JP4753174B2 - 高温高圧水超高速有機化合物合成方法で使用する高温高圧反応装置 - Google Patents

高温高圧水超高速有機化合物合成方法で使用する高温高圧反応装置 Download PDF

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本発明は、高温高圧水を反応媒体とする反応場で有機化合物を製造する技術に関するものであり、更に詳しくは、マイクロデバイスの微小空間を混合場及び反応場として用い、水と有機化合物をエマルジョン状態や分散状態を含む懸濁液にする工程と、高温高圧条件下で反応させる高温高圧反応工程を多段に設置することで有機化合物を短時間に、高収率、高選択率で製造することを可能とする一般的有機化合物合成方法で使用する高温高圧反応装置に関するものである。本発明は、例えば、末端にオレフィンを有する化合物と置換基を有することのあるハロゲン化アルキルあるいはハロゲン化アリールを反応させて炭素−炭素結合を有する有機化合物を製造する方法、末端にエチニル基を有する化合物と置換基を有することのあるハロゲン化アルキルあるいはハロゲン化アリールを反応させて炭素−炭素結合を有する有機化合物を製造する方法、水素化ホウ素あるいはアルコキシホウ素を置換基に有するアリールあるいはビニル化合物とハロゲンを有するアリールあるいはビニル化合物を反応させて炭素−炭素結合を有する有機化合物を製造する方法等を含む有用な反応を短時間に、高収率、高選択率で実施することを可能とする、既存の有用な産業生産技術に代替し得る実用化可能な新しい一般的有機化合物製造技術を提供するものである。
ヘック(Heck)反応は、R.F.Heckにより、1972年に見出された反応であり、末端にオレフィンを有する化合物とハロゲン化アルキル、あるいはハロゲン化アリールをパラジウム触媒の存在下で反応させることで、炭素−炭素結合を形成させる有用な反応である(非特許文献1参照)。このヘック(Heck)反応は、収率、選択率も比較的良く、厳密な取り扱いが必要な触媒等を必要とせず、簡便であるため、近年では、基礎化学品合成や医薬品合成に用いられる有用な反応となっている。
また、園頭カップリングは、1975年に見出された反応であり、末端にエチニル基を有する化合物とハロゲン化アルキル、あるいはハロゲン化アリールをパラジウム触媒と銅(I)触媒の存在下で反応させることで、炭素−炭素結合を形成させる有用な反応である(非特許文献2参照)。この園頭カップリングは、収率、選択率も比較的良く、厳密な取り扱いが必要な触媒等を必要とせず、簡便であるため、近年では、基礎化学品合成や医薬品合成に用いられる有用な反応となっている。現在は、銅(I)触媒のみ、あるいはパラジウム触媒のみの条件で園頭カップリングを行う方法が開発されている。
また、鈴木カップリングは、有機ハロゲン化物と有機ホウ素化合物とのクロスカップリングをパラジウム触媒存在下で行なう反応であり、1979年に鈴木等によって報告されている(非特許文献3参照)。この反応は、現在では、クロスカップリングによる炭素−炭素結合を合成する有力な手段として広く用いられている。この反応は、収率、選択率ともに良く、温和な条件でも反応するため、取り扱いやすいものの、反応時間は、通常、数時間必要とし、選択性を高く保つために、触媒のパラジウムに別途リガンド試薬を加えたDME等の有機溶媒中での反応が一般である。
近年、環境問題の高まりから、脱有機溶媒を目指した有機合成方法の開発が盛んであり、例えば、マイクロ波を用いて水中で行なう鈴木カップリングも報告されたが、この方法では、水1に対し、THFを2加えた有機溶媒との混合媒体を用いるため、水中といえども、有機溶媒中で行なっているのと何ら変わりがない。
先行文献には、有機化合物を微小反応器中で混合し、滞留時間にわたり反応させ、得られたカップリング生成物を反応混合物から単離する有機化合物のカップリング方法が提案されている(特許文献1参照)。しかし、この反応は、有機溶媒中で行われることを前提としており、高温高圧水を反応媒体とする反応では無い。更に、先行文献には、パラジウム触媒が架橋型有機高分子化合物に物理的に担持された触媒組成物の共存下、アリールホウ素化合物とハロゲン化アリール化合物とを配位子及び塩基と共に反応させることを特徴とする炭素−炭素カップリング反応方法が提案されている(特許文献2参照)。しかし、この反応では、実施例に見られるように、トルエン:水=4:1であり、水を含む有機溶媒中で反応を行っているに等しい。
一方、近年の地球環境問題を改善すべく、有機媒体を用いない手法が注目され、研究されており、上記園頭カップリングに対しても、同様に検討が行われている。その手法として、例えば、1)超臨界二酸化炭素を用いる手法、2)イオン性液体を用いる手法、及び3)水を媒体に用いる手法、等が検討されている。上記1)の超臨界二酸化炭素を用いる手法は、二酸化炭素を反応媒体として利用することで、地球温暖化ガスとしての二酸化炭素の活用方法を見出したこと、及び、超臨界流体の性質を用いることで生成物の分離精製過程が簡便になることなどのメリットが有るが、触媒が超臨界二酸化炭素に難溶性であるため、準溶媒を加えたり、特殊な配位子を用いる必要がある等の難点があった(非特許文献3参照)。また、上記2)のイオン性液体を用いる手法の場合は、触媒の溶解性等の問題点は無いものの、イオン性液体から生成物を分離する過程に難が有り、最終的に蒸留やエーテル等による抽出が必要で有るなどの問題点を抱えている(非特許文献4、5参照)。
また、上記3)の水を媒体に用いる手法は、反応時に化合物を水に溶解させる必要が有り、水溶性の有機アミン(ジイソプロピルエチルアミン、ピロリジン等)を加えたりする必要がある(非特許文献6参照)。そのため、結局、有機媒体を用いる手法と変わらない。更に、原料などの有機化合物が水に溶解しないため、2相系で行う手法も開発されているが、反応は24時間以上と長時間必要であり、実用的ではない(非特許文献7)。更に、加熱方法にマイクロ波を用いる手法も提案されたが、スケールアップに対応できないことや、再現性が乏しいことなど、問題点は多く残されている(非特許文献8参照)。
特表2004−5058958号公報 特開2005−60335号公報 R. F. Heck, J. P. Nolley, Jr., J. Org. Chem., 37, 2320 (1972) K. Sonogashira, Y. Tohda, N. Hagihara, Tetrahedron Lett., 4467 (1975) N. Miyaura, K. Yamada, A. Suzuki, Tetrahedron Letters, 36, 3437, 1979 S. B. Park, H. Alper, Chem. Commun., 1306 (2004) T. Fukuyama, M. Shinmen, S. Nishitani, M. Sato, I. Ryu, Org. Lett., 4, 2002, 1691 S. Bhattacharya, S. Sengupta, Tetrahedron Lett., 45, 8733 (2004) B. Liang, M. Dai, J. Chen, Z. Yang, J. Org. Chem., 70, 391 (2005) N. E. Leadbeater, M. Marco, B. J. Tominack, Org. Lett., 5, 3919 (2003)
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、上記従来技術における諸問題を解決し得ると共に、環境低負荷型の新しい有機化合物の製造装置を開発することを目標として鋭意研究を積み重ねた結果、水と反応基質を混合してエマルジョン状態や分散状態を含む懸濁液にする混合場と、上記懸濁状態の基質を超臨界水を用いた高温高圧水条件下で反応させる反応場との多段プロセスにより、短時間に、高収率、高選択率で、有機化合物を製造することができることを見出し、更に研究を重ねて、本発明を完成するに至った。
本発明は、水と反応基質を混合してエマルジョン状態や分散状態を含む懸濁液にする混合場と、上記懸濁状態の基質を超臨界水を用いた高温高圧水条件下で反応させる反応場との多段プロセスにより、短時間に、高収率、高選択率で、有機化合物を製造する方法で使用する製造装置を提供することを目的とするものである。また、本発明は、上記多段プロセスにより有機合成反応における炭素−炭素結合を形成させることで炭素−炭素結合を有する有機化合物を合成する新しい有機化合物の製造方法を提供することを可能とするものである。
本発明は、原料以外の有機物は一切用いない水のみを反応媒体とする反応系で、従来法とは異なる超臨界水を用いた高温高圧水条件下で反応を行うことで、効率的にヘック(Heck)反応、園頭カップリングあるいは鈴木カップリングに代表される炭素−炭素結合の形成を行うことを可能とする、これらの有用な反応に代替し得る産業生産技術として実用化可能な有機化合物の新規製造技術を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)高温高圧水を反応媒体とする反応場で有機化合物を製造する方法において、水と反応基質を混合してエマルジョン状態や分散状態を含む懸濁液にする混合場と、上記懸濁状態の基質を高温高圧水条件下で反応させる反応場との多段工程により有機化合物を合成する有機化合物の製造装置であって、
高温高圧水が、100℃以上420℃以下又は200℃以上420℃以下、圧力が常圧以上40MPa以下の高温高圧水であること、混合、及び、反応を行う手段が、マイクロ空間デバイスであること、反応が、ヘック反応、園頭カップリング反応、又は鈴木カップリング反応であること、上記装置が、水と反応基質を含む反応系を混合してエマルジョン状態や分散状態を含む懸濁液にするミキシング手段と、上記懸濁状態の基質を高温高圧水条件下で反応させる高温高圧反応場手段を多段に設けたものであること、を特徴とする高温高圧反応装置。
(2)マイクロ空間デバイス混合機を用いて、水と反応基質を混合してエマルジョン状態や分散状態を含む懸濁液にするミキシング工程と、上記懸濁状態の基質を高温高圧水条件下で反応させる高温高圧反応工程により有機化合物を合成する前記(1)に記載の反応装置
(3)上記混合場で、水、触媒及び反応基質を混合し、これを上記反応場で、高温高圧水条件下で反応させる前記(1)に記載の反応装置
(4)反応基質が、水溶性又は非水溶性の基質である前記(1)に記載の反応装置
)反応時間が、0.001秒(1ms)以上、5分以内である前記(1)に記載の反応装置
)反応系に有機溶媒、界面活性剤、及び/又は塩基が存在しない前記(1)に記載の反応装置
)末端にオレフィンを有する化合物と置換基を有することのあるハロゲン化アルキルあるいはハロゲン化アリールを反応させて炭素−炭素結合を有する有機化合物を製造する前記(1)に記載の反応装置
)末端にエチニル基を有する化合物と置換基を有することのあるハロゲン化アルキルあるいはハロゲン化アリールを反応させて炭素−炭素結合を有する有機化合物を製造する前記(1)に記載の反応装置
)水素化ホウ素あるいはアルコキシホウ素を置換基に有するアリールあるいはビニル化合物とハロゲンを有するアリールあるいはビニル化合物を反応させて炭素−炭素結合を有する有機化合物を製造する前記(1)に記載の有機化合物の反応装置
10)反応基質及び/又は触媒に対応するマイクロミキシング手段を多段に有する前記()に記載の反応装置
11)高温高圧水を製造するための加熱ヒーター、反応物を急速冷却できる急速冷却器を有する前記()に記載の反応装置
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明においては、高温高圧水を反応媒体とする反応場で有機化合物を製造する技術は、水と反応基質を混合してエマルジョン状態や分散状態を含む懸濁液にする混合場と、上記懸濁状態の基質を高温高圧水条件下で反応させる反応場との多段プロセスにより有機化合物を製造することを特徴とするものである。本発明は、基本的には、上記混合場と反応場を含む多段プロセスをマイクロ空間デバイスを用いたマイクロ混合・反応システムで実施することで、目的の有機化合物を合成するものであり、目的化合物を合成し得るものであれば、あらゆる種類の基質及び反応に適用可能であり、基質及び反応の種類については特に制限されるものではない。
本発明の有効性を実証するために、本発明者らは、例えば、ヘック(Heck)反応、園頭カップリング及び鈴木カップリングにおける反応機構、反応選択性について種々研究を重ねた結果、高温高圧水条件下で反応させる本発明の方法を用いることで、有機媒体を用いる従来法に比較して、100倍以上反応時間を短縮できる上、収率、選択率良く目的物を合成できること、しかも、媒体が水のみであるため生成物の分離が容易にできること、を確認した。
本発明では、マイクロ空間デバイスであるマイクロ空間デバイス混合機及び反応器を用いて、水と反応基質を混合してエマルジョン状態や分散状態を含む懸濁液にするマイクロミキシング工程と、上記懸濁状態の基質を高温高圧水条件下で反応させる高温高圧マイクロリアクション工程により有機化合物の合成を行うことができる。上記マイクロミキシング工程では、例えば、水と基質A及び基質Bを含む水溶液と、触媒水溶液又は無触媒水がミキシングされて、これらの懸濁状態が形成される。このミキシング工程は、好適には高圧で行われる。しかし、これに制限されるものでは無く、任意の常圧ないし高圧の圧力条件で行うことが可能である。次いで、この懸濁液は、高温高圧水条件下の反応場である高温高圧反応工程に供給され、所定の反応条件で反応が行われる。
一般の有機合成では、反応媒体に反応基質を溶解させる必要がある。そのため、水を反応媒体にする有機合成では、反応基質は水に解ける必要があり、基質は、水溶性の基質に制限されるが、本発明では、基質は水に溶ける必要は一切なく、非水溶性の基質であっても使用することができる。本発明では、水と反応基質を混合し懸濁状態になる反応系であれば、液体又は固体の別を問わず基質として使用可能であり、例えば、微粒子あるいはナノ粒子でも基質として使用することができる。
本発明において、高温高圧水とは、100℃以上420℃以下、常圧以上40MPa以下であり、より好ましくは、200℃以上420℃以下、10MPa以上40MPa以下、最も好ましくは、200℃以上374℃以下、10MPa以上22MPa以下である高温高圧水を意味するものとして定義される。この高温高圧水としては、好適には、例えば、温水(水)、水蒸気、亜臨界水、超臨界水、超高温高圧水が例示されるが、具体的な高温高圧条件は、反応基質、反応の種類、触媒、目的化合物の種類、収率、選択率などに応じて任意に設定することができる。
また、本発明では、反応時間が0.001秒(1ms)以上、5分以内であるが、これについても、基質の有機化合物、反応の種類、触媒、目的化合物等に応じて任意に設定することができる。本発明では、例えば、高温高圧水を反応媒体として用いて炭素−炭素結合を形成する反応方法の場合、従来法と比較して、反応時間を100分の1以下あるいはそれ以下に短縮することが可能である。
本発明では、(1)有機溶媒を使用しない、(2)水、触媒及び反応基質からなる反応系をミキシング工程で混合し、エマルジョン状態や分散状態を含む懸濁液にする、(3)上記懸濁状態の反応系を亜臨界水、超臨界水等を用いた高温高圧水条件下の高温高圧反応場で反応させる、(4)これらの工程を多段に設けた多段プロセスを用いる、ことで、例えば、以下の(1)〜(23)の反応を進行させることができる。
上記反応式において、Ra〜Rcは、任意の置換基であり、主に、水酸基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基、スルフィド、チオール等の置換基を表す。しかし、本発明では、上記置換基は、これらに制限されるものでは無く、上記反応を進行させることができる限り、適宜の置換基を用いることができる。
本発明は、あらゆる反応に適応が可能であり、反応の種類は特に限定されるわけではないが、例えば、代表的なものとして、上述の炭素−炭素結合の形成、炭素−窒素結合の形成、炭素−酸素結合の形成などの反応が例示される。例えば、上述の炭素−炭素結合の形成反応の一つであるヘック(Heck)反応を行なう場合、反応基質としては、少なくとも一つは水素が置換されたビニル基を有する化合物と、任意の置換基を有することのあるハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリール等が例示される。また、触媒としては、ハロゲン化パラジウム、酢酸パラジウム、パラジウム、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムなどのパラジウム錯体や金属触媒、その他、触媒として、白金、ニッケル、銅、銀、金、亜鉛、コバルト、ルテニウム、ロジウム、鉄、クロム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウム、ガリウム、リン、スカンジウム、イットリウム等からなる錯体あるいは金属触媒が例示される。
更に、反応系に添加する酸、アルカリ種としては、弗酸、塩酸、臭酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、燐酸、炭酸、トリフルオロ酢酸、酢酸等を含む各種カルボン酸等、そして、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の炭酸塩、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド等のアルカリ金属、アルカリ土金属のアルコキシド、そしてアンモニア、メチルアミン、ジエチルアミン、ピリジン、ピラジン等のアミン化合物などが例示される。
本発明において、反応温度としては、100℃以上500℃以下、より好ましくは100℃以上420℃以下、最も好ましくは、100℃以上373℃以下が例示され、反応圧力としては、常圧以上50MPa以下、より好ましくは常圧以上40MPa以下、最も好ましくは10MPa以上22MPa以下が例示される。反応時間としては、特に範囲は制限されないが、0.000001秒以上24時間以下、好ましくは、0.001秒以上1時間以下、更に好ましくは、0.001秒以上10分以下、最も好ましくは、0.001秒以上1分以下が例示される。反応生成物としては、本発明は、多くの反応に適応可能であることから、特に限定範囲は無いが、例えば、代表的な例としては、任意の置換基を有することのある1,2−ジフェニルアセチレン、任意の置換基を有することのあるトランス又はシススチルベン、任意の置換基を有することのある1,1−ジフェニルエテン、任意の置換基を有することのあるビフェニル、任意の置換基を有することのある1,1,2−トリフェニルエテンなどが例示される。しかし、反応性生物は、これらに制限されるものでは無い。
本発明では、上述のように、例えば、有機溶媒を使用しない反応系を用いて、炭素−炭素結合の形成を好適に行うことができるが、本発明の方法は、上記炭素−炭素結合を形成する反応だけに制限されるものではなく、有機化合物の一般的な反応方法、広く使用し得るものである。本発明では、水と反応基質を含む反応系をミキシングしてエマルジョン状態や分散状態を含む懸濁液にするミキシング工程が必須であるが、反応媒体として界面活性剤等の乳化剤などを一切加えない水を使用しているため、水と基質、あるいは水と生成物の分離がきわめて容易であり、多くの場合、生成物の相が、水媒体の表面に形成されるので、多くの有機化合物について、反応後の生成物の特別の分離精製工程を省略でき、生成物の分離工程が簡便になるという利点がある。
本発明では、上記有機化合物の製造方法を実施するための反応装置として、水と反応基質を含む反応系を混合してエマルジョン状態や分散状態を含む懸濁液にするマイクロミキシング手段と、上記懸濁液を高温高圧水条件下で反応させる高温高圧反応場を多段に設けた高温高圧反応システムが使用され、反応基質及び/又は触媒の種類に応じて該ミキシング手段を多段に設置することができる。
本発明の反応装置では、上記ミキシング手段として、マイクロ空間デバイスを用い、例えば、(1)マイクロ流路を有するミキシングティーで混合する方法、(2)メインストリームに別の成分を多数のサブストリームから導入し混合する方法、(3)2成分をそれぞれ多数のストリームに分割し、それぞれを混合する方法、(4)流れ方向でサブミリオーダー以下に径を絞り、拡散距離を短くし混合する方法、(5)分割・混合を繰り返す方法、(6)小さな流体セグメントを周期的に導入して混合する方法、(7)超音波、マイクロ波、電気エネルギー、熱エネルギー等の外部要因を加え混合する方法等のミキシング手段が用いられる。上記ミキシング手段で調製された反応系の懸濁液は、そのまま反応場に移送し、上記のミキシング手段と同様の手法で高温高圧水と混合させ、所定の温度及び圧力条件下で反応が行われる。
本発明で使用される高温高圧反応装置には、水、反応基質及び触媒等の反応系を構成する各成分を各々収容するタンク、これらの成分を上記ミキシング手段及び/又は高温高圧反応場に送液するポンプ及び配管系が設置され、更に、上記高温高圧水を製造する加熱ヒーター、反応系を急速冷却するための急速冷却器、反応系の圧力を制御するための圧力制御弁、反応生成物を排出し、分離、回収する手段が、設置され、全体の反応装置が構成される。本発明で使用される高温高圧反応装置の具体的な構成は、これらに制限されるものではなく、これらの基本構成を基礎として、基質の有機化合物、反応の種類等に応じて任意に設計することができる。また、本発明では、好適には、連続式反応装置が使用されるが、回分式反応装置を使用することも適宜可能である。
本発明により、以下のような効果が奏される。
(1)有機溶媒を使用しないで、水を反応媒体として使用し、懸濁状態の反応基質を高温高圧水条件下で反応させることで、秒単位あるいはサブ秒単位の反応時間で、目的化合物を合成することが可能な新しい有機化合物合成方法に使用する高温高圧反応装置を提供することができる。
(2)水と反応基質を含む反応系をエマルジョン状態や分散状態を含む懸濁液にするミキシング工程と、上記懸濁状態の反応系を高温高圧水条件下で反応させる高温高圧反応工程を多段に設けた反応手段からなり、高収率、高選択率で目的化合物を合成することを可能とする新しい反応手段を提供することができる。
(3)上記ミキシング工程を実行するためのマイクロミキシング手段、及び上記高温高圧反応工程を実行するための高温高圧反応場を多段に設けたマイクロ空間デバイスシステムを提供することができる。
(4)本発明の方法を使用することにより、例えば、反応基質にビニル基を有する化合物と、ハロゲン化アルキルあるいはハロゲン化アリールとを、パラジウム触媒の存在下で反応させるヘック(Heck)反応を行なう場合、また、反応基質にエチニル基とハロゲン化アルキルあるいはハロゲン化アリールとを、パラジウム触媒、銅触媒共存下で反応させる園頭反応を行なう場合、有機ハロゲン化物と有機ホウ素化合物とのクロスカップリングをパラジウム触媒の存在下で行う鈴木カップリングを行う場合等の様々な反応を、有機溶媒を一切使用すること無く、極めて短時間に、高収率・高選択率で行なうことができる。
(5)水系で有機化合物を高収率、高選択率で合成することを可能とする有機化合物の新しい一般的合成方法で使用する装置を提供することができる。
(6)本発明において、反応は、有機溶媒を一切使用せず、水を媒体に用いた反応であるため、反応基質及び/又は生成物の分離、回収が容易であり、しかも、不純物の排出が殆ど無く、水も再利用可能であることから、環境低負荷型の新しい一般的化学合成方法を提供することを可能とするものとして有用である。
(7)本発明の方法は、マイクロ空間デバイスを用い、極めて短時間で反応を行なうことができるため、反応装置全体を大幅に小型化することが可能であり、それによって、投入エネルギー等を小さくすることができ、省エネルギーに貢献できる。
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。
本実施例では、園頭反応による有機化合物の製造を検討した。そして、本実施例では、製造装置として、図1に示す連続式反応装置を用いた。先ず、エチニルベンゼンとヨウ化ベンゼンをモル比で1:1となるように混合し、その溶液をポンプから0.4mL/分の流速で流した。また、塩化パラジウムを8×10−3mol/L、2mol/LのNaOH水溶液をポンプから2.0mL/分の流速で流し、T字管を介して混合させた後、更に、T字管を通して高温高圧水を混合させ、250℃、16MPaの高温高圧条件で反応させ、1,2−ジフェニルアセチレンを合成した。反応後、水冷器で冷却し、最終的に圧力制御弁を通して圧力を降下させ、目的化合物を得た。
その結果を表1にまとめて示す。その結果、僅か35msで収率が96%、選択率100%に達することが分かった。ただし、長時間(4秒間)の反応では、逆に収率、選択率が下がることが分かった。その理由は、反応が更に進み、生成した1,2−ジフェニルアセチレンが2量化、3量化を起こし、ヘキサフェニルベンゼン等が生成するためであると考えられる。
一方、触媒の単位時間当たりの回転速度(TOF)について、文献(K.
Sonogashira, Y. Tohda, N. Hagihara, Tetrahedron Lett., 1975, 4467)の既存法と比較すると、10万倍以上であることが分かった。しかも、文献記載の既存法では、水に有機アミンのピロリジンを25Vol%加えており、純粋に水のみを溶媒として用いたわけでは無いことも考慮すると、本発明は、園頭カップリングの改良手法による有機化合物の製造方法として、有効であることが分かった。
次に、エチニルベンゼンとヨウ化トルエンをモル比で1:1.2に混合した溶液を基質に用い、実施例1と同様の条件で、反応時間を4秒、圧力を16MPaないしは25MPaで、反応温度による目的反応生成物(1,2−ジフェニルアセチレン)の収率と選択率の関係を検討した。その結果をまとめて表2に示す。その結果、反応温度は、16MPaの時は、200〜400℃までの間が良いことが分かり、特に250℃から300℃の温度領域で最も収率と選択率が良いことが分かった。
更に、圧力25MPaの際は、16MPaの時に比べ収率、選択率が低いものの、200〜420℃の範囲で目的化合物が得られることが分かった。また、200℃の反応条件で8〜40MPaで比較した場合、圧力による収率の大きな変化は見られないが、40MPaの高圧条件で収率が低下する傾向が見られ、16MPaで特に選択率が良いことが分かった。これは、高圧条件で好適に生成する不純物によるためであると考えられる。
実施例2と同様の条件で、反応温度を低温にして、長時間反応させることを検討した。その結果をまとめて表3に示す。その結果、エチニルベンゼンとヨウ化ベンゼンを基質とした場合、4.4秒以上反応を行っても収率、選択率に大きな変化が見られなかった。その原因としては、長時間の反応では、水に溶解している塩化パラジウムがパラジウム金属として析出してしまうため、触媒として働かなくなってしまうためであることが考えられる。
実施例2と同様の条件で、塩化パラジウムの代わりに他のパラジウムを用いて検討を行った。パラジウムには、酢酸パラジウムを用いた。その結果を表4にまとめて示す。その結果、酢酸パラジウムを用いた場合、収率は低下する傾向にあったが、選択率は向上していることが分かった。但し、水中に溶解した酢酸パラジウムは、塩化パラジウムと比較して、反応後、パラジウム金属として析出しやすい傾向にあることが分かった。
実施例2と同様の条件で、添加するパラジウム量の検討を行った。その結果を表5に示す。その結果、エチニルベンゼンとヨウ化トルエンの場合、基質(エチニルベンゼン)に対して、触媒の濃度が1mol%の場合、収率80.5%、選択率76.7%であったのに対して、触媒の濃度を2mol%、4mol%と増大させたが、収率の大きな変化は見られなかった。
一方、触媒の濃度を0.5mol%に減らすと、収率が65%に減少することが分かった。これより、触媒の濃度は、基質に対して1mol%以上あれば良いことが分かった。一方、エチニルベンゼンとヨウ化ベンゼンの場合、基質(エチニルベンゼン)に対して、250℃の場合、触媒の濃度が1mol%以上、300℃では、触媒の濃度が0.5mol以上で、触媒量による収率と選択率の大きな変化は無いことが分かった。
実施例2と同様の条件で、添加するアルカリ種による反応性の検討を行った。アルカリ種として、水酸化ナトリウムの他に、炭酸水素カリウムを用いた。その結果を表6にまとめて示す。その結果、収率、選択率共に低下する傾向にあることが分かった。また、弱アルカリの炭酸水素カリウムでも約29%の収率になることが分かった。
実施例1と同様の条件で、ヨウ化ベンゼンの他に、ハロゲン化アリールとして臭化ベンゼン、塩化ベンゼンを用いて検討を行った。その結果を表7にまとめて示す。その結果、塩化ベンゼンを反応基質として用いた場合は、反応しなかったが、臭化ベンゼンを用いた場合は、33%の収率で1,2−ジフェニルアセチレンを得ることができた。ハロゲン化アリールを用いる場合、反応性は、ハロゲンに対して、I>Br>>Clの順番であり、一般的なハロゲン化アリールの反応性の傾向と同じであることが分かった。
実施例1と同様の条件で、ヨウ化ベンゼンの他に、置換基を有するヨウ化アリールとしてヨウ化トルエン、ヨウ化アニソールを用いて検討を行った。その結果を表8にまとめて示す。その結果、各種置換基を有するヨウ化アリールを用いても、園頭カップリングの改良手法により、100msの反応時間であるのにもかかわらず、収率は90%以上で目的物を合成できることが分かった。
本実施例では、基質としてヨードトルエン又はブロモトルエン、及びフェニルアセチレンを使用し、また、連続式反応装置を用いる代わりに、回分式反応装置を用いた。その結果を表9に示す。反応温度に関しては、300℃が最も良いことが分かった。また、圧力は、8.6MPaが良いことが分かった。また、反応時間は、長時間より短時間の方が収率が良く、2分間が最も良いことが分かった。更に、ブロモトルエンでは、目的物を得ることができず、ヨウ化アリールの場合のみ反応することが分かった。更に、パラジウム触媒以外に、銅触媒を用いたが、目的物はほとんど得られなかった。いずれの場合においても、園頭カップリングの改良腫瘍によって得られた目的物の収率は、最高で27%であり、流通式の場合に比べて、低いことも分かった。これにより、回分式より流通式の方が優れていることが判明した。
次に、ヘック(Heck)反応の改良手法による有機化合物の製造について検討した。製造装置として、図1に示す連続式反応装置を用いた。先ず、エチニルベンゼンとヨウ化ベンゼンをモル比で1:1となるように混合し、その溶液をポンプから0.2mL/分の流速で流した。また、塩化パラジウムを8×10−3mol/L、2mol/LのNaOH水溶液をポンプから2.0mL/分の流速で流し、T字管を介して混合させた後、更に、T字管を通して12mL/分の流速で高温高圧水と混合させ、16MPaの圧力、反応時間100msで各種反応温度条件の下、反応を行い、目的化合物の合成を行った。反応後、水冷器で冷却し、最終的に圧力制御弁を通して圧力を降下させ、各目的化合物を得た。その結果を表10にまとめて示した。
実施例10と同様の条件で、ヨウ化ベンゼンの他に、臭化ベンゼン、塩化ベンゼンを用いて検討を行った。その結果を表11にまとめて示す。その結果、塩化ベンゼンを反応基質として用いた場合は、反応しなかったが、臭化ベンゼンを用いた場合は、37%の収率でヘック(Heck)反応由来の化合物が得られた。ハロゲン化アリールを用いる場合、反応性はハロゲンに対して、I>Br>>Clの順番であり、一般的なハロゲン化アリールの反応性の傾向と同じであることが分かった。
図1に示す2段階のマイクロ混合及びマイクロ反応場を装備する連続式反応装置を用いた。先ず、ヨウ化ベンゼンをポンプAから0.07mL/分の流速で流した。また、塩化パラジウムを8×10−3mol/L、2mol/LのNaOH水溶液をポンプBから2.0mL/分の流速で流し、T字管を介して混合させた後、更にT字管を通して12mL/分の流速で高温高圧水と混合させ、16MPaの圧力、反応時間100msで各種反応温度条件の下、反応を行った。反応後、水冷器で冷却し、最終的に圧力制御弁を通して圧力を降下させ、各目的化合物ビフェニルを得た。結果を表12にまとめて示す。その結果、通常、鈴木反応、根岸反応、熊田反応等のそれぞれ炭素−炭素結合反応においては、図3に示したように、ジヒドロホウ素や、亜鉛錯体、マグネシウム錯体を経由して反応するが、本発明の場合、収率は最大で19%と低収率であるものの、高い選択率をもって生成物が得られることが分かった。なお、反応時間は、長くしても収率の向上は見られなかった。
次に、図3のSuzuki Couplingの式に示す鈴木カップリング反応による炭素−炭素結合反応を検討した。図4に示す3段階のマイクロ混合及びマイクロ反応場を装備する連続式反応装置を用いた。原料がハロゲン化ベンゼンの場合、例えば、ヨウ化ベンゼンは液体であるが、フェニルビス水酸化ホウ素は、固体で、ヨウ化ベンゼンと混合しないため、水酸化カリウムアルカリ水溶液に溶解させた後、ポンプから第1高圧混合機に導入した。また、ヨウ化ベンゼンは液体であるため、ポンプから直接0.07mL/分の流速で第1高圧混合機(T字管)に導入した。
次に、塩化パラジウムを8×10−3mol/L、2mol/LのNaOH水溶液をポンプから2.0mL/分の流速で流し、T字管を介して混合させた後、更にT字管を通して12mL/分の流速で高温高圧水と混合させ、16MPaの圧力、反応時間100msで各種反応温度条件の下、反応を行った。反応後、水冷器で冷却し、最終的に圧力制御弁を通して圧力を降下させ、各目的化合物ビフェニルを得た。
反応温度による転化率、収率の違いを検討した結果を表13にまとめた。その結果、原料がヨウ化ベンゼンの場合、反応温度250℃の場合が最も良く(実験番号1〜4)、転化率、収率が96%かつ選択率が100%であった。また、反応温度300℃の場合、転化率が52%であったが、触媒量を2倍に増やした場合でも54%と殆ど差が無いことが分かった。
更に、ヨウ化ベンゼンからより活性の低いブロモベンゼン、クロロベンゼンを原料に用いたところ、ブロモベンゼンの場合、80%の収率、100%の選択率で(実験番号7)、また、クロロベンゼンの場合、68%の収率、100%の選択率で(実験番号10)、ビフェニルが得られることが分かり、I>>Br>Clの順で収率が良くなることが分かった。
以上詳述したように、本発明は、高温高圧水超高速有機化合物合成方法で使用する高温高圧反応装置に係るものであり、本発明により、有機溶媒を一切使用しないで、水を反応媒体として使用し、エマルジョン状態や分散状態を含む懸濁液の反応基質を高温高圧水条件下で反応させることで秒単位の反応時間で目的化合物を合成することが可能な新しい有機化合物合成方法に使用する高温高圧反応装置を提供することができる。本発明により、水と反応基質を含む反応系を懸濁状態にするミキシング工程と、上記懸濁状態の反応系を高温高圧水条件下で反応させる高温高圧反応工程を多段に設けた反応手段からなり、高収率、高選択率で目的化合物を合成することを可能とする新しい反応手段及び上記ミキシング工程を実行するためのミキシング手段を提供することができる。
また、本発明により、上記高温高圧反応工程を実行するための高温高圧反応場を多段に設けたマイクロ空間デバイスシステムを使用した新しい有機化合物の製造技術を提供することができる。本発明の方法は、有機溶媒を一切使用しないで、高温高圧水を反応媒体とする反応場で反応させることで、反応基質、生成物の分離、回収が容易であり、しかも、有害成分の排出がないことから、環境低負荷型の一般的化学合成技術を提供することを可能とするものとして有用である。
本発明の連続式反応装置の一例を示す。 従来法の炭素−炭素結合形成反応を示す。 従来法の炭素−炭素結合形成反応(Suzuki Coupling、Negishi Coupling、Kumada Coupling)を示す。 マイクロ混合及びマイクロ反応場を多段に装備した連続式反応装置の一例を示す。 スチルベンの合成反応を示す。

Claims (11)

  1. 高温高圧水を反応媒体とする反応場で有機化合物を製造する方法において、水と反応基質を混合してエマルジョン状態や分散状態を含む懸濁液にする混合場と、上記懸濁状態の基質を高温高圧水条件下で反応させる反応場との多段工程により有機化合物を合成する有機化合物の製造装置であって、
    高温高圧水が、100℃以上420℃以下又は200℃以上420℃以下、圧力が常圧以上40MPa以下の高温高圧水であること、混合、及び、反応を行う手段が、マイクロ空間デバイスであること、反応が、ヘック反応、園頭カップリング反応、又は鈴木カップリング反応であること、上記装置が、水と反応基質を含む反応系を混合してエマルジョン状態や分散状態を含む懸濁液にするミキシング手段と、上記懸濁状態の基質を高温高圧水条件下で反応させる高温高圧反応場手段を多段に設けたものであること、を特徴とする高温高圧反応装置。
  2. マイクロ空間デバイス混合機を用いて、水と反応基質を混合してエマルジョン状態や分散状態を含む懸濁液にするミキシング工程と、上記懸濁状態の基質を高温高圧水条件下で反応させる高温高圧反応工程により有機化合物を合成する請求項1に記載の反応装置
  3. 上記混合場で、水、触媒及び反応基質を混合し、これを上記反応場で、高温高圧水条件下で反応させる請求項1に記載の反応装置
  4. 反応基質が、水溶性又は非水溶性の基質である請求項1に記載の反応装置
  5. 反応時間が、0.001秒(1ms)以上、5分以内である請求項1に記載の反応装置
  6. 反応系に有機溶媒、界面活性剤、及び/又は塩基が存在しない請求項1に記載の反応装置
  7. 末端にオレフィンを有する化合物と置換基を有することのあるハロゲン化アルキルあるいはハロゲン化アリールを反応させて炭素−炭素結合を有する有機化合物を製造する請求項1に記載の反応装置
  8. 末端にエチニル基を有する化合物と置換基を有することのあるハロゲン化アルキルあるいはハロゲン化アリールを反応させて炭素−炭素結合を有する有機化合物を製造する請求項1に記載の反応装置
  9. 水素化ホウ素あるいはアルコキシホウ素を置換基に有するアリールあるいはビニル化合物とハロゲンを有するアリールあるいはビニル化合物を反応させて炭素−炭素結合を有する有機化合物を製造する請求項1に記載の有機化合物の反応装置
  10. 反応基質及び/又は触媒に対応するマイクロミキシング手段を多段に有する請求項に記載の反応装置
  11. 高温高圧水を製造するための加熱ヒーター、反応物を急速冷却できる急速冷却器を有する請求項に記載の反応装置
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