JP2003119656A - 積層板用不織布用水性バインダー及びそれにより形成されてなる積層板用不織布、プリント配線板及び絶縁板 - Google Patents

積層板用不織布用水性バインダー及びそれにより形成されてなる積層板用不織布、プリント配線板及び絶縁板

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JP2003119656A JP2001317381A JP2001317381A JP2003119656A JP 2003119656 A JP2003119656 A JP 2003119656A JP 2001317381 A JP2001317381 A JP 2001317381A JP 2001317381 A JP2001317381 A JP 2001317381A JP 2003119656 A JP2003119656 A JP 2003119656A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐水性向上にともなって優れた電気特性を与
えると共に、優れた不織布強度や耐熱性等の基本性能を
与える積層板用不織布用水性バインダー及びそれにより
形成されてなる積層板用不織布、プリント配線板及び絶
縁板を提供する。 【解決手段】 カルボキシル基含有水性エポキシ樹脂
と、オキサゾリン系樹脂と、無機微粒子及び/又はアル
コキシシラン化合物含有分散体とを含む積層板用不織布
用水性バインダー、上記積層板用不織布用水性バインダ
ーにより形成されてなる積層板用不織布並びに上記積層
板用不織布を積層してなるプリント配線板及び絶縁板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、積層板用不織布用
水性バインダー及びそれにより形成されてなる積層板用
不織布、プリント配線板及び絶縁板に関する。
【0002】
【従来の技術】積層板用不織布用水性バインダーは、ガ
ラス繊維やアラミド繊維等に含浸されて複合材料である
積層板用不織布を形成し、これを積層することにより、
例えば、プリント配線板や絶縁板等を形成することにな
り、電気絶縁分野において欠かすことができないものと
なっている。このような用途では、エポキシ樹脂を水分
散したものが、積層板用不織布用水性バインダーの1つ
として広く好適に用いられている。
【0003】このような積層板用不織布用水性バインダ
ーとしては、特許第3136237号明細書や、特許第
2058501号明細書、特許第2058502号明細
書に記載のガラス繊維処理剤が挙げられる。これらを用
いると、汎用的な性能を有するプリント配線板や絶縁板
等を形成することができるが、特にエポキシエマルショ
ンとメラミン等のアミノ樹脂とを組み合わせたものが電
気絶縁用途における基本性能が良好である。
【0004】ところで、電気絶縁用途においては、高性
能化による高電気特性が求められている。例えば、通常
では、エポキシエマルションは水中における安定性を保
つためにカルボキシル基を有することになるが、エポキ
シエマルションとカルボキシル基と反応する硬化剤とを
組み合わせたものは、硬化物がカルボキシル基による耐
水性への影響を受けにくくなり、それに起因して電気特
性が向上することになる。
【0005】特開2000−64167号公報には、カ
ルボキシ変性エポキシ樹脂と、オキサゾリン系反応性ポ
リマーとを主成分として構成される積層板用不織布が開
示され、特開2001−192957号公報には、カル
ボキシ変性エポキシ樹脂、オキサゾリン系反応性ポリマ
ー及びブロックイソシアネート樹脂を主成分として構成
される積層板用不織布が開示されている。これらは、繊
維と繊維同士を結合する樹脂バインダーとからなる積層
板用不織布であり、オキサゾリン系反応性ポリマーやブ
ロックイソシアネート樹脂がカルボキシ変性エポキシ樹
脂のカルボキシル基と反応して硬化することから、耐水
性向上にともなって電気特性が向上することとなり、電
気絶縁用途において有用なものである。しかしながら、
電気絶縁用途における材料では、より優れた不織布強度
を有することにより積層板を薄膜軽量化することが要求
される場合があり、また、ハンダ耐熱性等の特性を向上
する工夫の余地があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記現状に
鑑みてなされたものであり、耐水性向上にともなって優
れた電気特性を与えると共に、優れた不織布強度や耐熱
性等の基本性能を与える積層板用不織布用水性バインダ
ー及びそれにより形成されてなる積層板用不織布、プリ
ント配線板及び絶縁板を提供することを目的とするもの
である。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、積層板用
不織布用水性バインダーについて種々検討するうち、カ
ルボキシル基含有水性エポキシ樹脂と、カルボキシル基
と反応する硬化剤とを組み合わせたものが耐水性向上に
ともなって優れた電気特性を有することにまず着目し
た。そしてカルボキシル基と反応する硬化剤としてはオ
キサゾリン系樹脂が最も好適であり、また、このような
積層板用不織布用水性バインダーが無機微粒子及び/又
はアルコキシシラン化合物含有分散体を含むと、上記課
題をみごとに解決することができることに想到した。
【0008】無機微粒子の作用効果としては、無機微粒
子の補強作用により強度や耐熱性が向上すること等が挙
げられるが、それに加えて、無機微粒子が有機無機複合
微粒子であると、有機の樹脂との相溶性が向上するこ
と、ガラスやアラミド等の繊維との密着性が向上するこ
と等の作用効果が発揮され、これらの相乗効果が得られ
ることとなる。また、カルボキシル基含有水性エポキシ
樹脂及びオキサゾリン系樹脂との組み合わせによりこれ
らの作用効果がより充分に発揮され、更に、有機部に水
酸基及び/又はカルボキシル基を有することによりオキ
サゾリン系樹脂と反応し、強度、耐水性等の物性が向上
することを見いだした。またアルコキシシラン化合物含
有分散体の作用効果としては、ガラス繊維やアラミド繊
維等との密着性を優れたものとし、更に、積層板用不織
布用水性バインダーの中和剤や酸基により不織布製造時
の熱乾燥時に硬化縮合反応により強靱な架橋バインダー
を形成することが可能となる。なお、シランカップリン
グ剤を添加して密着性の向上を図ることもできるが、分
散体になっていないので、水分等の影響により経時変化
を生じないように積層板用不織布の製造直前にバインダ
ー中に添加することになるため、予めバインダー中に添
加することができず、また、製造直前に添加したとして
もその後に経時変化を生じることとなる。本発明では、
アルコキシシラン化合物が分散体になっていることから
1液で安定であり、更に大量に使用することが可能とな
る。また、アルコキシシラン化合物の官能基がアルキル
基の場合、反応性はないが、疎水性が強く、更にアルキ
ル基が長い場合は、撥水性があることから、耐水性が向
上し、電気特性が更に向上することも見いだした。更に
無機微粒子及びアルコキシシラン化合物含有分散体の両
方を組み合わせることで、これらが反応し、より強固な
ネットワークが形成されることも見いだし、本発明に到
達したものである。
【0009】すなわち本発明は、カルボキシル基含有水
性エポキシ樹脂と、オキサゾリン系樹脂と、無機微粒子
及び/又はアルコキシシラン化合物含有分散体とを含む
積層板用不織布用水性バインダーである。本発明はま
た、上記積層板用不織布用水性バインダーにより形成さ
れてなる積層板用不織布でもある。本発明は更に、積層
板用不織布を積層してなるプリント配線板又は絶縁板で
もある。以下に本発明を詳述する。
【0010】本発明の積層板用不織布用水性バインダー
は、カルボキシル基含有水性エポキシ樹脂と、オキサゾ
リン系樹脂と、無機微粒子及び/又はアルコキシシラン
化合物含有分散体とを含む。これらはそれぞれ単独で用
いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0011】上記カルボキシル基含有水性エポキシ樹脂
の使用形態としては、水性媒体に分散させた分散体(エ
マルション)の形態で用いることが好ましいが、水溶液
や水希釈液の形態で用いてもよい。
【0012】上記カルボキシル基含有水性エポキシ樹脂
としては、例えば、エポキシ樹脂と、カルボキシル基含
有樹脂との反応物(以下、カルボキシ変性エポキシ樹脂
ともいう)等を用いることができる。このような樹脂と
しては特に限定されず、例えば、主鎖のエポキシ樹脂に
アクリル系ビニル共重合体を導入し、このビニル共重合
体にカルボキシル基が結合しているもの等が挙げられ、
具体的には、アクルリ変性エポキシ樹脂、アクリル変性
ビスフェノールA型エポキシ樹脂、カルボキシ変性ビス
フェノールA型アクリレート樹脂等が挙げられる。
【0013】上記カルボキシ変性エポキシ樹脂は、例え
ば、(1)エチレン性不飽和カルボン酸単量体を必須と
する単量体成分を重合してなるアクリル系樹脂とエポキ
シ樹脂とを塩基性化合物の存在下でエステル化反応させ
る方法、(2)エポキシ樹脂と1価のエチレン性不飽和
カルボン酸単量体とを加熱下でエステル化反応させた二
重結合を有する組成物の存在下で、上記エチレン性不飽
和カルボン酸単量体と、共重合可能な他の不飽和単量体
とを含む単量体成分を重合する方法により得ることがで
きる。
【0014】上記カルボキシ変性エポキシ樹脂としては
また、エポキシ樹脂と、カルボキシル基及びリン酸基含
有樹脂との反応物等を用いることができる。このような
反応物は、例えば、(3)リン酸基含有重合性単量体及
びエチレン性不飽和カルボン酸単量体を必須とする単量
体成分を共重合して得られるアクリル系樹脂とエポキシ
樹脂とをエステル化反応する方法、(4)エポキシ樹脂
とリン酸基含有重合性単量体とを反応させた二重結合を
有する組成物の存在下で、上記エチレン性不飽和カルボ
ン酸単量体と、共重合可能な他の不飽和単量体とを含む
単量体成分を重合する方法により得ることができる。こ
のようなリン酸基含有重合性単量体を用いて形成される
樹脂は、分散性が向上し、耐溶剤性、耐熱性、電気特性
等に優れたものとなる。
【0015】上記エチレン性不飽和カルボン酸単量体と
しては特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリ
ル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げら
れ、1種又は2種以上を用いることができる。また、単
量体成分は、エチレン性不飽和カルボン酸単量体と共重
合可能な他の不飽和単量体や乳化剤1種又は2種以上を
含んでもよい。他の不飽和単量体としては、例えば、
(メタ)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、(メ
タ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチ
ル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル
酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、
(メタ)アクリル酸2−エチル−ヘキシル、(メタ)ア
クリル酸ラウリル等の(メタ)アクリル酸エステル類;
スチレン、ビニルトルエン、2−メチルスチレン、t−
ブチルスチレン、クロルスチレン等のスチレン系単量
体;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)ア
クリル酸ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル
(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシ
(メタ)アクリレート(商品名:プラクセルFシリー
ズ、ダイセル化学工業社製)等のヒドロキシル基含有単
量体;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブ
トキシメチル(メタ)アクリルアミド等のN−置換(メ
タ)アクリル系単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル
等のエポキシ基含有単量体;アクリロニトリル等が挙げ
られる。
【0016】上記単量体成分におけるエチレン性不飽和
カルボン酸単量体の存在量としては例えば、単量体成分
を構成する単量体の総重量100重量%に対して5重量
%以上とすることが好ましい。5重量%未満であると、
水性媒体中におけるカルボキシル基含有水性エポキシ樹
脂の分散安定性が悪くなったり、積層板用不織布用水性
バインダー接着性が悪くなったりするおそれがある。
【0017】上記(3)及び(4)の方法において用い
られるリン酸基含有重合性単量体としては、例えば、
(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェ
ート等の(メタ)アクリロイルオキシアルキルアシッド
フォスフェート類又はそのアルキレンオキシド付加物、
(メタ)アクリロイルオキシアルキルアシッドフォスフ
ァイト類又はそのアルキレンオキシド付加物、グリシジ
ル(メタ)アクリレートやメチルグリシジル(メタ)ア
クリレート等のエポキシ基含有ビニル系モノマーとリン
酸若しくは亜リン酸又はこれらの酸性エステル類とのエ
ステル化合物等が挙げられる。これらは単独で用いても
よく、2種以上を併用してもよい。
【0018】上記リン酸基含有重合性単量体の使用量と
しては、生成するカルボキシ変性エポキシ樹脂100重
量%に対して、0.1〜25重量%となるようにするこ
とが好ましい。0.1重量%未満であると、ガラス繊維
処理剤として使用したときの耐熱性、耐溶剤性、電気特
性、樹脂の分散安定性及びガラス繊維処理を行い焼付硬
化処理を行うときに揮発性低分子物による炉の汚染(ヒ
ューム)、低温硬化性、硬化時間等が劣るおそれがあ
る。25重量%を超えると、ガラス繊維紙の可とう性が
減少したり、耐水性、電気特性等が劣るおそれがある。
より好ましくは、0.5〜10重量%である。
【0019】上記(1)、(2)、(3)及び(4)の
方法において、単量体成分を重合する方法としては特に
限定されず、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、ベ
ンゾイルパーオキサイド等の通常のラジカル重合開始剤
を用いて重合することによりアクリル系樹脂を得ること
ができる。
【0020】上記アクリル系樹脂の重量平均分子量とし
ては、例えば、2000〜100000が好ましい。2
000未満であると、乳化分散性が低下するおそれがあ
り、100000を超えると、エポキシ樹脂との反応時
にゲル化を生じやすくなるおそれがある。
【0021】上記エポキシ樹脂としては、ビスフェノー
ルF型及びビスフェノールA型エポキシ樹脂が好まし
く、1分子中に平均1.1〜2.0個のエポキシ基を有
し、数平均分子量が900以上のものが好ましい。この
ようなエポキシ樹脂の市販品としては、例えば、A型と
しては、大日本インキ化学工業社製のエピクロン105
0、エピクロン4050、エピクロン7050(いずれ
も商品名)、ジャパンエポキシレジン社製のエピコート
1001、エピコート1004、エピコート1007、
エピコート1009、エピコート1010(いずれも商
品名)等が挙げられる。F型としては、エピコート40
04P、エピコート4007P、エピコート4010
P、エピコート4110、エピコート4210(いずれ
も商品名、ジャパンエポキシレジン社製)等が挙げられ
る。
【0022】上記(1)の方法において、エステル化反
応においては、アクリル系樹脂とエポキシ樹脂とを親水
性有機溶剤中で塩基性化合物の存在下で反応させること
によりカルボキシ変性エポキシ樹脂を得ることになる。
塩基性化合物としては特に限定されず、例えば、ジメチ
ルエタノールアミン等の第3級アミン等が挙げられる。
また、(3)の方法において、エステル化反応において
は、アクリル系樹脂とエポキシ樹脂とを親水性有機溶剤
中で反応させることによりカルボキシ変性エポキシ樹脂
を得ることになる。これらのエステル化反応において
は、必要に応じて加熱を行ってもよい。また、(4)の
方法においては、エポキシ樹脂とリン酸基含有重合性単
量体とを反応させて二重結合を有する組成物を得る際、
必要に応じて加熱を行ってもよい。
【0023】上記の方法等により製造されたカルボキシ
ル基含有水性エポキシ樹脂は、必要に応じて、最終組成
物のpHが4〜11となる量の塩基性化合物、好ましく
はアンモニアやアミンを加え中和して、水性媒体中に分
散して用いてもよい。水性媒体とは、水又は水と親水性
有機溶剤との混合物を意味する。親水性有機溶剤として
は水と混合可能なものであれば特に限定されず、例え
ば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ
プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、
tert−ブタノール、イソブタノール等のアルキルア
ルコール類;エーテルアルコール類;メチルセロソルブ
アセテート、エチルセロソルブアセテート等のエーテル
エステル類;ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ダイ
アセトンアルコール類、エチレングリコールモノブチル
エーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテ
ル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピ
レングリコールモノブチルエーテル等のエーテルアルコ
ール類;ジエチレングリコール、アセトン、メチルエチ
ルケトンが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、
2種以上を併用してもよい。
【0024】本発明では、硬化剤としてオキサゾリン系
樹脂を用いる。このような樹脂としては、下記一般式
(1);
【0025】
【化1】
【0026】(式中、R1 、R2 、R3 及びR4 は、同
一若しくは異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキ
ル基、アラルキル基、フェニル基又は置換フェニル基を
表す。)で表されるオキサゾリン基を有する重合体であ
れば特に限定されず、例えば、付加重合性オキサゾリン
を必須とし、必要に応じてその他の不飽和単量体を含む
単量体成分を、従来公知の重合法により水性媒体中で溶
液重合することにより得ることができる。
【0027】上記付加重合性オキサゾリンとしては、例
えば、下記一般式(2);
【0028】
【化2】
【0029】(式中、R1 、R2 、R3 及びR4 は、上
記と同様である。R5 は、付加重合性不飽和結合をもつ
非環状有機基を表す。)で表される化合物等が挙げられ
る。このような化合物として、具体的には、2−ビニル
−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オ
キサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリ
ン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソ
プロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソ
プロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン等が挙げら
れ、1種又は2種以上を用いることができる。これらの
中でも、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業
的にも入手し易く好適である。
【0030】このようなオキサゾリン系樹脂としては、
水溶性タイプでは、エポクロスWS−500、WS−7
00、エマルションタイプでは、エポクロスK−201
0、K−2020、K−2030(日本触媒社製)が挙
げられる。特に、主剤との反応性の高い水溶性タイプが
好ましい。上記オキサゾリン系樹脂の使用量としては、
例えば、カルボキシル基含有水性エポキシ樹脂が有する
カルボキシル基と、オキサゾリン系樹脂が有するオキサ
ゾリン基とのモル比(カルボキシル基のモル数/オキサ
ゾリン基のモル数)が、100/20〜100/100
となるようにすることが好ましい。カルボキシル基に対
するオキサゾリン基のモル比が100/20未満である
と、未反応のカルボキシル基が残るおそれがあり、10
0/100を超えると、余剰のオキサゾリン基が生じて
親水基が増え、耐水性、電気特性が低下するおそれがあ
り、また経済的にも好ましくない。
【0031】上記カルボキシル基含有水性エポキシ樹脂
とオキサゾリン系樹脂との反応においては、カルボキシ
ル基が中和されている場合、オキサゾリン基とカルボン
酸塩とが反応しにくいことから、中和に用いるアミンの
種類(揮発性)を変えることで、反応性と貯蔵安定性を
コントロールすることもできる。
【0032】本発明ではまた、必要に応じて、オキサゾ
リン系樹脂以外の硬化剤1種又は2種以上を併用しても
よい。他の硬化剤としては、例えば、エポキシ基と反応
するアミン系化合物、水酸基と反応するメラミン系化合
物、フェノール系化合物、(ブロック)イソシアネート
系化合物、酸無水物等が挙げられる。特にブロックイソ
シアネート系化合物を併用するのが好ましい。これらの
硬化剤の使用量としては、所望する物性や用途等に応じ
て適宜設定すればよい。
【0033】本発明における無機微粒子としては、カル
ボキシル基含有水性エポキシ樹脂等との親和性がよく、
カップリング剤等によりこのような樹脂と化学的に結合
でき、かつ電気絶縁性を有するものが好ましい。このよ
うな無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、
チタニア、ジルコニア等が挙げられが、無機成分として
シリカ成分を含むものであることが好ましい。また、有
機無機複合微粒子を用いることが好ましい。有機無機複
合微粒子とは、有機部分(有機部)と無機部分(無機
部)とから構成される微粒子を意味し、例えば、有機部
分を構成する有機物と無機部分を構成する無機物とが縮
合して形成されるものが好ましいが、有機部分を構成す
る有機物と無機部分を構成する無機物とを混合したもの
等を有機無機微粒子として用いてもよい。また、このよ
うな有機無機微粒子の好ましい形態としては、有機部に
水酸基及び/又はカルボキシル基を有することであり、
これにより硬化剤と反応することができるため、強度や
耐水性等の物性が向上する。
【0034】上記有機物と無機物とが縮合して形成され
る有機無機複合微粒子としては、例えば、1分子当たり
に少なくとも1個のポリシロキサン基が結合しており、
かつ、上記ポリシロキサン基中に少なくとも1個のSi
−OR6基(R6は、水素原子、アルキル基及びアシル基
からなる群より選択される置換されていてもよい少なく
とも一種の基を表す。R6が1分子中に複数ある場合、
複数のR6は、同一であってもよく、異なってもよ
い。)を有する有機ポリマーを単独又は加水分解可能な
金属化合物と共に加水分解・縮合する製造方法により得
られるもの等が好適であり、このような製造方法により
製造される有機無機複合微粒子を用いることは、本発明
の最も好ましい形態の1つである。このような製造方法
により製造される有機無機複合微粒子においては、無機
微粒子が有機ポリマーで表面修飾されているためカルボ
キシル基含有水性エポキシ樹脂との親和性が良好であ
り、本発明の作用効果をより充分に発揮することができ
ることになる。また、縮合前の有機ポリマーを、本発明
における無機微粒子として用いることもできる。
【0035】上記有機ポリマーを構成する有機鎖の構造
としては特に限定されるものではない。また、有機ポリ
マーとしては、入手し易さ等の理由から、有機ポリマー
中のポリシロキサン基と有機鎖とが、Si−C結合、S
i−O−C結合等を介して化学結合している構造を有す
るものが好ましく、特に、結合部位が耐加水分解性に優
れる点及び結合部位での交換反応等の好ましくない反応
を受けにくいのが好ましいこと等から、ポリシロキサン
基と有機鎖とが、Si−C結合を介して化学結合してい
るものがより好ましい。なお、ここで有機鎖とは、有機
ポリマーにおいて、ポリシロキサン基以外の部分であ
る。
【0036】上記有機ポリマーの構造としては、後述す
る有機溶剤及び/又は水に溶解するものであれば特に限
定されず、例えば、ポリシロキサン基が有機鎖にグラフ
トした重合体、ポリシロキサン基が有機鎖の片末端若し
くは両末端に結合した重合体又はポリシロキサン基をコ
アとして複数の直鎖状若しくは分枝状の有機鎖(複数の
有機鎖は同じであってもよく、異なってもよい)が結合
した重合体等が挙げられる。有機鎖中の主鎖は、炭素を
主体とするものであり、主鎖結合にあずかる炭素原子が
50〜100モル%を占め、残部をN、O、S、Si、
P等の元素からなるものが容易に得られるため好まし
い。有機鎖を構成する重合体としては、例えば、(メ
タ)アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポ
リエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ
塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフ
タレート等のポリエステル、フッ素樹脂、シリコン樹脂
及びこれらの共重合体や一部変性した樹脂等が挙げられ
る。これらの中でも、本発明の作用効果を充分に発揮す
ることができることから、(メタ)アクリル単位を必須
として含む重合体が好ましい。更に、カルボキシル基及
び/又は水酸基を含むことが更に好ましい。このような
重合体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイ
ン酸、フマル酸、イタコン酸等のエチレン性不飽和カル
ボン酸単量体を必須とする単量体成分から形成される重
合体が挙げられる。
【0037】上記Si−OR6基中のR6O基は、加水分
解及び/又は縮合可能な官能基であって、有機ポリマー
1分子当たり少なくとも1個あり、平均5個以上あるの
が好ましく、20個以上あるのがより好ましい。R6
基の個数が多いほど、加水分解・縮合する反応点が増加
し、より強固な骨格を形成する微粒子が得られる。ここ
でR6としては、R6O基の加水分解・縮合速度が更に速
くなることから、水素原子、メチル基、エチル基が好ま
しく、メチル基が最も好ましい。
【0038】上記R6O基がSi原子と結合したSi−
OR6基を1個以上有するポリシロキサン基とは、2個
以上のSi原子がポリシロキサン結合(Si−O−Si
結合)により直鎖状又は分枝状に連結してなる基であ
る。このポリシロキサン基の有するSi原子の個数は、
特に限定されるものではないが、上述したR6O基を多
く含有できることから、ポリシロキサン基1個当たりの
平均で、4個以上が好ましく、11個以上がより好まし
い。このようなポリシロキサン基としては、例えば、ポ
リメチルメトキシシロキサン基、ポリエチルメトキシシ
ロキサン基、ポリメチルエトキシシロキサン基、ポリエ
チルエトキシシロキサン基、ポリフェニルメトキシシロ
キサン基、ポリフェニルエトキシシロキサン基等が挙げ
られる。
【0039】更に、ポリシロキサン基中のすべてのSi
原子は、有機鎖との結合及びポリシロキサン結合(Si
−O−Si結合)の他はR6O基とのみ結合しているこ
とが好ましい。このようなポリシロキサン基としては、
例えば、ポリジメトキシシロキサン基、ポリジエトキシ
シロキサン基、ポリジイソプロポキシシロキサン基、ポ
リn−ブトキシシロキサン基等が挙げられる。
【0040】上記有機ポリマーの分子量としては特に限
定されず、例えば、数平均分子量が200000以下で
あることが好ましい。200000を超えると、後述す
る有機溶剤に溶解しない場合があり、好ましくない。よ
り好ましくは、50000以下である。
【0041】上記有機ポリマーの製造方法としては、従
来公知の方法により製造することができ、特に限定され
ず、例えば、以下に示す(1)〜(4)の方法等により
製造することができる。
【0042】(1)二重結合基やメルカプト基を有する
ようなシランカップリング剤の存在下、ラジカル重合性
単量体をラジカル(共)重合した後、得られた(共)重
合体とシラン化合物及び/又はその誘導体を共加水分解
・縮合する方法。(2)二重結合基やメルカプト基を有
するようなシランカップリング剤とシラン化合物及び/
又はその誘導体とを共加水分解・縮合した後、得られた
共加水分解・縮合物(以下、重合性ポリシロキサンとも
いう)の存在下ラジカル重合性単量体をラジカル(共)
重合する方法。
【0043】(3)二重結合基、アミノ基、エポキシ
基、メルカプト基等の反応性基を有するようなシランカ
ップリング剤と上記反応性基と反応するような基を有す
る重合体とを反応させた後、得られた重合体とシラン化
合物及び/又はその誘導体を共加水分解・縮合する方
法。(4)二重結合基、アミノ基、エポキシ基、メルカ
プト基等の反応性基を有するようなシランカップリング
剤とシラン化合物及び/又はその誘導体とを共加水分解
・縮合した後、得られた上記反応性基を有するような共
加水分解・縮合によって得られたものと上記反応性基と
反応するような基を有する重合体を反応させる方法。こ
れらの方法の中でも、より容易に有機ポリマーを得るこ
とができる点から(2)の方法が好ましい。
【0044】上記加水分解可能な金属化合物は、加水分
解、更に縮合することにより3次元的にネットワークを
形成することができるものである。このような金属化合
物としては、例えば、金属ハロゲン化物、硝酸金属塩、
硫酸金属塩、金属アンモニウム塩、有機金属化合物、ア
ルコキシ金属化合物又はこれらの金属化合物の誘導体等
が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上
を併用してもよい。
【0045】上記金属化合物としては、金属化合物を構
成する金属元素が元素周期律表のIII族、IV族、V族の
各元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元
素であるものが好ましい。中でも、金属化合物を構成す
る金属元素がSi、Al、Ti及びZrからなる群から
選ばれる少なくとも1種の金属元素によって構成される
金属化合物がより好ましい。また、金属化合物の加水分
解速度と有機ポリマー中のポリシロキサン基が有するR
6O基との加水分解速度が同等であれば、共加水分解・
縮合反応を制御し易いため、金属化合物を構成する金属
元素としては、Siが最も好ましい。
【0046】上記金属化合物として、上記金属化合物の
誘導体も使用することができる。金属化合物の誘導体と
は、例えば、ハロゲン、NO3、SO4、アルコキシ基、
アシロキシ基等の加水分解性基の一部をジカルボン酸
基、オキシカルボン酸基、β−ジケトン基、β−ケトエ
ステル基、β−ジエステル基、アルカノールアミン基等
のキレート化合物を形成しうる基で置換した金属化合物
又は金属化合物及び/若しくはキレート置換金属化合物
を部分的に加水分解及び/又は縮合して得られるオリゴ
マー及びポリマー等である。
【0047】上記のキレート置換化合物としては、例え
ば、ジイソプロポキシチタンジアセチルアセトネート、
オキシチタンジアセチルアセトネート、ジブトキシチタ
ンビストリエタノールアミネート、ジヒドロキシチタン
ジラクテート、ジルコニウムアセチルアセトネート、ア
セチルアセトンジルコニウムブトキシド、トリエタノー
ルアミンジルコニウムブトキシド、アルミニウムアセチ
ルアセトネート等が挙げられる。
【0048】上記金属化合物としては、例えば、下記一
般式(3); (R7O)mMR8 n-m (3) (式中、Mは、Si、Al、Ti及びZrからなる群よ
り選択される少なくとも一種の金属元素を表す。R
7は、水素原子、アルキル基及びアシル基からなる群よ
り選択される置換されていてもよい少なくとも一種の基
を表す。R8は、アルキル基、シクロアルキル基、アリ
ール基及びアラルキル基からなる群より選択される置換
されていてもよい少なくとも1種の基を表す。nは、金
属元素Mの価数を表す。mは、1〜nの整数を表す。R
7及び/又はR8が1分子中に複数ある場合、複数のR7
及び/又はR8は互いに同一であってもよく、異なって
もよい。)で表される化合物及び/又は誘導体を用いる
ことが好ましい。
【0049】上記一般式(3)で表される金属化合物と
しては、具体的には、メチルトリアセトキシシラン、ジ
メチルジアセトキシシラン、トリメチルアセトキシシラ
ン、テトラアセトキシシラン、テトラメトキシシラン、
テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、
テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フ
ェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラ
ン、ジメトキシジメチルシラン、ジメトキシメチルフェ
ニルシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエ
トキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメトキシ
ジエトキシシラン、アルミニウムトリメトキシド、アル
ミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリイソプロポ
キシド、アルミニウムトリブトキシド、ジメチルアルミ
ニウムメトキシド、テトラメトキシチタン、テトラエト
キシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラブト
キシチタン、テトラ(2−エチルヘキシロキシ)チタ
ン、ジエキトシジブトキシチタン、イソプロポキシチタ
ントリオクタレート、ジイソプロポキシチタンジアクリ
レート、トリブトキシチタンステアレート、ジルコニウ
ムアセテート、テトラメトキシジルコニウム、テトラエ
トキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウ
ム、テトラブトキシジルコニウム等が挙げられる。
【0050】上記一般式(3)で示される金属化合物の
誘導体としては、具体的には、ジイソプロポキシチタン
ジアセチルアセトネート、オキシチタンジアセチルアセ
トネート、ジブトキシチタンビストリエタノールアミネ
ート、ジヒドロキシチタンジラクテート、ジルコニウム
アセチルアセトネート、アセチルアセトンジルコニウム
ブトキシド、トリエタノールアミンジルコニウムブトキ
シド、アルミニウムアセチルアセトネート等が挙げられ
る。
【0051】上記金属化合物としてはまた、工業的に入
手し易く、製造装置及び最終製品の諸物性に悪影響を及
ぼすハロゲン等を含んでいない等の理由から、一般式
(3)においてMがSiであるシラン化合物及びその誘
導体からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いるこ
とがより好ましい。シラン化合物としては、例えば、メ
チルトリアセトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラ
ン、トリメチルアセトキシシラン、テトラアセトキシシ
ラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、
テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、
メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラ
ン、フェニルトリエトキシシラン、ジメトキシジメチル
シラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、トリメチル
メトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチル
ジエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン等が挙
げられる。また、シラン化合物の誘導体としては、例え
ば、シラン化合物の加水分解・縮合物等が挙げられる。
これらの中でも、アルコキシシラン化合物が原料として
入手し易く特に好ましい。また、シラン化合物及びその
誘導体が、Si(OR74及びその誘導体であると、加
水分解・縮合速度が速く、より強固な骨格を形成した有
機無機複合微粒子が得られる点で好ましい。
【0052】上記有機複合無機微粒子の製造において、
有機ポリマーを単独又は金属化合物とともに加水分解・
縮合する際、加水分解・縮合の方法としては特に限定さ
れないが、反応を容易に行えるという理由から、溶液中
で行うのが好ましい。溶液とは、有機溶剤及び/又は水
を含む溶液であり、溶液の組成としては特に限定される
ものではない。
【0053】上記有機溶剤としては、例えば、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸メ
チル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イ
ソブチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテ
ル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸
エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸プロピレ
ングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリ
コールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコール
モノブチルエーテル等のエステル類;アセトン、メチル
エチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;
テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルエーテル、ジ
−n−ブチルエーテル等のエーテル類;メタノール、エ
タノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、
エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエ
ーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチ
レングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコ
ール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロ
ピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリ
コールモノブチルエーテル等のアルコール類;塩化メチ
レン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類等が挙げ
られ、1種又は2種以上を用いることができる。これら
の中でも、水と溶解可能なアルコール類、ケトン類、エ
ーテル類を必須として用いることが好ましい。
【0054】上記有機ポリマー単独又は有機ポリマーと
金属化合物の加水分解・縮合は無触媒で行うことができ
るが、酸性触媒又は塩基性触媒の1種又は2種以上を用
いることができる。酸性触媒としては、例えば、塩酸、
硫酸、硝酸、燐酸等の無機酸類;酢酸、プロピオン酸、
シュウ酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸類;酸性
イオン交換樹脂等が挙げられる。塩基性触媒としては、
例えば、アンモニア;トリエチルアミン、トリプロピル
アミン等の有機アミン化合物;ナトリウムメトキシド、
ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウム
エトキシド、カリウム−t−ブトキシド、水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属化合物;塩基性
イオン交換樹脂等が挙げられる。これらの中でも、塩基
性触媒を用いると、加水分解・縮合によって得られる無
機成分が、より強固な骨格を形成するため、好ましい。
触媒の使用方法としては特に限定されず、例えば、あら
かじめ水、有機溶剤、有機ポリマー、金属化合物に混合
して使用することができる。
【0055】上記加水分解・縮合の際の原料組成として
は特に限定されず、例えば、有機ポリマー、金属化合
物、有機溶剤、触媒及び水等よりなる原料組成物全量に
対して、有機ポリマーの量は、0.1〜80重量%が好
ましく、0.5〜30重量%がより好ましい。金属化合
物の量は、0〜80重量%が好ましく、0〜50重量%
がより好ましい。有機溶剤の量は、0〜99.9重量%
が好ましく、20〜99重量%がより好ましい。触媒の
量は、0〜20重量%が好ましく、0〜10重量%がよ
り好ましい。
【0056】上記加水分解・縮合に用いる水の量として
は、有機ポリマー単独又は有機ポリマーと金属化合物
が、加水分解・縮合によって粒子化する量であれば特に
限定されるものではないが、加水分解・縮合をより充分
に行い、粒子の骨格をより強固にするには、使用する水
の量は多ければ多いほどよい。具体的には、加水分解・
縮合する加水分解性基に対する水のモル比が、0.1以
上であることが好ましく、より好ましくは、0.5以
上、更に好ましくは、1以上の条件で加水分解・縮合を
行うことである。
【0057】上記加水分解・縮合の操作方法としては特
に限定されず、例えば、有機ポリマー又はその溶液を、
また、金属化合物も用いる場合は、金属化合物又はその
溶液を、水を含む溶液に添加し、反応温度が0〜100
℃で、好ましくは0〜70℃の範囲で、5分間〜100
時間攪拌することによって行われる。この際、有機ポリ
マー又はその溶液、金属化合物やその溶液を混合して、
又は、それぞれ別々に、一括、分割、連続等の任意の添
加方法で反応できる。また、添加を逆にして、水を含む
溶液を、有機ポリマー又はその溶液や金属化合物又はそ
の溶液中に添加してもよい。
【0058】上記加水分解・縮合の方法としては、より
狭い(シャープな)粒子径分布を有する有機無機複合微
粒子を製造できる点で、以下の方法が好ましい。すなわ
ち、反応容器中に下記原料液(A)及び原料液(B)
を、個別にかつ同時に供給して加水分解・縮合を行う方
法が好適に適用される。
【0059】原料液(A): 有機ポリマー又は有機ポ
リマーと加水分解可能な金属化合物とを含む液 原料液(B): 水を必須成分とする液 また、反応容器中に原料液(A)及び原料液(B)とと
もに、個別にかつ同時に、下記原料液(C)を供給する
方法も好ましい。
【0060】原料液(C): 加水分解可能な金属化合
物を含む液 また、原料液(A)中に少なくとも1種の加水分解可能
な金属化合物を含有させておいて上記の加水分解・縮合
する方法も好ましい。このような方法で加水分解・縮合
を行うと、加水分解・縮合に伴う有機無機複合微粒子の
析出過程をより制御しやすくなり、よりシャープな粒子
径分布を有する有機無機複合微粒子が得られる。
【0061】上記方法において、原料液(A)〜原料液
(C)の、反応容器中への個別の供給とは、各原料液が
反応容器中に供給される以前に、各原料液が混合するこ
となく供給が行われることである。また、原料液(A)
〜原料液(C)の、反応容器中への同時の供給とは、下
記の式で定義される任意の時間tにおける原料液(A)
及び原料液(C)の原料液(B)に対する供給比Xa
cが、好ましくは0.1〜10で、より好ましくは
0.3〜3で、特に好ましくは0.5〜2で供給される
ことである。
【0062】Xa=(a/A)/(c/C) Xc=(b/B)/( b/B) 上記式中、Aは、原料液(A)の全量を表し、Bは、原
料液(B)の全量を表し、Cは、原料液(C)の全量を
表す。aは、任意の時間tにおいて、既に供給された原
料液(A)の量を表し、bは、任意の時間tにおいて、
既に供給された原料液(B)の量を表し、cは、任意の
時間tにおいて、既に供給された原料液(C)の量を表
す。
【0063】上記加水分解・縮合の反応終了後、得られ
た有機無機複合微粒子を反応混合物から単離する方法と
しては特に限定されず、常法により行うことができ、例
えば、溶媒の留去、遠心分離、再沈、限外ろ過等により
単離、精製することができる。上記製造方法で得られた
有機無機複合微粒子は、そのまま添加してもよく、分散
体として添加してもよい。有機無機複合微粒子の分散体
は、有機無機複合微粒子を種々の溶媒に分散させること
により得ることができる。上記有機無機複合微粒子を分
散させる溶媒としては、有機無機複合微粒子中の有機鎖
が溶解する有機溶剤又は水を用いることが好ましい。
【0064】上記無機微粒子の平均粒径としては、本発
明の作用効果を奏する限り特に限定されるものではない
が、例えば、10nm〜1μmであることが好ましい。
1μmを超えると、積層板用不織布用水性バインダーの
分散安定性が劣ったり、不織布の強度が低下するおそれ
がある。また、10nm以下では、積層板用不織布用水
性バインダーの分散安定性が低下するおそれがある。
【0065】上記無機微粒子の使用量としては、無機微
粒子の種類等により適宜設定することになるが、例え
ば、カルボキシル基含有水性エポキシ樹脂100重量部
に対して、1〜30重量部となるようにすることが好ま
しい。1重量部未満であると、強度や耐熱性が充分得ら
れないおそれがあり、30重量部を超えると、もろくな
り強度低下、耐水性、電気特性が低下するおそれがあ
る。より好ましくは、5〜20重量部である。
【0066】本発明におけるアルコキシシラン化合物分
散体とは、アルコキシシラン化合物が媒体中に分散され
たものである。好ましい形態としては、水性媒体中に分
散された形態であり、より好ましくは、乳化分散された
形態である。このようなアルコキシシラン化合物分散体
の好ましい製造方法としては、例えば、水と乳化剤とを
含む混合液を攪拌しながら、この混合液に、アルコキシ
シラン化合物と乳化剤とを含む混合液を徐々に添加、混
合して乳化、分散を行う方法等が挙げられる。
【0067】上記アルコキシシラン化合物分散体に含ま
れるアルコキシシラン化合物は、1種であってもよく、
2種以上であってもよいが、トリアルコキシシラン化合
物を含むことが好ましい。トリアルコキシシラン化合物
としては、例えば、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキ
シルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、
メチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピル
トリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシ
シラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、
3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシ
シラン、n−オクチルトリエトキシシラン、フェニルト
リメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等が挙
げられる。上記トリアルコキシシラン化合物以外のアル
コキシシラン化合物としては、例えば、テトラメトキシ
シラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン
等のテトラアルコキシシラン化合物等が挙げられる。
【0068】上記アルコキシシラン化合物分散体の製造
に用いられる乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチ
レンノニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム塩等が好
適であり、また、アルコキシシラン化合物を含む乳化剤
としては、例えば、ポリオキシエチレンジエトキシメチ
ルシリルプロピルグリシジルノニルフェニルエーテル等
が好適である。
【0069】上記アルコキシシラン化合物分散体の使用
量としては、例えば、カルボキシル基含有水性エポキシ
樹脂100重量部に対して、アルコキシシラン化合物が
1〜30重量部となるようにすることが好ましい。1重
量部未満であると、密着性、強度、耐熱性向上の効果が
得られないおそれがあり、30重量部を超えると、積層
板用不織布用水性バインダー液の安定性が低下、電気特
性の低下となるおそれがある。より好ましくは、5〜2
0重量部である。
【0070】本発明の積層板用不織布用水性バインダー
には、上述した必須成分以外に、必要に応じてカップリ
ング剤、硬化促進剤等を適量添加することができる。特
にガラス繊維を用いる不織布の場合は、シランカップリ
ング剤が効果的であり、耐熱性及び電気絶縁性が向上す
ることになる。
【0071】本発明の積層板用不織布用水性バインダー
にはまた、本発明の作用効果を奏する限り、必要に応じ
て、アクリルエマルション、ウレタンエマルション等の
バインダー、溶剤、可塑剤、無機又は有機の充填剤、着
色顔料、染料、増粘剤、分散剤、湿潤剤、消泡剤、防腐
防カビ剤、防錆剤等を適宜添加してもよい。
【0072】本発明の積層板用不織布用水性バインダー
における固形分濃度としては特に限定されず、例えば、
積層板用不織布用水性バインダー100重量%に対し
て、固形分が5〜40重量%となるようにすることが好
ましい。より好ましくは、5〜20重量%である。
【0073】本発明の積層板用不織布用水性バインダー
を製造する方法としては特に限定されず、例えば、カル
ボキシル基含有水性エポキシ樹脂の水溶液、水希釈液又
は水分散液に、オキサゾリン系樹脂、無機微粒子及び/
又はアルコキシシラン化合物分散体、並びに、必要に応
じて添加されるその他の成分を適宜添加、混合すること
により行うことができる。
【0074】本発明の積層板用不織布用水性バインダー
は、ガラス繊維やアラミド繊維等の繊維に含浸されるこ
とにより積層板用不織布を形成することができるもので
ある。このような、本発明の積層板用不織布用水性バイ
ンダーにより形成されてなる積層板用不織布もまた、本
発明の1つである。
【0075】上記繊維としては、例えば、有機系であっ
ても無機系であってもよく、例えば、チョップドストラ
ンド、カットファイバー、パルプ、ステープル等が用い
られる。また、これらの繊維は1種類でもよく、多種類
のブレンドであってもよい。繊維の成分としては、各種
ガラス繊維、各種合成高分子繊維、無機繊維等が挙げら
れるが、電気絶縁材料に用いられる絶縁性を有し、かつ
その融点はハンダ耐熱温度の260℃以上であることが
必要である。このような繊維として、具体的には、電器
絶縁用Eガラス、セラミック、パラ系アラミド、メタ系
アラミド、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、
PPO(ポリフェニレンオキサイド)、PI(ポリイミ
ド)、PAI(ポリアミドイミド)、PPS(ポリパラ
フェニレンサルファイド)、PBO(ポリパラフェニレ
ンベンゾビスオキサゾール)、液晶ポリエステル等の繊
維が挙げられる。
【0076】本発明の積層板用不織布において、積層板
用不織布用水性バインダー及び繊維の存在割合として
は、積層板用不織布の総重量100重量%に対して、積
層板用不織布用水性バインダーが20〜3重量%、繊維
が80〜97重量%となるように配合することが好まし
い。積層板用不織布用水性バインダーが3重量%未満で
あると、不織布の強度が低下し、エポキシワニスを含浸
してプリプレグとする工程で紙切れ等の不都合を生じた
り、不織布表面にケバが発生したりして好ましくない。
また、積層板用不織布用水性バインダーが20重量%を
超えると、不織布のしなやかさが失われる等工程上の不
都合が生じるおそれがある。
【0077】本発明における積層板用不織布の形成方法
は特に限定せず、湿式法、乾式法のいずれの方法を用い
てもよいが、より高密度の基材とするためには湿式法を
適用することが好ましい。シート化した不織布に積層板
用不織布用水性バインダーを添加する方法としては、例
えば、スプレーして散布する方法、シート化した不織布
をバインダー液に含浸する方法、シート化した不織布に
バインダー液をコートする方法等があり、これらの方法
を適宜組み合わせてもよい。バインダーを添加後、熱風
やドラムドライヤー等により乾燥、硬化させることによ
り、積層板用不織布を得ることができる。
【0078】上記積層板用不織布を積層することによ
り、例えば、プリント配線板や絶縁板等を形成すること
ができ、電気絶縁分野に用いることができる。本発明の
積層板用不織布を積層してなるプリント配線板又は絶縁
板もまた、本発明の1つである。
【0079】上記積層板用不織布を積層してプリント配
線板又は絶縁板を形成する方法としては特に限定され
ず、例えば、以下の方法等が好適である。上記積層板用
不織布を、マトリックスの樹脂ワニスに含浸する。樹脂
としては、エポキシ樹脂を用いるのが通常であるが、ポ
リフェニレンエーテル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミ
ド樹脂等の樹脂を使用することもできる。ワニス濃度は
適宜調製し、含浸で付着した余剰分はローラーで挟んで
落とすか、又は、ワニス粘度が低い場合には不織布ごと
縦に吊るして重力で落とし、必要量を不織布中に残すよ
うにする。ワニスを含浸した不織布を130〜160℃
程度の条件下で乾燥キュアーし、Bステージにしてプリ
プレグとする。このプリプレグを数枚積層し(プリント
配線板の場合は表面に銅箔を重ねる)、150〜190
℃程度で加圧しながら熱成形することによりプリント配
線板又は絶縁板が形成される。
【0080】本発明の積層板用不織布用水性バインダー
は、耐水性向上にともなって優れた電気特性を与えると
共に、優れた不織布強度や耐熱性等の基本性能を与える
ことができるものである。また、本発明の積層板用不織
布用水性バインダーにより形成されてなる積層板用不織
布は、強度や耐熱性等の基本性能に優れるため、プリン
ト配線板や絶縁板に好適に適用されるものである。
【0081】
【実施例】以下に実施例を揚げて本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるも
のではない。なお、特に断りのない限り、「部」は、
「重量部」を意味するものとする。
【0082】実施例1 (カルボキシル基含有エポキシエマルションの合成)攪
拌機、還流冷却機、滴下ロート、温度計及び窒素吹き込
み管を備えた反応機に、ブチルセロソルブ33部を仕込
み、窒素置換を行い、105℃に昇温後、モノ(2−メ
タクリロイルオキシエチル)アシッドフォスフェート
(ライトエステルPM、共栄社化学社製)10部、メチ
ルメタクリレート(MMA)20部、ブチルアクリレー
ト20部、スチレン(St)20部、メタクリル酸20
部、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)10
部及び2,2′−アゾビスイソブチロニトリル(AIB
N)2部の混合液を2時間かけて滴下した。その後10
5℃で2時間保持を行い、カルボキシル基含有アクリル
樹脂を得た。次いで、予め調整していたエポキシ樹脂の
ブチルセロソルブ溶液(エピコート♯1009、油化シ
ェルエポキシ社製、75重量%ブチルセロソルブ溶液)
133部を加え、120℃で、グラフト反応を行い、冷
却を行った後、トリエチルアミン12部を添加し、強攪
拌化に脱イオン水388部を30分滴下し、不揮発分3
0.0%、pH8.8のカルボキシル基含有エポキシエ
マルション(A−1)を得た。
【0083】合成例1 (有機無機複合微粒子の合成)攪拌機、還流冷却機、滴
下ロート、温度計及び窒素吹き込み管を備えた反応機
に、テトラメトキシシラン144.5g、γ−メタクリ
ロキシプロピルトリメトキシシラン23.6g、水19
g、メタノール30g、アンバーリスト15(ロームア
ンドハースジャパン社製の陽イオン交換樹脂)5gを入
れ、65℃で2時間攪拌し、反応させた。反応混合物を
室温まで冷却した後、冷却管にかえて、蒸留塔、これに
接続させた冷却管及び流出口を設け、1.96kPaの
圧力の減圧下、90℃の温度で、メタノールが流出しな
くなるまで保持し、反応を更に進行させた。その後、室
温まで冷却した後、アンバーリスト15を濾別し、数平
均分子量が1800の重合性ポリシロキサン(B−1)
を得た。
【0084】次に、攪拌機、還流冷却管、滴下ロート、
温度計及び窒素吹き込み管を備えた反応機に、有機溶剤
としてトルエン200gを入れ、窒素ガスを導入し、フ
ラスコ内温を110℃まで昇温した。次いで、先に合成
したB−1を20g、MMA60g、St30g、HE
MA30g、アクリル酸(AA)60g及びAIBN6
gを混合した溶液を2時間滴下した。更に2時間保持を
行い、不揮発分49.5%、数平均分子量が12000
の有機ポリマートルエン溶液(C−1)を得た。
【0085】攪拌機、2つの滴下口、温度計を備えたフ
ラスコに、酢酸ブチル200g、メタノール50gを入
れておき、内温を20℃に調整した。次にフラスコ内を
攪拌し、有機ポリマー(C−1)20g、テトラメトキ
シシラン30g、酢酸ブチルの混合液と25%アンモニ
ア水20g、メタノール20gの混合液をそれぞれ1時
間で滴下した。更に2時間熟成を行い、溶剤系有機無機
複合微粒子(D−1)を得た。
【0086】更に攪拌機、温度計、冷却管及び流出口が
接続した蒸留塔を備えたフラスコに溶剤系有機無機複合
微粒子(D−1)250g、水100gを入れ、1.4
7Paの圧力下でフラスコ内温を100℃まで昇温し、
アンモニア、メタノール、イソプロピルアルコール、水
を固形分濃度が30%となるまで留去し、水分散有機無
機複合微粒子(D−2)を得た。不揮発分30.0%、
粒子中の有機含有量38.6g、平均粒子形57mm、
変動係数17.4%であった。
【0087】カルボキシル基含有エポキシエマルション
(A−1)50g、水分散有機無機複合微粒子(D−
2)20g、水溶性オキサゾリン樹脂(エポクロスWS
−500、日本触媒社製)5g及びジアミノシランカッ
プリング剤を0.2gを混合し、積層板用不織布用水性
バインダーを得た。
【0088】Eガラス製ガラス繊維チョップストランド
(日本電気ガラス社製、繊維直径9μm、繊維長13m
m)を95重量%(対不織布)湿式法でシート化した。
このシートに対不織布有効固形分5重量%となるように
スプレー法で上記バインダーを塗布し、160℃で15
分間乾燥、キュアして目付80g/mの不織布を得
た。この不織布にエポキシ樹脂ワニスを含浸して余剰分
を取り除き、140℃で5分間乾燥、熱硬化してプリプ
レグとした。次に、このプリプレグを4枚積層して18
0℃で1時間熱プレスにより硬化し、厚さ0.6mmの
積層板を得た。この積層板についてハンダ耐熱性の評価
を行った。不織布の紙質を表1に、積層板のハンダ耐熱
性の評価結果を表2に示す。
【0089】実施例2 (トリアルコキシシラン化合物含有分散体の製造)水7
0gにオキシエチレンの繰り返し単位数22であるポリ
オキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸アンモニウ
ム塩(HLB45.8)0.075gを溶解した混合液
をホモミキサーを用いて高速攪拌しながら、この混合液
に、ヘキシルトリエトキシシラン30gにポリオキシエ
チレンジエトキシメチルシリルプロピルグリシジルノニ
ルフェニルエーテル(HLB9.7)0.125gを溶
解した混合液を徐々に添加、混合して乳化、分散を行
い、30分高速攪拌を続けてトリアルコキシシラン化合
物含有分散体(E−1)を得た。平均粒子径は、1.9
μmであった。
【0090】実施例1で合成したカルボキシル基含有エ
ポキシエマルション(A−1)50gと上記トリアルコ
キシシラン化合物含有分散体20g、水溶性オキサゾリ
ン樹脂(エポクロスWS−500、日本触媒社製)5g
及びジアミノシランカップリング剤0.2gを混合し、
積層板用不織布用水性バインダーを得た。Eガラス製ガ
ラス繊維チョップドストランド(日本電気ガラス社製、
繊維直径9μm、繊維長13mm)を95重量%(対不
織布)湿式法でシート化した。このシートに対不織布有
効固形分5重量%となるようにスプレー法で上記バイン
ダーに塗布し、160℃で15分間乾燥、キュアして目
付80g/m2の不織布を得た。更に、実施例1と同様
に積層板を作製し、ハンダ耐熱性の評価を行った。不織
布の紙質を表1に、積層板のハンダ耐熱性の評価結果を
表2に示す。
【0091】実施例3 実施例1で合成したカルボキシル基含有エポキシエマル
ション(A−1)50gと有機無機複合微粒子(D−
2)20gと上記トリアルコキシシラン化合物含有分散
体20g、水溶性オキサゾリン樹脂(エポクロスWS−
500、日本触媒社製)5g及びジアミノシランカップ
リング剤0.2gを混合し、積層板用不織布用水性バイ
ンダーを得た。
【0092】Eガラス製ガラス繊維チョップドストラン
ド(日本電気ガラス社製、繊維直径9μm、繊維長13
mm)を95重量%(対不織布)湿式法でシート化し
た。このシートに対不織布有効固形分5重量%となるよ
うにスプレー法で上記バインダーに塗布し、160℃で
15分間乾燥、キュアして目付80g/m2の不織布を
得た。更に、実施例1と同様に積層板を作製し、ハンダ
耐熱性の評価を行った。不織布の紙質を表1に、積層板
のハンダ耐熱性の評価結果を表2に示す。
【0093】実施例4 攪拌機、還流冷却機、滴下ロート、温度計及び窒素吹き
込み管を備えた反応機に、ブチルセロソルブ33部を仕
込み、窒素置換を行い、105℃に昇温後、スチレン3
0部、メチルメタクリレート20部、ブチルアクリレー
ト20部、メタクリル酸20部、ヒドロキシエチルメタ
クリレート10部及び2,2′−アゾビスイソブチロニ
トリル(AIBN)3部の混合液を2時間かけて滴下し
た。その後105℃で2時間保持を行い、カルボキシル
基含有アクリル樹脂を得た。ついで、予め調整していた
エポキシ樹脂のブチルセロソルブ溶液(エピコート10
10、油化シェルエポキシ社製、75重量%ブチルセロ
ソルブ溶液)133部を加え、ジメチルエタノールアミ
ン13部を添加し、105℃、2時間グラフト反応を行
い、強攪拌下に脱イオン水388部を30分で滴下し、
不揮発分29.8%、pH8.5のカルボキシル基含有
エポキシエマルション(A−2)を得た。
【0094】実施例1のカルボキシル基含有エポキシエ
マルション(A−2)をA−1の代わりに使用した以外
は実施例1と同様に、積層板用不織布用水性バインダ
ー、積層板用不織布及び積層板を作製した。また、実施
例1と同様に評価を行った。不織布の紙質を表1に、積
層板のハンダ耐熱性の評価結果を表2に示す。
【0095】実施例5 実施例1で作製した積層板用不織布用水性バインダーに
更に硬化剤として水分散ブロックイソシアネート樹脂
(タケネートWB−720、武田薬品工業社製)を10
gを添加して、積層板用不織布用水性バインダーを作製
した。また、実施例1と同様に積層板用不織布及び積層
板を作製し、積層板のハンダ耐熱性の評価を行った。不
織布の紙質を表1に、積層板のハンダ耐熱性の評価結果
を表2に示す。
【0096】実施例6 コポリパラフェニレン−3,4′オキシジフェニレン−
テレフタラミド(パラ系アラミド樹脂)チョップドスト
ランド(帝人社製、繊維径φ12μm、繊維長3mm)
を85重量%(対不織布)湿式法でシート化した。この
不織布に実施例1で作製した積層板用不織布用水性バイ
ンダーを対不織布有効固形分15重量%と成るようスプ
レーでこのシートに散布し、160℃で15分間乾燥、
キュアして目付け80g/m2の不織布を得た。以下、
実施例1と同様にして積層板を作製した。
【0097】比較例1 実施例1の有機無機複合微粒子(D−2)を使用しない
以外は実施例1と同様に、積層板用不織布用水性バイン
ダー、積層板用不織布及び積層板を作製成した。また、
実施例1と同様に積層板のハンダ耐熱性の評価を行っ
た。不織布の紙質を表1に、積層板のハンダ耐熱性の評
価結果を表2に示す。
【0098】比較例2 実施例1の水溶性オキサゾリン樹脂(エポクロスWS−
500、日本触媒社製)5gの代わりに、水溶性メラミ
ン樹脂(サイメル303、三井サイテック社製)を使用
した以外は実施例1と同様に、積層板用不織布用水性バ
インダー、積層板用不織布及び積層板を作製した。ま
た、実施例1と同様に積層板のハンダ耐熱性の評価を行
った。不織布の紙質を表1に、積層板のハンダ耐熱性の
評価結果を表2に示す。
【0099】
【表1】
【0100】
【表2】
【0101】
【発明の効果】本発明の積層板用不織布用水性バインダ
ーは、上述のような構成からなり、耐水性向上にともな
って優れた電気特性を与えると共に、優れた不織布強度
や耐熱性等の基本性能を与えることができるものであ
る。また、本発明の積層板用不織布用水性バインダーに
より形成されてなる積層板用不織布は、強度や耐熱性等
の基本性能に優れるため、プリント配線板や絶縁板に好
適に適用される。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルボキシル基含有水性エポキシ樹脂
    と、オキサゾリン系樹脂と、無機微粒子及び/又はアル
    コキシシラン化合物含有分散体とを含むことを特徴とす
    る積層板用不織布用水性バインダー。
  2. 【請求項2】 無機微粒子は、有機無機複合微粒子であ
    ることを特徴とする請求項1記載の積層板用不織布用水
    性バインダー。
  3. 【請求項3】 前記有機無機複合微粒子は、有機部に水
    酸基及び/又はカルボキシル基を有するものであること
    を特徴とする請求項2記載の積層板用不織布用水性バイ
    ンダー。
  4. 【請求項4】 1、2又は3記載の積層板用不織布用水
    性バインダーにより形成されてなることを特徴とする積
    層板用不織布。
  5. 【請求項5】 請求項4の積層板用不織布を積層してな
    ることを特徴とするプリント配線板又は絶縁板。
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