JP2017530125A - 連続流のカルボキシル化反応 - Google Patents

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Abstract

本発明は、連続流反応条件を使用した、アリール基の2ステップのカルボキシル化反応に関する。この方法は、高収率での、有用な反応生成物の大規模合成を可能にする。本発明は、連続流化学を使用して式Iの化合物を調製するための改善されたプロセスを提供する。出願人らは驚くべきことに、本発明のプロセスが:a)低温反応を行う容易さ、b)気−液相の高度な混合、およびc)流動条件下での優れた熱伝達容量、およびd)規模とは無関係の一貫した収率が促進されることを発見した。

Description

(発明の分野)
本発明は、連続流反応条件を使用した、アリール基の2ステップのカルボキシル化反応に関する。このプロセスは、高収率での有用な反応生成物の大規模合成を可能にする。
(発明の背景)
グリニャールまたはリチウムアニオンに二酸化炭素を付加することによる、アリール基へのカルボキシル酸の取込みは、化学および医薬工業で広く使用されている周知の変換である。グリニャール試薬またはその他の有機金属種の形成の大規模化に関していくつかの主要な安全性に関する懸念が報告されているが、バッチモードおよびその後に続く二酸化炭素によるクエンチで有機金属種を形成することは、依然として一般的な実施方法である。一般に、これらの反応のほとんどは低温で実施され、非効率な混合に起因する二酸化炭素クエンチ中の温度での押出しはしばしば数種の副生成物をもたらす。
スキーム1に示される化合物1は、医薬品有効成分(API)の調製に使用される中間体である。初期の作業のためにAPI生成を支えるのに、数キログラム量のこの中間体が必要である。化合物1は、−78℃で化合物2から発生するリチウムアニオン3に二酸化炭素を付加することにより収率75%で調製することができる。この反応は温度に敏感であり、単離収率は、大規模運転からは低く、相当量の暗色のタール様材料が後処理(work up)中に単離される。さらに、数種の不純物が、アニオンの不安定性に起因して、より高い温度(>−65℃)で形成される。このような大規模での非制御反応は、激しく重合する反応性ベンゼン型中間体の形成をもたらす可能性がある。
したがって、高収率で、キログラム規模に適した条件下で、カルボン酸中間体を合成するための新しい効率的な方法が、当技術分野において強く求められている。本発明は、これらおよびその他の要求に対処するものである。
(発明の要旨)
一部の実施形態では、本発明は、式I
の化合物を調製する方法であって、
式II
の化合物とn−BuLiおよびTMEDAとを−78℃で反応させて、式III
の化合物を得るステップと;
式IIIの化合物を、気体状二酸化炭素でクエンチして、式IV
の化合物を得るステップと;
式IVの化合物をHClで処理して、式Iの化合物を得るステップと
を含み、連続流反応条件を使用して行われる、方法に関する。
一部の実施形態では、式IIの化合物とnBuLiおよびTMEDAとを−78℃で反応させるステップは、極性非プロトン溶媒中で行われる。一部の実施形態では、極性非プロトン溶媒はTHFである。
一部の実施形態は、反応温度は、気体状二酸化炭素でクエンチするステップ中、−65℃未満に維持される。
一部の実施形態では、式IVの化合物とHClとを反応させるステップは、極性溶媒中で行われる。一部の実施形態では、極性溶媒が1,4−ジオキサンである。
一部の実施形態では、反応で使用されるHClは、4N HClである。
式Iは、一部の実施形態では、リフィテグラスト(liftegraft)の合成における中間体として使用することができる。
本発明の一部の実施形態では、方法は、連続流バッチ反応器で実施される。一部の実施形態では、連続流バッチ反応器は、ステンレス鋼反応器管を含む。
本発明はまた、連続流反応条件下で式Iの化合物を調製するのに使用される連続流バッチ反応器も対象とする。
図1は、本発明の反応器を示す。
図2(A)は、本発明の反応器で使用される混合ユニットを示す。 図2(B)は、混合ユニットの拡大図を示す。
図3(A)は、本発明の反応器で使用されるステンレス鋼管を示す。図3(B)は、鋼管用の冷却コンパートメントを示す。
(詳細な説明)
本発明は、連続流化学を使用して式Iの化合物を調製するための改善されたプロセスを提供する。出願人らは驚くべきことに、本発明のプロセスが:a)低温反応を行う容易さ、b)気−液相の高度な混合、およびc)流動条件下での優れた熱伝達容量、およびd)規模とは無関係の一貫した収率が促進されることを発見した。
バッチ反応
一実施形態では、カルボキシル化反応に関するバッチ手順は、−78℃でTMEDAの存在下、2のTHF溶液へのBuLi(2.5M溶液)の添加を含む。次いでリチウムアニオン3を気体状二酸化炭素でクエンチして、生成物を得る。反応混合物へのCOの添加は発熱反応であり、バッチ温度を<−65℃に維持するための制御された追加は、リチウム化種の分解を最小限に抑え、選択性を改善するのに使用することができる。サブ表面追加にともなう温度スパイクを回避するために、COのブランケットが維持される。アニオンのプロセス内分析は実用的ではないので、転化は、COによるクエンチ後にモニターすることができる。アニオンの形成とCOでのクエンチの両方が確実に即時になされるように、In−Situ ReactIRプローブを使用して条件への移行前に動態研究を行うことができる。
初期反応器設計
一実施形態において、本発明のプロセスで使用される反応器を図1に示す。図1に示されるように、反応器は、3つのループ(A、B、およびC)を含むことができ、ループAは、2とTMEDAの混合物をTHF中−78℃に冷却するのに使用される。ループAの直後、塩基を添加することができ、ループBは、アニオン形成に必要な滞留時間を提供することができ、その後、二酸化炭素を、ループCを通過する気体として添加して、生成物を得ることができる。反応器全体を、ドライアイスアセトン浴に沈めることができる。一実施形態では、ループは、試薬用の2つのHPLCポンプを備えた、1/16インチの高密度ポリエチレン(HDPE)管材で作製される。
一部の実施形態では、図2に示されるように、混合ユニットは、2つの小さい撹拌棒が内部に捕捉されている、内径1/4インチの管材からなっていてもよい。撹拌棒は、磁気撹拌プレートを使用して撹拌することができ、試薬の混合に十分な乱流を与えることができる。一部の実施形態では、生成物流の終わりの背圧ユニットを、10psiに設定することができる。
一部の実施形態では、試験運転のための滞留時間は、バッチモードでの反応モニタリングに基づく(HPLC分析によって決定される)。興味深いことに、THF中の2への塩基の添加は、薄いオレンジから濃い赤への色の変化によって明らかにされ、この色は、二酸化炭素でクエンチすると脱色される。流量は、化学量論的に出発材料の2倍の塩基が実現されるように調節することができる。最初のいくつかの実験では、小さいCOシリンダを流れ反応器に直接接続することができる。生成物流は、定常段階が実現した後に収集され(最初の1回または2回目の画分は、転化が不十分であるので廃棄することができる)、2N HClでクエンチすることによってバッチモードで後処理し、酢酸エチルで抽出し、それを次のステップに組み込んで、1を単離することができる。
(実施例1)
カルボキシル化反応の反応条件の最適化。
この実施例は、図1および2に示される反応器およびミキサーを使用して行った。表1に示されるように、実験は、カルボキシル化反応中の流量および滞留時間が最適化されるように実施した。二酸化炭素でのクエンチのために滞留時間を1分から5分に増加させることにより、転化が劇的に増大することがわかった。市販の1.5M BuLiは、ロットごとにその品質が著しく変化し、流量は、試薬のより低い能力を埋め合わせるために調節しなければならなかった。この問題は、品質がかなりより一貫している2.5M溶液を使用して克服した。条件は、THF中の2の濃度を10%に増加させ、アニオン形成のための滞留時間を10分に短くすることによってさらに最適化し、その結果、>90%の転化が示された。より大量の材料を処理するために処理量をさらに改善する試みでは、内径1/4インチのHDPE管材を使用して、同じ設定を設計した。1/16インチの管材に関して最適化された条件を繰り返し、同一の結果が得られた。
しかし、ドライアイスに浸したHDPE管材は、材料が処理の数時間以内に管から冷却浴に浸出したので、より長い処理時間では理想的ではないことがわかった。さらに、より低い温度は管材を脆弱にし、著しい漏れが接合部で観察された。しばしばブチルリチウムが添加ポートで凍結し、著しい背圧を引き起こした。これらの課題は、数キログラム量の材料を処理するという緊急の必要性と共に、数キログラムの量の材料を処理することが可能なより高い処理量でこれらの課題に対処するより頑丈な反応器を再設計するに至った。
(実施例2)
反応器の設計の最適化
この実施例では、実施例1で記述した反応器を最適化した。HDPE管の代わりにステンレス鋼管を使用したこと以外、実施例1と同一のユニットを調製した。ステンレス鋼の場合の熱交換はHDPE管よりも高いので、非常に短い滞留時間(t)が必要になる可能性があると考えられた。完全な熱放散に必要な、最大限操作可能な流量での最短の管の長さを決定した。lが、所望の滞留時間を実現するのに必要な長さであり、lが、完全な熱放散に必要な長さである場合、管の長さは、2つのうちの長いほうであると見なされる。lの長さは、流量および管の直径に基づいて計算される。既知の流量に関して、完全な熱放散に必要な長さ(l)は、下記の方程式から計算することができる:
Q=UAΔTlm
Q−発熱率、BTU/時;Qは、プロセス流体(ループ内で行われる反応がないプロセスに関する)の熱特性またはループ内で起こる反応のエンタルピーに応じて計算することができる。
U−熱伝達係数、BTU/(h−ft−F);Uは、管材の既知の材料構成と、管材における熱伝達媒体およびプロセス流体の性質とに関する文献のデータに従って得ることができる。
A−表面積、(ft);Aは、管材の長さおよび管材の内径を使用して表すことができる。
ΔTlm−プロセス流体(tinおよびtout)と冷却剤(TinおよびTout)との間の対数温度差、°F
ループAは、単なる冷却ループであり、この操作から熱は放出されない。周囲温度から−78℃まで冷却するのに必要な長さを計算した。しかし、アニオン形成には、二酸化炭素クエンチの前に反応熱を放散させる必要がある。この長さではない場合、二酸化炭素クエンチは、アニオンにとって安定性ウィンドウの範囲外である、より高い温度で行われる可能性がある。反応熱は、RC1実験を実行することによって計算した。ループAおよびBで除去する必要がある熱に基づいて、熱を完全に放散させるための最大流量での最小限の長さは、14フィートおよび22フィートであることがわかった。COによるクエンチは、反応に必要な長さであった。
ステンレス鋼から作製された直径5/16インチの3本の管を構築し(図3A)、コイル状にし、カルボニルを満たしたドライアイスアセトンに浸漬した(図3B)。アニオン形成と二酸化炭素クエンチの両方を行った後に、6個の静止ミキサーを管に挿入して、必要な混合を行った。
(実施例3)
最適化された反応器を使用した反応の規模拡大。生成反応器の設定
この実施例では、実施例2で製造された反応器を使用して、大規模反応を行った。静止ミキサーを使用した混合は、より効率的であったので、出願人らは、流量を増加させることによって滞留時間をさらに削減することができた。表3は、規模拡大実験の詳細をまとめる。
表3に示されるように、アニオン形成に関する滞留時間は3.6分にまで低減され、二酸化炭素クエンチでは1.6分まで低減され、最高純度1が得られた。
合成に関する小さな問題が2つだけ観察された。例えば、(1)合成中、吉草酸(BuLiと二酸化炭素との反応の副生成物であり、その凍結点は−20℃である)がライン内で凍結し、流れを止める。しかし、これは反応物のポンプ送出速度にばらつきがあるときのみ生じた。これは長期にわたるポンプ送出でのポンプの容量に依存した。研究状態が維持される限り、この問題は観察されなかった;(2)市販のBuLiは、かなりの量の残留物を含有しており、フィルタが欠如した状態では、試薬がポンプを停止させた。
結論として、2ステップの連続流カルボキシル化が開発され、22キログラムの材料が首尾良く生成された。

Claims (11)

  1. 式I
    の化合物を調製する方法であって、
    式II
    の化合物と、n−BuLiおよびTMEDAとを、−78℃で反応させて、式III
    の化合物を得るステップと、
    式IIIの前記化合物を、気体状二酸化炭素でクエンチして、式IV
    の化合物を得るステップと、
    式IVの前記化合物をHClで処理して、式Iの化合物を得るステップと
    を含み、連続流反応条件を使用して行われる、方法。
  2. 式IIの化合物とnBuLiおよびTMEDAとを−78℃で反応させる前記ステップが、極性非プロトン溶媒中で行われる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記極性非プロトン溶媒がTHFである、請求項2に記載の方法。
  4. 反応温度が、気体状二酸化炭素でクエンチする前記ステップ中に−65℃未満で維持される、請求項1に記載の方法。
  5. 式IVの化合物とHClとを反応させる前記ステップが、極性溶媒中で行われる、請求項1に記載の方法。
  6. 前記極性溶媒が1,4−ジオキサンである、請求項5に記載の方法。
  7. 前記HClが4N HClである、請求項1に記載の方法。
  8. 式Iの前記化合物が、リフィテグラストの合成で使用される中間体である、請求項1に記載の方法。
  9. 連続流バッチ反応器で実施される、請求項1に記載の方法。
  10. 前記連続流バッチ反応器が、ステンレス鋼反応器管を含む、請求項9に記載の方法。
  11. 請求項1に記載の方法で使用される、連続流バッチ反応器。
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