分を濾別して、固形分量が0.6重量%のエノキタケ抽出物を得た。得られたエノキタケ抽出物の0.5重量%(W/W)固形分濃度の水溶液の粘度は17mPa・sであった。
パン酵母(株式会社カネカ製「カネカイーストGA」)100gに100℃に加熱した熱水200mlを加え、2時間保持した。その後固形分を濾別して、固形分量が1.0重量%の酵母抽出物を得た。得られた酵母抽出物の0.5重量%(W/W)固形分濃度の水溶液の粘度は8mPa・sであった。
大麦粉(石橋工業株式会社製「大麦粉」)100gに100℃に加熱した熱水200mlを加え、2時間保持した。その後固形分を濾別して、固形分量が0.5重量%の大麦抽出物を得た。得られた大麦抽出物の0.5重量%(W/W)固形分濃度の水溶液の粘度は5mPa・sであった。
真昆布(株式会社くらこん製「真昆布」)100gに100℃に加熱した熱水200mlを加え、2時間保持した。その後固形分を濾別して、固形分量が2.0重量%のコンブ抽出物を得た。得られたコンブ抽出物の0.5重量%(W/W)固形分濃度の水溶液の粘度は120mPa・sであった。
実施例および比較例において得たホタテ貝柱の繊維感の強さは、訓練された10名(男性5人、女性5人)のパネラーにより、以下の基準に基づき評価し、その平均値を評価値とした。
5点:実施例9のホタテ貝柱よりも非常に良く、繊維感を非常に強く感じる
4点:実施例9のホタテ貝柱よりも良く、繊維感を強く感じる
3点:実施例9のホタテ貝柱と同等で、繊維感が感じられる
2点:実施例9のホタテ貝柱よりも悪く、繊維感が感じられ難い
1点:実施例9のホタテ貝柱よりも非常に悪く、繊維感が感じられない。
実施例および比較例において得たホタテ貝柱の歯切れの良さは、訓練された10名(男性5人、女性5人)のパネラーにより、以下の基準に基づき評価し、その平均値を評価値とした。
5点:実施例9のホタテ貝柱よりも非常に良く、弾力及び歯切れの良さを非常に強く感じる
4点:実施例9のホタテ貝柱よりも良く、弾力及び歯切れの良さを強く感じる
3点:実施例9のホタテ貝柱と同等で、弾力及び歯切れの良さが感じられる
2点:実施例9のホタテ貝柱よりも悪く、弾力及び歯切れの良さが感じられ難い
1点:実施例9のホタテ貝柱よりも非常に悪く、弾力及び歯切れの良さが感じられない。
実施例および比較例において得たホタテ貝の生殖巣の加熱調理後の歯切れの良さは、訓練された10名(男性5人、女性5人)のパネラーにより、以下の基準に基づき評価し、その平均値を評価値とした。
5点:実施例9のホタテ貝の生殖巣よりも非常に良く、弾力及び歯切れの良さを非常に強く感じる
4点:実施例9のホタテ貝の生殖巣よりも良く、弾力及び歯切れの良さを強く感じる
3点:実施例9のホタテ貝の生殖巣と同等で、弾力及び歯切れの良さが感じられる
2点:実施例9のホタテ貝の生殖巣よりも悪く、弾力及び歯切れの良さが感じられ難い
1点:実施例9のホタテ貝の生殖巣よりも非常に悪く、弾力及び歯切れの良さが感じられない。
ホタテ貝柱の繊維感の強さ、ホタテ貝柱の歯切れの良さ、及び、ホタテ貝の生殖巣の歯切れの良さの各評価結果を基に、総合評価を行った。その際の評価基準は以下の通りである。
A:ホタテ貝柱の繊維感の強さ、ホタテ貝柱の歯切れの良さ、及び、ホタテ貝の生殖巣の歯切れの良さが全て4.5点以上5.0点以下を満たすもの。
B:ホタテ貝柱の繊維感の強さ、ホタテ貝柱の歯切れの良さ、及び、ホタテ貝の生殖巣の歯切れの良さが全て4.0点以上5.0点以下であって、且つ4.0以上4.5未満が少なくとも一つあるもの。
C:ホタテ貝柱の繊維感の強さ、ホタテ貝柱の歯切れの良さ、及び、ホタテ貝の生殖巣の歯切れの良さが全て3.0点以上5.0点以下であって、且つ3.0以上4.0未満が少なくとも一つあるもの。
D:ホタテ貝柱の繊維感の強さ、ホタテ貝柱の歯切れの良さ、及び、ホタテ貝の生殖巣の歯切れの良さが全て2.0点以上5.0点以下であって、且つ2.0以上3.0未満が少なくとも一つあるもの。
E:ホタテ貝柱の繊維感の強さ、ホタテ貝柱の歯切れの良さ、及び、ホタテ貝の生殖巣の歯切れの良さの評価において、2.0未満が少なくとも一つあるもの。
表1の配合に従い、製造例1で得られたエノキタケ抽出物1重量%と、食塩3重量%を配合した水溶液100リットルを水槽に満たし、水温を15℃にコントロールした。該水槽に、活ホタテ貝20体を浸漬し、酸素を供給しながら、180分間保持した後、ホタテ貝を水揚げした。水揚げ後、速やかにホタテ貝の殻をむいて貝柱及び生殖巣を取り出した。得られたホタテ貝柱は水気を切ってから真空包装し、4℃の冷蔵庫で24時間保存した後、繊維感の強さ及び歯切れの良さについて官能評価を行った。得られたホタテ貝の生殖巣は、水気を切ってから真空包装し、4℃の冷蔵庫で24時間保存した後、100℃の熱水で15分間ボイル調理して、歯切れの良さについて評価し、それらの結果を表1に示した。
表1の配合に従い、前記エノキタケ抽出物の代わりに、製造例2で得られた酵母抽出物を配合した以外は、実施例1と同様にしてホタテ貝の貝柱及び生殖巣を得た。得られた貝柱の繊維感の強さ及び歯切れの良さと、生殖巣の歯切れの良さを評価し、それらの結果を表1に示した。
表1の配合に従い、前記エノキタケ抽出物の代わりに、製造例3で得られた大麦抽出物を配合した以外は、実施例1と同様にしてホタテ貝の貝柱及び生殖巣を得た。得られた貝柱の繊維感の強さ及び歯切れの良さと、生殖巣の歯切れの良さを評価し、それらの結果を表1に示した。
表1の配合に従い、前記エノキタケ抽出物の代わりに、製造例4で得られた昆布抽出物を配合した以外は、実施例1と同様にしてホタテ貝の貝柱及び生殖巣を得た。得られた貝柱の繊維感の強さ及び歯切れの良さと、生殖巣の歯切れの良さを評価し、それらの結果を表1に示した。
表2の配合に従い、エノキタケ抽出物の配合量を1.0重量%から、0.1重量%(実施例4)、10.0重量%(実施例5)、又は、15.0重量%(比較例2)に変更した以外は、実施例1と同様にしてホタテ貝の貝柱及び生殖巣を得た。得られた貝柱の繊維感の強さ及び歯切れの良さと、生殖巣の歯切れの良さを評価し、それらの結果を表2に示した。
表2の配合に従い、エノキタケ抽出物を配合せずに調製した水溶液を使用した以外は、実施例1と同様にしてホタテ貝の貝柱及び生殖巣を得た。得られた貝柱の繊維感の強さ及び歯切れの良さと、生殖巣の歯切れの良さを評価し、それらの結果を表2に示した。
表3の条件に従い、塩を含む水溶液の種類を食塩水から海水へ変更した以外は、実施例1と同様にしてホタテ貝の貝柱及び生殖巣を得た。得られた貝柱の繊維感の強さ及び歯切れの良さと、生殖巣の歯切れの良さを評価し、それらの結果を表3に示した。
この比較例は、特許文献2(特開2010−154799号公報)の実施例1−1に記載された貝類の品質改良剤に準拠したものである。表3の配合に従い、水溶液の塩の種類を食塩から乳酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムへ変えた以外は、実施例1と同様にしてホタテ貝の貝柱及び生殖巣を得た。
表4の条件に従い、水溶液の水温を15℃から、10℃(実施例7)、又は、20℃(実施例8)にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にしてホタテ貝の貝柱及び生殖巣を得た。得られた貝柱の繊維感の強さ及び歯切れの良さと、生殖巣の歯切れの良さを評価し、それらの結果を表4に示した。
表5の条件に従い、水溶液中での活ホタテ貝の保持時間を180分間から、15分間(実施例9)、14400分間(実施例10)、5分間(比較例5)、又は、17280分間(比較例6)に変更した以外は、実施例1と同様にしてホタテ貝の貝柱及び生殖巣を得た。得られた貝柱の繊維感の強さ及び歯切れの良さと、生殖巣の歯切れの良さを評価し、それらの結果を表5に示した。
表6の条件に従い、冷蔵庫での貝柱及び生殖巣の保存期間を24時間から、96時間(実施例11)、又は、120時間(実施例12)に変更した以外は実施例1と同様にして、ホタテ貝の貝柱及び生殖巣を得た。得られた貝柱の繊維感の強さ及び歯切れの良さと、生殖巣の歯切れの良さを評価し、それらの結果を表6に示した。
表6の条件に従い、実施例1と同様に活ホタテ貝を水槽中に保持した後、むき身にせず、殻付きのまま冷蔵庫で96時間保存した以外は実施例11と同様にして、殻付きホタテ貝を得た。その後ホタテ貝の殻をむいて貝柱及び生殖巣を取り出して、貝柱の繊維感の強さ及び歯切れの良さと、生殖巣の歯切れの良さを評価し、それらの結果を表6に示した。
表6の条件に従い、実施例1と同様にしてホタテ貝の殻をむいて貝柱及び生殖巣を取り出した後、それぞれを、水気を切ってから真空包装し、−20℃の冷凍庫で1ヶ月保存し、その後4℃の冷蔵庫で24時間保存して解凍し、ホタテ貝の貝柱及び生殖巣を得た。得られた貝柱の繊維感の強さ及び歯切れの良さと、生殖巣の歯切れの良さを評価し、それらの結果を表6に示した。
表6の条件に従い、冷蔵庫での貝柱及び生殖巣の保存期間を24時間から、0時間に変更した(すなわち冷蔵保存を行なわなかった)以外は実施例1と同様にして、ホタテ貝の貝柱及び生殖巣を得た。得られた貝柱の繊維感の強さ及び歯切れの良さと、生殖巣の歯切れの良さを評価し、それらの結果を表6に示した。
表6の条件に従い、エノキタケ抽出物を配合せずに調製した水溶液を使用した以外は実施例12と同様にしてホタテ貝の貝柱及び生殖巣を得た。得られた貝柱の繊維感の強さ及び歯切れの良さと、生殖巣の歯切れの良さを評価し、それらの結果を表6に示した。
水溶液中での活ホタテ貝の保持を行なうことなく、活ホタテ貝の殻をむいて貝柱及び生殖巣を取り出した後、冷蔵保存も行なわずに、貝柱の繊維感の強さ及び歯切れの良さと、生殖巣の歯切れの良さを評価し、それらの結果を表6に示した。
Claims (8)
- エノキタケ抽出物、酵母抽出物及び大麦抽出物からなる群より選ばれる少なくとも1種の抽出物を含む、ホタテ貝の食感低下抑制剤。
- 前記抽出物を、前記ホタテ貝の食感低下抑制剤の乾燥重量全体中、乾燥重量で50〜100重量%含む、請求項1に記載のホタテ貝の食感低下抑制剤。
- エノキタケ抽出物、酵母抽出物及び大麦抽出物からなる群より選ばれる少なくとも1種の抽出物を0.1〜800ppm(固形分)含有し、塩化ナトリウム濃度が2〜3.5重量%である、活ホタテ貝の保持用水溶液。
- 請求項1又は2に記載のホタテ貝の食感低下抑制剤を用いた請求項3に記載の水溶液。
- 温度が1〜25℃の範囲にある請求項3又は4に記載の水溶液中に、酸素が供給された状態で10〜15000分間保持された活ホタテ貝。
- 請求項5に記載の活ホタテ貝が冷蔵または冷凍された生ホタテ貝。
- 請求項6に記載の生ホタテ貝が加熱調理されたホタテ貝。
- エノキタケ抽出物、酵母抽出物及び大麦抽出物からなる群より選ばれる少なくとも1種の抽出物を0.1〜800ppm(固形分)含有し、塩化ナトリウム濃度が2〜3.5重量%、温度が1〜25℃の範囲にある水溶液中に、酸素が供給された状態で活ホタテ貝を10〜15000分間保持することを特徴とする、食感低下が抑制されたホタテ貝の製造方法。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN116391654A (zh) * | 2023-03-30 | 2023-07-07 | 中国海洋大学 | 一种雌雄同体扇贝规模化杂交育种方法 |
CN116391654B (zh) * | 2023-03-30 | 2023-11-03 | 中国海洋大学 | 一种雌雄同体扇贝规模化杂交育种方法 |
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JP7075314B2 (ja) | 2022-05-25 |
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