JP2015193792A - インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
Description
(前記一般式(II)中、−[A]−は、−S−又は−S(=O)2−を表し、R4及びR5は、それぞれ独立に、アルキル基又はヒドロキシアルキル基を表す)
以下、本発明のインクを構成する成分やインクの物性について詳細に説明する。
[一般式(I)で表される化合物]
本発明のインクジェット用のインクは、下記一般式(I)で表される化合物を含む色材(染料)を含有する。インク中の一般式(I)で表される化合物の含有量C(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上6.0質量%以下であることがさらに好ましい。特に、3.6質量%以上6.0質量%以下であることが好ましい。
本発明のインクには、色材として、一般式(I)で表される化合物に加えて、その他の色材を含有させることができる。このような色材としては、シアン、マゼンタ、イエロー、レッド、ブルー、グリーン、及びブラックなどに分類されるいずれの色相のものを用いてもよい。その他の色材としては染料が好ましく、なかでもアニオン性染料が特に好ましい。その他の色材を使用する場合、インク中の一般式(I)で表される化合物の含有量(質量%)の、全色材に占める割合は、50.0質量%以上であることが好ましく、72.0%質量以上であることがさらに好ましい。また、前記上記の割合は、95.0質量%以下であることが好ましく、78.0質量%以下であることがさらに好ましい。このような割合とすることで、ブラックインクとして好ましいニュートラルな色調とすることができる。
本発明のインクは、下記一般式(II)で表される化合物を含む水溶性有機溶剤を含有する。インク全質量を基準とした、一般式(II)で表される化合物の含有量A(質量%)は、4.0質量%以上12.0質量%以下であり、好ましくは8.0質量%以上12.0質量%以下である。
本発明のインクに含有させる水溶性有機溶剤は、一般式(II)で表される化合物とともに炭素数4乃至6の直鎖両末端アルカンジオール(以下、「特定のアルカンジオール」とも記す)を含む。インク全質量を基準とした、特定のアルカンジオールの含有量B(質量%)は、1.0質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。
本発明のインクには、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を用いることができる。本発明においては、水性媒体として少なくとも水を含有する、水性のインクとすることが好ましい。水は、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、10.0質量%以上90.0質量%以下であることが好ましい。
本発明のインクは、上記した成分以外にも必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、及び水溶性樹脂など、種々の添加剤を含有してもよい。
フルカラーの画像などを形成するために、本発明のインクと、本発明のインクとは別の色相を有するその他のインクとを組み合わせて用いることができる。その他のインクとしては、例えば、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、レッドインク、グリーンインク、及びブルーインクからなる群より選択される少なくとも一種のインクを挙げることができる。また、これらのインクと実質的に同一の色相を有する、いわゆる淡インクをさらに組み合わせて用いることもできる。その他のインクや淡インクに用いられる色材は、公知の染料であっても、新規に合成された染料であってもよい。
本発明のインクの25℃における表面張力は、10mN/m以上60mN/m以下であることが好ましく、20mN/m以上60mN/m以下であることがさらに好ましく、30mN/m以上40mN/m以下であることが特に好ましい。インクの表面張力を上記した範囲内とすることで、インクジェット方式に適用した際に吐出口近傍の濡れによる吐出よれ(インクの着弾点のズレ)などの発生を有効に抑制することが可能となる。インクの表面張力は、インク中の界面活性剤や水溶性有機溶剤などの含有量を適宜設定することで調整することができる。また、インクジェット方式の記録ヘッドの吐出口から吐出する際に良好な吐出特性が得られるように、インクの粘度を調整することが好ましい。本発明のインクの25℃における粘度は、1.0mPa・s以上5.0mPa・sであることが好ましく、1.0mPa・s以上3.0mPa・s以下であることがさらに好ましい。
本発明のインクカートリッジは、インクと、このインクを収容するインク収容部とを備える。そして、このインク収容部に収容されているインクが、上記で説明した本発明のインクである。図1は、本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。図1に示すように、インクカートリッジの底面には、記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給口12が設けられている。インクカートリッジの内部はインクを収容するためのインク収容部となっている。インク収容部は、インク収容室14と、吸収体収容室16とで構成されており、これらは連通口18を介して連通している。また、吸収体収容室16はインク供給口12に連通している。インク収容室14には液体のインク20が収容されており、吸収体収容室16には、インクを含浸状態で保持する吸収体22及び24が収容されている。インク収容部は、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容されるインク全量を吸収体により保持する形態であってもよい。また、インク収容部は、吸収体を持たず、インクの全量を液体の状態で収容する形態であってもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
本発明のインクジェット記録方法は、上記で説明した本発明のインクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明においては、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが特に好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。
(化合物A)
特許文献5の記載を参考にして、遊離酸型として下記の構造式(1)で表される化合物を合成した。その後、常法にしたがってイオン交換を行い、ナトリウム塩型の化合物(この化合物を「化合物A」と記載する)を得た。
特許文献5の記載を参考にして、遊離酸型として下記の構造式(2)で表される化合物を合成した。その後、常法にしたがってイオン交換を行い、ナトリウム塩型の化合物(この化合物を「化合物B」と記載する)を得た。
特許文献5の記載を参考にして、遊離酸型として下記の構造式(3)で表される化合物を合成した。その後、常法にしたがってイオン交換を行い、ナトリウム塩型の化合物(この化合物を「化合物C」と記載する)を得た。
特許文献3の記載を参考にして、遊離酸型として下記の構造式(4)で表される化合物を合成した。その後、常法にしたがってイオン交換を行い、ナトリウム塩型の化合物(この化合物を「化合物D」と記載する)を得た。
特許文献4の記載を参考にして、遊離酸型として下記の構造式(5)で表される化合物を合成した。その後、常法にしたがってイオン交換を行い、ナトリウム塩型の化合物(この化合物を「化合物E」と記載する)を得た。
特許文献1の記載を参考にして、遊離酸型として下記の構造式(6)で表される化合物を合成した。その後、常法にしたがってイオン交換を行い、ナトリウム塩型の化合物(この化合物を「化合物F」と記載する)を得た。
特許文献2の記載を参考にして、遊離酸型として下記の構造式(7)で表される化合物を合成した。その後、常法にしたがってイオン交換を行い、ナトリウム塩型の化合物(この化合物を「化合物G」と記載する)を得た。
特許文献6の記載を参考にして、遊離酸型として下記の構造式(8)で表される化合物を合成した。その後、常法にしたがってイオン交換を行い、ナトリウム塩型の化合物(この化合物を「化合物H」と記載する)を得た。
国際公開第2006/001274号の記載を参考にして、遊離酸型として下記の構造式(9)で表される化合物を合成した。その後、常法にしたがってイオン交換を行い、ナトリウム塩の化合物(この化合物を「化合物I」と記載する)を得た。
表2の上段に示す各成分(単位:%)を混合し、十分に撹拌した後、ポアサイズ0.20μmのフィルターで加圧ろ過して各インクを調製した。なお、表2中の「アセチレノールE100」(川研ファインケミカル製)及び「サーフィノール105」(日信化学製)は、ノニオン性界面活性剤の商品名である。また、表2の下段には、インク中の一般式(I)で表される化合物の含有量C(%)、一般式(II)で表される化合物の含有量A(%)、炭素数4乃至6の直鎖両末端アルカンジオール(「特定のアルカンジオール」と表記)の含有量B(%)を示した。さらに、表2の下段には、A/Bの値及びC/(A+B)の値を示した。
上記で得られた各インクをそれぞれインクカートリッジに充填し、熱エネルギーの作用により記録ヘッドからインクを吐出するインクジェット記録装置(商品名「PIXUS iP8600」、キヤノン製)に搭載した。本実施例においては、1/2400インチ×1/1200インチの単位領域に2.5pLのインクを付与して記録したベタ画像を「記録デューティが100%である」と定義する。光学濃度及び耐オゾン性の評価の際には、分光光度計(商品名「Spectrolino」、Gretag Macbeth製)を用いて、光源:D50、視野:2°の条件で光学濃度を測定した。本発明においては、下記の各項目の評価基準で、「C」を許容できないレベル、「AA」、「A」、及び「B」を許容できるレベルとした。評価結果を表3に示す。
上記のインクジェット記録装置を用いて、温度23℃、相対湿度55%の環境で、記録媒体(普通紙、商品名「PB PAPER」、キヤノン製)に、記録デューティが100%であるベタ画像を記録した。得られた記録物におけるベタ画像の光学濃度を測定した。得られた光学濃度の値から、以下に示す評価基準にしたがって光学濃度を評価した。
AA:光学濃度が1.30以上であった。
A:光学濃度が1.25以上1.30未満であった。
B:光学濃度が1.15以上1.25未満であった。
C:光学濃度が1.20未満であった。
上記のインクジェット記録装置を用いて、温度23℃、相対湿度55%の環境で、記録媒体(光沢紙、商品名「キヤノン写真用紙・光沢 ゴールド」、キヤノン製)に、記録デューティが50%であるベタ画像を記録した。得られた記録物におけるベタ画像の光学濃度を測定した(耐オゾン性試験前の光学濃度)。この記録物をオゾン試験装置(商品名「OMS−H」、スガ試験機製)中に載置し、槽内温度23℃、相対湿度50%、オゾンガス濃度10ppmで24時間、オゾン曝露を行った。その後、記録物におけるベタ画像の光学濃度を測定した(耐オゾン性試験後の光学濃度)。得られた耐オゾン性試験前の光学濃度及び耐オゾン性試験後の光学濃度の値から、光学濃度の残存率=耐オゾン性試験後の光学濃度/耐オゾン性試験前の光学濃度×100%を算出し、以下に示す評価基準にしたがって耐オゾン性を評価した。なお、光学濃度の残存率は、上記分光光度計を用いて測定される、ブラック成分、イエロー成分、マゼンタ成分、及びシアン成分のそれぞれについて算出し、最も低い値を評価に用いた。
A:光学濃度の残存率が68%以上であった。
B:光学濃度の残存率が60%以上68%未満であった。
C:光学濃度の残存率が60%未満であった。
上記のインクジェット記録装置を用いて、温度23℃、相対湿度55%の環境で、記録媒体(光沢紙、商品名「キヤノン写真用紙・光沢 プロ [プラチナグレード]」、キヤノン製)に、記録デューティが100%であるベタ画像を記録した。得られた記録物を、温度23℃、相対湿度55%の環境で24時間乾燥させた後、ベタ画像の滲みの状態を目視で確認した(耐湿性試験前の状態)。その後、この記録物を、温度25℃、相対湿度85%の環境に1週間載置し、さらに、温度23℃、相対湿度55%の環境に24時間載置した後、ベタ画像の滲みの状態を目視で確認した(耐湿性試験後の状態)。そして、耐湿性試験前後の状態を比較し、以下に示す評価基準にしたがって耐湿性を評価した。
A:耐湿性試験前後で、ベタ画像の滲みの状態が同等であった。
B:耐湿性試験前と比較すると、耐湿性試験後のベタ画像は滲んでいたが輪郭は乱れていなかった。
C:耐湿性試験前と比較すると、耐湿性試験後のベタ画像は滲んでいて輪郭も乱れていた。
各インクが充填されたインクカートリッジを、上記のインクジェット記録装置のヘッドカートリッジに装着して、記録ヘッドの吐出口までインクを満たした。その後、インクジェット記録装置からヘッドカートリッジを取り外し、吐出口を露出させた状態で、温度35℃、相対湿度10%の環境に2週間載置した。その後、再びヘッドカートリッジをインクジェット記録装置に装着した。そして、回復操作を所定の回数行った後のインクの吐出状態を確認し、以下に示す評価基準にしたがって耐固着性を評価した。なお、回復操作は、インクジェット記録装置の「プリントヘッドのクリーニング」のことである。
A:4回以下の回復操作で全ての吐出口が正常に吐出できる状態に回復した。
B:5回の回復操作で全ての吐出口が正常に吐出できる状態に回復した。
C:6回以上の回復操作を行っても正常に吐出できない吐出口があった。
Claims (8)
- 色材及び水溶性有機溶剤を含有するインクジェット用のインクであって、
前記色材が、下記一般式(I)で表される化合物を含み、
前記水溶性有機溶剤が、下記一般式(II)で表される化合物、及び、炭素数4乃至6の直鎖両末端アルカンジオールを含み、
インク全質量を基準とした、下記一般式(II)で表される化合物の含有量A(質量%)が、4.0質量%以上12.0質量%以下であり、かつ、前記アルカンジオールの含有量B(質量%)に対する質量比率(A/B)で、2.5倍以上4.0倍以下であることを特徴とするインク。
(前記一般式(I)中、R1及びR3は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、スルファモイル基、N−アルキルアミノスルホニル基、アルキルスルホニル基、ニトロ基、アシル基、ウレイド基、アルキル基、アルコキシ基、アシルアミノ基、又はアルキルスルホニルアミノ基を表し、R2は、水素原子、又はスルホン酸基を表し、nは、0又は1を表し、Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す)
R4−[A]−R5 ・・・(II)
(前記一般式(II)中、−[A]−は、−S−又は−S(=O)2−を表し、R4及びR5は、それぞれ独立に、アルキル基又はヒドロキシアルキル基を表す) - インク全質量を基準とした、前記一般式(I)で表される化合物の含有量C(質量%)が、前記一般式(II)で表される化合物の含有量A(質量%)及び前記アルカンジオールの含有量B(質量%)の合計に対する質量比率(C/(A+B))で、0.15倍以上1.00倍以下である請求項1又は2に記載のインク。
- 前記一般式(II)で表される化合物が、ビス(2−ヒドロキシエチル)スルホンである請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインク。
- 前記アルカンジオールが、1,5−ペンタンジオールである請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインク。
- インクと、前記インクを収容するインク収容部とを備えたインクカートリッジであって、
前記インクが、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のインクであることを特徴とするインクカートリッジ。 - インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
前記インクが、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のインクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
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