JP2019073308A - ストレッチフィルムを用いたスリーブ包装方法、スリーブ包装用ストレッチフィルム、およびスリーブ包装体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら予め製袋された包装用袋を用いて書籍類を包装する場合、袋に書籍類を投入する作業は機械化が難しい為、通常、手作業により包装用袋の口を開き、袋内に書籍類を投入する必要があった。
ところでシュリンク包装は、シュリンクフィルムにて書籍類を包んだ後、これをシュリンクトンネルと呼ばれる加熱装置に通して、シュリンクフィルムを収縮させる必要がある。しかしながら書籍類は紙製品である為、書店に加熱装置を設置することは望まれてはおらず、加熱装置を必要としない包装方法の出現が望まれている。
特許文献3には、該フィルムを用いて書籍等を梱包できることが開示されている。しかしながら、該フィルムを用いて書籍類を包装する具体的な方法については何ら開示されていない。
ストレッチフィルムを用いて書籍類や箱詰めされた商品を該帯掛け包装したところ、帯掛け包装では書籍類の汚染・破損を十分に防止することができないことが判明した。これらの被包装物において最も傷付き易いのは角部分であり、帯掛け包装では該角部分をフィルムによって保護することができないのである。
一般的なスリーブ包装は、合成樹脂フィルム3’としてシュリンクフィルムが用いられる。これはフィルムの側縁部2a’、2b’を、被包装物の左右側面3a’、3b’に密着させる為である。フィルムの側縁部2a’、2b’が被包装物の左右側面3a’、3b’から浮き上がっていると、包装体の外観が不良となり、また浮き上がった部分からフィルム2’が破れやすい。
本発明者らは、ストレッチフィルムを用いてスリーブ包装する場合、ストレッチフィルムを円筒状に成形するに先立ち、該フィルムを十分に引き伸ばせば、フィルムの側縁部が被包装物の左右側面側に折れ曲がることを見出し、本発明に至った。
また、被包装物よりも幅広のストレッチフィルムを用いて被包装物をスリーブ包装する方法において、ストレッチフィルムの両側縁部が被包装物の両側辺からはみ出すように、前記ストレッチフィルムにて前記被包装物を覆いながら、前記ストレッチフィルムを引き伸ばして、ストレッチフィルムの前記両側縁部を前記被包装物の両側面側に折り曲げる延伸被覆工程と、前記ストレッチフィルムを融着及び切断させ、円筒状に成形する成形工程と、を順次備えることを特徴とするストレッチフィルムを用いたスリーブ包装方法が提供される。
更に、前記延伸工程又は前記延伸被覆工程においてストレッチフィルムを引き伸ばす際に、ストレッチフィルムの両側縁部を、ストレッチフィルムの中央部よりも大きく引き伸ばすことを特徴とする前記ストレッチフィルムを用いたスリーブ包装方法が提供される。
また、本発明によると、前記被包装物が書籍類であることを特徴とする前記ストレッチフィルムを用いたスリーブ包装方法が提供される。
また、フィルムの流れ方向の50%モジュラスが、3N/25.4mm〜30N/25.4mmであることを特徴とする前記スリーブ包装用ストレッチフィルムが提供される。
更に、ストレッチフィルムと被包装物とからなるスリーブ包装体の製造方法であって、前記スリーブ包装方法を用いたことを特徴とするスリーブ包装体の製造方法が提供される。
また本発明の包装方法を複数の物品を纏めて包装する集積包装に用いると、ストレッチフィルムの両側縁部が被包装物側に折れ曲がっているため、個々の物品が左右にずれることが抑制され、結束状態を維持することができる。
被包装物が書籍類であると、本発明の包装方法を採用することにより、立ち読み等を防止することができる。またスリーブ包装は左右側面の中央部分において開口される為、フィルムに孔あけ加工等を施さなくても、書籍類に挟まれた売上スリップを抜き出すことができる。
また本発明に用いられるストレッチフィルムの流れ方向(MD)の50%モジュラスが3N/25.4mm〜30N/25.4mmであると、被包装物を撓ませることなく、タイトに包装することができる。
[スリーブ包装方法]
本発明のストレッチフィルムを用いたスリーブ包装方法は、(1)被覆工程、延伸工程、成形工程を順に備える、又は(2)延伸被覆工程、成形工程を順に備える。
本発明のスリーブ包装方法のうち、被覆工程、延伸工程、成形工程を順に備える包装方法について、図1に基づき説明する。
被覆工程は、ストレッチフィルムにて被包装物を覆う工程である。具体的には図1(A)に示すように、フィルムを約180°折り曲げ、折り曲げられたフィルム間に被包装物を配置する。以下、フィルムの折り曲げられる辺に垂直な方向(図1における方向W)を「幅方向」と称し、折り曲げられる辺に平行な方向(図1における方向L)を、以下「長さ方向」と称す。
被覆工程では、ストレッチフィルム2の長さ方向と平行な両側縁部2a、2bが、被包装物3の側辺3cからはみ出すように、ストレッチフィルム2にて被包装物3を覆う。このとき、ストレッチフィルム2の長さ方向Lと被包装物3の側辺3cが略平行となるようにする。尚、図1ではストレッチフィルムの長さ方向Lと略平行な側辺3cを、被包装物の短辺としたが、該側辺3cを被包装物の長辺としても良い。いずれを側辺3cとするかは、被包装物の大きさ、フィルム幅、包装機等に合せて適宜決定すればよい。
ストレッチフィルム2の側縁部2a、2bは、少なくとも一部において被包装物3の側面3a、3b側に折れ曲がっていれば、折れ曲がっていない部分が多少残っていても問題ないが、側縁部2a、2bの面積の50%以上は折れ曲がっていることが望ましく、特に70%以上、更には90%以上折れ曲がっていることが望ましい。折れ曲がっている部分が多いほど、被包装物を効果的に保護することができ、また包装体の外観も良好となる。
本発明のスリーブ包装方法のうち、延伸被覆工程、成形工程を順に備える包装方法について、図2に基づき説明する。図1では被包装物3をストレッチフィルム2で被覆した(被覆工程)後、該フィルム2を引き伸ばした(延伸工程)が、ストレッチフィルム2を引き伸ばしながら、該フィルム2で被包装物3を覆っても良い(延伸被覆工程)。
延伸被覆工程は、図2(A)に示すように、ストレッチフィルム2を長さ方向に引き伸ばしながら、該フィルム2で被包装物3の周囲を覆う工程である。フィルムを引き伸ばしながら、被包装物3の周囲に配置する方法については特に限定されるものではないが、被包装物3の位置が動かないように、仮固定しておくことが望ましい。また上述した延伸工程と同様に、ストレッチフィルムの側縁部2a、2bを、幅方向の中央部分2cよりも大きく引き伸ばすと、該側縁部2a、2bは被包装物3側に折れ曲がりやすい。
成形工程(図2(B))は、上述した(1)被覆工程、延伸工程、成形工程を順に備える包装方法の成形工程と、同様の方法にて行うとよい。
図3は、上述したスリーブ包装方法により製造されるスリーブ包装体1の概略斜視図である。本発明により得られるスリーブ包装体1は、ストレッチフィルム2と被包装物3とから成る。ストレッチフィルム2の幅をW(図示せず)、被包装物3の幅をXとした場合、W>Xである。フィルム幅Wが、被包装物幅X以下であると、被包装物3をスリーブ包装することができない。また被包装物3の角部3dを確実に保護する為には、フィルム幅WがX+5mm以上であることが望ましく、特にX+10mm以上であることが望ましい。
また被包装物3の高さをYとした場合、フィルム幅Wは(X+Y)以下であることが望ましい。フィルム幅WがX+Yを超えると、被包装物の右側面3a及び/又は左側面3bにおいて、ストレッチフィルム2が重なり合い、外観が悪化する。被包装物3が書籍類である場合、売上スリップの抜き取り作業に鑑みると、フィルム幅Wは(X+Y−5mm)以下であることが望ましく、特に(X+Y−10mm)以下であることが望ましい。
本発明のスリーブ包装方法に用いられるストレッチフィルムは、フィルム流れ方向において、後述する引張試験によって、フィルムを50%延伸する(チャック間距離が基の長さの1.5倍になるまで延伸する)際に降伏点が観測されないフィルムであることが望まれる。50%延伸する際に降伏点が観測されるフィルムは、上述した延伸工程や延伸被覆工程において、ストレッチフィルムが不可逆的な変形を起こす恐れがある。尚、望ましくは100%(チャック間距離が基の長さの2.0倍)延伸しても降伏点が観測されない。
引張試験の方法について説明する。まず、JIS K7127に規定される試験片タイプ4を作成する。このときフィルムの流れ方向が試験片の長さ方向となるようにする。次いでJIS K7161:2014に準拠し、温度23±2℃、相対湿度50±5%において、標線間距離40mm、掴かみ具間距離40mm、引張速度500mm/minで引張試験を行う。本発明の実施例では、引張試験に株式会社島津製作所製オートグラフAGS−X500Nを用いた。
ポリエチレン系樹脂(α)と熱可塑性エラストマー(β)の配合割合は特に限定されるものではないが、例えばポリエチレン系樹脂(α):熱可塑性エラストマー(β)=51〜95重量%:49〜5重量%であることが望ましく、特に70〜90重量%:30〜10重量%程度であることが望ましい。
フィルムのストレッチ性を損なうことなく、静摩擦係数を下げる為には、ストレッチフィルムを多層化し、両外層の主成分を比較的密度の高いポリエチレン系樹脂とし、他の樹脂層の主成分を比較的密度の低いポリエチレン系樹脂とすればよい。例えば、フィルムを3層構成とし、両外層を密度910〜925kg/m3の直鎖状低密度ポリエチレンを主成分とする樹脂組成物から成形し、中間層を密度880〜909kg/m3の直鎖状超低密度ポリエチレンを主成分とする樹脂組成物から成形するとよい。
尚、ストレッチフィルム2は、直鎖状低密度ポリエチレンを主成分とし、エチレンとαオレフィンのブロック共重合体であるオレフィン系エラストマーを副成分とする樹脂組成物から、製膜される厚さ40μmのストレッチフィルム(巾195mm)を採用する。該フィルムの降伏点は50%延伸する際に観測されず、更には100%延伸しても観測されなかった。またヤング率は80MPa、50%モジュラスは9.3N/25.4mmである。
また被包装物としては、幅182mm、長さ128mm、高さ20mmのコミック本を採用する。
初めにベルトコンベアー5上に被包装物3(コミック本)を置く。このとき被包装物3の短辺方向がベルトコンベアー5の移動方向と略平行となるようにする。次いで、被包装物3の上方と下方にそれぞれにストレッチフィルム2の原反4を配し、上方から繰り出されたストレッチフィルム2の先端と、下方から繰り出されたストレッチフィルム2の先端とを溶断シールして繋ぐ(図4(A))。更にベルトコンベアー5を回転させ、被包装物3をストレッチフィルム2間に押し出す(図4(B))。このとき原反4は低いテンションで繰り出されるように設定しておく。ストレッチフィルム2が被包装物3を概ね覆えば、被覆工程は完了する。
該実施形態により得られるスリーブ包装体は、被包装物であるコミック本の全ての角部をストレッチフィルムが覆っているため、コミック本を効率よく保護することができる。またストレッチフィルムの両側縁部がコミック本の側面側に折れ曲がっているため外観も良好である。
初めにベルトコンベアー5上に被包装物3(コミック本)を置く。このときコミック本の短辺方向がベルトコンベアー5の移動方向と略平行となるようにする。次いで、被包装物3の上方と下方にそれぞれにストレッチフィルム2の原反4を配し、上方から繰り出されたストレッチフィルム2の先端と、下方から繰り出されたストレッチフィルム2の先端とを繋ぐ(図5(A))。次いでプレッシャ9により、被包装物3をストレッチフィルム2間に押し出す(図5(B))。このとき原反4は高いテンションにより繰り出されるように設定しておき、ストレッチフィルム2が引き伸ばされながら繰り出されるようにする。ストレッチフィルム2の側縁部2a(2b)が被包装物3側に折れ曲がれば、本発明の延伸被覆工程は完了である。図4に図示した実施形態と同様に、ストレッチフィルムの側縁部2a(2b)をストレッチフィルムの幅方向中央部分よりも大きく延伸すると、該側縁部2a(2b)は被包装物3側に折れ曲がりやすい。
2 ストレッチフィルム
2’ 合成樹脂フィルム
2a、2a’ 右側縁部
2b、2b’ 左側縁部
3、3’ 被包装物
3a、3a’ 右側面
3b、3b’ 左側面
3c 側辺
3d 角部
31’ 正面
32’ 背面
33’ 上面
34’ 下面
4 原反
5 ベルトコンベアー
6 爪
7a ヒートシールバー
7b 受け台
8 抑え具
9 プレッシャ
Claims (7)
- 被包装物よりも幅広のストレッチフィルムを用いて被包装物をスリーブ包装する方法において、
ストレッチフィルムの両側縁部が被包装物の両側辺からはみ出すように、前記ストレッチフィルムにて前記被包装物を覆う被覆工程と、
前記ストレッチフィルムを引き伸ばして、ストレッチフィルムの前記両側縁部を前記被包装物の両側面側に折り曲げる延伸工程と、
前記ストレッチフィルムを融着及び切断させ、円筒状に成形する成形工程と、
を順次備えることを特徴とするストレッチフィルムを用いたスリーブ包装方法。 - 被包装物よりも幅広のストレッチフィルムを用いて被包装物をスリーブ包装する方法において、
ストレッチフィルムの両側縁部が被包装物の両側辺からはみ出すように、前記ストレッチフィルムにて前記被包装物を覆いながら、前記ストレッチフィルムを引き伸ばして、ストレッチフィルムの前記両側縁部を前記被包装物の両側面側に折り曲げる延伸被覆工程と、
前記ストレッチフィルムを融着及び切断させ、円筒状に成形する成形工程と、
を順次備えることを特徴とするストレッチフィルムを用いたスリーブ包装方法。 - 前記延伸工程又は前記延伸被覆工程においてストレッチフィルムを引き伸ばす際に、ストレッチフィルムの両側縁部を、ストレッチフィルムの中央部よりも大きく引き伸ばすことを特徴とする請求項1又は2に記載のストレッチフィルムを用いたスリーブ包装方法。
- 前記被包装物が書籍類であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のストレッチフィルムを用いたスリーブ包装方法。
- 請求項1乃至4のいずれか1項に記載されたストレッチフィルムを用いたスリーブ包装方法に用いられるストレッチフィルムであって、
フィルムを流れ方向に50%延伸する際に降伏点が観測されないことを特徴とするスリーブ包装用ストレッチフィルム。 - フィルムの流れ方向の50%モジュラスが、3N/25.4mm〜30N/25.4mmであることを特徴とする請求項5記載のスリーブ包装用ストレッチフィルム。
- ストレッチフィルムと被包装物とからなるスリーブ包装体の製造方法であって、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のスリーブ包装方法を用いたことを特徴とするスリーブ包装体の製造方法。
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