JP2020167212A - プリント配線基板製造プロセス用離型フィルム、及びその用途 - Google Patents

プリント配線基板製造プロセス用離型フィルム、及びその用途 Download PDF

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Abstract

【課題】追従性、耐シワ性、及び離型性を、従来技術の限界を超えた高いレベルで兼ね備えた、プリント配線基板製造プロセス用離型フィルムを提供する。【解決手段】少なくとも離型層(A)と中間層(B)とを含む、プリント配線基板製造プロセス用離型フィルムであって、離型層(A)の厚みが15μm以下であり、中間層(B)の180℃における引張弾性率が11MPa以上であることを特徴とする、上記プリント配線基板製造プロセス用離型フィルム。【選択図】 図1

Description

本発明は、プリント配線基板の製造プロセスに用いられる離型フィルムに関し、より具体的にはプリント配線基板を製造する際に電気回路(銅箔等)が形成された面に保護層であるカバーレイ等を積層する際等に好適に使用される離型フィルムに関する。本発明の離型フィルムは、プリント配線基板がフレキシブルプリント配線基板(以下、「FPC」ともいう。)である場合に、特に好適に使用される。
FPCでは、通常、電気回路を形成した基材とこれを保護するカバーレイとを、熱硬化性接着剤により接着する。このカバーレイは、基材の片面だけに電気回路が形成されている場合は、電気回路が形成された基材の片面にのみに、また、基材の両面あるいは多層に互って電気回路が設けられている場合は、基材の両面に、接着されている。そして、その接着の際には、通常、基材と熱硬化型接着剤を塗布したカバーレイとを金属板に挟み、加熱及び加圧をする。そして、このカバーレイと金属板との接着を防止するため、FPC製造用離型フィルムは、金属板とカバーレイとの間に挟んで使用される。
FPC製造プロセス用離型フィルムにまず求められる特性は、加熱硬化後の接着剤からフィルムが容易に剥離できる離型性である。
従来から、離型性の観点から、FPC製造プロセス用離型フィルムとしては、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、およびポリフッ化ビニルなどのフッ素系重合体のフィルム、ポリメチルペンテンのフィルム、ポリブチレンテレフタレートのフィルムなどが使用されている。
また、FPCにおいては、他の部品との電気的接続のため、電気回路の端子部分が形成されており、その端子部分はカバーレイで被覆されず、露出している。そして、端子部分以外を被覆するためにカバーレイに塗布された接着剤が、加熱及び加圧によって接着する際に溶融し、しばしば、この電気回路の端子部分に流出し、接着剤の被覆層が形成され、電気的接続不良の原因となるという問題があった。接着剤の端子部分への流出は、カバーレイで被覆されず露出している空間を離型フィルムが埋めることで、防止することができる。この際、離型フィルムが、カバーレイで被覆される部分と、端子部分等のカバーレイで被覆される露出している部分との段差に追従する必要がある。すなわち、接着剤の端子部分への流出防止の観点から、FPC製造プロセス用離型フィルムには、段差等のFPC回路基材/カバーレイ積層体上の凹凸への追従性が求められている。
更にFPC製造プロセスにおいては、特に加熱及び加圧プレスしてカバーレイの接着をする際に、離型フィルムが比較的短時間で大きな温度変化を受けるので、離型フィルムの表面にシワが発生し易い。そのため、そのシワが発生した部分では、離型フィルムの追従不良が生じたり、又はシワがFPCに転写されるため、十分満足できる外観を有するFPCが得られない、などの問題を生じうる。
上記の技術的課題を解決するため、各種の層構成、物性を有する、FPC製造プロセス用離型フィルムが提案されている。
例えば特許文献1には、特定組成の4−メチル−1−ペンテン系共重合体から形成される層を含み、且つ特定の厚み構成と熱収縮率とを有するフィルムが提案されている。
国際公開第2008/001682 A1号パンフレット
しかしながら、当該技術分野の発展に伴いFPC製造プロセス用離型フィルムに対する要求水準は年々高まっている。特に、実装密度の向上に伴い、カバーレイフィルムの開口パターンは微細化し、それに追従するため、FPC製造プロセス用離型フィルムには更に高い追従性が求められている。また、プリント配線基板上の回路パターンも微細化し、接着剤の端子部分への流出の影響は相対的に増大しているので、従来技術よりも一層高いレベルの追従性が求められている、更に、パターンの微細化は一般に離型をより困難にするため、離型性についても、更に高いものが求められている。
加えて近年、FPC製造プロセスの生産性向上のため、自動化に適したロールトゥロール方式が採用されるようになってきている。この方式においては、シワが発生し易い傾向にあり耐シワ性も従来技術よりも一層高いレベルのものが求められている。
すなわち、プリント配線基板上の回路パターンも微細化、及び生産性の向上、という近年のますます増大する要求に応えるため、プリント配線基板製造プロセス用離型フィルムには、従来技術よりも更に高いレベルの追従性、耐シワ性、及び離型性を兼ね備えることが求められるに至っている。
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、追従性、耐シワ性、及び離型性を従来技術の限界を超えた高いレベルで兼ね備えた、プリント配線基板製造プロセス用離型フィルム、特に好ましくはFPC製造プロセス用離型フィルム、を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、離型層と中間層とを含む積層構成を有し、該離型層の厚みが所定値以下であり、かつ、該中間層が所定値以上の引張弾性率を有するプリント配線基板製造プロセス用離型フィルムが、上記課題を解決できることを見出し、この知見に基づき本発明を完成するに至った。
すなわち本発明及びその各態様は、下記[1]から[8]に記載のとおりである。
[1]
少なくとも離型層(A)と中間層(B)とを含む、プリント配線基板製造プロセス用離型フィルムであって、
離型層(A)の厚みが15μm以下であり、
中間層(B)の180℃における引張弾性率が11MPa以上であることを特徴とする、上記プリント配線基板製造プロセス用離型フィルム。
[2]
フレキシブルプリント配線基板の製造に用いられる、[1]に記載のプリント配線基板製造プロセス用離型フィルム。
[3]
中間層(B)の厚みが30μm以上である、[1]又は[2]に記載のプリント配線基板製造プロセス用離型フィルム。
[4]
離型層(A)の表面の水に対する接触角が60°から130°である、[1]から[3]のいずれか一項に記載のプリント配線基板製造プロセス用離型フィルム。
[5]
離型層(A)が、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体、フッ素樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂を含有する、[1]から[4]のいずれか一項に記載のプリント配線基板製造プロセス用離型フィルム。
[6]
更に離型層(A’)を有し、離型層(A)/中間層(B)/離型層(A’)の層構成を有する、[1]から[5]のいずれか一項に記載のプリント配線基板製造プロセス用離型フィルム。
[7]
ライン幅及びスペース幅の少なくとも一方が100μm以下である配線部を有するプリント配線基板の製造プロセスに用いられる、[1]から[6]のいずれか一項に記載のプリント配線基板製造プロセス用離型フィルム。
[8]
ロールトゥロール方式によるプリント配線基板製造プロセスに用いられる、[1]から[7]のいずれか一項に記載のプリント配線基板製造プロセス用離型フィルム。
本発明のプリント配線基板製造プロセス用離型フィルムは、従来技術では実現できなかった高いレベルの追従性、耐シワ性、及び離型性を兼ね備えるので、これを用いることで、高密度実装用のFPC等を、接着剤の流出による端子における導通不良やシワによる外観の不良などを抑制しながら、高い生産性を有するロールトゥロール方式等の各種製造方式で製造することができる。
本発明のプロセス用離型フィルムの一例を示す模式図である。 本発明のプロセス用離型フィルムの他の例を示す模式図である。 本発明のプロセス用離型フィルムを用いたプリント配線基板の製造方法の一形態中の一工程を示す模式図である。 本発明のプロセス用離型フィルムを用いたプリント配線基板の製造方法の一形態中の他の一工程を示す模式図である。 本発明のプロセス用離型フィルムを用いたプリント配線基板の製造方法の一形態中の更に他の一工程を示す模式図である。 本発明のプロセス用離型フィルムが解決しようとする課題を模式的に説明する斜視図である。本明細書中では、図6(a)から図6(c)を集合的に「図6」とも称す。 図6のうち、好ましい充填状態を示すものである。 図6のうち、好ましくない充填状態を示すものである。 本発明のプロセス用離型フィルムを用いたプリント配線基板の製造方法の一形態中の一工程を示す模式図である。 本発明のプロセス用離型フィルムを用いたフレキシブルプリント配線基板の製造方法の好ましい一形態であるロールトゥロール方式を示す模式図である。
本発明のプロセス用離型フィルムは、少なくとも離型層(A)と中間層(B)とを含む、プリント配線基板製造プロセス用の離型フィルムであって、
離型層(A)の厚みが15μm以下であり、
中間層(B)は180℃における引張弾性率が11MPa以上であることを特徴とする、プリント配線基板製造プロセス用の離型フィルムである。
すなわち、本発明のプリント配線基板製造プロセス用の離型フィルム(以下、単に「離型フィルム」ともいう)は、離型性を有する離型層(A)、及び該離型層を支持する中間層(B)、を含む積層フィルムである。
離型層(A)
本発明のプロセス用離型フィルムを構成する離型層(A)には、従来よりプロセス用離型フィルムに、又はその表面の離型層に使用されている、各種の材料を使用することができる。また、それら各種の材料と同等の離型性を有する材料を使用することもできる。
離型性の観点から、離型層(A)の水に対する接触角は、60°から130°であることが好ましく、90°から130°であることがより好ましく、95°から120°であることが更に好ましく、より好ましくは98°から115°であることが特に好ましく、100°から110°であることが一層好ましい。
離型性に優れること、入手の容易さなどから、離型層(A)は、フッ素樹脂、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリスチレン系樹脂等を含有することが好ましく、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体、フッ素樹脂、ポリブチレンテレフタレートからなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂を含有することが特に好ましい。
離型層(A)に用いることができるフッ素樹脂は、テトラフルオロエチレンに由来する構成単位を含む樹脂であってもよい。テトラフルオロエチレンの単独重合体であってもよいが、他のオレフィンとの共重合体であってもよい。他のオレフィンの例には、エチレンが含まれる。モノマー構成単位としてテトラフルオロエチレンとエチレンとを含む共重合体は好ましい一例であり、この様な共重合体においては、テトラフルオロエチレンに由来する構成単位の割合が55〜100質量%であり、エチレンに由来する構成単位の割合が0〜45質量%であることが好ましい。
離型層(A)に用いることができる4−メチル−1−ペンテン(共)重合体は、4−メチル−1−ペンテンの単独重合体であってもよく、また4−メチル−1−ペンテンと、それ以外の炭素原子数2〜20のオレフィン(以下「炭素原子数2〜20のオレフィン」という)との共重合体であってもよい。
4−メチル−1−ペンテンと、炭素原子数2〜20のオレフィンとの共重合体の場合、4−メチル−1−ペンテンと共重合される炭素原子数2〜20のオレフィンは、4−メ
チル−1−ペンテンに可とう性を付与し得る。炭素原子数2〜20のオレフィンの例には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等が含まれる。これらのオレフィンは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合せて用いてもよい。
4−メチル−1−ペンテンと、炭素原子数2〜20のオレフィンとの共重合体の場合、4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位の割合が96〜99質量%であり、それ以外の炭素原子数2〜20のオレフィンに由来する構成単位の割合が1〜4質量%であることが好ましい。炭素原子数2〜20のオレフィン由来の構成単位の含有量が少なくすることで、共重合体を硬く、すなわち貯蔵弾性率E’が高くすることができ、封止工程等におけるシワの発生の抑制に有利である。一方、炭素原子数2〜20のオレフィン由来の構成単位の含有量が多くすることで、共重合体を軟らかく、すなわち貯蔵弾性率E’を低くすることができ、金型追従性を向上させるのに有利である。
4−メチル−1−ペンテン(共)重合体は、当業者において公知の方法で製造されうる。例えば、チーグラ・ナッタ触媒、メタロセン系触媒等の公知の触媒を用いた方法により製造されうる。4−メチル−1−ペンテン(共)重合体は、結晶性の高い(共)重合体であることが好ましい。結晶性の共重合体としては、アイソタクチック構造を有する共重合体、シンジオタクチック構造を有する共重合体のいずれであってもよいが、特にアイソタクチック構造を有する共重合体であることが物性の点からも好ましく、また入手も容易である。さらに、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体は、フィルム状に成形でき、金型成形時の温度や圧力等に耐える強度を有していれば、立体規則性や分子量も、特に制限されない。4−メチル−1−ペンテン共重合体は、例えば、三井化学株式会社製TPX(登録商標)等、市販の共重合体であってもよい。
離型層(A)に用いることができるポリブチレンテレフタレート樹脂は、1,4−ブタンジオールから導かれる構成単位とテレフタル酸から導かれる構成単位とを骨格に有するものであればよく、1,4−ブタンジオールとテレフタル酸とからなる、所謂、PBTと称されるポリブチレンテレフタレートであっても、ポリブチレンテレフタレートとポリエーテル、ポリエステル、あるいはポリカプロラクタムなどとのブロック共重合体であってもよい。
離型層(A)に用いることができるポリブチレンテレフタレート樹脂は、減圧下もしくは不活性ガス流通下で200℃以上の温度で固相重合した原料を使用することが好ましい。固相重合することによりフィルム成形しやすい固有粘度に調整でき、さらに末端カルボン酸基量の減少、オリゴマーの減少が期待できる。ポリブチレンテレフタレート樹脂の固有粘度(IV)は1.0〜1.3であることが好ましい。
離型層(A)に用いることができるポリブチレンテレフタレート樹脂としては、例えば、東レ社から、商品名トレコン1200M、トレコン1100M等として、三菱エンジニアリングプラスチック社から、商品名ノバデュラン5010CS、ノバデュラン5020等として、製造・販売されている。
離型層(A)に用いることができるポリブチレンテレフタレート樹脂は、その融点が180〜250℃であることが好ましく、より好ましくは200〜240℃、更に好ましくは210〜230℃である。ポリブチレンテレフタレート樹脂の融点は、示差走査型熱量計(DSC)を用いて300℃で5分間加熱溶融した後、液体窒素で急冷して得たサンプル10mgを用い、窒素気流中、10℃/分の昇温速度で発熱・吸熱曲線を測定したときの、融解に伴う吸熱ピークの頂点温度を融点(Tm)(℃)とした。
離型層(A)に用いることができるポリスチレン系樹脂には、スチレンの単独重合体及び共重合体が包含され、その重合体中に含まれるスチレン由来の構造単位は少なくとも60重量%以上であることが好ましく、より好ましくは80重量%以上である。
ポリスチレン系樹脂は、アイソタクチックポリスチレンであってもシンジオタクチックポリスチレンであってもよいが、透明性、入手の容易さなどの観点からはアイソタクチックポリスチレンが好ましく、離型性、耐熱性などの観点からは、シンジオタクチックポリスチレンが好ましい。ポリスチレンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
離型層(A)の厚みは、15μm以下である。離型層(A)の厚みが15μm以下であることで、プリント配線基板の配線パターンやカバーレイの開口パターンに対して、良好な追従性を実現することができる。離型性や耐シワ性等の観点から、離型層(A)には比較的剛性の高い樹脂が使用される場合が多いが、その場合であっても、離型層(A)の厚みが15μm以下であることによって、良好な追従性が実現され、離型性、耐シワ性、及び追従性を高いレベルでバランスさせることができる。離型層(A)の厚みは、14μm以下であることが好ましく、さらには13μm以下であることがより好ましい。
離型層(A)の厚みには特に下限は存在しないが、製膜、積層の容易性や、破損の防止等の観点から、通常は2μm以上とすることが便宜であり、3μm以上であることが好ましく、4μm以上であることがより好ましい。
離型層(A)の弾性率には特に限定はないが、離型性、耐シワ性、及びプリント配線基板製造時の配線パターンやカバーレイの開口パターン等への追従性の観点から、プリント配線基板の貼り合わせの際の温度において、弾性率が過大あるいは過小ではないことが好ましい。例えば、離型層(A)の180℃での引張弾性率が5MPa以上、より好ましくは15MPa以上であることが、主に離型性、耐シワ性の観点から好ましく、120MPa以下、より好ましくは110MPa以下であることが、主に追従性の観点から好ましい。
また、厚みとの関係においては、離型層(A)の厚みと弾性率との積が所定範囲内であることが好ましい。より具体的には、一層良好な追従性を得る観点から、離型層(A)の厚みと180℃での弾性率との積は、1000Pa・m以下であることが好ましく、900Pa・m以下であることがより好ましい。一方、フィルム自体の剛性を確保し、一層良好な耐シワ性を得る観点から、離型層(A)の厚みと180℃での弾性率との積は、200Pa・m以上であることが好ましく、250Pa・m以上であることがより好ましい。
離型層(A)は、プリント配線基板製造時の加熱加圧の際の温度(典型的には150〜190℃)に耐え得る耐熱性を有することが好ましい。かかる観点から、離型層(A)としては、結晶成分を有する結晶性樹脂を含むことが好ましく、当該結晶性樹脂の融点は160℃以上であることが好ましく、180℃以上であることがより好ましい。当該結晶性樹脂の融点には特に上限は無いが、通常入手可能な結晶性樹脂の融点は、280℃以下であることが多い。
離型層(A)に結晶性をもたらすため、例えばフッ素樹脂においてはテトラフルオロエチレンから導かれる構成単位を少なくとも含むことが好ましく、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体においては4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位を少なくとも含むことが好ましく、ポリスチレン系樹脂においてはシンジオタクチックポリスチレンを少なくとも含むことが好ましい。離型層(A)を構成する樹脂に結晶成分が含まれることにより、樹脂封止工程等においてシワが発生し難く、シワが成形品に転写されて外観不良を生じることを抑制するのに好適である。
離型層(A)を構成する上記結晶性成分を含む樹脂は、JISK7221に準じて示差走査熱量測定(DSC)によって測定した第1回昇温工程での結晶融解熱量が高いと、プリント配線基板の貼り合わせの際の加熱加圧に耐え得る耐熱性及び離型性をより効果的に発現することが可能であることに加え、寸法変化率も抑制することができるため、シワの発生も防止することができるので好ましい。具体的には、15J/g以上であることが好ましく、20J/g以上であることがより好ましい。第1回昇温工程での結晶融解熱量には特に上限は存在しないが、通常50J/g以下である。
離型層(A)は、フッ素樹脂、4−メチル−1−ペンテン共重合体、ポリブチレンテレフタレート樹脂、及び/又はポリスチレン系樹脂の他に、さらに他の樹脂を含んでもよい。他の樹脂の種類及び添加量を適宜選択することで、離型層(A)の弾性率、融点、結晶融解熱量等を、上記の好ましい範囲内となるように調節することもできる。他の樹脂の例には、ポリアミド−6、ポリアミド−66、ポリエチレンテレフタレートが含まれる。このように、離型層(A)が、例えば柔らかい樹脂を多く含む場合(例えば、4−メチル−1−ペンテン共重合体において炭素原子数2〜20のオレフィンを多く含む場合)でも、硬度の比較的高い樹脂をさらに含むことで、離型層(A)を硬くすることができるので、プリント配線基板製造時における、電気回路を形成した基材とこれを保護するカバーレイとを貼り合わせる際のシワの発生の抑制に有利である。
これらの他の樹脂の含有量は、離型性を維持できる限りにおいて特に制限はなく、分散性を制御することでフッ素樹脂、4−メチル−1−ペンテン共重合体、ポリブチレンテレフタレート樹脂、及び/又はポリスチレン系樹脂等を表面に偏在させることができれば、90質量%程度まで他の樹脂を含有していてもよい。
また離型層(A)は、フッ素樹脂、4−メチル−1−ペンテン共重合体、ポリブチレンテレフタレート樹脂、及び/又はポリスチレン系樹脂等の高分子樹脂に加えて、本発明の目的を損なわない範囲で、耐熱安定剤、耐候安定剤、発錆防止剤、耐銅害安定剤、帯電防止剤等、フィルム用樹脂に一般的に配合される公知の添加剤を含んでもよい。これらの添加剤の含有量は、フッ素樹脂、4−メチル−1−ペンテン共重合体、ポリブチレンテレフタレート樹脂、及び/又はポリスチレン系樹脂等の樹脂100質量部に対して、例えば0.0001〜20質量部とすることができる。
離型層(A)の表面は、必要に応じて凹凸形状を有していてもよく、それにより離型性を向上させることができる。離型層(A)の表面に凹凸を付与する方法は、特に制限はないが、エンボス加工等の一般的な方法が採用できる。また、離型性を向上させるために、離型層(A)の表面に、凹凸形状付与以外の表面処理を行ってもよい。
離型層(A’)
本発明のプロセス用離型フィルムは、離型層(A)及び中間層(B)に加えて、更に離型層(A’)を有していてもよい。すなわち、本発明のプロセス用離型フィルムは、離型層(A)と、中間層(B)と、離型層(A’)とをこの順で含む積層フィルムであるプロセス用離型フィルムであってもよい。
離型層(A’)にも、従来よりプロセス用離型フィルムに、又はその表面の離型層に使用されている、各種の材料を使用することができる。また、それら各種の材料と同等の離型性を有する材料を使用することもできる。
離型層(A’)の水に対する接触角も、60°から130°であることが好ましく、90°から130°であることがより好ましく、95°から120°であることが更に好ましく、98°から115°であることが特に好ましく、100°から110°であることが一層好ましい。
離型層(A’)も、フッ素樹脂、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリスチレン系樹脂等を含有することが好ましく、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体、フッ素樹脂、ポリブチレンテレフタレートからなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂を含有することが特に好ましい。
離型層(A’)を構成する好ましい樹脂の詳細は、離型層(A)に関して上記で説明したものと同様である。
離型層(A’)の厚みも、15μm以下であることが好ましい。離型層(A’)の厚みが15μm以下であることで、本実施形態のプロセス用離型フィルムの離型層(A’)の側においても、良好な追従性を実現することができる。離型層(A’)のより好ましい厚みも、離型層(A)に関して上記で説明したものと同様である。離型層(A‘)の厚みは、14μm以下であることが好ましく、さらには13μm以下であることがより好ましい。
離型層(A’)の好ましい融点、弾性率、弾性率と厚みとの積、結晶融解熱量、等の好ましい物性も、離型層(A)に関して上記で説明したものと同様である。離型層(A’)への好ましい添加成分、及び添加量、並びに好ましい表面処理等も、離型層(A)に関して上記で説明したものと同様である。
プロセス用離型フィルムが、離型層(A)と、中間層(B)と、離型層(A’)とをこの順で含む積層フィルムである場合の離型層(A)と離型層(A’)とは同一の構成の層であってもよいし、異なる構成の層であってもよい。
反りの防止や、いずれの面も同様の離型性を有することによる取り扱いの容易さ等の観点からは、離型層(A)と離型層(A’)とは同一または略同一の構成であることが好ましく、離型層(A)と離型層(A’)とを使用するプロセスとの関係でそれぞれ最適に設計する観点、例えば、離型層(A)をプリント配線基板からの離型性に優れたものとし、離型層(A’)を熱盤からの剥離性に優れたものとする等の観点からは、離型層(A)と離型層(A’)とを異なる構成のものとすることが好ましい。
離型層(A)と離型層(A’)とを異なる構成のものとする場合には、離型層(A)と離型層(A’)とを同一の材料であって厚み等の構成が異なるものとしてもよいし、材料もそれ以外の構成も異なるものとしてもよい。
中間層(B)
本発明のプロセス用離型フィルムを構成する中間層(B)は、離型層(A)(及び場合により離型層(A’))を支持し、かつプリント配線基板製造時における、電気回路を形成した基材とこれを保護するカバーレイとを貼り合わせる際におけるシワ発生を抑制する機能を有する。
中間層(B)に使用される樹脂は、プリント配線基板製造時、特にFPC製造時、の加圧加熱時に衝撃力を緩和するためのクッション機能を示す樹脂である。
本発明のプロセス用離型フィルムにおいては、中間層(B)の180℃における引張弾性率が11MPa以上である。中間層(B)の180℃における引張弾性率が11MPa以上であることによって、本発明のプロセス用離型フィルムは、比較的薄い離型層(A)を用いながら、高い耐シワ性を維持することができる。すなわち、本発明のプロセス用離型フィルムは、比較的薄い離型層(A)によってもたらされる高い追従性と、中間層(B)が有する所定の引張弾性率によってもたらされる高い耐シワ性とを両立した、実用上高い価値を有するプロセス用離型フィルムである。中間層(B)の180℃における引張弾性率は、13MPa以上であることが好ましく、15MPaを超えることが特に好ましい。
中間層(B)の180℃における引張弾性率には特に上限は存在しないが、例えば50MPa以下であると、好適なクッション性を有し、追従性に与える悪影響が局限されるので好ましい。
中間層(B)の180℃における引張弾性率は、40MPa以下であることがより好ましく、25MPa以下であることが特に好ましい。
中間層(B)の180℃における引張弾性率の調整は、当該技術分野で通常用いられる方法で行うことができる。中間層(B)に使用する材料を選択することが、最も直接的かつ一般的な手段であり、特に後述の中間層(B)に好ましく使用される樹脂の種類、ブレンドである場合にはブレンド組成を調整すること、さらにまた高融点の添加剤を導入すること等、が効果的である。
中間層(B)の180℃における引張弾性率が11MPa以上である限りにおいて、中間層(B)に用いられる材料には特に制限はないが、柔軟性、製造及び取扱いの容易さ、コスト、離型層(A)との積層の容易さなどから、高分子樹脂からなる、あるいは高分子樹脂を主成分とすることが望ましい。
中間層(B)に上記所定の引張弾性率を付与する観点から、高分子樹脂の全部又は一部は、結晶成分を有する結晶性樹脂であることが好ましい。当該結晶性樹脂として、例えばポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂等を用いることができるが、これらには限定されない。
より具体的には、ポリオレフィン樹脂としては、それぞれ共重合体であってもよい、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン等、又はそれらの組み合わせを、ポリエステル樹脂としては、エチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等、又はそれらの組み合わせを、ポリアミド樹脂としてはポリアミド6、ポリアミド66等又はそれらの組み合わせを用いることが好ましい。
なかでも、コスト、種類、物性の豊富さ、フィルムの取扱いの容易さ、剥離層(A)において4−メチル−1−ペンテン(共)重合体を用いる場合の積層の容易さ等の観点から、比較的軟質のポリオレフィン系樹脂(b1)を使用することが好ましい。本実施形態で使用される比較的軟質のポリオレフィン系樹脂(b1)は、4−メチル−1−ペンテンを除く炭素数2〜20のα−オレフィンの単独重合体又は共重合体からなるポリオレフィン系樹脂あって、具体的にはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブテン、 エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン−1共重合体、プロピレン・ブテン共重合体等から選ばれる樹脂を単独で使用、又は混練して使用される樹脂である。これらの中ではポリエチレン、ポリブテン、エチレン・プロピレン共重合体が好ましい。
中間層(B)を構成する材料として、上記の高分子樹脂を用いる場合、諸物性、特に180℃における引張弾性率等の機械的物性の調整を容易にする観点から、複数種類の高分子樹脂を含む組成物(いわゆる樹脂ブレンド)を用いることが好ましい。この場合、ブレンド可能な高分子樹脂の種類、物性の豊富さ、広い組成範囲にわたる高分子樹脂同士の親和性などから、ポリオレフィン樹脂同士のブレンドを用いることが特に好ましい。
中間層(B)を構成する材料として好適に用いられるポリオレフィン樹脂同士のブレンドとしては、上述の比較的軟質のポリオレフィン系樹脂(b1)に融点が通常180℃以上、好ましくは200℃以上、特に好ましくは220℃以上の高融点樹脂(a)がブレンドされた高融点樹脂含有ポリオレフィン樹脂(b2)を用いることができる。ここで該高融点樹脂(a)としては、離型層Aに用いる様なポリ4−メチル−1−ペンテン(共)重合体、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、ポリアミド−6、ポリアミド−6,6、ポリアミド11、ポリアミド12等のポリアミドを例示できる。これらの中ではポリ4−メチル−1−ペンテン、PETが好ましく、ポリ4−メチル−1−ペンテンが特に好ましい。ポリオレフィン系樹脂(b1)と高融点樹脂(a)とのブレンドの割合は重量比(b1/a)で通常は20/80〜98/2、好ましくは40/60〜95/5である。
中間層(B)を構成する材料として、ポリオレフィン系樹脂(b1)と高融点樹脂(a)とのブレンドを用いる場合に特に好ましいのは、ポリオレフィン系樹脂(b1)がポリエチレン及びポリプロピレンであり、高融点樹脂(a)が4−メチル−1−ペンテン(共)重合体である組み合わせである。すなわち、中間層(B)を構成する材料が、ポリエチレン、ポリプロピレン、及び4−メチル−1−ペンテン(共)重合体のブレンドであることが、特に好ましい。この様な組み合わせであれば、中間層(B)の諸物性を高い自由度で所望のものとすることが可能であり、また剥離層(A)において4−メチル−1−ペンテン(共)重合体を用いる場合の剥離層(A)と中間層(B)との積層も容易である。
ポリエチレン、ポリプロピレン、及び4−メチル−1−ペンテン(共)重合体のブレンドにおいては、180℃における引張弾性率を11MPa以上とする観点から、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体の量は、ポリエチレン、ポリプロピレン、及び4−メチル−1−ペンテン(共)重合体の合計100質量部に対して、20質量部以上であることが好ましく、30質量部以上であることがより好ましく、40質量部以上であることが更に好ましい。また、中間層(B)の180℃における引張弾性率を過大なものとせず、例えば50MPa以下とする観点からは、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体の量は、ポリエチレン、ポリプロピレン、及び4−メチル−1−ペンテン(共)重合体の合計100質量部に対して、80質量部以下であることが好ましく、70質量部以下であることがより好ましく、65質量部以下であることが更に好ましい。
ポリエチレン、ポリプロピレン、及び4−メチル−1−ペンテン(共)重合体のブレンドにおいては、追従性の観点から、ポリエチレンの量は、ポリエチレン、ポリプロピレン、及び4−メチル−1−ペンテン(共)重合体の合計100質量部に対して、10質量部以上であることが好ましく、20質量部以上であることがより好ましく、30質量部以上であることが更に好ましく、また80質量部以下であることが好ましく、60質量部以下であることがより好ましく、50質量部以下であることが更に好ましい。
ポリエチレン、ポリプロピレン、及び4−メチル−1−ペンテン(共)重合体のブレンドにおいては、密着性や相容性また耐シワ性の観点から、ポリプロピレンの量は、ポリエチレン、ポリプロピレン、及び4−メチル−1−ペンテン(共)重合体の合計100質量部に対して、1質量部以上であることが好ましく、3質量部以上であることがより好ましく、5質量部以上であることが更に好ましく、また60質量部以下であることが好ましく、50質量部以下であることがより好ましく、40質量部以下であることが更に好ましい。
上記ポリエチレン及びポリプロピレンは、両方を使用することを要するものではなく、いずれか一方のみを使用してもよい。
本実施形態において中間層(B)に用いる樹脂として、上記の高融点樹脂(a)をポリオレフィン系樹脂(b1)にブレンドした高融点樹脂含有ポリオレフィン系樹脂(b2)を用いた場合には、該中間層(B)は、例えば180℃程度の高温でもすべてが溶融しているわけではないので、このような樹脂を用いて得られる本実施形態のプリント配線基板製造プロセス用離型フィルムでは、プリント配線基板製造時、特にFPC製造時、の加熱加圧工程において該中間層を形成する樹脂(b2)が離型フィルムの積層体から外側のFPC等の銅箔上へはみ出したりすることを容易に抑制することができる。たとえはみ出したとしても該樹脂の銅箔等への付着力は弱いので、FPC等の汚染を抑制することも容易である。またこの実施形態の離型フィルムはポリイミドフィルム等の樹脂基板と銅箔等の配線パターンとの段差に追従する密着性(追従性)が一層良好なので、接着剤が配線パターン上にはみ出すことを、一層効果的に防止することができる。
中間層(B)を構成する材料として、先のポリオレフィン系樹脂(b1)に高融点樹脂(a)及びオレフィン系エラストマー(c)をブレンドした、ポリオレフィン系樹脂/エラストマーブレンド(b3)を使用することもできる。
本実施形態で使用されるオレフィン系エラストマー(c)は、通常炭素原子数2〜20のα―オレフィンの重合体または共重合体であり、密度が通常0.900g/cm以下、より好ましくは0.860〜0.900g/cmの範囲にあり、MFR(ASTMD1238に準拠して荷重2.16kg、190℃で測定)が0.01〜150g/10分、より好ましくは20〜l00g/10分の範囲にあることが望ましい。このようなオレフィン系エラストマー(c)は、X線回折法によって測定した結晶化度が30%未満、ないしは非晶質であることが望ましい。
炭素原子数2〜20のα―オレフィンとしては、たとえばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンおよびこれらの混合物を挙げることができ、これらの中では、炭素原子数が2〜10のα―オレフィンが好ましく、特に、エチレン、1−ブテンが好ましい。
好ましいオレフィン系エラストマー(c)として具体的には、例えば、エチレンから誘導される成分単位が0〜95モル%、好ましくは30〜92モル%、より好ましくは50〜90モル%、炭素原子数3〜20のα−オレフィンから誘導される成分単位が1〜100モル%、好ましくは4〜70モル%、より好ましくは8〜50モル%、ジエン化合物から誘導される成分単位が0〜10モル%、好ましくは0〜5モル%、より好ましくは0〜3モル%からなる重合体または共重合体を挙げることができる。より具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−l−ペンテン、1−オクテン、1−デセンなどの炭素原子数が3〜10のα―オレフィン含量が10〜50モル%のエチレン・α―オレフィン共重合体、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンなどの炭素原子数が4〜l0のα―オレフィン含量が10〜50モル%のプロピレン・α−オレフィン共重合体などが挙げられる。
また中間層(B)は、高融点樹脂(a)、比較的軟質のポリオレフィン系樹脂(b1)等の高分子樹脂に加えて、本発明の目的を損なわない範囲で、耐熱安定剤、耐候安定剤、発錆防止剤、耐銅害安定剤、帯電防止剤等、フィルム用樹脂に一般的に配合される公知の添加剤を含んでもよい。これらの添加剤の含有量は、高分子樹脂の合計100質量部に対して、例えば0.0001〜20質量部とすることができる。
本発明の一実施形態においては、中間層(B)が、その周囲を離型層(A)で被覆されていてもよい。
この実施形態においては、中間層(B)を、一般により硬質である離型層(A)で被覆したことによって、プリント配線基板製造時、特にFPC製造時、の離型フィルムを介してFPCを加熱加圧する工程で離型フィルムの中間層(B)が外部へはみ出してFPC等を汚染したり、プレス熱盤にはみ出した樹脂が付着したりすることを、効果的に防止できる。
中間層(B)は、無延伸フィルムであっても、延伸フィルムであってもよいが、クッション性等の観点からは無延伸フィルムであること、又は無延伸フィルムを含んでなることが好ましく、強度や熱収縮等の異方性等の観点からは、延伸フィルムであること、又は延伸フィルムを含んでなることが、好ましい。
中間層(B)の厚みは、フィルム強度を確保できれば、特に制限はないが、厚みが大きいと、シワを一層効果的に抑制することができる。中間層の厚みは、30μm以上であることが好ましく、より好ましくは50μm以上であり、特に好ましくは70μm以上である。中間層の厚みには特に上限はないが、たとえばロールトゥロールプロセスにおける巻取り、巻き出しの際のハンドリング性や、フィルムの廃棄量を抑制する観点から、過大ではないことが好ましく、具体的には300μm以下、より好ましくは200μm以下、特に好ましくは120μm以下であることが望ましい。

また、厚みとの関係においては、中間層(B)の厚みと弾性率との積が所定範囲内であることが好ましい。より具体的には、中間層(B)の厚みと180℃での弾性率との積が、1100Pa・m以上であることが好ましく、1200Pa・m以上であることがより好ましく、1250Pa・m以上であることが特に好ましく、また2600Pa・m以下であることが好ましく、2300Pa・mであることが特に好ましい。
それ以外の層
本発明のプロセス用離型フィルムは、本発明の目的に反しない限りにおいて、離型層(A)、及び中間層(B)(並びに存在する場合には離型層(A’))以外の層を有していてもよい。例えば、離型層(A)(又は離型層(A’)と中間層(B)との間に、必要に応じて接着層を有してもよい。接着層に用いる材料は、離型層(A)と中間層(B)とを強固に接着でき、樹脂封止工程や離型工程においても剥離しないものであれば、特に制限されない。
例えば、離型層(A)(又は離型層(A’) ))が4−メチル−1−ペンテン(共)重合体を含む場合は、接着層は、不飽和カルボン酸等によりグラフト変性された変性4−メチル−1−ペンテン系共重合体樹脂、4−メチル−1−ペンテン系共重合体とα−オレフィン系共重合体とからなるオレフィン系接着樹脂等であることが好ましい。離型層(A)(又は離型層(A’ ))がフッ素樹脂を含む場合は、接着層は、ポリエステル系、アクリル系、フッ素ゴム系等の粘着剤であることが好ましい。接着層の厚みは、離型層(A)(又は離型層(A’ ))と中間層(B)との接着を強化できれば、特に制限はないが、例えば0.5〜10μmである。
更に本発明のプロセス用離型フィルムは、1又は2以上の、帯電防止層、ガスバリア層、着色層等を有していてもよい。
プロセス用離型フィルム
本発明のプロセス用離型フィルムの総厚みには特に制限は無いが、高いレベルの追従性、耐シワ性を兼ね備える観点から、例えば35μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましく、80μm以上であることが更に好ましい。また、たとえばロールトゥロールプロセスにおける巻取り、巻き出しの際のハンドリング性や、フィルムの廃棄量を抑制する観点から、例えば320μm以下であることが好ましく、200μm以下であることがより好ましく、150μm以下であることが更に好ましい。
以下、本発明のプリント配線基板製造プロセス用離型フィルムの好ましい実施形態について更に具体的に説明する。図1は、2層構造のプロセス用離型フィルムの一例を示す模式図である。図1に示されるように、離型フィルム11は、中間層12と、その片面に形成された離型層13とを有する。
離型層13は前述の離型層(A)に相当し、中間層12は前述の中間層(B)に相当する。離型層13は、プリント配線基板製造プロセスにおいて、少なくともカバーレイフィルムと接する側に配置されることが好ましく、中間層12は、当該プロセスにおいて熱盤と接する側に配置されることが好ましい。
図2は、3層構造のプリント配線基板製造プロセス用離型フィルムの一例を示す模式図である。図1と同一の機能を有する部材には数字の下一桁が同一の符号を付する。図2に示されるように、プリント配線基板製造プロセス用離型フィルム21は、中間層22と、その両面に形成された離型層23aおよび離型層23bとを有する。離型層23aは前述の離型層(A)であり、中間層22は前述の中間層(B)であり、離型層23bは前述の離型層(A’)である。
離型層23aおよび23bの組成は、互いに同一でも異なってもよい。離型層23aおよび23bの厚みも、互いに同一でも異なってもよい。ただし、離型層23aおよび23bが互いに同一の組成および厚みを有すると、対称な構造となり、離型フィルム自体の反りが生じ難くなるため好ましい。特に、本発明の離型フィルムには、封止プロセスにおける加熱により応力が生じることがあるので、反りを抑制することが好ましい。このように、離型層23aおよび23bが、中間層22の両面に形成されていると、成形品および金型内面のいずれおいても、良好な離型性が得られるため好ましい。
プロセス用離型フィルムの製造方法
本発明のプロセス用離型フィルムは、任意の方法で製造されうる。例えば、1)離型層(A)と中間層(B)を共押出成形して積層することにより、プロセス用離型フィルムを製造する方法(共押出し形成法)、2)中間層(B)となるフィルム上に、離型層(A)や接着層となる樹脂の溶融樹脂を塗布・乾燥したり、または離型層(A)や接着層となる樹脂を溶剤に溶解させた樹脂溶液を塗布・乾燥したりして、プロセス用離型フィルムを製造する方法(塗布法)、3)予め離型層(A)となるフィルムと、中間層(B)となるフィルムとを製造しておき、これらのフィルムを積層(ラミネート)することにより、プロセス用離型フィルムを製造する方法(ラミネート法)などがある。
3)の方法において、各樹脂フィルムを積層する方法としては、公知の種々のラミネート方法が採用でき、例えば押出ラミネート法、ドライラミネート法、熱ラミネート法等が挙げられる。
ドライラミネート法では、接着剤を用いて各樹脂フィルムを積層する。接着剤としては、ドライラミネート用の接着剤として公知のものを使用できる。例えばポリ酢酸ビニル系接着剤;アクリル酸エステル(アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルエステル等)の単独重合体もしくは共重合体、またはアクリル酸エステルと他の単量体(メタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレン等)との共重合体等からなるポリアクリル酸エステル系接着剤;シアノアクリレ−ト系接着剤;エチレンと他の単量体(酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸等)との共重合体等からなるエチレン共重合体系接着剤;セルロ−ス系接着剤;ポリエステル系接着剤;ポリアミド系接着剤;ポリイミド系接着剤;尿素樹脂またはメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤;フェノ−ル樹脂系接着剤;エポキシ系接着剤;ポリオール(ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等)とイソシアネートおよび/またはイソシアヌレートと架橋させるポリウレタン系接着剤;反応型(メタ)アクリル系接着剤;クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等からなるゴム系接着剤;シリコーン系接着剤;アルカリ金属シリケ−ト、低融点ガラス等からなる無機系接着剤;その他等の接着剤を使用できる。3)の方法で積層する樹脂フィルムは、市販のものを用いてもよく、公
知の製造方法により製造したものを用いてもよい。樹脂フィルムには、コロナ処理、大気圧プラズマ処理、真空プラズマ処理、プライマー塗工処理等の表面処理が施されてもよい。樹脂フィルムの製造方法としては、特に限定されず、公知の製造方法を利用できる。
1)共押出し成形法は、離型層(A)となる樹脂層と中間層(B)となる樹脂層との間に、異物が噛み込む等による欠陥や、離型フィルムの反りが生じ難い点で好ましい。3)ラミネート法は、中間層(B)に延伸フィルムを用いる場合に好適な製造方法である。この場合は、必要に応じてフィルム同士の界面に適切な接着層を形成することが好ましい。フィルム同士の接着性を高める上で、フィルム同士の界面に、必要に応じてコロナ放電処理等の表面処理を施してもよい。
プロセス用離型フィルムは、必要に応じて1軸または2軸延伸されていてもよく、それによりフィルムの膜強度を高めることができる。
上記2)塗布法における塗布手段は、特に限定されないが、例えばロールコータ、ダイコータ、スプレーコータ等の各種コータが用いられる。溶融押出手段は、特に限定されないが、例えばT型ダイやインフレーション型ダイを有する押出機などが用いられる。
本発明又はその実施形態におけるフィルム又は層の180℃における引張弾性率は、以下のように定義される。
動的粘弾性測定装置(例えば、TA instruments社製 RSA−GII)により引張弾性率E’を測定し、180℃でのその値を180℃における引張弾性率とする。
具体的には、サンプルサイズを幅5mm、チャック間の長さ(MD(フィルム長手)方向)を20mmとし、周波数1Hz、昇温速度3℃/minの測定条件で
30℃から200℃まで測定して得られた引張弾性率E’のデータを基に、180℃における引張弾性率を求める。
フィルム中の層について180℃における引張弾性率を測定する場合のサンプルは、以下の基準に従うものである。
製造過程で単層の状態で取り出すことが出来る層の場合は、当該単層の状態で取り出したものを用いて測定する。
共押出し成形法等で製造されるため製造過程で単層の状態が存在しない層の場合は、別途同様の条件(成形温度等)で積層体における当該層と同じ厚みの単層フィルムを作製し、その別途作製した単層フィルムを用いて測定する。但し、積層体における当該層が薄いため同じ厚みの単層フィルムを作製できない場合(具体的には30μm厚み以下の場合)には、同様の条件で50μm厚みの単層フィルムを作製して、それを用いて測定する。
製造プロセス
本発明のプロセス用離型フィルムは、プリント配線基板を構成する、金属配線パターンが形成された回路基材と、カバーレイフィルムとを、加熱加圧して積層する工程において、カバーレイフィルムと加熱加圧のための熱盤等との間に配置して使用することができる。本発明のプロセス用離型フィルムを用いることで、熱盤等からの離型不良、カバーレイフィルム上の接着剤のはみ出し等を効果的に防止することができる。
上記カバーレイフィルム上の接着剤は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれであってもよいが、当該技術分野においては熱硬化性樹脂が広く用いられており、特にエポキシ系の熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。
上記製造プロセスとしては、FPC用回路基材とカバーレイフィルムとの積層一体化工程が最も代表的であるが、これに限定されるものではなく、本発明のプロセス用離型フィルムは、可撓性ではないプリント配線基板の製造プロセス等にも適用することができる。
図3、図4、および図5は、本発明のプリント配線基板製造プロセス用の離型フィルムを用いた、プリント配線基板の製造方法の一例を示す模式図である。
柔軟性樹脂基材351上に金属配線パターン352が形成された回路基材35と、柔軟性樹脂基材361上に接着剤層362が形成されたカバーレイフィルム36とが、金属配線パターン352と接着剤層362とが対向する様に貼り合わされる(図3)。この際、接着剤層362が加熱加圧によって流動化し、金属配線パターン352の層における空間を埋めるように流動し、柔軟性樹脂基材351と柔軟性樹脂基材361との間を充填して両基材間を接着することで、貼り合わせが実現される(図4)。
当該製造方法においては、まず図3示すように、柔軟性樹脂基材351上に金属配線パターン352が形成された回路基材35と、柔軟性樹脂基材361上に接着剤層362が形成されたカバーレイフィルム36とが、金属配線パターン352と接着剤層362とが対向する様に重ねあわされる。重ね合わされた回路基材35及びカバーレイフィルム36は、貼り合わせのための熱及び圧力を供給する熱盤37aと熱盤37bとの間に配置される。その際、重ね合わされた回路基材35及びカバーレイフィルム36の両面と、熱盤との間に、本発明のプロセス用離型フィルム31b及び31aが、それぞれ配置される。
なお、カバーレイフィルム36には開口部パターンが設けられている。この結果、図3に示すよう、金属配線パターン352の一部は、当該開口部と対向し、貼り合わせ後も、開口部から露出するので、外部からアクセス可能であり、たとえば外部との導通を確保する電極として使用される。
次に、図4に示すように、熱盤37a及び熱盤37bを用いて、プロセス用離型フィルム31a及び31bを介して、重ね合わされた回路基材35及びカバーレイフィルム36を加熱加圧する。
この結果、接着剤層362が加熱加圧によって流動化し、金属配線パターン352の層における空間を埋めるように流動する。更に流動が進むと、柔軟性樹脂基材351と柔軟性樹脂基材361との間の空間は接着剤で充填されるので、基材351と基材361とが接着され、回路基材35とカバーレイフィルム36との貼り合わせが実現される。
この際、カバーレイフィルム36に開口部が形成された部分においては、柔軟性樹脂基材361上に接着剤層362が存在しないので、離型フィルム31aが、金属配線パターン352及び柔軟性樹脂基材351との間の空間を埋めるように変形する。
本発明のプロセス用離型フィルムは追従性に優れるので、この際に、柔軟性樹脂基材351、金属配線パターン352、柔軟性樹脂基材361、及び接着剤層362が形成する段差形状に忠実に追従し、段差形状により形成された空間を充填することができるという優れた技術的効果を示す。
仮にプロセス用離型フィルム31aの追従性が不良であると、上記段差形状により形成された空間を充填することができず、充填されなかった空間に接着剤層362からの接着剤が流れ出すなどの問題を生ずる場合がある。
より具体的には、図6は、上記実施態様におけるカバーレイフィルム開口部付近を示す斜視図である。
図6(a)は、重ね合わせ工程(I)における状態を示したものであり、金属配線パターン652が樹脂基板651上に形成された回路基材(A)上に、接着剤層662及び樹脂基板661で構成されたカバーレイ(B)が重ねあわされている。
カバーレイフィルムは開口部の周縁部であり、開口部66bと非開口部66aとが図4(a)中に示されており、開口部66bには、金属配線パターン652が露出している。
その後、張り合わせ工程(II)において、接着剤層662が加熱加圧によって流動化し、金属配線パターン652の層における空間を充填する様に流動する。
図6(b)は充填が理想的に行なわれた場合を示すもので、非開口部66aにおける空間が接着剤層662で充填される一方で、開口部66bに接着剤の流れ出しは認められず、金属配線パターン652が開口部66b全面にわたってアクセス可能となっている。
一方、図6(c)は充填が必ずしも適切に実施できなかった場合を示すもので、開口部66bにおいて、金属配線パターン652上を流出した接着剤652が覆っている。
カバーレイに開口部が設けられる目的の代表的なものは、金属配線パターンを電極として使用するためにこれと導通を得ることである。このとき、流出した接着剤が、開口部における金属配線パターン652上で硬化すれば、当該金属配線パターン652への導通の妨げとなり得るので、プリント配線基板の歩留まりの低下等をもたらす懸念がある。
金属配線パターンのライン幅、スペース幅が小さいほど、言い換えれば集積度が高いほど、流出した接着剤の影響は大きく、また充填すべき凹凸形状も微細複雑になるので、接着剤の流出が起こりやすくなる。したがって、その様な高集積度のプリント基板を製造する際に、追従性に優れた本発明の離型フィルムは特に好適である。
接着剤層362が熱硬化性樹脂からなる場合、加熱により熱可塑性樹脂が硬化したならば、図5に示すように熱盤37a及び37bの間隔を広げ、貼り合わされた回路基材35及びカバーレイフィルム36を取り出す。
この際、本発明のプロセス用離型フィルム31aの離型性が良好なので、貼り合わされた回路基材35及びカバーレイフィルム36に過大な又は不必要な応力が加えられることなく、取り出しを行なうことができるので、貼り合わされた回路基材35及びカバーレイフィルム36の破損等が有効に抑制される。特に複雑な段差形状を有するカバーレイフィルム36の開口部において、設計どおりの形状、パターンを維持することが容易となる。
本発明のプロセス用離型フィルムを用いたプリント配線基板の製造方法は、FPCの場合には、生産性向上等の観点から、ロールトゥロール方式で行うことが好ましい。
より具体的には、例えば、図6に示すように、回路基材65及び当該回路基材65に予め貼り合わされた枚葉式のカバーレイフィルム66が一体化されたものをロールから巻き出して供給するとともに、貼り合わされた回路基材65及びカバーレイフィルム66をロールに巻き取ることで、高い生産性でFPCを製造することができる。
その際、プロセス用離型フィルム61a及び61bも、ロールから巻き出して供給するとともに、使用後にロールに巻き取り回収することが好ましい。
回路基材65とカバーレイフィルム66との貼り合わせは、上述のプロセスと同様に、2つの熱盤(67a及び67b)を用いて加熱加圧することで行うことができる。たとえば、上述の図3から図5を用いて説明したのと同様のプロセスで貼り合わせを行なった後に、紙面横方向の熱盤の寸法と略同じ距離だけ、回路基材65、カバーレイフィルム66、並びにプロセス用離型フィルム61a及び61bを送り、同様の貼り合わせを行なうことができる。
この様な貼り合わせと送りとを交互に繰り返すことで、高い生産性で、回路基材とカバーレイフィルムとが貼り合わされたFPCを製造することができる。
本発明のプロセス用離型フィルムは、離型性、段差追従性、及び耐シワ性が良好なので、上述の様なロールトゥロール方式でのFPCの製造を高速で行う際に好適である。また、とりわけライン幅及びスペース幅の少なくとも一方が100μm以下であるような高集積度なプリント配線基板の製造において、特に好適に使用され、ライン幅及びスペース幅の少なくとも一方が50μm以下の場合でも使用できる。さらには、ライン幅及びスペース幅の少なくとも一方が40μm以下の場合にも対応可能である。ライン幅又はスペース幅の下限値は、例えば10μmである。また、配線の高さは通常10〜80μmである。
本発明の離型フィルムを用いて製造されたプリント配線基板は、高品質かつ低コストであるので、電気電子機器、輸送機械、生産機械等、電気電子回路を装備する、広範な分野における機器、装置において、特に好適に使用することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これにより何ら限定
されるものではない。
以下の実施例/比較例において、物性/特性の評価は下記の方法で行った。
(180℃における弾性率)
動的粘弾性測定装置(TA instruments社製 RSA−GII)により引張弾性率E’を測定し、180℃でのその値を180℃における引張弾性率とした。
具体的には、サンプルサイズを幅5mm、チャック間の長さ(MD(フィルム長手)方向)を20mmとし、周波数1Hz、昇温速度3℃/minの測定条件で30℃から200℃まで測定して得られた引張弾性率E’のデータを基に、180℃における引張弾性率E’を求めた。
(測定サンプル)
製造過程で単層の状態で取り出すことが出来る層の場合は、当該単層の状態で取り出したものを用いて測定した。
共押出し成形法等で製造されるため製造過程で単層の状態が存在しない層の場合は、別途同様の条件(成形温度等)で積層体における当該層と同じ厚みの単層フィルムを作製し、その別途作製した単層フィルムを用いて測定した。ただし、積層体における当該層が薄いため同じ厚みの単層フィルムを作製できない場合(具体的には30μm厚み以下の場合)には、同様の条件で50μm厚みの単層フィルムを作製して、それを用いて測定した。
(水に対する接触角(水接触角))
JIS R3257に準拠して、接触角測定器(Kyowa Inter face Science社製、FACECA−W)を用いて離型層(A)の表面の水接触角を測定した。
(離型性)
図7に示す構成の装置を用い、金属配線パターンが形成されたFPC用回路基材75の両側に枚葉式のカバーレイフィルム76が仮ラミネートされたものの両側に実施例/比較例の離型フィルム71a若しくは71b、及びガラスクロス78a若しくは78bをこの順で重ね合わせ、熱盤77aと77bを用いて(但し片側の熱盤(77b)には厚さ2mmの耐熱シリコーンゴム板と厚さ1mmの鉄板が焼き付けられ積層されたゴム板が設置されている)、温度:180℃、圧力:10MPa、加熱加圧時間:130秒(予圧:10秒、本圧:120秒)で加熱加圧して貼り合わせを行なった。
1)回路基材75は、厚み25μmのポリイミドフィルム上に、厚み22μmの銅配線が形成されたものを使用し、銅配線部のライン幅/スペース幅は、それぞれ40μm及び60μmであった。
2)カバーレイフィルム76は、厚み12.5μmのポリイミドフィルム上に、厚み25μmの接着剤層が 形成されたものを使用した(ニッカン工業株式会社製、商品名:CISV1225DB)。
このカバーレイフィルム76には回路基材75の端子部分に相当する部分(開口部)が複数打ち抜かれて開口部が形成されていた。カバーレイフィルム76の開口部のサイズは4mm×7mmであった。
3)回路基材75と2枚のカバーレイフィルム76との重ね合わせにあたっては、カバーレイフィルム76の接着剤層が回路基材75側を向くように配置し、その結果回路基材75上の銅配線部には、一方のカバーレイフィルム76の接着剤層が対向する配置となった。カバーレイフィルム76と離型フィルム71aとの重ねあわせにあたっては、前者のポリイミドフィルム層と、後者の離型層とが対向するように配置した。
加熱加圧後、直ちに離型フィルムを剥離し、離型フィルムの離型性を、以下の基準で評価した。
○:FPCから容易に剥離可能
△:FPCからやや重いが剥離可能
×:FPCに貼りつき容易には剥離不可
(段差追従性)
上記離型性の評価におけるものと同様の装置、フィルムの組み合わせで、加熱加圧後のFPCの銅配線上への接着剤の流れ出し量を、光学顕微鏡で観察し、段差追従性を以下の基準で評価した。
○:開口部への流れ出しが20μm未満
△:開口部への流れ出しが20μm以上25μm以下
×:開口部への流れ出しが25μmを超える
(耐シワ性)
図8に示す構成の装置を用い、いずれもロールから巻き出された金属配線パターンが形成されたFPC用回路基材85(枚葉式のカバーレイフィルム86は事前に両面に仮ラミネート済)、及び実施例/比較例の離型フィルム81a及び81b、ガラスクロス88a及び88bを、図8に示す順で重ね合わせ、フィルム幅270mm、熱盤サイズ:600mm(流れ方向)、送り量:470mm、引張張力:1kg、温度:180℃、圧力:10MPa、加熱加圧時間:50秒(予圧:5秒、本圧:45秒)で加熱加圧して貼り合わせを行なった。
カバーレイフィルム86は事前に回路基材85の両面に仮ラミネートし巻き取ったものを使用した。仮ラミネートの条件は、温度:40℃、圧力:0.01MPa、加熱加圧時間:7秒とした。
1)回路基材85は、25μm厚みのポリイミドフィルム上に、12μm厚みの銅配線が形成されたものであり、銅配線部のライン幅/スペース幅は、それぞれ40μm及び60μmであった。
回路基材85の1単位あたりのサイズは、幅250mm、流れ方向の長さ400mmであり、この1単位毎に、同じ基板パターンが繰り返される構造をもつロール状の長尺回路基材となっていた。
2)カバーレイフィルム86は、12.5μm厚みのポリイミドフィルム上に、25μm厚みの接着剤層が形成されたものを使用した。
カバーレイフィルム86にはFPCの端子部分に相当する部分(開口部)が複数打ち抜かれていた。カバーレイフィルム86の開口部のサイズは4mm×13mmであった。
カバーレイフィルム86の幅は250mm、流れ方向の長さは380mmであった。
3)回路基材85と2枚のカバーレイフィルム86との重ね合わせにあたっては、カバーレイフィルム86の接着剤層が回路基材85側を向くように配置し、その結果、回路基材85の銅配線には、一方のカバーレイフィルム86の接着剤層とが対向する様な配置となった。カバーレイフィルム86と離型フィルム81aとの重ねあわせにあたっては、前者のポリイミドフィルム層と、後者の離型層とが対向するように配置した。
1回の加熱加圧後、ロール状の回路基材85、及び実施例/比較例の離型フィルム81a及び81b、ガラスクロス88a及び88bを送り量:470mm巻き出し、2回目の加熱加圧、3回目の加熱加圧・・・と、同様な加熱加圧を繰り返し、計5回の加熱加圧し貼り合わせを行った後に、回路基材85/カバーレイ積層体から離型フィルム81aを剥離し、巻き取られた離型フィルム81a上の回路基材85の計5回の加熱加圧された範囲内(フィルム長手方向にて計470mm×5回=2350mm)についてシワの数を計測し、耐シワ性を以下の基準で評価した。
○:シワが25本未満
×:シワが25本以上
[実施例1]
4−メチル−1−ペンテン共重合樹脂(三井化学株式会社製、製品名:TPX、銘柄名:DX818)」60質量部、ポリプロピレン樹脂(プライムポリマー株式会社製、製品名:F300SP)8質量部、及び低密度ポリエチレン樹脂(三井・デュポン ポリケミカル株式会社製、ミラソンF9673P)32質量部をブレンドして樹脂組成物を作製し、中間層(B)用の樹脂として使用した。
4−メチル−1−ペンテン共重合樹脂(三井化学株式会社製、製品名:TPX、銘柄名:DX818)」を、離型層(A)及び離型層(A’)用の樹脂として使用した。
スクリュ径40mmの押出機3台を有する3層T−ダイフィルム成形機にて、各押出機に上記各樹脂を仕込み、成形温度280℃、チルロール温度70℃、エアーチャンバー静圧15mmHOの条件下、両外面が離型層(A)及び(A‘)、その間が中間層(B)である2種3層構成の積層フィルムを得た。
エンボス処理を、ロールトゥロールで加熱した予熱ロール温度40℃で接触させた後、表面粗さRaが4μmのエンボスロールで、エンボスロール温度130℃、エンボス線圧50kg/cmでフィルム両面にエンボス加工を行ない、フィルムの表面粗さRaが3μmである実施例1の離型フィルムを得た(以下、各実施例/比較例においても、離型フィルムの表面粗さRaは、3μmであった。)。離型フィルムの構成を表1に示す。
実施例1の離型フィルムを用いて、FPC用回路基材と枚葉式のカバーレイフィルムとの積層を行い、離型性、段差追従性、及び耐シワ性を評価した。結果を表2に示す。
[実施例2]
中間層(B)に使用する樹脂組成物のブレンド比を、4−メチル−1−ペンテン共重合樹脂(三井化学株式会社製、製品名:TPX、銘柄名:DX818)」50質量部、ポリプロピレン樹脂(プライムポリマー株式会社製、製品名:F300SP)10質量部、及び低密度ポリエチレン樹脂(三井・デュポン ポリケミカル株式会社製、ミラソンF9673P)40質量部に変更したことを除くほか実施例1と同様にして、実施例2の離型フィルムを作製した。
実施例2の離型フィルムを用いて、FPC用回路基材と枚葉式のカバーレイフィルムとの積層を行い、離型性、段差追従性、及び耐シワ性を評価した。結果を表2に示す。
[実施例3]
離型層(A)及び(A’)の厚みを6μmに変更し、中間層(B)の厚みを110μmに変更したことを除くほか実施例2と同様にして、実施例3の離型フィルムを作製した。 離型フィルムの構成を表1に示す。
実施例3の離型フィルムを用いて、FPC用回路基材と枚葉式のカバーレイフィルムとの積層を行い、離型性、段差追従性、及び耐シワ性を評価した。結果を表2に示す。
[実施例4]
中間層(B)の厚みを80μmに変更したことを除くほか、実施例2と同様にして、実施例4の離型フィルムを作製した。
離型フィルムの構成を表1に示す。
実施例4の離型フィルムを用いて、FPC用回路基材と枚葉式のカバーレイフィルムとの積層を行い、離型性、段差追従性、及び耐シワ性を評価した。結果を表2に示す。
[実施例5]
離型層(A)及び離型層(A’)に使用する樹脂を4−メチル−1−ペンテン共重合樹脂(三井化学株式会社製、製品名:TPX、銘柄名:MX022)に変更したことを除くほか実施例2と同様にして、実施例5の離型フィルムを作製した。
離型層(A)及び離型層(A’)の180℃における引張弾性率は20MPa、水の接触角は105°であった。
離型フィルムの構成を表1に示す。
実施例5の離型フィルムを用いて、FPC用回路基材と枚葉式のカバーレイフィルムとの積層を行い、離型性、段差追従性、及び耐シワ性を評価した。結果を表2に示す。
[実施例6]
離型層(A)及び離型層(A’)の厚みを5μmに変更し、中間層(B)の厚みを110μmに変更したことを除くほか実施例5と同様にして、実施例6の離型フィルムを作製した。
離型フィルムの構成を表1に示す。
実施例6の離型フィルムを用いて、FPC用回路基材と枚葉式のカバーレイフィルムとの積層を行い、離型性、段差追従性、及び耐シワ性を評価した。結果を表2に示す。
[実施例7]
離型層(A)及び離型層(A’)に使用する樹脂をポリブチレンテレフタレート樹脂(東レ株式会社製、製品名:トレコン、銘柄名:1200M)に変更したことを除くほか実施例5と同様にして、実施例7の離型フィルムを作製した。
離型フィルムの構成を表1に示す。
実施例7の離型フィルムを用いて、FPC用回路基材と枚葉式のカバーレイフィルムとの積層を行い、離型性、段差追従性、及び耐シワ性を評価した。結果を表2に示す。
[実施例8]
中間層(B)に使用する樹脂組成物中の4−メチル−1−ペンテン共重合樹脂を、ポリブチレンテレフタレート樹脂(東レ株式会社製、製品名:トレコン、銘柄名:1200M)に変更したことを除くほか実施例7と同様にして、実施例8の離型フィルムを作製した。
離型フィルムの構成を表1に示す。
実施例8の離型フィルムを用いて、FPC用回路基材と枚葉式のカバーレイフィルムとの積層を行い、離型性、段差追従性、及び耐シワ性を評価した。結果を表2に示す。
[実施例9]
中間層(B)に使用する樹脂組成物中の各樹脂の配合量を表1に示すとおりに変更したことを除くほか実施例8と同様にして、実施例9の離型フィルムを作製した。
離型フィルムの構成を表1に示す
実施例9の離型フィルムを用いて、FPC用回路基材と枚葉式のカバーレイフィルムとの積層を行い、離型性、段差追従性、及び耐シワ性を評価した。結果を表2に示す。
[実施例10]
離型層(A)及び(A’)の厚みを15μmに変更し、中間層(B)の厚みを90μmに変更したことを除くほか実施例2と同様にして、実施例10の離型フィルムを作製した。 離型フィルムの構成を表1に示す。
実施例10の離型フィルムを用いて、FPC用回路基材と枚葉式のカバーレイフィルムとの積層を行い、離型性、段差追従性、及び耐シワ性を評価した。結果を表2に示す。
[比較例1]
4−メチル−1−ペンテン共重合樹脂(三井化学株式会社製、製品名:TPX、銘柄名:DX818)」30質量部、ポリプロピレン樹脂(プライムポリマー株式会社製、製品名:F300SP)14質量部、及び低密度ポリエチレン樹脂(三井・デュポン ポリケミカル株式会社製、ミラソンF9673P)56質量部をブレンドして樹脂組成物を作製し、厚み70μmに成膜して、中間層用の樹脂として使用した。
4−メチル−1−ペンテン共重合樹脂(三井化学株式会社製、製品名:TPX、銘柄名:DX818)」を、離型層用の樹脂として使用した。
スクリュ径40mmの押出機3台を有する3層T−ダイフィルム成形機にて、各押出機に上記各樹脂を仕込み、成形温度280℃、チルロール温度70℃、エアーチャンバー静圧15mmHOの条件下、両外面が離型層、その間が中間層(B)である2種3層構成の積層フィルムを得た。エンボス処理を、ロールトゥロールで加熱した予熱ロール温度40℃で接触させた後、表面粗さRaが4μmのエンボスロールで、エンボスロール温度130℃、エンボス線圧50kg/cmで行ない、比較例1の離型フィルムを得た。離型フィルムの構成を表1に示す。
比較例1の離型フィルムを用いて、FPC用回路基材と枚葉式のカバーレイフィルムとの積層を行い、離型性、段差追従性、及び耐シワ性を評価した。結果を表2に示す。
[比較例2]
離型層に使用する樹脂を4−メチル−1−ペンテン共重合樹脂(三井化学株式会社製、製品名:TPX、銘柄名:MX022)に変更したことを除くほか比較例1と同様にして、比較例2の離型フィルムを作製した。
離型フィルムの構成を表1に示す。
比較例2の離型フィルムを用いて、FPC用回路基材と枚葉式のカバーレイフィルムとの積層を行い、離型性、段差追従性、及び耐シワ性を評価した。結果を表2に示す。
[比較例3]
中間層に使用する樹脂組成物のブレンド比を、4−メチル−1−ペンテン共重合樹脂(三井化学株式会社製、製品名:TPX、銘柄名:DX818)」50質量部、ポリプロピレン樹脂(プライムポリマー株式会社製、製品名:F300SP)10質量部、及び低密度ポリエチレン樹脂(三井・デュポン ポリケミカル株式会社製、ミラソンF9673P)40質量部に変更したことを除くほか比較例1と同様にして、比較例3の離型フィルムを作製した。
離型フィルムの構成を表1に示す。
比較例3の離型フィルムを用いて、FPC用回路基材と枚葉式のカバーレイフィルムとの積層を行い、離型性、段差追従性、及び耐シワ性を評価した。結果を表2に示す。
[比較例4]
中間層に使用する樹脂組成物のブレンド比を、4−メチル−1−ペンテン共重合樹脂(三井化学株式会社製、製品名:TPX、銘柄名:DX818)」35質量部、ポリプロピレン樹脂(プライムポリマー株式会社製、製品名:F300SP)13質量部、及び低密度ポリエチレン樹脂(三井・デュポン ポリケミカル株式会社製、ミラソンF9673P)52質量部に変更したことを除くほか実施例1と同様にして、比較例4の離型フィルムを作製した。
離型フィルムの構成を表1に示す。
比較例4の離型フィルムを用いて、FPC用回路基材と枚葉式のカバーレイフィルムとの積層を行い、離型性、段差追従性、及び耐シワ性を評価した。結果を表2に示す。
[比較例5]
中間層に使用する樹脂組成物のブレンド比を、4−メチル−1−ペンテン共重合樹脂(三井化学株式会社製、製品名:TPX、銘柄名:DX818)」30質量部、ポリプロピレン樹脂(プライムポリマー株式会社製、製品名:F300SP)14質量部、及び低密度ポリエチレン樹脂(三井・デュポン ポリケミカル株式会社製、ミラソンF9673P)56質量部に変更したことを除くほか実施例1と同様にして、比較例5の離型フィルムを作製した。
離型フィルムの構成を表1に示す。
比較例5の離型フィルムを用いて、FPC用回路基材と枚葉式のカバーレイフィルムとの積層を行い、離型性、段差追従性、及び耐シワ性を評価した。結果を表2に示す。
[比較例6]
離型層の厚みを20μmに変更し、中間層の厚みを80μmに変更したことを除くほか比較例5と同様にして、比較例6の離型フィルムを作製した。
離型フィルムの構成を表1に示す。
比較例4の離型フィルムを用いて、FPC用回路基材と枚葉式のカバーレイフィルムとの積層を行い、離型性、段差追従性、及び耐シワ性を評価した。結果を表2に示す。

本発明の離型フィルムを用いた各実施例においては、離型性、段差追従性、及び耐シワ性がいずれも良好であった。一方、本発明の範囲外である離型フィルムを用いた各比較例においては、離型性、段差追従性、及び耐シワ性の少なくとも一つにおいて劣っていた。
本発明のプロセス用離型フィルムは、従来技術では実現できなかった高いレベルの追従性、耐シワ性、及び離型性を兼ね備えるので、これを用いることで、高密度実装用のFPC等を高い品質で、そしてロールトゥロール方式等を活用して高い生産性で、製造することができるという実用上高い価値を有する技術的効果をもたらすものであり、電子部品産業、電気電子産業、機械産業、自動車産業をはじめとする産業の各分野において高い利用可能性を有する。
11、21、31a、31b、71a、71b、81a、81b: プロセス用離型フィルム
12、22: 中間層(B)
13、23a: 離型層(A)
23b: 離型層(A´)
35、75、85: 回路基材
351、651: 柔軟性樹脂基材
352、652: 金属配線パターン
36、76、86: 枚葉式のカバーレイフィルム
361、661: 柔軟性樹脂基材
362、662: 接着剤層
37a、37b、77a、77b、87a、87b: 熱盤
78a、78b、88a、88b: ガラスクロス
662’: 接着剤層の流れ出し
66a:非開口部
66b:開口部

Claims (8)

  1. 少なくとも離型層(A)と中間層(B)とを含む、プリント配線基板製造プロセス用離型フィルムであって、
    離型層(A)の厚みが15μm以下であり、
    中間層(B)の180℃における引張弾性率が11MPa以上であることを特徴とする、上記プリント配線基板製造プロセス用離型フィルム。
  2. フレキシブルプリント配線基板の製造に用いられる、請求項1に記載のプリント配線基板製造プロセス用離型フィルム。
  3. 中間層(B)の厚みが30μm以上である、請求項1又は2に記載のプリント配線基板製造プロセス用離型フィルム。
  4. 離型層(A)の表面の水に対する接触角が60°から130°である、請求項1から3のいずれか一項に記載のプリント配線基板製造プロセス用離型フィルム。
  5. 離型層(A)が、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体、フッ素樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂を含有する、請求項1から4のいずれか一項に記載のプリント配線基板製造プロセス用離型フィルム。
  6. 更に離型層(A’)を有し、離型層(A)/中間層(B)/離型層(A’)の層構成を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載のプリント配線基板製造プロセス用離型フィルム。
  7. ライン幅及びスペース幅の少なくとも一方が100μm以下である配線部を有するプリント配線基板の製造プロセスに用いられる、請求項1から6のいずれか一項に記載のプリント配線基板製造プロセス用離型フィルム。
  8. ロールトゥロール方式によるプリント配線基板製造プロセスに用いられる、請求項1から7のいずれか一項に記載のプリント配線基板製造プロセス用離型フィルム。
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