JP2018129349A - 熱電素子、熱電モジュールおよび熱電素子の製造方法 - Google Patents

熱電素子、熱電モジュールおよび熱電素子の製造方法 Download PDF

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勝美 外山
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Abstract

【課題】フィルドスクッテルダイト構造の合金からなる熱電変換層を有する熱電素子の、接合層の厚さのむらを低減する。
【解決手段】p型熱電素子2は、アンチモンを含むフィルドスクッテルダイト構造の合金からなるp型熱電変換層20と、鉄箔からなり、p型熱電変換層20に積層されるp側第1導体層21aと、チタン箔からなり、p側第1導体層21aに積層されるp側第2導体層21bと、銅箔からなり、p側第2導体層21bに積層されるとともに、基板に取り付けられた電極との電気的な接合に用いられるp側接合層22とを備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、熱電素子、熱電モジュールおよび熱電素子の製造方法に関する。
トムソン効果、ペルチェ効果、ゼーベック効果等の熱電効果を利用して熱エネルギーと電気エネルギーとを変換する熱電モジュールが存在する。
このような熱電モジュールでは、熱電変換材料からなる熱電変換層を有する2種類の熱電素子が組み合わされて用いられる。例えば、熱電モジュールは、p型熱電材料を含む複数のp型熱電素子と、n型熱電材料を含む複数のn型熱電素子とが、電極により直列に接続されて用いられる。
特許文献1には、熱電素子の作製において、フィルドスクッテルダイト型の合金からなる熱電変換層と熱電変換層に積層されるチタン層との積層体を、粉末を出発原料とする放電プラズマ焼結法によって作製し、得られた焼結体のチタン層の上に、PVD(physical vapor deposition)法を用いて、窒化チタン層、もう一つのチタン層および銅層を、この順で積層することが記載されている。
特開2016−92277号公報
ところで、熱電素子を構成する、フィルドスクッテルダイト構造の熱電変換層と、最外層において外部との電気的な接合に用いられる接合層との間に、粉体を焼結してなる焼結体やPVD法による積層体等からなる中間層を設け、熱電変換層と接合層とを接合する構成を採用した場合、接合層の形成対象となる中間層の上面に凹凸が生じやすくなることから、接合層の厚さにむらが生じることがあった。
本発明は、フィルドスクッテルダイト構造の合金からなる熱電変換層を有する熱電素子の、接合層の厚さのむらを低減することを目的とする。
本発明の熱電素子は、フィルドスクッテルダイト構造の合金からなる熱電変換層と、銅を含む金属箔からなり、外部との電気的な接合に用いられる接合層と、金属箔からなり、前記熱電変換層と前記接合層との間に設けられる中間層とを備えている。
ここで、前記中間層は、前記熱電変換層と対向する側に設けられ、当該熱電変換層の応力を緩和する応力緩和層と、前記接合層と対向する側に設けられ、前記熱電変換層と当該接合層との間での元素の拡散を抑制する拡散抑制層とを有することを特徴とすることができる。
また、前記熱電変換層が、REx(Fe1-yy4Sb12(REは、希土類元素から選択される少なくとも一種、Mは、Co、Niからなる群から選ばれた少なくとも一種、0.01≦x≦1、0≦y≦0.5)で表される、フィルドスクッテルダイト構造の合金からなる場合に、前記中間層の前記応力緩和層が、鉄を含む金属箔で構成され、前記中間層の前記拡散抑制層が、チタンを含む金属箔で構成されることを特徴とすることができる。
さらに、前記熱電変換層が、Rx(Co1-yy4Sb12(Rは、第2族元素もしくは希土類元素から選択される少なくとも一種、Mは、Fe、Niからなる群から選ばれた少なくとも一種、0.01≦x≦1、0≦y≦0.3)で表される、フィルドスクッテルダイト構造の合金からなる場合に、前記中間層の前記応力緩和層が、コバルトを含む金属箔またはニッケルを含む金属箔で構成され、前記中間層の前記拡散抑制層が、チタンを含む金属箔で構成されることを特徴とすることができる。
また、他の観点から捉えると、本発明の熱電素子は、遷移金属を含むフィルドスクッテルダイト構造の合金からなる熱電変換層と、前記熱電変換層と同じ遷移金属を含む金属箔からなり、前記熱電変換層に積層される第1中間層と、チタンを含む金属箔からなり、前記第1中間層に積層される第2中間層と、銅を含む金属箔からなり、前記第2中間層に積層されるとともに外部との電気的な接合に用いられる接合層とを備えている。
さらに、他の観点から捉えると、本発明の熱電素子は、コバルトと第2族元素もしくは希土類元素から選択される少なくとも1種とを含むフィルドスクッテルダイト構造の合金からなる熱電変換層と、銅を含む金属箔からなり、外部との電気的な接続に用いられる接合層と、チタンを必須とし、さらにアルミニウム、鉄、コバルトもしくはニッケルの少なくとも一種を含み、前記熱電変換層と前記接合層との間に設けられる中間層とを備えている。
また、他の観点から捉えると、本発明の熱電モジュールは、熱電素子と、当該熱電素子に電気的に接続される電極とを備え、前記熱電素子は、フィルドスクッテルダイト構造の合金からなる熱電変換層と、銅を含む金属箔からなり、前記電極との電気的な接合に用いられる接合層と、金属箔からなり、前記熱電変換層と前記接合層との間に設けられる中間層とを備えている。
さらに、他の観点から捉えると、本発明の熱電モジュールは、熱電素子と、当該熱電素子に電気的に接続される電極とを備え、前記熱電素子は、遷移金属を含むフィルドスクッテルダイト構造の合金からなる熱電変換層と、前記熱電変換層と同じ遷移金属を含む金属箔からなり、前記熱電変換層に積層される第1中間層と、チタンを含む金属箔からなり、前記第1中間層に積層される第2中間層と、銅を含む金属箔からなり、前記第2中間層に積層されるとともに外部との電気的な接合に用いられる接合層とを備えている。
さらにまた、他の観点から捉えると、本発明の熱電モジュールは、熱電素子と、当該熱電素子に電気的に接続される電極とを備え、前記熱電素子は、コバルトと第2族元素もしくは希土類元素から選択される少なくとも1種とを含むフィルドスクッテルダイト構造の合金からなる熱電変換層と、銅を含む金属箔からなり、外部との電気的な接続に用いられる接合層と、チタンを必須とし、さらにアルミニウム、鉄、コバルトもしくはニッケルの少なくとも一種を含み、前記熱電変換層と前記接合層との間に設けられる中間層とを備えている。
また、他の観点から捉えると、本発明の熱電素子の製造方法は、ダイス内に、銅を含む金属箔、チタンを含む金属箔、鉄を含む金属箔、アンチモンと鉄と希土類元素とを含む合金粉末、鉄を含む金属箔、チタンを含む金属箔、銅を含む金属箔を、順に積層し、前記ダイス内の積層物を、当該積層物の積層方向に圧力を付加しながら放電プラズマ焼結することを特徴としている。
さらに、他の観点から捉えると、本発明の熱電素子の製造方法は、ダイス内に、銅を含む金属箔、チタンを含む金属箔、コバルトを含む金属箔またはニッケルを含む金属箔、アンチモンとコバルトと第2族元素もしくは希土類元素から選択される少なくとも1種とを含む合金粉末、コバルトを含む金属箔またはニッケルを含む金属箔、チタンを含む金属箔、銅を含む金属箔を、順に積層し、前記ダイス内の積層物を、当該積層物の積層方向に圧力を付加しながら放電プラズマ焼結することを特徴としている。
さらにまた、他の観点から捉えると、本発明の熱電素子の製造方法は、ダイス内に、銅を含む金属箔、チタン粉末と金属Aの粉末とを含む混合粉末、アンチモンとコバルトと第2族元素もしくは希土類元素から選択される少なくとも1種とを含む合金粉末、チタン粉末と金属Aの粉末とを含む混合粉末、銅を含む金属箔を、順に積層し、前記ダイス内の積層物を、当該積層物の積層方向に圧力を付加しながら放電プラズマ焼結することを特徴としている。ここで、金属Aはアルミニウム、鉄、コバルト、ニッケルの少なくとも一種を含む。
本発明によれば、フィルドスクッテルダイト構造の合金からなる熱電変換層を有する熱電素子の、接合層の厚さのむらを低減することができる。
本実施の形態が適用される熱電モジュールの一例を示した模式図である。 p型熱電素子の一例を示した断面模式図である。 n型熱電素子の一例を示した断面模式図である。 p型熱電焼結体の作製方法の一例を示した図である。 n型熱電焼結体の作製方法の一例を示した図である。 n型熱電素子の他の一例を示した断面模式図である。 n型熱電焼結体の作製方法の他の一例を示した図である。 (a)は実施例のp型熱電素子のSEM(Scanning Electron Microscope)による断面写真であり、(b)は比較例のp型熱電素子のSEMによる断面写真である。 (a)は実施例のp側接合層のSEMによる表面写真であり、(b)は比較例のp側接合層のSEMによる表面写真である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<実施の形態1>
[熱電モジュール]
図1は、本実施の形態が適用される熱電モジュール1の一例を示した模式図である。
本実施の形態の熱電モジュール1は、図1に示すように、上下に対向する2枚の絶縁性の基板7a、7bの間に、複数のp型熱電素子2と、複数のn型熱電素子3とが配置されてなる。そして、複数のp型熱電素子2および複数のn型熱電素子3は、複数の電極4により交互に直列接続されるとともに、電極4を介してそれぞれの基板7a、7bに取り付けられている。また、直列接続される複数のp型熱電素子2および複数のn型熱電素子3のうち、一端に位置するp型熱電素子2および他端に位置するn型熱電素子3には、電極4を介してリード線6が接続されている。
なお、それぞれのp型熱電素子2およびn型熱電素子3の形状は、特に限定されるものではないが、通常、角柱状または円柱状である。図1に示す熱電モジュール1では、それぞれのp型熱電素子2およびn型熱電素子3は、角柱状の形状を有している。また、それぞれのp型熱電素子2およびn型熱電素子3の側面(電極4に接続されない面)は、例えば窒化チタン等からなる被覆層により被覆されていてもよい。
また、図示は省略するが、この熱電モジュール1では、一方の基板7aに隣接して高温側熱交換器が配置され、他方の基板7bに隣接して低温側熱交換器が配置される。
本実施の形態の熱電モジュール1では、矢印Xで示すように、高温側熱交換器により熱を加えるとともに、低温側熱交換器により熱を奪うことによって、各熱電素子(p型熱電素子2、n型熱電素子3)の高温側と低温側とに大きな温度差が生じて起電力が発生する。そして、2本のリード線6の間に電気抵抗負荷を与えることで、矢印Yで示すように電流が流れる。
なお、以下の説明では、熱電モジュール1において高温側熱交換器が設けられる側を単に高温側と称し、低温側熱交換器が設けられる側を単に低温側と称する場合がある。
[電極]
本実施の形態の電極4は、例えば銅や鉄等の高温における機械強度の高い金属により構成される。また、本実施の形態の熱電モジュールでは、p型熱電素子2またはn型熱電素子3と電極4との間に、p型熱電素子2またはn型熱電素子3と電極4との接合性を改善させるための他の層を設けてもよい。
[p型熱電素子]
図2は、p型熱電素子2の一例を示した断面模式図である。
熱電素子の一例としてのp型熱電素子2は、高温側と低温側との温度差により起電力が発生するp型熱電変換層20と、p型熱電変換層20の対向する2面のそれぞれに積層されるp側中間層21と、それぞれのp側中間層21に積層されるp側接合層22とを備えている。そして、本実施の形態のp型熱電素子2では、それぞれのp側接合層22の上に、金属ペーストを介して上述した電極4(図1参照)が接合される。
(p型熱電変換層)
熱電変換層の一例としてのp型熱電変換層20は、例えばREx(Fe1-yy4Sb12(REは、希土類元素から選ばれた少なくとも一種。Mは、Co、Niからなる群から選ばれた少なくとも1種。0.01≦x≦1、0≦y≦0.5)で表される、フィルドスクッテルダイト型の合金からなる半導体が採用可能である。
ここで、REとしては、La、Ce、Nd、Pr、Ybのうち少なくとも1種を用いることが好ましい。
具体的に説明すると、本実施の形態のp型熱電変換層20を構成する、アンチモン(Sb)を含むフィルドスクッテルダイト型の合金では、Sbが八面体の頂点位置に配置され、FeおよびMがSbに囲まれた結晶構造をとっている(スクッテルダイト構造)。そして、スクッテルダイト構造をとるFe、MおよびSbの間に形成される空隙に、REが入り込んだ構造となっている。本実施の形態のp型熱電変換層20では、通常、スクッテルダイト構造をとるFe、MおよびSbにより、熱電変換作用が生じる。
なお、p型熱電変換層20には、原料に含まれる不可避不純物を含んでいてもよい。p型熱電変換層20の結晶構造については、例えばX線回折等により確認することができる。
p型熱電変換層20として上述したフィルドスクッテルダイト構造の合金を用いる場合、xは、0.01以上1以下の範囲が好ましく、yは、0以上0.5以下の範囲が好ましい。
xが0.01未満であると、p型熱電変換層20の熱伝導度が増加し、p型熱電変換層20の高温側と低温側との温度差が小さくなるため、熱電変換効率が低下するおそれがある。また、xが1を超えると、結晶格子に入りきらない希土類元素が析出して、p型熱電変換層20の電気特性が低下するおそれがある。
また、yが0.5を超えると、p型熱電変換層20のゼーベック係数が低下するおそれがある。
(p側中間層)
中間層の一例としてのp側中間層21は、p型熱電変換層20に積層されるp側第1導体層21aと、p側第1導体層21aに積層されるとともにp側接合層22の積層対象となるp側第2導体層21bとを備えている。
(p側第1導体層)
応力緩和層あるいは第1中間層の一例としてのp側第1導体層21aは、鉄を含む金属箔によって構成されている。ここで、鉄を含む金属箔としては、純鉄による鉄箔、鉄と他の金属との合金箔等が挙げられる。ただし、後述する、アンチモンの拡散抑制効果を高めるという観点からすれば、p側第1導体層21aは、鉄を主成分とすることが好ましく、鉄以外の金属や、鉄と他の金属との合金等の不純物の含有量は、45重量%以下であることが好ましい。p側第1導体層21aにおける不純物の含有量が45重量%を超えると、アンチモンの拡散抑制効果が低下するおそれがある。なお、p側第1導体層21aを純鉄で構成する場合においても、p側第1導体層21aは、原料に含まれる不可避不純物を含んでいてもよい。
本実施の形態のp型熱電素子2では、p側第1導体層21aを設けることで、p型熱電素子2の製造工程において各層の割れや剥がれが抑制され、p型熱電素子2の歩留まりが向上される。
また、本実施の形態のp型熱電素子2では、p側第1導体層21aを設けることで、p型熱電変換層20からのアンチモンの拡散を抑制するとともに、p型熱電変換層20とp側第2導体層21bとの間で発生する熱応力を緩和することが可能になっている。
これにより、p型熱電素子2や熱電モジュール1の性能低下および破損が抑制される。
すなわち、本実施の形態のp側第1導体層21aは、鉄を含んで構成されることで、p型熱電変換層20からアンチモンが遊離した場合に、アンチモンが鉄と反応して鉄アンチモン化合物が形成される。この結果、p型熱電変換層20からのアンチモンがp側第1導体層21aにて捕捉され、p型熱電変換層20から電極4にアンチモンが拡散することが抑制される。
これにより、本実施の形態のp型熱電素子2では、p型熱電変換層20の熱電性能の劣化および電極4の性能低下が抑制される。
なお、本実施の形態のp型熱電素子2では、p型熱電変換層20から遊離したアンチモンとp側第1導体層21aの鉄とが反応することで、p側第1導体層21aのうちp型熱電変換層20に接する側に、鉄アンチモン化合物からなる鉄アンチモン反応層が形成される場合がある。また、本実施の形態のp型熱電素子2では、p側第1導体層21aにおいて、熱電モジュール1の繰り返しの使用により、鉄とアンチモンとが反応することにより、鉄アンチモン反応層の厚さが徐々に厚くなる場合がある。
鉄アンチモン化合物は、通常、p型熱電変換層20に不純物として含まれ得る物質である。したがって、p側第1導体層21aにおいて鉄アンチモン化合物が生じた場合であっても、p型熱電素子2において、鉄アンチモン化合物による不具合は生じにくい。
p側第1導体層21aの厚さは、例えば、10μm以上100μm以下が好ましい。
p側第1導体層21aの厚さが100μmよりも厚い場合には、p型熱電素子2の厚さが厚くなり、熱電モジュール1が大型化しやすい。また、高温側熱交換器からp型熱電変換層20への熱の伝導、またはp型熱電変換層20から低温側熱交換器への熱の伝導が抑制され、p型熱電素子2における熱電変換効率が低下するおそれがある。一方、p側第1導体層21aの厚さが10μmよりも薄い場合には、p側第1導体層21aによる熱応力の緩和やアンチモンの捕捉の効果が不十分になるおそれがある。
(p側第2導体層)
拡散抑制層あるいは第2中間層の一例としてのp側第2導体層21bは、チタンを含む金属箔によって構成されている。ここで、チタンを含む金属箔としては、純チタンによるチタン箔、チタンと他の金属との合金箔等が挙げられる。ただし、後述する、各種元素の拡散の抑制性能を高めるという観点からすれば、p側第2導体層21bは、チタンを主成分とすることが好ましく、チタン以外の金属や、チタンと他の金属との合金等の含有量は、20重量%以下であることが好ましい。p側第2導体層21bにおける不純物の含有量が20重量%を超えると、p型熱電変換層20からのアンチモンの拡散や、電極4等からp型熱電変換層20、p側第1導体層21aへの元素の拡散を抑制する能力が低下するおそれがある。なお、p側第2導体層21bを純チタンで構成する場合においても、p側第2導体層21bは、原料に含まれる不可避不純物を含んでいてもよい。
本実施の形態のp型熱電素子2では、p側第2導体層21bを設けることで、p型熱電変換層20からのアンチモンの拡散や、電極4等からp型熱電変換層20、p側第1導体層21aへの元素の拡散を抑制することが可能になっている。
本実施の形態のp型熱電素子2では、上述したように、p側第1導体層21aを設けることで、p型熱電変換層20からのアンチモンとp側第1導体層21aに含まれる鉄とが反応し、p型熱電変換層20からのアンチモンをp側第1導体層21aで捕捉することが可能である。
しかし、例えばp型熱電変換層20から拡散するアンチモンの量が多い場合や、p型熱電変換層20から継続してアンチモンが拡散するような場合等には、全てのアンチモンをp側第1導体層21aで捕捉することが困難になる場合がある。
これに対し、本実施の形態では、チタンを含むp側第2導体層21bを設けることで、p型熱電変換層20から遊離し且つp側第1導体層21aで捕捉しきれなかったアンチモンを、p側第2導体層21bにて遮断することが可能になっている。これにより、p型熱電素子2において、p型熱電変換層20からp側接合層22を介して電極4へアンチモンが拡散することを抑制できる。また、本実施の形態の熱電モジュール1では、p側第2導体層21bを設けることで、電極4からp型熱電素子2への元素の拡散を抑制することができる。
この結果、p型熱電素子2のp型熱電変換層20における熱電変換効率の低下や、電極4の性能低下を抑制することができる。
なお、本実施の形態のp型熱電素子2では、p型熱電変換層20から遊離したアンチモンとp側第2導体層21bのチタンとが反応することで、p側第2導体層21bのうちp側第1導体層21aに接する側に、チタンとアンチモンとの合金からなる反応層が形成される場合がある。
この反応層も、p型熱電変換層20からのアンチモンの拡散を抑制する。
p側第2導体層21bの厚さは、例えば、10μm以上100μm以下が好ましい。
p側第2導体層21bの厚さが100μmよりも厚い場合には、p型熱電素子2が厚くなり、熱電モジュール1が大型化しやすい。一方、p側第2導体層21bの厚さが10μmよりも薄い場合には、p型熱電素子2と電極4との間での元素の拡散を抑制する効果が不十分になるおそれがある。
(p側接合層)
接合層の一例としてのp側接合層22は、銅を含む金属箔によって構成されている。ここで、銅を含む金属箔としては、純銅による銅箔、銅と他の金属との合金箔等が挙げられる。ただし、後述する、電極4との接合性能を高めるという観点からすれば、p側接合層22は、銅を主成分とすることが好ましく、純銅とすることがさらに好ましい。より具体的に説明すると、p側接合層22における銅の含有量は60重量%以上とすることが好ましい。p側接合層22における銅の含有量が60重量%を下回ると、p側第2導体層21bとの接合強度が低下するおそれがある。なお、p側接合層22を純銅で構成する場合においても、p側接合層22は、原料に含まれる不可避不純物を含んでいてもよい。
本実施の形態のp側接合層22は、p型熱電素子2に銀ペースト等の金属ペーストを介して電極4を取り付ける際に、金属ペーストの濡れ性を向上させ、p型熱電素子2と電極4との接合性を向上させるために設けられている。
p側接合層22の厚さは、例えば、10μm以上100μm以下が好ましい。
p側接合層22の厚さが100μmよりも厚い場合には、p型熱電素子2が厚くなり、熱電モジュール1が大型化しやすい。一方、p側接合層22の厚さが10μmよりも薄い場合には、p側接合層22が欠損した部分が生じて、p型熱電素子2と電極4との接合強度が低下するおそれがある。
[n型熱電素子]
図3は、n型熱電素子3の一例を示した断面模式図である。
熱電素子の一例としてのn型熱電素子3は、高温側と低温側との温度差により起電力が発生するn型熱電変換層30と、n型熱電変換層30の対向する2面のそれぞれに積層されるn側中間層31と、それぞれのn側中間層31に積層されるn側接合層32とを備えている。そして、本実施の形態のn型熱電素子3では、それぞれのn側接合層32の上に、金属ペーストを介して上述した電極4(図1参照)が接合される。
(n型熱電変換層)
熱電変換層の一例としてのn型熱電変換層30は、Rx(Co1-yy4Sb12(Rは、第2族元素もしくは希土類元素から選択される少なくとも1種。Mは、Fe、Niからなる群から選ばれた少なくとも1種。0.01≦x≦1、0≦y≦0.3)で表される、フィルドスクッテルダイト型の合金からなる半導体が採用可能である。
ここで、Rとしては、Ca、Sr、Ba、La、Ce、Nd、Pr、Ybのうち少なくとも1種を用いることが好ましい。
具体的に説明すると、本実施の形態のn型熱電変換層30を構成する、アンチモン(Sb)を含むフィルドスクッテルダイト型の合金では、Sbが八面体の頂点位置に配置され、CoおよびMがSbに囲まれた結晶構造をとっている(スクッテルダイト構造)。そして、スクッテルダイト構造をとるCo、MおよびSbの間に形成される空隙に、Rが入り込んだ構造となっている。本実施の形態のn型熱電変換層30では、通常、スクッテルダイト構造をとるCo、MおよびSbにより、熱電変換作用が生じる。
なお、n型熱電変換層30には、原料に含まれる不可避不純物を含んでいてもよい。n型熱電変換層30の結晶構造については、例えばX線回折等により確認することができる。
n型熱電変換層30として上述したフィルドスクッテルダイト型の合金を用いる場合、xは、0.01以上1以下の範囲が好ましく、yは、0以上0.3以下の範囲が好ましい。
xが0.01未満であると、n型熱電変換層30の熱伝導度が増加し、n型熱電変換層30の高温側と低温側との温度差が小さくなるため、n型熱電素子3の特性が低下するおそれがある。また、xが1を超えると、結晶格子に入りきらないR元素が析出して、n型熱電変換層30の電気特性が低下するおそれがある。
さらに、yが0.3を超えると、n型熱電変換層30のゼーベック係数が低下するおそれがある。
(n側中間層)
中間層の一例としてのn側中間層31は、n型熱電変換層30に積層されるn側第1導体層31aと、n側第1導体層31aに積層されるとともにn側接合層32の積層対象となるn側第2導体層31bとを備えている。
(n側第1導体層)
応力緩和層あるいは第1中間層の一例としてのn側第1導体層31aは、コバルトを含む金属箔あるいはニッケルを含む金属箔によって構成されている。ここで、コバルトを含む金属箔としては、純コバルトによるコバルト箔、コバルトと他の金属との合金箔等が挙げられる。また、ニッケルを含む金属箔としては、純ニッケルによるニッケル箔、ニッケルと他の金属との合金箔等が挙げられる。ただし、後述する、アンチモンの拡散抑制効果を高めるという観点からすれば、p側第1導体層21aは、コバルトを含む金属箔を用いる場合、コバルトを主成分とすることが好ましく、コバルト以外の金属や、コバルトと他の金属との合金等の不純物の含有量は、45重量%以下であることが好ましい。また、同様の観点からすれば、p側第1導体層21aは、ニッケルを含む金属箔を用いる場合、ニッケルを主成分とすることが好ましく、ニッケル以外の金属や、ニッケルと他の金属との合金等の不純物の含有量は、45重量%以下であることが好ましい。n側第1導体層31aにおける不純物の含有量が45重量%を超えると、アンチモンの拡散防止効果が低下するおそれがある。なお、n側第1導体層31aを純コバルトあるいは純ニッケルで構成する場合においても、n側第1導体層31aは、原料に含まれる不可避不純物を含んでいてもよい。
本実施の形態のn型熱電素子3では、n側第1導体層31aを設けることで、n型熱電素子3の製造工程において各層の割れや剥がれが抑制され、n型熱電素子3の歩留まりが向上される。
また、本実施の形態のn型熱電素子3では、n側第1導体層31aを設けることで、n型熱電変換層30からのアンチモンの拡散を抑制するとともに、n型熱電変換層30とn側第2導体層31bとの間で発生する熱応力を緩和することが可能になっている。
これにより、n型熱電素子3や熱電モジュール1の性能低下および破損が抑制される。
すなわち、本実施の形態のn側第1導体層31aは、コバルトまたはニッケルを含んで構成されることで、p型熱電変換層20からアンチモンが遊離した場合に、アンチモンがコバルトまたはニッケルと反応してコバルトアンチモン化合物またはニッケルアンチモン化合物が形成される。この結果、n型熱電変換層30からのアンチモンがn側第1導体層31aにて捕捉され、n型熱電変換層30から電極4にアンチモンが拡散することが抑制される。
これにより、本実施の形態のn型熱電素子3では、n型熱電変換層30の熱電性能の劣化および電極4の性能低下が抑制される。
なお、コバルトアンチモン化合物あるいはニッケルアンチモン化合物は、n型熱電変換層30に不純物として含まれ得る物質である。したがって、n側第1導体層31aにおいてコバルトアンチモン化合物あるいはニッケルアンチモン化合物が生じた場合であっても、n型熱電素子3において、コバルトアンチモン化合物あるいはニッケルアンチモン化合物による不具合は生じにくい。
n側第1導体層31aの厚さは、例えば、10μm以上100μm以下が好ましい。
n側第1導体層31aの厚さが100μmよりも厚い場合には、n型熱電素子3の厚さが厚くなり、熱電モジュール1が大型化しやすい。また、高温側熱交換器からn型熱電変換層30への熱の伝導、またはn型熱電変換層30から低温側熱交換器への熱の伝導が抑制され、n型熱電素子3における熱電変換効率が低下するおそれがある。一方、n側第1導体層31aの厚さが10μmよりも薄い場合には、n側第1導体層31aによる熱応力の緩和やアンチモンの捕捉の効果が不十分になるおそれがある。
(n側第2導体層)
拡散抑制層あるいは第2中間層の一例としてのn側第2導体層31bは、チタンを含む金属箔によって構成されている。ここで、チタンを含む金属箔としては、純チタンによるチタン箔、チタンと他の金属との合金箔等が挙げられる。ただし、後述する、各種元素の拡散の抑制性能を高めるという観点からすれば、n側第2導体層31bは、チタンを主成分とすることが好ましく、チタン以外の金属や、チタンと他の金属との合金等の含有量は、20重量%以下であることが好ましい。n側第2導体層31bにおける不純物の含有量が20重量%を超えると、n型熱電変換層30からのアンチモンの拡散や、電極4等からp型熱電変換層20、n側第1導体層31aへの元素の拡散を抑制する能力が低下するおそれがある。なお、n側第2導体層31bを純チタンで構成する場合においても、n側第2導体層31bは、原料に含まれる不可避不純物を含んでいてもよい。
本実施の形態のn型熱電素子3では、n側第2導体層31bを設けることで、n型熱電変換層30からのアンチモンの拡散や、電極4等からn型熱電変換層30、n側第1導体層31aへの元素の拡散を抑制することが可能になっている。
本実施の形態のn型熱電素子3では、上述したように、n側第1導体層31aを設けることで、n型熱電変換層30からのアンチモンとn側第1導体層31aに含まれるコバルトあるいはニッケルとが反応し、n型熱電変換層30からのアンチモンをn側第1導体層31aで捕捉することが可能である。
しかし、例えばn型熱電変換層30から拡散するアンチモンの量が多い場合や、n型熱電変換層30から継続してアンチモンが拡散するような場合等には、全てのアンチモンをn側第1導体層31aで捕捉することが困難になる場合がある。
これに対し、本実施の形態では、チタンを含むn側第2導体層31bを設けることで、n型熱電変換層30から遊離し且つn側第1導体層31aで捕捉しきれなかったアンチモンを、n側第2導体層31bにて遮断することが可能になっている。これにより、n型熱電素子3において、n型熱電変換層30からn側接合層32を介して電極4へアンチモンが拡散することを抑制できる。また、本実施の形態の熱電モジュール1では、n側第2導体層31bを設けることで、電極4からn型熱電素子3への元素の拡散を抑制することができる。
この結果、n型熱電素子3のn型熱電変換層30における熱電変換効率の低下や、電極4の性能低下を抑制することができる。
なお、本実施の形態のn型熱電素子3では、n型熱電変換層30から遊離したアンチモンとn側第2導体層31bのチタンとが反応することで、n側第2導体層31bのうちn側第1導体層31aに接する側に、チタンとアンチモンとの合金からなる反応層が形成される場合がある。
この反応層も、n型熱電変換層30からのアンチモンの拡散を抑制する。
n側第2導体層31bの厚さは、例えば、10μm以上100μm以下が好ましい。
n側第2導体層31bの厚さが100μmよりも厚い場合には、n型熱電素子3が厚くなり、熱電モジュール1が大型化しやすい。一方、n側第2導体層31bの厚さが10μmよりも薄い場合には、n型熱電素子3と電極4との間での元素の拡散を抑制する効果が不十分になるおそれがある。
(n側接合層)
接合層の一例としてのn側接合層32は、銅を含む金属箔によって構成されている。ここで、銅を含む金属箔としては、純銅による銅箔、銅と他の金属との合金箔等が挙げられる。ただし、後述する、電極4との接合性能を高めるという観点からすれば、n側接合層32は、銅を主成分とすることが好ましく、純銅とすることがさらに好ましい。より具体的に説明すると、n側接合層32における銅の含有量は60重量%以上とすることが好ましい。なお、n側接合層32を純銅で構成する場合においても、n側接合層32は、原料に含まれる不可避不純物を含んでいてもよい。
本実施の形態のn側接合層32は、n型熱電素子3に銀ペースト等の金属ペーストを介して電極4を取り付ける際に、金属ペーストの濡れ性を向上させ、n型熱電素子3と電極4との接合性を向上させるために設けられている。
n側接合層32の厚さは、例えば、10μm以上100μm以下が好ましい。
n側接合層32の厚さが100μmよりも厚い場合には、n型熱電素子3が厚くなり、熱電モジュール1が大型化しやすい。一方、n側接合層32の厚さが10μmよりも薄い場合には、n側接合層32が欠損した部分が生じて、n型熱電素子3と電極4との接合強度が低下するおそれがある。
[p型熱電素子の製造方法]
では、p型熱電素子2の製造方法について説明を行う。
ここで、本実施の形態のp型熱電素子2は、
(1)p型熱電変換層20の原材料となる「p型合金粉末200(後述する図4参照)の作製」
(2)p型熱電素子2の元となる「p型熱電焼結体の作製」
(3)p型熱電焼結体を用いた「p型熱電素子2の作製」
という工程を経て得られる。
以下、各工程について説明を行う。
(p型合金粉末の作製)
p型熱電変換層20の原材料となる、アンチモンと鉄と希土類元素とを含む合金粉末の一例としてのp型合金粉末200は、例えば以下のように鋳造により作製することができる。
まず、p型熱電変換層20を構成するp型合金粉末200の原材料となる、RE(希土類元素から選択される少なくとも1種)、遷移金属の一例としてのFe、M(Co、Niからなる群から選ばれた少なくとも1種)およびアンチモンのそれぞれを秤量し混合する。ここで、それぞれの材料の混合比は、後の工程等における損失を考慮し、最終的に得るp型熱電変換層20の化学量論組成比よりもアンチモンを過剰に配合することが好ましい。アンチモンは拡散しやすく、またp型熱電変換層20においてアンチモンが不足した場合、p型熱電変換層20における熱電変換効率の低下等の不具合が生じやすいからである。
続いて、秤量した各材料を、アルミナ等からなるるつぼ内に入れて加熱し、溶融させる。なお、溶融温度は、例えば1450℃程度とすることができる。次いで、溶融した材料を、ストリップキャスト法を用いて急冷し合金化させる。ストリップキャスト法では、アルゴン雰囲気中にて溶融した材料を、水冷した回転ロールに注いで冷却し、厚み0.1mm〜0.5mm程度の急冷凝固合金を得る。冷却速度は、例えば500℃/秒〜2000℃/秒の範囲とすることができる。
そして、得られた急冷凝固合金を粉砕することで、p型熱電変換層20の材料となる、RE(希土類元素から選択される少なくとも1種)、鉄、M(Co、Niからなる群から選ばれた少なくとも1種)およびアンチモンを含むp型合金粉末200を得ることができる。
ここで、p型合金粉末200の平均粒径は、5μm〜200μmとすることが望ましい。p型合金粉末200の平均粒径が過度に小さい場合には、焼結時等に酸化反応が起こりやすくなり、p型熱電変換層20において所望の特性を得られなくなるおそれがある。一方、p型合金粉末200の平均粒径が過度に大きい場合には、得られるp型熱電変換層20が粗になりやすく、空隙ができやすくなる。この結果、p型熱電変換層20の機械強度が低下し、熱電モジュール1の使用時等に、p型熱電変換層20が破損しやすくなる。
(p型熱電焼結体の作製)
本実施の形態では、p型熱電素子2を構成する各種原材料を、機械的な加圧とパルス通電加熱とを行って焼結する放電プラズマ焼結法(SPS法:Spark Plasma Sintering)を用いて、p型熱電焼結体を作製している。
図4は、p型熱電焼結体の作製方法を説明するための図である。より具体的に説明すると、図4は、焼結前のp型熱電焼結体の各種原材料の断面構成を示している。
放電プラズマ焼結装置では、円柱状の貫通孔が設けられた円筒状のダイス11と、ダイス11の筒内にはめ込まれてダイス11の開口部の下側を塞ぐ円柱状の下部パンチ12と、ダイス11の筒内にはめ込まれて開口部の上側を塞ぐ円柱状の上部パンチ13とが用いられる。ここで、ダイス11、下部パンチ12および上部パンチ13は、それぞれ、導電性を有する黒鉛で構成される。そして、ダイス11の内部に配置された焼結用の原材料を、下部パンチ12と上部パンチ13とで挟み込むことで加圧した状態で、下部パンチ12および上部パンチ13に直流パルス電流を供給してプラズマアークを発生させることにより、焼結体の作製を行う。
p型熱電焼結体の作製においては、p型熱電焼結体の原材料として、上述したp型合金粉末200と、2枚のp側第1金属箔210aと、2枚のp側第2金属箔210bと、2枚のp側第3金属箔220とが用いられる。
これらのうち、p側第1導体層21aの原材料となるp側第1金属箔210aには、鉄を含む金属箔が用いられる。p側第1金属箔210aの厚さは、例えば、10μm以上100μm以下とすることが好ましい。
また、p側第2導体層21bの原材料となるp側第2金属箔210bには、チタンを含む金属箔が用いられる。p側第2金属箔210bの厚さは、例えば、10μm以上100μm以下とすることが好ましい。
さらに、p側接合層22の原材料となるp側第3金属箔220には、銅を含む金属箔が用いられる。p側第3金属箔220の厚さは、例えば、10μm以上100μm以下とすることが好ましい。
そして、これら各種原材料は、ダイス11の内部且つ下部パンチ12と上部パンチ13との間に、下部パンチ12側から、p側第3金属箔220、p側第2金属箔210b、p側第1金属箔210a、p型合金粉末200、p側第1金属箔210a、p側第2金属箔210b、p側第3金属箔220の順で配置される。このとき、下部パンチ12の上面には、相対的に下方に位置するp側第3金属箔220の下面が接触し、上部パンチ13の下面には、相対的に上方に位置するp側第3金属箔220の上面が接触する。
次に、図4に示す状態のものを、図示しない放電プラズマ焼結装置に設置し、真空中あるいはアルゴン等の不活性ガス中で、下部パンチ12および上部パンチ13を介してダイス11内の原材料の積層体を加圧しながら、パルス電流を供給してプラズマアークを発生させ、放電プラズマ焼結を行う。本実施の形態のp型熱電焼結体の場合、放電プラズマ焼結における圧力を40MPa〜60MPaとし、焼成温度を600℃程度とすることが好ましい。
このようにして、放電プラズマ焼結により、p側第3金属箔220を原材料とするp側接合層22、p側第2金属箔210bを原材料とするp側第2導体層21b、p側第1金属箔210aを原材料とするp側第1導体層21a、p型合金粉末200を原材料とするp型熱電変換層20、p側第1金属箔210aを原材料とするp側第1導体層21a、p側第2金属箔210bを原材料とするp側第2導体層21b、および、p側第3金属箔220を原材料とするp側接合層22を、この順に積層し且つ一体化してなる、p型熱電焼結体が得られる。このとき、得られるp型熱電焼結体は円板状(タブレット状)を呈している。
(p型熱電素子の作製)
上述した手順にて得られたp型熱電焼結体を切断し、複数のp型熱電素子2に分割する。p型熱電焼結体の切断方法としては特に限定されないが、バンドソーやワイヤソー等が用いられる。また、分割後の各p型熱電焼結体の形状は、例えば直方体状とすることができる。
以上の工程を経ることで、図2に示したp型熱電素子2が得られる。
[n型熱電素子の製造方法]
続いて、n型熱電素子3の製造方法について説明を行う。
ここで、本実施の形態のn型熱電素子3は、上述したp型熱電素子2と同様に、
(1)n型熱電変換層30の原材料となる「n型合金粉末300(後述する図5参照)の作製」
(2)n型熱電素子3の元となる「n型熱電焼結体の作製」
(3)n型熱電焼結体を用いた「n型熱電素子3の作製」
という工程を経て得られる。
以下、各工程について説明を行う。
(n型合金粉末の作製)
n型熱電変換層30の原材料となる、アンチモンとコバルトと第2族元素もしくは希土類元素から選択される少なくとも1種とを含む合金粉末の一例としてのn型合金粉末300は、上記p型合金粉末200と同じく、例えば鋳造により作製することができる。ただし、n型合金粉末300の原材料として、R(第2族元素もしくは希土類元素から選択される少なくとも1種)、遷移金属の一例としてのコバルト、M(Fe、Niからなる群から選ばれた少なくとも1種)およびアンチモンを用いる点が、p型合金粉末200の作製とは異なる。
ここで、n型合金粉末300の平均粒径は、5μm〜200μmとすることが望ましい。n型合金粉末300の平均粒径が過度に小さい場合には、焼結時等に酸化反応が起こりやすくなり、n型熱電変換層30において所望の特性を得られなくなるおそれがある。一方、n型合金粉末300の平均粒径が過度に大きい場合には、得られるn型熱電変換層30が粗になりやすく、空隙ができやすくなる。この結果、n型熱電変換層30の機械強度が低下し、熱電モジュール1の使用時等に、n型熱電変換層30が破損しやすくなる。
なお、p型合金粉末200やn型合金粉末300を作製する方法は、上述した方法に限られず、例えばアトマイズ法等により作製してもよい。また、秤量した各種原料の粉末を混合した混合粉末を焼成し、粉砕したものをp型熱電変換層20やn型熱電変換層30の原材料として用いてもよい。
(n型熱電焼結体の作製)
本実施の形態では、上述したp型熱電焼結体と同じく、放電プラズマ焼結法を用いて、n型熱電焼結体を作製している。
図5は、n型熱電焼結体の作製方法を説明するための図である。より具体的に説明すると、図5は、焼結前のn型熱電焼結体の各種原材料の断面構成を示している。
n型熱電焼結体の作製においては、n型熱電焼結体の原材料として、上述したn型合金粉末300と、2枚のn側第1金属箔310aと、2枚のn側第2金属箔310bと、2枚のn側第3金属箔320とが用いられる。
これらのうち、n側第1導体層31aの原材料となるn側第1金属箔310aには、コバルトを含む金属箔あるいはニッケルを含む金属箔が用いられる。n側第1金属箔310aの厚さは、例えば、10μm以上100μm以下とすることが好ましい。
また、n側第2導体層31bの原材料となるn側第2金属箔310bには、チタンを含む金属箔が用いられる。n側第2金属箔310bの厚さは、例えば、10μm以上100μm以下とすることが好ましい。
さらに、n側接合層32の原材料となるn側第3金属箔320には、銅を含む金属箔が用いられる。n側第3金属箔320の厚さは、例えば、10μm以上100μm以下とすることが好ましい。
そして、これら各種原材料は、ダイス11の内部且つ下部パンチ12と上部パンチ13との間に、下部パンチ12側から、n側第3金属箔320、n側第2金属箔310b、n側第1金属箔310a、n型合金粉末300、n側第1金属箔310a、n側第2金属箔310b、n側第3金属箔320の順で配置される。このとき、下部パンチ12の上面には、相対的に下方に位置するn側第3金属箔320の下面が接触し、上部パンチ13の下面には、相対的に上方に位置するn側第3金属箔320の上面が接触する。
次に、図5に示す状態のものを、図示しない放電プラズマ焼結装置に設置し、p型熱電焼結体の場合と同様にして、放電プラズマ焼結を行う。本実施の形態のn型熱電焼結体の場合、放電プラズマ焼結における圧力を40MPa〜60MPaとし、焼成温度を700℃程度とすることが好ましい。
このようにして、放電プラズマ焼結により、n側第3金属箔320を原材料とするn側接合層32、n側第2金属箔310bを原材料とするn側第2導体層31b、n側第1金属箔310aを原材料とするn側第1導体層31a、n型合金粉末300を原材料とするn型熱電変換層30、n側第1金属箔310aを原材料とするn側第1導体層31a、n側第2金属箔310bを原材料とするn側第2導体層31b、および、n側第3金属箔320を原材料とするn側接合層32を、この順に積層し且つ一体化してなる、n型熱電焼結体が得られる。このとき、得られるn型熱電焼結体は円板状(タブレット状)を呈している。
(n型熱電素子の作製)
上述した手順にて得られたn型熱電焼結体を切断し、複数のn型熱電素子3に分割する。n型熱電焼結体の切断方法としては特に限定されないが、バンドソーやワイヤソー等が用いられる。また、分割後の各n型熱電焼結体の形状は、例えば直方体状とすることができる。
以上の工程を経ることで、図3に示したn型熱電素子3が得られる。
[熱電モジュールの製造方法]
続いて、上述した方法で作製したp型熱電素子2およびn型熱電素子3を用いて、熱電モジュール1を作製する方法の一例について説明する。
熱電モジュール1を作製する場合、まず、例えばセラミック等で構成される絶縁性の基板7a、b上に、銅等で構成される複数の電極4を並べて取り付ける。
次いで、p型熱電素子2とn型熱電素子3とが交互に直列的に接続されるように、複数のp型熱電素子2およびn型熱電素子3を、基板7b上に取り付けられたそれぞれの電極4に対して接続する。この際、複数のp型熱電素子2および複数のn型熱電素子3を、複数の電極4が取り付けられた2枚の基板7a、7bで挟むようにする。
それぞれのp型熱電素子2では、p側接合層22が電極4に接続され、それぞれのn型熱電素子3では、n側接合層32が電極4に接続されることになる。また、それぞれのp型熱電素子2およびそれぞれのn型熱電素子3は、例えば銀ペースト等の金属ペーストを介して電極4に接続される。なお、電極4の接合に用いる金属ペーストとしては、銀ペースト、金ペースト、白金ペースト等が挙げられる。
ここでは、銀ペーストを用いて電極4を接合する場合について説明する。
まず、電極4上に所定量の銀ペーストを塗布する。
続いて、電極4に塗布された銀ペースト上にp型熱電素子2およびn型熱電素子3を載せ、予め定めた第1圧力(例えば1MPa)で加圧しながら、予め定めた第1温度(例えば100℃)の真空雰囲気下で所定時間(例えば15分間)保持する。これにより、銀ペーストに含まれる有機溶媒を揮発させる。
次に、温度を第1温度から第2温度(例えば500℃)に上昇させ、第1圧力よりも高い第2圧力(例えば3.7MPa)で加圧しながら、所定時間(例えば30分間)保持する。これにより、銀ペーストに含まれる銀粒子同士が凝集し、p型熱電素子2およびn型熱電素子3に対して、銀ペーストにより電極4が接合される。
なお、本実施の形態の熱電モジュール1では、複数の電極4を用いて、複数のp型熱電素子2と複数のn型熱電素子3とを挟み込む構成を採用している。このため、p型熱電素子2とn型熱電素子3とで、積層方向の厚さ(高さ)を揃えておくことが好ましい。そのためには、p型熱電焼結体あるいはp型熱電素子2の状態で、厚さを揃えるための研磨・研削を行っておくことが好ましく、また、n型熱電焼結体あるいはn型熱電素子3の状態で、厚さを揃えるための研磨・研削を行っておくことが好ましい。ここで、例えばp型熱電素子2の場合は、2つのp側接合層22のうちの一方のみを研磨してもよいし、両方を研磨してもかまわない。ただし、最終的に得られるp型熱電素子2の両面のそれぞれを、p側接合層22が覆っていることが必要となる。また、例えばn型熱電素子3の場合は、2つのn側接合層32のうちの一方のみを研磨してもよいし、両方を研磨してもかまわない。ただし、最終的に得られるn型熱電素子3の両面のそれぞれを、n側接合層32が覆っていることが必要となる。
作製した熱電モジュール1を発電に使用する場合には、上述したように、一方の基板7a側を高温側とし、他方の基板7b側を低温側として配置する。そして、熱電モジュール1に対して、高温側の基板7aを介して熱を加え、低温側の基板7bを介して熱を奪うことによって、それぞれのp型熱電素子2およびn型熱電素子3に温度差を生じさせ、起電力を発生させる。そして、電極4に接続された2本のリード線6に電気抵抗負荷を与えることで、電流を取り出す。
ここで、本実施の形態のようにアンチモンを含むフィルドスクッテルダイト構造の合金からなる熱電変換層(p型熱電変換層20、n型熱電変換層30)を含む熱電素子(p型熱電素子2、n型熱電素子3)を用いた熱電モジュール1では、高温側の温度が約400℃〜600℃、低温側の温度が約50℃〜100℃となるように使用される場合が多い。
[実施の形態1のまとめ]
本実施の形態の熱電モジュール1では、p型熱電素子2およびn型熱電素子3のそれぞれにおいて各層の破断や割れが抑制される。また、本実施の形態では、p型熱電素子2において、p側中間層21を介したp型熱電変換層20とp側接合層22との接合性能を向上させることができる。さらに、本実施の形態では、n型熱電素子3において、n側中間層31を介したn型熱電変換層30とn側接合層32との接合性能を向上させることができる。これにより、熱電モジュール1の耐久性を向上させることができる。
また、本実施の形態では、p型熱電素子2において、粉体を原材料とするp型熱電変換層20に積層するp側中間層21(p側第1導体層21a、p側第2導体層21b)およびp側接合層22の原材料として、金属箔を用いた。これにより、これら各層を、粉体を原材料とする焼結体や気相成長させた薄膜等で構成する場合と比較して、製造工程を簡易化できるとともに、これら各層の厚さのむらを低減することが可能になる。その結果、p型熱電素子2の最外層であって電極4との接合に用いられるp側接合層22を厚さ方向に貫通する、ピンホールの発生を抑制することができる。また、n型熱電素子3の最外層であって電極4との接合に用いられるn側接合層32を厚さ方向に貫通する、ピンホールの発生を抑制することができる。
<実施の形態2>
本実施の形態は、実施の形態1とほぼ同様であるが、n型熱電素子3の構成の一部および製造方法の一部が、実施の形態1とは異なっている。なお、本実施の形態において、実施の形態1と同様のものについては、実施の形態1と同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
[n型熱電素子]
図6は、n型熱電素子3の一例を示した断面模式図である。
本実施の形態のn型熱電素子3は、n側中間層31が単層構成となっている点が、実施の形態1とは異なる。
(n側中間層)
中間層の一例としてのn側中間層31は、例えば、チタンを必須とし、さらにアルミニウム、鉄、コバルトもしくはニッケルの少なくとも一種以上を含む層によって構成されている。n側中間層31はチタンを主成分とすることが好ましく、チタンの含有量は80重量%以上であることが好ましい。なお、n側中間層31は、原料に含まれる不可避不純物を含んでいてもよい。
本実施の形態のn側中間層31は、n型熱電変換層30からのアンチモンの拡散を抑制するとともに、n型熱電変換層30とn側接合層32との間で発生する熱応力を緩和する。
n側中間層31の厚さは、例えば、10μm以上100μm以下の範囲とすることができる。
[n型熱電素子の製造方法]
では、本実施の形態のn型熱電素子3の製造方法について説明を行う。
ここで、本実施の形態のn型熱電素子3の製造方法は、実施の形態1で説明したものと、『(2)n型熱電素子3の元となる「n型熱電焼結体の作製」』の内容の一部が異なる。
(n型熱電焼結体の作製)
本実施の形態では、実施の形態1と同じく、放電プラズマ焼結法を用いて、n型熱電焼結体を作製している。
図7は、n型熱電焼結体の作製方法を説明するための図である。より具体的に説明すると、図7は、焼結前のn型熱電焼結体の各種原材料の断面構成を示している。
n型熱電焼結体の作製においては、n型熱電焼結体の原材料として、上述したn型合金粉末300と、金属混合粉末310と、2枚のn側第3金属箔320とが用いられる。
ここで、n側中間層31の原材料となる金属混合粉末310としては、チタン粉末を必須とし、さらにアルミニウム粉末、鉄粉末、コバルト粉末もしくはニッケル粉末の少なくとも一種を含む混合粉末が用いられる。そして、図7に示す状態における金属混合粉末310の積層物の厚さは、例えば、10μm以上100μm以下とすることが好ましい。
そして、これら各種原材料は、ダイス11の内部且つ下部パンチ12と上部パンチ13との間に、下部パンチ12側から、n側第3金属箔320、金属混合粉末310、n型合金粉末300、金属混合粉末310、n側第3金属箔320の順で配置される。このとき、下部パンチ12の上面には、相対的に下方に位置するn側第3金属箔320の下面が接触し、上部パンチ13の下面には、相対的に上方に位置するn側第3金属箔320の上面が接触する。
次に、図7に示す状態のものを、図示しない放電プラズマ焼結装置に設置し、実施の形態1の場合と同様にして、放電プラズマ焼結を行う。本実施の形態のn型熱電焼結体の場合、放電プラズマ焼結における圧力を20MPa〜30MPaとし、焼成温度を700℃程度とすることが好ましい。
このようにして、放電プラズマ焼結により、n側第3金属箔320を原材料とするn側接合層32、金属混合粉末310を原材料とするn側中間層31、n型合金粉末300を原材料とするn型熱電変換層30、金属混合粉末310を原材料とするn側中間層31、および、n側第3金属箔320を原材料とするn側接合層32を、この順に積層し且つ一体化してなる、n型熱電焼結体が得られる。このとき、得られるn型熱電焼結体は円板状(タブレット状)を呈している。
なお、実施の形態1で説明したp型熱電素子2と、このようにして得られたn型熱電焼結体を切断することで得たn型熱電素子3と、電極4等とを用いて、図1に示す熱電モジュール1を作製することができる。
[実施の形態2のまとめ]
本実施の形態のp型熱電素子2については、実施の形態1と同じ構成であり、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態のn型熱電素子3については、n側中間層31は粉体(金属混合粉末310)の焼結体で構成されるものの、n側接合層32については、実施の形態1と同じく金属箔で構成される。これにより、n側接合層32の厚さのむらを低減することができる。
続いて、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例>
(1−1)p型合金粉末の作製
上述したストリップキャスト法により、プラセオジム、ネオジム、鉄、ニッケル、アンチモンをそれぞれ1.2%、3.4%、20.3%、3.6%、71.5%の比(原子比)で含み、平均厚みが0.3mmの急冷凝固合金を得た。得られた急冷凝固合金をディスクミルにて粉砕することで、平均粒子径が100μmのp型合金粉末200を作製した。ここで、材料の溶解および冷却は、大気圧のアルゴン雰囲気下で行い、溶融温度を1450℃、冷却速度を500℃〜2000℃/秒、ロールの回転速度を1.0m/秒とした。
(1−2)p型熱電焼結体の作製
次に、大気圧のアルゴン雰囲気下に設定されたグローブボックスの内部に、ダイス11および下部パンチ12を配置するとともに、ダイス11の開口部の下側に下部パンチ12を取り付けた。そして、ダイス11および下部パンチ12によって形成される円柱状の内部空間に、上方から所定量のp型合金粉末200を投入した。それから、ダイス11の開口部に、上方から上部パンチ13を取り付け、手押し等により、ダイス11内のp型合金粉末200を下部パンチ12と上部パンチ13とによって挟み込むことで、p型合金粉末200の厚さを均一にした。
続いて、グローブボックス内に設置された成形機に、p型合金粉末200を内部に収容したダイス11、下部パンチ12および上部パンチ13を取り付けた。そして、成形機を用いて、下部パンチ12および上部パンチ13に20MPa〜30MPaの圧力を加えることで、これらに挟まれるp型合金粉末200を仮プレスした。なお、仮プレス後のp型合金粉末200の積層物の厚さは、約3.5mmであった。
次に、成形機から、p型合金粉末200を内部に収容したダイス11、下部パンチ12および上部パンチ13を取り外すとともに、さらに上部パンチ13を取り外した。そして、ダイス11の内部に露出する、仮プレス済みのp型合金粉末200の一方の面に、p側第1金属箔210a、p側第2金属箔210bおよびp側第3金属箔220を、この順で積載した。その後、窒化ホウ素粉末からなる離型剤を表面に塗布した上部パンチ13を、上方からp側第3金属箔220の上に乗せた。
次いで、上部パンチ13側が下方となり、下部パンチ12側が上方となるように、ダイス11の天地を返し、さらに下部パンチ12を取り外した。そして、ダイス11の内部に露出する、仮プレス済みのp型合金粉末200の他方の面に、p側第1金属箔210a、p側第2金属箔210bおよびp側第3金属箔220を、この順で積載した。その後、窒化ホウ素粉末からなる離型剤を表面に塗布した下部パンチ12を、上方からp側第3金属箔220の上に乗せた。そして、上部パンチ13側が上方となり、下部パンチ12側が下方となるように、再度ダイス11の天地を返した。以上により、図4に示す状態を得た。
ここで、p側第1金属箔210a、p側第2金属箔210bおよびp側第3金属箔220には、それぞれ約100μmの厚さのものを用いた。
次に、各種原材料を内部に収容したダイス11、下部パンチ12および上部パンチ13をグローブボックスから取り出し、図示しない放電プラズマ焼結装置のチャンバ内に設置した。そして、下部パンチ12および上部パンチ13に20MPa〜30MPaの圧力を加えることで、これらに挟まれる各種原材料をプレスしつつ、チャンバ内を脱気し、脱気後のチャンバ内にアルゴンガスを導入した。
続いて、下部パンチ12および上部パンチ13を介して各種原材料に加える圧力を60MPaまで増加させて、下部パンチ12および上部パンチ13に直流パルス電流を供給してプラズマアークを発生させ、放電プラズマ焼結を行った。ここで、p型熱電焼結体の場合、焼成温度は600℃とし、600℃での焼成時間(保持時間)は5分とした。
そして、600℃×5分が経過した後、下部パンチ12および上部パンチ13を介して加える圧力を0MPaまで低下させるとともに、直流パルス電流の供給を停止することで、炉冷を行った。その後、炉内が50℃以下となってから、各種原材料を内部に収容したダイス11、下部パンチ12および上部パンチ13を、チャンバ内から取り出し、さらに各種原材料を放電プラズマ焼結して得られた、p型熱電焼結体を取り出した。
焼結後のp型熱電焼結体において、p型熱電変換層20の厚さは約3.5mmであり、p側第1導体層21aの厚さは約100μmであり、p側第2導体層21bの厚さは約100μmであり、p側接合層22の厚さは約100μmであった。なお、得られたp型熱電焼結体の両面には、p型熱電焼結体の厚さを4.0mmに調整するための研磨を施した。これにより、研磨後のp型熱電焼結体における2つのp側接合層22の厚さは、研磨前よりも減少した。
(1−3)p型熱電素子の作製
続いて、得られたp型熱電焼結体をバンドソーにより切断し、図2に示した積層構造を有し、縦3.7mm×横3.7mm×高さ4.0mmの寸法を有する、p型熱電素子2を得た。
(2−1)n型合金粉末の作製
上述したストリップキャスト法により、バリウム、鉄、イッテルビウム、コバルト、アンチモンをそれぞれ0.4%、1.4%、1.4%、23.2%、73.6%の比(原子比)で含み、平均厚みが0.3mmの急冷凝固合金を得た。得られた急冷凝固合金をディスクミルにて粉砕することで、平均粒子径が100μmのn型合金粉末300を作製した。ここで、材料の溶解および冷却は、大気圧のアルゴン雰囲気下で行い、溶融温度を1450℃、冷却速度を500℃〜2000℃/秒、ロールの回転速度を1.0m/秒とした。
(2−2)n型熱電焼結体の作製
次に、大気圧のアルゴン雰囲気下に設定されたグローブボックスの内部に、ダイス11および下部パンチ12を配置するとともに、ダイス11の開口部の下側に下部パンチ12を取り付けた。そして、ダイス11および下部パンチ12によって形成される円柱状の内部空間に、上方から所定量のn型合金粉末300を投入した。それから、ダイス11の開口部に、上方から上部パンチ13を取り付け、手押し等により、ダイス11内のn型合金粉末300を下部パンチ12と上部パンチ13とによって挟み込むことで、n型合金粉末300の厚さを均一にした。
続いて、グローブボックス内に設置された成形機に、n型合金粉末300を内部に収容したダイス11、下部パンチ12および上部パンチ13を取り付けた。そして、成形機を用いて、下部パンチ12および上部パンチ13に20MPa〜30MPaの圧力を加えることで、これらに挟まれるn型合金粉末300を仮プレスした。なお、仮プレス後のn型合金粉末300の積層物の厚さは、約3.5mmであった。
次に、成形機から、n型合金粉末300を内部に収容したダイス11、下部パンチ12および上部パンチ13を取り外すとともに、さらに上部パンチ13を取り外した。そして、ダイス11の内部に露出する、仮プレス済みのn型合金粉末300の一方の面に、n側第1金属箔310a、n側第2金属箔310bおよびn側第3金属箔320を、この順で積載した。その後、窒化ホウ素粉末からなる離型剤を表面に塗布した上部パンチ13を、上方からn側第3金属箔320の上に乗せた。
次いで、上部パンチ13側が下方となり、下部パンチ12側が上方となるように、ダイス11の天地を返し、さらに下部パンチ12を取り外した。そして、ダイス11の内部に露出する、仮プレス済みのn型合金粉末300の他方の面に、n側第1金属箔310a、n側第2金属箔310bおよびn側第3金属箔320を、この順で積載した。その後、窒化ホウ素粉末からなる離型剤を表面に塗布した下部パンチ12を、上方からn側第3金属箔320の上に乗せた。そして、上部パンチ13側が上方となり、下部パンチ12側が下方となるように、再度ダイス11の天地を返した。以上により、図5に示す状態を得た。
ここで、n側第1金属箔310a、n側第2金属箔310bおよびn側第3金属箔320には、それぞれ約100μmの厚さのものを用いた。
次に、各種原材料を内部に収容したダイス11、下部パンチ12および上部パンチ13をグローブボックスから取り出し、図示しない放電プラズマ焼結装置のチャンバ内に設置した。そして、下部パンチ12および上部パンチ13に20MPa〜30MPaの圧力を加えることで、これらに挟まれる各種原材料をプレスしつつ、チャンバ内を脱気し、脱気後のチャンバ内にアルゴンガスを導入した。
続いて、下部パンチ12および上部パンチ13を介して各種原材料に加える圧力を60MPaまで増加させて、下部パンチ12および上部パンチ13に直流パルス電流を供給してプラズマアークを発生させ、放電プラズマ焼結を行った。ここで、n型熱電焼結体の場合、焼成温度は700℃とし、700℃での焼成時間(保持時間)は5分とした。
そして、700℃×5分が経過した後、下部パンチ12および上部パンチ13を介して加える圧力を0MPaまで低下させるとともに、直流パルス電流の供給を停止することで、炉冷を行った。その後、炉内が50℃以下となってから、各種原材料を内部に収容したダイス11、下部パンチ12および上部パンチ13を、チャンバ内から取り出し、さらに各種原材料を放電プラズマ焼結して得られた、n型熱電焼結体を取り出した。
焼結後のn型熱電焼結体において、n型熱電変換層30の厚さは約3.5mmであり、n側第1導体層31aの厚さは約100μmであり、n側第2導体層31bの厚さは約100μmであり、n側接合層32の厚さは約100μmであった。なお、得られたn型熱電焼結体の両面には、n型熱電焼結体の厚さを4.0mmに調整するための研磨を施した。これにより、研磨後のn型熱電焼結体における2つのn側接合層32の厚さは、研磨前よりも減少した。
(2−3)n型熱電素子の作製
続いて、得られたn型熱電焼結体をバンドソーにより切断し、図3に示した積層構造を有し、縦3.7mm×横3.7mm×高さ4.0mmの寸法を有する、n型熱電素子3を得た。
(3)熱電モジュールの作製
幅4.1mm×長さ8.8mm×厚さ0.5mmの銅からなる電極4を、基板7aの一方の面には18個、基板7bの一方の面には19個、それぞれ並べて取り付けた。次に、基板7aに取り付けられた18個の電極4上および基板7bに取り付けられた19個の電極4上に、銀ペーストを厚さ20μm〜50μmとなるように塗布した。続いて、18対のp型熱電素子2およびn型熱電素子3を、塗布した銀ペースト上に並べて載せた。すなわち、18対のp型熱電素子2およびn型熱電素子3を、それぞれに電極4が取り付けられた2枚の基板7a、7bで挟んだ。そして、この状態にて、1MPaの圧力で加圧しながら、100℃の真空雰囲気下で15分間保持した。続いて、温度を500℃に上昇させ、3.7MPaの圧力で加圧しながら、30分間保持した。
これにより、18対のp型熱電素子2およびn型熱電素子3を34個の電極4により直列に接続してなる、縦30mm×横30mm×高さ6mmの熱電モジュール1を得た。
<比較例>
比較例では、『p型熱電焼結体の作製』以外は実施例と同様にしてp型熱電素子2を得、『n側熱電焼結体の作製』以外は実施例と同様にして、n型熱電素子3を得た。また、比較例では、実施例と同様にして、p型熱電素子2およびn型熱電素子3に電極4を取り付け、熱電モジュール1を得た。
以下に、比較例における『p型熱電焼結体の作製』および『n側熱電焼結体の作製』について説明を行う。ただし、比較例においては、p型熱電変換層20を含む焼結体を放電プラズマ焼結にて作製した後、この焼結体に、PVD法を用いてp側接合層22等を積層している。また、比較例においては、n型熱電変換層30を含む焼結体を放電プラズマ焼結にて作製した後、この焼結体に、PVD法を用いてn側接合層32等の積層を行っている。そして、比較例では、p型熱電変換層20を含む焼結体にp側接合層22等を別途積層したものを「p側熱電焼結体」と呼ぶこととし、また、n型熱電変換層30を含む焼結体にn側接合層32等を別途積層したものを「p側熱電焼結体」と呼ぶこととする。
(a)p型熱電焼結体の作製
大気圧のアルゴン雰囲気下に設定されたグローブボックスの内部に、ダイス11および下部パンチ12を配置するとともに、ダイス11の開口部の下側に下部パンチ12を取り付けた。そして、ダイス11および下部パンチ12によって形成される円柱状の内部空間に、上方から、平均粒径15μmのチタン粉末からなるp側第2導体層21bの材料粉末と、平均粒径70μmの鉄粉末からなるp側第1導体層21aの材料粉末と、平均粒径が100μmのp型合金粉末200と、上記p側第1導体層21aの材料粉末と、上記p側第2導体層21bの材料粉末とを、この順序で投入した。それから、ダイス11の開口部に、上方から上部パンチ13を取り付け、手押し等により、ダイス11内の各種原材料を下部パンチ12と上部パンチ13とによって挟み込むことで、p側第2導体層21bの材料粉末、p側第1導体層21aの材料粉末およびp型合金粉末200の厚さを均一にした。
次に、各種原材料を内部に収容したダイス11、下部パンチ12および上部パンチ13をグローブボックスから取り出し、図示しない放電プラズマ焼結装置のチャンバ内に設置した。そして、下部パンチ12および上部パンチ13に20MPa〜30MPaの圧力を加えることで、これらに挟まれる各種原材料をプレスしつつ、チャンバ内を脱気し、脱気後のチャンバ内にアルゴンガスを導入した。
続いて、下部パンチ12および上部パンチ13を介して各種原材料に加える圧力を60MPaまで増加させて、下部パンチ12および上部パンチ13に直流パルス電流を供給してプラズマアークを発生させ、放電プラズマ焼結を行った。ここで、p型熱電焼結体の場合、焼成温度は600℃とし、600℃での焼成時間(保持時間)は5分とした。
そして、600℃×5分が経過した後、下部パンチ12および上部パンチ13を介して加える圧力を0MPaまで低下させるとともに、直流パルス電流の供給を停止することで、炉冷を行った。その後、炉内が50℃以下となってから、各種原材料を内部に収容したダイス11、下部パンチ12および上部パンチ13を、チャンバ内から取り出し、さらに各種原材料を放電プラズマ焼結して得られた、焼結体を取り出した。
焼結後の焼結体において、p型熱電変換層20の厚さは約3.5mmであり、p側第1導体層21aの厚さは約150μmであり、p側第2導体層21bの厚さは約100μmであった。
次に、PVD法、より具体的には一連のスパッタ法により、p型熱電焼結体の2つのp側第2導体層21bのそれぞれの上に、窒化チタン層およびチタン層と、銅からなるp側接合層22とを順に積層し、p型熱電焼結体を得た。
ここで、窒化チタン層の積層は、フローガスとして窒素ガス(125cm3/min)とアルゴンガス(75cm3/min)との混合ガスを供給して圧力を2.6Paとし、雰囲気温度を450℃として、30分間行った。
また、チタン層の積層は、フローガスとしてアルゴンガス(75cm3/min)を供給して圧力を2.2Paとし、雰囲気温度を450℃として、5分間行った。
さらに、p側接合層22の積層は、フローガスとしてアルゴンガス(75cm3/min)を供給して圧力を2.2Paとし、雰囲気温度を450℃として、30分間行った。
以上により、比較例のp型熱電素子2を得た。
ここで、窒化チタン層の厚さは2μm〜5μmであり、チタン層の厚さは1μmであり、銅からなるp側接合層22の厚さは2μm〜5μmであった。
なお、比較例のp型熱電素子2において、チタンからなるp側第2導体層21bと、銅からなるp側接合層22との間に、窒化チタン層およびチタン層を設けているのは、次の理由による。すなわち、チタン粉体の焼結によって作製したp側第2導体層21bに、銅からなるp側接合層22をPVD法によって直接積層した場合、両者の接合性能が低く、剥がれが生じやすくなるためである。
(b)n型熱電焼結体の作製
大気圧のアルゴン雰囲気下に設定されたグローブボックスの内部に、ダイス11および下部パンチ12を配置するとともに、ダイス11の開口部の下側に下部パンチ12を取り付けた。そして、ダイス11および下部パンチ12によって形成される円柱状の内部空間に、上方から、平均粒径44μmのチタン粉末および平均粒径5μmのアルミニウム粉末からなるn側中間層31の材料粉末(混合粉末)と、平均粒径が100μmのn型合金粉末300と、上記n側中間層31の材料粉末とを、この順序で投入した。それから、ダイス11の開口部に、上方から上部パンチ13を取り付け、手押し等により、ダイス11内の各種原材料を下部パンチ12と上部パンチ13とによって挟み込むことで、n側中間層31の材料粉末とn型合金粉末300の厚さを均一にした。
次に、各種原材料を内部に収容したダイス11、下部パンチ12および上部パンチ13をグローブボックスから取り出し、図示しない放電プラズマ焼結装置のチャンバ内に設置した。そして、下部パンチ12および上部パンチ13に20MPa〜30MPaの圧力を加えることで、これらに挟まれる各種原材料をプレスしつつ、チャンバ内を脱気し、脱気後のチャンバ内にアルゴンガスを導入した。
続いて、下部パンチ12および上部パンチ13を介して各種原材料に加える圧力を60MPaまで増加させて、下部パンチ12および上部パンチ13に直流パルス電流を供給してプラズマアークを発生させ、放電プラズマ焼結を行った。ここで、n型熱電焼結体の場合、焼成温度は700℃とし、700℃での焼成時間(保持時間)は5分とした。
そして、700℃×5分が経過した後、下部パンチ12および上部パンチ13を介して加える圧力を0MPaまで低下させるとともに、直流パルス電流の供給を停止することで、炉冷を行った。その後、炉内が50℃以下となってから、各種原材料を内部に収容したダイス11、下部パンチ12および上部パンチ13を、チャンバ内から取り出し、さらに各種原材料を放電プラズマ焼結して得られた、焼結体を取り出した。
焼結後の焼結体において、n型熱電変換層30の厚さは約3.5mmであり、n側中間層31の厚さは約200μmmであった。
次に、PVD法、より具体的には一連のスパッタ法により、n型熱電焼結体の2つのn側中間層31のそれぞれの上に、窒化チタン層およびチタン層と、銅からなるn側接合層32とを順に積層し、n型熱電焼結体を得た。
なお、これら窒化チタン層、チタン層および銅層からなるn側接合層32の積層条件は、比較例のp型熱電焼結体の作製における窒化チタン層、チタン層および銅層からなるp側接合層22の積層条件と同じにした。
以上により、比較例のn型熱電素子3を得た。
ここで、窒化チタン層の厚さは2μm〜5μmであり、チタン層の厚さは1μmであり、銅からなるn側接合層32の厚さは2μm〜5μmであった。
<評価>
(各層の厚さのむら)
まず、実施例および比較例において、p型熱電素子2およびn型熱電素子3のそれぞれの断面を観察した。
図8(a)は実施例のp型熱電素子2のSEM(Scanning Electron Microscope)による断面写真であり、図8(b)は比較例のp型熱電素子2のSEMによる断面写真である。ここで、実施例のp型熱電素子2では、p側接合層22に研磨が施されていることにより、p側接合層22の厚さが、p側第1導体層21aおよびp側第2導体層21bよりも薄くなっている。なお、比較例のp型熱電素子2では、実際には、p側第2導体層21bとp側接合層22との間に窒化チタン層およびチタン層が存在しているのであるが、ここでは、これら窒化チタン層およびチタン層を含めて、p側接合層22と記載している。
実施例のp型熱電素子2では、p側第1導体層21a、p側第2導体層21bおよびp側接合層22が、すべて金属箔で構成されている。一方、比較例のp型熱電素子2では、p側第1導体層21aおよびp側第2導体層21bの両者が、金属粉末の焼結体で構成され、窒化チタン層、チタン層およびp側接合層22の三者が、PVD法による金属の堆積物で構成されている。
図8より、p型熱電変換層20とp側第1導体層21aとの界面、p側第1導体層21aとp側第2導体層21bとの界面、および、p側第2導体層21bとp側接合層22との界面が、比較例のp型熱電素子2と比べて平坦となっていることがわかる。すなわち、実施例のp型熱電素子2では、p側第1導体層21a、p側第2導体層21bおよびp側接合層22のそれぞれの厚さのむらが、比較例のp型熱電素子2と比べて低減されている。
また、図8より、実施例のp型熱電素子2におけるp側第1導体層21a、p側第2導体層21bおよびp側接合層22の、それぞれの緻密さは、比較例のp型熱電素子2と比べて高くなっていることがわかる。すなわち、実施例のp型熱電素子2では、p側第1導体層21a、p側第2導体層21bおよびp側接合層22のそれぞれにおける空孔の数が、比較例のp型熱電素子2と比べて低減されている。
なお、ここでは詳細な説明を行わないが、n型熱電素子3についても、p型熱電素子2と同様の結果が得られた。
(接合層の表面状態)
次に、実施例および比較例において、p型熱電素子2およびn型熱電素子3のそれぞれの最外層(p側接合層22、n型接合層32)の表面状態を観察した。
図9(a)は実施例のp側接合層22のSEMによる表面写真であり、図9(b)は比較例のp側接合層22のSEMによる表面写真である。
図9より、実施例のp側接合層22では、表面の凹凸が、比較例のp側接合層22と比べて少なくなっていることがわかる。すなわち、実施例のp側接合層22では、粒状を呈している部位が殆どみられないのに対し、比較例のp側接合層22では、粒状を呈している部位が数多く存在している。
また、図9に示すSEM写真の撮影時に、EDS(Energy Dispersive X-ray Spectrometer)による元素マッピングを行った。すると、実施例のp型熱電素子2では、最外層の全域が銅で構成されていたのに対し、比較例のp型熱電素子2では、最外層の一部に、銅の濃度が低くチタンの濃度が高い部位が存在していた(図9(b)に矢印で指し示した、黒くなっている部位を参照)。ここで、銅は、p側接合層22を構成する元素であり、チタンは、p側接合層22の裏側に存在するp側第2導体層21bを構成する元素である。それゆえ、比較例のp型熱電素子2において、銅よりもチタンの濃度が高い部位は、p側接合層22にピンホールが形成されてしまった部位であるものと思量される。このように、実施例のp型熱電素子2では、p側接合層22におけるピンホールの発生のし易さが、比較例のp型熱電素子2と比べて低減されている。
なお、ここでは詳細な説明を行わないが、n型熱電素子3についても、p型熱電素子2と同様の結果が得られた。
1…熱電モジュール、2…p型熱電素子、3…n型熱電素子、4…電極、6…リード線、7a、7b…基板、11…ダイス、12…下部パンチ、13…上部パンチ、20…p型熱電変換層、21…p側中間層、21a…p側第1導体層、21b…p側第2導体層、22…p側接合層、30…n型熱電変換層、31…n側中間層、31a…n側第1導体層、31b…n側第2導体層、32…n側接合層、200…p型合金粉末、210a…p側第1金属箔、210b…p側第2金属箔、220…p側第3金属箔、300…n型合金粉末、310…金属混合粉末、310a…n側第1金属箔、310b…n側第2金属箔、320…n側第3金属箔

Claims (12)

  1. フィルドスクッテルダイト構造の合金からなる熱電変換層と、
    銅を含む金属箔からなり、外部との電気的な接合に用いられる接合層と、
    金属箔からなり、前記熱電変換層と前記接合層との間に設けられる中間層と
    を備える熱電素子。
  2. 前記中間層は、
    前記熱電変換層と対向する側に設けられ、当該熱電変換層の応力を緩和する応力緩和層と、
    前記接合層と対向する側に設けられ、前記熱電変換層と当該接合層との間での元素の拡散を抑制する拡散抑制層と
    を有することを特徴とする請求項1記載の熱電素子。
  3. 前記熱電変換層が、REx(Fe1-yy4Sb12(REは、希土類元素から選択される少なくとも一種、Mは、Co、Niからなる群から選ばれた少なくとも一種、0.01≦x≦1、0≦y≦0.5)で表される、フィルドスクッテルダイト構造の合金からなる場合に、
    前記中間層の前記応力緩和層が、鉄を含む金属箔で構成され、
    前記中間層の前記拡散抑制層が、チタンを含む金属箔で構成されること
    を特徴とする請求項2記載の熱電素子。
  4. 前記熱電変換層が、Rx(Co1-yy4Sb12(Rは、第2族元素もしくは希土類元素から選択される少なくとも一種、Mは、Fe、Niからなる群から選ばれた少なくとも一種、0.01≦x≦1、0≦y≦0.3)で表される、フィルドスクッテルダイト構造の合金からなる場合に、
    前記中間層の前記応力緩和層が、コバルトを含む金属箔またはニッケルを含む金属箔で構成され、
    前記中間層の前記拡散抑制層が、チタンを含む金属箔で構成されること
    を特徴とする請求項2記載の熱電素子。
  5. 遷移金属を含むフィルドスクッテルダイト構造の合金からなる熱電変換層と、
    前記熱電変換層と同じ遷移金属を含む金属箔からなり、前記熱電変換層に積層される第1中間層と、
    チタンを含む金属箔からなり、前記第1中間層に積層される第2中間層と、
    銅を含む金属箔からなり、前記第2中間層に積層されるとともに外部との電気的な接合に用いられる接合層と
    を備える熱電素子。
  6. コバルトと第2族元素もしくは希土類元素から選択される少なくとも1種とを含むフィルドスクッテルダイト構造の合金からなる熱電変換層と、
    銅を含む金属箔からなり、外部との電気的な接続に用いられる接合層と、
    チタンを必須とし、さらにアルミニウム、鉄、コバルトもしくはニッケルの少なくとも一種を含み、前記熱電変換層と前記接合層との間に設けられる中間層と
    を備える熱電素子。
  7. 熱電素子と、当該熱電素子に電気的に接続される電極とを備え、
    前記熱電素子は、
    フィルドスクッテルダイト構造の合金からなる熱電変換層と、
    銅を含む金属箔からなり、前記電極との電気的な接合に用いられる接合層と、
    金属箔からなり、前記熱電変換層と前記接合層との間に設けられる中間層と
    を備える熱電モジュール。
  8. 熱電素子と、当該熱電素子に電気的に接続される電極とを備え、
    前記熱電素子は、
    遷移金属を含むフィルドスクッテルダイト構造の合金からなる熱電変換層と、
    前記熱電変換層と同じ遷移金属を含む金属箔からなり、前記熱電変換層に積層される第1中間層と、
    チタンを含む金属箔からなり、前記第1中間層に積層される第2中間層と、
    銅を含む金属箔からなり、前記第2中間層に積層されるとともに外部との電気的な接合に用いられる接合層と
    を備える熱電モジュール。
  9. 熱電素子と、当該熱電素子に電気的に接続される電極とを備え、
    前記熱電素子は、
    コバルトと第2族元素もしくは希土類元素から選択される少なくとも1種とを含むフィルドスクッテルダイト構造の合金からなる熱電変換層と、
    銅を含む金属箔からなり、外部との電気的な接続に用いられる接合層と、
    チタンを必須とし、さらにアルミニウム、鉄、コバルトもしくはニッケルの少なくとも一種を含み、前記熱電変換層と前記接合層との間に設けられる中間層と
    を備える熱電モジュール。
  10. ダイス内に、銅を含む金属箔、チタンを含む金属箔、鉄を含む金属箔、アンチモンと鉄と希土類元素とを含む合金粉末、鉄を含む金属箔、チタンを含む金属箔、銅を含む金属箔を、順に積層し、
    前記ダイス内の積層物を、当該積層物の積層方向に圧力を付加しながら放電プラズマ焼結すること
    を特徴とする熱電素子の製造方法。
  11. ダイス内に、銅を含む金属箔、チタンを含む金属箔、コバルトを含む金属箔またはニッケルを含む金属箔、アンチモンとコバルトと第2族元素もしくは希土類元素から選択される少なくとも1種とを含む合金粉末、コバルトを含む金属箔またはニッケルを含む金属箔、チタンを含む金属箔、銅を含む金属箔を、順に積層し、
    前記ダイス内の積層物を、当該積層物の積層方向に圧力を付加しながら放電プラズマ焼結すること
    を特徴とする熱電素子の製造方法。
  12. ダイス内に、銅を含む金属箔、チタン粉末と金属Aの粉末とを含む混合粉末、アンチモンとコバルトと第2族元素もしくは希土類元素から選択される少なくとも1種とを含む合金粉末、チタン粉末と金属Aの粉末とを含む混合粉末、銅を含む金属箔を、順に積層し、
    前記ダイス内の積層物を、当該積層物の積層方向に圧力を付加しながら放電プラズマ焼結すること
    を特徴とする熱電素子の製造方法。
    ここで、金属Aはアルミニウム、鉄、コバルト、ニッケルの少なくとも一種を含む。
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