JP2004235367A - 熱電モジュール - Google Patents

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JP2004235367A JP2003021174A JP2003021174A JP2004235367A JP 2004235367 A JP2004235367 A JP 2004235367A JP 2003021174 A JP2003021174 A JP 2003021174A JP 2003021174 A JP2003021174 A JP 2003021174A JP 2004235367 A JP2004235367 A JP 2004235367A
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広一 田中
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Abstract

【課題】耐衝撃性に優れた高性能熱電モジュールを提供する。
【解決手段】支持基板1a、1bと、該支持基板1a、1b上に配列された複数の熱電素子2と、該複数の熱電素子2間を電気的に連結する配線導体3と、前記支持基板1a、1b上に設けられ、該配線導体3と電気的に連結された外部接続端子4とを具備する熱電モジュールにおいて、前記複数の熱電素子2の一部を、前記熱電素子2の平均熱膨張率との差が20%以内で、且つ前記熱電素子2の平均硬度より10%以上高い強化素子で置換してなることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体等の発熱体の冷却や温度差発電等に好適に使用される熱電素子及び熱電モジュールに関する。
【0002】
【従来技術】
従来より、ペルチェ効果を利用した熱電素子は、電流を流すことにより一端が発熱するとともに他端が吸熱するため、基板の両端に温度差を与えることにより、電気を発生することができ、特に、プラント、焼却、エンジン、燃料電池などあらゆる熱源から排出される排熱を利用し、排熱回収発電への応用が期待されている。
【0003】
また逆に、基板の両端に電位差を設けることにより、冷却用の熱電素子として用いられている。特に、熱電モジュールとしてレーザーダイオードの温度制御、フロンレスの冷却装置、冷蔵庫、恒温槽、光検出素子、半導体製造装置等の電子冷却素子、レーザーダイオードの温度調節等への幅広い利用が期待されている。
【0004】
このような熱電モジュールの構造は、例えば図1に示したように、支持基板1a、1bの表面に、それぞれ配線導体3a、3bが形成され、さらにN型熱電素子2a及びP型熱電素子2bからなる複数の熱電素子2が挟持されるように、半田で接合されている。そして、これらの熱電素子2は、N型、P型、N型、P型と交互に、且つ電気的に直列になるように配線導体3a、3bで接続し、さらに外部接続端子4に接続されている。この外部接続端子4には、半田によって外部配線が接続され、外部から電力が供給される構造となっている。
【0005】
室温付近で使用される場合、熱電素子2には、冷却特性が優れるという観点からA型結晶(AはBi及び/又はSb、BはTe及び/又はSe)が一般的に用いられている。
【0006】
具体的には、N型熱電素子2aとしてBiTeとBiSeとの固溶体が、P型熱電素子2bとしてBiTeとSbTeとの固溶体が特に優れた性能を示すことから、これらの結晶が熱電素子2として広く用いられている。
【0007】
中でも、これらの単結晶は熱電特性に優れるため、熱電モジュールに使用される熱電素子2として最適であり、優れた特性を示すことが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
しかし、単結晶は反面劈開性があって脆いため、熱電モジュールが衝撃を受けると破断やクラックが容易に発生するという問題があった。
【0009】
そのため、熱電モジュールを構成するN型及びP型熱電素子2a、2bとして機械的強度に優れる焼結体が広く使われるようになった。例えば、結晶粒の平均粒径を50μm以下、酸素含有量を1500重量ppm以下に規制することにより、熱電性能を向上させる試みが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0010】
また、厚さ10μm以上の銅電極の上にNiメッキ層を設け、その上に半田層を介して熱電素子2を接合することによって、熱膨張率の違いによって生じた熱応力を導電極に吸収させ、この応力緩和によって信頼性を向上させることが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0011】
〔特許文献1〕
特許第3151759号公報
〔特許文献2〕
特開平10−74984号公報
〔特許文献3〕
特開平6−310765号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献2の熱電モジュールは、焼結体にすることで発生する性能低下を最小限にして、機械的強度を向上させたものの、熱電モジュールの耐衝撃性に関しては未だ不十分であり、熱電モジュールが衝撃を受けると破断したり、クラックが発生するという問題があった。
【0013】
また、特許文献3の熱電モジュールは、銅電極の厚さを大きくすることによって素子と半田の密着強度を向上させる効果を奏するものの、素子自体の耐衝撃性が十分改善されてないため、熱電モジュールが衝撃を受けると破断やクラックが発生するという問題があった。
【0014】
したがって、本発明は、耐衝撃性に優れた高性能熱電モジュールを提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、熱電モジュールの耐衝撃性を向上させるために、複数の熱電素子の一部を、熱膨張率と硬度とを制御した強化素子で置換することにより、耐衝撃性を改善できるという知見に基づくものであり、その結果、熱電モジュールが衝撃を受けても破断やクラックの発生を抑制できるものである。
【0016】
即ち、本発明の熱電モジュールは、支持基板と、該支持基板上に配列された複数の熱電素子と、該複数の熱電素子間を電気的に連結する配線導体と、前記支持基板上に設けられ、該配線導体と電気的に連結された外部接続端子とを具備する熱電モジュールにおいて、前記複数の熱電素子の一部を、前記熱電素子の平均熱膨張率との差が20%以内で、且つ前記熱電素子の平均硬度より10%以上高い強化素子で置換してなることを特徴とするものである。
【0017】
特に、前記強化素子が、前記複数の熱電素子のうちの角部に配列された熱電素子と置換されていることが好ましい。これにより、少数の第3素子により、より効果的に耐衝撃性を向上させることができる。
【0018】
また、前記強化素子が、P型及び/又はN型の熱電素子であることが好ましい。これによりP型あるいはN型いずれかの熱電素子の硬度を向上させることにより、耐衝撃性をさらに向上させることができる。
【0019】
さらに、前記強化素子が、前記複数の熱電素子が形成する電気回路から絶縁されていることが好ましい。これにより特に高硬度の材料素子を電気的には接続せず、耐衝撃性補強材として使用することにより、少数の素子で効果的に耐衝撃性をさらに向上させることができる。
【0020】
さらにまた、前記熱電素子がBi、Sb、Te及びSeのうち少なくとも2種を含むことが好ましい。これにより常温付近において良好な冷熱性能及び発電性能が得られる。
【0021】
また、前記熱電素子が、Snを含む半田層を介して前記支持基板と接合されていることが好ましい。これにより良好な電気的、構造的接合を容易に行うことができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明は、図1に示したように、支持基板1a、1bと、支持基板1a、1b上に複数配列された熱電素子2と、複数の熱電素子2間を電気的に接続する配線導体3a、3bと、支持基板1a上に設けられ、配線導体3aと電気的に連結された外部接続端子4とを具備した熱電モジュールに関するものである。
【0023】
本発明の熱電モジュールは、支持基板1a、1bの表面に、それぞれ配線導体3a、3bが形成され、N型熱電素子2aとP型熱電素子2bからなる複数の熱電素子2が挟持されるように、半田で接合されている。
【0024】
これらのN型熱電素子2a及びP型熱電素子2bは、電気的に直列になるように配線導体3a、3bで接続され、さらに外部接続端子4に接続されており、外部接続端子4に接合された外部配線を通じて、外部から熱電素子2に電力が供給される。
【0025】
配線導体3a、3bには銅電極を用いることができ、熱電素子2との半田接合を強固なものとするため、熱電素子2と半田の濡れ性を改善し、半田成分の拡散を防止するため、熱電素子2の接合面にはNiメッキ等によって電極を形成すると良い。
【0026】
なお、図1では支持基板1a、1bが1対であったが、熱電モジュールとしては、少なくとも一方の支持基板があれば良い。
【0027】
このような構成の熱電モジュールは、図2(a)及び(b)に示したように、複数の熱電素子12がマトリックス状に配列されているが、その一部を強化素子15で置換することが重要である。この強化素子15の熱膨張率と熱電素子12の平均熱膨張率との差が20%以内、強化素子15の硬度が熱電素子12の平均硬度より10%以上高くなければならない。
【0028】
熱電素子12、特にBi、Sb、Te及びSeのうち少なくとも2種を含む熱電素子の場合は、変形しやすいため、製造時の熱応力によって熱電素子12の劈開面や半田接合部に微細なクラックが発生し、使用時の温度サイクルや熱電素子12内の温度分布によって熱電素子12が変形し、変形によってクラックが生じやすいが、変形しにくい強化素子15で熱電素子12の一部を置換することによって、クラックの発生を防止することができる。
【0029】
熱電素子12と強化素子15との平均熱膨張率の差は、製造時の熱応力によって熱電素子12の劈開面や半田接合部に微細なクラック等が発生するのを防止する効果がある。このような欠陥の発生をより効果的に防止するため、熱電素子12と強化素子15との平均熱膨張率の差が、特に15%以内、更には10%以内であることが好ましい。
【0030】
また、強化素子15の硬度が、熱電素子12の平均硬度より10%以上高いと、塑性変形が起こりにくくなり、変形量が低減し、クラックを広げる方向への応力が抑制され、剥離やクラックの発生が減少する。このような機械的信頼性を更に高めるため、特に15%以上、更に20%以上が好ましい。
【0031】
なお、本願発明における硬度とは、マイクロビッカース硬度を意味するものであり、マイクロビッカース硬度の測定は、荷重25gfを15秒間印加して行った。
【0032】
このように、強化素子15と熱電素子12との熱膨張率の差を小さくするとともに、強化素子15の硬度を熱電素子12の平均硬度よりも高めることによって、破断やクラックの発生を抑制し、耐衝撃性に優れた熱電モジュールを得ることができる。
【0033】
強化素子の配置は、例えば、図2(a)及び(b)に示したように、N型熱電素子12aとP型熱電素子12bとで構成された複数の熱電素子12の一部を強化素子15で置換したものである。換言すれば、熱電素子12の配列の一部に強化素子15を組み込んだものである。
【0034】
強化素子15の数及びその配置については、特に制限されるものではないが、特に熱電素子12の配列において角部に配置されていることが好ましい。熱電モジュールは角部に応力が集中する場合があり、このような場合に強化素子15を角部に配置することで、耐衝撃性をより効果的に向上することができる。
【0035】
例えば、図2(a)において、熱電素子が縦8列、横6列のマトリックス状に配置され、そのコーナーに配置された熱電素子が強化素子15aによって置換されている。一方、外周の辺部にある熱電素子を強化素子15bで置換されており、これらは、角ではないが、角に隣接するため、角部として角と類似の効果が期待できる。
【0036】
また、図2(b)では、4つの角部の熱電素子12が強化素子15aと置換されるとともに、中央部の熱電素子12が強化素子15cと置換されている。このように中央部にあっても、支持基板11の面積が大きい場合や、熱電素子数12が多い場合等には、効果を有する場合がある。
【0037】
さらに、中央部と角部とに強化素子15を配することが、様々な衝撃力に対応でき、少ない強化素子15で変形量を効果的に低減できるので好ましい。
【0038】
強化素子15は、上記の特性を有していれば材質に制限はなく、例えばAl、Au、Ag、Si、Fe、Cu、Ni、Bi、Sb、Te及びSeから選ばれる少なくとも1種以上の元素を含む材料、例えばBi合金、Al合金、Au合金、Ag合金、Si合金、Fe合金、Cu合金等の合金材料を用いることができ、さらにアルミナ、窒化アルミニウム、窒化珪素、炭化珪素、ムライト、ジルコニアのうち少なくとも1種のセラミックスを上記熱電材料や合金材料に加えて硬度を高めても良い。
【0039】
特に、Al、Au、Ag、Si、Fe、Cu、Ni、Biのように高硬度(1GPa以上)、高強度(100MPa以上)であるもの、中でも熱電素子12の最大の硬度よりも大きな硬度を有する強化素子15を用いると、変形しにくいのに加えて応力が大きい場合にも破壊に至らないため、最も好適に用いることができる。
【0040】
また、硬度の高い熱電素子12をそのまま強化素子15として用いることができる。例えば、N型熱電素子12aがBiTeの場合、Biの組成比を大きくして硬度を高めた材料を強化素子15とすることができる。或いは又、BiTe合金にアルミナやシリカ等のセラミック粉末を加えたものを用いることも可能である。さらに、同じ組成の熱電素子12を用いることも可能であり、緻密化の容易で高硬度の得られる製造方法を用いて作製すれば良い。
【0041】
強化素子15に硬度が高い熱電素子12を用いて直列回路の一部とし、冷却機能を発現することにより、熱電モジュールとしての性能を高めることができ、耐衝撃性と冷却性能とを同時に向上することができる。
【0042】
また、強化素子15は耐衝撃性を向上させる目的で使用するため、必ずしも電気的に接続し、回路を構成する必要はない。例えば、熱電素子12の形成する回路から排除(絶縁)し、冷却機能を持たせず、耐衝撃性の向上のみに用いることもできる。この場合には、たとえ強化素子15にクラックが発生しても熱電モジュールの電気回路には支障が無く、信頼性を高めることができる。
【0043】
なお、強化素子15の寸法は必ずしも熱電素子12と同一になる必要は無く、熱電素子12の数、形状、負荷の大きさなどによって適宜決定すればよい。
【0044】
熱電素子12はBi、Sb、Te及びSeのうち少なくとも2種を含むことが好ましい。このような材料は性能指数に優れ、特に、A型金属間化合物であることが好ましく、例えばAがBi及び/又はSb、BがTe及び/又はSeからなる半導体結晶であって、組成比B/Aが1.4〜1.6であることが、室温における性能指数を高めために好ましく、その結果、冷却や発電の効率が高く、小型の熱電モジュールを作製することが容易になる。
【0045】
そこで、熱電素子12としては、A型金属間化合物であることが好ましい。即ち、公知であるBiTe、SbTe、BiSeの少なくとも1種であることが好ましく、固溶体としてBiTeとBiSeの固溶体であるBiTe3−xSe(x=0.05〜0.25)、又はBiTeとSbTeの固溶体であるBiSb2−xTe(x=0.1〜0.6)等を例示できる。
【0046】
また、金属間化合物を効率よく半導体化するために、熱電素子12は不純物をドーパントとして含有することができる。例えば、I、Cl及びBr等のハロゲン元素を含む化合物を上記金属間化合物に含有せしめることにより、N型熱電素子12aを製造することができる。
【0047】
例えば、AgI粉末、CuBr粉末、SbI粉末、SbCl粉末、SbBr粉末、HgBr粉末等を単独または複数加えることにより、金属間化合物半導体中のキャリア濃度を調整することができ、その結果、性能指数を高めることが可能となる。上記のハロゲン元素は、効率的な半導体化の点で、0.01〜5質量%、特に0.05〜4質量%の割合で含むことが好ましい。
【0048】
さらに、P型熱電素子12bは、キャリア濃度調整のためにTeを過剰に含有することができ、N型熱電素子12aと同様に、性能指数を高めることができる。これにより、常温付近において良好な冷熱性能が得られる。
【0049】
熱電モジュールを構成する支持基板11は、アルミナ、窒化アルミ、窒化珪素、炭化珪素から選ばれる1種あるいは2種であることが好ましい。支持基板11は、モジュールの構造体であり、伝熱板であり、電気的絶縁板であり、電気回路を構成するため電気伝導体を有する基板である必要がある。
【0050】
さらに、支持基板11は構造体であるため、十分な強度を有することが好ましく、その点で、支持基板11がアルミナ、窒化アルミ、窒化珪素、炭化珪素の少なくとも1種であることが好ましい。
【0051】
配線導体3a、3bは、Ni、Au、Sn、Pt、Coのうち少なくとも1種を含むことが好ましい。特に、NiとAuを2層に積層することにより、Ni層で半田成分の拡散を抑制し、Au層で半田との濡れを向上させることができるので好ましい。また、Ni−B層及び/又はNi−P層を形成して、密着性、半田成分拡散防止性を向上させることも有効である。
【0052】
また、熱電素子12は、配線導体3a、3bと半田層を介して接合され、半田層がSnを含むことが好ましい。これにより良好な電気的及び構造的接合を行うことができる。
【0053】
次に、本発明の熱電素子の製造方法について説明する。
【0054】
本発明の熱電素子は、周知の方法によって得られるものであり、例えば、単結晶法、溶製法によって大きな結晶を得ることができ、また、原料粉末を一軸プレス成形、テープ成形法、熱間押し出し法等によって成形しこれを常圧焼結法、加圧焼結法、ホットプレス焼結法、高温等方圧プレス(HIP)焼結法等の焼結法、鍛造法等によって焼結体を製造することができる。以下に、一例として、単結晶法を用いた場合について説明する。
【0055】
まず、熱電素子の原料粉末として、純度99.9%以上、平均粒径1〜100μmのTe粉末、Bi粉末、Sb粉末及びSe粉末を準備する。これらの粉末を所定量秤量し、溶融する。このとき不活性ガスを封入した密閉容器中で溶融することにより、原料の酸化と成分の揮発による組成変動を抑制することができる。攪拌しながら十分合金化した後、冷却し、溶製材インゴットを得る。このようにして得られたインゴットを粗粉砕し、再度不活性ガスを封入した密閉容器中で溶融する。
【0056】
なお、この時、上記金属間化合物を効率よく半導体化するために、不純物をドーパントとして、原料粉末にI、Cl及びBr等のハロゲン元素を含む化合物を含有せしめることにより、N型半導体結晶からなる熱電素子を製造することができる。
【0057】
例えば、AgI粉末、CuBr粉末、SbI粉末、SbCl粉末、SbBr粉末、HgBr粉末等を加えることにより、金属間化合物半導体中のキャリア濃度を調整することができ、その結果、性能指数を高めることが可能となる。上記のハロゲン元素は、効率的な半導体化の点で、0.01〜5質量%、特に0.05〜4質量%の割合で含むことが好ましい。
【0058】
また、P型熱電素子を製造する場合には、同様にして、まずP型半導体結晶を作製する。P型半導体結晶中のキャリア濃度調整のためにTeを添加することができ、N型半導体結晶と同様に、性能指数を高めることができる。
【0059】
このようにして得られた溶融合金を一端から徐々に冷却、固化させることにより、一方向に結晶配向した熱電素子を得ることができる。この時、固化開始端に種結晶を設置することにより、より一方向に配向した熱電素子を得ることができる。
【0060】
次に、強化素子を作製する。強化素子は、Al、Au、Ag、Si、Fe、Cu、Ni、Bi、Sb、Te及びSeから選ばれる少なくとも1種以上の元素を所望の手法によりインゴットを作製し、所望の形状に切り出して使用することができる。
【0061】
特に、微細原料を用いた熱電素子と略同一の組成物をホットプレス、HIP、SPS、GPSなどの高密度焼結法により、熱電素子よりも10%以上硬度の高い強化素子を得ることができる。このように、高密度焼結法で作製した強化素子は高コストとなることがあるが、熱電モジュールに用いる強化素子は少数だけであるため、熱電モジュールのコストを低く維持し、しかも信頼性を高めることができる。
【0062】
さらにまた、強化素子には各種の合金、特に高硬度、高強度な合金を用いることができるため、これらの合金を溶製法、焼結法、鍛造法などの公知の手法により強化素子を作製すれば良い。
【0063】
得られた熱電素子及び強化素子は、所望の厚さにウエハ状にスライスする。なお、スライスは、ワイヤーソー、ホイールソー等の公知の手法を用いることができる。
【0064】
得られたウエハに、電解メッキや無電解メッキ等のメッキ法、気相法(PVD法やCVD等)等の公知の手法でNi薄膜を形成して、メッキ層を形成する。特に、簡単な設備で、低コストで密着性の高い薄膜が得られるメッキ法を用いることが好ましい。なお、半田との濡れ性を向上させるため、Ni上にさらにAuを積層することもできる。得られたメッキ層を形成したウエハは、所望のサイズにダイシングし、熱電モジュールを作製する。
【0065】
なお熱電素子インゴットのスライス断面形状を、作製するモジュールに使用するエレメントと同形状にすると、スライスのみで所望の形状のエレメントが得られるため、ダイシングする工程が省略できる。この場合、熱電素子インゴットの表面に、メッキレジスト層を形成した後、スライスし、メッキし、レジストを除去して熱電素子を得ることができる。
【0066】
ここで使用する半田の融点は180℃以上、特に200℃以上であることが好ましい。これにより、熱電素子が本来の位置からのずれを抑制し、半田に発生するクラックを減少することが容易になる。また、半田層には、Snを含むものが好ましい。これは、良好な溶融温度、濡れ性、反応性を有するためである。さらに、半田に鉛を含まないものを用いるのが好ましい。具体的には、Sn−Ag−CuやAu−Snなどを例示することができる。
【0067】
このようにして、図1に示した構造となるように、熱電モジュールを組み立てる。
【0068】
このような製造方法を採用することにより、温度制御に好適に応用される熱電モジュールを作製することができ、これによって、耐衝撃性に優れた熱電モジュールが実現できる。
【0069】
【実施例】
原料粉末として、純度99.99%以上のBi粉末、Sb粉末、Te粉末及びSe粉末の原料を用いて、N型はBiTe組成、P型はBi0.4Sb1.6Te組成となるように蒸気粉末をそれぞれ石英管にアルゴン封入し、ロッキング炉にて800〜1000℃で12時間攪拌溶解させ、冷却後取り出しそれぞれ合金インゴットを得た。
【0070】
この合金インゴットを、スタンプミルで粉砕し、得られた粉砕原料に対して、表1に示した方法を用いて、熱電素子を作製した。
【0071】
溶製法は、上記粉末を石英管にアルゴン封入し、ロッキング炉にて800〜1000℃で12時間攪拌溶解させ、冷却後取り出しそれぞれ合金インゴットを得た。その後スタンプミルを用いて粗粉砕し、得られた粗粉砕原料に対して、SbIを0.6質量%加えてパイレックス(R)ガラス管に真空封入し、溶融・攪拌後、一端から徐々に冷却、固化させた。
【0072】
冷却後ガラス管から取り出し、ウエハ形状にスライスした。このようにして得られたウエハを無電解メッキ法にて、10μmのNi層及び0.5μmのAu層を形成した。その後、1mm角にダイシングし、熱電変換素子とした。
【0073】
また、ホットプレス法は、粉砕した合金原料を一軸プレス成形し、所望により水素雰囲気中で仮焼した後、カーボンダイス中に仮焼体を設置し、圧力を加えながら300〜500℃で焼結させて熱電素子とした。
【0074】
さらに、放電プラズマ焼結法(SPS法)は、同様に粉砕した合金原料を一軸プレス成形し、所望により水素雰囲気中で仮焼した後、カーボンダイス中に仮焼体を設置し、圧力を加えながら300〜500℃になるようにパルス電流を印加することにより焼結させて熱電素子とした。
【0075】
なお、N型熱電素子の熱膨張率はいずれも16×10−6/℃、P型熱電素子の熱膨張率はいずれも14×10−6/℃であった。
【0076】
得られた熱電素子インゴットは、劈開方向に対し垂直にスライスした。このようにして得られたウエハを無電解メッキ法にてメッキ層を作製した。そして、1mm角にダイシングし、熱電モジュール用の熱電素子とした。
【0077】
次に、強化素子を作製した。表1に示した材質からなる素子を作製した。作製方法としては、ホットプレス(HP)法、熱間静水圧プレス(HIP)法、放電プラズマ焼結(SPS)法及びガス圧焼結(GPS)法とを用いて作製した。
【0078】
ホットプレス法は、平均粒径10μm以下の原料を、一軸成形し、得られた成形体を一軸加圧しながら温度を上げ焼結させた。
【0079】
また、HIP法およびGPS法は、平均粒径10μm以下の原料を、一軸成形し、得られた成形体をガス圧により等方的に高圧をかけ加熱焼結させて焼結体を作製した。
【0080】
SPS法は、平均粒径10μm以下の原料を、一軸成形し、得られた成形体を一軸で加圧しながらパルス電流を印加し、焼結させて焼結体を得た。
【0081】
得られた強化素子を熱電素子と同様にスライスした後に、Ni−Auのメッキ処理を施し、所望の形状にダイシングして作製した。
【0082】
次に、支持基板上の配線導体に対して、表1に記載した半田ペーストを塗布し、得られたN型及びP型熱電素子5を、交互に直列に配列し、また強化素子を表1に示した位置に配置し、加熱接合した。さらに同様に配線導体に半田ペーストを塗布した支持基板を並んだ熱電素子5上にかぶせ、加熱接合した。
【0083】
ここで使用する半田はSn−Sb、Au−Sn、Sn−Pb及びSn−Ag−Cuを用いた。また、強化素子が電気回路を構成するかどうかについて表1に記載した。
【0084】
熱電素子及び強化素子の熱膨張率αは、
熱電素子及び強化素子の硬度Hvはマイクロビッカース硬度計により測定した。この際の条件は荷重25gfで圧子を押し込む時間は15秒とした。荷重除去後素子表面にできた圧痕の対角線長さを測定し、硬度を算出した。
【0085】
また、このようにして得られたモジュールは、MIL−STD−883に則り、衝撃試験を行った。
【0086】
耐衝撃性の判定は、衝撃試験前後の抵抗変化率(△R)を調べ、△R<5%を合格とした。
【0087】
さらに−65℃/120℃の温度サイクル試験(2000回)を行い、同様に試験前後の抵抗変化率(△R)を調べた。結果を表1に示す。
【0088】
【表1】
Figure 2004235367
【0089】
強化素子の硬度がP型及びN型熱電素子の平均硬度の10%以上、かつ強化素子と熱電素子の平均熱膨張率との差が20%以下である本発明の試料No.2〜16、18〜37、39〜40は、衝撃試験前後の抵抗変化が小さく、耐衝撃性が優れていた。
【0090】
一方、強化素子が存在しない試料No.1は、衝撃試験前後の抵抗変化が20%と大きく、耐衝撃性に劣っていた。
【0091】
また、強化素子の硬度が熱電素子の平均硬度の10%以下と低い本発明の範囲外の試料No.17〜19は衝撃試験前後の抵抗変化が6%以上と大きく、耐衝撃性に劣っていた。
【0092】
さらに、強化素子と熱電素子の平均熱膨張率との差が20%より大きい試料No.38の場合、温度の変化により素子接合部にクラック等が発生し、衝撃試験前後の抵抗の変化が13%と大きくなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱電モジュールの概略を示す斜視図である。
【図2】本発明の熱電モジュールにおける素子の配列を示す概略平面図である。
【符号の説明】
1a、1b、11・・・支持基板
2、12・・・熱電素子
2a、12a・・・N型熱電素子
2b、12b・・・P型熱電素子
3a、3b・・・配線導体
4、14・・・外部接続端子
5、15・・・強化素子

Claims (6)

  1. 支持基板と、該支持基板上に配列された複数の熱電素子と、該複数の熱電素子間を電気的に連結する配線導体と、前記支持基板上に設けられ、該配線導体と電気的に連結された外部接続端子とを具備する熱電モジュールにおいて、前記複数の熱電素子の一部を、前記熱電素子の平均熱膨張率との差が20%以内で、且つ前記熱電素子の平均硬度より10%以上高い強化素子で置換してなることを特徴とする熱電モジュール。
  2. 前記強化素子が、前記複数の熱電素子のうちの角部に配列された熱電素子と置換されていることを特徴とする請求項1に記載の熱電モジュール。
  3. 前記強化素子が、P型及び/又はN型の熱電素子であることを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の熱電モジュール。
  4. 前記強化素子が、前記複数の熱電素子が形成する電気回路から絶縁されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の熱電モジュール。
  5. 前記熱電素子がBi、Sb、Te及びSeのうち少なくとも2種を含むことを特徴とする請求項1乃至4に記載の熱電モジュール。
  6. 前記熱電素子が、Snを含む半田層を介して前記支持基板と接合されていることを特徴とする請求項1乃至5に記載の熱電モジュール。
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