JP4073182B2 - 基板装着用リチウム二次電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、基板に装着される基板装着用リチウム二次電池リチウムに係り、特に、リフローによる自動ハンダ付けによって基板に装着される基板装着用リチウム二次電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
リチウム二次電池は、小型且つ軽量で、エネルギー密度が高く、また保存特性に優れていることから、従来より、各種エレクトロニクス機器の主電源や、メモリーバックアップ用電源として広く使用されている。
【0003】
ここで、リチウム二次電池をメモリーバックアップ用電源として使用するにあたっては、このリチウム二次電池が長期間に亘って安定して動作するように、リチウム二次電池をプリント基板等の基板に直接実装する方法が広く採用されている。
【0004】
そして、このようにプリント基板等の基板にリチウム二次電池を実装させるにあたっては、リチウム二次電池の外部端子面にスポット溶接やレーザー溶接等により電流取出し用の金属製リード板の一端部を取り付け、この金属製リード板の他端部をプリント基板等の基板に設けられた端子孔に挿入させてハンダ付けすることが行われている。
【0005】
ここで、上記のようにリチウム二次電池の外部端子面に取り付けられた金属製リード板の他端部を基板にハンダ付けするにあたり、個々にハンダ付けする作業は面倒であり、生産性が悪くなって、コストが高く付く等の問題があった。
【0006】
このため、近年においては、リチウム二次電池等の電子部品を取り付ける基板の部分にクリームハンダを塗布し、クリームハンダの塗布面にリチウム二次電池等の電子部品を載置した後、リチウム二次電池等の電子部品を基板と一緒にリフロー炉に導き、このリフロー炉内において230℃〜270℃程度の高温で短時間加熱してハンダを溶融させ、リチウム二次電池等の電子部品を基板に取り付ける自動ソルダリングが試みられている。
【0007】
しかし、リチウム二次電池を基板と一緒にリフロー炉に導いて基板に装着させる場合、リチウム二次電池も230℃〜270℃程度の高温に曝されることになり、リフロー時にリチウム二次電池における正極、負極、非水電解液、セパレータ及びこれらを収容させる収容体を封止させるガスケット等の電池材料間において激しく反応し、これによりリチウム二次電池の内圧が上昇して液漏れが生じたり、リチウム二次電池の内部抵抗が大きく上昇する等の問題があった。
【0008】
このため、近年においては、特開2000−40525号公報や、特開2000−48859号公報等に示されるように、スルホン基を有するリチウム塩を、スルホランや3−メチルスルホランを主成分とする有機溶媒に溶解させた非水電解液を用い、リフロー時に非水電解液が気化するのを抑制して、電池の内圧が上昇するのを防止するようにしたリチウム二次電池が提案されている。
【0009】
しかし、これらの公報に示されるものにおいても、非水電解液の溶媒に用いるスルホランや3−メチルスルホランの量が適当でなかったり、スルホランや3−メチルスルホランと混合させる溶媒の種類が適当でないと、非水電解液の導電率が大きく低下してリチウム二次電池における充放電特性が悪くなったり、リチウム二次電池における高温安定性を十分に向上させることができないという問題があった。
【0010】
また、従来においては、特開平6−223874号公報において、リチウム二次電池における非水電解液の溶媒に、スルホランと、1,2−ジメトキシエタン等の低粘度の有機溶媒と、エチレンカーボネート等の高誘電率の有機溶媒とを混合させたものを用いたものが提案されている。
【0011】
しかし、上記の公報においては、リフロー等によってリチウム二次電池を基板に装着させることを前提としておらず、このため、リフロー時におけるリチウム二次電池の問題についても一切示されておらず、また負極の種類についても検討されておらず、リチウム二次電池における高温安定性を十分に向上させることができないという問題があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、リフロー等によって基板にリチウム二次電池を装着させる場合における上記のような問題を解決することを課題とするものであり、リフロー等によって基板にリチウム二次電池を装着させる場合に、リチウム二次電池における正極、負極、非水電解液、セパレータ等の電池材料間において反応が生じるのを抑制し、電池の内圧が上昇して液漏れが生じたり、電池の内部抵抗が大きく上昇したりすることのない基板装着用リチウム二次電池を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明においては、上記のような課題を解決するために、基板に装着される基板装着用リチウム二次電池であって、正極と、リチウムとアルミニウムとを含む合金を用いた負極と、溶質と溶媒とからなる非水電解液と、上記の正極と負極との間に設けるセパレータと、これらを収容させる収容体と、この収容体を封止させるガスケットとを備え、上記の溶媒がスルホランと1,2−ジメトキシエタンとを含み、上記のガスケットにポリエーテルエーテルケトンを用いると共にこのガスケット中にセルロース樹脂を混合させるようにしたのである。
【0014】
そして、この発明における基板装着用リチウム二次電池のように、非水電解液にスルホランと1,2−ジメトキシエタンとを含む溶媒を用いると共に、負極にリチウムとアルミニウムとを含む合金を用いると、230℃〜270℃程度の高温でのリフロー等によって基板にリチウム二次電池を装着させる場合に、リフロー時における熱によって非水電解液が気化したり、非水電解液が正極や負極、特に負極と反応するのが抑制される。この結果、電池の内圧が上昇して液漏れが生じたり、電池の内部抵抗が上昇したりするのが抑制され、十分な充放電サイクル特性や充放電特性を示すようになる。
【0015】
ここで、この発明における基板装着用リチウム二次電池において、非水電解液にスルホランと1,2−ジメトキシエタンとを含む溶媒を用いるようにしたのは、スルホランだけでは、高温安定性が高くなるが、非水電解液の導電率が低くなって充放電特性が悪くなる一方、1,2−ジメトキシエタンだけでは、非水電解液の導電率が高くなって充放電特性が良くなるが、高温安定性が悪くなるためである。
【0016】
そして、上記のように非水電解液にスルホランと1,2−ジメトキシエタンとを含む溶媒を用いるにあたり、非水電解液の高温安定性を向上させると共に非水電解液の導電率を高めるためには、溶媒中におけるスルホランの割合を3〜50体積%の範囲にすることが好ましく、より好ましくは、溶媒中におけるスルホランの割合を5〜40体積%の範囲にする。
【0017】
また、この発明における基板装着用リチウム二次電池のように、負極にリチウムとアルミニウムとを含む合金を用いると、230℃〜270℃程度の高温でのリフロー時においても、スルホランと1,2−ジメトキシエタンとを含む溶媒を用いた上記の非水電解液との反応が抑制されるようになる。なお、このようにリフロー時において、リチウムとアルミニウムとを含む合金を用いた負極が非水電解液と反応するのが抑制される原因は不明であるが、非水電解液に用いたスルホランと1,2−ジメトキシエタンとを含む溶媒により、リチウムとアルミニウムとを含む合金を用いた負極の表面に良質な被膜が形成され、この被膜が高温安定性に大きく寄与しているためであると考えられる。
【0018】
また、上記の非水電解液の溶媒として、上記のスルホランと1,2−ジメトキシエタンと共にプロピレンカーボネートを用いると、原因は不明であるが、リチウムとアルミニウムとを含む合金を用いた負極の表面に、より良質な被膜が形成され、高温安定性と充放電特性がさらに向上する。
【0019】
そして、上記のように非水電解液に、スルホランと1,2−ジメトキシエタンとプロピレンカーボネートとを含む溶媒を用いるにあたり、リチウム二次電池における高温安定性と充放電特性をさらに高めるためには、上記の溶媒中におけるプロピレンカーボネートの割合を3〜30体積%の範囲にすることが好ましく、このようにすると、リフロー時において、非水電解液がリチウムとアルミニウムとを含む合金と反応するのがより一層低下する。
【0020】
また、この発明における基板装着用リチウム二次電池において、上記の正極の材料にマンガン酸化物を用いると、230℃〜270℃程度の高温でのリフロー時においても、この正極と上記の非水電解液とが反応するのも抑制され、より優れた充放電サイクル特性や充放電特性を示すようになる。
【0021】
また、上記のマンガン酸化物として、スピネル型構造(晶系は立方晶、空間群はFd3m)を有するものを用いると、230℃〜270℃程度のリフロー時において正極と非水電解液とが反応するのがより一層抑制され、より優れた充放電特性及び高温安定性を示すようになる。なお、このようにリフロー時において正極と非水電解液とが反応するのが抑制される原因は不明であるが、スピネル型構造を有するマンガン酸化物の場合、リフロー時において酸素をほとんど放出しないため、上記の非水電解液を酸化させる反応がほとんど生じなくなると共に、スピネル型構造のマンガン酸化物が非常に安定な構造であるため、仮にリフロー時に正極と非水電解液とが反応しても、正極自身がほとんど壊れないためであると考えられる。
【0022】
また、正極にスピネル型構造を有するマンガン酸化物を用いるにあたり、充放電特性や高温安定性をさらに高めるには、スピネル型構造を有するマンガン酸化物として、その組成がLi1+x Mn2-x O4 (但し、0.05≦x≦0.33の条件を満たす。)のものを用いることが好ましく、より好ましくはLi1+x Mn2-x O4 (但し、0.15≦x≦0.30の条件を満たす。)になったものを用いるようにする。
【0023】
また、正極に用いるマンガン酸化物の比表面積が0.1m2 /gより小さい場合には、マンガン酸化物と非水電解液とが接する面積が小さくなりすぎて、充放電特性が低下する一方、マンガン酸化物の比表面積が1.5m2 /gより大きい場合には、マンガン酸化物と非水電解液とが接する面積が大きくなりすぎて、リフロー時においてマンガン酸化物と非水電解液とが反応しやすくなり、高温安定性や充放電特性が低下する。このため、正極に用いるマンガン酸化物としては、その比表面積が0.1〜1.5m2 /gの範囲のものを用いることが好ましく、より好ましくは比表面積が0.2〜0.8m2 /gの範囲のものを用いるようにする。
【0024】
また、この発明における基板装着用リチウム二次電池において、上記のセパレータにポリフェニレンスルフィドを用いると、リフロー時においてセパレータが上記の非水電解液と反応するのも抑制されるようになる。
【0025】
また、この発明における基板装着用リチウム二次電池のように、上記の正極や負極やセパレータ等を収容させる収容体を封止させるガスケットの材料に、ポリエーテルエーテルケトンを用いると、リフロー時においてガスケットが上記の非水電解液と反応するのも抑制されるようになる。
【0026】
さらに、この発明における基板装着用リチウム二次電池のように、ポリエーテルエーテルケトンを用いたガスケットにセルロース樹脂を混合させると、リフロー時において上記の非水電解液と反応するのがより一層抑制されると共に、このガスケットの強度も向上する。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態に係る基板装着用リチウム二次電池を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、この発明における基板装着用リチウム二次電池は、特に、下記の実施形態に示したものに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
【0028】
この実施形態における基板装着用リチウム二次電池においては、図1に示すように、正極1と負極2との間に非水電解液を含浸させたセパレータ3を介在させた状態で、正極ケース4aと負極ケース4bとで構成される電池ケース(収容体)4内に収容させ、正極1を正極集電体5を介して正極ケース4aに接続させると共に、負極2を負極集電体6を介して負極ケース4bに接続させている。そして、上記の正極ケース4aと負極ケース4bとを絶縁パッキングであるガスケット7により電気的に絶縁させた状態で、正極ケース4aをかしめて封止させ、扁平なコイン型になった基板装着用リチウム二次電池を得るようにした。
【0029】
ここで、この実施形態に係る基板装着用リチウム二次電池において、上記の正極1としては、正極活物質と導電剤と結着剤とを混合させて成形したものが用いられる。
【0030】
そして、上記の正極活物質としては、リチウム二次電池において一般に使用されている公知の遷移金属酸化物を用いることができ、例えば、チタン酸化物、バナジウム酸化物、マンガン酸化物、コバルト酸化物、ニッケル酸化物、ニオブ酸化物、モリブデン酸化物等を用いることができるが、前記のようにマンガン酸化物を用いることが好ましい。特に、スピネル型構造のマンガン酸化物を用いることが好ましく、またその組成がLi1+x Mn2-x O4 (0.05≦x≦0.33)のものを用いることが好ましく、より好ましくはLi1+x Mn2-x O4 (0.15≦x≦0.30)になったものを用いるようにする。また、上記のように比表面積が0.1〜1.5m2 /gの範囲のものを用いることが好ましく、より好ましくは表面積が0.2〜0.8m2 /gの範囲のものを用いるようにする。さらに、高温安定性を向上させるために、上記のマンガン酸化物にホウ酸(H3 BO3 )やホウ素酸化物(B2 O3 )等のホウ素化合物を、B:Mnの原子比が0.01〜0.06:1.00の範囲になるように混合し、300℃〜400℃程度の温度で加熱処理を施したものを用いることが好ましい。
【0031】
また、正極1に用いる上記の導電剤としては、リチウム二次電池において一般に使用されている公知のものを用いることができ、例えば、鱗片状黒鉛や土状黒鉛等の天然黒鉛、人工黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維等を用いることができる。ここで、この発明の電池における充放電特性をさらに向上させるためには、上記の導電剤として、黒鉛とアセチレンブラックとを合わせて用いることが好ましく、特に、黒鉛とアセチレンブラックとを3/7〜7/3の重量比で混合させたものを用いることが好ましい。
【0032】
また、正極1に用いる上記の結着剤としても、リチウム二次電池において一般に使用されている公知のものを用いることができ、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルクロリド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフルオロエチレンプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンタポリマー、スチレンブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、フッ素ゴム等を用いることができる。なお、リフロー時には230℃〜270℃程度に加熱されるため、高温安定性の高いポリフルオロエチレンプロピレンを用いることが好ましく、特に、正極におけるポリフルオロエチレンプロピレンの添加量を1〜10重量%の範囲にすることが好ましい。
【0033】
また、負極2としては、リフロー時において非水電解液と反応するのを抑制するため、リチウムとアルミニウムとを含む合金を用いるようにする。なお、リチウムとアルミニウムとの他に、高温安定性や充放電特性を低下させない範囲において、鉛、スズ、マグネシウム、マンガン等の他の元素を含めることも可能である。
【0034】
また、セパレータ3としては、前記のようにリフロー時において非水電解液と反応するのを抑制するため、ポリフェニレンスルフィドを用いることが好ましく、熱安定性を低下させない範囲において、他の熱安定性の高い樹脂を混合させたり、強度を補給するために無機繊維やセルロース樹脂を混合させることも可能である。
【0035】
また、このセパレータ3に含浸させる非水電解液としては、スルホランと1,2−ジメトキシエタンとを含む溶媒に適当な溶質を溶解させたものを用いるようにし、好ましくは、前記のように溶媒に、スルホランと1,2−ジメトキシエタンと共にプロピレンカーボネートを用いるようにする。
【0036】
また、上記の非水電解液の溶媒においては、その特性を低下させない範囲において、エチレンカーボネート、γ―ブチロラクトン等の環状カルボン酸エステルや、1,2−ジエトキシエタン、1,2−エトキシメトキシエタン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等の鎖状エーテルや、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カルボン酸エステルや、メチルアセテート等の鎖状エステルや、テトラヒドロフラン等の環状エーテル等を加えることも可能である。
【0037】
また、上記の非水電解液に用いる溶質としては、高温安定性に優れた溶質を使用することが好ましく、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸リチウムLiCF3 SO3 、リチウムトリフルオロメタンスルホン酸イミドLiN(CF3 SO2 )2 、リチウムペンタフルオロエタンスルホン酸イミドLiN(C2 F5 SO2 )2 、リチウムトリフルオロメタンスルホン酸メチドLiC(CF3 SO2 )3 等を用いるようにし、またこの溶質の濃度を、0.3〜1.5モル/リットルの範囲にすることが好ましく、より好ましくは0.5〜1.0モル/リットルの範囲にする。
【0038】
また、上記の電池において、上記の正極ケース4aや負極ケース4bとしては、ステンレス鋼等をプレス加工によって所定の形状に成形したものを用いるようにする。
【0039】
また、上記の正極1と正極ケース4aとの間に正極集電体5を設けて、正極1と正極ケース4aとの間の導電性を高めるにあたっては、正極ケース4aの内面に黒鉛の粉と水ガラスを混合した導電塗料等を塗布したり、ステンレス鋼やアルミニウムやチタン等で構成されたメッシュ状の集電体を設けるようにする。
【0040】
また、上記の負極2と負極ケース4bとの間に負極集電体6を設けて、負極2と負極ケース4bとの間の導電性を高めるにあたっては、負極ケース4bの内面に黒鉛の粉と水ガラスを混合した導電塗料等を塗布したり、ステンレス鋼や銅やチタン等で構成されたメッシュ状の集電体を設けるようにする。
【0041】
また、上記の絶縁パッキンであるガスケット7としては、前記のようにポリエーテルエーテルケトンを用いると、リフロー時において非水電解液と反応するのが抑制され、さらにセルロース樹脂を混合させると、リフロー時において上記の非水電解液と反応するのがより一層抑制されると共に、このガスケットの強度も向上する。また、熱安定性を低下させない範囲においては、他の熱安定性の高い樹脂を混合することも可能である。
【0042】
【実施例】
次に、この発明の条件を満たす具体的な実施例に係る基板装着用リチウム二次電池と、この発明の条件を満たさない比較例の基板装着用リチウム二次電池とを比較し、この発明の実施例に係る基板装着用リチウム二次電池が優れていることを明らかにする。
【0043】
(参考例1)
参考例1においては、下記のようにして作製した正極と負極と非水電解液とを用い、前記の図1に示すような扁平なコイン型になった基板装着用リチウム二次電池を得た。
【0044】
[正極の作製]
正極を作製するにあたっては、水酸化リチウムLiOHと酸化ホウ素B2 O3 と二酸化マンガンMnO2 とを、Li:B:Mnの原子比が0.50:0.01:1.00になるように混合し、これを空気中において375℃で20時間熱処理し、これを比表面積が3m2 /gになるまで粉砕して、リチウムとホウ素とマンガンとの複合酸化物からなる正極活物質を得た。なお、この正極活物質の結晶構造をX線回析で調べたところ、Li2 MnO3 (晶系は単斜晶、空間群はC2/c)とMnO2 (結晶性が低いために詳細な結晶構造を解析することはできなかったが、おそらく、晶系は立方晶と考えられる)との複合マンガン酸化物であった。
【0045】
そして、この正極活物質と、黒鉛とアセチレンブラックとを重量比1:1で混合した導電剤と、ポリフルオロエチレンプロピレンとを、90:5:5の重量比になるように混合し、この混合物を直径4mm、厚さ1.2mmの円板状に成型した後、真空中において250℃で2時間乾燥させて正極を作製した。
【0046】
[負極の作製]
負極を作製するにあたっては、リチウム−アルミニウム合金を電気化学的に作製し、このリチウム−アルミニウム合金を直径4mm、厚さ0.3mmの円板状に打ち抜いて負極を作製した。
【0047】
[非水電解液の作製]
非水電解液を作製するにあたっては、スルホラン(SL)と1,2−ジメトキシエタン(DME)とを30:70の体積比で混合させた溶媒を用い、この溶媒に、溶質のリチウム塩としてリチウムトリフルオロメタンスルホン酸イミドLiN(CF3 SO2 )2 を0.75モル/リットルの濃度になるように溶解させて非水電解液を作製した。
【0048】
そして、前記の図1に示すように、ステンレス製の負極ケース4bの内面に溶着させたステンレス製の網からなる負極集電体6の上に、上記の負極2と、ポリフェニレンスルフィド製のセパレータ3と、上記の正極1とを順々に重ね、ポリフェニレンスルフィド製の絶縁パッキングであるガスケット7を負極ケース4bの内周側に装着させて、上記の非水電解液を注入した後、黒鉛の粉と水ガラスとを混合した導電塗料が塗布されてなる正極集電体5が内面に形成されたステンレス製の正極ケース4aを被せて、上記の正極1と正極集電体5とを接触させ、その後、この正極ケース4aをかしめ封止させて、参考例1の基板装着用リチウム二次電池を作製した。
【0049】
(参考例2)
参考例2においては、上記の参考例1における正極の作製において、水酸化リチウムLiOHと硝酸マンガンMn(NO3 )2 ・6H2 Oとを、Li:Mnの原子比が1.22:1.78となるように混合し、これを酸素フロー中において800℃で96時間熱処理し、これを比表面積が0.5m2 /gになるまで粉砕して正極活物質Li1.22Mn1.78O4 を得た。なお、この正極活物質の結晶構造をX線回析で調べたところ、単相のスピネル型構造(晶系は立方晶、空間群はFd3m)を有することが分かった。
【0050】
そして、上記のようにして得た正極活物質Li1.22Mn1.78O4 を用いる以外は、上記の参考例1の場合と同様にして、参考例2の基板装着用リチウム二次電池を作製した。
【0051】
(参考例3)
参考例3においては、上記の参考例1における正極の作製において、正極活物質に五酸化バナジウムV2 O5 を用いるようにし、それ以外は、上記の参考例1の場合と同様にして、参考例3の基板装着用リチウム二次電池を作製した。
【0052】
(比較例1)
比較例1においては、上記の参考例1における非水電解液の作製において、溶媒として、1,2−ジメトキシエタン(DME)だけを用いるようにし、それ以外は、上記の参考例1の場合と同様にして、比較例1の基板装着用リチウム二次電池を作製した。
【0053】
(比較例2)
比較例2においては、上記の参考例1における非水電解液の作製において、溶媒として、スルホラン(SL)とγ―ブチロラクトン(γ―BL)とを80:20の体積比で混合させた溶媒を用いるようにし、それ以外は、上記の参考例1の場合と同様にして、比較例2の基板装着用リチウム二次電池を作製した。
【0054】
(比較例3)
比較例3においては、上記の参考例1における非水電解液の作製において、溶媒として、スルホラン(SL)とプロピレンカーボネート(PC)とを80:20の体積比で混合させた溶媒を用いるようにし、それ以外は、上記の参考例1の場合と同様にして、比較例3の基板装着用リチウム二次電池を作製した。
【0055】
(比較例4)
比較例4においては、負極として、リチウム金属を直径4mm、厚さ0.3mmの円板状に打ち抜いたものを用いるようにし、それ以外は、上記の参考例1の場合と同様にして、比較例4の基板装着用リチウム二次電池を作製した。
【0056】
次に、上記のようにして作製した参考例1〜3及び比較例1〜4の各基板装着用リチウム二次電池について、それぞれ電圧及び抵抗の検査を行ってショート等の不備のない電池をそれぞれ5個用意した。
【0057】
そして、参考例1〜3及び比較例1〜4のそれぞれ5個の電池を180℃で1分間余熱させた後、最高温度が250℃、出入口付近の最低温度が180℃になったリフロー炉内を1分間かけて通過させ、その後、これらを室温まで自然冷却させて、液漏れの有無を調べ、それぞれ5個の電池中において液漏れした電池の個数を下記の表1に示した。
【0058】
次いで、液漏れしていない電池だけを用い、それぞれ電圧及び抵抗の検査を行ってショート等の不備のないことを確認した後、各電池を0.1mAの定電流で充電終止電圧3.0Vまで充電させた後、0.1mAの定電流で放電終止電圧2.0Vまで放電させ、これを1サイクルとして充放電を繰り返して行い、放電容量が1サイクル目の放電容量の半分になるまでのサイクル数を求め、その結果を下記の表1に示した。
【0059】
【表1】
【0060】
この結果から明らかなように、負極にリチウム−アルミニウム合金を用いると共に、非水電解液にスルホラン(SL)と1,2−ジメトキシエタン(DME)との混合溶媒を用いた参考例1〜3の各基板装着用リチウム二次電池は、非水電解液にスルホラン(SL)と1,2−ジメトキシエタン(DME)との混合溶媒を用いていない比較例1〜3の各基板装着用リチウム二次電池や、負極にリチウム金属を用いた比較例4の基板装着用リチウム二次電池に比べて、リフローによる液漏れが少なくなると共に、優れた充放電サイクル特性を示した。
【0061】
また、参考例1〜3の基板装着用リチウム二次電池を比較した場合、正極活物質にマンガン複合酸化物を用いた参考例1及び参考例2の基板装着用リチウム二次電池の方が、リフローによる液漏れが確実に防止されると共に、充放電サイクル特性も向上しており、特に、正極活物質にスピネル型構造になったLi1.22Mn1.78O4 を用いた参考例2の基板装着用リチウム二次電池においては、優れた高温安定性を示し、さらに充放電サイクル特性が向上していた。
【0062】
(参考例1.1〜1.8)
参考例1.1〜1.8においては、上記の参考例1における非水電解液の作製において、溶媒に用いるスルホラン(SL)と1,2−ジメトキシエタン(DME)との体積比を変更し、下記の表2に示すように、SLとDMEとの体積比を、参考例1.1では1:99に、参考例1.2では3:97に、参考例1.3では5:95に、参考例1.4では10:90に、参考例1.5では20:80に、参考例1.6では40:60に、参考例1.7では50:50に、参考例1.8では70:30にし、それ以外は、上記の参考例1の場合と同様にして、参考例1.1〜1.8の各基板装着用リチウム二次電池を作製した。
【0063】
そして、上記のようにして作製した参考例1.1〜1.8の各基板装着用リチウム二次電池についても、上記の参考例1の基板装着用リチウム二次電池の場合と同様にして、リフローによる液漏れの有無を調べ、それぞれ5個の電池中において液漏れした電池の個数を下記の表2に示し、また液漏れしていない電池を用い、上記の参考例1の基板装着用リチウム二次電池の場合と同様にして、それぞれ放電容量が1サイクル目の放電容量の半分になるまでのサイクル数を求め、その結果を下記の表2及び図2に示した。
【0064】
【表2】
【0065】
この結果から明らかなように、負極にリチウム−アルミニウム合金を用いると共に、非水電解液にスルホラン(SL)と1,2−ジメトキシエタン(DME)との混合溶媒を用いた参考例の基板装着用リチウム二次電池において、非水電解液中におけるスルホラン(SL)の割合が3〜50体積%の範囲になった参考例1及び参考例1.2〜1.7の各基板装着用リチウム二次電池においては、リフローによる液漏れが抑制され、高温安定性に優れると共に、充放電サイクル特性も向上しており、さらにスルホラン(SL)の割合が5〜40体積%の範囲になった参考例1及び参考例1.3〜1.6の各基板装着用リチウム二次電池においては、さらに充放電サイクル特性が向上していた。
【0066】
(参考例1.9〜1.11)
参考例1.9〜1.11においては、上記の参考例1における非水電解液の作製において、非水電解液に3種類の溶媒を用いるようにした。
【0067】
そして、下記の表3に示すように、参考例1.9ではスルホラン(SL)と1,2−ジメトキシエタン(DME)とプロピレンカーボネート(PC)とを30:60:10の体積比で混合させた溶媒を、参考例1.10ではスルホラン(SL)と1,2−ジメトキシエタン(DME)とエチレンカーボネート(EC)とを30:60:10の体積比で混合させた溶媒を、参考例1.11ではスルホラン(SL)と1,2−ジメトキシエタン(DME)とγ−ブチロラクトン(γ−BL)とを30:60:10の体積比で混合させた溶媒を用い、それ以外は、上記の参考例1の場合と同様にして、参考例1.9〜1.11の各基板装着用リチウム二次電池を作製した。
【0068】
そして、上記のようにして作製した参考例1.9〜1.11の各基板装着用リチウム二次電池についても、上記の参考例1の基板装着用リチウム二次電池の場合と同様にして、リフローによる液漏れの有無を調べ、それぞれ5個の電池中において液漏れした電池の個数を下記の表3に示し、また液漏れしていない電池を用い、上記の参考例1の基板装着用リチウム二次電池の場合と同様にして、それぞれ放電容量が1サイクル目の放電容量の半分になるまでのサイクル数を求め、その結果を下記の表3に示した。
【0069】
【表3】
【0070】
この結果から明らかなように、非水電解液の溶媒に、スルホラン(SL)と1,2−ジメトキシエタン(DME)とプロピレンカーボネート(PC)とを混合させた溶媒を用いた参考例1.9の基板装着用リチウム二次電池は、スルホラン(SL)と1,2−ジメトキシエタン(DME)の他に、プロピレンカーボネート(PC)以外の溶媒を加えた参考例1.10及び参考例1.11の各基板装着用リチウム二次電池や、プロピレンカーボネート(PC)を加えていない参考例1の基板装着用リチウム二次電池に比べて、高い高温安定性を有し、優れた充放電サイクル特性を示した。
【0071】
(参考例1.12〜1.15)
参考例1.12〜1.15においては、上記の参考例1.9における非水電解液の作製において、溶媒に用いるスルホラン(SL)と1,2−ジメトキシエタン(DME)とプロピレンカーボネート(PC)との体積比を変更し、下記の表4に示すように、SLとDMEとPCとの体積比を、参考例1.12では30:69:1に、参考例1.13では30:67:3に、参考例1.14では30:40:30に、参考例1.15では30:30:40にし、それ以外は、上記の参考例1の場合と同様にして、参考例1.12〜1.15の各基板装着用リチウム二次電池を作製した。
【0072】
そして、上記のようにして作製した参考例1.12〜1.15の各基板装着用リチウム二次電池についても、上記の参考例1の基板装着用リチウム二次電池の場合と同様にして、リフローによる液漏れの有無を調べ、それぞれ5個の電池中において液漏れした電池の個数を下記の表4に示し、また液漏れしていない電池を用い、上記の参考例1の基板装着用リチウム二次電池の場合と同様にして、それぞれ放電容量が1サイクル目の放電容量の半分になるまでのサイクル数を求め、その結果を下記の表4に示した。
【0073】
【表4】
【0074】
この結果から明らかなように、非水電解液に、スルホラン(SL)と1,2−ジメトキシエタン(DME)とプロピレンカーボネート(PC)との混合溶媒を用いた基板装着用リチウム二次電池において、非水電解液の溶媒中におけるプロピレンカーボネート(PC)の割合が3〜30体積%の範囲になった参考例1.9、参考例1.13及び参考例1.14の各基板装着用リチウム二次電池においては、高い高温安定性を有し、より優れた充放電サイクル特性を示した。
【0075】
(参考例1.16及び実施例1)
参考例1.16及び実施例1においては、上記の参考例1における非水電解液の作製において、上記の参考例1.9の場合と同様に、スルホラン(SL)と1,2−ジメトキシエタン(DME)とプロピレンカーボネート(PC)とを30:60:10の体積比で混合させた溶媒を用いるようにした。
【0076】
そして、この参考例1.16及び実施例1においては、上記の参考例1及び参考例1.9の場合と、電池に使用する上記のガスケット7の材料を変更し、下記の表5に示すように、参考例1.16ではポリエーテルエーテルケトンからなるガスケットを用い、実施例1ではセルロース樹脂を30重量%混合させたポリエーテルエーテルケトンからなるガスケットを用い、それ以外は、上記の参考例1の場合と同様にして、参考例1.16及び実施例1の各基板装着用リチウム二次電池を作製した。
【0077】
また、上記のようにして作製した参考例1.16及び実施例1の各基板装着用リチウム二次電池についても、上記の参考例1の基板装着用リチウム二次電池の場合と同様にして、リフローによる液漏れの有無を調べ、それぞれ5個の電池中において液漏れした電池の個数を下記の表5に示し、また液漏れしていない電池を用い、上記の参考例1の基板装着用リチウム二次電池の場合と同様にして、それぞれ放電容量が1サイクル目の放電容量の半分になるまでのサイクル数を求め、その結果を下記の表5に示した。
【0078】
【表5】
【0079】
この結果から明らかなように、ガスケットの材料として、ポリフェニレンスルフィドに代えて、ポリエーテルエーテルケトンやセルロース樹脂を混合させたポリエーテルエーテルケトンを用いた参考例1.16及び実施例1の各基板装着用リチウム二次電池においても、リフローによる液漏れが抑制され、高温安定性に優れると共に、充放電サイクル特性も向上しており、特に、ガスケットの材料にセルロース樹脂を混合させたポリエーテルエーテルケトンを用いた実施例1の基板装着用リチウム二次電池においては、さらに充放電サイクル特性が向上していた。
【0080】
(参考例2.1〜2.6)
参考例2.1〜2.6においては、上記の参考例2における正極活物質の作製において、水酸化リチウムLiOHと硝酸マンガンMn(NO3 )2 ・6H2 Oとを混合させる割合を変更させるようにした。
【0081】
そして、水酸化リチウムLiOHと硝酸マンガンMn(NO3 )2 ・6H2Oとを混合させるにあたり、Li:Mnの原子比が、参考例2.1では1.00:2.00に、参考例2.2では1.05:1.95に、参考例2.3では1.15:1.85に、参考例2.4では1.30:1.70に、参考例2.5では1.33:1.67に、参考例2.6では1.36:1.64になるようにし、それ以外は、上記の参考例2の場合と同様にして、下記の表6に示す各正極活物質を作製した。
【0082】
ここで、上記の各正極活物質の結晶構造をX線回析で調べたところ、参考例2.1〜2.5の各正極活物質は、全て単相のスピネル型構造(晶系は立方晶、空間群はFd3m)になっていたが、参考例2.6の正極活物質は、スピネル型構造を有するマンガン酸化物の他に、不純物として少量のLi3 MnO4 (晶系は斜方晶、空間群はPmnb)が混在していた。
【0083】
そして、上記のように作製した各正極活物質を用いる以外は、上記の参考例1の場合と同様にして、参考例2.1〜2.6の各基板装着用リチウム二次電池を作製した。
【0084】
また、上記のようにして作製した参考例2.1〜2.6の各基板装着用リチウム二次電池についても、上記の参考例1の基板装着用リチウム二次電池の場合と同様にして、リフローによる液漏れの有無を調べ、それぞれ5個の電池中において液漏れした電池の個数を下記の表6に示し、また液漏れしていない電池を用い、上記の参考例1の基板装着用リチウム二次電池の場合と同様にして、それぞれ放電容量が1サイクル目の放電容量の半分になるまでのサイクル数を求め、その結果を下記の表6及び図3に示した。
【0085】
【表6】
【0086】
この結果から明らかなように、負極にリチウム−アルミニウム合金を用いると共に、非水電解液の溶媒にスルホラン(SL)と1,2−ジメトキシエタン(DME)を用いた場合において、さらにその正極に、Li1+x Mn2-x O4 におけるxの値が0.05〜0.33の範囲になった正極活物質を用いた参考例2及び参考例2.2〜2.5の各基板装着用リチウム二次電池においては、リフロー時における液漏れが抑制されると共に、優れた高温安定性を有し、充放電サイクル特性も向上した。特に、Li1+x Mn2-x O4 におけるxの値が0.15〜0.30の範囲になった正極活物質を用いた参考例2及び参考例2.3〜2.4の各基板装着用リチウム二次電池においては、さらに高温安定性に優れ、より充放電サイクル特性が向上していた。なお、参考例2.6の基板装着用リチウム二次電池において、充放電のサイクル回数が少なくなったのは、上記のように正極活物質にスピネル型構造以外のマンガン酸化物が少量ながら混在したため、リフロー時にこの正極活物質が非水電解液と反応したためであると考えられる。
【0087】
(参考例2.7〜2.12)
参考例2.7〜2.12においては、上記の参考例2における正極活物質の作製において、正極活物質のLi1.22Mn1.78O4 を粉砕させる条件を変更させて、その比表面積を変更させるようにした。
【0088】
そして、正極活物質であるLi1.22Mn1.78O4 の比表面積を、下記の表7に示すように、参考例2.7では0.05m2 /gに、参考例2.8では0.1m2 /gに、参考例2.9では0.2m2 /gに、参考例2.10では0.8m2 /gに、参考例2.11では1.5m2 /gに、参考例2.12では1.8m2 /gにした。
【0089】
また、このように作製した各正極活物質を用いる以外は、上記の参考例1の場合と同様にして、参考例2.7〜2.12の各基板装着用リチウム二次電池を作製した。
【0090】
そして、上記のようにして作製した参考例2.7〜2.12の各基板装着用リチウム二次電池についても、上記の参考例1の基板装着用リチウム二次電池の場合と同様にして、リフローによる液漏れの有無を調べ、それぞれ5個の電池中において液漏れした電池の個数を下記の表7に示し、また液漏れしていない電池を用い、上記の参考例1の基板装着用リチウム二次電池の場合と同様にして、それぞれ放電容量が1サイクル目の放電容量の半分になるまでのサイクル数を求め、その結果を下記の表7及び図4に示した。
【0091】
【表7】
【0092】
この結果から明らかなように、負極にリチウム−アルミニウム合金を用いると共に、非水電解液の溶媒にスルホラン(SL)と1,2−ジメトキシエタン(DME)を用いた場合において、さらにその正極にスピネル型構造になったマンガン酸化物であってその比表面積が0.1〜1.5m2 /gの範囲になったものを用いた参考例2及び参考例2.8〜2.11の各基板装着用リチウム二次電池においては、リフロー時における液漏れが抑制されると共に、優れた高温安定性を有し、充放電サイクル特性も向上した。特に、その比表面積が0.2〜0.8m2 /gの範囲になったものを用いた参考例2、参考例2.9及び参考例2.10の各基板装着用リチウム二次電池においては、さらに高温安定性に優れ、より充放電サイクル特性が向上していた。
【0093】
なお、上記の実施形態においては、扁平なコイン型になった基板装着用リチウム二次電池を示したが、基板装着用リチウム二次電池の形状や大きさ等は限定されるものではない。
【0094】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明における基板装着用リチウム二次電池においては、非水電解液にスルホランと1,2−ジメトキシエタンとを含む溶媒を用いると共に、負極にリチウムとアルミニウムとを含む合金を用い、さらにこれらを収容させる収容体を封止させるガスケットにポリエーテルエーテルケトンを用いると共にこのガスケット中にセルロース樹脂を混合させるようにしたため、この基板装着用リチウム二次電池を230℃〜270℃程度の高温でのリフローによって基板に装着させる場合に、非水電解液が正極や負極、特に負極と反応するのが抑制されるようになった。
【0095】
この結果、この発明における基板装着用リチウム二次電池をリフロー等によって基板に装着させた際に、電池の内圧が上昇して液漏れが生じたり、電池の内部抵抗が上昇したりするのが抑制され、十分な高温安定性と充放電特性を示すようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施形態に係る基板装着用リチウム二次電池の内部構造を示した断面説明図である。
【図2】 この発明の参考例1及び参考例1.1〜1.8の各基板装着用リチウム二次電池において、非水電解液の溶媒中におけるスルホラン(SL)の割合と、充放電サイクル回数との関係を示した図である。
【図3】 この発明の参考例2及び参考例2.1〜2.6の各基板装着用リチウム二次電池において、正極活物質として用いたLi1+x Mn2-x O4 におけるxの値と、充放電サイクル回数との関係を示した図である。
【図4】 この発明の参考例2及び参考例2.7〜2.12の各基板装着用リチウム二次電池において、正極活物質の比表面積と、充放電サイクル回数との関係を示した図である。
【符号の説明】
1 正極
2 負極
3 セパレータ
4 電池ケース
4a 正極ケース
4b 負極ケース
5 正極集電体
6 負極集電体
7 ガスケット
Claims (13)
- 基板に装着される基板装着用リチウム二次電池であって、正極と、リチウムとアルミニウムとを含む合金を用いた負極と、溶質と溶媒とからなる非水電解液と、上記の正極と負極との間に設けるセパレータと、これらを収容させる収容体と、この収容体を封止させるガスケットとを備え、上記の溶媒がスルホランと1,2−ジメトキシエタンとを含み、上記のガスケットにポリエーテルエーテルケトンを用いると共にこのガスケット中にセルロース樹脂を混合させたことを特徴とする基板装着用リチウム二次電池。
- 請求項1に記載した基板装着用リチウム二次電池において、この基板装着用リチウム二次電池がリフローによる自動ハンタ付けによって基板に装着されることを特徴とする基板装着用リチウム二次電池。
- 請求項1又は2に記載した基板装着用リチウム二次電池において、前記の非水電解液の溶媒中におけるスルホランの割合が3〜50体積%の範囲であることを特徴とする基板装着用リチウム二次電池。
- 請求項3に記載した基板装着用リチウム二次電池において、前記の非水電解液の溶媒中におけるスルホランの割合が5〜40体積%の範囲であることを特徴とする基板装着用リチウム二次電池。
- 請求項1〜4の何れか1項に記載した基板装着用リチウム二次電池において、前記の非水電解液の溶媒が、上記のスルホランと1,2−ジメトキシエタンと共にプロピレンカーボネートを含んでいることを特徴とする基板装着用リチウム二次電池。
- 請求項5に記載した基板装着用リチウム二次電池において、前記の非水電解液の溶媒中におけるプロピレンカーボネートの割合が3〜30体積%の範囲であることを特徴とする基板装着用リチウム二次電池。
- 請求項1〜6の何れか1項に記載した基板装着用リチウム二次電池において、前記の正極の材料にマンガン酸化物を用いたことを特徴とする基板装着用リチウム二次電池。
- 請求項7に記載した基板装着用リチウム二次電池において、前記のマンガン酸化物の結晶構造がスピネル型構造を有することを特徴とする基板装着用リチウム二次電池。
- 請求項8に記載した基板装着用リチウム二次電池において、前記のスピネル型構造を有するマンガン酸化物の組成が、Li1+x Mn2-x O4 (但し、0.05≦x≦0.33の条件を満たす。)であることを特徴とする基板装着用リチウム二次電池。
- 請求項9に記載した基板装着用リチウム二次電池において、前記のスピネル型構造を有するマンガン酸化物の組成が、Li1+x Mn2-x O4 (但し、0.15≦x≦0.30の条件を満たす。)であることを特徴とする基板装着用リチウム二次電池。
- 請求項7〜10の何れか1項に記載した基板装着用リチウム二次電池において、前記のマンガン酸化物の比表面積が0.1〜1.5m2 /gの範囲であることを特徴とする基板装着用リチウム二次電池。
- 請求項11に記載した基板装着用リチウム二次電池において、前記のマンガン酸化物の比表面積が0.2〜0.8m2 /gの範囲であることを特徴とする基板装着用リチウム二次電池。
- 請求項1〜12の何れか1項に記載した基板装着用リチウム二次電池において、前記のセパレータにポリフェニレンスルフィドを用いたことを特徴とする基板装着用リチウム二次電池。
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