JP3604770B2 - インクジェット捺染用インク及びインクジェット捺染方法 - Google Patents

インクジェット捺染用インク及びインクジェット捺染方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、インクジェット捺染用インク及びインクジェット捺染方法に関する。特に、分散染料で染色可能な繊維から構成される織布若しくは不織布、又はこれらの繊維と他の繊維とからなる混紡織布若しくは混紡不織布の捺染に適したインクジェット捺染用インク及びインクジェット捺染方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、捺染の主流はスクリーン捺染、ローラー捺染である。しかしながら、これらの方式は、多品種少量生産に不向きであり、流行への迅速な対応も困難であることから、最近では無製版の電子捺染システムの確立が要望されている。
【0003】
この要望に対してインクジェットによる捺染方法が数多く提案されており各方面からの期待も大きくなっている。
【0004】
インクジェット捺染用インクとしては、主に以下のような性能が求められている。
(1)十分な発色濃度を与えること。
(2)記録ヘッド(インクジェットヘッド)のノズルを目詰まりさせないこと。
(3)布帛上で不規則なにじみがなく且つ均染性に優れていること。
(4)長期にわたる耐久においても吐出特性に変化のないこと。特に特開昭54−59936号公報に記載されている熱エネルギーによる体積変化を利用してインクを吐出させる方式の場合には、熱エネルギーを与えるヒーター上に異物の沈着がなく、また消泡時のキャビテーションによるヒーター破壊を起こさないこと。 さらに、分散染料を用いるインクジェット捺染用インクでは上述の問題に加えて、
(5)高温時、及び、長期における分散安定性が良好であること、
が求められる。
【0005】
これらの要求性能を満足させるために、従来は以下のような手段がとられていた。
【0006】
要求性能(1)については、一般的に、染料の濃度を高くすることで十分な濃度を与えていた。特に、200pl以下の小液滴を用いたり、吸収力の強い布帛に対して使用したりする場合は、必須技術である。しかしこうしたインクは、ノズル先端からのインクの蒸発によって、増粘したり、固形分である染料が析出したりして記録ヘッドのノズルを目詰まりさせる問題を引き起こす。
【0007】
そこで、この問題に対応する要求性能(2)については、グリセリン等の多価アルコールを添加する等の手段がとられてきた。しかし、分散染料のような水不溶性又は水難溶性の色素を用いる場合は、特に完全といえるような解決策はなく、染料と溶剤の極めて特異的な組み合わせを行う方法以外は、満足な結果は得られない。
【0008】
要求性能(3)については、既に数多くの提案がされており、例えば特開昭62−283174公報ではカルボン酸基含有ポリマーがインクへ添加されている。しかし、このような従来のいずれの方法も要求性能(2)や(5)を満足するものではない。
【0009】
要求性能(4)については、含有する染料の構造に起因する場合があるが、詳しい検討がなされておらず十分な問題解決に至っていない。
【0010】
要求性能(5)については、分散染料のような水不溶性又は水難溶性の色素をインクジェット捺染に用いる際、特に重要である。この理由として、インクジェットインクで使用するような低粘度で、しかも従来のインクジェットインクよりも高濃度な捺染用インクに分散染料を使用すると、従来の分散染料の液状品よりも分散安定性が低下し、染料が沈降してしまうからである。
【0011】
特開平5−93374号公報及び特開平5−93376号公報には、反応染料とチオジグリコールを含有させたインクを用いて、セルロース系の布帛を染色することが開示されている。しかし、この反応性染料は水溶性染料であり、分散染料のような水不溶性又は水難溶性の色素を分散して用いる際の問題等については全く言及されていない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
以上のような従来の技術では個々の性能を単独で満足させる手段は見出せても、これらの性能を同時に満足させ、係る一連の問題を解決する捺染用インク及びインクジェット捺染方法は、今までのところ知られていないのが現状である。
【0013】
そこで本発明の目的は、上記の要求性能を同時に満足する、すなわち高濃度で鮮明かつ均染性に優れた捺染物を形成し、目詰まり・異物の沈着・ヒーター破壊等がなく優れた吐出特性を有し、かつ長期にわたって安定した分散性及び吐出特性を有するインクジェット捺染用インク、及びこのインクを用いたインクジェット捺染方法を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するために種々の検討を重ねた結果、本発明を完成した。すなわち本発明は、分散染料、この分散染料を分散する分散剤、及び水性液媒体を少なくとも含有するインクジェット捺染用インクにおいて、前記分散染料をインク全重量に対して0.1〜12重量%含有し、前記分散剤がアニオン基を有する化合物であって、このアニオン基の対イオンがアルカリ金属イオン及び、アンモニウムイオン又は有機アンモニウムイオンであり、且つ、この分散剤を前記分散染料の重量に対して2〜5倍量含有することを特徴とするインクジェット捺染用インクに関する。
【0015】
また、インクをインクジェット方式によって布帛上に付与し、次いで熱処理を行うインクジェット捺染方法において、前記布帛が分散染料で染色可能な繊維を含有する布帛であり、且つ、前記インクが上記のインクジェット捺染用インクであることを特徴とするインクジェット捺染方法に関する。
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】
本発明のインクジェット捺染用インクは、分散染料、この分散染料を分散する分散剤、及び水性液媒体を少なくとも含有する。
【0018】
本発明のインクジェット捺染用インクに用いる分散剤は、アニオン基を有する化合物である。その具体例としては、βナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、クレゾールとナフタレンスルホン酸のホルムアルデヒド縮合物、ドデシルベンゼンスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸、ラウリル硫酸、アルキルナフタレンスルホン酸、ジアルキルスルホコハク酸、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸、ポリエチレンオキサイドジスルホン酸、リグニンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、スチレン=アクリル酸共重合体、スチレン=マレイン酸共重合体等が挙げられる。特に、アニオン基がスルホン基であるものが好ましい。
【0019】
さらに本発明においては、上記分散剤の対イオンがアルカリ金属イオン及び、アンモニウムイオン又は有機アンモニウムイオンである。アルカリ金属イオンとしては、ナトリウム、カリウム、リチウム等が挙げられる。有機アンモニウムイオンとしては、トリエチルアンモニウム、トリエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム等が挙げられる。
【0020】
上記のアルカリ金属イオンと、上記のアンモニウムイオン又は有機アンモニウムイオンとのモル比は、1:9〜9:1であることが好ましい。より好ましくは3:7〜8:2である。このモル比がこの範囲内にあると分散がより安定する。なお、アルカリ金属イオンのモル比が9:1より大きくなると、特に熱エネルギーを用いてインクを吐出させるタイプのインクジェット方式に適用した場合、ヒーターの断線が生じ易くなる。
【0021】
本発明に用いる、アルカリ金属イオンと、アンモニウムイオン又は有機アンモニウムイオンを対イオンとするアニオン基含有分散剤は、疎水性の強い分散染料に効率よく吸着して分散性を高めると考えられる。
【0022】
また、アンモニウム塩又は有機アンモニウム塩型の分散剤のアニオン基は、有機性がアルカリ金属塩型のアニオン基よりも大きいと考えられるので、インク中の有機溶剤に対する分散剤の溶解性が増大し、その結果、水分の蒸発により有機溶剤濃度がリッチとなるインクジェットノズル先端での分散染料の分散安定性を向上させる。これによりノズル先端の目詰まりによる不吐出が防止される。
【0023】
さらに、分散剤のアニオン基の対イオンとしてアルカリ金属イオンと、アンモニウムイオン又は有機アンモニウムイオンを一定の比率で混在させることによって、過剰のアルカリ金属イオンがインク中に存在することがなくなったために、熱エネルギーを用いてインクを吐出させるインクジェット方式に適用した場合、ヒーターの断線という問題を解消できる。すなわち、アンモニウムイオン又は有機アンモニウムイオンが過剰に存在してもヒーター断線が生じないばかりでなく、ヒーター上のコゲの発生も抑制される。
【0024】
上述の分散剤のインク中の含有量は、分散染料の重量に対して2〜5倍重量であることが必要である。好ましくは2〜4倍重量である。含有量が2倍重量より少ない場合は、発色特性の改善効果が不十分であることはもちろん、分散安定性の低下や熱的分散安定性の低下によるノズルの目詰まりや、コゲ等によってインクの吐出不良が生じる。含有量が5倍重量を越える場合は、発色特性が阻害されたり、インク粘度が上昇しすぎて吐出周波数応答性が低下したり、場合によっては全くインクが吐出しなくなったりする。
【0025】
本発明のインクジェット捺染用インクに用いる分散染料は特に限定されないが、以下のものが好ましい。例えば、C.I.ディスパーズイエロー5・42・54・64・79・82・83・93・99・100・119・122・124・126・160・184:1・186・199・204・224・237、C.I.ディスパーズオレンジ13・29・31:1・33・49・54・55・66・73・118・119・163、C.I.ディスパーズレッド54・72・73・86・88・91・92・93・111・126・127・134・135・143・145・152・153・154・159・164・167:1・177・181・204・206・207・221・239・240・258・277・278・283・288・311・323・343・348・356・362、C.I.ディスパーズバイオレット33、C.I.ディスパーズブルー56・60・73・79:1・87・113・128・143・148・154・158・165・165:1・165:2・176・183・185・197・198・201・214・224・225・257・266・267・287・354・358・365・368、C.I.ディスパーズグリーン6:1・9等が挙げられる。
【0026】
上記の分散染料は単独で使用してもよいし、あるいは2種以上を併用してもよい。
【0027】
これら分散染料の含有量(2種以上を併用する場合は総含有量)は、インク全重量に対して0.1〜12重量%である。好ましくは0.2〜10重量%であり、より好ましくは0.3〜8重量%である。分散染料の含有量が0.1重量%未満の場合は、発色の濃度が不十分である。12重量%を超えて含有すると、インクの保存安定性(分散安定性等)が低下したり、ノズル先端付近におけるインクの蒸発によって増粘や固体成分の析出が生じ、吐出不良が起こりやすくなったりする。
【0028】
上記分散染料の粒子径は、平均粒子径で300nm以下、好ましくは200nm以下であって、1μm以上の粒子が存在しないことが望ましい。なお、これらの分散染料は、サンドミル等の分離機を用いて微粒子状に分散される。
【0029】
本発明のインクジェット捺染用インクは、水性液媒体を含有し、この水性媒体として少なくとも水を含有する。必須成分である水の含有量は、インク全重量に対して10〜90重量%、好ましくは25〜87重量%、より好ましくは30〜82重量%である。
【0030】
さらに水性液媒体として、水に加えて、一般的な水溶性の有機溶剤を使用してもよい。例えば、アセトン・ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール類、テトラヒドロフラン・ジオキサン等のエーテル類、ジエチレングリコール・トリエチレングリコール・テトラエチレングリコール・ジプロピレングリコール・トリプロピレングリコール・ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール等のオキシエチレン又はオキシプロピレン付加重合体、エチレングリコール・プロピレングリコール・トリメチレングリコール・ブチレングリコール・1,2,6−ヘキサントリオール・チオジグリコール・ヘキシレングリコール等の炭素原子を2〜6個含むアルキレン基を有するアルキレングリコール類、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル・ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル・トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、トリエチレングリコールジメチル(又はエチル)エーテル・テトラエチレングリコールジメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級ジアルキルエーテル類、グリセリン、スルホラン、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ビスヒドロキシエチルスルホン等が挙げられる。これらの水溶性有機溶剤は1種単独でも2種以上の混合物としても使用できる。最も好ましい液媒体組成は、水溶性有機溶剤として少なくとも1種の多価アルコール又はその誘導体を含有するものである。中でもチオジグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ビスヒドロキシエチルスルホンは特に良好なものである。
【0031】
上記の水溶性有機溶剤の含有量は、一般には、インクの全重量に対して5〜50重量%、好ましくは10〜45重量%である。
【0032】
本発明のインクジェット捺染用インクの主要成分は上記の通りであるが、その他、各種の公知の粘度調整剤、表面張力調整剤、蛍光増白剤、消泡剤を必要に応じて添加してもよい。例えば、ポリビニルアルコール・セルロース類・水溶性樹脂等の粘度調整剤、ジエタノールアミン・トリエタノールアミン等の表面張力調整剤、緩衝液によるpH調整剤、防カビ剤、尿素等のヒドロトロピー剤などが挙げられる。
【0033】
また、染料を分散させるため以外の目的のために、インク成分として各種の分散剤や界面活性剤等を必要に応じて添加してもよい。
【0034】
本発明のインクジェット捺染用インクは、上記分散染料、この分散染料を分散する分散剤、水性液媒体(水、必要により水溶性有機溶剤)及びその他の添加物を、従来公知の分散方法や混合方法等を用いて製造することができる。
【0035】
本発明のインクジェット捺染方法は、インクをインクジェット方式によって布帛上に付与し、次いで熱処理を行うインクジェット捺染方法において、前記布帛が分散染料で染色可能な繊維を含有する布帛であり、且つ、前記インクが本発明のインクジェット捺染用インクであることを特徴とするインクジェット捺染方法である。
【0036】
上記本発明の方法において使用する布帛を構成する素材としては、分散染料で染色可能な繊維を含有するものである。中でも、ポリエステル、アセテート、トリアセテート等を含有するものが好ましい。さらにその中でもポリエステルを含有するものが特に好ましい。上記繊維は、織物、編物、不織布等いずれの形態であってもよい。
【0037】
本発明の方法に用いる布帛は、分散染料で染色可能な繊維の混紡率が100%のものが好適であるが、混紡率が30%以上、好ましくは50%以上であれば、分散染料で染色可能な繊維と他の素材との混紡織布又は混紡不織布等を使用することができる。他の素材としては、例えば、レーヨン、綿、ポリウレタン、アクリル、ナイロン、羊毛、絹等が挙げられる。
【0038】
本発明の方法において使用する布帛は、必要に応じて従来公知の前処理を行う。特に、尿素、水溶性高分子、水溶性金属塩等を、0.01〜20重量%含有した処理液(例えば水溶液)を用いること好ましい。布帛はこの処理液に浸し、脱水後、乾燥する。
【0039】
水溶性高分子の例としては、トウモロコシ・小麦等のデンプン物質、カルボキシメチルセルロース・メチルセルロース・ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系物質、アルギン酸ナトリウム・アラビヤゴム・ローカストビーンガム・トラントガム・グアーガム・タマリンド種子等の多糖類、ゼラチン・カゼイン等の蛋白質物質、タンニン系物質、リグニン系物質等の公知の天然水溶性高分子が挙げられる。また、合成高分子の例としては、例えば、公知のポリビニルアルコール系化合物、ポリエチレンオキサイド系化合物、アクリル酸系水溶性高分子、無水マレイン酸系水溶性高分子等が挙げられる。これらの中でも多糖類系高分子やセルロース系高分子が好ましい。
【0040】
水溶性金属塩としては、例えばアルカリ金属やアルカリ土類金属のハロゲン化物のように、典型的なイオン結晶を形成するものであって、pH4〜10に調整可能な化合物が挙げられる。このような化合物の代表的な例としては、例えば、アルカリ金属では、NaCl、NaSO、KCl、CHCOONa等が挙げられ、アルカリ土類金属としてはCaCl、MgCl等が挙げられる。なかでも、Na、K、Caの塩類が好ましい。
【0041】
本発明の方法で用いるインクジェット方式は、従来公知のいずれのインクジェット方式でもよいが、インクに熱エネルギー与えて急激な体積変化を生じさせ、この状態変化による作用力によってインクをノズルから吐出させる方式、すなわちバブルジェット方式が最も有効である(特開昭54−59936号公報等に記載)。
【0042】
上記方式は、複数のノズルを有する記録ヘッドを用いる場合、各ノズル間のインクの吐出速度のバラツキが小さく、インクの吐出速度が5〜20m/secの範囲に集約される。この速度でインクを布帛に衝突させると、着滴時の液滴の繊維に対する浸透の具合が最適となると考えられる。
【0043】
本発明の方法のインクジェット方式において、特に高い効果が得られる条件としては、吐出液滴が20〜200pl、インク打込量が4〜40nl/mm、駆動周波数1.5KHz以上、及び記録ヘッド温度35〜60℃の条件が好ましい。
【0044】
以上のようにして本発明のインクは布帛上に付与されるが、この状態では単に付着しているに過ぎないので、引き続き、繊維への色素の染着(熱処理による定着)、及び未染着の色素の除去を行う必要がある。
【0045】
このような染着の方法、及び未染着の色素の除去方法は、従来公知の方法でよい。染着の方法は、HTスチーミング法またはサーモゾル法を用いることが好ましい。HTスチーミング法の場合、140〜180℃で2〜30分間の処理条件が適当であり、好ましくは160〜180℃で6〜8分間である。サーモゾル法の場合は、160〜210℃で10秒〜5分の処理条件が適当であり、好ましくは180〜210℃で20秒〜2分である。
【0046】
なお、得られたプリント物は、必要に応じて所望の大きさに切り離され、この切り離された片には逢着・接着・溶着等の最終的な加工品を得るための工程が施され、ネクタイ・ハンカチ等の加工品が得られる。
【0047】
本発明の方法で捺染を行うのに好適な装置の一例としては、記録ヘッドの室内のインクに記録信号に対応した熱エネルギーを与え、この熱エネルギーにより液滴を発生させる装置が挙げられる。以下、この装置について図面を用いて説明する。
【0048】
まず、その装置の主要部である記録ヘッド構成例を図1〜3に示す。図1は記録ヘッドの外観斜視図、図2は記録ヘッドのA−A線縦断面図、図3は記録ヘッドのB−B線横断面図である。
【0049】
記録ヘッドは、インクの吐出口であるオリフィス(1)を有し、インクを通す溝(4)を有する板部(2)(ガラス、セラミックス、プラスチック等からなる)と乾熱記録に用いられる発熱ヘッド(3)とを接着して得られる。発熱ヘッド(3)は、酸化シリコン等で形成される保護膜(5)、アルミニウム電極(6a、6b)、ニクロム等で形成される発熱抵抗体層(7)、蓄熱層(8)、アルミナ等の放熱性のよい基板(9)からなっている。
【0050】
インクはオリフィス(1)まできており、圧力Pによりメニスカスを形成している。アルミニウム電極(6a、6b)に電気信号が加わると、発熱ヘッド(3)のnで示される領域が急激に発熱し、ここに接しているインクに気泡が発生する。この気泡の圧力によってメニスカスが突出し、インクがオリフィス(1)から吐出される。吐出したインクはオリフィス(1)より記録小滴を形成し、布帛に向かって飛翔する。
【0051】
図4に、上述の記録ヘッドを組み込んだインクジェット記録装置の一例を示す。図4において、401はワイピング部材としてのブレードであり、その一端はブレード保持部材によって保持されて固定端となり、カンチレバーの形態をなす。ブレード(401)は記録ヘッドによる記録領域に隣接した位置に配設され、また、本例の場合、記録ヘッドの移動経路中に突出した形態で保持される。402はキャップであり、ブレード(401)に隣接するホームポジションに配設され、記録ヘッドの移動方向と垂直な方向に移動して吐出口面と当接し、キャッピングを行う構成を備える。さらに403は、ブレード(401)に隣接して設けられる回復用吸収体であり、ブレード(401)と同様、記録ヘッドの移動経路中に突出した形態で保持される。上記ブレード(401)、キャップ(402)、回復用吸収体(403)によって吐出回復部(404)が構成され、ブレード(401)及び回復用吸収体(403)によってインク吐出口面の水分や塵埃等の除去が行われる。
【0052】
405は記録ヘッドであり、この記録ヘッド(405)は吐出エネルギー発生手段を有し、吐出口を配した吐出口面は布帛に対向する位置に配置される。406は記録ヘッド(405)を搭載して記録ヘッド(405)の移動を行うためのキャリッジである。キャリッジ(406)は、ガイド軸(407)と摺動可能に係合し、キャリッジ(406)の一部はモータ(408)によって駆動されるベルト(409)と接続(不図示)している。これによりキャリッジ(406)はガイド軸(407)に沿った移動が可能となり、記録ヘッド(405)による記録領域及びその隣接した領域の移動が可能となる。
【0053】
410は布帛を挿入するための給布部、411は不図示のモータにより駆動される布送りローラである。これらの構成によって記録ヘッド(405)の吐出口面と対向する位置へ布帛が給付され、記録が進行するにつれて排布ローラ(412)を配した排布部(不図示)へ排布される。
【0054】
上記の構成において、記録ヘッド(405)が記録終了等でホームポジションに戻る際、吐出回復部(404)のキャップ(402)は記録ヘッド(405)の移動経路から退避しているが、ブレード(401)は移動経路中に突出している。この結果、記録ヘッド(405)の吐出口面がワイピングされる。なお、キャップ(402)が記録ヘッド(405)の吐出面に当接してキャッピングを行う場合、キャップ(402)は記録ヘッドの移動経路中に突出するように移動する。
【0055】
記録ヘッド(405)がホームポジションから記録開始位置へ移動する場合、キャップ(402)及びブレード(401)は上述したワイピング時の位置と同一の位置にある。この結果、この移動においてもこの記録ヘッドの吐出口面はワイピングされる。
【0056】
上述の記録ヘッドのホームポジションへの移動は、記録終了時や吐出回復時ばかりでなく、記録ヘッドが記録のために記録領域を移動する間に所定の間隔で記録領域に隣接したホームポジション移動し、この移動に伴って上記ワイピングが行われる。
【0057】
図5に、インクカートリッジの断面図を示す。インクカートリッジは、記録ヘッドにインク供給部材(例えばチューブ等)を介してインクを供給する。ここで501は供給用インクを収容したインク収容部(例えばインク袋等)であり、その先端にはゴム製の栓(502)が設けられている。この栓(502)に針(不図示)を挿入することにより、インク収容部(501)中のインクを記録ヘッドに供給可能にできる。503は廃インクを受容する廃インク吸収体である。インク収容部(501)としては、インクと接液面がポリオレフィン、特にポリエチレンで形成されているものが本発明にとって好ましい。
【0058】
本発明の方法に使用されるインクジェット記録装置としては、上記のごとき記録ヘッドとインクカートリッジとが別体となったものに限らず、図6に示すような一体型のもの(以下「記録ユニット」という。)も好適に用いられる。
【0059】
図6において、記録ユニットの中には供給用インクを収容したインク収容部(例えばインク吸収体等)が収納されており、このインク収容部中のインクが複数のオリフィスを有する記録ヘッド(601)からインク滴として吐出される構成になっている。インク吸収体の材料としては、ポリウレタンを用いることが本発明にとって好ましい。602は記録ユニット内部を大気に連通させるための大気連通口である。この記録ユニットは、図4に示す記録ヘッド(405)に代えて用いられるものであって、キャリッジ(406)に対し脱着自在になっている。
【0060】
本発明のインクジェット捺染用インク及びインクジェット捺染方法は、オフィスユースにも適用可能であるが、特に、オフィスユース以外のインダストリアルユースに好適である。
【0061】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明はこれらに限定するものではない。なお、文中の「部」及び「%」の記載は特に断りのない限り重量基準である。
【0062】
実施例1
本発明のインクジェット捺染用インク(A)を製造するために、まず、分散染料液(I)を作製した。下記の成分(i)を混合し、この混合溶液に分散染料(C.I.ディスパーズイエロー93)15部を加え、30分間プレミキシングを行った後、下記の条件で分散処理を行った。次いで、フロロポアフィルターFP−250(住友電工社製)にて濾過を行い粗大粒子を除去して分散染料液(I)を得た。
【0063】
成分(i);ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミン塩:10部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム:20部、イオン交換水:50部、ジエチレングリコール:5部。
【0064】
分散処理条件;分散機:サンドグラインダー(五十嵐機械製)、粉砕メディア:ジルコニウムビーズ(1mm径)、粉砕メディアの充填率:50%(体積%)、粉砕時間:3時間。
【0065】
得られた分散染料液(I)40部、ジエチレングリコール25部、イオン交換水35部を混合してインク(A)を完成した。
【0066】
実施例2
分散染料としてC.I.ディスパーズレッド92を用いた以外は実施例1と同様にして分散染料液(II)を作製し、この分散染料(II)を用いた以外は実施例1と同様にしてインク(B)を得た。
【0067】
実施例3
分散染料としてC.I.ディスパーズブルー87を用いた以外は実施例1と同様にして分散染料液(III)を作製した。
【0068】
得られた分散染料液(III)30部、ジエチレングリコール25部、イオン交換水45部を混合してインク(C)を得た。
【0069】
実施例4
本発明のインクジェット捺染用インク(D)を製造するために、まず、分散染料液(IV)を作製した。下記の成分(iv)を混合し、この混合溶液に分散染料(C.I.ディスパーズイエロー224)10部を加え、30分間プレミキシングを行った後、下記の条件で分散処理を行った。次いで、フロロポアフィルターFP−250(住友電工社製)にて濾過を行い粗大粒子を除去して分散染料液(IV)を得た。
【0070】
成分(iv);リグニンスルホン酸アンモニウム:8部、リグニンスルホン酸ナトリウム:32部、イオン交換水:35部、ジエチレングリコール:15部。
【0071】
分散処理条件;分散機:サンドグラインダー(五十嵐機械製)、粉砕メディア:ガラスビーズ(0.5mm径)、粉砕メディアの充填率 :70%(体積%)、粉砕時間:3時間。
【0072】
得られた分散染料液(IV)30部、ジエチレングリコール25部、トリエチレングリコールモノメチルエーテル5部、イオン交換水40部を混合してインク(D)を完成した。
【0073】
実施例5
分散染料としてC.I.ディスパーズレッド348を用いた以外は実施例4と同様にして分散染料液(V)を作製した。
【0074】
得られた分散染料液(V)20部、ジエチレングリコール25部、トリエチレングリコールモノメチルエーテル5部、イオン交換水50部を混合してインク(E)を得た。
【0075】
実施例6
分散染料としてC.I.ディスパーズブルー198を用いた以外は実施例4と同様にして分散染料液(VI)を作製し、この分散染料液(VI)を用いた以外は実施例4と同様にしてインク(F)を得た。
【0076】
実施例7
本発明のインクジェット捺染用インク(G)を製造するために、まず、分散染料液(VII)を作製した。下記の成分(vii)を混合し、この混合溶液に分散染料(C.I.ディスパーズイエロー99)20部を加え、30分間プレミキシングを行った後、下記の条件で分散処理を行った。次いで、フロロポアフィルターFP−250(住友電工社製)にて濾過を行い粗大粒子を除去して分散染料液(VII)を得た。
【0077】
成分(vii);βナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の塩(Na/NH4+=3/7(モル比)):30部、イオン交換水:40部、ジエチレングリコール:10部。
【0078】
分散処理条件;分散機:パールミル(アシザワ製)、粉砕メディア:ガラスビーズ(1mm径)、粉砕メディアの充填率:50%(体積%)、吐出速度:100ml/min。
【0079】
得られた分散染料液(VII)60部、グリセリン10部、βナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物(Na/NH4+=3/7(モル比))16部、尿素2部、イオン交換水22部を混合してインク(G)を完成した。
【0080】
実施例8
分散染料としてC.I.ディスパーズレッド283を用いた以外は実施例7と同様にして分散染料液(VIII)を作製した。
【0081】
得られた分散染料液(VIII)50部、グリセリン10部、βナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の塩(Na/NH4+=3/7(モル比))10部、尿素2部、イオン交換水28部を混合してインク(H)を得た。
【0082】
実施例9
分散染料としてC.I.ディスパーズブルー185を用いた以外は実施例7と同様にして分散染料液(IX)を作製した。
【0083】
得られた分散染料液(IX)30部、グリセリン10部、βナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の塩(Na/NH4+=3/7(モル比))15部、尿素2部、イオン交換水43部を混合してインク(I)を得た。
【0084】
実施例10
本発明のインクジェット捺染用インク(J)を製造するために、まず、分散染料液(X)を作製した。下記の成分(x)を混合し、この混合溶液に分散染料(C.I.ディスパーズイエロー126)12部を加え、30分間プレミキシングを行った後、下記の条件で分散処理を行った。次いで、フロロポアフィルターFP−250(住友電工社製)にて濾過を行い粗大粒子を除去して分散染料液(X)を得た。
【0085】
成分(x);βナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の塩(Na/NH4+=9/1(モル比)):60部、イオン交換水:18部、ジエチレングリコール:10部。
【0086】
分散処理条件;分散機:パールミル(アシザワ製)、粉砕メディア:ガラスビーズ(1mm径)、粉砕メディアの充填率:50%(体積%)、吐出速度:100ml/min。
【0087】
得られた分散染料液(X)40部、ジエチレングリコール15部、トリエチレングリコール5部、イオン交換水40部を混合してインク(J)を完成した。
【0088】
実施例11
分散染料としてC.I.ディスパーズレッド167:1を用いた以外は実施例10と同様にして分散染料液(XI)を作製した。
【0089】
得られた分散染料液(XI)45部、ビスヒドロキシエチルスルホン15部、ジエチレングリコール5部、イオン交換水35部を混合してインク(K)を得た。
【0090】
実施例12
分散染料としてC.I.ディスパーズブルー266を用いた以外は実施例10と同様にして分散染料液(XII)を作製した。
【0091】
得られた分散染料液(XII)30部、ビスヒドロキシエチルスルホン15部、トリエチレングリコール5部、イオン交換水50部を混合してインク(L)を得た。
【0092】
実施例13
ポリエステル100%の織布を、処理液(NaCl:10%、アルギン酸ソーダ:2%、水:88%)に浸し、次いで絞り率30%で脱水後乾燥した。
【0093】
この織布に、本実施例1〜3で作製したインクジェット捺染用インク(A〜C)を用いて、カラーバブルジェットプリンターBJC820(商品名、キャノン製)により各色10個の1×1cmのベタパターンの印字を行った。次いで、170℃で8分間の蒸熱処理(HTスチーミング法)による定着を行った。
【0094】
実施例14
インクジェット捺染用インクとして実施例4〜6で作製したインク(D〜F)を用い、定着処理として200℃で50秒間のサーモゾル処理を行った以外は、実施例13と同様にしてインクジェット捺染を行った。
【0095】
実施例15
ポリエステル70%と綿30%を混紡した織布を、処理液(NaCl:10%、カルボキシメチルセルロース:2%、水:88%)に浸し、次いで絞り率30%で脱水後乾燥した。
【0096】
この織布に、実施例7〜9で作製したインクジェット捺染用インク(G〜I)を用いて、実施例13と同様にしてインクジェット捺染を行った。
【0097】
実施例16
インクジェット捺染用インクとして実施例10〜12で作製したインク(J〜L)を用いた以外は、実施例13と同様にしてインクジェット捺染を行った。
【0098】
比較例1
本発明のインクジェット捺染用インク(M)を製造するために、まず、分散染料液(XIII)を作製した。下記の成分(xiii)を混合し、この混合溶液に分散染料(C.I.ディスパーズイエロー99)20部を加え、30分間プレミキシングを行った後、下記の条件で分散処理を行った。次いで、フロロポアフィルターFP−250(住友電工社製)にて濾過を行い粗大粒子を除去して分散染料液(XIII)を得た。
【0099】
成分(xiii);βナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物Na塩:30部、イオン交換水:40部、ジエチレングリコール:10部。
【0100】
分散処理条件;分散機:パールミル(アシザワ製)、粉砕メディア:ガラスビーズ(1mm径)、粉砕メディアの充填率:50%(体積%)、吐出速度:100ml/min。
【0101】
得られた分散染料液(XIII)60部、グリセリン10部、尿素2部、イオン交換水28部を混合してインク(M)を完成した。
【0102】
比較例2
分散染料としてC.I.ディスパーズレッド283を用いた以外は比較例1と同様にして分散染料液(XIV)を作製した。
【0103】
得られた分散染料液(XIV)50部、グリセリン10部、βナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物Na塩15部、尿素2部、イオン交換水23部を混合してインク(N)を得た。
【0104】
比較例3
分散染料としてC.I.ディスパーズブルー185を用いた以外は比較例1と同様にして分散染料液(XV)を作製した。
【0105】
得られた分散染料液(XV)30部、グリセリン10部、βナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物Na塩21部、尿素2部、イオン交換水37部を混合してインク(O)を得た。
【0106】
比較例4
分散染料液(X)40部、ジエチレングリコール15部、βナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の塩(Na/NH4+=9/1(モル比))5部、イオン交換水40部を混合してインク(P)を得た。
【0107】
比較例5
分散染料液(VII)60部、グリセリン10部、尿素2部、イオン交換水28部を混合してインク(Q)を得た。
【0108】
比較例6
分散染料液(VII)70部、βナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の塩(Na/NH4+=3/7(モル比))7部、グリセリン10部、尿素2部、イオン交換水11部を混合してインク(R)を得た。
【0109】
比較例7
インクジェット捺染用インクとして比較例1〜3で作製したインク(M〜O)を用いた以外は、実施例13と同様にしてインクジェット捺染を行った。
【0110】
比較例8
インクジェット捺染用インクとして比較例4〜6で作製したインク(P〜R)を用いた以外は、実施例13と同様にしてインクジェット捺染を行った。
【0111】
評価例1
実施例13で調製した捺染物を中性洗剤で洗浄した後、均染性及びニジミ性について評価した。結果を表1に示した。実施例13の捺染物はいずれも、K/S値の相対評価によって判定したベタ部の均染性が格段に良好で、しかも不規則なニジミもなかった。
【0112】
なお表1において、K/S平均値、均染性、ニジミ性は、以下の通りである。
【0113】
K/S平均値:10個のベタ部のK/S値の平均値
K/S値=(1−R)/2R
(Rは最大吸収波長の反射率)
測定装置:ミノルタ製分光測色計CM−200L
均染性:10個のベタ部のK/S値をそれぞれ測定し、その差を判定
○:均染性がよい(K/S値の差が0.5以下)
△:均染性がやや悪い(K/S値の差が0.5〜1)
×:均染性が悪い(K/S値の差が1以上)
ニジミ性:エッジの直線部分の不規則な乱れを肉眼で観察して判定
○:乱れが全くない
△:乱れが少しある
×:乱れが多い
評価例2
実施例1〜12及び比較例1〜6で作製した各インクジェット捺染用インク(A〜R)100ccをガラス容器に入れ、50℃で1カ月間、及び80℃で4日間保存し、インクの保存安定性を調べた。ガラス容器内の沈殿物の発生の有無を肉眼で判定した(○:沈殿物なし、△:少し沈殿物が発生、×:多量の沈殿物が発生)。その結果を表2に示す。
【0114】
評価例3
実施例1〜12及び比較例1〜6で作製した各インクジェット捺染用インク(A〜R)を、特開昭54−59936号公報に記載されている熱エネルギーの作用を利用したインクジェットヘッド(キャノン製カラーバブルジェット複写機「Pixel pro」用、ノズル数256、飛翔液滴20〜40pl)を用いて、10本のノズルで6×10パルスの連続印字を行わせた。このときのヒーター断線の有無、及び吐出液滴量と吐出速度の減少の有無(吐出安定性)を調べた。10本のノズル中、ヒーター断線や吐出液滴量・吐出速度の減少が起こらなかったノズルの数で判定した(○:10本、△:6〜9本、×:5本以下)。結果を表3に示す。なお、インクジェットヘッドは35〜60℃の範囲で使用した。
【0115】
評価例4
評価例3と同様にして3分間連続して英数文字を印字した後、印字を停止し、キャップをしない状態で3分間放置した。次いで、再び英数文字を印字して、文字のカスレ・カケ等の印字不良の有無(吐出応答性)を調べた(○:1文字目から不良個所なし、△:1文字目の一部がカスレ又はカケている、×:1文字目から全く印字できない)。結果を表3に示す。なお、インクジェットヘッドは35〜60℃の範囲で使用した。
【0116】
評価例5
評価例3と同様にして、3分間連続して英数文字を印字した後、印字を停止し、キャップをしない状態で3日間、10℃、30%RHの環境下で放置した。放置後のノズル先端付近での固形物の付着による目詰まりを調べた(○:目詰まり無し、△:目詰まりはあるが、吸引により回復、×:吸引しても目詰まりは回復しない)。結果を表3に示す。なお、インクジェットヘッドは35〜60℃の範囲で使用した。
【0117】
【表1】
Figure 0003604770
Figure 0003604770
【0118】
【表2】
Figure 0003604770
Figure 0003604770
【0119】
【表3】
Figure 0003604770
Figure 0003604770
【0120】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように本発明は以下の効果を有する。
(1)本発明のインクジェット捺染用インクは分散安定性に優れるため、分散染料の粒子が凝集しにくくなり、その結果、均染性が向上し、ニジミも防止される。
(2)本発明のインクジェット捺染用インクは分散性に優れるため、分散染料を高濃度にすることができ、また沈殿物が発生しにくい。その結果、インクジェットヘッドのノズルの目詰まりを起こすことなく、高濃度で鮮明な捺染物を形成する。
(3)本発明のインクジェット捺染用インクは分散性に優れるため、より微粒子の分散染料を用いることができ、その結果、発色特性が向上する。
(4)本発明のインクジェット捺染用インクによれば、インクジェット捺染方法で長時間連続的に記録を行っても、インクジェットヘッドのヒーター上に異物が沈着したり、ヒーターが断線したりせず、安定した印捺が可能となる。
(5)上記の分散性や吐出特性は、長期間にわたって変化せず、比較的高温においても安定である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法に用いるインクジェット記録装置の記録ヘッドの外観斜視図である。
【図2】本発明の方法に用いるインクジェット記録装置の記録ヘッドのA−A線縦断面図である。
【図3】本発明の方法に用いるインクジェット記録装置の記録ヘッドのB−B線横断面図である。
【図4】本発明の方法に用いるインクジェット記録装置の説明図である。
【図5】本発明の方法に用いるインクジェット記録装置のインクカートリッジの断面図である。
【図6】本発明の方法に用いるインクジェット記録装置の記録ユニットの斜視図である。
【符号の説明】
1 オリフィス
2 板部
3 発熱ヘッド
4 溝
5 保護膜
6a、6b アルミニウム電極
7 発熱抵抗体層
8 蓄熱層
9 基板
401 ブレード
402 キャップ
403 回復用吸収体
404 吐出回復部
405、601 記録ヘッド
406 キャリッジ
407 ガイド軸
408 モータ
409 ベルト
410 給付部
411 布送りローラ
412 排布ローラ
501 インク収容部
502 栓
503 廃インク吸収体
602 大気連通孔

Claims (3)

  1. 分散染料、この分散染料を分散する分散剤、及び水性液媒体を少なくとも含有するインクジェット捺染用インクにおいて、前記分散染料をインク全重量に対して0.1〜12重量%含有し、前記分散剤がアニオン基を有する化合物であって、このアニオン基の対イオンがアルカリ金属イオン及び、アンモニウムイオン又は有機アンモニウムイオンであり、且つ、この分散剤を前記分散染料の重量に対して2〜5倍重量含有することを特徴とするインクジェット捺染用インク。
  2. 前記分散剤の対イオンである上記アルカリ金属イオンと、上記アンモニウムイオン又は有機アンモニウムイオンとのモル比が1:9〜9:1である請求項1記載のインクジェット捺染用インク。
  3. インクをインクジェット方式によって布帛上に付与し、次いで熱処理を行うインクジェット捺染方法において、前記布帛が分散染料で染色可能な繊維を含有する布帛であり、且つ、前記インクが請求項1又は2記載のインクジェット捺染用インクであることを特徴とするインクジェット捺染方法。
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