JP2018053048A - インクジェット用水性イエロー系インク及びインクジェット用水性イエロー系インクの製造方法 - Google Patents

インクジェット用水性イエロー系インク及びインクジェット用水性イエロー系インクの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】良好な色相及び彩度、並びに優れた耐水性を有する印刷物を得ることが可能であり、かつ、インクの状態での貯蔵安定性に優れるインクジェット用水性イエロー系インクを提供する。【解決手段】直接染料と、酸性染料と、水と、を含み、前記酸性染料の0.1質量%水溶液のpHが7.5以下であり、前記直接染料の含有量は、前記酸性染料の含有量に対し、質量比で1倍以上である、インクジェット記録用水性イエロー系インク。【選択図】なし

Description

本発明の実施形態は、インクジェット用水性イエロー系インク及びインクジェット用水性イエロー系インクの製造方法に関する。
近年、インクジェットプリンターは、低騒音、低ランニングコストといった利点から広く普及している。
インクジェットプリンタに用いるインクジェットインクには、インクとしての貯蔵安定性に優れること等が要求される。また、印刷物には、十分な画像濃度、良好な色相及び耐水性等が求められる。
インクの色材としては、大別して染料と顔料がある。染料を用いる場合、発色が良いといった利点がある。しかし、染料自体の耐水性が低いという問題がある。
特許文献1は、耐水性及び耐光性に優れ、かつ、彩度にも優れた水溶性インクを提供することを課題としており、キサンテン系マゼンタ染料およびC.I.Direct Red 227を含むとともに、さらにシアン染料およびイエロー染料のうちの少なくとも一方の染料を含む、青色系または赤色系の水溶性インクを開示している。
特許文献2は、保存安定性に優れ、長期の使用においても噴射安定性を保ち、鮮やかな発色性を有し、記録物に耐光性及び耐オゾン性を付与することができるインクジェット記録用シアンインクとして、特定の2種類のフタロシアニン染料を用いたシアンインクを開示している。
特許文献3は、保存安定性に優れ、長期の使用においても噴射安定性を保ち、鮮やかな発色性を有し、記録物に耐光性及び耐オゾン性を付与することができるインクジェット記録用マゼンタインクとして、特定のピラゾリルアゾピリジン(もしくはピラゾリルアゾピラジン) 系染料及び特定のトリアジニルアミノ−( フェニルアゾ) ナフトール系染料を着用いたマゼンタインクを開示している。
特許文献4は、耐水性が良好で、インクジェットヘッドの先端部で目詰まりしないインクジェット用水性インク等を提供することを課題としており、カルボキシル基のアンモニウム塩もしくは置換アンモニウム塩の構造を有する水溶性染料と、酸性アミノ酸と、塩基性物質を含有し、且つ塩基性物質の酸性アミノ酸に対するモル比が0.5〜2の範囲にあるインクジェット用水性インクを開示している。
また、特許文献5は、耐水性を損なうことなく記録物の濃度を向上させることを課題の1つとしており、少なくとも水、水溶性有機溶剤及び顔料からなるインクジェット用インク組成物において、ガラス転移温度が70℃以下の樹脂微粒子および染料を含有することを特徴とするインクジェット用インク組成物を開示している。
特開2001−192591号公報 特開2007−217526号公報 特開2007−217523号公報 特開2000−136335号公報 特開2003−335986号公報
良好な色相を得るために、インク中の染料量を増やすと、染料が固体として析出しやすくなり、インクの貯蔵安定性を低下させる場合がある。
また、水に溶解しにくい染料を選ぶことで、印刷物の耐水性を向上させることが可能であるが、水に溶解しにくい染料は、インク中に十分な量を含有させ難く、また、低温保管時に染料が析出しやすい。
本発明の一目的は、良好な色相及び彩度、並びに優れた耐水性を有する印刷物を得ることが可能であり、かつ、インクの状態での貯蔵安定性に優れるインクジェット用水性イエロー系インク、及び、インクジェット用イエロー系インクの製造方法を提供することである。
本発明の一側面は、下記のインクジェット用水性イエロー系インク及びインクジェット用水性イエローインクの製造方法に関する。
<1> 直接染料と、酸性染料と、水と、を含み、
前記酸性染料の0.1質量%水溶液のpHが7.5以下であり、
前記直接染料の含有量は、前記酸性染料の含有量に対し、質量比で1倍以上である、
インクジェット記録用水性イエロー系インク。
<2> 前記直接染料の0.1質量%水溶液のpH値と、前記酸性染料の0.1質量%水溶液のpH値との差の絶対値が1.0以下である、<1>に記載のインクジェット記録用水性イエロー系インク。
<3> 直接染料と、
Acid Yellow 17、Acid Yellow 25、Acid Yellow 42、Acid Yellow 79及びAcid Yellow 110からなる群から選択される少なくとも1種の酸性染料と、
水と、
を含み、
前記直接染料の含有量は、前記酸性染料の含有量に対し、質量比で1倍以上である、
インクジェット記録用水性イエロー系インク。
<4> 前記直接染料の含有量が、前記酸性染料の含有量に対し、質量比で2倍以上である、<1>〜<3>のいずれか1項に記載のインクジェット記録用水性イエロー系インク。
<5> 前記直接染料及び前記酸性染料の合計量が、インク総量に対して4〜8質量%である、<1>〜<4>のいずれか1項に記載のインクジェット記録用水性イエロー系インク。
<6> 前記直接染料が、Direct Yellow 86およびDirect Yellow 132からなる群から選択される少なくとも1種を含み、
前記酸性染料が、Acid Yellow 42及びAcid Yellow 79からなる群から選択される少なくとも1種を含む、
<1>〜<5>のいずれか1項に記載のインクジェット記録用水性イエロー系インク。
<7> 少なくとも、酸性染料と、前記酸性染料の量に対して質量比で1倍以上の量の直接染料と、水と、を混合する工程を含み、前記酸性染料の0.1質量%水溶液のpHが7.5以下である、インクジェット記録用水性イエロー系インクの製造方法。
本発明によれば、良好な色相及び彩度、並びに優れた耐水性を有する印刷物を得ることが可能であり、かつ、インクの状態での貯蔵安定性に優れるインクジェット用水性イエロー系インク、及び、インクジェット用水性イエロー系インクの製造方法を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態を詳細に説明するが、本発明は、下記の実施形態に限定されることはない。
実施形態のインクジェット記録用水性イエロー系インクの1つの態様は、直接染料と、酸性染料と、水と、を含み、酸性染料の0.1質量%水溶液のpHが7.5以下であり、直接染料の含有量は、酸性染料の含有量に対し、質量比で1倍以上である、インクジェット記録用水性イエロー系インクである。
また、実施形態のインクジェット記録用水性イエロー系インクのもう1つの態様は、直接染料と、Acid Yellow 17、Acid Yellow 25、Acid Yellow 42、Acid Yellow 79及びAcid Yellow 110からなる群から選択される少なくとも1種の酸性染料と、水と、を含み、直接染料の含有量は、酸性染料の含有量に対し、質量比で1倍以上である、インクジェット記録用水性イエロー系インクである。
実施形態のイエロー系インク(以下、「イエロー系インク」または「インク」ともいう場合がある。)を用いたとき、良好な色相及び彩度、並びに優れた耐水性を有する印刷物を得ることが可能であり、かつ、実施形態のイエロー系インクは、インクの状態での優れた貯蔵安定性を示す。
実施形態のイエロー系インクは、直接染料及び酸性染料を含む。
水溶性の染料には、例えば、直接染料、酸性染料、塩基性染料、及び反応性染料がある。直接染料は、水溶性アニオン染料の一種であり、比較的分子量が大きい。水素結合形成基を多く有するため、セルロース繊維に対して親和性を有する染料である。酸性染料は、分子中にスルホン酸基、カルボキシル基などの酸性基をもつ水溶性染料である。
印刷物の色相及び彩度、印刷物の耐水性、並びにインクの貯蔵安定性は、染料に影響を受けやすいが、これら3つの性能をともに満足する染料は未だ見出されていない。
直接染料は、印刷物の耐水性、インクの貯蔵安定性に優れているが、得られた印刷物の彩度が低い傾向にある。一方、酸性染料は、彩度の高い印刷物を得られるものの、印刷物の耐水性とインクの貯蔵安定性に劣る傾向がある。
実施形態のインクでは、直接染料と、所定の酸性染料とを併用し、かつ、直接染料の含有量が、酸性染料の含有量に対して質量比で1倍以上であることで、印刷物の彩度、印刷物の耐水性、及びインクの貯蔵安定性の3つの性能をともに満足させることができる。
酸性染料の0.1質量%水溶液のpHは、7.5以下であることが好ましく、7.2以下であることがより好ましい。酸性染料の0.1質量%水溶液のpHは、5.5以上であることが好ましい。酸性染料の0.1質量%水溶液のpHが7.5以下であるとき、インク全体のpH値がアルカリ側に傾くことが抑制されやすく、インク中で直接染料が析出しにくい状態が維持されて、インクの貯蔵安定性を向上させることができる。
染料の0.1質量%水溶液のpHは、23℃環境下において測定した値である。
直接染料の含有量は、酸性染料と直接染料との性能とのバランスの観点から、酸性染料の含有量に対して、質量比で1倍以上であることが好ましく、2倍以上であることがより好ましい。また、直接染料のインクにおける含有量(質量%)は、例えば、酸性染料のインクにおける含有量(質量%)の8倍以下であることが好ましく、4倍以下であることがより好ましい。
直接染料としては、例えば、Direct Yellow 1、Direct Yellow 2、Direct Yellow 4、Direct Yellow 8、Direct Yellow 11、Direct Yellow 12、Direct Yellow 24、Direct Yellow 26、Direct Yellow 27、Direct Yellow 28、Direct Yellow 33、Direct Yellow 34、Direct Yellow 39、Direct Yellow 41、Direct Yellow 42、Direct Yellow 44、Direct Yellow 48、Direct Yellow 50、Direct Yellow 51、Direct Yellow 58、Direct Yellow 72、Direct Yellow 85、Direct Yellow 86、Direct Yellow 87、Direct Yellow 88、Direct Yellow 98、Direct Yellow 100、Direct Yellow 110、Direct Yellow 127、132、Direct Yellow 135、Direct Yellow 141、Direct Yellow 142、Direct Yellow 144などが挙げられる。なかでも、Direct Yellow 86、Direct Yellow 132が好ましい。
直接染料は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができるが、染料の溶解性及びインクの貯蔵安定性の観点から、単独で用いることがより好ましい。
酸性染料としては、例えば、Acid Yellow 1、Acid Yellow 3、Acid Yellow 4、Acid Yellow 7、Acid Yellow 11、Acid Yellow 12、Acid Yellow 13、Acid Yellow 14、Acid Yellow 17、Acid Yellow 18、Acid Yellow 19、Acid Yellow 23、Acid Yellow 25、Acid Yellow 29、Acid Yellow 34、Acid Yellow 36、Acid Yellow 38、Acid Yellow 40、Acid Yellow 41、Acid Yellow 42、Acid Yellow 44、Acid Yellow 49、Acid Yellow 53、Acid Yellow 55、Acid Yellow 59、Acid Yellow 61、Acid Yellow 71、Acid Yellow 72、Acid Yellow 76、Acid Yellow 78、Acid Yellow 79、Acid Yellow 99、Acid Yellow 110、Acid Yellow 111、Acid Yellow 114、Acid Yellow 116、Acid Yellow 122、Acid Yellow 135、Acid Yellow 142、Acid Yellow 161、Acid Yellow 172などが挙げられる。0.1質量%水溶液のpHが7.5以下の酸性染料の例としては、例えば、Acid Yellow 17、Acid Yellow 25、Acid Acid Yellow 42、Acid Yellow 79、Acid Yellow 110が挙げられる。酸性染料としては、Acid Yellow 42及びAcid Yellow 79が好ましく、Acid Yellow 42がさらに好ましい。
酸性染料は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができるが、染料の溶解性及びインクの貯蔵安定性の観点から、単独で用いることがより好ましい。
直接染料と酸性染料との組合せはとくに制限されない。
実施形態のインクにおいて、直接染料の0.1質量%水溶液のpHと酸性染料の0.1質量%水溶液のpHとの差の絶対値は、染料の析出をさらに抑制し、インクの貯蔵安定性をさらに高める観点から、1.0以下が好ましく、0.8以下がより好ましく、0.6以下がさらに好ましく、0.4以下がさらに好ましく、0.2以下がさらに好ましい。
酸性染料の0.1質量%水溶液のpHは、例えばおよそ5.0〜9.0とさまざまでありうるが、直接染料の0.1質量%水溶液のpHは、およそ7.0〜8.0であることが多い。酸性染料の0.1質量%水溶液のpHが7.5以下であるとき、酸性染料の0.1質量%水溶液のpHと、直接染料の0.1質量%水溶液のpHとの差の絶対値が1.0以下である場合、インクのpHを中性近辺としやすく、これにより、染料の析出をさらに抑制し、インクの貯蔵安定性をさらに高めることに寄与しうる。
実施形態のイエロー系インクにおいて、直接染料及び酸性染料の含有量の合計は、画像濃度の観点から、インク総量に対して4質量%以上であることが好ましく、4.5質量%以上であることがより好ましい。
一方、染料がインク中にあまり高い含有量で含まれる場合には、染料が固体として析出する可能性も高くなる。直接染料及び酸性染料の含有量の合計は、染料の析出のさらなる抑制とそれによるインクの貯蔵安定性のさらなる向上の観点から、8質量%以下が好ましく、6質量%以下がより好ましい。
実施形態のイエロー系インクにおいて、直接染料の含有量はとくに限定されないが、インク総量に対して、2.0〜5.0質量%が好ましく、3.0〜4.0質量%がより好ましい。
実施形態のイエロー系インクにおいて、酸性染料の含有量はとくに限定されないが、インク総量に対して、0.5〜3.0質量%が好ましく、1.0〜2.0質量%がより好ましい。
実施形態のイエロー系インクは、色相調整等の目的で、必要に応じて、さらに、塩基性染料、反応性染料等のその他の染料、及び/または顔料を含んでもよい。
実施形態のイエロー系インクは、水性溶媒として主に水を含むことが好ましい。水としては、特に制限されないが、イオン成分をできる限り含まないものが好ましい。特に、インクの保存安定性の観点から、カルシウム等の多価金属イオンの含有量が低いことが好ましい。水としては、例えば、イオン交換水、蒸留水、超純水等が挙げられる。
水は、粘度調整の観点から、インク中に、インク総量に対して、60質量%以上含まれていることが好ましく、70質量%〜75質量%含まれていることがより好ましい。
実施形態のイエロー系インクは、水溶性有機溶剤を含有することが好ましい。水溶性有機溶剤として、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、グリセリン、1,2,6−へキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル;N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプローラクタム等の含窒素複素環化合物;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン;ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物;プロピレンカーボネート、炭酸エチレン、γ−ブチロラクトン等を例示することができる。
中でも、多価アルコールを使用することが特に好ましい。多価アルコールは蒸気圧が低い点、水と容易に混合する点、吸湿性である点から、インクの水分蒸発に伴う染料の析出を防止することができる。多価アルコールの中でも、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコールが特に好ましい。
これらの水溶性有機溶剤は、単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
水溶性有機溶剤は、インク中に、インク総量に対して、15〜30質量%含まれていることが好ましく、20〜25質量%含まれることがより好ましい。
実施形態のイエロー系インクは、界面活性剤を含有することが好ましい。インクに界面活性剤を添加することでインクの紙への浸透を促進し、インクの紙への定着性を上げることができる。界面活性剤としては、特に限定されないが、アセチレングリコール系界面活性剤が特に好ましい。アセチレングリコール系界面活性剤として、例えば、サーフィノール465、サーフィノール104(Air Products and Chemical社製)、オルフィンSTG、オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製)を例示することができ、これらから選ばれる一種以上をインク中に添加することが好ましい。
実施形態のイエロー系インクは、その他の成分を適宜含んでもよい。その他の成分としては、湿潤剤(保湿剤)、定着剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤、架橋剤等が挙げられる。
実施形態のイエロー系インクの製造方法はとくに限定されないが、実施形態のイエロー系インクは、例えば、少なくとも、酸性染料と、酸性染料の量に対して質量比で1倍以上の量の直接染料と、水と、を混合する工程を含む製造方法で製造することができる。酸性染料、直接染料及び水については、上述のとおりである。各成分は、一括または分割して混合することができる。必要に応じて、混合後にメンブレンフィルター等での濾過を行ってもよい。
実施形態においてイエロー系インクの粘度は、適宜調節することができるが、たとえば吐出性の観点から、1〜30mPa・sであることが好ましく、1〜10mPa・sであることがより好ましく、1〜4mPa・s程度であることさらに好ましい。この粘度は、23℃における値を表す。
実施形態においてイエロー系インクの表面張力は、25℃において30〜50mN/mであることが好ましく、30〜40mN/mであることがより好ましい。インクの表面張力が30mN/m〜50mN/mであるとき、良好なインクの浸透速度によってインク膜を形成しやすく、かつ、インクジェットノズルからの良好な吐出性も得やすい。
実施形態のイエロー系インクは、インクジェット記録方法による印刷物の製造方法に用いることができる。
インクジェット記録方法としては、サーマルインクジェット方式、ピエゾインクジェット方式、静電吸引方式など、いずれの方式のものであってもよく、デジタル信号に基づいてインクジェットヘッドから本実施形態によるインクを吐出させ、吐出されたインク液滴を記録媒体に付着させるようにする。
記録媒体としては、特に限定されず、普通紙、上質普通紙、インクジェット(IJ)紙、IJマット紙、記録媒体上にインク吸収溶液がコートされたコート紙、コート紙よりもインク吸収層の厚みが薄い微コート紙、光沢紙(フォト光沢用紙)、特殊紙、布等を用いることができる。
以下、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されない。
[インクの調製]
表1に実施例及び比較例のインク処方を示す。表1に示す各成分を表1に示す配合比で混合し、孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過し、インクを得た。
使用した成分は以下の通りである。
なお、各染料の0.1質量%水溶液のpHは、23℃で、株式会社堀場製作所製「ラクア・ツイン pHメータ B−712」で測定した値である。
<染料>
直接染料1:「DAIWA IJ YELLOW 214H」、Direct Yellow 86、ダイワ化成株式会社製、0.1質量%水溶液のpH7.0
直接染料2:「DAIWA IJ YELLOW 306H」、Direct Yellow 132、ダイワ化成株式会社製、0.1質量%水溶液のpH7.8
酸性染料1:「DAIWA IJ YELLOW 205H」、Acid Yellow 23、ダイワ化成株式会社製、0.1質量%水溶液のpH9.0
酸性染料2:「WATER YELLOW 6CL」、Acid Yellow 42、オリヱント化学工業株式会社製、0.1質量%水溶液のpH7.2
酸性染料3:「DAIWA YELLOW 79」、Acid Yellow 79、ダイワ化成株式会社製、0.1質量%水溶液のpH5.8
<水溶性有機溶剤>
グリセリン:和光純薬工業株式会社製
ポリエチレングリコール200:和光純薬工業株式会社製
<界面活性剤>
「オルフィンE1010」:アセチレングリコール系界面活性剤、日信化学工業株式会社製
<水>
水:イオン交換水
[評価]
実施例及び比較例のインクについて、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
<色相及び彩度>
各インクを、普通紙「理想用紙薄口」(理想科学工業株式会社製)にバーコータ―P0.08H4S(松尾産業株式会社製)を用いて、塗工量 約19g/mとなるように塗工し、5cm×10cmのベタ画像を形成し、形成したベタ画像を24時間室温で乾燥させた。乾燥後、形成したベタ画像のa及びbをX−Rite社製エックスライト・イグザクトで測定し、下記の評価基準により、a及びbの測定値が所定の範囲内で入るかどうかを評価することにより、色相及び彩度を評価した。評価Aは、評価Cに比較して、色相及び彩度が良好である。
(評価基準)
A:測定値が -2<a<+7、75<b<87の範囲内
C:測定値が上記範囲外
<耐水性>
各インクを、普通紙「理想用紙薄口」(理想科学工業株式会社製)に、バーコータ―P0.08H4S(松尾産業株式会社製)を用いて、塗工量 約19g/mとなるように塗工し、5cm×10cmのベタ画像を形成し、形成したベタ画像を24時間室温で乾燥させた。乾燥後、形成したベタ画像のOD値をX−Rite社製エックスライト・イグザクトで測定した。その後、ベタ画像の形成された普通紙を水に3分間浸漬し、よく乾燥させた後に再度OD値をX−Rite社製エックスライト・イグザクトで測定した。下記の評価基準で、色落ちを示すOD値の低下を評価することにより、耐水性を評価した。
(評価基準)
A:水に浸漬する前に比べ、浸漬した後のOD値の低下が30%未満
C:水に浸漬する前に比べ、浸漬した後のOD値の低下が30%以上
<インクの貯蔵安定性>
各インクをガラス容器に入れて50℃および−5℃で30日放置した後、目視で染料の析出の有無を観察した。また、放置前の初期(インク調製直後)のインク粘度及び放置後のインクの粘度を測定し、インクの粘度変化率を下記の式で算出した。粘度の測定には、レオメーターAR-G2(ティー・エイ・インスツルメント社製)を用いて、Φ40mmのコーンを用い、ギャップ50μmで、23℃における粘度を測定した。放置後の染料の析出の有無、及び、放置前後の粘度変化率をもとに、下記の評価基準にしたがって、インクの貯蔵安定性を評価した。
インクの粘度変化率(%)=
(放置後の粘度−初期(インク調製直後)の粘度)/初期の粘度*100
(評価基準)
A:50℃環境放置、−5℃環境放置のいずれにおいても、放置後の染料の析出は見られず、放置前後のインクの粘度変化率は5%以内。
B:50℃環境放置、−5℃環境放置のいずれにおいても、放置後の染料の析出は見られない。50℃環境放置、−5℃環境放置のいずれか一方において、放置前後のインク粘度変化率は5%以上だが、他方において放置前後のインクの粘度変化率は5%未満。
C:50℃環境放置、−5℃環境放置のいずれにおいても、放置後の染料の析出は見られないが、放置前後のインクの粘度変化率は5%以上。
D:50℃環境放置、−5℃環境放置のいずれか一方、又は両方において、放置後の染料の析出が見られる。
Figure 2018053048
各実施例のインクでは、良好な色相及び彩度、並びに優れた耐水性を有する印刷物を得ることが可能であり、かつ、インクの状態での貯蔵安定性に優れていることが示された。
具体的には、実施例1〜6のインクでは、酸性染料を用いていない比較例1、2及び6のインクに比べて、色相及び彩度において優れた結果が得られた。比較例6では、インクの貯蔵安定性においても、実施例1〜6に劣っていた。また、実施例1〜6のインクでは、直接染料を用いていない比較例3〜5及び7に比べて、インクの貯蔵安定性及び耐水性において優れた結果が得られた。また、実施例1〜6のインクでは、0.1質量%水溶液のpHが9.0である酸性染料を用いている比較例8に比べて、インクの貯蔵安定性において優れた結果が得られ、直接染料含有量の酸性染料含有量に対する質量比が0.5である比較例9に比べて、耐水性及びインクの貯蔵安定性のいずれにおいても優れた結果が得られた。

Claims (7)

  1. 直接染料と、酸性染料と、水と、を含み、
    前記酸性染料の0.1質量%水溶液のpHが7.5以下であり、
    前記直接染料の含有量は、前記酸性染料の含有量に対し、質量比で1倍以上である、
    インクジェット記録用水性イエロー系インク。
  2. 前記直接染料の0.1質量%水溶液のpH値と、前記酸性染料の0.1質量%水溶液のpH値との差の絶対値が1.0以下である、請求項1に記載のインクジェット記録用水性イエロー系インク。
  3. 直接染料と、
    Acid Yellow 17、Acid Yellow 25、Acid Yellow 42、Acid Yellow 79及びAcid Yellow 110からなる群から選択される少なくとも1種の酸性染料と、
    水と、
    を含み、
    前記直接染料の含有量は、前記酸性染料の含有量に対し、質量比で1倍以上である、
    インクジェット記録用水性イエロー系インク。
  4. 前記直接染料の含有量が、前記酸性染料の含有量に対し、質量比で2倍以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用水性イエロー系インク。
  5. 前記直接染料及び前記酸性染料の合計量が、インク総量に対して4〜8質量%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用水性イエロー系インク。
  6. 前記直接染料が、Direct Yellow 86およびDirect Yellow 132からなる群から選択される少なくとも1種を含み、
    前記酸性染料が、Acid Yellow 42及びAcid Yellow 79からなる群から選択される少なくとも1種を含む、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用水性イエロー系インク。
  7. 少なくとも、酸性染料と、前記酸性染料の量に対して質量比で1倍以上の量の直接染料と、水と、を混合する工程を含み、前記酸性染料の0.1質量%水溶液のpHが7.5以下である、インクジェット記録用水性イエロー系インクの製造方法。
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