JP2000094611A - ストレッチ包装用フィルム - Google Patents

ストレッチ包装用フィルム

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JP2000094611A
JP2000094611A JP10265883A JP26588398A JP2000094611A JP 2000094611 A JP2000094611 A JP 2000094611A JP 10265883 A JP10265883 A JP 10265883A JP 26588398 A JP26588398 A JP 26588398A JP 2000094611 A JP2000094611 A JP 2000094611A
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layer
heat
packaging
run
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Toshiaki Ono
俊明 大野
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヒートシール性に優れ且つ包装時の破れが発
生しにくい容器包装に最適なフィルムを提供すること。 【解決手段】 両表面層(S層)と少なくとも1層の耐
熱層(H層)からなる少なくとも3層のストレッチ包装
用フィルムであって、両表面層(S層)が融点が60〜
100℃で重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(M
n)が3以下であるエチレン−α・オレフィン共重合体
からなり、耐熱層(H層)はプロピレン−α・オレフィ
ン・ブロック共重合体からなり、融点が150℃以上
で、フィルム全重量に対する融解熱量が5〜40J/g
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は食品等のストレッチ
包装用フィルムに関し、特に弁当や惣菜等の蓋付容器に
入った食品のハンド包装やマシン包装等に適したフィル
ムに関する。
【0002】
【従来の技術】最近、コンビニエンスストアー等では二
軸延伸ポリスチレンシート(OPS)や発泡ポリスチレ
ンシート(PSP)等を成形した容器を用いた弁当や惣
菜の売り上げが急速に伸びている。従来、弁当や惣菜の
入った容器は可塑化ポリ塩化ビニル樹脂フィルム(以
下、塩ビフィルムと略す)で包装されてきたが、環境問
題等からポリオレフィン系樹脂フィルム(PO系フィル
ムと略す)に代替される様になってきた。
【0003】ここで、弁当をフィルムで包装することは
毒物や異物を故意に入れても発見出来る(バージン性)
というメリットもあり、その為には包装したフィルムに
破れが無く完全にヒートシールされている必要がある。
従って弁当や惣菜等の容器包装(以下、容器包装と略
す)用フィルムに対しては、一般に行われているトレー
包装に比べて包装時に破れにくく又優れたヒートシール
特性が要求されている。
【0004】ここで、容器包装と一般のトレー包装との
違いについて説明する。弁当や惣菜の容器は一般のトレ
ーと異なり蓋がある。この蓋は一般にOPS製で、突き
上げ型包装機でストレッチ包装する場合にPO系フィル
ムはOPS製の蓋とは密着して滑らず、その結果フィル
ムを容器底部に折り込む時に容器角部のフィルムに力が
集中する傾向となり、この角部でのフィルム破れが発生
したり、角部近傍の容器底部でフィルムが折り込み板で
擦れて破れが発生し易い傾向にある。
【0005】又一般のトレー包装では、ヒートシールが
若干不完全でフィルムを破ること無しに引き剥がれる状
態であっても問題に無っていないが、バージン性を問題
にする弁当包では、ヒートシールに対してより厳しい要
求特性レベルにある。具体的には、ヒートシール部を剥
がそうとするとシール強度が高い為にフィルムが破れる
レベルである必要がある。
【0006】この様な優れたヒートシール性は、ヒート
シール出来る温度範囲(ヒートシールレンジ)が広いこ
ととヒートシール強度が高いことが必要である。ヒート
シールレンジを広くする為には、融点の低い表面層と融
点の高い耐熱層とを有することが有効で、ストレッチ性
とヒートシール性とを兼ね備えたフィルムとして、両表
面層(S層)に酢酸ビニル含量が15%程度のエチレン
−酢酸ビニル共重合体(EVA)を用い、耐熱層(H
層)としてプロピレンホモポリマー又はプロピレン−α
・オレフィン・ランダム共重合体からなるフィルムが提
案されている(例えば、特公平2−1668号公報、特
公平4−50904号公報等)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のフィル
ムは一般のトレー包装用に提案されたストレッチフィル
ムであり、容器包装では包装時に破れが発生したり、ヒ
ートシールが完全ではない等の問題が発生した。そこ
で、本発明は従来のフィルムよりも更にヒートシール性
に優れ且つ包装時の破れが発生しにくい容器包装に最適
なフィルムを提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、両表面層(S
層)と少なくとも1層の耐熱層(H層)からなる少なく
とも3層のストレッチ包装用フィルムにおいて、両表面
層(S層)が融点が60〜100℃で重量平均分子量
(Mw)/数平均分子量(Mn)が3以下であるエチレ
ン−α・オレフィン共重合体からなること、及び耐熱層
(H層)はプロピレン−α・オレフィン・ブロック共重
合体からなり、融点が150℃以上で、フィルム全重量
に対する融解熱量が5〜40J/gであることを特徴と
する。
【0009】以下に本発明を詳細に説明する。本発明が
従来技術と相違する点は、「両表面層(S層)が融点が
60〜100℃で重量平均分子量(Mw)/数平均分子
量(Mn)が3以下であるエチレン−α・オレフィン共
重合体からなる」ことと、「耐熱層(H層)がプロピレ
ン−α・オレフィン・ブロック共重合体からなり、融点
が150℃以上で融解熱量が5〜40J/gである」点
にある。
【0010】先ず本発明のフィルムが従来のフィルムに
比べ容器包装用フィルムとして優れていることを、表1
を用いて説明する。表1において、実施例1、Run.
No.1のフィルムが本発明のフィルムであり、比較例
1、Run.No.2〜4が従来のフィルムに対応す
る。表1から明らかな様に、本発明のフィルム(Ru
n.No.1)はヒートシール性(以降、シール性と略
す)及び包装性共に優れていた。
【0011】これに対し、Run.No.2はS層にE
VAを用い、H層にプロピレン単独重合体を用いたフィ
ルムで、フィルムの破断伸びが縦方向/横方向=200
%/300%、引裂強度も縦方向/横方向=4g/5g
と脆いフィルムで、包装時にフィルム破れが多発して、
容器包装には不向きであることが分かった。尚このフィ
ルムは透明性に劣り、後述する方法で求めたHAZEが
30%であった。
【0012】またRun.No.3のフィルムはS層に
EVAを用い、H層に融点が151℃のプロピレンとエ
チレンのランダム共重合体(以降、EPPと略す)を用
いたフィルムで、Run.No.2のフィルムよりは改
善されているものの、フィルムの破断伸びが縦方向/横
方向=250%/450%、引裂強度も縦方向/横方向
=8g/80gと脆い為に包装時にフィルム破れが多発
して、容器包装には不向きであることが分かった。
【0013】更にRun.No.4のフィルムは、Ru
n.No.3よりもエチレン含量の多いEPPを用いた
フィルムで、Run.No.3のフィルムよりも更に改
善されているものの、フィルムの破断伸びが縦方向/横
方向=270%/450%、引裂強度も縦方向/横方向
=8g/120gと脆く、包装時にフィルム破れが多発
して容器包装には不向きであることが分かった。又、H
層の融点が137℃と低い為にシールレンジが15℃と
狭く、ヒートシール性にも劣っていた。
【0014】従ってプロピレン単独重合体やプロピレン
系ランダム共重合体をH層に用いる従来のフィルムで
は、コモノマー含量を増やして包装性を改良しよとする
と、包装性が改良出来ないばかりかシール性が犠牲とな
る為、容器包装には適さないことが分かる。以上のこと
から、本発明のフィルムが従来のフィルムに比べ容器包
装用ストレッチフィルムとして優れていることが分か
る。
【0015】次に、両表面層(S層)が融点が60〜1
00℃で重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(M
n)が3以下であるエチレン−α・オレフィン共重合体
からなることの必要性について説明する。両表面層(S
層)のエチレン−α・オレフィン共重合体の分子量分布
(Mw/Mn)は、包装性から3以下とし、且つその融
点は、ヒートシール性から100℃以下である必要があ
る。
【0016】後述する方法で測定されたMw/Mn(分
子量分布)が3を越える場合には、上記共重合体中の低
分子量成分が多い為に包装時に容器の角底部でのフィル
ムの擦れ破れが発生し易い傾向にある。尚Mw/Mnは
理論上1以下になることはない。又上記融点が100℃
を越える場合には、耐熱層の融点との関係でシール可能
温度範囲が45℃未満となり実用上問題のあるレベルと
なる。尚上記共重合体の融点は60℃以上である必要が
ある。融解ピークは融点が低くなる程ブロードとなる傾
向にあり、通常融点が60℃付近にある共重合体の融解
開始から融解終了までの温度範囲は30〜70℃程度と
なる為、エチレン−α・オレフィン共重合体の融点が6
0℃以下では室温程度でもベタツキ感があり、包装時に
容器や包装機部材との滑り性に劣りフィルム破れが発生
し易い傾向にある。
【0017】ここで融点の測定はJIS−K7121に
準拠し、パーキンエルマー社製DSC−7を用いて、フ
ィルム試料を約5mg、昇温速度10℃/分で−30℃
〜200℃まで昇温した時のS層のエチレン−α・オレ
フィン共重合体に由来するピークの内、最も大きい(高
い)ピークのピーク温度を採った(詳細な条件は後述す
る)。
【0018】以上の特性を満たすエチレン−α・オレフ
ィン共重合体は、カミンスキー触媒やブルックハート触
媒等のいわゆるシングルサイト触媒やヴァナジウム触媒
等で重合されたものである。上記α・オレフィンとして
は、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチルペンテン−
1、オクテン−1等が上げられるが、引裂強度の点から
炭素数が6以上のα・オレフィンが好ましい。特にオク
テン−1が好ましい。尚、α・オレフィン含量は2〜1
0モル%程度であり、好ましくは3〜8モル%程度であ
る。
【0019】上記エチレン−α・オレフィン共重合体は
一般にはメルトフローレート(MI:JIS−K721
0に準拠。190℃、2.16kg)は1〜20g/1
0分程度であり、透明性やストレッチ性の観点からは2
〜10g/10分が好ましく、より好ましくは3〜10
g/10分である。また、密度は特に制限はないが、一
般に0.905〜0.870g/cm3 である。
【0020】又、両表面層(S層)には、上記エチレン
−α・オレフィン共重合体に50容量%を越えない範囲
で他の樹脂、例えばEVAや他のエチレン−α・オレフ
ィン共重合体等がブレンドされていても良い。次に、耐
熱層(H層)はプロピレン−α・オレフィン・ブロック
共重合体からなり、融点が150℃以上で融解熱量が5
〜40J/gであることの必要性について説明する。
【0021】先ず、耐熱層(H層)はプロピレン−α・
オレフィン・ブロック共重合体(以降B−PPと略す)
からなる必要がある。前述のごとくプロピレン単独共重
合体やプロピレン−α・オレフィンのランダム共重合体
(以降、R−PPと略す)では包装性とヒートシール性
との両者を満足するフィルムは得られ難い。尚本発明で
いう「プロピレンとα・オレフィンとのブロック共重合
体」とは、後述するプロピレンとα・オレフィンとのラ
ンダム共重合体では成立する融点(mp:℃)と融解熱
量(E:J/g)との関係式からはずれるものを言う。
【0022】 E=14.8exp(0.0126mp)±20 次に耐熱層(H層)の融点は、優れたシール性、具体的
にはシールレンジが45℃以上を達成する為に150℃
以上である必要がある。150℃未満では、両表面層の
融点との関係でシール可能温度範囲が45℃未満となり
実用上問題のあるレベルとなる。尚融点の上限は一般に
170℃である。
【0023】ここで、上記融点は両表面層(S層)と同
様にJIS−K7121に準拠し、同一の条件で測定を
行い、B−PPに起因する融解ピークの内最も高温側に
発現するピークのピーク温度を採った。また耐熱層(H
層)のフィルム全重量に対する融解熱量は、シール時の
耐熱性から5J/g以上である必要があり、包装性から
40J/g以下である必要がある。フィルム全重量に対
する融解熱量が5J/g未満では、上記B−PPの融点
が150℃以上であっても耐熱性が不足してヒートシー
ルレンジが45℃未満となり実用上問題のあるレベルに
なる傾向にある。又フィルム全重量に対する融解熱量4
0J/gを越える場合には、上記B−PP中に占める柔
軟成分の割合が少ない為に包装時にフィルム破れが発生
し易い傾向にある。また包装時にストレッチした際フィ
ルムが白化(クレーズの発生による白化と考えられる)
する場合もある。
【0024】ここで融解熱量はJIS−K7122に準
拠し、パーキンエルマー社製DSC−7を用いて、フィ
ルム試料を約10mg、昇温速度10℃/分で−30℃
〜200℃まで昇温した時のH層のB−PPに由来する
最も高い温度に発現した融解ピークの面積より、フィル
ム全量に対する融解熱量を求めた。従ってB−PP単独
の融解熱量は、少なくとも5J/gである必要がある。
好ましくは、B−PP樹脂単独で測定した融解熱量が2
0J/g以上のものである。20J/g以下のB−PP
では、フィルム全量に対する融解熱量が5J/g以上に
なる様に全層に対する構成割合を増やしても所望の耐熱
性を得られ難い。
【0025】B−PPは2段以上の重合装置を用いて、
1段目に融点が150℃以上のプロピレン単独又はプロ
ピレンとα・オレフィンのランダム共重合体成分(高融
点成分と呼ぶ)を重合し、2段目移行にプロピレンとエ
チレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等の
α・オレフィンによる柔軟成分を重合するものが挙げら
れる。
【0026】特にリアクターTPOと呼ばれる、柔軟成
分が高融点成分中に微細に分散しているもが好ましく、
球状や針状等に1μ以下の平均径で分散しているものが
好ましい。これ等としては、モンテル−JPO社の「H
ifax」や「Adflex」、トクヤマ社の「PE
R」、チッソ社の「NEWCON」等が挙げられる。尚
上記B−PPは一般にはメルトフローレート(MFR:
JIS−K7210に準拠。230℃、2.16kg)
は0.1〜100g/10分程度であり、ストレッチ性
の観点からは0.5〜50g/10分が好ましく、又引
き裂き強度の観点からは押出時に流動配向があまり掛か
らない4〜40g/10分程度であるのが好ましい。ま
た、密度は特に限定はされないが、一般に0.87〜
0.90g/cm3 である。
【0027】尚、耐熱層(H層)には上記のB−PPの
他に50容量%を越えない範囲でEVA、ポリブテン−
1系樹脂、エチレン−α・オレフィン共重合体、ポリス
チレン系エラストマー、石油系樹脂、R−PP等がブレ
ンドされていても良い。これ等の内でポリブテン−1系
樹脂及びポリスチレン系エラストマーが上記B−PPと
相溶性が良い為に好ましい。特にポリブテン−1系樹脂
は引裂強度向上及び縦方向と横方向との強度バランス改
良に効果がある。又、SBS、SEBS、SIS、SE
PS等で表されるポリスチレン系ブロック共重合体の内
ポリスチレン含量が5〜20重量%のものは、一般のト
レー包装の場合に要求される押込回復性や遅延回復性が
付与出来る。
【0028】本発明のフィルムは、両表面層(S層)と
少なくとも1層の耐熱層(H層)からなる少なくとも3
層からなるが、更に他の層(M層)を含んでも良い。M
層は複数層(M1、M2、…)あっても良い。その場合
の層構成はS/H/S、S/M/H/S、S/M/H/
M/S、S/H/M/H/S、S/M1/H/M2/H
/M1/S等が挙げられる。
【0029】M層の例としては、S層に隣接して配置さ
れる場合には、防曇剤等が練込易く且つブリードアウト
させ易く、又透明性に優れたEVAやエチレン−α・オ
レフィン共重合体等が挙げられる。又、フィルムを回収
して再利用する場合にもH層に混合して利用するよりも
M層として利用した方がシール性や包装性を低下させず
にすむので好ましい。
【0030】各層の厚み比率は一般には、S層が各15
〜45%、H層が各10〜70%、M層が各5〜60%
である。S層が15%未満ではフィルムの透明性が劣る
傾向にある。又H層は薄い方が透明性に優れる為、より
好ましくはH層が60%以下の場合である。又フィルム
の厚みは一般には、7〜20μ程度である。
【0031】次に、本発明のフィルムの好ましい他の物
性について示す。先ず、ストレッチ性の目安としての2
00%のび荷重が、縦方向(MD)が200〜600g
/cm幅、横方向(TD)が100〜400g/cm幅
であることが好ましく、又破断伸びがMDが300%〜
700%、TDが400%〜800%である。更に伸び
−荷重曲線(S−Sカーブ)において、MD及びTD共
に降伏点やプラトーが見られない、即ち伸び(変形)に
対して常に伸び荷重が増加(単純増加)するものが好ま
しい。降伏点やプラトー(伸びに対して荷重が変化せず
一定になる領域)があると包装時にストレッチしてもな
かなか皺や弛みがとれず、無理にストレッチするとフィ
ルムが破れてしまうことがある。
【0032】又引裂き強度はMDが10g以上、TDは
10〜100gが好ましい。MD、TD共に10g以上
でないと包装のカット刃でフィルムをカットした際に出
来るノッチが搬送中やフィルムをストレッチした際に伝
播してフィルムの破れ屑(カット屑)が発生する傾向に
ある。尚フィルムの引裂強度は、包装機のカット刃によ
るカット性を考慮すると、TDとMDとの強度比(TD
/MD)が5以下であるのが好ましい。
【0033】突上型包装機で包装する際に問題となるフ
ィルム破れ現象に対しては、フィルムのダート衝撃強度
が比較的対応がとれており、後述する方法で測定された
フィルムの破壊エネルギー・ENGが好ましくは0.3
J以上、更に好ましくは0.4Jである。次に本発明の
製造方法としては、T−ダイキャスト法、ダイレクトイ
ンフレーション法(好ましくは水冷インフレーション
法)、チューブラーインフレーション法、押出ラミネー
ト法等が挙げられるが、S−Sカーブが単純増加曲線に
なる傾向にあるチューブラーインフレーション法が好ま
しい。
【0034】以下に好ましいチューブラーインフレーシ
ョン法について詳細に説明するがこれに限定されるもの
ではない。先ず、両表面層(S層)耐熱層(H層)、場
合によりM層用の樹脂を別々の押出機で溶融混練し、1
70〜250℃程度に昇温された多層サーキュラーダイ
中で積層してチューブ状に押出し、好ましくはこのチュ
ーブ内に脂肪酸石鹸等の陰イオン界面活性剤の水溶液や
ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の水溶性非イオン
界面活性剤の水溶液等を封入して、押出したチューブを
40℃以下の水等の冷媒で急冷した後ニップロールで折
り畳み原反を作製する。この原反を2対の差動ニップロ
ール間に通し、100〜150℃程度まで加熱して、原
反内に空気を吹き込んで15〜30℃程度の冷風を当て
ながらMDに2〜4倍、TDに2〜5倍にチューブ状に
延伸する。延伸したフィルムはデフレータで折り畳ま
れ、必要であれば、両表面層(S層)の樹脂の融点以下
の温度で熱処理を行う。熱処理は緊張状態または緩和状
態どちらでも良いが、好ましくはMDに0〜10%程
度、TDに2〜10%程度緩和させた状態で熱処理する
のが良い。
【0035】以下に本発明における物性の測定方法及び
評価方法を示す。 (1)融点 前述の通り、JIS−K7121に準拠し、約5mgの
フィルムをパーキンエルマー社製DSC−7を用いて測
定した。測定は、一度室温から200℃まで10℃/分
で昇温した後200℃で5分間保持し十分溶解させ、そ
の後200℃から−30℃まで10℃/分で冷却、又−
30℃で5分間保持した後−30℃から10℃/分の速
度で200℃まで昇温して測定した。 (2)融解熱量 前述の通りJIS−K7122に準拠し、約10mgの
フィルムで上述の融点と同様な温度条件(設定温度、走
査速度)で測定した。融解熱量は2度目の昇温カーブか
ら熱量を求め、フィルム全重量に対する融解熱量(J/
g)を求めた。 (3)分子量分布(Mw/Mn) Waters Associates社製の150型高
温GPC装置とパーキンエルマー社製のFT−IRを接
続し、カラムとして東ソー社製GMH−H6を2本、昭
和電工社製AT−807Sを1本使用して測定した。溶
剤にはトリクロロベンゼン(TCB)を用い、140℃
の条件で測定した。 (4)密度(g/cm3 ) 柴山科学器械製作所製密度勾配管法比重測定装置を用い
て、JIS−K7112のD法に準拠して測定を行っ
た。尚比重液にはイソプロピルアルコール/水の系を用
いた。 (5)透明性 ・評価方法 ASTM−D1003に準拠して、HAZE(%)を測
定した。 ・評価基準 尺度 記号 備考 HAZE≦1.0% ◎ 透明性に優れる 1.0<HAZE≦2.0% ○ 実用上問題の無いレベル(以上合格) 2.0<HAZE≦3.0% △ フィルムの白さが気になる HAZE>3.0% × 実用には不向き (6)200%伸び荷重 フィルムサンプルを長辺100mm、短辺10mmの短
冊状に、MD及びTDに切り出す。長辺方向を測定方向
とし、チャック間を50mmに調整したストレインゲー
ジ(アンプ、レコーダに接続)付き引張試験機に取り付
け、23℃、65%RHの雰囲気中で引張速度200m
m/分で引張り、伸びが200%に達した時の荷重を2
00%伸び荷重(g/cm幅)とした。 (7)破断伸び 上記200%伸び荷重の測定と同様な装置及び条件で、
フィルムが破断した時の歪み量を破断伸び(%)とし
た。 (8)引裂強度(エルメンドルフ) JIS−P8116に準拠し、23℃の雰囲気条件で測
定した。 (9)ダート強度 恒温槽付き東洋精機社製RDT−5000/DARTを
用いて、フィルムの破壊エネルギーENG(単位:J)
を求めた。ダートの種類はSMALL ALUMINI
UM DART(3.75kg)でダート径は5/8イ
ンチ(15.88mmφ)、セルの最大荷重が100ポ
ンド(45.53kgf)、受けダイの内径が2.5イ
ンチ(63.5mmφ)、ダートの落下速度を3.87
m/秒(落下高さが76cm)で、温度は23℃で行っ
た。 (10)シール性 ・評価方法 中央化学社製ポリプロピレン製トレーCH16−10F
(160×98×33)に100gの重りを載せ、これ
を30cm×30cmに切り出したフィルムで包んだ。
この場合、トレーの底ではフィルムが1枚の部分、2重
に重なる部分、3枚重なる部分、5枚重なる部分が出来
る。トレーの底の部分を所定の温度に昇温しておいた熱
板に2秒接触させた後、ヒートシールの状態を観察し
た。5枚重なる部分でも完全にシールされていて、無理
に剥がそうとするとフィルムが破れる状態までシールさ
れている最低温度をシール下限温度(T1)とし、又1
枚の部分でも穴が開かない最高温度をシール上限温度
(T2)として、ΔT=T2−T1をシールレンジとし
た。 ・評価基準 基準 記号 備考 ΔT>60℃ ◎ ヒートシール性に優れる 45<ΔT≦60℃ ○ 弁当包装に利用可能(以上、合格) 35<ΔT≦45℃ △ 一般トレー包装であれば利用可能 35≧ΔT × 実用上問題のあるレベル (11)包装性 ・評価方法 リスパック社製弁当容器・ハイクッカーHF520B
(蓋:ランチRF520FC)に米飯を500g詰めて
蓋をし、フジキカイ社製突上型包装機A−18Xで50
0mm幅のフィルムサンプルを用いてストレッチ包装し
た。包装は100個連続で行い、評価は、容器の角部で
のフィルムの破れ、容器底部での折り込み板によるフィ
ルムの擦れ破れ、容器の変形及び潰れ、ヒートシール部
がフィルムの破れなしに剥がせる状態にないか等を観察
し、全て評価で満足出来るものの数(N)を数えた。 ・評価基準 基準 記号 備考 N≧98 ◎ 包装性に優れる 90≦N<98 ○ 以上合格レベル 60≦N<90 △ 現状、市場では許容されているレベル N<60 × 以下、実用不可 (12)総合評価 ・評価方法 包装性、シール性、透明性より総合的に評価した。 ・評価基準 基準 記号 備考 3項目全て「◎」のもの ◎ 弁当包装用フィルムに最も適している 3項目全て「○」以上のもの ○ 弁当包装用に利用可能 1項目でも「△」があるもの △ 以下、弁当包装用には適さない 1項目でも「×」があるもの × 実用上問題のあるレベル
【0036】
【発明の実施の形態】先ず、本発明で用いた重合体を以
下に示す。尚以下に示す各樹脂のメルトフローレート
は、JIS−K7210に準拠し、MIは条件4(19
0℃、2.16kgf)、MFRは条件14(230
℃、2.16kgf)で測定した値である。 ・s1:エチレン−オクテン−1共重合体[オクテン−
1含量=15重量%、密度=0.902g/cm3 、M
I=3.3g/10分、融点=98℃、Mw/Mn=
2.7(ダウケミカル社製「AFFINITY・PL1
850」)] ・s2:エチレン−オクテン−1共重合体[オクテン−
1含量:13.8重量%、密度=0.902g/c
3 、MI=7.5g/10分、融点=97℃、Mw/
Mn=2.7(ダウケミカル社製「AFFINITY・
PT1450」)] ・s3:エチレン−オクテン−1共重合体[オクテン−
1含量=18重量%、密度=0.885g/cm3 、M
I=3.0g/10分、融点=78℃、Mw/Mn=
2.7(ダウケミカル社製「AFFINITY・CL8
003」)] ・s4:エチレン−オクテン−1共重合体[オクテン−
1含量=22重量%、密度=0.875g/cm3 、M
I=3.0g/10分、融点=67℃、Mw/Mn=
2.7(ダウケミカル社製「AFFINITY・KC8
852」)] ・s5:エチレン−オクテン−1共重合体[オクテン−
1含量=24重量%、密度=0.870g/cm3 、M
I=5.0g/10分、融点=61℃、Mw/Mn=
2.7(ダウケミカル社製「AFFINITY・EG8
200」)] ・s6:エチレン−オクテン−1共重合体[オクテン−
1含量=24重量%、密度=0.870g/cm3 、M
I=1.0g/10分、融点=57℃、Mw/Mn=
2.7(ダウケミカル社製「AFFINITY・CL8
002」)] ・s7:エチレン−ヘキセン−1共重合体[密度=0.
905g/cm3 、MI=4.0g/10分、融点=8
8℃、Mw/Mn=2.2(三井化学社製「EVOLU
E・SP0540」)] ・s8:エチレン−ブテン−1−ヘキセン−1共重合体
[密度=0.910g/cm3 、MI=1.2g/10
分、融点=103℃、Mw/Mn=2.5(EXXON
社製「EXACT3025」)] ・s9:エチレン−4−メチルペンテン−1共重合体
[密度=0.910g/cm3 、MI=3.6g/10
分、融点=114℃、Mw/Mn=3.2(三井化学社
製「ウルトゼックス1030F」)] ・s10:エチレン−酢酸ビニル共重合体[酢酸ビニル
=15重量%、密度=0.94g/cm3 、MI=2.
2g/10分、融点=94℃(日本ユニカー社製「NU
C3758」)] ・h1:プロピレン−α・オレフィン・ブロック共重合
体[密度=0.88g/cm3 、MFR=30g/10
分、融点=165℃、融解熱量=51.7J/g(モン
テル−JPO社製「Adflex・KS084P」)] ・h2:プロピレン−α・オレフィン・ブロック共重合
体[密度=0.88g/cm3 、MFR=0.8g/1
0分、融点=165℃、融解熱量=34.3J/g(モ
ンテル−JPO社製「Adflex・KS081
P」)] ・h3:プロピレン−α・オレフィン・ブロック共重合
体[密度=0.89g/cm3 、MFR=6g/10
分、融点=139℃、融解熱量=61.9J/g(モン
テル−JPO社製「Adflex・C200F」)] ・h4:プロピレン−α・オレフィン・ブロック共重合
体[密度=0.89g/cm3 、MFR=9g/10
分、融点=165℃、融解熱量=33.3J/g(モン
テル−JPO社製「Adflex・7149XC
P」)] ・h5:プロピレン−α・オレフィン・ブロック共重合
体[密度=0.88g/cm3 、MFR=1.5g/1
0分、融点=153℃、融解熱量=13.9J/g(ト
クヤマ社製「PER・T310J」)] ・h6:プロピレン−α・オレフィン・ブロック共重合
体[密度=0.89g/cm3 、MFR=7g/10
分、融点=167℃、融解熱量=64.4J/g(チッ
ソ社製「NEWCON・NF2106」)] ・h7:プロピレン−α・オレフィン・ブロック共重合
体[密度=0.89g/cm3 、MFR=20g/10
分、融点=165℃、融解熱量=84.7J/g(チッ
ソ社製「NEWCON・NF6120」)] ・h8:プロピレン−α・オレフィン・ブロック共重合
体[密度=0.90g/cm3 、MFR=4.7g/1
0分、融点=154℃、融解熱量=81.9J/g(日
本ポリオレフィン社製「J−ALLOMER・MK31
2C」)] ・h9:プロピレン−α・オレフィン・ブロック共重合
体[密度=0.90g/cm3 、MFR=12g/10
分、融点=165℃、融解熱量=92.5J/g(日本
ポリオレフィン社製「J−ALLOMER・MY412
B」)] ・h10:プロピレン単独重合体[密度=0.90g/
cm3 、MFR=4g/10分、融点=163℃、融解
熱量=102.5J/g(日本ポリオレフィン社製「J
−ALLOMER・PL500A」)] ・h11:プロピレン−エチレン・ランダム共重合体
[密度=0.90g/cm3 、MFR=1g/10分、
融点=151℃、融解熱量=111.7J/g(日本ポ
リオレフィン社製「J−ALLOMER・EG11
0」)] ・h12:プロピレン−エチレン・ランダム共重合体
[密度=0.90g/cm3 、MFR=7g/10分、
融点=137℃、融解熱量=89.3J/g(チッソ社
製「F8277」)] ・h13:1−ブテン−プロピレン・ランダム共重合体
[密度=0.90g/cm3 、MI=2g/10分、融
点=72℃、融解熱量=28.2J/g(三井化学社製
「タフマーBL2281」)] ・h14:1−ブテン−エチレン・ランダム共重合体
[密度=0.90g/cm3 、MI=4g/10分、融
点=98℃、融解熱量=19.1J/g(三井化学社製
「タフマーBL3450」)]
【0037】
【実施例1】S層としてs3にジグリセリンラウレート
(理研ビタミン社製「L−71D」)を2.0重量%添
加した層を、H層としてh2を用いて、各層をS/H/
S(=35%/30%/35%)の3層構成に210℃
に設定された多層サーキュラーダイ(リップ径=100
mm、リップ開度=2.0mm)より押出し(全押出量
=20kg/hr)、15℃の冷風で冷却しながら、横
倍率(BUR)が3.5倍になるようにエアを注入し
て、引き取り速度が33.7m/分、開度が60度のロ
ール式デフレータで折り畳み、引き取りロールで引き取
り巻き取った。因みにバブルのネックからフロストライ
ンまでの距離は約30cmであった。出来たフィルムの
厚みは約12μmであった(Run.No.1)。
【0038】このフィルムを前述の方法で評価した。
【0039】
【比較例1】実施例1において、S層としてEVAにジ
グリセリンラウレート(理研ビタミン社製「L−71
D」)を2.0重量%添加した層を、H層としてh10
を用いた(Run.No.2)、同h11を用いた(R
un.No.3)、同h12を用いた(Run.No.
4)他は、実施例1と同様な実験を繰り返した。
【0040】以上、Run.No.1〜4の評価結果を
表1にまとめて示す。先ず本発明のフィルムが従来のフ
ィルムに比べ容器包装用フィルムとして優れていること
を、表1を用いて説明する。表1において、実施例1、
Run.No.1のフィルムが本発明のフィルムであ
り、比較例1、Run.No.2〜4が従来のフィルム
に対応する。
【0041】表1から明らかな様に、本発明のフィルム
(Run.No.1)は、シール性及び包装性共に優れ
ていた。これに対し、S層にEVA、H層にプロピレン
単独重合体を用いたフィルム(Run.No.3)及
び、同融点が151℃のEPPを用いたフィルム(Ru
n.No.4)とも包装性に劣り、また包装性を少しで
も改良しようとしてエチレン含量の高い融点が137℃
のEPPをH層に用いたフィルム(Run.No.5)
は包装性を改良できないばかりかシール性をも低下させ
てしまう結果となった。
【0042】以上のことから、本発明のフィルムが従来
のフィルムに比べ容器包装用ストレッチフィルムとして
優れていることが分かる。
【0043】
【実施例2】実施例1において、S層の樹脂をs1に替
えた(Run.No.5)、同s2に替えた(Run.
No.6)、同s7に替えた(Run.No.7)、同
s4に替えた(Run.No.8)、同s5に替えた
(Run.No.9)他は、実施例1と同様な実験を繰
り返した。
【0044】
【比較例2】実施例1において、S層の樹脂をs6に替
えた(Run.No.10)、同s8に替えた(Ru
n.No.11)、同s9に替えた(Run.No.1
2)他は、実施例1と同様な実験を繰り返した。以上、
Run.No.1及びRun.No.5〜12の評価結
果を表2に示す。
【0045】表2において、実施例のフィルムは、シー
ル性、包装性、透明性に優れ、総合評価も全て○以上で
あった。これに対して、S層に融点が103℃のエチレ
ン−α・オレフィン共重合体を用いたRun.No.1
1のフィルムは、シール可能な下限温度が135℃でシ
ールレンジは30℃と狭く、又引裂強度が小さき為に包
装時にフィルムの破れ屑が多数発生し、又包装時にシー
ルが不完全で、完全にシールしようとするとフィルムに
メルトホールが発生した。
【0046】又、Run.No.10のフィルムはS層
に融点が57℃のエチレン−α・オレフィン共重合体を
用いたフィルムで、フィルムを繰り出す際にもブロッキ
ングぎみで、包装時にも容器底部での折り込み板で擦れ
破れが多発した。更にRun.No.12のフィルムの
S層には融点が114℃のエチレン−α・オレフィン共
重合体を用いたにも係わらず、包装時に容器底部での折
り込み板で擦れ破れが多発した。原因は分子量分布(M
w/Mn)が3.0を越えている為に低分子量且つ低融
点成分がフィルム表面に、融点が高いのも係わらず滑り
性に劣り(一般的に測定している梨地金属製ライダーを
移動速度が100/minの条件で測定した動摩擦係数
では差が見られない)包装時に破れが多発してたと考え
られる。
【0047】ここで、Run.No.1とRun.N
o.7との比較において、前者はエチレン−α・オレフ
ィン共重合体中のα・オレフィンが1−オクテンの場合
であり、後者は1−ヘキセンの場合である。Run.N
o.1のフィルムは、引裂強度はMD/TD=25g/
120g(TD/MD比=4.8)で、包装機のカット
刃によるカット性に優れカット屑の発生は無く、又包装
時の仕上がりも綺麗だった。
【0048】Run.No.7のフィルムは、引裂強度
はMD/TD=15g/150g(TD/MD比=1
0)と縦方向と横方向の強度バランスが悪く、包装機の
カット刃によるカット性にやや劣りカット屑が発生し、
又カット時にフィルムが弛んで包装皺が残りやすい傾向
にあった。このことから、エチレン−α・オレフィン共
重合体中のα・オレフィンは1−ヘキセン(C6)より
も1−オクテン(C8)の方が引裂強度観点からは好ま
しいことが分かる。
【0049】またRun.No.1のフィルムは、エチ
レン−α・オレフィン共重合体のMIが1.0g/10
分でHAZEが1.5%であったのに対して、Run.
No.5〜9のフィルムはエチレン−α・オレフィン共
重合体のMIが3.0g/10分以上でHAZEが0.
6〜0.9%と透明性に優れていた。このことから、エ
チレン−α・オレフィン共重合体のMIが透明性の観点
から3.0g/10分以上あることが好ましいことが分
かる。
【0050】
【実施例3】実施例1において、H層の樹脂及び層厚み
比を表3に示す用に替えた他は、実施例1と同様な実験
を繰り返した(Run.No.13〜18)。
【0051】
【比較例3】実施例1において、H層の樹脂及び層厚み
比を表3に示す用に替えた他は、実施例1と同様な実験
を繰り返した(Run.No.19〜21)。以上、R
un.No.1及び、Run.No.13〜21の評価
結果を表3に示す。
【0052】以下、本発明のフィルムの耐熱層(H層)
はプロピレン−α・オレフィン・ブロック共重合体(B
−PP)からなり、融点が150℃以上でフィルム全重
量に対する融解熱量が5〜40J/gであることの必要
性について、表3を用いて説明する。表3から、本発明
のフィルムはシール性、包装性、透明性、総合評価全て
が○以上で、容器包装に適していることが分かる。
【0053】ここで、上記融点が154℃のRun.N
o.17のフィルムと上記融点が139℃のRun.N
o.19のフィルムを比較すると、Run.No.17
のフィルムのシールレンジが55℃(シール性は○)で
包装機による包装においてもシール性に優れていたのに
対して、Run.No.19のフィルムはシールレンジ
が35℃(シール性は×)で包装機による包装におい
て、底シールが不完全で剥がそうとするとフィルムが破
れることなく剥がすことが出来、更に完全にシールしよ
うとするとメルトホールが発生した。以上のことから、
H層の融点は150℃以上である必要性が分かる。
【0054】尚、Run.No.20のフィルムの耐熱
性を向上してシール性を改善する為に、S層を各10
%、H層を80%とすると(フィルム全重量に対する融
解熱量=11.1J/g)シール性は改良されたが(シ
ールレンジ=50℃)、HAZEが3.2%と透明性に
劣るフィルムとなった。この結果から、樹脂自身の融解
熱量が20J/g未満のB−PPでは、シール性と透明
性を両立出来る範囲が極めて狭いことが分かる。
【0055】次に、上記フィルム全重量に対する融解熱
量が6.7J/gのRun.No.14と上記フィルム
全重量に対する融解熱量が4.2J/gのRun.N
o.20とを比較すると、Run.No.14のフィル
ムのシールレンジが50℃(シール性は○)で包装機に
よる包装においてもシール性に優れていたのに対して、
Run.No.20のフィルムはシールレンジが30℃
(シール性は×)で包装機による包装において、底シー
ルが不完全で完全にシール出来る条件が見い出せなかっ
た。以上のことから、H層のフィルム全重量に対する融
解熱量は5J/g以上である必要性が分かる。
【0056】又、上記フィルム全重量に対する融解熱量
が38.6J/gのRun.No.15と上記フィルム
全重量に対する融解熱量が42.4J/gのRun.N
o.21とを比較すると、Run.No.15のフィル
ムでは包装破れが少なかった(N=92)のに対して、
Run.No.21のフィルムは包装時の破れが多発し
た(N=5)。このことから、H層のフィルム全重量に
対する融解熱量は40J/g以下である必要性が分か
る。
【0057】ここで、Run.No.14のフィルムに
用いたB−PPは樹脂単独でDSC測定を行うと124
℃をピーク温度とするピークと165℃をピーク温度と
するピークの2つのピークが見られる。このフィルムは
引裂強度がMD/TD=50g/20gと縦方向の引裂
強度が高く、包装機のカット刃によるカット性に優れて
いた。又透明性にも優れHAZEが0.6%であった。
【0058】Run.No.16のフィルムについても
透明性に優れ、HAZEは0.5%であった。Run.
No.17及びRun.18はゴム分散径が平均径で1
〜10μm程度で一般に言われるところのリアクターT
POとは異なる為に、他の実施例に比べると透明性(H
AZE≒1.8%)及び引裂強度(MD及びTD共に2
0g以下)に劣っていた。
【0059】
【実施例4】S層としてs4にジグリセリンラウレート
(理研ビタミン社製「L−71D」)を2.0重量%添
加した層を、H層としてh2を60容量%とh12を4
0容量%ブレンドした組成物を用いて、各層をS/H/
S(=35%/30%/35%)の3層構成に210℃
に設定された多層サーキュラーダイ(リップ径=200
mm、リップ開度=1.0mm)より押出し(全押出量
=15kg/hr)、押し出した積層体を30℃の冷水
で急冷して折り畳み、厚みが100μmの原反を得た。
ここで、原反チューブの内面にはポリオキシエチレン
(n=10モル)・ラウリル酸エステルの10%水溶液
を塗布した(塗布量=有効成分約5mg/m2 )。折り
畳んだ原反に空気を注入してチューブ状にし、120℃
に加熱して、20℃の冷風で冷却しながらMDに3.3
倍、TDに3.3倍にチューブラー延伸し、開度が60
度のロール式デフレータで折り畳み、引き取りロールで
引き取り巻き取った。最終的には、延伸倍率はMDが
3.2倍、TDが3.1倍で、フィルム厚みは約10μ
mであった(Run.No.22)。
【0060】更に、H層に用いたh2をh1に替えたも
の(Run.No.23)、H層をh1を60容量%と
h13を40容量%ブレンドした組成物を用いたもの
(Run.No24)をRun.No.22と同様に製
膜した。以上、Run.No.22〜24の評価結果を
表4に示す。Run.No.22〜24のフィルムは、
RUn.No.1のフィルムと比べTDのS−Sカーブ
にプラトーが見られず、包装機による包装においても包
装皺が少ない傾向にあった。
【0061】ここで、MFRが0.8g/10分のB−
PPを用いたRun.No.22とMFRが30g/1
0分のB−PPを用いたRun.No.23との比較に
おいて、RunNo.22ではMDの破断伸びが430
%で、引裂強度がMD/TD=30g/15gであるの
に対し、Run.No.23では、同順に480%、M
D/TD=50g/30gと強度が大きくなっていた。
又、MIが2g/10分のポリブテン−1系樹脂を用い
たRun.No.23とMFRが4g/10分のポリブ
テン−1系樹脂を用いたRun.No.24との比較に
おいて、RunNo.23ではMDの破断伸びが480
%で、引裂強度がMD/TD=50g/30gであるの
に対し、Run.No.24では、同順に500%、M
D/TD=100g/80gと更に強度が大きくなって
いた。このことから、H層に用いるB−PPや他の樹脂
のメルトフローレートは大きくした方が強度が大きくな
って好ましいことが分かる。
【0062】
【実施例5】S層としてs4にポリオキシエチレン(n
=10モル)・ラウリル酸エステルジグリセリンラウレ
ート(理研ビタミン社製「L−71D」)を0.7重量
%添加した層を、H層としてh1を60容量%とh13
を40容量%ブレンドした組成物にジグリセリンラウレ
ート(理研ビタミン社製「L−71D」)を1.6重量
%添加した層を、M層としてs4にリワーク樹脂を50
重量%ブレンドした組成物(s4≒60%、h1≒4.
5%、h13≒3.0%)層を用いて、各層をS/H/
M/H/S(=15%/15%/40%/15%/15
%)の5層構成に210℃に設定された多層サーキュラ
ーダイ(リップ径=200mm、リップ開度=1.0m
m)より押出し(全押出量=15kg/hr)、押し出
した積層体を30℃の冷水で急冷して折り畳み、厚みが
100μmの原反を得た。ここで、原反チューブの内面
にはポリオキシエチレン(n=10モル)・ラウリル酸
エステルの10%水溶液を塗布した(塗布量=有効成分
約5mg/m2 )。折り畳んだ原反に空気を注入してチ
ューブ状にし、120℃に加熱して、20℃の冷風で冷
却しながら縦方向に3.3倍、横方向に3.3倍にチュ
ーブラー延伸し、開度が60度のロール式デフレータで
折り畳み、引き取りロールで引き取り巻き取った。最終
的には、延伸倍率は縦方向が3.2倍、横方向が3.1
倍で、フィルム厚みは約10μmであった(Run.N
o.25)。
【0063】上記フィルムの基本物性は200%伸び荷
重(g/cm幅)がMD/TD=220/130、破断
伸び(%)がMD/TD=480/600、引裂強度
(g)がMD/TD=60/50、ダート強度が0.5
Jで、実用物性はシール性が◎(シールレンジが65
℃)、包装性が◎(N=99)、透明性が◎(HAZE
が0.9%)で総合評価も◎であった。
【0064】Run.No.25のフィルムはリワーク
樹脂利用を検討した構成であり、リワークを利用しない
Run.No.24に比べると若干物性が劣るが十分弁
当包装用フィルムとして優れていた。尚、単純にRu
n.No.24のS層にリワーク樹脂を利用しよとする
と、S層に対してリワーク樹脂を10%ブレンドしただ
けでもHAZEは10%を越えてしまい、実用には適さ
ないフィルムとなった。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
【表3】
【0068】
【表4】
【0069】
【発明の効果】本発明によれば、従来のストレッチフィ
ルムよりも更にヒートシール性に優れ包装時の破れが発
生し難いフィルムを提供出来、特に弁当等の容器を包装
するのに適したストレッチ包装用フィルムが提供でき
る。尚本発明のフィルムは弁当等の容器包装に限定され
たものではなく、一般のストレッチ包装に利用出来るこ
とは言うまでもない。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 両表面層(S層)と少なくとも1層の耐
    熱層(H層)からなる少なくとも3層のストレッチ包装
    用フィルムにおいて、両表面層(S層)が融点が60〜
    100℃で重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(M
    n)が3以下であるエチレン−α・オレフィン共重合体
    からなること、及び耐熱層(H層)はプロピレン−α・
    オレフィン・ブロック共重合体からなり、融点が150
    ℃以上で、フィルム全重量に対する融解熱量が5〜40
    J/gであることを特徴とするストレッチ包装用フィル
    ム。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019073308A (ja) * 2017-10-16 2019-05-16 大倉工業株式会社 ストレッチフィルムを用いたスリーブ包装方法、スリーブ包装用ストレッチフィルム、およびスリーブ包装体の製造方法

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