JP2018178106A - 離型フィルム - Google Patents

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有貴 六車
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宏明 小屋原
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Katsunori Toyoshima
克典 豊嶋
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Abstract

【課題】フレキシブル回路基板の製造に適した離型フィルムであって、プリント配線基板に対する優れた離型性を発揮できる離型フィルムを提供する。【解決手段】少なくとも一方の表面の表面自由エネルギーγsが32mJ/m2以下であり、かつ、該表面の表面自由エネルギーの極性成分γspが2mJ/m2以下である離型フィルム。【選択図】 なし

Description

本発明は、フレキシブル回路基板の製造に適した離型フィルムであって、プリント配線基板に対する優れた離型性を発揮できる離型フィルムに関する。
プリント配線基板、フレキシブルプリント基板、多層プリント配線板等の製造工程においては、プリプレグ又は耐熱フィルムを介して基板に銅張積層板又は銅箔を熱プレスする際に離型フィルムが使用されている。また、フレキシブルプリント基板の製造工程においては、銅回路を形成したフレキシブルプリント基板本体に、熱硬化型接着剤又は熱硬化型接着シートによってカバーレイフィルムを熱プレス接着する際にも、カバーレイフィルムと熱プレス板とが接着するのを防止するために離型フィルムが広く使用されている。更に、金型を用いて半導体チップを樹脂で封止して成型品を得る半導体モールド工程において、金型内面を被覆した樹脂による金型の汚染を防ぐ目的でも離型フィルムが用いられる。
離型フィルムに対しては、例えば、熱プレス成形に耐え得る耐熱性、プリント配線基板及び熱プレス板に対する離型性、廃棄処理の容易性等の性能が求められる。また、熱プレス成形時の製品歩留り向上のため、銅回路に対する非汚染性も重要である。更に、近年行われているロールトゥーロールプロセスによる熱プレスでは、ロールから繰り出した離型フィルムを金型間に搬送し、プレスに供した後、再びロールに巻き取ることが行われる。このようなロールトゥーロールプロセスによる熱プレスでは、離型フィルムには高温下で張力が加えられることから、これに耐えられる耐熱性、搬送性も求められる。なかでも、プリント配線基板に対する離型性は、離型フィルムに求められる最も重要な性能の1つである。
従来、プリント配線基板に対する離型性に優れた離型フィルムとして、種々の材質のものが検討されてきた(例えば、特許文献1)。また、離型フィルムの表面を粗面化することにより、プリント配線基板に対する優れた離型性を発揮することができる離型フィルムが提案されている(例えば、特許文献2)。
しかしながら、表面を粗面化した離型フィルムは、離型性には優れるものの、熱プレス時のエポキシ接着剤の浸み出しのばらつきが大きく、エポキシ接着剤が大きく染み出した部位ではプリント配線基板を汚染して不良が発生してしまうことがあるという問題があった。
特開平5−283862号公報 特開2015−52099号公報
本発明は、フレキシブル回路基板の製造に適した離型フィルムであって、プリント配線基板に対する優れた離型性を発揮できる離型フィルムを提供することを目的とする。
本発明は、少なくとも一方の表面の表面自由エネルギーγが32mJ/m以下であり、かつ、該表面の表面自由エネルギーの極性成分γspが2mJ/m以下である離型フィルムである。
以下に本発明を詳述する。
本発明者は、鋭意検討の結果、離型フィルムの表面の表面自由エネルギーに着目し、少なくとも一方の表面(以下、「離型表面」ともいう。)の表面自由エネルギーγを一定以下とし、かつ、該離型表面の表面自由エネルギーの極性成分γspを一定以下とすることにより、該離型表面を例えばプリント配線基板に接する側にすることにより、極めて高い離型性を発揮することができることを見出した。
このような極めて高い離型性を表面自由エネルギーγ及び表面自由エネルギーの極性成分γspの制御によって達成できることから、本発明の離型フィルムでは、離型性を確保するために上記離型表面を必ずしも粗面化しなくともよい。従って、上記離型表面の粗さを小さくすることにより、極めて高い離型性と、エポキシ接着剤の浸み出し防止性(埋め込み性)とを両立させることも可能となる。
表面自由エネルギーγは、固体の表面張力を意味し、単位としては「mJ/m」等が用いられる。
表面自由エネルギーγは、Kaelble−Uyの方法を用いると極性成分γsp、分散成分γsdとの2つの成分に分けられる(下記式(1))。
Figure 2018178106
なお、表面自由ネエルギーγについて、その他の成分をも考慮する場合もあるが、通常、その他の成分は極性成分γsp、分散成分γsdに比べて極めて小さいことから実質的には無視できる。Kaelble−Uyの方法では、極性成分と分散成分のみを考慮する。
本発明者は、離型フィルムの表面の表面自由エネルギーγとともに、表面自由エネルギーのなかでも特に極性成分γspが離型性に大きく影響することを見出し、これらを一定以下に制御することにより、極めて高い離型性を発揮することができることを見出した。
本発明の離型フィルムは、上記離型表面の表面自由エネルギーγが32mJ/m以下であり、かつ、表面自由エネルギーの極性成分γspが2mJ/m以下である。これにより、本発明の離型フィルムは、プリント配線基板に対する優れた離型性を発揮することができる。上記表面自由エネルギーγは27mJ/m以下であることが好ましく、上記表面自由エネルギーの極性成分γspは1.5mJ/m以下であることが好ましい。
なお、離型フィルムの表面の表面自由エネルギーγ及び表面自由エネルギーの極性成分γspは、例えば以下のようにして測定することができる。
まず、離型フィルムに対する水及びジヨードメタン(ヨウ化メチレン)の接触角θを測定する。得られた各液体の接触角θを用い、上記式(1)と下記式(2)、(3)を連立させて解くことで、離型フィルム表面の表面自由エネルギーγs及び表面自由エネルギーの極性成分γspを算出することができる。
なお、水のγは72.8mJ/m、γldは21.8mJ/m、γlpは51.0mJ/mであり、ジヨードメタンのγは50.8mJ/m、γldは48.5mJ/m、γlpは2.3mJ/mである。
また、離型フィルムに対する液体の接触角θは、湿度50%、温度23℃の環境下で、液体を固体表面に滴下して5秒後の接触角のことを意味する。液体の接触角θは、θ/2法に従い、接触角計(例えば、協和界面化学社製、DropMaster 100等)及び固液界面解析装置(例えば、協和界面化学社製、DropMaster 300等)を用いて測定することができる。
なお、液体の接触角の測定において、液体が水の場合は1μLを滴下し、液体がジヨードメタンの場合は0.5μLを滴下する。
Figure 2018178106
上記式(2)、(3)中、θは接触角、γは液体の表面自由エネルギー、γldは液体の表面自由エネルギーの分散成分、γlpは液体の表面自由エネルギーの極性成分、γsは固体の表面自由エネルギー、γspは固体の表面自由エネルギーの極性成分、γsdは固体の表面自由エネルギーの分散成分を意味する。
離型フィルムの表面の表面自由エネルギーを制御して、上記離型表面の表面自由エネルギーγ及び表面自由エネルギーの極性成分γspを一定以下とする方法は特に限定されないが、例えば、(a)基材層の少なくとも一方の面に、離型剤の種類や配合を調整した離型剤層を形成する方法が挙げられる。また、(b)低極性樹脂(例えばポリオレフィン樹脂、シクロオレフィン樹脂、ノルボルネン樹脂、フッ素系樹脂等)や低極性樹脂を含む樹脂組成物を離型フィルムの最表層に配置する方法が挙げられる。更に、(c)離型フィルムの最表層に、物理的処理や化学的処理を施す方法が挙げられる。
また、離型フィルムの最表層に用いる樹脂又は樹脂組成物中において、極性の高い官能基の存在割合を調整することで、表面自由エネルギーの極性成分γspを調整することができる。上記極性の高い官能基としては、例えば、カルボニル基、エーテル基、エステル基、アミド基、ウレタン基等の、酸素原子や窒素原子を有する官能基が挙げられる。
また、離型フィルムの最表層に用いる樹脂又は樹脂組成物中において、共役系の存在割合を調整することで、表面自由エネルギーの極性成分γsdを調整することができる。共役系に含まれるパイ電子は、共有結合で強く束縛されているシグマ電子に比べて非局在化しやすいため、外部環境のわずかな変化でも電子が分散しやすい。従って、シグマ電子しか有さない樹脂(例えば、ポリオレフィン樹脂等)に対して、共役系を有する化合物の存在割合を高めることで、表面自由エネルギーの分散成分γsdを高めることができる。上記共役系を有する化合物としては、例えば、芳香族化合物や共役ジエン化合物等が挙げられる。
また、離型フィルムの最表層に物理的処理や化学的処理を施すことで、表面に存在する化合物を除去し、表面自由エネルギーを調整することができる。物理的処理としては、例えば摩擦処理が挙げられる。
本発明の離型フィルムは、離型表面の表面自由エネルギーγ及び表面自由エネルギーの極性成分γspが一定以下であれば、単層フィルムであっても、多層フィルムであってもよいし、上記離型剤層を有していても有していなくてもよい。即ち、(1)単一の層からなる単層フィルムとする構成、(2)離型層と基材層を有する多層フィルムとする構成(この場合、離型層の表面が離型表面である)、(3)単層フィルム又は多層フィルム上に離型剤層を設ける構成(この場合、離型剤層の表面が離型表面である)のいずれであってもよい。設計の自由度が高く、基材層の選択により種々の性能を付与できる観点からは、離型剤層の有無にかかわらず、多層フィルムが好適である。
まず、上記(1)単層フィルムとする構成について詳しく説明する
上記単層フィルムを構成する樹脂は特に限定されないが、加圧プレス後の離型性を更に向上させることができることから、ポリエステル、ポリオレフィン又はポリスチレンが挙げられる。なかでも、ポリエステルとして、結晶性芳香族ポリエステル樹脂を主成分とする樹脂、ポリオレフィンとして、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)を主成分とする樹脂、脂環式オレフィン系樹脂を主成分とする樹脂、ポリスチレンとして、シンジオタクチック構造を有するポリスチレン系樹脂を主成分とする樹脂等が好適である。なかでも、エポキシ接着剤の浸み出し防止(埋め込み性)に優れることから、結晶性芳香族ポリエステル樹脂を含有することが好ましい。
上記結晶性芳香族ポリエステル樹脂は特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリヘキサメチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂、テレフタル酸ブタンジオールポリテトラメチレングリコール共重合体等が挙げられる。これらの結晶性芳香族ポリエステル樹脂は単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。なかでも、非汚染性及び結晶性に優れることから、ポリブチレンテレフタレート樹脂が好適に用いられる。
本明細書中、「ポリブチレンテレフタレート樹脂」には、ポリブチレンテレフタレート単独の樹脂のほかに、ポリブチレンテレフタレートと、ポリエーテル又はポリエステル等との共重合体も含む。
上記ポリブチレンテレフタレート樹脂は特に限定されず、一般に用いられているものを使用することができ、具体的には例えば、ポリブチレンテレフタレートと脂肪族ポリエーテルとのブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレートと脂肪族ポリエステルとのブロック共重合体等が挙げられる。これらのポリブチレンテレフタレート樹脂は単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。なかでも、耐熱性、離型性、フレキシブル回路基板の凹凸への追従性等のバランスの観点から、ポリブチレンテレフタレート樹脂に、ポリブチレンテレフタレートと脂肪族ポリエーテルとのブロック共重合体を混合した混合樹脂が好ましい。
上記結晶性芳香族ポリエステル樹脂は、フィルム成膜性の観点から、メルトボリュームフローレートが30cm/10min以下であることが好ましく、20cm/10min以下であることがより好ましい。なお、メルトボリュームフローレートは、ISO1133に従って、測定温度250℃、荷重2.16kgで測定することができる。
上記結晶性芳香族ポリエステル樹脂のうち、市販されているものとして、例えば、「ペルプレン(登録商標)」(東洋紡績社製)、「ハイトレル(登録商標)」(東レ・デュポン社製)、「ジュラネックス(登録商標)」(ポリプラスチック社製)、「ノバデュラン(登録商標)」(三菱エンジニアリングプラスチック社製)等を好適に用いることができる。
上記ポリ(4−メチル−1−ペンテン)を主成分とする樹脂には、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)樹脂が90重量%以上含有されていることが好ましい。
上記ポリ(4−メチル−1−ペンテン)樹脂は、例えば、三井化学社製の商品名TPX(登録商標)等の市販品を用いることができる。
上記シンジオタクチック構造を有するポリスチレン系樹脂を主成分とする樹脂には、シンジオタクチック構造を有するポリスチレン系樹脂が70重量%以上、90重量%以下含有されていることが好ましい。
上記シンジオタクチック構造を有するポリスチレン系樹脂は、例えば、出光興産社製の商品名ザレック(登録商標)(XAREC(登録商標))等の市販を用いることができる。
なお、シンジオタクチック構造を有するポリスチレン系樹脂とは、シンジオタクチック構造、即ち炭素−炭素シグマ結合から形成される主鎖に対して側鎖であるフェニル基や置換フェニル基が交互に反対方向に位置する立体規則構造を有する樹脂である。このような樹脂としては、例えば、ラセミダイアッドで75%以上、若しくはラセミペンタッドで30%以上のシンジオタクティシティーを有するポリスチレンが挙げられる。また、ポリ(アルキルスチレン)、ポリ(アリールスチレン)、ポリ(ハロゲン化スチレン)、ポリ(ハロゲン化アルキルスチレン)、ポリ(アルコキシスチレン)、ポリ(ビニル安息香酸エステル)等が挙げられる。また、これらの樹脂の水素化重合体及びこれらの混合物、これらを主成分とする共重合体等が挙げられる。
上記脂環式オレフィン系樹脂とは、主鎖あるいは側鎖に環状脂肪族炭化水素を有するオレフィン系樹脂であり、耐熱性、強度等の点から、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂が好ましい。該熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂は、例えば、ノルボルネン系モノマーの開環重合体若しくは開環共重合体を、(必要に応じてマレイン酸付加やシクロペンタジエン付加のような変性を行った後に)水素添加した樹脂が挙げられる。また、ノルボルネン系モノマーを付加重合させた樹脂、ノルボルネン系モノマーとエチレン又はα−オレフィン等のオレフィン系モノマーとを付加重合させた樹脂、ノルボルネン系モノマーとシクロペンテン、シクロオクテン、5,6−ジヒドロジシクロペンタジエン等の環状オレフィン系モノマーとを付加重合させた樹脂等が挙げられる。更に、これらの樹脂の変性物等が挙げられる。
上記単層フィルムは、ゴム成分を含有してもよい。ゴム成分を含有することにより、フレキシブル回路基板の凹凸へのより優れた追従性を発揮することができる。
上記ゴム成分は特に限定されず、例えば、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、アクリルニトリル−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体(EPM、EPDM)、ポリクロロプレン、ブチルゴム、アクリルゴム、シリコンゴム、ウレタンゴム、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、塩ビ系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
上記単層フィルムは、安定剤を含有してもよい。
上記安定剤は特に限定されず、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、熱安定剤等が挙げられる。
上記ヒンダードフェノール系酸化防止剤は特に限定されず、例えば、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9−ビス{2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニロキシ〕−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン等が挙げられる。
上記熱安定剤は特に限定されず、例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、2−t−ブチル−α−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−クメニルビス(p−ノニルフェニル)ホスファイト、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネート、ペンタ(エリスリチル−テトラ−β−メルカプトラウリル)プロピオネート、ジトリデシル3,3’−チオジプロピオネート等が挙げられる。
なお、熱安定剤を過剰に添加すると、表面自由エネルギーの極性成分γspが増加することがある。
上記単層フィルムは、更に、繊維、無機充填剤、難燃剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、無機物、高級脂肪酸塩等の従来公知の添加剤を含有してもよい。
次に、上記(2)多層フィルムとする構成について詳しく説明する。
上記多層フィルムは、基材層と、基材層上に形成され、上記離型表面を構成する離型層とを有する。上記基材層は1の層のみからなる単層構造であってもよく、異なる材料配合からなる複数の層からなる多層構造であってもよい。また、上記基材層の両面に離型層を設けてもよい。
上記離型層は、上記単層フィルムを構成する樹脂として挙げた樹脂を用いることができる。また、上記基材層を、ゴム成分を含有する層とし、上記離型層を、ゴム成分を含有しない層として、これらの積層体(又は共押出物)として多層フィルムを構成してもよい。
上記離型層の厚みは特に限定されないが、好ましい下限は5μm、好ましい上限は75μmである。上記離型層の厚みがこの範囲内であると、プリント配線基板、フレキシブルプリント基板、多層プリント配線板等の製造工程に用いたときに、強度と、フレキシブル回路基板の凹凸への追従性等のバランスをとることができる。上記離型層の厚みのより好ましい下限は10μm、より好ましい上限は30μmである。
上記基材層としては特に限定されず、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリエステル等の樹脂を含有する層が挙げられる。なかでも、ポリオレフィン樹脂を含有する層が好ましい。
上記ポリオレフィン樹脂は特に限定されず、例えば、ポリエチレン樹脂や、ポリプロピレン樹脂や、エチレン−酢酸ビニル共重合体や、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体等のエチレン−アクリル系モノマー共重合体等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
上記基材層の厚みは特に限定されないが、好ましい下限は10μm、好ましい上限は300μmである。上記基材層の厚みがこの範囲内であると、プリント配線基板、フレキシブルプリント基板、多層プリント配線板等の製造工程に用いたときに、充分な強度を発揮できるとともに、離型性とフレキシブル回路基板の凹凸への追従性等のバランスをとることができる。上記基材層の厚みのより好ましい下限は50μm、より好ましい上限は200μmである。
更に、上記(3)単層フィルム又は多層フィルム上に離型剤層を設ける構成について詳しく説明する。
この態様の本発明の離型フィルムは、単層フィルム又は多層フィルムの最表面に離型剤層を設ける。上記離型剤層は、その表面の表面自由エネルギーγ及び表面自由エネルギーの極性成分γspを一定以下として、本発明の離型フィルムに優れた離型性を発揮させるものである。
上記離型剤層として、例えば、極性の低い樹脂(非極性樹脂又は低極性樹脂)を主成分とし、極性の高い樹脂や極性の高い化合物の配合量をできる限り低減することにより、得られる離型剤層の表面の表面自由エネルギーγ及び表面自由エネルギーの極性成分γspを一定以下とすることができる。
より具体的には例えば、非硬化型の長鎖アルキル系離型剤、シリコーン系離型剤、フッ素系離型剤や、加熱や光照射により硬化する硬化型長鎖アルキル系離型剤、硬化型シリコーン系離型剤、硬化型フッ素系離型剤を用いることにより、上記離型剤層の表面の表面自由エネルギーγ及び表面自由エネルギーの極性成分γspを一定以下とすることができる。上記フッ素系離型剤としては、例えば、フッ素ポリマー等のフッ素含有化合物や、フッ素系カップリング剤等が挙げられる。
なかでも、耐久性に優れ、汚染等の問題が生じにくいことから、長鎖アルキル系離型剤又はフッ素系離型剤が好適である。ここで、硬化型の離型剤を硬化させるためには、主剤に触媒を加える必要があるが、該触媒は一般に極性が高い。従って、硬化性を損なわない範囲で、触媒の配合量を極力低減することが必要となる。更に、主剤中に極性の高い化合物が配合されている場合には、離型剤層の表面の表面自由エネルギーγ及び表面自由エネルギーの極性成分γspを一定以下とすることが困難となることから、主剤の選択も重要となる。
上記熱硬化型長鎖アルキル系離型剤としては、例えば、テスファイン303、テスファイン305、テスファイン314、テスファイン319、TA31−209E(以上、日立化成社製)等の市販品を用いることもできる。
上記光硬化型長鎖アルキル系離型剤としては、例えば、TA37−401A、TA37−401B、TA37−401C、TA37−414F(日立化成社製)、等の市販品を用いることもできる。
上記熱硬化型シリコーン系離型剤としては、例えば、アラコートRL500(荒川化学工業社製)、TA31−209E、テスファイン319(以上、日立化成社製)等の市販品を用いることもできる。
上記光硬化型シリコーン系離型剤としては、例えば、TA37−400A、TA37−400B、TA37−400C(以上、日立化成社製)等の市販品を用いることもできる。
これらの熱硬化型長鎖アルキル系離型剤又は熱硬化型シリコーン系離型剤に、例えば、アラコートRA500(荒川化学工業社製)、ドライヤー900(日立化成社製)等の触媒を組み合わせることにより、熱硬化性を発揮させることができる。
上記フッ素系離型剤としては、例えば、MS175(ダイキン工業社製)等の市販品を用いることもできる。
上記離型剤層の厚みは特に限定されないが、好ましい下限は0.01μm、好ましい上限は10μmである。上記離型剤層の厚みがこの範囲内であると、プリント配線基板に対する優れた離型性を確実に発揮することができる。上記離型剤層の厚みのより好ましい下限は0.1μm、より好ましい上限は5μmである。
本発明の離型フィルムにおいて、上記離型表面は、十点平均粗さRzが3μm未満であることが好ましい。
従来の離型フィルムでは、表面を粗面化することにより高い離型性を得ていた。このような離型フィルムは、離型性には優れるものの、エポキシ接着剤の浸み出しのばらつきが大きく、大きく染み出した部位ではプリント配線基板を汚染して不良が発生してしまうことがあった。本発明の離型フィルムでは、高い離型性を表面自由エネルギーγ及び表面自由エネルギーの極性成分γspの制御によって達成できることから、離型性を確保するために離型表面を粗面化する必要もない。上記離型表面の十点平均粗さRzが3μm未満とすることにより、極めて高い離型性と、エポキシ接着剤の浸み出し防止性とを両立させることができる。上記離型表面は、十点平均粗さRzが1.5μm以下であることがより好ましい。
本明細書中、「十点平均粗さRz」とは、JIS B 0601:2013の附属書JA中にいうRzjis94(JIS B 0601:1994の十点平均粗さ)を意味する。すなわち、基準長さLにおいて最も高い山頂から高さが5番目までの山頂の標高をそれぞれYp1、Yp2、Yp3、Yp4及びYp5、最も深い谷底から深さが5番目までの谷底の標高をそれぞれYv1、Yv2、Yv3、Yv4及びYv5としたとき、下記式(4)によって求められる値を意味する。「十点平均粗さRz」の値が大きいほど面が全体として粗く、値が小さいほど面が全体として平滑であることを意味する。「十点平均粗さRz」は、触針式表面粗さ測定機(例えば、Mitsutoyo社製のサーフテストSJ−301等)を用い、先端半径2μm、円錐のテーパ角60°の触針を用い、測定力0.75mN、λc=0.8mm、基準長さ5.6mm、速度0.5m/secの条件にて測定することができる。
Figure 2018178106
本発明の離型フィルムにおいて、上記離型表面と反対側の表面(以下、単に「反対側表面」ともいう。)については特に限定されず、上記表面自由エネルギーγ及び表面自由エネルギーの極性成分γspが一定以下であってもよく、そうでなくともよい。
上記離型表面を例えばプリント配線基板に接する側とした場合、上記反対側表面は、熱プレスのプレス板に接することになる。従って、熱プレス後にプレス板から容易に剥離できることが好ましい。
上記反対側表面が、上記表面自由エネルギーγ及び表面自由エネルギーの極性成分γspが一定以下である表面ではない場合でも、例えば、上記反対側表面の十点平均粗さRzを2μm以上とすることにより、プレス板からの剥離性を確保することができる。
本発明の離型フィルムを製造する方法は特に限定されない。本発明の離型フィルムが上記(3)単層フィルム又は多層フィルム上に離型剤層を設ける構成を有する態様である場合には、例えば、まず、溶融状態にある構成樹脂に対して、表面にエンボス模様が加工されたロールを押し当て、該ロール表面に加工されたエンボス模様を転写させる。同時に構成樹脂を冷却することで目的の厚みと表面粗さを持つ基材層を作製する。次いで、得られた基材層上に硬化型長鎖アルキル系離型剤等の離型剤を塗工する方法等が挙げられる。
本発明の離型フィルムの用途は特に限定されないが、フレキシブル回路基板の製造に特に適する。具体的には例えば、プリント配線基板、フレキシブルプリント基板、多層プリント配線板等の製造工程において、プリプレグ又は耐熱フィルムを介して基板に銅張積層板又は銅箔を熱プレスする際の離型フィルムとして好適に用いることができる。また、フレキシブルプリント基板の製造工程において、銅回路を形成したフレキシブルプリント基板本体に、熱硬化型接着剤又は熱硬化型接着シートによってカバーレイフィルムを熱プレス接着する際の、カバーレイフィルムと熱プレス板とが接着するのを防止するために離型フィルムとして好適に用いることができる。更に、金型を用いて半導体チップを樹脂で封止して成型品を得る半導体モールド工程において、金型内面を被覆して樹脂による金型の汚染を防ぐための離型フィルムとして好適に用いることができる。
本発明によれば、フレキシブル回路基板の製造に適した離型フィルムであって、プリント配線基板に対する優れた離型性を発揮できる離型フィルムを提供することができる。
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1)
(1)離型フィルムの製造
ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)75重量部に対して、ポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレングリコール共重合体(PBTエラストマー)25重量部を加え、押出機(ジーエムエンジニアリング社製、GM30−28(スクリュー径30mm、L/D28))を用いてTダイ幅400mmにて押出した。その際に表面にエンボス模様が加工されたロールを押し当て、該ロール表面に加工されたエンボス模様を転写させ、かつ同時に構成樹脂を冷却、成形することにより、厚み50μmの単層フィルムを得た。
次いで、主剤としてアラコートRL500(荒川化学工業社製)95重量部と、触媒としてアラコートRA500(荒川化学工業社製)5重量部とを混合して熱硬化型シリコーン系離型剤を調製した。得られた熱硬化型シリコーン系離型剤を厚みが0.6μmとなるように基材層の一方の面に塗工した。次いで、150℃、30秒間加熱して熱硬化型シリコーン系離型剤を硬化させて離型剤層を形成して離型フィルムを得た。
(2)表面自由エネルギーγ、表面自由エネルギーの極性成分γspの測定
湿度50%、温度23℃の環境下において水1μL及びジヨードメタン(ヨウ化メチレン)0.5μLを得られた離型フィルムの離型表面に滴下した。滴下後5秒後の接触角θを、θ/2法に従い、接触角計(協和界面化学社製、DropMaster 100)及び固液界面解析装置(協和界面化学社製、DropMaster 300)を用いて測定した。得られた各液体の接触角θをもとに、上記式(1)〜(3)により、離型フィルムの離型表面の表面自由エネルギーγ、表面自由エネルギーの極性成分γspを算出した。
(3)十点平均粗さRzの測定
得られた離型フィルムの離型表面の十点平均粗さRzを、触針式表面粗さ測定機(Mitutoyo社製のサーフテストSJ−301、先端半径2μm、円錐のテーパ角60°の触針)を用い、測定力0.75mN、カットオフ値λs=2.5μm、λc=0.8mmの条件にて行った。
(実施例2)
ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)75重量部に対して、ポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレングリコール共重合体(PBTエラストマー)25重量部を加えて第1離型層用樹脂組成物を調製した。また、ポリエチレン(PE)20重量部、エチレン−メチルメタクリレート樹脂60重量部、ポリプロピレン(PP)20重量部を加えて基材層用樹脂組成物を調製した。更に、PBT75重量部に対して、PBTエラストマー25重量部を加えて第2離型層用樹脂組成物を調製した。
得られた第1離型層用樹脂組成物、基材層用樹脂組成物及び第2離型層用樹脂組成物を、押出機(ジーエムエンジニアリング社製、GM30−28(スクリュー径30mm、L/D28))を用いてTダイ幅400mmにて共押出した。その際に表面にエンボス模様が加工されたロールを押し当て、該ロール表面に加工されたエンボス模様を転写させ、かつ同時に構成樹脂を冷却、成形することにより、第1離型層の厚みが20μm、基材層の厚みが80μm、第2離型層の厚みが20μm、総厚みが120μmの多層フィルムを得た。
得られた多層フィルムの第1離型層側の表面に、実施例1と同様の離型剤層を形成することで離型フィルムを製造し、表面自由エネルギーγ等を測定した。
(実施例3、4)
ロール表面のエンボス模様を変更した以外は実施例2と同様にして離型フィルムを製造し、表面自由エネルギーγ等を測定した。
(実施例5)
実施例2と同様の方法により多層フィルムを得た。
主剤としてテスファイン314(日立化成社製)95重量部と、触媒としてアラコートRA500(荒川化学工業社製)5重量部とを混合して熱硬化型長鎖アルキル系離型剤を調製した。得られた熱硬化型長鎖アルキル系離型剤を厚みが0.3μmとなるように多層フィルムの第1離型層側の表面に塗工した。次いで、150℃、30秒間加熱して熱硬化型長鎖アルキル系離型剤を硬化させて離型剤層を形成して離型フィルムを得て、実施例1と同様にして表面自由エネルギーγ等を測定した。
(実施例6)
実施例2と同様の方法により多層フィルムを得た。
光硬化型長鎖アルキル系離型剤としてTA37−414F(日立化成社製)を厚みが1.1μmとなるように多層フィルムの第1離型層側の表面に塗工した。次いで、波長365nmの紫外線を25mV/cmの強度で30秒間照射して光硬化型長鎖アルキル系離型剤を硬化させて離型剤層を形成して離型フィルムを得た。
得られた離型フィルムについて、実施例1と同様にして表面自由エネルギーγ等を測定した。
(実施例7)
実施例2と同様の方法により多層フィルムを得た。
塗布型フッ素系離型剤としてMS175(ダイキン工業社製)を厚みが1.3μmとなるように多層フィルムの第1離型層側の表面に塗工して離型剤層を形成して、離型フィルムを得た。
得られた離型フィルムについて、実施例1と同様にして表面自由エネルギーγ等を測定した。
(実施例8)
ポリ(4−メチル−1−ペンテン)98重量部に対して、硫黄系耐熱安定剤としてペンタ(エリスリチル−テトラ−β−メルカプトラウリル)プロピオネートを2重量部加え、押出機(ジーエムエンジニアリング社製、GM30−28(スクリュー径30mm、L/D28))を用いてTダイ幅400mmにて押出した。その際に表面にエンボス模様が加工されたロールを押し当て、該ロール表面に加工されたエンボス模様を転写させ、かつ同時に構成樹脂を冷却、成形することにより、厚み50μmの単層フィルムを得た。
得られたフィルムの表面を、摩擦処理装置(山縣機械社製、研磨処理装置「型式YCM−150M」)を用い、摩擦処理材の表面の素材として織物を用いて摩擦処理し、離型フィルムを得た。この際、摩擦処理により与えた仕事エネルギーは100kJであった。得られた離型フィルムについて、実施例1と同様にして表面自由エネルギーγ等を測定した。なお、仕事エネルギーEn(kJ)は下記式(5)で表される。
Figure 2018178106
式(5)中、Arは摩擦処理装置が摩擦処理する面積(m)を表し、Jは摩擦処理するための単位時間あたりの仕事(kJ/分)を表し、Wは摩擦処理されるフィルムの巾(m)を表し、LSは摩擦処理されるフィルムのライン速度(m/分)を表す。
(実施例9)
ポリ(4−メチル−1−ペンテン)98重量部に対して、硫黄系耐熱安定剤としてペンタ(エリスリチル−テトラ−β−メルカプトラウリル)プロピオネートを2重量部加えて第1離型層用樹脂組成物を調製した。また、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)28重量部、ポリエチレン(PE)35重量部、ポリプロピレン(PP)35重量部、ペンタ(エリスリチル−テトラ−β−メルカプトラウリル)プロピオネート2重量部を混合して基材層用樹脂組成物を調製した。更に、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)98重量部に対して、ペンタ(エリスリチル−テトラ−β−メルカプトラウリル)プロピオネートを2重量部加えて第2離型層用樹脂組成物を調製した。
得られた第1離型層用樹脂組成物、基材層用樹脂組成物及び第2離型層用樹脂組成物を、押出機(ジーエムエンジニアリング社製、GM30−28(スクリュー径30mm、L/D28))を用いてTダイ幅400mmにて共押出した。その際に表面にエンボス模様が加工されたロールを押し当て、該ロール表面に加工されたエンボス模様を転写させ、かつ同時に構成樹脂を冷却、成形することにより、第1離型層の厚みが20μm、基材層の厚みが80μm、第2離型層の厚みが20μm、総厚みが120μmの多層フィルムを得た。
得られたフィルムの第1離型層の表面を、摩擦処理装置(山縣機械社製、研磨処理装置「型式YCM−150M」)を用い、摩擦処理材の表面の素材として織物を用いて摩擦処理し、離型フィルムを得た。この際、摩擦処理により与えた仕事エネルギーは100kJであった。
得られた離型フィルムについて、実施例1と同様にして表面自由エネルギーγ等を測定した。
(比較例1)
実施例2と同様の方法により多層フィルムを得た。
次いで、主剤としてアラコートRL500(荒川化学工業社製)80重量部と、触媒としてアラコートRA500(荒川化学工業社製)20重量部とを混合して熱硬化型シリコーン系離型剤を調製した。得られた熱硬化型シリコーン系離型剤を厚みが0.8μmとなるように多層フィルムの第1離型層側の表面に塗工した。次いで、150℃、30秒間加熱して熱硬化型シリコーン系離型剤を硬化させて離型剤層を形成して離型フィルムを得た。
得られた離型フィルムについて、実施例1と同様にして表面自由エネルギーγ等を測定した。
(比較例2)
ロール表面のエンボス模様を変更し、離型剤層を形成しなかったこと以外は実施例1と同様の方法により基材を得て、これを離型フィルムとした。
得られた離型フィルムについて、実施例1と同様にして表面自由エネルギーγ等を測定した。
(比較例3)
ロール表面のエンボス模様を変更し、離型剤層を形成しなかったこと以外は実施例2と同様にして多層フィルムを得て、これを離型フィルムとした。
得られた離型フィルムについて、表面自由エネルギーγ等を測定した。
(比較例4)
比較例3と同様にして離型フィルムを製造し、更に離型フィルムの表面に摩擦処理装置(山縣機械社製、研磨処理装置「型式YCM−150M」)を用い、摩擦処理材の表面の素材として織物を用いて摩擦処理し、離型フィルムを得た。この際、摩擦処理により与えた仕事エネルギーは100kJであった。
得られた離型フィルムについて、実施例1と同様にして表面自由エネルギーγ等を測定した。
(比較例5)
市販の厚み38μmのポリエチレンテレフタレート(PET、東洋クロス社製、SP6080K2)を離型フィルムとした。この離型フィルムについて、実施例1と同様にして表面自由エネルギーγ等を測定した。
(比較例6)
ポリ(4−メチル−1−ペンテン)98重量部に対して、硫黄系耐熱安定剤としてペンタ(エリスリチル−テトラ−β−メルカプトラウリル)プロピオネートを2重量部加え、押出機(ジーエムエンジニアリング社製、GM30−28(スクリュー径30mm、L/D28))を用いてTダイ幅400mmにて押出した。その際に表面にエンボス模様が加工されたロールを押し当て、該ロール表面に加工されたエンボス模様を転写させ、かつ同時に構成樹脂を冷却、成形することにより、厚み50μmの単層フィルムを得た。
得られた離型フィルムについて、実施例1と同様にして表面自由エネルギーγ等を測定した。
(比較例7)
シンジオタクチック構造を有するポリスチレン(SPS)を、押出機(ジーエムエンジニアリング社製、GM30−28(スクリュー径30mm、L/D28))を用いてTダイ幅400mmにて押出した。その際に表面にエンボス模様が加工されたロールを押し当て、該ロール表面に加工されたエンボス模様を転写させ、かつ同時に構成樹脂を冷却、成形することにより、厚み50μmの単層フィルムを得た。
得られた離型フィルムについて、実施例1と同様にして表面自由エネルギーγ等を測定した。
(評価)
実施例及び比較例で得られた離型フィルムについて、以下の方法により評価を行った。
結果を表1〜3に示した。
(1)離型性の評価
得られた離型フィルムの最表面(離型表面)とカバーレイフィルム(ニッカン工業社製、CISV2535)のエポキシ接着剤面とを重ね、180℃、30kgf/cmの条件で5分間熱プレスした。その後、試験速度500mm/分で剥離試験を行い、180°剥離強度を求めた。以下の基準で剥離性を評価した。
◎:自然剥離(180°剥離強度が実質的に0gf/cm)
○:180°剥離強度が3.0gf/cm未満
×:180°剥離強度が3.0gf/cm以上
(2)埋め込み性(レジンフロー)の評価
銅張積層板(CCL)上に、φ=1mmの穴を空けたカバーレイフィルムを乗せ、更に離型フィルムを積層した積層体を、180℃、30kgf/cmの条件で2分間熱プレスした。その後、離型フィルムを剥離し、銅張積層板(CCL)上に流れ出したエポキシ接着剤を光学顕微鏡にて観察した。エポキシ接着剤の染み出し量を12点測定し、その最大値と最小値の差を比較して、以下の基準により埋め込み性(レジンフロー)を評価した。
◎:エポキシ接着剤の染み出し量の最大値と最小値の差が20μm未満
○:エポキシ接着剤の染み出し量の最大値と最小値の差が20μm以上、25μm未満
△:エポキシ接着剤の染み出し量の最大値と最小値の差が25μm以上、30μm未満
×:エポキシ接着剤の染み出し量の最大値と最小値の差が30μm以上
(3)汚染性の評価
離型フィルムの最外層側と銅張積層板(CCL)のポリイミド(PI)面とを重ね、180℃、50kgf/cmで5分間熱プレスした後、ポリイミド(PI)面から離型フィルムを剥離した。次いで、銅張積層板(CCL)のポリイミド(PI)面に導電性接着シートを重ね、160℃、50kgf/cmで2分間熱プレスした後、試験速度500mm/分で180°剥離試験を行った。
その結果、実施例1〜3では、180°剥離が100gf/cm以下であり、実施例4〜7、比較例1〜5では、200gf/cm以上であった。
Figure 2018178106
Figure 2018178106
Figure 2018178106
本発明によれば、フレキシブル回路基板の製造に適した離型フィルムであって、プリント配線基板に対する優れた離型性を発揮できる離型フィルムを提供することができる。

Claims (4)

  1. 少なくとも一方の表面の表面自由エネルギーγが32mJ/m以下であり、かつ、該表面の表面自由エネルギーの極性成分γspが2mJ/m以下であることを特徴とする離型フィルム。
  2. 表面自由エネルギーγが32mJ/m以下であり、かつ、表面自由エネルギーの極性成分γspが2mJ/m以下である表面の十点平均粗さRzが3μm未満であることを特徴とする請求項1記載の離型フィルム。
  3. 基材層と離型剤層とを有し、該離型剤層を少なくとも一方の表面とする多層フィルムからなることを特徴とする請求項1又は2記載の離型フィルム。
  4. 離型剤層は、硬化型長鎖アルキル系離型剤又はフッ素系離型剤からなることを特徴とする請求項3記載の離型フィルム。
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