JP7194014B2 - カニミソの冷解凍後の風味低下抑制剤 - Google Patents
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Description
本発明の第二は、エノキタケ抽出物、酵母抽出物及び大麦抽出物からなる群より選ばれる少なくとも1種の抽出物を0.1~500ppm(乾燥重量)含有し、塩化ナトリウム濃度が2~3.5重量%である、加熱調理されたカニミソの冷解凍後の風味低下を抑制するための、活カニの浸漬処理用水溶液に関する。当該水溶液は、前記カニミソの冷解凍後の風味低下抑制剤を用いたものであってよい。
本発明の第三は、温度が1~35℃の範囲にある前記水溶液中に、酸素が供給された状態で50~20000分間浸漬された活カニから取り出されたカニミソに関し、また、当該カニミソが加熱調理された後、冷凍された冷凍カニミソにも関する。さらに、温度が1~35℃の範囲にある前記水溶液中に、酸素が供給された状態で50~20000分間浸漬された活カニを加熱調理してから取り出されたカニミソにも関し、また、当該カニミソが冷凍された冷凍カニミソにも関する。当該冷凍カニミソは、加熱調理したカニから取り出された後、再加熱され、その後冷凍されたものであってもよい。更にまた、以上の冷凍カニミソが解凍された冷解凍カニミソにも関する。
本発明の第四は、エノキタケ抽出物、酵母抽出物及び大麦抽出物からなる群より選ばれる少なくとも1種の抽出物を0.1~500ppm(乾燥重量)含有し、塩化ナトリウム濃度が2~3.5重量%、温度が1~35℃の範囲にある水溶液中に、酸素が供給された状態で活カニを50~20000分間浸漬し、その後該カニからカニミソを取り出して加熱調理してから冷凍することを特徴とする、冷凍カニミソの製造方法に関する。また、エノキタケ抽出物、酵母抽出物及び大麦抽出物からなる群より選ばれる少なくとも1種の抽出物を0.1~500ppm(乾燥重量)含有し、塩化ナトリウム濃度が2~3.5重量%、温度が1~35℃の範囲にある水溶液中に、酸素が供給された状態で活カニを50~20000分間浸漬し、その後該カニを加熱調理してからカニミソを取り出し冷凍することを特徴とする、冷凍カニミソの製造方法にも関する。後者の製造方法においては、加熱調理したカニから取り出したカニミソを再加熱した後、冷凍してもよい。
市販のエノキタケ(子実体)100gに100℃に加熱した熱水200mlを加え、2時間保持した。その後固形分を濾別して、固形分量が0.6重量%のエノキタケ抽出物を得た。得られたエノキタケ抽出物の0.5重量%(W/W)固形分濃度の水溶液の粘度は17mPa・sであった。
パン酵母(株式会社カネカ製「カネカイーストGA」)100gに100℃に加熱した熱水200mlを加え、2時間保持した。その後固形分を濾別して、固形分量が1.0重量%の酵母抽出物を得た。得られた酵母抽出物の0.5重量%(W/W)固形分濃度の水溶液の粘度は8mPa・sであった。
大麦粉(石橋工業株式会社製「大麦粉」)100gに100℃に加熱した熱水200mlを加え、2時間保持した。その後固形分を濾別して、固形分量が0.5重量%の大麦抽出物を得た。得られた大麦抽出物の0.5重量%(W/W)固形分濃度の水溶液の粘度は5mPa・sであった。
真昆布(株式会社くらこん製「真昆布」)100gに100℃に加熱した熱水200mlを加え、2時間保持した。その後固形分を濾別して、固形分量が2.0重量%のコンブ抽出物を得た。得られたコンブ抽出物の0.5重量%(W/W)固形分濃度の水溶液の粘度は120mPa・sであった。
実施例および比較例において得たカニミソの風味は、訓練された10名(男性5人、女性5人)のパネラーにカニミソを食してもらい、以下の基準により評価した。10人の各評価点の平均値を評価値とした。但し、以下に示した評価基準は毛ガニを用いた実施例に関するものである。ズワイガニを用いた実施例においては、下記評価基準中の「実施例9」を「実施例14」に読み替えた評価基準を使用し、ワタリガニを用いた実施例においては、下記評価基準中の「実施例9」を「実施例16」に読み替えた評価基準を使用した。
5点:実施例9のカニミソよりも非常に良く、濃厚な風味を非常に強く感じる。
4点:実施例9のカニミソよりも良く、濃厚な風味を強く感じる。
3点:実施例9のカニミソと同等で、濃厚な風味が感じられる。
2点:実施例9のカニミソよりも悪く、濃厚な風味が感じられにくい。
1点:実施例9のカニミソよりも非常に悪く、異味が強く濃厚な風味が感じられない。
表1の配合に従い、製造例1で得られたエノキタケ抽出物1重量%と、食塩3重量%を配合した水溶液200リットルを水槽に調製し、水温を5℃にコントロールした。該水槽に、活毛ガニ10体を浸漬し、酸素を供給しながら、360分間保持した後、水揚げした。水揚げ後速やかに脚を縛り、沸騰した3%の食塩水中で20分間ボイルした。その後、冷水中で荒熱を取り、水気を切った後に包装し、-20℃で冷凍した。その温度で1週間冷凍保存した後、カニを冷凍庫から取り出し、5℃の恒温槽に1日静置して、自然解凍させた。その後、甲羅をむいてカニミソを採取し、カニミソの濃厚な風味について評価した。その結果を表1に示した。
表1の配合に従い、前記エノキタケ抽出物の代わりに、製造例2で得られた酵母抽出物を配合した以外は、実施例1と同様にしてカニミソを得た。得られたカニミソの濃厚な風味を評価した。その結果を表1に示した。
表1の配合に従い、前記エノキタケ抽出物の代わりに、製造例3で得られた大麦抽出物を配合した以外は、実施例1と同様にしてカニミソを得た。得られたカニミソの濃厚な風味を評価した。その結果を表1に示した。
表1の配合に従い、前記エノキタケ抽出物の代わりに、製造例4で得られた昆布抽出物を配合した以外は、実施例1と同様にしてカニミソを得た。得られたカニミソの濃厚な風味を評価した。その結果を表1に示した。
表2の配合に従い、エノキタケ抽出物の配合量を1.0重量%から、0.1重量%(実施例4)、5.0重量%(実施例5)、又は、10.0重量%(比較例2)に変更した以外は、実施例1と同様にしてカニミソを得た。得られたカニミソの濃厚な風味を評価した。その結果を表2に示した。
表2の配合に従い、エノキタケ抽出物を配合せずに調製した水溶液を使用した以外は、実施例1と同様にしてカニミソを得た。得られたカニミソの濃厚な風味を評価した。その結果を表2に示した。
表3の条件に従い、塩を含む水溶液の種類を食塩水から海水へ変更した以外は、実施例1と同様にしてカニミソを得た。得られたカニミソの濃厚な風味を評価した。その結果を表3に示した。
この比較例は、特許文献1(特開2007-20566号公報)で最も良好な評価が示されている表5の試験番号215の保存処理液の組成に準拠したものである。表3の配合に従い、エノキタケ抽出物を配合せず、食塩の配合量を1重量%に変更し、更に、L-アスコルビン酸2重量%とグリシン0.5重量%を配合して水の量を調整した以外は、実施例1と同様にして活カニを浸漬した後、水揚げした。
表4の条件に従い、水溶液の水温を5℃から、2℃(実施例7)、又は、15℃(実施例8)にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にしてカニミソを得た。得られたカニミソの濃厚な風味を評価した。その結果を表4に示した。
表5の条件に従い、水溶液へのカニの浸漬時間を360分間から、90分間(実施例9)、17280分間(実施例10)、30分間(比較例5)、又は、23040分間(比較例6)に変更した以外は、実施例1と同様にしてカニミソを得た。得られたカニミソの濃厚な風味を評価した。その結果を表5に示した。
表6の条件に従い、冷凍保存期間を1週間から、3カ月間(実施例11)、又は、1日(実施例12)に変更した以外は実施例1と同様にして、カニミソを得た。得られたカニミソの濃厚な風味を評価した。その結果を表6に示した。
表6の条件に従い、実施例1と同様にエノキタケ抽出物を含む水溶液に浸漬した後、水揚げし、実施例1と同様にボイルしてから荒熱を取った後、カニの甲羅をむいてカニミソを採取した。採取したカニミソを包装し、-20℃で冷凍した。その温度で1週間冷凍保存した後、カニミソを冷凍庫から取り出し、5℃の恒温槽に1日静置して、自然解凍させた。得られたカニミソの濃厚な風味を評価した。その結果を表6に示した。
表6の条件に従い、-20℃で1週間の冷凍による保存条件を、4℃で1週間の冷蔵による保存条件に変更した以外は実施例1と同様にして、カニミソを得た。得られたカニミソの濃厚な風味を評価した。その結果を表6に示した。
実施例1の浸漬処理を行わず、活毛ガニの脚を縛り、沸騰した3%の食塩水中で20分間ボイルした。その後、冷水中で荒熱を取り、水気を切った後、包装や冷凍保存をせず直ちに、甲羅をむいてカニミソを採取し、カニミソの濃厚な風味について評価した。その結果を表6に示した。
表7の条件に従い、毛ガニの代わりにズワイガニを使用し、水溶液へのカニの浸漬時間を360分間から90分間に変更した以外は、実施例1と同様にしてカニミソを得た。得られたカニミソの濃厚な風味を評価した。その結果を表7に示した。
表7の条件に従い、水溶液へのカニの浸漬時間を90分間から360分間に変更した以外は、実施例14と同様にしてカニミソを得た。得られたカニミソの濃厚な風味を評価した。その結果を表7に示した。
表7の条件に従い、毛ガニの代わりにワタリガニを使用し、水溶液の水温を5℃から20℃に変更し、水溶液へのカニの浸漬時間を360分間から90分間に変更した以外は、実施例1と同様にしてカニミソを得た。得られたカニミソの濃厚な風味を評価した。その結果を表7に示した。
表7の条件に従い、水溶液へのカニの浸漬時間を90分間から360分間に変更した以外は、実施例16と同様にしてカニミソを得た。得られたカニミソの濃厚な風味を評価した。その結果を表7に示した。
Claims (10)
- エノキタケ抽出物、酵母抽出物及び大麦抽出物からなる群より選ばれる少なくとも1種の抽出物を含む、加熱調理されたカニミソの冷解凍後の風味低下抑制剤。
- 前記抽出物を、前記風味低下抑制剤の乾燥重量全体中、乾燥重量で50~100重量%含む、請求項1に記載の加熱調理されたカニミソの冷解凍後の風味低下抑制剤。
- エノキタケ抽出物、酵母抽出物及び大麦抽出物からなる群より選ばれる少なくとも1種の抽出物を0.1~500ppm(乾燥重量)含有し、塩化ナトリウム濃度が2~3.5重量%である、加熱調理されたカニミソの冷解凍後の風味低下を抑制するための、活カニの浸漬処理用水溶液。
- 請求項1又は2に記載の加熱調理されたカニミソの冷解凍後の風味低下抑制剤を用いた請求項3に記載の水溶液。
- 温度が1~35℃の範囲にある請求項3又は4に記載の水溶液中に、酸素が供給された状態で活カニを50~20000分間浸漬し、該活カニからカニミソを取り出すことを特徴とする、カニミソの製造方法。
- 温度が1~35℃の範囲にある請求項3又は4に記載の水溶液中に、酸素が供給された状態で活カニを50~20000分間浸漬し、該活カニを加熱調理してからカニミソを取り出すことを特徴とする、カニミソの製造方法。
- エノキタケ抽出物、酵母抽出物及び大麦抽出物からなる群より選ばれる少なくとも1種の抽出物を0.1~500ppm(乾燥重量)含有し、塩化ナトリウム濃度が2~3.5重量%、温度が1~35℃の範囲にある水溶液中に、酸素が供給された状態で活カニを50~20000分間浸漬し、その後該カニからカニミソを取り出して加熱調理してから冷凍することを特徴とする、冷凍カニミソの製造方法。
- エノキタケ抽出物、酵母抽出物及び大麦抽出物からなる群より選ばれる少なくとも1種の抽出物を0.1~500ppm(乾燥重量)含有し、塩化ナトリウム濃度が2~3.5重量%、温度が1~35℃の範囲にある水溶液中に、酸素が供給された状態で活カニを50~20000分間浸漬し、その後該カニを加熱調理してからカニミソを取り出し冷凍することを特徴とする、冷凍カニミソの製造方法。
- 加熱調理したカニから取り出したカニミソを再加熱した後、冷凍する、請求項8に記載の製造方法。
- 請求項7、8又は9に記載の製造方法によって冷凍カニミソを得た後、該冷凍カニミソを解凍することを特徴とする、冷解凍カニミソの製造方法。
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Food Chemistry,2011年,Vol.127,pp.1594-1599 |
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