JPH10231448A - インクジェット記録用水性インク組成物およびそれを用いた記録方法 - Google Patents

インクジェット記録用水性インク組成物およびそれを用いた記録方法

Info

Publication number
JPH10231448A
JPH10231448A JP4838897A JP4838897A JPH10231448A JP H10231448 A JPH10231448 A JP H10231448A JP 4838897 A JP4838897 A JP 4838897A JP 4838897 A JP4838897 A JP 4838897A JP H10231448 A JPH10231448 A JP H10231448A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
water
recording
ink composition
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP4838897A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4010590B2 (ja
Inventor
Akiko Konishi
昭子 小西
Akio Kojima
明夫 小島
Kiyofumi Nagai
希世文 永井
Masato Igarashi
正人 五十嵐
Masayuki Koyano
正行 小谷野
Takanori Tsuyuki
孝範 露木
Hirotaka Mochizuki
博孝 望月
Ikuko Tanaka
郁子 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP4838897A priority Critical patent/JP4010590B2/ja
Publication of JPH10231448A publication Critical patent/JPH10231448A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4010590B2 publication Critical patent/JP4010590B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 インクジェットプリンタのノズルの腐食が抑
制されてノズルの目詰まりが防止でき、さらに長期放置
時の吐出信頼性と保存安定性が得られるとともに鮮明な
画像を形成できる水性インク組成物を得る。 【解決手段】 金属プレート上に形成させたオリフィス
より記録液を飛翔させて記録を行うインクジェット記録
における記録液が、水に分散または溶解する着色剤、湿
潤剤、界面活性剤および金属腐食抑制剤を含み、かつ、
該金属腐食抑制剤としてカルボキシル基を含む天然また
は合成高分子化合物もしくはそれらの塩を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はインクジェット記録
用水性インク組成物、特にノズルの腐食を防止すること
により、耐久性を向上させ、長期にわたる保存安定性、
吐出安定性および高印字品質の確保を可能にした水性イ
ンク組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録は、低騒音、低ラン
ニングコストといった利点から、近年、急速に普及して
きている。インクジェット記録において、長期に亘つて
良好な印字記録を行うために、使用するインク(水性イ
ンク組成物)に要求される特性としては、インクが保存
安定性および吐出安定性に優れること、印字画像が滲み
のない鮮明な画像であり、かつ、その耐水性、耐光性
等、画像の保存性に優れることなどが挙げられる。
【0003】しかしながら、以上のような要求を満足す
るため、これまでインクに関する多数の提案がなされて
いるが、上記諸要求全てを満足するインクはまだ得られ
ていないのが現状である。特にノズルの目詰まりを防止
することは重要な課題である。ノズルが目詰まりを起こ
す原因としては、ノズル先端での水分蒸発によるインク
の増粘、染料析出または不溶性無機塩の生成、あるいは
インクが空気に接触することにより空気中の炭酸ガスの
影響を受け、インクのpHが低下することによる染料の
溶解安定性の低下などに加え、インクがノズル部分の金
属部材に接することによる金属腐食なども考えられる。
これらは飛翔するインク液滴の量や吐出する方向をばら
つかせるため印字品質を著しく低下させる。
【0004】上述した原因のうち水分蒸発によるインク
の増粘および染料の析出に関しては、保水性が高く、か
つ粘度が低い、染料溶解性の高い湿潤剤を使用すること
により解決される、また、インクのpH低下を防ぐ方法
としては、pH緩衝剤を添加したり、染料自体にある程
度の緩衝性を持たせることにより解決してきている。
【0005】しかし、金属腐食に関しては、これまでの
ところ、いくつかの提案がなされているものの満足でき
るものではない。たとえば特開昭58−197059号
公報によれば、ノズルプレート材の金属より高導電率の
材料からなる被覆層をオリフィス面に設けて、そこから
アースを取るようにして電解腐食を抑える方法が示され
ているが、この方法では完全に電解腐食を抑えることは
できず、またオリフィス面に付着した余剰の記録液を取
り除くために行うワイピング等で、被覆層が剥がれるこ
とも多く、耐久性に問題が残る。
【0006】また特開昭61−261057号公報では
ニッケルからなる構成部品の表面に不動態層を形成する
ことにより、特開昭63−81050号公報では炭化水
素化合物またはフッ化水素化合物を原料としたコーティ
ング層を形成させることにより、それぞれ記録液に対す
る濡れ性を低下させ、腐食され難くさせている。しか
し、これらの方法では基材への被覆率が低い場合には記
録液に対する濡れを十分に抑制することかできないた
め、腐食を防止する効果が弱くなり、また被覆率を高く
すると、今度はオリフィスの成形精度が悪くなるなどの
問題が生じる。
【0007】また特開平5−287225号公報によれ
ば、オリフィスを構成する材料にニッケルおよび/また
はニッケルを含む合金を使用し、記録液中にニッケルイ
オンを含有させることにより、電解腐食が抑制されると
しているが、この方法では、過剰のニッケルイオンによ
り、沈殿が生じ易くなったり、また染料によってはニッ
ケルイオンとキレートを生成し、色調が変化するなどの
問題を生じるため、十分な解決法とは言えない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に鑑
みてなされたもので、ノズルの腐食が抑制されて、ノズ
ルが目詰まりを起こさず、また、高い保存安定性と吐出
信頼性が得られるとともに鮮明な画像を形成できる水性
インク組成物を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、第一
に、金属プレート上に形成させたオリフィスより記録液
を飛翔させて記録を行うインクジェット記録における記
録液が、水に分散または溶解する着色剤、湿潤剤、界面
活性剤および金属腐食抑制剤を含み、かつ、該金属腐食
抑制剤がカルボキシル基を有する天然または合成高分子
化合物もしくはそれの塩であることを特徴とするインク
ジェット記録用水性インク組成物が提供される。第二
に、上記第一に記載したインクジェット記録用水性イン
ク組成物において、上記高分子化合物もしくはそれらの
塩がカルボン酸で変性されたリグニンのスルホン酸塩で
あることを特徴とするインクジェット記録用水性インク
組成物が提供される。第三に、上記第二に記載したイン
クジェット記録用水性インク組成物において、上記イン
ク組成物のpHが9以上11以下であることを特徴とす
るインクジェット記録用水性インク組成物が提供され
る。第四に、上記第一、第二または第三に記載したイン
クジェット記録用水性インク組成物を熱エネルギーまた
は機械的エネルギーにより微少な液滴として飛翔させ、
該液滴をステキヒトサイズ度が3以上の被記録材に付着
させることにより画像を形成することを特徴とするイン
クジェット記録方法が提供される。
【0010】以下に本発明を詳細に説明する。上述のよ
うに本発明はオリフィスより記録液を飛翔させて記録を
行うインクジェット記録における記録液が着色剤および
湿潤剤などとともに、腐食抑制剤としてカルボキシル基
を有する天然または合成高分子化合物もしくはそれらの
塩を含有する水性インク組成物によれば、ノズルの腐食
が抑制され、ノズルの目詰まりが防止されるとともに長
期にわたる保存安定性、吐出安定性および高印字品質の
確保を可能にした水性インク組成物が得られることを見
いだしたものである。
【0011】上記カルボキシル基を有する高分子化合物
もしくはそれらの塩としては、天然高分子であれば、カ
ルホン酸で変性されたリグニンのスルホン酸塩が特に好
ましい。一方、合成高分子であれば、アクリル酸系、メ
タクリル酸系、イタコン酸系、マレイン酸系およびそれ
らの誘導体等の単一重合体や共重合体またはそれらの塩
が好ましい。
【0012】これら高分子化合物の防食機構について
は、詳細は明らかではないが、インク中に添加されるキ
レート形成しやすい染料や防腐剤(フタロシアニン染料
やソディウムオマジンなど)のキレート形成能よりも、
これら高分子の錯形成能の方が大きく、金属により不溶
化し、金属表面に皮膜形成することにより、金属の腐食
が抑制されるものと考えらる。
【0013】また、その吸着皮膜の状態はpH環境によ
り異なる。通常、これらの高分子化合物の皮膜形成能、
すなわち腐食抑制効果が高いのは、pHが中性領域の環
境下である場合が多いが、リグニンスルホン酸塩をカル
ボン酸で変性したものは、pHが中性からアルカリに至
るまでの広い領域にわたり、吸着皮膜形成能、すなわち
腐食抑制効果が高い点が特徴的である。また、従来より
用いられている重金属を含む腐食抑制剤に比べ、地球環
境にやさしいという点も注目に値する。
【0014】これら本発明の腐食抑制効果を有する高分
子化合物もしくはそれらの塩は、上記オリフイスを形成
させた金属プレートに適用されるばかりでなく、SUS
フィルター等に対する防食、その他、ヘッド構成材料に
金属材料を用いる場合にも有効である。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明インク組成物において、上
記高分子化合物もしくはそれらの塩の添加量は、インク
全重量に対し0.0001〜1.0重量%が好ましく、
さらに好ましくは、0.002〜0.1重量%である。
0.0001重量%よりも添加量が少ないと効果がな
く、1.0重量%を超えると染料や湿潤剤との間に凝固
成分を生じたり、インクの粘度を上昇させるなど、目詰
まりの原因となる可能性がある。
【0016】表1−1〜表1−2に上記高分子化合物ま
たはそれらの塩の具体例を示すが、本発明はこれらに限
定されるものではない。
【0017】
【表1−(1)】
【0018】
【表1−(2)】
【0019】なお、このインクのpHを9以上に調整す
るのは、それにより、カルボン酸変性リグニンスルホン
酸塩の皮膜形成能が向上し、かつインクの保存安定性が
より高められるという理由による。また、pHを11以
下に調整するのは、pHが11を超えると接液するプラ
スチック部材の劣化が著しい等の問題が発生すからであ
る。
【0020】また、オフイスで使用されているコピー用
紙等はpHが5〜6のものが多く、これらの記録紙とし
てステキヒトサイズ度が3秒以上のいわゆる普通紙にイ
ンクを20〜60μmの微細な吐出口より吐出重量が1
0〜160ngの液滴として、5〜20m/sで飛翔さ
せて記録することにより、高画質、高解像度の記録画像
を形成することができる。
【0021】本発明のインク組成物に用いられる着色剤
としては、水溶性染料としては、カラーインデックスに
おいて酸性染料、直接性染料、塩基性染料、反応性染
料、食用染料に分類される染料で、耐水、耐光性が優れ
たものが用いられる。
【0022】これら染料を具体的に挙げれば、酸性染料
および食用染料として C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,
79,142 C.I.アシッドレッド 1,8,13,14,18,
26,27,35,37,42,52,82、87,8
9,92,97,106,111,114,115,1
34,186,249,254,289 C.I.アシッドブルー 9,29,45,92,24
9 C.I.アシッドブラック 1,2,7,24,26,
94 C.I.フードイエロー 3,4 C.I.フードレッド 7,9,14 C.I.フードブラック 1,2
【0023】直接性染料として C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,26,
33,44,50,86,120,132,142,1
44 C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,13,17,
20,28,31,39,80,81,83,89,2
25,227 C.I.ダイレクトオレンジ 26,29,62,10
2 C.I.ダイレクトブルー 1,2,6,15,22,
25,71,76,79,86,87,90,98,1
63,165,199,202 C.I.ダイレクトブラック 19,22,32,3
8,51,56,71,74,75,77,154,1
68,171
【0024】塩基性染料として C.I.ベーシックイエロー 1,2,11,13,1
4,15,19,21,23,24,25,28,2
9,32,36,40,41,45,49,51,5
3,63,64,65,67,70,73,77,8
7,91 C.I.ベーシックレッド 2,12,13,14,1
5,18,22,23,24,27,29,35,3
6,38,39,46,49,51,52,54,5
9,68,69,70,73,78,82,102,1
04,109,112 C.I.ベーシックブルー 1,3,5,7,9,2
1,22,26,35,41,45,47,54,6
2,65,66,67,69,75,77,78,8
9,92,93,105,117,120,122,1
24,129,137,141,147,155 C.I.ベーシックブラック 2,8
【0025】反応性染料として C.I.リアクティブブラック 3,4,7,11,1
2,17 C.I.リアクティブイエロー 1,5,11,13,
14,20,21,22,25,40,47,51,5
5,65,67 C.I.リアクティブレッド 1,14,17,25,
26,32,37,44,46,55,60,66,7
4,79,96,97 C.I.リアクティブブルー 1,2,7,1 4,1
5,23,32,35,38,41,63,80,95 等が使用でき、特に酸性染料および直接性染料が好まし
く用いることができる。
【0026】顔料としては、有機顔料としてアゾ系、フ
タロシアニン系、アントラキノン系、キナクリドン系、
ジオキサジン系、インジゴ系、チオインジゴ系、ペリレ
ン系、イソインドレノン系、アニリンブラック、アゾメ
チン系、ローダミンBレーキ顔料、カーボンプラック等
が挙げられ、無機顔料として酸化鉄、酸化チタン、炭酸
カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリ
ウムイエロー、紺青、カドミウムレッド、クロムイエロ
ー、金属粉等が挙げられる。
【0027】顔料分散剤としては親水性高分子として、
天然系では、アラビアガム、トラガンガム、グーアガ
ム、カラヤガム、ローカストビーンガム、アラビノガラ
クトン、ペクチン、クインスシードデンプン等の植物性
高分子、アルギン酸、力ラギーナン、寒天等の海藻系高
分子、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン等
の動物系高分子、キサンテンガム、デキストラン等の微
生物系高分子、半合成系では、メチルセルロース、エチ
ルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキ
シプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等
の繊維素系高分子、デンプングリコール酸ナトリウム、
デンプンリン酸エステルナトリウム等のデンプン系高分
子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリ
コールエステル等の海藻系高分子、純合成系では、ポリ
ビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニル
メチルエーテル等のビニル系高分子、非架橋ポリアクリ
ルアミド、ポリアクリル酸およびそのアルカリ金属塩、
水溶性スチレンアクリル樹脂等のアクリル系樹脂、水溶
性スチレンマレイン酸樹脂、水溶性ビニルナフタレンア
クリル樹脂、水溶性ビニルナフタレンマレイン酸樹脂、
ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、β−ナ
フタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のアルカリ金属
塩、四級アンモニウムやアミノ基等のカチオン性官能基
の塩を側鎖に有する高分子化合物、セラック等の天然高
分子化合物等が挙げられる。
【0028】本発明のインク組成物は水を液媒体として
使用するものであるが、インクを所望の物性にするた
め、もしくはノズル内でのインクの乾燥を防止するため
に、また、本発明の化合物の溶解安定性を向上するため
等の目的で添加される湿潤剤としては、次のようなもの
が挙げられる。エチレングリコール、ジエチレングリコ
ール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、グリセロール、1,5
−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、1,
2,6−へキサントリオール、1,2,4−ブタントリ
オール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール
等の多価アルコ−ル類、エチレングリコールモノエチル
エーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジ
エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレング
リコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモ
ノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチ
ルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル
等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリ
コールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ
ベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル
類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N
−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチ
ルイミイダゾリジノン、ε−カプロラクタム等の含窒素
複秦環化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミ
ド、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等の
アミド類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジ
エタノール等の含硫黄化合物類、プロピレンカーボネー
ト、炭酸エチレン、γ−ブチロラクトン等である。これ
らの溶媒は水とともに単独もしくは複数混合して用いら
れる。
【0029】また、本発明のインク組成物において、イ
ンクの紙への浸透性を高める目的で、界面活性剤を添加
してもよい。添加される好ましい界面活性剤としてはポ
リオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩があり、これ
を使用することにより速乾性で高品位な画質が得られ、
かつ信頼性も高い水性インク組成物を得ることが可能で
ある。
【0030】上記ポリオキシエチレンアルキルエーテル
酢酸塩は、インクの表面張力を下げ、インクの紙への浸
透性を上げることによって、印字画像の乾燥性を速める
ために添加されるものであり、その添加量は、インクの
表面張力が、通常、50mN/m以下、好ましくは40
mN/m以下になるように調整され、水性インク組成物
全量に対して、0.01〜3.0重量%が好ましい。前
記界面活性剤の添加量は、0.01重量%よりも少ない
と動的表面張力が高いため乾燥性が悪く、逆に3.0重
量%よりも多いと保存時の界面活性剤の析出などが生じ
る。
【0031】また、上記以外の界面活性剤を併用しても
良い。具体的に使用可能な他の界面活性剤としては、ポ
リオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレ
ンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレングリ
コールエステルなどがあり、BTシリーズ(日光ケミカ
ルズ)、ノニポールシリーズ(三洋化成)等として入手
できる。
【0032】また、表面張力を調整する目的で本発明で
使用する界面活性剤の他に添加される浸透剤としては、
ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレン
グリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコール
モノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニ
ルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテ
ル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラ
エチレングリコールクロロフェニルエ一テル等の多価ア
ルコールのアルキルおよびアリールエーテル類、フッ素
系界面活性剤、アセチレン系界面活性剤、エタノール、
2−プロパノール等の低級アルコール類が挙げられる
が、特に好ましいのはジエチレングリコールモノブチル
エーテルである。
【0033】その他目的に応じて、防腐防カビ剤、水溶
性紫外線吸収剤、水溶性赤外線吸収剤を添加することも
できる。
【0034】
【実施例】以下に本発明の実施例および比較例を示す。
【0035】〔実施例1〕 Fast Cyan 2(ゼネカ染料社製) 3重量% ジエチレングリコ−ル 8重量% グリセリン 2重量% 界面活性剤(日光ケミカルズ社製BT−7) 1重量% 表1の化合物1 0.5重量% イオン交換水 85.5重量% 上記組成で処方したインク組成物を、室温中で攪拌溶解
し、水酸化リチウムにてpHを10.5に調整した後、
これを0.22μmのテフロンフィルターにて濾過し、
さらに30分程度の脱気を行ってインクを作製した。得
られたインクについて、下記〜の試験を行い、表2
の結果を得た。
【0036】金属腐食性試験:上記実施例1のインク
20mlに対し、オリフィスを形成させたニッケルプレ
ート(表面積2cm)を浸漬させ、60℃の環境下に2
週間放置し、試験の前後でインク中のニッケルイオン量
が変化するかどうかを、ICP(inductivel
y coupled plasma)発光分析にて測定
した。試験の前後で、ニッケルイオンの増加量が、2p
pm以下の場合を○とし、2ppmを超える場合に×と
した。 画像の鮮明性試験:ノズルプレートがニッケルで形成
された、積層PZTを液室流路の加圧に使用した300
dpiのノズルを有するインクジェットプリンタにて印
字を行い、画像滲み、色調、濃度を目視により総合的に
判断した。印字用紙は市販の再生紙、上質紙と電子写真
共用紙の3紙に印字し、いずれの紙でも良好な画像の場
合に○とし、それ以外を×とした。 保存安定性:各インクをポリエチレン容器に入れ、−
20℃、20℃、50℃のそれぞれの条件下で3ヶ月間
保存し、保存後の表面張力、粘度および沈殿物析出の有
無を調べた。どの条件で保存しても物性等の変化がな
く、沈殿がみられないものを○とし、それ以外を×とし
た。 長期放置時の吐出信頼性:試験で用いたプリンタに
作製したインクを充填し、キャップをした状態で室温中
に3ヶ月間放置後、クリーニング等を行わないで印字さ
せ、放置前後の画素径、ドット位置精度の測定を行っ
た。放置前後の画素径の変化分が放置前の画素径の15
%未満の場合を○とし、15〜30%未満を△とし、そ
れ以上を×とした。
【0037】〔実施例2〕 《インクの組成》 Fast Cyan 2(ゼネカ染料社製) 3重量% ジエチレングリコール 8重量% グリセリン 2重量% 界面活性剤(日光ケミカルズ社製ECTD−3NEX) 1重量% 表1の化合物1 0.5重量% 2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム 0.2重量% イオン交換水 85.3重量% 上記組成で処方したインク組成物を、実施例1と同様
に、室温中で攪拌溶解し、水酸化リチウムにてpHを1
0.5に調整した後、これを0.22μmのテフロンフ
ィルターにて濾過し、さらに30分程度の脱気を行って
インクを作製した。得られたインクについて、上記〜
の試験を行い、表2の結果を得た。
【0038】〔実施例3〕 《インクの組成》 ダイレクトレッド227(ダイワ化成染料社製) 3重量% ジエチレングリコール 8重量% グリセリン 2重量% 界面活性剤(日光ケミカルズ社製ECTD−3NEX) 1重量% 表1の化合物2 0.5重量% 2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム 0.2重量% イオン交換水 85.3重量% 上記組成で処方したインク組成物を、実施例1と同様
に、室温中で攪拌溶解し、水酸化リチウムによるpH調
整を行わずに、0.22μmのテフロンフィルタ一にて
濾過し、さらに30分程度の脱気を行ってインクを作製
した。得られたインクについて、上記〜の試験を行
い、表2の結果を得た。
【0039】〔比較例1〕実施例1において、表1の化
合物1を除いたほかは実施例1と同様にしてインクを作
製し、上記試験を行ったところ、試験においてニッケ
ルイオンの増加がみられ、プレート表面の腐食が観察さ
れた。各試験結果は表2に示す。
【0040】〔比較例2〕実施例2において、表1の化
合物1を除いたほかは、実施例2と同様にしてインクを
作製し、上記試験を行ったところ、試験においてニッ
ケルイオンの増加がみられ、プレート表面の腐食が観察
された。各試験結果は表2に示す。
【0041】〔比較例3〕実施例3において、表1の化
合物2を除いたほかは、実施例3と同様にしてインクを
作製し、上記試験を行ったところ、試験においてニッ
ケルイオンの増加がみられ、プレート表面の腐食が観察
された。各試験結果は表2に示す。
【0042】
【表2】
【0043】表2より実施例のインクは上記いずれの試
験にも良好な結果が得られた。これに対して本発明によ
る高分子化合物もしくはそれらの塩を含まない比較例の
インクは、上述のようにニッケルイオンの増加とともに
プレート表面の腐食がみられ、また、長期放置時の吐出
信頼性も悪化することがわかる。
【0044】
【発明の効果】以上のように着色剤および湿潤剤などと
ともに金属の腐食抑制剤としてカルボキシル基を有する
高分子化合物もしくはそれらの塩を含有する本発明の水
性インク組成物によれば、オリフィスを形成するニッケ
ルプレートの腐食が明らかに抑制されるとともに長期放
置時の吐出信頼性と保存保存性にも優れ、さらに滲み、
色調、濃度ともに良好な画像を形成することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 五十嵐 正人 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 小谷野 正行 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 露木 孝範 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 望月 博孝 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 田中 郁子 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属プレート上に形成させたオリフィス
    より記録液を飛翔させて記録を行うインクジェット記録
    における記録液が、水に分散または溶解する着色剤、湿
    潤剤、界面活性剤および金属腐食抑制剤を含み、かつ、
    該金属腐食抑制剤がカルボキシル基を有する天然または
    合成高分子化合物もしくはそれらの塩であることを特徴
    とするインクジェット記録用水性インク組成物。
  2. 【請求項2】 前記高分子化合物もしくはそれらの塩が
    カルボン酸で変性されたリグニンのスルホン酸塩である
    ことを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用
    水性インク組成物。
  3. 【請求項3】 前記インク組成物のpHが9以上11以
    下であることを特徴とする請求項2記載のインクジェッ
    ト記録用水性インク組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1、2または3記載の水性インク
    組成物を熱エネルギーまたは機械的エネルギーにより微
    少な液滴として飛翔させ、該液滴をステキヒトサイズ度
    が3以上の被記録材に付着させることにより画像を形成
    することを特徴とするインクジェット記録方法。
JP4838897A 1997-02-17 1997-02-17 インクジェット記録用水性インク組成物およびそれを用いた記録方法 Expired - Fee Related JP4010590B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4838897A JP4010590B2 (ja) 1997-02-17 1997-02-17 インクジェット記録用水性インク組成物およびそれを用いた記録方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4838897A JP4010590B2 (ja) 1997-02-17 1997-02-17 インクジェット記録用水性インク組成物およびそれを用いた記録方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10231448A true JPH10231448A (ja) 1998-09-02
JP4010590B2 JP4010590B2 (ja) 2007-11-21

Family

ID=12801927

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4838897A Expired - Fee Related JP4010590B2 (ja) 1997-02-17 1997-02-17 インクジェット記録用水性インク組成物およびそれを用いた記録方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4010590B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013136506A (ja) * 2011-11-29 2013-07-11 Kyocera Corp セラミックス顆粒およびセラミック焼結体ならびに防護部材

Citations (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS576791A (en) * 1980-06-13 1982-01-13 Canon Inc Recording liquid and recording method
JPH01204979A (ja) * 1988-02-12 1989-08-17 Canon Inc 記録液及びこれを用いたインクジェット記録方法
JPH05239390A (ja) * 1992-02-27 1993-09-17 Ricoh Co Ltd 水性インクおよびそれを用いた記録方法
JPH0633006A (ja) * 1992-07-14 1994-02-08 Ricoh Co Ltd インクジェット記録用インク組成物およびインクジェット記録方法
JPH0657190A (ja) * 1992-08-06 1994-03-01 Nippon Kayaku Co Ltd インクジェットプリント用インク組成物
JPH07166115A (ja) * 1993-12-17 1995-06-27 Canon Inc インクジェット用インクの製造方法、及び係る方法で製造されたインク
JPH07316991A (ja) * 1994-03-28 1995-12-05 Seiren Co Ltd インクジェット染色用布帛及びその染色法
JPH08127981A (ja) * 1994-10-28 1996-05-21 Canon Inc インクジェット捺染用インク及びインクジェット捺染方法
JPH08311380A (ja) * 1995-05-19 1996-11-26 Brother Ind Ltd 水性インク及びインクジェット記録方法
JP2559570B2 (ja) * 1984-09-13 1996-12-04 チバ−ガイギー アクチエンゲゼルシャフト ポリカルボン酸の部分アミド化化合物及びその製造方法
JPH08325472A (ja) * 1995-05-30 1996-12-10 Canon Inc インクジェット捺染用インク及びインクジェット捺染方法

Patent Citations (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS576791A (en) * 1980-06-13 1982-01-13 Canon Inc Recording liquid and recording method
JP2559570B2 (ja) * 1984-09-13 1996-12-04 チバ−ガイギー アクチエンゲゼルシャフト ポリカルボン酸の部分アミド化化合物及びその製造方法
JPH01204979A (ja) * 1988-02-12 1989-08-17 Canon Inc 記録液及びこれを用いたインクジェット記録方法
JPH05239390A (ja) * 1992-02-27 1993-09-17 Ricoh Co Ltd 水性インクおよびそれを用いた記録方法
JPH0633006A (ja) * 1992-07-14 1994-02-08 Ricoh Co Ltd インクジェット記録用インク組成物およびインクジェット記録方法
JPH0657190A (ja) * 1992-08-06 1994-03-01 Nippon Kayaku Co Ltd インクジェットプリント用インク組成物
JPH07166115A (ja) * 1993-12-17 1995-06-27 Canon Inc インクジェット用インクの製造方法、及び係る方法で製造されたインク
JPH07316991A (ja) * 1994-03-28 1995-12-05 Seiren Co Ltd インクジェット染色用布帛及びその染色法
JPH08127981A (ja) * 1994-10-28 1996-05-21 Canon Inc インクジェット捺染用インク及びインクジェット捺染方法
JPH08311380A (ja) * 1995-05-19 1996-11-26 Brother Ind Ltd 水性インク及びインクジェット記録方法
JPH08325472A (ja) * 1995-05-30 1996-12-10 Canon Inc インクジェット捺染用インク及びインクジェット捺染方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013136506A (ja) * 2011-11-29 2013-07-11 Kyocera Corp セラミックス顆粒およびセラミック焼結体ならびに防護部材

Also Published As

Publication number Publication date
JP4010590B2 (ja) 2007-11-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6261349B1 (en) Image recording method image recording apparatus and image recording acceleration liquid
JP3176444B2 (ja) 水性インク及びこれを用いた記録方法
JP3247784B2 (ja) 水性インク及びこれを用いた記録方法
JP3620097B2 (ja) 水性インク
JPH1178211A (ja) 画像記録法及び画像記録装置並びに画像記録促進液
JPH07138511A (ja) インクジェット記録用インク
JP4132487B2 (ja) インクジェット記録用インクセット
JP3350117B2 (ja) インク及びそれを用いた記録方法
JP3516039B2 (ja) 記録用インク及びこれを用いた記録方法
JP3580957B2 (ja) 水性インク及びこれを用いたインクジェット記録方法
JP4023870B2 (ja) 水性インクおよびそれを用いたインクジェット記録方法
JP3500484B2 (ja) 水性インク及びこれを用いたインクジェット記録方法
JPH1170729A (ja) インクジェット記録方法
JP3507934B2 (ja) 記録用インク及びこれを用いた記録方法
JPH05239390A (ja) 水性インクおよびそれを用いた記録方法
JPH10226763A (ja) 記録用インクおよび記録方法
JP3227259B2 (ja) 水性インク及びこれを用いた記録方法
JPH10231448A (ja) インクジェット記録用水性インク組成物およびそれを用いた記録方法
JP3573878B2 (ja) 水性インクおよび該インクを用いたインクジェット記録方法
JP3625016B2 (ja) インクジェット記録用インク
JP3687795B2 (ja) インクジェット記録用水性インク
JP3238792B2 (ja) 水性インク及びこれを用いた記録方法
JP3877795B2 (ja) 水性インクおよび水性インクを用いたインクジェット記録方法
JP3687796B2 (ja) 水性インク組成物及びそれを用いた記録方法
JPH11131003A (ja) 記録用インクおよび記録方法

Legal Events

Date Code Title Description
RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20040122

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050916

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060228

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060501

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070605

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070806

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070828

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070904

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100914

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110914

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120914

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130914

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees