JP4010590B2 - インクジェット記録用水性インク組成物およびそれを用いた記録方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット記録用水性インク組成物、特にノズルの腐食を防止することにより、耐久性を向上させ、長期にわたる保存安定性、吐出安定性および高印字品質の確保を可能にした水性インク組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録は、低騒音、低ランニングコストといった利点から、近年、急速に普及してきている。インクジェット記録において、長期に亘つて良好な印字記録を行うために、使用するインク(水性インク組成物)に要求される特性としては、インクが保存安定性および吐出安定性に優れること、印字画像が滲みのない鮮明な画像であり、かつ、その耐水性、耐光性等、画像の保存性に優れることなどが挙げられる。
【0003】
しかしながら、以上のような要求を満足するため、これまでインクに関する多数の提案がなされているが、上記諸要求全てを満足するインクはまだ得られていないのが現状である。特にノズルの目詰まりを防止することは重要な課題である。ノズルが目詰まりを起こす原因としては、ノズル先端での水分蒸発によるインクの増粘、染料析出または不溶性無機塩の生成、あるいはインクが空気に接触することにより空気中の炭酸ガスの影響を受け、インクのpHが低下することによる染料の溶解安定性の低下などに加え、インクがノズル部分の金属部材に接することによる金属腐食なども考えられる。これらは飛翔するインク液滴の量や吐出する方向をばらつかせるため印字品質を著しく低下させる。
【0004】
上述した原因のうち水分蒸発によるインクの増粘および染料の析出に関しては、保水性が高く、かつ粘度が低い、染料溶解性の高い湿潤剤を使用することにより解決される、また、インクのpH低下を防ぐ方法としては、pH緩衝剤を添加したり、染料自体にある程度の緩衝性を持たせることにより解決してきている。
【0005】
しかし、金属腐食に関しては、これまでのところ、いくつかの提案がなされているものの満足できるものではない。たとえば特開昭58−197059号公報によれば、ノズルプレート材の金属より高導電率の材料からなる被覆層をオリフィス面に設けて、そこからアースを取るようにして電解腐食を抑える方法が示されているが、この方法では完全に電解腐食を抑えることはできず、またオリフィス面に付着した余剰の記録液を取り除くために行うワイピング等で、被覆層が剥がれることも多く、耐久性に問題が残る。
【0006】
また特開昭61−261057号公報ではニッケルからなる構成部品の表面に不動態層を形成することにより、特開昭63−81050号公報では炭化水素化合物またはフッ化水素化合物を原料としたコーティング層を形成させることにより、それぞれ記録液に対する濡れ性を低下させ、腐食され難くさせている。しかし、これらの方法では基材への被覆率が低い場合には記録液に対する濡れを十分に抑制することかできないため、腐食を防止する効果が弱くなり、また被覆率を高くすると、今度はオリフィスの成形精度が悪くなるなどの問題が生じる。
【0007】
また特開平5−287225号公報によれば、オリフィスを構成する材料にニッケルおよび/またはニッケルを含む合金を使用し、記録液中にニッケルイオンを含有させることにより、電解腐食が抑制されるとしているが、この方法では、過剰のニッケルイオンにより、沈殿が生じ易くなったり、また染料によってはニッケルイオンとキレートを生成し、色調が変化するなどの問題を生じるため、十分な解決法とは言えない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、ノズルの腐食が抑制されて、ノズルが目詰まりを起こさず、また、高い保存安定性と吐出信頼性が得られるとともに鮮明な画像を形成できる水性インク組成物を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、第一に、金属プレート上に形成させたオリフィスより記録液を飛翔させて記録を行うインクジェット記録における記録液が、水に分散または溶解する着色剤、湿潤剤、界面活性剤および金属腐食抑制剤を含み、かつ、該金属腐食抑制剤が下記式(1)で表わされるリグニンカルボン酸塩であり、インク組成物のpHが9以上11以下であることを特徴とするインクジェット記録用水性インク組成物。
【化2】
が提供される。
第二に、上記第一に記載したインクジェット記録用水性インク組成物を熱エネルギーまたは機械的エネルギーにより微少な液滴として飛翔させ、該液滴をステキヒトサイズ度が3以上の被記録材に付着させることにより画像を形成することを特徴とするインクジェット記録方法が提供される。
【0010】
以下に本発明を詳細に説明する。上述のように本発明はオリフィスより記録液を飛翔させて記録を行うインクジェット記録における記録液が着色剤および湿潤剤などとともに、腐食抑制剤としてカルボキシル基を有する天然高分子化合物の塩を含有する水性インク組成物によれば、ノズルの腐食が抑制され、ノズルの目詰まりが防止されるとともに長期にわたる保存安定性、吐出安定性および高印字品質の確保を可能にした水性インク組成物が得られることを見いだしたものである。
【0011】
上記カルボキシル基を有する天然高分子化合物の塩としては、カルボン酸で変性されたリグニンのカルボン酸塩が特に好ましい。
【0012】
これら高分子化合物の防食機構については、詳細は明らかではないが、インク中に添加されるキレート形成しやすい染料や防腐剤(フタロシアニン染料やソディウムオマジンなど)のキレート形成能よりも、これら高分子の錯形成能の方が大きく、金属により不溶化し、金属表面に皮膜形成することにより、金属の腐食が抑制されるものと考えらる。
【0013】
また、その吸着皮膜の状態はpH環境により異なる。通常、これらの高分子化合物の皮膜形成能、すなわち腐食抑制効果が高いのは、pHが中性領域の環境下である場合が多いが、リグニンスルホン酸塩をカルボン酸で変性したものは、pHが中性からアルカリに至るまでの広い領域にわたり、吸着皮膜形成能、すなわち腐食抑制効果が高い点が特徴的である。また、従来より用いられている重金属を含む腐食抑制剤に比べ、地球環境にやさしいという点も注目に値する。
【0014】
本発明の腐食抑制効果を有する高分子化合物の塩は、上記オリフイスを形成させた金属プレートに適用されるばかりでなく、SUSフィルター等に対する防食、その他、ヘッド構成材料に金属材料を用いる場合にも有効である。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明インク組成物において、上記高分子化合物の塩の添加量は、インク全重量に対し0.0001〜1.0重量%が好ましく、さらに好ましくは、0.002〜0.1重量%である。0.0001重量%よりも添加量が少ないと効果がなく、1.0重量%を超えると染料や湿潤剤との間に凝固成分を生じたり、インクの粘度を上昇させるなど、目詰まりの原因となる可能性がある。
【0016】
表1にリグニンカルボン酸塩の具体例を示す。
【0017】
【表1】
【0019】
なお、このインクのpHを9以上に調整するのは、それにより、リグニンカルボン酸塩の皮膜形成能が向上し、かつインクの保存安定性がより高められるという理由による。また、pHを11以下に調整するのは、pHが11を超えると接液するプラスチック部材の劣化が著しい等の問題が発生すからである。
【0020】
また、オフイスで使用されているコピー用紙等はpHが5〜6のものが多く、これらの記録紙としてステキヒトサイズ度が3秒以上のいわゆる普通紙にインクを20〜60μmの微細な吐出口より吐出重量が10〜160ngの液滴として、5〜20m/sで飛翔させて記録することにより、高画質、高解像度の記録画像を形成することができる。
【0021】
本発明のインク組成物に用いられる着色剤としては、水溶性染料としては、カラーインデックスにおいて酸性染料、直接性染料、塩基性染料、反応性染料、食用染料に分類される染料で、耐水、耐光性が優れたものが用いられる。
【0022】
これら染料を具体的に挙げれば、酸性染料および食用染料として
C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142
C.I.アシッドレッド 1,8,13,14,18,26,27,35,37,42,52,82、87,89,92,97,106,111,114,115,134,186,249,254,289
C.I.アシッドブルー 9,29,45,92,249
C.I.アシッドブラック 1,2,7,24,26,94
C.I.フードイエロー 3,4
C.I.フードレッド 7,9,14
C.I.フードブラック 1,2
【0023】
直接性染料として
C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,26,33,44,50,86,120,132,142,144
C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,13,17,20,28,31,39,80,81,83,89,225,227
C.I.ダイレクトオレンジ 26,29,62,102
C.I.ダイレクトブルー 1,2,6,15,22,25,71,76,79,86,87,90,98,163,165,199,202
C.I.ダイレクトブラック 19,22,32,38,51,56,71,74,75,77,154,168,171
【0024】
塩基性染料として
C.I.ベーシックイエロー 1,2,11,13,14,15,19,21,23,24,25,28,29,32,36,40,41,45,49,51,53,63,64,65,67,70,73,77,87,91
C.I.ベーシックレッド 2,12,13,14,15,18,22,23,24,27,29,35,36,38,39,46,49,51,52,54,59,68,69,70,73,78,82,102,104,109,112
C.I.ベーシックブルー 1,3,5,7,9,21,22,26,35,41,45,47,54,62,65,66,67,69,75,77,78,89,92,93,105,117,120,122,124,129,137,141,147,155
C.I.ベーシックブラック 2,8
【0025】
反応性染料として
C.I.リアクティブブラック 3,4,7,11,12,17
C.I.リアクティブイエロー 1,5,11,13,14,20,21,22,25,40,47,51,55,65,67
C.I.リアクティブレッド 1,14,17,25,26,32,37,44,46,55,60,66,74,79,96,97
C.I.リアクティブブルー 1,2,7,1 4,15,23,32,35,38,41,63,80,95
等が使用でき、特に酸性染料および直接性染料が好ましく用いることができる。
【0026】
顔料としては、有機顔料としてアゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、インジゴ系、チオインジゴ系、ペリレン系、イソインドレノン系、アニリンブラック、アゾメチン系、ローダミンBレーキ顔料、カーボンプラック等が挙げられ、無機顔料として酸化鉄、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、紺青、カドミウムレッド、クロムイエロー、金属粉等が挙げられる。
【0027】
顔料分散剤としては親水性高分子として、天然系では、アラビアガム、トラガンガム、グーアガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、アラビノガラクトン、ペクチン、クインスシードデンプン等の植物性高分子、アルギン酸、力ラギーナン、寒天等の海藻系高分子、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン等の動物系高分子、キサンテンガム、デキストラン等の微生物系高分子、半合成系では、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の繊維素系高分子、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム等のデンプン系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等の海藻系高分子、純合成系では、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル等のビニル系高分子、非架橋ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸およびそのアルカリ金属塩、水溶性スチレンアクリル樹脂等のアクリル系樹脂、水溶性スチレンマレイン酸樹脂、水溶性ビニルナフタレンアクリル樹脂、水溶性ビニルナフタレンマレイン酸樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のアルカリ金属塩、四級アンモニウムやアミノ基等のカチオン性官能基の塩を側鎖に有する高分子化合物、セラック等の天然高分子化合物等が挙げられる。
【0028】
本発明のインク組成物は水を液媒体として使用するものであるが、インクを所望の物性にするため、もしくはノズル内でのインクの乾燥を防止するために、また、本発明の化合物の溶解安定性を向上するため等の目的で添加される湿潤剤としては、次のようなものが挙げられる。
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセロール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、1,2,6−へキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコ−ル類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミイダゾリジノン、ε−カプロラクタム等の含窒素複秦環化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン、γ−ブチロラクトン等である。これらの溶媒は水とともに単独もしくは複数混合して用いられる。
【0029】
また、本発明のインク組成物において、インクの紙への浸透性を高める目的で、界面活性剤を添加してもよい。添加される好ましい界面活性剤としてはポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩があり、これを使用することにより速乾性で高品位な画質が得られ、かつ信頼性も高い水性インク組成物を得ることが可能である。
【0030】
上記ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩は、インクの表面張力を下げ、インクの紙への浸透性を上げることによって、印字画像の乾燥性を速めるために添加されるものであり、その添加量は、インクの表面張力が、通常、50mN/m以下、好ましくは40mN/m以下になるように調整され、水性インク組成物全量に対して、0.01〜3.0重量%が好ましい。前記界面活性剤の添加量は、0.01重量%よりも少ないと動的表面張力が高いため乾燥性が悪く、逆に3.0重量%よりも多いと保存時の界面活性剤の析出などが生じる。
【0031】
また、上記以外の界面活性剤を併用しても良い。具体的に使用可能な他の界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレングリコールエステルなどがあり、BTシリーズ(日光ケミカルズ)、ノニポールシリーズ(三洋化成)等として入手できる。
【0032】
また、表面張力を調整する目的で本発明で使用する界面活性剤の他に添加される浸透剤としては、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールクロロフェニルエ一テル等の多価アルコールのアルキルおよびアリールエーテル類、フッ素系界面活性剤、アセチレン系界面活性剤、エタノール、2−プロパノール等の低級アルコール類が挙げられるが、特に好ましいのはジエチレングリコールモノブチルエーテルである。
【0033】
その他目的に応じて、防腐防カビ剤、水溶性紫外線吸収剤、水溶性赤外線吸収剤を添加することもできる。
【0034】
【実施例】
以下に本発明の実施例および比較例を示す。
【0035】
〔実施例1〕
Fast Cyan 2(ゼネカ染料社製) 3重量%
ジエチレングリコ−ル 8重量%
グリセリン 2重量%
界面活性剤(日光ケミカルズ社製BT−7) 1重量%
表1の化合物1 0.5重量%
イオン交換水 85.5重量%
上記組成で処方したインク組成物を、室温中で攪拌溶解し、水酸化リチウムにてpHを10.5に調整した後、これを0.22μmのテフロンフィルターにて濾過し、さらに30分程度の脱気を行ってインクを作製した。得られたインクについて、下記▲1▼〜▲4▼の試験を行い、表2の結果を得た。
【0036】
▲1▼金属腐食性試験:上記実施例1のインク20mlに対し、オリフィスを形成させたニッケルプレート(表面積2cm)を浸漬させ、60℃の環境下に2週間放置し、試験の前後でインク中のニッケルイオン量が変化するかどうかを、ICP(inductively coupled plasma)発光分析にて測定した。試験の前後で、ニッケルイオンの増加量が、2ppm以下の場合を○とし、2ppmを超える場合に×とした。
▲2▼画像の鮮明性試験:ノズルプレートがニッケルで形成された、積層PZTを液室流路の加圧に使用した300dpiのノズルを有するインクジェットプリンタにて印字を行い、画像滲み、色調、濃度を目視により総合的に判断した。印字用紙は市販の再生紙、上質紙と電子写真共用紙の3紙に印字し、いずれの紙でも良好な画像の場合に○とし、それ以外を×とした。
▲3▼保存安定性:各インクをポリエチレン容器に入れ、−20℃、20℃、50℃のそれぞれの条件下で3ヶ月間保存し、保存後の表面張力、粘度および沈殿物析出の有無を調べた。どの条件で保存しても物性等の変化がなく、沈殿がみられないものを○とし、それ以外を×とした。
▲4▼長期放置時の吐出信頼性:試験▲2▼で用いたプリンタに作製したインクを充填し、キャップをした状態で室温中に3ヶ月間放置後、クリーニング等を行わないで印字させ、放置前後の画素径、ドット位置精度の測定を行った。放置前後の画素径の変化分が放置前の画素径の15%未満の場合を○とし、15〜30%未満を△とし、それ以上を×とした。
【0037】
〔実施例2〕
《インクの組成》
Fast Cyan 2(ゼネカ染料社製) 3重量%
ジエチレングリコール 8重量%
グリセリン 2重量%
界面活性剤(日光ケミカルズ社製ECTD−3NEX) 1重量%
表1の化合物1 0.5重量%
2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム 0.2重量%
イオン交換水 85.3重量%
上記組成で処方したインク組成物を、実施例1と同様に、室温中で攪拌溶解し、水酸化リチウムにてpHを10.5に調整した後、これを0.22μmのテフロンフィルターにて濾過し、さらに30分程度の脱気を行ってインクを作製した。得られたインクについて、上記▲1▼〜▲4▼の試験を行い、表2の結果を得た。
【0039】
〔比較例1〕
実施例1において、表1の化合物1を除いたほかは実施例1と同様にしてインクを作製し、上記試験を行ったところ、試験▲1▼においてニッケルイオンの増加がみられ、プレート表面の腐食が観察された。各試験結果は表2に示す。
【0040】
〔比較例2〕
実施例2において、表1の化合物1を除いたほかは、実施例2と同様にしてインクを作製し、上記試験を行ったところ、試験▲1▼においてニッケルイオンの増加がみられ、プレート表面の腐食が観察された。各試験結果は表2に示す。
【0042】
【表2】
【0043】
表2より実施例のインクは上記いずれの試験にも良好な結果が得られた。これに対して本発明による高分子化合物の塩(リグニンカルボン酸Na塩)を含まない比較例のインクは、上述のようにニッケルイオンの増加とともにプレート表面の腐食がみられ、また、長期放置時の吐出信頼性も悪化することがわかる。
【0044】
【発明の効果】
以上のように着色剤および湿潤剤などとともに金属の腐食抑制剤としてカルボキシル基を有する高分子化合物の塩(リグニンカルボン酸Na塩)を含有する本発明の水性インク組成物によれば、オリフィスを形成するニッケルプレートの腐食が明らかに抑制されるとともに長期放置時の吐出信頼性と保存安定性にも優れ、さらに滲み、色調、濃度ともに良好な画像を形成することができる。
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