JP2016132680A - 繊維強化プラスチック成形体用基材、繊維強化プラスチック成形体及び繊維強化プラスチック成形体用基材の製造方法 - Google Patents

繊維強化プラスチック成形体用基材、繊維強化プラスチック成形体及び繊維強化プラスチック成形体用基材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、優れた強度を有する繊維強化プラスチック成形体を成形し得る繊維強化プラスチック成形体用基材を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、ガラス繊維と、官能基を有する熱可塑性樹脂繊維と、オキサゾリン系架橋剤とを含有する繊維強化プラスチック成形体用基材に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、繊維強化プラスチック成形体用基材、繊維強化プラスチック成形体及び繊維強化プラスチック成形体用基材の製造方法に関する。具体的には、本発明は、ガラス繊維と、熱可塑性樹脂繊維と、オキサゾリン系架橋剤とを含有する繊維強化プラスチック成形体用基材に関するものである。さらに本発明は、該繊維強化プラスチック成形体用基材から成形される繊維強化プラスチック成形体及び該繊維強化プラスチック成形体用基材の製造方法に関するものである。
ガラス繊維等の強化繊維を含む不織布(繊維強化プラスチック成形体用基材ともいう)を加熱加圧処理し、成形した繊維強化プラスチック成形体は、既にスポーツ、レジャー用品、航空機用材料など様々な分野で用いられている。これらの繊維強化プラスチック成形体においてマトリックスとなる樹脂には、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、またはフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂が用いられることが多い。しかし、熱硬化性樹脂を用いた場合、熱硬化性樹脂と強化繊維を混合した不織布は冷蔵保管しなければならず、長期保管ができないという難点がある。
このため、近年は、熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂として用い、強化繊維を含有した繊維強化プラスチック成形体用基材の開発が進められている。このような熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂として用いた繊維強化プラスチック成形体用基材は、保存管理が容易であり、長期保管ができるという利点を有する。また、熱可塑性樹脂を含む繊維強化プラスチック成形体用基材は、熱硬化性樹脂を含む繊維強化プラスチック成形体用基材と比較して成形加工が容易であり、加熱加圧処理を行うことにより成形加工品を成形することができるという利点を有している。
しかし、熱可塑性樹脂を用いた繊維強化プラスチック成形体は、熱硬化性樹脂を用いた繊維強化プラスチック成形体よりも、強度が劣るものが主流であった。このため、熱可塑性樹脂を用いた繊維強化プラスチック成形体の強度を高める検討が行われている。例えば、特許文献1には、強化繊維をカップリング剤処理し、強化繊維の表面に反応性官能基を導入することで、繊維強化プラスチック成形体の強度を向上させる方法が開示されている。ここでは、熱可塑性樹脂としては、繊維状ではない熱可塑性樹脂が用いられており、強化繊維としては、シランカップリング剤が予め付着したガラス繊維が用いられている。また、特許文献2には、熱可塑性樹脂として、カルボジイミド変性ポリオレフィン樹脂を用いることで、繊維強化プラスチック成形体の強度を向上させる方法が開示されている。ここでは、カルボジイミド変性ポリオレフィン樹脂を含む樹脂を用いることで強化繊維との界面接着性を高め、繊維強化プラスチック成形体の強度を向上させることが提案されている。
特開2005−2202号公報 特開2013−166921号公報
上述したように、特許文献1及び2においては、熱可塑性樹脂を含む繊維強化プラスチック成形体の強度を高める検討がなされている。しかしながら、特許文献1及び2に開示された繊維強化プラスチック成形体においても、その強度は十分ではないことが本発明者らの検討により明らかとなった。特に、自動車や航空機用材料として繊維強化プラスチック成形体が用いられる場合には、より優れた強度が要求されており、さらなる改善が求められていた。
そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、より優れた強度を有する繊維強化プラスチック成形体を成形し得る繊維強化プラスチック成形体用基材を提供することを目的として検討を進めた。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、ガラス繊維と、熱可塑性樹脂繊維を含有する繊維強化プラスチック成形体用基材に、特定の架橋剤を含有させることにより、優れた強度を有する繊維強化プラスチック成形体を成形し得ることを見出した。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[1]ガラス繊維と、官能基を有する熱可塑性樹脂繊維と、オキサゾリン系架橋剤とを含有する繊維強化プラスチック成形体用基材。
[2]さらにシランカップリング剤を含有する[1]に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
[3]官能基を有する熱可塑性樹脂繊維は、ナイロン又は酸変性ポリプロピレンである[1]又は[2]に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
[4]シランカップリング剤は、ガラス繊維と官能基を有する熱可塑性樹脂繊維とを含むシート基材に含浸させたものである[2]又は[3]に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
[5]ガラス繊維は、扁平ガラス繊維である[1]〜[4]のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
[6]オキサゾリン系架橋剤の含有量は、繊維強化プラスチック成形体用基材の全質量に対して0.1〜5質量%である[1]〜[5]のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
[7]シランカップリング剤の含有量は、繊維強化プラスチック成形体用基材の全質量に対して0.1〜5質量%である[2]〜[6]のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
[8]官能基を有する熱可塑性樹脂繊維は、酸変性ポリプロピレンであり、シランカップリング剤は、エポキシ系シランカップリング剤である[2]〜[7]のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
[9]官能基を有する熱可塑性樹脂繊維は、ナイロンであり、シランカップリング剤は、アミン系シランカップリング剤である[2]〜[7]のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
[10]ガラス繊維の含有量は、50〜85質量%である[1]〜[9]のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
[11]ガラス繊維と、官能基を有する熱可塑性樹脂繊維と、オキサゾリン系架橋剤とを含有する繊維強化プラスチック成形体用基材を、官能基を有する熱可塑性樹脂繊維のガラス転移温度以上の温度で加圧加熱成形することにより形成される繊維強化プラスチック成形体。
[12]繊維強化プラスチック成形体用基材は、さらにシランカップリング剤を含有する[11]に記載の繊維強化プラスチック成形体。
[13]ガラス繊維は、扁平ガラス繊維である[11]又は[12]に記載の繊維強化プラスチック成形体。
[14]ガラス繊維と、官能基を有する熱可塑性樹脂繊維とを混合し、湿式抄紙法又は乾式抄紙法で抄紙し、シート基材を得る工程と、シート基材にオキサゾリン系架橋剤を含浸させる工程と、オキサゾリン系架橋剤が含浸したシート基材を80〜150℃で乾燥する工程を含む繊維強化プラスチック成形体の製造方法。
[15]シート基材にシランカップリング剤を含浸させる工程をさらに含み、シランカップリング剤を含浸させる工程は、シート基材を得る工程の後であって、乾燥する工程の前に設けられる[14]に記載の繊維強化プラスチック成形体の製造方法。
本発明によれば、優れた強度を有する繊維強化プラスチック成形体を成形し得る繊維強化プラスチック成形体用基材を得ることができる。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
(繊維強化プラスチック成形体用基材)
本発明は、ガラス繊維と、官能基を有する熱可塑性樹脂繊維と、オキサゾリン系架橋剤とを含有する繊維強化プラスチック成形体用基材に関する。本発明では、ガラス繊維と、官能基を有する熱可塑性樹脂繊維を含有する繊維強化プラスチック成形体用基材にさらに、オキサゾリン系架橋剤を含有させることによって、より強度が高められた繊維強化プラスチック成形体を成形することができる。
(ガラス繊維)
本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材は、強化繊維としてガラス繊維を含む。本発明で用いるガラス繊維としては、Eガラス(Electrical glass)、Cガラス(Chemical glass)、Aガラス(Alkali glass)、Sガラス(High strength glass)及び耐アルカリガラス等のガラスを溶融紡糸してフィラメント状の繊維にしたものを挙げることができる。
ガラス繊維の繊維長は、重量平均繊維長として3〜100mmであることが好ましく、3〜75mmであることがより好ましく、3〜50mmであることがさらに好ましく、6〜50mmであることが特に好ましい。ガラス繊維の繊維長を上記範囲内とすることにより、繊維強化プラスチック成形体用基材からガラス繊維が脱落することを抑制することができ、かつ、強度に優れた繊維強化プラスチック成形体を形成することが可能となる。また、ガラス繊維の繊維長を上記範囲内とすることにより、ガラス繊維の分散性を良好にすることができる。これにより、加熱加圧成形後の繊維強化プラスチック成形体は良好な強度と外観を有する。
なお、本明細書において、重量平均繊維長は、100本の繊維について測定した繊維長の平均値である。
なお、ガラス繊維の繊維径は、特に限定されないが、一般的には数平均繊維径が5〜25μm程度のガラス繊維が好適に使用される。なお、本明細書において、数平均繊維径は、100本の繊維の繊維径を測定した繊維径の平均値である。
ガラス繊維は、一定の長さにカットされたチョップドストランドであることが好ましい。ガラス繊維は、このような形態であることにより、繊維強化プラスチック成形体用基材中に均一に混合することができる。
ガラス繊維は、丸ガラスであってもよく、扁平ガラスであってもよいが、扁平ガラスであることが好ましい。ここで、丸ガラスとは、繊維の断面形状が略円形のものである。なお、繊維の断面形状とは、ガラス繊維の長さ方向に対し、垂直方向のカット面の形状のことをいう。扁平ガラスとは、繊維の断面形状が扁平(異形)であるものであり、略円形ではないものをいう。具体的には、扁平形状とは、繊維の断面形状が、中心点を通過する最大長で定義される長径と、中心点を通過する最小長で定義される短径を有する形状をいう。扁平形状としては、例えば、ひょうたん型、まゆ型、長円型、楕円型等を例示することができる。
ガラス繊維が扁平ガラスである場合、繊維の断面形状の長径/短径の比は、1.5〜10であることが好ましく、2〜8であることがより好ましく、3〜6であることがさらに好ましい。長径/短径の比は、ガラス繊維の断面形状を顕微鏡観察し、長径と短径を測定することによって算出することができる。なお、長径/短径の比は、30本のガラス線の断面形状の長径/短径の比の平均値である。扁平ガラス繊維としては、例えば、日東紡社製の扁平ガラス繊維(重量平均繊維長が13mm、繊維断面の長径が28μm、短径が7μm、比(長径/短径)が4)を用いることができる。
本発明では、上述したような扁平ガラス繊維を用いることにより、繊維強化プラスチック成形体の曲げ強度と曲げ弾性率をさらに高めることができる。
ガラス繊維の含有量は、繊維強化プラスチック成形体用基材の全質量に対して、10〜90質量%であることが好ましく、30〜90質量%であることがより好ましく、50〜85質量%がさらに好ましい。ガラス繊維の含有量を上記範囲内とすることにより、曲げ強度と曲げ弾性率が十分に高められた繊維強化プラスチック成形体を成形することができる。
本発明で用いるガラス繊維は、シランカップリング剤が予め付着されていないものであることが好ましい。シランカップリング剤が予め付着していないガラス繊維は、保管条件(保管温度等)のコントロールが容易であり、保管や輸送のコストを抑えることができるというメリットがある。また、シランカップリング剤が予め付着していないガラス繊維は、ガラス繊維間で意図しない結合が起こることを防ぐことができ、スラリー溶液中におけるガラス繊維の分散性を高めることができる。さらに、繊維強化プラスチック成形体用基材を抄紙する際に、ガラス繊維からシランカップリング剤が脱落することがないため、最終的に得られる繊維強化プラスチック成形体用基材に含まれるシランカップリング剤の量を制御することが容易となる。加えて、シランカップリング剤を抄紙工程の後に含浸させることによって、より強度の高い繊維強化プラスチック成形体を成形することができる。
(熱可塑性樹脂繊維)
繊維強化プラスチック成形体用基材は、官能基を有する熱可塑性樹脂繊維を含む。官能基を有する熱可塑性樹脂繊維は、加熱加圧処理時にマトリックス、あるいは、繊維成分の交点に結着点を形成するため、マトリックス樹脂繊維と呼ぶこともある。このようなマトリックス樹脂繊維を用いた不織布状の繊維強化プラスチック成形体用基材は、熱硬化性樹脂を使用したシートに比べて、オートクレーブ処理が不要で、加工する際の加熱加圧成形時間が短時間ですみ、生産性を高めることができる。
熱可塑性樹脂繊維が有する官能基としては、水酸基、アミノ基、アミド基、カルボキシル基、酸無水物基、イソシアネート基、エポキシ基、チオール基、スルフィン酸基、イミド基、エステル基及びエーテル基から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。中でも、オキサゾリンとの反応性が良好な水酸基、カルボキシル基、酸無水物基、又はアミノ基、エポキシ基であることがより好ましく、カルボキシル基、酸無水物基、又はアミノ基であることがさらに好ましい。
熱可塑性樹脂繊維としては、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエステル、アクリル樹脂、ABS樹脂、ASA樹脂等を例示することができる。中でも、成形性、強度及びコストのバランスに優れた、ポリアミド又はポリオレフィンを用いることが好ましい。また、上記官能基を有する熱可塑性樹脂と、官能基を有さない熱可塑性樹脂を混合して用いてもよい。例えば、酸変性ポリプロピレンとポリプロピレンを混合して用いてもよい。
本発明では、熱可塑性樹脂繊維として、ポリオレフィンを用いることが好ましい。ポリオレフィンは、酸基含有ポリオレフィンであることが好ましく、酸基含有ポリオレフィンとしては、特に限定されないが、極性基を有する酸変性ポリプロピレンを用いることが好ましい。例えば、カルボキシル基を含有するモノマーと共重合したポリプロピレンを用いることができる。上記カルボキシル基を含有するモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ソルビン酸などの不飽和カルボン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などのジカルボン酸などを用いることができる。上記共重合するポリプロピレンは、プロピレン単独重合体であってもよく、プロピレン共重合体であってもよい。上記プロピレン共重合体としては、例えば、プロピレンとα−オレフィンとのランダム共重合体、プロピレンと他のオレフィンのブロック共重合体などが挙げられる。上記α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテンなどが挙げられる。具体的には、プロピレン共重合体としては、プロピレン−エチレンランダム共重合体などを用いることができる。中でも、安価に入手でき、融点が高く、耐衝撃性に優れることから、プロピレン単独重合体が好ましい。共重合の方法は、特に限定されず、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合などを用いることができる。繊維にしたときにカルボキシル基が表面に出やすいという観点から、グラフト共重合であることが好ましい。カルボキシル基量が多いという観点から、酸変性ポリプロピレンは、マレイン酸変性ポリプロピレン及び無水マレイン酸変性ポリプロピレンからなる群から選ばれる一種以上であることが好ましい。上記酸変性ポリプロピレンは、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明では、熱可塑性樹脂繊維として、ポリアミドを用いることも好ましい。ポリアミドはナイロンであることが好ましく、ナイロンとしては、ナイロン6、ナイロン66等を好ましく用いることができる。熱可塑性樹脂繊維としてナイロンを用いることにより、曲げ強度が高められた繊維強化プラスチック成形体を成形することができる。
熱可塑性樹脂繊維の繊維長は、重量平均繊維長として、3〜100mmであることが好ましく、3〜50mmであることがより好ましく、3〜25mmであることがさらに好ましい。熱可塑性樹脂繊維の繊維長を上記範囲内とすることにより、繊維強化プラスチック成形体用基材から熱可塑性樹脂繊維が脱落することを抑制することができ、ハンドリング性に優れた繊維強化プラスチック成形体用基材を得ることができる。また、熱可塑性樹脂繊維の繊維長を上記範囲内とすることにより、熱可塑性樹脂繊維の分散性を良好にすることができるため、強度に優れた繊維強化プラスチック成形体を形成することが可能となる。これにより、加熱加圧成形後の繊維強化プラスチック成形体は良好な強度と外観を有する。
本発明で用いられる繊維強化プラスチック成形体用基材では、熱可塑性樹脂繊維が繊維形態をしていることによりシート中に空隙が存在している。
本発明では、熱可塑性樹脂繊維が加熱加圧成形前には、繊維形態を維持しているため、繊維強化プラスチック成形体を形成する前は、シート自体がしなやかでドレープ性がある。このため、繊維強化プラスチック成形体用基材を巻き取りの形態で保管・輸送することが可能であり、ハンドリング性に優れるという特徴を有する。
(ガラス繊維と熱可塑性樹脂繊維の質量比)
本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材において、ガラス繊維と熱可塑性樹脂繊維の質量比は10:90〜90:10であることが好ましく、30:70〜90:10であることがより好ましく、50:50〜85:15であることがさらに好ましい。ガラス繊維と熱可塑性樹脂繊維の質量比を上記範囲内とすることにより、軽量であり、かつ高強度の繊維強化プラスチック成形体を得ることができる。
(オキサゾリン系架橋剤)
本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材は、オキサゾリン系架橋剤を含む。オキサゾリン系架橋剤は、繊維強化プラスチック成形体用基材中の繊維間の連結を強める働きをする。具体的には、オキサゾリン系架橋剤は、熱可塑性樹脂繊維間の結合を強めたり、熱可塑性樹脂繊維に結合したオキサゾリン系架橋剤がガラス繊維のシラノール基の一部と結合(吸着)することによって、繊維の連結を強めているものと考えられる。その結果、ガラス繊維と熱可塑性繊維が強固に連結することができ、繊維強化プラスチック成形体を成形した際には、その曲げ強度及び曲げ弾性率を十分に高めることができる。
オキサゾリン系架橋剤は、オキサゾリン基を有するものであれば、いかなるものでも構わない。例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、SBR樹脂、ポリオレフィン樹脂にオキサゾリン基をグラフト結合させたものを挙げることができる。
オキサゾリン系架橋剤中のオキサゾリン基の数は、オキサゾリン基1モル当たりの重合体の質量を意味する「オキサゾリン価(g solid/eq.)」で表される。オキサゾリン価は、40〜1000g solid/eq.の範囲内が好ましい。
オキサゾリン系架橋剤の含有量は、繊維強化プラスチック成形体用基材の全質量に対して0.1〜5質量%であることが好ましく、0.5〜3質量%であることがより好ましい。オキサゾリン系架橋剤の含有量を上記範囲内とすることにより、繊維強化プラスチック成形体の曲げ強度及び曲げ弾性率をより高めることができる。
オキサゾリン系架橋剤は、ガラス繊維と官能基を有する熱可塑性樹脂繊維を含むシート基材に含浸させることが好ましい。ここで、シート基材とは、ガラス繊維と、官能基を有する熱可塑性樹脂繊維とを混合し、湿式抄紙法又は乾式抄紙法で抄紙した基材をいう。本明細書においては、シート基材とは、抄紙直後(脱水後)の基材であって、オキサゾリン系架橋剤含浸後の乾燥工程を経る前の基材のことをいう。なお、抄紙直後(脱水後)には、予備乾燥工程が設けられてもよく、予備乾燥をした基材もシート基材という。また、本明細書においては、オキサゾリン系架橋剤を含浸させたシート基材を乾燥させて得られる基材を繊維強化プラスチック成形体用基材という。
本明細書においては、抄紙後のシート基材にオキサゾリン系架橋剤を添加することを、オキサゾリン系架橋剤を後添するということもある。なお、オキサゾリン系架橋剤は、抄紙後に添加されればよく、抄紙後であって、乾燥工程前に添加されることが好ましい。オキサゾリン系架橋剤を後添することにより、繊維強化プラスチック成形体用基材中に含まれるオキサゾリン系架橋剤の含有量をコントロールすることが容易となる。また、繊維強化プラスチック成形体用基材の製造工程におけるオキサゾリン系架橋剤のロスを少なくすることができ、使用効率を高めることができる。
オキサゾリン系架橋剤をガラス繊維と官能基を有する熱可塑性樹脂繊維を含むシート基材に含浸させる方法としては、オキサゾリン系架橋剤を含む水溶液に浸漬させる方法や、オキサゾリン系架橋剤を含む水溶液をシート基材にスプレー噴霧をする方法が挙げられる。
(シランカップリング剤)
本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材は、さらに、シランカップリング剤を含むことが好ましい。本発明では、オキサゾリン系架橋剤と、シランカップリング剤を併用することにより、繊維強化プラスチック成形体の曲げ強度と曲げ弾性率をさらに高めることができる。シランカップリング剤は、繊維強化プラスチック成形体用基材中において、ガラス繊維と熱可塑性繊維が強固に連結することを補助する働きをする。具体的には、シランカップリング剤は、繊維強化プラスチック成形体用基材中のガラス繊維に付着し、ガラス繊維と、熱可塑性樹脂と、オキサゾリン系架橋剤との結合を高めることができるものと考えられる。このように、本発明においては、繊維強化プラスチック成形体用基材を構成する各成分が相互作用し、その連結を強固にしている。このため、このような繊維強化プラスチック成形体用基材から成形される繊維強化プラスチック成形体は十分な曲げ強度と曲げ弾性率を有することとなる。
本発明では、シランカップリング剤は予めガラス繊維に付着させるのではなく、ガラス繊維と官能基を有する熱可塑性樹脂繊維を含むシート基材に含浸させることが好ましい。本明細書においては、このような順番でシランカップリング剤を添加することを、シランカップリング剤を後添するということもある。
シランカップリング剤が予め付着していないガラス繊維は、保管条件(保管温度等)のコントロールが容易であり、保管や輸送のコストを抑えることができるというメリットがある。また、シランカップリング剤が付着していないガラス繊維を用いる場合、ガラス繊維と官能基を有する熱可塑性樹脂繊維を含むシート基材を作製する際の抄紙工程で、ガラス繊維からシランカップリング剤が脱落(スラリー中に溶出)することがない。このため、最終的に得られる繊維強化プラスチック成形体用基材に含まれるシランカップリング剤の量を制御することが容易となる。本発明では、シランカップリング剤を後添することによって、繊維強化プラスチック成形体用基材の製造工程におけるシランカップリング剤のロスを少なくすることができ、使用効率を高めることができる。
シランカップリング剤をガラス繊維と官能基を有する熱可塑性樹脂繊維を含むシート基材に含浸させる方法としては、シランカップリング剤を含む水溶液に浸漬させる方法や、シランカップリング剤を含む水溶液をシート基材にスプレー噴霧をする方法が挙げられる。中でも、シランカップリング剤を含む水溶液に浸漬させる方法は、簡便であり、確実にシランカップリング剤をシート基材に含浸させることができるため好ましく用いられる。
シランカップリング剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(2,4−エポキシシクロヘキシル)エトキシメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。本発明では、反応性官能基としてアミノ基やエポキシ基、ビニル基を有するシランカップリング剤を好ましく使用することができる。
シランカップリング剤の含有量は、繊維強化プラスチック成形体用基材の全質量に対して0.1〜5質量%であることが好ましく、0.5〜3質量%であることがより好ましい。また、繊維強化プラスチック成形体用基材中におけるオキサゾリン系架橋剤とシランカップリング剤の含有量の比率は、1:100〜100:1であることが好ましく、1:10〜10:1であることがより好ましい。
(オキサゾリン系架橋剤とシランカップリング剤の組み合わせ)
本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材がオキサゾリン系架橋剤とシランカップリング剤の両方を含有する場合、官能基を有する熱可塑性樹脂繊維が酸変性ポリプロピレンであり、シランカップリング剤がエポキシ系シランカップリング剤であることが好ましい。また、官能基を有する熱可塑性樹脂繊維が酸変性ポリプロピレンである場合、ビニル系シランカップリング剤も好ましく用いられる。官能基を有する熱可塑性樹脂繊維がナイロンである場合は、シランカップリング剤は、アミン系シランカップリング剤を用いることが好ましい。また、官能基を有する熱可塑性樹脂繊維がナイロンである場合は、エポキシ系シランカップリング剤も好ましく用いられる。このような組み合わせでオキサゾリン系架橋剤とシランカップリング剤を併用することにより、曲げ強度と曲げ弾性率に優れた繊維強化プラスチック成形体を成形することができる。
(バインダー成分)
本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材は、バインダー成分をさらに含むことが好ましい。バインダー成分は、繊維強化プラスチック層の全質量に対して0.1〜10質量%となるように含有されることが好ましく、0.3〜10質量%であることがより好ましく、0.4〜9質量%であることがさらに好ましく、0.5〜8質量%であることが特に好ましい。バインダー成分の含有率を上記範囲内とすることにより、製造工程中の強度を高めることができ、ハンドリング性を向上させることができる。なお、バインダー成分の量は多くなると表面強度・層間強度共に強くなるが、逆に加熱成形時の臭気の問題が発生しやすくなる。しかし、上記の範囲においては臭気の問題はほとんど発生せず、また繰り返しの断裁工程を経ても層間剥離などを発生しない繊維強化プラスチック成形体用基材を得ることができる。
バインダー成分としては、一般的に不織布製造に使用される、ポリエチレンテレフタレート、変性ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂、各種澱粉、セルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、アクリルアミドーアクリル酸エステルーメタクリル酸エステル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポリ酢酸ビニル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が使用できる。
本発明で好ましいバインダー成分として、ポリエステル樹脂及び変性ポリエステル樹脂が挙げられる。ポリエステル樹脂としては、特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましい。変性ポリエステル樹脂は、ポリエステル樹脂を変性することで融点を低下させたものであれば特に限定されないが、変性ポリエチレンテレフタレートが好ましい。変性ポリエチレンテレフタレートとしては、共重合ポリエチレンテレフタレート(coPET)が好ましく、例えば、ウレタン変性共重合ポリエチレンテレフタレートが挙げられる。ポリエステル樹脂は本発明の熱可塑性樹脂繊維と加熱溶融時に相溶するため、冷却後も熱や樹脂の機能を損ないにくいため、好ましく用いられる。
共重合ポリエチレンテレフタレートは、融点が140℃以下のものが好ましく、120℃以下ものがより好ましい。また、特公平1−30926号公報に記載のような変性ポリエステル樹脂を使用してもよい。変性ポリエステル樹脂の具体例として、特に、ユニチカ社製商品名「メルティ4000」(繊維全てが共重合ポリエチレンテレフタレートである繊維)が好ましく挙げられる。また、芯鞘構造のバインダー繊維としては、ユニチカ社製商品名「メルティ4080」や、クラレ社製商品名「N−720」等が好適に使用できる。
また、バインダー成分として、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂も好ましく用いられる。ポリビニルアルコール(PVA)樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)繊維(クラレ社製、VPB105−2)等を用いることができる。なお、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂と、上述のポリエステル樹脂、変性ポリエステル樹脂を併用してもよい。併用する場合、ポリエステル樹脂及び変性ポリエステル樹脂の合計質量と、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂の質量比は、100:1〜1:100であることが好ましい。
(繊維形状)
本発明では、熱可塑性樹脂繊維とガラス繊維は、一定の長さにカットされたチョップドストランドであることが好ましい。また、バインダー成分として、バインダー繊維を含む場合は、バインダー繊維もチョップドストランドであることが好ましい。このような形態とすることにより、繊維強化プラスチック成形体用基材中で、各種繊維を均一に混合することができる。
本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材を製造する際には、熱可塑性樹脂繊維、ガラス繊維等のチョップドストランドを溶媒中に分散させ、その後溶媒を除去してウエブを形成する方法(湿式抄紙法)を採用してもよく、熱可塑性樹脂繊維、ガラス繊維等のチョップドストランドを空気中に分散させることで混合し、ウエブを形成する方法(乾式抄紙法)を採用してもよい。
(繊維強化プラスチック成形体)
本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材は、目的とする成形品の形状や成形法に合わせて任意の形状に加工することができる。繊維強化プラスチック成形体用基材は、1枚単独、或いは所望の厚さとなるように積層して熱プレスで加熱加圧成形したり、あらかじめ赤外線ヒーター等で予熱し、金型によって加熱加圧成形することができる。このように、一般的な繊維強化プラスチック成形体用基材の加熱加圧成形方法を用いて加工することにより、強度に優れた繊維強化プラスチック成形体とすることができる。
本発明はガラス繊維と、官能基を有する熱可塑性樹脂繊維と、オキサゾリン系架橋剤とを含有する繊維強化プラスチック成形体用基材を、官能基を有する熱可塑性樹脂繊維のガラス転移温度以上の温度で加圧加熱成形することにより形成される繊維強化プラスチック成形体に関するものでもある。本発明の繊維強化プラスチック成形体の成形に用いられる繊維強化プラスチック成形体用基材は、さらにシランカップリング剤を含有していることが好ましい。また、ガラス繊維は、扁平ガラスであることが好ましい、本発明では、上記のような繊維強化プラスチック成形体用基材を加熱加圧成形することにより、十分な曲げ強度を有する繊維強化プラスチック成形体を得ることができる。
繊維強化プラスチック成形体用基材から繊維強化プラスチック成形体を成形する際には、具体的には、繊維強化プラスチック成形体用基材を150〜600℃の温度で加熱加圧成形することが好ましい。なお、加熱温度は、熱可塑性樹脂繊維が流動する温度であってガラス繊維は溶融しない温度帯であることが好ましい。
繊維強化プラスチック成形体を成形する際の圧力としては、5〜20MPaが好ましい。また、所望の保持温度に到達するまでの昇温速度は3〜20℃/分が好ましく、所望の熱プレス温度での保持時間としては1〜30分、その後、成形体を取り出す温度(200℃以下)までは圧力を維持しながら、3〜20℃/分の冷却速度とするのが好ましい。更に、生産効率はやや落ちるものの、熱プレスの保持温度からマトリックス樹脂のガラス転移温度までは空冷でゆっくりと0.1〜3℃/分で冷却することも、強度向上の観点からは好ましい。また、急速加熱、急速冷却(ヒートアンドクール)成形を用いて熱プレス成形することも可能であり、その場合の昇温、冷却速度はそれぞれ30〜500℃/分である。更に、赤外線ヒーターによる場合は、温度として150〜600℃、好ましくは200〜500℃で1〜30分間加熱し、その後30〜150MPaの圧力で成形することができる。
なお、成形方法は特に限定はなく、通常のホット・コールドプレスによる成形、ベルトプレスによる成形、スタンピング成形等を好適に使用できる。また、真空ホット・コールドプレス機やオートクレーブを用いた成形では、特に緻密で良好な成形体を得ることができる。更に、得られた成形体にアウトサート成形・インサート成形を施すことも可能である。
本発明の繊維強化プラスチック成形体の曲げ強度は、165MPa以上であることが好ましい。なお、本明細書において、繊維強化プラスチック成形体の曲げ強度とは、繊維の配向方向(マシンディレクション、以下「MD方向」という。)およびMD方向と直交する方向(クロスディレクション、以下「CD方向」という。)の曲げ強度の相乗平均値である。なお、各方向の曲げ強度は、JIS K 7074(炭素繊維プラスチック成形体の曲げ試験方法)に準じて測定することができる。
曲げ強度の相乗平均値=√(MD方向の曲げ強度×CD方向の曲げ強度)
また、本発明の繊維強化プラスチック成形体の曲げ弾性率は、10GPa以上であることが好ましい。なお、本明細書において、繊維強化プラスチック成形体の曲げ弾性率とは、繊維の配向方向(マシンディレクション、以下「MD方向」という。)およびMD方向と直交する方向(クロスディレクション、以下「CD方向」という。)の曲げ弾性率の相乗平均値である。なお、各方向の曲げ弾性率は、JIS K 7074(炭素繊維プラスチック成形体の曲げ試験方法)に準じて測定することができる。
曲げ弾性率の相乗平均値=√(MD方向の曲げ弾性率×CD方向の曲げ弾性率)
繊維強化プラスチック成形体の厚みは、特に限定されないが、0.1〜50mm程度である。本発明の繊維強化プラスチック成形体は、上記のような構成により、所望の曲げ強度及び曲げ弾性率を有することができる。
(繊維強化プラスチック成形体用基材の製造方法)
本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材の製造方法は、ガラス繊維と、官能基を有する熱可塑性樹脂繊維とを混合し、湿式抄紙法又は乾式抄紙法で抄紙し、シート基材を得る工程と、シート基材にオキサゾリン系架橋剤を含浸させる工程と、オキサゾリン系架橋剤が含浸したシート基材を80〜160℃で乾燥する工程を含む。なお、乾燥する工程では、乾燥温度は、80〜150℃であることが好ましく、80〜140℃であることがより好ましい。さらに、本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材の製造方法は、シート基材にシランカップリング剤を含浸させる工程をさらに含むことが好ましい。この場合、シランカップリング剤を含浸させる工程は、シート基材を得る工程の後であって、乾燥する工程の前に設けられることが好ましい。
ガラス繊維と、官能基を有する熱可塑性樹脂繊維とを混合する工程では、分散液の濃度や溶媒の粘度を調整することで、各繊維を十分に分散させることができる。溶媒の粘度は、ポリアクリルアミド系の高分子を添加する等の方法で調整できる。各繊維を十分に分散させることで、繊維強化プラスチック成形体用基材中の各繊維同士が均一に混抄される。これにより、繊維強化プラスチック成形体用基材を加熱加圧成形した繊維強化プラスチック成形体において、部分的に樹脂の割合が多くなるのを防ぐことができ、繊維強化プラスチックの曲げ強度を高める事ができる。混合する工程では、ガラス繊維を単繊維状に分散させることが好ましい。
シート基材を得る工程は、ガラス繊維と、官能基を有する熱可塑性樹脂繊維の混合物を湿式抄紙法又は乾式抄紙法で抄紙する工程を含む。湿式抄紙法は、熱可塑性樹脂繊維とガラス繊維を水等の溶媒中に分散させ、その後溶媒を除去してウエブ(シート基材)を形成する方法である。乾式抄紙法は、熱可塑性樹脂繊維とガラス繊維を空気中に分散させることで混合し、ウエブ(シート基材)を形成する方法である。本発明では、いずれの方法も好ましく用いることができるが、湿式抄紙法を用いる方法を好ましく採用することができる。
なお、シート基材を得る工程では、ガラス繊維と、熱可塑性樹脂繊維に加えてバインダー成分を添加することとしてもよい。
湿式抄紙法を用いる場合、抄紙機としては、円網抄紙機、長網抄紙機又は傾斜型抄紙機を用いることができる。このような抄紙機を用いて抄紙をし、脱水をすることにより、シート基材を得ることができる。なお、シート基材は脱水後に、予備乾燥工程を設けてもよい。
シート基材を得る工程では、バインダー成分を含む溶液又はバインダー成分を含むエマルジョンをシート基材に内添、塗布又は含浸させる工程を含んでもよい。このような工程を設けることにより、繊維強化プラスチック成形体用基材の表面繊維の飛散、毛羽立ちや脱落を抑制することができ、ハンドリング性に優れた繊維強化プラスチック成形体用基材を得ることができる。
シート基材にオキサゾリン系架橋剤を含浸させる工程は、湿式抄紙法又は乾式抄紙法によって抄紙されたシート基材にオキサゾリン系架橋剤を含浸させる工程である。含浸の方法としては、オキサゾリン系架橋剤を含む水溶液に浸漬させる方法や、オキサゾリン系架橋剤を含む水溶液をシート基材にスプレー噴霧をする方法が挙げられる。オキサゾリン系架橋剤を含む水溶液に浸漬させる方法は、簡便であり、確実にオキサゾリン系架橋剤をシート基剤に浸漬させることができる。また、スプレー噴霧をする方法は、簡便で抄紙工程に取り入れやすく、生産性を向上することができる。オキサゾリン系架橋剤を含む水溶液に浸漬させる方法においては、具体的には、シート基材全体を0.1〜10質量%のオキサゾリン系架橋剤を含む水溶液に、1〜60秒間浸漬させることにより、シート基材にオキサゾリン系架橋剤を含浸させることができる。
シート基材にオキサゾリン系架橋剤を含浸させる工程の後には、オキサゾリン系架橋剤が含浸したシート基材を80〜160℃で乾燥する工程を含む。オキサゾリン系架橋剤が含浸したシート基材を乾燥させることで繊維強化プラスチック成形体用基材を得ることができる。乾燥工程における乾燥温度は、80〜150℃が好ましく、80〜140℃がより好ましい。なお、乾燥工程では、オキサゾリン系架橋剤の架橋反応温度未満の温度で乾燥することが好ましい。上記範囲の温度でシート基材の乾燥を行うことにより、未反応のオキサゾリン系架橋剤が繊維強化プラスチック成形体用基材に含まれることとなる。このような未反応のオキサゾリン系架橋剤は、繊維強化プラスチック成形体用基材を加熱加圧成形する際に、150〜600℃で加熱され、架橋反応する。また、繊維強化プラスチック成形体用基材がシランカップリング剤を含む場合、シランカップリング剤もオキサゾリン系架橋剤と同様に、繊維強化プラスチック成形体用基材を加熱加圧成形する際に、カップリング反応し、繊維間の結合を強固にする。このようにして、曲げ強度及び曲げ弾性率に優れた繊維強化プラスチック成形体が成形される。
本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材の製造方法は、シート基材にシランカップリング剤を含浸させる工程をさらに含むことが好ましい。この場合、シランカップリング剤を含浸させる工程は、シート基材を得る工程の後であって、乾燥する工程の前に設けられることが好ましい。シート基材にシランカップリング剤を含浸させる工程は、シート基材にオキサゾリン系架橋剤を含浸させる工程の前後に行われてもよく、シート基材にオキサゾリン系架橋剤を含浸させる工程と同時に行われてもよい。すなわち、シランカップリング剤は、抄紙直後のシート基材に含浸させてもよく、オキサゾリン系架橋剤が含浸したシート基材に含浸させてもよい。シート基材にシランカップリング剤を含浸させる工程とオキサゾリン系架橋剤を含浸させる工程を同時に行う場合は、例えば、シランカップリング剤と、オキサゾリン系架橋剤の両方を含む水溶液等にシート基材を含浸させてもよい。
本発明の繊維強化プラスチック成形体用基材の製造方法によって、繊維強化プラスチック成形体用基材を製造することにより、オキサゾリン系架橋剤やシランカップリング剤を抄紙工程の後に含浸させることができるため、オキサゾリン系架橋剤やシランカップリング剤の使用効率を高めることができる。また、繊維強化プラスチック成形体用基材中に含まれるオキサゾリン系架橋剤やシランカップリング剤の量をコントロールすることが容易となり、より高品質な繊維強化プラスチック成形体用基材を得ることができる。
(繊維強化プラスチック成形体の用途)
上記のようにして得られた繊維強化プラスチック成形体は、曲げ強度や曲げ弾性率に優れる。繊維強化プラスチック成形体の用途としては、例えば、「パソコン、ディスプレイ等のOA機器の筐体及び部品、携帯電話、スマートフォンタブレットPC等の携帯情報端末の筐体及び部品、デジタルカメラ、オーディオ等の光学機器の筐体及び部品、エアコン、照明機器等の家電製品の筐体及び部品、それぞれの筐体及び部品に貼り付けるリブ等の補強材」などが挙げられる。また、自動車、二輪車用部品として、「バンパー、アンダーカバー、エンジンカバー、エアロパーツなど外装部品、及び外装部品の1以上の側面に貼り付けるリブ等の補強材」、「インストルメントパネル、シートフレーム、ドアトリムなどの内装部品、及び内装部品の1以上の側面に貼り付けるリブ等の補強材」などが挙げられる。航空機用部材として、「スポイラー、ランディングギアポット、リブ」などが挙げられる。更に「樹脂(熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂)からなる成形体の補強材、樹脂と強化繊維からなる成形体の補強材、植物由来のシート(クラフト紙、段ボール、感熱紙、段ボール耐水紙、耐油紙、絶縁紙、導電紙、剥離紙、防錆紙、含浸紙、グラシン紙、グラファン、セルロースナノファイバーシート、コルクボードなど)の補強材」などが挙げられる。
このように、本発明の成形体用シートは、加工適性に優れ軽量で強度が高いため、電気、電子機器用の筐体、自動車等の部材、補強材、その他多種多様な用途に好ましく用いられる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(実施例1)
以下のようにして、表1に示す割合で各繊維を含む繊維強化プラスチック成形体用基材(湿式不織布)を製造した。
なお、ガラス繊維としては、重量平均繊維長が18mm、直径が9μmのユージー基材社製のガラス繊維(丸断面繊維)を用いた。また、酸変性ポリプロピレン繊維(熱可塑性樹脂繊維)としては、重量平均繊維長が15mmであって、繊維断面の長径および短径がいずれも18μmのダイワボウポリテック社製の酸変性ポリプロピレン繊維(丸断面繊維)を用いた。
まず、プロペラ型アジテーター付のタンクに、丸ガラス繊維の濃度が0.5質量%となるように、丸ガラス繊維と水を投入した。さらに、分散剤として「エマノーン(登録商標)3199V」(花王株式会社製、モノステアリン酸ポリエチレングリコール)の0.5質量%水溶液を、その固形分がガラス繊維100質量部に対して1.0質量部となるように添加し、プロペラ型アジテーターを用いて回転数250rpmで攪拌した。
次いで、酸変性ポリプロピレン繊維と、バインダー成分としてポリビニルアルコール(PVA)繊維(クラレ社製、VPB105−2)と、PET/変性PET芯鞘バインダー(芯鞘PET)繊維(クラレ社製、N720)を表1の配合比(質量比)となるように投入した。このようにして得た原料液は回転数250rpmで攪拌を続けた。
次いで、ポリアクリルアミド系粘剤(アクアポリマー社製、FA−40MT、質量平均分子量:1700万)の0.3質量%水溶液を、上記で得られた原料液に対してポリアクリルアミドの固形分が8ppmとなるように投入した。回転数250rpmで攪拌し、各繊維がモノフィラメント化した原料液を得た。
その後、原料液に水を加え、固形分濃度(ガラス繊維、酸変性ポリプロピレン繊維、芯鞘PET繊維、ポリビニルアルコール繊維の合計濃度)が0.5質量%となるように調製した。
その後、この原料液に水(抄紙工程の循環希釈水である白水)を加え、固形分濃度が0.05質量%の分散液を得た。この分散液の分散媒の25℃における粘度(ただし、JIS Z 8803「液体の粘度測定方法」に規定された測定方法による。)は、1.05mPa・sであった。
この分散液を傾斜型抄紙機のワイヤーに連続的に供給し、抄速:10m/min、ジェットワイヤー比:0.8になるよう調整し、抄紙を行った。サクションボックスを通過させて脱水した後、ヤンキードライヤーにより140℃で予備乾燥し、幅50cm、坪量100g/m2のシート基材を得た。なお、バインダー成分であるポリビニルアルコール繊維は水溶性であるため、シート基材中では繊維の形態を維持していなかった。
得られたシート基材を1.0質量%のオキサゾリン水溶液(日本触媒社製、WS−700)中に浸した。その後、真空吸引によって吸着量を調節し、110℃の恒温機で60分間乾燥させた。このようにして、繊維強化プラスチック成形体用基材の全質量(乾燥質量)に対して、オキサゾリン系架橋剤が1.7質量%付着した繊維強化プラスチック成形体用基材を得た。
得られた繊維強化プラスチック成形体用基材を16枚積層し、185℃に予熱したホットプレス内に入れ、温度:185℃、圧力:10MPa、時間:60秒間の条件で、加熱加圧成形を行った。その後、50℃に冷却し、厚み1.1mmの繊維強化プラスチック成形体(FRP成形体)を得た。
(実施例2)
ガラス繊維の代わりに、扁平ガラス繊維を用いた以外は、実施例1と同様にして繊維強化プラスチック成形体を得た。扁平ガラス繊維としては、重量平均繊維長が13mm、繊維断面の長径が28μm、短径が7μm、比(長径/短径)が4の日東紡社製の扁平ガラス繊維を用いた。
(実施例3)
実施例1で用いたオキサゾリン水溶液を、0.5質量%のオキサゾリン水溶液と
0.5質量%のエポキシ系シランカップリング剤水溶液(信越化学工業社製、KBM−403)の等重量混合液に変更した以外は、実施例2と同様にして繊維強化プラスチック成形体を得た。
(実施例4)
実施例1で用いたオキサゾリン水溶液を、0.75質量%のオキサゾリン水溶液と0.75質量%のエポキシ系シランカップリング剤水溶液の等重量混合液に変更した以外は、実施例2と同様にして繊維強化プラスチック成形体を得た。
(実施例5)
実施例1で用いたオキサゾリン水溶液を、1.5質量%のオキサゾリン水溶液と1.5質量%のエポキシ系シランカップリング剤水溶液の等重量混合液に変更した以外は、実施例2と同様にして繊維強化プラスチック成形体を得た。
(実施例6)
扁平ガラス繊維の含有率を60質量%とし、1.5質量%のオキサゾリン水溶液と1.5質量%のエポキシ系シランカップリング剤水溶液の等重量混合液に変更した以外は、実施例3と同様にして、繊維強化プラスチック成形体用基材を得た。このようにして得た繊維強化プラスチック成形体用基材を16枚積層し、250℃に予熱したホットプレス内に入れ、温度:250℃、圧力:20MPa、時間:60秒間の条件で、加熱加圧成形を行った。その後、50℃に冷却し、厚み1.1mmの繊維強化プラスチック成形体を得た。
(実施例7)
酸変性ポリプロピレン繊維の代わりに、重量平均繊維長が15mm、繊維断面の長径および短径がいずれも19μmの東レ社製のナイロン繊維(丸断面繊維)を用いた以外は、実施例2と同様にして、繊維強化プラスチック成形体用基材を得た。このようにして得た繊維強化プラスチック成形体用基材を16枚積層し、270℃に予熱したホットプレス内に入れ、温度:270℃、圧力:10MPa、時間:60秒間の条件で、加熱加圧成形を行った。その後、50℃に冷却し、厚み1.1mmの繊維強化プラスチック成形体を得た。
(比較例1)
オキサゾリン水溶液に浸漬しなかった以外は、実施例1と同様にして、繊維強化プラスチック成形体を得た。
(比較例2)
オキサゾリンの代わりに、カルボジイミド(日清紡社製、V−02−L02)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、繊維強化プラスチック成形体を得た。
(比較例3)
オキサゾリンの代わりに、ブロックイソシアネート(第一工業製薬社製、BN−77)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、繊維強化プラスチック成形体を得た。
(評価)
(曲げ強度)
実施例及び比較例で得られた繊維強化プラスチック成形体について、JIS K 7074(炭素繊維プラスチック成形体の曲げ試験方法)に準じて、繊維の配向方向(マシンディレクション、以下「MD方向」という。)およびMD方向と直交する方向(クロスディレクション、以下「CD方向」という。)の曲げ強度を測定した。各方向の曲げ強度から曲げ強度の相乗平均値を算出し、表1の「曲げ強度」の欄に記載した。
曲げ強度(相乗平均値)=√(MD方向の曲げ強度×CD方向の曲げ強度)
(曲げ弾性率)
実施例及び比較例で得られた繊維強化プラスチック成形体について、JIS K 7074(炭素繊維プラスチック成形体の曲げ試験方法)に準じて、繊維の配向方向(マシンディレクション、以下「MD方向」という。)およびMD方向と直交する方向(クロスディレクション、以下「CD方向」という。)の曲げ弾性率を測定した。各方向の曲げ弾性率から曲げ弾性率の相乗平均値を算出し、表1の「曲げ弾性率」の欄に記載した。
曲げ弾性率(相乗平均値)=√(MD方向の曲げ弾性率×CD方向の曲げ弾性率)
Figure 2016132680
表1に示すように、各実施例の繊維強化プラスチック成形体用基材を加熱加圧成形して得られた繊維強化プラスチック成形体は、架橋剤としてオキサゾリンを含有しているため、曲げ強度及び曲げ弾性率に優れていることがわかる。また、実施例3〜6で得られた繊維強化プラスチック成形体は、オキサゾリンとシランカップリング剤が併用されており、これによりさらに高い曲げ強度が得られることがわかった。また、ガラス繊維としては、扁平ガラスを用いることにより、さらに高い曲げ弾性率が得られることがわかった。また、実施例7のように、異なる熱可塑性樹脂であるナイロン繊維を用いてもオキサゾリンは有効であることがわかった。

Claims (15)

  1. ガラス繊維と、官能基を有する熱可塑性樹脂繊維と、オキサゾリン系架橋剤とを含有する繊維強化プラスチック成形体用基材。
  2. さらにシランカップリング剤を含有する請求項1に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
  3. 前記官能基を有する熱可塑性樹脂繊維は、ナイロン又は酸変性ポリプロピレンである請求項1又は2に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
  4. 前記シランカップリング剤は、前記ガラス繊維と前記官能基を有する熱可塑性樹脂繊維とを含むシート基材に含浸させたものである請求項2又は3に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
  5. 前記ガラス繊維は、扁平ガラス繊維である請求項1〜4のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
  6. 前記オキサゾリン系架橋剤の含有量は、前記繊維強化プラスチック成形体用基材の全質量に対して0.1〜5質量%である請求項1〜5のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
  7. 前記シランカップリング剤の含有量は、前記繊維強化プラスチック成形体用基材の全質量に対して0.1〜5質量%である請求項2〜6のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
  8. 前記官能基を有する熱可塑性樹脂繊維は、酸変性ポリプロピレンであり、前記シランカップリング剤は、エポキシ系シランカップリング剤である請求項2〜7のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
  9. 前記官能基を有する熱可塑性樹脂繊維は、ナイロンであり、前記シランカップリング剤は、アミン系シランカップリング剤である請求項2〜7のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
  10. 前記ガラス繊維の含有量は、50〜85質量%である請求項1〜9のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形体用基材。
  11. ガラス繊維と、官能基を有する熱可塑性樹脂繊維と、オキサゾリン系架橋剤とを含有する繊維強化プラスチック成形体用基材を、前記官能基を有する熱可塑性樹脂繊維のガラス転移温度以上の温度で加圧加熱成形することにより形成される繊維強化プラスチック成形体。
  12. 前記繊維強化プラスチック成形体用基材は、さらにシランカップリング剤を含有する請求項11に記載の繊維強化プラスチック成形体。
  13. 前記ガラス繊維は、扁平ガラス繊維である請求項11又は12に記載の繊維強化プラスチック成形体。
  14. ガラス繊維と、官能基を有する熱可塑性樹脂繊維とを混合し、湿式抄紙法又は乾式抄紙法で抄紙し、シート基材を得る工程と、
    前記シート基材にオキサゾリン系架橋剤を含浸させる工程と、
    前記オキサゾリン系架橋剤が含浸したシート基材を80〜150℃で乾燥する工程を含む繊維強化プラスチック成形体の製造方法。
  15. 前記シート基材にシランカップリング剤を含浸させる工程をさらに含み、
    前記シランカップリング剤を含浸させる工程は、前記シート基材を得る工程の後であって、前記乾燥する工程の前に設けられる請求項14に記載の繊維強化プラスチック成形体の製造方法。
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