実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
また、図面において示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、理解の簡単のため、実際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。
なお、「膜」という言葉と、「層」という言葉とは、場合によっては、又は、状況に応じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能である。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能である。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の蓄電装置について図1〜図7を用いて説明する。
本実施の形態では、リチウムイオン二次電池を例に説明するが、本発明の一態様はこれに限られない。本発明の一態様は、電池、一次電池、二次電池、リチウム空気電池、鉛蓄電池、リチウムイオンポリマー二次電池、ニッケル・水素蓄電池、ニッケル・カドミウム蓄電池、ニッケル・鉄蓄電池、ニッケル・亜鉛蓄電池、酸化銀・亜鉛蓄電池、固体電池、空気電池、亜鉛空気電池、コンデンサ、リチウムイオンキャパシタ、電気二重層キャパシタ、ウルトラ・キャパシタ、スーパー・キャパシタなどに適用してもよい。
本発明の一態様の蓄電装置は、正極、負極、セパレータ、及び電解液を有する。
なお、本明細書等において、電解液は、液体に限られず、ゲルや固体であってもよい。
難燃性及び難揮発性であるイオン液体を電解液の溶媒に用いることで、有機溶媒を用いる場合に比べて、蓄電装置の安全性を高めることができる。
蓄電装置では、充放電によって、電解液が分解する可能性がある。電解液の分解反応は不可逆な反応であることが多い。そのため、蓄電装置の容量の損失に繋がる場合がある。
例えば、充電時に、不可逆な反応が起こると、充電時の容量と比較して放電時の容量が小さくなってしまう。
また、放電時に、不可逆な反応が起こると、放電時の容量と比較して、次の充放電サイクルにおける充電時の容量が低下する場合がある。つまり不可逆な反応が生じ続けると、充放電サイクルに伴い、徐々に容量が低下する場合がある。
また、セパレータとして一般的に使用されるセルロース等は、熱に弱い。そのため、イオン液体を用いた電解液と、セパレータとは、高温下で反応することがある。この反応により、電解液が分解される恐れがある。よって、イオン液体を用いた電解液と、セパレータとを有する蓄電装置を、高温環境で動作させると、電解液が分解した結果、不可逆容量が増大し、充放電サイクルに伴う容量の低下を招く場合がある。
そこで、本発明の一態様の蓄電装置では、ポリフェニレンサルファイドを有するセパレータを用い、かつ、イオン液体及びアルカリ金属塩を有する電解液を用いる。ここで、電解液には、イオン液体とアルカリ金属塩がそれぞれ含まれていればよく、イオン液体及びアルカリ金属塩が互いに結合している必要はない。
ポリフェニレンサルファイドを有するセパレータは、耐熱性や耐薬品性に優れる。
また、ポリフェニレンサルファイドを有するセパレータは、セルロースを有するセパレータ等に比べて、高温下におけるイオン液体との反応性が低い。そのため、高温環境下で蓄電装置を動作させても、電解液の分解を抑制することができ、出力特性や充放電サイクル特性の低下を抑制することができる。
例えば、ポリフェニレンサルファイドを有するセパレータを用いることで、ポリオレフィン、ガラス、又はセルロースを有するセパレータを用いる場合に比べて、100℃における蓄電装置の充放電サイクル特性を高めることができる。なお、本発明の一態様の蓄電装置は、100℃より高い温度で動作させてもよい。
また、ポリフェニレンサルファイドを有するセパレータを用いることで、広い温度範囲で、大きな充放電容量や、高い充放電サイクル特性を得ることができる。つまり、本発明の一態様の蓄電装置は、高温環境に限られず、室温に近い環境や低温環境であっても、動作させることができる。
例えば、ポリフェニレンサルファイドを有するセパレータを用いることで、0℃以上80℃以下の範囲、0℃以上100℃以下の範囲、又は−25℃以上125℃以下の範囲で動作可能な蓄電装置を実現できる。なお、本発明の一態様の蓄電装置は、−25℃より低い温度で動作させてもよい。
また、本発明の一態様の蓄電装置をプラスチック等のフィルムやケースで覆うことで、水中で動作させることもできる。例えば、0℃以上100℃以下の水中で駆動させることができる。
≪セパレータ≫
セパレータは、単層構造であっても積層構造であってもよい。例えば、ポリフェニレンサルファイドを有するセパレータと、他のセパレータと、の積層構造であってもよい。
セパレータに用いることができる材料としては、ポリフェニレンサルファイドの他に、紙、不織布、ガラス繊維、セラミックス、あるいは、ナイロン(ポリアミド)、ビニロン(ポリビニルアルコール系繊維)、ポリエステル、アクリル、ポリオレフィン、ポリウレタンといった合成繊維等が挙げられる。
より具体的には、セパレータには、例えば、ポリフェニレンサルファイド、フッ素系ポリマー、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリメタクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリイソプレン、ポリウレタン系高分子及びこれらの誘導体、セルロース、紙、不織布、ガラス繊維から選ばれる一種以上を用いることができる。
≪電解液≫
電解液は、イオン液体及びアルカリ金属塩を有する。電解液は他の材料を含んでいてもよい。また、複数種のイオン液体やアルカリ金属塩を含んでいてもよい。
イオン液体を1種以上用いることで、蓄電装置の内部短絡や、過充電等によって内部温度が上昇しても、蓄電装置の破裂や発火などを防ぐことができる。イオン液体は、カチオンとアニオンからなり、有機カチオンとアニオンとを含む。有機カチオンとして、四級アンモニウムカチオン、三級スルホニウムカチオン、及び四級ホスホニウムカチオン等の脂肪族オニウムカチオンや、イミダゾリウムカチオン及びピリジニウムカチオン等の芳香族カチオンが挙げられる。また、アニオンとして、1価のアミド系アニオン、1価のメチド系アニオン、フルオロスルホン酸アニオン、パーフルオロアルキルスルホン酸アニオン、テトラフルオロボレートアニオン、パーフルオロアルキルボレートアニオン、ヘキサフルオロホスフェートアニオン、又はパーフルオロアルキルホスフェートアニオン等が挙げられる。
イオン液体が有するカチオンは、1以上の置換基を有する5員環のヘテロ芳香環を有し、当該1以上の置換基が有する炭素数の合計が2以上10以下であることが好ましい。炭素数の合計が多すぎると、イオン液体の粘度が高くなることや、導電性が低くなることがあるため、10以下が好ましい。
特に、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム(BMI)カチオンであることが好ましい。
ここで、負極として用いることができる黒鉛は、単位体積当たりの容量が比較的高い、体積膨張が小さい、安価である、リチウム金属に比べて安全性が高い等の利点を有する。一方で、イオン液体が有するカチオンやアニオンは、黒鉛などに代表される層間化合物の層間に、挿入される場合がある。この反応も、不可逆な反応である場合が多い。また、層間に挿入されたカチオンやアニオンは、その後、分解する場合や、脱離する場合がある。カチオンやアニオンが黒鉛の層間で分解した場合、黒鉛の層間が膨らみ、黒鉛が膨張黒鉛となる場合がある。黒鉛粒子が膨張黒鉛になると、その黒鉛粒子は充放電できなくなるため、充放電容量の低下につながる。また、膨張黒鉛は表面積が大きいため、負極において電解液の分解が生じやすくなる可能性が高い。
カチオンやアニオンの分解反応により電荷が消費されると、キャリアイオン(例えば、リチウムイオン)の電池反応を阻害し、充放電容量を低下させてしまう可能性がある。また、活物質層や集電体の表面で電解液が分解した結果、不可逆容量が増大し、充放電サイクルに伴う容量の低下を招く場合がある。
BMIカチオンは、EMIカチオンに比べて、黒鉛の層間に挿入されにくい。そのため、充放電容量の低下につながる膨張黒鉛の生成を抑制でき、また、電解液の分解も抑制することができる。したがって、BMIカチオンを用いることで、負極に黒鉛を好適に用いることができ、充放電サイクル特性の良好な蓄電装置を実現することができる。
また、アルカリ金属塩は、リチウム塩であることが好ましい。
ナトリウム塩を有する電解液を用いると高温環境(例えば100℃以上200℃以下)において良好な出力特性が得られる傾向があるが、室温(例えば25℃)に近い環境では、出力特性が低い傾向もある。
本発明の一態様の蓄電装置では、リチウム塩を用いることで、室温に近い環境と、高温環境との双方で、良好な出力特性や充放電サイクル特性が得ることができる。本発明の一態様を適用することで、例えば、0℃の環境下と100℃の環境下のいずれにおいても、25℃における放電容量の80%以上の放電容量が得られる。
また、上記の溶媒に溶解させる塩としては、キャリアにリチウムイオンを用いる場合、例えばLiPF6、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、LiAlCl4、LiSCN、LiBr、LiI、Li2SO4、Li2B10Cl10、Li2B12Cl12、LiCF3SO3、LiC4F9SO3、LiC(CF3SO2)3、LiC(C2F5SO2)3、LiN(FSO2)2、LiN(CF3SO2)2、LiN(C4F9SO2)(CF3SO2)、LiN(C2F5SO2)2等のリチウム塩を1種以上、任意の組み合わせ及び比率で用いることができる。
また、蓄電装置に用いる電解液は、粒状のごみや電解液の構成元素以外の元素(以下、単に「不純物」ともいう。)の含有量が少ない高純度化された電解液を用いることが好ましい。具体的には、電解液に対する不純物の重量比を1%以下、好ましくは0.1%以下、より好ましくは0.01%以下とすることが好ましい。
また、電解液にビニレンカーボネート(VC)、プロパンスルトン(PS)、tert−ブチルベンゼン(TBB)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、LiBOBなどの添加剤を添加してもよい。添加剤の濃度は、例えば溶媒全体に対して0.1wt%以上5wt%以下とすることができる。
また、ポリマーを電解液で膨潤させたポリマーゲル電解質を用いてもよい。
ポリマーとしては、例えばポリエチレンオキシド(PEO)などのポリアルキレンオキシド構造を有するポリマーや、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリアクリロニトリル等、及びそれらを含む共重合体等を用いることができる。例えばPVdFとヘキサフルオロプロピレン(HFP)の共重合体であるPVdF−HFPを用いることができる。また、ポリマーは、多孔質形状を有してもよい。
また、電解液に重合開始剤や架橋剤を添加し、電解液をゲル化してもよい。例えば、イオン液体を構成するカチオン又はアニオンに重合性の官能基を導入し、重合開始剤を用いてそれらを重合することで、イオン液体自体を重合してもよい。このように、高分子化したイオン液体を架橋剤によりゲル化してもよい。
また、電解液と組み合わせて、硫化物系や酸化物系等の無機物材料を有する固体電解質や、PEO(ポリエチレンオキシド)系等の高分子材料を有する固体電解質を用いてもよい。例えば、固体電解質を活物質層の表面に形成してもよい。また、固体電解質と電解液を組み合わせて用いる場合には、セパレータやスペーサの設置が不要となる場合がある。
また、電解液の溶媒としてゲル化される高分子材料を用いることで、漏液性等に対する安全性が高まる。また、蓄電装置の薄型化及び軽量化が可能である。例えば、ポリエチレンオキシド系、ポリアクリロニトリル系、ポリフッ化ビニリデン系、ポリアクリレート系、ポリメタクリレート系ポリマーを用いることができる。また、常温(例えば25℃)で電解液をゲル化できるポリマーを用いることが好ましい。または、シリコーンゲルなどを用いてもよい。なお本明細書等において、例えばポリフッ化ビニリデン系ポリマーとは、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)を含むポリマーを意味し、ポリ(フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン)共重合体等を含む。
なおFT−IR(フーリエ変換赤外分光光度計)等を用いることで、上記のポリマーを定性分析することができる。例えばポリフッ化ビニリデン系ポリマーは、FT−IRで得たスペクトルに、C−F結合を示す吸収を有する。またポリアクリロニトリル系ポリマーは、FT−IRで得たスペクトルに、C≡N結合を示す吸収を有する。
電解液の溶媒としては、非プロトン性有機溶媒を用いることもできる。例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート(VC)、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ギ酸メチル、酢酸メチル、酪酸メチル、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン(DME)、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテル、メチルジグライム、アセトニトリル、ベンゾニトリル、テトラヒドロフラン、スルホラン、スルトン等の1種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いることができる。
次に、本発明の一態様の蓄電装置の具体的な構成について説明する。
図1(A)に、本発明の一態様の蓄電装置である、電池セル500を示す。図1(A)では、電池セル500の一例として、薄型の蓄電池の形態を示すが、本発明の一態様の蓄電装置はこれに限られない。
図1(A)に示すように、電池セル500は、正極503、負極506、セパレータ507、及び外装体509を有する。電池セル500は、正極リード510及び負極リード511を有してもよい。
図2(A)、(B)に、図1(A)における一点鎖線A1−A2間の断面図の一例をそれぞれ示す。図2(A)、(B)には、正極503と負極506を1組用いて作製した電池セル500の断面構造をそれぞれ示す。
図2(A)、(B)に示すように、電池セル500は、正極503、負極506、セパレータ507、電解液508、及び外装体509を有する。セパレータ507は、正極503と負極506の間に挟まれている。外装体509で囲まれた領域は、電解液508で満たされている。
正極503は、正極活物質層502と、正極集電体501とを含む。負極506は、負極活物質層505と、負極集電体504とを含む。活物質層は、集電体の片面又は両面に形成する。セパレータ507は、正極集電体501と負極集電体504の間に位置する。
電池セルは、正極及び負極をそれぞれ1つ以上有する。例えば、電池セルは、複数の正極及び複数の負極からなる積層構造とすることもできる。
図3(A)に、図1(A)における一点鎖線A1−A2間の断面図の別の例を示す。また、図3(B)に図1(A)における一点鎖線B1−B2間の断面図を示す。
図3(A)、(B)には、正極503と負極506を複数組用いて作製した電池セル500の断面構造を示す。電池セル500が有する電極層数に限定はない。電極層数が多い場合には、より多くの容量を有する蓄電装置とすることができる。また、電極層数が少ない場合には、薄型化でき、可撓性に優れた蓄電装置とすることができる。
図3(A)、(B)では、正極集電体501の片面に正極活物質層502を有する正極503を2つと、正極集電体501の両面に正極活物質層502を有する正極503を2つと、負極集電体504の両面に負極活物質層505を有する負極506を3つ用いる例を示す。つまり、電池セル500は、6層の正極活物質層502と、6層の負極活物質層505を有する。なお、図3(A)、(B)では、セパレータ507が袋状の例を示すが、これに限定されず、セパレータ507は短冊状であっても、蛇腹状であってもよい。
次に、図1(B)に、正極503の外観図を示す。正極503は、正極集電体501及び正極活物質層502を有する。
また、図1(C)に、負極506の外観図を示す。負極506は、負極集電体504及び負極活物質層505を有する。
ここで、正極503及び負極506は、積層される複数の正極同士又は複数の負極同士を電気的に接続するために、タブ領域を有することが好ましい。また、タブ領域にはリード電極を電気的に接続することが好ましい。
図1(B)に示すように、正極503は、タブ領域281を有することが好ましい。タブ領域281の一部は、正極リード510と溶接されることが好ましい。タブ領域281は正極集電体501が露出する領域を有することが好ましく、正極集電体501が露出する領域に正極リード510を溶接することにより、接触抵抗をより低くすることができる。また、図1(B)ではタブ領域281の全域において正極集電体501が露出している例を示すが、タブ領域281は、その一部に正極活物質層502を有してもよい。
図1(C)に示すように、負極506は、タブ領域282を有することが好ましい。タブ領域282の一部は、負極リード511と溶接されることが好ましい。タブ領域282は負極集電体504が露出する領域を有することが好ましく、負極集電体504が露出する領域に負極リード511を溶接することにより、接触抵抗をより低くすることができる。また、図1(C)ではタブ領域282の全域において負極集電体504が露出している例を示すが、タブ領域282は、その一部に負極活物質層505を有してもよい。
なお、図1(A)では、正極503と負極506の端部が概略揃っている例を示すが、正極503は、負極506の端部よりも外側に位置する部分を有していてもよい。
電池セル500において、負極506の正極503と重ならない領域の面積は小さいほど好ましい。
図2(A)では、負極506の端部が、正極503の内側に位置する例を示す。このような構成とすることにより、負極506を全て正極503と重ねる、又は負極506の正極503と重ならない領域の面積を小さくすることができる。
または、電池セル500において、正極503と負極506の面積は概略同じであることが好ましい。例えば、セパレータ507を挟んで向かい合う正極503と負極506の面積は、概略同じであることが好ましい。例えば、セパレータ507を挟んで向かい合う正極活物質層502の面積と負極活物質層505の面積は概略同じであることが好ましい。
例えば、図3(A)、(B)に示すように、正極503のセパレータ507側の面の面積と負極506のセパレータ507側の面の面積は概略同じであることが好ましい。正極503の負極506側の面の面積と負極506の正極503側の面の面積を概略同じとすることにより、負極506の正極503と重ならない領域を小さくする(あるいは理想的にはなくす)ことができ、電池セル500の不可逆容量を減少させることができるため好ましい。または、図3(A)、(B)に示すように、正極活物質層502のセパレータ507側の面の面積と負極活物質層505のセパレータ507側の面の面積は概略同じであることが好ましい。
また、図3(A)、(B)に示すように、正極503の端部と負極506の端部は概略揃うことが好ましい。また、正極活物質層502と負極活物質層505の端部は概略揃うことが好ましい。
また、図2(B)では、正極503の端部が、負極506の内側に位置する例を示す。このような構成とすることにより、正極503を全て負極506と重ねる、又は正極503の負極506と重ならない領域の面積を小さくすることができる。負極506の端部が正極503の端部よりも内側に位置すると、負極506の端部に電流が集中してしまう場合がある。例えば、負極506の一部に電流が集中することで、負極506上にリチウムが析出してしまうことがある。正極503の負極506と重ならない領域の面積を小さくすることで、負極506の一部に電流が集中することを抑制できる。これにより、例えば、負極506上へのリチウムの析出が抑制でき、好ましい。
図1(A)に示すように、正極リード510は、正極503に電気的に接続することが好ましい。同様に、負極リード511は、負極506に電気的に接続することが好ましい。正極リード510及び負極リード511は外装体509の外側に露出し、外部との電気的接触を得る端子として機能する。
または、正極集電体501及び負極集電体504は、外部との電気的接触を得る端子の役割を兼ねることもできる。その場合は、リード電極を用いずに、正極集電体501及び負極集電体504の一部を外装体509から外側に露出するように配置してもよい。
また、図1(A)では、正極リード510と負極リード511は、電池セル500の同じ辺に配置されているが、図4に示すように、正極リード510と負極リード511を電池セル500の異なる辺に配置してもよい。このように、本発明の一態様の電池セルは、リード電極を自由に配置することができるため、設計自由度が高い。よって、本発明の一態様の電池セルを用いた製品の設計自由度を高めることができる。また、本発明の一態様の電池セルを用いた製品の生産性を高めることができる。
次に、電池セル500の作製方法の一例を、図5〜図7を用いて説明する。
まず、正極503、負極506、及びセパレータ507を積層する。具体的には、正極503の上にセパレータ507を配置する。その後、セパレータ507の上に負極506を配置する。正極と負極を2組以上用いる場合は、さらに負極506の上にセパレータ507を配置した後、正極503を配置する。このようにセパレータ507を正極503と負極506の間に挟みながら正極503と負極506を交互に積層する。
あるいは、セパレータ507を袋状にしてもよい。セパレータ507で電極を包むことで、該電極が製造工程中に損傷しにくくなり、好ましい。
まず、セパレータ507上に正極503を配置する。次いで、セパレータ507を図5(A)の破線で示した部分で折り、セパレータ507で正極503を挟む。なお、ここでは正極503をセパレータ507で挟む例について説明したが、負極506をセパレータ507で挟んでもよい。
ここで、正極503の外側のセパレータ507の外周部分を接合して、セパレータ507を袋状(又はエンベロープ状)とすることが好ましい。セパレータ507の外周部分の接合は、接着剤などを用いて行ってもよいし、超音波溶接、又は加熱による融着により行ってもよい。
本実施の形態では、セパレータ507としてポリフェニレンサルファイドを有するセパレータを用いて、セパレータ507の外周部分を加熱により接合する。図5(A)に接合部514を示す。このようにして、正極503をセパレータ507で覆うことができる。
次に、図5(B)に示すように、負極506と、セパレータに覆われた正極503と、を交互に重ねる。また、封止層115を有する正極リード510及び負極リード511を準備する。
次に、図6(A)に示すように、正極503のタブ領域281に、封止層115を有する正極リード510を接続する。図6(B)に接続部の拡大図を示す。接合部512に圧力を加えながら超音波を照射して、正極503のタブ領域281及び正極リード510を電気的に接続する(超音波溶接)。このとき、タブ領域281に湾曲部513を設けるとよい。
湾曲部513を設けることによって、電池セル500の作製後に外から力が加えられて生じる応力を緩和することができる。よって、電池セル500の信頼性を高めることができる。
同様の方法を用いて、負極506のタブ領域282と、負極リード511と、を電気的に接続することができる。
次に、外装体509上に、正極503、負極506、及びセパレータ507を配置する。
次に、外装体509を、図6(C)の外装体509の中央付近に破線で示した部分で折り曲げる。
図7に、外装体509の外周を熱圧着により接合した部位を、接合部118として示す。電解液508を入れるための導入口119以外の外装体509の外周部を、熱圧着により接合する。熱圧着の際、リード電極に設けられた封止層も溶けてリード電極と外装体509との間を固定することができる。また、外装体509とリード電極との間の密着性を向上することができる。
そして、減圧雰囲気下、或いは不活性ガス雰囲気下で所望の量の電解液508を導入口119から外装体509の内側に入れる。そして、最後に、導入口119を熱圧着により接合する。このようにして、薄型の蓄電池である電池セル500を作製することができる。
電池セル500を作製した後には、エージングを行うことが好ましい。エージング条件の一例について以下に説明する。まず初めに0.001C以上0.2C以下のレートで充電を行う。温度は例えば室温以上50℃以下とすることができる。このときに、電解液の分解が生じ、ガスが発生した場合には、そのガスがセル内にたまると、電解液が電極表面と接することができない領域が発生してしまう。つまり、電極の実効的な反応面積が減少し、実効的な抵抗が高くなることに相当する。
過度に抵抗が高くなると、電極の抵抗に応じて充電電圧が上昇し、負極電位が下がることによって、黒鉛へのリチウムの挿入と同時に、黒鉛表面にリチウムが析出してしまう。このリチウムの析出は容量の低下を招く場合がある。例えば、リチウムが析出した後、表面に被膜等が成長してしまうと、表面に析出したリチウムが再溶出できなくなり、容量に寄与しないリチウムが生じてしまう。また、析出したリチウムが物理的に崩落し、電極との導通を失った場合にも、やはり容量に寄与しないリチウムが生じてしまう。よって、電極の電位が電圧降下によりリチウム電位まで到達しないように、ガスを抜くことが好ましい。
ガス抜きを行う場合には、例えば薄型の蓄電池の外装体の一部を切断し、開封する。ガスにより外装体が膨張している場合には、再度、外装体の形を整えることが好ましい。また、再封止の前に必要に応じて電解液を足してもよい。
また、ガス抜きを行った後に、室温よりも高い温度、好ましくは30℃以上60℃以下、より好ましくは35℃以上50℃以下において、例えば1時間以上100時間以下の間、充電状態で保持してもよい。初めに行う充電の際に、表面で分解した電解液は被膜を形成する。よって、例えばガス抜き後に室温よりも高い温度で保持することにより、形成された被膜が緻密化する場合も考えられる。
以下では、本発明の一態様の蓄電装置の構成要素について、詳述する。先に説明したセパレータ及び電解液については説明を省略する。なお、本実施の形態にて示す各部材の材料から、可撓性を有する材料を選択して用いると、可撓性を有する蓄電装置を作製することができる。
≪集電体≫
集電体は、蓄電装置内で顕著な化学変化を引き起こさずに高い導電性を示す限り、特別な制限はない。正極集電体及び負極集電体には、例えば、ステンレス、金、白金、亜鉛、鉄、ニッケル、銅、アルミニウム、チタン、タンタル、マンガン等の金属、これらの合金、又は焼結した炭素などをそれぞれ用いることができる。または、銅もしくはステンレス鋼を炭素、ニッケルもしくはチタン等で被覆して用いてもよい。または、シリコン、チタン、ネオジム、スカンジウム、モリブデンなどの耐熱性を向上させる元素が添加されたアルミニウム合金を用いることができる。または、シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素で集電体を形成してもよい。シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル等がある。
正極集電体の表面や、負極集電体の表面では、電解液との不可逆な反応が生じる場合がある。よって、正極集電体や負極集電体は、電解液との反応性が低いことが好ましい。例えば、正極集電体や負極集電体にステンレス等を用いることにより、電解液との反応性をより低くすることができる場合があり、好ましい。
また、正極集電体及び負極集電体には、それぞれ、箔状、板状(シート状)、網状、円柱状、コイル状、パンチングメタル状、エキスパンドメタル状、多孔質状、及び不織布を包括する様々な形態の形状を適宜用いることができる。さらに、活物質層との密着性を上げるために、正極集電体及び負極集電体は、それぞれ、表面に細かい凹凸を有していてもよい。また、正極集電体及び負極集電体は、それぞれ、厚みが5μm以上30μm以下のものを用いるとよい。
また、集電体の表面の一部にアンダーコート層を設けてもよい。ここでアンダーコート層とは、集電体と活物質層との接触抵抗の低減や、集電体と活物質層との密着性向上のための被覆層をいう。なお、アンダーコート層は、集電体の一面全体に形成されていなくてもよく、島状に(部分的に)形成されていてもよい。また、アンダーコート層が活物質として容量を発現しても構わない。アンダーコート層としては、例えば炭素材料を用いることができる。炭素材料としては、例えば、黒鉛や、アセチレンブラック等のカーボンブラック、カーボンナノチューブなどを用いることができる。また、アンダーコート層として、金属層、炭素及び高分子を含む層、並びに金属及び高分子を含む層を用いることもできる。
≪活物質層≫
活物質層は、活物質を含む。活物質とは、キャリアであるイオンの挿入・脱離に関わる物質のみを指すが、本明細書等では、本来「活物質」である材料に加えて、導電助剤や結着剤などを含めたものも、活物質層と呼ぶ。
正極活物質層は、1種類以上の正極活物質を有する。負極活物質層は、1種類以上の負極活物質を有する。
正極活物質及び負極活物質は、蓄電装置の電池反応の中心的役割を担いキャリアイオンの放出及び吸収を行う物質である。蓄電装置の寿命を高めるためには、活物質が、電池反応の不可逆反応に係る容量が小さい材料であることが好ましく、充放電効率の高い材料であることが好ましい。
正極活物質には、リチウムイオン等のキャリアイオンの挿入及び脱離が可能な材料を用いることができる。正極活物質としては、例えば、オリビン型の結晶構造、層状岩塩型の結晶構造、スピネル型の結晶構造、NASICON型の結晶構造を有する材料等が挙げられる。
例えば、正極活物質として、LiFeO2、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4、V2O5、Cr2O5、MnO2等の化合物を材料として用いることができる。
オリビン型の結晶構造を有する材料としては、リチウム含有複合リン酸塩(一般式LiMPO4(Mは、Fe(II)、Mn(II)、Co(II)、Ni(II)の一以上))が挙げられる。一般式LiMPO4の代表例としては、LiFePO4、LiNiPO4、LiCoPO4、LiMnPO4、LiFeaNibPO4、LiFeaCobPO4、LiFeaMnbPO4、LiNiaCobPO4、LiNiaMnbPO4(a+bは1以下、0<a<1、0<b<1)、LiFecNidCoePO4、LiFecNidMnePO4、LiNicCodMnePO4(c+d+eは1以下、0<c<1、0<d<1、0<e<1)、LiFefNigCohMniPO4(f+g+h+iは1以下、0<f<1、0<g<1、0<h<1、0<i<1)等の化合物が挙げられる。
例えば、リン酸鉄リチウム(LiFePO4)は、安全性、安定性、高容量密度、高電位、初期酸化(充電)時に引き抜けるリチウムイオンの存在等、正極活物質に求められる事項をバランスよく満たしているため、好ましい。
正極活物質としてLiFePO4を用いることにより、過充電などの外部負荷に対しても安定で、安全性の高い蓄電装置を実現することができる。よって、例えば、持ち運びを行うモバイル機器や、身体に身に着けるウェアラブル機器等に用いる蓄電装置として、特に優れている。
層状岩塩型の結晶構造を有する材料としては、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、LiNiO2、LiMnO2、Li2MnO3、LiNi0.8Co0.2O2等のNiCo系(一般式は、LiNixCo1−xO2(0<x<1))、LiNi0.5Mn0.5O2等のNiMn系(一般式は、LiNixMn1−xO2(0<x<1))、LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2等のNiMnCo系(NMCともいう。一般式は、LiNixMnyCo1−x−yO2(x>0、y>0、x+y<1))が挙げられる。さらに、Li(Ni0.8Co0.15Al0.05)O2、Li2MnO3−LiMO2(MはCo、Ni又はMn)等も挙げられる。
特に、LiCoO2は、容量が大きいこと、LiNiO2に比べて大気中で安定であること、LiNiO2に比べて熱的に安定であること等の利点があるため、好ましい。
スピネル型の結晶構造を有する材料としては、例えば、LiMn2O4、Li1+xMn2−xO4(0<x<2)、LiMn2−xAlxO4(0<x<2)、LiMn1.5Ni0.5O4等が挙げられる。
LiMn2O4等のマンガンを含むスピネル型の結晶構造を有する材料に、少量のニッケル酸リチウム(LiNiO2やLiNi1−xMxO2(M=Co、Al等、0<x<1))を混合すると、マンガンの溶出を抑制する、電解液の分解を抑制する等の利点があり好ましい。
または、正極活物質として、一般式Li(2−j)MSiO4(Mは、Fe(II)、Mn(II)、Co(II)、Ni(II)の一以上、0≦j≦2)等のリチウム含有複合ケイ酸塩を用いることができる。一般式Li(2−j)MSiO4の代表例としては、Li(2−j)FeSiO4、Li(2−j)NiSiO4、Li(2−j)CoSiO4、Li(2−j)MnSiO4、Li(2−j)FekNilSiO4、Li(2−j)FekColSiO4、Li(2−j)FekMnlSiO4、Li(2−j)NikColSiO4、Li(2−j)NikMnlSiO4(k+lは1以下、0<k<1、0<l<1)、Li(2−j)FemNinCoqSiO4、Li(2−j)FemNinMnqSiO4、Li(2−j)NimConMnqSiO4(m+n+qは1以下、0<m<1、0<n<1、0<q<1)、Li(2−j)FerNisCotMnuSiO4(r+s+t+uは1以下、0<r<1、0<s<1、0<t<1、0<u<1)等の化合物が挙げられる。
または、正極活物質として、AxM2(XO4)3(A=Li、Na、Mg、M=Fe、Mn、Ti、V、Nb、Al、X=S、P、Mo、W、As、Si)の一般式で表されるNASICON型化合物を用いることができる。NASICON型化合物としては、Fe2(MnO4)3、Fe2(SO4)3、Li3Fe2(PO4)3等が挙げられる。
または、正極活物質として、Li2MPO4F、Li2MP2O7、Li5MO4(M=Fe、Mn)の一般式で表される化合物、FeF3等のペロブスカイト型フッ化物、TiS2、MoS2等の金属カルコゲナイド(硫化物、セレン化物、テルル化物)、LiMVO4等の逆スピネル型の結晶構造を有する材料、バナジウム酸化物系(V2O5、V6O13、LiV3O8等)、マンガン酸化物、有機硫黄化合物等の材料を用いることができる。
また、正極活物質として、上記材料を複数組み合わせた材料を用いてもよい。例えば、上記材料を複数組み合わせた固溶体を正極活物質として用いることができる。例えば、LiCo1/3Mn1/3Ni1/3O2とLi2MnO3の固溶体を正極活物質として用いることができる。
なお、キャリアイオンが、リチウムイオン以外のアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンの場合、正極活物質として、上記リチウム化合物、リチウム含有複合リン酸塩、及びリチウム含有複合ケイ酸塩において、リチウムを、アルカリ金属(例えば、ナトリウムやカリウム等)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ベリリウム、マグネシウム等)などのキャリアで置換した化合物を用いてもよい。
正極活物質の一次粒子の平均粒径は、例えば5nm以上100μm以下が好ましい。
また、例えば正極活物質としてオリビン型構造のリチウム含有複合リン酸塩を用いた場合には、リチウムの拡散経路が一次元であるため、リチウム拡散が遅い。よって、オリビン型構造のリチウム含有複合リン酸塩を用いた場合、充放電の速度を高めるためには正極活物質の平均粒径は、例えば好ましくは5nm以上1μm以下とするとよい。または、正極活物質の比表面積は、例えば好ましくは10m2/g以上50m2/g以下とするとよい。
オリビン構造を有する活物質では、例えば層状岩塩型の結晶構造を有する活物質などと比較して充放電に伴う構造変化がきわめて少なく、結晶構造が安定であるため、過充電などの動作に対しても安定であり、正極活物質として用いた場合に安全性の高い蓄電装置を実現することができる。
負極活物質としては、例えば炭素系材料、合金系材料等を用いることができる。
炭素系材料としては、黒鉛、易黒鉛化性炭素(ソフトカーボン)、難黒鉛化性炭素(ハードカーボン)、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンブラック等がある。黒鉛としては、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、コークス系人造黒鉛、ピッチ系人造黒鉛等の人造黒鉛や、球状化天然黒鉛等の天然黒鉛がある。また、黒鉛の形状としては鱗片状のものや球状のものなどがある。
黒鉛はリチウムイオンが黒鉛に挿入されたとき(リチウム−黒鉛層間化合物の生成時)にリチウム金属と同程度に卑な電位を示す(0.1以上0.3V以下 vs.Li/Li+)。これにより、リチウムイオン二次電池は高い作動電圧を示すことができる。前述の通り、黒鉛は、単位体積当たりの容量が比較的高い、体積膨張が小さい、安価である、リチウム金属に比べて安全性が高い等の利点を有するため、好ましい。
キャリアイオンがリチウムイオンである場合、合金系材料としては、例えば、Mg、Ca、Ga、Si、Al、Ge、Sn、Pb、As、Sb、Bi、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、In等のうち少なくとも一つを含む材料を用いることができる。このような元素は炭素と比べて容量が大きく、特にシリコンは理論容量が4200mAh/gと高いため、蓄電装置の容量を高めることができる。このような元素を用いた合金系材料(化合物系材料)としては、例えば、Mg2Si、Mg2Ge、Mg2Sn、SnS2、V2Sn3、FeSn2、CoSn2、Ni3Sn2、Cu6Sn5、Ag3Sn、Ag3Sb、Ni2MnSb、CeSb3、LaSn3、La3Co2Sn7、CoSb3、InSb、SbSn等がある。
また、負極活物質として、SiO、SnO、SnO2、二酸化チタン(TiO2等)、リチウムチタン酸化物(Li4Ti5O12等)、リチウム−黒鉛層間化合物(LixC6等)、五酸化ニオブ(Nb2O5等)、酸化タングステン(WO2等)、酸化モリブデン(MoO2等)等の酸化物を用いることができる。ここで、SiOとは、珪素と酸素を有する化合物であり、珪素と酸素の原子数比を珪素:酸素=α:βとすると、αは、βの近傍の値を有することが好ましい。ここで近傍の値を有するとは、例えばαとβの差の絶対値は、βの値に対して好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下である。
また、負極活物質として、リチウムと遷移金属の複窒化物である、Li3N型構造をもつLi3−xMxN(MはCo、Ni又はCu)を用いることができる。例えば、Li2.6Co0.4N3は大きな充放電容量(900mAh/g、1890mAh/cm3)を示し好ましい。
リチウムと遷移金属の複窒化物を用いると、負極活物質中にリチウムイオンを含むため、正極活物質としてリチウムイオンを含まないV2O5、Cr3O8等の材料と組み合わせることができる。なお、正極活物質にリチウムイオンを含む材料を用いる場合でも、あらかじめ正極活物質に含まれるリチウムイオンを脱離させることで、負極活物質としてリチウムと遷移金属の複窒化物を用いることができる。
また、コンバージョン反応が生じる材料を負極活物質として用いることもできる。例えば、酸化コバルト(CoO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化鉄(FeO)等の、リチウムと合金化反応を行わない遷移金属酸化物を負極活物質に用いてもよい。コンバージョン反応が生じる材料としては、さらに、Fe2O3、CuO、Cu2O、RuO2、Cr2O3等の酸化物、CoS0.89、NiS、CuS等の硫化物、Zn3N2、Cu3N、Ge3N4等の窒化物、NiP2、FeP2、CoP3等のリン化物、FeF3、BiF3等のフッ化物が挙げられる。
負極活物質の一次粒子の平均粒径は、例えば5nm以上100μm以下が好ましい。
正極活物質層及び負極活物質層は、それぞれ、導電助剤を有してもよい。
導電助剤としては、例えば炭素材料、金属材料、又は導電性セラミックス材料等を用いることができる。また、導電助剤として繊維状の材料を用いてもよい。活物質層の総量に対する導電助剤の含有量は、1wt%以上10wt%以下が好ましく、1wt%以上5wt%以下がより好ましい。
導電助剤により、電極中に電気伝導のネットワークを形成することができる。導電助剤により、負極活物質どうしの電気伝導の経路を維持することができる。活物質層中に導電助剤を添加することにより、高い電気伝導性を有する活物質層を実現することができる。
導電助剤としては、例えば天然黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ等の人造黒鉛、炭素繊維などを用いることができる。炭素繊維としては、例えばメソフェーズピッチ系炭素繊維、等方性ピッチ系炭素繊維等の炭素繊維を用いることができる。また炭素繊維として、カーボンナノファイバーやカーボンナノチューブなどを用いることができる。カーボンナノチューブは、例えば気相成長法などで作製することができる。また、導電助剤として、例えばカーボンブラック(アセチレンブラック(AB)など)、グラファイト(黒鉛)粒子、グラフェン、フラーレンなどの炭素材料を用いることができる。また、例えば、銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金などの金属粉末や金属繊維、導電性セラミックス材料等を用いることができる。
薄片状のグラフェンは、高い導電性を有するという優れた電気特性、及び柔軟性並びに機械的強度という優れた物理特性を有する。そのため、グラフェンを、導電助剤として用いることにより、活物質間又は活物質−集電体間の電気伝導率を高めることができる。
なお、本明細書において、グラフェンは、単層のグラフェン、又は2層以上100層以下の多層グラフェンを含む。単層グラフェンとは、π結合を有する1原子層の炭素分子のシートのことをいう。また、酸化グラフェンとは、上記グラフェンが酸化された化合物のことをいう。また、グラフェンを基本骨格として有する化合物(グラフェン化合物ともいう)を、本発明の一態様の蓄電装置の材料(例えば、導電助剤や活物質等)に用いてもよい。なお、グラフェン化合物は、単層のグラフェン、及び2層以上100層以下の多層グラフェン等のグラフェン、及び酸化グラフェンも含むものとする。
グラフェンは、接触抵抗の低い面接触を可能とするものであり、また、薄くても導電性が非常に高く、少ない量でも効率よく活物質層内で導電パスを形成することができる。
平均粒径の小さい活物質、例えば1μm以下の活物質を用いる場合には、活物質の比表面積が大きく、活物質同士を繋ぐ導電パスがより多く必要となる。このような場合には、導電性が非常に高く少ない量でも効率よく導電パスを形成することができるグラフェンを用いることが、特に好ましい。
正極活物質層及び負極活物質層は、それぞれ、結着剤を有してもよい。
本明細書中において、結着剤は、活物質と活物質を結着もしくは接着させる機能、及び/又は、活物質層と集電体を結着もしくは接着させる機能を有する。また、結着剤は、電極又は電池の作製中に、その状態が変化する場合がある。例えば、結着剤は、液体、固体、又はゲル等の少なくともいずれか一の状態をとることがある。また、結着剤は、電極又は電池の作製中に、単量体(モノマー)から重合体(ポリマー)に変化する場合がある。
例えば、結着剤として水溶性の高分子を用いることができる。水溶性の高分子としては、例えば多糖類などを用いることができる。多糖類としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ジアセチルセルロース、再生セルロースなどのセルロース誘導体や、澱粉などを用いることができる。
また、結着剤として、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、スチレン・イソプレン・スチレンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体などのゴム材料を用いることができる。これらのゴム材料は、前述の水溶性の高分子と併用して用いてもよい。これらのゴム材料は、ゴム弾性を有し、伸び縮みしやすいため、充放電に伴う活物質の膨張収縮や、電極の曲げなどに伴うストレスに強く、信頼性の高い電極を得ることができる一方で、疎水基を有し水に溶けにくい場合がある。このような場合には、水溶液中で粒子が水に溶解しない状態で分散するので、活物質層102の形成に使用する溶剤を含む組成物(電極合剤組成物ともいう)を、塗布するために適した粘度にまで高めることが難しいことがある。この際に、粘度調整機能の高い水溶性高分子、例えば多糖類を用いると、溶液の粘度を適度に高める効果が期待できるうえに、ゴム材料と互いに均一に分散し、均一性の高い良好な電極、例えば電極膜厚や電極抵抗の均一性が高い電極を得ることができる。
または、結着剤として、PVdF、ポリスチレン、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル(ポリメチルメタクリレート(PMMA))、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、イソブチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリビニルクロライド、エチレンプロピレンジエンポリマー、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース等の材料を用いることができる。
結着剤は上記のうち二種類以上を組み合わせて使用してもよい。
活物質層の総量に対する結着剤の含有量は、1wt%以上10wt%以下が好ましく、2wt%以上8wt%以下がより好ましく、3wt%以上5wt%以下がさらに好ましい。
≪外装体≫
外装体509は、電解液508と接する面、すなわち内側の面が電解液508と顕著な反応を生じないことが好ましい。また、電池セル500の外部から電池セル500内に水分が混入すると、電解液508の成分等と水との反応が生じる場合がある。よって外装体509は、水分の透過性が低いことが好ましい。
外装体509には、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、アイオノマー、ポリアミド等を用いた膜上に、アルミニウム、ステンレス、銅、ニッケル等の可撓性に優れた金属薄膜を設け、さらに該金属薄膜上に外装体の外面としてポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等の絶縁性合成樹脂膜を設けた三層構造のフィルムを用いることができる。このような三層構造とすることで、電解液や気体の透過を遮断するとともに、絶縁性を確保し、併せて耐電解液性を有する。外装体を内側に折り曲げて重ねて、又は、2つの外装体それぞれの内面を向かい合わせて重ねて熱を加えることにより、内面の材料が融け2つの外装体を融着することができ、封止構造を作製することができる。
外装体が融着等され封止構造が形成されている箇所を封止部とすると、外装体を内側に折り曲げて重ねた場合は、折り目以外の個所に封止部が形成され、外装体の第1の領域と、該第1の領域と重なる第2の領域とが融着等された構造となる。また、2枚の外装体を重ねた場合は熱融着等の方法で外周全てに封止部が形成される。
電池セル500は、可撓性を有する外装体509を用いることで、可撓性を有する構成とすることができる。可撓性を有する構成とすれば、可撓性を有する部位を少なくとも一部有する電子機器に実装することができ、電子機器の変形に合わせて電池セル500も曲げることもできる。
以上のように、本発明の一態様では、ポリフェニレンサルファイドを有するセパレータと、イオン液体を有する電解液と、を用いるため、高温環境下でも、セパレータと電解液とが反応しにくく、電解液の分解を抑制することができる。したがって、高温環境下の動作において、不可逆容量の増加を抑制し、良好な充放電サイクル特性を得ることができる。
また、本発明の一態様の蓄電装置は、高温環境下だけでなく、広い温度範囲で良好な充放電特性を示す。また、本発明の一態様の蓄電装置は、イオン液体を用いるため、有機溶媒を用いる場合に比べて、広い温度範囲において安全性を高めることができる。
本発明の一態様を適用することで、100℃以上の高温で動作可能な蓄電装置とすることができ、例えば、オートクレーブなどにも対応した蓄電装置を提供することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の蓄電装置について図8〜図15を用いて説明する。
本発明の一態様では、ポリフェニレンサルファイドを有するセパレータと、イオン液体を有する電解液と、を用いるため、高温環境を含む、広い温度範囲で、優れた充放電特性を示し、長期信頼性や安全性が高い蓄電装置を実現することができる。
[捲回体を用いた蓄電池]
図8及び図9に、本発明の一態様の蓄電装置である、捲回体を用いた蓄電池の構成例を示す。
図8(A)、(B)に示す捲回体993は、負極994と、正極995と、セパレータ996と、を有する。
捲回体993は、セパレータ996を挟んで、負極994と正極995とが重なり合って積層され、該積層シートを捲回したものである。この捲回体993を角型の封止容器などで覆うことにより角型の蓄電池が作製される。
なお、負極994、正極995、及びセパレータ996からなる積層の積層数は、必要な容量と素子体積に応じて適宜設計することができる。端子997又は端子998の一方を介して、負極994が負極集電体(図示せず)に接続され、他方を介して正極995が正極集電体(図示せず)に接続される。
ここで、負極994の正極995と重ならない領域の面積は、小さいほど好ましい。図8(B)は、負極994の幅1091が、正極995の幅1092よりも小さい例を示す。また、負極994の端部は、正極995の内側に位置する。このような構成とすることにより、負極994を全て正極995と重ねる、又は負極994の正極995と重ならない領域の面積を小さくすることができる。
また、負極994の面積に対して、正極995の面積が大きすぎると、正極995の余剰部分が多くなり、例えば体積あたりの蓄電池の容量が小さくなってしまう。よって、例えば、負極994の端部が正極995の端部よりも内側に位置することが好ましい。また、正極995の端部と負極994の端部の距離は3mm以下が好ましく、0.5mm以下がより好ましく、0.1mm以下がさらに好ましい。あるいは、正極995と負極994の幅の差は、6mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましく、0.2mm以下がさらに好ましい。または、幅1091と幅1092を概略同じ値とし、負極994の端部を正極995の端部と概略揃えることが好ましい。
図9(B)に示す蓄電池980は、図9(A)に示すように、フィルム981と、凹部を有するフィルム982と、捲回体993と、を有する。蓄電池980は、外装体となるフィルム981及びフィルム982を、熱圧着などにより貼り合わせて形成される空間に捲回体993を収納したものである。捲回体993は、端子997及び端子998を有し、フィルム981とフィルム982との内部で電解液に含浸される。
フィルム981とフィルム982には、それぞれ、例えば、アルミニウムなどの金属材料や樹脂材料を用いることができる。フィルム981及びフィルム982の材料として樹脂材料を用いると、外部から力が加わったときにフィルム981とフィルム982を変形させることができ、可撓性を有する蓄電池を作製することができる。
図9(A)、(B)では2枚のフィルムを用いる例を示しているが、1枚のフィルムを折り曲げることによって空間を形成し、その空間に上述した捲回体993を収納してもよい。
外装体や封止容器に樹脂材料などを用いることで、蓄電装置全体に可撓性をもたせることができる。ただし、外装体や封止容器に樹脂材料を用いる場合、外部に接続を行う部分は導電材料とする。
図10(B)に示す蓄電池990は、図10(A)に示すように、外装体991と、外装体992と、捲回体993と、を有する。
図10(B)に示す蓄電池990は、外装体991の内部に上述した捲回体993を収納したものである。捲回体993は、端子997及び端子998を有し、外装体991及び外装体992の内部で電解液に含浸される。外装体991及び外装体992には、それぞれ、例えばアルミニウムなどの金属材料や樹脂材料を用いることができる。外装体991及び外装体992の材料として樹脂材料を用いると、外部から力が加わったときに外装体991及び外装体992を変形させることができ、可撓性を有する蓄電池を作製することができる。
[円筒型蓄電池]
次に、捲回体を用いた蓄電池の一例として、円筒型の蓄電池を示す。
図11(A)に示す円筒型の蓄電池600は、上面に正極キャップ(電池蓋)601を有し、側面及び底面に電池缶(外装缶)602を有している。これら正極キャップと電池缶(外装缶)602とは、ガスケット(絶縁パッキン)610によって絶縁されている。
図11(B)は、円筒型の蓄電池の断面模式図である。中空円柱状の電池缶602の内側には、帯状の正極604と帯状の負極606とがセパレータ605を間に挟んで捲回された電池素子が設けられている。図示しないが、電池素子はセンターピンを中心に捲回されている。電池缶602は、一端が閉じられ、他端が開いている。電池缶602には、電解液に対して耐腐食性のあるアルミニウム、チタン等の金属、又はこれらの合金やこれらと他の金属との合金(例えば、ステンレス鋼等)を用いることができる。また、電解液による腐食を防ぐため、アルミニウム等を被覆することが好ましい。電池缶602の内側において、正極、負極及びセパレータが捲回された電池素子は、対向する一対の絶縁板608、絶縁板609により挟まれている。また、電池素子が設けられた電池缶602の内部は、非水電解液(図示せず)が注入されている。
円筒型の蓄電池に用いる正極及び負極は捲回するため、集電体の両面に活物質を形成することが好ましい。正極604には正極端子(正極集電リード)603が接続され、負極606には負極端子(負極集電リード)607が接続される。正極端子603及び負極端子607は、共にアルミニウムなどの金属材料を用いることができる。正極端子603は安全弁機構612に、負極端子607は電池缶602の底に、それぞれ抵抗溶接される。安全弁機構612は、PTC(Positive Temperature Coefficient)素子611を介して正極キャップ601と電気的に接続されている。安全弁機構612は電池の内圧の上昇が所定の閾値を超えた場合に、正極キャップ601と正極604との電気的な接続を切断するものである。また、PTC素子611は温度が上昇した場合に抵抗が増大する熱感抵抗素子であり、抵抗の増大により電流量を制限して異常発熱を防止するものである。PTC素子には、チタン酸バリウム(BaTiO3)系半導体セラミックス等を用いることができる。
ここで、負極606の正極604と重ならない領域の面積は、小さいほど好ましい。例えば、負極606の端部が正極604の端部よりも内側に位置することが好ましい。また、正極604の端部と負極606の端部の距離は3mm以下が好ましく、0.5mm以下がより好ましく、0.1mm以下がさらに好ましい。あるいは、正極604の幅1093と、負極606の幅1094の差は、6mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましく、0.2mm以下がさらに好ましい。または、幅1093と幅1094を概略同じ値とし、負極606の端部を正極604の端部と概略揃えることが好ましい。
[コイン型蓄電池]
図12に、本発明の一態様の蓄電装置である、コイン型の蓄電池の一例を示す。図12(A)はコイン型(単層偏平型)の蓄電池の外観図であり、図12(B)、(C)は、その断面図の一例である。
コイン型の蓄電池300は、正極端子を兼ねた正極缶301と負極端子を兼ねた負極缶302とが、ポリプロピレン等で形成されたガスケット303で絶縁シールされている。
正極304は、正極集電体305と正極活物質層306とを接して有する。負極307は、負極集電体308と負極活物質層309とを接して有する。なお、コイン型の蓄電池に用いる正極及び負極は、それぞれ片面のみに活物質層を有していればよい。
正極活物質層306は、正極活物質の他、正極活物質の密着性を高めるための結着剤、正極活物質層の導電性を高めるための導電助剤等を有してもよい。負極活物質層309は、負極活物質の他、負極活物質の密着性を高めるための結着剤、負極活物質層の導電性を高めるための導電助剤等を有してもよい。
正極活物質層306と負極活物質層309との間には、セパレータ310と、電解質(図示せず)とを有する。
ここで、正極304と負極307の形状及び面積は概略同じであることが好ましく、かつ、正極304の端部と負極307の端部が概略揃うことが好ましい。図12(B)は、正極304の端部と負極307の端部が揃う例を示す。
または、正極304の面積は、負極307の面積よりも大きく、かつ、負極307の端部は正極304の端部よりも内側に位置することが好ましい。図12(C)は、負極307の端部が正極304の端部よりも内側に位置する例を示す。
正極缶301及び負極缶302には、それぞれ、電解液に対して耐腐食性のあるアルミニウム、チタン等の金属、又はこれらの合金やこれらと他の金属との合金(例えば、ステンレス鋼等)を用いることができる。また、電解液による腐食を防ぐため、アルミニウム等を被覆することが好ましい。正極缶301は正極304と、負極缶302は負極307と、それぞれ電気的に接続する。
これら負極307、正極304及びセパレータ310を電解質に含浸させ、図12(B)、(C)に示すように、正極缶301を下にして正極304、セパレータ310、負極307、負極缶302をこの順で積層し、正極缶301と負極缶302とをガスケット303を介して圧着してコイン形の蓄電池300を製造する。
[蓄電システム]
次に、蓄電システムの構造例について、図13〜図15を用いて説明する。ここで蓄電システムとは、例えば、蓄電装置を搭載した機器を指す。本実施の形態で説明する蓄電システムは、本発明の一態様の蓄電装置を有する。
図13(A)、(B)は、蓄電システムの外観図である。蓄電システムは、回路基板900と、蓄電池913と、を有する。蓄電池913には、ラベル910が貼られている。さらに、図13(B)に示すように、蓄電システムは、端子951と、端子952と、アンテナ914と、アンテナ915と、を有する。
回路基板900は、端子911と、回路912と、を有する。端子911は、端子951、端子952、アンテナ914、アンテナ915、及び回路912に接続される。なお、端子911を複数設けて、複数の端子911のそれぞれを、制御信号入力端子、電源端子などとしてもよい。
回路912は、回路基板900の裏面に設けられていてもよい。なお、アンテナ914及びアンテナ915は、コイル状に限定されず、例えば線状、板状であってもよい。また、平面アンテナ、開口面アンテナ、進行波アンテナ、EHアンテナ、磁界アンテナ、誘電体アンテナ等のアンテナを用いてもよい。または、アンテナ914もしくはアンテナ915は、平板状の導体でもよい。この平板状の導体は、電界結合用の導体の一つとして機能することができる。つまり、コンデンサの有する2つの導体のうちの一つの導体として、アンテナ914もしくはアンテナ915を機能させてもよい。これにより、電磁界、磁界だけでなく、電界で電力のやり取りを行うこともできる。
アンテナ914の線幅は、アンテナ915の線幅よりも大きいことが好ましい。これにより、アンテナ914により受電する電力量を大きくできる。
蓄電システムは、アンテナ914及びアンテナ915と、蓄電池913との間に層916を有する。層916は、例えば蓄電池913による電磁界を遮蔽する機能を有する。層916としては、例えば磁性体を用いることができる。
なお、蓄電システムの構造は、図13に限定されない。以下に変形例を示す。なお、図13(A)、(B)に示す蓄電システムと同じ部分については、上記の説明を適宜援用できる。
例えば、図14(A−1)、(A−2)に示すように、図13(A)、(B)に示す蓄電池913のうち、対向する一対の面のそれぞれにアンテナを設けてもよい。図14(A−1)は、上記一対の面の一方の面側から見た外観図であり、図14(A−2)は、上記一対の面の他方の面側から見た外観図である。
図14(A−1)に示すように、蓄電池913の一対の面の一方に層916を挟んでアンテナ914が設けられ、図14(A−2)に示すように、蓄電池913の一対の面の他方に層917を挟んでアンテナ915が設けられる。層917は、例えば蓄電池913による電磁界を遮蔽する機能を有する。層917としては、例えば磁性体を用いることができる。
上記構造にすることにより、アンテナ914及びアンテナ915の両方のサイズを大きくすることができる。
または、図14(B−1)、(B−2)に示すように、図13(A)、(B)に示す蓄電池913のうち、対向する一対の面のそれぞれに別のアンテナを設けてもよい。図14(B−1)は、上記一対の面の一方の面側から見た外観図であり、図14(B−2)は、上記一対の面の他方の面側から見た外観図である。
図14(B−1)に示すように、蓄電池913の一対の面の一方に層916を挟んでアンテナ914及びアンテナ915が設けられ、図14(A−2)に示すように、蓄電池913の一対の面の他方に層917を挟んでアンテナ918が設けられる。アンテナ918は、例えば、外部機器とのデータ通信を行うことができる機能を有する。アンテナ918には、例えばアンテナ914及びアンテナ915に適用可能な形状のアンテナを適用することができる。アンテナ918を介した蓄電システムと他の機器との通信方式としては、NFCなど、蓄電システムと他の機器の間で用いることができる応答方式などを適用することができる。
または、図15(A)に示すように、図13(A)、(B)に示す蓄電池913に表示装置920を設けてもよい。表示装置920は、端子919を介して端子911に電気的に接続される。なお、表示装置920が設けられる部分にラベル910を設けなくてもよい。
表示装置920には、例えば充電中であるか否かを示す画像、蓄電量を示す画像などを表示してもよい。表示装置920としては、例えば電子ペーパー、液晶表示装置、エレクトロルミネセンス(ELともいう)表示装置などを用いることができる。例えば、電子ペーパーを用いることにより表示装置920の消費電力を低減することができる。
または、図15(B)に示すように、図13(A)、(B)に示す蓄電池913にセンサ921を設けてもよい。センサ921は、端子922を介して端子911に電気的に接続される。
センサ921としては、例えば、力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時刻、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むものを用いることができる。センサ921を設けることにより、例えば、蓄電システムが置かれている環境を示すデータ(温度など)を検出し、回路912内のメモリに記憶しておくこともできる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様である、可撓性を有する蓄電装置について、図16〜図23を用いて説明する。本発明の一態様の蓄電装置は、湾曲した形状であってもよい。また、本発明の一態様の蓄電装置は、可撓性を有し、湾曲した状態と湾曲していない状態の双方の状態において使用できてもよい。
〈構成例1〉
図16(A)に二次電池200の斜視図を示し、図16(B)に二次電池200の上面図を示す。
図17(A)に、図16(B)における一点鎖線C1−C2間の断面図を示し、図17(B)に、図16(B)における一点鎖線C3−C4間の断面図を示す。なお、図17(A)、(B)では図を明瞭にするため、一部の構成要素を抜粋して示す。
二次電池200は、正極211、負極215、及びセパレータ203を有する。二次電池200は、さらに、正極リード221、負極リード225、及び外装体207を有する。
正極211及び負極215は、それぞれ、集電体及び活物質層を有する。正極211及び負極215は、セパレータ203を介して、活物質層が互いに対向するように配置されている。
二次電池200が有する電極(正極211及び負極215)は、湾曲の内径側に位置するものより、外径側に位置するものの方が、湾曲の方向について長いことが好ましい。このような構成とすることで、二次電池200をある曲率で湾曲させた際、正極211及び負極215の端部を揃えることができる。すなわち、正極211が有する正極活物質層のすべての領域を、負極215の有する負極活物質層と対向して配置することができる。そのため正極211が有する正極活物質を無駄なく電池反応に寄与させることができる。そのため、二次電池200の体積当たりの容量を大きくすることができる。この構成は、二次電池200を使用する際に二次電池200の曲率が固定される場合に特に有効である。
正極リード221は、複数の正極211と電気的に接続されている。負極リード225は、複数の負極215と電気的に接続されている。正極リード221及び負極リード225は、それぞれ封止層220を有する。
外装体207は、複数の正極211、複数の負極215、及び複数のセパレータ203を覆う。二次電池200は、外装体207で覆われた領域に電解液(図示しない)を有する。二次電池200は、外装体207の3辺を接着することで封止されている。
図17(A)、(B)では、短冊状のセパレータ203を複数用い、正極211と負極215の間にそれぞれ1つずつセパレータ203を配置する例を示したが、本発明の一態様はこれに限られない。1枚のシート状のセパレータをつづら折りにする(蛇腹型にする、ともいえる)、又は捲回することで、正極と負極の間にセパレータが位置するようにしてもよい。
例えば、図19(A)〜(D)に二次電池200の作製方法を示す。この作製方法を用いる場合の図16(B)における一点鎖線C1−C2間の断面図を、図18に示す。
まず、セパレータ203上に、負極215を配置する(図19(A))。このとき、負極215が有する負極活物質層が、セパレータ203と重畳するように配置する。
次に、セパレータ203を折り曲げ、負極215の上にセパレータ203を重ねる。次に、セパレータ203の上に、正極211を重ねる(図19(B))。このとき、正極211が有する正極活物質層が、セパレータ203及び負極活物質層と重畳するように配置する。なお、集電体の片面に活物質層が形成されている電極を用いる場合は、正極211の正極活物質層と、負極215の負極活物質層がセパレータ203を介して対向するように配置する。
セパレータ203にポリプロピレン等の熱溶着が可能な材料を用いている場合は、セパレータ203同士が重畳している領域を熱溶着してから次の電極を重ねることで、作製工程中に電極がずれることを抑制できる。具体的には、負極215又は正極211と重畳しておらず、セパレータ203同士が重畳している領域、たとえば図19(B)の領域203aで示す領域を熱溶着することが好ましい。
この工程を繰り返すことで、図19(C)に示すように、セパレータ203を挟んで正極211及び負極215を積み重ねることができる。
なお、あらかじめ繰り返し折り曲げたセパレータ203に、複数の負極215及び複数の正極211を交互に挟むように配置してもよい。
次に、図19(C)に示すように、セパレータ203で複数の正極211及び複数の負極215を覆う。
さらに、図19(D)に示すように、セパレータ203同士が重畳している領域、例えば図19(D)に示す領域203bを熱溶着することで、複数の正極211と複数の負極215を、セパレータ203によって覆い、結束する。
なお、複数の正極211、複数の負極215及びセパレータ203を、結束材を用いて結束してもよい。
このような工程で正極211及び負極215を積み重ねるため、セパレータ203は、1枚のセパレータ203の中で、正極211と負極215に挟まれている領域と、複数の正極211と複数の負極215を覆うように配置されている領域とを有する。
換言すれば、図18、図19(D)に示す二次電池200が有するセパレータ203は、一部が折りたたまれた1枚のセパレータである。セパレータ203の折りたたまれた領域に、複数の正極211と、複数の負極215が挟まれている。
〈構成例2〉
図20(A)に二次電池250の斜視図を示し、図20(B)に二次電池250の上面図を示す。また、図20(C1)に第1の電極組立体230の断面図を示し、図20(C2)に第2の電極組立体231の断面図を示す。
二次電池250は、第1の電極組立体230、第2の電極組立体231、及びセパレータ203を有する。二次電池250は、さらに、正極リード221、負極リード225、及び外装体207を有する。
図20(C1)に示すように、第1の電極組立体230は、正極211a、セパレータ203、負極215a、セパレータ203、及び正極211aがこの順で積層されている。正極211a及び負極215aは、それぞれ、集電体の両面に活物質層を有する構成である。
図20(C2)に示すように、第2の電極組立体231は、負極215a、セパレータ203、正極211a、セパレータ203、及び負極215aがこの順で積層されている。正極211a及び負極215aは、それぞれ、集電体の両面に活物質層を有する構成である。
つまり、第1の電極組立体230及び第2の電極組立体231において、正極及び負極は、セパレータ203を介して、活物質層が互いに対向するように配置されている。
正極リード221は、複数の正極211と電気的に接続されている。負極リード225は、複数の負極215と電気的に接続されている。正極リード221及び負極リード225は、それぞれ封止層220を有する。
図21に、図20(B)における一点鎖線D1−D2間の断面図の一例を示す。なお、図21では図を明瞭にするため、一部の構成要素を抜粋して示す。
図21に示すように、二次電池250は、複数の第1の電極組立体230及び複数の第2の電極組立体231が、捲回したセパレータ203によって覆われている構成を有する。
外装体207は、複数の第1の電極組立体230、複数の第2の電極組立体231、及びセパレータ203を覆う。二次電池200は、外装体207で覆われた領域に電解液(図示しない)を有する。二次電池200は、外装体207の3辺を接着することで封止されている。
例えば、図22(A)〜(D)に二次電池250の作製方法を示す。
まずセパレータ203上に、第1の電極組立体230を配置する(図22(A))。
次に、セパレータ203を折り曲げ、第1の電極組立体230の上にセパレータ203を重ねる。次に、第1の電極組立体230の上下に、セパレータ203を介して、2組の第2の電極組立体231を重ねる(図22(B))。
次に、セパレータ203を、2組の第2の電極組立体231を覆うように捲回させる。さらに、2組の第2の電極組立体231の上下に、セパレータ203を介して、2組の第1の電極組立体230を重ねる(図22(C))。
次に、セパレータ203を、2組の第1の電極組立体230を覆うように捲回させる(図22(D))。
このような工程で複数の第1の電極組立体230及び複数の第2の電極組立体231を積み重ねるため、これらの電極組立体は、渦巻き状に捲回されたセパレータ203の間に配置される。
なお、最も外側に配置される電極は、外側に活物質層を有さないことが好ましい。
また図20(C1)、(C2)では、電極組立体が電極3枚とセパレータ2枚を有する構成を示したが、本発明の一態様はこれに限らない。電極を4枚以上、セパレータを3枚以上有する構成としてもよい。電極を増やすことで、二次電池250の容量をより向上させることができる。また電極を2枚、セパレータを1枚有する構成としてもよい。電極が少ない場合、より湾曲に強い二次電池とすることができる。また、図21では、二次電池250が第1の電極組立体230を3組、第2の電極組立体231を2組有する構成を示したが、本発明の一態様はこれに限らない。さらに多くの電極組立体を有する構成としてもよい。電極組立体を増やすことで、二次電池250の容量をより向上させることができる。また、より少ない電極組立体を有する構成としてもよい。電極組立体が少ない場合、より湾曲に強い二次電池とすることができる。
また、図23に、図20(B)における一点鎖線D1−D2間の断面図の別の例を示す。図23に示すように、セパレータ203を蛇腹状に折りたたむことで、第1の電極組立体230と第2の電極組立体231の間にセパレータ203を配置してもよい。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の蓄電装置の使用例について図24〜図27を用いて説明する。
本発明の一態様の蓄電装置は、例えば、電子機器や照明装置に用いることができる。本発明の一態様の蓄電装置は、充放電特性に優れる。したがって、電子機器や照明装置を、一度の充電で長時間使用することができる。また、充放電サイクルに伴う容量の減少が抑制されているため、充電を繰り返しても、使用可能な時間が短くなりにくい。また、本発明の一態様の蓄電装置は、高温環境を含む、広い温度範囲で、優れた充放電特性を示し、長期信頼性や安全性が高いため、電子機器や照明装置の安全性や信頼性を高めることができる。
電子機器としては、例えば、テレビジョン装置(テレビ、又はテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。
本発明の一態様の蓄電装置は可撓性を有するため、当該蓄電装置自体、又は、当該蓄電装置を用いた電子機器もしくは照明装置を、家屋やビルの内壁もしくは外壁、又は、自動車の内装もしくは外装の曲面に沿って組み込むことも可能である。
図24(A)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機7400は、筐体7401に組み込まれた表示部7402の他、操作ボタン7403、外部接続ポート7404、スピーカ7405、マイク7406などを備えている。なお、携帯電話機7400は、蓄電装置7407を有している。
図24(B)は、携帯電話機7400を湾曲させた状態を示している。携帯電話機7400を外部の力により変形させて全体を湾曲させると、その内部に設けられている蓄電装置7407も湾曲する。蓄電装置7407は薄型の蓄電池である。蓄電装置7407は曲げられた状態で固定されている。湾曲した状態の蓄電装置7407を図24(C)に示す。
図24(D)は、バングル型の表示装置の一例を示している。携帯表示装置7100は、筐体7101、表示部7102、操作ボタン7103、及び蓄電装置7104を備える。図24(E)に曲げられた蓄電装置7104の状態を示す。
図24(F)は、腕時計型の携帯情報端末の一例を示している。携帯情報端末7200は、筐体7201、表示部7202、バンド7203、バックル7204、操作ボタン7205、入出力端子7206などを備える。
携帯情報端末7200は、移動電話、電子メール、文章閲覧及び作成、音楽再生、インターネット通信、コンピュータゲームなどの種々のアプリケーションを実行することができる。
表示部7202はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、表示部7202はタッチセンサを備え、指やスタイラスなどで画面に触れることで操作することができる。例えば、表示部7202に表示されたアイコン7207に触れることで、アプリケーションを起動することができる。
操作ボタン7205は、時刻設定のほか、電源のオン、オフ動作、無線通信のオン、オフ動作、マナーモードの実行及び解除、省電力モードの実行及び解除など、様々な機能を持たせることができる。例えば、携帯情報端末7200に組み込まれたオペレーティングシステムにより、操作ボタン7205の機能を自由に設定することもできる。
また、携帯情報端末7200は、通信規格された近距離無線通信を実行することが可能である。例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもできる。
また、携帯情報端末7200は入出力端子7206を備え、他の情報端末とコネクターを介して直接データのやりとりを行うことができる。また入出力端子7206を介して充電を行うこともできる。なお、充電動作は入出力端子7206を介さずに無線給電により行ってもよい。
携帯情報端末7200の表示部7202には、本発明の一態様の蓄電装置を有している。例えば、図24(E)に示した蓄電装置7104を、筐体7201の内部に湾曲した状態で、又はバンド7203の内部に湾曲可能な状態で組み込むことができる。
図24(G)は、腕章型の表示装置の一例を示している。表示装置7300は、表示部7304を有し、本発明の一態様の蓄電装置を有している。また、表示装置7300は、表示部7304にタッチセンサを備えることもでき、また、携帯情報端末として機能させることもできる。
表示部7304はその表示面が湾曲しており、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、表示装置7300は、通信規格された近距離無線通信などにより、表示状況を変更することができる。
また、表示装置7300は入出力端子を備え、他の情報端末とコネクターを介して直接データのやりとりを行うことができる。また入出力端子を介して充電を行うこともできる。なお、充電動作は入出力端子を介さずに無線給電により行ってもよい。
図25(A)、(B)に、2つ折り可能なタブレット型端末の一例を示す。図25(A)、(B)に示すタブレット型端末9600は、一対の筐体9630、一対の筐体9630を接続する可動部9640、表示部9631a、表示部9631b、表示モード切り替えスイッチ9626、電源スイッチ9627、省電力モード切り替えスイッチ9625、留め具9629、操作スイッチ9628を有する。図25(A)は、タブレット型端末9600を開いた状態を示し、図25(B)は、タブレット型端末9600を閉じた状態を示している。
また、タブレット型端末9600は、筐体9630の内部に蓄電体9635を有する。蓄電体9635は、可動部9640を通り、一方の筐体9630から他方の筐体9630に渡って設けられている。
表示部9631aは、一部をタッチパネルの領域9632aとすることができ、表示された操作キー9638にふれることでデータ入力をすることができる。なお、表示部9631aにおいては、一例として半分の領域が表示のみの機能を有する構成、残りの半分の領域がタッチパネルの機能を有する構成を示しているが該構成に限定されない。表示部9631aの全ての領域がタッチパネルの機能を有する構成としても良い。例えば、表示部9631aの全面にキーボードボタンを表示させてタッチパネルとし、表示部9631bを表示画面として用いることができる。
また、表示部9631bにおいても表示部9631aと同様に、表示部9631bの一部をタッチパネルの領域9632bとすることができる。また、タッチパネルのキーボード表示切り替えボタン9639が表示されている位置に指やスタイラスなどでふれることで表示部9631bにキーボードボタン表示することができる。
また、タッチパネルの領域9632aとタッチパネルの領域9632bに対して同時にタッチ入力することもできる。
また、表示モード切り替えスイッチ9626は、縦表示又は横表示などの表示の向きを切り替え、白黒表示やカラー表示の切り替えなどを選択できる。省電力モード切り替えスイッチ9625は、タブレット型端末9600に内蔵している光センサで検出される使用時の外光の光量に応じて表示の輝度を最適なものとすることができる。タブレット型端末は光センサだけでなく、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサなどの他の検出装置を内蔵させてもよい。
また、図25(A)では表示部9631aと表示部9631bの表示面積が同じ例を示しているが特に限定されず、一方の表示部のサイズと他方の表示部のサイズが異なっていてもよく、表示の品質も異なっていてもよい。例えば一方が他方よりも高精細な表示を行える表示パネルとしてもよい。
図25(B)は、閉じた状態であり、タブレット型端末は、筐体9630、太陽電池9633、DCDCコンバータ9636を含む充放電制御回路9634を有する。また、蓄電体9635として、本発明の一態様の蓄電装置を用いる。
なお、タブレット型端末9600は2つ折り可能なため、未使用時に一対の筐体9630を重ね合せるように折りたたむことができる。折りたたむことにより、表示部9631a、表示部9631bを保護できるため、タブレット型端末9600の耐久性を高めることができる。また、本発明の一態様の蓄電体を用いた蓄電体9635は可撓性を有し、曲げ伸ばしを繰り返しても充放電容量が低下しにくい。よって、信頼性の優れたタブレット型端末を提供できる。
また、この他にも図25(A)、(B)に示したタブレット型端末は、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、カレンダー、日付又は時刻などを表示部に表示する機能、表示部に表示した情報をタッチ入力操作又は編集するタッチ入力機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、等を有することができる。
タブレット型端末の表面に装着された太陽電池9633によって、電力をタッチパネル、表示部、又は映像信号処理部等に供給することができる。なお、太陽電池9633は、筐体9630の片面又は両面に設けることができ、蓄電体9635の充電を効率的に行う構成とすることができるため好適である。なお、蓄電体9635としては、リチウムイオン電池を用いると、小型化を図れる等の利点がある。
また、図25(B)に示す充放電制御回路9634の構成及び動作について、図25(C)にブロック図を示し説明する。図25(C)には、太陽電池9633、蓄電体9635、DCDCコンバータ9636、コンバータ9637、スイッチSW1乃至SW3、表示部9631について示しており、蓄電体9635、DCDCコンバータ9636、コンバータ9637、スイッチSW1乃至SW3が、図25(B)に示す充放電制御回路9634に対応する箇所となる。
まず、外光により太陽電池9633により発電がされる場合の動作の例について説明する。太陽電池で発電した電力は、蓄電体9635を充電するための電圧となるようDCDCコンバータ9636で昇圧又は降圧がなされる。そして、表示部9631の動作に太陽電池9633からの電力が用いられる際にはスイッチSW1をオンにし、コンバータ9637で表示部9631に必要な電圧に昇圧又は降圧をすることとなる。また、表示部9631での表示を行わない際には、スイッチSW1をオフにし、スイッチSW2をオンにして蓄電体9635の充電を行う構成とすればよい。
なお、太陽電池9633については、発電手段の一例として示したが、特に限定されず、圧電素子(ピエゾ素子)や熱電変換素子(ペルティエ素子)などの他の発電手段による蓄電体9635の充電を行う構成であってもよい。例えば、無線(非接触)で電力を送受信して充電する無接点電力伝送モジュールや、また他の充電手段を組み合わせて行う構成としてもよい。
図26に、他の電子機器の例を示す。図26において、表示装置8000は、本発明の一態様に係る蓄電装置8004を用いた電子機器の一例である。具体的に、表示装置8000は、TV放送受信用の表示装置に相当し、筐体8001、表示部8002、スピーカ部8003、蓄電装置8004等を有する。本発明の一態様に係る蓄電装置8004は、筐体8001の内部に設けられている。表示装置8000は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、蓄電装置8004に蓄積された電力を用いることもできる。よって、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る蓄電装置8004を無停電電源として用いることで、表示装置8000の利用が可能となる。
表示部8002には、液晶表示装置、有機EL素子などの発光素子を各画素に備えた発光装置、電気泳動表示装置、DMD(Digital Micromirror Device)、PDP(Plasma Display Panel)、FED(Field Emission Display)などの、半導体表示装置を用いることができる。
なお、表示装置には、TV放送受信用の他、パーソナルコンピュータ用、広告表示用など、全ての情報表示用表示装置が含まれる。
図26において、据え付け型の照明装置8100は、本発明の一態様に係る蓄電装置8103を用いた電子機器の一例である。具体的に、照明装置8100は、筐体8101、光源8102、蓄電装置8103等を有する。図26では、蓄電装置8103が、筐体8101及び光源8102が据え付けられた天井8104の内部に設けられている場合を例示しているが、蓄電装置8103は、筐体8101の内部に設けられていても良い。照明装置8100は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、蓄電装置8103に蓄積された電力を用いることもできる。よって、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る蓄電装置8103を無停電電源として用いることで、照明装置8100の利用が可能となる。
なお、図26では天井8104に設けられた据え付け型の照明装置8100を例示しているが、本発明の一態様に係る蓄電装置は、天井8104以外、例えば側壁8105、床8106、窓8107等に設けられた据え付け型の照明装置に用いることもできるし、卓上型の照明装置などに用いることもできる。
また、光源8102には、電力を利用して人工的に光を得る人工光源を用いることができる。具体的には、白熱電球、蛍光灯などの放電ランプ、LEDや有機EL素子などの発光素子が、上記人工光源の一例として挙げられる。
図26において、室内機8200及び室外機8204を有するエアコンディショナーは、本発明の一態様に係る蓄電装置8203を用いた電子機器の一例である。具体的に、室内機8200は、筐体8201、送風口8202、蓄電装置8203等を有する。図26では、蓄電装置8203が、室内機8200に設けられている場合を例示しているが、蓄電装置8203は室外機8204に設けられていても良い。或いは、室内機8200と室外機8204の両方に、蓄電装置8203が設けられていても良い。エアコンディショナーは、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、蓄電装置8203に蓄積された電力を用いることもできる。特に、室内機8200と室外機8204の両方に蓄電装置8203が設けられている場合、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る蓄電装置8203を無停電電源として用いることで、エアコンディショナーの利用が可能となる。
なお、図26では、室内機と室外機で構成されるセパレート型のエアコンディショナーを例示しているが、室内機の機能と室外機の機能とを1つの筐体に有する一体型のエアコンディショナーに、本発明の一態様に係る蓄電装置を用いることもできる。
図26において、電気冷凍冷蔵庫8300は、本発明の一態様に係る蓄電装置8304を用いた電子機器の一例である。具体的に、電気冷凍冷蔵庫8300は、筐体8301、冷蔵室用扉8302、冷凍室用扉8303、蓄電装置8304等を有する。図26では、蓄電装置8304が、筐体8301の内部に設けられている。電気冷凍冷蔵庫8300は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、蓄電装置8304に蓄積された電力を用いることもできる。よって、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る蓄電装置8304を無停電電源として用いることで、電気冷凍冷蔵庫8300の利用が可能となる。
なお、電子レンジ等の高周波加熱装置、電気炊飯器などの電子機器は、短時間で高い電力を必要とする。よって、商用電源では賄いきれない電力を補助するための補助電源として、本発明の一態様に係る蓄電装置を用いることで、電子機器の使用時に商用電源のブレーカーが落ちるのを防ぐことができる。
また、電子機器が使用されない時間帯、特に、商用電源の供給元が供給可能な総電力量のうち、実際に使用される電力量の割合(電力使用率と呼ぶ)が低い時間帯において、蓄電装置に電力を蓄えておくことで、上記時間帯以外において電力使用率が高まるのを抑えることができる。例えば、電気冷凍冷蔵庫8300の場合、気温が低く、冷蔵室用扉8302、冷凍室用扉8303の開閉が行われない夜間において、蓄電装置8304に電力を蓄える。そして、気温が高くなり、冷蔵室用扉8302、冷凍室用扉8303の開閉が行われる昼間において、蓄電装置8304を補助電源として用いることで、昼間の電力使用率を低く抑えることができる。
また、本発明の一態様の蓄電装置は、車両に搭載することもできる。
蓄電装置を車両に搭載すると、ハイブリッド車(HEV)、電気自動車(EV)、又はプラグインハイブリッド車(PHEV)等の次世代クリーンエネルギー自動車を実現できる。
図27(A)、(B)に、本発明の一態様の蓄電装置を用いた車両を例示する。図27(A)に示す自動車8400は、走行のための動力源として電気モーターを用いる電気自動車である。または、走行のための動力源として電気モーターとエンジンを適宜選択して用いることが可能なハイブリッド自動車である。本発明の一態様を用いることで、航続距離の長い車両を実現することができる。また、自動車8400は蓄電装置を有する。蓄電装置は電気モーターを駆動するだけでなく、ヘッドライト8401やルームライト(図示せず)などの発光装置に電力を供給することができる。
また、蓄電装置は、自動車8400が有するスピードメーター、タコメーターなどの表示装置に電力を供給することができる。また、蓄電装置は、自動車8400が有するナビゲーションシステムなどの半導体装置に電力を供給することができる。
図27(B)に示す自動車8500は、自動車8500が有する蓄電装置にプラグイン方式や非接触給電方式等により外部の充電設備から電力供給を受けて、充電することができる。図27(B)に、地上設置型の充電装置8021から自動車8500に搭載された蓄電装置に、ケーブル8022を介して充電を行っている状態を示す。充電に際しては、充電方法やコネクターの規格等はCHAdeMO(登録商標)やコンボ等の所定の方式で適宜行えばよい。充電装置8021は、商用施設に設けられた充電ステーションでもよく、また家庭の電源であってもよい。例えば、プラグイン技術によって、外部からの電力供給により自動車8500に搭載された蓄電装置を充電することができる。充電は、ACDCコンバータ等の変換装置を介して、交流電力を直流電力に変換して行うことができる。
また、図示しないが、受電装置を車両に搭載し、地上の送電装置から電力を非接触で供給して充電することもできる。この非接触給電方式の場合には、道路や外壁に送電装置を組み込むことで、停車中に限らず走行中に充電を行うこともできる。また、この非接触給電の方式を利用して、車両同士で電力の送受信を行ってもよい。さらに、車両の外装部に太陽電池を設け、停車時や走行時に蓄電装置の充電を行ってもよい。このような非接触での電力の供給には、電磁誘導方式や磁界共鳴方式を用いることができる。
本発明の一態様によれば、蓄電装置のサイクル特性が良好となり、信頼性を向上させることができる。また、本発明の一態様によれば、蓄電装置の特性を向上することができ、よって、蓄電装置自体を小型軽量化することができる。蓄電装置自体を小型軽量化できれば、車両の軽量化に寄与するため、航続距離を向上させることができる。また、車両に搭載した蓄電装置を車両以外の電力供給源として用いることもできる。この場合、電力需要のピーク時に商用電源を用いることを回避することができる。
また、図27(C)に、曲げることのできる携帯情報端末の一例を示す。携帯情報端末7110は、前腕に巻くような形状に曲げれば、図27(D)に示すバングル型の携帯情報端末にすることができる。携帯情報端末7110は、筐体7111、表示部7112、操作ボタン7113、及び蓄電装置7114を備える。また、図27(E)に、曲げることのできる蓄電装置7114の図27(D)における状態を示す。蓄電装置7114を曲げた状態で使用者が腕に装着する時に、筐体7111が変形して蓄電装置7114の一部又は全部の曲率が変化する。具体的には、曲率半径が10mm以上150mm以下の範囲内で筐体7111又は蓄電装置7114の主表面の一部又は全部の曲率が変化する。なお、蓄電装置7114は集電体7116と電気的に接続されたリード電極7115を有している。例えば、蓄電装置7114の外装体のフィルムの表面には、プレス加工により複数の凹凸を形成されていることが好ましい。これにより、蓄電装置7114を、曲率を変化させて曲げられる回数が多くとも高い信頼性を維持できる構成とすることができる。さらに、携帯情報端末7110は、SIMカードを挿入するためのスロットや、USBメモリなどUSBデバイスを接続するコネクター部などを設けてもよい。また、図27(C)に示す携帯情報端末7110の中央部分を折り曲げると、図27(F)に示すような形状にすることもできる。また、携帯情報端末の中央部分をさらに折り曲げて図27(G)に示すように携帯情報端末の端部が重なるようにして小型化させ、使用者のポケットなどに入れるサイズにできる。このように、図27(C)に示す携帯情報端末7110は、複数の形状に変化することのできるデバイスであり、それを実現するためには少なくとも筐体7111、表示部7112、及び蓄電装置7114が可撓性を有することが望ましい。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
本実施例では、本発明の一態様の蓄電装置を作製し、その特性を評価した結果について説明する。
本実施例では、図1(A)に示す電池セル500を作製した。
本実施例の試料は、本発明の一態様を適用した試料1A及び試料1Bと、比較である比較試料1C及び比較試料1Dと、の4つである。
本実施例で作製した各試料では、正極集電体の片面に正極活物質層を有する正極を2つと、負極集電体の両面に負極活物質層を有する負極を1つ用いた。つまり、本実施例の各試料は、2層の正極活物質層と、2層の負極活物質層を有する構成である。
まず、電極の作製方法について説明する。
[負極の作製方法]
負極の作製方法は、本実施例の試料全てにおいて共通である。
負極活物質には比表面積6.3m2/g、平均粒径15μmの球状化天然黒鉛を用いた。また、結着剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na)及びSBRを用いた。用いたCMC−Naの重合度は600〜800、1wt%水溶液として用いた場合の水溶液粘度は300mPa・s〜500mPa・sの範囲の値であった。黒鉛、CMC−Na、及びSBRの配合は、黒鉛:CMC−Na:SBR=97:1.5:1.5(wt%)とした。
まず、CMC−Naの粉末と活物質とを混合し、混練機で混練し、第1の混合物を得た。
次に、第1の混合物に少量の水を添加し、固練りを行い、第2の混合物を得た。ここで、固練りとは、高粘度による混練のことである。
次に、水をさらに添加し、混練機を用いて混練し、第3の混合物を得た。
次に、SBRの50wt%水分散液を添加し、混練機を用いて混練した。その後、減圧下での脱泡を行い、スラリーを得た。
次に、連続塗工機を用いて、負極集電体にスラリーの塗布を行った。負極集電体には厚さ18μmの圧延銅箔を用いた。塗工速度は、0.75m/minとした。
次に、負極集電体上に塗布したスラリーの溶媒を、乾燥炉を用いて気化した。まず、大気雰囲気下で、50℃、120秒間の処理を行った後に、80℃で120秒間の処理を行った。さらに、減圧雰囲気下(−100KPa)で、100℃、10時間の処理を行った。
以上の工程により、負極集電体の両面に負極活物質層を作製し、負極を作製した。
[試料1A、比較試料1C、及び比較試料1Dの正極の作製方法]
正極の作製方法は、試料1A、比較試料1C、及び比較試料1Dの3つにおいては共通である。なお、試料1Bのみ作製方法が異なるため、後述する。
正極活物質には比表面積15.6m2/gのLiFePO4を用い、結着剤としてPVdFを用い、導電助剤としてアセチレンブラックを用いた。LiFePO4、PVdF、及びアセチレンブラックの配合は、LiFePO4:アセチレンブラック:PVdF=85:8:7(wt%)とした。
初めに、アセチレンブラックとPVdFとを混合し、混練機で混練し、第1の混合物を得た。
次に、第1の混合物に活物質を添加し、第2の混合物を得た。
次に、第2の混合物に溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を添加し、混練機を用いて混練した。以上の工程により、スラリーを作製した。
次に、大型の混練機で混練を行った。
次に、連続塗工機を用いて、正極集電体にスラリーの塗布を行った。正極集電体には、あらかじめアンダーコートを施したアルミ集電体(厚さ20μm)を用いた。塗工速度は0.2m/minとした。
その後、正極集電体上に塗布したスラリーの溶媒を、乾燥炉を用いて気化した。溶媒の気化は、大気雰囲気下で行い、70℃で7.5分間の処理を行った後に90℃で7.5分間の処理を行った。
次に、正極活物質層を、ロールプレス法によりプレスして圧密化した。その後、減圧雰囲気下(−100KPa)で、170℃、10時間の加熱処理を行った。
以上の工程により、正極集電体の片面に正極活物質層を作製し、正極を作製した。
[試料1Bの正極の作製方法]
正極活物質には比表面積15.6m2/gのLiFePO4を用い、結着剤としてPVdFを用い、導電助剤としてグラフェンを用いた。なお、グラフェンは、スラリーを作製する際には酸化グラフェンであり、電極塗布後に還元処理を施した。LiFePO4、PVdF、及びグラフェンの配合は、LiFePO4:酸化グラフェン:PVdF=94.2:0.8:5.0(wt%)とした。
初めに、PVdFと溶媒であるNMPとを混合し、混練機を用いて混練し、第1の混合物を得た。
次に、第1の混合物に活物質を添加し、第2の混合物を得た。
次に、第2の混合物に酸化グラフェンを添加し、混練機を用いて混練して第3の混合物を得た。
次に、第3の混合物に溶媒であるNMPを添加し、混練機を用いて混練した。以上の工程により、スラリーを作製した。
次に、連続塗工機を用いて、正極集電体にスラリーの塗布を行った。正極集電体には、あらかじめアンダーコートを施したアルミ集電体(厚さ20μm)を用いた。塗工速度は0.1m/minとした。
その後、正極集電体上に塗布したスラリーの溶媒を、乾燥炉を用いて気化した。溶媒の気化は、大気雰囲気下で行い、65℃で15分間の処理を行った後に75℃で15分間の処理を行った。
次に、酸化グラフェンの還元を行った。還元条件としては、まず化学還元を行い、その後熱還元を行った。化学還元に用いた溶液は、溶媒としてNMP:水を9:1で混合した溶媒を用い、アスコルビン酸とLiOHをそれぞれ77mmol/Lと73mmol/Lの濃度になるように加えた。化学還元処理は、60℃で1時間行った。その後、エタノールで洗浄し、減圧雰囲気下、室温で溶媒を気化させた。次に、減圧雰囲気下で170℃、10時間の熱還元処理を行った。減圧条件はともに−100KPaとした。
次に、正極活物質層を、ロールプレス法によりプレスして圧密化した。
以上の工程により、正極集電体の片面に正極活物質層を作製し、正極を作製した。
作製した正極活物質層及び負極活物質層の活物質担持量、膜厚、及び密度の平均値を表1に示す。なお、本明細書中で示すこれらの値は、試料を作製する際に用いた電極の各測定値の平均値である。集電体の両面に活物質層を有する場合、これらの値は、片面の活物質層における活物質担持量、膜厚、及び密度の平均値に相当する。
電解液には、溶媒として、下記の構造式に示す1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)アミド(略称:BMI−FSA)を用い、塩として、リチウムビス(フルオロスルホニル)アミド(LiN(FSO2)2、略称:LiFSA)を用いた。LiFSAをBMI−FSAに溶解させ、LiFSAの濃度が1.8mol/kgの電解液を準備した。
本発明の一態様を適用した試料1A及び試料1Bでは、ポリフェニレンサルファイドを用いた厚さ46μmのセパレータ(以下、PPSセパレータとも記す)を用いた。比較試料1Cでは、セルロースを用いた厚さ50μmのセパレータ(以下、セルロースセパレータとも記す)を用いた。比較試料1Dでは、ポリオレフィンを用いた厚さ25μmのセパレータ(以下、ポリオレフィンセパレータとも記す)を用いた。
また、外装体には、アルミの両面に、樹脂層を被覆したフィルムを用いた。
次に、試料の作製方法について説明する。
まず、正極、負極、及びセパレータを切断した。正極と負極の大きさは、それぞれ8.19cm2とした。
次に、タブ領域上の正極活物質及び負極活物質を剥がして、集電体を露出させた。
次に、セパレータを半分に折り、正極又は負極をセパレータに挟んだ。
次に、セパレータで挟んだ電極(正極又は負極)と挟んでいない電極(負極又は正極)を積層した。このとき、正極及び負極は、正極活物質層と、負極活物質層が向かい合うように積層した。
次に、正極及び負極にリード電極を取り付けた。
次に、外装体の4辺のうち2辺を残して、外装体を加熱により接合した。
次に、リード電極に設けられた封止層と外装体の封止層が重なるように配置し、加熱により接合した。この時、電解液を注入する辺以外を接合した。
次に、外装体と、外装体で包まれた正極、セパレータ、及び負極を加熱した。加熱条件は、減圧雰囲気下(−100KPa)で80℃、10時間とした。
次に、アルゴンガス雰囲気下で、封止されていない1辺から電解液を注入した。その後、減圧雰囲気下(−100KPa)で、加熱により外装体の1辺を封止した。以上の工程により、薄型の蓄電池を作製した。
次に、試料のエージングを行った。なお、エージングにおける充電後と放電後の休止時間はそれぞれ2時間とした。
初めに、25℃で0.01Cのレートで定電流充電を行った。充電条件は、3.2Vを上限とした。なお、定電流充電は、充電期間中、一定の電流を試料に流し、所定の電圧になったときに充電を停止する充電方法である。
ここで充電レート及び放電レートについて説明する。充電レート1Cとは、容量X(Ah)のセルを定電流充電して、ちょうど1時間で充電終了となる電流値のことである。1C=I(A)であるとすると、充電レート0.2CとはI/5(A)のことであり、すなわちちょうど5時間で充電終了となる電流値を意味する。同様に、放電レート1Cとは、容量X(Ah)のセルを定電流放電して、ちょうど1時間で放電終了となる電流値のことであり、放電レート0.2Cとは、I/5(A)のことであり、すなわちちょうど5時間で放電終了となる電流値を意味する。
ここでは、正極活物質であるLiFePO4の理論容量(170mAh/g)を基準として、レートを算出した。
そして、アルゴン雰囲気下で、外装体の1辺を切断し、開封することで、ガス抜きを行った後、開封した外装体の1辺を、再度、減圧雰囲気下(−100KPa)で封止した。
次に、25℃で0.05Cのレートで定電流充電を行った。充電条件は、4.0Vを上限とした。そして、25℃で0.2Cのレートで定電流放電を行った。放電条件は、2.0Vを下限とした。さらに、25℃で0.2Cのレートで充放電を2回行った。充電条件は4.0Vを上限とし、放電条件は、2.0Vを下限とした。なお、定電流放電は、放電期間中、一定の電流を試料から流し、所定の電圧になったときに放電を停止する放電方法である。
以上により、試料を作製した。
次に、本実施例の各試料の100℃における充放電サイクル特性を評価した。該測定は、充放電測定機(東洋システム社製)を用いて行った。4.0Vを上限として定電流充電を行い、2.0Vを下限として定電流放電を行った。充放電は0.3Cのレートで行った。なお、レートの算出は正極活物質重量あたり170mA/gの電流値を1Cとした。また、充電後と放電後の休止時間はそれぞれ10分間とした。
図28及び図29に本実施例の試料の充放電サイクル特性を示す。図28において、横軸はサイクル回数(回)、縦軸は放電容量(mAh/g)を示す。図29において、横軸はサイクル回数(回)、縦軸は容量維持率(%)を示す。
なお、ここでの容量維持率とは、各回の放電容量が1サイクル目の放電容量の何%に相当するかを示す値である。試料1Aと試料1Bの容量維持率については、表2にも記す。
図29より、比較試料1Cの容量維持率は、22サイクル目で約22%であり、比較試料1Dの容量維持率は、40サイクル目で約43%であった。一方、図29及び表2より、それぞれ本発明の一態様である、試料1Aの容量維持率は、80サイクル目で約49%であり、試料1Bの容量維持率は、100サイクル目で約47%であった。
本実施例の結果から、本発明の一態様である、PPSセパレータを用いた蓄電装置は、セルロースセパレータ及びポリオレフィンセパレータを用いた蓄電装置に比べて、高温での充放電サイクル特性が良好であることがわかった。
本実施例では、セパレータと電解液の反応について、熱分析によって調査した結果を説明する。
実施例1では、セパレータによって、高温での充放電サイクル特性に違いが生じた。この理由の一つとして、セパレータと電解液の反応の有無が考えられる。
セルロースセパレータと、イオン液体を有する電解液と、を有する蓄電装置について、100℃の充放電試験後に蓄電装置を解体すると、負極のタブ領域付近及び電極の外周部付近で、セパレータが変色していることが確認された。また、SEM(走査型電子顕微鏡)による表面観察から、充放電試験後のセパレータの内部には、未使用のセパレータと比較して、堆積物が多く存在していることがわかった。これは、セパレータの変質や、電解液との反応により生じたと考えられる。
一方、本発明の一態様を適用した、PPSセパレータと、イオン液体を有する電解液と、を有する蓄電装置について、100℃の充放電試験後に蓄電装置を解体しても、セパレータの変色はほとんど見られなかった。
本実施例では、熱重量測定−示差熱分析(TG−DTA:Thermogravimetry−Differential Thermal Analysis)を行い、セパレータと電解液の反応の有無を調査した。測定には、Thermo Mass Photo(株式会社リガク製)を用い、昇温速度10℃/min、ヘリウム気流下(流量:300ml/min)で、600℃まで測定を行った。
本実施例で用いた電解液は、実施例1で用いた電解液と同様である。具体的には、溶媒としてBMI−FSAを用い、塩としてLiFSAを用いた。LiFSAをBMI−FSAに溶解させ、LiFSAの濃度が1.8mol/kgの電解液を準備した。
本実施例で用いたセパレータは、本発明の一態様で適用する、ポリフェニレンサルファイドを用いた厚さ46μmのセパレータと、比較である、セルロースを用いた厚さ50μmのセパレータである。
本実施例の試料は5種類である。試料2Aは、電解液にPPSセパレータを入れた構成、試料2Bは、PPSセパレータのみの構成、試料2Cは、電解液にセルロースセパレータを入れた構成、試料2Dは、セルロースセパレータのみの構成、試料2Eは、電解液のみの構成とした。
重量減少測定の結果を図30に示す。また、示差熱測定の結果を図31に示す。
図30の試料2B及び試料2Dの結果から、各セパレータは、電解液の分解よりも高い温度で重量減少が始まることがわかる。このことから、セパレータと電解液の反応については、300℃以下における変化に着目する。
電解液にセルロースセパレータを入れた試料2Cでは、試料2Eに比べて、300℃以下の範囲で大きく重量が減少している。
図31に矢印で示すように、試料2Cでは、試料2Eでは見られない発熱のピークが確認できる。このことから、イオン液体を用いた電解液とセルロースセパレータが熱によって反応していることがわかった。
一方、図30の300℃以下の範囲において、電解液にPPSセパレータを入れた試料2Aでは、電解液のみの試料2Eと結果にほとんど違いがなかった。また、図31においても、試料2Eと異なるピークは確認されなかった。
また、図32に、電解液の重量減少量が約1%である(つまり、試料2Eの重量減少量が約1%である)温度における、試料2A及び試料2Cの重量減少量を示す。図32から、セルロースセパレータは、PPSセパレータに比べて、約20倍、重量が減少していることがわかる。
以上のことから、PPSセパレータはイオン液体を用いた電解液に対して非常に安定であることがわかった。
さらに、上記試料2A(電解液にPPSセパレータを入れた構成)、試料2C(電解液にセルロースセパレータを入れた構成)、及び試料2E(電解液のみの構成)について、熱重量測定−示差熱分析−質量分析(TG−DTA−MS:Thermogravimetry−Differential Thermal Analysis−Mass Spectrometry)を行った。測定には、Thermo Mass Photo(株式会社リガク製)を用い、昇温速度10℃/min、ヘリウム気流下(流量:300ml/min)で、600℃まで測定を行った。MSの条件としては、イオン化法は熱電子(EI)法(約70eV)とし、測定する質量範囲はm/z=10乃至200とした。
図72に試料2A、図73に試料2C、図74に試料2Eの、TG−DTA−MSの結果を示す。本実施例では、質量分析の結果のうち、特に水由来のピーク(m/z=18のピーク)に着目した。
図72(A)、図73(A)、図74(A)では、第1の縦軸が、weight(%)を、第2の縦軸が、Heat Flow(μV)を、横軸が、Temperature(℃)を表し、太線は、熱重量測定(TG)の結果を、細線は、示差熱分析(DTA)の結果を表す。
図72(B)、図73(B)、図74(B)では、第1の縦軸が、weight(%)を、第2の縦軸が、Intensity(A)を、横軸が、Temperature(℃)を表し、太線は、熱重量測定(TG)の結果を、細線は、質量分析(MS)の結果を表す。
図72(C)、図73(C)、図74(C)では、第1の縦軸が、Heat Flow(μV)を、第2の縦軸が、Intensity(A)を、横軸が、Temperature(℃)を表し、太線は、示差熱分析(DTA)の結果を、細線は、質量分析(MS)の結果を表す。
図72(A)〜(C)に示すように、試料2Aでは、200℃以下で、m/z=18のピークは検出されず、かつ、重量はほとんど減少しなかった。このことから、PPSセパレータ及び電解液が分解されていないことがわかった。
一方、図73(A)〜(C)に示すように、試料2Cでは、m/z=18のピークが、80℃付近から検出され、150℃を超えると、m/z=18のピーク強度はより高くなった。また、150℃を超えると、重量が大きく減少した。このことから、試料2Cは150℃を超えると、分解しやすくなり、重量が減少することがわかった。
図74(A)〜(C)に示すように、試料2Eでは、200℃以下で、m/z=18のピークは検出されず、かつ、重量はほとんど減少しなかった。このことから、電解液が分解されていないことがわかった。
以上のように、セルロースセパレータを電解液に入れると、80℃から水由来のピークが検出された。一方、PPSセパレータを電解液に入れても、200℃以下では水由来のピークが検出されなかった。
実施例1では、PPSセパレータを用いた試料の方が、セルロースセパレータを用いた試料に比べて、100℃における充放電サイクル特性が良好であった。本実施例の結果から、セルロースセパレータでは、イオン液体を用いた電解液と熱的に反応するのに対し、PPSセパレータは該電解液に対して非常に安定であるため、高温における充放電サイクル特性が向上したと考えられる。
本実施例では、本発明の一態様の蓄電装置を作製し、その特性を評価した結果について説明する。
本実施例では、図1(A)に示す電池セル500を作製した。
本実施例の試料は、本発明の一態様を適用した試料3A、試料3B、試料3C、試料3D、試料3E、試料3F、及び試料3Gと、比較である比較試料3Xと、の8つである。
試料3A〜試料3Fでは、正極集電体の片面に正極活物質層を有する正極を2つと、正極集電体の両面に正極活物質層を有する正極を6つと、負極集電体の両面に負極活物質層を有する負極を7つ用いた。つまり、試料3A〜試料3Fは、14層の正極活物質層と、14層の負極活物質層を有する構成である。
試料3Gでは、正極集電体の片面に正極活物質層を有する正極を2つと、正極集電体の両面に正極活物質層を有する正極を3つと、負極集電体の両面に負極活物質層を有する負極を4つ用いた。つまり、試料3Gは、8層の正極活物質層と、8層の負極活物質層を有する構成である。
比較試料3Xでは、正極集電体の片面に正極活物質層を有する正極を2つと、正極集電体の両面に正極活物質層を有する正極を5つと、負極集電体の両面に負極活物質層を有する負極を6つ用いた。つまり、比較試料3Xは、12層の正極活物質層と、12層の負極活物質層を有する構成である。
本実施例の各試料における正極及び負極の材料は、実施例1の試料1Aと同様である。
具体的には、本実施例の各試料の負極では、負極活物質に球状化天然黒鉛を用い、結着剤にCMC−Na及びSBRを用いた。また、本実施例の各試料の正極では、正極活物質にLiFePO4を用い、結着剤にPVdFを用い、導電助剤にアセチレンブラックを用いた。
本実施例の各試料における正極及び負極の作製方法は、以下の点を除いて、実施例1の試料1Aと同様である。本実施例の各試料では、正極として、正極集電体の両面に正極活物質層を有する構成と、正極集電体の片面に正極活物質層を有する構成と、の2種類を作製した。
作製した正極活物質層及び負極活物質層の活物質担持量、膜厚、及び密度の平均値を表3及び表4に示す。
本実施例で用いた電解液は、実施例1で用いた電解液と同様である。具体的には、溶媒としてBMI−FSAを用い、塩としてLiFSAを用いた。LiFSAをBMI−FSAに溶解させ、LiFSAの濃度が1.8mol/kgの電解液を準備した。
本発明の一態様を適用した試料3A〜試料3Fには、ポリフェニレンサルファイドを用いた厚さ46μmのセパレータを1枚用いた。本発明の一態様を適用した試料3Gには、ポリフェニレンサルファイドを用いた厚さ46μmのセパレータを2枚用いた。比較試料3Xには、セルロースを用いた厚さ50μmのセパレータを1枚用いた。
また、外装体には、アルミの両面に、樹脂層を被覆したフィルムを用いた。
本実施例の試料の作製方法は、実施例1と同様のため、説明を省略する。なお、正極と負極の大きさは、それぞれ20.49cm2とした。
次に、試料のエージングを行った。以下では、試料3A〜試料3Gのエージングについて、説明する。比較試料3Xのエージングは、実施例1の試料と同様に行ったため、説明を省略する。なお、エージングにおける充電後と放電後の休止時間はそれぞれ2時間とした。
初めに、0.01Cのレートで定電流充電を行った。充電条件は、3.2Vを上限とした。ここでは、正極活物質であるLiFePO4の理論容量(170mAh/g)を基準として、レートを算出した。
そして、アルゴン雰囲気下で、外装体の1辺を切断し、開封することで、ガス抜きを行った後、開封した外装体の1辺を、再度、減圧雰囲気下(−100KPa)で封止した。
次に、0.05Cのレートで定電流充電を行った。充電条件は、4.0Vを上限とした。そして、0.2Cのレートで定電流放電を行った。放電条件は、2.0Vを下限とした。さらに、40℃で0.2Cのレートで充放電を2回行った。充電条件は4.0Vを上限とし、放電条件は、2.0Vを下限とした。
なお、エージングにおける各充放電は、試料3A〜試料3Eでは、40℃で行い、試料3F及び試料3Gでは、25℃で行った。
以上により、試料を作製した。
次に、各試料の特性を評価した結果を説明する。
試料3Aでは、放電のレート特性を評価した。
レート特性の測定は、充放電測定機(東洋システム社製)を用いて、評価温度は25℃で行った。4.0Vを上限として定電流充電を行い、2.0Vを下限として定電流放電を行った。充電は、毎回0.1Cで行った。放電は、0.1C、0.2C、0.3C、0.4C、0.5C、1C、2Cの順に行った。なお、レートの算出は正極活物質重量あたり135mA/gの電流値を1Cとした。なお、充電後と放電後の休止時間はそれぞれ30分とした。
図33及び図34に、試料3Aの放電カーブを示す。図33は、横軸が容量(mAh/g)であり、縦軸が電圧(V)である。図34は、横軸が容量(mAh)であり、縦軸が電圧(V)である。
図33(A)、図34(A)は、0.1Cと0.2Cの結果であり、図33(B)、図34(B)は、0.5C、1C、及び2Cの結果であり、図33(C)、図34(C)は、0.3Cと0.4Cの結果であり、図33(D)、図34(D)は図33(C)及び図34(C)をそれぞれ拡大した図である。
また、図35(A)、(B)に各レートに対する放電容量を示す。図35(A)は、横軸が放電レート(C)であり、縦軸が放電容量(mAh/g)を示す。図35(B)は、横軸が放電レート(C)であり、縦軸が放電容量(mAh)を示す。また、図35(C)に、各レートの放電容量が0.1Cの放電容量の何%に相当するかを表す容量維持率を示す。図35(C)は、横軸が放電レート(C)であり、縦軸が容量維持率(%)を示す。
表5に、各レートにおける放電容量と容量維持率を示す。
レート0.1C以上1C(約340mA)以下での放電では、電池容量の約100%の放電が可能であり、レート2C(約680mA)での放電でも、電池容量の約71%の放電が可能であった。
以上のように、本発明の一態様を適用した蓄電装置では、良好なレート特性を得ることができた。
次に、試料3Bの放電の温度特性を評価した。
温度特性の測定は、充放電測定機(東洋システム社製)を用いて行った。4.0Vを上限として定電流充電を行い、2.0Vを下限として定電流放電を行った。充電は0.1C、放電は0.2Cのレートで行った。充電は毎回25℃で行い、放電は、25℃、10℃、0℃、−10℃、−25℃、40℃、60℃、80℃、100℃の順に行った。なお、レートの算出は正極活物質重量あたり135mA/gの電流値を1Cとした。なお、充電後と放電後の休止時間はそれぞれ30分とした。
図36及び図37に試料3Bの放電カーブを示す。図36は、横軸が容量(mAh/g)であり、縦軸が電圧(V)である。図37は、横軸が容量(mAh)であり、縦軸が電圧(V)である。
図36(A)、図37(A)は、左側から−25℃、−10℃、0℃、10℃、及び25℃の結果であり、図36(B)、図37(B)は、80℃と100℃の結果であり、図36(C)、図37(C)は、40℃と60℃の結果であり、図36(D)、図37(D)は図36(C)及び図37(C)をそれぞれ拡大した図である。
また、図38(A)、(B)に各温度に対する放電容量を示す。図38(A)は、横軸が温度(℃)であり、縦軸が放電容量(mAh/g)を示す。図38(B)は、横軸が温度(℃)であり、縦軸が放電容量(mAh)を示す。また、図38(C)に、各温度の放電容量が25℃の放電容量の何%に相当するかを表す容量維持率を示す。図38(C)は、横軸が温度(℃)であり、縦軸が容量維持率(%)を示す。
表6に、各温度における放電容量と容量維持率を示す。
100℃における放電容量は、25℃における放電容量の約92%であった。また、0℃における放電容量は、25℃における放電容量の約83%であった。このことから、本発明の一態様を適用した蓄電装置では、高温環境下に限らず、広い温度範囲(例えば0℃以上100℃以下の範囲)で充放電特性が良好であることがわかった。
電解液は、一般に耐熱性が高いほど、低温での動作が困難になる傾向があるが、本発明の一態様の蓄電装置では、0℃でも良好な放電特性を得ることができた。
次に、試料3Cと比較試料3Xの25℃における充放電サイクル特性を評価した。
充放電サイクル特性の測定は、充放電測定機(東洋システム社製)を用いて、評価温度は25℃で行った。4.0Vを上限として定電流充電を行い、2.0Vを下限として定電流放電を行った。初回の充放電は、0.1Cのレートで行い、充電後及び放電後にそれぞれ2時間の休止時間を設けた。その後の充放電は、0.3Cのレートで行い、充電後及び放電後の休止時間はそれぞれ10分間とした。ただし、比較試料3Xについては、0.3Cのレートでの充放電を200回行うごとに、0.1Cのレートでの充放電を1回行った。なお、レートの算出は正極活物質重量あたり135mA/gの電流値を1Cとした。
図39(A)、(B)に試料3Cの0.1Cでの充放電カーブを示し、図39(C)、(D)に比較試料3Xの0.1Cでの充放電カーブを示す。図39(A)、(C)は、横軸が容量(mAh/g)であり、縦軸が電圧(V)である。図39(B)、(D)は、横軸が容量(mAh)であり、縦軸が電圧(V)である。
図40に試料3Cの充放電サイクル特性を示し、図41に比較試料3Xの充放電サイクル特性を示す。図40(A)、図41(A)において、横軸はサイクル回数(回)、縦軸は放電容量(mAh/g)を示す。図40(B)、図41(B)において、横軸はサイクル回数(回)、縦軸は放電容量(mAh)を示す。図40(C)、図41(C)において、横軸はサイクル回数(回)、縦軸は容量維持率(%)を示す。
次に、試料3Dの60℃における充放電サイクル特性を評価した。
充放電サイクル特性の測定は、充放電測定機(東洋システム社製)を用いて行った。4.0Vを上限として定電流充電を行い、2.0Vを下限として定電流放電を行った。初回の充放電は、25℃で0.1Cのレートで行い、充電後と放電後にそれぞれ2時間の休止時間を設けた。その後の充放電は、60℃で0.3Cのレートで行い、充電後と放電後の休止時間はそれぞれ10分間とした。なお、レートの算出は正極活物質重量あたり135mA/gの電流値を1Cとした。
図42(A)、(B)に試料3Dの0.1Cにおける充放電カーブを示す。図42(A)は、横軸が容量(mAh/g)であり、縦軸が電圧(V)である。図42(B)は、横軸が容量(mAh)であり、縦軸が電圧(V)である。
図43に試料3Dの充放電サイクル特性を示す。図43(A)において、横軸はサイクル回数(回)、縦軸は放電容量(mAh/g)を示す。図43(B)において、横軸はサイクル回数(回)、縦軸は放電容量(mAh)を示す。図43(C)において、横軸はサイクル回数(回)、縦軸は容量維持率(%)を示す。
次に、試料3E、試料3F、及び試料3Gの100℃における充放電サイクル特性を評価した。
まず、評価前の試料3Eの25℃における充放電カーブを図44(A)、(B)に示す。図44(A)は、横軸が容量(mAh/g)であり、縦軸が電圧(V)である。図44(B)は、横軸が容量(mAh)であり、縦軸が電圧(V)である。
図44(B)より、評価前の試料3Eの電池容量は約340mAhであった。また、評価前の試料3Eの平均放電電圧は3.2Vであった。
図44(A)、(B)に示すように、試料3Eは、高い充放電効率を示しており、負極に黒鉛を用いながら安定した充放電が行えていることがわかる。
また、評価前の試料3Gの25℃における充放電カーブを図56(A)、(B)に示す。図56(A)は、横軸が容量(mAh/g)であり、縦軸が電圧(V)である。図56(B)は、横軸が容量(mAh)であり、縦軸が電圧(V)である。
充放電サイクル特性の測定は、充放電測定機(東洋システム社製)を用いて行った。4.0Vを上限として定電流充電を行い、2.0Vを下限として定電流放電を行った。充放電は、100℃で0.3Cのレートで行い、充電後と放電後の休止時間はそれぞれ10分間とした。なお、レートの算出は正極活物質重量あたり135mA/gの電流値を1Cとした。
図44(C)、(D)に試料3Eの1サイクル目の充放電カーブを示す。図44(C)は、横軸が容量(mAh/g)であり、縦軸が電圧(V)である。図44(D)は、横軸が容量(mAh)であり、縦軸が電圧(V)である。
図45に試料3Eの充放電サイクル特性を示す。また、図57に試料3Fの充放電サイクル特性を示す。また、図58に試料3Gの充放電サイクル特性を示す。図45(A)、図57(A)、及び図58(A)において、横軸はサイクル回数(回)、縦軸は放電容量(mAh/g)を示す。図45(B)、図57(B)、及び図58(B)において、横軸はサイクル回数(回)、縦軸は放電容量(mAh)を示す。図45(C)、図57(C)、及び図58(C)において、横軸はサイクル回数(回)、縦軸は容量維持率(%)を示す。
図45(C)に示すように、試料3Eは、100サイクル後の容量維持率が54%であった。また、図57(C)に示すように、試料3Fは、100サイクル後の容量維持率が51%であった。試料3Eと試料3Fは、同じ作製方法で作製した別々の試料である。上記の通り、試料3E及び試料3Fは、100℃における100サイクル後の容量維持率がいずれも50%以上であり、結果の再現性が得られた。
また、図58(C)に示すように、試料3Gは、100サイクル後の容量維持率が60%であった。試料3Gは、ポリフェニレンサルファイドを用いた厚さ46μmのセパレータを2枚用いた(言い換えると、ポリフェニレンサルファイドを用いたセパレータの厚さが計92μmである)点で、試料3E及び試料3Fとは異なる。このように、ポリフェニレンサルファイドを用いたセパレータを複数枚用いても、100℃において、充放電サイクル特性の良好な蓄電装置を作製することができるとわかった。
試料3C、試料3D、試料3E、試料3F、及び試料3Gの結果から、本発明の一態様を適用することで、25℃、60℃、100℃のそれぞれにおいて、充放電サイクル特性の良好な蓄電装置を作製することができるとわかった。また、25℃及び60℃では高い充放電効率が得られ、かつ、長時間の駆動が可能であるとわかった。また、100℃では、300時間以上の長時間の駆動が可能であるとわかった。
以上のように、本発明の一態様を適用することで、良好なレート特性が得られ、かつ、広い温度範囲で安定した動作が可能であり、かつ、繰り返しの充放電が可能な蓄電装置を作製することができた。
本実施例では、本発明の一態様の蓄電装置を作製し、その特性を評価した結果について説明する。
本実施例では、図1(A)に示す電池セル500を作製した。
本実施例の試料は、本発明の一態様を適用した試料4Aと、比較である比較試料4B、比較試料4C、及び比較試料4Dと、の4つである。
本実施例で作製した各試料では、正極集電体の片面に正極活物質層を有する正極を2つと、負極集電体の両面に負極活物質層を有する負極を1つ用いた。つまり、本実施例の試料は、2層の正極活物質層と、2層の負極活物質層を有する構成である。
本実施例の各試料における正極及び負極の材料、作製方法は、実施例1の試料1Aと同様である。
具体的には、本実施例の各試料の負極では、負極活物質に球状化天然黒鉛を用い、結着剤にCMC−Na及びSBRを用いた。また、本実施例の各試料の正極では、正極活物質にLiFePO4を用い、結着剤にPVdFを用い、導電助剤にアセチレンブラックを用いた。
作製した正極活物質層及び負極活物質層の活物質担持量、膜厚、及び密度の平均値を表7に示す。
試料4Aで用いた電解液は、実施例1で用いた電解液と同様である。具体的には、溶媒としてBMI−FSAを用い、塩としてLiFSAを用いた。LiFSAをBMI−FSAに溶解させ、LiFSAの濃度が1.8mol/kgの電解液を準備した。
比較試料4B〜比較試料4Dで用いた電解液は、溶媒として、EC:DEC:=3:7(体積比)で混合した有機溶媒を用い、塩として、LiPF6を用いた。LiPF6を有機溶媒に溶解させ、LiPF6の濃度が1.0mol/Lの電解液を準備した。
本発明の一態様を適用した試料4Aには、ポリフェニレンサルファイドを用いた厚さ46μmのセパレータを用いた。比較試料4Bには、セルロースを用いた厚さ50μmのセパレータを用いた。比較試料4Cには、ポリオレフィンを用いた厚さ25μmのセパレータを用いた。比較試料4Dには、比較試料4Cとは異なる、ポリオレフィンを用いた厚さ25μmのセパレータを用いた。
また、外装体には、アルミの両面に、樹脂層を被覆したフィルムを用いた。
本実施例の試料の作製方法、エージング方法は、以下の点以外、実施例1と同様のため、詳細な説明を省略する。比較試料4B〜比較試料4Dでは、電解液を注入後に、減圧雰囲気下で行う工程はいずれも、−100KPaではなく、−60KPaで行った。
本実施例の各試料の100℃における充放電サイクル特性を評価した。該測定は、充放電測定機(東洋システム社製)を用いて行った。4.0Vを上限として定電流充電を行い、2.0Vを下限として定電流放電を行った。充放電は0.3Cのレートで行った。なお、レートの算出は正極活物質重量あたり170mA/gの電流値を1Cとした。また、充電と放電の休止時間はそれぞれ10分間とした。
図46に本実施例の試料の充放電サイクル特性を示す。図46において、横軸はサイクル回数(回)、縦軸は放電容量(mAh/g)を示す。
本実施例の結果から、本発明の一態様である、PPSセパレータと、イオン液体を有する電解液を用いた蓄電装置は、セルロースセパレータ又はポリオレフィンセパレータと、有機電解液と、を用いた蓄電装置に比べて、高温での充放電サイクル特性が良好であることがわかった。
本実施例では、イオン液体のカチオンの種類による蓄電装置の出力特性の違いを調査した。
本実施例では、図1(A)に示す電池セル500を作製した。
本実施例の試料は、試料5A及び試料5Bの2つである。
本実施例の試料は、正極集電体の片面に正極活物質層を有する正極を1つと、負極集電体の片面に負極活物質層を有する負極を1つ用いた。なお、正極の活物質側の面の大きさよりも、負極の活物質側の面の大きさを大きくした。
まず、電極の作製方法について説明する。
[負極の作製方法]
負極活物質に比表面積6.3m2/g、平均粒径15μmの球状化天然黒鉛を用いた。また、結着剤としてCMC−Na及びSBRを用いた。用いたCMC−Naの重合度は600〜800、1%水溶液として用いた場合の水溶液粘度は300mPa・s〜500mPa・sの範囲の値であった。導電助剤として気相成長炭素繊維(VGCF(登録商標):Vapor−Grown Carbon Fiber)を用いた。黒鉛、VGCF(登録商標)、CMC−Na、及びSBRの配合は、黒鉛:VGCF(登録商標):CMC−Na:SBR=95:2:1.5:1.5(wt%)とした。
まず、CMC−Naを純水に均一に溶解させ水溶液を調整した。
次に、CMC−Naの水溶液と、活物質とVGCF(登録商標)とを混合した後、混練機を用いて固練りを行い、第1の混合物を得た。
次に、これらの混合物に所定の粘度になるまで溶媒である純水を添加し、混練を行った。
次に、これらの混合物にSBRの50wt%水分散液を添加し、混練機で混練した。
以上の工程により、スラリーを作製した。
次に、ブレードを用いて、スラリーを負極集電体に塗布した。ブレードの操作速度は10mm/secとした。また、負極集電体として厚さ18μmの圧延銅箔を用いた。
次に、スラリーを塗布した負極集電体を、大気雰囲気下、50℃のホットプレート上で30分間の加熱を行った。その後、さらに減圧雰囲気下(−100KPa)で100℃、10時間の加熱を行った。
以上の工程により、負極集電体の片面に負極活物質層を作製し、負極を作製した。
[正極の作製方法]
正極活物質には比表面積15.6m2/gのLiFePO4を用い、結着剤としてPVdFを用い、導電助剤としてグラフェンを用いた。なお、グラフェンは、スラリーを作製する際には酸化グラフェンであり、電極塗布後に還元処理を施した。LiFePO4、PVdF、及びグラフェンの配合は、LiFePO4:酸化グラフェン:PVdF=94.4:0.6:5.0(wt%)とした。
初めに、酸化グラフェンの粉末と溶媒であるNMPを、混練機を用いて混練し、第1の混合物を得た。
次に、第1の混合物に活物質を添加し、混練機を用いて固練りを行い、第2の混合物を得た。
次に、第2の混合物にPVdFを添加し、混練機を用いて混練して第3の混合物を得た。
次に、第3の混合物に溶媒であるNMPを添加し、混練機を用いて混練した。以上の工程により、スラリーを作製した。
次に、連続塗工機を用いて、正極集電体にスラリーの塗布を行った。正極集電体には、あらかじめアンダーコートを施したアルミ集電体(厚さ20μm)を用いた。塗工速度は1.0m/minとした。
その後、正極集電体上に塗布したスラリーの溶媒を、乾燥炉を用いて気化した。溶媒の気化は、大気雰囲気下で行い、80℃で4分間の処理を行った。
次に、酸化グラフェンの還元を行った。還元条件としては、まず化学還元を行い、その後熱還元を行った。化学還元に用いた溶液は、溶媒としてNMP:水を9:1で混合した溶媒を用い、アスコルビン酸とLiOHをそれぞれ77mmol/Lと73mmol/Lの濃度になるように加えた。化学還元処理は、60℃で1時間行った。その後、エタノールで洗浄し、減圧雰囲気下、室温で溶媒を気化させた。次に、減圧雰囲気下で170℃、10時間の熱還元処理を行った。減圧条件はともに−100KPaとした。
次に、正極活物質層を、ロールプレス法によりプレスして圧密化した。
以上の工程により、正極集電体の片面に正極活物質層を作製し、正極を作製した。
作製した正極活物質層及び負極活物質層の活物質担持量、膜厚、及び密度の平均値を表8に示す。
試料5Aで用いた電解液は、溶媒としてBMI−FSAを用い、塩としてリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(LiN(CF3SO2)2、略称:LiTFSA)を用いた。LiTFSAをBMI−FSAに溶解させ、LiTFSAの濃度が1.0mol/kgの電解液を準備した。
試料5Bで用いた電解液は、溶媒として、下記の構造式に示す1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)アミド(略称:HMI−FSA)を用い、塩としてLiTFSAを用いた。LiTFSAをHMI−FSAに溶解させ、LiTFSAの濃度が1.0mol/kgの電解液を準備した。
本実施例の各試料では、セルロースを用いた厚さ50μmのセパレータを用いた。
また、外装体には、アルミの両面に、樹脂層を被覆したフィルムを用いた。
次に、試料の作製方法について説明する。
まず、正極、負極、及びセパレータを切断した。正極の大きさは、8.19cm2とし、負極の大きさは、9.89cm2とした。
次に、タブ領域上の正極活物質及び負極活物質を剥がして、集電体を露出させた。
次に、正極、負極、セパレータを積層した。このとき、正極及び負極は、正極活物質層と、負極活物質層が向かい合うように積層した。
次に、正極及び負極にリード電極を取り付けた。
次に、外装体の4辺のうち2辺を残して、外装体を加熱により接合した。
次に、リード電極に設けられた封止層と外装体の封止層が重なるように配置し、加熱により接合した。このとき、電解液を注入する辺以外を接合した。
次に、外装体と、外装体で包まれた正極、セパレータ、及び負極を加熱した。加熱条件は、減圧雰囲気下(−100KPa)で80℃、10時間とした。
次に、アルゴンガス雰囲気下で、封止されていない1辺から電解液を注入した。その後、減圧雰囲気下(−100KPa)で、加熱により外装体の1辺を封止した。以上の工程により、薄型の蓄電池を作製した。
本実施例の試料のエージング方法は、実施例1と同様のため、説明を省略する。
本実施例の各試料の放電のレート特性を評価した。
該測定は、充放電測定機(東洋システム社製)を用いて、評価温度は25℃で行った。4.0Vを上限として定電流充電を行い、2.0Vを下限として定電流放電を行った。充電は、毎回0.1Cで行った。放電は、0.1C、0.2C、0.3C、0.4C、0.5C、及び1Cの順に行った。なお、レートの算出は正極活物質重量あたり170mA/gの電流値を1Cとした。
図47に各レートに対する放電容量を示す。図47は、横軸が放電レート(C)であり、縦軸が放電容量(mAh/g)を示す。
図47より、BMIカチオンを用いた試料5Aの方が、HMIカチオンを用いた試料5Bよりもレート特性が良好であることがわかった。
本実施例では、イオン液体のカチオンの種類による蓄電装置の充放電サイクル特性の違いを調査した。
本実施例では、図1(A)に示す電池セル500を作製した。
本実施例の試料は、試料6A及び試料6Bの2つである。
本実施例の試料は、正極集電体の片面に正極活物質層を有する正極を2つと、負極集電体の両面に負極活物質層を有する負極を1つ用いた。つまり、本実施例の試料は、2層の正極活物質層と、2層の負極活物質層を有する構成である。
本実施例の各試料における負極の材料、作製方法は、実施例1の試料1Aと同様である。具体的には、負極活物質に球状化天然黒鉛を用い、結着剤にCMC−Na及びSBRを用いた。
また、本実施例の各試料における正極の材料、作製方法は、実施例5の試料と同様である。具体的には、正極活物質にLiFePO4を用い、結着剤にPVdFを用い、導電助剤にグラフェンを用いた。
作製した正極活物質層及び負極活物質層の活物質担持量、膜厚、及び密度の平均値を表9に示す。
試料6Aで用いた電解液は、溶媒として、下記の構造式に示す1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)アミド(略称:EMI−FSA)を用い、塩としてLiFSAを用いた。LiFSAをEMI−FSAに溶解させ、LiFSAの濃度が1.0mol/kgの電解液を準備した。
試料6Bで用いた電解液は、溶媒としてBMI−FSAを用い、塩としてLiFSAを用いた。LiFSAをBMI−FSAに溶解させ、LiFSAの濃度が1.0mol/kgの電解液を準備した。
本実施例の各試料では、セルロースを用いた厚さ50μmのセパレータを用いた。
また、外装体には、アルミの両面に、樹脂層を被覆したフィルムを用いた。
本実施例の試料の作製方法、エージング方法は、実施例1と同様のため、説明を省略する。
本実施例の各試料の25℃における充放電サイクル特性を評価した。該測定は、充放電測定機(東洋システム社製)を用いて行った。4.0Vを上限として定電流充電を行い、2.0Vを下限として定電流放電を行った。充放電は0.3Cのレートで行った。なお、レートの算出は正極活物質重量あたり170mA/gの電流値を1Cとした。また、充電と放電の休止時間はそれぞれ10分間とした。
図48及び図49に本実施例の試料の充放電サイクル特性を示す。図48において、横軸はサイクル回数(回)、縦軸は放電容量(mAh/g)を示す。図49において、横軸はサイクル回数(回)、縦軸は容量維持率(%)を示す。
なお、ここでの容量維持率とは、各回の放電容量が初回の放電容量の何%に相当するかを示す値である。
試料6Aは620サイクルで容量維持率が7%であった。一方、試料6Bは、1110サイクルで容量維持率が74%であった。
本実施例の結果から、EMIカチオンを用いた試料6Aに比べて、BMIカチオンを用いた試料6Bは、充放電サイクル特性が良好であることがわかった。
SEMを用いて、充放電サイクル特性を評価した後の、負極(黒鉛)の表面観察を行った。図50(A)、(B)に試料6Aの負極のSEM像を示し、図50(C)、(D)に試料6Bの負極のSEM像を示す。
図50(A)、(B)に示すように、EMIカチオンを用いた試料6Aの負極では、一部の黒鉛粒子の黒鉛層が剥離して膨張黒鉛となっていることが観察された。これは、黒鉛粒子の黒鉛層間にリチウムイオンでなく、EMIカチオンが挿入される現象が起き、EMIカチオンが黒鉛の層間で分解することで、黒鉛粒子の構造を破壊しているためと考えらえる。黒鉛粒子が膨張黒鉛になると、その黒鉛粒子は充放電できなくなるため、充放電容量の低下につながる。また、黒鉛粒子は膨張黒鉛となることで比表面積が大幅に増加するため、電解液の分解もより起こりやすくなると考えられる。
一方、図50(C)、(D)に示すように、BMIカチオンを用いた試料6Bの負極では、膨張黒鉛となった黒鉛粒子は観察されなかった。
本実施例の結果から、負極に黒鉛を用いる場合には、EMIカチオンよりも、BMIカチオンを用いる方が、膨張黒鉛の生成を抑制できることがわかった。
実施例5では、BMIカチオンを用いた試料5Aの方が、HMIカチオンを用いた試料5Bよりもレート特性が良好であることを示した。このことからも、イオン液体のカチオンとしては、BMIカチオンを用いることが好ましいと考えられる。
実施例1では、本発明の一態様を適用した試料と、比較試料の双方で、BMIカチオンを有するイオン液体を用いている。そして、本発明の一態様を適用した試料は、比較試料に比べて、高温環境下で、良好な充放電サイクル特性が得られている。また、実施例2の結果から、PPSセパレータは、高温環境下において、BMIカチオンを有するイオン液体に対して非常に安定であるといえる。以上のことから、ポリフェニレンサルファイドを有するセパレータは、BMIカチオンを有するイオン液体、さらには黒鉛を有する負極と合わせて用いることで、特に良好な特性を得ることができると考えられる。
本実施例では、イオン液体のリチウム塩の種類や濃度による蓄電装置の出力特性の違いを調査した。
本実施例では、図1(A)に示す電池セル500を作製した。
本実施例の試料は、試料7A、試料7B、試料7C、及び試料7Dの4つである。
本実施例の試料は、正極集電体の片面に正極活物質層を有する正極を1つと、負極集電体の片面に負極活物質層を有する負極を1つ用いた。なお、正極の負極側の面の大きさよりも、負極の正極側の面の大きさを大きくした。
まず、電極の作製方法について説明する。
試料7A、試料7B、及び試料7Cの負極の材料は、実施例1の試料と同様である。具体的には、負極活物質に球状化天然黒鉛を用い、結着剤にCMC−Na及びSBRを用いた。
試料7A、試料7B、及び試料7Cの負極の作製方法は、以下の点を除いて、実施例1の試料と同様である。本実施例では、負極集電体の片面に負極活物質層を形成した。
試料7Dの負極の材料、作製方法は、実施例5の試料と同様である。具体的には、負極活物質に球状化天然黒鉛を用い、結着剤にCMC−Na及びSBRを用い、導電助剤にVGCF(登録商標)を用いた。
正極の材料、作製方法は、本実施例の試料全てにおいて共通であり、実施例5の試料の正極と同様である。具体的には、本実施例の各試料の正極では、正極活物質にLiFePO4を用い、結着剤にPVdFを用い、導電助剤にグラフェンを用いた。
作製した負極活物質層及び正極活物質層の活物質担持量、厚さ、及び密度の平均値を表10に示す。
電解液の溶媒には、BMI−FSAを用いた。
試料7Aの塩には、LiFSAを用いた。LiFSAをBMI−FSAに溶解させ、LiFSAの濃度が1.8mol/kgの電解液を準備した。
試料7Bの塩には、LiFSAを用いた。LiFSAをBMI−FSAに溶解させ、LiFSAの濃度が1.0mol/kgの電解液を準備した。
試料7Cの塩には、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(略称:LiTFSA)を用いた。LiTFSAをBMI−FSAに溶解させ、LiTFSAの濃度が1.8mol/kgの電解液を準備した。
試料7Dの塩には、LiTFSAを用いた。LiTFSAをBMI−FSAに溶解させ、LiTFSAの濃度が1.0mol/kgの電解液を準備した。
本実施例では、セルロースを用いた厚さ50μmのセパレータを用いた。
また、外装体には、アルミの両面に、樹脂層を被覆したフィルムを用いた。
本実施例の試料の作製方法、エージング方法は、実施例5と同様のため、説明を省略する。
次に、本実施例の各試料の放電のレート特性を評価した。
該測定は、充放電測定機(東洋システム社製)を用いて、評価温度は25℃で行った。4.0Vを上限として定電流充電を行い、2.0Vを下限として定電流放電を行った。充電は、毎回0.1Cで行った。放電は、0.1C、0.2C、0.3C、0.4C、0.5C、及び1Cの順に行った。なお、レートの算出は正極活物質重量あたり170mA/gの電流値を1Cとした。
図51に各レートに対する放電容量を示す。図51は、横軸が放電レート(C)であり、縦軸が放電容量(mAh/g)を示す。
図51において、試料7Aと試料7C、試料7Bと試料7Dをそれぞれ比較することで、LiTFSAを用いた試料よりも、LiFSAを用いた試料の方が、レート特性が良好であることがわかった。
また、図51において、試料7Aと試料7B、試料7Cと試料7Dをそれぞれ比較することで、濃度が1.0mol/kgの試料よりも、濃度が1.8mol/kgの試料の方が、レート特性が良好であることがわかった。
以上の結果から、LiFSAの濃度が1.8mol/kgである条件の試料7Aが最もレート特性が良好であるとわかった。
実施例1では、本発明の一態様を適用した試料と、比較試料の双方で、LiFSAの濃度が1.8mol/kgである電解液を用いている。そして、本発明の一態様を適用した試料は、比較試料に比べて、高温環境下で、良好な充放電サイクル特性が得られている。また、実施例2の結果から、PPSセパレータは、高温環境下において、LiFSAを有する電解液に対して非常に安定であるといえる。以上のことから、ポリフェニレンサルファイドを有するセパレータは、LiFSAを有する電解液、好ましくは、LiFSAの濃度が1.8mol/kgである電解液と合わせて用いることで、特に良好な特性を得ることができると考えられる。
本実施例では、本発明の一態様の蓄電装置を作製し、その特性を評価した結果について説明する。
本実施例では、図1(A)に示す電池セル500を作製した。
本実施例の試料は、本発明の一態様を適用した試料8Aである。
本実施例で作製した試料では、正極集電体の片面に正極活物質層を有する正極を2つと、負極集電体の両面に負極活物質層を有する負極を1つ用いた。つまり、本実施例の試料は、2層の正極活物質層と、2層の負極活物質層を有する構成である。
本実施例の試料における正極及び負極の材料、作製方法は、実施例1の試料1Aと同様である。具体的には、負極では、負極活物質に球状化天然黒鉛を用い、結着剤にCMC−Na及びSBRを用いた。また、正極では、正極活物質にLiFePO4を用い、結着剤にPVdFを用い、導電助剤にアセチレンブラックを用いた。
作製した正極活物質層及び負極活物質層の活物質担持量、膜厚、及び密度の平均値を表11に示す。
試料8Aで用いた電解液は、実施例1で用いた電解液と同様である。具体的には、溶媒としてBMI−FSAを用い、塩としてLiFSAを用いた。LiFSAをBMI−FSAに溶解させ、LiFSAの濃度が1.8mol/kgの電解液を準備した。
本発明の一態様を適用した試料8Aには、ポリフェニレンサルファイドを用いた厚さ46μmのセパレータを用いた。
また、外装体には、アルミの両面に、樹脂層を被覆したフィルムを用いた。
本実施例の試料の作製方法、エージング方法は、実施例1と同様のため、説明を省略する。
本実施例の試料の130℃における充放電サイクル特性を評価した。該測定は、充放電測定機(東洋システム社製)を用いて行った。4.0Vを上限として定電流充電を行い、2.0Vを下限として定電流放電を行った。充放電は0.3Cのレートで行った。なお、レートの算出は正極活物質重量あたり170mA/gの電流値を1Cとした。また、充電と放電の休止時間はそれぞれ10分間とした。
図52に試料8Aの1サイクル目から3サイクル目までの充放電カーブを示す。図52は、横軸が容量(mAh/g)であり、縦軸が電圧(V)である。
図53に試料8Aの充放電サイクル特性を示す。図53(A)において、横軸はサイクル回数(回)、縦軸は放電容量(mAh/g)を示す。図53(B)横軸はサイクル回数(回)、縦軸は容量維持率(%)を示す。
図53(B)に示すように、3サイクルでの容量維持率は約70%であった。
一般的な有機電解液の沸点や引火点は低く、例えば、DECの沸点は126℃である。DECを用いた蓄電装置は、126℃以上で動作させると破裂の危険性が高いため、126℃以上で動作させることはほぼ不可能といえる。一方、イオン液体は、沸点を持たず、約300℃で分解し、引火点は200℃以上であるものも多い。
本実施例の結果から、本発明の一態様である、ポリフェニレンサルファイドを有するセパレータと、イオン液体を有する電解液と、を用いた蓄電装置は、130℃での充放電が可能であることがわかった。つまり、本発明の一態様を適用することで、有機電解液では動作が難しい高温環境下でも、動作が可能な蓄電装置を作製することができた。
本実施例では、本発明の一態様の蓄電装置を用いて、発光装置を作製し、氷冷水(約0℃)中又は沸騰水(約100℃)中で動作させた結果について説明する。
本実施例では、本発明の一態様を適用した蓄電装置と、有機EL素子を用いた発光パネルと、回路基板と、を作製した。そして、蓄電装置、発光パネル、及び回路基板を、可視光を透過するプラスチックケースの中に配置した。そして、プラスチックケースを、可視光を透過するプラスチックフィルムに入れて封止することで、発光装置を作製した。
本実施例の発光装置は、単色発光であり、赤色、青色、緑色、又は橙色の発光素子を有する、4つの発光パネルを用いて、4種類の発光装置を作製した。
本実施例で用いた蓄電装置は、実施例3の試料3A〜試料3Eと同様の材料、及び作製方法で作製した。なお、蓄電装置のサイズは、75mm×60mm×3.3mmであり、重量は約16gであった。
回路基板には、磁気スイッチ、非接触で蓄電装置を充電できる回路、アンテナ、及び発光パネルを駆動するための回路等を設けた。本実施例の発光装置は、磁気スイッチをオンにすることで、発光パネルを点滅させることができる構成である。
本実施例では、発光パネルを高温で動作させるために、駆動させる温度以上のガラス転移温度を有する有機化合物を用いて発光素子を作製した。
図54(A)、(B)に、発光装置のおもて面(発光面)及び裏面(発光面と対向する面)を示す。
図55(A)に、本実施例の発光装置を、氷冷水(約0℃)中で発光させた状態の写真を示す。発光装置は、約0℃の不凍液(水とエチレングリコールを含む)中で、不具合なく、発光(点滅)した。
また、図55(B)に、本実施例の発光装置を、沸騰水(約100℃)中で発光させた状態の写真を示す。発光装置は、沸騰水中で、不具合なく、発光(点滅)した。
本実施例の発光装置は、高温及び低温において安定した動作が可能であることが示された。
以上のように、本実施例の発光装置は、氷冷水(約0℃)中又は沸騰水(約100℃)中で動作可能であることが確認できた。
本実施例では、本発明の一態様の蓄電装置を作製し、その特性を評価した結果について説明する。
本実施例では、図1(A)に示す電池セル500を作製した。
本実施例の試料は、本発明の一態様を適用した試料10A、試料10B、及び試料10Cの3つである。
本実施例で作製した各試料では、正極集電体の片面に正極活物質層を有する正極を2つと、負極集電体の両面に負極活物質層を有する負極を1つ用いた。つまり、本実施例の試料は、2層の正極活物質層と、2層の負極活物質層を有する構成である。
本実施例の各試料における負極の材料は、実施例1の試料と同様である。
具体的には、本実施例の各試料の負極では、負極活物質に球状化天然黒鉛を用い、結着剤にCMC−Na及びSBRを用いた。
[正極の作製方法]
正極活物質には平均粒子径10μmのLiCoO2を用い、結着剤としてPVdFを用い、導電助剤としてアセチレンブラックを用いた。LiCoO2、PVdF、及びアセチレンブラックの配合は、LiCoO2:アセチレンブラック:PVdF=90:5:5(wt%)とした。
初めに、アセチレンブラックとPVdFを、混練機で混練し、第1の混合物を得た。
次に、第1の混合物に活物質を添加し、第2の混合物を得た。
次に、第2の混合物に溶媒であるNMPを添加し、混練機を用いて混練した。以上の工程により、スラリーを作製した。
次に、大型の混練機で混練を行った。
次に、連続塗工機を用いて、正極集電体にスラリーの塗布を行った。正極集電体には、アルミ集電体(厚さ20μm)を用いた。塗工速度は0.2m/minとした。
その後、正極集電体上に塗布したスラリーの溶媒を、乾燥炉を用いて気化した。溶媒の気化は、大気雰囲気下で行い、70℃で7.5分間の処理を行った後に90℃で7.5分間の処理を行った。
次に、正極活物質層を、ロールプレス法によりプレスして圧密化した。
以上の工程により、正極集電体の片面に正極活物質層を作製し、正極を作製した。
作製した正極活物質層及び負極活物質層の活物質担持量、膜厚、及び密度の平均値を表12に示す。
電解液には、溶媒として、BMI−FSAを用い、塩として、LiFSAを用いた。LiFSAをBMI−FSAに溶解させ、LiFSAの濃度が1.8mol/kgの電解液を準備した。
本発明の一態様を適用した試料10A、試料10B及び試料10Cでは、ポリフェニレンサルファイドを用いた厚さ46μmのセパレータを2枚用いた。
また、外装体には、アルミの両面に、樹脂層を被覆したフィルムを用いた。
本実施例の試料の作製方法は、実施例1と同様のため、説明を省略する。
次に、試料のエージングを行った。なお、エージングにおける充電後と放電後の休止時間はそれぞれ2時間とした。なお、レートの算出は正極活物質重量あたり170mA/gの電流値を1Cとした。
初めに、25℃で0.01Cのレートで定電流定電圧充電を行った。なお、定電流定電圧充電は、まず一定の電流を試料に流し、所定の電圧まで充電を行い、その後一定の電圧で、流れる電流が少なくなるまで、具体的には終止電流値又は上限容量値になるまで充電を行う充電方法である。ここでは、電圧を4.1Vとし、上限容量を約10mAh/gとした。
そして、アルゴン雰囲気下で、外装体の1辺を切断し、開封することで、ガス抜きを行った後、開封した外装体の1辺を、再度、減圧雰囲気下(−100KPa)で封止した。
次に、25℃で0.05Cのレートで定電流定電圧充電を行った。充電条件は、4.1V、約127mAh/gを上限とし、0.01Cに相当する電流値を下限とした。
次に、40℃で24時間保持した。そして、アルゴン雰囲気下で、外装体の1辺を切断し、開封することで、ガス抜きを行った後、開封した外装体の1辺を、再度、減圧雰囲気下(−100KPa)で封止した。
そして、25℃で0.2Cのレートで定電流放電を行った。放電条件は、2.5Vを下限とした。さらに、25℃で0.2Cのレートで充放電を3回行った。充電は、定電流定電圧充電で行った。充電条件は4.1V、約137mAh/gを上限とし、0.01Cに相当する電流値を下限とした。放電は定電流放電で行った。放電条件は、2.5Vを下限とした。
以上により、試料を作製した。
次に、本実施例の各試料の充放電サイクル特性を評価した。
まず、評価前の25℃における充放電カーブについて、試料10Aの結果を図59(A)に示し、試料10Bの結果を図59(B)に示し、試料10Cの結果を図59(C)に示す。図59(A)〜(C)は、横軸が容量(mAh/g)であり、縦軸が電圧(V)である。
充放電サイクル特性の測定は、充放電測定機(東洋システム社製)を用いて行った。4.1V、約137mAh/gを上限として定電流充電を行い、2.5Vを下限として定電流放電を行った。充放電は、0.3Cのレートで行い、充電後と放電後の休止時間はそれぞれ10分間とした。なお、レートの算出は正極活物質重量あたり137mA/gの電流値を1Cとした。
試料10Aは、25℃で充放電サイクル特性を測定し、試料10Bは、60℃で充放電サイクル特性を測定し、試料10Cは、100℃で充放電サイクル特性を測定した。
図60に試料10Aの充放電サイクル特性を示す。また、図61に試料10Bの充放電サイクル特性を示す。また、図62に試料10Cの充放電サイクル特性を示す。図60(A)、図61(A)、及び図62(A)において、横軸はサイクル回数(回)、縦軸は放電容量(mAh/g)を示す。図60(B)、図61(B)、及び図62(B)において、横軸はサイクル回数(回)、縦軸は容量維持率(%)を示す。
また、各試料の放電容量(mAh/g)と容量維持率(%)を表13に示す。
図60(B)及び表13に示すように、試料10Aは、25℃で50サイクル後の容量維持率が98.19%であり、300サイクル後の容量維持率が89.59%であった。また、図61(B)及び表13に示すように、試料10Bは、60℃で50サイクル後の容量維持率が98.38%であり、600サイクル後の容量維持率が82.30%であった。また、図62(B)及び表13に示すように、試料10Cは、100℃で50サイクル後の容量維持率が81.9%であった。
実施例3の試料では、正極活物質にLiFePO4を用いたが、本実施例の試料では、正極活物質に、LiCoO2を用いた。本実施例の各試料の結果から、正極活物質に、LiCoO2を用いた場合でも、本発明の一態様を適用することで、25℃、60℃、100℃のそれぞれにおいて、充放電サイクル特性の良好な蓄電装置を作製することができるとわかった。
本実施例では、本発明の一態様の蓄電装置を作製し、その特性を評価した結果について説明する。
本実施例では、図1(A)に示す電池セル500を作製した。
本実施例の試料は、本発明の一態様を適用した試料11A及び試料11Bの2つである。
本実施例の試料は、正極集電体の片面に正極活物質層を有する正極を1つと、負極集電体の片面に負極活物質層を有する負極を1つ用いた。
本実施例の各試料における正極及び負極の材料は、実施例1の試料1Aと同様である。
具体的には、本実施例の各試料の負極では、負極活物質に球状化天然黒鉛を用い、結着剤にCMC−Na及びSBRを用いた。また、本実施例の各試料の正極では、正極活物質にLiFePO4を用い、結着剤にPVdFを用い、導電助剤にアセチレンブラックを用いた。
作製した正極活物質層及び負極活物質層の活物質担持量、膜厚、及び密度の平均値を表14に示す。
電解液には、溶媒としてBMI−FSAを用い、塩としてLiFSAを用いた。LiFSAをBMI−FSAに溶解させ、LiFSAの濃度が1.8mol/kgの電解液を準備した。
本発明の一態様を適用した試料11A及び試料11Bでは、ポリフェニレンサルファイドを用いた厚さ46μmのセパレータを2枚用いた。
また、外装体には、アルミの両面に、樹脂層を被覆したフィルムを用いた。
本実施例の試料の作製方法は、以下の点を除いて実施例5と同様のため、説明を省略する。本実施例では、正極及び負極ともに、大きさは、8.19cm2とした。
本実施例の試料のエージング方法は、実施例1と同様のため、説明を省略する。
次に、各試料の特性を評価した結果を説明する。
試料11Aでは、放電のレート特性を評価した。
レート特性の測定は、充放電測定機(東洋システム社製)を用いて、評価温度は25℃で行った。4.0Vを上限として定電流充電を行い、2.0Vを下限として定電流放電を行った。充電は、毎回0.1Cで行った。放電は、0.1C、0.2C、0.3C、0.4C、0.5C、1C、2Cの順に行った。なお、レートの算出は正極活物質重量あたり170mA/gの電流値を1Cとした。なお、充電後と放電後の休止時間はそれぞれ30分とした。
図63に、試料11Aの放電カーブを示す。図63は、横軸が容量(mAh/g)であり、縦軸が電圧(V)である。
図63(A)は、0.1Cと0.2Cの結果であり、図63(B)は、0.5C、1C、及び2Cの結果であり、図63(C)は、0.3Cと0.4Cの結果であり、図63(D)は図63(C)を拡大した図である。
また、図64(A)に各レートに対する放電容量を示す。図64(A)は、横軸が放電レート(C)であり、縦軸が放電容量(mAh/g)を示す。また、図64(B)に、各レートの放電容量が0.1Cの放電容量の何%に相当するかを表す容量維持率を示す。図64(B)は、横軸が放電レート(C)であり、縦軸が容量維持率(%)を示す。
表15に、各レートにおける放電容量と容量維持率を示す。
レート0.1C以上0.5C以下での放電では、電池容量の95%以上の放電が可能であった。本発明の一態様を適用することで、セパレータを2枚用いた場合であっても、高出力な蓄電装置を作製することができた。
以上のように、本発明の一態様を適用した蓄電装置では、良好なレート特性を得ることができた。
次に、試料11Bの放電の温度特性を評価した。
温度特性の測定は、充放電測定機(東洋システム社製)を用いて行った。4.0Vを上限として定電流充電を行い、2.0Vを下限として定電流放電を行った。充電は0.1C、放電は0.2Cのレートで行った。充電は毎回25℃で行い、放電は、25℃、10℃、0℃、−10℃、−25℃、40℃、60℃、80℃、100℃の順に行った。なお、レートの算出は正極活物質重量あたり170mA/gの電流値を1Cとした。なお、充電後と放電後の休止時間はそれぞれ30分とした。
図65に試料11Bの放電カーブを示す。図65は、横軸が容量(mAh/g)であり、縦軸が電圧(V)である。
図65(A)は、左側から−25℃、−10℃、0℃、10℃、及び25℃の結果であり、図65(B)は、80℃と100℃の結果であり、図65(C)は、40℃と60℃の結果であり、図65(D)は図65(C)を拡大した図である。
また、図66(A)に各温度に対する放電容量を示す。図66(A)は、横軸が温度(℃)であり、縦軸が放電容量(mAh/g)を示す。また、図66(B)に、各温度の放電容量が25℃の放電容量の何%に相当するかを表す容量維持率を示す。図66(B)は、横軸が温度(℃)であり、縦軸が容量維持率(%)を示す。
表16に、各温度における放電容量と容量維持率を示す。
100℃における放電容量は、25℃における放電容量の約91%であった。また、0℃における放電容量は、25℃における放電容量の約74%であった。このことから、本発明の一態様を適用した蓄電装置では、セパレータを2枚用いた場合であっても、広い温度範囲(例えば0℃以上100℃以下の範囲)で充放電特性が良好であることがわかった。
電解液は、一般に耐熱性が高いほど、低温での動作が困難になる傾向があるが、本発明の一態様の蓄電装置では、0℃でも良好な放電特性を得ることができた。
以上のように、本発明の一態様を適用することで、良好なレート特性が得られ、かつ、広い温度範囲で安定した動作が可能な蓄電装置を作製することができた。
本実施例では、イオン液体及び電解液の燃焼試験の結果と、引火点及び発火点の測定結果を説明する。
本実施例では、以下の4種類の溶液を用いた。
試料12Aの溶液は、イオン液体であるBMI−FSAとした。
試料12Bの溶液は、イオン液体を含む電解液であり、溶媒としてBMI−FSAを用い、塩としてLiFSAを用いた。LiFSAをBMI−FSAに溶解させ、LiFSAの濃度が1.5mol/kgの電解液を準備した。
比較試料12Cの溶液は、有機電解液であり、溶媒として、EC:EMC=3:7(体積比)で混合した有機溶媒を用い、塩として、LiPF6を用いた。LiPF6を有機溶媒に溶解させ、LiPF6の濃度が1.0mol/kgの電解液を準備した。
比較試料12Dの溶液は、有機電解液であり、溶媒として、EC:DEC:EMC=3:6:1(重量比)の混合液と、0.5wt%のPSと、0.5wt%のVCと、を混合した有機溶媒を用い、塩として、LiPF6を用いた。LiPF6を有機溶媒に溶解させ、LiPF6の濃度が1.2mol/Lの電解液を準備した。
次に、燃焼試験の方法を説明する。
まず、ステンレス鋼(SUS)製の金網の上に、ガラス製の濾紙を置き、各試料を約500μL滴下した。
次に、ライターを用いて、各溶液が染みた濾紙に炎を当てた。
濾紙から炎が出る、又は60秒間炎をあて続けて炎が出なければ、試験終了とした。
図67(A)は、試料12Aに炎を当てた直後の様子、図67(B)は、試料12Aに炎を当てて約60秒後の様子を示す写真である。
図67(C)は、試料12Bに炎を当てた直後の様子、図67(D)は、試料12Bに炎を当てて約60秒後の様子を示す写真である。
イオン液体を用いた試料12A及びイオン液体を含む電解液を用いた試料12Bでは、濾紙に約60秒間炎を当てても、濾紙からは炎が出なかった。
図67(E)は、比較試料12Cに炎を当てた直後の様子、図67(F)は、比較試料12Dに炎を当てた直後の様子を示す写真である。
有機電解液を用いた比較試料12C及び比較試料12Dでは、炎を当てた直後、もしくは炎を当てる前に濾紙が燃焼した。
以上の結果から、イオン液体を用いた電解液は、有機電解液と比べて、炎に対する安定性が優位であることが示された。
次に、試料12A及び試料12Bの引火点と発火点を測定した。
引火点測定は、迅速平衡密閉法を用いた引火点試験により評価した。
まず、試料を試料カップに入れて1分間加熱した。その後、バーナーを近づけて2.5秒以上保ち、引火したかどうかを確認した。引火点の評価は、50℃から300℃まで行い、各温度に加熱する試料はそれぞれ別のものとした。本実験によって、試料12A及び試料12Bは、300℃に加熱した場合にも引火しなかったため、該試料の引火点はそれぞれ300℃以上であることがわかった。
発火点測定は、ASTM−E659に従って評価した。評価方法を以下に示す。
まず、各試料を耐熱ガラスの容器に入れて設定温度の±1℃以内になるように調節する。その後、容器に試料を100μL注入し、発火したかどうかを観察する。
評価において、発火しない場合は、容器内の蒸気を清浄な空気で追い出し、設定温度を約30℃高くして、上記の操作を繰り返す。一方、発火した場合は、試料注入から火炎発生までの時間をストップウォッチで測り、これを遅れ時間として記録する。さらに3℃刻みで温度を下げて上記の操作を繰り返し、発火が起こらなくなるまで続ける。
次に温度を約30℃上げて、注入する試料の量を160μLにして上記の操作を繰り返す。
評価において、160μLの方が100μLの試験に比べて最低発火温度が低くなった場合は、試料の量を200μL、260μLと増やして試験を繰り返し、最低発火温度を求める。反対に160μLの方が100μLの試験に比べて最低発火温度が高くなった場合は、試料の量を70μL、60μLと少なくして試験を繰り返し、最低発火温度を求める。
以上の評価方法を用いて発火点を測定した結果、試料12Aの発火点は453℃であり、試料12Bの発火点は468℃であることがわかった。
本実施例では、本発明の一態様の蓄電装置を作製し、曲げ試験を行った結果について説明する。
本実施例では、図68(A)に示す電池セル500を作製した。図68(A)に示す電池セル500は、凹部又は凸部で形成される模様を有するフィルムを外装体に用いた点で、図1(A)に示す電池セル500と異なる。
本実施例の試料は、本発明の一態様を適用した試料13A及び試料13Bの2つである。本実施例では、試料13Aに曲げ試験を行い、曲げ試験前後の放電容量を比較した。また、試料13Bには、曲げ試験を行わずに、試料13Aと同条件の充放電を行うことで、放電容量を比較した。
まず、凹部又は凸部で形成される模様を有するフィルムと、その作製方法を説明する。
本発明の一態様において、フィルムの模様は視認可能な幾何学模様であり、二方向の斜めの線が交差した幾何学模様である。二方向の斜めの線が交差した幾何学模様とする場合には少なくとも二方向の曲げへの応力を緩和することができる。また、凹部や凸部の配置が規則的に配置された模様に限らず、凹部や凸部の配置が不規則に配置されてもよい。不規則に配置された場合には、二次元の曲げ、三次元の不規則な曲げ、又は捩じりへの応力を緩和することができる。また、フィルムの箇所によって模様の異なる領域を複数有していてもよい。例えば、フィルムの端部と中央部とで模様を異ならせて、1枚のフィルムに2種類の模様を設けてもよく、さらに3種以上の模様を設けてもよい。また、曲げられる部分のみに凹部や凸部を設けてもよく、その他の部分は平坦な面を有するフィルムでもよい。また、凹部や凸部の形状は特に限定されない。
フィルムの凹部又は凸部は、プレス加工(例えばエンボス加工)により形成することができる。なお、エンボス加工とは、プレス加工の一種であり、表面に凹凸のあるエンボスロールをフィルムに圧接させ、エンボスロールの凹凸に対応する凹凸をフィルムに形成する処理のことを指している。エンボスロールは、表面に模様を彫刻したロールである。
また、フィルムの凹部又は凸部は、フィルムの一部に浮き彫り(レリーフ)が形成できる手法を用いて形成してもよい。
外装体には、金属フィルム(アルミニウム、ステンレス、ニッケル鋼、金、銀、銅、チタン、ニクロム、鉄、錫、タンタル、ニオブ、モリブデン、ジルコニウム、亜鉛など金属箔となる金属又は合金を用いたフィルム)、プラスチックフィルム、有機材料(有機樹脂や繊維など)と無機材料(セラミックなど)とを含むハイブリッド材料フィルム、炭素含有無機フィルム(カーボンフィルム、グラファイトフィルムなど)から選ばれる単層フィルム又はこれら複数からなる積層フィルムを用いることができる。金属フィルムは、エンボス加工を行いやすく、エンボス加工を行って凹部又は凸部を形成すると外気に触れるフィルムの表面積が増大するため、放熱効果に優れている。
本実施例では、まず、可撓性基材からなるシートを用意した。シートは、積層体を用い、金属フィルムの一方の面又は両方の面に接着層(ヒートシール層とも呼ぶ)を有するものを用いる。接着層は、ポリプロピレンやポリエチレンなどを含む熱融着性樹脂フィルムを用いる。本実施例では、PET、ナイロン樹脂、アルミニウム箔、ポリプロピレンの順に積層された4層構造のシートを用いた。このシートをカットして図68(A)に示すフィルム10を用意した。
そして、このフィルム10にエンボス加工を行い、図68(B)に示すフィルム11を作製した。図68(B)に示すように、フィルム11の表面に凹凸が設けることで、視認可能な模様を形成した。なお、本実施例では、シートをカットした後、エンボス加工を行ったが、順序は特に限定されず、シートをカットする前にエンボス加工を行い、その後カットして図68(B)に示すフィルム11を作製してもよい。また、シートを折り曲げて熱圧着を行った後にカットしてもよい。
本実施例では、フィルム10の両面に凹凸を設けて模様を形成してフィルム11を作製し、図68(C)に示すように、フィルム11を中央で折り曲げて2つの端部を重ね、図68(D)に示すように、3辺を接着層で封止する構造とした。
また、本実施例の各試料では、正極集電体の片面に正極活物質層を有する正極を6つと、負極集電体の片面に負極活物質層を有する負極を6つ用いた。
図68(E)を用いて、本実施例の各試料における正極及び負極の積層構造について説明する。負極集電体14の第1の面に負極活物質層19が設けられ、負極活物質層19に接するようにセパレータ13が積層されている。負極活物質層19に接していない側のセパレータ13の表面には、正極集電体12の第1の面に形成された正極活物質層18が接している。正極集電体12の第2の面には、別の正極集電体12の第2の面が接している。つまり、同極の集電体は活物質層が形成されていない面同士が接するように配置される。
集電体の活物質層が形成されていない面同士が向かい合い、金属面同士が接触していることで、摩擦力が大きく働くことなく、同極が接触している面同士は滑りやすくなっている。蓄電装置を曲げる際に、蓄電装置の内部で金属が滑るため、蓄電装置が曲げやすくなる。
本実施例の各試料における負極の材料は、実施例1の試料と同様である。
具体的には、本実施例の各試料の負極では、負極活物質に球状化天然黒鉛を用い、結着剤にCMC−Na及びSBRを用いた。
本実施例の各試料における正極の材料は、実施例10の試料と同様である。
具体的には、本実施例の各試料の正極では、正極活物質にLiCoO2を用い、結着剤としてPVdFを用い、導電助剤としてアセチレンブラックを用いた。
作製した正極活物質層及び負極活物質層の活物質担持量、膜厚、及び密度の平均値を表17に示す。
電解液には、溶媒として、BMI−FSAを用い、塩として、LiFSAを用いた。LiFSAをBMI−FSAに溶解させ、LiFSAの濃度が1.8mol/kgの電解液を準備した。
本発明の一態様を適用した試料13A及び試料13Bでは、ポリフェニレンサルファイドを用いた厚さ46μmのセパレータを2枚用いた。
また、外装体には、上記の通り、エンボス加工を行ったフィルムを用いた。具体的には、PET、ナイロン樹脂、アルミニウム箔、ポリプロピレンの順に積層された4層構造のフィルムを用いた。ここで、ポリプロピレンは、外装体によって封じされる空間の内側に位置する。
次に、試料の作製方法について説明する。
まず、正極、負極、及びセパレータを切断した。正極と負極の大きさは、それぞれ20.49cm2とした。
次に、タブ領域上の正極活物質及び負極活物質を剥がして、集電体を露出させた。
次に、正極、負極、セパレータを積層した。このとき、正極及び負極は、正極活物質層と、負極活物質層が向かい合うように配置した。また、2つの正極の、正極活物質層が形成されていない金属面同士が向かい合うように積層した。同様に、2つの負極の、負極活物質層が形成されていない金属面同士が向かい合うように積層した。
次に、正極及び負極にリード電極を取り付けた。
次に、外装体の4辺のうち2辺を残して、外装体を加熱により接合した。
次に、リード電極に設けられた封止層と外装体の封止層が重なるように配置し、加熱により接合した。このとき、電解液を注入する辺以外を接合した。
次に、外装体と、外装体で包まれた正極、セパレータ、及び負極を加熱した。加熱条件は、減圧雰囲気下(−100KPa)で80℃、10時間とした。
次に、アルゴンガス雰囲気下で、封止されていない1辺から電解液を注入した。その後、減圧雰囲気下(−100KPa)で、加熱により外装体の1辺を封止した。以上の工程により、薄型の蓄電池を作製した。
次に、試料のエージングを行った。なお、レートの算出は正極活物質重量あたり137mA/gの電流値を1Cとした。
初めに、25℃で0.01Cのレートで定電流定電圧充電を行った。充電条件は、4.1V、約10mAh/gを上限とした。充電後の休止時間は10分とした。
そして、アルゴン雰囲気下で、外装体の1辺を切断し、開封することで、ガス抜きを行った後、開封した外装体の1辺を、再度、減圧雰囲気下(−100KPa)で封止した。
次に、25℃で0.1Cのレートで定電流定電圧充電を行った。充電条件は、4.1V、約127mAh/gを上限とし、0.01Cに相当する電流値を下限とした。なお、エージングにおける以降の充電後と放電後の休止時間はそれぞれ2時間とした。
そして、25℃で0.2Cのレートで定電流放電を行った。放電条件は、2.5Vを下限とした。さらに、25℃で0.2Cのレートで充放電を3回行った。図70(A)では、最後の放電時の試料13Aの放電カーブを、「曲げ試験前」として示す。また、図70(B)では、最後の放電時の試料13Bの放電カーブを、「放電1」の結果として示す。充電は、定電流定電圧充電で行った。充電条件は4.1V、約137mAh/gを上限とし、0.01Cに相当する電流値を下限とした。放電は定電流放電で行った。放電条件は、2.5Vを下限とした。
以上により、試料を作製した。
次に、本実施例の曲げ試験で用いた装置について説明する。
図69(A)に、試験装置1100の外観写真を示す。図69(B)、(C)は、試験装置1100を側面から見た図である。また、図69(B)、(C)は、試験装置1100の動作を説明するための図である。説明をわかりやすくするため、図69(B)、(C)では、試験装置1100の一部の構成要素の記載を省略している。
作製した蓄電装置1200(試料13Aに相当)は、2枚の保持板1101の間に挟まれた状態で、試験装置1100の上部に配置されている。図69(A)では、保持板1101に遮られて蓄電装置1200を直接視認できないため、蓄電装置1200を破線で示している。
また、試験装置1100は奥行き方向に伸びた半径40mmの円柱状の支持体1103を蓄電装置1200の直下に有する(図69(B)、(C))。
また、試験装置1100は、長軸と短軸を有するL字型のアーム1102a及びアーム1102bを有する。また、試験装置1100は、ロッド1106を有するエアシリンダ1105、及び部品1107を有する。
アーム1102aは、長軸が左側、短軸が下側に伸びた状態で支持体1103の左側に配置され、アーム1102bは、長軸が右側、短軸が下側に伸びた状態で支持体1103の右側に配置されている(図69(B)、(C))。また、アーム1102aは、長軸と短軸の交差部分が支点1104aと機械的に接続され、アーム1102bは、長軸と短軸の交差部分が支点1104bと機械的に接続されている。なお、支持体1103、支点1104a、及び支点1104bは固定されている。
また、アーム1102aが有する短軸の先端と、アーム1102bが有する短軸の先端は、部品1107と機械的に接続されている。また、アーム1102aが有する長軸の先端は、保持板1101の一方の端部と機械的に接続され、アーム1102bが有する長軸の先端は、保持板1101の他方の端部と機械的に接続されている。
エアシリンダ1105は、圧縮空気を用いてロッド1106を動かすことができる。例えば、本実施例では、エアシリンダ1105はロッド1106を上昇又は下降させることができる。部品1107はロッド1106と接続されており、ロッド1106の上昇又は下降に連動して、部品1107も上昇又は下降する。
部品1107を下降させると、アーム1102aは、支点1104aを中心にして回転し、長軸の先端部分が上昇する。また、部品1107を下降させると、アーム1102bは、支点1104bを中心にして回転し、長軸の先端部分が上昇する(図69(B))。また、部品1107を上昇させると、アーム1102aは、支点1104aを中心にして回転し、長軸の先端部分が下降する。また、部品1107を上昇させると、アーム1102bは、支点1104bを中心にして回転し、長軸の先端部分が下降する(図69(C))。
前述した通り、アーム1102a及びアーム1102bの長軸の先端部分は保持板1101の端部と機械的に接続されている。アーム1102a及びアーム1102bの長軸の先端部分を下げることにより、支持体1103に沿って保持板1101を曲げることができる。また、本実施例に示す曲げ試験は、蓄電装置1200を2枚の保持板1101で挟んだ状態で行っている。よって、アーム1102a及びアーム1102bの長軸の先端部分を下げる(部品1107を上げる)ことにより、円柱状の支持体1103に沿って、蓄電装置1200を曲げることができる(図69(C))。具体的には、本実施例では支持体1103の半径を40mmとして、蓄電装置1200が曲率半径40mmで曲がるようにした。
また、アーム1102a及びアーム1102bの長軸の先端部分を上げる(部品1107を下げる)ことにより、支持体1103と蓄電装置1200の接触が減り、前述した曲率半径を大きくすることができる(図69(B))。具体的には、本実施例ではアーム1102a及びアーム1102bの長軸の先端部分が最も上がった時に、前述した曲率半径が150mmとなるようにした。
蓄電装置1200の曲げ試験を、蓄電装置1200を2枚の保持板1101で挟んだ状態で行うことにより、不要な力が蓄電装置1200に加わることを防ぐことができる。また、蓄電装置1200全体を均一な力で曲げることができる。
曲げ試験は、40mm以上150mm以下の曲率半径で曲げ、1回の曲げは10秒間隔で行った。曲げは、合計1000回行った。また、充放電は、二次電池を試験装置から外して25℃にて行った。
前述の通り、本実施例では、試料13Aについて、曲げ試験を行い、曲げ試験前後の放電容量を比較した。具体的には、試料13Aは、図70(A)に示す「曲げ試験前」の放電後に、充電を行い、曲げ試験を行った後、図70(A)に示す「曲げ試験後」の放電を行った。また、比較として、試料13Bについては、図70(B)に示す「放電1」の放電後に、曲げ試験を行わずに、試料13Aと同条件での充放電を行った(図70(B)に示す「放電2」参照)。なお、図70(A)、(B)は、横軸が容量(mAh/g)であり、縦軸が電圧(V)である。
充放電は、25℃で0.2C(34mA)のレートで行った。充電は、定電流定電圧充電で行った。充電条件は4.1Vを上限として定電流充電を行った後、満充電まで4.1Vにて定電圧充電を行った。なお、充電容量が約137mAh/gに至るか、電流値が0.01C(1.7mA)に至るところを満充電とした。放電条件は、2.5Vを下限とした。充電後と放電後の休止時間はそれぞれ30分間とした。
図70(A)に示すように、試料13Aは、曲げ試験で1000回の曲げを行っても、放電容量の低下がほとんど見られなかった。また、図70(A)、(B)に示すように、曲げ試験を行っていない試料13Bと比較しても、曲げ試験による放電容量の低下はほとんど見られなかった。
また、曲げ試験前後の試料13AのX線CT写真を撮影し、内部にダメージがあるかどうかを確認した。
曲げ試験前の試料13Aの正面側及び側面側のX線CT写真を、図71(A)、(B)に示し、1000回の曲げ試験後の試料13Aの正面側及び側面側のX線CT写真を、図71(C)、(D)に示す。
エンボス加工が行われたフィルムを外装体に用いたリチウムイオン二次電池は、1000回の曲げ試験を終えても外観、内部の構造に損傷が見られなかった。
以上、本実施例の結果から、本発明の一態様を適用することで、可撓性を有し、曲げに強い蓄電装置を作製できることが示された。
本実施例では、本発明の一態様の蓄電装置を作製し、その特性を評価した結果について説明する。
本実施例では、図1(A)に示す電池セル500を作製した。
本実施例の試料は、本発明の一態様を適用した試料14Aである。
本実施例で作製した試料では、正極集電体の片面に正極活物質層を有する正極を2つと、負極集電体の両面に負極活物質層を有する負極を1つ用いた。つまり、本実施例の試料は、2層の正極活物質層と、2層の負極活物質層を有する構成である。
本実施例の試料における正極及び負極の材料、作製方法は、実施例1の試料1Aと同様である。具体的には、負極では、負極活物質に球状化天然黒鉛を用い、結着剤にCMC−Na及びSBRを用いた。また、正極では、正極活物質にLiFePO4を用い、結着剤にPVdFを用い、導電助剤にアセチレンブラックを用いた。
作製した正極活物質層及び負極活物質層の活物質担持量、膜厚、及び密度の平均値を表18に示す。
試料14Aで用いた電解液は、実施例1で用いた電解液と同様である。具体的には、溶媒としてBMI−FSAを用い、塩としてLiFSAを用いた。LiFSAをBMI−FSAに溶解させ、LiFSAの濃度が1.8mol/kgの電解液を準備した。
本発明の一態様を適用した試料14Aには、ポリフェニレンサルファイドを用いた厚さ46μmのセパレータを用いた。
また、外装体には、アルミの両面に、樹脂層を被覆したフィルムを用いた。
本実施例の試料の作製方法は、実施例1と同様のため、説明を省略する。
次に、試料のエージングを行った。なお、エージングにおける充電後と放電後の休止時間はそれぞれ2時間とした。
初めに、25℃で0.01Cのレートで定電流充電を行った。充電条件は、3.2Vを上限とした。ここでは、正極活物質であるLiFePO4の理論容量(170mAh/g)を基準として、レートを算出した。
そして、アルゴン雰囲気下で、外装体の1辺を切断し、開封することで、ガス抜きを行った後、開封した外装体の1辺を、再度、減圧雰囲気下(−100KPa)で封止した。
次に、25℃で0.05Cのレートで定電流充電を行った。充電条件は、4.0Vを上限とした。そして、25℃で0.2Cのレートで定電流放電を行った。放電条件は、2.0Vを下限とした。さらに、25℃で0.2Cのレートで充放電を2回行った。充電条件は4.0Vを上限とし、放電条件は、2.0Vを下限とした。
エージングの最後の充放電における充放電カーブを図75(A)に示す。図75(A)に示すように、試料14Aの放電容量は、136.3mAh/gであった。
エージング後、試料14Aを、25℃、0.2Cのレートで、0.5Cの容量(13.5mAh)まで、定電流充電を行った。充電カーブを図75(B)に示す。図75(B)に示すように、試料14Aの充電容量は、84.8mAh/gであった。
負極の電位が低い方が、イオン液体の分解は抑制される。そのため、本発明の一態様の蓄電装置を高温で保持する場合には、完全に放電された状態に比べて、少しでも充電された状態(満充電に限られない)で、保持することが好ましい。本実施例では、0.5Cの容量まで定電流充電を行った試料を、高温で保持することとした。
10分間の休止時間の後、試料14Aを、170℃で15分間保持した。具体的には、170℃まで昇温させたチャンバー内に試料14Aを入れて15分間保持した。図75(C)に、170℃で保持中の試料14Aの表面の温度を示す。保持開始から2分後から15分後までの試料14Aの表面の平均温度は、170.86℃であった。
170℃保持後の、試料14Aの充放電特性を評価した。該測定は、試料14Aの温度が十分に下がってから行った。具体的には、試料14Aを、室温環境下で約30分間保持した後、該測定を行った。該測定は、充放電測定機(東洋システム社製)を用いて行った。4.0Vを上限として定電流充電を行い、2.0Vを下限として定電流放電を行った。充放電は0.1Cのレートで行った。また、充電と放電の休止時間はそれぞれ2時間とした。
図75(D)に試料14Aの充放電カーブを示す。図75(D)は、横軸が容量(mAh/g)であり、縦軸が電圧(V)である。
図75(D)に示すように、170℃保持後の試料14Aの放電容量は、105.5mAh/gであった。
本実施例の蓄電装置を高温環境に保持しても、PPSセパレータは溶解せず、セパレータの気孔率が維持されていた。また、イオン液体を有する電解液の分解が少なかった。本実施例の蓄電装置は、高温環境に保持しても、動作が可能であることがわかった。
本実施例の結果から、本発明の一態様である、ポリフェニレンサルファイドを有するセパレータと、イオン液体を有する電解液と、を用いた蓄電装置は、170℃で保持しても動作が可能であることがわかった。
(参考例)
上記実施例で用いたHMI−FSAの合成例について説明する。
200mL三角フラスコに、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムブロミド22.7g(91.9mmol)、カリウムビス(フルオロスルホニル)アミド22.1g(101mmol)、水40mLを加えた。この溶液を室温で19時間撹拌した。撹拌後、得られた混合物の水層をジクロロメタンで抽出した。得られた抽出溶液と有機層を合わせて水で洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた混合物を自然ろ過し、濾液を濃縮して液体を得た。得られた液体を乾燥したところ、目的物の黄色液体を収量28.6g、収率89%で得た。
核磁気共鳴法(NMR)によって、上記ステップで合成した化合物が目的物である、HMI−FSAであることを確認した。
得られた化合物の1H NMRデータを以下に示す。
1H NMR(CDCl3,300MHz):δ=0.86−0.91(m、3H)、1.33−1.37(m、6H)、1.83−1.91(m、2H)、3.96(s、3H)、4.18(t、J=7.8Hz、2H)、7.27−7.30(m、2H)、8.66(s、1H)。