JP2007016293A - 懸濁電解による金属の製造方法 - Google Patents

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Toshiyuki Nohira
俊之 野平
Yasuhiro Fukunaka
康博 福中
Rika Hagiwara
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Abstract

【課題】安価に高純度のシリコンを製造する方法を提供することを目的とし、具体的には、溶融塩中に金属酸化物粉末を分散させ、電解還元することによる金属の製造方法を提供する。
【解決手段】ケイ素酸化物粉末等の金属酸化物粉末2の電解還元によるシリコン等の金属3の製造方法であって、該金属酸化物粉末2を塩化カルシウムや他の塩化物、フッ化物またはこれらの2種以上からなる混合物である溶融塩5中に懸濁させ陰極1表面で還元することを特徴とする製造方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属酸化物の粉末を溶融塩中に分散させたのち、陰極表面で該金属酸化物の電解還元を行なうことにより金属を製造する方法に関する。
非鉄金属、例えばアルミニウム、銅、亜鉛、レアメタルなど非鉄金属を含む廃棄物が地球環境の悪化と資源の浪費という問題を引き起こしているということから、非鉄金属のリサイクル技術が盛んに研究されている。このようなリサイクル技術として、溶融塩中において電解還元を用い、金属酸化物を金属に還元させる方法が提案されている。
特許文献1では、金属化合物を含む先駆物質粉末を粉末加工技術によりエレクトロデオキシデーョン用サンプルに成型したのち、導電性ワイヤーをリードとして電極とし、溶融塩中において電解還元を行ない、金属を製造する方法が開示されており、この製造方法によって、比較的純度の高い金属粉末を製造することができる。しかしながら、スリップキャスティング等の粉末加工技術により先駆物質粉末を成型する工程を必要するバッチプロセスのため生産性が悪い、成型されたサンプルの内部へ還元が進行するに従って生成された酸化物イオンが電極内部に取り残されやすくなるため、還元が完全に進行しない、還元速度が遅くなる、電流効率が悪くなるなどの問題があった。
また、非特許文献1では、石英板にモリブデン製の導電性ワイヤーを巻き付けた電極を用い、溶融塩中において電解還元を行ない、シリコンを製造する方法が開示されている。ここで、反応で生成した酸化物イオンは溶融塩中を反応界面からバルク部分へと移動するが、二酸化ケイ素がシリコンへと還元されつつある部分では空隙が狭いため、酸化物イオンの濃度が高くなり、酸化物イオンが拡散しにくくなるという問題が生じ、結果として還元速度および電流効率が低下するといった問題があった。
また、いずれの従来の製造方法も、電極と緻密質もしくは多孔質の金属酸化物(二酸化ケイ素)とがあらかじめ接触した状態で電解還元を行なうため、緻密質の場合は金属酸化物から金属へと還元された際の体積収縮により還元生成物に空隙が発生し、多孔質の場合は最初から存在していた空隙がさらに大きくなる。そのため、溶融塩が還元生成した金属内部に取り残されてしまい、塩の除去が困難であり、結果として純度が低下するといった問題があった。
特表2004−522851号公報 T. Nohira, K. Yasuda and Y. Ito, Nature Materials, 2, 397-401(2003)
本発明は、安価でかつ高純度の金属を製造する方法を提供することを目的とし、具体的には、溶融塩中に金属酸化物粉末を分散させ、陰極表面で電解還元すると同時に、生成する金属を陰極表面へ固定化し、連続的に還元を行なって金属を製造する方法を提供する。
本発明は、金属酸化物粉末の電解還元による金属の製造方法であって、該金属酸化物粉末を溶融塩中に懸濁させ陰極表面で還元することを特徴とする製造方法に関する。
金属酸化物粉末を陰極表面で還元すると同時に、生成する金属を陰極表面へ固定化することで連続的に還元を行なうことが好ましい。
金属酸化物粉末が溶融塩中に0.1〜10重量%含まれることが好ましい。
金属酸化物粉末の粒径が0.1〜300μmであることが好ましい。
金属酸化物粉末がケイ素酸化物粉末であることが好ましい。
ケイ素酸化物粉末が二酸化ケイ素粉末であることが好ましい。
二酸化ケイ素粉末がアモルファス体であることが好ましい。
アモルファス体が珪藻土由来であることが好ましい。
溶融塩が塩化カルシウム、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化セシウム、塩化マグネシウム、塩化ストロンチウム、塩化バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、フッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化バリウム、またはこれら2種以上からなる混合塩であることが好ましい。
電解還元する温度が500〜1200℃であることが好ましい。
電解還元の陰極電位が0.6〜1.2V(vs.Mn+/M(Mは溶融塩のカソード限界で析出するアルカリ金属またはアルカリ土類金属))であることが好ましい。
また、本発明は前記の製造方法により製造されたシリコンであって、金属不純物の含有量が100ppm以下であることを特徴とするシリコンにも関する。
ホウ素およびリンの不純物の含有量が各々1ppm未満であることが好ましい。
純度が太陽電池級(SOG)であることが好ましい。
また、本発明は、陽極、陰極、溶融塩および該溶融塩を収容する容器、ならびに該陰極および陽極を通電するための直流電源を備えた電解還元装置であって、該溶融塩中に金属酸化物粉末を懸濁させてなることを特徴とする電解還元装置にも関する。
陰極が、少なくとも表面がシリコンで構成されていることが好ましい。
溶融塩が塩化カルシウム、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化セシウム、塩化マグネシウム、塩化ストロンチウム、塩化バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、フッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化バリウム、またはこれら2種以上からなる混合塩であることが好ましい。
本発明の懸濁電解による金属の製造方法によると、金属酸化物が電解還元される反応界面が常に陰極の最外表面であるため、金属酸化物を連続的かつ速やかに電解浴側から陰極に供給することができ、かつ陰極反応で生成した酸化物イオンが速やかに溶融塩中へと拡散するので、金属酸化物の還元を高速かつ連続的に行なうことができる。また、原料である金属酸化物粉末を連続的に溶融塩へ追加することができるため、連続プロセスとなり得る。さらに、金属酸化物から金属への体積収縮も陰極の最外表面で生じるので、新たな金属酸化物が空隙に入り込んで還元されるとともに金属の再配列が行なわれ、従来の溶融塩電解法よりも緻密性の高い金属を生成することができる。金属が緻密に生成すれば、金属を回収するときに金属表面に付着した溶融塩だけを除去すればよいので、不純物量が低下しプロセスを簡易化できる。また、緻密な金属が生成すれば、そのまま多結晶金属のインゴットとして使用できる可能性がある。
本発明は、金属酸化物粉末の電解還元による金属の製造方法であって、該金属酸化物粉末を溶融塩中に懸濁させ陰極表面で還元することを特徴とする製造方法に関する。
図1に本発明における電解還元のメカニズムを示す。
溶融塩5中において懸濁した金属酸化物粉末2が陰極1と接触すると、金属酸化物粉末2は、陰極1から供給された電子により金属3へと還元され、酸化物イオン4が生成する。ここで、金属酸化物粉末2を陰極1表面で還元すると同時に、生成する金属3を陰極1表面へ固定化することで連続的に還元を行なうことが好ましい。なお、生成した酸化物イオン4は、溶融塩5中を陽極まで移動した後に酸素、一酸化炭素または二酸化炭素のいずれかとなってガスが発生する。
本発明の製造方法によれば、金属酸化物粉末2がバルクの電解浴側から連続的に供給されるため、金属酸化物粉末2と溶融塩5と導電部(陰極1または金属3)の三相帯は、常に導電部最表面に形成される。したがって、カソード反応で生成した酸化物イオン4が速やかにバルク溶融塩5へと拡散するので、金属酸化物還元反応の高速化が期待される。また、板状の金属酸化物を電解還元する場合、金属酸化物から金属へ還元する際の体積収縮により生成した金属に空隙が生じ、溶融塩が入り込んでしまうため、該溶融塩の除去が困難である。一方、本発明の製造方法によると、導電部最表面が反応界面となるため、金属酸化物2から金属3への体積収縮により空隙が形成されても、新たな金属酸化物2が次々に空隙に入り込んで還元されると考えられるので、緻密な金属が生成することが期待される。金属3が緻密に生成すれば、金属3を回収する際に金属表面に付着した溶融塩だけを除去すればよいので、プロセスの簡易化につながる。また、緻密な金属3が生成すれば、そのまま多結晶金属インゴットとして使用できる可能性がある。
本発明の方法によって製造できる金属としては、シリコン、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、インジウム、スズ、ハフニウム、タンタル、タングステン、タリウム、鉛、ビスマス、ランタノイド、アクチノイド、これらの合金などがあげられる。なかでも本発明はシリコンの製造に好適である。この場合、用いられるケイ素酸化物としては、たとえば二酸化ケイ素、一酸化ケイ素などがあげられるが、特に高純度のものが比較的安価に入手できる点で、二酸化ケイ素が好ましい。二酸化ケイ素としては、具体的には、石英、シリカサンド、アモルファス二酸化ケイ素などがあげられる。特に還元速度が大きい点で、アモルファス二酸化ケイ素が好ましい。さらに還元した場合に純度の高いシリコンが得られる点で、高純度アモルファス二酸化ケイ素がさらに好ましい。
アモルファス二酸化ケイ素としては、たとえば珪藻土に含まれるアモルファス二酸化ケイ素があげられる。該アモルファス二酸化ケイ素は、その生成過程において高温の熱履歴を経ておらず、化学結合が弱く、さらに、珪殻の多孔性と独特の形状により、いずれも極めて嵩高い粉体である。珪殻の細孔は、比較的マクロな孔であり、一般に採掘される珪藻土はその80〜90%が二酸化ケイ素と不純物としてアルミナなどの粘度成分を含む。珪藻土の二酸化ケイ素は石英などの結晶性二酸化ケイ素と異なりアルカリ水溶液中に容易に溶け出す特徴があるため、水溶液のpHをコントロールして溶解・再析出を繰り返すと二酸化ケイ素成分を選択的に精製することができる。このような湿式の精製プロセスを繰り返すことによって、二酸化ケイ素純度を99.9999%まで高めることができるため、二酸化ケイ素粉末としては珪藻土を精製して得られる高純度アモルファス二酸化ケイ素であることが特に好ましい。
懸濁電解に使用される金属酸化物の純度としては、たとえば該金属酸化物が二酸化ケイ素である場合、金属不純物量が100ppm以下であることが好ましく、10ppm以下がより好ましく、1ppm以下がさらに好ましく、0.5ppm以下がもっとも好ましい。二酸化ケイ素中の金属不純物量が100ppm以上であると、製造されたシリコン中の金属不純物量が100ppm以上となり、太陽電池用シリコンとして用いるために必要な精製過程の回数が増加する傾向がある。ここで、金属不純物としては、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、チタン、マンガン、鉄などがあげられる。
また、二酸化ケイ素中のホウ素およびリンの不純物量は、各々1ppm以下が好ましく、0.5ppm以下がより好ましく、0.1ppm以下がさらに好ましい。二酸化ケイ素中のホウ素およびリンの不純物量が1ppm以上であると、製造されたシリコン中のホウ素およびリンの不純物量が1ppm以上となる。シリコン中のホウ素およびリンの不純物濃度が増加すると、シリコンの比抵抗は低下し、太陽電池用シリコンとしての品質は低下するが、シリコン中のホウ素およびリンは他の不純物元素と比較して極めて除去しにくい。さらに、シリコンを用いて半導体を製造する際には、ホウ素やリンなどの添加物を少量加えることによって、p型またはn型の機能を発現させるが、シリコン中におけるホウ素およびリンの不純物の含有量が多くなると、半導体としての機能を制御することが困難となる。従って、製造されたシリコン中のホウ素およびリンの不純物量が1ppm以上となると、太陽電池用シリコンとして用いるために必要な精製過程の回数が増加する傾向がある。
なお、二酸化ケイ素中のホウ素およびリンの不純物量の合計が1ppm未満であることが好ましく、二酸化ケイ素中の全不純物含有量の合計が1ppm未満であることがより好ましい。
懸濁電解に用いる陰極としては、化学的に安定であって、溶融塩を構成するカチオンの還元または金属酸化物粉末の還元により生成した金属と合金化しないものが好ましい。特に、還元により生成した金属中に該陰極由来の不純物が混入しないようにするため、還元により生成する金属と同じ金属を陰極として用いたものや、たとえばモリブデン、タングステン、ニッケル、鉄−クロム−アルミニウム合金であるカンタルなどの陰極として一般的に用いられる金属の表面に、還元により生成する金属と同じ金属を被覆した陰極などを用いることが好ましい。二酸化ケイ素粉末の還元の際の陰極としてシリコンを用いる場合、該シリコンの純度としては、99.9%以上が好ましく、99.9999%以上がより好ましい。純度が99.9%より小さいと、シリコン電極中の不純物が電解還元により製造されたシリコンへ移行する傾向がある。
陽極については溶融塩電解に使用できるものであれば特に限定されないが、具体例としては炭素電極、グラファイト電極、グラッシーカーボン電極、フェライト系不溶性陽極、ホウ化チタン系不溶性陽極などがあげられる。なかでも、フェライト系不溶性陽極、ホウ化チタン系不溶性陽極などの不溶性陽極が不純物の混入を避ける点で好ましい。
なお、各電極の形状は特に限定されず、たとえば通常の平板状、棒状のものを用いることができるが、そのほかにも、円盤状の電極を上下に対向させて設置してもよい。
溶融塩中に分散させる金属酸化物粉末の含有量は、溶融塩中に0.1〜10重量%が好ましく、0.3〜3重量%がより好ましく、0.5〜1重量%がさらに好ましい。金属酸化物粉末の含有量が、0.1重量%より小さいと、陰極表面に供給される金属酸化物の量が減少し、還元速度が低下する傾向がある。一方、10重量%より大きいと、懸濁されずに溶融塩浴の上部または底部に凝集する金属酸化物粉末の割合が大きくなり、連続的な電解を困難にする傾向がある。なお、電解還元反応の進行の度合いに応じて、溶融塩中へ金属酸化物粉末を適宜追加してもよい。
溶融塩中に分散させる金属酸化物粉末の粒径は、0.1〜300μmが好ましく、5〜100μmがより好ましく、20〜50μmがさらに好ましい。金属酸化物粉末の粒径が、0.1μmより小さいと、かさ高くなり取り扱いが困難になる傾向がある。一方、300μmより大きいと、懸濁しにくく、還元効率の低下を招くおそれがある。
また、金属酸化物粉末を陰極表面へ速やかに供給し、かつ酸化物イオンを陰極近傍から速やかに除去するために、系内を撹拌させながら電解還元を行なうことが好ましい。撹拌方法(装置)としては、スクリューによる撹拌、アルゴンなどの不活性ガスのバブリングによる撹拌、磁場を印加した状態でのMHD対流による撹拌などがあげられる。なかでも、撹拌装置が溶融塩と接触せずに行なえる点から、磁場を印加した状態でのMHD対流による撹拌が好ましい。
電解質における溶融塩(MY)のカチオン種(M)としては、カルシウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウムがあげられる。また、アニオン種(Y)としては、塩素、フッ素、臭素があげられる。なかでも、溶融塩としては、塩化カルシウム、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化セシウム、塩化マグネシウム、塩化ストロンチウム、塩化バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、フッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化バリウム、またはこれら二種以上からなる混合塩、たとえば塩化カルシウム−塩化ナトリウム混合塩、塩化カルシウム−塩化リチウム−塩化カリウム混合塩などを用いることが酸化物イオンの溶解度が比較的大きく、腐食性が比較的小さいという点で好ましい。
電解還元の際の陰極電位は、溶融塩由来のカチオン(M)が溶融物から析出するための電位より貴な電位に設定する。陰極電位は0.6〜1.2V(vs.Mn+/M(Mは溶融塩のカソード限界で析出するアルカリ金属またはアルカリ土類金属))が好ましく、0.7〜1.0V(vs.Mn+/M)がより好ましい。陰極電位が0.6V(vs.Mn+/M)より卑であると、金属酸化物の還元と溶融塩由来のカチオンの還元が同時に起こり合金が生成し、不純物が増加する傾向がある。一方、陰極電位が1.2V(vs.Mn+/M)より貴であると、還元反応速度が著しく低下する傾向がある。
電解還元を行なう温度は、500〜1200℃が好ましく、800〜1000℃がより好ましい。電解還元温度が500℃より小さいと、酸化物イオンの溶解度および拡散速度が低下し、反応速度が低下する傾向がある。一方、電解還元温度が1200℃より大きいと、溶融塩の蒸気圧が大きくなり、溶融塩が揮発する傾向がある。
本発明の電解還元装置としては、陽極および陰極、溶融塩および該溶融塩を収容する容器、ならびに該陰極および陽極を通電するための直流電源を備えた電解還元装置であって、該溶融塩中に金属酸化物粉末を懸濁させてなることを特徴とする電解還元装置を用いることができる。具体例としては、たとえばステンレス製のセルホルダー内に高純度二酸化ケイ素または高純度アルミナ製のるつぼを格納し、高純度アルミナ製保護管によって被覆した作用電極、対向電極および参照電極を組み込んだものを使用することができる。なお、分散している金属酸化物が陽極に付着すると陽極の有効表面積が減少し電解が困難となるため、陽極および陰極を隔膜で分離することが好ましい。このような隔膜としては、高純度二酸化ケイ素製または高純度アルミナ製の多孔質板などがあげられる。また、容器内には前述したような撹拌装置が備え付けられていることが好ましい。ホルダー内はアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気下で電解還元を行なうことが好ましい。温度制御にはクロメル・アルメル熱電対または白金ロジウムを用いることが好ましい。
また、本発明の方法により製造される金属がシリコンである場合、該シリコンの純度は、金属不純物が100ppm以下であることが好ましく、10ppm以下がより好ましく、1ppm以下がさらに好ましく、0.5ppm以下がもっとも好ましい。シリコン中の金属不純物の含有量が100ppmより大きいと、太陽電池用シリコンとして用いるために必要な精製過程の回数が増加する傾向がある。金属不純物としては、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、チタン、マンガン、鉄などがあげられる。また、シリコン中のホウ素およびリンの不純物は、1ppm未満が好ましく、0.5ppm未満がより好ましく、0.1ppm未満がさらに好ましい。シリコン中のホウ素およびリンの不純物の含有量が1ppmより大きいと、太陽電池用シリコンとして用いるために必要な精製過程の回数が増加する傾向がある。また、該シリコンを用いて半導体を製造する際に、ホウ素やリンなどの添加物を少量加えることによって、p型またはn型の機能を発現させるが、シリコン中におけるホウ素およびリンの不純物の含有量が1ppmよりも大きいと、半導体としての機能を制御することが困難となる。さらに、シリコン中の全不純物含有量の合計が1ppm以下であることが好ましい。なお、製造されるシリコンの純度としては太陽電池級(SOG)のものであることが好ましい。
本発明の製造方法によって得られる金属がシリコンである場合は、たとえば単結晶シリコン太陽電池と多結晶シリコン太陽電池である結晶系シリコン太陽電池、球状シリコン太陽電池、金属酸化物の還元剤、シリコン化合物の原料などに好適に使用することができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
本実施例においては、セルホルダーとフランジカバーはステンレス製のものを用いた。ホルダー内はアルゴンガス(京都帝酸(株)製高純度アルゴン:純度99.995%)により、アルゴン雰囲気に保った。温度測定および制御には、クロメル・アルメル熱電対を用い、高純度アルミナ製保護管(SSA−S、(株)ニッカトー製:φ6.0mm、)で被覆した。
陰極には、単結晶シリコン板(100面、p−type、low、(株)ニラコ製:ca.30mm×5mm×0.5mmt)を用い、先端の約10mmが溶融塩に浸漬するように配置した。(電極有効面積は約2cm2
陽極としては、グラファイト棒(東海カーボン(株)製:5mm×5mm×50mm)をモリブデン線((株)ニラコ製:φ0.5mm、純度99.95%)で固定して用いた。電極のリードとしては、モリブデン線(菱光産業(株)製:φ1.0mm、純度99.95%)とニッケル線(菱光産業(株)製:φ1.0mm、純度99.7%)をつないだものを取り付け、高純度アルミナ管(SSA−S、(株)ニッカトー製:φ6.0mm)の内側に通した。また、リード部分はアルミナ製保護管(ハルデンワンガー社製:φ1.0mm)で被覆した。
溶融塩としては、塩化カルシウム(日本高純度化学(株)製:純度99%)300gを高純度アルミナるつぼ((株)ニッカトー製:φ9cm×10cmh×0.5cmt)に入れた後、473Kで数日間、773Kで1日間の真空乾燥を行なうことで水分の除去を行なったものを用いた。
溶融塩中にアモルファス二酸化ケイ素粉末(日本高純度化学(株)製:99.999%、平均粒径40μm)を0.8重量%添加し、アルゴンバブリングを行なうことで浴の撹拌を行なった。電解還元は、1123K、陰極電位1.0V(vs.Ca2+/Ca)で5分間行なった。
還元速度を調べるために、電解還元後の二酸化ケイ素の還元量を測定し、平均還元速度(10-6 mol cm-2-1)を求めた。また、得られたシリコンの形態を走査型電子顕微鏡により観察し緻密性を評価した。また、溶融塩中における二酸化ケイ素粉末の凝集の有無を目視により確認した。また、得られたシリコンをイオン交換水にて簡易洗浄した後、純度をグロー放電質量分析にて測定した。結果を表1に示す。
実施例2
陰極電位を0.7V(vs.Ca2+/Ca)とした以外は、実施例1と同様の方法により電解還元を行なった。得られたシリコンについて実施例1と同様の方法で物性を評価した。結果を表1に示す。
実施例3
陰極電位を1.1V(vs.Ca2+/Ca)とした以外は、実施例1と同様の方法により電解還元を行なった。得られたシリコンについて実施例1と同様の方法で物性を評価した。結果を表1に示す。
実施例4
溶融塩中への二酸化ケイ素粉末の添加量を5.0重量%とした以外は、実施例1と同様の方法により電解還元を行なった。得られたシリコンについて実施例1と同様の方法で物性を評価した。結果を表1に示す。
実施例5
電解還元時間を60分間とした以外は、実施例1と同様の方法により電解還元を行なった。得られたシリコンについて実施例1と同様の方法で物性を評価した。結果を表1に示す。これから明らかなように、本発明による方法によれば、電解時間が長くなった場合においても還元速度の低下は見られない。
Figure 2007016293
比較例1
実施例1において、二酸化ケイ素粉末を溶融塩中に分散させるかわりに、二酸化ケイ素粉末をプレス成型によりペレット(幾何表面積約2cm2)とし、圧縮させて得られた多孔質二酸化ケイ素粉末成形体に、モリブデン線(菱光産業(株)製:φ1.0mm、純度99.95%)を巻きつけた電極を用いた。それ以外は、実施例1と同様の方法により電解還元を行なった。得られたシリコンについて実施例1と同様の方法で物性を評価した。結果を表2に示す。
表2によると、実施例1と比較した場合、得られるシリコンが多孔質であり、金属不純物含有量が多いことがわかる。
比較例2
電解還元時間を60分間とした以外は、比較例1と同様の方法により電解還元を行なった。実施例1と同様に、得られたシリコンについて実施例1と同様の方法で物性を評価した。結果を表2に示す。
表2によると、電解時間が長くなった場合に、還元速度が大きく低下していることがわかる。また、得られるシリコンが多孔質であり、金属不純物含有量が多いことがわかる。
Figure 2007016293
本願発明における懸濁電解の反応メカニズムを示す図である。
符号の説明
1 陰極
2 金属酸化物粉末
3 金属
4 酸化物イオン
5 溶融塩

Claims (17)

  1. 金属酸化物粉末の電解還元による金属の製造方法であって、該金属酸化物粉末を溶融塩中に懸濁させ陰極表面で還元することを特徴とする製造方法。
  2. 金属酸化物粉末を陰極表面で還元すると同時に、生成する金属を陰極表面へ固定化することで連続的に還元を行なう請求項1記載の製造方法。
  3. 金属酸化物粉末が溶融塩中に0.1〜10重量%含まれる請求項1または2記載の製造方法。
  4. 金属酸化物粉末の粒径が0.1〜300μmである請求項1、2または3記載の製造方法。
  5. 金属酸化物粉末がケイ素酸化物粉末である請求項1、2、3または4記載の製造方法。
  6. ケイ素酸化物粉末が二酸化ケイ素粉末である請求項5記載の製造方法。
  7. 二酸化ケイ素粉末がアモルファス体である請求項6記載の製造方法。
  8. アモルファス体が珪藻土由来である請求項7記載の製造方法。
  9. 溶融塩が塩化カルシウム、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化セシウム、塩化マグネシウム、塩化ストロンチウム、塩化バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、フッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化バリウム、またはこれら2種以上からなる混合塩である請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の製造方法。
  10. 電解還元する温度が500〜1200℃である請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9記載の金属の製造方法。
  11. 電解還元の陰極電位が0.6〜1.2V(vs.Mn+/M(Mは溶融塩のカソード限界で析出するアルカリ金属またはアルカリ土類金属))である請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10記載の製造方法。
  12. 請求項5、6、7、8、9、10または11記載の製造方法により製造されたシリコンであって、金属不純物の含有量が100ppm以下であることを特徴とするシリコン。
  13. ホウ素およびリンの不純物の含有量が各々1ppm未満であることを特徴とする請求項12記載のシリコン。
  14. 純度が太陽電池級(SOG)であることを特徴とする請求項12または13記載のシリコン。
  15. 陽極、陰極、溶融塩および該溶融塩を収容する容器、ならびに該陰極および陽極を通電するための直流電源を備えた電解還元装置であって、該溶融塩中に金属酸化物粉末を懸濁させてなることを特徴とする電解還元装置。
  16. 陰極が、少なくとも表面がシリコンで構成されている請求項15記載の電解還元装置。
  17. 溶融塩が塩化カルシウム、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化セシウム、塩化マグネシウム、塩化ストロンチウム、塩化バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、フッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化バリウム、またはこれら2種以上からなる混合塩である請求項15または16記載の電解還元装置。
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