JP2014103087A - ナトリウム二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】ナトリウム又はナトリウム化合物を活物質とする溶融塩電池であって、不燃性、安全性に優れており、長寿命であるナトリウム二次電池を提供する。
【解決手段】正極と、負極と、正極と負極との間に設置される電解質と、正極と負極との間を隔てかつ電解質に浸漬されるセパレータを有し、前記正極及び/又は負極は、活物質としてナトリウム又はナトリウム化合物を含み、前記電解質が、(RSO(2つのRはそれぞれ独立にフッ素原子又はフルオロアルキル基を示す)で表わされるアニオンと、アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の金属のカチオンとを含む溶融塩であり、前記セパレータが、硫黄、塩素、臭素、ヨウ素及び窒素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含み、かつN−O結合及びC−F結合を含まない有機材料からなることを特徴とするナトリウム二次電池。
【選択図】図1

Description

本発明は、ナトリウムを含み、溶融塩を電解液とするナトリウム二次電池に関する。
電気エネルギーを貯蔵し充電・放電により電力供給を平準化できる二次電池(蓄電池)は、電力の貯蔵やその供給の平準化等の用途に広く利用されている。特に、近年は、太陽光や風力等の自然エネルギーを用いた発電が注目されているが、その発電量の変動を平準化する手段として二次電池の使用が注目されている。そして、この用途等に好適に使用できる高エネルギー密度・高効率の二次電池(蓄電池)の開発が望まれている。
エネルギー密度が高い二次電池としてはリチウムを活物質として用いるリチウムイオン二次電池が知られている。しかし、リチウムイオン二次電池は、有機化合物からなる可燃性の液体を電解液とするので安全性に問題がある。又、原料(活物質)のリチウムは、資源の偏在や資源量が懸念されており資源確保の問題もある。
リチウムの代わりに資源量の豊富なナトリウムを活物質として用いる二次電池として、ナトリウム−硫黄電池が知られている。例えば、特許文献1では、負極活物質に溶融金属ナトリウムを配し、正極活物質に溶融硫黄を配し、両者をβ−アルミナ固体電解質で隔離したナトリウム−硫黄電池が開示されている。ナトリウム−硫黄電池は、エネルギー密度や電池効率が高い等の特徴を有し、自然災害時の非常用電源等の用途が提案されている。しかし、このナトリウム−硫黄電池は、280〜360℃程度で動作させる必要があり、その取扱に問題があった。
特許文献2では、ナトリウムを用い100℃以下の低温での動作が可能な二次電池として、正極と、ナトリウムを主成分とする負極と、正極と負極との間に配置された電解質とを備え、前記電解質が、(RSO(2つのRはそれぞれ独立にフッ素原子又はフルオロアルキル基を示す)で表わされるアニオンと、アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の金属のカチオンとを含む溶融塩である電池(ナトリウム二次電池)が提案されている。さらにその正極活物質としてNaCrO等のナトリウムの酸化物が用いられること、正極と負極をガラスメッシュ等からなるセパレータで隔てること、電解液の溶融塩としては(FSONNaと(FSONKとの混合物が好ましいこと等も開示されている。
さらに特許文献3では、特許文献2に記載されているような溶融塩を用いた電池における正極と負極を隔てるセパレータとして、ポリテトラフルオロエチレン又はポリプロピレン等からなる樹脂を材料とし、その表面にポリビニルアルコールからなる層を形成して親水性を付与した多孔質のセパレータが提案されている。
特開2007−273297号公報 WO2011/036907号公報 WO2011/126047号公報
特許文献2に記載されているような溶融塩を電解液とする溶融塩電池は、電解液が不燃性であるので可燃性の電解液を使用するリチウムイオン二次電池等と比べて安全性が高い。かつ、前記のようにエネルギー密度が高く又低温での動作が可能な二次電池である。
しかしながら、電解液が不燃性の場合でもセパレータ等の他の構成部材が燃焼性を有する場合は、電池としての不燃性、安全性が十分とは言えない。そこでセパレータ等についても高い不燃性が求められている。
又、特許文献2に記載されているような溶融塩電池では、充電時に、正極での酸化反応で生成したNaイオンがセパレータを介して負極に移動するので、セパレータの表面もNaイオンによる影響を受ける。セパレータの表面がNaイオンによる酸化反応の影響を受けやすい材料で形成されている場合、充放電を繰り返すとセパレータの強度劣化や孔径の粗大化が起こり、最終的には短絡を起こす。そこで、セパレータを構成する材料には、Naイオンによる酸化反応の影響を受けにくい高い耐酸化性が求められる。
本発明は、ナトリウム又はナトリウム化合物を活物質として含む正極、負極と、正極と負極との間を満たす電解質と、正極と負極との間を隔てるセパレータを備え、前記電解質が、(RSO(Rはそれぞれ独立にフッ素原子又はフルオロアルキル基を示す)で表わされるアニオンと、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のカチオンとを含む溶融塩である電池であって、不燃性、安全性に優れており、セパレータの劣化が抑制されて長寿命であるナトリウム二次電池を提供することを課題とする。
本発明者は、以上の課題を解決するため鋭意研究を行った結果、前記のナトリウム二次電池において、セパレータを、硫黄、塩素、臭素、ヨウ素及び窒素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含み、かつN−O結合及びC−F結合を含まない有機材料により形成することにより、セパレータが不燃性になり、従って電池自体の不燃性、安全性が向上し、かつ使用時におけるセパレータの劣化が抑制されて長寿命の電池が得られることを見出し、本発明を完成した。
請求項1に記載の発明は、
正極と、負極と、電解質と、正極と負極との間を隔てかつ電解質に浸漬されるセパレータとを有し、
前記正極及び/又は負極は、活物質としてナトリウム又はナトリウム化合物を含み、
前記電解質が、(RSO(Rはそれぞれ独立にフッ素原子又はフルオロアルキル基を示す)で表わされるアニオンと、アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の金属のカチオンとを含む溶融塩であり、
前記セパレータが、硫黄、塩素、臭素、ヨウ素及び窒素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含みかつN−O結合及びC−F結合を含まない有機材料からなることを特徴とするナトリウム二次電池である。
硫黄、塩素、臭素及びヨウ素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含む有機材料、及び窒素を含むがN−O結合は含まない有機材料は、ポリプロピレン等のポリオレフィン等と比べて不燃性に優れる。従って、セパレータを構成する有機材料が、硫黄、塩素、臭素及びヨウ素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含むことにより又は窒素を含むがN−O結合は含まないことによりセパレータの不燃性、さらには電池の不燃性が向上する。好ましくは、硫黄、塩素、臭素、ヨウ素及び窒素から選ばれる元素を、その主鎖の全質量の10質量%以上含む有機材料が用いられる。より好ましくは15質量%以上含む有機材料である。なお、有機材料の主鎖の全質量とは、当該有機材料の全質量から置換基の質量を除いた質量(置換基を水素原子とみなした質量)である。例えば、後述の式(1)や式(2)で表される樹脂が式(1)や式(2)では表されていない置換基を有する場合は、その置換基を水素原子とみなした質量を意味する。
中でも、特に好ましくは、硫黄原子(S)を含み、−(Ph−S)a−(Ph)b−[式中、Phはフェニル基を表わす]の構造を有し、a/(a+b)≧0.5である有機材料、及び、アミド基(−CONH−)を含み、−(Ph−NHCO)d−(Ph)e−[式中、Phは前記と同じ意味を表わす]の構造を有し、d/(d+e)≧0.5である有機材料である。これらの有機材料は、本来の(Ph−S)や(Ph−NHCO)のもつ機械・化学特性を充分に発現できるので好ましい。
本発明の電池のセパレータを構成する有機材料であって窒素を含有するものは、N−O結合(N=O結合も含む)を含有しないことを特徴とする。後述のように、N−O結合は遊離酸素を放出しやすく、自らの酸素で燃焼を継続することを可能とするので、N−O結合を含有する有機材料は不燃性に優れる材料にはならない。
セパレータを構成する有機材料は、さらに、C−F結合をも含まないことを特徴とする。C−F結合をも含まない有機材料を、セパレータの主要構成材料として使用することにより、電池の使用中の当該有機材料の劣化が抑制され、長寿命の電池が得られる。
特許文献3では、前記のポリテトラフルオロエチレンやポリプロピレンは、溶融塩に対する耐性を有する樹脂として記載されている。しかし、ポリプロピレンは前記のように不燃性が十分とは言えない樹脂であり本発明の電池のセパレータには使用されない。さらに、本発明者の検討により、ポリテトラフルオロエチレンをセパレータの構成材料として用いると、充電時にポリテトラフルオロエチレン中のフッ素原子がナトリウムにより引き抜かれポリテトラフルオロエチレンが劣化することが見出された。すなわち、フッ素樹脂(フッ素を含有する樹脂)、特にポリテトラフルオロエチレンは、不燃性で耐熱性の高い材料と言われているが、長寿命の観点からは十分とは言えないことが見出された。
請求項2に記載の発明は、セパレータを構成する前記有機材料の酸素指数が20以上であることを特徴とする請求項1に記載のナトリウム二次電池である。大気中の酸素濃度は20%程度であり、有機材料の酸素指数が20以上であれば大気中での燃焼継続は困難となる。すなわち、難燃性により優れた有機材料であり、この有機材料からなるセパレータを用いた電池の不燃性もより向上する。
酸素指数とは、燃焼時にどれだけの酸素を必要とするかを体積分率で指数化したものでありJIS K 7201(酸素指数法による高分子材料の燃焼試験方法)等に規定されている。酸素指数は、ポリエチレンは17、ポリテトラフルオロエチレンは95、ポリ塩化ビニルは45、エポキシ樹脂は19、芳香族ポリアミド樹脂(アラミド樹脂等)は29、ポリフェニレンスルファイドは45程度であるが、一般に酸素指数が26以上の材料は熱源がなくなれば、自ら消える自己消火性があると言われている。
電池には、火災に晒される以外にも、内部短絡による急速放電で高温になり発熱、発火する事故等も想定される。そこでこのような場合にも、(RSOアニオンとアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属のカチオンからなる溶融塩と共存した有機材料本体及び分解ガスが燃焼しないような不燃性が望まれる。本発明者は、セパレータを構成する有機材料の燃焼熱は炭素と水素の燃焼熱の和に等しいことから、難燃・不燃性を規定するパラメータとして酸素指数に着目して検討の結果、有機材料の酸素指数を20以上とすることにより、このような優れた不燃性が得られることを見出したのである。
一般に酸素を含む有機材料は水素原子が他の原子に置換されるため酸素指数は低下する。特に−O−C(=O)−結合や−O−N(=O)−結合は遊離酸素を放出しやすく、自らの酸素で燃焼を継続することが可能であるので、好ましくはこれらの結合を含まない有機材料が使用される。しかし、アミド結合(アミド基:−CONH−)は、酸素を含む官能基であるが遊離酸素を放出しにくい官能基であり、アミド基を含む有機材料では、酸素指数も30近い値が計測されている。
請求項3に記載の発明は、セパレータを構成する前記有機材料が、芳香環を含む樹脂であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のナトリウム二次電池である。硫黄、塩素、臭素、ヨウ素及び窒素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含み、かつN−O結合及びC−F結合を含まない有機材料の中でも、芳香環を含む樹脂は、不燃性がより高くセパレータとして使用中にナトリウムによる劣化を起こしにくいので好ましい。
請求項4に記載の発明は、セパレータを構成する前記有機材料が、硫黄を含む樹脂であることを特徴とする請求項3に記載のナトリウム二次電池である。
硫黄、塩素、臭素、ヨウ素及び窒素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含み、かつN−O結合及びC−F結合を含まない有機材料の中でも、芳香環及び硫黄を含む樹脂は、不燃性がさらに高く、セパレータとして使用中にナトリウムによる劣化を起こしにくいので好ましい。
請求項5に記載の発明は、硫黄を含む樹脂が、その主鎖に下記式(1)で表される繰返し単位を含むことを特徴とする請求項4に記載のナトリウム二次電池である。
Figure 2014103087
式中、nは重合度を表す。なお、式(1)で表される繰返し単位には、式(1)中の芳香環にメチル基やエチル基等が置換している場合も含む。
芳香環及び硫黄を含む有機材料が、式(1)で表される繰返し単位により構成されている主鎖を有する有機材料である場合、すなわち芳香環と硫黄原子が交互に結合する繰返し単位をその主鎖に含む場合、ナトリウムイオンによる劣化を抑制でき、かつ電池の不燃性をさらに高くすることができるので好ましい。特に好ましくは、式(1)で表される繰返し単位が全繰返し単位の80%以上又は100%であるポリフェニレンスルフィド(PPS)を、セパレータを構成する有機材料として使用する場合である。
請求項6に記載の発明は、セパレータを構成する前記有機材料が、アミド基を含む樹脂であることを特徴とする請求項3に記載のナトリウム二次電池である。
硫黄、塩素、臭素、ヨウ素及び窒素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含み、かつN−O結合及びC−F結合を含まない有機材料の中で、芳香環及びアミド基を含む樹脂も、不燃性がさらに高く、セパレータとして使用中にナトリウムによる劣化を起こしにくいので好ましい。
請求項7に記載の発明は、アミド基を含む樹脂が、その主鎖に下記式(2)で表される繰返し単位を含むことを特徴とする請求項6に記載のナトリウム二次電池である。
Figure 2014103087
式中、mは重合度を表す。なお、式(2)で表される繰返し単位には、式(2)中の芳香環にメチル基やエチル基等が置換している場合も含む。又、式(2)は、1個の芳香環に結合する2つのアミド基の位置関係は特に限定されないことを示すが、2つのアミド基がパラ位の関係で結合している芳香族ポリアミド(アラミド樹脂等)が、ケブラー(デュポン社製)等の商品名で市販されており、その代表例として挙げることができる。
芳香環及びアミド基を含む有機材料が、式(2)で表される繰返し単位により構成されている主鎖を有する有機材料である場合、すなわち芳香環とアミド基(NHCO)が交互に結合する繰返し単位をその主鎖に含む場合も、ナトリウムイオンによる劣化を抑制でき、かつ電池の不燃性をさらに高くすることができるので好ましい。特に好ましくは、式(2)で表される繰返し単位が全繰返し単位の80%以上又は100%である芳香族ポリアミド(アラミド樹脂等)を、セパレータを構成する有機材料として使用する場合である。
なお、式(2)で表されかつアミド基が芳香環のパラ位の関係で結合している繰返し単位により構成されている主鎖を有する有機材料は、例えば、パラフェニレンジアミンとテレフタルサンクロライドの縮合反応により合成される。この場合、末端はCOOClとNHであり、塩素もしくは水素で終端される。又、セパレータに使用する多孔性のフィルムは、芳香族ポリアミド(アラミド樹脂等)から貧溶媒析出法により作成することが可能である。このとき、希硫酸に有機溶媒を添加した溶媒を特に溶解性のある溶媒として用いることにより、基材上に有機材料を析出させてフィルムを得る。
本発明のナトリウム二次電池は、正極と負極が前記セパレータを介して対向した構造を有する。すなわち、前記セパレータは正極と負極を隔てるように設けられており、かつ電解液(溶融塩)に浸漬されている。
前記正極は、活物質としてナトリウム化合物を含む。好ましくは、活物質の全量中の5質量%以上がナトリウムである。
請求項8に記載の発明は、前記正極が、前記溶融塩よりも融点が高いナトリウム酸化物を含むことを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のナトリウム二次電池である。ここでナトリウム酸化物とは、ナトリウム及び酸素を含む化合物であり、正極の活物質となるものである。このナトリウム酸化物としては、例えば、NaxM1yM2zM3w(式中、M1は、鉄、チタン、クロム及びマンガンから選ばれる1種又は2種以上を示し、M2は、PO又は硫黄を示し、M3は、フッ素又は酸素を示し、xは0.4<x≦2の関係を満たし、yは0≦y≦1の関係を満し、zは0≦z≦2の関係を満たし、wは0.4<w≦3の関係を満たし、x+y>0.4かつz+w>0.4である)で表される化合物を挙げることができる。
ナトリウム酸化物は、熱分解温度が高く例えばNaCrOでは熱分解温度が400℃付近であるので正極の活物質として好ましい。本発明の電池は、溶融塩をその融点以上に加熱して溶融して使用されるので、活物質としてのナトリウム酸化物も溶融塩の融点以上で安定であることが好ましい。より望ましくは溶融塩の粘性が充分低下する温度である溶融塩の融点より30℃程度高い温度域でも熱分解等の変化が無いことである。
請求項9に記載の発明は、前記正極が、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる集電体及びその表面上に形成されたナトリウム酸化物を主体とする層を有することを特徴とする請求項8に記載のナトリウム二次電池である。ここで、主体とするとは、50%以上含むことを意味し、好ましくは80〜100%含むことであるが、本発明の趣旨を損ねない範囲で他の成分を含んでいても良いとの意味である。以後同じ用語「主体とする」が使用される場合も同じである。
この発明の正極では、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる集電体の表面上に活物質としてのナトリウム酸化物を主体とする層が形成されている。正極の集電体を構成する材料としては、アルミニウム又はアルミニウム合金が、ナトリウムイオンがドープしないこと、アルミニウムの表面に存在する強固な自然酸化膜や充電時に生成するフッ化アルミニウムのため耐食性が高いこと、高導電であること、更に軽量である等の理由により好ましい。
請求項10に記載の発明は、前記ナトリウム酸化物が、NaCrO又はNa2/3(Fe1/3Mn2/3)Oであることを特徴とする請求項9に記載のナトリウム二次電池である。
ナトリウム酸化物の中でもNaCrO又はNa2/3(Fe1/3Mn2/3)Oが耐熱性が高くNaの挿抜反応での可逆性にも優れるため特に好ましい。充放電の過程で、これらの化合物からナトリウムが脱離するため、Na1−aCrO、Na2/3―b(Fe1/3Mn2/3)Oにおいてa、bは、それぞれ0<a<5、−1/3<b<1/3の範囲をとることが可能である。
正極の活物質は、さらに導電助剤と混合されてもよい。又、活物質の集電体からの脱落を抑制し保持性を向上するためにバインダを使用してもよい。導電助剤やバインダを使用する場合は、例えば、活物質、導電助剤及びバインダの混合体を形成し、集電体の表面上にその混合体を塗布する方法が採用される。なお、バインダとしては、C−F結合を含まない材料からなるものが使用される。例えば、ポリアミドイミド、ポリフェニレンスルフィドからなるバインダを挙げることができる。
請求項11に記載の発明は、前記負極が、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる板及びその表面上に形成されたチタン酸化物、シリコン、錫、亜鉛および炭素からなる群から選ばれる少なくとも1種を主体とする層を有することを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載のナトリウム二次電池である。
この負極においては、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる集電体の表面上に、チタン酸化物、シリコン、錫、亜鉛および炭素からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む層が形成されている。負極の集電体を構成する材料としてはステンレス鋼等も使用できるが、アルミニウム又はアルミニウム合金が、ナトリウムイオンがドープしないこと、アルミニウムの表面に存在する強固な自然酸化膜や充電時に生成するフッ化アルミニウムのため耐食性が高いこと、高導電であること、更に軽量である等の理由により好ましい。負極の集電体の形状は特に限定されない。例えば、シート状の板が用いられる。
チタン酸化物、シリコン、錫、亜鉛、炭素は、負極の活物質である。負極の活物質は、さらに導電助剤と混合されてもよい。又、活物質の集電体からの脱落を抑制し保持性を向上するためにバインダを使用してもよい。導電助剤やバインダを使用する場合は、例えば、活物質、導電助剤及びバインダの混合体を形成し、集電体の表面上にその混合体を塗布する方法が採用される。なお、バインダとしては、C−F結合を含まない材料からなるものが使用される。例えば、ポリアミドイミド、ポリフェニレンスルフィドからなるバインダを挙げることができる。
請求項12に記載の発明は、前記集電体が、アルミニウム多孔体であることを特徴とする請求項9ないし請求項11のいずれか1項に記載のナトリウム二次電池である。
前記集電体としては、活物質等の保持性がすぐれるアルミニウムの多孔体を使用することが好ましい。アルミニウムの多孔体を使用することにより、バインダを使用しなくても又はバインダの量が少ない場合でも活物質の電極よりの脱落を抑制することができる。バインダ量を低減又は不要とすることにより、バインダ分解に伴うサイクル寿命の劣化(容量維持率の低下)を防ぎ、又バインダを不使用とすることで体積エネルギー密度が見かけ上向上するので好ましい。
アルミニウム多孔体としては、連通孔を有する発泡ウレタンに、気相法やペースト塗布等の手法により黒鉛やアルミニウム等による導電性付与の処理を施し、導電性付与した発泡ウレタンにアルミニウムめっきを実施した後、加熱分解等によりウレタンを除去するとのプロセスにより生成する発泡金属体が好ましい。
請求項13に記載の発明は、前記溶融塩が、(FSONNaと(FSONKの混合物であることを特徴とする請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載のナトリウム二次電池である。
前記溶融塩としては、アニオンが、(RSOで表され、Rがフッ素原子であるもの(ビス(フルオロスルフォニルイミド):以下「FSI」と言う。なお近年学術機関等では、この化合物について「FSA」との呼称が用いられている。)又はRがトリフルオロメチルであるもの(ビス(トリフルオロメチルスルフォニルイミド):以下「TFSI」と言う。なお近年学術機関等では、この化合物について「TFSA」との呼称が用いられている。)が、電池をより低温で動作させる観点から好ましく、カチオンとしてはアルカリ金属が好ましい。
中でも、電池の動作温度を低下させるためには、(FSONNa(以下、「NaFSI」と言うことがある。)と(FSONK(以下、「KFSI」と言うことがある。)との混合物、又はNaFSIと(CFSONNaとの混合物からなる二元系の溶融塩を用いることが好ましい。特に、NaFSIとKFSIとの混合物であって、溶融塩におけるKカチオンのモル比((Kカチオンのモル数)/(Naカチオンのモル数+Kカチオンのモル数))が0.4以上0.7以下である場合には、電池の動作温度を90℃以下の低温とすることができるので好ましい。より好ましくは、NaカチオンとKカチオンとのモル比が0.5以上0.6以下の場合であり、さらに、NaFSI:KFSIのモル比が0.56:0.44である共晶組成が、融点が最も低くなるので特に好ましい。
本発明のナトリウム二次電池は、ナトリウム又はナトリウム化合物を活物質として含む正極、負極と、不燃性の溶融塩からなる電解質と、正極と負極との間を隔てるセパレータとを備える溶融塩電池であるが、セパレータに、不燃性で耐熱性が高く、かつ充放電の際に生成する還元状態のナトリウムと接触しても劣化しない材料を使用しているので、不燃性、安全性に優れるとともに長寿命の二次電池である。
本発明の電池の一構成例を示す模式断面図である。 実施例、比較例における電池の構造を示す模式断面図である。 実施例4における充放電曲線を示すグラフである。 実施例5における充放電曲線を示すグラフである。 実施例6における充放電曲線を示すグラフである。
以下、本発明をその実施の形態及び実施例に基づいて説明する。本発明は、以下の実施の形態及び実施例に限定されるものではなく、本発明と同一および均等の範囲内において種々の変更を加えることが可能である。
図1は、本発明のナトリウム二次電池の一構成例を示す模式断面図である。図中、1はセパレータ、2は正極、3は負極、4は電池容器、5は塩(溶融塩)を表わし、6及び7はリード線を表わす。正極2は、アルミニウム合金製であってシート状の集電体21と正極材22からなる。正極材22は、ナトリウムの酸化物例えばNaCrOからなる正極活物質と導電助剤及びバインダを混合して形成したものであり、この混合物を集電体21の上に塗布して正極材22の層が形成されている。
負極3は、アルミニウム合金製であってシート状の集電体31と負極材32からなる。負極材32は、チタン酸化物、シリコン、錫、亜鉛又は炭素等からなる負極活物質の粉末と導電助剤及びバインダを混合して形成したものである。この混合物を集電体31の上に塗布して負極材32の層が形成されている。
セパレータ1はシート状に形成されており、正極2と負極3の間に介装され両者を隔てるように設けられている。又、正極2と負極3の間は、溶融された塩5(溶融塩)で満たされている。従って、セパレータ1は溶融された塩(溶融塩)5中に浸漬されている。電池の動作時、ナトリウムイオンは溶融された塩5中を、セパレータ1を通して移動する。従って、セパレータ1は、イオンの移動が可能な孔を有するものである。なお、セパレータの形状は、溶融塩に浸漬され正極と負極の間を隔てることができる形状であれば、シート状に限定されない。例えば、正極又は負極を包むような袋状とすることもできる。
塩5は、常温では固体であるが、加熱されて溶融することにより電解質となる。従って、電池を動作させるためには、塩5を加熱して溶融する必要があるが、本発明の電池では低温(例えば100℃以下)で溶融する塩を使用する。従って、本発明の電池は、従来の溶融塩電池と比較して、低温での動作が可能である。
セパレータ1、正極2、負極3及び塩5は、電池容器4内に封入されている。正極2及び負極3にはそれぞれリード線6及び7が接続されており、このリード線を通して電池より電流が取り出される。電池容器4は、樹脂等の絶縁性の材質から形成することができる。図1の例では、箱形の形状であるが、柔軟な材質からなる袋状とすることもできる。電池容器4を形成する材質としては、アルミニウムや他の金属等の導電性の材質を用いることもできるが、この場合は、正極2、負極3やリード線6及び7との短絡を防ぐため、その表面やリード線との接触部分は樹脂等の絶縁性の材料で被覆されている。
この電池には、さらに正極1又は負極2の体積変化の吸収手段等、従来の溶融塩電池で使用されている公知の手段を用いることができる。
本発明の電池に用いる溶融塩としては、本発明の電池の動作温度を低下させるためには、前記のように、FSIのアルカリ金属塩又はTFSIのアルカリ金属塩が好ましい。中でも、FSIのアルカリ金属塩又はTFSIのアルカリ金属塩から選ばれる2種類以上の混合物を使用する場合は、1種類を使用する場合に比べて著しく融点を低下させることができ、ひいては電池の動作温度を著しく低下させることができるのでさらに好ましい。アルカリ金属としては、ナトリウム、カリウムが好ましく、特にナトリウムが標準電位もリチウムに次ぐ大きさであり高エネルギー密度が期待できるので好ましい。
又、上記の溶融塩からなる電解質に有機カチオンが含まれていてもよい。有機カチオンを含ませることにより、電解質の導電率を高くすることができるとともに、電池の動作温度を低下することができる場合がある。
ここで、有機カチオンとしては、たとえば、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン等のアルキルイミダゾール系カチオン、N−エチル−N−メチルピロリジニウムカチオン等のアルキルピロリジニウム系カチオン、1−メチル−ピリジニウムカチオン等のアルキルピリジニウム系カチオン、トリメチルヘキシルアンモニウムカチオン等の4級アンモニウム系カチオン等を挙げることができる。
前記のように、正極又は負極の活物質は導電助剤やバインダと混合してもよく、例えば活物質、導電助剤及びバインダを混合したものを集電体上に塗布して、正極材又は負極材が形成される。
ここで用いられる導電助剤としては、導電性の材質のものであれば特に限定されないが、好ましい導電助剤としてアセチレンブラックを挙げることができる。導電助剤として導電性のアセチレンブラックを用いた場合には、充放電のサイクル特性に優れ、高エネルギー密度の電池を得ることができる。導電助剤の含有率等の条件は、従来の溶融塩電池の場合と同様な条件を採用することができる。
又、バインダとしては、前記の活物質と導電助剤とを固着することができるものであれば特に限定されない。中でも、ポリアミドイミドやポリフェニレンサルファイドを用いることが好ましい。なおポリフッ化ビニリデンやポリテトラフルオロエチレンはC−F結合を含むため、負極やセパレータに含まれると還元分解を起こすので、負極やセパレータのバインダとして使用することはできない。一方、正極のバインダとして使用することは可能であり、NaCrOからなる金属化合物とアセチレンブラックからなる導電助剤をより強固に固着することができる。
又、バインダの含有率等の条件は、従来の溶融塩電池の場合と同様な条件を採用することができる。
実施例1〜3及び比較例1、2
[電解質(溶融塩)の作製]
KFSI(第一工業製薬社製)とNaClO(Aldrich社製:純度98%)とをそれぞれ同モルとなるように秤量した。それぞれをアセトニトリルに溶解して30分間攪拌して反応させNaFSIを生成した。
上記の反応後の溶液中に沈殿したKClOを減圧濾過により除去した後、溶液をガラス製の真空容器に入れ、真空ポンプによって60℃で2日間真空引きを行ない、アセトニトリルを除去した。次に、塩化チオニルを加えて3時間攪拌することによって水分を除去した。
その後、ジクロロメタンによる洗浄を3回行なって塩化チオニルを除去した後、塩化チオニルの除去後の物質をPFAチューブに入れ、真空ポンプによって50℃で2日間真空引きを行なうことによってジクロロメタンを除去した。これにより、白色の粉末状のNaFSIを得た。
アルゴン雰囲気のグローブボックス内で、上記のようにして得たNaFSIの粉末と、KFSI(第一工業製薬社製)の粉末とをNaFSIとKFSIとのモル比がNaFSI:KFSI=0.56:0.44となるように秤量し混合して電解質(溶融塩)を作製した。
[正極1の準備]
活物質である鉄マンガン酸ナトリウム(Na2/3(Fe1/3Mn2/3)O)85質量%、導電助剤のアセチレンブラック10質量%及び結着剤(バインダ)のポリアミドイミド5質量%を、溶剤のN−メチル−2−ピロリドンにて混合しペーストとした。このペーストを厚み20μm、100mm角のAl箔の両面に、付着量がそれぞれ15mg/cmとなるよう塗工した後、150℃にて24時間乾燥した。乾燥時点での活物質厚さは80μmであった。その後ロールプレスにより、厚さが65μmとなるようにプレス加工することで正極1を作成した。
[正極2の準備]
活物質である亜クロム酸ナトリウム(NaCrO)90質量%、導電助剤のアセチレンブラック10質量%を、溶剤のN−メチル−2−ピロリドンにて混合しペーストとした。このペーストを厚み1mmの平均孔径200μm発泡アルミニウム基材(住友電工社製、アルミセルメット(登録商標))に充填した後、150℃にて30時間乾燥した。その後ロールプレスにより厚さが0.5mmとなるようにプレス加工を実施することで正極2を作成した。
なお、正極1では結着剤(バインダ)のポリアミドイミドを使用したが、正極2では使用していない。しかし、集電体として発泡アルミニウム基材(アルミニウムの多孔体であるアルミセルメット)を用いたので、バインダを使用しなくても活物質の電極よりの脱落を抑制することができる。その結果、バインダ分解に伴うサイクル寿命の劣化がなく、又バインダを不使用とすることで体積エネルギー密度が見かけ上向上する。
[負極の準備]
負極1:厚み20μm、110mm角のAl箔の片面に、0.1μmの亜鉛スパッタを施したものを使用した。
負極2:厚み20μm、110mm角のAl箔の片面に、0.3μmの亜鉛スパッタを施したものを使用した。
[電池作製と評価]
ラミネートパックセルの構造の電池を作製した。図2にこの電池の構造を示す。図2中、11はセパレータ、12は正極、13は負極、14は電池容器、15は溶融塩を表わし、16及び17はリード線を表わす。電池容器14は、袋状のラミネートパックである。図に示すように、正極12を中心とし両側に2枚のセパレータ11が配置され、更にその外側に2枚の負極13を活物質側が内側(セパレータ11側)となるように向けて配置してなる積層体を、電池容器14(ラミネートパック)内に挿入した構造である。
セパレータ11としては、次に示すものを用いた。
セパレータA:日本板硝子社製、耐熱ポリオレフィンセパレーター(製品名:NPS、厚さ:50μm)。
セパレータB:住友電工社製、厚さ30μmのポリテトラフルオロエチレン(製品名:ポアフロンHPW−010−30R)。
セパレータC:ポリプラスチック社製のPPS(フォートロン)を10μmに押し出し加工で繊維とし、厚さ200μmの不織布としたもの。
セパレータD:帝人社製パラ系アラミド微粒子を用い相転換法にてキャスティングした厚さ50μmの多孔フィルム。
積層体を挿入した後、電池容器14(ラミネートパック)内に、前記で作製した電解質(溶融塩:NaFSIとKFSIを56:44のモル比で混合した共晶塩:融点:57℃)を90℃に加温した状態で15g注液した。このようにして得られた電池について、下記の方法で充放電評価及び燃焼試験を行った。その結果を表1に示す。
[充放電評価]
タバイエスペック社製恒温槽PVH−210中で、電解質(溶融塩)を90℃に保持して、0.26mA/cmの充電レートで3.2Vまで充電の後、0.26mA/cmのレートで2.5Vまで放電する試験のセットを10サイクル繰り返し、短絡発生の有無と残容量を評価した。
[燃焼試験]
燃焼性についてはUL(Under Writers Laboratories)に規定されているUL94燃焼試験を実施し、燃焼性を評価した。
Figure 2014103087
表1に示すように、セパレータとして、硫黄、塩素、臭素、ヨウ素、窒素のいずれの元素も含まないポリオレフィンからなるセパレータ(セパレータA)を用いた比較例1では、UL94燃焼試験は不合格であり、優れた不燃性、安全性の電池は得られない。又、セパレータとして、C−F結合を含むポリテトラフルオロエチレンからなるセパレータ(セパレータB)を用いた比較例2では、ナトリウムイオンによるセパレータの劣化が大きく、初回充電から短絡が発生している。
一方、セパレータとして、硫黄、塩素、臭素、ヨウ素及び窒素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含み、かつN−O結合及びC−F結合を含まない有機材料からなるセパレータ(セパレータC、D)を用いた実施例1〜3では、活物質の種類によらず、UL94燃焼試験はいずれも合格であり、又ナトリウムイオンによるセパレータの劣化は小さく、上記の試験のセットを10サイクル繰返しても残容量は98%以上である。従って、優れた不燃性、安全性を有し長寿命の電池が得られることが示されている。
実施例4〜6
[電解質(溶融塩)の作製]
ナトリウムビスフルオロスルフォニルイミド(NaFSI、三菱マテリアル社製)とメチルプロピルピロリジニウムビスフルオロスルフォニルイミド(MPPyrFSI、バイオトレック社製)を、1:9のモル比で混合し電解質(溶融塩)を作製した。又、以下に示すようにして正極3及び負極3を準備した。
[正極3の準備]
炭酸ナトリウム(NaCO)と酸化クロム(III)(Cr)を当モル混合したものをアルゴン気流下850℃で5時間加熱して、活物質である亜クロム酸ナトリウム(NaCrO)を作製した。このようにして得られたNaCrOと、カーボンブラック(アセチレンブラック)及びポリビニリデンフロライド(結着剤)を、85:10:5の質量比で混合し、N−メチル−2−ピロリドンに溶解したものをAl箔の集電体上に厚み60μmで塗工しプレス加工して正極3を作成した。
[負極3の準備]
硬質炭素(難黒鉛化炭素)と結着剤(バインダ)のポリアミドイミドを、92:8の質量比で良く混合した後、Cu箔の集電体上に厚み40μmで塗工しプレス加工することで負極3を作成した。
[電池作製と評価]
このようにして作製された電解質及び正極3、負極3を用いた以外は実施例1と同様にして電池を作製した。この電池について上記と同じUL94燃焼試験を実施し、燃焼性の評価を行った。その結果を表2に示す。
又、実施例1の充放電評価と同様にして、電解質(溶融塩)を表2に示す温度に保持して、表2に示す充電レートで、表2中のa(V)まで充電の後、充電レートと同じでレートで表2中のb(V)まで放電する試験のセットを5サイクル繰り返した。その充放電曲線を図3〜5に示す。電解質(溶融塩)が25℃、90℃のいずれの場合でも、初期充電は「問題無」であり、又、図3〜5に示されているように、5サイクル後でも容量の大きな低下は見られなかった。
Figure 2014103087
以上の結果より、硫黄、塩素、臭素、ヨウ素及び窒素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含み、かつN−O結合及びC−F結合を含まない有機材料からなるセパレータ(セパレータC、D)を用いた場合は、溶融塩がNaFSI−MPPyrFSIの混合物の場合でも、優れた不燃性、安全性を有し長寿命の電池が得られることが示されている。
1、11 セパレータ
2、12 正極
22 正極材
3、13 負極
32 負極材
21、31 集電体
4、14 電池容器
5、15 塩(溶融塩)
6、7、16、17 リード線

Claims (13)

  1. 正極と、負極と、電解質と、正極と負極との間を隔てかつ電解質に浸漬されるセパレータとを有し、
    前記正極及び/又は負極は、活物質としてナトリウム又はナトリウム化合物を含み、
    前記電解質が、(RSO(Rはフッ素原子又はフルオロアルキル基を示す)で表わされるアニオンと、アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の金属のカチオンとを含む溶融塩であり、
    前記セパレータが、硫黄、塩素、臭素、ヨウ素及び窒素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含みかつN−O結合及びC−F結合を含まない有機材料からなることを特徴とするナトリウム二次電池。
  2. セパレータを構成する前記有機材料の酸素指数が20以上であることを特徴とする請求項1に記載のナトリウム二次電池。
  3. セパレータを構成する前記有機材料が、芳香環を含む樹脂であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のナトリウム二次電池。
  4. セパレータを構成する前記有機材料が、硫黄を含む樹脂であることを特徴とする請求項3に記載のナトリウム二次電池。
  5. 硫黄を含む樹脂が、その主鎖に下記式(1)で表される繰返し単位を含むことを特徴とする請求項4に記載のナトリウム二次電池。
    Figure 2014103087
  6. セパレータを構成する前記有機材料が、アミド基を含む樹脂であることを特徴とする請求項3に記載のナトリウム二次電池。
  7. アミド基を含む樹脂が、その主鎖に下記式(2)で表される繰返し単位を含むことを特徴とする請求項6に記載のナトリウム二次電池。
    Figure 2014103087
  8. 前記正極が、前記溶融塩よりも融点が高いナトリウム酸化物を含むことを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のナトリウム二次電池。
  9. 前記正極が、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる集電体及びその表面上に形成されたナトリウム酸化物を主体とする層を有することを特徴とする請求項8に記載のナトリウム二次電池。
  10. 前記ナトリウム酸化物が、NaCrO又はNa2/3(Fe1/3Mn2/3)Oであることを特徴とする請求項9に記載のナトリウム二次電池。
  11. 前記負極が、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる板及びその表面上に形成されたチタン酸化物、シリコン、錫、亜鉛および炭素からなる群から選ばれる少なくとも1種を主体とする層を有することを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載のナトリウム二次電池。
  12. 前記集電体が、アルミニウム多孔体であることを特徴とする請求項9ないし請求項11のいずれか1項に記載のナトリウム二次電池。
  13. 前記溶融塩が、(FSONNaと(FSONKの混合物であることを特徴とする請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載のナトリウム二次電池。
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