JP5514523B2 - 熱電素子およびその製造方法、ならびに熱電モジュール - Google Patents

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この発明は、熱エネルギを電気エネルギに変換したり、電気エネルギを熱エネルギに変換する熱電モジュールに用いられる熱電素子およびその製造方法、ならび熱電モジュールに関する。
この明細書および特許請求の範囲において、「合金」という用語には、固溶体、金属間化合物、および固溶体と金属間化合物との共存相のいずれもを含むものとする。
近年、自動車や各産業において発生する廃熱を回収し、電気エネルギに変換して利用するといった試みがなされている。熱エネルギを電気エネルギに変換する熱電モジュールは、トムソン効果、ペルチェ効果、ゼーベック効果と呼ばれる熱電効果を利用して、2種類の熱電素子を組み合わせて構成されている。たとえば、熱電材料として半導体を用いた熱電モジュールとしては、従来、p型熱電材料からなる複数のp型熱電素子と、n型熱電材料からなる複数のn型熱電素子と、複数のp型熱電素子と複数のn型熱電素子とを交互に直列接続する電極とを備えており、電極が、p型熱電素子およびn型熱電素子に、はんだ付やろう付などにより金属接合されたものが用いられている。
しかしながら、上述したような熱電モジュールにより熱エネルギを電気エネルギに変化する場合には、熱電モジュールが加熱された状態となるので、熱エネルギにより元素の活性化エネルギが高くなって元素拡散が生じる。その結果、はんだやろう材からなる接合層に含まれる元素が熱電材料に拡散するとともに、熱電材料に含まれる元素が接合層に拡散し、熱電素子の性能が低下する。
このような問題を解決するために、焼結体または溶製体からなる熱電材料と、電極材料とがプラズマ接合された熱電モジュール(特許文献1参照)や、熱電材料と電極材料とが放電プラズマ焼結された熱電モジュール(特許文献2参照)が知られていた。
しかしながら、特許文献1および2記載の熱電モジュールの場合、熱エネルギを電気エネルギに変化する際に加熱されると、熱エネルギにより元素の活性化エネルギが高くなって元素拡散が生じる結果、熱電材料と電極材料との間で相互に元素が拡散し、熱電材料の性能が低下する。
そこで、熱電材料への元素の拡散を防止するために、熱電材料における電極との接合部に、TiまたはTi合金からなる拡散防止層が設けられている熱電素子を用いた熱電モジュールが提案されている(特許文献3参照)。
特許文献3記載の熱電モジュールによれば、Tiが、結晶粒界に沿った短回路拡散が生じる系であるので、温度領域によっては急速に拡散が進む場合がある。また、特許文献3記載の熱電モジュールの熱電素子は、予め焼結された熱電材料にTiまたはTi合金を溶射したり、予め焼結された熱電材料に、予め形成されたTiまたはTi合金からなる拡散防止部材を放電プラズマ焼結することによりつくられている。ところが、Tiの融点が熱電材料の融点よりもはるかに高いので、特許文献3記載の方法では熱電材料がダメージを受けることになり、熱電材料の性能が低下する。しかも、熱電材料に拡散防止層を溶射する方法によれば、十分な膜厚を持った拡散防止層を形成するのは困難であるとともに、拡散防止層の気孔率が高くなって電気抵抗が増大する。また、予め焼結された熱電材料に予め形成された拡散防止部材を放電プラズマ焼結する方法によれば、熱電材料とTiまたはTi合金との融点が大きく異なるので、実際には、両者を接合することは困難である。さらに、特許文献3には、熱電材料粉末と予め形成されたTiまたはTi合金からなる拡散防止部材とを用意し、熱電材料粉末を放電プラズマ焼結して熱電材料をつくるとともに、上記拡散防止部材を熱電材料に放電プラズマ焼結することによって熱電素子をつくる方法も記載されている。しかしながら、この場合、実際には、熱電材料粉末とTiまたはTi合金との融点が大きく異なるので、熱電材料粉末の焼結体を形成することは可能であるが、当該焼結体に拡散防止部材を強固に接合することはできない。
特開平10−65222号公報 特開平10−74986号公報 特開2003−309294号公報
この発明の目的は、上記問題を解決し、電極材料と金属接合した際に熱電材料と電極材料との間での元素の相互拡散を防止しうる熱電素子およびその製造方法、ならびに熱電モジュールを提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
Sbを含む合金からなる熱電材料における電極との接合部に、NiTi 、β−Ti+NiTi +NiTi、α−Ti+NiTi +Ni Ti、NiTi +NiTi、NiTi+Ni Ti、NiTi +Ni Ti、およびNi+NiTi+NiTi +Ni TiのうちのいずれかのNi−Ti合金粉末の焼結体からなる拡散防止層が設けられている熱電素子。
2)上記拡散防止層が、Ni28〜83wt%およびTi17〜72wt%を含有し、かつNiとTiとの合計量が100wt%である合金からなる上記1)記載の熱電素子。
3)熱電材料が、スクッテルダイト型結晶構造を有する合金である上記1)または2)記載の熱電素子。
4)熱電材料が、Sbを含む合金粉末の放電プラズマ焼結体からなり、拡散防止層が、Ni−Ti合金粉末の放電プラズマ焼結体からなる上記1)〜3)のうちのいずれかに記載の熱電素子。
上記1)記載の熱電素子を製造する方法であって、ダイス内に、NiTi 、β−Ti+NiTi +NiTi、α−Ti+NiTi +Ni Ti、NiTi +NiTi、NiTi+Ni Ti、NiTi +Ni Ti、およびNi+NiTi+NiTi +Ni TiのうちのいずれかのNi−Ti合金からなるNi−Ti合金粉末、Sbを含む合金粉末、およびNiTi 、β−Ti+NiTi +NiTi、α−Ti+NiTi +Ni Ti、NiTi +NiTi、NiTi+Ni Ti、NiTi +Ni Ti、およびNi+NiTi+NiTi +Ni TiのうちのいずれかのNi−Ti合金からなるNi−Ti合金粉末をこの順序で入れることにより、ダイス内にNi−Ti合金粉末層、Sbを含む合金粉末層およびNi−Ti合金粉末層を形成し、Ni−Ti合金粉末層、Sbを含む合金粉末層およびNi−Ti合金粉末層の粉末を同時に放電プラズマ焼結することによって、熱電材料および拡散防止層を形成する熱電素子の製造方法。
6)放電プラズマ焼結時の焼結温度が600〜900℃、焼結圧力が35〜50MPaである上記5)記載の熱電素子の製造方法。
7)p型熱電材料およびp型熱電材料における電極との接合面に設けられた拡散防止層からなる複数のp型熱電素子と、n型熱電材料およびn型熱電材料における電極との接合面に設けられた拡散防止層からなる複数のn型熱電素子と、複数のp型熱電素子と複数のn型熱電素子とを交互に直列接続する電極とを備えており、p型熱電素子およびn型熱電素子が、上記1)〜4)のうちのいずれかに記載の熱電素子からなり、電極が、p型熱電素子およびn型熱電素子の拡散防止層に金属接合されている熱電モジュール。
上記1)〜4)の熱電素子によれば、Ni−Ti合金からなる拡散防止層の働きによって、電極材料と金属接合した際に、熱電材料と電極材料との間での元素の相互拡散を防止することが可能になる。すなわち、熱電材料に含まれるSbの原子半径が、Ni−Ti合金の原子半径に比べて大きく、しかもNi−Ti合金が規則構造を取るので、上記1)〜4)の熱電素子と電極材料とを金属接合した際に、熱電材料と電極材料との間での元素の相互拡散を防止することが可能になる。
上記4)の熱電素子は、上記5)の方法により製造することが可能になるが、この場合、特許文献3記載の予め焼結された熱電材料に拡散防止層を溶射したり、予め焼結された熱電材料に予め焼結された拡散防止部材を放電プラズマ焼結する方法のように、熱電材料がダメージを受けることがなく、熱電材料の性能低下を防止することができる。しかも、電極材料と金属接合した際に、熱電材料と電極材料との間での元素の相互拡散を防止するのに十分な膜厚を有する拡散防止層を簡単に形成することができるとともに、拡散防止層の気孔率が低くなって電気抵抗が低減される。さらに、特許文献3記載の熱電材料粉末と予め形成されたTiまたはTi合金からなる拡散防止部材とを用意し、熱電材料粉末を放電プラズマ焼結して熱電材料をつくるとともに、上記拡散防止部材を熱電材料に放電プラズマ焼結することによって熱電素子をつくる方法に比べて、熱電材料と拡散防止層を強固に接合することができる。
上記5)の熱電素子の製造方法よれば、特許文献3記載の熱電材料に拡散防止層を溶射したり、熱電材料に拡散防止層を放電プラズマ焼結する方法のように、熱電材料がダメージを受けることがなく、熱電材料の性能低下を防止することができる。しかも、電極材料と金属接合した際に、熱電材料と電極材料との間での元素の相互拡散を防止するのに十分な膜厚を有する拡散防止層を簡単に形成することができるとともに、拡散防止層の気孔率が低くなって電気抵抗が低減される。さらに、特許文献3記載の熱電材料粉末と予め形成されたTiまたはTi合金からなる部材とを用意し、熱電材料粉末を放電プラズマ焼結して熱電材料をつくるとともに、上記部材を熱電材料に放電プラズマ焼結することによって熱電素子をつくる方法に比べて、熱電材料と拡散防止層を強固に接合することができる。
この発明による熱電素子を用いた熱電モジュールを示す斜視図である。 図1の要部を拡大して示す垂直断面図である。 元素の原子寸法を示すグラフである。 Ni−Ti合金の状態図である。
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
図1はこの発明による熱電素子を用いた熱電モジュールの全体構成を示し、図2はその要部の構成を示す。
図1において、熱電モジュール(1)は、複数のp型熱電素子(2)と、複数のn型熱電素子(3)と、すべてのp型熱電素子(2)とすべてのn型熱電素子(3)とを交互に直列接続する複数の電極(4)とを備えており、一端のp型熱電素子(2)および他端のn型熱電素子(3)に、電極(4)を介してリード線(6)が接続されている。
熱電モジュール(1)の上下両側にはそれぞれ電気絶縁板(7)が配置されており、一方の電気絶縁板(7)、ここでは上側電気絶縁板(7)の上側に高温側熱交換器(図示略)が配置され、同他方の電気絶縁板(7)、ここでは下側電気絶縁板(7)の下側に低温側熱交換器(図示略)が配置されている。そして、矢印Xで示すように、高温側熱交換器により熱を加えるとともに、低温側熱交換器により熱を奪うことによって、各熱電素子(2)(3)の高温側と低温側とに大きな温度差が生じて起電力が発生し、2本のリード線(6)間に電気抵抗負荷を与えると、矢印Yで示すように電流が流れる。
図2に示すように、p型熱電素子(2)およびn型熱電素子(3)は、Sbを含む合金粉末の放電プラズマ焼結体からなる角柱状の熱電材料(8)における電極(4)との接合部、すなわち上下両端面に、Ni−Ti合金粉末の放電プラズマ焼結体からなる拡散防止層(9)が設けられたものである。
熱電材料(8)を形成する合金としては、REx(Fe−yMy)Sb12(REはLa、Ceのうち少なくとも一種、MはTi、Zr、Sn、Pbからなる群から選ばれた少なくとも一種。0<x≦1、0≦y<1)で表されるフィルドスクッテルダイト型の希土類合金からなる半導体が採用可能である。この合金はp型熱電素子(2)の熱電材料(8)に好適に用いられる。この合金中には、Pb、As、Si、Al、Fe、Mo、W、C、O、Nなど不可避不純物を含んでもよく、焼結体の形態で用いられる。また結晶構造はスクッテルダイト型結晶構造であるのがより好ましい。上記希土類合金では、xが0.01より少ないと熱伝導度が悪化して特性が低下し、yが0.15を超えると、ゼーベック係数および電気伝導度両面において著しく低下するため0.15以下が好ましい。またyが0.01未満では添加による性能向上が不十分なので0.01以上が好ましい。上記の範囲内でMを添加すると、ゼーベック係数と電気伝導度の向上が両立できる。
また、熱電材料(8)を形成する合金としては、REx(Co−yMy)Sb12(REはLa、Ceのうち少なくとも一種、MはTi、Zr、Sn、Pbからなる群から選ばれた少なくとも一種。0<x≦1、0≦y<1)で表される希土類合金からなる半導体も採用可能である。この合金はn型熱電素子(3)に好適に用いられる。この希土類合金は、この中にPb、As、Si、Al、Fe、Mo、W、C、O、Nなど不可避不純物を含んでもよく、焼結体の形態で用いられる。また結晶構造はスクッテルダイト型結晶構造であるのがより好ましい。この希土類合金では、xが0.01より少ないと熱伝導度が悪化して特性が低下し、yが0.15を超えると、ゼーベック係数および電気伝導度両面において著しく低下するため0.15以下が好ましい。またyが0.01未満では添加による性能向上が不十分なので0.01以上が好ましい。上記の範囲内でMを添加すると、おもにゼーベック係数が向上できるため、性能が向上できる。
拡散防止層(9)は、Ni28〜83wt%およびTi17〜72wt%を含有し、かつNiとTiとの合計量が100wt%である合金により形成されている。なお、当該合金には不可避不純物が含まれていてもよい。具体的には、NiTi 、β−Ti+NiTi+NiTi、α−Ti+NiTi+NiTi、NiTi+NiTi、NiTi+NiTi、NiTi+NiTi、Ni+NiTi+NiTi+NiTiなどが挙げられる。拡散防止層(9)の厚みは50〜300μm程度であることが好ましい。
Ni−Ti合金からなる拡散防止層(9)によるSbの拡散抑制のメカニズムは、以下に述べる通りである。
固相中の原子の拡散は、C、N、Oなどの原子半径が小さい元素の場合の侵入型の拡散を除いては、原子置換による空孔機構による拡散である。空孔機構による拡散には、空孔への移動時の活性化体積および活性化エネルギを得ることが必要となるので、Sbの拡散を抑制するには、拡散防止層(9)を形成するマトリックスにおいて空孔への移動に必要な活性化体積を得られなくするとともに、当該マトリックスにおいて空孔への移動に必要な活性化エネルギを大きくすればよい。拡散防止層(9)を形成するマトリックスにおいて、Sbの拡散のための活性化体積を得られなくするには、拡散防止層(9)を形成するマトリックス中の元素の原子寸法をSbの原子寸法よりも小さくすればよい。また、拡散防止層(9)を形成するマトリックスにおいて必要な活性化エネルギを大きくするには、マトリックスを規則構造とすればよい。
ここで、図3に示すように、原子寸法がSbよりも小さい元素の中で、合金系として可能性のあるものは、Ni、Fe、Mn、Cr、Co、W、V、TiおよびAlである。これらの元素から規則構造の合金を形成するものを選択すればよい。これらの元素の原子の核外電子数についてまとめたものを表1に示す。
Figure 0005514523
上述した元素は、Alを除いては遷移元素であるから3d殻が電子で満たされないうちに、エネルギ状態の低い外側の4s殻に電子が配列されている。ここで、エネルギ状態が最も高い3d殻の電子数に着目し、組み合わせた状態で4s殻に電子が行くことなく、3d殻が満たされて結合エネルギが強い元素の組み合わせを考えると、Mn−Cr、Co−V、Ni−Tiが選択される。Mn−Cr系の場合に存在する規則構造の合金は、CrMn(D8b型)、Co−V系の場合に存在する規則構造の合金は、CoV(hp24)、CoV(A15)である。また、Ni−Ti系の場合の規則構造の合金は、NiTi(E93)、NiTi(B2)、NiTi(D024)が存在する。ここで、Mn−Cr系の合金は作成が困難であり、Co−V系の合金は融点が高いため焼結が困難であった。そこで、Ni−Ti系を採用した。
図4にNi−Ti系合金の状態図を示す。この状態図より、拡散時に高いエネルギを必要とするB2構造を取る組成としてNi−Ti、E93構造としてNiTi、D024構造のNiTiが適切である。これらの単相または二相を全て規則構造で得る事は困難であるが、NiTiの固溶合金部(図4のA〜C参照)、金属間化合物部(図4のD〜I参照)または両者混在組織(図4のD〜Iの単相または二相の金属間化合物と、α−Ti、β−Ti、Niが混在している組織)においても適切な性能を得ることが出来る。
P型熱電素子およびn型熱電素子は、次の方法で製造される。
ダイス内に、NiTi 、β−Ti+NiTi+NiTi、α−Ti+NiTi+NiTi、NiTi+NiTi、NiTi+NiTi、NiTi+NiTi、Ni+NiTi+NiTi+NiTiなどからなるNi−Ti合金粉末、上述した熱電材料を構成するSbを含む合金粉末、および上記と同様のNi−Ti合金粉末をこの順序で入れることにより、ダイス内にNi−Ti合金粉末層、Sbを含む合金粉末層およびNi−Ti合金粉末層を形成する。ついで、Ni−Ti合金粉末層、Sbを含む合金粉末層およびNi−Ti合金粉末層の粉末を同時に放電プラズマ焼結する。こうして、熱電材料(8)および拡散防止層(9)からなる熱電素子(2)(3)が製造される。
次に、この発明の具体的実施例を、比較例とともに説明する。
実施例1
黒鉛製ダイス内に、β−Ti+α−Ti+NiTi+NiTi+NiTiからなる平均粒径5μmの粉末と、La0.3FeSb4.0からなる平均粒径5μmのp型熱電材料粉末と、β−Ti+α−Ti+NiTi+NiTi+NiTiからなる平均粒径5μmの粉末とをこの順序で入れることにより、ダイス内にNi−Ti合金粉末層、p型熱電材料粉末層およびNi−Ti合金粉末層を形成し、ダイス内に臨むように1対の電極を配置した。その後、焼結温度650℃、焼結圧力40MPaの条件で放電プラズマ焼結を行い、p型熱電材料粉末の放電プラズマ焼結体からなるp型熱電材料の上下両端面に、Ni−Ti合金粉末の放電プラズマ焼結体からなりかつ厚みが300μmの拡散防止層が設けられたp型熱電素子を作製した。
実施例2
拡散防止層を形成するNi−Ti合金粉末としてNiTiからなる平均粒径5μmの粉末を使用し、放電プラズマ焼結条件として、焼結温度670℃、焼結圧力40MPaとしたことを除いては、上記実施例1と同様にして、p型熱電材料粉末の放電プラズマ焼結体からなるp型熱電材料の上下両端面に、Ni−Ti合金粉末の放電プラズマ焼結体からなりかつ厚みが300μmの拡散防止層が設けられたp型熱電素子を作製した。
実施例3
拡散防止層を形成するNi−Ti合金粉末としてNiTi+NiTiからなる平均粒径10μmの粉末を使用し、放電プラズマ焼結条件として、焼結温度650℃、焼結圧力40MPaとしたことを除いては、上記実施例1と同様にして、p型熱電材料粉末の放電プラズマ焼結体からなるp型熱電材料の上下両端面に、Ni−Ti合金粉末の放電プラズマ焼結体からなりかつ厚みが300μmの拡散防止層が設けられたp型熱電素子を作製した。
実施例4〜6
p型熱電材料粉末の代わりに、Ce0.15CoSb3.0からなる平均粒径5μmのn型熱電材料粉末を使用したことを除いては、上記実施例1〜3と同様にして、n型熱電素子を作製した。
評価試験
実施例1〜6の熱電素子を、N2ガス雰囲気中において、500℃で250時間熱暴露した。なお、熱暴露をN2ガス雰囲気中において行ったのは、酸化による熱電材料(8)の崩壊の発生を防止し、正確な拡散状況を観察するためである。そして、EMPA(日本電子社製 JXA-8100)を用いてSb、Ni、Tiの各元素の線分析、面分析を行い、熱電材料(8)中のSbの拡散防止層(9)への拡散状況、および反応層の形成状況を観察した。
その結果、実施例1〜6のいずれにおいても、熱電材料(8)中のSbの拡散防止層(9)への拡散は50μm未満であった。また、拡散防止層(9)において、NiとSbとの反応層、TiとSbとの反応層、NiとTiとSbとの反応層が認められた。これらの反応層も、Sbの拡散を防止する働きをする。
比較例1
黒鉛製ダイス内に、Tiからなる平均粒径50μmの粉末と、La0.3FeSb4.0からなる平均粒径5μmのp型熱電材料粉末と、Tiからなる平均粒径50μmの粉末とをこの順序で入れることにより、ダイス内にTi粉末層、p型熱電材料粉末層およびTi粉末層を形成し、ダイス内に臨むように1対の電極を配置した。その後、焼結温度650〜700℃、焼結圧力40MPaの条件で放電プラズマ焼結を行った。
比較例2
p型熱電材料粉末の代わりに、Ce0.15CoSb3.0からなる平均粒径5μmのn型熱電材料粉末を使用したことを除いては、上記比較例1と同様にして、放電プラズマ焼結を行った。
上記比較例1および2の場合、熱電材料粉末を焼結して熱電材料を形成することができたが、Ti粉末からなる焼結体層はポーラスで気孔率が高く、拡散防止層としては機能しないことが分かった。また、形成された熱電材料とTi粉末からなる焼結体層との接合は極めて脆弱であった。
比較例3
黒鉛製ダイス内にTi粉末からなる焼結体と、La0.3FeSb4.0粉末の焼結体からなるp型熱電材料と、Ti粉末からなる焼結体を入れ、ダイス内に臨むように1対の電極を配置した。その後、焼結温度1000℃、焼結圧力40MPaの条件で放電プラズマ焼結を行った。
比較例4
p型熱電材料の代わりに、Ce0.15CoSb3.0粉末の焼結体からなるn型熱電材料を使用したことを除いては、上記比較例3と同様にして放電プラズマ焼結を行った。
上記比較例3および4の場合、焼結温度が熱電材料の融点を超えているため、熱電材料とTi粉末焼結体とが接合された熱電素子を作製することはできなかった。
この発明による熱電素子は、熱エネルギを電気エネルギに変換したり、電気エネルギを熱エネルギに変換する熱電モジュールに好適に用いられる。
(1):熱電モジュール
(2)(3):熱電素子
(4):電極
(8):熱電材料
(9):拡散防止層

Claims (7)

  1. Sbを含む合金からなる熱電材料における電極との接合部に、NiTi 、β−Ti+NiTi +NiTi、α−Ti+NiTi +Ni Ti、NiTi +NiTi、NiTi+Ni Ti、NiTi +Ni Ti、およびNi+NiTi+NiTi +Ni TiのうちのいずれかのNi−Ti合金粉末の焼結体からなる拡散防止層が設けられている熱電素子。
  2. 上記拡散防止層が、Ni28〜83wt%およびTi17〜72wt%を含有し、かつNiとTiとの合計量が100wt%である合金からなる請求項1記載の熱電素子。
  3. 熱電材料が、スクッテルダイト型結晶構造を有する合金である請求項1または2記載の熱電素子。
  4. 熱電材料が、Sbを含む合金粉末の放電プラズマ焼結体からなり、拡散防止層が、Ni−Ti合金粉末の放電プラズマ焼結体からなる請求項1〜3のうちのいずれかに記載の熱電素子。
  5. 請求項1記載の熱電素子を製造する方法であって、ダイス内に、NiTi 、β−Ti+NiTi +NiTi、α−Ti+NiTi +Ni Ti、NiTi +NiTi、NiTi+Ni Ti、NiTi +Ni Ti、およびNi+NiTi+NiTi +Ni TiのうちのいずれかのNi−Ti合金からなるNi−Ti合金粉末、Sbを含む合金粉末、およびNiTi 、β−Ti+NiTi +NiTi、α−Ti+NiTi +Ni Ti、NiTi +NiTi、NiTi+Ni Ti、NiTi +Ni Ti、およびNi+NiTi+NiTi +Ni TiのうちのいずれかのNi−Ti合金からなるNi−Ti合金粉末をこの順序で入れることにより、ダイス内にNi−Ti合金粉末層、Sbを含む合金粉末層およびNi−Ti合金粉末層を形成し、Ni−Ti合金粉末層、Sbを含む合金粉末層およびNi−Ti合金粉末層の粉末を同時に放電プラズマ焼結することによって、熱電材料および拡散防止層を形成する熱電素子の製造方法。
  6. 放電プラズマ焼結時の焼結温度が600〜900℃、焼結圧力が35〜50MPaである請求項5記載の熱電素子の製造方法。
  7. p型熱電材料およびp型熱電材料における電極との接合面に設けられた拡散防止層からなる複数のp型熱電素子と、n型熱電材料およびn型熱電材料における電極との接合面に設けられた拡散防止層からなる複数のn型熱電素子と、複数のp型熱電素子と複数のn型熱電素子とを交互に直列接続する電極とを備えており、p型熱電素子およびn型熱電素子が、請求項1〜4のうちのいずれかに記載の熱電素子からなり、電極が、p型熱電素子およびn型熱電素子の拡散防止層に金属接合されている熱電モジュール。
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