しかしながら、非特許文献1に記載の金属微粒子の製造方法では、溶融塩中に溶解し得る化合物として、金属のハロゲン化物が用いられている。そのため、目的とする金属微粒子を構成する金属のハロゲン化物を別途用意する必要がある。また、特許文献1に記載の金属微粒子の製造方法において、一般的に市場で安価に入手しやすい金属酸化物の粉末を原料として用いる場合、原料を溶融塩中に化学的に溶解させるために、溶融塩の組成が大きく制限される。
また、特許文献1に記載の金属微粒子の製造方法において、陽極として用いる原料には、目的とする金属微粒子を構成する金属が含まれている必要があり、金属酸化物の粉末のみを陽極として用いて溶融塩中に金属イオンを供給することは困難である。
一方で、特許文献2に記載の金属の製造方法では、電解浴中の金属酸化物の粉末は、電解浴中に配置される陰極表面で電気化学的に還元され、目的とする金属が膜状に電析する。従って、膜状に電析した金属を粒子状で回収することは困難である。また、陰極基材の成分が、析出した金属中に不純物として混入する可能性もある。
このように、一般的に市場で安価に入手しやすい金属酸化物の粉末を原料として利用して、プラズマ誘起電解法により金属微粒子を製造するためには、従来の方法では多くの課題がある。
そこで、この発明の目的は、金属酸化物の粉末を原料として用いることが可能であって、電解浴中および生成した金属微粒子中に不純物が混入しにくい、金属微粒子の製造方法を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討の結果、金属微粒子、特に、金属のナノ粒子としてシリコンナノ粒子を生成する新しい手法を考案するに至った。この方法では、金属酸化物の粉末を原料として、これを溶融塩中に懸濁させて電解浴とし、この電解浴に対してプラズマ誘起電解を行うことで、金属酸化物粉末を放電電子により電気化学的に還元する。
以上の知見に基づいて、本発明に従った金属微粒子(シリコンナノ粒子)の製造方法は、(a)アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物、または、それらの混合物を含む溶融塩を用意するステップと、(b)前記溶融塩中に二酸化ケイ素の粉末を懸濁させ、さらに、アルカリ金属酸化物またはアルカリ土類金属酸化物を添加して電解浴を生成するステップと、(c)前記電解浴中に導電性セラミクスまたは導電性ダイヤモンドを含む不溶性酸素発生陽極を配置するステップと、(d)前記電解浴の外部において前記電解浴の表面近傍に陰極を配置するステップと、(e)前記陰極と前記電解浴表面との間に放電を発生させて前記二酸化ケイ素の粉末を還元するための電圧を、前記陽極と前記陰極との間に印加して通電するステップと、前記電解浴中に生成したシリコンナノ粒子を溶融塩とともに回収し、冷却・固化した塩を水洗により除去するステップとを備える。
目的とする金属微粒子を構成する金属のバルク金属や金属のハロゲン化物と比較して、金属酸化物の粉末は一般的に入手が容易である。また、金属酸化物の粉末を溶融塩中に懸濁させればよいので、金属酸化物を溶融塩中に化学的に溶解させる場合と比較して、使用する溶融塩の組成に課せられる制限が緩和される。
一方、電解浴中に浸漬された陰極表面上において金属酸化物を還元するのではなく、電解浴の表面近傍において放電電子により金属酸化物の粉末を還元することによって、金属が陰極上に電析するのではなく金属微粒子として電解浴中に生成するので、製造された金属微粒子を回収しやすい。また、陰極基材由来の不純物が、電解浴中および生成した金属微粒子中に混入しにくくなる。
このようにすることにより、金属酸化物の粉末を原料として用いることが可能であって、電解浴中および生成した金属微粒子中に不純物が混入しにくい、金属微粒子の製造方法を提供することができる。
また、金属酸化物が粉末状であることにより、金属酸化物が溶融塩中に懸濁・分散しやすくなり、金属酸化物の粉末の還元が均一に進行しやすくなる。
この発明に従った金属微粒子の製造方法においては、金属酸化物粉末の還元は、二酸化ケイ素粉末が陰極直下の電解浴表面の近傍に供給されるように、電解浴を攪拌しながら行われることが好ましい。
このようにすることにより、金属酸化物粉末の還元が均一に進行しやすくなる。
この発明に従った金属微粒子の製造方法においては、溶融塩中の金属酸化物粉末の含有量は、溶融塩重量に対して0.1〜20wt%であることが好ましい。
溶融塩重量に対する金属酸化物の含有量が0.1wt%よりも小さい場合には、陰極近傍に供給される金属酸化物の量が少なくなって還元反応がスムーズに進行し難くなることがある。一方、含有量が20wt%よりも大きい場合には、電解浴中に懸濁・分散されずに電解浴底に沈殿したり電解浴上表面部に留まったりするほか、電解浴の粘性が高くなるなど、電解操作に困難を伴うことがある。そこで、金属酸化物粉末の含有量が溶融塩重量に対して0.1〜20wt%であることにより、これらの難点を回避することができる。
この発明に従った金属微粒子の製造方法においては、金属酸化物の粉末は、平均粒子径が0.5nm〜100μmであることが好ましい。
このようにすることにより、金属酸化物粉末を電解浴中で均一に懸濁・分散できるので、得られる金属微粒子の組成や粒子径の均一性を高めることができる。
この発明に従った金属微粒子の製造方法においては、電解浴の温度が300℃〜1000℃であることが好ましい。
より低温で実施する場合には、使用できる溶融塩の組成が大きく制限され、また溶融塩中の酸化物イオンの溶解度や拡散速度が低下して陽極電流密度が低くなるため、十分な生産性を得るためには陽極構造や電解槽構造等に工夫が必要となる。一方、より高温で実施する場合では、電解槽等で使用する装置構造材料が大幅に制限されるなど、実操業上の課題が増えることになる。そこで、電解浴の温度を300℃〜1000℃にすることにより、使用する溶融塩の組成や構造材料等の自由度を維持しつつ、金属微粒子を製造することができる。
この発明に従った金属微粒子の製造方法においては、電解浴の温度が400℃〜700℃であることがより好ましい。
以上のように、この発明によれば、金属酸化物の粉末を原料として用いることが可能であって、電解浴中および生成した金属微粒子中に不純物が混入しにくい、金属微粒子の製造方法を提供することができる。
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、この発明の一つの実施形態の金属微粒子112の製造方法を実施するための金属微粒子112の製造装置1は、電解浴100を収容する容器10と、陽極21と、陰極22と、陽極21と陰極22とが接続される電源部23と、アルゴンガス供給部30と、アルゴン雰囲気保持部40とを備える。電解浴100は、溶融塩と金属酸化物粉末110とを含む。金属酸化物粉末110は、電解浴中に懸濁・分散されている。金属微粒子112は電解浴100中に生成する。
まず、電解浴100に含まれる溶融塩中に懸濁されている金属酸化物粉末110について説明する。金属酸化物粉末110は、溶融塩中で電気化学的に還元されて金属が得られる種類の金属の酸化物やその合金の酸化物の粉末であれば特に制限されない。金属酸化物粉末110は、特に、シリコン、チタン、タンタル、ニオブ、鉄、コバルト、ニッケル、アルミニウム、または、タングステンの酸化物であることが好ましい。また、金属酸化物粉末110の純度についても特に制限されない。高純度の金属微粒子112を得ようとする場合には、より高純度の金属酸化物粉末110を用いることが好ましい。金属酸化物粉末110の結晶性についても特に制限されない。金属酸化物粉末110は、例えば、単結晶であってもよいし、アモルファスであってもよい。
電解浴100の溶融塩中に懸濁させる金属酸化物粉末110の量は、金属酸化物粉末110の還元反応が進行する限り、特に制限はない。金属酸化物粉末110は、溶融塩の重量に対して0.1〜20wt%であることが好ましい。溶融塩の重量に対する金属酸化物粉末110の含有量が0.1wt%よりも小さい場合には、陰極22の近傍に供給される金属酸化物粉末110の量が少なくなって還元反応がスムーズに進行し難くなることがある。一方、溶融塩の重量に対する金属酸化物粉末110の含有量が20wt%よりも大きい場合には、電解浴100中に懸濁されずに電解浴100の底に沈殿したり電解浴100の上表面部に留まったりするほか、電解浴100の粘性が高くなるなど、電解操作に困難を伴うことがある。そこで、金属酸化物粉末110が溶融塩の重量に対して0.1〜20wt%であることにより、これらの難点を回避することができる。また、連続的に電解を行う際には必要量を一度に添加するのではなく、適量を電解の進行に応じて適宜追加供給するのが好ましい。
電解浴100の溶融塩中に懸濁させる金属酸化物粉末110の大きさについては、金属酸化物粉末110の比重に応じて適宜調整する必要があるが、平均粒子径が0.5nm〜100μmであることが好ましい。このようにすることにより、金属酸化物粉末を電解浴中で均一に懸濁・分散できるので、得られる金属微粒子112の組成や粒子径の均一性を高めることができる。また、金属酸化物粉末110の粉末の平均粒子径が大きい場合には、還元反応が粉末の内部にまで到達しない可能性が高くなり、また電解浴中で沈降しやすくなるために、均一な懸濁・分散が困難になる。一方、平均粒子径が小さい場合には、添加時に雰囲気内に舞い上がったり、浴表面に留まることで確実な添加が困難になるため、緩く押し固めたペレット状にして添加するなどの工夫が必要である。
次に、電解浴100の溶融塩について説明する。使用する溶融塩としては、例えば、LiF、NaF、KF、RbF、CsF、LiCl、NaCl、KCl、RbCl、CsCl、LiBr、NaBr、KBr、RbBr、CsBr、LiI、NaI、KI、RbI、CsI等のアルカリ金属ハロゲン化物や、MgF2、CaF2、SrF2、BaF2、MgCl2、CaCl2、SrCl2、BaCl2、MgBr2、CaBr2、SrBr2、BaBr2、MgI2、CaI2、SrI2、BaI2等のアルカリ土類金属ハロゲン化物の少なくとも1種が挙げられる。これらの化合物は単独又は二種以上を組み合わせて使用できる。その組み合わせや混合比は限定的ではなく、所望する作動温度等に応じて適宜設定すればよい。
特に金属酸化物粉末110の比重が大きい場合には、電解浴中での酸化物粉末の速やかな沈降が生じ懸濁が困難になることを避けるため、より比重の大きい組成の溶融塩を使用するのが好ましい。
電解浴100の浴温度は、対象となる金属の種類や、使用する溶融塩の組成などに応じて適宜調整すればよいが、300〜1000℃で行うのが好ましく、400〜700℃がより好ましい。より低温で実施する場合には、使用できる溶融塩の組成が大きく制限され、また溶融塩中の酸化物イオンの溶解度や拡散速度が低下して陽極電流密度が低くなるため、十分な生産性を得るためには陽極構造や電解槽構造等に工夫が必要となる。一方、より高温で実施する場合では、電解槽等で使用する装置構造材料が大幅に制限されるなど、実操業上の課題が増えることになる。
次に、陽極21と陰極22と電源部23について説明する。陰極(放電陰極)22については、プラズマ誘起電解において通常用いられる陰極22であれば利用でき、タングステンが例示できる。
陽極21では、金属酸化物粉末110の還元により生成した酸化物イオン111が酸化され酸素ガスが生成する。したがって、溶融塩電解で通常用いられる酸素発生陽極21が利用でき、ニッケルフェライトなどの導電性セラミクスや導電性ダイヤモンドが例示できる。ただし、電解開始直後などの電解浴100中の酸化物イオン111の濃度が低い場合、電解電流の大きさによっては、たとえばLiCl−KClなどの溶融塩化物を溶融塩として用いる場合では、陽極21で塩素が発生し、陽極21が損耗する可能性がある。そのため、陽極21反応に応じて黒鉛やグラッシーカーボンなどの炭素電極を使い分ける、もしくは酸化リチウムや酸化カルシウムなどの添加により酸化物イオン111をあらかじめ電解浴100中に供給しておくことで電解初期においても陽極反応が酸素発生となるようにする、などの措置を講じるのが好ましい。
このように、この発明に従った金属微粒子の製造方法においては、電解浴は、酸化リチウムや酸化カルシウムなどのアルカリ金属酸化物やアルカリ土類金属酸化物を含むことが好ましい。このようにすることにより、電解浴中に酸化物イオンを供給することができるので、電解開始直後から陽極では酸化物イオンが酸化されて酸素ガスが発生する。この場合、陽極に炭素電極を用いると炭素が消耗するので、電解初期の段階からニッケルフェライトなどの不溶性酸素発生陽極を用いることが好ましい。
電源部23は、陰極22と電解浴表面との間に放電を発生させて、金属酸化物粉末110を還元するための電圧を、陽極21と陰極22との間に印加するためのものである。
次に、アルゴンガス供給部30とアルゴン雰囲気保持部40について説明する。アルゴンガス供給部30は、電解浴100中にアルゴンガスを供給するためのものである。電解浴100中にアルゴンガスを供給することによって、電解浴100が攪拌される。アルゴンガス供給部30は、電解浴100を攪拌する攪拌部の一例である。電解浴100の撹拌の方法としては、アルゴンや窒素などの不活性ガス吹込みによるガス撹拌、撹拌羽根による機械式撹拌、ガラスやセラミクスに封入した磁石からなる高温用の撹拌子による撹拌、MHD対流による撹拌などが例示できる。
アルゴン雰囲気保持部40は、電解浴100と陰極22の周囲をアルゴン雰囲気下に保つためのものである。アルゴン雰囲気保持部40は、例えば、電解浴100と陰極22との全体を覆う箱体で構成されていてもよい。アルゴン雰囲気保持部40は、アルゴンガス排出部41を含む。アルゴンガス供給部30によってアルゴン雰囲気保持部40内に供給されたアルゴンガスは、アルゴンガス排出部41を通ってアルゴンガス雰囲気保持部40の外部に排出される。
以上のように構成される、図1に示す金属微粒子112の製造装置1による金属微粒子112の製造工程について説明する。
まず、ステップ(a)では、溶融塩を用意する。次に、ステップ(b)では、溶融塩中に、原料となる金属酸化物粉末110を懸濁させて電解浴100を生成する。ステップ(c)では、電解浴100中に陽極21を配置し、ステップ(d)では、電解浴100の近傍に陰極22を配置する。陰極22は、電解浴100の表面の上方において電解浴100の表面の近傍に配置される。ステップ(e)では、陰極22と電解浴表面との間に放電を発生させて、金属酸化物粉末110を還元するための電圧を、陽極21と陰極22との間に印加して通電する。ステップ(f)では、電解浴100を攪拌する。なお、(a)〜(f)のステップは、上述の(a)〜(f)の順に行われてもよいし、他の順序で行われてもよい。また、複数のステップが同時に行われてもよい。
金属酸化物粉末110が懸濁されている溶融塩を含む電解浴100は、アルゴンガス供給部30によって電解浴100中に吹き込まれるアルゴンガスで攪拌されて、金属酸化物粉末110が陰極22直下の電解浴表面近傍に常に供給される。陰極22直下の電解浴表面近傍では、陰極22から電解浴100中に供給される放電電子120によって、金属酸化物粉末110が電気化学的に還元され、酸化物イオン111と金属微粒子112とが生成する。酸化物イオン111は、陽極21において酸化されて、酸素ガス130となる。
陽極21と陰極22との間の電圧印加を停止した後、電解浴100中に生成した金属微粒子112を溶融塩とともに回収する。最後に、固化塩を水洗により除去して、金属微粒子112を得ることができる。
以上のように、金属微粒子112の製造方法は、溶融塩中に金属酸化物粉末110を懸濁・分散させた電解浴100の表面近傍において陰極放電を発生させることによって、電解浴100中の金属酸化物粉末110を還元させる。
また、金属微粒子112の製造方法は、(a)溶融塩を用意するステップと、(b)溶融塩中に金属酸化物粉末110を懸濁させて電解浴100を生成するステップと、(c)電解浴100中に陽極21を配置するステップと、(d)電解浴100の外部において電解浴100の表面近傍に陰極22を配置するステップと、(e)陰極22と電解浴表面との間に放電を発生させて、金属酸化物粉末110を還元するための電圧を、陽極21と陰極22との間に印加して通電するステップとを備える。
金属微粒子112の製造装置1においては、金属酸化物粉末110を溶融塩中に懸濁させて電解浴100とし、陰極22と電解浴表面との間に放電を発生させて、金属酸化物粉末110を還元するための電圧を、陽極21と陰極22との間に印加して通電することによって、金属酸化物粉末110を還元することができる。
目的とする金属微粒子112を構成する金属のバルク金属や金属のハロゲン化物と比較して、金属酸化物粉末110は一般的に安価での入手が容易である。また、金属酸化物粉末110を電解浴100中に懸濁させればよいので、金属酸化物粉末110を電解浴100中に化学的に溶解させる場合と比較して、使用する溶融塩の組成に課せられる制限が緩和される。また、金属酸化物粉末110が粉末状であることにより、金属酸化物粉末110が電解浴中に懸濁・分散しやすくなり、金属酸化物粉末110の還元が均一に進行しやすくなる。
一方、電解浴100中に浸漬された陰極22の表面上において金属酸化物粉末110を還元するのではなく、電解浴100の表面近傍において陰極放電により金属酸化物粉末110を還元することによって、陰極22の基材由来の不純物が電解浴100中もしくは金属微粒子112中に混入しにくくなる。また、金属が陰極22上に電析するのではなく金属微粒子として電解浴中に生成するので、製造された金属微粒子を回収しやすい。
このようにすることにより、金属酸化物の粉末を原料として用いることが可能であって、電解浴中および生成した金属微粒子中に不純物が混入しにくい、金属微粒子の製造方法を提供することができる。
また、金属微粒子112の製造方法においては、金属酸化物粉末110の還元は、電解浴100を攪拌しながら行われることにより、金属酸化物粉末110の還元が均一に進行しやすくなる。
この発明の金属微粒子の製造方法によって金属微粒子、特にナノ粒子が生成されることを次のようにして確認した。
溶融塩を用意するステップ(a)として、溶融LiCl−KCl共融組成塩(200g)を大気圧アルゴン雰囲気下で溶融させ、450℃で保持した。溶融塩中に金属酸化物の粉末を懸濁させて電解浴を生成するステップ(b)として、3gの二酸化ケイ素粉末(SiO2、325mesh)を添加して、アルゴンガス吹込みにより電解浴を撹拌することで電解浴中に懸濁・分散させた。電解浴中に陽極を配置するステップ(c)として、グラッシーカーボンによって構成される陽極を電解浴中に配置した。電解浴の外部において電解浴の表面近傍に陰極を配置するステップ(d)として、放電極である陰極としてはタングステン棒を電解浴の表面上方に配置した。ステップ(e)として、上記の電解浴に対してプラズマ誘起カソード電解(電解電流1A、20,000C)を行った。最後に、浴中に形成した粒子を溶融塩とともに回収し、冷却・固化した塩を水洗により除去して、生成した粒子を得た。
図2に示すように、生成した粒子をTEMにより観察した結果、数十nm程度のナノ粒子の形成が確認された。
図3に示すように、生成した粒子をXRDにより分析した結果、シリコンに帰属される回折パターンが観測された。このことから、二酸化ケイ素粉末が放電電子により還元されて、シリコンナノ粒子が形成されたことが確かめられた。
以上に開示された実施の形態と実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態と実施例ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正や変形を含むものである。