JP7145008B2 - アサリ又はハマグリの保管時劣化抑制剤、活アサリ又は活ハマグリの保持用水溶液、及び、保管時劣化が抑制されたアサリ又はハマグリの製造方法 - Google Patents
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本発明の第二は、エノキタケ抽出物、酵母抽出物及び大麦抽出物からなる群より選ばれる少なくとも1種の抽出物を0.1~800ppm(固形分)含有し、塩化ナトリウム濃度が2~3.5重量%である、活アサリ又は活ハマグリの保持用水溶液に関する。当該活アサリ又は活ハマグリの保持用水溶液は、前記アサリ又はハマグリの保管時劣化抑制剤を用いたものであってよい。
本発明の第三は、温度が1~25℃の範囲にある前記水溶液中に、酸素が供給された状態で10~15000分間保持された活アサリ又は活ハマグリに関する。
本発明の第四は、前記活アサリ又は活ハマグリが冷蔵または冷凍された生アサリ又は生ハマグリに関する。
本発明の第五は、前記生アサリ又は生ハマグリが加熱調理されたアサリ又はハマグリに関する。
本発明の第六は、エノキタケ抽出物、酵母抽出物及び大麦抽出物からなる群より選ばれる少なくとも1種の抽出物を0.1~800ppm(固形分)含有し、塩化ナトリウム濃度が2~3.5重量%、温度が1~25℃の範囲にある水溶液中に、酸素が供給された状態で活アサリ又は活ハマグリを10~15000分間保持することを特徴とする、保管時劣化が抑制されたアサリ又はハマグリの製造方法に関する。
市販のエノキタケ(子実体)100gに100℃に加熱した熱水200mlを加え、2時間保持した。その後固形分を濾別して、固形分量が0.6重量%のエノキタケ抽出物を得た。得られたエノキタケ抽出物の0.5重量%(W/W)固形分濃度の水溶液の粘度は17mPa・sであった。
パン酵母(株式会社カネカ製「カネカイーストGA」)100gに100℃に加熱した熱水200mlを加え、2時間保持した。その後固形分を濾別して、固形分量が1.0重量%の酵母抽出物を得た。得られた酵母抽出物の0.5重量%(W/W)固形分濃度の水溶液の粘度は8mPa・sであった。
大麦粉(石橋工業株式会社製「大麦粉」)100gに100℃に加熱した熱水200mlを加え、2時間保持した。その後固形分を濾別して、固形分量が0.5重量%の大麦抽出物を得た。得られた大麦抽出物の0.5重量%(W/W)固形分濃度の水溶液の粘度は5mPa・sであった。
真昆布(株式会社くらこん製「真昆布」)100gに100℃に加熱した熱水200mlを加え、2時間保持した。その後固形分を濾別して、固形分量が2.0重量%のコンブ抽出物を得た。得られたコンブ抽出物の0.5重量%(W/W)固形分濃度の水溶液の粘度は120mPa・sであった。
実施例および比較例において得たアサリ又はハマグリの加熱調理後の固化度は、訓練された10名(男性5人、女性5人)のパネラーにより食してもらい、各人が以下の基準に基づいて評価し、10人の各評価点の平均値を評価値とした。
5点:実施例15のアサリ又は実施例17のハマグリよりも非常に軟らかい
4点:実施例15のアサリ又は実施例17のハマグリよりも軟らかい
3点:実施例15のアサリ又は実施例17のハマグリと同等の軟らかさである
2点:実施例15のアサリ又は実施例17のハマグリより固い
1点:実施例15のアサリ又は実施例17のハマグリよりも非常に固い。
実施例および比較例において得たアサリ又はハマグリの加熱調理後の身やせの程度は、訓練された10名(男性5人、女性5人)のパネラーが、以下の基準に基づき目視で評価し、10人の各評価点の平均値を評価値とした。
5点:実施例15のアサリ又は実施例17のハマグリよりも非常にふっくらしており、全く身やせしていない
4点:実施例15のアサリ又は実施例17のハマグリよりもふっくらしており、ほぼ身やせしていない
3点:実施例15のアサリ又は実施例17のハマグリと同等のふっくらさで、あまり身やせしていない
2点:実施例15のアサリ又は実施例17のハマグリより身やせしており、ふっくらしていない
1点:実施例15のアサリ又は実施例17のハマグリよりも非常に身やせしており、全くふっくらしていない。
実施例および比較例において得たアサリ又はハマグリの加熱調理後のプリプリとした食感の程度は、訓練された10名(男性5人、女性5人)のパネラーにより食してもらい、各人が以下の基準に基づいて評価し、10人の各評価点の平均値を評価値とした。
5点:実施例15のアサリ又は実施例17のハマグリよりも非常にプリプリ感がある
4点:実施例15のアサリ又は実施例17のハマグリよりもプリプリ感がある
3点:実施例15のアサリ又は実施例17のハマグリと同等のプリプリ感がある
2点:実施例15のアサリ又は実施例17のハマグリよりプリプリ感がない
1点:実施例15のアサリ又は実施例17のハマグリと比較して全くプリプリ感がない。
実施例および比較例において得られたアサリ又はハマグリの加熱調理後の色味は、訓練された10名(男性5人、女性5人)のパネラーが、以下の基準に基づき目視で評価し、○と評価した人数が5人以上の場合○と評価し、○と評価した人数が5人未満の場合×と評価した。
○:実施例15のアサリ又は実施例17のハマグリと色味が同等で、変色がなく良好な色味である
×:実施例15のアサリ又は実施例17のハマグリと比較して変色しており、色味が悪い。
アサリ又はハマグリの加熱調理後の固化度、加熱調理後の身やせ、加熱調理後の食感、及び、加熱調理後の色味の各評価結果を基に、総合評価を行った。その際の評価基準は以下の通りである。
A:アサリ又はハマグリの加熱調理後の固化度、加熱調理後の身やせ、及び加熱調理後の食感の評価が全て4.5点以上5.0点以下を満たしており、且つ色味の評価が○であるもの。
B:アサリ又はハマグリの加熱調理後の固化度、加熱調理後の身やせ、及び加熱調理後の食感の評価が全て4.0点以上5.0点以下であって、且つ4.0以上4.5未満が少なくとも一つあり、且つ色味の評価が○であるもの。
C:アサリ又はハマグリの加熱調理後の固化度、加熱調理後の身やせ、及び加熱調理後の食感の評価が全て3.0点以上5.0点以下であって、且つ3.0以上4.0未満が少なくとも一つあり、且つ色味の評価が○であるもの。
D:アサリ又はハマグリの加熱調理後の固化度、加熱調理後の身やせ、及び加熱調理後の食感の評価が全て2.0点以上5.0点以下であって、且つ2.0以上3.0未満が少なくとも一つあり、且つ色味の評価が○であるもの。
E:アサリ又はハマグリの加熱調理後の固化度、加熱調理後の身やせ、及び加熱調理後の食感の評価において、2.0未満が少なくとも一つあるもの。または色味の評価が×であるもの。
表1の配合に従い、製造例1で得られたエノキタケ抽出物1重量%と、食塩3重量%を配合した水溶液1リットルを水槽に調製し、水温を15℃にコントロールした。該水槽に、活アサリ50体を浸漬し、酸素を供給しながら、180分間保持した後、アサリを水揚げした。水揚げ後、速やかに水気を切ってから真空包装し、4℃の冷蔵庫で48時間保存した後、100℃の熱水で15分間ボイル調理した。その後、アサリの固化度、身やせ、食感、及び色味について官能評価を行った。それらの結果を表1に示した。
表1の配合に従い、前記エノキタケ抽出物の代わりに、製造例2で得られた酵母抽出物を配合した以外は、実施例1と同様にしてアサリを得た。得られたアサリの固化度、身やせ、食感、及び色味について官能評価を行った。それらの結果を表1に示した。
表1の配合に従い、前記エノキタケ抽出物の代わりに、製造例3で得られた大麦抽出物を配合した以外は、実施例1と同様にしてアサリを得た。得られたアサリの固化度、身やせ、食感、及び色味について官能評価を行った。それらの結果を表1に示した。
表1の配合に従い、実施例1の活アサリを活ハマグリに変えた以外は実施例1と同様にしてハマグリを得た。得られたハマグリの固化度、身やせ、食感、及び色味について官能評価を行った。それらの結果を表1に示した。
表1の配合に従い、前記エノキタケ抽出物の代わりに、製造例2で得られた酵母抽出物を配合した以外は、実施例4と同様にしてハマグリを得た。得られたハマグリの固化度、身やせ、食感、及び色味について評価し、それらの結果を表1に示した。
表1の配合に従い、前記エノキタケ抽出物の代わりに、製造例3で得られた大麦抽出物を配合した以外は、実施例4と同様にしてハマグリを得た。得られたハマグリの固化度、身やせ、食感、及び色味について評価し、それらの結果を表1に示した。
表1の配合に従い、前記エノキタケ抽出物の代わりに、製造例4で得られた昆布抽出物を配合した以外は、実施例1と同様にしてアサリを得た。得られたアサリの固化度、身やせ、食感、及び色味について評価し、それらの結果を表1に示した。
この比較例は、特許文献1(特開2003-225047号公報)の実施例B-6に記載された鮮度保持剤に準拠したものである。表1の配合に従い、前記エノキタケ抽出物を配合せず、トレハロース、クエン酸、及び、ポリフェノールを配合した以外は、実施例1と同様にしてアサリを得た。得られたアサリの固化度、身やせ、食感、及び色味について評価し、それらの結果を表1に示した。
この比較例は、特許文献2(特開2011-10637号公報)の実施例1に記載された二枚貝飼育剤に準拠したものである。表1の配合に従い、グルコース0.01重量%及び食塩3重量%を配合した水溶液1リットルを水槽に調製し、水温を15℃にコントロールした。該水槽に、活アサリ50体を浸漬し、酸素を供給しながら、24時間保持した後、アサリを水揚げした。水揚げ後、速やかに水気を切ってから真空包装し、4℃の冷蔵庫で48時間保存した後、100℃の熱水で15分間ボイル調理した。その後、アサリの固化度、身やせ、食感、及び色味について官能評価を行った。それらの結果を表1に示した。
表1の配合に従い、比較例1の活アサリを活ハマグリに変えた以外は比較例1と同様にしてハマグリを得た。得られたハマグリの固化度、身やせ、食感、及び色味について評価し、それらの結果を表1に示した。
表2の配合に従い、エノキタケ抽出物の配合量を1.0重量%から、0.1重量%(実施例7)、10.0重量%(実施例8)、又は、15.0重量%(比較例5)に変更した以外は、実施例1と同様にしてアサリを得た。得られたアサリの固化度、身やせ、食感、及び色味について官能評価を行い、それらの結果を表2に示した。
表2の配合に従い、エノキタケ抽出物を配合せずに調製した水溶液を使用した以外は、実施例1と同様にしてアサリを得た。得られたアサリの固化度、身やせ、食感、及び色味について官能評価を行い、それらの結果を表2に示した。
表2の配合に従い、エノキタケ抽出物を配合せずに調製した水溶液を使用した以外は、実施例4と同様にしてハマグリを得た。得られたハマグリの固化度、身やせ、食感、及び色味について官能評価を行い、それらの結果を表2に示した。
表3の条件に従い、塩を含む水溶液の種類を食塩水から海水へ変更した以外は、実施例1と同様にしてアサリを得た。得られたアサリの固化度、身やせ、食感、及び色味について官能評価を行い、それらの結果を表3に示した。
表3の条件に従い、塩を含む水溶液の種類を食塩水から海水へ変更した以外は、実施例4と同様にしてハマグリを得た。得られたハマグリの固化度、身やせ、食感、及び色味について官能評価を行い、それらの結果を表3に示した。
この比較例は、特許文献3(特開2010-154799号公報)の実施例1-1に記載された貝類の品質改良剤に準拠したものである。表3の配合に従い、水溶液に添加する塩の種類を食塩から乳酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムへ変えた以外は、実施例1と同様にしてアサリを得た。
表4の条件に従い、水溶液の水温を15℃から、10℃(実施例11)、又は、20℃(実施例12)にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にしてアサリを得た。得られたアサリの固化度、身やせ、食感、及び色味について官能評価を行い、それらの結果を表4に示した。
表4の条件に従い、水溶液の水温を15℃から、10℃(実施例13)、又は、20℃(実施例14)にそれぞれ変更した以外は、実施例4と同様にしてハマグリを得た。得られたハマグリの固化度、身やせ、食感、及び色味について官能評価を行い、それらの結果を表4に示した。
表5の条件に従い、水溶液中でのアサリの保持時間を180分間から、15分間(実施例15)、14400分間(実施例16)、5分間(比較例9)、又は、17280分間(比較例10)に変更した以外は、実施例1と同様にしてアサリを得た。得られたアサリの固化度、身やせ、食感、及び色味について官能評価を行い、それらの結果を表5に示した。
表5の条件に従い、水溶液中でのハマグリの保持時間を180分間から、15分間(実施例17)、5分間(比較例11)、又は、17280分間(比較例12)に変更した以外は、実施例4と同様にしてハマグリを得た。得られたハマグリの固化度、身やせ、食感、及び色味について官能評価を行い、それらの結果を表5に示した。
表6の条件に従い、水揚げ後の保存温度は同じで、保存期間を48時間から、96時間(実施例18)、120時間(実施例19)、又は、0時間(実施例20)に変更した以外は実施例1と同様にして、アサリを得た。得られたアサリの固化度、身やせ、食感、及び色味について官能評価を行い、それらの結果を表6に示した。
表6の条件に従い、水揚げ後の保存温度は同じで、保存期間を48時間から、120時間に変更した以外は比較例6と同様にして、アサリを得た。得られたアサリの固化度、身やせ、食感、及び色味について官能評価を行い、それらの結果を表6に示した。
表6の条件に従い、水揚げ後の保存温度は同じで、保存期間を48時間から、120時間に変更した以外は実施例4と同様にして、ハマグリを得た。得られたハマグリの固化度、身やせ、食感、及び色味について官能評価を行い、それらの結果を表6に示した。
表6の条件に従い、水揚げ後の保存温度は同じで、保存期間を48時間から、120時間に変更した以外は比較例7と同様にして、ハマグリを得た。得られたハマグリの固化度、身やせ、食感、及び色味について官能評価を行い、それらの結果を表6に示した。
表6の条件に従い、4℃で48時間の保存条件を、-20℃の冷凍庫に1ヶ月保管し、その後4℃の冷蔵庫に24時間静置解凍の条件に変更した以外は、実施例1と同様にしてアサリを得た。得られたアサリの固化度、身やせ、食感、及び色味について官能評価を行った。それらの結果を表6に示した。
表6の条件に従い、実施例22と同様にして活アサリを水槽中に保持した後、殻が付いたままでの冷解凍を、殻を剥いた剥き身での冷解凍に変更した以外は、実施例22と同様にしてアサリを得た。得られたアサリの固化度、身やせ、食感、及び色味について官能評価を行った。それらの結果を表6に示した。
表6の条件に従い、実施例22のアサリをハマグリに変更した以外は、実施例22と同様にしてハマグリを得た。得られたハマグリの固化度、身やせ、食感、及び色味について官能評価を行った。それらの結果を表6に示した。
Claims (8)
- エノキタケ抽出物を含む、アサリ又はハマグリの保管時劣化抑制剤。
- 前記抽出物を、前記アサリ又はハマグリの保管時劣化抑制剤の乾燥重量全体中、乾燥重量で50~100重量%含む、請求項1に記載のアサリ又はハマグリの保管時劣化抑制剤。
- エノキタケ抽出物を0.1~800ppm(固形分)含有し、塩化ナトリウム濃度が2~3.5重量%である、活アサリ又は活ハマグリの保持用水溶液。
- 請求項1又は2に記載のアサリ又はハマグリの保管時劣化抑制剤を用いた請求項3に記載の水溶液。
- 温度が1~25℃の範囲にある請求項3又は4に記載の水溶液中に、酸素が供給された状態で10~15000分間保持された活アサリ又は活ハマグリ。
- 請求項5に記載の活アサリ又は活ハマグリが冷蔵または冷凍された生アサリ又は生ハマグリ。
- 請求項6に記載の生アサリ又は生ハマグリが加熱調理されたアサリ又はハマグリ。
- エノキタケ抽出物を0.1~800ppm(固形分)含有し、塩化ナトリウム濃度が2~3.5重量%、温度が1~25℃の範囲にある水溶液中に、酸素が供給された状態で活アサリ又は活ハマグリを10~15000分間保持することを特徴とする、保管時劣化が抑制されたアサリ又はハマグリの製造方法。
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